以前はセルと呼ばれる、透明なフィルム状のシートに描いた絵を取替えながら
撮影する制作方式がとられたが、1995年、最初のセルを使用しないCGアニメ、
『ビット・ザ・キューピッド』が製作され、1997年の東映動画を皮切りに、現
在では一部作品を除き彩色はすべてデジタル化され、セル制作はほぼ消滅して
いる。現在毎週新作でセル制作をしている作品は実質的に『サザエさん』のみ
である。更に、近年のコンピュータ技術の発達により、アニメ製作のすべての
過程をデジタル化し、3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)を使用し
たフルデジタルアニメーションの製作も多くのアニメ製作スタジオで行われて
いる。このようなデジタルアニメーションの登場によってコストの削減が進み
、短期間でのアニメ製作やアニメ製作本数の増加が生じた。アニメ流通の大き
な変革は、1983年に登場したOVAである。これは、テレビ放映も劇場公開もさ
れないアニメで、ビデオソフトの形で市場に流通する。家庭用ビデオデッキの
普及により、レンタルビデオ店と一般消費者が購入するビデオソフトの売り上
げ代金だけで製作費が可能になった。最初のOVA作品は、ぴえろ製作の『ダロ
ス』である。OVAの登場により、スポンサーの玩具メーカーの意向を聞かずに
作品製作ができるようになったため、さらに作家性の高い作品が多く生み出さ
れることになった。VAはそれまでのテレビアニメのような児童・ファミリー向け
のものは少なく、それより高年齢の10代から40歳代程度の独身男性をターゲッ
トにしたものが多い。これはそれらのビデオソフトを購入できる金を持つ層に
合致するためである。この後、アニメは、児童・ファミリー向けのテレビアニ
メと、高年齢の独身男性向けのOVAに二極分化する時代を迎え、それは現在も
続いている。OVAはテレビアニメにも大きな影響を与えた。現代ではOVA的特徴
を持つアニメがテレビ放送されることもある。ただし、深夜帯だったり、ケー
ブルテレビ、独立UHF放送局での放送であることが多く、それらのOVA的特徴を
持つアニメの視聴者は依然、特定の趣味者だけに限られ、他の層には広がって
いない。これらの趣味者を総称しておたくと呼ぶこともある。詳細はおたくの
項目を参照のこと。