田中れいなこと田中れいにゃを応援しょぅと II

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91名無し草
武田宗俊の説によれば、源氏第一部はa系(紫の上系)、b系(玉鬘系)
に分けられるという。(「並びの巻」説との違いは、「帚木」と「玉鬘
」が「初音」以下と同じ系統に入ること。「玉鬘」以下を玉鬘十帖と通
称する。)

武田によればa系がオリジナル(原源氏物語)であり、b系はそれを補うか
たちで後から作られ、補入されたために、(1)a系だけで話が通じる、(2)b
系の女君(空蝉、夕顔、末摘花、玉鬘など)はa系に全く登場しない、(3)
a系とb系の帖が前後にあるとつながりがわるい、(4)b系は時間的にa系と重
なりがちである、などという事情が生まれたのではないかと推測されると
いう。 丸谷才一は大野晋との対談でこの説をさらに深め、(1)b系は空蝉、
夕顔、末摘花、玉鬘を中心に源氏の恋の失敗を描いた帖であることが共通
する、(2)筆がa系よりもこなれており叙述に深みがある、などの点から、

a系第一部の評価が高くなったのちに、今度は御伽噺の主人公のように完璧
な光源氏(実際にa系の源氏はそう描かれている)の人間味を描くために書
かれたのがb系ではないかと述べている。またb系には、後に「雨夜の品定め」と呼ばれる女性論や、「日本紀などはただかたそばぞかし」と源氏に語らせた物語論もあり、たいへん興味深いものとなっている