ルナマリアとアスランってやったの? 【隠れ家】

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1名無し草
アスランとルナマリアってやったの?10
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/shar/1113623592/
2名無し草:2005/04/25(月) 23:56:46
238 通常の名無しさんの3倍 sage 2005/04/20(水) 14:01:32 ID:???
この時間は平和だねぇ。

ところでみんなはアスルナのどんなシチュに
ハァハァするんか?
漏れは色んなシチュを考えるわけだが・・・
たとえば学園もので射撃部に在籍している
先輩後輩みたいな。
なかなか上達しないルナに凸が特別訓練と
称して手取り足取り寝技までハァハァ
3名無し草:2005/04/25(月) 23:58:25
241 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/20(水) 16:21:16 ID:???
>>238 こんな感じ?
「ルナマリア。相変わらず上達していないな」
「・・・すいません」
「大会も近いというのに・・・」
「でもアスラン先輩がいけないんですよっ!」
「!?・・・なぜだ?」
「だって、あたし達恋人同士なのに!いつもいつも
 アスラン先輩は他の娘とかにも優しくして!」
「そうか?俺はそんなつもりはないんだが・・・」
「・・・もっと、もっとあたしを見て欲しいのに!
 あたしをもっと先輩の特別にしてください!!」
「!!・・・そうか、ルナマリアの気持ちは痛いほどわかった。
 なら特別訓練をするしかないじゃないか!」
「先輩!それじゃあ・・・」
「ルナマリア!早速ヤるぞ!」
「はいっ!」
4名無し草:2005/04/25(月) 23:59:01
「それじゃ早速だが後ろを向くんだ」
「え”っ?いきなり後ろですか?」
「早く汁!・・・よし、次はしっかり足を踏ん張るんだぞ」
「は、はい。こうですか?」
「そうだ。ここに肘をついて、よ・・・し、狙いを定めて・・・」
「あ、あぁ・・・」
「撃てぇ!!」
パンパンパン!
「ああっ!先輩!凄い!」
「ほらほらもっとだぁ!」
パンパンパンパンパンパン!
「いやっ!激し・・・!コワレちゃうよぉ!」
「いよぉ〜しイイぞぉ!」
パンパンパンパンパンパンパン!
「あぁ〜〜!凄いよぉ〜〜〜!!」
「・・・・・・あんたら他の部員もいるんだから、
 声だけ聞くと確実に誤解を招く射撃訓練はやめなさいよ・・・」
「あ、メイリン・・・。ごめんごめん!つい癖で・・・」
「邪魔をするな、メイリン・ホーク!せっかくノっていたのに・・・」
「だからいつもいつも空き缶にBB弾当てるだけの訓練で
 そんな変な声出さないでっていってんの!恥ずかしいじゃない!
 ちっとも部員が増えないのはあんたらの所為だっていい加減(ry
5名無し草:2005/04/26(火) 00:01:30
303 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 08:57:26 ID:???
記憶喪失 第1回−1/6

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、れ?
・・・・・・・・・・・・ここ、どこだろ?
・・・・・・・・・・・・・・・んん、何か・・・あったかぁい・・・・・・。

優しくて暖かい感触に喉を鳴らし、もぞもぞと動く。

「ルナ?」

・・・・・・んん?誰ぇ?るなって・・・・・・。

「ルナ・・・・・・ルナッ!」

・・・・・・・・・えっ!?

ズキっ!
「痛っ!」
頭が痛いよぉ・・・・・・何なの?
6名無し草:2005/04/26(火) 00:01:41
「ルナ!大丈夫か?」
「うう・・・ん?だ・・・れ?」
「アスランだよ・・・。ルナ・・・・・・大丈夫か?」

・・・・・・・・・アス・・・ラン?

ズキっ!
「うぅっ!・・・・・・頭・・・痛・・・い」
「ルナ・・・・・・」

ゆっくり目を開けてみる・・・。
暗くてよくわからないけど・・・・・・すぐ目の前に男の人の顔がある。

・・・・・・誰なの?・・・・・・・・・この人・・・・・・。
7名無し草:2005/04/26(火) 00:02:22
304 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 08:58:35 ID:???
第1回−2/6

「ルナ・・・頭、痛むのか?」

・・・・・・・・・ルナって・・・・・・私のこと?
・・・駄目・・・・・・頭痛くて・・・何も考えられない・・・・・・。
何か、体が動かない・・・・・・あったかい・・・・・・。
・・・包まれている感じ・・・・・・。
・・・・・・・・・抱きしめられ・・・てる?

「えっ!?」

急速に意識がはっきりしだす。
男の人に抱きしめられている?何で?

「イヤッ!離してっ!」
「うわっ!」

反射的に私を抱きしめている腕を振り解こうと暴れる。

「ルナッ!落ち着けっ!」
「イヤァ!」
「ルナッ!!」
8名無し草:2005/04/26(火) 00:02:33
何とか束縛から逃れて、背後にある壁?まで慌てて下がった。

「どうしたんだ?ルナ・・・」
「何?何なの!?」

わけがわからない。何でこの人に抱きしめられて寝ていたの?

