轢死同人ヲチ11

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67名無し草
□時が満ちるとき
□2008.9.2 00:31
ちょっと思い出しちゃったんで、不思議な昔話をば。

植木の家は、父の仕事の関係でよく転勤をしておりました。東京本社と地方を行ったりきたりしていて、一年毎に住む場所が変わっていたりした時期もありました。


一時期、大阪に住んでいたことがありまして。
本当に幼稚園位の時だったんで、大阪城見ながら「わたしのおしろなんだよ。おじさんがむかしたててくれたんだって!」とか何とか言ってたらしいです。(何たる)
それを聞いた幼稚園の先生が、「淀殿じゃないんだから」と苦笑いしながら返してくれたことを今でも覚えてます。……それじゃあおじさんって、秀吉のことになるんだよね……。私がきちんと歴史学んだのはその一年位後なのに……秀吉とかまだ理解してないはず。(ひー)


社宅から近いところに史跡があって、たまに仕事が休みの日に父が連れて行ってくれたりしたんですが。その辺りはいつも騒がしくて(喧嘩みたいな男の子達の声が聞こえる気がしてたんです)あんまり説明も聞き取れませんでした。
あんな所で遊ぶ男の子ってなんなのよ……。(当時は墓地だらけでした。彼らの姿はよく見えませんでした、ぼやけてて)
でも、凄く楽しそうでした。一人だけ、地味な着物(なんか良く判らないけど地味なお祭りの法被みたいなもの)を着た子が手招きしてくれてたんですが、何となく寄っちゃいけないと思って行きませんでした。今思うと悪いことしちゃった気がします。せっかく誘ってくれたのに。



……此処までは、実際にありそう(知人には「ないない」と否定されましたけど…)な話なんですが……。


何か、此の続きは限り無く、その……軽く心霊体験っぽいんですよねー……。(人事)
68名無し草:2009/02/17(火) 22:41:26
――やっぱり、史跡みたいな所だったんですがね。おっきな石がおいてあったんです。一つ前の話の三年後位に、海外転勤からの一時帰国でまた同じ場所に帰ってきてまして。親が少しの間離れてたんですよ。

目線をあげると、すぐ横に人がいて。目があったら、「こんにちは」って、知らない兄ちゃんが声をかけてきたんですよ。顔は何か帽子みたいな頭巾みたいな変なもんかぶってて見えないし。勿論知らない人について行っちゃだめなわけです。見るからに怪しかったです。はい。
その場で動かなかったら、その人は私の横に腰を下ろして、会話を始めたんです。こんな感じ。

「君は、私のことを知っているかな」

「……しらない」

「そうかぁ。知らないかぁ。……皆忘れてしまったのかな」「忘れる?」

「時は恐ろしい。全てを流してしまう。かつての出来事も、心も」

「何いってるの?」

「あ……ごめんね。私に気付いてくれる人に初めてあったから嬉しくて。……もう、誰とも話せないと思っていた。ひとりぼっちさ」

「……私も一人だよ」

「え?」
69名無し草:2009/02/17(火) 22:41:58
「私は変わってるから。私に見える物が見えないって、みんな言う。だから一人」

「……そうか。一人か。私もね、醜いと言われて、誰も近寄らなかった…ある人を除けば」

「顔かくすからだよ。ふしんしゃに見えるよ」

「…ははは、そっか……そうかもね」

「……でも、いいなぁ、お友達」

「……君にもいるはずだよ。きっと…」

「だといいなぁ」

――暫く無言で。
お兄さんが突然立ち上がって。

「そろそろ私は戻らなきゃ。いつまでも此処にいるわけにはいかないんだ」

「何で?」

「……難しい質問だねぇ。今はまだ判らないんじゃないかな」

「そっかあ」
70名無し草:2009/02/17(火) 22:42:55
気になりはしたんですが、素直に引き下がりました。そのまま、お兄さんはどこかへ歩いていくんですが、
「……君とは、時が満ちるときにまた会えるよ。嫌でも、会うことになる。でもね、それまで君は私達には会えない。記録の上でしか。……風化した記録の中でしか、会えない。私は、――――。……君はきっと覚えていてくれる。また会えるんだ」


長い長い言葉でした。本当はもっと長かったです。正直当時は良く判りませんでした。

……でも、今思うとなんだか……あの歴史上の人のような気がしなくも、な、い……ような。そんなこと……あるんでしょうかね。名前が、そっくりそのままだったんですが……。(偶然?)



あれから九年。大阪には戻ってません。大阪城も見てません。

……それでもまだ、時は満ちていないと言うんでしょうか?




――長い上に謎の文章ですみません……!