吉田麻也ちゃんと愉快な仲間たち5

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317名無し草
 厚い唇を吸い上げた途端、その柔らかさが胸を衝き、頭に血が上っていく。
「ん……っ」
 息苦しさに負けて少しだけ唇を浮かせた瞬間、吐息と共に掠れ声が洩れた。その小声ごとまた唇に食らい付く。
 唇を触れ合わせるだけでは止まらず、麻也は衝動のままに篤人の頬を抱え込むと、親指で顎を押して口を開かせ、舌をねじ込んだ。
 抵抗されないのをいいことに、ざらついた舌の腹を擦り付け、反射的に逃げようとする舌を裏から掬う動きで撫で上げる。
「っん、ん……ぅ、んっ……」
 背中に手のひらを滑らせればひくひくと仰け反り、口の中で唾液の音を立てる度に、普段の話し声より高い、上擦った声が零れる。すがるように麻也の腕を掴む指に力が籠もっては次第に抜けていき、舌を弾けばまたぎゅっと掴み、を繰り返した。
(やべぇ……エロすぎやろコイツ……)
 うぶなようでいて艶めかしくもある、一つ一つの反応に興奮せずにはいられず、水音を立てながら何度も何度も唇を重ね、腕の中で震え上がる体をきつく抱き締めては、唇と舌と腕、そして合わせた胸に伝わってくる篤人の反応に夢中になった。

「っはあ……っ」
 どちらからともなく離れた瞬間、二人の間を繋ぐ唾液の糸が、乱れた呼吸に揺られて切れた。
 麻也は自分の額に汗が浮かんでいると気付いても、熱を持った篤人の頬から落とした手を動かすことが出来ず、ただひたすら抑えた呼吸を繰り返した。
 硬直した麻也の目の前では、篤人が薄目で天井を仰ぎ、濡れた唇から弾んだ吐息を洩らしていた。
 しばらくその悩ましげな表情のまま、睫を細かく揺らしてまばたきを繰り返した後、ふと全身から力を抜き、舌舐めずりしてから小さく息を吐き出した。
 色っぽいその一連の仕草に見とれていると、ゆっくりと瞼が持ち上げられていった。
 潤んだ瞳と目が合った瞬間、頬が爆発しそうな程に燃え上がる。麻也は赤面を見られまいと素早く篤人から顔を背けた。
 鼓動が鼓膜を連打する。その音に急かされているように感じても何を言えば良いか分からず、咄嗟に口を衝いて出た言葉は麻也自身も思い掛け無い一言だった。
「ご……ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした?」