「ルナ!わからないのか?俺だ!アスランだ!」
「アスランって誰よ!?わからないっ!ルナって誰!?」
「ルナ!・・・」
「ヤッ!こっちこないで!誰よアンタ!?」
「・・・・・・ル・・・ナ?」
「イヤァ・・・・・・。何なのぉ?わからないよぉ!」

ズキっ!
うぅ・・・・・・頭痛いよぉ・・・。

「ルナッ!」

再び世界が暗転する。
アスランって誰?ルナって誰?
・・・・・・・・・私は・・・・・・誰?
9名無し草:2005/04/26(火) 00:02:56
305 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 08:59:34 ID:???
第1回−3/6

ルナはまた気絶してしまった。
放って置けなくてまたルナを抱きしめて毛布に包まる。
とりあえず先ほども確認をするにはしたんだが
ルナの容態が心配で、簡易ではあるが何度も診察を繰り返す。
外傷や打撲等の後などは見当たらない。
ルナの珠のような肌に傷や痣がつくのはいただけない。
ヘルメットは所々激しく砕けているのは
恐らく頭部には衝撃があったのだろう。

それにしても・・・・・・いったいどういうことだ?
まさか・・・・・・記憶が?
状況を見た限り、確かに頭部を強打した可能性があるし・・・・・・。
くそっ!なんでこんなことに・・・!チクショウ!

「ルナ・・・・・・、ルナァ・・・・・・・・・!」
絞るように呟きつつぎゅっと抱きしめる。
過去に何度となく抱きしめてきたルナ。
その度に暖かな幸せを感じてきた。
それなのに今は・・・、大事な何かを奪われてしまった感じだ。
10名無し草:2005/04/26(火) 00:03:06
暫くたって救護隊が俺たちを発見してくれた。
ルナは未だ意識が戻らず、医療班に担架で搬送されていく。
中破してしまったセイバーも無事ミネルバに回収された。
だがルナの愛機であるザクは大破してしまい、回収どころの騒ぎではない。
残念なことだが、恐らくルナも新しいモビルスーツに
乗り換えなくてはならないだろう。
「隊長!大丈夫でしたか!?」
「俺は大丈夫だ・・・・・・。レイ、迷惑をかけてしまった。・・・すまなかったな」
「いえ、無事で何よりです」
「そんなことよりルナはどうなったんすか?」

・・・・・・そんなことよりだとっ!?シン!この野郎!
お前は崖で遭難していたときに一緒にいた女の心配でもしてろっ!
ルナの心配をしていいのは俺だけなんだ!
ついでに『ルナ』と呼んでもいいのも俺だけだ!

「・・・・・・無事だ。怪我もそれほどでもない」
「ほっ。よかったぁ!」

・・・・・・ムカつくぞ。
11名無し草:2005/04/26(火) 00:03:30
306 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 09:01:09 ID:???
第1回−4/6

「ん・・・・・・」
「・・・・・・ルナ?」

・・・・・・どこかで聞いたことのある声。

「目が覚めたかい?」
「ん、ここは?」

まだ少し頭がはっきりしない。
・・・・・・でも、この声は・・・・・・。

「ルナ?」
「あ・・・・・・、あなたは?」
「この前はすまなかった」
「え?」

・・・・・・あ?この人・・・・・・、あたしを抱きしめていた人?

「何?・・・・・・あなた、誰なの?」
「・・・・・・!」

目の前の男の人の表情が強張って少し青ざめている・・・。
12名無し草:2005/04/26(火) 00:03:51
「・・・・・・ルナ、俺を覚えていないのか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・俺はアスラン。アスラン・ザラだ」
「・・・・・・アスラン・・・さん?」
「そうだよ。覚えていないかい?」
「・・・・・・わからない。私‥・・・・」
「・・・いや、いいんだ。それよりも自分のことがわかるかい?」
「え・・・・・・、自分・・・のこと?」

・・・・・・自分のことって、私は・・・・・・。

「わ、私・・・、わからない!自分のこと、何もわからない!何でっ!」
「お、落ち着け!落ち着くんだ!」
「イヤァァ!何で自分がわからないの!?私っ、何で!?」
「くっ!ドクター!来てくれ、ドクター!」
「いやぁぁぁっ!」
13名無し草:2005/04/26(火) 00:04:12
307 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 09:02:23 ID:???
第1回−5/6

その後お医者様に鎮静剤を打たれて、頭がボーっとして・・・。
お医者様とさっきの人が何か話し合っている。
ちらちらと私のこと悲しそうな眼で見ながら・・・・・・。

「ルナマリアさん。あなたは記憶障害を起こしておられます」
そんなニュアンスでお医者様は私に告げた。
どうやら私は記憶喪失らしい・・・。

まだ混乱していてよくわからないことだらけだけど、
いくつかわかったことがある。

私の名前はルナマリア・ホークで、私のそばにいた人は
アスラン・ザラさん。ザフトって言う軍隊の隊長で私の直属の上司。
14名無し草:2005/04/26(火) 00:04:33
先の戦闘で私が搭乗していたモビルスーツ?が撃墜されて機体は大破。
その時の墜落の衝撃で頭部を激しく強打し、
それが原因で記憶を無くしてしまったらしい。

アスランさんは自機がボロボロになりながらも、
私を救出しに来てくれて介抱してくれたといっていた。

「ごめんなさい。私のこと助けてくれたのに失礼でしたよね・・・」
「いや・・・、もういいんだ。俺のほうこそすまなかった」
「え?・・・アスランさんは悪いこと何も」
「君の事をいたずらに混乱させてしまった。それだけじゃなく
 同意も得ずに君を抱きしめていたし」
「そんな!だってそれは私を守るために・・・」

その時医務室のドアが開いて、突然男の人が怒鳴り込んできた。

「隊長ーーー!ルナが記憶を無くしたって本当なのか!?」
「シン!」
15名無し草:2005/04/26(火) 00:05:02
308 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 09:03:14 ID:???
第1回−6/6

