はっきり言って、どうしようもない出来である。
その原因は、「○○が悪い」「××の演技が拙い」と言った個別のレベルの問題ではなく、この企画そのものがピンと来ない。
要するに、原作が悪いのではないか。
双子の高校生の兄妹の恋愛話である。所謂“禁断の愛”であるが、何故そういう感情を互いに持つようになったのか、
何故今時になって思いを相手に告げて抜き差しならない事態に陥ったのか、といった背景がさっぱり判らない。
普通の恋愛ならまぁ一目惚れや出会い頭もあろうが、この場合そうではないのであるから、
その辺りのエクスキューズは必須だと思うのだが。
また出てくる人物出てくる人物、妙に神経質で優柔不断なキャラクターで、肩が凝るばかりでなく、段々イライラして来る。
そいつらが、こっちが赤面しそうになる臭いセリフを吐き、溜め息が出る程ナルシスティックなエピソードを繰り広げる。
馬鹿か、コイツら。わたくし、「恋愛盲目症もいい加減にしろ」と画面に向かって本当に呟いて仕舞った。
キャスティングもまるでダメ。
主役・頼(より)に扮する嵐の松本潤がこの映画の目玉なのだろうが、流石に高校生役には無理がある。
学ランなら兎も角、ブレザーにネクタイ姿だと、精々新入社員である。これは友人役の平岡祐太も同様。
そもそも絵空事だからこの程度のリアリティで良いと見切ったのだろうが、そういう手抜きを敏感に観客は感じ取るものだ。