◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう30◇◆◇◆

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1名無し草
ここは一条ゆかり先生の「有閑倶楽部」が好きな人のためのスレッドです。
前スレ 
◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう29◇◆◇◆
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1195356399/

お約束
 ■sage推奨 〜メール欄に半角文字で「sage」と入力〜
 ■妄想意欲に水を差すような発言は控えましょう
*作品への感想は大歓迎です。作家さんたちの原動力になり、スレも華やぎます。

関連サイト、お約束詳細などは>>2-6の辺りにありますので、ご覧ください。
特に初心者さんは熟読のこと!
2名無し草:2008/01/22(火) 22:17:12
◆関連スレ・関連サイト

「有閑倶楽部 妄想同好会」 http://houka5.com/yuukan/
 ここで出た話が、ネタ別にまとまっているところ。過去スレのログもあり。
 *本スレで「嵐さんのところ」などと言う時はココを指す(管理人が嵐さん)

「妄想同好会BBS」 http://jbbs.livedoor.jp/movie/1322/
 上記サイトの専用BBS。本スレに作品をUPしにくい時のUP用のスレあり。
 *本スレで「したらば」と言う時はココを指す

「有閑倶楽部アンケート スレッド」
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1077556851/
 上記BBS内のスレッド。ゲストブック代わりにドゾー。
3名無し草:2008/01/22(火) 22:18:12
◆作品UPについてのお約束詳細(よく読んだ上で参加のこと!)

<原作者及び出版元とは全く関係ありません>

・初めから判っている場合は、初回UP時に長b編/短編の区分を書いてください。

・名前欄には「題名」「通しNo.」「カップリング(ネタばれになる場合を除く)」を。

・性的内容を含むものは「18禁」又は「R」と明記してください。

・連載物は、2回目以降、最初のレスに「>○○(全て半角文字)」という形で
 前作へのリンクを貼ってください。

・リレー小説で次の人に連載をバトンタッチしたい場合は、その旨明記を。

・作品UPする時は、直前に更新ボタンを押して、他の作品がUP中でないか
 確かめましょう。重なってしまった場合は、先の書き込みを優先で。

・作品の大量UPは大歓迎です!
4名無し草:2008/01/22(火) 22:21:55
◆その他のお約束詳細

・萌えないカップリング話やキャラ話であっても、 妄想意欲に水を差す発言は
 控えましょう。議論もNG(必要な議論なら、早めに別スレへ誘導)。

・作家さんが他の作品の感想を書く時は、名無しの人たちも参加しやすいように、
 なるべく名無し(作家であることが分からないような書き方)でお願いします。

・あとは常識的マナーの範囲で、萌え話・小ネタ発表・雑談など自由です。

・950を踏んだ人は新スレを立ててください。
 ただし、その前に容量が500KBを越えると投稿できなくなるため、
 この場合は450KBを越えたあたりから準備をし、485KB位で新スレを。
 他スレの迷惑にならないよう、新スレの1は10行以内でお願いします。

※議論が続いた場合の対処方法が今後決まるかもしれません。
 もし決定した場合は次回のテンプレに入れてください。
5名無し草:2008/01/22(火) 22:25:45
◆初心者さんへ

○2ちゃんねるには独特のルール・用語があるので、予習してください。
 「2ちゃんねる用語解説」http://webmania.jp/~niwatori/

○もっと詳しく知りたい時
 「2典Plus」http://www.media-k.co.jp/jiten/
 「2ちゃんねるガイド」http://www.2ch.net/guide/faq.html

○荒らし・煽りについて
・「レスせずスルー」が鉄則です。指差し確認(*)も無しでお願いします。
 *「△△はアオラーだからスルーしましょう」などの確認レスをつけること

・荒らし・アオラーは常に誰かの反応を待っています。
 反撃は最も喜びますので、やらないようにしてください。
 また、放置されると、煽りや自作自演でレスを誘い出す可能性があります。
 これらに乗せられてレスしたら、「その時点であなたの負け」です。

○誘い受けについて
・有閑スレでは、同情をひくことを期待しているように見えるレスのことを
 誘い受けレスとして嫌う傾向にありますので、ご注意を
6名無し草:2008/01/22(火) 22:26:40
◆「SSスレッドのガイドライン」の有閑スレバージョン

<作家さんと読者の良い関係を築く為の、読者サイドの鉄則>
・作家さんが現れたら、まずはとりあえず誉める。どこが良かったとかの
 感想も付け加えてみよう。
・上手くいけば作家さんは次回も気分良くウプ、住人も作品が読めて双方ハッピー。
・それを見て自分も、と思う新米作家さんが現れたら、スレ繁栄の良循環。
・投稿がしばらく途絶えた時は、妄想雑談などをして気長に保守。
・住民同士の争いは作家さんの意欲を減退させるので、マターリを大切に。

<これから作家(職人)になろうと思う人達へ>
・まずは過去ログをチェック、現行スレを一通り読んでおくのは基本中の基本。
・最低限、スレ冒頭の「作品UPについてのお約束詳細」は押さえておこう。
・下手に慣れ合いを求めず、ある程度のネタを用意してからウプしてみよう。
・感想レスが無いと継続意欲が沸かないかもしれないが、宣伝や構って臭を
 嫌う人も多いのであくまでも控え目に。
・作家なら作品で勝負。言い訳や言い逃れを書く暇があれば、自分の腕を磨こう。
・扇りはあまり気にしない。ただし自分の振る舞いに無頓着になるのは厳禁。
 レスする時は一語一句まで気を配ろう。
・あくまでも謙虚に。叩かれ難いし、叩かれた時の擁護も多くなる。
・煽られても、興奮してレスしたり自演したりwする前に、お茶でも飲んで頭を
 冷やしてスレを読み返してみよう。
 扇りだと思っていたのが、実は粗く書かれた感想だったりするかもしれない。
・そして自分の過ちだと思ったら、素直に謝ろう。それで何を損する事がある?
 目指すのは神職人・神スレであって、議論厨・糞スレでは無いのだろう?
7名無し草:2008/01/22(火) 22:30:43
前スレ後半の進行ダイジェスト

1. 作家さんの露出に関して

2. ↑のような議論のときの議論の場所について

3. 祭りに関して
   @単語派(『看病』など従来通り)
   A台詞派(『笑って』など台詞に取り入れ)
   Bシチュ派(『溺れるのを助ける』など、条件を指定)
   C三題噺

8名無し草:2008/01/22(火) 22:34:52
>>1
9名無し草:2008/01/23(水) 18:29:55
>>1
乙です。
新スレでも作品や妄想が沢山読めますように・・・

こっちにもリンク貼っておきますね。
前スレで出ていた議論は、こちらのスレで続行中。

東京さん!あけましておめでとうございます!
http://tmp7.2ch.net/test/read.cgi/lobby/1199132628/9-
10名無し草:2008/01/25(金) 01:50:48
レス数が少ないと落ちちゃうかもしれないから保守しとく。
11名無し草:2008/01/25(金) 02:37:14
保守も兼ねて、二つ名メーカーで遊んでみた。
ttp://pha22.net/name2/

美童 グランマニエさんの二つ名は…「奈落粛正(トラッシュ)」です
黄桜 可憐さんの二つ名は…「混沌粛正(ペネトレイトカオス)」です
菊正宗 清四郎さんの二つ名は…「昏迷鍵盤(アモルファス)」です 
剣菱 悠理さんの二つ名は…「静寂亡霊(モノクロームメビウス)」です
松竹梅 魅録さんの二つ名は…「魍魎刻印(アーマーリベリオン)」です 
白鹿 野梨子さんの二つ名は…「嗜骨実験(チェーンソーパラドックス)」です

悠理は大当たりだなw
12名無し草:2008/01/27(日) 16:57:17
保守してみる

祭りの話もぼちぼちしない?
13名無し草:2008/01/27(日) 18:52:33
したい!
どうやってテーマ決める?
14名無し草:2008/01/27(日) 19:01:48
今のとこ三題噺が有力?
としたら、お題を募集して投票→上位みっつで三題噺
という感じかな?
お題はものに限らず、台詞とかシチュとか広く。

三題噺にするならルールは少しゆるめにした方がいいかも。
お題を決めてから投稿までの時間を長くとるとか、お題の言葉を
必ず入れるのではなくてなんとなく察することができればおkにするとか。
15名無し草:2008/01/27(日) 19:09:04
今まで何が出たっけ?
自分が今思い出せるのは
「看病」「溺れてるのを助ける」「笑って」「やきもち」「ビンタ」
ぐらいだけど、他に何出てた?
16名無し草:2008/01/27(日) 19:14:43
台詞
「待ってる」
「ありがとう」
「嘘つき」
「行かないで」
「笑って」

シチュ
「男性が女性にプレゼント」
「溺れてるのを助ける」
「看病」
「やきもち」
「ビンタ」

これまで出たのは、こんな感じ。
17名無し草:2008/01/27(日) 19:20:19
ひとつ提案だけど、三題にするなら、シチュが複数出ると書きづらいような気がする。
投票→上位三つを採用、はいいけど、台詞2つ+シチュ1つ とかにしたほうが
書きやすいんじゃないかな?個人的な意見なので書き手さんの意見求む。

あと、絵師さんは三題に拘らず、どれかひとつでおkにしないと描きにくそう。
18名無し草:2008/01/27(日) 20:00:27
シチュ・せりふ・もの
それぞれの上位をひとつ採用とか。
19名無し草:2008/01/27(日) 20:19:52
落語の三題噺と同じ感じで、普通に単語三つはどうかな。
それをセリフに使うも、小道具に使うも、シチュに使うも作家さんの自由ってことで。
三題のひとつにシチュを入れてしまうと、似たりよったりな話になってしまいそう。

シチュを入れるなら、リクエスト大会みたいにした方がやりやすい気がする。
20名無し草:2008/01/27(日) 20:25:30
早く方向性を決定しちゃおう!
早く傑作が読みたいです♪
21名無し草:2008/01/27(日) 20:31:26
>>20
同意だけどsageてね。メール欄に小文字でsageと入力。
>>19
じゃあとりあえずお題を募集して、投票・集計してみる?
ひとりにつきひとつのお題に投票で。

お題募集。
私からは「飾り」 アクセサリーでもいいし虚飾的な意味に使ってもいいし。
22名無し草:2008/01/27(日) 20:37:23
三題噺に決定していいの?
一行チャットとかセリフだけ固定とかの案もあったよね。
23名無し草:2008/01/27(日) 20:50:51
>22そこから投票する?

まぁ、とりあえず出てないやつなら「約束」で。
24名無し草:2008/01/27(日) 21:18:41
じゃあ早速最初のお題は「約束」でいきませんか?
>全スレ935-939
次の日、横浜『crystal』。
正面玄関はセキュリティのしっかりしたインターフォン式で、きっと侵入は難しかった。しかし裏の、内側からしか鍵がかからないタイプの扉が【なぜか】開いていた。
『crystal』、その店は綺麗ではあるが小ぢんまりとしたマンションの一室だった。なんでこんな所に…と呟く魅録に可憐が叫んだ。
「思い出した!!横浜のcrystalって言ったらあれよ、有名なウエディングドレスのデザイナーの個人事務所。値段も張るし客もほんの少ししか取らないから『幻の事務所』なんて言われてるの。ここが…そうなのね」
可憐がひとしきり感動した所で、魅録は声を低くした。
「ウエディングドレスね…押すぞ」
ピンポーン。明るい音に、中から女性の声の応対があった。
『はい』
「あ、下の階の者ですけど、エレベーターにリングが落ちていて…。こちらのものじゃないかしら」
『え?…あ、はいすぐ開けます』
一階のインターフォンのおかげで、そこをクリアすればマンション内の警戒心は薄い。がちゃ、と扉が開いて、スタッフらしい女性が出てきた。
「わざわざすみません。で、どれ…が…」
女性の言葉はそこで途絶えた。顔を隠した複数の男女は見るからに怪しい。しかし叫ばれるとやっかいなので、魅録がナイフをちらつかせて黙らせる。
「…静かに。大人しくしてれば何もしねぇよ。スタッフ全員、1つの部屋に集められるか」
女性は涙目になりながらこくこくと首をふる。
「似合うよな、こういうの」
悠理が小声でからかうと、
「バカ言うんじゃねぇよ」
魅録のデコピンが炸裂した。
店内は本当に普通のマンションで、部屋数も広めではあるが4、5部屋しかないようだった。
入ってすぐのエントランスにあたる場所から、準備作業室・待合室・更衣室になるらしい。更衣室には待合室を通ってしか行けず、…そして今、客の夫婦がそれぞれ待合室と更衣室にいる。スタッフは全部で5名で、女性ばかりだという。
自分以外はきっと打ち合わせで客夫婦と共にいるだろうと、女性は言っていた。

美童が作業室に入って、武器になりかねない刃物の類を回収してきた。…作業室にスタッフを監禁するつもりらしい。
「田中さーん、メイクボックスの13番、ストックって…」
偶然、若いスタッフが奥からやってきた。そして目の前の光景に声を失う。
「…それでいいんですよ」
叫ばれるよりずっといい。清四郎があっという間にその女性を捉えて、縛った。
「ごめんね、怖くないからね」
美童が作業室に座らせる。
「田中さん…って仰るんですね。他のスタッフも皆さん呼んでもらえますね」

そして暫くの後に5名の手足を縛られた女性が作業室に集められた。幸い外から鍵を掛けるタイプのドアだったので、準備は簡単に整った。各々が顔を隠していたものを外す。
「いよいよだなっ」
悠理の声が弾んでいる。5人は顔を見合わせて、いつもの悪巧みの顔でにやりと笑った。
「あーあ、やっぱ刑務所行きかなぁ。世界中の彼女たちが泣くよ」
「あたしだって!前科持ちの留年女なんて、誰が貰ってくれるのよぉ」
「千秋さんはいいとしても、俺は親父が可哀想だよ」
「いや一番気の毒なのは、あたいの兄ちゃんな気もするな」
全員の脳裏に、家族全員刑務所行きで、一人ぼっちの豊作が浮かんだ。
「一生、家族に頭上がんないよね」
「勘当されても仕方ないですね」
「…でもさ、」
そこで悠理が真面目な顔になる。
「あたいらの家族ってさ、この事知って知らんぷりしてたら、それこそ怒り狂いそうじゃん?
『早く取り戻しに行け』って、背中押してくれそうな大人ばっかだよ」
「…そうだな」
魅録が悠理の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「刑務所から出たら、すぐ清四郎と野梨子の結婚式しようね」
美童のウインクに清四郎も思わず微笑む。
「…そうですね」
奥の扉を見て、清四郎は目を細めた。
―あの奥に野梨子がいる。

「すみません、ちょっとスタッフは集合してください」
外から声がして、「何かしら?」すみません、と詫びながらスタッフは更衣室を出ていった。
野梨子と久保田だけがそこに取り残される。
「…何かあったのかしらね」
「さあ…」
「急なお客さんかしら。完全予約制なのに」
「…」
鏡の前に立った。ウエディングドレスを着た見知らぬ女がそこにいた。大きく肩を出したデザインの、マーメイドラインの綺麗なドレスだ。
シンプルながら波打つように広がった裾、然り気無い胸元のレースが何とも上品な、間違いなく一級の品。長い手袋、耳には真珠のイヤリング。
唇は色を消されて、淡いピンクベージュ。長い睫毛が大きな目を縁取って、頬には口元と合わせた色でチークが塗られた。短い前髪はウイッグで長くなり、斜めにふんわり流れている。半透明のベールが、艶やかな黒髪を覆っていた。

ゆっくりと鏡に近づいて、それに映る人物に触れた。ひんやりと冷たいそれは、50階の窓を思い出させる。 色の変わった唇を歪めて、野梨子は笑顔を作ってみる。こんな笑い方だったかしら。…もう少し、幸せそうに笑わないと。
「いいわねぇ。私は着れなかったから羨ましいわ」
鏡の中、花嫁姿の人形の隣にきりっとした美女がいる。鏡越しに目が合うと、その美女は笑みを消して言った。
「…許してあげてね」
光一さんを?そんな事は聞くまでもない。鏡の中の人形は、一応笑顔を繕えていた。

光一は席を立ったスタッフの残した書類に目を通していた。今頃ドレスに身を包んでいるはずの婚約者を思うと、思わずにやにやしてしまう。コンコン、とノックの音がした。
「どうぞ」
そう言って目を向けると、そこにいたのは先程までの女性ではなく――――
「はじめまして、氷結さん」
現れた5人は充分過ぎるほど見覚えのある若者で…とりわけ、先頭に立つその青年は自分が死ぬほど羨んだ男だ。
「何しに来たの?お祝い…って感じじゃないよね」
「もちろん。野梨子を返してもらいに」
にっこりと笑うその男に、めんどくさいことになったな、と光一は舌打ちをした。

「スタッフの人たちは?」
「全員作業室に」
「…ずいぶん手荒な真似したね」
「えぇ、願わくはこれ以上したくはないんですが」
「どこまで知ってる?」
「どこまでも。」
青年は余裕の表情を崩さない。段々光一はいらいらしてきた。
「ふーん。じゃ、刑務所行きも覚悟の上だね」
「警察が怖くて有閑倶楽部やってられっか!」
悠理が叫んだ。光一は眉をひそめる。そして、それを隠すように清四郎たちに背を向けた。
「美しい友情だなぁ。…そうだね、僕は君たちと違って喧嘩も武道も経験がない。警備員もいないし、野梨子を奪い返すなら今だ。でもさ、」
光一が振り返る。
「野梨子は行かないよ。絶対。」
「無理やりでも連れ去るさ」
言い切る光一を魅録が睨む。
「それもいいかもね。でも、あの子は何度でも僕の元に帰ってくるよ。それとも、今度は君たちが野梨子を監禁する?」
「…!」
「自分の意思で君たちと行くって決めない限り、野梨子を拐ってもきっと無駄でしょ。…きっと泣きながら僕の所に帰ってくる。許して下さい、光一さんって。」
「ばらすならばらせよ!もういいんだよあたいらは!」
「君が良くても、野梨子はそうは思わないってこと」
そこまで言うと、光一はため息をついた。

「…とにかく、野梨子に会わせなさいよ」
「行けばいいじゃん。僕一人を倒して行くくらい簡単だろ?この扉の奥にいるよ」

<続く>
31名無し草:2008/01/27(日) 22:47:13
自分は【視線】とかいいな
32名無し草:2008/01/27(日) 23:02:03
>>大女優
おお、とうとう行動に出ましたね。
それぞれのセリフがちゃんとそれらしくて原作のイメージのまま読めました。
野梨子がどう出るのか、次回が楽しみです。

>>21
>じゃあとりあえずお題を募集して、投票・集計してみる?
おk。自分からもお題をひとつ。
「雪」

*****ここまで出てるお題******
「待ってる」
「ありがとう」
「嘘つき」
「行かないで」
「笑って」
「男性が女性にプレゼント」
「溺れてるのを助ける」
「看病」
「やきもち」
「ビンタ」
「飾り」
「約束」
「視線」
「雪」
33名無し草:2008/01/27(日) 23:06:21
>大女優〜
きたきたー!
以外とすんなり取り戻せそう と思いきや、まだまだなんかありそうですね。
光一の台詞と言い、久保田の存在と言い、気になるなぁ〜

>あたいらの家族ってさ〜
確かに!ヤツらのどこの親もいいそうだ。親もかっこいいもんね。
五代「おじょうさまが前科者に・・・」
ママ「それが何だってゆうんです!!
   親友一人助けてやれない娘より、よっぽどましです!」
てな感じを想像したw


34名無し草:2008/01/28(月) 00:01:48
>大女優
GJです!
「背中押してくれそうな大人ばっかだよ」って、ほんと
すごいことだよね。
光一、野梨子のこと、よくわかってるよね。
やつも幸せになれるといいけど・・・
続き楽しみに待ってます!
35名無し草:2008/01/28(月) 00:23:51
では自分もお題を
「いつもと違う髪」
前スレで話題になってた清四郎の前髪下ろし萌えから発展させて・・・
女性陣のパーティとかでのアップに殺られるもよし、
寝グセのついた無防備さに萌えるもよし、
水に濡れた髪に悩殺されるもよし(溺れるとかぶりますが)
自分的には萌えスチュ満載
36名無し草:2008/01/28(月) 01:23:19
>大女優
GJです!!!!!
もう!早く野梨子を助けてあげて!!!
早く清四郎の元へ戻ってきて!と願うばかりです。
37名無し草:2008/01/28(月) 11:53:29
>大女優
今回もすばらしかったです!続きが気になる……早く野梨子を助けて清四郎!!

お題はそろそろ本格的に決定しませんか?私としては今上がってるお題からの選択形式でいいと思います。
38名無し草:2008/01/28(月) 18:35:11
>大女優 
前から思ってましたが、物や人物の描写がうまいっすね。
説明が丁寧なので、ウエディングドレスの野梨子が安易に想像できました。
野梨子があいかわらずせつないですが、そんな所もいじらしく思えます。
39名無し草:2008/01/28(月) 21:49:30
まだお題は大丈夫ですか?
大丈夫なら「君だけ」とか出したい
40名無し草:2008/01/28(月) 22:35:30
>>37
>私としては今上がってるお題からの選択形式でいいと思います。
これは書き手が好きなものを三つ選んでってこと?
競作にする意味がないような・・・
お題はみな共通にしませんか?
41名無し草:2008/01/28(月) 23:14:58
>>40
そうですよね!みんな共通がいいですね。明日あたり早速投票に入ってはどうでしょうか?
42名無し草:2008/01/29(火) 03:58:07
連レスする超初心者さんが居るような。
向こうの議論スレも覗いたんだけど、相手しなくていいレスに絡んでたり
何でもさっさと決めたがったり。全く書くなとは言わないけど、少しROMって
様子やふいんき眺め見たらどうかな。

それで祭りは三題噺にもう決定??他の案もいろいろあったようだけど。
毎日来ない人だっているんだし、とりあえず何を決定するにもすぐ
決めるんじゃなく、時間をとった方がいいと思うんだが。
43名無し草:2008/01/29(火) 07:38:01
>>42
祭りに関してはこんな意見があったと思う。前スレよりコピペ

@単語派(『看病』など従来通り)
A台詞派(『笑って』など台詞に取り入れ)
Bシチュ派(『溺れるのを助ける』など、条件を指定)
C三題噺
D1行リレー祭り

ここから決める?
44名無し草:2008/01/29(火) 08:00:53
↑に絡めてこういう意見もあった。

>お題にバッチリそぐわない微妙なラインの作品や
>投票で却下になったお題の作品でも
>時期をはずして別のタイトルをつけてうpしてもらえたら嬉しい。

あと、三題噺に関しては難しそうだとか、作家さんの意見が聞きたいとかいう
意見はあったけど、それほど大きな反対は無かった希ガス。
あと絵師さんは3つのうちひとつでいいんじゃないかという意見があった。
45名無し草:2008/01/29(火) 10:39:35
絵師はお題になるとSSよりもっと難しい気が。
お題に合わせても、お題に添ってない絵師が書きたいかんじの絵でも
なにを書いてもおkにしてはどうだろう。
絵は祭り期間外の通常時、SSと違って投下してもいいのかいけないのか
はっきりしてないから投下しにくいだろうし
実際そのせいか、通常時祭りの時にしか投下がないし
祭りの時くらい投下しやすいようにした方がいいと思う。
46名無し草:2008/01/29(火) 19:52:56
>>45に賛成。
絵師さんの参加が増えると嬉しいし。
個人的にはこれまでのSSの挿絵とかあるともっと嬉しいw

SSに関しては、三題噺ってことでおkなのかな。
反対意見・書きづらいという作家さんの意見などあれば。
47名無し草:2008/01/30(水) 02:13:32
お題に合う絵を描く人もいるし、うpする場所は常にあるんだから>>44の引用部でいいよ
48名無し草:2008/01/30(水) 03:16:46
イラストについては少々疑問に思っていた。
うpする場所って常に今ある?
昔は嵐さんの所にあったイラストBBSはもう今はないし、
鍵祭りのBBSの管理人さんも祭り後は管理できないと言ってたと思ったし。
49名無し草:2008/01/30(水) 05:51:56
前回、画像掲示板を管理した者です。
とりあえず出来る限り管理はしたいと思ってますが、
私生活の方の関係で、いつまで出来るかは不明です。

もし画像掲示板をこのまま存続させたいという希望があるなら、
あと2人くらい副管理人さんを募集して、
IDとパスワードを配布して、複数人で管理できたら、
長期間の管理も大丈夫かなとおもいました。

今のところは投稿も少なく、広告や荒し投稿とかはないので、↓くらいしかやることはないですが。
・定期的な保守作業
・投稿画像が妄想同好会に吸収されるまで、念のため自分のパソコンに保存する。
50名無し草:2008/01/30(水) 07:20:13
場所は常にあるよ、携帯に優しい所とかパス付きとか時限付きとか、
需要によりいろいろ。絵だけじゃなくフラッシュとか既存のソフトを
使って遊んだり作ったりしたものを、需要にあったろだにうpしてリンクをスレに。

それでも管理したいという人がいるならどうぞという感じだけど、保管場所でなく
一時的なうp場所でしかないし、正直投稿数がそんなにないなら、管理する>>49
面倒な思いをするだけであまりメリットないような。管理人が何度も変わって
IDやパスが複数の手に渡る掲示板は管理の面で不安かも・・・。
51名無し草:2008/01/30(水) 09:59:22
イメピタとかピクトとか場所があるのは分かってるけど、
イラストは普段投下がないのとお約束にイラストの項目が何もないから、
本スレにリンク貼ってうpしにくいっていうのはあるんじゃないかな。
普段のイラストが、需要有り無しが曖昧な気がしてたから、
もし需要があるならまだ先の話だけど
「イラストはURLを本スレに貼って投下」のような一文を次スレで添えた方が
うpはしやすいと思う。
>>25-30
扉一枚隔てた待合室から、久保田は複数の人間の声を聞いた。明らかに男と思われる声がする。
…光一の声以外にも。
「なんだか騒がしいわねぇ」
「…え…?」
ぼうっと鏡を見つめていた野梨子には聞こえていなかったようだ。
「…ん。外が騒がしいなと思って。」
この店は決して安っぽい造りではないが、防音の設備はない。よくよく耳を澄ませれば、断片的に会話が聞き取れる。
その内、『警察が怖くて有閑倶楽部やってられっか!』出し抜けに大きなその声は、こちらの部屋までよく響いた。
花嫁姿の少女が扉を振り替えるのを、久保田は目を細めて見ていた。
ドレスの裾を持ち上げて、扉に近づき手を掛ける。
「悠理…?」
話声は途絶えない。じっと会話に聞き入って、野梨子は小さく肩を震わせた。
その剥き出しの肩を、久保田の手が支える。

「…お迎えみたいね」
「久保田さん、私…」
扉の向こうの会話が途絶えた。
「出番よ。行ってきなさい」
ドアノブに手を掛けた手を押すと、あっけないくらい簡単にそれは開いた。
「…野梨子」
花嫁姿の自分を見て、みんなが息を飲むのがわかった。
「どうして…ここにいますの」
声が情けなく震える。そこにいる5人は、少し会わないだけなのに酷く懐かしい。
…再会の喜びはない。あるのは『恐れ』―…今にもその暖かい輪に飛び込んでしまいそうな『恐れ』、だった。
「迎えに来たんだよ」
美童が優しく微笑む。
「どうして!?私光一さんと…」
「もういいんだよ。全部解ったんだ」
「脅迫されたんだろ?言えよな、水くせぇ。」
「…!」
どうして、また唇が動いたけれど、声にはならなかった。魅録と悠理の顔を見ると、ふいに涙がせり上がってくるのを感じた。
「違います!!私、本当に光一さんが…」
「幸せな女の子は、大女優になるなんて言わないわ!」
「…!なんでそんなの、知って…」
「…もういいよ。野梨子、帰っておいでよ。大丈夫だから」
美童が両手を広げてくれた。泣いたらだめだと思った。絶対に行ったらいけないとも。
「野梨子」
一番聞きたくて、一番聞きたくない声がした。
「…僕に嘘つくとは生意気ですね」
あまりにも彼らしい言葉に、つい顔を上げてしまう。
―そして、見てしまった。涼しげな目元と、高く通った鼻筋。意地悪く笑った唇。 一粒涙が溢れると、それはもう止まらなかった。
返す言葉はいくらでもあるのに言い返せない。どうして泣いているのか、自分でもわけがわからなかった。
「野梨子」
清四郎が一歩こちらへ歩いた。すがりつきそうな私は、そこで我に帰った。 …だめだ。

「来ないで!」
清四郎から視線を外して、私は光一さんの傍へ走った。
「もう決めましたの。…光一さんと結婚しますわ」
光一さんは少し意外そうな顔で私を見たけれど、すぐにいつもの笑顔を浮かべた。
「良い子だね、野梨子」
「…帰って下さいな」
小さな声だったけれど、きちんと言えたと思う。
「帰りますよ。野梨子と一緒に」
「…どうして、わかってくれないんですの」
そんな風に、当たり前のように言わないでほしい。守りたいのに。大好きだから。守ることが幸せなのに。
「嫌ですの!皆が不幸になるのが。大丈夫ですから、お願い。帰って」
「あんた1人に押し付けて普通に暮らせるほど、神経図太くないわよ」
「あたいら覚悟は出来てるからさ。仲良く刑務所も悪くねーよ」
「いや…」
「清四郎のこと好きでしょ?僕たちのことも」
「違います!私は光一さんが…!」
清四郎が、真っ直ぐに私を見ている。怖くて、私は目をぎゅっと瞑った。
「この近くにさ、ダチのやってる居酒屋あんだ。そこで警察のお迎えくるまで、最期の晩餐」
「付き合えよ?主役なんだから」
悠理が白い歯を見せた。光一さんが私の顔見た。口元には余裕が見てとれる。
私は、そっと光一さんから離れた。
後ろにあるデスクには、整頓された裁縫道具が並んでいた。迷わず一番大きな裁ち鋏を手にとる。刃の銀色が鈍く光を放っていた。
「おい、野梨…!」
「来ないで!」
刃先は自分の喉に当てる。
「来たら死にますわ。私が死んだら意味がないでしょう?」
我ながら卑怯な作戦だと思った。大切に思われてることを逆手にとるなんて。
しかし腕力的にも状況的にも、一番操りやすい人質は自分だ。 固まる親友たちの顔を見渡す。
すると緊張の水面を、僅かに優しい風が撫でるのを感じた。固く冷たい水がふるえる。しあわせだ、と思った。少しだけ表情が緩む。

「来てくれてありがとう。―…本当は嬉しかったですわ。もう充分です。帰って下さいな」
動けば身を裂くような雰囲気だった。その渦中で、野梨子だけが微笑んでいる。
喉元に刃を向けて笑う花嫁は、どう見ても異常で―――しかし何故か例えようもなく美しく、触れてはいけない神聖さを感じさせた。
「…魅録、ナイフを」
「おい、何する気だよ」
「いいから」
清四郎は魅録の持っていたナイフを受け取り、一歩花嫁に近づく。
「清四郎っ!」
「…!…来ないでって…」
予想外の動きに、笑顔は一瞬で焦燥に溶けた。
「…野梨子が死んだら、僕も死にます。生まれた時から一緒だったんだ。どうせなら死ぬ時まで面倒見ますよ」
56【大女優は『幸あれ』と言った】:2008/01/31(木) 21:29:01
続きます。
57名無し草:2008/01/31(木) 22:08:36
>大女優
GJです!
ドキドキしながら読みました。
野梨子の心の揺れがせつなくて涙でそうです。
最後の清四郎の言葉にまた感動しました。
続き楽しみに待ってます。
58名無し草:2008/01/31(木) 22:23:49
こんな素敵なスレがあったなんて
野梨子×清四郎 萌え〜
59名無し草:2008/01/31(木) 23:21:10
>大女優

野梨子の心の葛藤が痛いほど伝わってきて、思わず泣きそうになってしまいました。野梨子にも清四郎にも有閑倶楽部のみんなにも、そして光一にも幸せになってほしい、そう願わずにはいられません。
続き楽しみにしています。
60名無し草:2008/01/31(木) 23:40:18
>大女優
乙です


個人的な意見で荒らす気なんて全然ないけど(前スレの古参様にならってみたww)
以前の前置きや簡単な挨拶や簡単な謝辞が好きでした
なくなったのは正直残念です
でも空気読んでのことですよね
あれくらいのことで馴れ合いって言う古参さまがどれほどえらいのか知りませんけど
空気読まれる大女優〜の方は謙虚で控えめで本当にいい方ですね
続きが楽しみです

61sage:2008/02/01(金) 01:32:10
>大女優
GJです!
この後清四郎と野梨子はどうなるのか?
わくわくしてます
62名無し草:2008/02/02(土) 08:48:04
誰もいなさそうなんで呟かせてください。
今、嵐さんとこで「檻」読み返してきたんだけど、
おもしろすぎる!
作者様、どうかもし続きを書く気になられたら
帰ってきてください。
63名無し草:2008/02/02(土) 10:25:43
>大女優
うp乙です。

やっとみんなと会えましたね。
みんな辛そうだったから、野梨子とみんなが会えるまで長く感じました。
すごくいい所で終わったので、読んだばかりだけどもう先が読みたいですw
64名無し草:2008/02/02(土) 22:48:05
大女優の人へ!
続きを書いてもいいですか!?
11時までにお返事がなければ書きますね(*^^)
65名無し草:2008/02/02(土) 22:58:35
こらこらやめなさい


釣りだろうけど一応
66名無し草:2008/02/02(土) 23:19:09
☆大女優の続き☆
それで20分後、清四郎たちは店の外にでたー野梨子は何を言っても、だめで、警察に外に出されてしまったのである。
「どうする!?外に出されちゃったよ!!」

「でも野梨子守るのが幸せだって」
「幸せを壊すのはよくないね」
「帰ってあげたほうがいいのかな!??」
「わかった!!野梨子も光一が好きになったのよ!!!」
「えっ!!!」
「まじで好きになっちゃったのよ!!」
「清四郎、どんまい」

清四郎は下を向いてため息をついたのでだった。

「元気だせよッ」
悠里が清四郎にキスした!!
みんなが驚いていた。
「あたい前から清四郎が好きだった!!あたいと付き合え!!」
「悠里・・・・」
(そんなことされたら好きになってしまいますよーーー)「ひゅーひゅー!」
魅録たちが冷やかした。

「野梨子ありがとう。幸せになりますよ!」

あとで野梨子に学校で始業式で会ったとき、結婚式の招待状をくれた。
心から祝福できたのは悠里のおかげですよーと、清四郎は思った。

清四郎×悠里にしちゃいました><
嫌な人はスルーしてください!
次は結婚式の様子を書いて下さい(^^)
67名無し草:2008/02/02(土) 23:38:39
大女優の作家さん、釣りが沸いてますが相手にせず前回の続き書いてくださいね。
住人のみなさんも釣り師は空気と思って、テンプレにあるようにスルーでお願いします。
68名無し草:2008/02/03(日) 00:17:41
>66
凄く気分がた落ち。悠理の字違うし。好きならせめて字
くらいきちんとしろよ!ば〜〜〜か

大女優の作家さんこれからも応援しています♪
「野梨子が死んだら僕も死にます」
にまじでずきゅーんとしました。
69名無し草:2008/02/03(日) 00:25:16
自演乙
70名無し草:2008/02/03(日) 00:44:43
66=68
71名無し草:2008/02/03(日) 17:31:55
>>大女優
GJです!
有閑倶楽部の一人一人が野梨子にかける言葉が本当にそのキャラらしくてとても素直に心に入ってきました。続き楽しみに待ってます
72名無し草:2008/02/03(日) 22:32:07
誰かいますか?
萌えたい
73名無し草:2008/02/03(日) 22:46:14
萌え語りしてくれればいいよ
のっかるから
74名無し草:2008/02/03(日) 22:53:35
どんどん萌えてください!私ものりますから。
75名無し草:2008/02/03(日) 23:02:51
んー。じゃあこの前の妄想を文字に。

有りがちだが女の子3人人格入れ替わりで、
悠理の見た目で中身は野梨子、
可憐の見た目で悠理、
野梨子の見た目で可憐になったら面白そうだな、と。

最初は戸惑ってても
(ん?でも野梨子の見た目って結構楽しそうかも)
で俄然乗り気になる可憐さん、野梨子の見た目でフェロモン放出、男子生徒どぎまぎ。

野梨子が入った悠理は急にしとやか→もとが超絶美人でこれまた男子生徒どぎまぎw
「…なんかお前今日おかしくねぇ?具合悪いのか?家まで送ってやるよ」
魅録の心使いを断りきれずバイクに乗せてもらうが、
中身は野梨子なので普通に怖い。
…でも悠理が「怖いからゆっくり」とか言うわけないから我慢するしかなくて、無意識に魅録にぎゅっときつく抱きつく。
→「はっ!?」魅録くん心拍数上昇

悠理In可憐は「お願いだから学校行かないで(あたしの外見でお弁当3つ食べたりパンツまる見えでキックとかやだから!)」
とか言われ家で待機…?
初めて感じる胸の重みに自分がどぎまぎw…とか
76名無し草:2008/02/03(日) 23:08:10
男性陣が入れ替わっても面白そう。
難しい本を読みふける美童、
いきなりナンパ男になってマジモテしまくる魅録、
ちょっと乱暴な言葉遣いでバイクにまたがる、ラフな髪型の清四郎。
77名無し草:2008/02/03(日) 23:18:26
せ、清四郎笑えるー
女性陣も男性陣もおもしろそう!
78名無し草:2008/02/03(日) 23:29:18
「…なぁ、英語の山田って、剣菱さんのこと目の敵にしてるの知ってるか?」
「あぁ、聞いたことはある。難しい問題わざと当てたりするんだろ?陰険だよな」
「そうなんだ。けど、今日も英語あったんだけど…今回一番の難問、案の定剣菱が当たったんだ」
「うわぁかわいそ」
「でも剣菱さん、即答で正解してさ!びっくりした。だってT大入試レベルだぜ?」
「まじかよ!当てられるのわかってたから予習してきたとか?」
「いや、予習うんぬんでできる問題じゃなかったんだよ。…もしかしたら剣菱さん、すごく頭いいのかも」
「そういえば最近、雰囲気変わったよな?大人しくなったっつーか、上品ってゆーか…」
「お前もそう思う?そうなんだよ。いつもじゃじゃ馬だったけど、よく見るとすっげー美人だしさ…」

みたいな会話が繰り広げられたり

「白鹿さんも雰囲気変わったよな!なんかこう…色気…?」
「そう!この前ラブレター数えてたぞ!読まずに捨てるって噂は嘘かも!」
「出すなら今、かな…」

…とかな
79名無し草:2008/02/04(月) 01:04:54
>>76
その魅録は見てみたい!
ワイルドな外見で女性には優しかったら、さぞかしモテるだろうな。

悠理は野生の勘で入れ替わりに気付きそうだし、野梨子は硬派な魅録の方が
好きそう。その一方で、今まで男として全く意識してなかったのに、幻惑されて
しまう可憐・・・

そして清四郎は新たな男性ファンを獲得しそうだw
80名無し草:2008/02/04(月) 01:29:45
長い髪は落ち着きませんね。チョキン
黒くしないだけ感謝してくださいね。
81名無し草:2008/02/04(月) 01:31:21
ちょw 清四郎ヒドスww
美童カワイソスwww
82名無し草:2008/02/04(月) 01:35:25
>>80
つまり、金髪のスダレ頭になる訳だなw

>>79
見た目・清四郎で中身・魅録と、見た目・美童で中身・清四郎は、
どっちが男にモテるんだろう?ww
83名無し草:2008/02/04(月) 01:40:20
見た目清四郎中身魅録に一票。


魅録は清四郎っぽくすだれにセットしようとしてうまく出来なくてイライラして、
結局ナチュラルに崩したりしてホスィ
84名無し草:2008/02/04(月) 01:43:15
その清四郎は激しくディオールオムなんかが似合いそうだな。
しかし原作は何故あんなにダサいんだろう。
御大、もっとスタイリッシュにトラッドな服着せてくれればいいのに。

退廃的なアバンギャルドなのは清四郎
もっとラフでストリートよりなのは魅録が合いそうで、
美童はギラギラしたいかにもなトレンドもしくは
やっぱりレースの王子様衣装が似合いそう。
85名無し草:2008/02/04(月) 01:46:33
レースの王子様が似合うのは美童しかいないかとw
86名無し草:2008/02/04(月) 01:47:28
最近菊正宗様の髪型が自然ですわね。
乱れのない隙のない髪型も素敵ですけど、今の髪型も色っぽくていい新たな一面を見ましたわ。
そういえば白鹿様も一寸毛先をカールされたりして、今までとは違いますわ。
お二人になにかあったのかしら・・・。
87名無し草:2008/02/04(月) 01:51:30
>86 イイ!!思わず便乗
美童さまも難しい本を読まれていましたわ。
ちょっと話しかけ辛い雰囲気になりましたけれど…知的でインテリな王子様なんて素敵ですわ。
88名無し草:2008/02/04(月) 02:13:10
チョキンと短く切られた髪を耳にかけて
オプションで黒のセルフレームの眼鏡をかけた美童が
窓際で読書してたら萌え死しにそう。

何となくだけどタキシードを着て欲しいブランド
美童→ヴェルサーチ
魅録→アルマーニ
清四郎→ディオールオム
89名無し草:2008/02/04(月) 08:05:48
前にどこかで見たことあるする?けど、女性陣だけ入れ替わって、中身可憐の野梨子が清四郎をお得意の色気で誘惑してドキドキな清四郎とかwww 「な、何か今日の野梨子は変ですね…」とか言って思わず赤くなって目をそらして、その様子を面白がってる中身可憐の野梨子。
90名無し草:2008/02/04(月) 09:13:49
ねえ、お気づきになりまして?
最近魅録さまの表情が、とても優しいんですの。
以前の尖った魅録さまも素敵でしたけれど、
最近なさる流し目がとても色っぽくて・・・あら、私ったらはしたない・・・。
91名無し草:2008/02/04(月) 10:14:37
「清四郎ーっ!何で髪切っちゃったんだよ!綺麗に伸ばしてたのに〜」
「邪魔だったんですよ」
「最悪だよ〜あ、携帯!はぁ…土曜の美香ちゃんとのデートも中止かな…となると日曜の麗華ちゃんも!?」
「魅録がすごい勢いで女にメール打ってる…なんか信じられない光景だな」
「ちょっと悠理!あたしに入ったからには寝る前にちゃんとスキンケアとシャイプアップ体操してよね!それからサプリが…」
「可憐!今日新聞部に『バレンタインは本命に手作りで〜す』なんて答えましたわね!噂になってますわよ。やめて下さいな」
「おーおー悠理が『〜ですわ』調で喋ってらぁ」
「清四郎もそんな喋り方しないぞ!」
「…あら清四郎、経済産業省についての本ですのね」
「えぇ。中々面白いですよ。野梨子も読みますか?」
「うわぁ…あたいと美童が小難しい話を…」
「どうすっかなー。族の集会。清四郎のまま行くのもなぁ」
92名無し草:2008/02/04(月) 10:29:53
>>91
ワロタwwww 上手すぎるw
93名無し草:2008/02/04(月) 16:02:45
「あ〜前髪うざったいなぁ。俺、おでこに髪かかってんのやなんだよな」
でも人の髪だし勝手に切れないと思っていた魅録。
しかし美童ご自慢の金髪を切ってしまった清四郎を見て自分もパンクな
髪に。
「み、魅録!なんですか、その髪形は!やめて下さいよ!」
「お互い様だろ。ピンクにしないだけ感謝しろよな」
なぜか清四郎の人気は女子、男子ともに↑
94名無し草:2008/02/04(月) 16:05:36
>でも人の髪だし勝手に切れないと思っていた魅録。

魅録は確かに、一度は遠慮しそうw
95名無し草:2008/02/04(月) 16:28:04
「はっはっ白鹿さんっ!!僕とデートしてくださいっ!」
男嫌いのオーラが薄れた野梨子に男子生徒殺到
「…何に連れて行って下さるのかしら」
「…えっ!!あ、あの…青山のフレンチなんてどうですか」
「青山でフレンチ…でも〇〇君はお買い物で好きな物を買って下さるのって言ってましたわね〜」
「え、え…じゃあ僕もショッピングにもお連れします」
「本当ですの?ありがとう(ニッコリ)」


「…可憐」
野梨子真っ青。

白鹿野梨子小悪魔伝説
96名無し草:2008/02/04(月) 16:42:52
「ちょっと!悠理!もしかして太ったんじゃないの!?
こらっ!逃げないで。スリーサイズ計らせなさい!」
(いやーっ!!やっぱ増えてる!)
「大丈夫だよ。いつもの半分も食ってねえぞ」

可憐涙目・・・
97名無し草:2008/02/04(月) 17:49:35
人格と一緒に知力・体力などの能力も入れ替わった場合。
フェロモンふりまいて女を落としまくり、さらに車の運転が激しく下手な魅録。敵をバタバタと倒し、ある時は真剣白羽取り、ある時はモルさんと互角に戦う美童。
銃で敵を撃ちまくり、プロ並にバイクや車を乗りこなし、背後にゾクを従えた清四郎。


うわぁ。
98名無し草:2008/02/04(月) 18:01:52
清四郎は特に違和感無いなw
99名無し草:2008/02/04(月) 18:41:34
>>97
>背後にゾクを従えた清四郎。
「悪いことしてると天罰がくだるよ、おっさん」のシーンで想像した。
ゾクっとした(ゾクだけに)。
100名無し草:2008/02/04(月) 19:49:36
>>97
>モルさんと互角に戦う美童。

モルさんにマジ惚れされるか、逆に好敵手扱いで恋愛対象から外れるか
後者だと、他に何をやられても文句言えなさそう
逆なら地獄だけど
101名無し草:2008/02/04(月) 20:08:11
>>97
軟派な魅録萌え〜と思ってたらそうだ、運転下手だったんだ。

デートしまくりな魅録(美童)に清四郎(魅録)が俺の
ファーストキスがっ!いや、それどころか童貞の危機だーっとか。
102名無し草:2008/02/04(月) 20:18:38
服装もそれぞれ入れ替わったらかなりウケるw
ヒラヒラフリルの魅録、キャラクター柄のシャツを着た可憐、えなりルックの美童・・・。
多分清四郎が一番サマになってる気がする・・・。
103名無し草:2008/02/04(月) 20:25:13
センスがよくてちょっとセクシーな野梨子、清楚なお嬢様ルックの
悠理。
一番かわいそうなのは(似合わなそうなのは)やっぱ魅録か?可憐か?
104名無し草:2008/02/04(月) 20:30:53
全員が入れ替わってる状態で事件に出くわしちゃったらどうするんだろう……
105名無し草:2008/02/04(月) 20:36:49
ひらひらレースの総長を見た手下の暴走族逹、唖然…
「そ、総長が頭ん中までピンクになっちまった…!」
「どうする!?もう俺ついてけね…ウワッ」
「馬鹿野郎!!今までの魅録さんのご恩を忘れたのか!
お頭の意向は俺らの意向、ダローガ(゚Д゚)!!」
「そ、そうだった…」
「…俺は総長に従うよ。それでも着いていけるやつだけ残りな」
「副長ッ…(ノД`。)」



後日、暴走族の間でレース付きの特効服が主流となっていくのであった。
106名無し草:2008/02/04(月) 20:38:32
>>105
ちょwwwwwww
107名無し草:2008/02/04(月) 22:19:34
>103
色気が必要になる場合が大変かと。可憐の見た目が一番相応しいけど中身悠理だし(笑)
おやじに接触とか虫酸が走って蹴り倒しそうw

やっぱ中身可憐の野梨子が行くしかないか?
それを真っ赤になって見送る悠理(野梨子)

男性陣は武道に精通した美童は相当にかっこいいかと。動くたびに揺れる金髪w
…ただぎゃーぎゃー喚く魅録は見たくないな(笑)
108名無し草:2008/02/04(月) 22:22:01
魅録さんはきっと下妻物語の桃子のファンになったんだよ
「〜のです」とかそういう喋りにしようぜ

・・・そして元に戻った魅録とおはなし。
なんでこいつら野梨子口調なんだ?と困惑する魅録なのでした。
109名無し草:2008/02/04(月) 22:27:40
>やっぱ中身可憐の野梨子が行くしかないか
いつものように胸の谷間を武器にしようとして
両手でムギュっと挟んでもできない谷間にイラつく可憐さん
110名無し草:2008/02/04(月) 22:28:30
数年ぶりに関東に大雪が降った翌朝、清四郎と野梨子はいつものように
歩いて学校へ。
「きゃあっ!」滑りかけた野梨子を清四郎が抱きとめる。
(んもうっ!ほんっとに野梨子の体って反射神経が鈍いんだから!)
ふと足元を見ると雪に埋もれて靴がびしょ濡れに。
「いやあぁん、もぉぉっ!」
(休んだらあのこになに言われるかわかんないしね、やんなっちゃう)

ふと清四郎を見ると顔が真っ赤になっている。
(やべぇ、俺、今顔赤くなってねぇ?野梨子が色っぽい声だすから!
 い、いや可憐だけど。俺は野梨子にドキドキしてんのか?可憐にか?
 とにかく可憐な野梨子は心臓に悪いぜ)

111名無し草:2008/02/04(月) 22:30:09
そうか…魅録さんはロリータになるのか…。

お前ら!!総長だけをロリータにさせるな!!
メンバー全員総ロリータだ!
特効服にはお花と苺とレースとリボンを忘れるなよ!!

…なんか ゴメソ
112名無し草:2008/02/04(月) 22:31:42
GJ!萌えた。
バイクの後ろに乗せて登校でもイイかも!
113名無し草:2008/02/04(月) 22:32:35
ごめん。途中で書き込んじゃった。

ふう〜ん?おもしろいじゃない?清四郎で遊べる日がきたのね!
(魅録だけど) 
114名無し草:2008/02/04(月) 22:32:37
野梨子は意外とCカップくらいがいいな。
身長が低いし華奢だから脱げばボーンと見える気がする。
でも普段は着痩せ。
115名無し草:2008/02/04(月) 22:34:20
悠理がやる「魅録ちゃん愛してる」や「こわかったよぉ」みたいな
動物的反応を可憐や野梨子の体でやると、見てるほうはdkdkするかも
116名無し草:2008/02/04(月) 23:00:20
悠理(中身・野梨子)が階段から落ちそうになって、それを美童(中身・清四郎)が抱きとめて支えて、
美童「大丈夫ですか…?」
悠理「えぇ……」
とかやってるのを見た女学生は萌え死にすると思う。「まるで王子様と姫ですわ!」「お二人の周りに薔薇が見えますわ!」とかww
117名無し草:2008/02/05(火) 11:24:47
>>109
ワロタw
人の体とはいえ谷間ができないことが許せない可憐さん。
通販のバストアップグッズを買ってトレーニングしようとしたけど
非力すぎて1回もできない。
「もう、このこは男に大きくしてもらうしかないわねw」
   ゴメン・・・
>>52-55
「…は…!?」
魅録の口から思わず声が漏れた。彼女と同じように、清四郎は自分の首にナイフを当てる。
首筋から赤い血がつぅっと流れた。ナイフの眩い銀色に、鮮やかな紅が筋をひく。

「何、を…やめて!…清四郎、」
幼なじみの傷はもちろん、致命傷になるような深いものではない。しかし野梨子に軽いパニックを起こさせるには充分であったらしい。長い睫毛が震え、涙が再び零れ落ちる。
彼女の動揺を見てとって、また、一歩進んだ。同じように野梨子も下がるが、歩幅の違いで二人は近づく。
清四郎はそのままゆっくりと、透明な、繊細な糸を辿るようにそっと歩を進めてゆく。

「僕を刺しても良いですよ。避けないで刺されてあげます」
いやいやと野梨子は首をふった。後退る。が、背中に壁がぶつかった。
真っ直ぐな視線に射ぬかれて動けない。涙を拭くことさえできなかった。距離がまた、縮まる。
「この人との未来に、僕が邪魔でしょう?ほら、野梨子」
「来ないで来ないで、お願い!いやぁ!」
野梨子は半狂乱に見えた。次の一歩で、清四郎は壁に手をつける距離まで辿り着いた。
ダン、とナイフを持つ手を壁につき、野梨子の逃げ道を塞いだ。至近距離、涙を流す瞳は明らかに怯えている。
「刺さないんですか?」
彼女の、ハサミを握る手を包み込んで自らの腹に当てる。その手は震えるだけだった。返事さえもできない野梨子を見かねたように、清四郎は自分の手に力を込めた。
刃が服を通過して、生身の体にちくりと当たった。さらに力を込めると、初めて自分の中の小さな手が本人の意思によって動いた。
「い、や………」
地に響く音がした。小さな白い手から、それに不似合いな鋏がこぼれる。それを追うように、今度はそれより少し軽い音がして―――清四郎のナイフも床に落ちる。

「…刺せるわけありませんよね。野梨子は僕が大好きですから」
清四郎が笑った。暖かい胸、力強い腕が野梨子を包みこむ。また、長い睫毛が震える。
この暖かさを、ずっと、ずっと…

「行きますよ、野梨子」
「…でも…」
「な、あたいらさ、」
そこに悠理の声がした。
「野梨子が帰って来なかったら、ここから直接警察行くんだ。自首ってやつ」
「もし帰ってきたら、魅録の友達のとこで最期の晩餐なんだけど」
「…あたし最後に飲みたいわぁ。次いつ飲めるかわかんないしっ」
可憐の瞳は濡れていた。
「ダチも店貸し切りにして待ってるからさ」
「…でも、」
「うあー!!まどろっこしい!!」
悠理が駆け寄ってきて、清四郎の腕の中から野梨子を奪う。
そして軽々と抱き上げると「行くぞ!!いいな!」そう言って歩き出した。
姫を奪われた清四郎は、呆れたように笑う。目を見開いていた野梨子も、涙を流しながら笑った。そしてついに白い手袋をした細い腕も悠理の首に回った。

「…待てよ」
地を這うように低い声。
普段の光一の声は明るく、その口調も軽快だ。だが今聞いたそれは低くて冷たい。
「ふざけんなよ…そんなのありえねぇよ…お前らみんな何考えて…」
「…お前には一生、縁のないことだよ」
豹変に臆することもなく、魅録も言い放つ。

「本当に行くのかよ…野梨子!お前の周りぐちゃぐちゃになるぞ!!」
「構わないわよ!勝手にマスコミでも警察でも行けば!?」
可憐が言い捨てると、光一はふらりと側の机に手をついた。
もう片方の手で髪を掻きむしり、表情は色を失っていく。
「嘘だ…嘘だ、野梨子はどこにも行かない。」
だって、こんなに好きなのに…声にならないのに、何故かそれは全員に聞こえた。
「…悠理」
声に、悠理はそっと腕の中の少女を降ろした。
心配そうな眼差しに気付いて、花嫁はふわりと優しい視線を悠理に送った。光一の前まで歩いていく。
広がった裾が、まるで白波のようだった。
「光一さん」
「野梨子…どこにも行かないで」
すがるような目に、少しだけ胸が傷んだ。しかし視線は外さない。それが精一杯の誠意だ。
「ごめんなさい、私やっぱり…」
「…」
こんなに悲しい瞳を野梨子は今まで見たことがない。捨てられた仔犬より、その目は不安げで悲しかった。
ゆっくりと左手の薬指から、美しい指輪を外して机に置く。終わりにしては小さすぎる音。また、胸がちくりと傷んだ。
「さようなら。…お元気で」
深く礼をして振り返る。清四郎が待っている。可憐が、魅録が、美童が、悠理が。 大好きな人たちの輪に飛び込もうとした、その瞬間、だった。
「嘘…だろ、野梨子、…行か、ないで…」
重い何かが倒れる音がした。 音の方に目を向けると、光一が頭を抱えて床に崩れている。

「…光一さん!!」
皮肉な事に一番に駆け寄ったのは、別れを告げたばかりの花嫁だった。

***
救急車を呼ぶ間、メンバーはスタッフを解放した。
どうやらオーナーと久保田は友人らしい。その初老とも言える女性デザイナーは久保田の「ごめんなさいね、後で説明するわ」の言葉に頷いてくれた。
「…何があったか知らないけれど」
女性は拘束を解いた悠理に言った。
「幸運を祈るわ」
「…ありがとう、おばちゃん」
救急車が着くと、野梨子は光一と供に乗り込んで行ってしまった。救急隊員たちはウェディングドレス姿の同乗者に驚いた顔をしたが、すぐに赤いランプを光らせてそこから走り去って行った。
「…乗って」
清四郎たちも病院に向かった。野梨子と光一が行きに乗ってきた車。
助手席に久保田、運転手は初対面の若者たちに少しも動揺しなかった。

「なぁ久保田さん。…あいつ…光一って奴、どっか悪いのか」
「…あの子は…」
久保田が唇を噛み締める。
「あの子は、脳腫瘍なの…」
「脳腫瘍って…?そんなに悪い病気なのか?」
その質問には清四郎が答えた。
「…一慨には言えませんが…悪性腫瘍だとかなり厄介ですね」
見つかったのは半月前、光一が野梨子に初めて接触した頃だったらしい。割れるような頭の痛みを、薬でごまかすしかなかった。
「だって、手術は?」
「…最悪の場合…たとえば悪性グリオーマ等はいかなる手段を講じても、その平均余命は1年程度といわれています。
諸外国では悪性腫瘍という診断がついた時点で積極的治療を断念するのが主流ですし。まぁ、考え方や医療制度の関係もありますが」
「そんな…後、どれくらい…」
「長くて半年、短くて3ヶ月って」
先が短い。それを知ったからこそ、光一は野梨子を無理やりにでも傍に置いた。
「母親は蒸発、虐待されて、…父親は目の前で死んで、友達もいなくって…病気…」
「…不幸のフルコースみたいな奴だな」
あまりにも辛い生い立ちだった。だから、最後だけは愛する人に傍にいて欲しかった。
「…」
清四郎は何も言わない。
病室…―そこは、白の空間だった。真っ白な壁、真っ白なベッドの側に真っ白な花嫁。握る手はやはり、白くて細い。
その手がぴくりと動いた。青年が目を開く。
「…野梨子…」
「光一さん!…よかった。すぐに先生を…」
「ううん、いい。お願いだからここにいて」
「…」
表情は柔らかみを取り戻していた。立ち上がりかけた花嫁が再び腰を降ろす。
「…びっくりしたよね。あの子たち、来るなんてさ」
「…えぇ」
「本当にさ…いい友達だよね。野梨子が守りたいのもわかるよ」
「…」
「…………ごめんね」
野梨子はうつむき、黙って首を降った。ベッドから手を伸ばして、その髪に触れる。
「野梨子、帰りたい?」
「―…」

扉が開く音がした。
「…返してもらいますよ」
振り向くと、メンバーと久保田。
「お前が辛かったのはわかるよ。けど、だからって野梨子を奪い取るのは違うだろ」
「あんたが野梨子が大事なように、あたしたちも野梨子が大切なの」
「帰るよ。野梨子」
「…みんな…」
「僕らに関する情報は、好きにして頂いて構いません。さぁ、野梨子」
清四郎に支えられて、野梨子が立ち上がる。その時、ベッドから声がした。

「…最後にひとつだけ、僕のこと信じてみない?」

<続く>
124名無し草:2008/02/05(火) 22:16:26
>大女優
GJです!
緊迫した場面がまさに目に浮かぶようでした。
やっと清四郎の腕の中に野梨子が帰ってきたと思ったら、
光一が・・・
これからの展開を楽しみに待っています。
最後は最初のようなラブラブな二人が見られたらいいな。
125名無し草:2008/02/05(火) 22:35:10
>大女優〜
うわぁ また気になる一言を残して・・・
光一病気だったのか 不幸のフルコースだね本当。
確かに同情はするが野梨子は渡せないし・・・
どうなっていくのかホント楽しみにしてます。

126名無し草:2008/02/07(木) 12:15:19
>大女優

GJです!
「野梨子は僕のことが大好きですから」←清四郎の自信家ww でもとても素敵なセリフでした。
次回も楽しみにしています。
127名無し草:2008/02/07(木) 15:43:20
>大女優
今回も素晴らしかったです!
これからの展開、ホントに楽しみにしています。

>>117
ステキです笑
入れ替わりネタずいぶん盛り上がってますよね〜!
どなたかひとつ、このネタで小説書いていただけませんか?
(他力本願ですみません・・・自分の文才がないもので)
128名無し草:2008/02/07(木) 19:04:21
いっそリレーはどうか。
129名無し草:2008/02/07(木) 19:52:46
リレーいいですね。
入れ替わりは、女性陣は
中身野梨子の悠理。
中身可憐の野梨子。
中身悠理の可憐。
男性陣は、
中身魅録の清四郎。
中身美童の魅録。
中身清四郎の美童。
でオケーなんですか?
個人的にはまたシャッフルしてみるのも面白いかなとは思いますが。
もしリレーにするなら、小説にする時わかりやすくセリフの「」の前に発言者の名前を入れた方がいいですよね。
130名無し草:2008/02/07(木) 19:59:19
>もしリレーにするなら、小説にする時わかりやすく
>セリフの「」の前に発言者の名前を入れた方がいいですよね。

その辺は書き手にまかせていいんじゃないのかな。
131名無し草:2008/02/07(木) 22:02:32
話はかけないけど妄想
悠理(野梨子)に清四郎(本物)が
「姿がかわっても野梨子の事を愛しています。結婚しましょう。」とプロポーズ。

セイシロウハ ノリコト ケンビシザイバツヲ テニレタ!フム! 完
132名無し草:2008/02/07(木) 22:03:50
>>131
それ最強だなw
133131:2008/02/07(木) 22:04:56
間違えてしまったのでお詫びして訂正させていただきますわ。
テニレタ → テニイレタ
134名無し草:2008/02/07(木) 22:05:05
>>131
百合子さんも、金髪碧眼でフリルやレースが似合う息子ができるしねww
135名無し草:2008/02/07(木) 22:10:17
野梨子が悠理になったら
自分で剣菱財閥を動かしてしまいそうな気もw
「経営も楽しいですわね^^」と言って、百合子さんの良き片腕に。
可憐が野梨子なら、茶道界を革命。
悠理が可憐なら、個性的なセンスを活かして、アキの看板デザイナー。
136名無し草:2008/02/08(金) 00:43:50
きもい
リレーの冒頭書いてみました。
有閑メンバーの人格が入れ替わっていることについて何も知らない裕也君が金沢から帰ってきてしまう・・・・・・という設定です。
できるだけコメディーな方向で、どんどんリレーを続けていってもらえると嬉しいです。
_____________________________________________________________________________________________________________________________________

電車のドアが閉まる。
自分を降ろして過ぎ去る電車を後ろに見送り、裕也は辺りを見回した。
「・・・東京に戻ってくるのは久しぶりだな。・・・みんな元気かな」
今日、裕也が東京に戻ってくることは誰も知らない。
彼自身も一週間限りの期間限定の里?帰りである。
しばらく懐かしそうに目を細めた後、裕也はふと何かを思いついた。
「そうだ、魅録には電話しとくか・・・・・・」
携帯電話を取り出す。
しかしもう一度ポケットに戻した。
「(やっぱり電話はやめるか。突然押しかけてびっくりさせたいし)」
にっと笑顔を浮かべた後、裕也はそのまま東京の街に姿を消した。
ところ変わって聖プレジデント学園生徒会室。
またの名を『有閑倶楽部』の部室では大変な騒ぎが起きていた。
「・・・・・・そ、それじゃあこの体質治らないの!?」
野梨子は叫んだ。
しかし野梨子らしからね口ぶりである。
それもそのはず。
中身(人格)は可憐なのである。
「まだ治るか治らないかはわかりませんよ。ただ、今までにこういった先例がないから治療法がわからないんです」
珍しく丁寧な口調で美童が言った。
こちらは中身は清四郎である。
「ったく全員一緒に階段から転落したら人格総入れ替えだもんな。意味わかんねーよ」
美童とは逆にさばさばした話し方で話すのは清四郎である。
もちろん中身は魅録である。
「悠理がいけないんだよ。あんなところで走るから!」
魅録が言った。
もちろん中身は美童である。
「しょうがないじゃないかあ。急がなきゃたこ焼き売り切れるかもしれなかったんだい」
むすっと顔を膨らませて可憐が言った。
言わずもがな、中身は悠理である。
「本当にいい迷惑ですわ。たこ焼きくらいいつでも食べられたでしょう」
お茶をすすりながら悠理がつぶやいた。
中身は野梨子である。
中身が野梨子であることを考えれば悠理のお嬢様言葉は仕方ないのだが、悠理の「ですわ」口調はあまりにもおかしい。
いや、むしろ気味が悪い。
「・・・・・・とにかく、この入れ替わり体質が治らない限りは、各自、その人物の「ふり」をして過ごすしかないようですね」
「えぇ!?困るよ!だって僕これからデートなのに!」
魅録が叫んだ。
すると美童はにや、と微笑んだ。
「安心してください。僕がちゃんと美童の「ふり」して行ってあげますから」
「やめてよー!清四郎なんかに女の子の扱い方がわかるもんか!」
美童は一瞬眉をひくっとさせたが、すぐに口元に余裕の笑みをつくって、
「そういえば今日は族の集会でしたよねぇ魅録」
「おう」
「頑張ってくださいね、美童」
と言い放った。
「ぞ、族!?僕やくざとか暴走族とか苦手なのに〜!女の子とのデートのはずが、族とのデートになるなんてあんまりだぁ!」
魅録は泣き喚いている。
「美童・・・・・・お願いだから俺の外見でそんなにヘタレな声出さないでくれ・・・・・・」
清四郎は頭を抱えてため息をついた。
「あ、そうだ野梨子。あたいこれから数学の追試なんだ。よろしくな!」
「え?」
「ずるいわよ悠理!テストを野梨子に受けさせるなんて!」
「そうですわよ!私が受けたら意味がないじゃありませんの!」
「いいじゃんいいじゃん。どうせ中身は野梨子でも外見はあたいなんだしさ」
「(くっ・・・・・・)」
さすがに反論できない2人。
「悠理って悪知恵働くわよね・・・・・・」
「同感ですわ・・・・・・」
悠理と野梨子は顔を見合わせる。
そしてこちらもため息をついた。

ちょうどその頃。
入れ替わりなど何も知らない裕也君は、魅録の家の呼び鈴を押していたのであった。
つまらない文章ですみません・・・・・・。
レスを長くしてしまいましたが、短いレスでも全然OKなので、どなたか続きをよろしくお願いします!
ちなみに魅録の家にはすでに魅録(中身美童)が帰宅しているということでお願いします。
141名無し草:2008/02/08(金) 19:05:14
おっ、始まりましたね>リレー
>>140
乙です!
自分には文才がないので、どなたか続きをば・・・
142訂正:2008/02/09(土) 10:42:23
>>140で「裕也が魅録の家を訪ねていったとき、魅録はすでに帰宅していると言う設定で」と書きましたが、魅録がその時間に帰宅しているというのはおかしいので、まだ帰ってきていないということで訂正お願いします。


「はい・・・・・・あらぁ、裕也君?」
松竹梅家から出てきたのは珍しく日本に帰ってきていた千秋さんだった。
「魅録のお姉さ・・・じゃなくてお母さん」
「魅録はまだ帰ってきてないわよ」
「あ、じゃあまた少ししたら来ます」
裕也は軽く会釈して松竹梅家をあとにした。
その後ろ姿を見送りながら
「(野梨子ちゃんにはもう会ったのかしら)」
と口元をほころばせる千秋さんなのだった。

その頃、野梨子と清四郎は「いつものように」2人並んで帰宅していた。
「何かおもしろいわよねー、魅録と2人きりで帰るなんて」
くすくす、と笑って野梨子は右斜め上の清四郎を見上げた。
中身可憐の野梨子の上目使いの笑顔はとてもなまめかしい美しさを持っていた。
清四郎は思わず顔を赤らめて、
「まぁ、いつもは帰る方向違うしな」
と照れ隠しなのか少しぶっきらぼうに言った。
「・・・はぁん、魅録ったら照れてるでしょ」
野梨子は肘で清四郎を小突いた。
「ば・・・っ照れてねーよ!」
「本当に〜?」
ちょっかいを出して清四郎をいじめる野梨子。
いつもならなかなかお目にかかれない光景である。
「・・・・・・あら?ねぇ魅録・・・・・・」
「ん?」
「あれ・・・刈穂裕也じゃない?」
ふと野梨子は道の向こうを指差して言った。
「裕也ぁ?まさか・・・・・・」
と、野梨子の指差す方に目をやる。
するとそこには、こちらに向かって歩いてくる、友達・刈穂裕也の姿があった。
裕也はやや下向き加減で歩いているので、2人には気が付いていないようだ。
「裕也だ・・・・・・」
裕也の姿を発見するやいなや、清四郎は裕也に駆け寄った。
「あ、魅録、ちょっと・・・・・・」
「裕也!久しぶりだなぁどうしたんだよ。金沢から帰ってきたのか!?」
「!?」
裕也は目を白黒させている。
「いつ帰ってきたんだよ!せめて俺にくらい連絡しろよー・・・・・・」
と言いかけたところで清四郎は野梨子に腕を引っ張られた。
(?何だよ可憐・・・)
会話は小声で行われている。
(魅録!今魅録は清四郎なのよ。裕也さんが相当混乱してるじゃない)
(あ……)
確かに。
清四郎は慌てて真面目な顔になった。
「(コホン)し、失礼裕也・・・くん。さ、再会の喜びに不覚ながら声を荒げてしまって」
魅録的に精一杯の清四郎の「ふり」である。
「ひ、久しぶりですわね裕也さぁん。」
こちらも可憐的に精一杯の野梨子の「ふり」である。
「き、今日はお会いできて嬉しかったわですわぁ。ま、また明日、ごめん遊ばせぇ〜」
そして2人は引きつった笑みを浮かべながら、そそくさとその場を去ったのであった。
なんかあいつ変わったな。
あんな男に媚びた喋りするやつだったか?
清四郎と付き合いはじめたのか。
まぁ当然か。あいつにはああいう男のほうが相応しい。