その人はズカズカと踏み込んできて、アスランさんに掴みかかる。

「ぐっ!」
「無事だって言ったじゃないか!記憶喪失のどこが無事なんだよ!」
「こらっ!君!ここは医務室だぞ!静かにしないか!」
「煩いんだよ!どいてろ!」

シンと呼ばれた人がお医者様を突き飛ばしてしまう。
色んな機材にぶつかってしまい、けたたましい音が鳴り響く。

「シン!やめないか!落ち着け!」
「これが落ち着いていられるかよ!何でルナがこんな目に
 あわなくちゃいけないんだよ!」
「シン!やめろ!」
16名無し草:2005/04/26(火) 00:05:32
少し遅れて入ってきた金髪の人が、暴れてる人を押さえようとする。

「離せよレイ!何で!ルナがこんなことにならなくちゃいけないんだ!
 答えろよ!隊長ーーーー!」
「シン!隊長を放せ!」
「うあぁぁぁぁーーー!!」

暴れてる人が叫んでアスランさんに殴りかかろうとするのを、
私は唖然と眺めることしかできなかった。

どかっ!
「あぅっ!」

暴れん坊がアスランさんに殴りかかろうとしたその時、
金髪君が鋭くパンチを放った。

「何すんだよぉ!?レイ!」
「上官に手を出せば軍法会議ものだぞ。少しは落ち着け」
「軍法会議が何だってんだ!そんなのっ・・・!」
「いいからこの部屋から出ろ」
「くそっ!離せよレイっ!!」

金髪君は暴れん坊を医務室から連れ出していった。
私たちは気まずい空気に支配された医務室に残されてしまった。
17名無し草:2005/04/26(火) 00:05:54
309 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 09:04:31 ID:???
とりあえずここまでっす
厨くさいSSだが
こんなできでもハァハァしてくれる
人がいることを祈る


310 通常の名無しさんの3倍 sage 2005/04/21(木) 09:08:40 ID:???
( ;゚Д゚)つ、続きが気になるじゃないか!!
男だけど、ルナにだけ優すぃアスランに萌えかけたよ・・・・グジョーブ!!
アスルナ(´д`*)ハァハァ


311 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/21(木) 09:12:50 ID:???
ちなみに展開の関係で>>305だけ
アスラン視点になってしまった・・・。
続きは執筆中なんで
ある程度書き溜まったら投下しまつ
18名無し草:2005/04/26(火) 00:08:22
339 1/4 sage 2005/04/21(木) 17:38:02 ID:???
「お姉ちゃ〜ん?これどうやって着るの?」
「そういうことはネットで調べてきなさいよ,先行ってるわよ.」
「えぇ?あぁん,待ってよ〜!」
一人では行かせまいと,お姉ちゃんに手を伸ばし駆け出す私…
パシュッ…どてっ☆
お姉ちゃんが部屋のドアを閉めるのと,
身体に纏わりつく浴衣に脚を取られて私が床にキスをするのは,ほぼ同時だった…
「うぅ…痛い…」
初めての浴衣が上手く着れない可愛〜い妹を置いて,
先に行ってしまう姉がどこの世界にいるってのよぉ!…もぅ…
…誰もいないのに愚痴ってても虚しいので,仕方なく,浴衣の着方を探すことにする.
えぇ〜っと,昔買った雑誌に載ってたような…?あ,あった.
…けど…わけわかんない〜っ!
19名無し草:2005/04/26(火) 00:08:42
「まぁこんなところかしら.あら…?」
「どうしました?艦長?」
「…いえ,何でもないのよ.さ,これで着付けは終わりよ.」
「ありがとうございます!」
自分で着ていたら日付が変わってしまいそうだったので,
結局,ミネルバきっての大人の女性たるタリア艦長にお願いしたのだ.
初めての浴衣…なんだか服を着ていないような不思議な感じでちょっと恥ずかしい.
手始めにくるりと一回転!ん,可愛い!さすがは艦長!
「あっ!」
調子に乗って,ちょっとよろめく私.
「…な,何!?」
艦長がびくっとした.…目が泳いでる…?なんだろ?
「えと…ちょっと動きにくいけど…新鮮です.可愛いし♪」
「…そ,そう?良かったわね.じゃあ早くいってらっしゃい」
「はい!本当にありがとうございました〜!」
艦長がいつになく挙動不審だったけど…まぁいいや!
さ〜てお姉ちゃんを追いかけるぞ!

***

「艦長…メイリンの浴衣,死装束になってませんでした?」
「……アーサー,口は禍の門って言葉を知っているかしら?」
「…ワタクシは,何も見なかったであります!」
「それでいいのよ.さ,私たちもそろそろ着替えて行きましょう.」
20名無し草:2005/04/26(火) 00:09:06
340 2/4 sage 2005/04/21(木) 17:38:38 ID:???
フランクフルトを小腹に入れて,大通りを歩くこと数分.
ん…?あれは…ステラさん?
まぁ,あんな風に公衆の面前でくるくる踊るのは,彼女以外にはいないか.
「ステラさん!こんばんわ.」
「…あ…,これ…出目金…ステラ,好き…」
急に目の前に差し出されたビニール袋には,ぎっしりと隙間なく出目金がつまっていた.
…う…ちょっと,気味悪い…
「あ,あはは…それ,シンにもらったの?」
「シン…,シンは金魚すくい…上手…」
「そう,やるなぁ,シンも…」
…といってると,突如後ろから轟音と爆風が押し寄せる.
「なッ…シン!?ってか,インパルス!?」
21名無し草:2005/04/26(火) 00:09:21
「ステラ〜」
「シン…」
「なっ…ちょっとまて〜い!シン,なんでインパルスになんか乗って来たの!?」
「あ,メイリン,いたの」
…殴りたくなる衝動を抑えて,努めて冷静に答える.
「…いるのよ.で,そのインパルスは何なの?」
「あぁ,ステラがね,花火の近くに行きたいって言うから…ねっ,ステラ!」
「ステラ…花火…欲しい」
「『ねっ,ステラ!』って言われても…だいたいインパルスを私用で…」
「あっ,ごめん,もう行くから,おいで,ステラ」
「ばいばい…」
ステラさんを回収して夜空に飛び立つインパルス.
「…もう知らない!インパルス,発進どうぞぉ〜っ!!」
ど〜〜〜〜〜〜ん!!
…私の渾身の叫びも,花火の音にかき消されてしまった…
…誰か,突っ込んでよぉ…
22名無し草:2005/04/26(火) 00:09:42
342 3/4 sage 2005/04/21(木) 17:39:25 ID:???
射的屋にアスランさんとお姉ちゃんの姿を見つける.
「おねぇ…」
……….声をかけようとして…やめる.なんだか…楽しそう.
照れるアスランさんに,微笑むお姉ちゃん.…入る隙なんてどこにもない.
「兄ちゃん,客が待ってるんだけどよぉ,イチャつくなら他いってくれねぇかい?」
射的屋のおじさんに言われて顔を真っ赤にした二人は,
手をつないで駆け出し,人ごみに紛れてしまった.
…あっという間に見失ってしまう.

