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名無し草:
俺とマサが世間様には言えない関係になってから、もうじき半年が経つ。一緒にいる中で改めて思うのは、なにからなにまで違う、ということだ。
俺はしいたけが嫌いで、マサはしいたけが好き。俺は実家住まいで、マサは一人暮らし。俺はサッカーが好きで、マサはダンスが好き。同じところを探す事の方が難しいくらいだ。
そりゃあ、別の人間なんだから当たり前だろう。第一、自分と似通っている人間に、大して興味なんて抱けないし。反面教師っぷりにうんざりするのがオチだ。
けれど、そう思えるようになるまでは結構な時間が必要だった。
何で俺とお前はここまで違うわけ?
どうして俺がこうしたいのに、お前はそうするわけ?
今は簡単に分かることも、あの時の俺達にとっては途方もない難題だった。答えどころか解き方すらしばらく理解できず、随分ごちゃごちゃした期間を過ごしてきたもんだ。
後から気付いた。あれも長い長い片想いの1シーンだったんだ。
照明も、シナリオもない。カメラワークもぐだぐだな、俺達の不格好な始まり。
俺達は今も1つずつ問題を解いていってる最中だ。額をつつき合わせ、赤ペンを指先でまわし、あーでもないこーでもないと話し合う。
でも大丈夫、2人一緒に考えていけば、答えを見つけるのだって2倍速になる。(もちろん逆の場合もあるけど)
椎茸の肉詰めと、かぼちゃの煮付けをトレードすればいい。家族の外食にアイツを呼べばいい。サッカーを一緒に見て、ダンスレッスンを頑張ればいい。
こうやって俺達は、1つずつ地道に、掛け違えたボタンを直していっている。ちなみに、現在進行型で。