と激しく落ち込む裕也君。
それにあの清四郎の方も変わった気がするな・・・。
何であんなに俺に友好的なんだ!?
前に会った時はあんなんじゃなかったぞ!いや、むしろ嫌われてるかと思ってたし・・・。
っていうか何で呼び捨てなんだ!?
俺あの男と話したことそんなにないぞ!?
「う〜〜ん・・・・・・」
これは夢か?
裕也は試しに頬をつねってみた。
もちろん、痛い。
「魅録に相談してみるか・・・・・・」
頭をひねりながら、裕也君は再び松竹梅家へ足を進め始めた。
しかしこの出来事はこれから始まる裕也君の奇妙な一週間の始まりにすぎなかったのであった。
少し野×清風味です。
苦手な方はスルーお願いします。
一方。
本物の野梨子と清四郎・・・・・・もとい、悠理と美童は学園の図書室にいた。
「野梨子、いつ頃帰りますか?」
美童は本を読みながら本から目を離さずに言った。
「私はそろそろ帰りますわ。清四郎は?」
「じゃあ僕も帰りますよ」
美童は本をぱたん、と閉じた。
「あら、悪いですわ。まだ本読み終わってないでしょう?」
「まぁ・・・。でもまた帰ってから読めばいいことですから」
「ふふ、美童が本を読んでいたら家族の方はきっとびっくりなさいますわね」
「それをいうなら悠理もですよ」
幼なじみ達はちゃっかり失礼なことを言い合う。
「それに悠理の家は美童の家とはほとんど正反対ですわ。私はひとりで帰れますから、心配しなくても大丈夫ですわよ」
悠理は口に手を当ててくすくす笑った。
「いいえ、心配です」
と、美童は座っていた椅子から立ち上がり、鞄を持って、図書室の出口の方へ歩き始めた。
「外見は悠理でも中身は野梨子ですからね。もう外も暗いですし、送っていきますよ」
「!あら・・・それは私が危なっかしいと言いたいんですの?」
「まぁそれもありますけど」
美童は悠理に優しく微笑んだ。
その微笑みがすべてを物語っていた。
「・・・・・・それじゃあお願いしますわ」
悠理は嬉しそうに笑い、そして自分も鞄を持って美童の隣へ駆けていった。
翌日、2人の下校風景を見た者によって、「悠理さま美童さまご交際疑惑」が浮上したことは言うまでもない。
149名無し草:2008/02/09(土) 23:52:45
>裕也君の〜
リレー乙です!!
学園内はかなり混乱だよねw
いつもと違ってなれなれしい?清四郎と野梨子
図書室から出てくる美童と悠理
次はへたれな魅録とガツガツ食う可憐?
150名無し草:2008/02/10(日) 00:06:41
剣菱家に帰った悠理…もちろん野梨子は圧倒されていた。
あまりに多い夕食の量。知っていたとはいえ、ある意味自分の家とは対極を成す派手な内装。

しかし驚いたのは野梨子だけではない。
母の百合子が歓声を上げた。「まぁ、悠理…!」
普段と違い、部屋着に着替えた悠理はしとやかだった。悠理のクローゼットの中では一番地味な水色の可愛らしいシャツとスカート。

次々と出てくる食べ物の山に、野梨子も悠理であろうと出来るだけ口に運んだ。
しかしなんと言っても元から食の細い野梨子である。ご飯2膳で限界はすぐにやってきた。

「ごちそうさまでした」
「なんだがや、悠理。普段の10分の1食ってねぇだがや」
「すみません…お腹が一杯ですの」
「どうしたんだよ、野梨子ちゃんみたいなしゃべり方して」
兄の豊作の言葉にどきっとする。
「えっ!!??え、いえ、その…野梨子みたいな喋り方、は、流行ってるんで…だよ。うふふ…」
「…大丈夫か、悠理」
「ぜ、全然平気!じゃ、宿題あるから!」
豊作と万作の視線に耐えきれず、野梨子はせかせかと悠理の部屋に戻った。
「父さん…今…」
「んだ。…宿題って言っただがや」
ぽかんとする男二人に、百合子は言い切った。
151名無し草:2008/02/10(日) 00:12:19
「恋ね」
「はっ!?」
「急に女の子らしくなって、食欲が減って…恋煩いに違いないわ」
「そうかなぁ…僕は違う気がするけど」
長男の言うことは、もちろ奥様の耳には入らない。
「あぁ嬉しい!!悠理が恋に目覚めたなんて。相手はどんな方かしら」
るんるんとご機嫌で、明日悠理に可愛い服をたくさん買ってこよう。そう百合子さんは思ったのであった。

――【美童さま悠理さまご交際疑惑】が耳にはいって、剣菱夫人が狂喜するのはもう少し先のお話―――
剣菱家で悠理クンがご飯を2膳しか食べず、百合子夫人が娘の恋煩い(仮)に喜んでいる頃、黄桜家では可憐さんが10膳のご飯をあっというまに平らげ、あき子夫人はおののいていた。
「か、可憐ちゃん・・・・・・?今日は変にいっぱいご飯食べるのね・・・・・・?」
「らっへ、おなはふいてるんらもん!(だって、おなか空いてるんだもん!)」
可憐は食べる手を止めない。
「どうしたの・・・・・・?あ、もしかして失恋でもした?」
「ひふれん?なにほれ(失恋?何それ)」
やはり可憐は食べる手を止めない。
しかもついに15膳目のご飯に手を伸ばした。
「・・・・・・何か学校で嫌なことあったの?可憐ちゃんがそんなに食べてるの、今まで見たことないわ・・・・・・」
「!」
あ、と可憐は箸の動きを止める。
「(そういえば可憐にいっぱいメシ食うなって言われてたっけ・・・・・・)あー!!」
可憐は立ち上がる。
「可憐に怒られる!」
「!?可憐って・・・自分のことじゃない!もう、本当に今日はどうしたのよお〜!」
・・・・・・あき子夫人の苦悩は続く。
「・・・・・・魅録、お前どうしたんだよ!?」
裕也は、野梨子と清四郎との衝撃的な再会を果たしたあと、松竹梅家におじゃまして上がり込んでいた。
しかし魅録は、族の集会から帰ってくるなり、布団に入って寝込んでしまったのである。
「・・・・・・うぅぅ〜〜怖いお兄さん達がぁぁいっぱいいるよぉぉ」
どうやら魅録はうなされているようだった。
「魅録・・・いったい何が・・・・・・」
すると携帯が鳴り出した。
「!!」
と、突然魅録はものすごい速さで起き上がり、携帯を手に取った。
「もしもし!あ、レナちゃ〜ん?」
魅録は、魅録らしからぬ甘い声で話し始めた。
「うん、今日はごめんね短い時間しか会えなくって。次はもっと遅くまで会えるからさっ。ん?もちろん愛してるよ、誰よりもね。じゃあおやすみ」
そして携帯の電話口に軽くキスをして再び寝込んでしまった。
実は美童君、魅録君の外見になった上で、すでに何人か口説いているのでした。
「(い、今のは何だったんだ・・・・・・!?)」
長年付き合ってきた友達の、意外すぎる一面を見てしまった裕也君の混乱状態は、説明するまでもありません。
「(あの2人だけだと思ってたら魅録までおかしい・・・・・・。どういうことだ!?)」
魅録君の横で、裕也君は一晩中悶々と悩み続けたのでした。
翌日。
有閑倶楽部の朝は、雪崩のような噂話から始まった。

「昨日、悠理さまと美童さまが2人で仲良く寄り添ってお帰りになっていましたのよ」
「えぇ!?まさか、お2人はご交際を!?」
「そんな!!私たちの悠理さまが!!」
「私たちの美童さまが!!」
「でもあのお2人ならとてもお似合いですわ」
「私も昨日拝見させていただきましたけど、まるで中世の姫と王子のようでしたわよ」
「「素敵ですわ〜〜!!」」

「昨日魅録さまが綺麗な女性の方と歩いてらしたのよ」
「えぇ!?あの硬派な魅録さまが!?」
「女性の方の腰に手を回して、とても甘い眼差しで何かを囁いていらっしゃったわ」
「まさか愛の言葉を・・・・・・」
「あの魅録さまにそんな言葉を囁かれたら・・・・・・」
「「素敵ですわ〜〜!!」」
「俺、今日、白鹿さんに初めてラブレターを受け取ってもらえたんだ」
「えぇ!?あの男嫌いの白鹿さんに!?」
「結局だめだったけど、白鹿さん、何だか雰囲気がいつもより色っぽくて、俺をふったあとも『またチャレンジしてね』ってウインクしてくれたんだ!!」
「「素敵だ〜〜!!」」

「さっき俺、可憐さんが肉まんを口に入れながら走ってくるのを見たんだ」
「えぇ!?いつも優雅な可憐さんが!?」
「俺、可憐さんのあの悩ましいたち振る舞いも素敵だと思うけど、ああいう、いつもと違う、元気で爽やかな可憐さんも・・・・・・」
「「素敵だ〜〜!!」」

「今朝、菊正宗さまが登校中に犬とたわむれてらしたのよ」
「えぇ!?いつもクールな会長が!?」
「犬の頭をなでたり、おてをしたりなさっていて、とても楽しそうでしたわ」
「まぁ、菊正宗さまっておちゃめなところもありますのね」
「クールで落ち着いている菊正宗さまも素敵ですけど」
「犬と遊んでる笑顔な菊正宗さまも」
「「素敵ですわ〜〜!!」」
そして、男子生徒たちの方からも
「「素敵だ〜〜!!」」
という雄叫びに近い歓声が聞こえたのは、言うまでもなく。
156名無し草:2008/02/10(日) 22:20:14
さて一方生徒会室では魅録と可憐が。もちろん中身は美童と悠理である。

「なぁんであたいとお前しか残ってないんだよぉ。」

「しょうがないよ、本物の魅録と可憐は清四郎と野梨子になりかわって
 一緒にご帰宅、清四郎と野梨子は図書館に調べもの。ほんとにあの二人って
 勉強好きだよね。」

 「おかしいだろ絶対。外見はあたいと美童だぞ。
  その二人が図書館で勉強なんてありえないじょ。」

「悠理っ、お願いだから可憐の格好で大口開けてガツガツおやつ食べたり
 〜だじょって言葉づかいやめてよお。」
ムカっ。
「それを言うならお前だって魅録のなりでナヨナヨすんなよっ、気持ち悪い。」

「そんなこと言ったってぇ・・」

「もういい、あたいは帰るっ。」

「あ〜待って、僕も。」

そして帰り道、チンピラ数人に絡まれて、片っぱしからやっつける可憐の姿が
目撃された。新たな伝説が始まることになる。可憐最強。
157名無し草:2008/02/10(日) 22:23:29
うわ、重なった。二通りの話になっちゃった。申し訳ないす。
158名無し草:2008/02/10(日) 23:46:54
話し的に無問題だよ。乙。
159名無し草:2008/02/11(月) 00:14:42
おぉっ、リレーが始まってたんだ。
GJです!
まぁまぁ剣菱さん。図書館でお勉強なんて一体どうしちゃったんです。
そういえば数学の追試の点数もとってもよかったと職員室で話題でしたよ。
やれば出来る子だったんですね。さすが剣菱財閥のお嬢さま!

野梨子の心の声 
困りましたわ。数学のテストもわざと間違えたりしましたのにあまり意味がなかったみたい。
そうですわね。だって悠理なんですもの。(って失礼からしら?)
図書館にいるのも似合わないし考え物だわ。

暗い悠理の表情をみた美童が胸中を察し
「明日からは違う場所でやりましょう。」と言いました。 
161160:2008/02/11(月) 00:27:40
思ったんですが、次の人へつなげるときはどうしたらいいんだろう
続くとか書くと自分が次も書きそうな気がするし。最後にパスとでも書けばいいのかな。
いい案きぼんぬ。とりあえずパスします。
162名無し草:2008/02/11(月) 00:35:32
そうですね。
続きおねがしいます。とかでも最後に入れるとかは?
前リレーやってるときはそんな感じだったよ。
163名無し草:2008/02/11(月) 01:24:36
女子生徒たちの噂話より

「美童さまがお声をかけてくれなくなったんですのよ、前はウインクや
 投げキッスもしてくれていたのに、悲しいですわ。」

「登下校は悠理さまといつも一緒でいらっしゃるし、真剣交際してらっしゃるのですわ。」

「悠理さまも、おしとやかになって食事も以前のようにたくさん食べなくなりましたもの。
恋してらっしゃるのですわね。(うっとり)」

「それよりも狙い目は魅録さまですわよ。最近とてもわたしたちに優しいんですのよ。」

「わたくしなんてメールアドレス交換してもらいましたわ〜。」



 
164名無し草:2008/02/11(月) 01:59:52
一方男子生徒は

「最近剣菱さん見るとドキドキするんだ。なんか清楚だし言葉づかいも綺麗でさ。」

「美童くんと付き合ってるんだろ、恋すると変わるってよく言ったもんだよね。」

「白鹿さんは色っぽくなったよね。みんなアタックしてるみたいだよ。
もしかしたら僕にもチャンスがあるかも。」



一部の男子学生

「生徒会長が僕の肩に手をかけて話しかけてきたんだ。なんかすごくフランクでさ、
これって期待してもいいのかな。ハァハァ。」


そして可憐の噂


「可憐さんが回し蹴りをしていたよ。」

「焼き肉屋で10人前たいらげていたらしいよ。」

「数学で0点取ったって。」

                 不憫だ、可憐。。。


何だかんだで、有閑倶楽部入れ替わり3日目。

「清四郎!まだ元に戻る方法みつからないの!?」
いつもの生徒会室では野梨子が美童に詰め寄っていた。
「ど、どうしたんですか可憐。そんなにいきりたって」
あまりの野梨子のドアップに、美童は(中身は清四郎なので)珍しく動揺しながら答えた。
「お願い早く元に戻して。でないと私のウエストと成績が悲惨なことになってしまうのよ!」
「ふぇ?」
と、可憐は口に大量のポテチを頬張りながら反応した。
「ああ〜っ私の自慢のウエストがあっ」
「大丈夫ですわよ可憐、そんなに神経質にならなくても」
悠理がお茶をすすりながら言った。
「うんうん、悠理は食べてる分運動してるしさ」
魅録も高速でメールを打ちながら言った。
「大丈夫じゃないわよ!」
野梨子は椅子から勢いよく立ち上がった。
「ウエストだけならまだしも、私の成績だって哀れなものよ。言っとくけど私、今までは0点なんてとったことなかったんだから!」
「それはそうだな」
清四郎が機械をいじりながら相槌をうった。
「確かに0点は可哀想ですね」
と、美童は立ち上がって可憐の側まで行き、可憐の手からポテチの袋を奪い取った。
「あー!何すんだよー!」
可憐は取り戻そうと腕を振り回すが、その腕を美童は楽々と掴んで動きを止めた。
「お前が馬鹿なのはお前の勝手だが、可憐の外見で馬鹿さ加減を披露するのは少し問題ですね」
「な、何だよ。しょうがねえだろっ馬鹿なんだから!」
可憐はむすっと膨れる。
「しょうがなくない。・・・・・・悠理。そんなに“孫悟空の輪”、使ってほしいんですか?」
そう言って美童はにっこり微笑んだ。
よく人から『悪魔の笑み』と言われる、あれだ。
「!あ、あんなの二度とごめんだいっ。わーったよ!勉強すればいいんだろお」
そして可憐は奇跡的に鞄の中に入っていた参考書を出した。

「清四郎、さすが・・・・・・」
野梨子は思わず拍手を送った。
「うわぁん、僕がサドになってるよお」
「いや、美童に言い負かされる可憐もなかなか見物だぜ」
メンバーが口々にもの申す中、
「まぁ、悠理には勉強するちょうどいい機会ですわね」
と、悠理の外見でテストを受けなければならない運命の悠理(野梨子)さんは、軽い嫌味を言ったのでした。


続きお願いします!
何とか裕也君を登場させてください(笑)
167名無し草:2008/02/11(月) 13:47:45
その頃、定食屋で遅い昼食を食べ終えた裕也は街をぶらついていた。
いや、苦悶していた、と言ったほうがいいかもしれない。

いったいどうしたんだ、魅録も野梨子も、あと、清四郎って云ったっけ、
みんな俺が知っている奴らとは性格が180度変わってるじゃないか。
いまどきの高校生はそれが普通なのか、変わらない俺がおかしいのか。
いやまて、ほかのやつはともかく、清楚で大和なでしこな野梨子が
そう簡単に変わるはずがない、昨日は体調が悪かったのかもしれないし、
とにかくもう一度会って・・ぶつぶつぶつ・・。

ちょうどその時6人一緒に帰宅していた有閑倶楽部の面々が裕也に気づいた。

                              続きます。
168名無し草:2008/02/11(月) 14:01:35
「あ〜、裕也じゃんか」
一目散に裕也のもとに可憐(中身悠理)が駆け寄った。

「悠理っっ」
5人は叫び、止めようとしたが時すでに遅し。

裕也はひきつっていた。
それもそのはず、ロングカールのグラマラスな野梨子の友人が自分の背中に
胸をギュッと押しつけて抱きついてきたのである。

「いつこっち来たんだよ裕也ちゃん、連絡ぐらいしろよぉ、このこのぉ。」

裕也は固まったまま身動きしない。

「裕也?どうした」、ん?あ、あれ、そういやあたい今可憐だった。。
「あっと、あのその、久しぶり、だわね、裕也さん、うふふ。」

とっさに可憐のふりをして5人の元に戻る。

我にかえった裕也が6人のほうを振り向くと、異様な風景が飛び込んできた。
頬を染めて切なげな目で自分を見ている悠理の姿がそこにあった。


  裕也の摩訶不思議な3日目の午後、続きをお願いします。
裕也「悠理遊ばないか」
美童「今日は6人で用事があるんだ。失礼するよ。」
悠理「ごめんなさい。久しぶりだから私は裕也さんと…。」

喫茶店に移動
「俺はコーヒー。悠理は?」
「わ、あたいもコーヒー。」
「サンドイッチやケーキはなくていいのか?」
「今日はお腹の調子が悪くて」
「そうか。他の人も変だけど悠理も変だな。」
「あら他のメンバーとも話しをしてたんですの?(そんなこと私に言ってくれなかったですわ)」
「ですの?まるで野梨子みたいだな」
「いま野梨子口調がブームでさ。アハハ」
「具合が悪いのに呼び出して悪かったな。あと4日いるし、またにしよう。」


悠理が財布を出そうとすると鞄から4つ折りにされた紙が落ちた。
拾ってあげると92点という字が見えた。
「92点?悠理がかよ。しかも数学!?」
「清四郎達に勉強教えて貰ったんだ」
「それにしても。字もなんだか丁寧だし、答案を綺麗に畳んでしまうなんて悠理らしくないな。
まさか本当に野梨子なのか?」

続きお願いしますわ
「ま、まさかぁ!あたいは悠理だよ!もう裕也ったら冗談きついなぁっ」
核心を突かれた悠理(野梨子)は、しどろもどろになりながらも何とか答えた。

まずいですわ。
入れ替わりなんて何となく恥ずかしいですもの。
こうなった以上、絶対にばれるわけにはいきませんわ!

「裕也も久しぶりの東京だからきっと疲れてるんだよ!今日はゆっくり休みな!」
悠理は裕也の背中をたたく。
「・・・・・・だよなっ!悪りい悠理、変なこと聞いて」

・・・・・・セーフですわ。

「じゃあまたな!東京にいる間にまた魅録と3人でバイク乗って遊ぼうぜ」
「!?お、おう・・・・・・」
「あ、あとあいつ・・・・野梨子とか、みんなによろしくな」
裕也はにこっと笑った。
「じゃ」
手をひらひらさせながら裕也はそのまま夜の街に消えていった。

バイク!?
私乗ったことありませんわよ!
しかもウンチな私と運転下手な美童と裕也さんの3人で!?
これはもう・・・・・・

「ピンチですわ・・・・・・」
悠理は深くため息をつきながら、とぼとぼと家へ帰っていった。

ちなみに、裕也君と悠理クンの喫茶店での語らいを、美童君によく似た金髪の男がものすごく不機嫌そうな顔で凝視していたことは、誰も知らない。
171170:2008/02/11(月) 15:57:21
どなたか続きお願いします!!
有閑倶楽部と裕也君が衝撃的・・・いや、感動的な再会を果たした、翌朝。

「ーーじゃあ入れ替わりのことは裕也には絶対にばれないようにする、ってことでオッケー?」
6人はいつもよりも気持ち真剣な顔で椅子に着席していた。
「オッケー」
「余計なこと言って変に混乱させるのも悪いですしね」
「あんまり大げさになるのもねー」
「賛成賛成」
「野梨子は?」
「私も異議はありませんわ。・・・・・・でも皆さん」
と、悠理が言った。
「どうして裕也さんが帰ってきたこと、私に教えてくれなかったんですの?」
一同は一瞬ぎくっとなった。
「何かやましいことでもありましたの?」
「・・・・・・えー・・・・・・」
「それはー・・・・・・」
「だって、ねー・・・・・・」
「・・・・・・」
一同は顔を見合わせる。
そして口を揃えて言った。
「「忘れてた。」」
「・・・・・・は?」
もちろん、悠理は拍子抜けである。
「裕也さんのこと言わなきゃなー、とは思ってたのよお」
「だけど入れ替わりに慣れるのに必死で、それどころじゃなかったからさ」
「本当に完璧に完璧に忘れてたんだ。裕也にも悪いことしたな」
ははははは・・・・・・と一同は自嘲気味に笑った。

哀れ、裕也君。

「ーーそんなことより野梨子!昨日は裕也さんとどうだったのよ!」
「え!?」
悠理はお茶を噴き出しそうになる。
「2人きりでどこか行きやがってさ〜。まさかあたいの外見で、変なことしてないよな!?」
「な、何ですのよ悠理まで・・・」
異性のことを言われて赤面している悠理はとても貴重である。
「変なことも何も・・・裕也さんは私の初恋の想い出ですし・・・、別に裕也さんとは何も・・・・・・」
「何もありませんでしたよ。ね、野梨子」
と、今まで仏頂面をしていた美童がにっこりと笑って言った。
「昨日野梨子たちは喫茶店に入って、20分くらい会話をしてただけですよ」
「なぁんだそうなの。つまんな〜い」
「あたいはちょっとほっとしたじょ」
「・・・・・・」
「あ、ほら。始業のベルが鳴りましたよ」
「やっべぇ!俺、次体育なんだ!」
「あたいもだよー」
「大変〜!急がなきゃ」
メンバーは次々と部屋から出ていく。
「・・・・・・清四郎」
「何ですか?野梨子」
「さっきは助けていただいてありがとうですわ」
「そんな、たいしたことじゃないですよ」
美童は微笑む。
「・・・・・・でも清四郎」
「何ですか?野梨子」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

「どうして喫茶店で20分くらい会話をしてたって、知ってますの?」

「(ぎくっ)・・・・・・」
それから小一時間ほど、美童君は悠理クンに問いつめられることになる。(笑)
175名無し草:2008/02/11(月) 20:07:49
つまらない文章ですみません!!
続きお願いしますm(__)m
6人の授業風景or日常風景キボウです。
176名無し草:2008/02/11(月) 22:11:03
こういうバカらしい話大好きだ。みんなうまいなぁ。
できればラブなしで終わってほすい。
177名無し草:2008/02/11(月) 22:55:50
>>176
私もこういう話好きですww
>裕也君の〜
いつも楽しく拝見させていただいてます!私も176さん同様、この話のノリ好きです。作家さん、すごすぎます。
なので、裕也君には、終始あたふた動揺して混乱してもらいたいです笑
178名無し草:2008/02/11(月) 23:33:01
裕也は東京滞在4日目を迎えた。
暇を持て余してパチンコ屋に入ってみるものの、昨日の悠理の態度が気にかかり、
全く台に集中できていない。

昨日6人を前にしても、悠理だけしか視界に入らなくて、思わず誘ってしまったが、自分でもなぜだかわからない。
あの中には野梨子もいたはずなのに。いったい自分はどうしたのか。
それにしても悠理ってあんなに落ち着いた女だったか?言葉づかいもときおり敬語だったり、
あれじゃまるで野梨子だ。
それに時折見せる俺に対してのあの眼差し。
まさか悠理は俺のことが、いやまさかあいつに限ってそんなことは。
だかしかし、駄菓子菓子×▽!〜<?−−−−−−−思考回路停止。
  
裕也くんの苦悩はまだまだ続く。  次お願いします。
可憐は考えていた。
なんで入れ代わってるときに裕也がくるんだよ。
せっかくあたいに遊ぼうと声かけてくれたのに。
可憐の姿で抱きついたら顔真っ赤かだし心臓がドキドキしてたな。
あたいが抱きついた時は平然としてるのに。
可憐とは慣れていないから?
単純に胸があるからか?
やっぱ男は胸があるほうがいいのかな。
野梨子もあんまないからな。
胸があると肩凝るし、走ると揺れてうっとうしいだけなのにな。

180名無し草:2008/02/12(火) 00:46:28
まさかの裕悠風味?
意外な展開になってキター。
可憐は試しに自分の胸を触ってみた。
「(男はこんなんが好きなのかあ)」
ふーん・・・・・・と何かをひとりで納得していると、
「ちょっと黄桜さん!?授業中に何やってるんですか!?」
「げっ」
顔をあげるとすぐ側まで教師が来ていた。
「まったく・・・・・・ずっとぼーっとしてると思ったら、今度はどこを触っているんですか!」
「え〜あ〜あははは〜」
可憐は引きつり笑いをする。
「笑ってごまかしてないで、罰として黒板の問題解きなさい!」
「げっ(しかも数学かよ!)へーい・・・」

もちろん、中身悠理の可憐に数学の「す」の字もわかるはずがなく、授業終了後、可憐は先生方にみっちりしぼられたのであった。



続きお願いします!
「おーい!!悠理!・・・・・・じゃなくて可憐!」
ふと、下の方から声が聞こえた。
「?何だぁ?」
可憐が2階の窓から外を見ると、可憐のいる校舎の真下に、バイクに乗った清四郎が可憐に向かって大声で叫んでいた。
「魅録!・・・・・・じゃなくて清四郎!どうしたんだよ」
「この間言ってたホワイトルシアンのコンサートのチケット、ある筋から手に入ったんだ!」
「え!?まじで!?」
可憐は窓から身を乗り出す。
「お前行きたいって言ってただろ!?」
「うわぁぁい!(魅録ちゃん)愛してる〜!」
そして可憐は窓から軽々と飛び降りた。
着地。
「よし!じゃあ行くぜ!悠・・・可憐!」
「OK!魅・・・清四郎!」
可憐はバイクの後ろに乗り、清四郎の腰に手を回した。
華麗なバイクさばきで、2人を乗せたバイクはまだ授業が終わっていないのにも関わらず、校門の外へと消えていった。
その後。

『黄桜可憐さまが 菊正宗清四郎さまへの 情熱の絶叫告白!?』

『菊正宗生徒会長と 黄桜可憐書記が 学校を早退して バイクで愛の逃避行!?』

翌日の学園新聞の見出しにこのような文字が大々的に並び、
「何よこれ!!」
「何ですかこれ!!」
と、野梨子さんと美童君に半殺しにされるとはつゆ知らず。
可憐さんと清四郎君はホワイトルシアンのコンサートを思いっきり楽しんでおりましたとさ。
183182:2008/02/12(火) 20:18:48
ホワイトルシアンはブラックルシアンのもじりです(汗)
続きよろしくお願いします!
「あ〜!楽しかったじょ〜!!」
「やっぱりホワイトルシアンは最高だな!」
ロックスターのコンサートに来る、真面目そうな黒髪の青年と、色っぽいウエーブヘアの美少女は、多くの人々の注目を引いたが、2人はまったく気にすることなく、コンサートは無事終了した。
「裕也も誘えばよかったなぁ」
「!あ・・・あほ!今のこの状況で誘ってみろ。驚くのを越えて悶死するぞ」
「あ、そっかぁ」
ちぇっ、と可憐は残念そうな視線を道路の方へ向ける。
するとそこへ。
「!裕也!?」
都合のいいタイミング・・・もとい、グッドタイミングで、バイクに乗った裕也が通りかかった。
「裕也ー!おーい!」
「!?」
当然のことながら、裕也は一瞬たじろく。
しかし呼び止められたことは確からしいと判断し、バイクを2人の前に止めた。
「な、何か用か・・・・・・?」
裕也は明らかに動揺している。
「(あーあ・・・・・・)」
清四郎は昨日のデジャブを覚えた。
「(悠理、今言ったばっかなのに自分が可憐だって忘れてるな)」
清四郎の溜め息にも関わらず、
「裕也今帰りかあ!?どーせそこら辺でふらふら遊んでたんだろ〜!」
と、可憐は裕也にからんでいた。
「・・・・・・」
さすがの裕也君。
驚きすぎて声が出ません。
「・・・・・・(ふー・・・・・・)」
清四郎は裕也の心中を察し、可憐の腕をつかんだ。
「!魅・・・清四郎!」
「帰るぞ可憐。・・・・・・足止めして悪かったな裕也」
清四郎は可憐をバイクの後ろに乗せ、華麗なバイクテクで人混みをかきわけ、夜の闇に消えた。
ぽつーん。
ひとり取り残された裕也君はしばらく呆然としていた。

あ、相変わらず俺に馴れ馴れしいな・・・あの女・・・・・・
・・・・・・いや、美人だけど!
まさか悠理に加えてあの女も俺のことが・・・・・・?
・・・・・・いや、それはないかもしれなくもなくもない。(どっちだ?)
でも、スタイルすげーいいし・・・・・・
・・・・・・って何考えてんだ俺!?

裕也君、百面相。

それにしても・・・・・・。
裕也は突然興奮した顔になり、瞳を輝かせた。

清四郎っていったっけ・・・・・・よくわからないから清四郎(仮)にしよう。
清四郎(仮)のバイクの運転があんなにうまいとは!
あれは魅録並のテクニックだ!
すげーよ。かっこいいよ。
俺、清四郎(仮)苦手だと思ってたけど、意外と話合うかもな。
あ〜、いつか清四郎(仮)と一緒にツーリングしてーな。

そして裕也君の心の中に、清四郎君への大いなる親しみが芽生えたのでありました。
187186:2008/02/13(水) 21:40:58
すみません。妄想が膨らみすぎて(汗)昨日に引き続いて長文を書いてしまいました・・・・・・。燃え付きました。
長文であることは気になさらなくて全然いいので、どなたか続きよろしくお願いします!
>>121-123(流れをぶちぎってすみません)
「行くぞ!」
魅録が病院を飛び出して行く。その後に悠理と可憐と美童が続く。氷結の車に乗り込んで、運転手を引きずり降ろした。代わって運転席に座った魅録がハンドルを握る。

「…僕の社長室のパソコンに、君たちのデータが入ってる」
光一は病室の天井を見ながら、言った。その表情は読み取れない。
「…!!」
「シークレットファイルにはなってるけど、見つけ出すなんて君には簡単だろ?松竹梅くん」
ベッドの上から魅録を見上げる。その目には悪戯っぽい光が宿っていた。
「…どういう風の吹き回しだ?」
「どういうもこういうも。…今、こういう気分なんだ」
「急にそんなの…怪しいよ」
「そうよ、罠かも」
「罠、かぁ。そう思ってくれてもいいけど。信じないのも自由だし。…でも1つ言えるのは、これを逃したらチャンスはないってこと。」
光一は柔らかに笑った。
「久保田さん、長島さんに連絡して。『今から来る子達、社長室に案内してあげて』って。」
「…はい」
久保田が携帯を持って部屋を出る。
「何が目的だ?」
「だから何もないってば。そういう気分なの!気が変わらない内に行けば?」
魅録は渋い顔をしたが、ついに扉に手をかけた。
「…俺、行ってくる」
そうこなくっちゃ、とばかりに光一は微笑んで付け加えた。
>>121-123(流れをぶちぎってすみません)
「行くぞ!」
魅録が病院を飛び出して行く。その後に悠理と可憐と美童が続く。氷結の車に乗り込んで、運転手を引きずり降ろした。代わって運転席に座った魅録がハンドルを握る。

「…僕の社長室のパソコンに、君たちのデータが入ってる」
光一は病室の天井を見ながら、言った。その表情は読み取れない。
「…!!」
「シークレットファイルにはなってるけど、見つけ出すなんて君には簡単だろ?松竹梅くん」
ベッドの上から魅録を見上げる。その目には悪戯っぽい光が宿っていた。
「…どういう風の吹き回しだ?」
「どういうもこういうも。…今、こういう気分なんだ」
「急にそんなの…怪しいよ」
「そうよ、罠かも」
「罠、かぁ。そう思ってくれてもいいけど。信じないのも自由だし。…でも1つ言えるのは、これを逃したらチャンスはないってこと。」
光一は柔らかに笑った。
「久保田さん、長島さんに連絡して。『今から来る子達、社長室に案内してあげて』って。」
「…はい」
久保田が携帯を持って部屋を出る。
「何が目的だ?」
「だから何もないってば。そういう気分なの!気が変わらない内に行けば?」
魅録は渋い顔をしたが、ついに扉に手をかけた。
「…俺、行ってくる」
そうこなくっちゃ、とばかりに光一は微笑んで付け加えた。
「あ、言い忘れてたけど削除にはパスワードかけてるから。しかも二重。三回続けて間違えると自動的にマスコミに送る設定だから気をつけて」
「何だよ、パスワード」
悠理の言葉は直球だ。光一は思わず声を立てて笑った。

氷結エンターテイメントの前で、初老を過ぎた男性が4人を待っていた。
「…長島でございます」
それだけ言うと、彼は正面入り口から魅録たちを招き入れた。機械に社員証を通し、指紋照合を行って入り口を開ける。
中の警備員は明らかに場にそぐわない若者に顔をしかめたが、そこは長島の力か―――何も言うことはなく社内に迎えた。
エレベーターに乗り39階のボタンを押すと、特殊なセンサーの前に長島は社員証をかざした。特別な社員証がないと39階以上には上がれないらしい。成る程、厳重な警備だった。
エレベーターはぐんぐん上に登っていく。ガラス越しに見る景色は美しく平和だった。長島を含む5人は無言でそれを眺めている。

チン。エレベーターが開く。
仕切りもなくただっ広い部屋だった。奥中央に豪奢なデスク。…そしてその上に、最新のパソコン。
魅録がパソコンに駆け寄り、その周りを3人が囲む。長島はエレベーターを出た脇に姿勢良く立っていた。

すごい勢いで魅録の指が動く。真剣な横顔、その瞳は画面をそのまま映してゆく。そして10分もたたない内だった。
「――…あった」
ファイルを見つけた。数えきれない写真。ファイルごと削除しようとする。と、予想通りのメッセージ。
【PASSWORDT?】

悠理の単刀直入の問いに、光一は一通り笑ったあと答えた。
「いいね、君は素直で。いいよ、教えてあげる。1つ目は、僕の一番大切な人の名前。そして2つ目は―…僕の母親の名前だよ」
「…自分で考えろってか?」
「これだけヒントあげたんだ。それくらいの意地悪は許されるだろ?」
光一の瞳は変わらず、悪戯っぽく光る。

「…わかったよ」
魅録が病室を出ようとすると、可憐がその袖を引いた。
「あたしも行く」
「はぁ?罠かもしれないってお前も言ってたろ。いいからここにいろ」
「嫌よ!罠ならますます1人じゃ行かせられないわ」
「あたいも行く!罠なんかぶっ壊してやるよ」
「じゃ、僕も。…清四郎は野梨子と一緒にいてあげてね。」
「…わかりました」
言い出したら聞かない連中だ。魅録はピンクの頭を掻いた。
「…後悔すんなよな」
泣きボクロの美女に言うと、
「しないわよ」
そう彼女は笑った。

「パスワード…1つ目は『一番大切な人の名前』」
「これはやっぱり…」
「…そうだよな」
魅録の指が再び動く。入力したのは勿論、彼らの親友の名前。
【NORIKO】
ピ、と音がして、またメッセージが現れた。
【PASSWORDU?】
…先ほどのパスは正解だったらしい。

「さて、次だ」
「『母親の名前』…よね」
「どっちかな?蒸発した産みの親と、虐待した育ての親…」
「…そんな母親でも、パスワードにするくらい愛してたんだね」
「…」
しんとする空気の中、可憐だけが複雑な表情をしていた。
「でもさ、3回間違えたらアウトなんだろ?逆に言えば2回までは間違えても平気なんだから、どっちでもいいじゃん。入れてみようよ」
「…そうだな」
魅録の指がキーボードを叩く。打つのは5文字だ。
【YAYOI】
エンターを押す。すると…

【error!】
「…やっぱ虐待の方じゃねぇか」
魅録が舌打ちをした。
「じゃ、やっぱホントの母親だね」
「だな。もう1人の名前は―…」

病院を出る直前に、4人は電話を終えた久保田に会った。
「久保田さん、氷結光一の母親の名前は!?」
「??どうしてそんなこと………奥様は、弥生さんだけど。」
「そっちじゃなくて、蒸発した方!」
久保田は顔をしかめた。思い出すのも忌々しい、といった様子で。
「あぁ、あの女。あの女の名前は―…」

「『明日香』!」
悠理と美童が同時に叫んだ。魅録が頷く。
【ASUKA】
今度こそ正解だ。確信を持って打ち込んだ。しかし―

【error!】
「え…!?」
悠理と美童の声が重なった。
「なんで…?母親の名前だろ!?」
「魅録、打ち間違えたんじゃないだろうな!」
「間違えねぇよ!あんな簡単なこと!」
「じゃあ、何?別の名前…ってこと?」
「あいつ、これが狙いだったのか!あたいらが間違えて、自分たちで自滅のスイッチ押させるために」
「そしたらここまで来させる必要がないよ。母親…もしかしたら、また【NORIKO】とか…母親みたいに思えた、とか」
「2回とも同じ名前にするか?」
「でも…」
「間違えたらお仕舞いなんだぞ!」
また、重苦しい空気に代わり始めた。
「…どっちにしろ、ここまで来ちまったんだ。腹決めようぜ」
魅録が言う。
「入れるぜ、【NORIKO】」
「…待って!!」
止めたのは今まで黙っていた可憐だった。
「ねぇ、あたしわかったの。多分、…最後のパスは【KASUMI】」
「…へ?」
「可憐、違うよ。霞は久保田さんの名前だよ」
「知ってるわよ。でも、…【KASUMI】」
「根拠は」
魅録の鋭い目が可憐を見据えた。
「…ない。けど、自信があるの。信じて」
「…」
可憐の真剣な目に、全員が口をつぐんだ。

「美童」
「…ん?」
魅録が笑った。
「もしこれで結局パスワードが【NORIKO】だったら、出所後可憐に酒でもおごって貰えよ」
「…うん」
「あたいにもだぞ!」
「馬鹿ね、どっちでもない可能性だってあるでしょ!」
空気が軽く、穏やかになった。
「信じるよ可憐。…ま、元々データ撒かれる覚悟で来たんだ。だめで元々。当たればラッキー」
「そーだな。うん、大丈夫」
全員、覚悟を決めて頷いた。
「じゃ、俺らのラストチャンス。【KASUMI】、な」
ゆっくりと、確かめるようにキーを1つずつ押して行く。

K…A…S…U…M…I
エンター。刹那の沈黙。

【Clear!Data delete…】
「やっ…!」
「よっしゃー!!!!!」
歓声が上がった。悠理と美童が可憐に抱きつく。
「偉い!可憐超偉い!」
「すごいよ〜可憐。ありがとう」
魅録は気が抜けたのか、社長の椅子に深くもたれる。
ため息をつきながら両手で顔を覆い、天井を見上げた後に笑顔で言った。
「すげぇな、姉さん大正解」
「お酒奢るのはあんたたちよ」
「あぁ。いくらでも奢ってやるよ」
喜びに浸る4人から離れて、長島がそれを見ていた。
「もしもし。…はい。データ消去に成功したようです」
携帯からかける相手は久保田らしかった。はい、はいと二三頷いて短い電話は終わらせる。
そして、まだ歓喜に沸く若者を優しい目で見守っていた。
<続く>
(81がふたつ続いてしまいました。すみません)
***
196名無し草:2008/02/14(木) 22:59:58
>大女優
GJです!
話が大きく動きましたね。
データ消せてほっとしました。
可憐が男前でかっこよかったです。
続き楽しみにしています。
197sage:2008/02/15(金) 01:07:41
>大女優
待ってました!
GJです!!!
早く続きが読みたいです!!!
198名無し草:2008/02/15(金) 01:30:28
>大女優
パスワードの部分は思わずドラマの第1話を思い出しましたw
可憐は女の勘は鋭そうですよね。お見事でした。
続きも楽しみにしています。
199名無し草:2008/02/15(金) 14:14:47
>大女優
データ消去に成功してよかったですww
光一の真意とこれからの展開、とても気になります。
続き楽しみに待っています!

>裕也君の〜
リレー乙です!
とても楽しい文章なので、毎日楽しんで見ています。
>>187さん、面白かったですww
清四郎に友情を感じる裕也君、ツボです(笑)

200名無し草:2008/02/15(金) 17:19:38
(笑)を見るとスイーツ(笑)を連想してしまうなw
201名無し草:2008/02/15(金) 20:00:56
スイーツ(霊)が面白いよ
>裕也君の〜
つまらない文ですがすみません。
2レスいただきます。


翌日。有閑倶楽部入れ替わり5日目。

「悠理・・・・・・ほら、力を抜いて」
「そ、そんなこと言ったって清四郎・・・・・・」
「もっと足を開いてください・・・でないと」
「だ、だって・・・・・・痛いんだもん・・・・・・」
「我慢してくださいよ・・・!僕だってこの体勢は辛いんですからっ・・・・・・」
「痛・・・・・・っ」
「ほら・・・・・・僕にすべてをまかせてください・・・・・・」
「や・・・・・・あ、あた・・・い・・・もう・・・・・・!」
「「あまーい!!」」
と、野梨子の怒号が生徒会室に響きわたった。
「もう、悠理も清四郎も社交ダンスの才能ゼロね!そんなんじゃ来週の神無祭、優勝できないじゃない!」
「だ、だってぇ〜。あの体勢すげー痛いんだよ。何であんなに体反らさなきゃいけないんだよ!」
可憐は涙目である。
「悠理は力みすぎなんですよ。僕が悠理の体を支えているんですから、足を開いてもっとオーバーに反らさないと」
ふうっ、と美童はため息をついた。
「だいたい可憐たちが神無祭なんかに出るからいけないんだい!」
可憐はわめいた。
「しょうがないじゃない。ミセスエールに頼まれちゃったんだもの」
ねぇ美童?と野梨子は傍らの魅録に顔を向ける。
「そうそう。しかも僕と可憐の名前で選手登録しちゃったから、この状態で僕たちが出るのは無理なんだよー」
「そんなぁぁ」
「パーティーマナーを学ぶ良い機会ですわよ、悠理」
くすくす、と悠理が楽しそうに言った。
「くそーっ人事だと思って」
「まぁまぁ悠理。どうせ神無祭に出るならダンスを完璧に仕上げて優勝を狙いたいじゃないですか」
美童がにっこりと笑う。
「ーそれに昨日、魅録とあんなに派手に授業をさぼったんですからね。これくらいは努力してもらいますよ」
「!お前まだ根にもってるだろ!」
「当然です」
「うわああんっ」
泣き叫ぶ可憐を尻目に、野梨子がふとあることに気付いた。
「?あらぁ?そういえば魅録は?」
魅録君はどこに行ったんでしょう?
中途半端なところですが、続きお願いします!
205名無し草:2008/02/15(金) 22:41:45
リレー乙です!
笑わせてもらいましたw
続き、難しいなー。どなたかお願いします。
206名無し草:2008/02/16(土) 00:50:51
私も、悠理と清四郎が可憐と美童に入れ替わったならダンスさせたいなーと
想像してました。乙でした。
しかしこの話ちゃんと終わるんでしょうか(笑)
207名無し草:2008/02/16(土) 00:59:32
>>206
わざと(笑)つけてんの?
さすがに便乗荒らしだとバレバレ。
裕也君は驚いた。自分の目の前に清四郎が現れたからだ。
しかも話しがあるという。
「俺もあんたと話しがしたかったんだ。」
「え、裕也もか?」。もしや俺が魅録だと気がついたのかと緊張しつつも嬉しい魅録君。
「あんたもバイク好きなんだな。さすが魅録の仲間だ。好きじゃなきゃあんな運転できないよなー。」
と暫くバイクの話しが咲く。

違う。俺はこんなことをしにきたんじゃない。

「裕也。実は─。」
209名無し草:2008/02/16(土) 01:59:58
こうでもしないと中々裕也君の出番が出てこないのである。
後は宜しくお願いします。
>>209さん
GJです!私も魅録君は裕也君に会いに行ってると思ってたのでwww
私も2レス書かせてください。


「―大湊組の金剛、覚えてるか?」
清四郎は真っ直ぐに裕也を見つめて言った。
「お、覚えてるも何も・・・・・・」
忘れるはずがない。
『雪月花』の盗難事件―――裕也も手を貸してしまったあの事件で、主犯格だった男が大湊組の金剛だった。
「今日親父から・・・じゃなくて時宗のおじさんから聞いたんだけど、今朝早く、奴が脱獄したらしい」
「!?何だって!?」
「東京にいると、もしかしたらお前に危険が及ぶかもしれない。だから出来るだけ早く・・・金沢に帰れ」
「・・・・・・わかった。まぁ東京にいられるのも今日を抜かせばあと2日だけだから、そんなに心配することはないと思うけどな」
「・・・・・・だといいがな。とりあえず気をつけろよ。気をつけるに超したことはない」
「あぁ。でもお前・・・・・・」
裕也は怪訝そうな顔で清四郎を見る。
や、やばい。
まさかばれたか!?

「もしかして・・・・・・」

そういや、さっきから思いっきり魅録のままの口調で話し続けちまった!
ま、まずい・・・・・・

「・・・・・・いい奴だな!!」
裕也は笑顔で言った。
「・・・・・・は?」
「いや、お前がこんなに俺を心配してくれて、しかも趣味も合ういい奴だとは思ってなかったからさ」
「は・・・はははは」
清四郎は思わず苦笑である。
「(とりあえずよかった・・・・・・)じゃ、じゃあな裕也・・・君。俺・・・僕、学校戻りますね」
「おう。忠告してくれてサンキューな。じゃあまた、魅録たちによろしく!」
清四郎君への友情をさらに深めた裕也君は、颯爽と街へ消えて行きました。

―――しかし、そんな裕也君を睨む影がひとつ・・・・・・
有閑倶楽部が入れ替わってる状態のときに事件を起こしてみたかったので、金剛さんを脱獄させてしまいました・・・・・・。
続きよろしくお願いします!
213名無し草:2008/02/16(土) 18:52:13
>>212
GJです!
裕也君はどうなってしまうんでしょう……
有閑倶楽部の活躍を期待して、楽しみにしています!
私は文章を書く力がないので(すみません)どなたか続きお願いします!
214名無し草:2008/02/16(土) 22:12:32
207の言っている意味がわからん。
215名無し草:2008/02/16(土) 22:57:49
(笑)つけるとバカにされてるみたいだからじゃない?
216名無し草:2008/02/16(土) 23:22:02
なるほど。そういう風に思う人もいるんだね。気をつけなきゃ。
217名無し草:2008/02/17(日) 00:15:43
普通に2ちゃんねるで(笑)をつける人は珍しいよ。
wで通ってるからな。
218名無し草:2008/02/17(日) 01:03:37
裕也君〜
書いてみたけどギャグから遠ざかるので無視して続きを書いてもオケです。
では1レス投下します。
219名無し草:2008/02/17(日) 01:05:03
魅録というか清四郎と一緒に歩いているとお似合いの二人だわ〜みたいな視線もあるけど
一人だと純粋に私だけを人を見るのよね。
普段の私とは違う種類の男の視線を感じるわ。ちなみに年配の女性の受けもいいの。
可憐さんはフェロモンを振りまきウキウキしながら帰り道を闊歩していた。
しかし人通りが少ない道になっても妙に熱い視線も感じていた。
何かしらと思った瞬間背後から襲われた。

「裕也、お友達も連れてきてやったぞ。」
「友達?誰に何をしたんだ!」と傷だらけの裕也が叫んだ。
シーツにくるまれた人を裕也の隣に置いた。
その隙間から艶やかな黒髪が見えた。
「野梨子!」
裕也は叫んだ。
すると、可憐さん――野梨子は
「・・・う・・・ん・・・・・・」
と、妙に色っぽい声で目を覚ました。
「・・・・・・きゃー!な、何よこのシーツ!ここどこよ!?」
「・・・・・・野梨子?」
野梨子らしからぬ物言いに、裕也は一瞬あっけにとられる。
が、すぐに我にかえり、手と足を縄で縛られてるのにも関わらず、野梨子に近付こうとした。
しかし、そんな裕也を金剛は無情にも足蹴にする。
「!裕也さん!?」
「ふん。お前がこの女と一緒にいたところを見たことがあったもんでな」
金剛は裕也を足蹴にしたまま言った。
「野梨子をどうするつもりだ!」
「さぁな」
それを聞いた裕也の瞳に怒りと動揺の色が浮かぶ。
「・・・・・・明日の夕方には他の大湊組の仲間がここに来る」
金剛は冷たく言った。
「・・・・・・みんな楽しみにしてるんだぜ?裕也。大湊組をめちゃくちゃにしたお前を、血祭りにあげるのをな」
「!!」
「・・・・・・ねぇ、金剛さぁん」
するとその時、ようやく自分の置かれている状況を理解した野梨子が、きつく巻かれているシーツから何とか顔を出して、口を開いた。
「!?」
「このシーツ・・・すごぉいきついのぉ・・・・・・。ねぇ、少しだけ緩めて・・・・・・?」
野梨子にしてはすさまじいほどの妖艶さである。
その潤んだ大きな瞳(しかも上目使い)と色っぽい声、そして悩ましい表情に、さすがの金剛も顔を赤くさせた。
「金剛さぁん・・・お・ね・が・い」
「・・・・・・ちっ、しょうがねえな」
そう言いつつも、顔はにやけながら、金剛は野梨子を巻いているシーツを緩めた。
金剛さん、野梨子のようなお嬢様タイプが好みのようである。
「ありがとお〜金剛さぁん」
「あ、明日の夕方までおとなしくしてろよ」
「はぁい」
そして金剛は、2人を廃ビルに残し、頑丈そうな鍵をしっかり閉めて、外へ出ていった。
もちろん、顔は激しくにやにやしていたが。

「行ったわね」
やったわ!と、野梨子は巻き付けが緩んだシーツから力づくで抜け出した。
「あの男、思ったより落としやすくて助かったわぁ。まぁ、可憐さんにかかればヤクザだってちょろいもんだけど」
そして野梨子は自由になった体で、自分をじっと見つめている裕也に駆け寄った。
「裕也さん、大丈・・・・・・夫じゃないわね・・・・・・」
「・・・・・・」
裕也は、意外すぎる野梨子の姿に頭が真っ白になり、目を開いたまま気絶していたのだった。
「ちょっと刺激が強すぎたかしらねぇ。・・・・・・それにしてもあいつら・・・・・・ちゃんと気づいて探してくれるでしょうね」
野梨子は閉じ込められた廃ビルの中で、5人の仲間たちを思い――入れ替わっている今の状況を思い出し、深くため息をついたのであった。
>>220>>221
続き書いてみました。お目汚しすみません・・・・・・。
有閑倶楽部(ただし入れ替わり)始動!ということで、どなたか続きお願いします。
223名無し草:2008/02/19(火) 19:50:50
リレー職人さんGJ
>>188-195
「ねぇ、君と話してみたいんだけど」
四人が会社に向かった後、光一の目は清四郎に向いた。
「…僕とですか」
「うん。君も話したいことあるだろ?」
心配そうに、野梨子は清四郎を見上げる。
「…わかりました。野梨子」
「…」
花嫁が病室を後にする。男二人、つい一月前までは面識もなかった二人が対峙する。先に口を開いたのは光一だった。
「ごめんね、怒ってる?」
あまりに軽い言い様に、清四郎が顔をしかめる。それを見てけらけらと光一は笑った。
「あはは、ごめんごめん。そんな怖い顔しないで」
「…何が言いたいんですか?」
清四郎が言うと、光一は笑顔を落ち着かせた。
「…野梨子とは、何もしてないよ」
「…」
清四郎が黙っていると、光一がさらにつけたした。
「ん?あ、嘘ついた。手を握るくらいはしたな。でもキスもしてないから」
「…そうですか。」
「もちろん、したい気持ちはあったよ。けどしなかった。どうしてだと思う?」
「…さぁ」
「野梨子が好きだから」
彼は淀みなく言い切った。
「僕が求めれば、野梨子も拒まなかったと思うんだよね。・・・後で泣いたと思うけど。
それでもさ、僕はこうしていつ倒れるか分からないし…最中に倒れた、とかトラウマだろ?
野梨子はこれからも生きていくのにさ。…僕が死んだあとも」
冗談めかした口調で、光一は真摯に語った。

「辛くなかったって言えば嘘になるけど…傍に居るだけで幸せだったんだよ。
小学生の初恋じゃないんだから、って自分でも思うけど」
「…そこまで想っていながら、どうして無理矢理結婚を?」
「んー…強いて言えば残るものが欲しかったんだ。野梨子の人生に短くても『氷結光一の妻だった時間』を刻みつけたくて」
「自分の死後の事は」
「野梨子の経歴に傷をつけることになるのはわかってたよ。だから、全部の遺産を野梨子に渡す遺言も書いた。残りの人生、豪遊しながら暮らせるくらいの額はある。
…それで世界中を飛び回ってもいい。もっといい男と再婚してもいい。…君たちの元に戻ることはあの子の性格からして無理かもしれないから、それくらいは、ね」
「…その野梨子を、どうして手放す気になったんです?」
窓の外はオレンジに染まり、光一の頬にも暖かい光を投げた。

「…僕、二重人格なんだきっと。」
光一は苦笑した。
「野梨子が大好きで大好きで仕方なくて、悲しんでほしくなんかなくて。いつも笑っててほしくて…僕の横で、って思うけど、野梨子の笑顔は君たちとあるでしょ?その幸せを壊したくないって思うんだよ。だけど、だけど」
ベッドの中で、彼は深く息を吐いた。両目に手を当てて瞳の色を隠す。
「………もう1人の僕は、それを壊してでも野梨子を欲しがって暴れるんだ」
さっきの、倒れる直前みたいに。
「ここって時にもう1人の『僕』が、びっくりするくらいの行動力で動くんだよ。
それで厄介なのは…それを悪いって思っても、僕は止められないことなんだ。
ごめんねって思いながら僕は『僕』の作り出した状況に甘えだす」
清四郎の胸に、何とも形容し難い色が渦を巻く。
なんだかこの男は、氷結光一は…

「君は僕に似てる」
心の内を見透かされた気がした。
「…野梨子を見てると守りたくて幸せにしたいけど、
その裏側で自分だけのものにしたいって、ドロドロした気持ちが生まれない?」
二人の目が合う。
それは自分が目を背けてきた気持ち、か?いや…

「…守りたいとは思いますよ。それが僕の役目だとも」
「あれー、それだけ?僕の勘外れちゃったかな」
光一は唇を尖らせた。しかしすぐにそれを戻して、また穏やかに言葉を紡ぐ。
「…まぁいいや。とにかくまた『僕』が出てこないうちに野梨子を連れて帰ってあげて。
データ消されたらもう手も足も出ないから、大丈夫」
清四郎の複雑な顔を、別のことと勘違いしたらしい。光一は続けた。
「疑いたくなるのもわかるけど、データは本当にあのパソコンの中だけだよ。フロッピーにも移してない。」
「…そう、ですか」
「野梨子を責めないであげてね。本当にいい子だから」
光一の目は澄んで、清らかに流れる深い川を思わせた。
「…えぇ」
「幸せにしてあげてね」
「もちろん。それは」
「ありがと」
光一の微笑みは、柔らかくて暖かかった。
「最後に、君の野梨子と少しだけ話させてくれる?ちゃんと挨拶したいんだ」
病室から出ると、廊下のベンチに白いドレスの少女が俯いている。
「…野梨子」
名を呼ぶと、花嫁は静かに顔を上げた。
「彼が最後に、と」
背後の病室を指差すと、彼女は無言で頷いて扉の向こうに消ていった。
ため息が出た。この一週間で、一年分のため息をついた気がする。

携帯を利用できるスペースまで歩いて電源を入れると、可憐からメールが来ていた。
『データ削除、成功(^v^)☆』
電話をかけると、弾んだ声を聞かせてくれた。
切ると、そこに久保田が現れた。清四郎の顔を見て口角を上げる。
「おめでとう。成功みたいね」
「お陰様で」
「…これで連れて帰れるのね」
「えぇ」
「よかった…」
久保田は目を伏せた。
「…パスワードが2つかかってましたよ」
「…そう」
「『一番大切な人』と『母親』の名前で」
「…!」
一瞬の久保田の動揺を見逃す彼ではなかった。
「…そうなの…だから美童くん、私にその事聞いたのね」
煙草の火を揉み消す。動揺はそれとともになかったことになっていた。
「パスワードは【NORIKO】と【KASUMI】、だったそうですよ」
「…え…?」
今度こそ動揺は明らかだった。
「久保田さん、あなたは―――…」
***
「座って」
促されて私はベッド脇の椅子に腰かける。清四郎は椅子に座らなかったのだろうか。それは冷え切って、人の体温は感じられなかった。
「…お別れだね、野梨子」
「…」
何も言わないでいると、光一さんが続けた。
「僕には分かるんだ。あの子たち今ごろデータ削除できたよ。帰れるんだよ。よかったね」
「光一さん…」
「ごめんね。」
この人が謝るのを、私は何度見ただろう。

「…謝らないで下さいな」
ベッドから白い手が伸びて、私の手に触れた。その白い手を両手で包み込む。
「ありがとう。今まで本当にごめんね」
光一さんの目は優しい。
「僕、今まで幸せなんか感じたことなかった。君といた一週間が、人生で一番幸せだったよ」
「そんな…私、何も」
「何もしてなくないよ。無理にでも笑ってくれたじゃん。笑った顔、好きだったんだ」
思わず涙が出そうになった。
…でも、きっと泣きたいのは光一さんだ。婚約者が去ろうとしている、この状況で。
せめて笑っていよう。この人が好きで居てくれた笑顔で。

「三十手前で恥ずかしいけど、君が初恋だった」
手が震えてしまうから、もっと力を込めて白い手を握った。
「君を想うとすごく優しい気持ちになれた。だけど同時に、君が手に入りっこないことが悔しくて悲しくて苛立って…真っ黒な感情も湧いてきたんだ」
病気が発覚した時思ったんだ。
どうして僕だけ、って。こんな人生あんまりだろ?
最後に野梨子を手に入れるくらい許されるに決まってる。…そう、思ったんだ。
「でも違った。君の近くに居れば居るほど、罪悪感で潰れそうになった。…怖いのは、それでも僕は君を手放せなかったこと」
誰よりも幸せを願いながら、僕から離れるくらいなら不幸になればいいと思った。
その目には僕しか映っていないのに、瞳に僕は映れなかった。

「好きだった。自分でもわけわかんないくて、良いことも悪いこともわかんなくなるくらい。
いい大人が情けないよ。本当に、ごめん…」
彼の目から初めて涙が零れた。涙は重力に従うことなく、耳の方へとまっすぐに流れていく。
「ちょうど良かったよ。あの子たち来てくれて。僕の黒い感情を止めてくれるのは彼らだ。
やっと、君を放してあげられる…」
光一は目を閉じた。
「花嫁姿、世界一綺麗だよ。僕のための花嫁さんって、覚えといてもいい?」
「…えぇ」
野梨子が笑った。大きな瞳から、今にも雫が落ちそうだった。
光一が野梨子を見る。瞬きの度にシャッターを切るように、大切な瞬間を切り取るように。
「…うん。覚えた。一生大事にするよ。」
あと何ヶ月の生涯か、わかったもんじゃないけど。
ベッドの中の彼は笑った。花嫁は涙を零さない。

「最後にキスしてくれない?もちろん、無理強いはしないけど」
その言葉に、野梨子はゆっくりと顔を近づけていった。
眠り姫は王子さまのキスで目覚めて、青年は花嫁のキスで強すぎる想いを眠らせるのだろうか。
二人は今までにないほどに近い。
野梨子が目を閉じると、その睫毛が光一の肌に触れた。
<続く>
230名無し草:2008/02/20(水) 22:00:55
>大女優
GJです!
光一、本当に野梨子のことが好きだったんだね。
なんか悲しいです。
そして久保田さんも気になります。
続き、楽しみに待ってます。

231名無し草:2008/02/20(水) 23:05:40
>大女優
GJです!!
光一のせつない想い、野梨子の優しさ・・・・・・胸にくるものを感じました。すばらしいです。
続き楽しみにしています。

>裕也君の〜
大女優さんのすばらしい話のあとに書き込むのは気がひけますが・・・・・・。すみません。
うまくまとめることができず長文になってしまいました。
つまらない文ですが3レスいただきます。
どなたか続きよろしくお願いします!
「何だって!?裕也が金剛に!?」
有閑倶楽部に裕也誘拐を知らせたのは、ちょうど清四郎がメンバーに金剛脱獄の話をしていた時の、族からの電話だった。
―――魅録君、清四郎君の外見ですでに多くの族を手中に収めてしまったようです。
「あぁ・・・わかった。わざわざありがとな、じゃ」
清四郎は沈痛な面持ちで携帯を切った。
「・・・・・・心配が現実になってしまったんですね」
美童は静かに言った。
「あぁ」
清四郎は目を伏せる。
「くっそ〜金剛の奴しつこいぞお!」
「根に持つ奴は嫌いだ!」
と、可憐と魅録は口々にぶつぶつ言う。
すると、そんな中、悠理が辺りをきょろきょろと見回し始めた。
「?野梨子?どうしました?」
「いえ・・・そういえばさっきから可憐の姿が見当たりませんの」
「可憐ならさっき家に社交ダンスのビデオ取りにいくって出ていったじょ」
「おう。俺がここに来るとき校門の前ですれちがったぜ」
「・・・・・・遅すぎますね」
え?と一同はどよめく。
「どういうことだよ清四郎」
「魅録がここに来たのが2時間前です。――可憐の家はここから往復でも1時間もかからないんですよ。可憐が魅録と入れ違いで出ていったのなら、もう十分帰ってきていてもおかしくない時間でしょう」
「そんな・・・・・・」
悠理は青ざめた顔で口を開いた。
「まさか可憐は・・・・・・」
「また私の外見を使って殿方をたぶらかしているのですわ!」
悠理は断言した。
「ですよね野梨子。僕もそう思っていたところです」
美童もうんうん、と頷いた。
「この前も私の外見で殿方に貢がせていたのですわよ!裕也さんが大変なこんな時に、きっとまた可憐はハーレムを作っているのですわ!」
悠理はまた断言した。
「ですよね野梨子。僕もそう思っていたところです」
美童はまたうんうん、と頷いた。

「(え・・・・・・あんなに深刻な雰囲気だったのにそれでいいの・・・・・・?)」

全員がそう思ったのは言うまでもない。
どこからか「恨んでやるぅぅぅ〜!」という可憐さんの声も聞こえた。(気がした。)
ちょうどそのとき、魅録の携帯が鳴った。
「ちょっと失礼ー・・・。もしもし?うん、・・・・・・え!?本当に!?うん、わかった。・・・・・・もちろん愛してるよ、またね」
「何だよ美童。女か?」
清四郎が不機嫌そうに言った。
清四郎(魅録)の態度に、
「(俺の外見で何人目の女だよ)」
の意味が込められていることを何となく察した魅録(美童)は、
「あ、大丈夫!彼女っていっても、まだ両手両足使えば数えられる範囲内だからさっ」
と、慌てて答えた。
清四郎はこめかみをひくつかせた。
「・・・・・・って、そうじゃなくって、みんなぁ!大変なんだよお!」
魅録は叫んだ。
「?何がだよ美童」
「二股三股がばれましたの?」
「いや、美童の場合は十股くらいはありますよ」
「修羅場か?」
先程の緊迫感はどこへやら、みんな好き勝手なことを言い合う。
「ちがーう!ちがうってば!大変なんだよお!」
「だから何が」
「可憐が誘拐されたらしいんだ!」
「「えぇ!?」」
235名無し草:2008/02/20(水) 23:42:56
>>231
>大女優さんのすばらしい話のあとに書き込むのは気がひけますが・・・・・・

こういうのいらないから。
236名無し草:2008/02/21(木) 01:25:08
>大女優
乙です
それにしても光一が切ないですね
>「野梨子を責めないであげてね。本当にいい子だから」
このセリフをメンバーが言うのではなく光一が言った言葉というのが
また複雑というか皮肉なもんだなと思いました
誰よりもある意味清四郎やメンバーとはまた違った角度で
光一が一番野梨子を理解してたのかもなと思いました
237名無し草:2008/02/21(木) 19:09:03
>大女優
最初はいやなやつなんだろうなと思ってましたが、光一にも感情移入してしまいました。
悪い人間ではないんだろうな、たぶん・・。
光一と清四郎のやりとりに萌えました。野梨子がうらやましい。
238名無し草:2008/02/23(土) 20:55:27
女3人が温泉に行っててあとから男3人が行く話
男3人でどんな会話してたのかな〜
有閑倶楽部がやっと可憐さん誘拐に気がついたところで、一方の可憐さんと裕也君はというと。
「大丈夫?裕也さん」
「あぁ・・・・・・何とか」
金剛に殴られたからではなく、野梨子さんの姿に衝撃をうけて気絶していた裕也君が、ようやく目が覚ましたところでした。
「もう日が暮れるわね・・・・・・。あいつらの仲間が来るのは明日の夕方らしいから、とりあえずそれまでは安全でしょうけど・・・・・・」
「・・・・・・なぁ」
と、裕也はものすごく怪訝そうな顔で野梨子をみつめた。
「あんた、野梨子じゃないだろ」
「(げっ)」
野梨子はうろたえる・・・・・・が、すぐに平静を装って
「あーら!何言ってるの裕也さん、私は野梨子ですわ!おほほほほ」
と、笑い飛ばした。
しかし。
「ごまかすのはやめてくれよ」
「(げっっ)」
「この前会った時から変だ変だと思ってたんだ。俺の知ってる野梨子はこんなんじゃなかったって。だけど・・・今確信した」
裕也の目がまっすぐ野梨子に向けられる。
「(げっっっ)」
「あんた・・・・・・誰なんだ・・・・・・!?」
可憐さん、ピーンチ!!!
ど、どおすんのよ!?
入れ替わりがばれるのだけは勘弁だわ!

「(・・・・・・えーい!こうなりゃやけくそよおっ!)」
「ふふふふふ・・・・・・」
と、突然野梨子は不気味に笑い出した。
「!?」
その何とも言えない迫力に、裕也は思わず後退した。
「いかにも、私は白鹿野梨子にして白鹿野梨子にあらず・・・・・・」
野梨子の目がカッと見開かれる。
同時に、懇親の力を込めて叫んだ。

「私は白鹿ぬり子ですわ!」

「・・・・・・は?」
「おほほほほ!白鹿野梨子は私の双子の姉、私は野梨子の双子の妹なのよ!」
し―――――ん・・・・・・・・・・・・

「(・・・・・・さすがに無理があったかしら・・・・・・)」
野梨子の額からは嫌な汗が流れていた。
「・・・・・・か」
裕也の口が動き出す。
「え?」
「・・・・・・そうだったのか・・・・・・!」
裕也は激しく納得していた。
「(え―――、信じちゃった―――)」
「野梨子とまちがえて悪かったな、ぬり子さん」
「べ、別にいいのよ。野梨子とはそっくりだからよくまちがえられるの」
と、とりあえずセーフ・・・・・・なのか?
それでいいのか?