…見つけて,どうするつもりだったんだろうな…私.
一人,ため息をつく.
軍服を脱ぎ捨てたアスランさんとお姉ちゃんが並んでいる様子は,
どこから見ても仲睦まじい恋人同士で…
二人の世界に私のための配役なんて存在しないように思えて,…寂しい.
一緒にいればなんとかなると思って浮かれてた自分がバカに思えてくる.
せっかくの浴衣姿…アスランさんに見てもらいたかったのに…
23名無し草:2005/04/26(火) 00:09:59
「なに暗い顔してんのー?」
ばんっ!思いっきり背中を叩かれた.人が浸ってるときにぃぃぃい…
まず顔を,そして若干遅らせて視線も振り返り,肩越しに冷たい眼差しを送りながら,
「なぁーんだ…ヴィーノかぁ」
残念さを最前面に押し出した表情でため息混じりに言ってやる.
「なぁなぁ,向こうの方でラクス・クラインのそっくりさん決めるコンテストやっててさ,
 どう?メイリンも出てみない?優勝すれば,あの衣装貰えるらしいんだよー.
 あれいいよなぁ,胸をこう…強調する作りってーか…なっ,だかr…」
空気読めないヴィーノのバカ発言が,私の怒りのスレショルドを越える.
「…こぉんのケチャップがぁ〜〜〜!」
さっき食べたフランクフルトの容器(ケチャップ付き)を顔面にお見舞いする!
「うぁぁぁぁっ,ぶふっ!」
ケチャップがケチャップを受けてケチャップを吹く様子を見下ろす.
…いくらか胸がすっとした.
24名無し草:2005/04/26(火) 00:10:19
344 4/4 sage 2005/04/21(木) 17:40:03 ID:???
でも,もうお祭りって気分でもなくて…
落ち着ける場所を探して彷徨っているうちに,境内にやってきた.
ここなら人通りも少ないしね…

ひゅるるるるるる〜〜〜〜


ど〜〜〜〜〜〜ん!!!

花火に照らされて,視界に焼きつく二人分の影.
一瞬見えてしまった深い蒼と,鮮やかな赤の組み合わせ…
「お姉ちゃん…」
無意識のうちに,隠れてしまう.
お姉ちゃんもアスランさんも大好き.大好きだけど…
大好きだから,近づけない.

悔しいけど…お似合いだった.
私の自慢のお姉ちゃんと,私の憧れのアスランさん.
どんな会話をしてるんだろ…?
お姉ちゃんとずっと一緒にいるのに,あんな表情,見たことない…,幸せそう…
25名無し草:2005/04/26(火) 00:10:44
その時,二人が立ち上がって空を見上げた.
時計を見てみる.そっか,もうすぐラストの花火の時間…
花火の最後の大玉に願いを言えば叶えてくれるって聞いたけど,
…私の…願いは…?

そして,最後の大玉が大空に舞いあがった.

「お姉ちゃんとアスランさん…二人がいつまでも幸せでいてくれますように…」

つっ…
思いかけず零れた涙に,自分で驚く.
しょうがない,しょうがないよ.だってあんなにお似合いなんだもん…
一生懸命,自分に言い聞かせる.
…よぉし!お姉ちゃんがアスランさんなら…
私は,噂のスーパーコーディネーター,キラ様をゲットするぞ!
そして,いつか四人で遊びに行くんだ!うん,元気でてきた!

「お姉ちゃ〜ん!アスランさん!」
ミネルバへの帰途に着く二人に,精一杯明るく声をかける.
もう辛くない.だって,二人は私の理想なのだから…
26名無し草:2005/04/26(火) 00:12:56
453 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/25(月) 16:33:22 ID:???
記憶喪失 第2回−1/5

「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
「ん?あぁ、なんともない」

アスランさんは先ほどの喧騒の後でも割と冷静だった。

「それよりも、ルナ。君はまだ休んでいたほうがいい。
 けっして万全な体調というわけではないんだから・・・」
「・・・・・・わかりました」
「さぁ、横になって」
「はい」

ゆっくりベッドに横になる。
でもさっきの出来事のおかげでゆっくり寝られそうもない。

「あの・・・、アスランさん?」
「ん?なんだ?」
「どうして、私のこと気にかけるんですか?」

どうせ寝られないならと、気になることを聞いてみようと思った。

「そ、それは‥‥‥」
「?・・・アスランさん?」

さっきまであんなに落ち着いていたのに、突然あわてだした。
赤くなったり周りを気にしたりしている。
・・・なんか、慌てているアスランさんを見るのって楽しいかも・・・。
27名無し草:2005/04/26(火) 00:13:17
「そ、その、あれだ。上司として部下を心配するのは当然じゃないか」
「・・・そうですか。・・・それじゃ何で抱きしめていたんですか?」
「うっ!」
「もしかして私が動けないのをいい事に何かしようとかしたんじゃ・・・。
 だってただの部下ならそんなことしませんよね?」
「ち、違うんだ!決して下心があってとか、その、ナニをどうしようとか
 そういうんじゃなくて・・・っ!」
「・・・ププ」

