京都大学医学部付属病院(京都市左京区)の外来診療棟1階に昨年10月3日、ドトールがオープ
ンした。ロビーの一角の約25平方メートルに32席が並ぶ。
お見舞いのついでに利用した同市内の自営業、山口隆介さんは「訪ねた知人が検査などで病室
にいない時、ちょっと過ごすのに便利」。病院職員の片野栄次さんは「普通の喫茶店より安いので、
朝夕コーヒーを買う日もある。外に行かなくてすみ、面倒くさくない」と言う。寝間着姿のまま来る入
院患者もいる。
京大病院は病床数1240の西日本屈指の規模だ。1日の外来患者数は平均2300人以上、職員は
約2千人にのぼる。京大病院店はオープン初日から、四条通や河原町通近くの繁華街やJR京都
駅前の店を抑え、京都府内のドトールの中で売り上げトップになった。
同病院の中野雅夫秘書・広報掛長は「待ち時間をくつろいで過ごせると患者さんにも好評。外に
出にくい医師や看護師には1日5、6回通う人もいる」と話す。
ドトール西日本店舗開発部の後藤祐次次長は、病院内カフェが人気の理由に、診療、検査、薬の
受け取りなどを「待っている人」が多いことをあげる。厚生労働省の02年の調査によると、病床数
500以上の大病院では、28%の患者が診療前に1時間以上待たされている。白衣やパジャマで
気楽に行けることなども人気の理由のようだ。
東京大医学部付属病院(東京都文京区)には04年4月、タリーズ(33席)ができた。やはり「客単
価が高く、昼以降は常に満席」(広報担当者)。平日に約1万人が出入りするという好立地で、病
院側が開いた出店のコンペで5社ほどが争ったという。東大病院企画経営部は「大規模な病院は
巨大なオフィスビル内と同程度の人通りがある。今後も病院への進出は続くのでは」とみる。
スターバックスも昨年3月、初の病院内店舗、順天堂大学病院店(東京都文京区)をオープン。12
月には東京と岡山で1店ずつ増やした。シアトルズベストコーヒーも昨年、鈴鹿回生病院(三重県
鈴鹿市)に1号店を出し、大阪市内でも開いた。同社は「地方都市の場合、人が集まるのは郊外
のショッピングセンターか病院」と注目している。 (抜粋)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200601120039.html