果たして可憐さんと裕也君の運命、どうなりますことやら。



駄文すみません。。。
続きお願いします!
242名無し草:2008/02/23(土) 21:08:28
ちょ、ぬり子wwwww
フイタwwwww
243名無し草:2008/02/23(土) 22:28:35
えぇっ!?ぬり子って、可憐さん!
激しく納得する裕也もww
244名無し草:2008/02/23(土) 23:13:17
裕也君の心の中
ぬり子。変な名前だな。でも日本画家→塗る→塗り→塗り子か。
「の」より「ぬ」のほうが先だから姉なんだな。なるほど。
245名無し草:2008/02/23(土) 23:15:25
なり子とかねり子もいそうだw
緊迫した状況でも暇なものは暇な可憐さん。

「ねぇ裕也さぁん。あなたまだ野梨子のことがすきなの?」
「あ、あんたには関係ないだろっ!」
「(凄い動揺してるw)関係あるわよぉ。だって私の大切な妹なのよ。」
「好きだ。離れてもまだ忘れられない……。むしろ想いが強くなって。でも、あいつには、清四郎がいるだろう?」
「清四郎?やだー清四郎と付き合ってるのは私よ。ぬ・り・子。この前一緒に帰ってた時にあったでしょ?」

つい話を展開させる為に嘘をついてしまう可憐さんのでした。
247名無し草:2008/02/24(日) 02:52:40
>>246
239-241さんは
のりこが姉、ぬりこが妹 って書いてると思うんだけど…
248246:2008/02/24(日) 12:01:06
ごめんなさいorz勘違いしてました。
246はなかったことにして続きよろしくお願いします。
249名無し草:2008/02/24(日) 13:06:20
>>248
「大切な“妹”なのよ」ってところを「大切な“姉”なのよ」に直せば大丈夫じゃないですか?
せっかくの文章ですし、勘違いは誰にでもありますから……
250名無し草:2008/02/24(日) 14:45:34
可憐が咄嗟に勢いでついた嘘なんだから
言うたびに姉になったり妹になったりしてもアリだと思う。
裕也の方も双子って言葉が先行して姉でも妹でもうっかり聞き流してそう
ということで、いいんじゃない?w
251名無し草:2008/02/24(日) 19:05:59
前作『祝福の鐘よ、いま鳴り響け(前々スレ)』の番外編で、美×野です。
前作とは直接関係ありませんが、ラストの辺が未読だと
悠理の言動が少し分かりにくいかもしれません。
途中、美童に不実な描写があります。
長いため、3日間に分けてうpします。
252夜半に花は落ち(1)美×野:2008/02/24(日) 19:11:39
 ――今こそわかれめ、いざさらば。


 花・花・花。
 冬只中らしく、寒々とした空の下ではあったが、聖プレジデント学園高等部
の前庭では華やかな空気に包まれていた。
 卒業式を終えた後、有閑倶楽部の面々はそれぞれのファンに追いかけ回され
ていた。美童も例に漏れず、あちこちから押し付けられる噎せ返るほどの花束
と、デジカメを片手に駆け寄ってくる女性徒たちに囲まれている。もちろん
望むところであった彼は、愛想よく受け答えする。
 甘い感傷の匂い。
「美童、こっち向いてっ!」
「スウェーデンに帰っても忘れないでね」
「もちろん忘れるわけないさ」
「美童さま!」
 卒業というシチュエーションのせいか、普段はドライな面の強い女生徒
まで、目を潤ませている。
 ああ、可愛いなと思いながら、美童はこの後の算段を頭の中で組み立て
ていた。誰かデートに誘う気でいたが、いまだ誰とも約束を取り付けて
いないうちに卒業式当日となってしまった。彼らしからぬ段取りの悪さである。
 だがこうして女性徒たちに囲まれても、なんとなく気が乗らなかった。
「美童、この後どーする?」
「ごめん、ちょっと予定ある」
 腕を絡めて誘ってきた子に、何のフォローもなくそっけなく断った彼は、
自分でもらしくないと思いながら、人気の少ない塀の傍まで避難した。
 有閑倶楽部の面々を遠目で探したが、誰もいない。
 それぞれが自分たちのファンを相手したり、逃げていたりする間に、
あっという間にはぐれてしまった。
 それにしても清四郎は傑作だった。女生徒だけならまだしも、むさ苦しいの
から紅顔の美少年まで、ありとあらゆる男たちに追っかけられる彼は、これ
まで見たことが無いほど必死の形相だったのだ。あの様子ではしばらく合流
は難しいだろう。
253夜半に花は落ち(2)美×野:2008/02/24(日) 19:13:12
 まあそのうち連絡があるだろうと、美童はそのまま石造りの塀に背中を
預けた。遠く、女生徒たちの嬌声が聞こえる。
 
(あーあ、終わってしまった)

 白いばかりの空を眺めながら、美童は胸中でひとり語つ。
 極東での生活は、思いのほか楽しかった。駐日大使である父親の仕事に
合わせた、単なる仮の棲家であったはずのこの国は、気の置けない友人と
数々の冒険に彩られた得難い思い出を彼にもたらした。
 それも今日まで。
 楽園のときは終わってしまった。
 スウェーデンに帰国することは自分で決めたことだが、やはり寂しい
ことだった。
「美童」
 珍しく物思いにふけっていた美童は、人が近づいてきたことに、声を
かけられるまで気づかなかった。 突然ではあったが、女性の声だった
ため美童は反射的に営業スマイルを浮かべて振り返る。
 果たして、そこにいたのは親友のひとりである白鹿野梨子であった。
「野梨子……」
 微笑んでいる野梨子の姿に、何か他愛もない言葉をかえそうとした。
しかし、なぜか美童は言葉を見つけることが出来ずに絶句する。
 理由は分からない。野梨子はいつもと変わらぬたおやかな様子で、ただ
そこにいただけだったというのに、美童の思考はしばらく停止した。
 初春の悪戯な風が、彼女の緑の黒髪をさらう。
 刹那、心臓を握り締められたかのような胸の痛みを覚えて、美童は立ち
尽くした。
 まだ外は肌寒く、背後の桜の木はいまだ蕾のままである。それでも美童はふと
咲き零れる花々を見たような気がした。
254夜半に花は落ち(3):2008/02/24(日) 19:35:06
 ――卒業してからの5ヶ月は、誰にも語り難い日々であった。


 大学の入学に合わせて、美童は夏にスウェーデンへ帰国した。蒸し暑い日本
から、祖国の地に降り立ったときは、むしろ肌寒くすら感じられた。久しく忘れて
いた北欧の風である。
 彼女のひとりのツテを頼って、激戦の中からストックホルムにアパルトマン
をなんとか借りることが出来た。こちらでは早い段階で親元を離れるのが一般的
で、彼もまたそれにならったためだ。
 大学では国際経済を選択した。あまり実用性のない専攻であったが、父親の
ように外交官になることを朧げに考えていたためである。
 大学生活は充実していた。
 久しぶりの母国語での授業に違和感と苦労があったのは最初のうちで、すぐ
に慣れた。
 スウェーデンの女性たちは可愛かったし、思春期の時期に5年も離れていた
せいか、母国であっても些細なことに新鮮な驚きがあった。客観的に観る
スウェーデンは美しい国だった。古い町並みは欧州のどこにでも見られるもの
であったが、格段に街は清潔であり、清涼な空気が流れている。日本に行くまでは
気にしたこともなかったマルメ運河の穏やかな流れでさえも、目に楽しかった。
 この国に留まる長い冬も、つかの間の夏も、すべてが楽しいものであった。
 そうして一年が経過する頃には、美童は帰国直後の違和感など忘れ、すっかり
そんな生活に馴染んでいた。
 またそういった些細なことに気をとらわれる暇もないぐらいに学業が忙しかった。
スウェーデンでの大学生は、基本的には真面目な学生生活を送る。多くの学生が
高校を卒業した後に自分で資金を稼いでから大学に入学したり、単位を落とせない
学資ローンを組んでいた。美童のような富裕層の子供であっても、真面目に学ぶ
学生たちの中、サボったりしようという者は少なかった。
 また思うところがあって、専攻以外にもフランス語を勉強していたせいでも
ある。
255夜半に花は落ち(4):2008/02/24(日) 19:37:56
 しかし授業の合間を縫っては各国に旅行をした。
 欧州諸国、アメリカ、そして日本。
 とりわけ親しい面々がそろう日本には、何かにつけて足を運んだ。
それでも大学も三回生となった頃には、日本語を話すのに少しだけ舌を
動かす必要が出てくるほどには、遠い国となっていた。



『でさ、今度の夏季休暇に野梨子とそっち行っていい? 悠理は絶対に無理で、
他のやつらも予定つかないかもしれないんだけど』
 帰国して三年目の春が終わる頃、電話口で可憐が言った。
 こちらの時刻に合わせているせいだろう。ときおり欠伸らしき息遣いが聞こ
える。
「いいけど、いつごろになりそう?」
 具体的な日程を確認して、電話口においてあるカレンダーに丸をつける。
『大丈夫?』
「早めに言ってくれたから平気」
『良かった』
 請合った美童に、可憐が安堵の声をあげた。
「ほんと久しぶりだね。夏のこっちはいいよ」
 ちょうど半年振りの再会となる。夏のスウェーデンに来るのは初めての筈だから、
いろいろ案内しようと浮き立った気持ちで考え、仲間たちの顔を浮かべた。
 ――仲間たちと再会する度に、美童にはいつも小さな気づきがある。
 誰もが来るたびにどこかしら変化していた。それは体つきであったり、眼差し
であったり、語る言葉だったりとその時々で違った。
 もう大人への過渡期はとっくに過ぎている。当たり前のことだろう。あの悠理
ですら、はっとするような表情を浮かべることがある。馬鹿をやっていた高校時代
はすでに懐かしい思い出であり、過去である。
256夜半に花は落ち(5):2008/02/24(日) 19:38:46
 また、日本で会うときとは違い、スウェーデンに来た彼らには旅行者特有の空気
があり、あくまでお客さんであった。それが不思議な切なさを美童にもたらした。
『じゃあそろそろこっちは遅いから、もう眠いし切るわね』
「うん。電話ありがとう。おやすみ」
 前の彼女の趣味であるアンティークな受話器を置くと、部屋には静寂が訪れた。
飾り窓からは、夕飯の匂いとともに、通りを歩く学生たちの陽気な話し声が聞こえ
てくる。
 知らず、溜息が零れていた。
 ふと美童は、喜びと半ばして、憂鬱な感情を自分が抱いていることに気がついた。
 つかの間、彼の心は飛び、高校時代の卒業式に立ち返った。
 瞳を閉じると、眼裏には昨日の事のように、学生服で微笑む野梨子の姿がある。
 揺れる黒髪、揺れるプリーツ。幻視の花びら。


 ――あの後、美童は一度だけ彼女と寝ている。
257夜半に花は落ち(6):2008/02/24(日) 19:40:05
 日々はあっけないほど早く過ぎ、夏季休暇となっていた。 
 結局、やってくるのは当初の予定通り可憐と野梨子だけだという。"有閑"を
銘したかつての仲間たちもそれぞれ忙しいのだろう。
 二時間の遅延があったが、ストックホルム・アーランダ空港へ無事に到着した
二人を美童は車で迎えにいった。
 ときおり彼女たちは自家用機などという恐ろしいものを使うこともあるのだが、
今回は悠理が不参加ということで、普通に民間機で来たようだった。
 ビジネスクラスで来たくせに、足が浮腫んだとかなんとか、贅沢なことを言って
いるのに美童は苦笑する。
 到着出口に立つ二人の美女は、いかにも豊かな家の子女といった華やかな装い
もあいまって、異様に目立っていた。彼女たちを連れて歩くことに少し得意な
気持ちになりながら、美童は車中に案内した。
 ストックホルムの新市街にあるホテルへ荷物を置きに向かった後、一緒にお茶を
しただけで、外せない用事のあった美童はふたりと一旦別れた。
「じゃあ明日の朝にロビーでね」
「今日はありがとうございます」
「明日も案内よろしくねー」
 彼女たちは一週間滞在するのだという。まだ遊ぶ機会は十分にある。彼女たちは
この後、観光船に乗るのだといってはしゃいでいた。



 美童は彼女たちと別れたその足で、市街地からほど近い住宅街へ向かった。そこ
で恋人のひとりを拾い、少し早いディナーを楽しんだ。
 彼女は冴子という名の日本人留学生である。スウェーデン語を学びに来ていて、
日常会話ならネイティブとほとんど変わらないくらい流暢に話す。また授業は
スウェーデン語と英語が半々らしいが、どちらも何の支障もなく受けているらしい。
そんな彼女でも日本語が恋しくなるらしく、彼らの接点は日本語だったし、デートも
基本的には日本語だった。
258夜半に花は落ち(7):2008/02/24(日) 19:40:51
「お友達たちはいいの?」
「一週間は彼女たちに付き合うからね。今日くらいはいいさ」
 そう答えながら、確かにデートが今日でなければならなかった理由などない、
と美童は思った。誘われたのは確かだが、断ったぐらいで冴子は嫌な顔など
しなかっただろう。
 だが今晩は美童自身もまた冴子に会いたかったのだ。
 予定通り、ディナーの後に冴子をアパルトマンに連れ込んだ。シーツに、肩まで
の長い黒髪が乱れる。柔らかなベージュの肌に映えて、その光景が美童が好き
だった。だがいつものように心が浮き立たない。そんな心情を隠すように、美童は
むしろいつもよりも優しく彼女を抱いた。
「どうしたの? 何かあったのなら相談ぐらいには乗るわよ」
 事後に、おとなしく腕に抱かれていた冴子がぽつりと尋ねてきた。女性の観察眼
の鋭さにはときおり驚かせられる。あからさまな態度をとったつもりではなかったが、
勘付かれていたらしい。
「ちょっとね……」
 ちらりと野梨子の顔が浮かんだが、美童は何も言わなかった。
 彼女とは遊びの関係であり、お互いに何ら責任を持つ立場ではないが、他の女性に
ついて口にはしないのは最低限のベッドマナーだろう。
 否。
 単に、口にして形となってしまうことが怖かったのかもしれない。
259夜半に花は落ち(8):2008/02/24(日) 19:43:22
 翌日は可憐と野梨子の観光に付き合った。
 観光といっても、高校時代を含めるとこれで四度目のスウェーデン旅行である。
ストックホルム周辺の有名な観光地はあらかた制覇していた。そのため、彼女
たちの目的はもっぱらショッピングやカフェめぐりといった街歩きであった。
 ストックホルムの夏はただでさえ短いというのに雨が多いのだが、幸いにも
これから一週間は晴れ間が続くのだという。

「もうちょっと早く来たら、夏至祭を経験できたんだけどね」

 一日の締めくくりのディナーの席で、白夜についての話題が出たためそう言うと、
彼女たちは残念がった。今も十分夜は明るいが、やはり夏の夜を楽しむには
夏至祭の頃だろう。
「いつか、六月ごろに伺いたいですわ」
 揺らめくキャンドルの灯の先で、黒くて大きい瞳を輝かせて野梨子は言った。
それに魅了されるような、しかしだからこそ顔を背けたいような、なんとも言いが
たい感情に胸を塞がれ、美童はあいまいに頷いた。
 胸騒ぎが収まらない。
 もしかして、あのときからずっと。
260夜半に花は落ち(9):2008/02/24(日) 19:44:40
 ディナーの後、遊びたりないという可憐につきあう形で、彼女たちが泊まって
いるホテルのバーに入った。ちなみに野梨子は疲れたとのことで、先に部屋へ
帰った。
 そのことに、なんとなくほっとした美童は、罪悪感を覚えないでもなかったが、
ようやくいつもの調子を取り戻ってきた。
 カウンター席での乾杯の後、軽薄な調子で近況について語る美童を呆れた
眼差しで見詰めた可憐は、しばらくしてから、唐突に尋ねてきた。
「あんた野梨子となんかあったの?」
 前触れもなく心臓に釘をさすような行為に、美童は思わず口にしていたギムレット
を吐き出しそうになった。それをなんとか耐えて、切り返す。
「――野梨子が何か?」
 可憐は少し言葉を選ぶような素振りを見せた。整えられた指先でグラスの縁を
なぞりながら、ゆっくりと言う。
「いや野梨子は普通だけどあんたの態度が変だから」
 これだから女って奴は侮れない。
「んー、あったといえばあったし、なかったといえばなかった」
「まあ追求しないであげるけど。なんだったら二人きりの時間を用意してあげなく
もないわよ」
 可憐は柔らかな声音で、そう言った。
 高校時代の彼女であれば、好奇心を前面に押し出してきただろう。今もまた瞳の
奥に悪戯っぽい色が見えないわけではない。しかしそれよりも強く、彼女が心配
していることが分かって、理由の分からない憂鬱な感情が少しだけ晴れた気がした。
「いいってば」
 可憐の提案を苦笑して断る。こだわっているのは美童だけで、別に野梨子と話す
ことなど何もないのだ。
261名無し草:2008/02/24(日) 19:48:24
更新に手間取り申し訳ありません。
262名無し草:2008/02/24(日) 19:57:25
>夜半に花は落ち
GJです!
相変わらず文章が綺麗で、うっとりしながら読みました。
次回も楽しみにしています。
263名無し草:2008/02/24(日) 20:39:58
>夜半に花は落ち
乙です!
番外編が読めるなんて、感激です。
スウェーデンに帰って大学生活を送る美童の様子が興味深かったです。
続き楽しみに待っています。
264名無し草:2008/02/24(日) 21:09:32
短編をうpします。
清×野でほのぼの系、Rはありません。
やや季節外れ感がありますが、テーマはこの時期にふさわしい「卒業」のつもりです。
4レスお借りします。
265【夏隣、君恋し。】(1):2008/02/24(日) 21:11:58
季節は晩春。

「――もう桜の季節も終わりですわね」
野梨子と清四郎は学校の帰り、いつもの桜並木の道を通っていた。
この道を通るのも19年目である。
幼なじみたちは、両側に桜の大木が連なるこの道が特にお気に入りだった。
今日は風が強い日なので、清四郎が野梨子を風からかばうような形で歩いていた。
「そうですね。この道もそろそろ桜が散り終わりそうですから、桜も見納めですね」
足元にはすでに散った桜の花びらが、まるで桃色のジュータンのごとく、舞い落ちていた。
「桜の次は美しい新緑が拝めますわよ」
「新緑ですか。風も暖かくなってきましたし、もう夏ですね」
2人はにこやかに談笑しながら、歩みを進めていた。

「……ねぇ、清四郎。私今日、可憐からとても面白い話を聞きましたの」
「面白い話、ですか?」
「えぇ。――清四郎は、どうして海が青いのか、知っていまして?」
野梨子はいたずらっぽく微笑んだ。
その微笑みが、まるで大人に謎かけをして楽しんでいる子供のように無邪気だったので、清四郎はあえて何も知らないふりをすることにした。
「……聞いたことありませんね。どうしてなんですか?」
清四郎は穏やかに尋ねた。

「ふふ。それは――」
266【夏隣、君恋し。】(2):2008/02/24(日) 21:13:52
「海が空に恋をしているからですのよ」

野梨子の澄んだ声が、誰もいない並木道に響いた。
「恋――ですか?」
清四郎はやや拍子抜け気味である。
「えぇ」
そんな清四郎に構わず、野梨子は話を続けた。
「海は空が大好きで――毎日、毎日、ずっと空のことを見つめていたら、自分まで空のように青くなってしまったんですって」
「可憐が好きそうな話ですね」
清四郎はくくっと笑った。
「あら、その言い方は信じていませんわね?」
少し頬を膨らませて、野梨子は幼なじみの顔を見上げた。
さすがに19年目。
お互いの考えていることが手にとるようにわかる。
「発想としてはロマンがあって面白いとは思いますけどね」
「まっ……」
「野梨子は信じているんですか?」
優しい、春の名残のような風が、2人の間に流れた。
「もちろんですわ」
「珍しいですね。野梨子はあまり夢物語は信じない方でしょう」
「えぇ。――ですけど、これは夢物語ではない、現実の話ですもの」
「え?」
清四郎は思わず足を止めた。
野梨子も足を止める。
その頬は、桜のような桃色に染まっていた。

「清四郎が憎まれ口ばかり叩くようになったから、私まで憎まれ口を叩くようになってしまったのですわよ」
267【夏隣、君恋し。】(3):2008/02/24(日) 21:17:14
ざぁぁぁぁぁっ………………………

暖かい、初夏を感じさせるような力強い風が――2人の間を流れた。
まるで、野梨子の声に呼応するかのように。

「あ…………」

――桜が――舞い散る。

野梨子と清四郎は周囲を眺めた。
この風は、この桜は、もしかしたら春の終わりを告げているのかもしれない。
四季の中のひとつの春と、そして、幼なじみという長い春の――――

「――桜、みんな散ってしまいましたわね」
「そうですね」
先程よりも多くの花びらが、2人の足元を覆っていた。
「何だか、寂しいですわ」
「寂しい、ですか?」
「えぇ。もう、桜を――春を見ることはできなくなってしまったのですもの」
野梨子の瞳は、少しだけ憂いを含んでいた。
「いいえ、ちがいますよ。……野梨子」
穏やかな……まるで世界中の優しさをすべて集めたかのような笑みを浮かべながら、清四郎は言った。
「新しい季節が待っていますよ。明るい、煌めくような新緑の――夏が」
「……えぇ」
野梨子も、優しく微笑んだ。
268【夏隣、君恋し。】(4):2008/02/24(日) 21:25:25
「――また、夏になったら一緒に海に行きませんか?」
太陽の光が高々と、2人を照らしている。
「あら……私、泳げませんのよ」
風が頬を撫でる。
「大丈夫ですよ。僕がいますから。――これからも、ずっと」
「……お願いしますわ」
そして2人は再び、慣れた歩調で歩き始めた。

「――野梨子。ひとつ、言い忘れていたことがあるんです」
「あら、何ですの?」
野梨子は大きな瞳で清四郎を見つめた。
「さっき、海が青いのは空に恋をしているからだ、と言いましたよね」
「えぇ」
清四郎も、穏やかな瞳で野梨子を見つめかえす。
そして口元を少しだけほころばせて言った。
「――それでは、空が青いのはどうしてだと思います?」
「……」
ふと、野梨子はいたずらっぽく微笑んだ。
「あら……どうしてなんですの?」
野梨子の左手と、清四郎の右手が触れ合う。
「それはですね――」
触れ合っていた手は、どちらからともなく、自然につながれていた。

「空も海に恋をしていたからですよ」

季節は初夏。
あなたと私、君と僕の……新しい季節のはじまり――――
269名無し草:2008/02/24(日) 21:26:44
駄文にお付きあいしてくださり、ありがとうございました!
270名無し草:2008/02/24(日) 21:28:52
>>夏隣、君恋し。
リアルタイム遭遇嬉しいです!
「空も海に恋をしていたからですよ」にキュンキュンしました。
ほのぼの感が好きです。夏の彼らも見てみたいな。

とにかくGJでした!
271名無し草:2008/02/24(日) 23:09:36
>夏隣、君恋し
なんて爽やかすぎる二人w
穏やかな二人のせりふにほっこりしました
またSS書いてください
272名無し草:2008/02/25(月) 01:02:34
>夜半に花は落ち
さらさらと流れるような文章でほんと素敵です。
美童がちょっと大人でかっこいい・・・
このあと二人の心がどう接近していくのか楽しみです。

>夏隣、君恋し
かわいい二人になんだかにやにやしながら読みました。
この二人も高校生なんだよなぁ。いいなぁw
273名無し草:2008/02/25(月) 14:50:18
GJです!!
自然描写の中に、2人の心情や関係?のようなものが投影されていますよね…。
詩のような深みのある文章で、読むたびに新しい発見がありました。
海と空のように互いに影響し合う2人なんて素敵ですww
274273:2008/02/25(月) 14:52:40
↑↑【夏隣、君恋し。】さんへの感想です。
275夜半に花は落ち(11)美×野:2008/02/26(火) 01:52:35
>>251

 ――しかしながら次の日、ホテルのロビーに立っていたのは、野梨子
ひとりであった。
 飲みすぎて眠たいので、二人で遊んでおいで。自分は適当にぶらぶら
するから。そんなふうに可憐は野梨子に言ったらしい。
 余計なことを。
 内心で美童は舌打ちした。それが可憐の厚意であることは分かって
いたが、苛立たしかった。
 本当のことを言うと、話すことは何もないというより、二人きりに
なることが気まずくて仕方なかったのだ。
 野梨子を抱いたあの卒業式の日から、美童はずっと何か座りの悪い
感情を持て余している。
 それでも表情には出さないようにつとめ、美童は明るく問いかけた。
「どこか行きたいところでもある?」
「前にも行きましたけど、大聖堂をもう一度観て見たいですわ」
「了解」
 車は停めるところに困りそうだったため、ホテルからそのままタクシー
に乗り、近くで降りた。入り組んだ石畳の路地がつづく旧市街にあっても、
まっすぐと空にそびえる大聖堂の尖塔はどこからでも見ることが出来る。
人が多く、うんざりすることもあるが、ここを含めた旧市街全般の古めか
しい雰囲気は嫌いじゃない。
 野梨子もまた楽しそうに証券取引所や重厚な石造りの国会議事堂を
見ている。
どうみても東方の観光客といった風貌の野梨子であるが、そういった景色
と妙に溶け込んでいた。
 シンプルな、しかし上等な仕立てであろうことは間違いない淡青の
ワンピースに、踵の低いパンプス。控えめではあるが堂々とした佇まい
が違和感を感じさせないのかもしれない。
276夜半に花は落ち(12)美×野:2008/02/26(火) 01:53:57
 大広場に足を踏み入れると、一面にオープンテラスが張り巡らされ、
コーヒーとともに短い夏を楽しむ人々で一杯だった。
 そこで休憩を取ることにして店に入った。軽めのランチをとりながら、
会話に花を咲かせる。
 美童が大学の授業のことや、休暇の合間に出かけた旅行の話を
すると、耳を傾ける野梨子はときおり相槌を打ちながらゆったりと笑う。
 高校時代に立ち返ったような懐かしい雰囲気に、美童はふと聖プレジ
デントの生徒会室で話しているような錯覚に陥った。
 野梨子もまたたくさんの話をお土産にもってきてくれた。
 関西の大学に進んだ魅録は元気にしていることや、最近の日本の流行
について。ミセス・エールが日本に帰ってきたこと。
 ――そして野梨子自身のこと。

「それでね、美童。わたくしは、やっぱり母の後を継ぐことにしましたわ」

 野梨子の言葉に、美童は一瞬動きを止め、彼女の顔を見詰めた。
 一度だけ彼女が仲間内に漏らしたことがある。
 高校卒業間際。あれは年の暮れあたりであったか。
 いずれ家元になるのか、と何気なくされた質問に、彼女は少し迷うよう
な素振りを見せて、言った。
 自分が継ぐのではなく、住み込みの高弟に家元の座を譲ってもいいと
思っている、と。
 だがあれから家の状況も、彼女の考え方も変わったのだろう。もう三年
が経っている。
「大変そうだけど頑張って」
「ありがとうございます」
 野梨子の表情は穏やかだ。いつものように変わることなく。
277夜半に花は落ち(13)美×野:2008/02/26(火) 01:55:58
 店が混み始めたのを見て、二人は席を立った。
 カフェを出て、広場の奥の路地をすすみ、とうとう大聖堂前に到着した。
 平日であるが観光客や地元民で賑わい、明るい声に満ちている。
荘厳なファサードの正面に立つオベリスクに言葉なく見蕩れる野梨子
の横顔は無邪気であった。
美童はそっと野梨子の手を握った。
一瞬強張った彼女の肩に気づかなかった振りをし、何食わぬ顔で歩き
始める。
 繋いだ手。指先、肌理、震える温度から野梨子の動揺が伝わってきて、
かえって美童は狼狽した。
 きっと野梨子は平然として――そう、美童に抱かれたあの日の翌日の
ように――何事もなかったような顔をするのだと、疑っていなかった。

 野梨子。

 刹那湧き上がった情動のまま、彼女を腕ごと抱きしめた。小柄な
彼女は、すっぽりと覆いつくせてしまう。
 両脇を歩く人々の視線を感じながらも美童は意識の外に追い出した。
「ねえ」
 黒髪を掻き分け、耳元で囁く。
「あの日のことは、野梨子の中じゃなかったことなの」
 腕の中、野梨子は身じろぎもせずにいた。
 もはや先ほどのような感情の揺らぎを彼女から見出すことはない。身体
は人形のように硬く、また冷たい。
 それをほとんど肯定とみなして、美童は内心で落胆の溜息を漏らす。
 卒業式の日、自分に口説き落とされた野梨子の心中はどのようなもの
だったのだろうか。
 熱意に負けて?
 それともいずれ祖国へ帰る自分の感傷に同情して?
 心を許さない男に、なぜ花を散らさせたのだろう。
278夜半に花は落ち(14)美×野:2008/02/26(火) 01:58:20
 いずれにしても僕はとんだ道化だ。
 ――行為の後、シーツの上で見せた野梨子のかたくなさ、あるいは
冷淡さは、彼女を手に入れたと思って舞い上がった美童の気持ちを覚ます
には十分であった。

「野梨子、僕は」

 ゴーンゴーンゴーン。

 九時課(午後三時)の鐘の大音声が耳を打った。周囲を遊ぶ鳥たちが
一斉に飛び立つ。
 長い鐘。
この世には腕の中の野梨子と自分だけ。言葉はなく、視線も合わない。
 この世には僕たちふたりだけ。けれど僕たちは途方もなく、今ひとりだ。

 ゴーンゴーンゴーン。

 はっと我に返った美童は、言いかけた言葉の先を見失った。つかの間
弛んだ手から、野梨子がそっと逃れる。
「――そろそろ行きましょう」
 美童に背を向けて、大聖堂の中に入ろうとする野梨子の二の腕を
捕まえ、美童は告げた。
「野梨子。この後、僕の部屋へおいでよ」
 聖なる建物の前で、なんという不道徳な言葉だろう。
 だがそんなことは構いやしなかった。
 きっと今しか言えないし、遠まわしの洒落た言葉など思いつきもしな
かった。
 だいたい、もう僕たちの間にそんなものは必要ない。
「ええ、分かりましたわ」
 果たして。
 彼女はやはり、喜怒哀楽の読みにくい静かな微笑みを浮かべていた。
 
279夜半に花は落ち(15)美×野:2008/02/26(火) 02:00:46
 弛んだ斜陽の差す窓ガラスをカーテンで遮り、美童はベッドに腰掛けた。
 口説きの言葉は必要だろうか。心を通わせるための珈琲は。あるいは
最低限の礼儀としてシャワーぐらい浴びるべきか。
 感情が伴わないまま、事務的に美童は考える。
 前の入居者が置いていった古めかしい時計が時を刻んでいた。
 野梨子は木製の机の上へ乱雑に置かれている専門書を物珍しげに見て
いる。経済学。語学辞典。電気を入れっぱなしのラップトップ。
「頑張ってますのね」
「まあね」
 頑張ってはいる。だが、成績は普通である。反対に言えば、頑張らなければ
授業についていけない。中高とのびのびしすぎた美童には、外交官になる
ためにいくつものハードルがあった。
「なんだか高校時代の美童とはちょっと違うみたいですわ」
(同感だね、野梨子)
 心の中だけでそっと返事をする。
 美童もまた、今の野梨子は自分がよく知る彼女ではないように思っていた。
「おしゃべりはもういいだろう、野梨子。こっちおいでよ」
「……ええ」
 傍に座る野梨子。
 昨日、冴子を抱いたベッドに、野梨子の肩口を押し付ける。


   ――確かに、あの夜は酔ってはいた。
   それに、その恋を自覚して、まだ数時間も経っていなかった。
   けれど野梨子。
   酒の勢いを借りたけれども、君に告げた愛の言葉は、一夜限りの
  安っぽいものなんかじゃなかったよ。


 美童は目を伏せた。
 その髪に指を通しても、あの夜感じた胸の動悸は、もう感じなかった。
280夜半に花は落ち(16)美×野:2008/02/26(火) 02:04:21
 夕方には野梨子をホテルに送り届け、夜はまた可憐も合流した。
 たくさん雑貨屋を回った彼女は、満足げな顔をしていた。
 スウェーデンの伝統的な料理を食べたいというので、美童は彼女たち
をストックホルムでもお気に入りの店に連れて行った。
 デートには使えない庶民的な店だが、味は折り紙つきだった。
「美味しいですわ、これ」
「そうだろ」
 ショットブラールを口に含んで顔を明るくした野梨子に、自慢げな美童。
そんなふたりを他所に、可憐はなんとも言えない微妙な顔でテーブルを
見ている。
 彼女にはトナカイの肉やザリガニなどが衝撃的だったらしい。
「ザリガニといっても、僕たちはほとんど海老と同じ感覚で食べてるよ。
 ちょうど今、国産のザリガニが食べられる貴重なシーズンだし」
 含み笑いしてそう勧めると、嫌々ながら食べてみた彼女は、けれど
やっぱり微妙な顔をして、残る二人の笑いを誘った。
 久しぶりのにぎやかな食卓の上で、美童はたくさん笑った。

 ――たくさん、笑った。
281夜半に花は落ち(17)美×野:2008/02/26(火) 02:10:45
 思った以上に話が弾み、店を出たのは、すでに22時すぎとなっていた。
 女性ふたりをタクシーに乗せて、「じゃあまた明日」と告げる。
 可憐が少し驚いたように、「一緒に乗らないの?」と聞く。
「ちょっと顔出すところあるから」
「……そう」
「じゃあね、野梨子も。今日は楽しかったよ」
 手を振る先、タクシーは音を立てて離れていく。
 それを見送った後、美童は石畳の道をゆっくりと歩いた。
 道行く人たちは短い夏を楽しんでいるのか、酒の匂いとともに華やいだ
歌声までもが聞こえてくる。
 美童はその中で聞こえてきたジャズのナンバーを鼻歌でうたった。


 ――今日は楽しかったよ。
 その言葉は嘘ではない。
 美しい(人形のような)野梨子を抱き、親友と楽しい食事を取った。
 何を悔いることがあるだろう。


 ふと歩む足が止まった。
 ほとんど意味を成さない街灯の下、美童は立ち止まったまま、
ほの明るい夜空を見上げた。
 もし、このあてどない想いがいまだに恋のままなのだというのなら、
そんなものは叩き割ってしまえばいい。
 いつまでも更けぬこの白夜は、涙を隠してなどくれないのだから。

⇒つづく
282名無し草:2008/02/26(火) 12:41:30
>夜半に花は落ち
GJです!
続けて読めて幸せです。
美童、勢いで野梨子と一夜をともにしたのかと思ってたんだけど
違ったんですね。今回、美童の心の揺れがよくわかってせつないです。
全く気持ちを表さない野梨子の本心が気になります。
続き楽しみにしています。
「そうだったのか。ぬり子さんが清四郎と・・・・・・。ん?待てよ?今野梨子のこと妹って言わなかったか?」
裕也は再び怪訝そうな顔で野梨子――もとい、ぬり子を見た。
「あ、あら?そうだったかしら?」
「さっきは姉って言ってただろ」
ぎくっっ。
「(そんな細かいところ気にしてなかったわよ!)」
あせる可憐さん。
「い、いやあね〜。ただの言い間違いよお〜」
「本当に?」
裕也の瞳はまだ疑っていた。
そんな裕也に、ぬり子は凄んで詰め寄った。

「気にしたら負けよ!!」

「はい・・・・・・」
裕也君、ぬり子さんに迫力負け。
「あ、じゃあ清四郎に清一郎とか清二郎とか清三郎とかいたりするのか?」
「・・・・・・はぁ?清四郎はひとりよ。どおして?」
すると裕也はとても言いにくそうな様子で言った。
「いや・・・・・・実は昨日の夜、清四郎とウエーブヘアの・・・可憐?さんが2人でホワイトルシアンのコンサートを観に来ててさ」
裕也はちらっとぬり子の顔色をうかがう。
「バイクも2人乗りしててすげーいい雰囲気だったから、てっきり清四郎は可憐さんと付き合ってるんだと・・・・・・」

「ちが――――う!!!」

ぬり子は言葉を遮る。

「どおして私と清四郎が付き合わなきゃいけないのよ――――!!!」

「え!?」
ぬり子さん!?
君は清四郎と付き合ってるんじゃなかったのか・・・・・・!?

裕也君の混乱は続く・・・・・・



つじつまを合わせてみました。
続きよろしくお願いします!!
「だからっ!気にしたら負けなのよっ!男でしょっ!
いちいち細かいこと気にしてたらきりがないわよっ!」
裕也君の気にしてることは全然細かくはないのだが・・・
すでに言ってることが支離滅裂になってる可憐さん、もといぬりこサン。
「は、はい・・・・」
迫力に負けたのか、素直にうなづく裕也君。
ぬりこさん、技あり、一本。気迫勝ち。

その頃、場所は剣菱邸。
「美童ちゃんが相手なんて!はぁ〜悠理と美童ちゃん・・・
どんな可愛い子供が生まれるんでしょう。」
剣菱百合子さんは最近とみに女らしくなった愛娘の恋心を思って
悠理君のクローゼットの中身を嬉々として一新するのであった。

場所はかわり松竹梅邸。
最近とみに軟派な息子を思って千秋さんも嬉々として
息子とのお出かけプランを練っておりましたとさ。
>>224-229
二人の顔が離れる。
「…光一さん以上に私を愛して下さる方はいませんわ。きっとこれからも」
「菊正宗くん以外には。だろ?」
肯定の微笑みは、この人の瞳に綺麗に映っただろうか。
「ありがとう」
最後にそう笑った彼だけを胸に焼き付けて―――病室を出る。
大きな影が廊下の壁に寄り掛かって立っていた。そして、私の名前を呼ぶ。
「野梨子」

我慢できなくて、ついにその影に飛び込んだ。紫の香りに包まれた途端に、子供のように声を上げて泣いてしまった。
清四郎は痛いくらいに力強く抱き締めてくれて、その痛みが私の心を溶かした。それは涙になって、2つの目から流れ続ける。
彼の胸を大分濡らしてしまった。
「…ごめんなさい。もう大丈夫です」
私が離れようとしても、彼は腕の力を緩めなかった。
「…清四郎?」
「…」
私の言葉は聞こえてないのか、はたまたわざと無視しているのか…
それでも暖かい胸は気持ちが良くて、私は解放を目を閉じて待つことにした。
病院の外では魅録達が待っていてくれた。
清四郎が貸してくれたコートはいかにも男物で、ウエディングドレスにそれを羽織った私は滑稽だったと思う。
「お帰り!」
悠理が飛び付いて来る。柔らかな髪はくすぐったくて…幸せな柔らかさに、また涙が出そうになった。
「…寒いだろ?乗れよ」
車の中は暖房で暖まっていた。運転席に魅録、助手席に可憐。その後ろに悠理と美童が座っていて、私と清四郎は一番後ろのシートに座った。
有閑倶楽部がそこにある。その中に自分が居ることがたまらなく嬉しかった。

魅録のお友達のお店に着くと、可憐が大きな紙袋を渡してくれた。
「着替えてきなさい!」
どうやら待っている時間に買ってきてくれたらしい。お礼を言って着替えたそれは、いかにも可憐らしくセンスのいい――
しかし私の趣味も考慮された可愛らしいニットとスカートだった。
脱いだドレスは丁寧に紙袋にしまった。…どうするかは後で考えよう。
お友達が用意して下さったのは広いお座敷で、私が着替え終わった頃には料理と飲み物が既に準備されていた。

「野梨子!早く来いよ」
「ほら、おいしそうだよ」
にっこり笑う悠理と美童は可愛らしい。しかし、私には言わなければならないことがあった。
「えぇ。でも、その前に…」
始めに美童の前に座った。
「…軽薄だなんて言ってごめんなさい。美童は素敵な殿方ですわ」
美童の蒼い目が丸くなる。しかしすぐに優しく笑ってくれた。
「ううん大丈夫。…がんばったね」隣は可憐。
「可憐。ひどいことを言ってごめんなさい。…服もありがとう。一生の親友だと思ってます」
「当たり前じゃない。馬鹿なんだから…。あたしも平手打ちは悪かったわ」
可憐は潤んだ瞳を隠すように、私を抱き締めてくれた。
「…悠理」
悠理もすでに泣きそうだった。
「怒って下さってありがとう。…悲しませてごめんなさい。悠理のこと、大好きですわ」
「…あたい、文化部長、野梨子以外に探せなかった。運動部長と文化部長はセットだもんな」
「えぇ。…魅録」
「…ん」
「ごめんなさい。魅録のお友達は素敵な方ばかりですわ。もちろん、魅録も」
「俺も怒鳴ったりして悪かった。怖かったろ?…ごめんな」
魅録は照れて目を会わせずに、頭をポンポンと撫でてくれた。 次は、…そう、一番緊張する彼だ。
「清四郎、たくさん嘘をついてごめんなさい。でも、―――騙されるなんてまだまだですわね」
「…予想通りの生意気さですね」
「お前らって本当、いつもそーなのな」
みんなが笑った。
「んじゃ、乾杯しようぜ!」
「そーね。野梨子の無事のおかえりにっ!」
「「「「乾杯!」」」」
宴は大いに盛り上がった。特に悠理はごきげんで歌い、しゃべり、…そして一番初めに力尽きた。
「騒ぐだけ騒いで寝ちまったな」
眠る悠理の頬を魅録がつねる。
「でも見て、幸せそうな寝顔」
「…なんか僕も眠たくなっちゃった」
そこに魅録の友人が、タイミング良く毛布とクッションを運んで来てくれた。
全員に配って、悠理にもかけてやる。むにゃむにゃと寝言を言う悠理の髪を、野梨子が愛しそうに撫でた。それは一枚の絵にもなりそうな、暖かい光景だった。

間もなく美童が寝息を立て始めると、可憐も眠りの世界に旅立っていった。
魅録はしばらく友人と話していたが、帰ってくるなり欠伸をしながら毛布にくるまった。

野梨子は甲斐甲斐しく全員の毛布を直してやりながら、彼らの寝顔を見て微笑む。
「野梨子」
声に振り向いて、彼の隣に収まった。一緒に毛布にくるまるなんて、きっと幼い頃以来だ。
「あなたが一番疲れたでしょう。寝ていいですよ」
「…ありがとう」
こてん、と野梨子が清四郎の肩に頭を預けた。さらさらとした黒髪から優しい香りがした。
安らかな時間はゆっくりと流れる。やがて規則正しい寝息が聞こえた。
「…野梨子、もう眠りましたか」
「…」
野梨子は瞳を閉じたまま、それに返事をすることはなかった。それでも、清四郎は続ける。
「もう安心していいんですよね?…お帰り、野梨子…」
そしていつしか清四郎も、穏やかな眠りに落ちて行く。

心地よい頭の重みがなくなった事に気づいたのは、日付が変わろうとする頃だった。

<続く>
290名無し草:2008/02/28(木) 21:26:13
>大女優
GJです!
野梨子の誤りながらも「でも、騙されるなんてまだまだですわね」
の言葉をなぜか嬉しく感じました。すごい、清四郎の予想どうりだ。
一緒の毛布にくるまって眠る様子も想像して萌えました。
でもでも最後の一文が!気になる!
続き、楽しみに待ってます。
291名無し草:2008/02/28(木) 21:51:39
>>283
ありがとう。完璧です。
間違えてよかったと思うほど。
292名無し草:2008/02/28(木) 23:54:36
>大女優
乙です!
嘘の悪口について謝ってた所を読んで思いました
野梨子はどうやってあのみんなの悪口を考えたんだろうなと
そもそも普段思いも付かないことだろうに、一生懸命メンバーの長所を短所になるように無理やり考えたり
他の他人が言ってた悪口を聞いたりしてそれを応用したりしたのだろうか
それって凄い労力使うよなと改めて思いました
続きも楽しみにしてます
293夜半に花は落ち(18)美×野:2008/02/29(金) 01:04:32
>>275

 大学卒業後、美童は兵役拒否のための福祉活動を経たのち、念願の
 外務省の国際開発部門へ入省することが出来た。そして下積み期間を
終えた三年目には、二等書記官としてデンマーク大使館へ派遣された。
 外交官の仕事はある面でシビアではあったが、思いのほかゆとりのある
穏やかな日々であった。むしろ大学時代の方が忙しかったぐらいである。
 その分、暇をすべて予定で埋め尽くしてしまうように、相変わらず彼の
私生活は色とりどりの花に囲まれたものだった。
 デンマーク語も仕事よりは恋人たちから学んだといってよい。
 当時付き合っていた彼女のひとりには、「忙しい男ね」と苦笑交じりに
言われたものである。あいた時間をひとりで過ごすのは苦手だった。


 もちろんたまには有閑倶楽部の仲間たちに会った。
 だがいまや有閑と言って差し支えないのは、花嫁修業という名の無職
である悠理ぐらいであり、彼女以外の仲間とは半年に一度会えることが
出来たらよいほうだった。
 仲間の近況の多くは、悠理からの要領の得ない報告からもたらされて
いた。どうやら彼女もまた美童と野梨子のことをそれとなく察しているようで、
 野梨子の話を聞くことが多かった。
 彼女とは、微妙な関係が続いていた。
 逢瀬のためだけにわざわざ約束して会いに行くことはなかったが、仲間
が集まるために会うことになったときは、ついでのように必ず夜を重ねた。
 野梨子が少女から女へと変化するさまは、離れているからこそ美童の
目には顕著であった。
 美童の手の平でない、どこか遠いところで彼女はひとり花を咲かせる。
 彼女を抱くとき、誰の手にも寄らず咲いた花を、わざわざ散らせるような、
そういった気分に捕らわれた。
294夜半に花は落ち(19)美×野:2008/02/29(金) 01:15:19
 月日は平等に誰の上へも流れていく。
 気がつけばもう、高校時代は懐かしさすら忘れたような、遠い出来事
になっていた。
 けれども、毎日訪れるいくつもの出来事のにまぎれて、いつも何か
忘れ物をしたような、心もとなさを美童は忘れることが出来なかった。

 
 めずらしく野梨子から電話がかかってきたのは、デンマークへ派遣され
てちょうど一年がたとうかという春の終わり頃であった。
『直接会って話したいことがありますの。今度はいつお休みを?』
「直接……?」
 野梨子とはデンマークで二ヶ月前に会ったばかりである。
『もしお休みが取れないようでしたら、一日でもいいですわ。わたくしから
そちらへ伺います』
「いや、大丈夫。最近日本へ行ってなかったし、僕がいくよ。来月なら
なんとか時間が取れると思う。三日くらいは」
『ありがとうございます』
 ほっとしたような安堵の吐息が受話器越しに聞こえた。
 美童は眉をひそめた。
 これは何かあったのだ。しかし、有閑倶楽部の他のメンバーからは、
何も聞いていない。
「何があった? ――って聞いても、今は何も教えてくれないんだよね?
なんかよく分からないけど、なるべく早くそっち行くよ」
『ごめんなさい』
「あやまるなよ」
 今、野梨子はどんな顔をしているのだろう。ふと美童は彼女の頭を撫でて
抱きしめてやりたい気分になった。
 もう長く、記憶にある野梨子の表情は超然とした、弱さを寄せ付けない
ものであるというのに。
 美童はそんな自分を嘲笑った。
295夜半に花は落ち(20)美×野:2008/02/29(金) 01:16:39
 帝国ホテルのロビーラウンジには、たわいないお喋りとコーヒーの
香りが漂っていた。
 あの電話から一ヵ月後。
 待ち合わせに後から現れた野梨子へ向かって、美童は居場所を
知らせるために手を挙げた。
「ご機嫌よう、美童」
「久しぶり〜」
 明るい調子で挨拶をかわしながら、その白々しさに腹の底で決まり
の悪さが沈んでいく。そんな美童を知ってか知らずか、野梨子は前回
会ったときと変わりない様子であった。
 ふたりの再開は、もうここ数年ずっとこういった調子だった。
「今日の柄は華やかだね。似合ってる」
「たまには娘らしい格好をしろと母に言われましたの」
 柔らかいベージュの小紋に、ハナミズキが咲いている。 
 何の気負いもなくさらりと和装している様子は美童の目に馴染むもの
であったが、テレビから抜け出したかのような日本人形と金髪の白人
男性との取り合わせは周囲の関心を引くようであった。
 ホテルという場所柄か、外国人も盛装の女性もそこかしこで見られる。
現に美童ひとりで座っていたときには、さほど注目はされていなかった。
しかし野梨子が現れた瞬間、周囲がはっとしたかのような空気がそこに
生まれた。それが美童には少し気詰まりだった。
 否。気詰まりの理由は視線などではない。野梨子の存在そのものが
近頃の美童には憂鬱で、酷く重たいものだった。彼女は、自分たちが
陽気なハイティーンであった頃とまったく変わらずにいる。美童だけが
軽薄に、そして露悪的になった。
 美童は乾いた舌を湿らせるためにコーヒーに口をつけた。酸味が
抑えられた、さっぱりとしたここのブレンドは彼の好みである。
 凛とした野梨子の眼差しから逃れるように美童は目を伏せた。ふたりは
しばらく沈黙した。
296夜半に花は落ち(21)美×野:2008/02/29(金) 01:21:57
「美童」
 鋭い直線で切りそろえられた黒髪を揺らし、少しだけ小首を傾げた。
つられるようにして視線をあげた美童の瞳を捕らえて、彼女は躊躇いなく
言った。
「わたくし、妊娠しましたわ」
「そう」
 条件反射のように平坦な声で相槌を打ってから、静かな動揺がティー
スプーンを持つ指先から生まれ、ゆっくりと心臓に到達した。
 妊娠?
 コーヒーカップの中で琥珀に波紋が起こった。手が震えている。
「とりあえず、報告だけでもと思いまして」
 久しぶりの来日なのに、こんな話でごめんなさいねと野梨子は微笑む。
(ちょっと待って)
 幾秒かの思考停止を、野梨子は予想済みであるとでもいうふうに、静か
に待っていた。美童とは違い、そこに一滴の乱れもない。
 ――子供?
「驚かせてごめんなさい」
 そう呟いた野梨子の声が、あまりに優しさに満ち満ちて穏やかであった
ため、美童はとっさにその言葉を口走った。
「け、結婚しよう」
「お断りですわ」
 そして撃沈した。
 ショックを受けた美童は、野梨子を凝視した。
「どうして」
「それなら美童、あなた、白鹿の婿に来ることが出来ますの? いいえ。
もしあなたが白鹿の婿になる決意をしても、やっぱりわたくしの方から
お断りですわ」
 はっきりきっぱり野梨子は言った。
297夜半に花は落ち(22)美×野:2008/02/29(金) 01:23:08
 周囲から耳をそばだてられていることに気づき、ふたりは席を立った。
もともと待ち合わせに使っただけである。美童はそのまま自分が宿泊
している部屋に彼女を案内した。
 彼女が備え付けのソファに腰を落ち着けるのを待って、美童は忙しなく
問いかけた。
「産むの」
「ええ」
「僕と結婚しないのに?」
 欧州では、日本でいう事実婚を選択するカップルが多い。だが野梨子が
言っているのはそういうことではないだろう。
「ひとりでも子供は育てられますわ。幸いにも、そう出来る環境がわたくし
には整っていますし」
 その思い切りの良さに、自分のことを棚にあげて、美童は理不尽だと
脳内で喚いた。
 ――さきほどまで野梨子の存在を少々鬱陶しいだの、気詰まりだのと
思っていたし、いつかは別れを告げるだろうとも思っていた。これ以上
となく気の合う親友だった筈の女性と、このように建設的でない関係と
なってしまい、美童は後悔していたのだ。いつか来る別れの際には、
これ以上となく体力が必要だろう、と。
 だがなんだ、この彼女の吹っ切れぶりは。
 恨みがましく野梨子を見やる美童に、先ほどまでの清楚さを拭い
去って、彼女は嫣然と微笑んだ。
 彼女によると、子供のことは美童に伏せることも考えたのだという。
 だが生まれてくる子は混血児であり、どう見ても美童との間に出来た
子供であることを周囲に隠すことは出来ないだろう。それを踏まえ、
誰よりも早く宣告するため、本日美童と会ったのだと言う。
「子供の名前くらいは美童が決めてもよろしくてよ」
「つまり僕は振られるのかい?」
「あなたがそのつもりなのでしたら」
298夜半に花は落ち(22)美×野:2008/02/29(金) 01:26:19
 美童はかっとした。
 いつだって野梨子はひとりで決めてしまう。何もかもを。
 まるで美童の意思などないかのように。
「やだよ僕は! そんなのってあんまりじゃないか!」

「美童」

 激昂する美童をじっと見ていた野梨子が、ふとそう言った。動き
を止める美童の前で、はじめて野梨子は少し困ったように愁眉を
つくった。
「わたくしとあなたの道は違いますわ」
 ――言われるまでもないことだった。
 ふと美童は、これまでの野梨子の態度は、今このときを見据えて
のことだったのだろうか、と考えた。どろどろに溶け合ってひとつ
になるような関係を拒んだのは、彼女自身も美童と同様の憂鬱を
抱えていたからだろうか。
「でも野梨子。僕は君と別れたくないよ。君が好きだ」
「ありがとうございます」
 野梨子は目元を揺らめかせ、そっと手を伸ばすと、美童の頬を
包むんだ。
 ほっそりとした指。何も苦労を知らないような、華やかに装う
女の指。
 子供のように泣きたくなって美童は困った。
「ありがとうございます。美童がくれたこの子がいたら、
 ―――わたくしはきっと戦える」
 瞳を閉じた美童の耳を、聞き違いかとも思えるような小さい
小さいささやきが撫でた。
299名無し草:2008/02/29(金) 01:30:36
「馬鹿!」
「いでっ!」
 剣菱家の正門前。
 会うなり悠理に殴られ、美童はその場にしりもちをついた。
 日本に帰るときのために卸した新品のパンツが台無しである。
 抗議を込めて顔をあげると、悠理がむっとした顔でこちらを見下ろ
していた。
「あたいの前で辛気臭い顔すんな」
「……分かってて呼んだろ」
「そうだけど。もー、このアホ、このヘタレ」
 ともう一回言われ、美童はへこんだ。
 あれから、美童が日本へ来ていることを知っていた悠理から、
一緒に遊びに行こうと電話で誘われたのだ。
 そして冒頭に戻る。
 どうやら悠理は、美童と同様に野梨子を誘おうとして、彼女から
妊娠の件を告げられたらしい。
「ったく何ぐだぐだやってんだよ」
「まさか恋愛のことで悠理に説教を垂れられるとは思って……いでっ。
暴力反対」
「殴りたくもなるよ。なんで今、野梨子をひとりきりにすんだよ」
「無理だよ。野梨子自身が僕を拒んでるんだから。――野梨子と
僕は恋人同士なんかじゃ、ないよ」
 子供のように拗ねた声音になってしまった。我ながら子供っぽいな
と美童自身も思ったのだが、悠理もそうなのだろう。思いっきり馬鹿
にした顔をした。
「恋愛の形なんて結婚だけじゃないだろ」
 美童は目を見開いて、悠理の顔を見た。
 先ほどの言葉ではないが、まさか彼女からこのような言葉を聞く
とは思わなかったのだ。
「野梨子に美童との結婚は無理だよ。それは仕方ないよ。何もかも
捨てて選ぶなんて、あいつには出来ない」
 いつにない厳しい顔をして、悠理はそこに居た。
300夜半に花は落ち:2008/02/29(金) 01:31:48
3日で連載終わる予定だと書いてましたが、
改行規制と、連投規制などに引っかかるので、
明日に最終回が伸びました。
すみません。
301名無し草:2008/02/29(金) 07:58:16
>夜半

うーん、読ませるなあ。
とにかく早く続きが読みたい。
302名無し草:2008/02/29(金) 11:26:26
>夜半に花は落ち
GJです!
お互いの気持ちが掴めないままあやふやな関係が続いていたんですね。
悠理と会った時の美童が高校生の時の彼らしくてなんかほっとしました。
続き、楽しみに待っています。
303名無し草:2008/02/29(金) 14:45:57
>大女優
ニヤニヤしましたw
清野メインでもこういう絡みは久々ですね〜。
続き楽しみにしております。
304名無し草:2008/03/01(土) 12:14:22
>夜半に花は落ち

うわーん、こんないいところでお預けなんて…。
今日、続きが読めることを楽しみにしてます。
305名無し草:2008/03/01(土) 21:08:51
小話

「彼氏にしたい少女漫画のヒーローランキングですって。有閑倶楽部の皆様も載っているのかしら。」
「当然よ。顔よし、家柄よし、お金持ち、載らないわけないわ。」
「1位、花沢類。確かに類様も顔よし、家柄よし、お金持ち、だわ。実は私ファンだったり。」
「2位は千秋様ね。千秋様も顔よし、家柄よし、しかも日本が誇る若き天才指揮者ですわ。」
「3拍子揃ってるのは結構いるものね。で、有閑倶楽部は?」
「6位に松竹梅魅録様。11位に菊正宗清四郎様。」
「あら清四郎様が一番じゃないのね。」
「清四郎様には野梨子様がいらっしゃいますからねぇ。」
「そういえばそうね。」
「魅録様が有閑倶楽部の中で1位というのも解る気がするわ。実際に付き合うとしたら魅録様が1番ですわ。」
「美童様はないのね。」
「美童は彼氏というより遊びたいタイプよね。」


参考URL ttp://ranking.goo.ne.jp/ranking/026/girlscomic_hero/&f=news&LID=news
306名無し草:2008/03/01(土) 21:09:37
「彼氏にしたい少女漫画のヒーローランキングですって。有閑倶楽部の皆様も載っているのかしら。」
「当然よ。顔よし、家柄よし、お金持ち、載らないわけないわ。」
「1位、花沢類。確かに類様も顔よし、家柄よし、お金持ち、だわ。実は私ファンだったり。」
「2位は千秋様ね。千秋様も顔よし、家柄よし、しかも日本が誇る若き天才指揮者ですわ。」
「3拍子揃ってるのは結構いるものね。で、有閑倶楽部は?」
「6位に松竹梅魅録様。11位に菊正宗清四郎様。」
「あら清四郎様が一番じゃないのね。」
「清四郎様には野梨子様がいらっしゃいますからねぇ。」
「そういえばそうね。」
「魅録様が有閑倶楽部の中で1位というのも解る気がするわ。実際に付き合うとしたら魅録様が1番ですわ。」
「美童様はないのね。」
「美童は彼氏というより遊びたいタイプよね。」


参考URL ttp://ranking.goo.ne.jp/ranking/026/girlscomic_hero/&f=news&LID=news
307名無し草:2008/03/01(土) 21:20:15
2重カキコ失礼しました。
308名無し草:2008/03/01(土) 21:21:50
哀れすぎる…w
でも美童は普段からアレだから、本命にはめちゃくちゃ愛情表現してくれそう。
309名無し草:2008/03/01(土) 21:38:34
美童は未だ本命見つからずってかんじだよね。
それとも将来有閑の誰かとほんとの恋に落ちるのかなぁ。
310名無し草:2008/03/01(土) 21:55:30
>305
貼るだけじゃなくてちゃんとネタにしてくれてGJ!
ハムテルに負けた清四郎ワロスw
311名無し草:2008/03/01(土) 23:08:39
自分も彼氏だったら魅録がいいな。
清四郎は大好きだけど恐れ多くて。
312名無し草:2008/03/02(日) 00:42:35
>>305
美童の「美」の字もないなんて・・・orz
公式・その他のサイトの相性診断で、美童と出た私としては複雑な気分。




かく言う私も一番好みのタイプは清四郎だったりするけどw
313名無し草:2008/03/02(日) 00:44:17
ドラマの印象も強いんじゃないかな。
ドラマじゃ美童はカンチガイの三枚目的な扱いだったし。
314名無し草:2008/03/02(日) 00:49:28
ドラマでは美童が一番いいと思った
漫画ではあまり興味がなかったのに
315名無し草:2008/03/02(日) 00:56:25
魅録さすがだねぇ
真壁君もあんなに古い原作なのにつえぇ・・・
316名無し草:2008/03/02(日) 01:00:39
最近、ここでも美童の作品がちらちら読めるようになったから嬉しい。
317名無し草:2008/03/02(日) 01:05:50
美童は浮気の心配が常にあるからじゃないか?
自分は漫画よりここの美童が好きだったりする。
318名無し草:2008/03/02(日) 01:11:11
やっぱ原作じゃないの。
いや、作家さんの作品を貶めてるわけじゃなくて。
319名無し草:2008/03/02(日) 01:20:15
317です。
いいかたが悪かった。
原作あっての二次だもんね。
原作での美童の扱いが悪いんでここでのかっこいい美童が好きなんだ。
原作でもたまにはかっこいい役回りさせてあげてほしい。
320名無し草:2008/03/02(日) 09:23:17
>>319
わかる。
最初、美童はヘタレな気がして好きじゃなかったんだけど、
ここ読むうちに好きになってきた。
ここの美童は格好良くて、程よく三枚目だよね。

実は、ここ読んでるうちに好きカプも変化してたり。。
おかげで、原作読み直す時に新しい視点で読めて、楽しみが増えた。
場所はもどって生徒会室。

「――それでは『可憐&裕也救出大作戦』の説明をします」
ようやく深刻な雰囲気になった(そうか?)有閑倶楽部は、美童の一声とともに行動を開始しようとしていた。
「――魅録と美童の情報から、可憐と刈穂裕也は同じ場所に監禁されている可能性が高いです」
美童はメンバーの顔を見渡した。
「刈穂裕也が東京にいるのが今日を含めてあと3日です。なので目標は今日中、最低でも明日の夕方までには2人を見つけましょう」

「明日の夕方かぁ・・・・・・。最後の1日くらいはみんなで一緒に遊びたいもんな」
「そうですわね」
美童は説明を続ける。
「それではまず、魅録はここに残って族仲間からの情報を待ってください。美童は女性からの情報収集を行なってください」
「了解」
「まかせて」
「僕と野梨子と悠理は手分けして人を監禁できそうな場所を探しましょう」
「わかりましたわ」
「オッケー」
「では行動を開始しま・・・・・・」
と、そのとき。



そのとき・・・・・・?何でしょう?
続きよろしくです。
322321:2008/03/02(日) 11:49:50
上の321は、>>285の続きです。
しばらく間が開いているので、一応。
323名無し草:2008/03/02(日) 12:21:17
>>321
清四郎と悠理はわかるけど、野梨子は一緒に行っても
足手まといじゃない?
324名無し草:2008/03/02(日) 16:07:49
裕也と自分に間違われた(?)可憐がさらわれたんだから
野梨子の性格からして待ってろって言っても聞かないことを清四郎は見越してるのでは?
「悠理!美童ちゃん!」
泣く子も黙る剣菱百合子さんが生徒会室にやって来た。
「母ちゃん!」
可憐が叫ぶ。
「……私、可憐ちゃんに母ちゃんなんて呼ばれる覚えないわよ」
あ、やべっ……と、可憐は慌てて口を押さえた。
「お、おばさま……じゃなくて母さま。こんなところに来てどうなさったの?」
「よく聞いてくれたわ、悠理」
「え?」
「悠理!美童ちゃん!これから2人の婚約パーティーを開くわよ!」
「「えぇ!?」」
「今はそれどころじゃないんですよ、おばさん!」
「そうですわよ!いくらなんでも突然すぎますわ!」
悠理、美童は猛反論である。
「それよりも僕と悠理が結婚だってぇ!?」
「母ちゃん!またそんなこと無理やり決めんなよぉっ!」
当たり前だが、可憐と魅録もさらに猛反論である。
「お黙りなさい!!」
びくっっっ
部屋中が静まる。
「今回は無理やりじゃないわよ、れっきとした噂がありますからね。2人は付き合っているそうじゃない」
「「付き合ってません!!」」
「ほほほ、照れなくてもいいのよ。とにかくもう準備は整ってるから。悠理、美童ちゃん、行くわよ」
百合子さんはノリノリのウキウキである。
きっと今頃、剣菱邸はピンクのフリフリの洪水で、少女趣味のベルサイユ風に飾りたてられているのだろう。
「ど、どうするんだよ清四郎、野梨子……」
清四郎の口調は明らかに動揺していた。
「僕と悠理の将来がかかってるんだ!」
「母ちゃん本気だぞお」
哀れ、可憐(悠理)と魅録(美童)である。
「わかってますよ!……でも、誰があのおばさんに逆らえるんですか……」
「私だって命知らずじゃありませんわ……」
確かに。
それはそうだ、と全員が頷いた。
剣菱百合子さんにたてつくなど、裸体で激戦地に身を投げだすようなものである。

「――ん?待てよ」
何を思いついたのか、清四郎が手帳をめくり始めた。
「清四郎。これはひょっとしたらものすごいチャンスかもしれないぜ」
「……チャンスですか?言っておきますが、僕はもう剣菱を手に入れようとか考えていませんからね」
「じゃなくて。」
清四郎は手帳を閉じた。
「例の大湊組の元幹部が、今は剣菱グループで働いてんだよ」
「本当ですか!?なるほど……確かにそれは……」
「チャンスですわね」
美童と悠理は共に何かを理解していた。
「……?」
「……どういうことだよ?」
ただ2人、話の読めない可憐と魅録はぽかんとしている。

理解の早い悠理と美童に、理解の遅い可憐と魅録。
なかなか面白い光景である。

「つまりですね」
美童が説明にはいった。
「これからおばさんが悠理と美童の婚約パーティーを開きます。当然剣菱グループの関係者は招待されるわけです」
「うんうん」
「可憐と刈穂裕也を誘拐した金剛は大湊組でしたよね?雪月花の事件以降、大湊組はほぼ壊滅状態になりました。そんな大湊組の元幹部なんていえば、どうですか?」
「そっかぁ!絶対裕也を恨んでるよな」
「組をめちゃくちゃにした張本人だもんね」
「その通り。金剛は同じ恨みをもつ大湊組の仲間と共謀している可能性が高いです。だから、婚約パーティーに出席すれば……」
「奴らと接触できるチャンスがあるかもしれない」
美童と清四郎は顔を見交わした。
「――こっちはまかせましたよ、魅録」
「あぁ。そっちもまかせたぜ、清四郎」
「二手に分かれての捜索作戦ですわね」
悠理も顔を見交わした。

おいおい〜〜!?
あたいらの意志は無視かよ〜〜!?

可憐と魅録の叫びはほうっておいて。(ひどい)
悠理と美童は婚約パーティーに出席(というよりも主役としてだが)して、今は剣菱グループで働いている大湊組の元幹部と接触。
清四郎は族仲間からの、魅録は女性からの情報収集、可憐は監禁場所の捜索へと向かうことになった。

――しかし、魅録(美童)君にはどうしても言いたいことがひとつあったのです。
「あのさ、清四郎」
「何ですか美童」
「僕の外見だからって、野梨子にえっちなことしないでね」
……魅録君は美童君の回し蹴りをくらいました。


――とにかく。何はともあれ。
有閑倶楽部始動です!!
329名無し草:2008/03/02(日) 19:27:49
話の区切りが悪くて、だらだらした長文になってしまいました。
つまらない文な上に、ご都合主義な展開ですみません。
続きよろしくお願いします!
有閑倶楽部を動かしてください!!
330名無し草:2008/03/02(日) 19:35:21
うほっいい展開!
スリリング&萌え
331名無し草:2008/03/02(日) 20:16:17
ぐっと面白くなってきましたね!
しかし抵抗せずにパーティなんか開いたら、本当に結婚させられそうだな悠理と美童w
元に戻った時も楽しみ
332名無し草:2008/03/04(火) 15:09:44
>リレー
魅録が美童の回し蹴りをくらうところがツボでした。
333名無し草:2008/03/04(火) 21:02:57

 ○  ●+く
ノ│/



美童様の蹴りはまるで舞のようですね
334名無し草:2008/03/04(火) 21:14:33
>>333
美童さま、素敵ですww
3レス投下します。
お目汚しすみません。
有閑倶楽部始動!!!ということで、まずは剣菱邸。

豪華なシャンデリアと色とりどりの薔薇に彩られた、きらびやかなパーティー会場には、剣菱グループをはじめとする各界の著名人や要人が集っていた。
中央には大きく『剣菱悠理 美童グランマニエ 婚約記念パーティー』の文字が並んでいる。
「さすが剣菱・・・・・・。規模がちがいますね」
「私、何だか緊張しますわ・・・・・・」
主役である悠理と美童は、一番目立つ雛段の上に、まるでベルサイユ風ひな祭りのお内裏さまとお雛さまのように座らせられていた。
どこら辺がベルサイユ風かというと、悠理も美童も和服ではなく、悠理はピンクのフリルのあしらわれた華美なパーティードレス、美童は純白のタキシードを着て、そしてチッペンデールの作と言われる、ン億円の超高価な椅子に腰かけているからである。
また、見た目だけではなく、中身野梨子の悠理のあふれるばかりの気品と、中身清四郎の美童の落ち着いた物腰は、客人たちの目を釘付けにさせた。
しとやかな2人を、うっとりとした瞳で眺める者も多かった。

「悠理!美童ちゃん!とっても素敵よ!」
もちろん、百合子さんの喜びと興奮は言うまでもない。
「どんなにこの日を夢見ていたことか・・・・・・」
「悠理と美童君、なかなかお似合いだがや!」
万作さんも嬉しそうである。
「いやぁ、清四郎君の次は美童君とは・・・・・・。悠理君も隅に置けませんなぁ!」
時宗さんまで祝福し始めた。
「結婚式はいつになりそうですかな?」
「そりゃー早い方がいいだがや!」
「式はもちろんヨーロッパの教会でやりますわよ!悠理がウエディングベルを鳴らすのよ。素敵だわ〜」
嬉しそうな剣菱夫妻(+時宗さん)をよそに、悠理と美童は困惑していた。
(清四郎・・・・・・どうしましょう・・・・・・)
(う・・・ん・・・・・・。これは困ったことになりましたね・・・・・・)
婚約→→→即・結婚!!のこの怒涛の流れは、前回の例を考えれば容易く予想できたことではある。
が、しかし、それにしても、いくらなんでも早すぎやしないだろうか。
これじゃあ大湊組の元幹部と接触すること以前に、悠理と美童の将来の方が心配である。

・・・・・・心配ではあるのだが。
(もうここまできたら引き下がれませんよね・・・・・・)
(ですわよね・・・・・・)
それが現実であった。
「美童君!悠理をよろしく頼むだがや!」
「は、はい・・・・・・。頑張ります・・・・・・」
「悠理も、美童ちゃんにしっかりついていくのよ!」
「え、えぇ・・・・・・。もちろんです・・・わ・・・・・・」

悠理!!美童!!
裕也(さん)と可憐を救うためなんです(わ)!!