アスランさんの慌てっぷりについつい笑みが漏れてしまう。

「・・・!ル、ルナ!」
「アハハハハハ!ご、ごめんなさい!つい・・・クスクス」
「まったく・・・。一応君は病人なんだぞ?」
「ごめんなさい・・・。だってアスランさんが可愛くて・・・・・・プププ」
「いい加減にしないかっ。・・・ホントに仕方ないなぁ」
28名無し草:2005/04/26(火) 00:13:45
第2回−2/5

相変わらずまだ顔が赤いアスランさん。ホント可愛い!
でも、それまで漠然とした不安な気持ちが纏わりついていたのに
いまは自分が不思議と安心していることに気がついた。

「・・・・・・ルナ?今の君にこんなこと言っていいものかわからないが・・・」
「?・・・何ですか?」
「・・・・・・・・・君は、・・・・・・俺にとって」
「・・・・・・?」
「・・・・・・一番大切な人なんだ」
「・・・・・・え!?」

ボっ!
と音がするくらい今度は私の顔が赤くなってしまった。

「君も俺のこと誰よりも大事に想ってくれていたんだ」
「・・・・・・」
「信じられないかもしれないが、・・・俺たちは付き合っていたんだ。
 ・・・・・・恋人として」
「・・・・・・ウソ」
「ウソじゃないよ。じゃなきゃホントに抱きしめていたりしない」

私はアスランさんを凝視して固まってしまっていた。
でも、アスランさんは頬を赤らめつつも、暖かく優しい眼で
私を見つめていた。
29名無し草:2005/04/26(火) 00:14:10
「だから、今の君が迷惑じゃなければ、まだ傍にいさせてもらえないか?」
「え、え?」

さっきまでの空気はどこへやら。今度は私がすっかり舞い上がってしまった。
でも、このまま沈黙しちゃったら凄く気まずくなっちゃう!

「じょ、冗談ですよね!?だってアスランさんは隊長で私は部下で
 そのあのそそそそそれにアスランさんってフツーに彼女いそうな感じするし」
「信じてもらえなくても仕方ないと思ってるよ。だからこうして聞いている」
「・・・・・・・・・」

結局気まずくなっちゃった。どうしよう・・・・・・。

「やっぱり迷惑だったか?」

アスランさん・・・・・・。凄く不安そう・・・。なんかそんなアスランさん
見たくないな・・・。どうしてかわかんないけど・・・・・・。
30名無し草:2005/04/26(火) 00:14:50
第2回−3/5

「・・・・・・わかりました。だからそんな悲しそうな顔しないで下さい」
「あ・・・、すまない」
「あの・・・、そのかわり色々お話してもらっていいですか?」
「あぁ、それはかまわない。だけどまだ休んでなくちゃいけないんだぞ」
「私が眠くなるまででいいです。さっきのことでびっくりしちゃって
 眠れそうもないから・・・」
「わかった」

それから暫くアスランさんは色んな話を聞かせてくれた。
私たちが初めて逢ったときのこと。
そのときのアスランさんのこと。
それからアスランさんがザフトに戻ってきたこと。
ヤキン戦のときのこと。
アスランさんがフェイスって言う特務隊に所属していること。
そして、私とアスランさんが付き合うことになったきっかけ。
それからの二人のこと。
先の戦闘のこと。
いっぱい話してもらった。

いつの間にかアスランさんは自然に私の手を握っていてくれて
それで凄く安心している私がいて・・・。
なんか気持ちが凄く暖かくなっていた。
そんなこと思っているうちに、私は穏やかな眠りについていた。
31名無し草:2005/04/26(火) 00:15:22
いつの間にかアスランさんは自然に私の手を握っていてくれて
それで凄く安心している私がいて・・・。
なんか気持ちが凄く暖かくなっていた。
そんなこと思っているうちに、私は穏やかな眠りについていた。

どれくらい眠っていたんだろう?
ふと目が覚めて周りを見渡してみる。
消灯時間を過ぎたのか辺りは真っ暗だったけど、
横を見るとアスランさんがベッドに突っ伏したまま
安らかな寝息を立てているのがわかった。

・・・・・・まだ私の手を握っていてくれてる。

それが何故か凄く嬉しくて、不思議と暗闇の中でも安心できた。
空いているほうの手で、何となくアスランさんの髪を梳いてみる。

ふふ・・・。柔らかい髪・・・。

それからまだ眠いながらも自分なりに色々考えてみた。
今の自分の意識が覚醒しつつあるとき、何故か暖かくて
とても安心していたこと。

そういえばアスランさんが抱きしめていてくれたんだっけ・・・。

さっきも今も手をつないでいることが、自然に感じられて
アスランさんと私が恋人同士だったってことも、何の疑いもなく納得できた。
32名無し草:2005/04/26(火) 00:16:04
第2回−4/5

「ん・・・・・・、ル・・・ナ」
「え?」

アスランさんを見ると、ムニャムニャ言いながらまだ眠っていた。

・・・私のこと寝ながらでも考えていてくれているんだ・・・・・・。

今までのことなんて何も思い出せないのに、なんでこんなに
気持ちがあったかいんだろ?
アスランさんが傍にいてくれているからかな?
そう思うと無性にアスランさんに抱きしめて欲しくなった。
寝ぼけていたから自制なんてあったもんじゃない。

