ロボ。
何年かして、懐かしいアパートの前を通った。
ロボと私がすごしたアパートは跡形もなく壊され、駐車場になっていた。
数年前に壊された地蔵堂と同じだ。みんな消えていく。
携帯。中学の卒業式の夜、思い切ってロボのメールも電話番号も削除して
しまっていた。なんでそんなことをしたのか、そのときの私でなければた
ぶんわからない。
それでもあのアパートにいけば、いつでも会えるとどこかで思っていた。
もう彼とは会えないという現実が私の胸を押しつぶした。
ぼんやりと高校の帰り道、三日坊主が空に帰った野原を通る。
なにもかも変わっていって、それでも人は生きていくしかないのだろう。
ロボ、
あのまま。あのまま続いていたら、私たちどうなっていたんだろう。
もしかしたらロボと恋愛をして、結婚して子供を作って・・・そんな未来も
あったのかもしれない。パン耳でも齧りながら、幸せそうに。
ただひとつ言えるのは、私にはもうそれはないということだけだった。
この世界にどうしようもなくかかわって生きている、それを断ち切った
のは私なのだ。
ロボ・・・
いやだいやだ。ロボ、会いたいよ。もう会えないなんていやだ。