ごめんなさい!!・・・・・・と、2人は心の中で必死に謝り、言い訳し続けたのであった。
「――それじゃあ悠理、美童ちゃん」
ピンクのお花を周りに振り撒く勢いの笑顔で、百合子さんが言った。
「誓いのキスよ!」
「「は!?」」
2人の驚声が会場中に響きわたる。
「な、な、何言ってるんですか、おばさん!」
「そ、そんな、わ、私、キ、キスなんて!」
動揺もひとしお。
悠理も美童も顔を耳まで赤くしている。
「だって悠理と美童ちゃんはこれから夫婦になるんですもの。キスくらい普通でしょう?」
「それはそうかもしれませんけどっ・・・・・・」
「私たちはっ・・・・・・」
!!!
2人がはっっと気がつくと、会場中のすべての人々が、熱い期待の眼差しで2人をみつめていた。
「恥ずかしがらなくていいのよ、悠理」
「美童君も、男になるだがや!」
「若いっていいですなぁ」

そ、そんなぁぁぁぁ・・・・・・

さぁ、どうする!?どうなる!?
悠理と美童!!・・・・・・じゃなくて野梨子と清四郎!!
339名無し草:2008/03/04(火) 22:11:18
続き楽しみにしてますw
どなたかよろしくお願いします。
340名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 22:14:49
乙!GJ!
キース、キース!!ww
341名無し草:2008/03/04(火) 22:47:22
自分の体じゃなくてファーストキスは複雑だよな。
どうなるのかドキドキ。といいながらも
自分もキース、キース!
「ど、どうしましょう清…び、美童」
「いくらなんでもこの状況は…避けられる空気ではないですよ」
観客たちの熱い視線をびしばしと感じる。これは…これは…これ、は…
「どうしたの美童くん」
「早くぶちゅっと行くだがや!!」
「…わかりました。悠理」
「え…」
美童が悠理に向き直る。
本来の美童にはない絶対の力を持った目力は悠理を射ぬいた。そして―…

それは少なくとも映画や絵画のワンシーンよりも美しい場面だった。
白いタキシードの美少年が、桃色のドレスの美少女の前にひざまづき、その手の甲に唇を落とす。
ほう…と周りの感嘆が聞こえた。
「おじさん、おばさん」
「え、あ、はい」
あまりの美しさに見惚れていた剣菱夫妻に、美童は微笑む。
「僕は悠理を本当に大事にしたいと思っています。だから…こういうことはもっとゆっくり、時間をかけてしたいんです」
「美童くん…そんなに悠理のことを…!」
「偉いだがや!男の中の男だがや!」
世界の剣菱夫妻、涙目。
「よぉし、乾杯しようじゃありませんか!若い二人の愛に!」
警視総監も感動に酔いしれて、会場にグラスの音が響く。

「…ふ」
「何がおかしいんですか」
「うふふ…だって中身は清四郎なのに、あんなにキザなことができるんですのね。
みんなに見せてあげたいですわ」
「…あぁするしかないでしょう!」

ちょっと頬を染めた美童と悠理の会話は、端から見れば微笑ましい。

(本人たちが戻ってからが大変かもしれませんね)
清四郎は心のなかでそっと二人に謝罪した。





結局キスが書けませんでした…スミマセン
344名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 07:30:50
GJ!
清四郎カッコヨスww
345名無し草:2008/03/05(水) 11:06:25
美童と悠理の外見でひざまずいて手にキスはたしかにうっとり
だよなぁ。中世の貴族の世界ってかんじだ。
乙でした!
346matushima:2008/03/05(水) 12:18:52
私は最近ネットで、好きな<有閑倶楽部>のDVDを探していました。最もいくつのネットショップを探し

当たりました、そのネットショップの支払い方法は銀行振り込みで買い物のみの支払いとなってます。
自分の好きなDVDを探し当たっだ後、売り手にお金を送った、そして、一週間ぐらい待ってて、私にお

金を支払った確認の返事もしてないし、商品も届けていませんでした。
その時、あるDVDのネットショップを探し当たった、<有閑倶楽部>が売っています。その値段がただ

3500円だけ。http://www.shinrakuten.com/1621_.htmlそれはVISAの支払方式を利用しています。もし

商品は送り届けてなかったら、私はお金を支払うことを拒絶することができて、私はこのような商売の

方式がとても信頼できると感じて、試してみた。
やはり6日の後に私のDVDを受け取りました。画面の効果はとてもよい!放送するのもとてもなめらかで

す!
ここで私はすぐにまだみんなに注意しなければならない点を告知します、ネット上のネットショップを

選ぶ時きっとそれの利用している支払方法が何ですかに注意して、信頼できるかどうか、確かめしてく

ださい!銀行振り込みで買い物の方式が非常に不安全です。私達はきっとVISAとPAYPALのような支払い

方法を選んで。このような支払い方法が国際でかなり流行する支払方法です。このような支払方法は安

全で、信頼できます。
347名無し草:2008/03/05(水) 15:37:47
>裕也君の〜
GJです!!
悠理&美童赤面→美童、悠理をみつめる→手キス
の流れを一条先生の絵で見たいと思いました!
美しすぎますw
348名無し草:2008/03/05(水) 21:20:12
夜半の続きが読みたい。
大女優の続きが読みたい。
突発的なの続きが読みたい。
これ、いただくわの続きが読みたい。
病院坂の続きが読みたい。
349名無し草:2008/03/05(水) 21:27:02
連載陣カムバック!
リレーもどんどん読みたい!
その頃。
生徒会室にはそれぞれの情報収集の結果を報告するために、清四郎、魅録、可憐の3人が集まっていた。

「「へっくしゅんっっ」」

可憐と魅録の同時くしゃみが部屋内に響いた。
「・・・・・・どうした2人して。風邪か?」
「うーん、あたい風邪なんか(チーン)めったに(チーン)引かないのにな」
「きっと誰かが(チーン)噂してるんだよ」
可憐と魅録は一緒に鼻をかみながら答えた。
「もしかしたら(チーン)野梨子と清四郎が(チーン)噂してたりして」
悠理クン、正解です。
「噂だけならいいけど(チーン)えっちなことしてるかもよ」
美童君、70%くらい正解です。いい線いってます。
「――じゃあ鼻かみ終わったところで、報告。美童からな」
「(チーン)うん」
魅録はメモ用紙を取り出した。
「えっと、女の子たちに聞いたところだと、可憐を誘拐した車は灰色。車のナンバーは0369」
「ちょっと待て。車の色はわかるけど、何でナンバーまでわかったんだ」
「え、すごいだろ」
「すごいだろじゃなくて」
「実はさ、誘拐現場の近くに交番があって、そこの監視カメラを見せてもらったんだ」
「・・・・・・美童。まさかその『女の子たち』って」
「うん。婦警さん」
魅録は得意気に話を続ける。
「監視カメラによれば、可憐が誘拐された時間帯にあの付近を通行した車はその灰色の車だけだったんだ。それでついでに車のナンバーも調べてもらったってわけだよお」
「・・・・・・美童。普通、交番では監視カメラを公開したり、車のナンバーを調べてその情報を提供したりすることは禁止されてるんだぞ」
「うん。だから、警視総監の息子っていう肩書きと、魅録の色気を最大限に利用して・・・・・・」

バコーンっっっ

魅録に清四郎のチョップが飛んだ。
交番についての記述は、多分ちがいます。
ご都合主義です。(すみません)
続きよろしくお願いします!
353名無し草:2008/03/05(水) 22:56:27
色気で婦警さんを惑わす魅録、うわーっ、見てみたいー!
清四郎はいつもの手帖をとりだした。
車の色は灰で、ナンバーは0369とブツブツと呟きながら記入してるところに
「0369ってミロクじゃん!」と可憐が無邪気に喋る。
「本当だ。悠理よく気づいたね。」と魅録も笑う。
そんな二人に気が付かないくらい清四郎は集中し、何かを思い出そうとしていた。
その頃 剣菱邸
「…そういえば剣菱夫人、悠理君と美童君が交際しているという情報はどこから?」
アルコールが少し入った時宗が百合子に聞いた。
悠理と美童…
もとい、野梨子と清四郎はその話に聞き耳をたて、
この場に悠理が居ないことに心底安心した。
もし、居たら。
その人物の命が危なかっただろう。
「下校中の女生徒が話していたのよ。
ねぇ、あなた?」
「んだ。
『最近、美童様と悠理様が仲良く歩いている』
とかなんとか。」
万作が言った。
「仲良く歩いているだけで交際!
ふ〜む、それなら清四郎君と野梨子君は…」
「あの2人は幼なじみだからと思うだがや。」
「あら、以外にあり得るかもしれないわね。
悠理と美童君の次は
野梨子ちゃんと清四郎君の結婚式かしら。」
と胸を弾ませる百合子。
それを赤面しながら聞いている美童と悠理の姿があった。
その赤面の理由は、
怒りか、はたまた照れているのかは
本人しかわからない。
流れが逸れてしまってスイマセン。
万作と百合子の口調難しい。
続きよろしくお願いする。
357名無し草:2008/03/06(木) 08:38:25
>>355
照れてるに一票!
358名無し草:2008/03/06(木) 17:23:53
↑ぷっナイナイwww
359名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 18:06:56
照れてるにもう一票!!
360名無し草:2008/03/06(木) 18:17:07
自分オールキャストものが好きなんだけど、
このスレって、清×野推奨とかじゃないよね?
『裕也君の〜』はオールキャストドタバタコメディかと思ってたけど、
結局清×野に流れていくし。
スレの雰囲気が清×野っぽいのは気のせいなのか?
361名無し草:2008/03/06(木) 18:18:50
すまんageてもうた
362名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 18:38:38
355の小説は「照れてる」なら清×野だが、
「本人しかわからない」ってかいてあるし、
解釈の仕方は人それぞれ。
と清×野好きな俺が言っても説得力ないけど。
363名無し草:2008/03/06(木) 18:56:27
>>360
じゃあ、続きにレッツトライ!
気に入らないなら書いたら?
364名無し草:2008/03/06(木) 19:40:31
解釈の仕方は人それぞれ。
今回のだって文章中にはっきりと明言してるわけじゃないんだから。

リレー職人さん、気にせず続けてください!
自分はいつも楽しみにしています。
365名無し草:2008/03/06(木) 21:15:02
主役である裕也と野梨子、
魅禄、悠理の話しもあるのに
366名無し草:2008/03/06(木) 23:01:02
話を変えて、妄想しませう。

自分、今年花粉症発症してしまったんだけど、有閑の6人は
大丈夫なのかな。
367名無し草:2008/03/06(木) 23:06:57
美童あたり発症してそう。
「ぼくはデリケートだから・・・」とか言いつつ。
368名無し草:2008/03/07(金) 01:27:37
>>366
清四郎と魅録は大丈夫そう。何となくだが…
場所はとあるビルの1室。
「雪月花と娘の交換が成功次第、裕也を引き渡しますので、はい、えぇ」
ぼそぼそと携帯で連絡を取り合う金剛の姿があった。
あの事件以降、門外不出になった雪月花の価値は表に出なくなればなるほど
高くなるようで好事家の間では『金ならいくらでも出す』という状態にまでなっていた。
まさか絵が猫の爪あとでボロボロになって文字通り門外不出になってるたぁ露にも思わない。
「えぇ、裕也とあの娘は一緒の部屋で監禁してます。別の部屋にして泣き喚かれても困りますので、はい」
話し相手はどこにいるか、というと。
『剣菱悠理 美童グランマニエ 婚約記念パーティー』の部屋から少し離れた物影。
電話の主は大湊総司朗。
あの大湊組組長の甥、大湊組の元頭脳番幹部。
しかし当時まだサラリーマンとの兼業だったために逮捕に至らなかった人物。
そして元頭脳番幹部だけあって、京大卒の肩書きつき。
今では剣菱ファイナンスの期待の若手。
本来ならこんな場所にこれる身分ではないが、そこは組上がり。
目上の人に可愛がられる術を得てます。
勉強ということで剣菱ファイナンスお偉いさん達が特別に連れてきていたのだった。
「金さえ手に入ればこんな茶番はお終いなんだ、頼むぞ、金剛」

美童ならぬ清四郎の携帯にメール着信をつげる振動が。
簡潔に書いてあるそのメールはほかならぬ清四郎、もとい魅禄からであった。
「大湊総司朗、34歳、剣菱ファイナンスの幹部達と来てるはずだ。
今からそっちに向かう。」
添付してある画像には、大湊総司朗の顔写真。
しかし、ちょいとぼけて分かりづらい、がそんな若い人物はこのパーティには
そうそういないので簡単に見つかりそうでもある。
が、この二人、主役なんですよね。
どうにもこうにも動きが取れない二人でもあります。

さて、どうなる!?
371名無し草:2008/03/07(金) 15:43:34
>裕也君の〜
GJです!!
続きが気になる……。
大湊組の元幹部が頭脳番幹部ということは、清四郎(美童)との頭脳戦になるかもですね。
でも美童の外見……ww
悠理と美童は何とか大湊総司朗を探そうと試みた。
すると。
「・・・・・・あ!清四郎、清四郎」
悠理が美童の袖を引っ張った。
「どうしたんですか野梨子・・・」
「あちらを御覧になってくださいな・・・・・・!」
「え?」
美童は悠理の指し示す方向を見た。
ワインを手に持って、いい感じに酔いが回っている剣菱万作に、黒いスーツを着込んだ、一人の男が挨拶をしている。
「あ、あれは・・・・・・!」
「えぇ・・・・・・」
2人は顔を見合わせた。
 「――剣菱のおじさんですね!」
 「えぇ、剣菱のおじさまですわ!」
2人はいたって真剣である。
 「それが、先程からお酒を20杯も飲み干してしまいましたのよ。恐ろしい胃袋ですわ」
 「さすが悠理の親ですね。血は争えないといったところですか」
もう一度いうが、2人はいたって真剣である。
 「しかも飲んでるお酒は『白鹿』ですのよ。あれはきっと私への無言のメッセージですわ」
 「ど、どうするんですか野梨子!」
 「ど、どうしましょう清四郎!」
何度もいうが、2人はいたって真剣・・・・・・
 「・・・・・・じゃ、あ り ま せ ん わ よ―――!!」

パーティーテーブルを勢いよくたたいて悠理は立ち上がった。
「こんなことを言いたかったんじゃありませんわ!思わず『ノリツッコミ』というものをしてしまったではありませんの!」
よほど恥ずかしかったのか、悠理の顔は発火しそうな勢いである。
「ほう・・・うまいですね野梨子。文字通り、野梨子がしたツッコミだから『野梨ツッコミ』ですか」
「・・・・・・」
おそらくは怒りで、悠理の肩はぷるぷると震え出した。
「・・・・・・すみません」
美童はしゅん・・・・・・としぼんだ。
そして2人ははぁぁぁっとため息をついた。
「・・・・・・何だか、ずっと美童の外見でいるせいか、自分がどんどんおかしな方向に行ってる気がしますよ・・・・・・」
「あら、それは奇遇ですわね。実は私もですわ・・・・・・」
はぁぁぁっと、2人は再度大きなため息をついた。
つくづく失礼な幼なじみたちである。
「――とにかく、気を取り直して、話を戻しましょうか」
「そうですわね」
2人は今度こそ真剣な目になった。
「・・・・・・剣菱のおじさまと話している、あの黒いスーツの殿方・・・・・・」
「・・・・・・えぇ。多分、大湊組の元幹部・・・大湊総司朗でしょう」
美童は総司朗を強い目で見つめている。
「どうしますの?清四郎・・・・・・」
「・・・・・・」
美童はしばらく考え込む。そして。

「・・・・・・直接、仕掛けてみますか」
「え?仕掛けるって・・・・・・」
「直接、話しかけてさりげなく可憐たちのことを探ってみますよ。・・・幸い、今の僕の立場は剣菱家の婿養子で、向こうも邪険な対応はできないでしょうから」
「・・・・・・大丈夫ですの?敵は手強いですわよ」
「わかってますよ。でも・・・・・・大丈夫です。野梨子は絶対に僕から離れないでくださいね」
「あら・・・・・・私だって少しは役に立ちますのよ」
そう言って悠理はポケットから極小サイズの盗聴器を取り出した。
「これは心強いですね」
375名無し草:2008/03/07(金) 22:38:40
頭脳戦まで持ち込めませんでした。。。スマソ。
続きよろしくです。
376名無し草:2008/03/07(金) 22:40:31
なんで「…」使わずに「・・・」なの?
377名無し草:2008/03/07(金) 22:48:33
>>376
すみません。
今までのこのリレーが「・・・」で書かれていることが多かったので、統一させてみようかと、合わせました。
読みにくかったでしょうか?
次回からは「…」で書きますね。
378名無し草:2008/03/07(金) 22:52:11
別に読みにくくないからいいんじゃないか?
379名無し草:2008/03/07(金) 23:02:25
自分は多用されると読みにくい。
380名無し草:2008/03/07(金) 23:25:55
自分も別に読みにくくなかったけどなぁ。
このリレーはあえて・・・で合わせてると思ってた。
いちいち点のことにまでからまれちゃあ、せっかく書いてくれた作家さんも立つ瀬ないし。
381名無し草:2008/03/07(金) 23:31:58
遡ってみたら最初の人が・・・を使ってるんだね。
別に読みにくくは無いけど、…があるのになんで・・・を使うんだろう?
と思ったことはあるなぁ。
しかしなんで今頃言い出すんだ?
382名無し草:2008/03/07(金) 23:39:40
>>381
禿同。読めれば何でもいい。
だいたい点論議に燃えてるくらいなら、感想とか続きとか書こうよ。
383名無し草:2008/03/08(土) 00:23:35
・・・を合わせるというのは、リレーを書いてると・・・や改行で誰が書いてるか
個性が出てしまうから、あえて分かりにくいように合わせてるんだとは思ってた。
私も>381と同じく何故…じゃないのだろうと思ったことはあるけど、
別に気になる程のものでもないし、どうでもいいことだったな。
過去のSSでも ・・・の人は結構いたしね。
「おじさん、珍しいですね。こんな若い人もパーティに来てるなんて。」
出来るだけフランクに清四郎もとい美童が言った。
「おお、美童君。えぇと、剣菱ファイナンスの若きホープだがや。」
「大湊総司朗です、お初にお目にかかります。」
丁寧にお辞儀をする大湊総司朗。
「本来なら私のような身分の者がこのパーティに出席できるはずがないのですが、
剣菱ファイナンスの大田社長に目をかけて頂いてるので特別にこの場に居合わせる事が出来たのです。」
「そうなんですか。僕は美童グ・・・」
「グランマニエ君。存じておりますよ。パーティの主役ではありませんか。そして剣菱のお嬢様も。」
悠理を見てにっこり笑うその姿は一分の隙もない。
ーいかにも、頭の回転の速そうな方って感じですわね。
人当たりもソフトで、話し方も穏やか。目上の方に可愛がられるのも納得ですわ。
「はじめまして、大湊様。私もお目にかかれて光栄ですわ。」
その言葉使いに一瞬ぽか〜〜〜〜〜んとする万作。
「ゆ、悠理、おめ、その言葉使い・・・」
後ろで五代が天を向き 「じょ、嬢ちゃまの恋心がこんな奇跡を・・・五代は幸せにございます」
と頓珍漢な感動に打ち震えてる。
「時におじさん、僕達の婚約パーティにまだ皆揃ってないんですよ。何か連絡ありましたか?」
「おぉ!あっただがや!もう来る頃だべや。」
「野梨子からもありましたか?」
「ないだがや。」
その質問に不思議そうな顔で美童を見つめる万作。
「実は野梨子と連絡が取れないんですよ。ーあぁこれは失礼、大湊さん。
僕達の親友で、ご存知ですか?白鹿清洲の一人娘の白鹿野梨子。
いつもなら連絡が取れない、なんてことはないので心配なんですよ」
「ほぅ、さすがですね。僕達とは住む世界が違います。
白鹿清洲の娘さんともご学友とは。」
驚いたように言う大湊総司朗は、憎らしいほど落ち着いている。
動揺のどの字も見せない。

その頃金剛は白鹿家に連絡を入れていた。
「娘を預かっている。娘と雪月花を引き換えだ。
もし警察に電話をしたら、娘の命はないと思え。
脅しでもなんでもない。俺達は人を殺すのなんて何とも思ってないからな。
引渡し場所は、また後で連絡する。いいな、
娘を箱入り娘で返してもらいたかったら警察に連絡しようなんて思うなよ」
「せ、雪月花・・・それだけは勘弁してくれ、
金ならいくらでも出すから娘を返してくれ!
あれは本当にもう駄目になってしまったものなんだ!
猫が絵を・・・聞いてるのか?おい?」
必死に説明をしようとした清洲さんでしたが、当に電話は切られていた。
「の、野梨子 ・・・・は、早く警視総監の松竹梅さんに連絡をっ!!!」
白鹿家もものものしい雰囲気になってきていた。

そんな事は露知らず相変わらず暢気な可憐さん。
「あ〜ぁ、退屈。あいつらちゃんと助け出してくれるわよねぇ」
もうすっかり野梨子の真似をしなくて良くなったのもあって
いつもの調子をすっかり取り戻していた。
「ぬりこさんは、本当に外見はそっくりだけど野梨子とは違うんだな。」
感心したように頷く裕也君。
「何よ、それ。ど〜ゆ〜意味ぃ?」
軽く睨む可憐さん。
可憐さんの容姿でやるなら中々色っぽく可愛らしい媚にもなるけど
容姿は野梨子。少々迫力があります。
「あ、あぁいや悪い意味ではなく、さばけてるというか・・・」
「ほ〜んとっ、男ってお嬢様に弱いわよねぇ、ったく。
ラブレターも読まずに捨てるような冷徹な女なのに」
「?だってぬりこさんだってお嬢様・・・?」
またまた混乱におとりそうな裕也君であった。
というか、以外にこの状況を楽しんでる?
386名無し草:2008/03/08(土) 09:46:57
>リレー
誘拐事件なのにいまいち深刻さに欠けるみんなが好きですw
野梨ツッコミって清四郎……
意外と楽しんでる裕也君とぬりこさんもイイ!
387名無し草:2008/03/09(日) 00:00:54
今夜は誰もいない?
388名無し草:2008/03/09(日) 00:45:26
見てるけど、自分は振れる小ネタすらない
なにかネタでも振ってくれたら、多分住人は自然と乗っかると思うよ

389名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 02:12:40
百合子さんに遊ばれて色んな服を着る野梨子が見たい。
そんな野梨子を見て清四郎がドギマギしてるとイイ。

………逝ってきます。
390名無し草:2008/03/09(日) 05:40:34
>>389
野梨子はいま悠理の姿だから着せかえしたのを清四郎が見てドキドキしたら
悠理に対してって事になるんじゃないの?
391名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 10:32:47
>>390
いや、入れ替わり無しでの話。
…の、つもりだった。
ごめん。わかりにくいな。
嵐さんの所逝って修行してくる。
清四郎、魅録、可憐の3人は、清四郎の運転する車でパーティー会場へと向かっていた。
「やだなぁ・・・・・・自分の婚約パーティーを見に行くなんて」
「あたいは父ちゃんと母ちゃんの浮かれっぷりを想像すると・・・・・・」
はぁぁぁっと、2人はため息をついた。
「・・・・・・」
すると。
あと少しで会場に着くというところで、突然、ハンドルを取りながら何かをずっと考え込んでいた清四郎が車をストップさせた。
「ど、どうしたんだよ魅録」
「会場まであと少しだじょ」
「・・・・・・思い出した」
え?と、2人は首を傾げる。
「思い出したって?何をだよ」
「わかった!僕が口説いた婦警さんの名前だ!」
魅録が手をたたいて叫んだ。
「ちが――う!!」
運転席から、本日2度目ののチョップが魅録に飛んだ。
「・・・ったく・・・・・・何が楽しくて自分自身に何度もチョップを・・・・・・」
「まぁ気にするなって」
チョップされた頭を痛そうに撫でながら魅録は言った。

「お前が言うな!!」
「――で、何を思い出したんだよ魅録」
さらにもう一発殴られた魅録が聞いた。
清四郎は(あーあ、3発も殴っちまって、元に戻った時に頭がたんこぶだらけだったら最悪だな・・・・・)
と、嫌な予感に身を震わせながら答えた。
「可憐を誘拐した車についてだよ」
「えぇ!?本当に!?」
「あぁ。さっき美童から『ナンバー0369の灰色の車』って聞いたとき、何かひっかかったんだ」
「何かって・・・・・・」
「見たことあるんだよ、その車」
「「えぇ!?」」
可憐と魅録は同時に叫ぶ。
「ど、どこで見たんだよ魅録!」
「それをやっと思い出したんだ。――車を見たとき、悠理も一緒にいたぜ」
「あたいも一緒にいた?」
可憐は必死に記憶をたどる。
「あたいと魅録が一緒に・・・・・・あ!もしかして!」
ひとつだけ思い当たる節をみつけ、悠理は目を輝かせた。
「ホワイトルシアンのコンサート会場!?」
珍しく悠理の・・・可憐の頭が冴える。
清四郎は肯定の笑みを浮かべた。
394名無し草:2008/03/09(日) 13:46:36
魅録たち3人のサイドの話を進めてみました。
続きよろしくお願いします。
頭脳戦に期待。
395名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 16:41:31
突然だが。
「いきなり次回予告」で遊んでみた。

野梨子と清四郎は夜毎、逢瀬を繰り返す
許されぬ禁断の恋・・・・
しかし、その密会の現場を、
お魚をくわえたどら猫を追いかけながら
『ドナドナ』をリコーダーで吹きつづける
魅録に目撃されてしまい!

次回こうご期待!

魅録「ドナドナ」ってw
396名無し草:2008/03/09(日) 16:54:23

http://kairuna.hp.infoseek.co.jp/flash/IkinariK.swf
です。>いきなり次回予告
あと、名前ミススマソ。
名無しさん@ピンキー →名無し草
脳内変換ヨロ。
397名無し草:2008/03/09(日) 16:55:59
定期的に貼られるね>いきなり次回予告
398名無し草:2008/03/09(日) 17:31:15
>リレーGJ!
続き楽しみに待ってる。

>>391
女の子3人とも百合子さんの着せ替え人形にされちゃってほしい。
悠理も文句いいながら楽しくなってきちゃってそれを見てる
男たちがそれぞれドキドキしてるといいな。

一方、剣菱邸。
パーティー会場では、美童と大湊総司朗が対峙していた。

――あくまでもシラを切り通すつもりですか……。
  なるほど、やくざから剣菱グループへ転身できただけの男ですから、ただ者ではないとは思っていましたが……。
  しかし……この切札はどうでしょう。

「大湊さんは日本画に興味はおありですか?」
美童は大湊を真っ直ぐに見据えて言った。
「えぇ……嫌いではないですね。それが何か?」
大湊もまた、美童の視線に答える。
まだ、警戒の色は見えない。
「そうですか……。それでは、これもご存知ですよね。白鹿清洲画伯の最高傑作――『雪月花』」
「……」
大湊の笑顔は、崩れない。
「もちろん、存じていますよ。門外不出になってしまった、幻の名作とか」
口元には相変わらず、余裕を感じさせる笑みが浮かんでいる。
「しかし……『雪月花』がどうかされたんですか?」
大湊はあくまでも紳士的に言葉を発した。
その様子を、美童の碧い瞳は注意深くとらえている。
「いえ――それがですね、実は……」
「白鹿画伯から僕たちに、婚約祝ということで『雪月花』を内密に頂いたんですよ」
「……!」
その瞬間。
ほんの一瞬、本当に一瞬だけだが――大湊の瞳に動揺の色が浮かんで、そして、消えた。
「ほう『雪月花』をですか。それはすごいですね」
大湊は再び、何事もなかったかのように取り繕って口元に笑みを浮かべた。
しかし。
美童は大湊のわずかな動揺を、見逃してはいなかった。

「……大湊さんは実物を御覧になられたことはありますか?」
「――いいえ、ありませんが」
「実に素晴らしい作品ですよ。いつか、あなたにもお見せしたいですね」
「それは有り難いですね。楽しみに待っていますよ」
2人はお互いに微笑んだ。
微笑みに何が隠されているのかは――もちろん、誰にもわからないが。

「――しかし、グランマニエ君」
大湊が口を開いた。
「……どうしてそんなに大切な話を、僕にしてくれたんですか?」
大湊の瞳からは、今までとはちがう色が見てとれた。
「内密の話なんでしょう?」
まるでこちらを挑発しているかのような口ぶり。

――掛かりましたね。
――ようやくこちらのペースに乗ってきてくれましたか。

美童は内心、ほくそ笑んだ。
「期待しているんですよ、剣菱ファイナンスの若きホープに。――では失礼」
そう言って美童は、悠理を隣に据えて大湊から離れた。
「……」
美童と悠理の後ろ姿を、大湊はじっと見つめていた。

「――清四郎。どうしてあんな嘘をつきましたの?」
大湊から遠ざかりながら、悠理は小声で美童に尋ねた。
美童はにっこりと微笑む。
「おかしいと思ってたんですよ」
「え?」
悠理は不思議そうな顔で、美童を見上げた。
「大湊たちが刈穂裕也を誘拐したのが、復讐のためなのはわかります。――それでは、野梨子を誘拐したのはなぜだと思いますか?」
「……復讐ではありませんの?」
「野梨子を誘拐した理由が復讐だったら、僕たち全員が誘拐されていますよ」
「……あ……!」
悠理ははっとする。
「私を人質にして、『雪月花』を手に入れるためですのね……!」
「えぇ……おそらくは」
美童は答えた。
「――だから『雪月花』の名前を出してみたんですよ。自分たちが手に入れようとしている『雪月花』が、婚約祝になっているなんてことを聞いたら、いくらあのポーカーフェイスの大湊でも動揺するだろうと思いましてね」
「……相変わらず策士ですわね」
「それほどでも。――それに、本番はこれからですよ」
美童はパーティー会場を見渡した。
「元幹部である大湊は、大湊組のトップに立つ人物です。だから、必ず金剛か他の組員に連絡をとりますよ。僕が話した『雪月花』の現状や、もしかしたら何らかの指示を出すために」
美童は悠理を見つめた。
悠理は手で“盗聴器”の形を作る。
「ご心配なく。清四郎が大湊さんと楽しくお話なさっている間に、ばっちりスーツに仕掛けてきましたわよ」
「さすがですね」
美童は肩越しに後ろを振り返り、背後の大湊に視線を送った。
「さてと――どんな会話を聞かせてもらえるんでしょうかね」
口元には勝利の笑み。
碧い瞳が大湊をとらえる。

――チェックメイトですよ。大湊総司朗さん。
403名無し草:2008/03/09(日) 20:48:33
レスの大量消費すみません。。。
清四郎君の作戦勝ちということで、続きよろしくお願いします!!
404名無し草:2008/03/09(日) 21:35:22
乙っ!
チェックメイトって…
かっこよすぎだぜ清四郎!
405名無し草:2008/03/09(日) 23:03:12
>裕也君 乙です!
上手い展開ですね。
清四郎、かっこええ。
406名無し草:2008/03/10(月) 13:47:29
裕也君の〜乙です。
裕也君の〜乙です。

次回予告やってみました。

目の前で無防備に眠る清四郎の鎖骨から目が離せない悠理!
誰も入ってこないことを確認して、
悠理は自分に言い聞かせるように言った。
「…キスくらいなら…いいよな…?」
清四郎のファーストキスはこのまま悠理に奪われてしまうのか!?
そして出るに出れない押入れの中の魅録!
次回「じゃあセカンドは俺が」こうご期待!
407名無し草:2008/03/10(月) 21:35:29
清四郎の鎖骨・・・
そんでもって魅録、またお笑い担当かいw
408名無し草:2008/03/10(月) 22:04:06
>リレー
GJ!!!
あの美童の顔でチェックメイトって言われたいw

次回予告やってみました!

超短いスカートでいつもパンチラ状態の女子高生可憐。
密かに可憐の事を思う魅録は「可憐☆THE今日のパンチラ日記」を毎日つけている。
そしてパンチラ日記を狙う謎の変体体育教師清四郎。
可憐のパンチラに情熱を燃やす2人の明日はどっち!?

次回「その日記、先生にくれんか?」
魅録「やだ」


ちょっwww
409名無し草:2008/03/10(月) 23:27:01
いきなり次回予告、面白いんですけどw

たくさんの悠理に囲まれて喜ぶ清四郎。
そんな清四郎を冷ややかな目で見る野梨子。
「そんなにたくさんあっても仕方ないでしょ、少し捨ててよ。」

次回「少し捨てられる悠理」 お楽しみに。
286-289
夜の海は真っ黒で、時折月明かりを映してちらちらと光った。
可憐が選んだパンプスは砂浜を歩くには全く適していなかったけれど、
ヒールに高さはほとんどなく、慣れてしまえば気にならなかった。さくりさくりと歩いて行く。
潮風は頬を撫でる、と言うには少々手荒く吹き抜けて、海や空に溶けてしまいそうな黒髪をを弄んだ。
…空気が塩辛い。
涙と同じ味かしら。彼女は1人、そう思った。

なぜ、皆と居た店を抜け出したのかはわからない。
店とこの海が近かったから?…悲しげな波音に呼ばれたのかもしれない。

目的地はない。ただ砂浜を行くだけだ。
…空が白んだら引き返そう。みんながいるあの場所に。

50階の窓から見ていた横浜の海。きっと来るのは最後だろう。

「…野梨子!」
ふいに背後からかかる声。その声をわからぬはずがなかった。
野梨子が消えたことに気づいて居ても立ってもいられずに、清四郎はコートを掴んで店を出た。
しかしはじめての土地、どこに何があり、野梨子がどこに向かったかなど見当もつかない。
(けれど、ほぼ軟禁状態だった野梨子もこの土地に詳しくない筈…)
ならばどこへ行く?
…自分なら、どこへ。

一瞬の後、清四郎は駆け出していた。

海岸は清四郎の足で五分ほどの近場にあった。
砂浜に降りてしばらく走ると、―――すぐに小さな背中を見つけた。
とりあえずの安堵。と同時に怒りさえ湧いてきた。…どこまで心配させれば満足なんですか、貴女は。
ゆっくりと砂浜を踏みしめる彼女に追いつくことは容易かった。折れそうに細い手首を取る。
「野梨子!一体何を考えて…!」
振り向いた彼女を見て、不覚にも言葉は途切れてしまった。
月明かりの下の顔は青白く、瞳はどこまでも深い黒。まるで、人形のような。
「………清四郎?」
ぼんやりとした瞳に光が戻ったのは、彼の名前と共にだった。
「…清四郎、じゃないでしょう」
波音だけが二人をつなぐ。
「夜中に一人で出歩くなんて関心しませんね。帰りますよ」
「えぇ。…あと少ししたら」
「…あと少し?」
清四郎の顔が少しだけ、怪訝そうに歪む。
「清四郎と一緒なら構いませんでしょ?少しだけ…付き合ってくださいな」
微笑む口元が美しい。
…今日だけは誤魔化されてやることにした。
「どこに行くつもりですか」
後姿を見守る清四郎を振り返るでもなく、野梨子はゆく。スカートの裾が潮風に、ひらひらと揺れていた。
「どこまで歩いてもいませんよ。…氷結光一は」
野梨子は立ち止まり振り返る。驚いて見開かれた大きな瞳。そして、ふ、と笑う。
「…なんでも分かりますのね。私にも分からなかったのに」
そう…行かなくてはならない気がしていたのは光一さんの所だった。
じっとしていられなくて、…でも、どうすればいいのかわからなくて。現実に行きたくはない…もう並べない、彼の隣。
「清四郎、私」
野梨子は前に向き直り、再び歩み始めた。
「幸せにしたかったんです、みんな」
黒髪が月明かりを受けて頼りなく光る。
「悠理、可憐、魅録、美童…清四郎、あなたも。…光一さんも…」
その髪が風に揺れると、白い項がちらりと覗いた。
「だけど結局助けてもらって…誰も幸せになんか出来ませんでしたの」
厚手のコートを来ていても、彼女の細さは隠せない。
「光一さんの隣にいても、彼の事なんか考えてあげられなくて、自分で切った縁への未練ばかり」
赤い唇が白い息を吐き出している。
「…それでも、それでも私といた1週間が…、一番、幸せだったって…」
儚く闇に溶ける白い煙を、大きな瞳が追っていた。
「これから、あの方は1人で死んでゆくのでしょうね。側にいてあげさえあげないなんて」
長い睫毛が水滴を含んで揺れてる。
「みんなを裏切って、私…」
立ち止まり、彼女は震える自分自身を抱く。清四郎より2回りは小さな、小さな背中。
その細い腕で、嘘をつき慣れぬ唇で、何人もの人を守ろうとした。…気付かれなければ光一と生涯添い遂げる決意だったのだろう。
抱き締めた背中は見た目よりさらに華奢だった。
自分を殺せるとしたら、この腕の中の少女だと彼は思った。
武道を嗜んだ自分は、性質的にも他人に隙を見せるようなことはない。その腹に刃物を付き立てることができるのは、きっと世界でただ一人。―――白鹿野梨子。…ただ一人だ。

ねぇ野梨子。誰のことも考えないでいい。僕だけで手一杯の筈でしょう?他の人間のことなんか、考えないでいいんです。もう終わったんですよ、全部。
そしてこれから、創めるんです。

「…本当は、こんな状況で言うのは不本意なんですが」
野梨子の髪から手を離さずに、清四郎はその潤んだ目を見つめた。
「すべて準備を整えてからか・・・せめて卒業は待つつもりでいたんです」
「…?」
「結婚しますよ、野梨子」
「…え…」

呆然とする野梨子の左手を取ると、その薬指に指輪を通す。
光一のものとはまた違う。野梨子と清四郎の誕生石が埋め込まれた、凝った造りのものだった。
信じられない、という面持ちで野梨子はその指輪を眺めた。涙がぽろぽろと流れだす。
「清四郎、わたくし」
「もう我慢しませんよ。僕のものです。永遠に」
「でも、だって、私、…ついさっきまで」
「僕がもう限界なんです。一生側から離しません。いいですね、野梨子?」
しばらくの後に、野梨子は涙を拭く。そしてまっすぐ幼馴染に向き合った。
「…ありがとう。離して下さらなくて結構ですわ。…ずっとずっとついて行きます」
清四郎の口角が上がる。
「ま、当然ですな。野梨子の面倒を見るなんて、僕以外にはできませんよ」
「…清四郎の嫌味に耐えられるのも私くらいですわ」
寒さを忘れていた二人に、真っ白な結晶が舞い降りた。それははらはらと次々に、遥か空からやってくる。
「…ホワイトクリスマスですね」
清四郎の言葉に、野梨子は目を細めた。
「クリスマス…今日は25日でしたのね。すっかり忘れていましたわ」
「…長い一週間でしたね」
「…本当に…」
砂浜に落ちる雪は、…手のひらに落ちる雪は、あっという間に消えてしまう。
しかし互いに握った手は、永遠にこの手にあるのだろう。
「帰りますか」
来た道、砂浜を二人で戻る。
行きにはなかった確かなものが、今の二人にはある。そしてこれからの二人にも。
雪は降り続く。
真紅のバージンロードは不恰好な砂浜で、純白のドレスはなく、ライスの代わりに雪が降る。
それは【模範】という言葉が誰よりも似合う彼らには、決して似合わなかったかもしれない。
しかし花嫁は美しいドレスを身に纏っていたときよりも幸せそうに笑う。
その様子を、雪だけが見守っていた。
<続く>
あと少しお付き合いください。
415名無し草:2008/03/11(火) 00:13:00
>大女優〜
GJ。
目から汗がぁ…。
清四郎かっこいいよ。
よかった…野梨子は本当にいい子だ…。
416名無し草:2008/03/11(火) 09:41:45
>大女優
GJです!
ずっと野梨子と清四郎2人のシーンが早く読みたいなと思って
いたので、嬉しいです。しっとりとして素敵でした。
「結婚しますよ、野梨子」←ところどころ清四郎が強気でいいですね。
続き楽しみに待っています!
417名無し草:2008/03/11(火) 10:27:29
>大女優
とうとうSSが100レス達成ですね。
長編連載が読めれて感謝。

光一といた時間は一週間だったんですね。もっと長く感じたから意外だ。
清野甘いですねw
素直な清四郎と野梨子が見れてほっとしたw。
418名無し草:2008/03/11(火) 13:13:19
私は自治厨作家。

なが〜いお約束が大好きで、仕切るの大好き。
便所の落書きっていわれても2ちゃんねる大好き。
話し方が学校の先生みたいって言われるけど、そんな事ないよね?
今、野利個の長期連載書いてます。
自分で言い出したから半年から一年は絶対がんばります。
引かないで。
419名無し草:2008/03/11(火) 13:15:00
アイタタタ
420名無し草:2008/03/11(火) 16:38:16
IDが出ないといいなー
>〜
何度もレス付けられるから。
改行の癖を気を付けないと
同じ人だとバレちゃうから注意。
421名無し草:2008/03/11(火) 16:54:43
>>360
蒸し返すとこのスレッドには清野ずき作家が一人いるから。
サイト立ち上げてもあまり人が来ないからオールカプという事にして
名無しで自演しまくりでかんばっているの。
422名無し草:2008/03/11(火) 19:07:31
>>421
蒸し返すなよ。
いつまでもこんなこと言ってたら誰もSS書かなくなっちゃうよ。
423名無し草:2008/03/11(火) 19:16:57
以下、妄想失礼します。

作品の都合上、カプは伏せて始めさせて下さい。
(2スレ以内で分かるようにはなっています)
カプは1組のみで、他のメンバーは出ません。Rは無しです。

苦手カプと判明した時点でスルーをお願いします。
424<いちばんほしいもの 1>:2008/03/11(火) 19:17:36
実る望みがゼロの恋ほどツラいものは無い。
多分今のあたしの恋が、まさにそう。

彼にとってあたしは既に、親友の内の1人でしかない。
そしてそのポジションから恋人に昇格する可能性は、きっと無い。
彼への想いを逸らせる為に、或いは彼の気を少しでも惹くために
中身の無い恋愛を沢山したけれど。
そんな恋愛がうまくいく筈も無く、毎回決まって咲きもせず散るのだ。

そんなあたしを彼は"男運の無い奴だな"と、憐みと慰めを込めた目で見る。
"次頑張れよ"と、友達として励ましてまでくる。
その度に深く傷付くだけなのに、懲りもせず同じ事を繰り返すのだ。

たった一度だけ、勇気を出して賭けに出た事がある。
実は自分から告白なんてした事がないあたしが、精一杯言えた言葉。

「頑張れって言うなら、あんたが彼氏になってちょうだいよ」

一回目の高校3年の雨の日だった。彼と2人きりで電車で帰れる日。
その時を狙った。
だけど結果は、予想通り。

「バカ言うなって」

あたしの言葉をただの冗談と思ったのだろう。彼は笑ってそう言った。
結構真剣に言ったつもりだったのに。
親友でしかないあたしのその言葉は、その想いは、彼には届かなかった。
諦めるしかないと分かっている、頭では。
でも、どうしても…
425<いちばんほしいもの 2>:2008/03/11(火) 19:19:40
自分が今、確実に恋をしている事は分かっている。
そして、その恋が実ることは無いことも。

彼女のタイプはイケメンで金持ち。その時点で既に俺は外れている。
それ以上の問題は、彼女から"恋愛に興味が無い男"だと思われている事だ。
彼女にとって俺は完全に射程外。性別を超えた親友でしかない。

だから、未だアタックした事は無い。
振られるのが怖いからじゃない。振られることは分かっているのだから。
怖いのは、親友というポジションまで失ってしまう事だ。
何もしなければ永遠に親友のまま傍に居られる。
…そんな安全牌を用意して逃げ続けている自分が、心底情けなくも思う。

そして更に。
一回目の高校3年のある雨の日、彼女にとって俺がどういう存在なのかを認識してしまった。

「頑張れって言うなら、あんたが彼氏になってちょうだいよ」
男に振られた彼女に"次頑張れ"と、いつも通り心にも無い言葉を掛けた時に
彼女から返って来た言葉だった。
恋と恋の間の穴埋め。その時の彼女の気分は、誰でも良かったのだろう。
彼女にとって俺は"誰でもいい1人"でしかない。笑えない状況に笑いが込み上げてくる。

「バカ言うなって」

俺はそう言うしか出来なかった。
本当は彼女の言葉を買って、彼女の全てを奪いたい気持ちだったが。
"親友"の安全牌にしがみついている俺に、そんな勇気が在る筈も無かった。

想いを断ち切った方が良い、絶対に。
それが分かっていて出来ないのは、心の底で未練がましく成就を願う気持ちがあるからだ。
南の島での恋はスッパリ断ち切れたから、自分の恋愛は割とあっさりしていると
思い込んでいたが、そうではないようだ。
426<いちばんほしいもの 3>:2008/03/11(火) 19:20:34
高校生の間に迎える、あたしの最後の誕生日。
みんながあたしの為にパーティを企画してくれたけど、
ゆっくり集まって、ゆっくり楽しみたいという理由をつけて
翌日の土曜日にしてもらった。
肝心の当日は、というと。
好きでも無い男とデートの約束を入れていた。
イケメンな上、20代にして商社を2つも持っている男。
その男に、幼い頃、家族3人で植物園に行ったという思い出話をしたときに、
"僕も君の大切なその場所へ、君と行ってみたい。君の大切な日に。"
と、誘われたのだ。

本当に好きな人と誕生日を過ごしたい。
思い出の場所に行くのなら、好きな人と行きたい。
…でも今のあたしには、それは叶わない夢。
もしかしたら、明らかにあたしに気のある目の前のこの人と誕生日を一緒に過ごせば
今の恋を忘れて、新しい恋を始めさせてくれるかもしれない。
そう思って、誘いを受けてしまった。
…でも結局あたしは、そこへ向かう電車に乗る前に罪も無いその男を振った。
その男では、あたしの心は動かなかったから。
本当はそんな事、最初っから分かっていたのに…

大切な人と、大切な場所で、大切な日を過ごしたい。
夜7時。その思いだけに支配されたあたしは、後先考えずに
電話を耳に当てていた。

「…もしもし?お前、今日デートじゃなかったのか?」

痺れるくらい好きな、少し低めのこの声。
あたしは考えるよりも前に言葉が出ていた。

「ねえ、お願い。今から来て…!」
427<いちばんほしいもの 4>:2008/03/11(火) 19:21:07
俺が彼女の誕生日を隣で祝えない事なんか分かっている。
だが、その大切な日を彼女が別の男と過ごす事を楽しそうに話すのを
俺はまともに聞いていられなかった。

「植物園で、イルミネーション点灯してるんだけどねぇ、
それに誘われたのよぉ。ロマンティックでいいでしょ。」

学校が終わったら待ち合わせなの、と昼休みに嬉しそうに言ってたな。
放課後、俺は部室に寄る気分にもなれず、だからといってやることもなく、
自分の部屋でタバコを咥えていた。

時計を見ると夜7時。どうにもならない事で落ち込んでいても仕方無いだろ、と
自分にやっと言い聞かせ、タバコを灰皿に押し潰した。
その時、尻ポケットが震えた。

…彼女からの着信。
何?誰?何時?何処?どうして…。俺の頭の中で5W1Hが激しく渦巻く。
無意識に深呼吸して、電話に出た。

「ねえ、お願い。今から来て…!」

いつもとは違う、か細く弱い声。
俺は考えるよりも前に言葉が出ていた。

「わかった、何処に居る?」
「し…植物園の…前…」

電話を切った俺は、バイクを飛ばしていた。
428<いちばんほしいもの 5>:2008/03/11(火) 19:21:44
電話を切ってから実際には20分程経っていたと思うけれど、
考える事柄が沢山あったあたしにとっては、あっという間だった。

気が付いたら、目の前に彼が立っていた。
「デート、駄目になったのか?」
急に呼び出してしまった事に対して怒りもせず、
誕生日に惨めに1人で待っていたあたしの姿を決して茶化すこともせず、
心配そうに訊ねた彼。
彼の顔を見て、声を聞いて、思わず涙が溢れ出した。
そのせいで彼を待つ間に用意していた言葉があったのに、告げることが出来なかった。
"あんたと過ごしたいの"と。

「俺は…どうしてやればいい?」
黙って泣いているだけのあたしに困ったのであろう彼は、そう聞いた。
「…今日、あたしと…一緒に居てくれない…?」
当初用意していた言葉とは違うけれど、望んでいる事は言えた。
彼は少し困惑した表情を見せた後、「わかった」と短い返事をした。

どうして、何も聞かないの?どうして、一緒に居てくれるの?
誕生日のデートが潰れたのを親友として"可哀想"だと思ったから?
色んな思惑が頭をよぎる。

でも、あんなに突然呼び出したのに彼は来てくれた。
その事だけで、もう凄く嬉しい。
そしてその事があたしを期待させた。ひょっとしたら、と…。
429<いちばんほしいもの 6>:2008/03/11(火) 19:22:16
電話を切ってから実際には20分程しか経っていないが、
一秒でも早く到着したい俺にとっては、信号待ちの時間ですら
永遠のように長く感じた。

少し手前でバイクを停めた。
遠めに見ても華やかで綺麗な彼女はすぐに発見できたが
走って息切れした自分を見せるのがカッコ悪くて嫌だったから、
逸る気持ちを抑えて歩いた。

「デート、駄目になったのか?」
聞かなくてもそんな事は分かっているが何となくそう言ってしまった。
だがすぐに"しまった"と思うはめになる。
その質問を聞いて、俺の顔を見上げて、彼女は涙を零したからだ。
誕生日を一緒に過ごしたい程好きだった男と別れた事が辛いのだろう。
だが、他の男に向けられた涙を目の前で見ていなければならない俺だって辛い。
「俺は…どうしてやればいい?」
本当は俺の方こそどうにかしてほしい気持ちだったが。

「…今日、あたしと…一緒に居てくれない…?」

"あんたでいいから"という言葉が含まれているのだろう。
誕生日を1人で過ごすよりは誰かと居たいから、穴埋めに俺を呼んだ。
それが分かっているから答えに迷った。

…でも結局OKしてしまったのは。
穴埋めだとしても、彼女が自分の特別な日に俺を呼び出したのは事実。
そしてその事に俺は期待してしまったから。もしかしたら…と。
430<いちばんほしいもの 7>:2008/03/11(火) 19:22:55
彼と、植物園に入った。
普段は18時に閉園するところを、イルミネーション開催期間限定で
遅くまで開園しているらしい。
昼に入った時とはガラリと印象が違う。
派手な演出はせず、小さな電球で花々をひとつひとつ照らし出すような
細やかな装飾が施されていた園内は、神秘的な空気を漂わせていた。
「すてきね」
「そうだな」
会話とはいえないくらいの短い言葉が行き来する。

"大切な人と、大切な場所で、大切な日を過ごしたい"
望みが叶ったのに虚しい気持ちなのは、一方通行の想いだから。
彼の気まずそうな表情を見ると、焦りと後悔が押し寄せる。

「こ、此処はね、パパが生きてる時に家族で来た場所なの。」
何か言わないと、と思った。
「パパもママも忙しくって、家族で遊びに行ったことなんて殆ど無いんだけどね」
その時に見たバラが素敵でバラが好きになった事や、開きかけの蕾に顔を近付けたら
蜂が居て危うく刺されそうになった事。
パパから嬉しい事を言われたり好きな物を買って貰ったりした訳じゃない。
何も特別なことなんて無かったんだけれど、
「あたしにとっては、大事な場所なの。」
間を持たせたくて、そんな話をした。

「…そうか」
そう言って、彼は一歩先を歩き出した。
突然訳も分からず呼び出されて、面白くも無い思い出話を聞かされたら退屈よね…。
彼はきっと、早く用事を済ませて開放してほしいに違いない。
あたしは深いため息をついた。
431<いちばんほしいもの 8>:2008/03/11(火) 19:23:38
会話が続かない。
彼女のデートが無くなった理由も、此処に呼んだ理由も分からない状況では
何を話しかけても地雷を踏みそうで、臆病な俺は彼女の言葉を待つしかなかった。

「あたしにとっては、大事な場所なの。」
大切そうに思い出を語って、彼女は最後にそう締めた。

だから、本当は別れた男と一緒に来たかったのだと言いたいのか。
「…そうか」
それ以外に返事のしようも無い。
たぶん俺は今、目も当てられないような情けない顔をしている。
それを見られたくないから大股で一歩踏み出した。

後ろで大きなため息が聞こえる。

「そんなに後悔してるなら、俺なんかと暇潰ししてねえで追いかけろよ」

やけくそで言い放ってしまった。本当は追いかけろなんて思ってもいないくせに。
彼女から返事が無いから、もう一つ付け加えた。
「まだ誕生日は4時間あるんだしさ。」
ほら、行けよ。このまま一緒に居たところで、お互いに辛いだけなんだから。

「何の事よ…?」
彼女は怒りも笑いもせず、本当に意味が分かってなさそうな様子だった。
だから「ばか。今日別れた男の話をしてんだよ。」と、丁寧に教えてやった。


「ばかはあんたよ!!誕生日だから振ったのよ!!!」

周りの他人が一斉に俺達を振り向くのに充分な声量で、彼女は怒鳴った。
言っている意味もよく分からない。俺は何の地雷を踏んだんだ…?!
432<いちばんほしいもの 9>:2008/03/11(火) 19:25:08
「そんなに後悔してるなら、俺なんかと暇潰ししてねえで追いかけろよ」
急に何の話をしだすのかと思った。
「まだ誕生日は4時間あるんだしさ。」
そんな事は知ってるわよ。だからあんたを呼んだのよ。
色々な事を考えたけどやっぱり意味が分からない。
だから"何の事よ"とストレートに聞く以外になかった。

「ばか。今日別れた男の話をしてんだよ。」
今日別れた男?…え、まさか数時間前にあたしが振った男の事を言ってるの?
薄情だけど、そんな人の事なんてもうすっかり忘れてたわよ。
なのに何で追いかけなきゃいけないわけ?
"俺なんかと暇潰し"? 暇潰しじゃないわよ!必死なのよこっちは!
勝手に想って勝手に呼び出したのはあたしの方なのは分かっているけど、
ものすごく、ものすごく腹が立ってきた。

「ばかはあんたよ!!誕生日だから振ったのよ!!!」

彼がびっくりした様子で振り返った。
色んな感情が、血と一緒に頭へ上ってきて、それが口から勝手に溢れ出す。

「本当に好きな人と誕生日を過ごしたいから、好きじゃない人を振ったのよ!
ここへだって、大切な場所だから大切じゃない人とは来たくなかったのよ!
どうしてあんたが追いかけろなんて言うのよー!酷いわよほんと!
何なのよ、ちょっとでも期待したあたしがバカだったわ!
突然呼び出したのに嫌な顔しないで来てくれて、ほんとに嬉しかったのに!
あんたの顔見ただけで涙が出るほど好きなのに!
なのに"暇潰し"って何よぉー!!ひどいわよぉ!!
そりゃあんたはあたしの気持ちなんて知る筈も無いでしょうけど、
だからって、なんであんたにそんな事言われなきゃ───────」

突然言葉が出なくなった。それに、息も出来なくなった。
体も金縛りにあったみたいに動かない。なんで…?
433名無し草:2008/03/11(火) 19:29:08
連投支援
434名無し草:2008/03/11(火) 19:34:12
あれ?職人さん規制かかっちゃったかな?
435名無し草:2008/03/11(火) 19:51:06
同じく連投支援
436<いちばんほしいもの>:2008/03/11(火) 21:58:13
>>433
>>434
>>435
どうもです。規制かかっちゃいました(汗)
あと、改行エラーも多かったのでもう少し整理してからうpします。
437433,434:2008/03/11(火) 21:59:23
>>436
待ってます!
438名無し草:2008/03/11(火) 22:40:36
連載陣にもリレー陣にもどんどんうpしてほしい。
楽しみに待ってます。。
439名無し草:2008/03/11(火) 23:37:47
>>436
楽しみに待ってます!
440名無し草:2008/03/12(水) 00:41:43
たしかに大女優は幸あれって変わったタイトルの職人さんは支配的かも。
この場所を自分色に染めたい風に見える時がある。
441<いちばんほしいもの 10>:2008/03/12(水) 01:57:14
>>432
彼女はそうとう怒っているらしい。
"誕生日だから振った"という言葉の真意を、俺は必死で探していた。
その間に彼女は俺の目の前に回り込んできていた。
そして瞳に涙を溜めて、物凄い勢いで喋り出した。

"本当に好きな人と誕生日を過ごしたい"
"大切じゃない人とは来たくなかった"

何なんだよ、その誕生日を此処で俺と過ごしちまってるじゃねえか。
思い出のある大事な場所に、わざわざ呼び出しまでして…。…?
わざわざ…俺を。ここに……え…?大切な人と来たいから…俺を…?…!
…えぇぇ!マジかよ!…いや、それは無い。期待するな俺。そんなハズは─────

「あんたの顔見ただけで涙が出るほど好きなのに!」
彼女は確かにそう言った。

心よりも体が先に反応していた。
まだ怒って喋り続ける彼女の腕を引き寄せて、自分の腕の中に抱き締めた。
そして彼女の唇に、自分の唇を重ね合わせた。

力を入れたら折れてしまいそうな細い身体と、手の甲に触れる柔らかな髪、
そして、涙の味がした弾力のある唇。
自分の行動のヤバさにはとっくに気付いていたが。…離したくない。

暫く俺の腕の中でじっとしていた彼女が"んっ…"と息苦しそうな声を上げた。
その声で、俺はやっと唇だけ離した。
少し冷静になった俺の脳内を、羞恥心が襲う。
今まで呆れるほど逃げ腰だったくせに、好きと言われて反射的に身体が動いて
しまった自分が情けなくて、恥ずかしくて。
それでも俺は。
「俺も…ヤバいくらい好きだ。」
442<いちばんほしいもの 11>:2008/03/12(水) 01:57:49
あまりに突然だったから、目を閉じることも出来なかった。
背中に回された腕の力強さと、引き締まった胸板から感じる体温と、
そして、彼のタバコの薫りが残る唇。
キス…してるのよね?何で…?それよりも。…このまま離れたくない。

と思ったのに、息をするのを忘れていたあたしが声を上げてしまったせいで
唇は離れてしまった。あたしはすぐに彼を見上げた。

「俺も…ヤバいくらい好きだ。」

何の話?好き…?ああ、そうなの。…え…?ちょっとまってよ…?
今、"好き"って言ったの?もしかしてあたしの事を言ってるの?
…もしかするわよね…?だって今、キスされたし。今も彼の腕の中に居るし。

「あたしの…事…?」
「この状況で他に誰がいるんだよ。…おまえの事だよ、可憐。」

物凄く照れた様子の彼があたしの名前を口にしたその瞬間、体中が熱くなった。
…そうよね。あたしの事よね。
ほんと?だったらいつから?どこから?なんで?…授業で習ったコレ何だっけ。
5W1…。…ああもう!そんな事今どうだっていいのよ!

「あたしも、魅録が好き!」

今度は自分から彼にキスを落とした。
不思議ね。さっきまで不安と焦りと後悔で押し潰されそうになっていたのに。
自分の中で次々と花が咲き開いていくのを感じた。
443<いちばんほしいもの 12>:2008/03/12(水) 01:58:16
「あたしも、魅録が好き!」

嬉しそうな微笑みで彼女が俺の名前を口にしたその瞬間、体中が熱くなった。
その体温が直ぐに唇へ集中する。
可憐も俺が好き…。まさかそうだとは考えもしなかった。
いつからだったんだろうか。

「…あたし、絶対ダメだと思ってたのに。嬉しい!」
唇を離した可憐は華が咲いたような笑顔でそう言った。
さっきまで鬼のように怒っていたのが嘘のようだ。
「なんでダメだと思ってたんだよ…?」
「だって、あんたに一回ふられてるもの」
「え?何だそれ。知らねえぞ。」
「去年の雨の日、言ったじゃない。"彼氏になってほしい"って。」
「……え、あれマジだったのか?!」
「え、本当に冗談だと思ってたわけ?!」

少なくとも一年は両想いだったとは、随分長いすれ違い。
悩んだのが無駄だった様にも感じるし、想いを熱くさせたとも思える。
とにかく今は可憐を離したくない。力一杯抱き締めようとしたときに、
周囲の人間から、かなりの注目を浴びている事にやっと気付いた。
「か、可憐。とにかく此処出ようか。」
「あら、あたしは平気なのに。」
しれっと言ってのけた可憐はとっくに周囲に気付いていた様子。
照れも焦りもせず、むしろ見せつけたいといった感じが実に可憐らしい。
そこまでの余裕が無い俺は、可憐を無理矢理引っ張って園外に出た。

「ねえ、今日あたし、誕生日なのよね。」
バイクを停めた場所まで並んで歩いていたら、改めて彼女がそう言った。
444<いちばんほしいもの 13>:2008/03/12(水) 01:58:48
「ねえ、今日あたし、誕生日なのよね。」
今日こんな事になるなんて予想してなかった。
「悪い。何にも用意してねえ。」
当然。あたしも何も用意していない。
「遅いし、買いにも行けねえな…。ごめんな。」

何にも要らない。欲しいものならもう貰ったもの。
…でも、もう一つだけお願いしてもいい?
「今夜は、ずっと一緒に居て欲しいの。」

「ん?わかった。」
あたしの言葉の真意まで汲み取ってくれなかった魅録。
…ああ、そうか。やっと分かった、気持ちが届かなかった理由が。
今も、今までも、あたしの言葉がもう少し足りていたら。
駆け引きばかりしてきたあたしの穴だらけの言葉では、彼には届かないのだ。
わかってくれない彼にもう一言、付け加えてみた。
「一晩中、抱きしめていてね…魅録。」
彼の腕に自分の両腕を絡める。わざと胸をくっつけて。
物凄く恥ずかしいけど、事実いちばん欲しいもの。
彼を見上げると耳を真っ赤にして、口元を手で押さえていた。

ふと、後ろを振り向いた。
植物園に入る前には届かない程に離れていた彼との距離が、今はこんなにも近い。
「もっと大事な場所になっちゃたわ」
「…俺にとっても、な。」

すれ違って、想いが届いて、そして…。
きっときっと、忘れられない誕生日になる。


<終>
445<いちばんほしいもの>:2008/03/12(水) 01:59:12
いちばんほしいもの を書いた者です。
ありがとうございました。
途中、規制に引っ掛かる等で失礼しました…。

補足として、誕生日は初冬という前提で書いています。
もう春なのに季節ズレですいません。
446名無し草:2008/03/12(水) 08:03:54
>いちばんほしいもの
GJ!
初々しい2人にニヤニヤしてました!
447名無し草:2008/03/12(水) 08:17:21
>いちばんほしいもの
GJでした!
おもしろかったです。そうか、魅録には駆け引きじゃなくて
素直にならなきゃなんだね。
二人ともかわいかったです。
きっとこの後可憐が甲斐甲斐しく彼に尽くすんだろうな。

清四郎が急いで携帯で何かを調べ始める。
「魅録〜、何調べてんだよ〜」
可憐が横から覗き込もうとするのを手で押さえる。
「ったく、清四郎の外見になったら性格まで清四郎になってやんの。 何調べてるか位教えてくれても良いじゃん。なぁ美童」
「ビンゴ!」
清四郎が言った瞬間、魅録の携帯がなった。
「野梨子からだ!」
清四郎が奪い取るように携帯を取る。
ハンディフリーにして皆に聞こえるように接続する。
「もしもし、魅録?盗聴器を彼にしかけましたの。今つなぎますわね、あ、はじまりましたわ!」
小声で、ささやくように話す悠理の声がいきなり終わる。
ザー、という雑音とともに大湊総司朗の怒りを押しつぶしたような声が聞こえはじめた。
「一体どうなってんだ!あの娘の家に電話したのは何時だ?約束した時間通りだよな?
───── 分かった。あぁ、すまない。一から計画を立て直さなくてはいけないかもしれない。
あぁ。俺もあと少ししたら抜ける。次の電話はするな。分かったな?」
電話は短くあっという間に切れる。先ほどとはうってかわったような話し方。
雛壇の美童と悠理は微笑を交わす。
「清四郎?こっちも大収穫だ。美童が調べた車のナンバーからホワイトルシアンの
コンサート会場に止めてあった車を調べたらつながったぜ。本日総合警備の孫受け会社の一つ、
昔大湊組と関わっていた「上善総合警備」、そこの車のナンバーだ。」
「分かった、魅録。僕達も、ここからどう抜け出そうか考えましょう。
_それにしても、自分の声で自分の名前を聞くっていうのも妙なものですね。」
「余裕だな、清四郎さんよ」
「追跡、頼みますよ。」
電話を切ると同時に清四郎がハンドルを切る。
「待ってろよ、裕也、可憐」
449433,434:2008/03/12(水) 09:47:58
>いちばんほしいもの
GJ!
可愛い二人に大満足です。
450名無し草:2008/03/12(水) 09:48:33
あ、名前欄消すの忘れてたorz
451名無し草:2008/03/12(水) 14:26:22
>いちばん〜
とても素敵なお話でした!!
可憐可愛いなぁ

>裕也君〜
ついに大詰め?ですね!
有閑倶楽部らしい展開、好きだw
452sage:2008/03/12(水) 18:55:40
>いちばん〜
GJ!
魅録と可憐がとても可愛いですよ!
次回作に期待!
453名無し草:2008/03/12(水) 19:51:13
最近住人になった人はここの過去ログ28のレス504くらいから
過去ログ29にかけて読むべし。
特定カプが嫌いな酷い自演荒らしが前からいるので注意。
454名無し草:2008/03/12(水) 21:23:48
「大丈夫ですよね?貴女方なら。華麗にスルーしてくださいよ。」
455名無し草:2008/03/12(水) 22:51:09
(もしかしたら清→野で)
妄想します。
白波君って清四郎のクラスメイトか何かだろうか。
違ったら、清四郎は
「誰が野梨子に告白したか(+降られたかどうか?)」
を全て調べたのだろうか。
……妄想の国へ逝きます。
456名無し草:2008/03/13(木) 00:01:51
実は盗聴器の存在に気がついていて芝居をしてる展開を想像しているのですが
そうすると話がまとまらなくなりそうなので自分の妄想にとどめた。
457名無し草:2008/03/13(木) 13:14:42
>いちばん〜
とっても良かったです。
お互いに想い合っているのにすれ違いながらも最後はラブラブ。
爽やかな魅×可いいですね!
他に清×悠、美×野が好きです。
458名無し草:2008/03/13(木) 13:17:33
>>453
このスレ30からのROMの者だけど、30だけ読んでた段階でも
時々そのカップリングの時妙な否定レスや、作家作品乗っ取りがあったから既に知ってたよ
こんなに新しい新規の人間でもわかってるんだから、皆知ってるだろう
459名無し草:2008/03/13(木) 17:12:24
>大女優
乙です。
この後のレスの状況で感想を書くタイミングを逃してしまいましたが、投下心待ちにしてました。
今回萌えもありつつおもしろかったですが、
この展開はもしかしてもう少しで終わってしまうんだろうかとも、もしそうだとしたら寂しいです。
最後まで投下頑張ってください。
3レス分投下します。
続きよろしくお願いします!
「――さてと」
電話を切った美童は悠理の方を見た。
「どうやってここを抜け出しましょうか」
「そうですわね・・・」
悠理はちらちらと周りを見回す。
「パーティーはなかなか終わりそうにありませんし・・・・・・」
「ここまで目立つところに座らせられたら、こっそりと抜け出すのも難しいですよね」
「ですわよね・・・・・・」
2人は悶々と考え込む。
「ど、どうしたんだがや悠理と美童君は・・・」
「何やら悩んでいるみたいですな」
「あの悠理でも悩むことってあったのね・・・。これもやっぱり恋のパワーかしら!」
「五代はとてもとてもうれしゅうございます・・・」
まったく見当違いも甚だしい大人たちである。

そんなこんなをしているうちに、大湊が席を立ち、退席する準備をし始めてしまった。
「・・・・・・清四郎」
悠理は思いつめた表情で美童に詰め寄った。
「の、野梨子?」
「・・・・・・最終手段ですわ」
そう言って悠理は何かを美童に耳打ちした。
「――――と、いう作戦ですの」
「・・・・・・」
あまりの衝撃に、美童は言葉を失ってしまった。
「・・・・・・野梨子、本気ですか?」
「私はいつでも本気ですわ」
2人の耳打ちでのやりとりは続く。
「悩んでると思ったら、今度はひそひそ話だがや」
「きっと誰にも言えない愛の言葉を囁き合っているにちがいないわ!」
「いやぁ青春ですなぁ」
本当の本当に見当違いも甚だしい大人たちである。
と、そのとき。

「うわあああんっっ」
突然、腹を抱えた悠理が大声で騒ぎ始めた。
「お腹痛いよお腹痛いよお腹痛いよおおおっっ」
「ど、どうしたのよ悠理!?」
「悠理が腹痛なんて、は、初めてだがや!」
娘のただならぬ様子に、剣菱夫妻もおろおろと動揺している。
「父ちゃん母ちゃん助けてよおっっ!お腹が い た い よ――――!!!」
野梨子さん、迫真の演技である。
「と、とにかく大変だがや!式は中止だがや!」
「急いで清四郎君の家に電話を・・・!」
迫真の演技の野梨子さんをよそに、一方の清四郎君は
(僕は美童僕は美童美童美童美童美童・・・・・・)
と、必死に自分に暗示をかけていた。
(・・・・・・よし!いける!!)
「――いえ、電話は結構です。お義父さんお義母さん!」
「お、お義父・・・」
「お義母さん!?」
「僕の悠理!!僕がしっかり介抱しますから!!」
長い金髪をなびかせながら、美童は思いっきり格好つけて言った。
「で、でも美童君・・・・・・」
「大丈夫です!!必ず悠理を治してみせます!!この 愛 の 力 で !!!」
きゃあああ――!っと百合子さんの歓喜の声がパーティー会場に響きわたる。
「素敵だわ!!美童ちゃん!」
百合子さんの興奮は止まらない。
「早く悠理を介抱してあげて!!」
「はい!では!!」
苦しんでいる(ふりをしている)悠理を背負って、美童は足早に会場を後にした。

「・・・・・・名演技でしたわね」
美童の背中で、悠理は必死に笑いを堪えていた。
「恥も照れも捨てましたから。それに、野梨子のシナリオの通りに言ったまでですよ!」
相当恥ずかしかったらしいことが、美童の顔には大々的に書かれていた。
「うまくいきましたでしょう?囲碁と同じですわ」
どこら辺が囲碁と同じなのかは、まったくさっぱり全然わからないが。
野梨子さんは得意気ににっこりと笑った。

ひとまず、無事に抜け出し成功?です。
464名無し草:2008/03/13(木) 21:52:48
>裕也君〜
僕は美童僕は美童美童、に笑いましたw
しかし、もとに戻ったら百合子さん大変だ。
465名無し草:2008/03/13(木) 22:25:43
>裕也君〜
野梨子と清四郎の演技に爆笑させてもらいましたww
裕也君とぬり子さんは今頃何してるだろ。
466名無し草:2008/03/13(木) 22:30:37
>裕也君
ワロタ。
野梨子ナイス作戦!