「アスランさん・・・」
「んん。どうした?」
「一緒に寝よ?抱きしめて欲しいよぉ」
「ん?あぁ、わかった」
33名無し草:2005/04/26(火) 00:16:09
アスランさんも寝ぼけているのか戸惑いもせず返事を返してくれた。
そしてベッドにもぐりこんでくる。
それと同時にアスランさんの腕の中にすっぽりと納まる私。
そうしていることが二人にとって自然なことで
当たり前なんだとそのときは感じていた。
唇を二度三度と重ねることすらも。

「オヤスミ・・・、ルナ」
「ん、おやすみなさぁい」

そのまま二人は眠りについてしまった。
眼が覚めたときのことなんて、このときは考えもしなかった。
翌朝、医務室は再び喧騒に包まれることになったのは言うまでもない。
34名無し草:2005/04/26(火) 00:16:39
第2回−5/5

「こらっ!あんた達!起きなさいっ!」
「んん?なぁに?」
「ん〜?はっ!しまった!!」

私は寝ぼけた眼をこすりながらゆっくりと起き上がる。
アスランさんは慌ててベッドから降りてしまった。

「もうっ!いったいあんた達は何考えてんのよっ!」
「ち、違うんだ!これはっ!」

ツインテールの娘が両手を腰に当てて叫んでる。
・・・・・・誰?

「もうっ!お姉ちゃんは負傷者なんだよっ!
 それなのになんでザラ隊長をベッドに連れ込んじゃってくれてんのよ!」
「お姉ちゃん?」
「メイリン!落ち着くんだ!」
「これが落ち着いていられる状況ですか!?」
35名無し草:2005/04/26(火) 00:17:03
あ、どっかで聞いたことのある台詞。

「もう信じらんな〜〜〜〜い!」

そう叫びながらツインテールの娘は部屋から走って出て行ってしまった。

「あぁ〜〜〜、迂闊だったぁ〜〜〜!」

アスランさんは頭を抱えてしまう。
私は未だに寝ぼけていて事態がうまく飲み込めない。

「アスランさん、おふぁよぉございまぁ〜〜〜ふぅ」

欠伸をしながら挨拶した。
アスランさんは何ともいえない表情でこっちをむく。
そして盛大なため息。

「おはようじゃないよ・・・。まったく」

片手を額に当てて嘆くアスランさん。あ、寝癖がついてる。
・・・・・・じゃなくて、人に起こされたの?あたし達。
アスランさん私を抱きしめてたよね?
もしかしてこここここここれって、あんまりよくない出来事?
36名無し草:2005/04/26(火) 00:20:22
第2回−おまけ

「ああぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「ようやく眼が覚めたのか?」
「どどどどどうしよう?アスランさ〜ん!」
「こっちが聞きたいくらいだよ。にしても何で俺たち一緒に寝ていたんだ?」

その後アスランさんは艦長に呼ばれてこっぴどく怒られたらしい。
私は私でさっきのツインテールの娘に説教された。

「まったくもぉ〜〜〜!お姉ちゃんも寝ぼけすぎだよっ!」
「うぅ・・・ごめん」

覚えている範囲で話した事情(言い訳)で納得してくれたのか
ツインテールちゃんは怒りを収めてくれつつある。

「ところでちょっと聞いていい?お姉ちゃんって私のこと?」
「はぁ?何言ってんの?お姉ちゃんはお姉ちゃんじゃん!」
「・・・・・・私が?・・・・・・あなたの?」
「・・・?お姉ちゃん頭おかしくなったの?」

正直カチンと来た!でもここで怒っても話が進まない。
37名無し草:2005/04/26(火) 00:20:55
「・・・・・・私記憶障害らしくて何も覚えてないんだけど・・・」

ジト目でツインテールちゃんを睨んでみる。
一応ショックでかいんだぞ!

「え?・・・・・・ウソ!それ本気で言ってんの!?」
「ホントだよ。こんなことウソでいえないよ」

それから色々説明を交えてツインテールちゃんに話をした。
ツインテールちゃんも自分のことを話してくれて、
自分たちがホントに姉妹だということがわかった。
名前もメイリンということも聞いた。

「ほら、これがお姉ちゃんでこっちが私。パパとママはこれだよ」
「へぇ〜ホントだ!一緒に写ってる!」

私たちはメイリンの持っていたアルバムを見て、二人ではしゃいでいた。
さっきまでの険悪な雰囲気はどこにもなくて、
そこには仲のいい姉妹が居ただけだった。
そして少しずつだけど、私の失われた時間が埋められていく気がしていた。
たとえそれがただの知識だとしても、私はとても嬉しかった。

結局姉妹水入らずは昼食時も夕食時もバスタイムや就寝時まで続いた挙句、
メイリンと一緒のベッドで抱き合いながら眠りについてしまって
翌朝ミネルバクルーの失笑を買ったのは言うまでもない。
38名無し草:2005/04/26(火) 00:23:23
186 メイリン職人 2005/04/18(月) 22:56:44 ID:VGUdO7Rd
アスランSS 共闘!ジュール隊! PHASE01「苺ましまろ」