>>455
過保護清四郎萌え。
「野梨子。みんなのところに行く前にお願いがあります。」
「あら、何ですの。清四郎のお願いなんて珍しいですわね。でも急がないと…可憐と裕也さんが!」
「今の僕は美童ですからね。というのは冗談ですが私と悠理の姿では目だって行動しにくいです。」
「確かにそうですわね。」

店についた途端、店内は騒ぎ出した。
白い装いの金髪美男と、ピンクのドレスを着たモデルのような美女は
ドレスの上に男性が着ていたと思える白いスーツジャケットをはおったいる。

「結婚式から逃げ出した二人?絵になるわ。」
「それだと二人とも正装なのはおかしいだろ。」
「結婚するように言われたけどお互いに嫌で強力しあって逃げ出したとか。」

正確には婚約パーティーから逃げ抱いた二人であった。
468467:2008/03/13(木) 22:47:16
間違えました。わかると思いますが
はおったいる→はおっている

それでは続きお願いします。
469名無し草:2008/03/13(木) 23:10:07
すみません。
>>467さんに質問なんですけど、ラストの文の「婚約パーティーから逃げ抱いた」っていうのは、
「婚約パーティーから逃げ出した」の間違いですか?
470467:2008/03/13(木) 23:19:37
その通り。抱いたじゃ違う話になってしまう。
重ね重ね失礼しました。
471名無し草:2008/03/14(金) 00:25:49
祭りって消えた…?
472名無し草:2008/03/14(金) 10:21:34
リレーが祭り企画になったのかと思ってた
473名無し草:2008/03/14(金) 11:49:01
祭りってこのスレの最初の方に出てたやつだよな?
3つテーマを決めて……みたいなやつ。
474名無し草:2008/03/14(金) 19:30:39
消えたね。やったところで盛り上がりそうにも無かったし。
475名無し草:2008/03/14(金) 19:48:58
自分的には競作やりたかったな。
今からじゃだめかな。
476名無し草:2008/03/14(金) 19:54:41
ちゃんと形式が決まればいいんじゃないの?
477名無し草:2008/03/14(金) 22:23:19
三題噺ってことでいいんだよね?
478名無し草:2008/03/14(金) 23:02:31
賛成。>三題噺
479名無し草:2008/03/14(金) 23:21:54
三題噺賛成。
今出てるお題は
>>16さん+「飾り」「約束」
だけかな?
まだ募集してる?
480名無し草:2008/03/14(金) 23:30:28
募集してるなら…
「桜」
でお願いします。
481名無し草:2008/03/14(金) 23:34:12
土日しかスレ見ない人もいるだろうから、日曜まで募集とかは?
短いかな?
482名無し草:2008/03/15(土) 08:29:47
>>481
私も日曜日まででいいと思います。
すでにテーマはいっぱい出てるし。

あと、前にも出てたけどシチュをいれると似たりよったりの話になりそうだから、
シチュはなくてもいい気がします。
483名無し草:2008/03/15(土) 12:01:23
>>482
すべてにおいて賛成。
じゃあお題は…
「傘」でお願いします。
484名無し草:2008/03/15(土) 18:50:57
三題ってこの中から選べって事?
485名無し草:2008/03/15(土) 21:07:48
>>14さんとか>>17さんを読めば
大体わかった。
486名無し草:2008/03/15(土) 21:53:09
お題「涙」でお願いします。
あと、私もシチュは外した方がいいと思います。
487名無し草:2008/03/15(土) 22:09:20
>>486
私も同意見です。
お題「姫」で。
488名無し草:2008/03/16(日) 00:17:27
もうとっくに過ぎたんだけどさ。
有閑倶楽部男性陣は
ホワイトディどうしたんだろう。
美童は絶対返すだろうな。
チョコレート貰った人全員に。
清四郎とか魅録はどうだろう。
清四郎はサプライズみたいな感じになりそうだな。
相手が野梨子なら、
夜に直接家に行ったり。魅録は顔赤らめて、目を合わせないようにして
「ほらよ」
とか行ってめちゃめちゃ照れてそうだ。
489名無し草:2008/03/16(日) 00:21:35
悠理はチョコもらってそうだけどお返しどうしてるんだろうね
美童が女生徒に用意したお返しが食べ物なら悠理は奪って食べてそう
490名無し草:2008/03/16(日) 00:44:06
野梨子はお返しもらったら、原作風のツンデレ炸裂しそう。
ソッポ向きながら
「バレンタインは義理でお渡ししただけですのに…でもせっかくなので頂きますわ」とか
491清野 ホワイトデー妄想:2008/03/16(日) 09:17:41

ピンポーン
野「あら、清四郎。どうしましたの?
突然…」
清「ちょっと…渡すものがありまして、ね。」
野「……?」

野梨子の部屋
野「それで…渡すものって?」
清「あのですねぇ…こほん、これです。」
野「…?えと…クッキー…ですか?」
清「今日は…ホワイトデーでしょう?」
野「!!…そんな、私義理のつもりで…」
清「じゃあいりませんか?」
野(顔真っ赤)「……ありがとうございます。」
清「どういたしまして。
では…。」
野「また、明日。」
清「……チョコレート、義理だったんですか…?」
野「あ…えっと…」
清「少し残念です。」
野「!!」
清(野梨子の耳元で)
「来年は期待してますよ。」
野「!!……///」
清「では、また明日。」
(クスクス)

お目汚しスマソ
492名無し草:2008/03/16(日) 13:21:51
「夜半に花は落ち」お待ちしています。
493名無し草:2008/03/16(日) 14:50:00
>>489
くれた人を覚えてなさそうだw
原作でも魅録がそんなことを言ってたよね。
基本的にお返しはせず(できず)もらいっぱなし、ということになるのか・・・。
494名無し草:2008/03/16(日) 18:24:24
>>492
同じく「夜半に花は落ち」を待ってます。
続きが気になってそわそわしてる。
495名無し草:2008/03/16(日) 18:37:33
ホワイトデーの妄想もっと読みたス
496名無し草:2008/03/16(日) 20:14:44
魅悠ならバレンタインに14日とか意識ぜずに魅録が悠理にチョコあげて、
ホワイトデーにも魅録がクッキーあげそうだと思ったけど
これじゃただのエサ係だなw
497名無し草:2008/03/17(月) 01:27:29
>>496
バレンタインは悠理が質より量的なものを買って(それでも高いだろうけど)
一緒に食べよう、みたいな感じじゃないかな
ホワイトデーは普通に魅録があげるんだけど、
食べてる時に魅録の口に押し込んだりして
498これ、いただくわ107:2008/03/17(月) 10:51:19
前スレ>842
悠理はチチを引き連れて、古文書探しの迷走を続けていた。
警備員の目を掻い潜り、怪しげな部屋を片っ端から覗き込む。だが兄の
宝物はそう簡単に見つかってくれそうもない。
「この部屋さっき見ませんでしたか?」
「あれ、そうだっけ?」
ただでさえ目印となる物がないのだ。頼みの地図も18階を表示したまま
動かない。あっちを探しこっちへ隠れしているうちに何処が何処やらサッ
パリ分からなくなってきた。まるで三歩進むごとに過去と訣別する鶏の
ように、何度も同じ部屋に頭を突っ込んではチチの注意を受ける悠理。
しかしそうかと言ってチチの方も確信がある訳でなく、二人はその都度
顔を見合わせて首を傾げる始末だった。
「んーやっぱ発信機おとしたのは痛いな…」
「はっしんき?」
悠理は頷きながら前腕にへばり付いたシートモニタを指し示した。
「赤い点があるだろ。そこに落としてきちゃったんだ。地図だけ切り替え
る事も出来るハズなんだけど、やり方忘れちゃってさ」
「はー便利そうな地図ですねえ。で、どうやって使うんです?」
「だから忘れたって。聞けよ人の話」
チチは真剣な眼差しで英語や日本語の入り混じったキーを押してみた。
しかしモニタは依然沈黙したままだ。
「ちょっといいですか?」
もっと近くから見ようと、チチは悠理に体を寄せた。その拍子に長い髪が
頬に触れ、それが悠理に或る出来事を思い起こさせた。

『 おまえの髪、柔らかいのな 』

どうしてそんな詰まらぬ事を思い出すのか―――。チチに出会ってからと
いうもの、悠理は記憶の波に翻弄されっぱなしであった。記憶領域の
奥深くに沈み込んでいた些細な出来事が、小さなきっかけでぽっかりと
浮かび上がっては悠理の心を弄ぶのだ。
499これ、いただくわ108:2008/03/17(月) 10:52:09
(こんな時に一体なんだって言うんだ……)
意味のない追想を払いのけ、目の前の現実に意識を集中させようと努める
のだが、いったん息を吹き返した記憶たちはそう簡単に消えてはくれない。
抗えば抗うほど鮮明になり、そしてついには悠理を追憶の彼方へと連れ
去ってしまうのだった。

あれは―――去年の夏の終り。魅録とツーリングをして野宿になった時の
出来事だ。すっかり日も落ち、野宿の場所と決めた林の中は冷たい夜気に
包まれていた。
「これ、お前用」
そう言って魅録が抛ってよこしたのは新品のシュラフだった。オレンジ色
のそれを一目で気に入った悠理は、すぐさま蓑虫となってお約束通り転が
り始めた。雑木林を有頂天で転げ回り、そのまま舗装道路まで転がって
いくのにさほどの時間はかからなかった。
「あっバカ、轢かれるだろ!」
全速力で追いついた魅録に抱き留められ、車道寸前で留まることは出来た
けれど、その直後、どアンダーで白線を越えてきたグランツーリスモに
鼻面を掠められ、悠理は三年ばかり寿命を縮めた。
「……鼻、ついてるか?」
呆れ声でそう言って顔を覗き込んできた魅録。急に気恥ずかしさが込み
上げた悠理は慌てて首を竦めるとその胸に頭を押し付けた―――その時に、
まるで秘密でも打ち明けるかのような小声で魅録はそう囁いたのだった。
『……柔らかいなほんと。ひよこみたいだ』
―――あの時、自分はなんと返事をしたのだったっけ。
どうせロクな返事はしなかったろう。「ヒヨコじゃないやい。ミノ虫
だい」ぐらいの事は言ったかもしれない。
魅録は仕方なさそうに笑ってから、スッと立ち上がった。
500これ、いただくわ109:2008/03/17(月) 11:01:31
見上げれば満天の星空。ポケットに手を突っ込んで静かに天をあおぐ彼の
横顔はどこか大人びて見え、蓑虫の自分がひどく滑稽に思えた。
そうかと言って今さら蓑虫をやめるのもマヌケな気がして、置いてきぼりを
くった気分でシュラフの中から彼の横顔を見つめていた。
かなり長い間そうしていたように思う。やがて魅録は夜空に顔を向けたまま、
誰に聞かせるでもなくポツリと洩らしたのだ。
「……いつまで続けられんだろうな、こういうの」
ふいに口を衝いたその問いは、彼自身予期せぬものだったらしい。決まり
悪そうに頭を掻いて、言い訳でもするようにボソボソと言い添えた。
「十一月ぐらい、か。冬は凍結するからな」
季節の話をしたかったわけではない。そんなことぐらい悠理にも分かって
いた。
けれど具体的になにを意味していたかと聞かれれば、何かモヤモヤした
ものが胸を掠めるだけで今ひとつ具象として掴み切れない。
―――否。掴むことを拒んでいる自分に悠理は気が付いた。掴んだ途端、
それは泡沫となって儚く消えてしまいそうで、それを懼れている自分が
居たのだ。
それっきり黙り込んだ魅録を見ていると、今までとは決定的に違う風が
吹き始めたように思えて悠理は戸惑った。戸惑いに任せ、適当に話題を
転じてしまうのは恐らく容易い事だったろう。
(だけど……)
何か答えらしきものを口にしなければ。
そうしなければ魅録はひとりで答えを出し、ひとりで納得してしまい
そうで、それは何より避けなければいけない事のように思えた。
けれど考えた末に悠理の口から出た言葉は、結局魅録のごまかしを
なぞるものでしかなかったのだ。
501これ、いただくわ110:2008/03/17(月) 11:02:15
「冬は南へ行こうよ。雪降んないとこ。バイクじゃなくて車でさ……それ
に春になれば雪も融けるんだし、そしたらまた来ればいいよ……」

―――ああ違う、あたいが言いたいのはこんな事なんかじゃない。

上滑りな言葉ばかり並べてしまう自分が歯痒かった。けれど沈黙に耐える
覚悟もなく、かと言って核心的な何かに触れる勇気などとても持てそうに
なく、ふたりの間に横たわった居心地の悪い空間を埋める為だけに、
取るに足らぬ話をつづける自分がどうしようもなく情けなかった。
「……ところでさっき車、すごいヘタクソだったなあ。あの程度で峠
攻めようなんて命知らずにも程があるよ〜。そう言えば父ちゃんが言っ
てたけど、名輪の運転てすごいんだって。昔は上州の弾丸とか群馬の
イカ天とか呼ばれてたんだってさ。でも群馬って言ったらシラタキだ
よな。あーしゃぶしゃぶ食べたいなー」
『……どんな連想ゲームだよ?』
普段なら当たり前のそんなレスポンスも貰えぬまま、悠理は再び転がり
始めた。もと居た場所へと転がり戻りながら、意味のない言葉をどれ
ほど費やしたかしれない。
「おい、今度は崖から落ちる気か?」
そう声をかけられてハッと目を上げると、ふたりの距離はかなり離れて
しまっていた。
いつもの彼ならすぐに駆け寄ってきてくれただろう。けれど、この夜の
魅録はなかなか歩き出そうとはしなかった。木立の影に佇んで、考え事
でもしているように見えたのは夜の暗がりのせいばかりでは
なかった気がする。
―――こんな時、普通の女ならどうするのだろう。野梨子や可憐の
ような、女の見本の如き女たちならどんなふうに振舞っただろう。
キュッと唇を噛む。口中に広がる酸っぱい青春の味に辟易しつつ
懸命に自問してみる。
「……普通の、女、なら」
502これ、いただくわ111:2008/03/17(月) 11:03:02
吐き気がするほど転がらない。―――いくら考えてみても、思い付くのは
その手の後悔ばかりであった。
やがて魅録は歩き始めた。両手をポケットに突っ込んだままゆっくりと
歩いてくる彼の姿は、場所が場所ならやんのか、あん?に見えただろう。
それほどまでに彼は張り詰めた空気を纏っていた。離れている間に何か
重大な決心をしたことは明白で、悠理は逃げ出したい衝動を抑えるのに
精一杯だった。
「みろ…く……」
堪え切れず、彼の名を呼ぶ。しかし返事は無い。
『ただの屍のようだ』などと戯けてみても、胸に巣食った居た堪れなさと
吐き気は募るばかりだった。

風が流れ、木々が騒ぐ。魅録は片手で襟を掻き合わせる。
『寒い?』―――そんな簡単な一言さえもはや口に出来ず、為す術も無く
地面に転がる青褪めた蓑虫は彼の目にどう映っただろうか。
そして、とうとう互いの顔がはっきりと見える距離まで近づいた魅録は
聞き取りづらい低声でこう言ったのだ。
「うごいてますよ?」
(……え?)
「だから地図が動いてますってッ。聞ケヨ人の話!」
チチだった。
悠理は激しく肩を揺すぶられ、深い眠りからとつぜん覚醒させられた
ような顔つきでモニタに目を向けた。
「……あ、ほんとだ。うごいてる」
瞬く間に現実に引き戻された。
503これ、いただくわ112:2008/03/17(月) 11:03:46
これまで18階を表示したまま意地でも動かなかったモニタが、今は
25階を表示している。いや26、27と目まぐるしく変化しているのだ。
「発信機を拾ったヤツがエレベーターに乗ってるんだ…」
そう呟くうちに、40階の地図に切り替わったところでピタリと停止した。
「この階だッ」
ふたりは頬を寄せ合ってモニタをのぞき込んだ。パズルのように入り組んだ
フロアマップから現在地と思しき場所に当たりをつける。
「多分あたいたちは今ここだ」
そうする間にも発信機を示す赤いブリップは着実に歩を進めている。
それも悠理達に向かい刻一刻と接近してくるのだ。―――通信機を手に
入れた何者かに追跡されている。
「ど、どうしましょうユーリッ!?」
「にっ…逃げようッ!」
ふたりは手に手を取って走り出した。

     つづきます。
504名無し草:2008/03/17(月) 13:50:00
一応お題の募集期間は終わったけど、今出てるお題は

「待ってる」
「ありがとう」
「嘘つき」
「行かないで」
「笑って」

「飾り」
「約束」
「視線」
「雪」
「桜」
「傘」
「涙」
「姫」

だけど、これから投票に移る?
例えば三題噺だから、上のお題から好きなもの3つとか。
シチュは、無い方がいいっていう意見が多かったから
今回は無しの方向でいいですかね?
505名無し草:2008/03/17(月) 14:07:31
シチュに関しては賛成
ただお題から好きなもの3つってことは
セリフ2つ+普通のお題1つ?はたまたセリフ1つ+普通のお題2つ?
どんなもんでしょう
506名無し草:2008/03/17(月) 14:19:26
>これ、いただくわ
久し振りだけど、最近読み直したばかりだったのでとても嬉しいです。
悠理の髪は本当に柔らかそうで、チチの髪は南国の花の香りがしそうだね。
しかし悠理と一緒に行動する間に、チチの言葉遣いはすっかり悪くなりそうだw

>>504
賛成ノシ
投票期間はどうする?
前回は土日含めて5日間だったけど、今回もそれに倣うなら19日0時〜23日24時ってとこかな。
お題決定から投下開始までは、従来では1週間が多かったけど、今回は三題だから2週間くらい?
投下開始までの期間も投票項目に入れようか。
507名無し草:2008/03/17(月) 14:22:16
>>505
そこまで縛らなくても大丈夫なんじゃないかな。
運悪く偏ってしまったとしても、セリフ3つでも単語3つでも難易度はそれ程変わらないと思う。
508名無し草:2008/03/17(月) 15:50:10
>これ、いただくわ

乙です。戸惑う悠理の女心が可愛い。
読んでるこちら側の胸まで切なくなりました。
「去年の夏の終り」の続きがとっても気になる。
続き、楽しみにしてます。
509名無し草:2008/03/17(月) 20:23:11
>これ、いただくわ
待ってました!
今回、悠理の揺れる心情が描かれていてよかったです。
魅録、なんて言ったんだろ。気になる〜。
そしてチチの聞ケヨ人の話!  笑いましたw
続き楽しみに待ってます。

>>506
賛成。自分も今回は2週間あったほうがいいと思うけど、それも投票項目
に入れたほうがいいと思う。
510名無し草:2008/03/17(月) 21:37:05
◇◆競作・三題噺への投票◆◇

投票期間:19日0時〜23日24時

@お題
「待ってる」
「ありがとう」
「嘘つき」
「行かないで」
「笑って」

「飾り」
「約束」
「視線」
「雪」
「桜」
「傘」
「涙」
「姫」

この中から好きなものを3つ選んでください。
台詞からでも、テーマからでも、選び方は自由で構いません。


A投下期間
(1)一週間
(2)一週間と3日(10日間)
(3)二週間


アンケート内容はこんな感じでどうですか?
(レス数も入れた方がいいですかね……)
511名無し草:2008/03/17(月) 22:03:30
>>510
乙!初参加の人もいそうだからレス数も入れたほうがいいと思う
512510:2008/03/18(火) 11:28:22
◇◆競作・三題噺への投票◆◇

☆投票期間:19日(水)0時〜23日(日)24時☆

@お題
「待ってる」    「飾り」
「ありがとう」   「約束」
「嘘つき」     「視線」
「行かないで」   「雪」
「笑って」     「桜」
          「傘」
          「涙」
          「姫」

この中から好きなものを3つ選んでください。
台詞からでも、テーマからでも、選び方は自由で構いません。

A投下期間
(1)一週間
(2)一週間と3日(10日間)
(3)二週間

Bレス数
(1)6レス以下
(2)8レス以下(従来通り)
(3)10レス以下

これでどうでしょうか?補足・訂正のある方はどんどん意見ください。
もし何もない場合は、早速19日0時から投票の方をよろしくお願い致します。
513名無し草:2008/03/18(火) 14:54:20
>>512
異議なし!!
早くイイ作品が読みたい。
514名無し草:2008/03/18(火) 19:10:25
>>510
「投下期間」って競作の実施期間?
それとも>>506のように「投下開始までの期間」?
今回は三題噺で書くのが難しそうだから、どちらも長めの設定が良さそう。

それから、機種依存文字はなるべく使わないで欲しい。
515名無し草:2008/03/18(火) 21:03:06
☆★競作・三題噺への投票★☆

○●投票期間:19日(水)0時〜23日(日)24時●○

@お題
「待ってる」     「飾り」
「ありがとう」   「約束」
「嘘つき」     「視線」
「行かないで」   「雪」
「笑って」     「桜」
          「傘」
          「涙」
          「姫」

この中から好きなものを3つ選んでください。
台詞からでも、テーマからでも、選び方は自由で構いません。

A投下準備期間
(1)一週間 (2)一週間と3日(10日間)(3)二週間

Bレス数
(1)6レス以下(2)8レス以下(従来通り)(3)10レス以下

C投下期間
(1)一週間 (2)一週間と3日(10日間)(3)二週間

これでどうでしょうか?補足・訂正のある方はどんどん意見ください。
もし何もない場合は、早速19日0時から投票の方をよろしくお願い致します。
516515:2008/03/18(火) 21:07:08
510を書いた者です。
改行エラーが出てしまい、見にくい構成になってしまいました。すみません。
投下期間と投下準備期間を設けました。
どうでしょうか?
517516:2008/03/18(火) 21:13:57
たびたびすみません。
機種依存文字というのがわからなくて、一応◇から○に変えてみましたが、あまり意味がない気が……。
本当にすみません!!
518名無し草:2008/03/18(火) 21:18:17
>>517
@ とかのことじゃないかな>機種依存文字
519名無し草:2008/03/18(火) 21:23:01
>>517
乙です。
機種依存文字あっても読めないことはないので、
自分はこのままでもオッケーですよ。
競作楽しみです。
「着替えましたか?野梨子」
「えぇ、着替えましたわ」
着替えの完了した2人は、お互いの姿をまじまじと凝視する。
「・・・悠理のスカート姿なんて、修学旅行のモナコ以来ですね」
「あら、ジジ臭い格好の美童こそ初めてですわ」
入れ替わると、やはり服のセンスも入れ替わるらしい。
ということは。
「ボディコン野梨子・・・・・・」
「サングラス清四郎・・・・・・」
う――――ん。
違和感ありまくりである。

「とにかく、早く魅録たちと合流しましょう・・・・・・」
「そうですわね・・・・・・」
お互いの特異な姿を想像して何となくげんなりしてしまった2人だったが、気を取りなおして店を後にした。
「――大湊からは何かありましたか?」
「いえ・・・あれ以来何の反応もありませんの」
悠理は耳につけた盗聴器に注意を向けてみる。
「大湊がパーティー会場から姿を消して10分・・・・・・。せめて奴の行き先だけでもわかればいいんですが」
「えぇ・・・・・・――あ!」
ザー、という雑音と共に、待ちかねていた男の声が聞こえ始めた。
「清四郎!反応きましたわ!」
「本当ですか。何てグッドタイミングなんです」
「ここまでくると空気読んでますわよね」
「えぇ。あなどれませんね盗聴器」
いやいやいや。
そんなことより早く盗聴器の方を聞いてあげなさい・・・・・・。と、どこからか天の声が聞こえた。
「――金剛か?今からそっちに向かう。・・・あぁ。雪月花は駄目になったが、わかってるな。必ずあの男を――裕也を血祭りにあげる」
悠理と美童は顔を見合わせる。
「あと30分もすればそっちに着くだろう。・・・それまでに組の連中を集めておけ。俺がそっちに――上善総合警備に着いたら、祭りを始める」
プツッ・・・・・・と、電話は無情にも切れた。
美童は急いで腕の時計を見る。
あと30分――タイムリミットは、5時。
「清四郎・・・・・・!」
「・・・・・・大丈夫です。大丈夫ですよ、野梨子」
美童は心配そうな悠理に微笑んだ。

――上善総合警備。
  大湊ははっきりと、そう言った。
  そこならちょうど、魅録たちが今向かっているはずだ。
  大丈夫。絶対・・・・・・あいつらなら。

「僕たちも急ぎましょうか。あいつらにばかりいいとこ取りされるのは、酌ですからね」
「・・・・・・えぇ」
悠理も微笑んだ。
魅録たちはともかく、自分たちが5時までに上善総合警備に着くのは、不可能かもしれない。
だけど――――
「大丈夫、ですわよね?」
悠理は美童を見つめた。
にっこりと美童は笑い、そして、しっかりと前を見据えて言った。

「不可能を可能にするのが――有閑倶楽部ですから」
522名無し草:2008/03/18(火) 21:36:33
ドラマネタ使ってみましたw
続きよろしくです!!
523名無し草:2008/03/18(火) 22:14:50
裕也君〜
乙!
ボディコン野梨子と
サングラス清四郎
にワロタ。
でもちょっと見てみたいという罠。
524名無し草:2008/03/18(火) 22:16:11
裕也君〜
乙!
ボディコン野梨子と
サングラス清四郎

ちょっと見てみたいという罠。
あなどれませんね、盗聴器
ワロタ。
525名無し草:2008/03/18(火) 22:17:44

あぁっ!
2つでてしまった。
すみません。
逝ってきます。
526名無し草:2008/03/18(火) 22:28:31
>裕也君
乙です!
裕也とぬり子さんの登場が楽しみ!
527名無し草:2008/03/18(火) 22:56:07
男がいるとやりにくい
528名無し草:2008/03/18(火) 23:26:58
私は野離子作家
作品にはなるべく「野理子がかわいい」この言葉を入れるようにしてるの。
自分の作品に即効レスつけるのもお得意。二枚舌で三重人格なワタシ
いつも乗っ取りで申し訳ありません。メンヘル気味かもしません。
529名無し草:2008/03/18(火) 23:34:04
アンケートは結局>>515さんのやつでいいのかな?
それにしても競作どんな素晴らしい作品が読めるのかわくわくする。
自分も今回は頑張ってみようかな。
530名無し草:2008/03/19(水) 07:08:01
裕也君〜乙です!

サングラス清四郎はオールバックじゃなく髪型を変えたら似合うと思うけど、
野梨子は身長が低すぎるし体の凹凸がさびしいからボディコンは似合わないねw
531名無し草:2008/03/19(水) 16:23:21
>>515乙です!
ひとつでも多く作品がよめますように。
532名無し草:2008/03/19(水) 20:36:44
>>515
まとめ乙です。
投票期間が始まってるので、最初の一票。

1.お題
「飾り」
「ありがとう」
「桜」

2.投票準備期間
二週間

3.レス数
8レス以下

4.投下期間
二週間
533名無し草:2008/03/19(水) 20:51:34
投票します。

1.お題
「飾り」
「視線」
「笑って」

2.投票準備期間
10日間

3.レス数
 10レス以下

4.投下期間
 二週間

534名無し草:2008/03/19(水) 21:47:40
投票します。
1 お題
「笑って」 「涙」 「姫」

2 投票準備期間
二週間

3 レス数
10レス以下

4 投票期間
二週間

でよろしくお願いします。
535名無し草:2008/03/19(水) 22:01:42
三題噺、投票します!

お題……「笑って」「飾り」「姫」

投下準備期間……10日間

レス数……8レス以下

投下期間……2週間
536名無し草:2008/03/19(水) 22:41:55
>>515

1 お題 嘘つき、飾り、傘
2 準備期間 1週間
3 8レス
4 2週間

おねがいします
537名無し草:2008/03/19(水) 23:51:18
投票します。
 お題…「笑って」「視線」「姫」
 準備期間…2週間
 レス数…8レス
 投下期間…2週間

お願いします。
538名無し草:2008/03/19(水) 23:56:57
投票させていただきます。

1 お題 「ありがとう」「嘘つき」「約束」
2 準備期間 10日間
3 8レス
4 2週間

でよろしくおねがいします
なんだかんだと入れ替わりを楽しんでいる可憐さん。
今じゃ完璧にぬりこサンになりきっております。
「に、しても___あいつもそうだったけど、ぬりこさんも度胸が座ってんだな。
さすが姉妹だけあるよ。こんな目にあってるのに弱気なところ見せないなんて___」
裕也君がしみじみと言う。
「え?そりゃ軟禁の場数、だてに踏んでないからねぇ。」
「そうか・・・____ぇええっ!?」
「え〜と、一番最悪だったのが香港でしょ〜、あとは〜」
裕也君の驚きとは裏腹にぬりこさんは更々とすました顔で続ける。
ま、軟禁を何度も体験したなんて言われたら裕也君じゃなくても驚くが。
「ま、でも最悪って思っても絶対皆助けてくれるもの。_____だから、平気」
ニッコリと自身ありげに微笑む。
「_____。何か、羨ましいな。そんなに信頼できる奴らがいるなんて。」
ガチャリ。
ドアが急に開き金剛が顔をのぞかせる。
「おい、裕也。あと少しで大湊の若坊ちゃんがお前に挨拶に来るってよ。
せいぜいそこのお嬢ちゃんと最後の別れでもしておきな」
ドアが閉まる。ガチっと鍵の閉める音も聞こえた。
_____何やってるのよ!!!あいつら!早く来てっ!清四郎っ!魅録!!!

「____ついたぜ。ここが、上善総合警備の本社だ」
4階建てのそんなに大きくもない建物。
外壁を見る限り、お世辞にも儲かってるとは思えない。
「大湊組がつぶれて、業績悪化の一方だと、よ」
「本当、何か儲かってなさそうだよね〜」
能天気に魅録が言う。と、そこへ着信が入る。
「もしもし、魅録ですか?僕達も抜けれました。
今から向かいます。大湊もそちらに向かってるそうです。」
「清四郎?こっちも今やっこさんの本社の前についたところだ。
監禁されてる所が分かれば一発なんだが」
可憐がウズウズしながら
「そんなのどこでもいいじゃん、早く助け出そうよ」
「大湊がついたら彼を____ 」
美童は隣の悠理をチラリと見る。
「血祭りにあげる、といってます。だから___一刻の猶予もありません」
541名無し草:2008/03/20(木) 13:19:01
お題
傘、視線、飾り

準備期間
10日

レス数
8レス以下

投下期間
1週間


以上でヨロ
なにも書けない古住人だけど、祭りでSSや絵をたくさん読めるとうれし
「わかった。・・・清四郎。本当に可憐たちが監禁されてるのは、ここ――上善総合警備でいいんだよな?」
・・・・・・もしも、もしも違ったら――裕也の命はない。
「間違いありません。大湊がはっきりとそう言っていましたから」
力強い美童の声。
「それに、上善総合警備の本社の周囲には廃ビルがたくさんあるはずです。違いますか?」
清四郎は周囲を見回す。
「――あぁ。確かに、こんな人通りの少ないところに不似合いなくらい、古いビルがあるぜ」
「今、野梨子に――というか悠理に剣菱のおじさんに電話をして、さりげなく聞いてもらったんですけどね。・・・・・・その大量の廃ビル、最近剣菱ファイナンスが買ったらしいんですよ」
「は!?」
「どおしてこんなボロビル買う必要があるんだよお?」
聞耳を立てていた可憐と魅録が口を挟む。
清四郎は思い当たる節を見つけた。
「・・・・・・大湊か!」
「えぇ。どうやら大湊主導で、表向きには剣菱ファイナンスの新事業のために」
「そう偽って本当の目的は大湊組再興への足場にするために、か」
「おそらくはそうでしょうね」
「じゃあ簡単じゃん!」
可憐はぽんっと手をたたいた。
「裕也と可憐はその大湊が買った廃ビルのどれかにいるんだ!」
そうと決まれば早い、と、可憐は待ちかねたように一目散に駆け出した。
「ちょっ・・・ゆ、悠理!」
魅録も後を追いかける。
「あいつら・・・・・・ここにいくつビルがあると思ってんだ・・・・・・」
大小含めると優に30はあるだろう廃ビルの群れを目の前に、清四郎が呟いた。
「――ま、そういうわけだ清四郎。こっちはまかせてくれ。手分けして探して、絶対に可憐たちを見つけてやる」
じゃ、と清四郎は携帯を切り、自分も可憐と魅録の行った方へと走っていった。
「・・・・・・まったく。人の話は最後まで聞けと、小学校で習わなかったんですかね。悠理は」
「まぁ、いつものことじゃありませんの」
2人は渋滞真っ只中のタクシーの中にいた。
「裕也さんと可憐を助けることができれば、大湊とやくざの癒着関係が明るみに出る。その結果、大湊にダブルパンチをくらわせられる、ということまで伝えたかったのでしょう?」
「えぇ。・・・ですけど、仕方ありませんね。それは後でのお楽しみということにしましょう」
そう言って美童は窓越しに外を眺めた。
「――それにしても・・・混んでいますね」
「そうですわね・・・。まるで身動きが取れませんわ」
周りは車、車、車だらけの車パラダイス。
しかもあろうことか、先程からまったく進んでいないのである。
「・・・・・・清四郎」
悠理は思いつめた表情で美童に詰め寄った。
「の、野梨子?」
やばい。
このパターンは、やばい。

(お腹が い た い よ――――!!!)
(必ず悠理を治してみせます!!この 愛 の 力 で !!!)

美童の脳内に、ほんの数十分前の悪夢が蘇ってきた。
――もう、いい。
わかってますよ、野梨子が次に何を言うかくらい。
えぇ、覚悟はありますとも。
「・・・・・・最終手段ですわ」
――やっぱり。
ため息をついた美童に、悠理は『また』何かを耳打ちした。
数分後。
「早いですわね、やっぱりこの道は」
「当たり前ですよ。車は走っていないんですから」
「感謝してくださいな、清四郎。私の機転がなければ、こんなにスムーズな移動はできませんでしたわよ?」
「えぇ。感謝してますよ、野梨子のその 恐 ろ し い 機転に」
美童は再度ため息をついた。
外の景色はめまぐるしく変わっていく。

野梨子さんの作戦パート2は、百合子さんへの電話から始まった。
「お母さま!悠理ですわ!」
「悠理!お腹は大丈夫なの!?」
「えぇ、もちろん!美童の 愛 の 力 で、完璧に治りましたわ!」
「本当に!?すごいわ美童ちゃん!」
「はいお義母さん!僕の悠理を愛する力には、例えいかなる病であろうとも、勝つことは で き ま せ ん よ !!」
「まぁっ!美童ちゃんったら!」
「それでお母さま・・・あの、相談がありますの」
「なぁに?言いなさい、悠理」
百合子さんはルンルンである。
「実は・・・・・・」
「僕と悠理は今、お互いに 愛 の 引 力 で引き合っているんです!!!」
美童が叫ぶ。
「離れたくても離れられない、いや、離れてはならない!!あぁっ!!!僕はどうしたら!!」
「美童、落ち着いてくださいな!私たち2人の愛に立ちはだかるものは何もありませんわ!!」
「お義母さん!!僕と悠理の 愛 の 逃 避 行 をお許しください!!!」
「お母さま!!愛の逃『飛行』がしたいのです!!!」
「悠理!美童ちゃん!」
百合子さんは感動のあまり受話器を手に号泣していた。
「わかったわ!好きなだけ楽しんでいらっしゃい!2人で愛を深めるのよ!!」

百合子さんのヘリコプター・りぼん号、GET!!!
今に至るのである。
545名無し草:2008/03/20(木) 21:12:59
以前野梨子と清四郎のパーティー会場からの脱出を書いた者です。
が、またお馬鹿なものを書いてしまった・・・・・・。逝ってきます。
どなたか続きお願いしまつ・・・。
546名無し草:2008/03/20(木) 22:14:17
>裕也くん
おもしろかったよ、愛の逃飛行w
タクシーの運ちゃん、びっくりしただろうな。
547名無し草:2008/03/20(木) 22:27:04
>裕也君
爆笑ww
もとに戻った時大変そうだ。
(悠理と美童)
548名無し草:2008/03/21(金) 03:34:50
ここ最近 逝ってきます逝ってきます 連呼してる奴、不快
「逝ってきます」と書いときながら直後に書き込んでたりしてるし
2用語では「失敗を反省して少し離れる」って意味で使ってるように
思うけど、そういう意味で書き込んでるわけじゃなさそうだしね

本気で旅立つつもりで「死んできます」なら分かるが、
そういう書き方(冗談で)出来るほどの勇気はないんだろ?
だったらやめてくれないか
549名無し草:2008/03/21(金) 08:51:36
>>548
お前の方が不快だ
550夜半に花は落ち(24)美×野:2008/03/21(金) 10:32:09
>>293

「……最近、母ちゃん経由で知ったんだけどさ。白鹿流は今、
ずっと前から後継者問題でいろいろ大変だったんだって。野梨子
が若宗匠になることで収まったらしい」
 硬い声で悠理が言った。
 初夏の風がさわやかに吹いていたが、ふたりの間には重苦しい
雰囲気が横たわる。
 ぎゅっと左手で正門の鉄格子を握り締め、悠理は口元を噛んで
いる。内容よりも悠理のその様子に圧倒されて、美童は口ごもり
ながら相槌を打った。
「そう、なんだ」
「野梨子がそれを決めたのは、高校三年のとき。美童と付き合う
前のことだよ」
 卒業式のあの日。
 淡く微笑んで美童の手を取ったかに見えた彼女は、すでにもう
自分の将来を決めていたのか。
 もし美童がもうすこし大人で、いろいろなことを汲み取れて
いたのなら、何かが変わっていたのだろうか。
「それでも」
 美童は顔をあげた。
「……確かに障害かもしれないけど、そんなのどうにでもなる
じゃないか。確かに次期家元の夫が外国人だっていうのは、
野梨子には負担が大きいよ。そんなこと僕にだって分かっている。
でもそんなの乗り越えられることじゃないか」
551夜半に花は落ち(25)美×野:2008/03/21(金) 10:33:08
 美童とて貴族の流れを汲む家に生まれた。彼の家は違ったが、
そういった古い体質に縛られた人々をたくさん見てきたため
想像はつく。
「それに悠理。外国人と結婚する以上に、混血の子を未婚の母
として育てる方が数段も大変じゃ……」
 言い募りかけたまま、ふと思いつくことがあり絶句した美童に、
悠理は少し哀れむような顔をした。
 愚問だった。
「分かってるだろ。野梨子は、自分のことなんてどうでもいい
んだ。美童。お前のためだよ」
「そ、それなら尚更! 僕自身がそれでいいと言っているのに」
 野梨子。きみとの苦労なら何をも厭わない。
 きみが僕を愛してくれるのなら。
「駄目だよ、美童。もう野梨子は決意しちゃってる。もうそれ
は覆せないよ」
 静かに悠理はそう言った。初めて見る彼女の表情は、ときおり
野梨子が美童にみせるものと酷似していた。
 ――『わたくしとあなたの道は違いますわ』
 なんぴとにも揺り動かしたい透徹したものを、彼女たちは
持っている。

 言葉を失った美童に、しかし悠理は突然違うことを言い出した。
 表情も、それまでの近づきがたいものではなくなっていた。
「なあ美童。野梨子はいつだって笑ってるだろ」
「……うん」
 今の野梨子を、度しやすい世間知らずのお嬢様と思う人間が
どれほどいるだろうか。
552夜半に花は落ち(26)美×野:2008/03/21(金) 10:34:18
 背筋に一本硬いものを通し、艶やかに微笑む野梨子。
「あいつはあたいなんかよりずっと強い。ひとりで戦うつもり
だよ。でもお前はそれでいいの」
「言ってることがめちゃくちゃだよ、悠理。
僕には何も出来ないって、さっき言ったばかりじゃんか」
「野梨子はっ!」
 悠理は怒鳴りかけて、一旦黙った。それから、言葉を探すよう
にゆっくりと言う。
「野梨子は、強いよ。それに諦めてない。知らなかったのか?
あいつ、意外としつこいんだ」
「悠理……?」
 まじまじと美童は悠理を見た。
 泣きたいような、笑いたいような、よく分からない表情で、
彼女も美童を見つめ返している。
「本当に、野梨子が全部捨てたと思ってんのか、美童は。じゃあ
あいつは何のためにお前に抱かれたんだよ。本気で捨てるつもり
なら、あいつはお前に抱かれたりしなかっただろうし、子供
だってきっと生んでいない。野梨子は、お前を好きで居続ける
ことを諦めてないよ。だから美童も待ってやれよ、それぐらい」
「でも……」
「待ってやれよ!」
 躊躇する美童に、悠理は重ねて叫んだ。
553夜半に花は落ち(27)美×野:2008/03/21(金) 10:36:26
「あいつが戦って、勝つのにどれぐらいかかるのかあたいには
分からないよ。ババァになるくらい必要かもしれない。でも
あいつ自身はそれでいいと思ってる。自由になったあと、
自分の前にお前が居なくてもいいって、野梨子は言った。
でも、お前はそれでいいのか。あいつが何と戦ってるかすら
知らないで、そんなんで美童は本当にいいの!?」
 反射的に美童は立ち上がった。
 殴られた頬はじんじんと痺れていたが、そんなことすら気に
ならなかった。
「――悠理、車貸して」
「送らせる。今のお前、事故りそうだから」
 今度はハッキリと泣き笑いのように悠理は破顔した。


 ――本当は野梨子の気持ちをどこかで分かっていたのかも
しれない。
 車中、流れる景色を見詰めながら、美童はそんなふうに考えた。
 節操のない自分ならいざ知らず、野梨子が自分に身体を許した
のだ。彼女がそんな女ではないことなど、とうに知っていた。
 それでも、その確証が取れず、美童は彼女となんとか距離を
取ろうと足掻いていた。愛し返してくれない人間を愛せるほど
彼は純粋になれなかった。それは多分、今でも変わらない。
 けれど。
 美童は車の中から、彼女の幼馴染に電話をした。
「ねえ、野梨子の家のこと、教えてよ」
 挨拶もそこそこに、切り出した美童へ、菊正宗清四郎その人は、
『ようやく聞いて来ましたか』
 とあきれたような声を出した。
554夜半に花は落ち(28)美×野:2008/03/21(金) 10:40:13
 白鹿家の門前についた頃には、すでに日は傾きかけていた。
 約束をしていなかったため少し迷ったが、インターフォンを
鳴らす。
 住み込みの弟子を介して、数分。日常用だろうが、いつも
通り和装した野梨子が出てきた。僅かに硬い表情をしていたが、
美童と目が合ってからは、やわらかいものに戻る。
「帰る前に、もう一度話をさせて」
「……ええ」
 野梨子とて、あれで話が終わるとは思ってなかったのだろう。
抗わずに頷いた。
 ここでは人目があり、おちついて話が出来ないと考え、
二人はゆっくりと歩き出した。
「ごめんね」
 ようやく美童が野梨子に話しかけたのは、歩き出して数分。
閑静な住宅街の真ん中にある公園のベンチに腰を落ち着けて
からのことだった。それまではふたり沈黙のままで、視線すら
合わせることはなかった。
 夕日を背に、小学生たちがさよならの挨拶をしながら家路
についていく。
「いいえ。急に申し上げたわたくしが悪かったのですから」
 小憎らしいほど落ち着いた返答だった。
 何から話そう。そう考えながら、美童はとりあえず悠理や
清四郎からあらかたのことを聞いたことを告げた。
 家の事情を詳しく知っていたのは仲間内でも清四郎だけで、
悠理は母親から漏れ聞く程度だったようだ。
555夜半に花は落ち(29)美×野:2008/03/21(金) 10:41:59
「……余計なことを」
(あ。)
 若干だが、野梨子の表情に変化があった。
(本気で、恨めしく思ってんだろーなー)
 そのような場合ではないというのに、美童は小さく笑った。
「君の戦いにさ、確かに僕は何も役に立たないと思うよ」
 今、野梨子は白鹿流の高弟の一派と戦っている。連綿と続く
伝統を食い潰されないためには、件の人物ではなく、自らが
若宗匠となる必要があった。
「……」
「君の婿になったとしても、僕は何もできず、君の足を引っ張る
だろう。それどころか、外交官としての道を、半ばにして失う
ことになる。君がそれを考慮してくれたのは分かっているんだ」
「……ええ、だから」
「でもね。なら野梨子は僕の子を産んでくれるの」

『美童がくれたこの子がいたら、――わたくしはきっと戦える』

 野梨子は一度だって、愛の言葉をくれることはなかった。
 けれどあの台詞は。
「いつまでかかってもいい。待たせてよ、君が戦い終えるのを」
「待っていただかなくて結構ですわ。あなたを縛りつけるつもり
なんて、ありません」
 穏やかな笑みを浮かべる彼女を落ちる夕日があかあかと染めた。
 美童はあの卒業式の日から、何度この笑みを見たことだろう。
 でももう分かっている。
556夜半に花は落ち(30)美×野:2008/03/21(金) 10:42:36
 野梨子は強がっているわけではない。無理して笑っている
わけでもない。けれどこの笑みを浮かべている野梨子が、
まったく痛みを知らずにいる筈なんてないのだ。
 たまらず、美童は野梨子を抱きしめた。きっちりと形作られた
帯が撓むのが知れたが、遠慮する気などなかった。
「時間も、距離も関係ない。だって、僕が日本を発って
どれぐらいの月日がたったと思ってるんだよ。どうしても君を
忘れることはできなかった。どうしても、だ」
 大学を卒業し、就職もした。仕事も充実しているし、幾人もの
女性と出会い、体を重ねた。
 だが野梨子から逃れることはできなかった。
 当たり前だ。
 胸の中にしっかりと彼女を捕まえたのは自分自身だったのだから。
 きっと一生の恋になる。
「君が要らないって言ったって、僕は待つ。君が別の人間と結婚
したって、それが恋じゃないのなら、奪ってやる」
「――必要ない、ですわ。待たなくていい。美童、あなたは
あなたの道を行ってくださいな」
「野梨子、僕は」
「そのかわり、わたくしが勝手に追いかけます。しつこい女。
はじめから諦めるつもりなんてなかったんですわ」
「!」
 はっとして美童は野梨子から体を剥がし、彼女を見つめた。
557夜半に花は落ち(31)美×野:2008/03/21(金) 10:43:27
 彼女の黒目勝ちの瞳に涙が滲む。
 もう太陽はほとんど落ちて、世界の底に朱を湛える程度と
なっていた。代わりに黒と群青が入り混じる中、真っ白な公園灯
がスポットライトのように野梨子を照らしている。

「何ひとつあなたに約束できる言葉がありません。あなたを縛り
たくないのだって、わたくしのエゴですわ。でもずっとあなたを
諦めることなんて出来なかった。でもいつか、わたくしが自由に
なれたら、勝手に追いかけるつもりだった。
――あの日にそれを決めたときからずっと!」

 あの日。
 その言葉がいつを指すのか、美童に分からない筈がない。
 突然訪れた恋に酔っていたとき、野梨子は独り、そんなことを
決意していたのだ。
 美童の視線の先、表面張力を保てなかった涙がこぼれ、頬を伝う。

「――参った」

 嘆息とともに呟いた美童は、そのままどうしていいのか分からず、
もう一度彼女を抱きしめ、その肩口に顔を埋めた。
「降参だよ、君には。もうなんていうか……」
 実際彼にとって、とんでもないことだった。
 野梨子はフェミニストの美童をして、手出しを控えさせただけ
ではなく、恋について百戦錬磨の彼を赤面せしめたのだから。
558夜半に花は落ち(終)美×野:2008/03/21(金) 10:55:30
 白熱灯がじりじりとくすぶっている。
 急に夜の気配が濃くなり、誘われるように美童は瞳を閉じた。
 野梨子の首筋からは花の匂いがした。呼吸に上下する胸から、
厚い着物の生地からもじんわりとした熱が伝わってくるような
気がした。
 そしてその下。
 まだ目立たぬその腹部には、新しい命が芽吹いている。

 ――いつも、野梨子を抱く夜は、誰の手にも寄らず咲いた花を、
わざわざ散らせるような、そういった気分に捕らわれたものだった。

 けれど今は違う、と美童は思った。
 野梨子の花は、枯れず、散らず、落ちることはない。
 おそらくしわしわの老婆になったとしても、命果てるその瞬間
まで彼女は咲き誇るだろう。


 ――あれから幾年が経った。
 茶道界に凛と咲きながらも、落とせぬ花よと愛でられた白鹿流の
若宗匠が結婚を気に家元を継ぐことになった。
 以前から噂されつつも表に出てこなかった子供とともに、父親が
明らかになり、ファンを泣かせたのだが、それはまた別の話。


終わり。
559名無し草:2008/03/21(金) 18:30:37
>夜半に花は落ち
お待ちしてました。
野梨子、強くて凛としていて綺麗だなぁ。
美童、完敗ですね。子供は女の子でしたよね。
きっと娘にメロメロなパパになってるんだろうな。
ラスト読んで幸せな気持ちになりました。GJでした。
560名無し草:2008/03/21(金) 19:12:31
>夜半
おお!待ってました。
タイトルと内容がビシリと合ってて、映像が浮かぶようなお話
お見事でした。
楽しませてもらいました。萌えたー。
561名無し草:2008/03/21(金) 19:18:36
投票します。

1、「飾り」「涙」「姫」

2、10日間

3、8レス

4、一週間

よろしくお願いします。
562名無し草:2008/03/21(金) 19:58:56
>夜半に花は落ち
ラスト、お待ちしてました!
美×野は好きなカプの一つですが、結婚するとしたら
色々と障害が多そうな組み合わせだよなーと思っていたので、
その部分に焦点をあてた展開が面白かったです。
魅×悠の本編とあわせて好きな作品でした。お疲れさまでした。
563名無し草:2008/03/21(金) 23:31:01
>>510
 

1、「行かないで」「視線」「飾り」 

2、10日間 

3、8レス 

4、一週間 

よろしくお願いします。
564名無し草:2008/03/22(土) 04:17:03
競作・三題噺への投票です。よろしくお願いします。

お題:「ありがとう」「約束」「桜」

投下準備期間 :一週間と3日(10日間)

レス数 :10レス以下

投下期間 :二週間
565名無し草:2008/03/22(土) 16:37:23
*作品賞
1位 有閑倶楽部 5377
2位 ガリレオ 1725
3位 歌姫 1249

*主演男優賞
1位 赤西仁 5521
2位 福山雅治 2334
3位 長瀬智也 1419

*助演男優賞
1位 田口淳之介 3838
2位 堤真一 1350
3位 リュ・シオン 1260

*助演女優賞
1位 香椎由宇 3794
2位 柴咲コウ 2415
3位 相武紗希 1142
566名無し草:2008/03/22(土) 17:34:43
わけわかんない特ア人の名前が入ってると、
一気に信用度が落ちるね。
567名無し草:2008/03/22(土) 17:35:32
お題、投票します


嘘つき


10日

でお願いします
568名無し草:2008/03/22(土) 17:45:13
〜お題中間集計〜

飾り 7
藁って 4
視線 4
姫 4
ありがとう 3
涙 2
嘘つき 2
傘 2
桜 2
約束 2
行かないで 1

〜引き続き投票ドゾー〜
569名無し草:2008/03/22(土) 17:46:32
あ、568は>>567が入っていませんでした

〜中間集計修正〜
飾り 7
藁って 4
視線 4
姫 5
ありがとう 3
涙 2
嘘つき 3
傘 2
桜 3
約束 2
行かないで 1

〜引き続き投票ドゾー〜
570名無し草:2008/03/22(土) 17:47:57
×藁って
○笑って



orz
571名無し草:2008/03/22(土) 20:14:56
お題投票します。

【笑って】【行かないで】【飾り】

10日(どちらも)

10レス以内
572名無し草:2008/03/22(土) 20:56:31
投票します。
1、「桜」「涙」「姫」
2、10日間
3、8レス
4、一週間
573名無し草:2008/03/23(日) 04:32:06
中間結果見るとお題の票、ばらけてるね。
なんつーか、投票から外したシチュも含めて
作家さんが好きなの三つ決めて書いた方がいいと思う。
その方がたくさん作品集まりそうだし、
バリエーションたくさんあって楽しそう。
まぁ、確かに同じお題で読み比べる楽しみはないかもしれないけど、
お題をこうセレクトしてきたかっていう楽しみはあるわけだし。
あんまりガチガチに固めなくてもよくない?
あとレス数とかもアバウトでいいじゃんと思う。
こうも決め事多いと書く気失せそう。

水差して悪いけどさ。
574名無し草:2008/03/23(日) 04:35:32
もうかなり前から話し合って決めたことだし。
575名無し草:2008/03/23(日) 08:28:35
>>573
いまさらだし。次の祭りの時にそういうのもいいかもね。
576名無し草:2008/03/23(日) 11:02:22
まぁ制限を緩めた方が書きやすいし良いんじゃないかとは自分も思っていた。
573はなかなか良い考えだと思う。

ただ今回の場合、もう投票段階に入っちゃったから仕方ないかな。
577名無し草:2008/03/23(日) 13:20:36
そうですね。
これで三題噺が難しすぎて、もしも作品があんまり集まらなかったら(不吉だけど…)
また制限を緩めるとかのいろいろな措置をとればいいんじゃないかな。
578名無し草:2008/03/23(日) 19:21:34
アンケート

1) 「笑って」「視線」「桜」

2) 10日間

3) 10レス以下

4) 2週間
579名無し草:2008/03/24(月) 07:19:24
集計(投票数15)

☆お題
飾り 8
笑って 6
姫 6
桜 5
視線 5
ありがとう 3
涙 3
嘘つき 3
傘 2
約束 2
行かないで 2

☆準備期間(※>>567は無効票)
10日 10
2週間 3
1週間 1

☆レス制限(※>>567は無効票)
8レス 9
10レス 5

☆投下期間(※>>567は無効票)
2週間 9
1週間 4
10日 1
580名無し草:2008/03/24(月) 07:28:40
ちなみにテンプレを作成しました。
(前回の競作のテンプレをおかりしました)

*** 『三題噺』競作 *** 

☆下記の題目全てを含めた三題噺を募集します。
『飾り』『笑って』『姫』
短編・小ネタ・コピペ改変・イラスト等をウプしてください。 

☆期間は4/3 0:00〜4/16 23:59の14日間です。 

☆ウプの時は、名前欄に“競作・<作品のタイトル>” と入れてください。 

☆短編・小ネタ・コピペ改変等 
・8レス以下でお願いします。 
・本スレへのウプを推奨、どうしても気が引ける…という人は「妄想同好会BBS」の 
 「短編UP専用スレッド」へのウプも可です。 
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1029258872/ 
・18禁ものもOKですが、タイトル欄に「R」と明記してください。 

☆イラスト・漫画 
・短編等と同様に8枚(8ページ)以内でお願いします。 
http://cbbs1.net4u.org/sr4_bbs.cgi?user=11881yukan2ch に直接ウプか、 
 yukan2ch★infoseek.jp(★を@マークにかえる)にメールしてください。 
 投稿作は、妄想同好会に吸収されるまでは管理します。 
・18禁の場合、「局部がかかれていない(見えない)物であり、出版物として商業市場 
 (同人ではありません)に出せる程度の物」が基準です。 

=== 作家も自称作家も初心者もROMちゃんも・・・燃えてみませんか? === 

ちなみに絵板の管理人は自分なので、今回も入れてみました。
581名無し草:2008/03/24(月) 07:37:52
>>580
乙です。
582名無し草:2008/03/24(月) 08:20:03
>>580
乙!!
今から楽しみ
583名無し草:2008/03/24(月) 10:23:29
>>580
乙。
競作とタイトルに入れると、カップリングが行数制限で入らなくなるので、
カップリングがある際は、冒頭に表示してくれると嬉しいな。
584名無し草:2008/03/24(月) 20:54:40
>>580
乙です!
楽しみです。
イラストも見られるといいな。
一方、上善総合警備。
美童の電話から10分、時計の針は4時40分を指していた。
息を切らした清四郎は、同じく息を切らした可憐に駆け寄った。
「悠理!いたか!?」
「いないよお魅録!」
3人は各々、ビルを探し回っていたが、裕也も野梨子もなかなかみつからない。
「魅録!悠理!」
そこへ、またまた息を切らした魅録が駆け寄ってきた。
「美童!いたか!?」
清四郎の問いに、魅録は首を振る。
「そうか……」
「魅録!悠理!」
再び2人の名前を呼んだ魅録は、清四郎と可憐の腕にしがみついた。
「怖いから一緒に探そうよ!!」
「はぁ!?」
「まさかお前、今まで探してなかったのか!?」
呆れる2人。
「だっていつ大湊とご対面しちゃうかわからないんだよ!?」
そんな2人をよそに、魅録の訴えは必死である。
「時間ないんだぞ美童!まとまって探すより、分かれて探す方が効率的だろ」
「あたいでもわかるぞ、それくらい!」
「でも怖いものは怖いんだよお!!!」
「知るか!」
可憐はぷい、と顔を横に背けた。
「悠理!ね、ねぇ、魅録は一緒に行ってくれるよね!?」
魅録は清四郎にすがりついた。
涙ながらに清四郎にしがみついて離さない魅録。
こんな光景を見ることができるのは、最初で最後かもしれない。
「……美童」
清四郎は眉をひくつかせた。

「頼むからひとりで行ってくれ――――!!!」
「頼むからひとりで行ってくれ――――!!!」
清四郎のその怒鳴り声は、廃ビルの野梨子(ぬり子)の耳まで届いた。
そう。実は、野梨子(以下略)と裕也が監禁されているビルは、すぐ側にあったのだ。
「あの声は……清四郎!?っていうか魅録!?」
野梨子は急いで鍵の閉まったドアまで走り寄った。
「ぬり子さん!?」
「助けがきたのよ!裕也さん!」
野梨子は、大きく息を吸い込み、大声で叫んだ。
「みろ…清四郎――!!私はここよ――!!!」

「え!?」
「今の声って……」
「まさか!?」
3人は声の聞こえてきた廃ビルの方へ向かった。
「かれ…野梨子!?」
可憐が叫ぶ。
「野梨子!!野梨子だよね!?」
同様に魅録も叫んだ。
「悠理!…じゃなくて可憐!!美童!…じゃなくて魅録!!」
「かれ…野梨子!大丈夫か!?」
「魅録!…じゃなくて清四郎!!早くここから助けてぇ!鍵が閉まってて出られないのよお!!」
清四郎は鍵に目を落とす。
頑丈な南京錠だ。
ピッキングはおろか、ちょっとやそっとの刺激では壊れそうにない。
「……待ってろ野梨子!」
清四郎は走り出した。
「どこ行くんだよ魅録!」
走り出した清四郎を、可憐と魅録は必死に追いかける。
着いた場所は、少し前に車を止めた駐車場だった。
清四郎は足早に車に乗り込む。
「おい、車なんかに乗ってどうするんだよ!?」
清四郎に促されて後部座席に乗り込んだ魅録は、わけの分からないといった様子で尋ねる。
「……ビルのドアをぶっ壊す」
清四郎ははっきりと言い切った。
「え!?ぶっ壊す!?」
「やったぁ!頑張れ魅録!」
ノリノリな可憐と、やや青ざめ気味の魅録……対照的である。
「――よし!」
清四郎はアクセルを一気に踏み、車は猛スピードで発進した。
「うわあああ〜っ!!」
「行けえ〜っ!!」
魅録の叫び声と可憐の興奮した声が車内に響きわたった。
さすがは魅録君。
レーサー顔負けの運転テクニックである。

そして清四郎の運転する車はビルのドアの前に差し掛かった。
「よし……行くぞ!!」
清四郎の合図と同時に、車はさらに加速し始める。
エンジン音が鳴り響き、3人を乗せた車は、目にも止まらぬ速さでビルとの距離を縮めていった。
ドアまで、あと3メートル……2メートル……1メートル……。

ドガァァァンッッ

盛大な破壊音とともにドアは勢いよく崩壊し、野梨子と裕也の前に、車は静かに停止した。
「清四郎!!」
野梨子の瞳が、喜びと安堵に輝く。
「迎えにきたぜ、野梨子」
588名無し草:2008/03/24(月) 21:19:54
長文で申し訳ないです。
続きよろしくお願いします。
589名無し草:2008/03/24(月) 23:18:48
>裕也君〜
GJ
魅録(見た目清四郎)格好いい!
喜びと安堵で瞳を輝かせる野梨子は
是非見てみたい。
590嵐 ◆F/MOUSOU1Q :2008/03/25(火) 00:24:24
>>580
集計とテンプレ作り、お疲れ様です。再びの競作を楽しみにしています。
テンプレに余裕があれば、一番下に↓これを入れてもらえると嬉しいのですが。

☆作品の裏話などはこちらへ。妄想同好会にUPする際、作品の後ろにつけます。
裏話スレッド http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1027901602/
*** 『三題噺』競作 ***  

下記の題目全てを含めた三題噺を募集します。 
『飾り』 『笑って』 『姫』 
短編・小ネタ・コピペ改変・イラスト等をウプしてください。  

【期間】 4/3 0:00〜4/16 23:59の14日間

【投稿方法】

☆共通ルール
・投稿の時は、名前欄に“競作・<作品のタイトル>” と入れてください。  
・カップリングがある際は、出来る限り作品の冒頭に記載してください。
・8レス以内(画像の場合は8枚以内)でお願いします。

☆短編・小ネタ・コピペ改変等  
・本スレへのウプを推奨。
 どうしても気が引ける…という人は「妄想同好会BBS」の「短編UP専用スレッド」へのウプも可です。  
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1029258872/
・18禁ものもOKですが、タイトル欄に「R」と明記してください。  

☆イラスト・漫画  
http://cbbs1.net4u.org/sr4_bbs.cgi?user=11881yukan2chに直接ウプか、  
 yukan2ch★infoseek.jp(★を@マークにかえる)にメールしてください。  
 投稿作は、妄想同好会に吸収されるまでは管理します。
・18禁の場合、「局部がかかれていない(見えない)物であり、出版物として商業市場  
 (同人ではありません)に出せる程度の物」が基準です。  

☆作品の裏話などはこちらへ。妄想同好会にUPする際、作品の後ろにつけます。 
裏話スレッド http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1027901602/

=== 作家も自称作家も初心者もROMちゃんも・・・燃えてみませんか? ===  
592名無し草:2008/03/25(火) 07:38:01
>>590
嵐さんお疲れさまです。
593名無し草:2008/03/25(火) 11:06:04
ワタシは自治厨作家
大女ユウは幸あれ〜〜の職人です。

「〜よろし」や幸あれなど古い表現がクセなので
コテだと思って下さい。
作品を作る時、頭でしっかり考えて構成を練るタイプだから
堅い仕上がりになってしまう。
内側から湧きでるような素直なストーリーの天才肌の人がうらやましい。
意識して軽く仕上げるようにしても、性格の堅さが出てしまい
わざとらしくなってしまうのが悩み。
二チャネラー相手にむなしくなる事もあるけど
がんばります。
594名無し草:2008/03/25(火) 12:12:17
ttp://qb5.2ch.net/saku/index2.html
誰か時間があったら>>593を上に報告しといて。
荒しレスはこのスレだけでもたくさん残ってる。
早くこいつのIPホストが住人全員の前にされけ出る所を見たい。
595名無し草:2008/03/25(火) 15:39:45
>>590・ 591
お疲れ様です。
沢山いい作品が出ますように!
車から可憐と魅録も降りてきた。
「だけど清四郎、遅いわよ!もっと早く助けにきてくれると思ってたのに!」
野梨子は眉をつり上げた。
その様子に、いつかの東北のスキー場での可憐の遭難事件を思い出した清四郎はくすくすと笑った。
「何で笑うのよ」
「いや……相変わらず助けがいのねー奴だなと思ってさ」
「……悪かったわね」
清四郎につられるように、野梨子も頬が緩む。
……それにしても、清四郎に助けられて文句を言う野梨子はレアである。

さて。
ひとり放っておかれた裕也君はというと。
「大丈夫か!?裕也!」
「あ、あぁ……」
可憐に駆け寄られるも、すっかり呆然としていた。
「……すげーな……」
「……は?」
廃ビルとはいえ、ビルのドアを壊すなんて……。
あの運転テク……やっぱ清四郎ってすげ――!!!
甚だしい誤解ではあるが、こうして裕也君の清四郎君への誤った友情はさらに深まったのであった。

そのとき。


続きお願いします!
597名無し草:2008/03/25(火) 19:40:59
リレーGJ。
続き楽しみに待ってる。
「ずいぶんと派手にやってくれたな」
「!?」
野太い男の声に、全員が崩壊したドアの方を振り向く。
嫌な予感が頭をよぎる。
そこには、左右に1人ずつ組員を従えた金剛が立っていた。
「金剛・・・!」
「残念だったな裕也。せっかくお友達が助けにきてくれたのに」
金剛はふん、と鼻で笑う。
緊迫した空気が、ビル内を流れた。
「あと少しすれば大湊の若造が来るところだったんだがな。・・・・・・こうなったからには仕方ない」
吐き捨てるように言った金剛は、手を懐に差し入れる。
(まさか・・・・・・!)
清四郎は目を見張る。
金剛のその手には、残酷なほど黒光りした拳銃が握られていた。
「!!!」
空気が一瞬のうちに変わっる。
「動くなよ。言っておくが、これは本物だぜ」
口元に笑みを浮かべた金剛は、銃口を裕也に向けた。
「裕也!」
「大湊の若造が来る前だが・・・お前を血祭りにあげてやるよ。裕也」
(くそ〜あいつ!なぁ魅録!飛び蹴りして拳銃奪うとかだめか!?)
可憐は小声で清四郎に尋ねた。
(ばか!ここから金剛まで距離がありすぎる!この状態でそんなことしても、飛び蹴りが当たる前にこっちに気づくだろ!)
(でも上手くいくかもしれねーじゃん!)
(万が一上手くいったとしても、金剛の横の2人に返り討ちにされるのがオチだ!)
(じゃあどうすりゃいいんだよ!?早くしないと裕也が・・・・・・!)
(・・・・・・)
清四郎は唇を噛み締めた。
事態は一刻を争っている。

「――じゃあな、裕也」
引き金を引く金剛の指に力がこもった。
「!!!」
思わず目をつぶる野梨子と魅録。
今にも駆け出しそうな可憐。
清四郎は強く心に祈った。

早く来い清四郎!
今来たらお前の髪をピンクに染めるのやめてやるから!!
その瞬間。
うっ・・・というくぐもった声がしたかと思うと、金剛が突然、腹をおさえながら倒れこんだ。
拳銃が手から落ちる。
倒れた金剛はぴくりとも動かなくなってしまった。
「――今だ!」
清四郎と可憐は勢いよく走り込んだ。
左右の2人に、清四郎のパンチと可憐の蹴りが決まる。
「決まったぁ!!」
「ナイス魅録!悠理!・・・・・・じゃない清四郎!可憐!」
「ばか悠理!私のパンツ丸見えじゃない!」

「・・・・・・」
魅録と野梨子をよそに、裕也はおそるおそる金剛に近づいた。
「・・・・・・死んだのか・・・・・・?」
「死んでなんかいませんよ。ちょっと溝落ちに一撃しただけですから」
聞き馴れた男の声。
倒れこんだ金剛の陰から、金髪の青年が現れた。
その後ろにくっついて、外跳ねの少女も顔を出す。
「お待たせしました、皆さん」
美童はにっこりと笑った。



どなたか続きお願いします。
601名無し草:2008/03/25(火) 20:29:58
リレー
>今来たらお前の髪をピンクに染めるのやめてやるから!!


染める気だったんだw
いつも楽しませてもらってます。
602名無し草:2008/03/25(火) 21:17:21
>裕也君
Gj!
髪がピンクに染まった清四郎を想像して笑えたw
あと、ぬり子さんは双子設定がばれたら野梨子に怒られそう。
ワッ!と歓声が沸く中、悠理が裕也に駆け寄る。
「大丈夫ですの?怪我はありませんか?」
「あ、あぁ、大丈夫、ざまぁねえな・・・」
と、答えてから今言われた言葉を反復。
え?なんつったこいつ?
大丈夫、ですの?ですの、だって?おまけにありませんかって????
言われた裕也君驚いて悠理を改めて見ます。
ま、まさか実は悠理にも双子の姉だか妹がいて正反対の性格って事じゃ
ないだろうな・・・
「さて喜んでるところ水をさすようですが、これから大湊総司朗が来ますよ。
どうしましょうかね」
一同顔を見渡す。
「そんなん決まってるジャン、ズタズタのボロボロにして二度と裕也に手を出さないようにしようよ!」
物騒な事を言うのはもちろん可憐さん。
「警察に突き出すってのは駄目なの?それでいいじゃん」
と腰が引けてる魅録。
「証拠がないんだよ、首謀者だっていう。こいつが口を割ったところでどうなるか」
足元に倒れてる金剛を指しながら言う清四郎。
「あの方を野放しにしておいたら、また何を考え付くか分かりませんわよ」
悠理はあくまでも上品である。

クックック・・・笑い声が背後で聞こえた。
「金剛が首謀者で終わる、だけでしょうね。残念ですよ、グランマニエ君。君のもとで辣腕がふるえなくて。
せっかく私に期待してくれていたのにね。」
能面のような無表情で大湊総司朗が拳銃を一同に向けてたっていた。そしてニッコリと笑った。
「このビルはかなり古いんですよ。車の誤運転で崩壊した事にしましょうかね?
首謀者、助けにきた仲間もろともビルの崩壊で死亡。幕引きはこれでいいと思いますが、どうでしょう?」
一同の顔に緊張が走る。
「このビルは明後日取り壊し予定だったのですがね。車が衝突した衝撃で爆破スイッチが誤作動した、と報告しておきますよ」
爆破ボタンのコントロールを一同に見せる。
「では、皆さん、ごきげんよう」
ビルから足早に後ずさりながら大湊総司朗は冷酷にボタンを押す。
八っとして崩壊したドアに向かって走り出す面々。
ズ、ズズズ・・・ズガ〜〜ン ビルの東側が崩落したような衝撃が走った。
爆発が始まったのだ。足元が揺れて走れない。
「もう駄目!」 「キャー」 「うわっ」 
スズズ・・・更に揺れがひどくなっていく。
・・・・・ドンっ!・・・・ドンっ!
ものすごい衝撃音とともに宙に浮く。どれ位揺れと衝撃が襲ったのだろうか。

「・・・・????あれ?生きてら」
一番先に気がついたのは悠理だった。
起き上がり、周りを見回すが周囲は埃がまっていて視界が悪い。
「おい、清四郎?可憐?魅録?野梨子?美童?裕也・・・???」
「・・・生きて、ますね・・・」
清四郎が立ち上がり、洋服の埃をはらってるらしい音がした。
夜の闇のなかで目を凝らす。
「ゲホッゲホ・・・、こっちは無事だ、清四郎、悠理」魅録の声がする。
「うわっ!すごい生きてる!」感激の声に震えてるのは美童だ。
「・・・?生きてますわね・・・」「本当・・・」野梨子、可憐の声もする。
あと一人、声が聞こえない。
「!!裕也さん?」野梨子が叫んだ。___が、裕也の返事がない。
遠くで消防車の音がする。多分ビルの崩壊をしった誰かが呼んだに違いない。
どんどん音が近づいてくる。

信じられない事に、金剛、金剛の部下、裕也全員無事だった。
無事だったのは偶然にも車で突っ込んだ際に配線が切れていたのと爆薬が壊れた配管から水が出て塗れたことによる爆発不良のためだった。
頭の打ち所が悪かったのか、裕也だけ意識がなかった。
なので。
全員もとの自分に戻った事も気がつかないくらいだった。
605名無し草:2008/03/26(水) 09:53:39
>リレー
ついに戻っちゃいましたね……
これからどうなるか楽しみですw
606名無し草:2008/03/26(水) 15:21:28
もう子供達も春休みだし週末は特に慌ただしくて。
時間に余裕があるのはいいですね。
会社も年度替わりの忙しい時期ですね。
607名無し草:2008/03/26(水) 20:16:49
>リレー
とうとうクライマックスに向かってるのかな。
凄く順調に進んでて面白い。

裕也には大変な東京旅行だったなw
「・・・・・・ん?」
最初に異変に気がついたのは悠理クンだった。
「どうしました?悠理」
「胸がない・・・・・・」
「え!?」
悠理の声に、裕也を除く全員が驚きの声をあげる。
朝日が差し込み、だんだんと視界が明瞭になってきた。
「ね、ねぇ・・・・・・」
「これって・・・・・・」
「まさか・・・・・・」
「私たち・・・・・・」
顔を見合わせる有閑倶楽部。

!!!元に戻った!!!

「う、うれし・・・これでやっとウエストの心配をしなくてすむのね・・・・・・」
可憐さん、思わず嬉し泣きです。
「念願のデートし放題だあ!」
美童君も喜びに叫びます。
「お前は俺の外見でもデートしまくってただろーが」
呆れた顔をしている魅録君も、元に戻ったうれしさに顔をほころばせています。
みんな各々、久しぶりの自分の体に喜びを噛み締めていました。
――しかし。
「・・・・・・」
清四郎君と野梨子さんだけは、何やら複雑な顔をしています。
「悠理と美童☆キス騒動inパーティー会場・・・」
「愛の力・ザ・スペシャル☆婚約パーティー脱出大作戦・・・」
「逃飛行しちゃうぜ☆ヘリコプターGET愛の引力デラックス・・・」
☆って・・・・・・いつのまに名前が?というツッコミはおいておくことにして、元に戻って改めて思い返される、数々の出来事たち。

・・・・・・絶対にばれませんように。
さて、2人の祈りは天に届くのか?
609名無し草:2008/03/26(水) 22:04:41
次お願いします!
有閑倶楽部の皆さん(二名を除く)が大喜び大騒ぎをしていると
「うるさいなーアイタタタ」
と呟きながら裕也君が目覚めた。
「裕也さん、意識が戻ったんですね。良かった…。」
大きな目に涙をうかべる野梨子。
「心配をかけてすまなかった。野梨子。いや、あんたはぬり子さんだった。」

野梨子さんは険しい表情で可憐さんのほうを見る。
可憐さんは手を合わせ、ごめんなさぁいという表情を作った。
おおよその検討がついた野梨子さんはため息をつく。

「ぬり子さん、どうかしたのか。大丈夫か?」
何も知らない裕也君は優しく聞く。

「大湊のせいで大変な目にあいましたわね。今までも、これからも大変ですわ。」
611名無し草:2008/03/27(木) 23:02:26
>裕也君
笑えたよw GJでした!
続きが楽しみ。

612糸(悠理):2008/03/28(金) 01:45:32
小ネタ連作。三部作の予定で、一作目。
清四郎と野梨子と悠理の三角関係。野悠っぽい描写もあり。
613糸(悠理)1:2008/03/28(金) 01:46:10
 スカートの裾がほつれている。
 手持ちぶたさに制服のプリーツを弄っていた悠理はそのことに気づいた。指で糸を
切っちゃおうかなとも思うが上手くいかない。
 ぐちゃぐちゃな机の中に手を突っ込んでみたものの、小学生じゃあるまいしハサミ
なんて都合良く入っていなかった。
 目の前で国語教師がお経を唱えている。胡散臭いどこぞの教主よりも霊験あらかたな
呪文は、確実に大半の生徒の眠気を誘った。六限目になると、昼に食べたものがいい
具合にくちてくるのか、普段真面目な生徒の頭もゆれている。
(あ、あいつも落ちた)
 斜め前の生徒が耐え切れず机に突っ伏していた。
 いつもなら率先して居眠りする悠理だが、今日はまだかろうじて目は開いている。
昨晩、眠りすぎるほど眠ってしまったせいである。
 そのまま視線を滑らせると、清四郎と野梨子の凛とした後姿に当たった。
(さすがだよなぁ)
 この倦怠感漂う教室の中で、彼らだけがいっぺんの弛みもなく背筋を正し、授業を
受けていた。
 幼馴染のせいか、育った環境のせいか、あの二人はどこか似ている。
(つよくって、プライドが高くて)
 あまりにおキレイに生きているから、厭な気分になるときさえある。彼らのせいで
ないことを承知していながら。
(そんでもって、嘘はつかない)

 あたいとは違って。

 しばらくその背中を眺めていたが、真面目に板書しているだけの姿にすぐ飽きた。
 悠理もまた眠りの淵をまたいだのだった。
614糸(悠理)2:2008/03/28(金) 01:46:57
 夢の中で愛の言葉を告げられる。



「……理。悠理」
 自分を呼ぶ声にまどろみから掬い上げられた悠理はゆっくりと目を開けようと
試みた。膠で貼りついたように、瞼が重い。
 声の主――清四郎は、呆れた様子で誤記を強めた。
「悠理。いい加減に起きて下さい。戸締りできないでしょう」
(だ、だめだ。目が開かない)
「あ、ああ」
 ちょっとでも目を瞑っていられるように、なんとか返事だけはして時間を稼ぐ。
本当はほとんど頭が動いていない。
 そんな悠理の魂胆が分かっているのか、清四郎は溜息をついたようだった。
「もうとっくにホームルーム終わりましたよ。寝るなら帰るか部室にしてください」
「……うん、分かってる……」
「悠理」
「もうちょっと……」
「――実は起きてないでしょう」
「うん……」
「起きないとキスしますよ」
 零れていた亜麻色の髪を指でかきあげられる。
「うーん」
 ちゅ。
 あ、ちゅーされた。
 頬に押し当てられた柔らかい感触に、そんなことを思う。不思議と慌てはせず、
いまだ悠理はまどろみの只中にある。
「しょうがないな」
 呆れたような声をあげた後、清四郎は悠理を抱えあげた。
615糸(悠理)3:2008/03/28(金) 01:48:29
 ま、お姫様だっことは思ってもなかったけどさ。
 悠理はきゃーきゃー騒ぐ生徒たちの声でようやく目が覚めた。
 清四郎はまるで砂袋を担ぐ水夫のように、肩の上へ悠理を乗せて廊下を歩いて
いる。
 こんな色気のない運び方でも騒がれんだな、と他人事のように悠理は思った。
(頭に血ぃ登りそ)
 頭が下になるように抱えられていたため、こめかみがちりぎりと痺れている。
 仮にも好意を寄せている筈の人間に対してこの仕打ちはなんだろう。
 冷血漢の清四郎らしいといえば、そうとも言えたが。
「もう起きたから降ろせ」
「はいはい」
 口を尖らせて訴えると、これまた荷物のように無造作な様子でどさりと廊下
の真ん中に落とされた。
「ひでぇ」
「悠理ほどじゃないと思いますがね」
「……」
 清四郎の言葉に、悠理はぷいと顔を背けた。
 一緒に生徒会室まで向かいながら、悠理は考えた。
 いつからだったろうか。
 清四郎が自分に対して遠慮がなくなったのは。
 悠理が答えを出さないことを責めるわけではないが、昔のように誤魔化すことは
許してくれない。
 何も分かっていないふりは、もう出来なかった。
 だからもう、目も合わせない。清四郎がどんな顔をして自分を見ているかなど、
悠理は知らないし知りたくもない。
 下を向いて歩いているたら、ふと、スカートの裾のほつれが繕ってあることに
気がついた。
616糸(悠理)4:2008/03/28(金) 01:52:14
 立ち止まって、ゆっくりと縫い目を指でたどる。
 急に歩みを止めて、スカートの裾を弄りだした悠理に、しかし清四郎は何も言わない。
 彼がそのことについて、何かを口にしたり、表情に出したりしたことなど一度もないのだ。

 何気ないふうを装って――そしてまた、それが通用しないことも分かっていながら、
悠理は清四郎に問いかけた。
 思っていた以上に乾いた声がでた。
「――野梨子は?」
「先に生徒会室へ行きましたよ」
「そう」

 いつからだったろうか。
 悠理はもう一度、先ほどと同じフレーズを脳裏に浮かべかけて、しかしやめた。

                                           終わり(野梨子編に続く)
617名無し草:2008/03/28(金) 08:02:41
>糸
GJ!おもしろかったです。
好きな女を荷物のように運ぶ清四郎がいい。
次の野梨子編も楽しみにしています。
618名無し草:2008/03/28(金) 12:13:53
>裕也君〜
乙です。この後、どうやって終わるかが楽しみ。

>糸
GJです。「起きないとキスしますよ」の言葉にドキッとした〜。
面白〜い、続き楽しみに待っています。
619一人迷路(可憐*清四郎):2008/03/28(金) 13:05:44
可憐・清四郎のカプです。苦手な方スルーして下さい。
可憐さんの独り言みたいなもんかもしれません。
他カプは文章中にでてきますがここでは伏せておきます。
嫌いなカップリングだったらごめんなさい。
620一人迷路(可憐*清四郎):2008/03/28(金) 13:06:14
いつもの店、少しの喧騒。コーヒーの香りが漂う店内。
耳に届くか届かないか、という位の控えめな音楽。
あたしは彼のコーヒーカップをもつ手を見るのが、好きだ。
何で男の人の手なのに、ゴツゴツとした印象がないんだろう?
何て綺麗な手なんだろう。爪の形も悪くない。あんなに強いのに・・・。
あたしは、彼の指をぼんやりと見つめる。
もしかしたらあたしはいつも彼の指をみてるのかもしれない。
そして、その時間はあたしに取って至福の時間なのだ。

「来月の可憐の誕生日に、どこか近場に旅行でも行きますか?」
いつもと変わらない顔して、奴は___清四郎は言った。
「たまには僕も有給を取らないとね、いつも消化できずに無くなってしまいますし。」
色気も何にもない台詞で。
「そう考えれば、初めてだよねぇ・・・あたしの誕生日一緒に過ごすの」
そう、いつも清四郎は夜勤だ、緊急手術だと言ってはいなかった。誕生日に丸一日過ごした事なんて、考えてみたら一度もない。
イベントに一緒に過ごす事を何故だか最初から諦めていた。
「そういえば旅行だって行った事なかったわね。あたし達って」
旅行はしてるけどいつも誰かしらが一緒で2人でというのがまだない。あたしは夏に美童や悠理と行ったハワイの短い旅行を思い出す。
「そういえば、悠理の予定日って再来週よねぇ・・・。信じらんないわよね、あの子がまさか一番先に母親になるなんて。」
「悠理が切迫早産で入院してる方が信じられませんよ、僕には。」
「そうよね〜、ベッドで大人しく寝ている悠理なんて信じらんない姿よね、ま、だからこその入院措置だったんでしょうけどね〜」
「37週過ぎましたからね。退院してもいいんですけどね、普通の人なら」
あたしは、この間お見舞いに行った時の悠理の大きなお腹を思い出す。
悠理は「も〜、腹が重くてさぁ、あまり食べれないんだよ〜」
笑いながら優しくお腹をさすっていた。やさしくお腹をさするその姿がスッカリ母親らしくて、あたしは自分の知らない悠理を見て少しだけ動揺した。
美童と付き合いだしてからは、あまり無茶しなくなったのよね、あの子・・・あの美童が悠理と、という組み合わせも最初は皆驚いたもんね、って、あたし達が付き合いだしたときも皆驚いてたけど。
621一人迷路 2(可憐*清四郎):2008/03/28(金) 13:10:48
「野梨子達の所は、子供つくらないのかしらね」
「さぁ、どうでしょうね。既にセシルがいるし」
野梨子は、3年前に美童の亡くなった叔母さんの旦那さんだったジャン・ジャック・ダニエルと22の年の差で結婚した。
野梨子25歳、ジャン47歳だった。セシルは、亡くなった叔母さんとの一粒種で、当時14歳だった。
彼女が4つの時に母親が亡くなってから、ずっと独身でいた父親が呆気なく日本人女性と結婚を決めた事に対して
快く思っていないようだった。
結婚式の時のぎこちない笑顔の彼女を思い出す。そういえば、野梨子が結婚してからあたし達付き合い始めたんだっけ…
「どうしたんです?可憐」
「ん、色々思い出してたの。あ、旅行は何処に行こうか?」
「そうですね…。今回は、可憐の誕生日なんですから僕に任せてください、ということにしておきますか」
清四郎がニッコリ笑って言った。あたしも笑って「任せるからね!」と返した。

あたしには、分かっていた。
次のあたしの誕生日、あの男はようやく重い腰をあげてあたしにプロポーズしようとしてるって。
付き合いだして3年。そろそろ、とは何となく思っていたけど。
「可憐ちゃん・・・、何ニヤニヤしてるの?お客様の前でそのニヤニヤ笑いは止めて頂戴ね」
ママに呆れられるほど、あたしはうかれてた。
幸せだった。
622一人迷路 3(可憐*清四郎):2008/03/28(金) 13:13:40
すくなくともあのメールを見るまでは。
清四郎から届いた1通のメール。
「野梨子が離婚して、明日帰ってくる。詳細はまた後で」
あたしはビックリして3度もメールを確認してしまった。
野梨子が離婚?ジャンの一目ぼれから始まった二人の恋愛。
押して押して押し捲ったジャン。そして1年後、野梨子は結婚し、その後ジャンが住むイギリスに渡っていった。
もう一度、メールを読む。
今夜、清四郎は夜勤だ。
何で、清四郎が知ってるの?
分かってる。
野梨子と清四郎が幼馴染で、一番気心がしれてる清四郎に連絡を取ったんだろうという事くらい。
野梨子が一番に連絡をしてくるのが、あたしだと思った?もしあたしが野梨子なら、清四郎に連絡するよ…ねぇ?
明日はママが外商に行く日だから、店は抜けれない。
あぁ、もうっ!タイミング悪い。多分、夜勤明けの清四郎が野梨子を迎えに行くんだろう。
野梨子。
あたしは、ため息をつく。イヤだ。二人で会ってもらいたくない。特に、今回のケースでは。
頭の中では分かってる。二人は幼馴染で、幼馴染で...。
いやな事を思い出す。
野梨子の結婚式のときの清四郎の顔を、思い出す。奴は、なんていうか、見ているこっちが切なくなるような顔をしてた。
いつものようなポーカーフェイスで、きっと誰もいつもの清四郎だと思っていたと思う。
だけど、あたしは気がついてた。あの時の清四郎の顔は。顔は・・・。
パンパンと頬を2回叩く。気合十分。あたしは大丈夫!
時計は、まだ9時。だけどあたしはベッドに潜り込む。余計な事を考えないように。
623一人迷路 4(可憐*清四郎):2008/03/28(金) 13:15:36
成田空港。
ユックリとした足取りで野梨子が出てくる。軽く手を振る清四郎に向かって華やかな笑みを浮かべる。
「清四郎、夜勤明けなのに、わざわざ迎えに来てくださったのですね。」
「おや、心外ですね?迎えに来て欲しくて僕にメールを送ってきたのではないのですか?」
「私が困ったときは、必ず助けに来てくれますものね、清四郎は」
野梨子が悪戯っぽく笑う。清四郎も微笑み返す。
きっと、何も知らない周囲にお似合いのカップルとでも映る二人が、そこにはいた。
「清四郎、今回は怒りませんよね?私が殿方はもうコリゴリと言っても」
「そうですね、きっと怒れませんね。なにせ、僕はまだ結婚すらしてないのですからね」
コロコロと鈴が鳴るように笑う野梨子。優しく見つめ返す清四郎。
3年間におよぶ結婚生活が彼女をより艶やかにさせたようだ。
そこにいるだけで匂立つ色香を彼女は身につけていた。

あたしはそこで目が覚めた。時計を見ると10時40分。
2時間近く寝てたみたいだ。あたしはもう一度寝ようと試みたけど、夢を思い出してはイライラした。
寝ようとしても寝ようとしても、あの二人の残像が目から離れない。___夢なのに。
水を飲みに台所に向かう。口に含んだ水の心地良さにあたしはしばし救われた気分だった。
そして指が勝手に魅録への短縮ボタンを押していた。無意識に。いや、違う。
あの二人が前に付き合ってたことを思い出したからだ。でも、別れた理由をあたし達は知らない。
野梨子も言わなかったし、魅録も言わなかった。二人に問える雰囲気もなかったので、あたし達は何も言わなかった。
こんな時間につかまるかな?と思ったけど、あたしの予想を裏切り2コールで彼はあっさり捕まった。
「なんだよ可憐、久しぶりだな〜、どうした?」
「ん。元気?今って何してるの?」
「あぁ、今?「days」で飲んでる。ちょうど仕事あけてさ。」
「まゆみちゃん、だっけ?一緒なの?」
「あぁ、半月前に別れた。一人だよ。こんな時間から飲み始める奴なんていないだろ〜」
「いるわよ、ここに一人。今から行くわ。」
「清四郎は?」
「夜勤」
「そか。じゃ、待ってる。気をつけてこいよ」
あたしは飛び起きて急いで服を着る。「days」なら、家からタクシーで20分かかるかかからないか、だ。
624一人迷路 4(可憐*清四郎):2008/03/28(金) 13:17:36
タクシーの中で、魅録が前の彼女と別れたことを思い出す。
やだ、あいつったら3ヶ月もたなかったってこと?
いや、それ以前に魅録が女と付き合って半年以上もった記憶がない。
もしかしたら野梨子のこと、まだ思っている?まさか...だって、もう5年前?6年前の話だし。

「days」は思ったより混んでた。
バーテンの亮ちゃんと魅録がカウンターで楽しそうに話していた。
「あら、久しぶりじゃないの、可憐ちゃん」
「久しぶり、亮ちゃん。あたし、グレンドロナックね」
「何よぅ、久しぶりってのにもう注文?色気のない子ね〜」
魅録はあたしを見て笑う。
「元気そうジャン。清四郎は元気?」
「魅録も元気そうで何より。清四郎?相変わらずよ。相変わらずお仕事三昧」
あたしはカウンターのスツールに座る。
「どうしたんだよ?いきなり」
魅録がタバコを1本抜いてすいだす。あたしは無意識に彼の指の動きを見る。ゴツゴツした、男らしい四角い手だ。
「あんたの指は、男の指よねぇ」
「?」
「ん、独り言。そんなことより、まゆみちゃんと別れたんだって?最近女の方であまり良いうわさ聞かないじゃない。」
魅録はちょっと面倒くさそうな顔して、バーボンを舐めるようにして飲んだ。
「別に、いつもの事だよ。勝手に向こうで盛り上がって、勝手に癇癪起して、勝手にお別れされただけ。」
「何、それ?十分あんたがいけないんでしょうが。面倒くさいんだったら、最初から付き合わなければいいのに」
「断るのも、面倒くさいんだよ」
「美童よりも性質が悪いわよ、それ。」
「そういえば、もうすぐだな、悠理。」
「再来週よ。」
「あいつもキッパリと女遊びやめたもんな・・・。」
魅録が2本目のタバコに手を伸ばす。あたしは、そこで本題に入る。
「野梨子が、離婚して帰ってくるそうよ。」
625一人迷路 :2008/03/28(金) 13:21:17
タイトルに「1」がぬけてた。おまけに「4」がだぶってる。
お目汚しすみません。
あと4つくらい続く予定です。
626一人迷路 6:2008/03/28(金) 13:26:03
伸ばした手が止まる。
少しの沈黙。
「離婚?なんで?」
「知らない。あたしが知ってるのはそこまで。清四郎からメールが来たの。用件はそれだけ」
「悠理や美童は、しらないよ、なぁ」
「そうね、予定日近いし…教えてないと思う」
「いつ?」
「明日。多分、夜勤明けの清四郎が迎えに行くんじゃない?」
「そうか…」
宙にういた手をもてあまして、魅録は腕を組んだ。
「タバコ、吸わないの?」
「ん、あぁ…いや、」
「…前にさぁ、聞きたかったんだけどもう時効よね。何であんた達別れたの?あたし達に一言も別れた訳言わなかったわよね」
「…。」
「答えたくなかったら、別に答えなくてもいいけどさ…」
「…。」
「あたしは、もしかしたらまだ野梨子のことが忘れられないんだとばかり思っていた」
魅録の顔が少しだけ、歪んだように見えたのは、あたしの気のせいだろうか?そのせいで、あたしは続きを口に出来なかった。
だから、あんたにとって女は全て野梨子の代わりでしかなかったんじゃないの?そして、それは、清四郎にも…・言えるの…?
「時効になる事件なんて、はいてくさるほどあるぜ」
「…?」
あたしは顔を上げて魅録の顔を見る。
「俺が隣にいるのに、野梨子がみているのは俺じゃない、と思った」
あたしは、もしかして彼に残酷な事を言わせてる…?
「俺に自信がなかったんだよ。青臭いよな、俺も。」
「…ごめん、あたし、魅録に無神経な事質問した」
「いいよ。時効、なんだろ? 」
そして魅録は優しく笑った。あたしはその笑顔に少し救われた。
627一人迷路 7:2008/03/28(金) 13:26:54
「いきなり電話してきた意味が分かったよ」
「え?」
「分かるよ、その気持ち。俺が苦しんだのと、多分同じだろ。」
「!!!!」
空になったグラスを見つめる。遠目で亮ちゃんが近づいてもいいのか、様子を伺ってるのが分かる。
「自信持てよ、可憐。信じてやれよ、清四郎を。そして、おまえ自身を。
好きなんだろ?清四郎の事。なら、それでいいんじゃないか?」
あたしは魅録を見つめる。
「これが、同じ苦しみを持った先輩からの助言。俺、明日朝一で会議あるんだわ、もう帰るわ。
これでも一応将来有望な、キャリア官僚ですからね」
最後は恥ずかしさを紛らわす為なのか、ふざけた声の調子で言う。
「若きキャリア官僚様のご助言、有難く承ります」
あたしもふざけて返す。
「お前も、明日仕事だろ?」
「そうよ。そして睡眠不足は肌の大敵なの」
あたしもスツールから足を下す。
「ありがとう、魅録」
魅録は二ッと笑って「送るよ」と優しく言って背中を押してくれた。
あたしには、この優しさが少し辛かった。なんだか、魅録の辛さが分かるような気がしたから。

車の中で魅録がポツリポツリと話してくれた。
「多分、俺の中で納得した終わり方じゃなかったから、なんだよなぁ。いまだに野梨子が好きだとか忘れてない、とかアホなこと考えるなよ。
女ってのは、すぐ悲劇仕立てにしたがる。そんなんじゃないんだよ。確かに今は正直動揺してる。でも、それは____」
言葉を選ぶように、懐かしむような顔で言った。
「一時でも好きだった女だもの、幸せになってもらいたいさ。好きだった女の不幸を喜ぶ男なんていないぜ?」
「…。それが男の優しさ、なのね?」
あたしは、どうだろう…?
もし清四郎と別れたとして、彼の幸福をあたしは素直に願ってあげれるだろうか?
「そんな思いつめた顔すんなよ、可憐は可憐のしたいようにすればいいんだよ。
さっきも言ったろ?信じてやれよ。本当に。側にいたいんだったら、邪推するな。」
628一人迷路 8:2008/03/28(金) 13:28:18
耳に突き刺さる邪推という言葉。そう、あたしはまさに邪推して嫉妬してる。清四郎と野梨子に。
あの二人の関係に。あたしじゃ太刀打ち出来ないような時間が二人にはあったから。共有した思い出の数や、一緒に育った環境。
あぁ、そうだからこそあたしは魅録に連絡したんだ。魅録と話したかったんだ。きっと同じような事で苦しんだであろう彼に。
野梨子は気がついてたんだ、魅録が清四郎との仲を邪推して嫉妬してる事に。嫉妬して、邪推しての繰り返し、一人遊び。
あの潔癖症の野梨子の事だもの、自分が信用されてないと思ったに違いない。あの子はそれを許すような子ではない。
魅録は、自分で自分の首を絞めていったんだ…。そして、それは今のあたし…一人で勝手に作った迷路で迷ってる。
「付き合ってくれてありがと。あのまま部屋で一人で悶々としていたら、今頃どうにかなってたかも」
あたしは笑顔で車のドアを開ける。
「あたし、頑張るから」
そういってドアを閉めた。魅録が窓越に笑ったのが見えた。ドキリとするほど、いい笑顔、だった。
ありがとう、魅録。
もう一度、心の中でつぶやく。訳もなくただ、泣きたくなった。
いや、多分魅録の優しさが切なくて、嬉しくて、そして清四郎が好きで大好きで、泣きたかった。
…頑張るから。小さな声で呟いて家に入った。

「可憐ちゃん、じゃぁママ出かけてくるからお店の方よろしくね。」
「はぁい、ママ。任せてよ。行ってらっしゃい。」
11時前、ママが外商に出た。あたしは笑顔で見送った。
野梨子はきっとブリティッシュ・エアを利用するだろうから、もうそろそろ成田に着いた頃だ。
清四郎からのメールは、まだない。気にならない、と言ったら嘘になるけど、でもあたしは負けない。
不安で押しつぶされそうになっても、大丈夫。あたしは、彼を信じる。
それで、もし彼を失ったとしても。
今のあたしは彼が、大好きだ、という事だけを信じる事が出来るから。

「いらっしゃいませ!」
あたしは笑顔で客を迎えた。
629一人迷路 :2008/03/28(金) 13:30:08
おしまいです。有難うございました。
630名無し草:2008/03/28(金) 14:11:30
>>629
清可・美悠好きなので萌えました〜
ありがとうございました!
631名無し草:2008/03/28(金) 14:46:08
>一人迷路
がんばる可憐さん、素敵です。
男性視点からの魅録の気持ちもよく表れていたと思います。
こうやって話せる仲間がいるっていいですね〜

タイトルみて某バンドの「ごめんなさい」をききたくなりましたw
632名無し草:2008/03/28(金) 16:03:37
>一人迷路
GJです。
映像が浮かんでくるような素敵な世界でした。
面白かったです。

>>631
私も同じ事考えましたw
おのずと口ずさみながら読んでました。
今、CD引っ張り出して聴いてます。
633名無し草:2008/03/28(金) 16:07:13
>一人迷路
ふっきれた可憐の輝く笑顔の「いらっしゃいませ」が浮かびます。
こういう可憐が好きだなー。
野梨子が帰ってきた後の魅録との話があったらぜひ読んでみたいです。
(作者さま全く考えてなかったらごめんなさい。)
634糸(悠理)4:2008/03/28(金) 23:05:52
>612の続き。
小ネタ連作(3部作)の2作目です。
清四郎と野梨子と悠理の三角関係。野悠っぽい描写もあり。
635糸(野梨子)1:2008/03/28(金) 23:06:24
「起立!」
 週番が号令を立てても、机に突っ伏したままの女生徒がひとり。
 担当教諭は一瞬眉を顰めたものの、面倒に感じたのだろう。何も言わぬまま
礼をさせ、教室を出ていった。
 途端に、開放された生徒たちの雑多な声が教室にあふれる。
「野梨子。今日はどうするんです?」
 鞄に荷物を詰めていると、幼馴染が近寄ってきた。野梨子は眠り続ける悠理
の姿を視界に納めながら、問いに答える。
「倶楽部に寄りますわ。演劇部からの陳情が届く予定ですの」
「分かりました」
 野梨子につられるように、清四郎も悠理の方に視線を遣る。
 ――最近、悠理はよく眠っている。
 前から居眠りの常連であったが、そういうのとは少し違うような気もする。
 得意の体育の授業ですら、サボって屋上で眠っていることさえあるのだ。
もしや、あまり夜に眠れていないのではないかとも考えたが、目覚めているとき
の彼女を見ていても、あまり寝不足という感じは見受けられない。
 なんとなく清四郎とふたりして悠理を見詰めていると、ふと、彼女のスカート
の裾がほつれ、だらりと垂れ下がっているのが目に入った。
 野梨子は鞄の中から裁縫道具を持ち出し、立ち上がった。
 悠理の隣まで歩いていくと、床にハンカチを敷いて、そこに膝立ちになる。
そしてスカートの裾を手にとって、ほつれ具合を確認した。
 悠理はいまだ気がつかず、眠り続けている。
「野梨子?」
 訝しげな清四郎の問いには答えず、野梨子は裁縫道具の中から糸と針と取り
出した。
636糸(野梨子)2:2008/03/28(金) 23:06:56
 夢にいるあなたの愛をはかる。



 背後では、帰宅する生徒たちが挨拶を交わしている。
 しかし、ひと縫いひと縫い、丁寧に針を布に刺すごとに、周囲の雑音が消え
ていく。
 柔らかな呼吸のたびに、悠理の胸元が動く。
 自分がわざわざ繕わなくとも、剣菱家のメイドが完璧な仕事をすることは
分かっていた。
 あるいはいちいち繕うなどということはせず、制服を新調するかもしれない。
 それでも野梨子は針を手にする。
 ひと縫いひと縫い。
 綻びたものを、大事に繕っていく。
 あなたがそれを望んでいなくとも。

 気がつけば、すっかり周囲は静かになっていた。笑い声をあげながら
廊下を走る女生徒たち。遠くで運動部の掛け声が聞こえた。
 教室の中に残っていたのは、野梨子と悠理を除けば、清四郎だけとなって
いる。彼は何をするでもなく、野梨子の背後に立っていた。
 彼はどんな顔をして自分たちを見ているのだろう。
 そう考えると、少し野梨子は笑いたいような気分になった。
    、、、、、、
 そして誰を見ているのだろう?

 珠結びをした後、あまった糸をハサミでパチンと断つ。その音とともに、
野梨子は自分勝手な陶酔の時間に区切りをつけて、裁縫道具を片付けた。
 相変わらず悠理は眠ったままだった。
 悠理が近頃眠ってばかりの理由を、本当は少しだけ野梨子にも分かって
いた。だからといって中途半端に悠理や清四郎を思いやることなど出来な
かったけれども。
637名無し草:2008/03/28(金) 23:19:55
 
 片付けを終えた野梨子は、立ち上がって膝の埃を払うと、そのまま
自然な動作で上体を傾けた。
 悠理の肌理の細かな、淡く色づく頬に口付け。
 産毛を撫でるような、触るか触らないかのキスに、それでも背後の清四郎が
肩を強張らせる気配がする。
 野梨子は振り返ると、いまだ立ち尽くしたままの清四郎の前に立った。
 端整な顔立ちは、混乱のせいか今はむしろ無表情に近かった。
 悠理が自分や彼を直視できなくとも、そんなことは野梨子に関係がなかった。
 自分は悠理を、そして清四郎を見詰め続けるだろう。
 ――爪先立ちで、頬にキス。

「……っ」

 我に帰った清四郎が突き飛ばすよりも早く、野梨子は軽やかに彼から離れる
と、鞄を持ってそのまま教室の出入り口まで歩いていった。
 廊下に出る前に一度だけ、くるりと勢いよく振り返る。
 ふわりと回るスカートと揺れる髪。

 ときおり、驚くほど大胆になれる自分を野梨子は知っていた。
「教えてくださいな、清四郎」
 清四郎は赤い顔で頬を手のひらで押さえながら、黙って野梨子の言うことを
聞いている。
「悠理を追いかけるのは、それが手に入らないもの
 ――いいえ。けっして手に入れずにすむもの、だからですの?」
 残酷なことを言っている。
 けれど、それは今に始まったことではないし、自分に限ったことでもない。
638糸(野梨子)4:2008/03/28(金) 23:24:46
 悠理は全てを放棄し、野梨子は全てを捨てられずにその場に留まった。
「悠理が逃げ続け、あなたが追い続ける限り、何もかも壊さずに、奪うこと
も奪われることもなくすむと?」
「そんな……ことは」
「――どちらでもいいですのよ、私は」
 歯切れの悪い清四郎の言葉に、しかし野梨子は続けざまの追及を行うこと
はなかった。 
 口にせずとも、彼とて何もかも承知だろう。
 野梨子の気持ちも、清四郎自身の気持ちも。

「――許してください、野梨子」
 清四郎は途方に暮れたように、清四郎は呟いたが、野梨子はそれに答え
ることはなかった。

 しばらくの沈黙ののち、彼女は嫣然と微笑んだ。
 場違いに明るい声で、悪戯っぽくそのセリフを唇に乗せた。
「キス。悠理に返しておいてくださいな」

終わり(清四郎編に続く)
「これからも大変ということで――、皆さん」
こほん、と咳払いをしながら清四郎が話を切り出した。
「喜んでいるのは大変結構ですが、大変なのはこれからですよ」
「何だよ〜清四郎そんなにせかせかして。元に戻って嬉しくないのかよお」
「う゛っ」
「何かやましいことでもあんのか?」
「う゛っ」
悠理クンと美童君の言葉に深い意味はないのであろうが、2人の言葉は清四郎君の胸にぐさりと刺さった。
それもそのはず。
他でもない悠理と美童こそがやましい相手、その張本人だからである。
動揺を悟られないように、清四郎はわざとらしく何度も咳払いをした。
早く話をはぐらかさなければ。
「と、とにかくですね、今までは順調にやってこれましたが、大湊を追いつめるとなるとそうはいかないということですよ」
そうですよね?と、野梨子に同意を求める。

(・・・・・・野梨子。わかっているとは思いますが、僕たちは 運 命 共 同 体 ですよ)

清四郎の目は必死にそう訴えていた。
幼なじみの勘でそれを察した野梨子は、
「え、えぇ、そうですわよ!早く大湊を捕まえなければ、解決にはなりませんわ」
と、わざとらしく微笑みながら話にのった。

『あれ』が悠理と美童にばれないように、話をはぐらかすべし!!!

共通の目標を掲げた2人の意志は固かった。
640名無し草 :2008/03/29(土) 20:37:29
>糸
さ、先が読めない…。
次が楽しみです!

>裕也君〜
「運 命 共 同 体」
ちょっと萌えてしまったw
641名無し草:2008/03/29(土) 22:21:44
話が短くまとまらず、結局長々と書いてしまいました。
5レス投下します。
どなたか続きよろしくお願いします!
「――なぁ」
今まで有閑倶楽部の熱気に圧されて、口数の少なかった裕也が口を開いた。
「大湊のことで、気になることがあるんだが」
「気になること?」
みんなの視線が裕也に集まる。
「あぁ。・・・俺たちが監禁されてたとき、金剛が言ってたんだ。『みんな楽しみにしてるんだぜ?裕也。お前を血祭りにあげるのをな』って。だよな?ぬり子さん」
「!!え、えぇ、そうでしたわね・・・」
ぬり子、もとい野梨子は引きつった笑みを浮かべ裕也に相槌し、次の瞬間にはものすごく不快な顔をして可憐を睨んだ。
(可憐・・・・・・あとで覚えておきなさいな・・・・・・)
(う゛っ)
野梨子さんの目力は凄まじかった。
裕也は話を続ける。
「――もしかして、大湊組の仲間は金剛とさっきの2人以外にもいるんじゃねえか?」
「・・・・・・あ!」
確かに・・・・・・と全員が頷く。
「大湊に金剛、さっきの2人で合計4人。4人のことをあんまり『みんな』って言わないよね」
と、美童。
「それに大湊組は組の中でも大きい方なんだ。そんな組の連中が組をつぶした奴の復讐に、たったの2人しか送り込まないってのもおかしな話だぜ」
魅録も相槌をうつ。
「きっと予定では大湊と一緒にもっとたくさんの組員が来るはずだったのよ!」
可憐も賛同した。
「なるほど・・・・・・」
裕也の言葉に続けて、清四郎が話し出した。
「そういうことになると、思ったより大湊を追いつめるのは簡単にいきそうですね」
「そうですわね」
「??どういうことだよ」
野梨子は相槌をうったが、やはり悠理はよくわかっていなかった。

――それにしても、久しぶりの見慣れた光景である。
「魅録。例の盗聴器には確か、発信器も内蔵されていましたよね」
ふと、何かを思いついたように清四郎が言った。
「おう」
「今、大湊はどこにいるかわかりますか?」
「あぁ、ちょっと待ってくれ・・・」
そう言って、魅録は清四郎の間近まで近づいてきた。
「魅録・・・・・・?」
「・・・清四郎。悪りぃな」
すると突然、魅録は清四郎のズボンのポケットに勢いよく手を突っ込んだ。
「えぇ!?」
「い、いきなり何してるんですか魅録!」
清四郎君を含め、全員の驚きはひとしおである。
「いいから動くなって・・・・・・あった」
そして魅録は清四郎のポケットの中からコンパクト型のパソコンのようなものを取り出した。
「これ、清四郎時代に発明したやつだからさ。お前のポケットに入れっ放しだったんだ」
「・・・何だ・・・そうだったんですか」
なるほどお、とみんなが納得する。
「・・・・・・」
しかし、なぜか悠理クンだけが押し黙ってしまった。
「どおしたのよ悠理」
「・・・・・・う、うぅん。何でもない・・・・・・」
悠理は力なくにこりと笑った。

――ちなみに、そのときの悠理クンの心情はというと。
(あたい可憐のポケットの中に、お菓子入れっ放しだあ・・・・・・)
かなり焦っていた。
カチカチカチ・・・・・・とキーボードをたたく音が廃ビル内に響き、しばらくして魅録は顔を上げる。
「――わかったぜ、清四郎。大湊は今、晴海埠頭にいる」
「ほう・・・晴海埠頭ですか。かつて雪月花の取引が行われたあの場所とは、大湊もなかなか洒落たことをしてくれるじゃないですか」
清四郎は笑いながら、有閑倶楽部を見据えた。
「――さて、大湊を追いつめにいきますよ」
「はぁ?」
「だからどういうことだよ清四郎」
「わかりやすく説明しなさいよ!」
可憐さんたち3人は、清四郎に詰め寄る。
「つまりですね・・・・・・」
「あら、説明なら私がしてさしあげますわよ」
ふふ、と野梨子さんは可憐さんへの仕返しとばかりに、軽い嫌味を飛ばしながら言った。
「それじゃあ野梨子におまかせしますよ」
「まかせてくださいな」
(知性を見せて、裕也さんに野梨子とぬり子の違いをわかってもらうんですわ!)
野梨子さんは方向違いな情熱を燃やしていた。

「大湊は、きっと本当はここに金剛が連れた2人以外の、もっとたくさんの組員と一緒に来るはずでしたの。――裕也さんへの復讐のために。そこまではよろしいですわよね?」
一同は頷く。
「私たちのせいでその計画は中止になってしまいました。・・・・・・けれど、ビル爆発という別の形で復讐は成功しましたわ。しかも、すべての罪を金剛になすりつけて」
足元の金剛を見る。
念のために両手両足を縛っておいたのだが、頭の打ち所が相当悪かったのか、まだ目を覚まさない。
「――大湊とその仲間は、今頃祝杯をあげていますわよ」

野梨子はきっぱりと断言した。
は・・・・・・?と、一同は一瞬あっけにとられる。
「しゅ、祝杯〜!?」
「おいおい、大湊って馬鹿じゃないんだろ!?」
「そんな奴が祝杯なんてあげるかあ!?」
いくらなんでもそれはないだろうと、可憐たち3人は反論する。
しかし。
「・・・・・・いや、あげてると思うぜ」
裕也が口を開いた。
「あいつは俺たちがみんな死んだと思ってる」
「それに復讐も終わって、大湊はこれからは剣菱ファイナンスでの地位をあげて、大湊組を再興させればいいだけになったんだ。祝杯のひとつあげてもおかしくはねえよ」
裕也に、魅録も言葉をのせた。
「祝杯もひとりじゃあげねえだろうが、仲間と一緒となると話は別だからな」
「あぁ」
まさかの意志疎通をした2人は、目を合わせる。
すると、裕也は魅録の肩をがしっと掴んで瞳を輝かせた。

「・・・・・・魅録。俺はお前が昔みたいな男らしいお前に戻って、本当に嬉しい」
「・・・・・・はあ?」
この状況でそんなことを言っている場合か?と言いたいところですが。
裕也君、中身美童の魅録君の激しいヘタレっぷりに、かなり心を痛めていたようです。
ここは見逃してあげましょう。
「――とにかくですね」
締めを飾って、清四郎が話を戻した。
「大湊は確かに頭はいいですよ。・・・・・・しかし、どんなに頭のいい人間にも油断はあります」
「それが今ってわけなのね」
「えぇ。――しかも、大湊とやくざとの癒着関係を明るみにさらす、絶好の機会です」
『悪魔の笑み』が、清四郎の口元に浮かぶ。
可憐が立ち上がった。
「じゃあ早く大湊を懲らしめにいきましょうよ!私を・・・じゃなくてぬり子をあんな目に会わせたんだもの!乙女を監禁した罪は重いのよ!!」
「俺も、一発殴ってやらねえと気がすまねえよ!」
同じく裕也も立ち上がる。
(!!!)
はっとして、2人は顔を見合わせた。
やはり、監禁されていた者同士、通じるものがあるらしい。
「・・・何か本人を目の前にして言うのもなんだけど、あんた、ぬり子さんに似てるな」
「え!?あ、あらぁ、そうかしらぁ?」
核心を突かれた可憐さんは、おほほほほ・・・・・・とごまかし笑いをした。
野梨子さんの視線が、痛い。

「――よおし!そうと決まれば、大湊をズタズタのボコボコにしてやろうぜ!」
悠理が嬉しそうに拳を空に突き上げた。

「鬼退治だあ!!」


元に戻った有閑倶楽部(+裕也君)、いよいよ本領発揮です!!!
647名無し草:2008/03/30(日) 01:00:18
面白いし長くて全然Ok
2レス分書きます。
「んんっ?」可憐が急に立ち止まる。
「可憐どうなさったの」 遅れてきた野梨子が訊ねる。
「なんだかポケットに違和感があって。」

ゴソゴソと探ると飴やチョコレート、煎餅がパンパンに入っていた。

「まぁ…。」 可憐のほうを見ると腰に手をあてている。
(すごい怒ってるのかしら。わたくしも『ぬり子』には怒ってますけど。)

「ウエストが太い〜。2センチいや3センチは増えたわ。」
(なるほど、怒っているポーズではなくウエストのチェックでしたの。)
「こら〜悠理!!!」叫びながら先頭集団にいる悠理を追いかける。

「何だじょ?」と思いながらも立ち止まることなく走りつづけると悠理の目の前が白くなった。
「危ない!」
咄嗟に受け止めた魅録君。
「大丈夫か?」
「魅録ちゃんありがとう。」

「悠理どうしたの。さっき変なところ打ったんじゃない?」
追いついた可憐さんが聞く。怒ってはいてもやはり人情味がある。
「可憐。そんなに心配しなくても平気、ってあー!お菓子♪」
手に持っていたお菓子が目に入って歓声をあげる。
「こんな時にお菓子なんて。私は怒ってるのよ。人のポケットにこんな…ウエスト…それより悠理の体が大丈夫なの」

「もしかしてお腹が減って倒れたんじゃないですか?最近は小食でしたから。」
「なるほど。たしかに悠理が野梨子の食べる量で耐えられる訳ないもんね。」
清四郎君の意見に納得する美童君、を気にすることなくお菓子を美味しそうに食べ元気になる悠理さんでした。
650名無し草:2008/03/30(日) 03:21:11
>649
燃費の悪い車みたいな悠理が羨ましい
651名無し草:2008/03/30(日) 11:37:12
>>634
それぞれの微妙な距離間が素敵ですね。
清四郎編待ってます!
652名無し草:2008/03/31(月) 09:03:15
競作もうすぐだねー。
ここんとこ、作品豊作だし愉しみ。

テンプレは>>591
653糸(清四郎):2008/03/31(月) 11:07:37
>>612 >>634の続き。 
小ネタ連作(3部作)のラストです。 
清四郎と野梨子と悠理の三角関係。野悠っぽい描写もあり。 
654糸(清四郎)1:2008/03/31(月) 11:08:31
 秒針が静まり返った教室の時を刻んでいる。
 晩秋の涼気がひっそりと窓辺からしのびより、空は少しずつ茜色の雫を落とす
ように、夕暮れへと傾いていた。
 下校する生徒たちのざわめき、夕暮れを告げるカラス、グランドを走る運動部の喚声。
 全ての音が遠く、この教室のしじまを深めるだけだった。

 机に寄りかかって眠る悠理を、清四郎は見詰めていた。
 規則正しい呼吸を繰り返して上下する背中。
 さらさらと零れ落ちる癖ッ毛に思わず手を忍ばせて、ゆっくりと掻きまぜた。
 ――駄目だ。
「悠理。悠理」
 じわじわと足元から昇ってくる焦燥を誤魔化すように、清四郎は彼女を揺すって
起こしにかかる。
「悠理」
 野梨子とふたり、お互いだけを見詰めていられた幼年時代に戻れたのなら、
どれほどよいだろうか。漠然と、けれど当たり前のように二人だけの未来を信じて
いられたあの頃に戻れたのなら。
 ――もちろん確定した現在にifを差し込む隙間などない。分かっている。
 ふたりだけの閉鎖された空間を叩き壊したのは悠理だ。
 悠理自身意図せざるとも、その瞬間に清四郎たちは彼女をこの繭にまきこんだ。
「悠理。いい加減に起きて下さい。戸締りできないでしょう」
 野梨子への熱病じみた想いを捨て去りたい。
 悠理が好きだ。
 そのどちらも本当だというのに、今、悠理とふたりだけでこの教室にいるの
が清四郎には耐え難い。

  『悠理を追いかけるのは、それが手に入らないもの
   ――いいえ。けっして手に入れずにすむもの、だからですの?』

 したり顔で囁く幼馴染の声が脳裏に浮かぶ。
 煩い。黙れ。
 僕はもう沢山だ。
655糸(清四郎)2:2008/03/31(月) 11:10:25
 夢を紡ぐ糸に鋏を入れる。


 悠理はまだまだ目覚める様子がなく、清四郎は溜息をついた。
「もうとっくにホームルーム終わりましたよ。寝るなら帰るか部室にしてください」
「……うん、分かってる……」
「悠理」
「もうちょっと……」
「――実は起きてないでしょう」
「うん……」
「起きないとキスしますよ」
 悠理の柔らかな頬に口付けた。
 目を閉じると眼裏に茜が散る。野梨子と悠理のキス。眺める自分。三人だけの完結
した世界がそこにはある。
 壊したい。壊したくない。
(君はそれを嫌がって、僕たちから逃げ出したけれど)
 口付けたときと同じように、そっと唇を離す。悠理は気だるげに身動ぎした。
 清四郎が覚えた胸の痛みと比べ、彼女は何も感じなかったようだ。
 どうかそのまま逃げ続けていくことを、と清四郎はこいねがった。悠理の逃げを
許さないように容赦なく追い詰めるのは自分自身であるというのに。
「しょうがないな」
 呆れたふりをして、清四郎は悠理を抱えあげた。
 一刻も早く、ここから逃げ出したかった。

656糸(清四郎)3:2008/03/31(月) 13:27:22
――……
 

「ったく、乱暴なんだよ。まだ足の裏ジンジンする」
 あのあと、起きる様子が全く見えない悠理へ、八つ当たり気味に腹を立てた清四郎
は悠理を肩に担ぎ上げて廊下を出た。
 どうやら目立ったらしく、嬌声をあげる生徒たちの喧しさで、ようやく悠理は
目覚めた。そのときに清四郎が乱暴に悠理を床へ落としたことを、彼女はいつまでも
グチグチと文句を言っているのだ。
「今日ってもしかして野梨子だけかも。魅録はダチと遊ぶって言ってたし、金曜だから
美童と可憐はたぶんデートだろ」
「そうかもしれませんね」
「やることねーじゃん」
「悠理にはなくとも、ちゃんと仕事してる僕にはあるんです」
 あるいは、会話に困っているのかもしれない。饒舌気味に取り留めのない会話を
続ける。清四郎はいい加減に相槌を打ちながら、じっと悠理を見詰めた。
 悠理はしかし、ただ前方だけを見ている。
 一度も視線が合わないのは気のせいではない。

 特別棟に入ると、人気がなくなる。
 それと同時に、悠理は会話をぴたりとやめた。
 古く、しかし磨きこまれて今なお美しい構内に、足音だけが響いている。
 生徒会室へ向かいながら、悠理は清四郎よりこころもち少し前を歩いていた。
 野梨子がほころびを縫ったプリーツスカートの裾をひらひらとさせ、少し乱暴な
足取りで床を蹴る。
 窓を形どった四角い影が伸び、周囲を赤と黒の強いコントラストで塗り潰した。
 耐え難く、またはナルシスティックに甘美な時間。
 清四郎は逆光に焼ける悠理の横顔から目を逸らした。
657糸(清四郎)3:2008/03/31(月) 13:31:36
 生徒会室前に到着すると、悠理がほっと息を吐いたのが分かった。
 強張っていた肩が脱力するのを見て、脈略もなく、突如として清四郎の胸に激情が迸った。
「悠理」
 細い肩を掴むと、驚きで固まったその身体を無理やり自分の方へひっくり返す。
「せっ……」
 その背中を扉に押し付け、覆いかぶさるように口付けた。
 ガタン。
 強い音がした。生徒会室の中に野梨子や誰かがいたのなら、確実に気づいただろう。
だがそんなことは気にならなかった。
「くっ……ぅ」
 息継ぎの合間に、抗議するように声が漏れる。身体を押し返そうとする悠理の
手に篭る力の曖昧さに、彼女の葛藤が伝わる気がした。
 逃げろ。逃げて、僕を殴り、もう振り返るな。
 サディスティックな行為とは裏腹に、清四郎は半ば祈るようにそう願った。
 君が逃げなければ僕は、――僕たちは、君を閉じ込め、繭のように雁字搦めに
するだろう。
 ドン。
 ふと悠理を押し付けていた扉の向こうから、反発するような重みが返ってきた。
 まるで、室内からも誰かがもたれ掛かってきているかのような。
(……野梨子)
 ぷちんと糸が切れるような、か細い音を確かに清四郎は聞いた。
 視界の端に移る亜麻色の大きな瞳が瞠られ、そして諦めるように閉じられた。
 永遠の刹那が過ぎ、抗う悠理の手から力が抜けた。そしてゆっくりと移動し、縋り
付くようにその手は清四郎の首の後ろに回った。
 清四郎は世界に満ちる残照を背負い、悠理を抱きすくめた。


        『絡め取られたのは、だれ?』

                                                終わり
658:2008/03/31(月) 13:32:40
原因不明のトラブルにて、レスに時間がかかり申し訳ございません。
659名無し草:2008/03/31(月) 17:03:58
>糸
とってもステキでした!!
絡め取られたのは清四郎・・・かな。
660名無し草:2008/03/31(月) 17:05:44
>裕也君〜
長文GJ!
おもしろかったです!
「鬼退治だあ!」いつかの蛇様を連想しましたw

>>652
楽しみなんだけど、ここんとこ「人大杉」で規制かかってて見にくいよね。
携帯からなら大丈夫なんだけど、競作に影響あるんじゃないかとちょっと心配。
661名無し草:2008/03/31(月) 17:10:14
祭りには人大杉の影響あるかもね。

祭りはすごく楽しみだけど、人大杉が解除されてからでもいいかもしれない。
盛り上がらない方がイヤだし。
662名無し草:2008/03/31(月) 17:38:16
専ブラ入れれば済む話。
なんで入れないのかと聞きたいくらいだ。
家族と共有のパソならUSBメモリーに保存すればいいんだよ。
人大杉なんか気にしてgdgd言わないで欲しいな。
663名無し草:2008/03/31(月) 17:40:58
>糸
うわー、こういうEndですか。
清四郎ハーレムですねw
ぷつんと糸が切れた彼らの今後が気になります。

>662
つーか、今書き込めている人はみんな専ブラ入れている人だから(現在、規制中)
その人に、gdgd言うなと言ってもしょうがないかと。
664名無し草:2008/03/31(月) 18:06:58
>>662
別に専ブラ入れなくても通常は見たり書き込みしたりする分にはさしつかえないからでしょ。
専ブラは種類が多すぎてどれを入れていいか解らない人もいると思うが。
今書きこめてる住人は専ブラ使ってるか携帯だが
PCの2ch住人て半分くらいはIEやふつうのブラウザからじゃないの。
665名無し草:2008/03/31(月) 18:14:27
専ブラ入れてない人へ悪態つく必要もないが、
専ブラ入れてない人に合わせて、競作期間を変更する必要もないな。
だって人大杉がいつ解除されるのなんて誰もわからないし、
予定が立たない。

祭自体はかなり前から予告されているんだし、
そのときにこのスレが見たければ、各自専ブラ入れるだろうし。

ということで、ログ流れ防止のため
競作テンプレ>>591
666名無し草:2008/03/31(月) 21:48:19
基本sage進行のスレで人大杉について語ってもあまり意味ない気がするのです
667名無し草:2008/03/31(月) 21:50:36
骨董屋キター
晴海埠頭。
「今日はお疲れ様でした、幹部」
かつて『雪月花』の取引が行われたこの晴海埠頭の片隅にある建物の中で、事は進んでいた。
元大湊組の組員たち――およそ40人は、廃ビルから帰ってきた大湊総司朗を囲んで湧いていた。

「計画に多少の変更はあったが――」
大湊は口を開いた。
「ほぼ目的は達成された。大湊組の泥は洗うことができた」
自分を囲む、大勢の組員たちの顔を眺める。
組をつぶした張本人を自らの手で血祭りにあげることができなかったことに少なからずの不満もあろうが、それ関係なしの満足げな表情。
その表情を眺め、大湊も満足げに笑った。
すると、組員のひとりが言葉を漏らした。
唯一の心残りとばかりに。
「・・・・・・でも、『雪月花』は惜しかったですね」
「・・・・・・」
それを聞いた大湊は、ふと口元に不敵な笑みを浮かべた。
「・・・・・・たいしたことではない」
そして組員全員の方を向いて言った。
「あれくらい、これからいつでも手に入れることができる。俺は、剣菱ファイナンスの若きホープなんだからな」
ビルの爆発とともに、すべては終わった。
これでもう、気掛かりなことは――何もない。
「望むはこの大湊組の再興のみだ。そのための布石はすでに打ってあるしな」
大湊が勝利に笑う。

「――これからは俺の天下だ」
669名無し草:2008/04/01(火) 22:54:57
>裕也君〜
大湊、お前の好きにはさせねぇぜ!
「――着いたぜ」
そしてちょうどその頃、有閑倶楽部(+裕也君)は晴海埠頭に足を踏み入れた。
「大湊たちがいるのはあの建物ですね」
「あぁ」
清四郎と魅録は目を合わせて頷きあった。
「まさかまたここに来るはめになるとはな・・・」
『雪月花』の取引が行われたこの場所は、あまりいい思い出のある場所ではない。
裕也は眉をひそめた。
しかし。
「それより早くいこーよ鬼退治!!」
そんな裕也をよそに、悠理は鬼退治が待ちきれない様子である。
「落ち着きなさいってば悠理」
「そうですわよ」
「だって早く大湊のクソ野郎をズタボコにしないと気がすまねえんだもん!」
はやる心からか、悠理の言葉遣いはいつもよりも乱暴であった。
「・・・・・・」
そんな悠理の姿を見ながら、裕也君。

(大丈夫ですの?怪我はありませんか?)

過去の丁寧な言葉遣いの、お嬢様な悠理の姿が走馬灯のように頭の中を駆け巡っていた。
「(・・・・・・あの悠理は幻だったのか・・・・・・?)」
あれはあれでよかったのに・・・と、少し残念がっていた。いや、混乱していた。
「じゃあみんな頑張ってね!僕と野梨子と可憐はここで待ってるからさ」
以前の『雪月花』事件のとき、自分も戦場?へ連れていかれたのを思い出したのか、美童はそそくさと後ずさった。
「甘いですよ、美童」
後ずさる美童の肩を、清四郎がしっかり捕まえる。
「たまには一緒にスリルを楽しみましょう」
「嫌だぁぁぁぁぁ」
美童の泣き声に近い叫び声が響いた。
「たまには、って『雪月花』のときだって同じこと言ってたじゃないかあ!またもしもの時のドライバーかよお!?」
「今回は違いますよ」
清四郎はにっこりと笑う。
「大湊と面識があるのが美童しかいないんです」
正確には入れ替わっていたときの中身僕の美童、ということですけどね。
清四郎は付け加えた。
「だから一緒についてきてもらわないと困るんですよ。大湊にとって美童はキーパーソンなんですから」
「そんなこと言ったって、も」

ちょっとスト――――ップ!!!
ここからの会話は、小声でひっそりと進行しているということ前提でお楽しみください。

「そんなこと言ったって、もう中身は清四郎じゃないんだし無理だよお!」
「えぇ、それはわかってます。――ですから」
そう言って清四郎は胸ポケットから1冊の小さなメモ帳を取り出した。

「台本です」
「はあ!?」
美童君の驚きは言うまでもない。
「この台本に書いてある通りに行動してください」
「何をどうしたらそうなるんだよお!?」
「設定は悠理の婚約者、剣菱財閥の婿養子である美童グランマニエ」
「聞けよ人の話!!」
「大丈夫です。美童の演技力ならイケます」
「そういう問題じゃないだろお!?」
「じゃあどういう問題ですか」
「聞き返すなよお!!」
・・・・・・まるでコントである。

「――美童君」
すると突然、清四郎は改まって美童に向き直った。
「初志貫徹って知ってるかな。中途半端は体に悪い」
そしてにっこりと笑った。
「(いつかもこんなこと言われたぞお・・・・・・)」
美童君にとってその微笑みは、もう悪魔を通り越して魔王の笑みにしか見えなかった。
やくざなんかよりも100倍怖い。
「そういうことで、頑張って僕になりきってくださいね。美童」
「や だ !!! も〜〜〜死んでもやだ!!」
美童の嘆きは届かない。
「まぁ心配しなくても、『いざとなったときの作戦』もちゃんと考えておきましたから」
「な、何だよその『いざとなったときの作戦』って・・・・・・」
「それは秘密です」
そして清四郎は有閑倶楽部(+裕也君)の方へと顔を向けた。

「それでは皆さん。鬼退治にいきましょうか」
673名無し草:2008/04/02(水) 10:03:30
いざとなったときの作戦・・・・・・って何だ?汗
どなたか続きよろしくお願いします!
674名無し草:2008/04/02(水) 18:47:51
裕也君
面白かったです。

もうすぐ「三題噺」始まりますね!
楽しみだ〜ww
675名無し草:2008/04/03(木) 00:08:26
当日ですね。
676名無し草:2008/04/03(木) 00:11:19
*** 『三題噺』競作 ***

下記の題目全てを含めた三題噺を募集します。
『飾り』 『笑って』 『姫』
短編・小ネタ・コピペ改変・イラスト等をウプしてください。

【期間】 4/3 0:00〜4/16 23:59の14日間

【投稿方法】

☆共通ルール
・投稿の時は、名前欄に“競作・<作品のタイトル>” と入れてください。
・カップリングがある際は、出来る限り作品の冒頭に記載してください。
・8レス以内(画像の場合は8枚以内)でお願いします。

☆短編・小ネタ・コピペ改変等
・本スレへのウプを推奨。
 どうしても気が引ける…という人は「妄想同好会BBS」の「短編UP専用スレッド」へのウプも可です。
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1029258872/
・18禁ものもOKですが、タイトル欄に「R」と明記してください。

☆イラスト・漫画
http://cbbs1.net4u.org/sr4_bbs.cgi?user=11881yukan2chに直接ウプか
 yukan2ch★infoseek.jp(★を@マークにかえる)にメールしてください。
 投稿作は、妄想同好会に吸収されるまでは管理します。
・18禁の場合、「局部がかかれていない(見えない)物であり、出版物として商業市場
 (同人ではありません)に出せる程度の物」が基準です。

☆作品の裏話などはこちらへ。妄想同好会にUPする際、作品の後ろにつけます。
裏話スレッド http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1027901602/

=== 作家も自称作家も初心者もROMちゃんも・・・燃えてみませんか? ===
677名無し草:2008/04/03(木) 00:12:35
wktk
678名無し草:2008/04/03(木) 00:34:10
人大杉の影響が出ないことを祈るばかりですが、祭り期待してます。
679競作・<変な奴>:2008/04/03(木) 10:57:07
競作、一番手いきます。
美悠カプです。嫌いな方はスルーでお願いします。
680競作・<変な奴>:2008/04/03(木) 10:57:36
美童って絶対変だと思う。
というか、変だ。
よりによってこのあたいに「僕の可愛いお姫様」って言うんだ。
可憐や野梨子にいうなら、あたいだってまだ分かる。
あの二人なら、あたいなんかに比べたら女らしいし_____。
無意識に清潔そうな野梨子の髪型や、可憐の入念な手入れがしてある指先を盗み見る。
「あら、悠理が珍しいですわね。お菓子を食べる手が止まってますわよ」
野梨子がクスクス笑いかける。食べる手が止まるほどみてたらしい。
「やめてよ!これからデートなんだから!雨が降ったら自慢のカールが台無しよぅ」
可憐が口を尖らせながら悠理をみる。
「あたいだって、たまには食べる手くらいやすませるわぃっ!」
なんとなく考えてる事が皆に分かられるような気がして悠理はいつもにまして大口をあけて食べ始める。
「あ〜ぁ〜、そんなに食べてたら腹壊すぜ、相変わらずこりんやっちゃな、お前は」
魅録が苦笑いしながらバイク雑誌をめくる。
「死ぬまで治りませんよ」
清四郎もお茶をすすりながら合いの手を入れる。
いつもの倶楽部の室内。いつもと変わらない光景。
「あ、そうだ悠理、今夜あいつらとツーリング行くけど来るか?言い忘れてた」
思い出したように魅録が悠理を誘った。いつもなら大抵即答で「OK、魅録」と続くのにこの日は違った。
「せっかくだけど、ごめん、魅録。今日は駄目だ」
「あら、珍しい。本当に今日は大丈夫なの?何か変よ、今日の悠理。」
可憐が心配そうに覗き込む。
「何言ってんだぃ。あたいだってな〜用事ってもんがあるんだぞ!もう帰る」
気恥ずかしさを紛らわすために大げさな音をたてて部屋を出て行く。
「あ〜!あの子ったら食べっぱなしっ!片付けてないっ!!も〜〜行くなら片付けてからいきなさ〜い!」
可憐の声が響く中、野梨子と魅録が悠理の食べちらかした後を片付けはじめる。
「そろそろ僕も約束の時間なんだ_____。」
美童もユックリと席を立つ。
「約束の時間に遅れちゃ失礼だもんね」
681競作・<変な奴>2:2008/04/03(木) 10:58:27
約束の時間は7時30分。
なぜだろう?こんなに落ち着かない気持ちで時間をすごすのは初めてだ。
母ちゃんの行きつけのメイクアップアーティストの名前を書いたメモ帳を見る。
この間、五代と話してるのを聞いてこっそりメモした名前。
気恥ずかしくて、何時も通り悠理のヘアメイクを担当してるメイドにも頼めない。
あたいは、あたいだ_____いつものあたいだ。このままでいいじゃないか。
と、なぜ思えないんだ?
自分で自分を歯噛みしたくなるほどもどかしい。
メイクアップアーティストの名前を検索する。スタジオの住所を見る。
母ちゃんに内緒って言えば______。でも_______。
部屋の中で右往左往してはベッドに座り込む。
考えても始まらないのに。あ〜っもうっ!あたいはどうしたいんだいっ!!!!