「今度、ジュール隊と共同戦線を張ることになったわ、それで一時的にミネルバに搭乗することになるから協力してちょうだい。」
それは唐突な戦友との再会だった

「久しぶりだな、アスラン。プラント以来か。」
「イザークも、元気そうだな。」
イザークはあいかわらず元気だった。口調はきついが根はいい奴だ。
「炒・・・ディアッカはいないのか?一緒じゃないのか?」
「あぁ、炒飯なら外をぶらついてる、ミ・・・なんとかを探すっていって飛び出したっきりだ。全く、戦争中だというのに!」
部下を炒飯言うなよイザーク、・・・・俺も言いそうになったけど・・・最後の言葉が耳に痛い
「それにしても変わったな、アスラン」
「そ・・・そうか!?」
「あぁ、前に会ったときはウジウジしてたからな、だが今のお前は別人だ。
やっぱりザフトにいるほうが合っているのか、それとも、別の何かか?」
「そ、それは・・・・」
「あ、アスランさん!こんなところに・・・ぁ、ジュール隊長・・・」
ルナマリアと待ち合わせしていたのだがイザークと話している間に時間が過ぎていたらしい。ルナマリアが迎えにきてくれたようだ
39名無し草:2005/04/26(火) 00:23:49
イザークに気づき慌てて敬礼をする
「お前があのザクのパイロットだったか。」
「はいっ、ルナマリア・ホークです。」
「お前の戦果は聞いている、今回の共同戦線も頼むぞ。」
そういうとイザークはきびすを返す
「炒飯を捕まえてくる、そして制裁だ。真っ赤に燃やしてやる!」
・・・・・・真っ赤?・・・・・・
「なんか、怖そうな人ですね、ジュール隊長」
「あぁ、だが、あいつは素直じゃないだけでいい奴だよ、俺が保障する。」
「そうなんですか?まぁ、強そうだし、頼れる隊長って感じはしますけど。」
「イザークは強いよ、白服は伊達じゃない」
「じゃあフェイスのアスランさんとどっちが強いんですか?」
「そんなの俺に決まってるじゃないか!」
「あははw自信たっぷりですね。じゃあこれから予定通り食事にいきましょ。」
イザークに聞かれてたら俺も真っ赤に燃やされたかもな
そう思いつつ俺とルナは食堂へ向かう
40名無し草:2005/04/26(火) 00:24:05
「あ、お姉ちゃんこっちこっち!」
食堂にはシンとレイとメイリンがいた。二人分の席を用意してくれてたみたいだ。だがシンの様子が少しおかしい
「シン、どうした?不機嫌そうだな。」
「なんでもありませんよ。」
「それがさっき、ジュール隊の隊長さんに貴様がインパルスのパイロットぉ!?とか言われちゃって・・・・
それでさっきからこうなんですよ。」
メイリンが事情を説明してくれる。イザーク・・・・
「あんなに偉そうな事言うんならジュール隊だけでじゅうぶんなんじゃないんですか?」
「シン!今回の戦闘は大規模だ、ジュール隊だけでなんとかできるなら共同戦線なんてやるわけないだろ?」
「はいはい、わかってますよ。白服のお手並み拝見してますよ。下っ端は援護してればいいんでしょ?」
シンは一番面倒なモードになっているらしい
「シン、いい加減にしろ。」
止めたのは俺ではなくレイだった。・・・・いたのか・・・・
「ッ・・・!!」
バツが悪そうにするシン。GJだレイ。今度からレイとセットで配置させよう
「編成は決まったんですか?ザラ隊長」
「いや、今考えてるところだ。最終的にはタリア艦長と相談するから決まり次第伝える」
「了解しました」
お前は軍人の鏡だな、レイ。だが絶対シンと組ませるから安心してくれ。
(私はアスランさんと同じなんですよね?)
(当然だろ?俺とルナはいつでも一緒さ)
「お姉ちゃん何話してるの?」
「あ、あ〜えっと、あとで射撃訓練の指導お願いしますって頼んでたのよ、少しでも精度あげたいし。」
「ふ〜ん。そうなんだ。」
とっさにごまかすルナ、まぁ射撃訓練はルナと一緒にするつもりだったからいいんだが。
41名無し草:2005/04/26(火) 00:24:34
パンッパンッパンッ!!
銃声が聞こえる、どうやら先客がいるようだな
「ふん、つまらん、やはり動かぬ的では練習にもならん。」
「否グゥレイト・・・必死こいてる俺の身にもなってくれよイザーク」
どうやらイザークと炒飯のようだ。無事に回収できたようだ
「炒・・・ディアッカ!」
「!よぅ、アスラン、元気そうだな」
振り向いた炒飯・・・・・顔が真っ赤に燃えていた・・・・
「うわぁ、ジュール隊長も射撃上手なんですね〜。」
「こんなのは遊戯にしかならん。できて当然だ」
イザークも俺と同じで最高得点を叩き出している。ちょっとヤキモチしてしまったがルナは俺一筋さ、大丈夫
「おやおや、なんか面白そうな展開ってやつなのかな?これは。」
「ハイネ!」
「そうか、もう一人フェイスに任命されたというのは聞いたことはあったがお前か。」
「ハイネ・ヴェステンフルスだ、ハイネでいい。よろしくな、イザーク。」
「ふん!行くぞ、ディアッカ!」
「あ、お、おい待てってイザーク!」
再び立ち去るイザークとそれを追う炒飯。
「?俺って毛嫌いされてんの?」
「もしかして、自分がフェイスじゃないから悔しいだけだったりして。」
・・・・意外と当たってるかもしれない・・・・さすがは女の勘ってやつなのか・・・ルナ・・・
「まぁ、あいつなら今にもフェイスになれるんじゃないの?俺でもなれたんだし。」
そう思うとフェイスって案外敷居が低いのかもしれない・・・どうなの議長?・・・
「じゃあ指導お願いしますね、アスランさん。」
「面白そうな展開と思ったがどうやら今度はお邪魔虫のようだな。じゃあ俺はレイとシンの面倒でも見に行くよ。」
さすがはフェイス、空気もしっかり読める。ハイネは踊りながら部屋をあとにした。
その後ルナの射撃の指導をしつつも今度の戦闘のことを考えていた・・・・。
連合だけでなく間違いなく同盟であるオーブも攻めてくるだろう。カガリはどうでもいいんだが正直しんどい
一応指輪型発信機もつけておいたが最近反応がない。死んだのならミラクルハッピーだがどうもいやな予感がする・・・
そういえば編成もまだだったな・・・・時間もあまりないのに・・・
42名無し草:2005/04/26(火) 00:25:08
チュ・・・