家にいるからいけないんだ、きっと。外出ちゃえばいいんだ!
何かにすがるような気分で外に出る。
時間をつぶすために入ったデパート。
いつもなら素通りする1階の宝飾・化粧品コーナーで足が止まる。
入り口に一番近い店で「とりあえず一通り持ってきて」
恥ずかしくて落ち着かなくて「お客様の肌質を、好きな色、云々」という販売員の声を遮って
とにかくせかした。カードで払って後が残るのも恥ずかしい。現金を投げつけるように払い
買い物袋を持って一目散に逃げるように走る。腕の中で買ったばかりの化粧品がガシャガシャとぶつかる。
「何やってんだ、あたい____。」
買ったばかりの化粧品を見て途方にくれる。一体どうやって使っていいのかもサッパリ分からない。
そだ!そうしよう。
目に入ったホテルにチェックインをし、ベッドの上に化粧品を放り出す。
マスカラ、ビューラー、口紅、アイライナー、シャドウ、チーク、リップライナー、口紅、マニュキュア、etc
片っ端から箱を開けていく。
あたい、化粧品自分で買うのって初めて、だよな_____ん?一体どうやってすればいいんだ????
何だ、これ?????
たくさんの化粧品の前に一人鏡の前で途方に暮れる。
682競作・<変な奴>3:2008/04/03(木) 11:00:56
思い出せ、思い出せ、あたい!いつも可憐がしてるようにすればいいんだ。
え、と?あれ?どうやって使うんだ?これ?
確か可憐がこれを使ってこうやってたよな?お?意外にあたい、筋がいいんじゃん?
自分の顔がパレットになる。

そして______。

約束の時間。
美童の携帯が鳴る。
「もしもし?悠理、今どこに?」
「美童?あたいだけど_____。ごめん、あたい、今日行けない。」
それだけ言うと電話が唐突に切られた。
「____?もしもし?悠理?もしもし?」
何度もかけなおしてるのに悠理はでようとしない。むなしく呼出音が続くばかり。
「悠理?一体どうして____」

鏡の前。
別の意味でパレットになってしまった悠理の顔が鏡に映ってる。
何だよ、これ。ピエロだってまだマシだよな、この顔に比べたら。
あたい、一人で馬鹿みたいじゃん。
自分の顔をまじまじと見ながら笑いたくなってくる。 一通り笑うと、涙が悠理の頬を伝う。
何やってんだ、あたい、本当におかしいよ。
そのままベッドに突っ伏す。 携帯は何度も何度も鳴り響く。
美童からだ、と分かっていても出る気が起きない。 何十回と呼出音がなったろうか。
「____。」
「もしもし。悠理?あ〜良かった、ようやくつながった。」
安心したような声が聞こえてくる。
「今、どこにいるのかでも教えてくれないかな?どうしたの悠理?」
優しく、子供に言い聞かせるような美童の声。
「…今は、会いたくない…。」
「悠理が会いたくなくても、僕は悠理に会いたいんだ。____どこにいるんだい?」
「____。」
683競作・<変な奴>4:2008/04/03(木) 11:02:15
「もしもし?聞こえてる?悠理? 」
約束の時間に行かなかったのに。突然断っているのに怒りもしない。美童の声は変わらず優しい。
「…モンタナホテルの362号室…。」
「モンタナホテル?銀座の?362号室だね。すぐ行くよ。待ってて、悠理」
会話が終わっても、悠理は携帯の画面を見ていた。たまとふくの待ち受け画面。
そしてベッドに突っ伏した。
寝てしまったのだろうか?携帯の呼出音に飛び起きる。
「も、もしもし?」
「今ついたところ。開けて、悠理」
ノロノロと立ち上がりドアを開ける。
「ありがとう、悠理。____っと、どうしたの?その顔っ!」
「え?ああっ!」
化粧を落とすの、忘れてた!!!!とっさに顔を隠すその手を美童の手が止める。
「____もしかして、僕のために化粧しようとしたの?」
恥ずかしくて、情けなくて美童の顔が見れずに下を向く。そんな悠理の頬を優しく持ちあげ、しっかりと悠理の目を見る。
「うれしいよ、僕の可愛いお姫様。」
そして優しく抱きしめる。
「…驚かせたかったんだ…美童の事を」
___野梨子や可憐みたいに女の子らしい所を見せたかった。流石にそんな言葉は口には出さなかったけど。
「馬鹿だな、悠理は」
これ以上愛しいものはないという声音。美童は何度も優しく頭を撫でる。
「無理に飾り立てなくてもいいんだよ、僕が好きなのは____、ありのままの悠理なんだから」
美童が悠理の目を覗き込む。
「だから____。笑って、悠理」
無理やり笑顔を見せる。美童の顔がユックリと近づいてくる。
684競作・<変な奴>5:2008/04/03(木) 11:04:04
クレンジングオイルをコットンに含ませて美童が優しく丁寧に化粧を拭き落とす。
「僕がしてあげるよ、化粧。これだけ全部揃ってるんだし。せっかくだから、どう?」
悪戯っぽく笑いながら美童が言う。悠理は美童のされるがままに身をまかす。
「あんな顔にキスするなんて、美童って頭おかしいよ」
悠理が照れくささを隠すように乱暴な口調で文句を言う。
初めてのキスが_____あんな顔なんて…やっぱりあたいって恋愛とか駄目だな…
と、そこへ 『グウ〜〜〜〜〜』 悠理のお腹のなる音が静かな部屋に響き渡る。
「の、前に食事が先かな?僕の可愛いお姫様?」
美童は笑顔で聞く。悠理も笑顔で頷く。


美童って絶対変だと思う。
というか、変だ。

でも。
美童がいつまでも『僕の可愛いお姫様』といってくれるのなら_____
このまま変な奴でいいか、な……

おしまい




685名無し草:2008/04/03(木) 15:49:32
乙っ!
初々しい悠理が可愛らしいです。
美童かっこいいぞっ!
GJでした。
686名無し草:2008/04/03(木) 16:32:56
>>684
美悠ありがとうございました!
美童男前で萌えたです
野←清←可(ただし野梨子は出てきません)
全編に性描写があるため、苦手な方は回避お願いします。
 お風呂上りに、脱衣所の鏡で全身をくまなく映した。
 鏡の向こうから頬を上気させ、淫蕩な目つきをした女が自信たっぷりに
私を見詰め返している。
 ミリ単位でコントロールしている体型、肌理から水分量まで気を使った肌、
そして定期的に美容院でケアしている豊かな髪。
 ――大丈夫、私は綺麗よ。
 誰よりも、彼女よりも、私は綺麗。
 今夜もまた、私はこの世で一番美しく、そして醜い娼婦になる。



 浴室から出ると、すでに清四郎はベッドで寝息を立てていた。
 布団を頭から被り、丸まって眠る様子は、まるで小さな子供だ。いつもは
神経質に整えられた表情が今は弛んで、ずいぶんと可愛らしい。
 医学の道を選んだ彼は、現在レジデントであり、毎日を忙しく過ごしている。
今日みたいに、私を抱くつもりで部屋を訪ねてきたにも関わらず、先に眠って
しまうことも珍しくない。
 私は微笑んで、そっと清四郎の隣に入った。
 セミダブルのベッドは、一人寝には寂しさを催す広さではあったが、体格の
良い清四郎との添い寝には少々狭い。しかし買い換えるつもりはなかった。
 私は清四郎と身を寄せ合って眠るのが好きだった。彼の穏やかな寝顔を
見詰めるのが好きだった。その体温、その香り、呼吸に上下する胸の振動を。
 あるいは、抱かれるよりもはるかに。
 リネンに包まれてしまうと、シャワーで上がった体温とともに自分自身から
シャボンの匂いがする。可愛くて、それでいて――エロティックな。
 熱と香りを封じ込めるように、自分の身体を抱き締めていると、じわじわと
下腹部に甘い痺れが生まれ、割れ目にずるりと湿った感触がした。
 ゆっくりとタイル生地のガウンの袂を割ると、イタリア製の黒いパンティ
に指を忍び込ませた。複雑な刺繍といい、質の良い布地といい、高価なもので
あるのには間違いなかったが、自分でも呆れるくらい、破廉恥な下着。
 私は娼婦なのだと自分に言い聞かせるには、下品なくらいでちょうど
良かった。感情を押し殺せば、快楽だけを彼に与えることが出来る。
 清四郎に蔑まれたって、構いやしなかった。
 ゆっくりと触れると、そこはすでにじっとりとぬめっていた。隣にいる
清四郎を意識しながら、湿りを確かめるように撫でる。
 激しく指を動かす必要はない。彼の吐息、体温、絡められた足の感触、
匂い、――射精するときの顰められた眉間。堪えきらずに出す呻き声。
 それらを思い出すだけで、私は極まることができる。
 身体の反応は緩やかであったけれど、精神的に私は何度でも清四郎で達した。
 私の身体をこんな風に厭らしく作り変えたのは、清四郎自身だ。


 学生時代は疎らだった彼との逢瀬は、社会人になってからは回数が激増
した。清楚な彼の幼馴染が大学卒業とともに、恋人と婚約したからである。
 自尊心が高い彼は笑って彼女達を祝福し、影で慰めを私に求めた。
 そもそも、全ての始まりは清四郎の失恋だったのだ。
 野梨子が恋に落ちた高校三年の秋、私は弱っている彼につけこんだ。
 ちょうどそのとき、私自身も恋人と破局したばかりだったため、それを口実
とした。酒の入った清四郎へ私は失恋の痛みを涙ながらに語ったのだ。
 大して好きでもなかったくせに。
 案の定、清四郎は私が差し出した体温に、あっさりと身を委ねた。
 ――そして私は、薄汚い手練手管の報いを受けた。
 初めての夜、野梨子の名を呼んで泣く清四郎の頭を私は胸に抱いた。
 愛しい人を抱きしめながらなお、身体は凍えていく一方だった。
 溺れまいと身を寄せ合ったあの晩以上の孤独を、今なお私は知らない。


 あれから私たちは何度も肌を重ねた。
 虚飾に満ちた安寧を手に入れた頃には、私たちの関係は砂のように乾いて
いった。
 私を抱きながら、いつもどこか清四郎は虚しさと戦っているようだった。
 どうしても野梨子を忘れたいのだろう。野梨子の身代わりとして私を抱き
ながら、それとは別に、新しく出合った女性と恋をはじめては、それでも
やはり自らその恋を壊していた。
 もちろん足掻いているのも、誠実ではないのも、清四郎だけではなかった。
私もまた、あの夜から今日にいたるまで、いくつもの恋をした。
 華やかなものも、惨めなものも。追う恋も、追われる恋も。
 懲りずに無為な恋を繰り返すのは、清四郎を諦めるためのものか、あるいは
自分の本気を清四郎に悟らせないためのものか、自分でも良く分からない。
 その時々の相手に感じる愛情は嘘ではなかったし、私なりに本気だった。
 それでも結局、すべては清四郎に帰結するのだ。
 いつまでも幼馴染を姫君のように大切にし、それ以外にはけっして心を明け
渡さないこの冷血な男に。
 つい先日、結婚まで考えた男性と別れたとき、とうとう私は観念したのだ。
 私の恋はいつも、優しい男たちを傷つけてばかりだった。
 だからもう諦めよう。
 清四郎以外の男を好きになることをもう諦めよう。


「泣いているかと思いました」
 自慰の後の薄ぼんやりとした空虚さに身を任していると、ふと背後から声を
かけられ、私は身体を強張らせた。
 後ろから抱きつかれるのと同時に、ガウン越しに背中へ熱くて硬いものが
押し当られ、気怠い快楽の余韻が残る身体がぞくりと震えた。
「起きていたの?」
 問いには答えず、清四郎は私の身体をひっくり返した。お互い横たわり
ながら、真正面で向かい合うこととなった。
 合わせを腰紐で結んだガウンの下は、パンティしか身につけていない。
今は乱れきり、かろうじて胸元を隠してはいるものの、わずかでも身動ぎ
すれば、全てが視線のもとに晒されるだろう。
「僕に抱いてもらえなくて寂しかったんですか? ――こんな風にして」
 清四郎は私の手首を捕らえると、人差し指を自分の唇に押し付けた。
 付着したままだった愛液が彼の唇をてらてらと濡らすとともに、粘っこい
速度で指を伝って落ちてくる。愛液とシャボンのふしだらな香りがどろどろ
に混ざり、私たちの間にたちこめた。
「――それとも、また別れたんですか?」
 不可視の涙があたかも見えているかのように、清四郎は私の目元を啜った。
 そんなことをしなくても私が清四郎の前で泣く筈がない。
 私は生まれたままの姿になってさえ、偽りの言葉やシャボンの香りなど
といったもので自分をごてごてに飾り立て、けっして素の自分を清四郎に
晒すという愚を冒さなかった。
 胸の奥が切なさで満ちていて、今にも溢れそうなのは分かっている。
 けれど清四郎。私は泣かない。絶対に泣かないのよ。
「そう。今寂しいの私。だから抱いて」
 気まぐれのように与えられる優しさは、私には致命傷となる。甘美な毒を
無邪気に啜るには、もう私は弱りすぎていた。
 だから慰めはいらない。
 彼の身体以外の何もいらない。
 私は唇においていた指をそのままつつつと顎、喉仏、胸板といったふうに
人差し指を滑らせた。
 臍、茂み、そして限界まで膨れ上がった男性器。
 ゆっくりと裏筋をたどり、先端に到達すると、もうぬるぬると濡れている。
「っ」
 清四郎が切羽詰ったように小さく呻く。
 どれだけ容姿が優れ、性格が良く、家柄もある女であろうと、清四郎が野梨子
以外の女性を愛することはないだろう。
 だからこそ私は――私だけが彼専門の娼婦になれる。彼を慰め、獣のような
欲望を甘く許し、彼に何も求めない。
 それだけが私に残された最後の矜持だった。
 彼の注視のもと、粘液で糸を引く指先を私はゆっくりと舐めた。
「可憐っ……!」
 堪えきれないというふうに、突然乱暴に組み敷かれ、忙しなく首筋を吸われた。
 もっと、もっとして清四郎。
 胸を騒がせる欲求を、それでも私は意識的に制御する。何も口にしない、
何も求めない。彼にすがり付いてはいけない。
「っあ、や……っ」
 絡められる足に、押し付けられる腰に、私はゆるゆると錯乱していく。
 駄目。流されるわけにはいかない。
 清四郎の愛撫が情熱的であれば情熱的であるほど、私は怖かった。
 彼との関係を持ったばかりの頃、彼は自分の感情をコントロールできず、よく
私を抱きながら野梨子の名を呼んだ。最低なベッドマナーを、けれど私は咎め
なかった。傷心の彼を慮ったわけではない。感情の伴わない欲求の捌け口にされ
ようとも、彼を手放したくないと願った私の浅ましさがそうさせた。
「声……我慢しないで、ください」
 掠れた低い声が耳を犯す。
 耳朶を舌でゆっくりとねぶられ、私は思わず身体を弓なりに仰け反った。
「綺麗ですよ、可憐。君は白魚のようにびくびくと跳ねる」
 薄く笑った彼に、羞恥がこみ上げてくる。
 彼以上に私を淫らにさせる男はきっといない。
 モノのように扱われても、一方的な奉仕を求められても、私の身体は十分に
開かれ、意思とは無関係に乱される。
 優しくしないで。
「集中してください、可憐。今日だけは」
 今日だけは――その台詞に、私は思わず清四郎を見詰めた。
 清四郎は私を見詰め返し、柔らかな口調で言った。
「これで最後にしましょう」
 私は無言で頷いた。それ以外のどんな行動が取れたというのだろうか。
 言葉こそ穏やかだったけれど、清四郎の表情は苦悩に満ちていた。彼にそんな
顔をさせてしまったことが、私にはたまらなく辛かった。
 彼こそこの欺瞞に満ちた関係に、もう限界だったに違いない。
「今まで、すみませんでした」
 誠実な彼の言葉が私の胸を穿つ。
 どんな罵りの言葉よりも痛かった。
「謝らないで」
 今謝られたら、きっと私は泣いてしまう。だから謝らないで。
「可憐」
「お互いさまだわ。私たちいい共犯者だった筈。だからそんな顔しないで」
 いつか清四郎と観た映画で知った、伝説の娼婦を真似て、私は笑ってみせた。
 長い沈黙の後、清四郎は苦いものを飲み込んだような顔で頷いた。
「……分かりました」
 私は野梨子のように清純で、凛然とした笑顔をつくることは出来ない。
 けれどせめて、と私は願った。
 潔癖な道を歩むだろう清四郎の人生の中で、唯一のあだ花として咲き誇ること
が出来るように。
「最後なら、忘れられない夜にして」
 きっと醜く、そして美しく笑えただろう。
 そう思った次の瞬間、私は激しく口付けられ、彼の手によって奔流に押し
流された。 
 最後だからと、私は瞳を瞑り、彼の毒をあおることを自分へ許した。



 永遠のような熱の塊が過ぎ、私はうつらうつらとシーツの波に揺蕩っていた。
 ぼんやりとした白い闇から抜け出したとき、清四郎は私の汗ばんだ背中に、
何度も軽く口付けを落としている最中だった。
 ―――少しだけ、意識が飛んでいたようだ。
 セックスのとき、いつも我を忘れないよう気を張っていたというのに、最後
の最後で自制を失ってしまったようだった。記憶がないわけじゃなかった
けれど、すべては曖昧でふわふわとしている。
 しかし覚えていることもある。
 彼は野梨子の身代わりでなく、私を私として抱いた。
 私の名前を呼んで極まった清四郎が愛おしく、切なかった。
 今このひと時、清四郎に抱かれて私は幸せだったのだ。
 ――そして私は、多分はじめて野梨子を憎んだ。
 もちろん彼女に罪などないことは百も承知だ。
 それでも、その気さえなれば、いつでもこんな風に清四郎から愛されること
が出来る彼女を、恨まずにはいられなかった。
 嗚咽が漏れそうになり、私はシーツに顔を押し付け、声を殺した。
 最後に与えられた幸せな時間を醜い涙で汚したくはない。
 けれど私の気持ちなんて知るはずのない清四郎は、私の正面に回りんで
髪をかきあげると、あらわになった泣き顔をまっすぐに見詰めてくる。
「なぜ泣いているのですか」
「……泣いてないわよ」
「声を震わせておいて、何言ってるんですか」
 苛立たしげに清四郎はそう言った。
「気の、利か…ない・……男、ね。き、気づかないふり、しなさいよ」
 八年間ずっとずっと平気なふりしていたのに、どうして今夜に限って我慢が
出来ないのだろう。
 最後までいい女でいたい。
 死んでも清四郎に縋りたくない。
 それだけが私の望んだこと、守り通してきたことだったのに。
 私の涙を節ばった指ですくいながら、清四郎は溜息をついた。
「可憐。僕は、甘えてももらえないくらい頼りのない男ですか?」
 違う。違うのよ、清四郎。
 けれど否定の言葉は口に出ない。
 取り繕うための言葉を焦って捜すうちに、余計に涙が出た。
「……君の付き合ってきた男たちの、小指の先ほどでいい、頼って欲しかった
んです、僕は」
「私は自分に惚れない男には、甘えないことにしてんの」
 言った瞬間、強く背後から抱きしめられた。
 抱きつぶされるかといわんばかりの勢いに、全身の血が沸騰しそうになる。
 私は思考停止して、固まった。
 清四郎は逸る心を押し殺すような低い声で囁いてきた。
「君は僕を何と思っているんですか。僕は惚れてもない女を何年も抱き続ける
ほど、女には困ってません」
 よく、意味が分からなかった。
 怖い。怖い。
 なんでそんなことを言うの。
 あんたは私の肩越しに、いつも野梨子を見ていた。私には見せない優しい顔で、
あの子の幸せを願っていたでしょう。
 でなければ、この私が諦める筈がない。あんたの想いがちょっとでも軽いもの
だったら、私はなんとしてでも清四郎、あんたを振り向かせるために努力した筈。
「今更そんなこと言うのやめて。私を野梨子の身代わりにしてもいいわ。
けれど、嘘をつくのはやめて。……惨めになる」
 清四郎は途方に暮れたように、私を抱きしめたまま天井を仰いだ。
 美しくぴんと張った筋肉、優しい体温、耳にかかる吐息。
 先ほどまで私を乱れさせていた彼の身体が、今は私を不思議と落ち着かせていた。
 しばらくそうして抱き合ったのちに、清四郎は何かを耐えるかのように、ひどく
ゆっくりと言葉を刻んだ。
「野梨子が婚約したときにね。僕はようやく彼女への恋がとっくに終わっていた
ことに気がついたんです。――同時に、新しい恋がはじまる前に失っていたことも。
惨めなのは僕の方ですよ。君はいつも僕以外の誰かと恋に落ちる」
 視線を天井から元に戻し、清四郎は私の肩口に額を乗せた。
 温かな熱が肩を伝って、私の全身を廻る。
 ――清四郎の身体は、少し震えていた。
 今この瞬間、彼は泣いているのかもしれない。
 鍛え抜かれた頑強な身体のもつ意外な弱さに、私の身体もまた震えた。

「好き。清四郎、あんたが好き」

 聞きたいことはいくらでもあったけれど、すでに堰を切られ、胸からあふれ出す
感情に抗う術はなく、私もまた彼を抱きしめ、子供のように泣き続けた。
 それは、はじめて抱き合ったあの孤独な夜のことを思い起こさせた。
 あの幼稚な自身の過ちの記憶は私をどこまでも凍えさせる。

 けれどこの深い夜が明け、八年間の間に溜まりに溜まって溢れ出したこの涙が
全て尽きて空っぽになった頃、私はきっととびっきりの笑顔を浮かべることが出来る
だろう。
 そして私は清四郎を抱き、清四郎に抱かれ、愛の歌を歌うだろう。


 
 だから今は凍えた身体に互いの体温を分け合い、思うさまに泣いていたかった。


                                               END
696名無し草:2008/04/03(木) 22:02:40
>フェイク

面白かった!好きカプの話が競作で読めて嬉しいです。
お題も無理なく収まっていて、見事でした。ありがとう!
697名無し草:2008/04/03(木) 22:17:44
早速2作も。ばんざーい。
美悠は可愛くて、清可は大人〜でいい!
698名無し草:2008/04/03(木) 23:58:04
>フェイク
GJです
可憐がすごく綺麗でした
ラストの清四郎と可憐の絵が目の前に浮かんでくるようでした
699名無し草:2008/04/04(金) 00:41:26
>変な奴
かわいい!
美悠って独特の可愛さがありますね
楽しかったです

>フェイク
仕事から酔っ払って帰ってきて読んで途中で泣いちゃいましたよ
最後はハッピーエンドでよかったです
700名無し草:2008/04/04(金) 16:49:52
>フェイク
大人な二人に感動しました。
GJですっ!
701名無し草:2008/04/05(土) 00:34:32
あの…
パロディとかもいいんですか?
他のアニメや漫画のキャラに
有閑キャラ当てはめて書くってゆう……。
702名無し草:2008/04/05(土) 00:50:42
>>701
いいと思います!楽しみです。
703名無し草:2008/04/05(土) 00:52:00
国民的に通用する漫画か、
あるいはその漫画を知らなくても普通に読める内容ならいいんじゃない?
まあ私の主観だから、他の住人さんの意見にもよるけど。

あと競作中だけど、競作参加作品以外も、うpしたい人がいれば
してくれたら嬉しいなと思う。
704名無し草:2008/04/05(土) 00:54:18
アニメや漫画って言っても、物によると思う。
一般的に知名度がないアニメや漫画は知らない人が多いからよくないと思うし、
やるなら有閑よりを重視した上のパロディの方がいいと思う。
自分は他作品を少々混ぜたくらいのパロディでもおkだけど、これは自分の意見だから、
他の人がどう思ってるかは分からないから聞いた方がいいかもしれない。
705名無し草:2008/04/05(土) 00:54:44
美悠、清可ときたら魅野しかない、と考えて
野梨子のお隣さんは魅録ということにしてみました。
タイトルが思い浮かばなくて合ってないかもしれませんが許してください。

3レス書きます。
706競作 <男友達1>:2008/04/05(土) 00:56:27

「野梨子、悪いな。これからはバイクで通学するよ。」
不良そうに見えて律儀な彼は申し訳なさそうに謝る。
「いいんですのよ。せっかく公にバイクに乗れる年齢になったんですし、私は一人で帰れますわ。」
嫌味を交えつつ私は毅然と答えた。
乗り物や機械が好きな彼のこと。こうなることは以前から予想していたから。
「そうか。一人でも気をつけるんだぞ。」
「はい。魅録こそ運転には気をつけてくださいな。」

一緒に登下校をしなくなって1週間。
いつも側にいてくれた魅録がいないのが寂しい。
しかし飾りのない温かい人柄で多くの友人に恵まれている彼が
今まで一緒にいてくれたことのほうが奇跡だったのかもしれない。
家が隣同士で幼馴染でなければ親しくなることもなかったと考えると
今の状況はまだいいように思えた。
707競作 <男友達 2>:2008/04/05(土) 00:57:01
白鹿家の前で野梨子がでてるのを待っていた。

「おはよう。今日は一緒に行こうか。」
「おはようございます。今日はどうなさったの?」
「昼から大降りになるらしい。だから歩き。」

ガソリン税の話しなどをしながら歩いていると「白鹿さん」と男が声をかけてきた。

「渡したいものがあったので、朝からあえてよかったです。」
野梨子にラブレターか。どうせ読みもせずに捨てるだろうに
無駄なことするなと思いつつ、念の為に顔を確認すると目の前にいたのは
野梨子が以前天敵と言っていた高校から入ってきた菊正宗清四郎だった。

「これは僕のお勧め本です。白鹿さんなら気に入ってくれるんじゃないかと思いまして。読んでみてください。」
「気になっていた本ですわ。ありがとうございます。早速読ませていただきます。」
野梨子が男と喋っているのは極めて珍しいといっていい。
すぐに疑問をぶつけた。
「いつの間に菊正宗と仲良くなったんだ?」
708競作 <男友達 3>:2008/04/05(土) 00:58:03

「最近図書館でよくお会いして、本の話をしたり、囲碁の勝負をしたりしましたの。」
俺には出来ないことばかりをスラスラと野梨子は答えた。
「天敵の男じゃなかったのか?」
「天敵というより好敵手が現れたと思うことにしました。
テストで1番の座を奪われたのは悔しいですが張り合いが出来て良かったと。
話てみると気も合いましたのよ。このままいくと魅録が作れ作れという
お友達ができるかもしれませんね。」
と笑って言った。


松竹梅さまと白鹿さまがお付き合いをしているという噂に、
菊正宗さまもプラスされ二人の王子が姫をとりあっていると言われ始めるのは時間の問題かもしれない。

おわり
709名無し草:2008/04/05(土) 01:02:09
>>401
個人的に他の漫画のキャラを当てはめるっていうのは
みてみたいと思ってたので、凄く楽しみです。
710名無し草:2008/04/05(土) 01:06:48
ダブルパロ('A`)
711名無し草:2008/04/05(土) 01:13:33
>男友達
清四郎と魅録の立場が逆なんて、新しい萌えを発見しますた。
魅録くんもぼやぼやしてられませんなw

GJでした
ありがとう!
712名無し草:2008/04/05(土) 01:27:51
>男友達
乙です。

今まであったようでなかった設定ですね、新しい。
魅録が幼馴染みで、清四郎が原作の魅録のような立場でも
それはそれで新たな発見が出来て同じく萌えた。
妄想をかきたてられましたw
713競作<簪・1>:2008/04/05(土) 01:29:12
清→野←魅かな?
そんなに恋愛要素は無いです。
初めて投稿します。
よろしくお願いします。
714競作<簪・2>:2008/04/05(土) 01:31:36
いつもどおりの聖プレジデント学園の生徒会室の朝。清四郎が一人で扉を開け入ってきた。
「おはよー。あれ?野梨子はどうしたんだ?」
悠理がいつも清四郎の隣にいる少女がいないことに質問を投げる。
「野梨子は昨日倒れてしまいましたので今日は休むことにしました」
「ふーん。学校終わったら見舞いに行こうぜ」
魅録がパソコンに向けていた顔を上げ提案した。

放課後、見舞いの花と果物籠を持って5人は白鹿家の門をくぐろうとした。悠理は何か違和感を感じた。
「あ・・・あのさ〜・・・。あたい・・・ちょっと・・・」
可憐、美童、魅録は白けたような目で悠理を眺めたが、清四郎のみがその態度に反応した。
「悠理。是非とも来てください」
門を背中に向けた悠理の腕を背後から清四郎が掴んだ。
「いやだ〜〜〜〜!いやだ〜〜〜〜!!」
悠理は叫んで手足をバタバタさせているが、清四郎にしっかり羽交い絞めにされている。
「悠理・・・まさか・・・?」
「嘘でしょ???」
童、可憐が顔色を変える中、清四郎はにっこりして悠理へ含んだ笑みを見せた。
「友達思いの悠理は野梨子の見舞いに行きますよね」
715競作<簪・3>:2008/04/05(土) 01:35:26
「失礼しますよ」
清四郎が野梨子の部屋の襖を開けると、布団へ横になって眠っている野梨子の姿があった。
顔は青ざめ一日しか経っていないのに頬がこけてげっそりしている。
眠っている野梨子に安心した清四郎は悠理のいる方向へ体を向けた。

「さて、どうしましょうね」
清四郎は面白そうなことを考え付いたかのようであり、魅録は幽霊が見れるかもしれないという期待をしている。

「あ・・・あっちの方向!!!!」
悠理は何かをされる前に自分から野梨子の部屋の中の一箇所を指差した。
指の先には野梨子が普段使っている鏡台があった。
清四郎が足音を立てないように鏡台の前へと歩みを進める。
鏡台の周りを観察してみるが特に変わった様子は無い。
ゆっくりと調べていると鏡台の上に置いてあるガラスケースの簪入れへと視線が止まった。
野梨子が普段、舞の稽古に使っているものだ。清四郎が初めて見る簪が入っていたのだ。
簪入れを開け、その簪を手に取りメンバーの元へ戻る。初めて見るとは言っても、どこか記憶に残っている簪だ。

「すてきな簪じゃない!漆の地に砂金で装飾されていて。この細かい細工も見事よ」

可憐は宝石のような簪に見入っている。
悠理はさっきよりも大きく目にみえるような鳥肌を立てて震えて魅録にしがみついている。
清四郎が簪を悠理に近づけると悠理はすぐに後ろへと飛び跳ねた。

「どうやらこれのようですね」
716競作<簪・4>:2008/04/05(土) 01:37:46
清四郎は野梨子の母に会い、簪について質問した。

「この簪は昨日、2軒先の森泉様から頂いたものですわ。清四郎さんもご存知でしょう。あそこのお婆さんがお亡くなりになったこと」
「はい。あそこのお婆さんには僕も野梨子も小さい頃から可愛がってもらっていたのでとても残念でしたよ。
いつもニコニコと笑っていて明るい楽しいお婆さんでしたよね。
・・・あ、そういえば、これはあそこのお婆さんがいつも髪に飾っていた簪ですね」

清四郎は仕舞いこんでいた記憶の箱を開けたようだった。

「あら?いつも笑顔を見せず愛想の無い方とお聞きしましたわよ。子供には優しかったのかしらね?」
「でも、この簪がどうして野梨子へ?」
「それが、そのお婆さんのご遺言で簪は野梨子へ渡すようにと書かれていたそうですわ。
ご遺族の方も簪一本ならば、ということでウチまで届けにきてくれましたの」

「おばさん。この簪、僕がしばらくお借りしてもよろしいでしょうか?」
「ええ。構いませんわよ」
「ありがとうございます」

有閑倶楽部の5人はブルブル震えている悠理をひきつれて森泉の家へと足を向けた。
清四郎は顔なじみということもあり家人は快く中へ通してくれた。清四郎は簪を見せて質問した。
「これですが、いわれとか何かありませんか?」
「よくは知らないですが、お婆ちゃんが娘の頃から大切にしてきたもの、ということでいつも髪に飾っていたそうですわ」
清四郎は悠理の方へ顔を向けた。悠理は頭を大きく横に振っていた。
これ以上の手がかりが見つからないと諦め森泉家を後にした。森泉の門を出たところで5人は解散した。
清四郎だけは真っ直ぐに家に帰らずどこかへ足を向けたようだった。
717競作<簪・5>:2008/04/05(土) 01:45:36
翌日。野梨子はまだ体調がすぐれないということで学校を休んでいた。生徒会室には5人が集まって中央の大きなテーブルを囲んで定位置に座っていた。
清四郎の隣だけがポツンと空いている。テーブルの真ん中には例の簪が置かれている。悠理は顔を真っ青にしている。可憐が手に取り簪を眺める。
「ホンットにこれは見事よね。野梨子の黒い髪にだと更に映えるわよね〜」
可憐が自分の髪に挿そうとした時、清四郎が勢いよく立ち上がり可憐の腕を掴んだ。
「ちょっと、なによ!清四郎?」
「それを挿してはいけません」
「どうしてよ?」
「昨日あれから調べて色々なことがわかってきました」
「どんなことなんだよ?」
悠理を除く3人が興味津々で清四郎へ問いかける。

「あの後、骨董屋と森泉さんの家に行きました。骨董屋ではこの簪がいつごろ作られたのかを調べてもらいました。おそらく江戸時代中期から後期のものであろうということでした。あと森泉の家では、裏にある蔵を覗かせていただきました」
「何か見つかったんだな?」
「ええ。この簪が入っていたと思われる桐箱を見つけました。当時の当主の嫡男が名のある飾り職人に作らせたものだそうです」
「恋人に贈るために作らせたのかしら?」
可憐は愛しい人の為に簪を作らせているというシチュエーションにうっとりしている。
「何で当主の元にあるんだよ。簪って女がするもんじゃないのか?」
「魅録。するどいです。蔵の中からはたくさんの書物が見つかりました。
おおよその目処をつけて探ってみたところ、後に当主になった方が若い頃、許婚に贈ったものだそうです。ただ、その許婚が亡くなり当主の元へ戻ってきたそうです」
「悲恋の簪ということね・・・」
「悠理ぃ〜。何かわからないの?」
美童がテーブルの端を掴んで震えている悠理に声をかける。悠理はただ大きく首を横に振るだけだった。
「悠理!何か念じてみてください!」
「野梨子がこのままかもしれないのよ」
「友達がいの無い奴だなー」

黙っていた悠理ではあったが周りのうるさい声に嫌気が差したようだ。
「わーったって!やってみるよ!!!」
718競作<簪・6>:2008/04/05(土) 01:47:35
『おーい。簪!言いたいことがあるなら何とか言えよ!!』
悠理が必死に頭の中から簪に問いかけている。しばらくすると簪が薄青の光を発しはじめた。最初は薄っすらと靄のようなものであったが、段々光が強くなり強烈な光線へと変わっていった。
もちろんそれは悠理だけにしか見えないものであって、他のメンバーはじっと悠理をにらんでいるだけだ。悠理のみが眩しい光に手で目を覆っている。

<・・のし・・・・た・・て・・・>
悠理の頭の中にか細い女の声が響いてきた。悠理は手を取り払い簪に目を向ける。光は落ち着いてきている。
『よく聞こえねーよ。もう一回言ってくれよ』
<・いのしん・・・たす・て・・・>
「いのしん、たすて???」
悠理が言葉を発する。
「何かわかったのか?」
「何か言っているんだけど、よく聞こえないんだよ」
「もう一度しっかり聞いてみるんです」

『よくわからねーよ。はっきり言えよ』
<せいのしん・・・たすけて・・・>
「せいのしん?たすけて?」
悠理が簪の言葉を代弁する。清四郎は口元に指をあてて考えている。ややあってから清四郎が口を開いた。
「当主で「せいのしん」という人がいて許婚が助けを求めている、ということでしょうか?どうやら亡くなった許婚の死因を調べる必要がありそうですね」
悠理は力尽きたのかテーブルに頭を預けて眠っている。
「そんなの判るのかよ?」
「森泉の家に行って調べるしかないようですね。あと悠理の体力が戻ったら再度頑張ってもらいましょう」
清四郎は立ち上がり部室に備え付けてある冷蔵庫へと歩いていった。冷蔵庫の中から箱を取り出し悠理の側にその箱を置く。悠理はガバっと起きだして箱を開ける。

「おお!!!デメルのザッハトルテだ!!!」

「これでいいですよね?」
清四郎がにっこりと笑顔を浮かべる。
「さすが・・・清四郎・・・」
「僕は森泉の家へ行ってきますので、皆さんは悠理を使って何かを聞き出してください」
清四郎は立ち上がり部室を出て行く。残った3人はその背中とバクバクとケーキを食べている悠理の姿に呆れた視線を投げていた。
719名無し草:2008/04/05(土) 02:14:43
競作<簪>の作者です。
連投規制にひっかかってしまったようです。
続きは規制解除を見計らってうpします。
720名無し草:2008/04/05(土) 02:17:48
板情報[SETTING.TXT]を取得すると、書けることがあります。
専ブラの設定を確認されてみては?
721名無し草:2008/04/05(土) 04:14:40
絵板に仮うpしてくれたら、転載しますよ。

>男友達
幼馴染ネタいいですね〜
魅録と野梨子で幼馴染って、少女漫画の王道みたい。
722名無し草:2008/04/05(土) 08:24:07
競作<簪>の作者です。
続きが書き込みできません!・・・専ブラの設定見てもおかしくないんだけど・・・
絵板に仮うpしますので、よろしくお願いします。
723競作<簪4>:2008/04/05(土) 11:44:10
 野梨子の状態は変わらない。布団の周りを有閑倶楽部の5人が囲んでいる。
「では、いきますよ」
清四郎は眉間に皺を寄せて眠っている野梨子の黒い髪に簪を挿した。
野梨子は大きく目を開いた。顔色も良くなり口元には笑みがこぼれている。布団から起き上がり5人を見渡す。
「皆さん、ご心配をかけて申し訳ございませんわ」
「それなのですが魅録が野梨子に聞きたいことがあるそうです」
「魅録?どうしましたの?」
魅録が真剣な表情で野梨子を見つめている。
「野梨子は一生を添い遂げたいと思っている人はいるか?」
きょとんとした後、野梨子はフフフと口元を隠して笑った。
「なんなのですの?私はそのようなことは考えていませんわ」
「じゃぁ・・・」
魅録はうつむき加減で少し頬を染めた。
「野梨子と二人きりにさせてもらえないか?」
魅録の言葉で4人は野梨子の部屋を出て行った。二人きりになった後、魅録は野梨子を見つめた。野梨子はずっと訳もわからず軽い笑みを浮かべたまま魅録を見つめていた。
「俺とこれからの人生を添い遂げる気持ちはないか?」
突然の言葉に野梨子は驚いているようだ。
「すぐに返事は頂こうとは思ってないよ。ゆっくり考えてくれ。ただ、野梨子をずっと守っていくことを約束するよ」
野梨子は俯き、何かを考えているようだった。顔を上げて魅録の顔を見つめる。目は潤んでいる。でも迷いも瞳の中に見ることができる。
「俺は野梨子の全てを受け止めてやるぜ」
魅録は野梨子ににじり寄って野梨子の上半身を抱きしめた。そのまま野梨子を倒し魅録は野梨子に覆いかぶさる形になった。唇と唇を重ね魅録の綺麗な細い指が野梨子の胸をまさぐろうとした瞬間であった。

「きゃー!!!助けて!!!清四郎!!!」

野梨子の口から絶叫が発せられた。それを合図に有閑倶楽部のメンバーが野梨子の部屋の襖を思い切り開ける。
布団の上で野梨子は両腕を頭の上で魅録の手によって動きを封じ込められている。無言で清四郎が魅録の体を掴む。
可憐は野梨子の側に寄り、震えている体を抱きしめている。
その時、野梨子の髪から自然と簪が落ちた。畳の上に着地した時、簪は2つに折れてしまった。折れる瞬間眩い光を発し一瞬で消えていった。それは全員の目に映った。
724競作<簪5>:2008/04/05(土) 11:49:43
「清四郎。そろそろ離してくれねーか」
清四郎は羽交い絞めにしていた腕を魅録の体から離した。乱れていた襟元を正し清四郎は正座をして全員を見回した。
魅録は怒られた子供のような表情で、可憐、悠理、美童の顔は怒りが籠っていた。野梨子はガクガクと震えて両手で自分の体を掴んでいる。
「野梨子。申し訳ございませんでした。少々強引な手を使ってしまいました」
野梨子へ向かって頭を下げた。
「どういうことなんだよ。しっかり説明してもらわないと納得しねーぞ」
悠理は腰に手を当てて仁王立ちになっている。
「これから説明しますから、まずは座ってください」
全員は渋々とその場に座り円座になった。

「僕の調べたところから説明しましょう。森泉家というのは、とある小大名の江戸家老を勤める家系だったのです。その中の一人がこの簪を作らせた人で家督を継ぐまでは清之進という名前だったそうです」
清四郎は二つに割れた簪を手に取った。
「清之進には許婚がいました。相手は殿様の末姫で舞の上手と評判だったそうです。小さい頃から一緒にいて気心のしれた仲のよい恋人通しだったそうです。
ある日、その小大名の家に大大名の殿が訪れました。その宴席で姫は舞を舞い、大大名はその姫を見初めたそうです。大大名は奥方の内の一人にその姫を加えようとしましたが、姫には幼い頃から愛し愛された許婚がいる。
その申し出を断ったそうです。そのことに大大名は怒ったそうですが、姫が亡くなったためこの話は無くなりました。この簪はその姫のために作られたのですが、清之進は姫を慕い形見として受け取ったとのことです」
ふーというため息が全員の口から発せられた。この簪には悲しい話があったのだ。
「あとは悠理が簪から聞き取った話をお願いします」
「うん。庭で月を見ていた時に暗がりから人が現れて腹を殴られて気を失ったって。で、目を覚ましたら知らない座敷にいて、おっさんが襲い掛かってきたんだって。
それから毎日のように乱暴されてたんだけど、どの位経ったかわからなくなった頃に自分の家へ帰されたんだって。許婚へ顔を会わせることが出来ないってことで自害して果てたって言ってた」
しーんとした空気が流れた。雨が降ってきたのだろうか、外からは石を叩く水音が聞こえてきた。
725競作<簪6>:2008/04/05(土) 11:54:10
 魅録はこめかみに指を当てて推理をしているようであった。
「つまり、そのお姫さんは大大名の殿様に気に入られて妾にしてやろう、と言ったのに断られた。それに腹をたてて姫を誘拐してしばらくの間、乱暴していたんだろうな。
周りが姫の不在を騒ぎ出したというので家に帰したってことだろう。姫は陵辱されて許婚の元へ嫁げる体では無くなったと悲観して自害したんだな」
「簪についてはわかったわよ。でも、どうしてそんな簪が野梨子のところにやってきたわけ?」
可憐は納得がいかないようであった。
「それは森泉の家の方にお聞きしましたよ。お婆さんが娘の頃に蔵にあったこの簪を見つけ気に入ったそうです。いつも日中は髪に飾っていたそうです。
ただ寝る前に髪を梳く時には簪を外しますよね。その時からは日中の明るい性格から誰とも話さない性格に変貌していたそうです。
お婆さんも気づいていなかったのかもしれませんが、娘の頃からこの簪の力に踊らされていたのでしょうね」
野梨子は段々と今置かれている状況を把握したようだ。
「私がこの簪をつけた途端に姫の気持ちが私に移ってしまい、寝る前に外したらそのまま体力を失ってしまったということですね」
「そのようになりますね」
清四郎がにっこりとして答えた。
「これからは僕の想像なのですが、簪を挿した女性・・・つまり野梨子のことですが・・・襲われた時と同じ状態を作り出して、実際には助けてあげられなかった所を今回は助けてあげた。これで、この姫の怨念も消えたと思いますよ」
「でも、女性だったら自分をひどい目にあわせた当人へ恨みを向けるものじゃないの?」
美童が自分の過去を思い出しながら言う。それに対して清四郎が即答する。
「その辺りも調べておきましたよ。大大名家はその後、跡継ぎが次々と亡くなっていって結局はお家断絶となったそうです。これも姫の恨みからだったのでしょうね」  
726競作<簪7>:2008/04/05(土) 11:54:34
翌日、聖プレジデント学園の生徒会室には6人のメンバーが久しぶりに集合した。やはり一人欠けると何か物足りない感じを受ける。野梨子はお茶を口にして魅録へ質問した。
「あの時言ってくださったことはお芝居でしたのね?」
魅録は顔を真っ赤な茹蛸のようにした。
「清四郎が作ったシナリオだよ。助けにいく役を清四郎が譲ってくれなかったんでな」
「野梨子を助けるのは僕の役目ですからね」
新聞を広げながら清四郎の声が聞こえてくる。

可憐と美童は部屋の片隅で小声で話している。
「・・・二人とも素直じゃないねー」
「・・・ほんと!とっとと自分の本当の気持ちを言ったらいいのに」
「・・・野梨子をめぐっての三角関係・・・面白そうね!」

他のメンバーの様子を一切無視してテーブルの上のお菓子を平らげていく悠理はいつもと変わっていない。

「ね〜!暇だじょーー。何かないの〜〜???」

いつもの有閑倶楽部の始まりです。 
727簪の転載者:2008/04/05(土) 12:02:53
簪を絵板から転載しました。
原文のままで行きたかったのですが、文が長すぎるというエラーメッセージが出たので、
勝手な判断で改行させてもらった部分があります。
申し訳ございません。

レス番号が統一されていませんが、
おそらくはじめに2chに投下された分のレス番号は、
改行制限などの理由で、作者さんの本意のレス番号でなく、
後半部分(絵板に追加された方)のレス番号が、作者さんの本意の分であると判断し、
後者を採用しました。

本スレでは作品が8レスに収まってませんが、
個人的には、絵板の投下から推測すると
作者さんは当初8レスに収まるつもりで投下されたのが分かるため、
ちょっと可哀相な規定違反だなーと思います。
(ちなみに難民は1レスにつき 行数は32行、最大バイト数は2048です。ご参考までに)
728名無し草:2008/04/05(土) 12:20:43
読むには改行アリのほうが有り難いよ
ちょっと長くて見づらいと思ってた
投下代役乙でした
729名無し草:2008/04/05(土) 17:32:25
>簪
こう、日常的に事件にあってる感じが
なんだか原作の雰囲気もあって面白かったです。
助け役を譲らなかった清四郎の子供っぽさがw
730名無し草:2008/04/05(土) 19:12:11
>簪
「姫」の使い方がいいですね!乙でした。

>転載してくれた人、乙でした!ありがとう。
731名無し草:2008/04/05(土) 20:02:54
>簪
原作風の少し現実離れしたシナリオ性ですね。
ラストの魅録と清四郎がかわいいです。
確かに恋愛要素は薄めでしたが、ボリュームがあって楽しめました。

簪の転載の人もオツカレさまでしたー。

732名無し草:2008/04/05(土) 21:03:43
競作うpさせていただきます。
清×野で、Rなし。中学時代の話です。
苦手な方はスルーお願いします。
733競作・<友達以上、恋人以上>1:2008/04/05(土) 21:05:09
それは、突然のことだった。

「明日からは別々にいきませんか?」

幼なじみからの突然の申し出は、中学3年生の春――野梨子が有閑倶楽部のメンバーと知り合い、悠理や可憐と打ち解けてから一週間後のことだった。
幼稚園から絶えることなく続いていた2人の登下校。
それを止めようという、清四郎の生まれて初めての申し出に、野梨子の心は動揺した。
「……どうしましたの?何か……用事でもできまして?」
試しに聞いてみる。
いくつもの倶楽部を掛け持ちしている清四郎のことだ。
その関係かもしれない……と、野梨子はそう考えた。
――しかし、その予想はあっというまに裏切られることになる。
「いえ……用事があるというわけではないんです」
静かな声が、誰もいない小道に響いた。
清四郎の真っ直ぐな瞳が、野梨子をとらえる。

「少し距離をおきませんか?」

「――え?」
距離を、おく?
野梨子は清四郎の言葉を、そのまま心の中で復唱した。
まって。言っている意味がわからない。
「清四郎……」
「……先にいきますね」
そう言って、清四郎は足早に歩いていってしまった。
幼なじみの後ろ姿はだんだんと小さくなっていく。
一番聞きたかったことは言葉にならず、野梨子はただそこに立ち尽くしていた。
(どうして……?)
根拠のない不安にかられる。
清四郎がまったく知らない人になってしまったような気がした。
734競作・<友達以上、恋人以上>2:2008/04/05(土) 21:06:51
それから一週間。
ひとりで学校へ行く。学校から帰る。
もちろん、こんなことは初めてだった。
授業にもまったく集中できない。
あの日の清四郎の顔が、言葉が、頭から離れなかった。
(私……何かしましたかしら……)
最近の2人の行動を思い返してみるが、いたって平常と変わらない普通のものだった。
特別喧嘩もしていないし、変わったことが起こったわけでもない。
(……あ)
変わったこと――――?
ひとつだけ思い当たることがあった。

有閑倶楽部のメンバーと知り合ってからの野梨子は、変わり始めていた。
近寄りがたい雰囲気は柔らかいものになり、以前に比べ、周囲の人間に対して心を開くようになった。
それはもちろん、悠理と可憐の力も大きかったのではあるが、しかし、それ以上に野梨子の努力によるものであった。
(……何か関係があるのかしら……)
ふと、考えてみる。
私が他の人と話すようになったから、清四郎が距離をおこうと言い出した?
(……そんなはずありませんわ)
すぐにこの考えは野梨子の中で除外された。
周囲の人間に心を開き、「友達」という宝石を手に入れた野梨子。
そんな野梨子の変化を誰よりも喜んでいたのは、他ならぬ清四郎だった。
考えは振りだしに戻った。
(……それじゃあ……どうして……?)
ちらりと前方の席で授業を聴いている清四郎に目をやる。
真面目に、黒板に書かれた文字を丁寧にノートへ書き写している。
こんなにいつもと変わらない清四郎なのに、いったい何が変わってしまったというのか。
(どうして距離をおかなければいけませんの……?)
野梨子は大きくため息をついた。
735競作・<友達以上、恋人以上>3:2008/04/05(土) 21:08:12
こつん。

そのとき、ため息をつく野梨子の手元に何かが飛んできた。
折り畳まれた小さな紙。
先生に気づかれないように、そっと紙を開いた。
女の子らしい、可愛らしい文字が並んでいる。

  さっきからため息ばっかついてどうしたの?
  よかったらお姉さんが話聞いてあげるわよ

はっとなった野梨子は斜め後ろに視線を送った。
すると、お姉さん――可憐は野梨子の視線に気づき、その視線にウインクで答えた。

「――『距離をおこう』、ねえ……。しかもそのまま一週間ってわけね……」
「……」
野梨子と可憐は、昼休みの屋上へ来た。
この時間、ここは人通りが少ない。
野梨子の表情の深刻さを感じとった可憐が、気を利かせてわざわざこの場所を選んでくれたのである。
「……っていうか、あんたと清四郎って付き合ってたんじゃなかったの?」
「な……何を言いますの可憐!」
「あらぁ、ちがうの?」
「ちがいますわよ!」
真っ赤になる野梨子。
「ふーん……」
そんな野梨子をじっと見ながら、可憐は何かを考えるかのように黙りこんだ。
「可憐……?」
「……ねぇ野梨子。これから言う私の質問に、はっきり答えて。――あんたにとって……清四郎って、何?」
「……え?」
初めて聞かれたことだった。
「清四郎は……」
野梨子の言葉が途切れる。
736競作・<友達以上、恋人以上>4:2008/04/05(土) 21:10:54
清四郎は……何?
頭の中をいろいろな言葉が駆け巡る。
友達?兄?顔見知り?親友?……恋人?
清四郎は……
「……清四郎は……私の……幼なじみですわ」
何とか言葉を発した。
幼なじみ。――そう。清四郎は私の、幼なじみ。
「……そう」
可憐は口元にだけ笑みを浮かべた。
目は、穏やかに野梨子を見つめていた。
「そう言うと思ったわ」
そして可憐は改めて野梨子に対面して向き直った。
「野梨子。最近、ラブレターの数増えてない?」
「……は?」
ラブレター?
突然可憐は何を言い出すのだろう……と野梨子は一瞬呆気にとられたが、それは思い当たらない話ではなかった。
ラブレターの数は、いきなり倍増した。
そういえば、それは可憐たちと仲良くなった時期と同時期のような……。
「……確かに、増えましたわ」
「でしょうね。あんた最近、可愛くなったもの」
「可愛く……?」
一息ついて、可憐は野梨子を見据えた。
「変わったわよ、野梨子。雰囲気がすごく、優しくなった」
「……もしそうだとしたら、それは可憐やみんなのおかげですわ」
「そんなこと言って、誉めても何も出ないわよ」
くすくす、と可憐は笑う。

「――だから、清四郎は野梨子と距離をおこうと思ったんじゃないかしら」
737競作・<友達以上、恋人以上>5:2008/04/05(土) 21:12:42
「え?」
だから……?
野梨子にはいまいち理解できなかった。
「どういうこと……ですの?」
「つまりね、野梨子の側にいる理由がなくなってしまったってことよ。幼なじみってだけじゃ、野梨子に好意を寄せる男たちを納得させることは難しいわね」
可憐は話を続ける。
「今までの野梨子だったらそれでも理由になったかもしれないわ。まだ手の離せない子どもみたいだったから。……でも、今の野梨子はちがう」
優しく微笑んだ可憐は、そっと野梨子の頭に手をおいた。
「野梨子はもう子どもじゃないもの。立派な大人よ。これから友達も恋人も、自由に作ることができるようになった」
うつむいたままの野梨子。
昼休みはもう、終わろうとしていた。

「清四郎は、自分がこれからの野梨子の邪魔にならないように、身を引いたのよ」

「……」
一粒の涙が、落ちる。
「……邪魔なんかじゃありませんわ……」
無意識のうちに、言葉がどんどん溢れてきた。
「嫌ですわ……。距離をおくなんて、離れるなんて、そんなの嫌ですわ……」
「……そうね」
野梨子の頭に手をおいたまま、可憐は優しく頭を撫でる。
「飾らない、素直な気持ちを伝えればいいのよ、野梨子。そうすれば絶対、清四郎はわかってくれるわ」
「……えぇ」
野梨子が顔をあげた。
よし!と可憐は意気込んで、野梨子の背中をたたいた。
「そうと決まればいつまでもそんな顔してないの!ほら、笑って!女は笑顔が一番よ」
「……可憐……ありがとう……」
しばらくぶりに、野梨子に笑顔が戻る。
真上の太陽に照らされた、輝くばかりの笑顔。
迷いをふっきった野梨子は、駆け足で屋上から降りていった。
738競作・<友達以上、恋人以上>6:2008/04/05(土) 21:14:31
(まったく、世話が焼けるわねえ……)
野梨子の走り去る姿を見送った可憐はため息をついた。
(あの2人はわかりやすすぎるのよ)
――清四郎が野梨子を、野梨子が清四郎をどれほど大切に思っているか。
何せ知り合って間もない私ですらわかっちゃうんだから、と笑いを噛み締めながら心に呟く。
(……『清四郎は私の幼なじみ』、か……)
数分前に野梨子が言った言葉を思い出す。
(幼なじみっていうのも厄介なものね……)
ふふ……と、可憐は思わず声に出して笑ってしまった。

一週間、一言も言葉を交わしていない。
目も合わせていない。
――清四郎。清四郎。清四郎。
屋上から降りた野梨子は、ひたすら清四郎を探した。
(清四郎……どこにいますの……?)
声が聞きたい。顔が見たい。
「清四郎!」
走り回って息切れしているのにも関わらず、野梨子は心の底から叫んだ。
そのとき。

野梨子がいる階段の真下に、聞き慣れた声が聞こえた。
この一週間、聞きたくて、聞きたくて、どうしようもなかった声。
「清四郎……!」
清四郎がいる。すぐそこにいる。
嬉しさのあまり、野梨子は勢いよく階段から駆け降りた。
しかし、ふと気がついたときには足元の階段の感触がなくなっていた。
目の前の景色が、逆転する。
(え……?)
「……野梨子!」
野梨子は、階段から転落してしまった。
739競作・<友達以上、恋人以上>7:2008/04/05(土) 21:16:01
(……野梨子!)
意識を失う前に聞いた、久しぶりの清四郎の声。
私を呼ぶ、清四郎の声。
それだけで私は嬉しいですわ。

「……う……ん……」
何か暖かいものに包まれている気がして、野梨子は目を覚ました。
ここは……どこ……?
「お目覚めですか?野梨子」
清四郎の声が、すぐ耳元で聞こえる。
ようやく冴えた頭で自分の状況を理解する。
野梨子は清四郎にお姫様だっこをされていた。
「これから保健室へ行くところですよ」
清四郎が微笑む。
「……清四郎……」
その笑顔を見た瞬間、野梨子の目から涙が落ちた。
一週間……いや、それ以上見ていなかったような気がする、清四郎の笑顔。
側にいた頃は当たり前すぎて、こんなに嬉しいものだったなんて思わなかった。
「野梨子……!?どこか痛いんですか!?」
そう言って清四郎は野梨子を抱く腕を解き、その手で優しく野梨子の額に触れた。
たんこぶができていた。
――しかし、野梨子はその痛みよりも、新しい発見をしていた。
(力強い腕……胸板も、いつのまにこんなに広くなったのかしら……)
幼い頃から一緒にいたはずなのに、今までまったく気がつかなかった。

――もう子どもじゃないもの――

可憐の言葉が頭によぎった。
もう、子どもじゃない。
私も――……清四郎も。
740競作・<友達以上、恋人以上>8:2008/04/05(土) 21:19:42
「いえ――痛いんじゃありませんの。嬉しいんですの……清四郎が笑ってくれて」
「……え?」
清四郎は野梨子を見つめた。
「私……恋とか愛とか……よくわかりませんの。だから、清四郎へのこの気持ちが何ていう名前なのかも……まだよくわかりませんわ」
飾らない、素直な気持ち。
それを伝えればいいのよ……と、可憐は言った。
「……まだよくわかりませんけど……。――清四郎」
野梨子は大きく息を吸う。
私の気持ち、早く言わないと。
心の底から絞り出すように、野梨子は声を出した。

「……ずっと私の側にいてほしいんですの」

今にも消え入りそうなほど、小さな声だった。
野梨子の体は小刻みに震えていた。
――ちゃんと言えましたかしら……。
「……野梨子」
清四郎の声に、はっと我に返る。
気がつくと、震える野梨子の体を、清四郎が優しく抱きしめていた。
「清四郎……!」
「……本当に……本当に側にいてもいいんですか……?」
清四郎の声は、少しだけ震えていた。
抱きしめられたところから、清四郎の体温が伝わってくる。
――暖かい。
清四郎のこの暖かさは、幼い頃から少しも変わっていない。
「……もちろんですわ」
野梨子は顔をあげて、清四郎を見つめた。
お互いの瞳に、お互いが映っている。

――友達以上、恋人以上

2人にぴったりな言葉だった。
741競作・<友達以上、恋人以上>:2008/04/05(土) 21:20:44
終わりです。
ありがとうございました!
742名無し草:2008/04/05(土) 21:27:29
友達以上、恋人未満

王道、それがイイ!
743名無し草:2008/04/05(土) 22:53:58
清×野キター!
幼馴染みの微妙な関係が好きなので、好きな話でした。
本編の倶楽部結成編を読み返してみたくなる話でもありますね。
GJでした〜。

744名無し草:2008/04/06(日) 00:55:44
亀ですいません。
>糸
すごく好きな文章です。最後の一文がきいてますね。
>変な奴
悠理かわいい。姫ってセリフが似合うのはやっぱり美童ですよね。
>フェイク
清×可ならではの大人な話で可憐がせつなくておもしろかったです。ハッピーエンドでよかった。
>男友達
考えてもみなかったシチュで萌えました。これから妄想の楽しみが増えそうw
>簪
魅録がキスしたのは清四郎のシナリオにあったことなのかが気になる〜!
>友達以上
お題を上手く使ってて感心しました。幼馴染っていいなぁ。


745名無し草:2008/04/06(日) 10:58:42
>友達以上、恋人以上

悩む野梨子がかわいらしい。
まだ恋愛を知らない野梨子らしい。
アッと言う間に読んでしまいました。清野萌え。
746名無し草:2008/04/08(火) 01:19:21
止まってしまいましたなぁ。
こういう時は小ネタでも振るべきなんだろうか。
747名無し草:2008/04/08(火) 01:36:00
ここまでの競作作品で火の付いた住人達が
頑張っているところなんだとポジティブにとらえてwktkしつつ
小ネタで場を繋ぐのもいいと思う
748名無し草:2008/04/08(火) 13:33:25
競作というより小ネタ?かな。
架空の男の子→可憐 です。
749競作・小ネタ<手紙>:2008/04/08(火) 13:34:17
思い立って黄桜さんに手紙を書いてしまった。
多分、本人には読まれることが永遠にない手紙。
だって黄桜さんは、僕とは住む世界が違う人間だから_____。

この学校の男は見る目が無い。
何で人気ナンバー1が白鹿さんなのだろう?
確かに白鹿さんは華奢で大和撫子の見本のような人だけど。
僕には人間味のないような気がするんだ。
あまりにも出来すぎていて。
そう、まるで日本人形のお姫様みたいな近寄りがたさを感じる。
そりゃ昔に比べたら、雰囲気も柔らかくなったけど。
でも、それって絶対に黄桜さんのお蔭だと僕は思う。
見ていると分かる。
そんな白鹿さんと比べると、黄桜さんは飾り気のない素直な人柄だ、と。

学食で財布を落としたときに笑顔で拾ってくれたのが黄桜さんだった。
戸惑う僕に笑って「はい」と財布を渡してくれた。
後ろの方で剣菱さんが「可憐!早く席に来いよ〜」と叫んでた。
だから黄桜さんも財布を渡すと踵をかえて倶楽部の面々が座ってるほうに行ってしまった。
黄桜さんにお礼がちゃんと言えなかったのが心残りだった。
面と向かって話すなんて、2度と無い事かもしれないのに。

書いたばかりの手紙を見る。
きっと日の目をみない手紙。
黄桜さんは、ラブレターを喜んでくれる、というのは知ってるけど。
僕は一つ、ため息をつく。いつか、渡せる日がくるのだろうか?
くるとしたら、それはどれ位先なのか。

黄桜さん宛ての行き場のない手紙がまた1通、机に増えた。 

終わり
750名無し草:2008/04/08(火) 13:54:51
>手紙
こう、第三者が倶楽部のメンバーにときめいてる、という描写は大好物ですw
自分も同級生なら、可憐に憧れていたかも。
751名無し草:2008/04/08(火) 14:24:48
派閥ありそう。
野梨子派、可憐派、悠理派(ほぼ女生徒)
752名無し草:2008/04/08(火) 17:36:03
>>751
野梨子派であり、可憐派みたいな男子生徒は
いないのかなぁ。
二股でもいいんだけど、周りの友達が
可憐派だからそのフリして、実は裏では
野梨子派だった…。
みたいな。
裏で怪しいことしてて欲しい。
753競作・小ネタ〈派閥争い〉:2008/04/08(火) 18:06:22
便乗してコネタをひとつ。

野梨子派VS可憐派 派閥争い

生徒A「透き通るような白い肌、黒檀のような髪、血のように赤い唇。
あぁ白鹿さんこそ現代の白雪姫!!最高だ!」
生徒B「それならば豊かにうねる美しい髪、完璧なボディ、あの色気。
黄桜さんは今を生きる美の女神・ヴィーナス!!あぁ、学園1の美女よ」
生徒A「何ィ!?学園1の美女は白鹿さんだ!!」
生徒B「いーや!絶対に黄桜さんだ。これは譲れない」
生徒C(白雪姫とヴィーナスか…じゃあ剣菱さんは【現世に蘇るジャンヌダルク】ってとこかな。飾り気はないけど美人だし、男になんか怯まないし。)
生徒A・B「おい、C!!」
生徒C「な、何!?」
生徒A「お前はどっち派だ?白鹿さんだよな?」
生徒B「いやいやこの前黄桜さんを見つめてたもんな?」
生徒C「(へっ!?あ、どうしよう…僕は剣菱さん派なんだけど)…」
生徒AB「どっちだよ!」
生徒C「そ、そんなにカッカするなよ…どっちも美人だよ…ほら、怒らないで、笑って笑って」


おしまい
754名無し草:2008/04/08(火) 19:14:45
例え方うまい。
3人の特徴を捉えてるなァ。
755競作・<皿屋敷奇譚>:2008/04/08(火) 21:30:35
競作参加します。
カプ無しで、8レスいただきます。
756競作・<皿屋敷奇譚> 1:2008/04/08(火) 21:30:54
「じゃ、どこが出ても恨みっこ無しな」
 5人の視線は、悠理の手元に集まった。
 当の彼女は、桜の名所を集めたガイドブックを手にし、目を閉じている。
「ここだっ」
 開いたページには、白い城壁の美しい城を背景に、見事な枝振りの桜が咲き誇っていた。
「ほう」
「あら、ここは」
「わーった! 江戸城だ! なーんだ、近場じゃん」
 清四郎と野梨子が場所を言おうとしたが、悠理が自信たっぷりに続けた。
「あほーっ! 江戸城っつったら、今の皇居のことだろ。本丸は残ってないぜ」
 魅録が笑いながら間違いを指摘する。
「ほら、ここに姫路城って書いてあるよ」
「へぇ、世界遺産なのね」
 美童と可憐は、早速ガイドブックの記事を読み始めていた。
「でもこの城って、テレビの時代劇では江戸城だったじょ」
 不服そうな悠理に魅録が諭す。
「江戸城が残ってないから代わりに姫路城でロケしたんだろ。ロケと言えばほら、
こっちの写真見ろよ。『007は二度死ぬ』で出てきた場所だぜ」
「あー、そう言えば見たことある。……コネリーよりシュワちゃんの方が好きなん
だけどなぁ」

 今年の花見は、こうして兵庫県姫路市への小旅行に決定した。

 JR姫路駅から出ると、ビルの向こうに城が見える。
 悠理は城を見ながら大通りを歩こうと主張したが、可憐と野梨子が日差しを嫌い、
アーケード商店街を抜けることにした。
 城の敷地に入ってすぐの広場では桜が満開だった。
「ねぇ見て。この写真、ここから撮ったのね」
 可憐がガイドブックを開きながら、実際の景色と比べてみせる。
「三の丸広場って書いてあるね。桜のお勧めスポットになってるよ」
「思ったよりもすいていますわね」
「地方ですし、平日ですからね。東京の観光名所と比べたら静かなもんですよ」
757競作・<皿屋敷奇譚> 2:2008/04/08(火) 21:31:36
「あっちでバトミントンしてるな。俺達も何か持って来れば良かったかもな」
「さっそく弁当にしようっ」
 手頃な場所を見つけ、シートを広げる。
 用意して来たお重に、途中で買い込んだ駅弁、大量のお菓子がみるみる消費されて
いった。約1名の胃袋に。
「相変わらず凄い食べっぷりだな」
「どうなっているのか、一度リアルタイムで体内をモニターしたいもんですね」
 他5名は既に食事を終えている。
 魅録と清四郎は呆れ顔で悠理を眺め、美童と野梨子は城を仰いでいた。
「桜の色が白壁に映えて、本当に美しいですわね」
「ヨーロッパのシャトーとは随分違うね。幽玄ってこういうのを言うのかな」
「白鷺城とも呼ばれていますのよ。ハクロとはシラサギのことですわ」
 いつの間にか手際良く、6人分の香り立つカップを用意した可憐が声をかけた。
「食後にコーヒーはいかが?」

 暖かな日差しに鳥の声、ちらちらと舞う花びらの下で6人は笑う。
「平和ですわね」
「ほんっと良い気持ち。来て良かったわね」
 清四郎が、さて、とばかりに立ち上がった。
「そろそろ、城の見学にでも行きましょうか」

 4月6日はしろの日で、その前後は姫路城への入城料は無料になり、非公開部分も
特別公開される。
 清四郎と野梨子は姫路城に関する知識を披露し合い、美童と可憐は画になる場所で
ポーズをとっては撮影し合い、魅録と悠理は映画やテレビで見た場所を見つけて
楽しんでいた。
「あ、ほらここ。悠理、ちょっと来てください」
 清四郎が井戸の前で足を止めた。
 呼ばれて悠理は振り向き、駆けて来る。
 野梨子は案内書きにさっと目を通し、呟いた。
「悪趣味ですわよ」
758競作・<皿屋敷奇譚> 3:2008/04/08(火) 21:32:05
 井戸の前まで来た悠理に、清四郎は人の悪い笑顔で教える。
「お菊井戸ですよ」
「ひっ」
 悠理ではなく可憐が何の事か察し、小さな悲鳴をあげた。
「なんだよ、それ」
「播州皿屋敷です。1ま〜い、2ま〜い……9ま〜い、やっぱり1枚足りない。恨めしや〜」
 きょとんとした悠理の前で、清四郎は幽霊の真似をしてみせた。
「んぎゃっ」
 思わず飛びのいた悠理に、野梨子がフォローを入れた。
「大丈夫ですわよ悠理。皿屋敷伝説はフィクションだと言われてますから。ここに来ても、
ぞくぞくしませんでしょ?」
「ん……。そう言われてみれば……大丈夫かも」
 悠理はほっと安堵の表情を浮かべたかと思うと、次いで清四郎を睨む。
「まぁまぁ、軽い冗談ですよ」
 清四郎はにこにこと笑いながら、今にも飛び掛って来そうな悠理を避けるために
後ずさった。
「きゃっ」
 誰かにぶつかった感触に彼が振り返ると、10歳くらいの少女が尻餅をついていた。
「すみません。怪我はありませんか?」
 清四郎は慌てて手を差し伸べる。
 少女は立ち上がり、ぺこりと頭を下げた。
「私の方こそ余所見しとったから……。ごめんなさい」
 可憐がしゃがんで、少女のお尻を軽くはたいた。
「土が付いてるわ。……おうちの方は?」
「いえ、今日はひとりで来たんです。うち、近くやから」
 そう言いながら少女は、6人を値踏みするような視線で見つめた。
 やがて、思い切ったように切り出した。
「あの……。私、探し物があるんやけど、お兄さんお姉さん達、手伝ってくれませんか?
……もし、急いでないんやったらやけど」
「もちろん、いいよ」
 にこやかに快諾したのは美童だった。
「じゃぁまず、君の名前教えてくれるかな?」
759競作・<皿屋敷奇譚> 4:2008/04/08(火) 21:32:52
 美童は少女の目線まで屈み、微笑みかけている。
 魅録は小声で可憐に耳打ちした。
「あいつ、子どもは真澄ちゃんで懲りたんじゃないのかよ」
「懲りるわけ無いでしょ。ちょっと可愛い女の子見ると、子どもだろうと人妻だろうと
節操無いんだから」
 可憐も小声で返答し、苦笑した。
 
 少女は小菊と名乗り、探しているものは缶バッジだと言う。
 彼女はエレクトーンを習っており、週末に行われる合同発表会では、10人グループで
アンサンブル曲を演奏することになっている。
 衣装の飾りとしてお揃いの缶バッジを注文していたが、完成品が届いたので前回の
合同練習で配られていた。
 できあがったバッジが嬉しくて友人にメールを送ったら、見てみたいと返信があった。
その友人とは、昨日一緒に姫路城巡りをする約束になっていたので、小菊は軽い気持ちで
バッジを持って出かけた。
 その日1日楽しく過ごし、帰宅後に小菊は気づいた。大切な缶バッジが無くなっていることに。
 そこで小菊は、昨日通った場所を探していたのだ。
「10個揃ってないとあかんねん。ひとつでも足りんかったら、せっかくお揃いにした意味が
無いから……」
 小菊は俯いて、下唇を噛んでいる。
「ねぇ、ちょっとこれってもしかして……」
「……ですわよね」
 可憐と野梨子は顔を見合わせ、悠理をつつく。
「気分、悪くなったりしてない?」
「え? 平気だよ」
 けろりとした表情の悠理を見て、2人は安堵の溜息をついた。
「おうちの人には相談した?」
 美童が優しい声で尋ねる。
「うん。お母さんは、今日探しても見つからんかったら、正直に失くしたって言うしか
あらへんって。今からもう一度注文しても、もう間に合わへんし。服はお揃いなんやし、
小さな飾りがひとつくらい無かってもステージに立ったらわからへんって……」
「そっか。でもやっぱり見つけたいよね。よしっ、昨日通った所を教えてくれる?」
760競作・<皿屋敷奇譚> 5:2008/04/08(火) 21:33:21
 姫路城の敷地内を探しながら、小菊は自分の事情を話した。
 5年間師事したエレクトーンの講師が結婚して関東へ引っ越す為、4月末で辞めること。
だから今回の発表会は、いつも以上にグループの仲間で頑張ったこと。缶バッジの図案の
イラストを描いたのは、グループのリーダー的存在で衣笠君という男の子だということ。
「失くしたなんて言ったら、衣笠君に嫌われてまうかもしれへん……」
 小菊の口ぶりから、彼女は衣笠君に好意をもっているらしかった。
「今回も、美童は空振りみたいね」
 可憐の囁きに、野梨子はくすくす笑った。
「いつものことですわ」

 日差しが柔らかくなり、影は随分長くなっていた。
 閉城時間も近づいている。
 小菊は途方にくれた表情をしていた。
「やっぱり、見つからんかった……」
「大丈夫よ」
 可憐は小菊に目線の高さを合わせ、肩に手を置く。
「揃いの衣装は素敵だけど、飾りがひとつ足りないくらいで発表会が損なわれたりしないわ。
一所懸命練習して来たんでしょ? それに、衣笠君は小菊ちゃんを嫌ったりしない。
ちょっとは怒るかもしれないけど、もしいつまでも根に持つようなつまらない男の子だったら、
こっちから願い下げてやればいいわ」
「うん……」
 小菊はまだ不安そうな顔をしていたものの、6人の方を向いて頭を下げた。
「今日は、本当にありがとうございました。私の探し物に付き合ってくれたせいで、
ゆっくりお城見物もできんかったでしょう。見つからんかったのは残念やけど、皆さんが
熱心に手伝ってくれたから、諦めがつきました。これだけ探しても無いってことは、
誰かが拾って持って帰ってもたんかもしれんし」
 城の管理事務所に届いていないことは既に確かめてあったが、帰りに再度寄ってみようと
6人と小菊は歩き始めた。
 と、その時、珍しいアレンジの映画音楽が聞こえてきた。
 小菊は慌ててバッグから携帯を取り出した。
761競作・<皿屋敷奇譚> 6:2008/04/08(火) 21:33:58
「もしもしっ」
「え、ほんま!?」
「ありがとう! ほんま、ありがとうな。すぐ行くから、そこで待っとって」
 話しながら彼女の表情はみるみる明るくなって行き、携帯を切った後、満面の笑顔で
6人に向き合った。
「見つかりました! 拾った人がおって、今衣笠君が持っとるって。私のうちに電話したら
姫路城やって言うから、親から携帯番号聞いて、もう菱の門まで来とるんやって」
 菱の門は、姫路城の見学順路の出入り口にあたる。これから向かおうとした管理事務所の
方向でもあった。
「良かったな! すぐに追いつくから、先に行ってていいよ」
 今にも駆け出したそうにしている小菊に、悠理が促した。
「ありがとうっ」
 言うと同時に、軽い足音を立てて小菊が走って行った。

 6人が菱の門に到着すると、眼鏡の似合う優しそうな少年と小菊が待っていた。
「えっと……、彼が衣笠君です」
 少し恥ずかしそうに小菊が少年を紹介する。
「そしてこちらが、さっき言ってた、探すのを手伝ってくれたお兄さんお姉さん達。
美童さん、可憐さん、悠理さん、野梨子さん、清四郎さん、魅録さん」
「こんにちは。今日は小菊ちゃんを助けてくれてありがとうございました」
 少年は礼儀正しく挨拶をした。
「ねぇ、なんでこれが衣笠君の所に届いたん?」
「拾ったんが、青山やってん」
「青山さん? なんで?」
「青山も、昨日お城に来とったんやって。でもほら、お前ら仲悪いやろ? 青山はお前に
気がついたけど、声かけんかったって言っとった。追いつきそうになって、無視するのも
なんやしどうしようかな、って思っとったら、お前がバッジを落としたんやって。拾って、
これ何やろ、って見とったら、お前らは走って行ってもたらしい」
「青山さん、私のこと嫌いやのに、ちゃんと届けてくれたんやね」
762競作・<皿屋敷奇譚> 7:2008/04/08(火) 21:34:47
「うん。あいつはグループが違うけど、これが俺らのグループの衣装の飾りやって
知っとったらしい。ほんで、お前のことは嫌いやけど、小寺先生のことは好きやから、
先生をがっかりさせたくなかったって言っとったわ。お前の家も電話番号も知らんからって、
俺の家に電話して届けに来てん」
 少年が小菊に事情を説明するのを聞くうちに、野梨子の顔色は見る見る蒼ざめていった。
 清四郎もまた、複雑な表情をしている。

 小菊と衣笠少年に別れを告げた後、ホテルに向かう道で野梨子は悠理に恐る恐る問いかけた。
「本当に、気分が悪かったりぞくぞくしたりしてませんの?」
「うん、全然平気。なんで?」
「小菊ちゃんと衣笠君の話に出てきた人の名前ですわ……」
「播州皿屋敷に出てくる登場人物の名前と、奇妙に一致するんですよ」
 言い渋る野梨子の後を引き受けて、清四郎が物語を始めた。

 室町時代、姫路城が現在の姿になる以前のこと。城主である小寺則職に、家臣の青山鉄山が
謀反を企てた。
 同じく小寺氏の家臣であった衣笠元信が、青山の企みに気が付き、密偵を放って青山の
動向を探らせた。その密偵が、当時衣笠の妾でもあったお菊である。
 お菊は青山の家の女中となり、青山が花見の席で小寺氏を毒殺するという計画をつきとめる。
 衣笠は小寺を救い出し、瀬戸内海の島にかくまった。
 青山は家中に密告者が居たのではと疑い、家来の町坪に調査を命じる。
 町坪はお菊が密偵であったことを知ったが、彼はかねてよりお菊に好意を寄せていた。
そこで自分の妾になれと彼女を脅迫した。
 お菊は町坪を拒否し、怒った町坪は、お菊の管理していた10枚組の家宝の皿を1枚隠してしまう。
 町坪はお菊の責任を追及し、ついには殺してしまった。
 お菊の死体を古井戸に捨てたところ、その井戸から夜な夜な皿を数えるお菊の声が
聞こえるようになった。

「とまぁ、こんな話ですよ」
「その後、青山は衣笠に討たれ、小寺氏は再起を果たしますの。お菊を哀れに思った小寺氏は、
姫路市内の十二所神社に彼女を祀ったということですわ」
763競作・<皿屋敷奇譚> 8:2008/04/08(火) 21:35:18
「何よそれ……。衣笠に青山に小寺、そして小菊ちゃん、出てこないのは町坪だけじゃない……」
 可憐が震えだし、美童の顔色も蒼白になっていた。
「おい、悠理。本当に大丈夫なのかよ」
 魅録が気遣わしげに悠理を見ると、彼女はにかっと笑った。
「だーいじょーぶ! 幽霊はやだけど、今回は全然怖い感じがしなかったし、偶然、
ぐーぜん! バッジも見つかったんだから良かったじゃん。それよりさー、夕食何にする?
あたい、もー、腹減ってさー」
 そんな悠理を見つめていた清四郎も笑い出し、野梨子の肩を叩いた。
「気にするだけ損ですね。怯えて過ごしても笑って過ごしても同じ時間なら、笑って
過ごす方が利口というものです」
「……そうですわね。笑う門には福来たる、と言いますものね」
 野梨子も力無く微笑む。
「そう……だよね。それにあんなに可愛い幽霊なら僕は大歓迎だよ」
 美童も強がってみせる。
「やぁねぇ。今度は幽霊にまで手を出そうっていうの?」
 可憐が茶化すと、美童はぷっと吹き出した。
「そうだったね。幽霊の恋人役は、可憐に任せておくよ」
「ちょっとぉ! 確かに征臣さんは素敵な人だったけど、あたしは現実の玉の輿に乗るん
ですからねっ」
 抗議しつつも、可憐の表情は明るい。
「明日は姫路セントラルパークでサファリだー!」
「ホワイトタイガーの子どもが居るんだってよ」
 動物好きの悠理と魅録は、明日のことで会話を弾ませている。
「彼らと一緒なら、いつでも笑って居られますわね」
「まったくですな。ただし、事件も多いですけどね」
 野梨子と清四郎も穏やかに笑み交わす。
 楽しげな6人に、太陽はその日最後の輝きを投げかけていた。

<了>
764競作・<皿屋敷奇譚>:2008/04/08(火) 21:36:36
以上です。
小菊と衣笠の話し言葉(播州弁)の箇所はわかりにくい表現を
避けたつもりですが、意味わからんぞ(#゚Д゚)ゴルァ!!な点があれば、
お手数ですがテンプレの裏話スレッドに書き込んでください。
解説させていただきます。

裏話スレッド
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/1322/1027901602/
765名無し草:2008/04/08(火) 22:17:02
>皿屋敷〜
面白かったです。
こういうちょっと不思議な話好きです。
今回の競作はこういうのも読めて嬉しい。

ところで、姉さん方。
もうすぐ450KBですね。
でも480KBくらいになったら次スレ立てて、
新作は次スレ、
雑談は旧スレでどうでしょうか。
766名無し草:2008/04/08(火) 22:18:52
あ、推敲の途中でエンターおしてしまいました。

× でも480KBくらいになったら次スレ立てて、
○ テンプレどおり、485KBくらいになったら次スレ立てて、
767名無し草:2008/04/08(火) 22:23:38
>皿屋敷
有閑らしくておもしろかったです。
今日ちょうど姫路城の話を息子としてたのでびっくりしました。
768名無し草:2008/04/08(火) 22:43:16
>皿屋敷
面白かったです、ありがとうございます。
でもまさかこのスレで同郷の人に会えるとは@@;
姫路城に6人が来てくれたみたいですごく嬉しかったです。
769名無し草:2008/04/08(火) 23:14:37
>>765
それでいいと思います
770名無し草:2008/04/09(水) 00:59:11
>変な奴
ほんわかとしたムードがよくて可愛かったです。
誰かも言ってたけど、美悠はすごく可愛いカップルだと思う。
美童のために可愛くなろうとする悠理、そのまんまで良いという美童、どちらもいいな。

>フェイク・ラヴァーズ・ロック
清可のカプって、一番エロい気がするw
清四郎のバカ、と思って切なかったけど、最終的にハッピーエンドで嬉しいです。

>男友達
魅野って、すごく少女漫画っぽい組み合わせだから、それに幼馴染という設定をつけたら、余計に萌えました。
こういうパラレルも好きです。

>箸
こういう有閑っぽい不思議+活躍のある話いいですね。
ほんわか恋愛風味もなんか可愛くて。
野梨子いいポジションだなー

>友達以上、恋人以上
幼馴染の二人の関係が変わるときの戸惑う野梨子が可愛いかったです。
可憐もいい友達ですよね。
タイトルどおりの清四郎と野梨子の関係が好きです。

>手紙
絶対、こういう男子生徒っているだろうなーとニヤニヤ読みました。
聖プレジデントって、晩生な男子生徒多そうだし。
ラブレターを出せる日はくるんでしょうか。

>更屋敷奇譚
実は自分も明石に住んでいるので、よく通る姫路に倶楽部のみんなが来たことがなんとなく嬉しいw
現実なのかどうなのか、あやふやで曖昧なのがいい。
春らしい、不思議というか幻想的な話が面白かったです。
771名無し草:2008/04/09(水) 20:48:30
競作に参加させていただきます。
ギャグで、恋愛要素はありません。くだらないです。
4レスいただきます。
772競作・<有閑座談会>1:2008/04/09(水) 20:50:04
皆さまごきげんよう。
有閑座談会の時間です。
本日のゲストは、菊正宗清四郎君と松竹梅魅録君。
座談のテーマは『もしも……が――だったら』です。
それではお2人に心行くまで、座談してもらいましょう。

清「『もしも……が一一だったら』ですか」
魅「しかし何について話せと」
清「魅録、何かいいアイディアあります?」
魅「うーん……。あ、じゃあ『もしも清四郎が白雪姫だったら』はどうだ?」
清「どうして僕が白雪姫なんですか。メルヘンですね」
魅「たまには夢のある話しようぜ」
清「そういうもんですか?」
魅「そういうもんだ」
清「ほー」
魅「まぁまぁ、そんなジト目で見るなよ。とりあえずこんなんはどうだ?」
773競作・<有閑座談会>2:2008/04/09(水) 20:54:07
<1>もしも清四郎が白雪姫だったら

「可愛いお嬢さん。あなたにこの(毒)リンゴを差し上げましょう」
「……リンゴですか?こんな森の中まで来てリンゴ?商品の選択ミスだと思いますね。押し売りならもっとセンスの良いものを売った方が会社のためになると思いますよ」

ぐだくだぐだぐだ……

「だいたい何ですか、その礼儀しらずな物の売り方は。会社の営業マニュアルにはそう書いてあるんですか?もしそうだとしたら会社の経営方針が間違っていますね。社長の手腕を疑いますよ」

ぐだくだぐだぐだ……

「消費者の声として社長にお伝えください。この程度のセールス技術じゃ売り上げは伸びませんよ、と。まぁ、それ以前に僕が社長であったならあなたのような社員は即辞めてもらいますけどね」
――魔女、泣きながら退散。
おしまい。

清「……って、こんなの僕じゃないですよ!」
魅「そうか?」
清「そうですよ!というか、魅録の中の僕のイメージ最悪じゃないですか!」
魅「清四郎、己を知れ」
清「意味がわかりませんよ!」
魅「まぁまぁ落ち着けって。清四郎がそこまで言うんなら、こっちのパターンにしてあげてもいいぜ」
清「何ですかその上から目線は」
774競作・<有閑座談会>3:2008/04/09(水) 20:55:31
<2>もしも清四郎が白雪姫だったら その2

「……またリンゴの押し売りですか?勘弁してくださいよ。僕は買いませんからね」
「いいえ、今度はちがいます。あなたにこれを差し上げましょう」
「何ですか?この箱は」
「開けてみてからのお楽しみです。では……」
清四郎、箱を開く。
「こ、これは……!」

曜変天目!!

「少しだけなら……いいですよね」
曜変天目へ手を伸ばす。
――しかし。
(ぐさっっ)
茶碗の飾りに取り付けられていた毒針に刺さる。
おしまい。
775競作・<有閑座談会>4:2008/04/09(水) 20:56:55
清「……おしまい、じゃないですよ!さらにおかしいじゃないですか!」
魅「いや、これは実話に基づいたフィクションだ」
清「そうですけど!……まぁ、そうですけど……」
魅「な?」
清「……魅録のペースにのせられている気がするのは気のせいでしょうか」
魅「さぁな。気のせいなのか?」
清「だから僕が聞いてるんですって」
魅「清四郎。世の中気がつかない方がいいこともあるんだぜ」
清「何それっぽいこと言ってるんですか」
魅「知らぬが仏。馬に念仏」
清「いや、馬に念仏は関係ないでしょう」
魅「猫に小判。豚に真珠」
清「だから何が言いたいんですか」
魅「悠理に曜変天目」
清「……」
魅「……」
清「……うまいです、魅録」
魅「だろ?」

――と、清四郎君と魅録君が意見一致したところで。
本日はここまで!
有閑座談会、本日は菊正宗清四郎君と松竹梅魅録君をゲストにお送りしました。
次回の有閑座談会も、笑い盛り沢山でお送りさせていただきます!

とりあえず、乞うご期待!!
776競作・<有閑座談会>:2008/04/09(水) 20:58:31
続き……あるんでしょうか?未定です(汗
読んでくださった方、ありがとうございました!
777名無し草:2008/04/09(水) 21:08:56
>>771
お、リアルタイムで読めました。

なんかこういうお馬鹿っぽいノリ大好きです。
>己を知れ
>そうですけど!……まぁ、そうですけど……
に、ニヤニヤ。
清四郎は面白いだけじゃなくて、実はかわいいのかもしれない。
778名無し草:2008/04/09(水) 21:27:02
>有閑座談会
笑わせてもらいましたw
完全に魅録のペースだね。
ほんとにこういう会話してそう。続き浮かんだらまたお願いします!
779名無し草:2008/04/09(水) 21:31:37
連レスゴメン。
競作中ですが、その他の作品やリレーの続きも待ってます。

競作、思ってたより集まって嬉しい。イラストもくるといいな。
>>748さんの手紙、
>>753さんの派閥争いに触発されて、便乗でSSを書きました。

架空の男子学生→悠理という設定で、
はじめから最後までオリジナルのキャラの視点で話が進むので、
苦手な人はスルーお願いします。
   "...so you want to get rid of your fishy tail, do you?"
    『つまり、お前さんはお魚の尻尾を取っちまいたいんだろう?』
               

 チャイムが鳴り響くと、途端に喧しいおしゃべり声が教室に広がる。
 来る夏休みに向けて、級友たちはフィジーだのローマだのと計画に忙しい。
 高三の夏といえば、世間一般的に大学受験の天王山といわれるものだが、
聖プレジデントの大半の生徒は内部進学を選択するため暢気なものだった。
 しかし、卒業後に留学する予定の僕の場合、同じようにはいかない。
 休み時間になればイヤホンを耳に突っ込んで、MP3に落したアンデルセン
の英語童話集を聴く。
 そうして机に突っ伏すと、クーラーがあまり効かない窓辺の席のせいで、
夏服のシャツはすぐにじっとりと汗ばんできた。
 だらけた姿勢だが、一応僕はイヤホンから流れてくる英語に集中している。
 TOEFLではそこそこの点数は取れてはいるものの、けっしてネイティブでは
ない僕は、海を越えた国の大学で勉強することに不安があった。
 そのため、耳が英語を忘れないために、空き時間を有効活用するのだ。
 話の筋を知っている童話のたぐいは、下手な教材よりも頭を使わずにすむ
ため、学習に最適だった。
               
You will suffer horribly, as though a sword were cutting you apart.
And every time you place your feet on the earth, you will feel dreadful pain!
In exchange for my spell, you must give me your lovely voice.

 ――魔女が言うことには、人魚の下半身を人間の足に変えるためには、
その美しい声を捧げなくてはならない。
 しかもそれだけの代償を支払うにも関わらず、新しい足は歩くだけで酷い
痛みを伴い、けっして人間の娘のように踊ったりは出来ないのだという。
 この話を初めて聴いたとき、魔女というものはなんと意地の悪いババァ
だろう、と思ったものだ。
 幼心にも、あらゆる痛みに耐えて王子の元へ馳せたというのに、結局は恋
に破れ、死んでしまう人魚姫が憐れだった。
 放課後となり、僕は美術室にいた。
 作業台に広げている剣菱悠理のポートレートと、膝の上のクロッキーを
見比べ、渋面を作る。
 ここ一ヶ月、変わることのない光景を見かねたのか、美術部の次期部長
を譲る予定である一学年下の女生徒が声を掛けてきた。
「先輩、また悠理様を描いておられるんですね」
「うん。でもなんか上手く描けなくてね」
 そう苦笑すると、彼女は夢見るようにうっとりと言った。
「そんなことないですよ。先輩が描く悠理様ってとても凛々しくて、素敵」
「あはは。ありがとう」
 ――でも僕が描きたいのは、偶像化された剣菱悠理じゃないんだよ。
 無邪気な後輩に心の中でそう呟いたが、口にはしない。
 校内で活発に出回る剣菱悠理の写真のほとんどを僕は所持しているが、
それを調達してくれたのはこの後輩であり、感謝していているからだ。
 男の僕が女性徒の写真を何十枚も求めるのは、事情を知らない者には
奇異に見えるだろう。下手をすれば変態の烙印を押されていたかもしれない。
 彼女の功労で手に入れた写真を、一ヶ月間、穴が開くほど眺め続けた。
 その結果、外見だけに関して言えば、僕はもっとも剣菱悠理に詳しい
人間になったと自負している。
 今は、クロッキー帳のページを何枚も無駄にしながら、脳裏に写し取った
彼女を、この手で再現しようと足掻いていている最中なのだ。
 太陽の光を紡いだようなその髪、繊細な頬のライン、大きな瞳、つんと尖っ
た鼻に、ぷっくりと膨らんだ唇。
 そして、ほっそりとした、それでも理想的に筋肉の乗った肢体。
 ディティールのすべてを指先が覚えるほど、僕は彼女の姿を繰り返し描き
続け、いまやそれは記憶の中をなぞるだけの作業となっている。
 だがそれらのパーツをすべて描き込んで出来上がった少女は、完璧な美貌
を備えてはいたが、剣菱悠理ではありえなかった。
 模写ですらないのが口惜しい。
 秋の引退を控えて、高校最後の作品の題材として、あの剣菱悠理を
選んだのは失敗だったかもしれない。
 都が主催の美術展覧会公募展に油絵を出品する予定なのだが、
カンバスに向かうどころか、それ以前のところで僕は躓いていた。
 この作品のために買った習作用のクロッキー帳が、半分も進まないのだ。
 今僕の背後にいるこの後輩のように、いきなりカンバスに直接描き出す
剛毅な人間もいるが、僕は精緻に計算された描線を好む。
 習作に習作を重ね、対象物をどのように表現するかを確実に自分のもの
にしてからでないと、とてもじゃないが取り掛かるつもりになれなかった。

 ――おそらく、油絵を描くのはこれで最後になるだろう。
 
 僕にとって絵を描くという行為には、脳の膨大な領域を占有し、果てしない
精神的な疲労を伴う。卒業後に留学してしまえば、趣味に耽るような心の
余裕があるとは思えなかった。
 また実際問題として、油絵を描くために必要な場所や時間の確保は難しい。
 留学を終えた後には、さらに無理だろう。
 日本へ帰ったら、家業を継ぎ、婚約者と結婚することが決まっている。
 それが留学という一時的な自由を手に入れるための代償だった。
 どれだけ息苦しくとも、親に逆らう気概など持たない僕には、似合いの将来
かもしれなかった。この学園では珍しいことでもなんでもない。
 そして、だからこそ自由に生きる剣菱悠理に僕は憧れ、モデルとすることに
拘るのかもしれない。
 この絵に関してだけは、妥協はしたくなかった。
 はじめて剣菱悠理を見たときの心地よい動揺を形にしたかった。そのために
人生最大といえる30号のカンバスも用意している。
 この広いカンバスに、伸び伸びと彼女を描きたい。
 しかし今のままでは、どうにもこうにも進まない。
 何かが決定的に足りないことは分かっている。だがそれが何なのかが、
どうしても分からなかった。
「やっぱり直接見て描かないと無理かなぁ」
 だからといって、モデルをお願いしても、彼女は頷いてくれないだろう。絵の
モデルには、それなりの忍耐力が必要だ。
 そもそも僕は彼女のような派手な生徒と面識がなかった。
 あれこれ考え込んでいると、ふと思いついたように、後輩が提案してきた。
「ねえ、先輩。目の前にじっと座ってモデルをしてもらうのは無理でも、水泳部
の練習を写生するくらいなら、引き請けてくださるのではありませんか?」
「え?」
「悠理様、今度は水泳部の助っ人に呼ばれたようですよ」
「そうなんだ」
「これだけ悠理様の姿かたちを正確に写し取れるんですもの。ポージングして
もらえなくとも、先輩なら描けるんじゃありませんか?」
 確かに彼女の言うとおり、外見だけは自信を持って描けるまでになっている
僕には、目の前でポージングされるよりも、むしろ活発に動き回ってもらう方が
都合が良いかもしれない。
「――うん、それいいね。水泳部に友人がいるいから頼んでみる」
「気をつけてくださいよ。水着の女の子が描きたいって言ったら、変態扱いされ
ちゃうかもしれませんけどね」
 ありえない話じゃない。
 僕は思わず苦笑して、友人に何て説明しようか考えていた。
 太陽の下の剣菱悠理は、さぞかし見栄えがするだろう。
 翌日の放課後、早速僕は許しを得て、屋外水泳場のプールサイドにいた。
 邪魔にならないところに居場所を見つけ、さっそくクロッキー帳を開いていると、
友人の水泳部員が近寄ってきた。
「剣菱さんのお陰で、ギャラリーが一杯だよ」
「ほんと盛況だね」
 僕は同意すると、金網の外を見遣って苦笑した。
 水泳場を取り囲むお嬢さん方は、皆そろって優雅に日傘を差し、お上品に
微笑みながらも剣菱悠理に熱い眼差しを送っている。
「あの人、学園の王子様だから」
 友人の言葉を僕は肯定も否定もせずに微笑んで受け止め、視線をプール
に戻した。
 水を掛けてもすぐに乾いてしまうプールサイドから陽炎が煙る。
 無人のプールはタプタプと水面を揺らし、開始の合図を今か今かと待ち
構えている。
「ほら、今から女子の100m自由形だぜ」
 明後日の公式戦に向け、本日は試合形式の練習を行うのだという。
 競泳用水着で飛び込み台に並び立つ女生徒たちの真ん中に、シンプルな
スクール水着を着て、剣菱悠理はいた。
 真夏の太陽は強烈な光をもって、周囲を白く平坦化にしたが、彼女だけが
それに負けず、くっきりと鮮やかに存在している。
「位置についてッ」
 プールに響き渡る声というものは、いつも水を含んだ独特の調子を持っている。
「よぉい」
 飛び込み台の角に引っ掛ける足の指に力が入る。
 教本どおりのきれいなフォームで膝を曲げ、前屈みになる選手たちの中で、
剣菱悠理だけが中途半端に腰を屈めたままでそこに立っていた。こころもち顎
だけを引いている。
 揺らめく水面を睨む鳶色の瞳は、僕の心をざわめかせた。
 何かが起こる、と僕は予感した。
『パァン!』
 ピストルが鳴った瞬間、選手たちは台を蹴った。
 少し遅れて、剣菱悠理もまためちゃくちゃなフォームでプールに飛び込んだ。
 僕は突然、動体視力が異常発達したかのように、それを見つめていた。
 彼女の周りで跳ね上がる泡のひとつひとつが鮮やかに網膜に焼きつく。
 水に入る瞬間、引き結ばれた彼女の唇がわずかに、しかし確かに、
悪戯っぽい笑みの形をつくったのさえ、僕にははっきり見えた。
 気がつけば周囲の音は消え、ザッザと彼女が水を掻く音だけが響いている。
 腕を振り上げるたびに、大胸筋と広背筋の拮抗する連続の動きが滑らかな
連なりをみせる。
 スタートの遅れは、50mを迎える頃にはすでに追いつき、ターンのキックで
一位に躍り出た。
 三角筋が撓る度に強調される上半身のラインは美しく、その肩に付着した
水の泡が魚の鱗のように、みょうにくっきりと鮮やかな色彩できらきらと光る。
 とても効率的とは言えない泳ぎ方をする彼女の周りには荒々しい波が
生まれては砕け散っていく。
 圧倒的だった。

        (もし彼女が人魚姫であったのなら。)

 首位でゴールした彼女の眩しさに耐え切れず俯くと、膝元のクロッキー帳
が目に付いた。
 そこには姿かたちだけはそっくりの、剣菱悠理とは似ても似つかぬ生気のない
少女が描かれている。
 こんな詰まらないものは、やっぱり偽者だ。
 落胆のまましばらくぼんやりしていると、ふと頭上に影が出来た。
 友人でもやってきたのかと思い、のろのろと顔を上げた僕は、人影の主を
認めた瞬間、硬直した。
「何してんの、こんなところで」

 ――剣菱さん……!
 彼女の表情は、逆光で見えない。
 身じろぎできない僕の前で、彼女は煩わしげに水泳帽を毟り取った。途端
に濡れそぼった彼女の髪の毛が飛び出し、細かい雫が夏の陽に反射した。
 木炭を持つ手が震えた。
 肩に引っ掛けたバスタオルの端にはY.Kenbishiの文字が拙く刺繍されて
いる。ファンの子の差し入れであろう可愛らしいバスタオルが、今は厭わしい。
 ――隠した鱗をもう一度見せてくれ。
 そこに隠しているのは冷水に総毛だった肌などではなく、水の中で自由に
蠢く鱗だろう。
 まるで日射病にやられたかのように、ぼんやりとした思考の中で、僕は
突飛な物思いに囚われた。
「それ、あたい?」
 僕の頬のすぐ横を掠め、彼女がクロッキー帳を覗き込む。
 ぽたり、ぽたりと白地の紙に描きつけた彼女の顔に水滴が落ちて、木炭の線
が滲んでいく。
 濡れた毛束を張り付かせたうなじから、きつい塩素の匂いがした。
「いや」
 小心で人見知りのケがある僕にしては、不思議と穏やかな言葉が出た。
「これが剣菱さんである筈がないよ。君はもっと自由だろう」
 彼女はなぜか、酷い言葉を投げつけられたかのような表情を浮かべた。
「――おい、悠理!」
 意図せず生まれた一瞬の緊張感は、第三者の声に霧散した。
 剣菱悠理はあっさり僕への興味を失い、背を翻した。
「なーにー、魅録?」
 そのまま振り替えらずに去っていくその背中を見つめながら、僕は悲しい
わけでもないのに目の奥が熱くなるのを感じていた。

 ジリジリジリ…ジジジジジ

 気がつけば、音が真っ白だった僕の世界に戻ってきていた。
 静寂を破り、女生徒たちの嬌声と、篠つく雨のような蝉の亡声が耳を打つ。
 僕の生っちろい肌を夏の太陽がじりじりと灼いている。暑気が増幅され、
蒸せかえるように濃度の濃い空気が僕を包んだ。
 あたかも肺で呼吸することを覚えたばかりの魚のように拙く、けれど喜びに
満ちながら。
 僕は塩素の匂いがする空気を、胸いっぱいに吸い込んだ。
 手の中のクロッキー帳に目を遣ると、彼女が落とした水滴によって木炭が
滲んだまま、いつの間にか乾いてしまっている。
 すると不思議なことに、先ほどまで無機的に彼女を形作っていた彼女の
描線が、いかにも生き生きと躍動し、微笑んでいるのが感じられた。
 あたかもそれは神の見えざる手によって、新たな線が加えられたかのように。
 ――完成した。
 木炭であたりを取っただけで、着色さえもしない。
 クロッキー帳のページはあと半分は残っていたし、そもそもこれ後で油絵
を描くための習作のつもりだった。
 しかしこれ以上のことは、すべてが蛇足だった。
 ここに、一片の不足も過分もなく、剣菱悠理から切り取った一瞬がある。
 心地よい敗北感に全身を脱力させ、僕は目を閉じた。
 もう、生きていくのに息苦しいなどと思うことはないだろう、と僕は予感した。
 眼裏にプリズム。
 優雅とは無縁の――それでも力強くしなやかで、どうしようもなく美しく
泳ぐ彼女の肩に鱗が光る。
 きっと誰にも見せることがないだろうこの絵のタイトルは、決まっていた。



". . . so you want to get rid of your fishy tail, do you?”
 ――もし、彼女が人魚姫であったのなら。
 魔女の助けなど借りず、異形の身体のまま誇らしげに王子へ会いに
行くに違いない。
 
                 END
789名無し草:2008/04/09(水) 22:29:26
>塩素と酸素〜
リアルタイムで読めました。
すごくおもしろかったです。悠理が眩しくて、悠理はたとえなにになっても悠理らしく
そこに存在するのだろうなと思いました。
790名無し草:2008/04/09(水) 22:57:40
>塩素〜
悠里に夏は似合いますね!
有閑倶楽部のメンバー全員に、こんな片思いしてる人がいそう。
三題噺としても面白かったです。
791名無し草:2008/04/10(木) 01:35:51
>座談会
ニヤニヤしながら読みました。
こういうノリのお話、大好きです。
清四郎って理知的なくせに、実はいじられキャラですね。

>塩素と酸素〜
架空の男の子の目を通した悠理が伸びやかで、
胸をわしづかみにされました。
私まで悠理に惚れてしまいそう。
792名無し草:2008/04/10(木) 12:52:42
9作か。大漁だなー。
793名無し草:2008/04/10(木) 13:06:47
>座談会 
面白かったです。
このふたりが日常的に、こういうくだらない話をしてたらいいなーなんて
ニヤっと笑いました。
続編も希望ですw

>塩素と酸素〜
男子学生でも、気弱な子とか、意外と悠理に憧れてしまってるのかも!
と思いました。
これ読んで思ったんですが、やっぱり悠理も美人なんですねー。
タイトル好きです。


上にもあったけど、競作も折り返したし、
たぶんこのあとはペースがゆっくりなりそうだし、
通常の作品のうpも、萌え語りも平行してやっていきたいなー。
女優〜、これいただくわとかのその他の連載、
リレーとか待ってます。
794名無し草:2008/04/10(木) 13:46:09
10作だよ。いろんな作品がたくさん読めて幸せ〜
三題噺、難しいと思ったけどみんなすごいね。
795名無し草:2008/04/10(木) 14:04:54
可憐、悠理と続いたら
男子生徒→野梨子も読んでみたくなった
796名無し草:2008/04/10(木) 17:32:09
野梨子はラブレター読まないみたいだけど、
野梨子に読ませるためにはどうするのか、みたいな話題で盛り上がってたり
797名無し草:2008/04/10(木) 20:59:37
>>795ー796
ぜひ文章化を…。
野梨子にラブレターを読ませるための
作戦立ててるの って
前にも出なかったっけ?
「ラブレターに重要書類在中って書いた」
みたいな…。
798競作 <恋文 1> :2008/04/10(木) 22:40:00
ガラッ

「お前ら野梨子の席でなにしてんだ?」
「げっ。剣菱さん!あの、ちょっと…。」
「姫井だっけか。その手にもってるのはラブレターか?」
「姫野です。」
「人に見られるなんて。よりにもよって剣菱さんなんて。」
「野梨子がラブレター読むわけないじょ。無駄なことすんなよ。」
「それはそうなんですけど、やってみないとわからないですし。」
「ナイナイ。それよりこれ教えてくんない?」
「遅くまで残っていたのは補習があったからですか。」
「いいから早く教えろよ。かわりに解いてくれてもいいじょ。」
「用が終わったので帰りたいのですが。」
「わたくしの机の中を勝手に触るなんて失礼ですわ!」
「えっ!?」
「野梨子の真似だよ。読まない上にキレるな。嫌われること間違いなし。」
「そういわれると、そうかもしれません。机の中にいれるのはやめておこう。」
「机の上においとけばいいじゃん。」
「他の人に見られるじゃないですか。」
「野梨子にラブレターなんて日常ちゃ、めし…あとなんだっけ」
「ちゃ、めし、ことで『さはんじ』、です。」
「こと?まぁいいや。珍しいことじゃないし無謀だと思うだけで気にしなって。」
「いや、でも。」
「ところでラブレターやなんで封筒にいれるんだ?野梨子は封もあけずに捨てちまうし。
わかった。封をしなきゃいいんだよ。ちょっとは目に入るだろ?」
799競作 <恋文 2>:2008/04/10(木) 22:40:34
ビリっ。

「あー!!!」

「白鹿野梨子さま。突然のお手紙を差し上げる無礼をお許しください…。
長い、駄目だ。読めない。」
「もう、やめてくださいよ。」
「もっとシンプルでいいんじゃん。飾らずに。好きだとか付き合ってくださいとか。」
「味気なさ杉じゃないですか?」
「読まれないより読んでくれたほうがいいんだろ?」
「そうですね。でも今は便箋がないので出直してきます。」
「この紙やるよ。あとペンはこれでいいな。」
「ルーズリーフにマッキ-極太ですかぁ。よし書きます。」

「愛、し」
「見ないでください。読み上げないでください。」
「ケチだな。手助けしてやってんのに。」
「終わりました。二つ折りにして、机におく。これでいいか。
剣菱さんありがとうございました。さようなら。」
「おーじゃあな。」

「あいつ最後隠して書きやがった。(チラッ)
あれあいつ名前書き忘れるぞ。かいといてやるか。」
800競作 <恋文 3>:2008/04/10(木) 22:41:36
「この紙はなにかしら?『愛してます。ぶってぶって』」
「なにこれマゾ?」
「可憐。気持悪いですわ。」
「捨てちゃいなさいよ。捨ててきてあげる。気にすることないわ。」
「ありがとうございます。」
「それにしても笑ってしまうくらい汚い字ね。」

ポイッ
                                  終
801798:2008/04/10(木) 22:45:32
しまった。飾りじゃなかった。まぁ競作じゃなくてもいいか。
あと、最初のお前らはお前の間違いです。
802名無し草:2008/04/10(木) 23:11:06
>恋文
すいません。おちがわからない・・・
ぶってぶってってなんですか?
803名無し草:2008/04/10(木) 23:13:13
ぶってぶって姫?
804名無し草:2008/04/10(木) 23:22:42
悠理が名前書いてあげたんだよね?わからない。
805名無し草:2008/04/11(金) 00:05:00
 
806名無し草:2008/04/11(金) 13:16:50
競作SSです。カップリングはなしです。
807競作・<手紙を君に>:2008/04/11(金) 13:17:45
一通り手紙を読み終わった後、封筒の表名を見る。
「 菊正宗 清四郎 様」
女性の字らしい柔らかな筆使いで清四郎の名前が書いてある。
淡いブルーの封筒に、淡いブルーの便箋。
が、しかし。
便箋を開くと、文の始まりに「白鹿 野梨子 様」と書かれてるのだ。
名前を間違えたのですかね?と思って読み進んだ手紙は、全くもって野梨子宛てのラブレターである。
便箋の最後には 片岡 薫 と書かれている。
僕と野梨子に手紙を書いて、中身を間違えて出してしまったのですかね…?
僕宛の内容は、さしずめ 白鹿さんと付き合ってるんですか?とか、ですかねぇ。
封筒には 「片岡」 と書いてある。この字も女の字らしい柔らかな筆跡だ。
読み終わった手紙を封筒にしまいながら、しばし思案にくれた。
_____どうしましょうかね、これ。
人の手紙を読んでしまった後ろめたさも手伝ってか、その足で隣家のドアをたたいた。

野梨子の部屋。事の成り行き上、手紙を読んでしまった事を清四郎が野梨子に詫びた。
「_____、事情は分かりましたわ。でも私宛の清四郎宛の手紙がもしきていたとしても…」
野梨子が困った顔を浮かべた。
「もう、全部捨ててしまいました____ですか?」
野梨子が肯定の苦笑いを浮かべる。
「それに、私宛の手紙、も興味ありませんもの。わざわざ持ってきて下さらなくても良かったのに。」
渡された手紙を迷惑そうに見る。
「でも、中身を入れ間違えるなんてこと、あるのですね。」
クスクス笑いながら手紙を見て、そのまま読みもせずに屑篭に入れる。
「____、僕が先に読んでしまって…後味が悪いので、せめてその手紙くらい、野梨子も読んでみてくれませんか?」
苦笑いしながら清四郎が頼む。野梨子はため息をつく。
「仕方ありませんわね。では、後で読みますわ。人がいる前で自分宛の手紙をあまり読みたくありませんもの。」
「すみませんね」
そして二人は話題を変えて、昨夜読んだ本の話を始めた____。
808競作・<手紙を君に2>:2008/04/11(金) 13:22:00
翌日。
机の中に昨日と同じ淡いブルーの封筒が入ってるのを清四郎は見つけた。
封筒の宛名には昨日と同じ「菊正宗 清四郎 様」。差出人は「片岡」。
便箋を開くとやはり文の始まりには「白鹿 野梨子 様」
さすがに手紙の内容はもう読まなかったが、何か妙だ。
いくらなんでも2日続けてラブレターを間違えるものだろうか_____?
お昼になり、昼食を食べながら清四郎は野梨子に手紙を渡した。
「____また、ですの?」
野梨子が苦笑いしながら受け取る。
「あ〜なによぅ、それって清四郎から野梨子へのラブレター???」
可憐が興味深々で聞く。
「違いますよ、僕宛に、なぜだか分かりませんけど野梨子宛てのラブレターが来たんですよ」
「____は?何、それ」
倶楽部の一同きょとんとする。
「見れば分かりますわよ」
野梨子が皆に手紙を見せるように広げた。
確かに封筒には清四郎宛と書いてある。女の字だ。だが広げてあるラブレターの字はどう見ても違う。同一人物が書いたのではない。男の字だった。
「不思議ですわよね。」
と、そのまま手紙を拾い上げると丁寧に封筒に戻し、倶楽部の屑篭に入れた。
「昨日の手紙は、読んでくれましたか?」
「____えぇ。一応読みましたわ。」
「助かりましたよ、野梨子。少し罪滅ぼしが出来た気がします。___けど、何か妙ですね。今日も、となると。」
「偶然だよ、きっと。よっぽどドンくさい奴なんだよ、そいつ」
悠理が言い切ると、新発売したばかりのお菓子を食べ始めた_____。

更に翌日。
もうないだろう、と思っていたものの実際に手紙があると流石の清四郎も少々ゲンナリとした。
相変わらずのブルーの封筒。あて先も差出人も変わらず。
809競作・<手紙を君に3>:2008/04/11(金) 13:23:26
「3日目、か〜。嫌がらせ?」と暢気に美童。
「何のために嫌がらせすんのよ」と可憐。
「清四郎に気がある女が、野梨子との仲を疑って、とかか?」と魅禄。
「ドンくさい奴だってば!」と悠理。
「何か気味が悪いですわね。私宛に直接くださればいいものを。」
そこへ清四郎が立ち上がる。
「僕も、妙だ、と思ってるんですよ。で、調べたんですが「片岡 薫」という人物はこの学園にはいないんですよ。それに、名前以外手がかりがないですしね」
「じゃ、この学園外の人?」
「警備がそれを許すわけないじゃないですか。部外者が入るのには、この学校はちょっと厳しいと思いますよ。それにこの3日間、部外者がこの学園に入った記録がありませんし。」
「何よ、それ。愉快犯?な〜んだ、心配して損したぁ。」
「…片岡…?」
ふ、と美童が首を傾げた。
「心辺り、あるんですか?美童?」
「2年前だっけ?片岡ってイギリスだかどっかに留学しにいったのがいたけど…でも、そいつ帰ってきてないし。名前はちょっと僕、覚えてないなぁ。けど薫だったような気がしないでもないけどなぁ」
「でも、その方留学中なんですよね?」
「そ、物理的に無理だもんね」
「ま、あまり愉快な事ではないですけどね、あまり気にしなくても良いと思いますよ」
と話をしめたものの、さすがに4日連続で入ってるのを見たときには嫌な気分になった。
「たちの悪い悪戯だな」
さすがに魅禄も気味悪そうに見る。
「さすがに、僕も気分が悪いですよ。多分手紙を入れてるのは早朝だと思いますからね。明日、ちょっと早めに行ってみようかと思ってるんですよ」
倶楽部の面々も最近暇だったのか目を輝かせる。野梨子以外は、であるが。
「空振りするかもしれませんけどね。では、明日学校が開く7時に集合しますか?」
「でも教室でしょ〜?隠れるところなんてどこにもないじゃない。」
「隣の教室とかで座って待ってる、とかかぁ?」
810競作・<手紙を君に5>:2008/04/11(金) 13:24:43
結局、教室にいるのでは犯人が来ないかもしれない、ということで清四郎の教室を挟んで隣のクラスに2手に分かれた。
朝7時20分を回った頃、静かだった廊下にコツコツという靴音が聞こえる。
「きたじょ!」
悠理が覗き込もうと中腰になろうとするのを必死で止める。犯人なら逃げてしまう!
カラカラと静かに隣の教室が開く音がする。
全員息を止めながら教室から出て誰かが入ったクラスを見る。
ちょうど女生徒の一人が清四郎の机に何かを入れてるところだった。
「…片岡、薫さん?」
ビクリっと振り返ったその女生徒の制服は中等部のものだ。
「…あ…」
小さな声で呟くその声は怯えていた。
10分後。
ようやく落ち着いたその女生徒はポツポツと話し始めた。
「私は中等部に在籍している大河内みのりと言います。あの、白鹿先輩、手紙、読んでもらえましたか…?」
怯えたような目で野梨子を見つめる。
「え、あ…最初の1通は読ませていただきましたけど…」
野梨子が困惑しながら答える。その言葉を聴いて彼女は心底うれしそうな顔をした。
「…良かった、読んでくださったのですね。これで薫君も喜んでくれます…」
「…?」
一同顔を見渡す。まだ話を掴んでないので当然だ。
「今日で、最後の手紙だったんです。白鹿先輩への。」
封筒から手紙をだして野梨子へ差し出す。一瞬躊躇したものの、野梨子は手紙を受け取った。
その手紙、は今までの淡いブルーの封筒に淡いブルーの便箋、ではなく切り取られた大学ノートのようなものだった。
そしてそれには推敲の後が見れる。下書きだったのだろうか。
「薫君は、白鹿先輩に4通の手紙を書いてました。最後の手紙は、多分書きかけの途中だったみたいですけど。」
チラリ、と野梨子の手にある大学ノートの切れ端に目をやる。
「私と薫君は幼馴染でした。3つ、年が離れていましたけど。そして、私にとってはとても大切な人でした。」
今度は真っ直ぐに野梨子の目を見る。
811競作・<手紙を君に5>:2008/04/11(金) 13:26:24
「半年前に、薫君が留学先のイギリスで交通事故で亡くなりました。私たち、隣同士でとても仲が良かったんです。
薫君が大切なものを隠す場所も____、私は知ってました。そこに、白鹿先輩宛の手紙が入っていたのです。」
美童がやっぱり、という顔をする。
「じゃ、2年前に留学した片岡君のことだったんだ…」
少女は頷く。
「白鹿先輩に手紙を読んでもらいたい、と思いました。でも、白鹿先輩は手紙を読まないと伺っていたので…。
事情を話せば読んでもらえるとは思いましたけど、ちゃんとラブレターだ、と認識して読んでもらいたかったのです。可哀想だから、とかで読んでもらいたくはなかったのです。
菊正宗先輩宛てにすれば、何かあると思って読んでもらえるのでは、と思って____、そして菊正宗先輩には、ご迷惑をかけてしまって…」
少女はキュッと口を結ぶ。小さい頃、お姫様ごっこをして遊んだその時に、彼女をお嫁さんにしてくれると言ってくれた事を幼馴染の事を思い出していた。気をゆるしてしまうと涙が溢れそうだった。
野梨子は見るともなしに手紙を見ていた。
几帳面そうな字。ところどころにある推敲の後。飾りの無い言葉の数々。
「大河内さん、お手紙、ありがとうございます。大切に読ませていただきますわ。」
野梨子がじっと少女の目を見る。
「…薫君も…喜んでくれると思います…白鹿先輩にも、ご迷惑をかけてしまって…」
少女の目から涙がこぼれだした。野梨子の華奢な手が少女の細い体を抱きしめた。
少女は野梨子の腕の中でしばし泣いた。
そして最後に弱弱しく笑ってありがとうございました、と頭をさげて退室していった。



「結局嫌がらせじゃなかったのね。どう?野梨子?これからは手紙、きちんと1通1通読もうと思った?」
可憐が笑いながら聞く。
「…異性としての殿方なんて興味がありませんもの」
野梨子は少し言いよどんだものの、にべもなく言い切った。
「全く!これだから野梨子はな〜」と悠理。
「ま、野梨子らしいよね、僕には考えられないけど。」
髪型を整えながら美童。
苦笑いをする清四郎、魅禄の姿があった。

明るい朝の光を浴びながら、変わらない日常が始まるのであった。

おしまい
812名無し草:2008/04/11(金) 13:27:28
手紙を君に、をかいたものです。
ナンバリングを間違えて4がぬけてしまい、5が2つになってしまいました。
すみません。
813名無し草:2008/04/11(金) 16:17:27
>手紙を君に
GJでした。もう一組の幼馴染の彼女がせつなかったです。
野梨子、口ではああ言いながらもその後ラブレターをせめて持って帰るように
なってるといいな。

今回の競作はカプなしが多いけど、カプなし話もおもしろいね。
814名無し草:2008/04/11(金) 20:00:40
____が嫌。イラッとくる。
───出せない人?
815名無し草:2008/04/11(金) 21:37:13
それぐらいでイラつかないでくれ。
いいかたってもんがあるだろうが。
作家さん、気にしないでくださいね。
816名無し草:2008/04/11(金) 21:37:56
いいだろよ別に。線の引き方くらい。
817名無し草:2008/04/11(金) 21:58:12
こないだの・・・の人だろうか?
せっかくのいい雰囲気が壊れちゃうからこれでこの話は終わりにしません?
818名無し草:2008/04/11(金) 22:17:22
>手紙を君に
なんか切ない話でした。
いつもたおやかで優しい野梨子にある、ある種の高慢さが好きです(悪口じゃなくて)
819名無し草:2008/04/11(金) 22:40:24
野梨子は男に興味がないと自身は言ってるが
野梨子に惚れてるか憧れてるらしきクラスメートの加茂泉くんにはとても優しかったし、
顔も知らないのにラブレターを渡したり、言い寄ってくる男を相手にしてないだけ……と思う(思いたい)
820名無し草:2008/04/11(金) 23:22:48
ラブレター(しかも男側からの)って言葉がしっくり嵌るのは、
昭和の時代に連載がはじまったこともあるけど、
聖プレジデントならではだね。
最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! C・Y・C第1巻は、発売未定です。 夢野カケラ 

男子学生「野梨子姫はどこだぁぁぁ」
美童「冥土の土産に教えてあげよう。魔王セーシローのいる魔龍城に捕らわれている。ふはははは」
男子学生「チクショオオオオ!くらえビドウ・グランマニエ!『必殺★童貞の純情を託したラブレター』!」 
美童「さあ来いヤマトオオ!実は僕は一回刺されただけで死ぬぞオオ!」 
(ザン) 
美童「グアアアア!こ このザ・タラシと呼ばれる有閑倶楽部のビドウが…こんなチェリーボーイに…バ…バカなアアアアアア」 
(ドドドドド) 
美童「グアアアア」 
魅録「ビドウがやられたようだな…」 
悠理「フフフ…奴は四天王の中でも最弱…」 
可憐「童貞ごときに負けるとは、有閑倶楽部の面汚しよ…」 
男子学生「くらええええ!」 
(ズサ) 
3人「グアアアアアアア」 
男子学生「やった…ついに四天王を倒したぞ…これで魔王セーシローのいる魔龍城の扉が開かれる!!」 
清四郎「よく来ましたね、野梨子ファンクラブ会員0000001号…待っていたぞ…」 
(ギイイイイイイ) 
男子学生「こ…ここが魔龍城だったのか…!感じる…セーシローの魔力を…」 
清四郎「会員0000001号よ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに『曜変天目の飾り皿 』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」 
男子学生「な 何だって!?」 
清四郎「そして君の友人は可憐ファンへと改宗したので、最寄りの町へ解放しておいた あとは僕を倒すだけですねクックック…」 
(ゴゴゴゴ) 
男子学生「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある。高校2年の春を迎えるのはこれで○○回目だったような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」 
清四郎「そうか」 
男子学生「ウオオオいくぞオオオ!」 
清四郎「さあ来い会員会員0000001号!」 

男子学生の勇気が名も無き野梨子ファンの未来を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
822名無し草:2008/04/11(金) 23:51:00
>ソードマスター
GJ!爆笑ww
続き待ってます!
823名無し草:2008/04/11(金) 23:56:23
アホすぎるw
こうやって野梨子ファンたちは清四郎につぶされてるんだろうかww
824名無し草:2008/04/12(土) 00:07:59
>ソード〜
笑えるw
美童の情けなさも○
825名無し草:2008/04/12(土) 00:25:34
>ソードマスター
これってギャグマ○ガ日和のやつだ!
大好きなんで題名見たとき
有り得ないほど喜んでました。
GJです!
826名無し草:2008/04/12(土) 01:12:56
今までの祭りのSSと違う毛色で笑いましたw
清四郎が魔王ってピッタリだ
だけど美童カワイソス
827競作<ある日の出来事>:2008/04/12(土) 02:41:20
清四郎・野梨子の幸せな一日です。
828競作<ある日のできごと・1>:2008/04/12(土) 02:42:15
外に車の止まる音が聞こえてきた。
「おとうしゃまが帰ってきたー」
まだ舌のまわらない小さい女の子が急いだ歩みで玄関へ向かっていく。
玄関がガラっと音を立てて開く。
「ただいま。ウチのお姫様はお行儀よくしていたのかな?」
清四郎はバッグを足元に置き、迎えに出てきた女の子を抱えて頭をなでる。
女の子はニコっと笑う。
「今日はお部屋を綺麗にしたの」
清四郎は女の子を抱えながらリビングへと足を向ける。
「清四郎。お帰りなさいませ。夕飯の支度ができていますわ」
「ただいま。野梨子。では夕飯にしようか」

「あーん」
女の子は大きく口をあけて野梨子の匙から食事をもらっている。
清四郎はビールを飲みながらその光景を眺めている。
清四郎にとってホッと一息つける時間だ。
幼馴染の野梨子と結婚して6年。
もうじき4歳になる娘もできた。
野梨子によく似た大きな瞳の色白の子だ。
今は聖プレジデント学園の幼稚舎に通っている。
幸せな家庭を絵に描いたようである。
清四郎も父親の病院に入り忙しい毎日を送っている。
「そういや部屋を綺麗にしたと言ってたけど、自分で掃除するようになったのですか?」
先程、娘から聞いた言葉を野梨子に問いかける。
「いいえ。お食事の後、子供部屋を覗いてあげてくださいな」
829競作<ある日のできごと・2>:2008/04/12(土) 02:42:48
食事が終わり清四郎は子供部屋の扉を開いた。
部屋の光景に驚く。
金や銀、赤や青・・・様々な色の折り紙で作った輪飾りで部屋がデコレーションされていた。
フフフという笑い声が背中から聞こえてきた。
振り返ると子供を抱っこした野梨子が立っている。
「きれーきれーでしょ?」
野梨子の腕の中で娘がはしゃいでいる。
清四郎はにっこりと笑って答える。
「とても綺麗ですね。今日は何かあったのですか?」
「おかあしゃまがね、私はおねーちゃまになるから自分で部屋を綺麗にしなさいっておっしゃったの」
「おねーちゃま?」
「そう!」
娘の言葉に清四郎は首を傾げ野梨子の瞳を見つめる。
野梨子はにっこりと微笑む。
「もしかして・・・?」
「ええ。そのとおりですわ。お腹に二人目ができましたの」
清四郎は大喜びで野梨子を抱きしめた。

830名無し草:2008/04/12(土) 05:13:56
>ある日の
野梨子に似た娘って本当に目がクリクリと大きそうですね。
幸せな情景が目に浮かぶようです。
ほんわりとした気分にさせてもらいました。
831名無し草:2008/04/12(土) 08:54:00
>ソードマスター
笑いましたw
魅録たち、簡単にやられすぎw

>ある日のできごと
清四郎って厳しそうなパパになるかと思ってたけど娘にはすごい優しそう。
素敵なお話でした。
832名無し草:2008/04/12(土) 13:35:16
今487KBあるから、そろそろ新スレ立てた方がいいかな?
こんな感じ? 他にも修正あったらよろしく。

>>1-6のテンプレは>>1の前スレの所を変える
・7辺りに>>591の競作の誘いを載せる
833名無し草:2008/04/12(土) 18:15:32
>ある日のできごと
2レスだけと短いのに、キレイに三題入ってる。
あったかい家族の話でほほえましかったです。
834名無し草:2008/04/12(土) 21:46:20
>>832
お願いします。
835名無し草:2008/04/13(日) 16:49:19
競作期間だけど、通常のレス・作品もまってます。
836名無し草:2008/04/13(日) 20:12:15
レスが止まってしまったので、ちょっとした小話。
去年のドラマの話なので、お嫌いな方はスルーしてください。



去年有閑倶楽部ドラマ化しましたよね。
ドラマについては賛否両論あったけど、自分的にはドラマのオリジナルエピソードで萌えた部分もありましたw

例えば清悠なら、飛良泉君の回の清四郎のセリフで「悠理は死にませんよ。いえ、死なせません」とか。
美可なら度々出てくる2人の追跡シーン、魅野なら雪月花の回の2ケツのバイクとか。
婚約騒動の回で、野梨子が生徒手帳に幼い頃の清四郎との写真を挟んでいたりする描写にも萌えました。

頭の中で、御大の絵に脳内変換すると萌えポイントアップw
オールカプで萌えてました。
皆さんは、何か萌えエピありましたか?
837名無し草:2008/04/13(日) 21:21:36
>>836
私は6話「男嫌いの恋」。漫画で言うと「白鹿野梨子にささげる愛」ですね。
清四郎と野梨子に萌えました!
清四郎のセリフの
「惚れるな、と!」
でww
838名無し草:2008/04/13(日) 21:22:20
あんなクソドラマよく見るなおまえらwwww
839名無し草:2008/04/13(日) 22:13:43
ドラマは観てないけど、個人的に女性陣のビジュアルは好きだったな。
まあ、ここの妄想は原作中心となっているから程ほどに。
ドラマ化以前も、仮想キャスティングとかは荒れる元だったしね。
840名無し草:2008/04/13(日) 22:14:36
あ、新スレ立てないといけないみたいだね。
ちょっと試してみるから、重複回避よろしく。
841名無し草:2008/04/13(日) 22:16:36
というか、ここではドラマ話はNGじゃなかったっけ。
どう転んでも荒れる元だから。
842名無し草:2008/04/13(日) 22:19:20
◆作品UPについてのお約束詳細(よく読んだ上で参加のこと!) 

<原作者及び出版元とは全く関係ありません> 

・初めから判っている場合は、初回UP時に長b編/短編の区分を書いてください。 

・名前欄には「題名」「通しNo.」「カップリング(ネタばれになる場合を除く)」を。 

・性的内容を含むものは「18禁」又は「R」と明記してください。 

・連載物は、2回目以降、最初のレスに「>○○(全て半角文字)」という形で 
 前作へのリンクを貼ってください。 

・リレー小説で次の人に連載をバトンタッチしたい場合は、その旨明記を。 

・作品UPする時は、直前に更新ボタンを押して、他の作品がUP中でないか 
 確かめましょう。重なってしまった場合は、先の書き込みを優先で。 

・作品の大量UPは大歓迎です! 
843名無し草:2008/04/13(日) 22:21:21
ドラマやるならキャストもっと選べよと思う。
全国からオーディションでもしてもっとイメージにあったコ選べばいいのに。
悠理の一条ゆかり顔のコと御大お墨付き可憐ビジュアルのコは
それぞれのファンはまぁ納得してるかもだけど

ドラマのおかげで妄想スレが著しく盛り上がったことには感謝している
844名無し草:2008/04/13(日) 22:23:31
所詮糞ジャニドラ。原作イメージ無視。萌える余地なし。
845名無し草:2008/04/13(日) 22:26:31
◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう31◇◆◇◆
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1208092572/l50

次スレ立てました。
テンプレミスしてすみません。
846名無し草:2008/04/13(日) 22:54:47
>>845
乙!!
妄想スレ30はリレーもあったりして楽しいスレだったなぁ。
31もまた盛り上がりますように。
847名無し草:2008/04/13(日) 23:17:51
>>845
乙です!
新しい作家さんも増えたような気がするし、31スレにも期待!
競作もまだまだ待ってます。
848名無し草:2008/04/13(日) 23:29:29
802です。
すいません。自分、ぶってぶって姫なるものを知らなかった。
失礼しました。
849名無し草:2008/04/13(日) 23:32:09
競作投下は次スレの方がいいのかな?
ここは雑談、小ネタで回すとして。
850名無し草:2008/04/14(月) 00:17:40
新スレの方がいいと思います。
7.60KBというのは、かなり容量せっぱつまってるから、
作品自体を投下できても、感想かけないしね。
851名無し草:2008/04/14(月) 07:58:05
替え歌シリーズ!サザエさんの主題歌(なのか、あれ?)でお楽しみください。

3高イケメン 大好き 可憐さん
イケメン ゲイで 撃沈 可憐さん
みんなが笑ってる お日様も笑ってる
る〜るる るるっる〜 今日もいい天気〜

くだらなくてスマン
852名無し草:2008/04/14(月) 17:16:26
>>851
爆笑した。
美童とかも見てみたい。
853名無し草:2008/04/14(月) 19:36:23
今「東京フレンドパーク」やってるけど、世界一周アドベンチャークイズみたいに有閑倶楽部が出たら
大量の金貨ゲットしそうだな――と思ったw
854名無し草:2008/04/14(月) 19:52:04
>>853
悠理がなにかセットを壊しそうだと思った。
855名無し草:2008/04/14(月) 20:23:34
能力を総合したら、こういうペアになりそう。
数値は適当。

清四郎(知力10 運動10 芸能5)
可憐(知力5 運動4 芸能10)
総合55点

魅録(知力8 運動9 芸能8)
美童(知力5 運動5 芸能8)

野梨子(知力9 運動3 芸能6)
悠理(知力3 運動9 芸能10)
856855:2008/04/14(月) 20:24:59
なんか↑のだと、清四郎>魅録になっちゃうけど、
状況判断とかコミュニケーション能力とかの項目だったら清四郎<魅録だろうな
857名無し草:2008/04/14(月) 20:33:34
>>855だと、清四郎と可憐のチームが強すぎると思って自分も考えたけど、
その組み合わせしかないなー。

運動能力のバランス中心にハイ&ローで考えると
清四郎のペアは野梨子になるけど、それじゃ知力が高すぎるペアになるし、
知力中心で考えてペア組むと悠理になり、もちろん運動能力がハイオーバー。
858名無し草:2008/04/14(月) 20:36:22
久々にAA

                   .i ハレ, /,
                 _、ゞ゙`   ´ <シ
      / ̄ ̄ !゙ヽ       シ、=ミ゙≧__   ミ
      i'  .,rr`!~''i~i.}     ̄j ,;ヘ ミ:_   、シ
      |,-、i_{{ゞ、L,j.      リfiラ゙ シへ  ミ
      li ァ`'ー' 'ー゙l!     .ノ   ij´.j='ヘ;;Y´
      ,オ、lj rrrr、イ      ~ゝ  _/   从、
  _,.--‐'゙ ヾ、ヽ〉``` ス__.    ヽ-へ._r=彡'  `ー‐--、
 /      ゙(.  /    ヽ   / ̄ l|l、.         \
 |       ,:〕__);、     |  |    lli           ヽ
859名無し草:2008/04/14(月) 20:36:51
   -=、v'彡x=、
 ノr ,ゞ〃  ≧、
〃彡ィ爪 !!ヾ、ー ヾミ、
”j.てへ)iミ-へヾ ゞ、!゙
  "lー゚ ゚―' ト、ヾリ
.  ( (二二);j.6)ノ
   `ーr―_.I^ソリ`
. / ̄ハ.レ' .>―;へ.
 |  ク~「`ぐ  o/ |

       ,r' ̄ ̄ ̄ヽ
      /       \
     ./     |i_|i_l
    /    「>、!< |.|
   / / i  | O O | l
   >'ーァ1_i|j lj  ノ ヽ
   jヽ   \ヽ.><」i'‐┘
  /   |   \∧「  |
860名無し草:2008/04/14(月) 20:37:50
                      _  ,r―-、_
                 ,.--'" ̄=、`彡ニ -ー 、ー-、      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
               ./   =二、 vレ'二二ミ-、 __ \.     |
               / , /二==ミミY/  二ミ }ト、ヽ. ヽ..  │
              /.///,r、=-、ミY/ r'"ハ ミ jj ハヽ\l!.   |  次スレも楽しみましょ!
              |  ィ l ハミヾ、ヾヽ〃〃' }.j ,ィリ| | |ノハ   |
             /  |ハ ヽ.\          | | .ハイ,イヽヽ `ヽ、\
           _.ノ j  ヽヾ il }       ヽヽ ヾヾ\\_ノ、  l  ヽ.__
          / _ノ.j  .| v'〃ー-.、     ,..-‐ヾ、__ヽ \} .|     ノ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         ( /r' / _.ノ jj' _,..--..._`:   r;ニ-;-;_ ,,ミ ヾヽヾ.} 川
         ゙i   /  /イjゞ'-―-ヾ   ィ'匹フ;ミニヾミ   ノ ノ八
         |ハ.  (  ./ ∧ ~        ´~~.`  ハ l /ハ!,r'~} ~`ー-、
        ノ ハ ヾヽ ヽ l .ハ      _  _      ./ノ / ..y'7. | __.ヽ.  l
    ,r‐' ̄   ノ  \\ \∧.     ゙ '~     ∧ilイノ .V,.┤ |/7 )) ,}
    j   r―'    ハ l ハ ハ   =;;;-;-;;=ァ    / / ) // ,l「./ / 〃 ハ
   r' i  (  / 彡,.リ ,レ  ,へ   ゙ー-‐''   ,ィ' ノ ,ノ./ j レ'゙ ∧ l l  ヽ
   ヽ ヽ ミ 爪 ______rイ\     ./ |./ ノ.ノ / / /(  ≧、ヾ ヽ.\
    \、ヽ )./T        ./ |  `:::-::::-'"  / イ  .ノ / /:、 \ヾ  ) ) )
      l  / !        /  ヽ       / _,..-‐'  ./ハ ヽ } \( ( /
  ,.-r‐'  /   i!       .|    \     ,イ ..:'    //ノ  ノ ノリ ヾ  (
  l    .| i  !        ヽ.    ヽ-。-'~ { ,!    / ( l   ヽ{(   )  \
861名無し草:2008/04/14(月) 20:47:02
862名無し草:2008/04/14(月) 20:49:18
嵐さんは早く引退すればいいのに。
863名無し草:2008/04/14(月) 21:14:43
>>853
東京フレンドパーク毎週見てますw
最初にジャンプするやつなんかは悠理とかクリアの上までよじ登れそうだよね。
バイクに乗って蕎麦運ぶのは魅録得意そう。(マイナーですみません)
野梨子はクイズはOKだろうし、清四郎はどのアトラクションでも完璧にやり遂げそう。
あと何となく可憐と美童はハイパーホッケー得意な気がするw
864名無し草:2008/04/14(月) 21:17:05
美童って根性とかが欠けてるだけで、運動神経は良い設定だしね。
865名無し草:2008/04/14(月) 21:23:24
そういやテニスやダンスで活躍してんもんな。
866名無し草:2008/04/14(月) 21:29:41
美童はテニスで根性見せてたよ
867名無し草:2008/04/14(月) 22:07:44
>>855
清四郎はオールマイティで、清四郎と組んだペアはバランスが強くなるから、
清四郎だけ1人でいいと思う。
清四郎対4人で。
それでも知力で勝てるかどうか。運動では悠理と魅録で勝てる気はするが。
868名無し草:2008/04/14(月) 22:24:02
>>867
>清四郎対4人で。
ちょw ひとり足りないよ。

知力は、総合では野梨子が一歩及ばずってとこだと思うけど、
分野別になると美童(西洋史、外国語)や魅録(機械系)の方が
カルトな知識もありそうだから、1人対5人だと良いとこまでいくんじゃまいか?
869名無し草:2008/04/14(月) 22:28:15
フレンドパーク初の独り参加?w
870名無し草:2008/04/14(月) 22:41:29
>>868
スマソw、1対5の間違いだた。
そんな感じならいい所まで戦えそうだ。
871名無し草:2008/04/14(月) 22:46:51
もうすぐ500kbになって書き込めなくなるな。
1000いかないで次スレだと、迷子になる人もいそうだから、もう一回貼っておく。

◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう31◇◆◇◆ 
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1208092572/
872名無し草
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            \このスレ終了だゴルァ!! / 
 パチパチパチパチ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄パチパチ 
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