不意に頬が柔らかい感触に包まれた。この苺ましまろのような感触、どうやらルナにキスされたようだ
「アスランさん、大丈夫ですよ、どんな困難な道だろうと私達なら切り開いていけますよ。」
「ルナ・・・そうだな、二人一緒ならどこまでもいけるよな。」
どんなことがあろうとルナだけは俺が絶対に守り抜いてやる。そう心に誓い再び指導を始める。



・・・・・・・続く?・・・・・・


189 メイリン職人 sage 2005/04/18(月) 22:59:49 ID:???
ムシャクシャしてやった
ハイネとイザークが絡んでもいいと思った
次はあいつをがんばらせたいと思う
後悔はしていない


sage抜けてるよボケェ・・・_| ̄|○
みんな下げてくれぇ、ごめんよぅ
43名無し草:2005/04/26(火) 00:27:00
322 161 sage 2005/04/23(土) 23:33:53 ID:???
>>317-318
ワカタ、ここに投下しておくよ
今回もルナ視点なんで、変なトコがあったらスマソ

「今度の戦争の裏にも、間違いなく彼らロゴスがいるだろう。
 …彼らこそが、あのブルーコスモスの母体なのだからね」
 私とシン、レイ、そしてザラ隊長はデュランダル議長の話に聞き入っていた。
淡々と続く、戦争のお話…戦場で戦うことだけが戦争ではない、戦争はビジネスだ、って。
「アスラン、君はヘリオポリスを覚えているかな?」
「ヘリオポリス…ですか」
 それなら私も知っている。
今は亡きクルーゼ隊の一員として、ザラ隊長がコロニーの一つである
ヘリオポリスに潜入し、地球連合の開発した最新MS4体を奪取したことで有名だから。
 惜しくもストライクの奪取とメンバー1人を失うも、
イージス、デュエル、バスター、ブリッツ、4機のGを手に入れることができた。
 もし奪取に失敗していたら、その後のフリーダムやジャスティス、
カオス、ガイア、アビス、インパルス、セイバーを開発することもなかったかもしれない。
 それ程に、私達ザフトにとっては忘れがたい事件。
「君達が奪取した連合の4機のMS、あれはまさに脅威だった。
 誰もが恐怖したものだよ…連合のMSは化け物か、とね。
 だがあの4機の奪取に成功したからこそ、今の我々の技術力があるのも事実だ」
「議長、それは…」
 隊長の言葉が詰まる。
よく分からないけど、自分の言葉を選べない…っていう感じがする。
 やっぱり、結果的にヘリオポリスを壊滅させてしまったことを悔やんでるのかしら?
「無論、払った犠牲は大きかった…双方ともね。
 だがやっとヤキンの大戦の折、両者は互いの過ちに気づき、
 和解を進めたはずだったのだが…やはり、人間とは難しいものだよ」
44名無し草:2005/04/26(火) 00:27:25
「議長は…今回の戦争を仕掛けたのもロゴスだと仰いましたが…」
「ああ。十中八九、彼らが裏で手を廻しているのは間違いない。
 MSやMA、戦艦や戦闘機、戦車、ミサイル…これらを生み出し、売りさばくためにね。
 まさに死の商人だよ…こうしている間にも、次々と新たな機体が生産されている」
「…キリが、ありませんね」
「私は戦力の決定的差が、MSの性能の差によるものだとは思ってはいない。
 だが、これは飽くまで私個人の意見だ。
 事実、ザフトはジンに代わりザクやグフ、ズゴック、ドム、ギャンと言った
 新世代のMSの生産に勤しんでいる…戦争を終わらせるために、という名目でね。
 やっていることはロゴスも、我々も、そう大差ないのかもしれないな…」
「…」
 議長の仰ることも分かる。
実質、アカデミーで乗ってた訓練用のジンとザクじゃ、まるっきり性能が違うもの。
 つい自分が強い力を持ってしまったことを忘れて、試してみたくなる…そんな気分。
「だが、我々は学ぶこともできる。
 過去の過ちを修正することは不可能だが、
 これから犯そうとしている過ちは正すことができる…そうだろう?」
「過ち、ですか」
「アスラン、君は2年前の自分がしたことを過ちだと思うかね?」
 隊長は押し黙ったままだった。
私が閲覧できる隊長のプロフィール以外にも、彼にはまだ隠された秘密があるのかもしれない。
 隊長は時々、本当に私達の味方なのか…と感じてしまう違和感があるように。
「無理強いはしない。
 誰もが認めたくないはずだからね…自分自身の、若さ故の過ちというものを」
「私は…」
「気分を害したのなら、すまないと思う。
 だが、過去の過ちに囚われていては前進もできない。
 特に今はこんな状況だ…戦いとは、いつも二手三手先を考えて行うものだ…違うかな」
45名無し草:2005/04/26(火) 00:27:51
「それはそうかもしれませんが、私は…」
「だったら」
「ん?」
 シンが隊長と議長の会話に口を挟んだ…これで2回目ね。
すぐに意見したことを後悔したらしく、さっきみたいに慌てるシン。
 でも議長は咎める様子もなく、シンの方を見て笑った。
「何かな、シン」
「いえ、あの…」
「遠慮せずに言ってくれたまえ。
 先程も述べたが、君達前線に出る兵士の意見は貴重だ。
 アスランだけでなく、君の意見ももう一度聞いておきたい」
「…戦争を起こすのは、いつも大人じゃないですか」
「シン…」
 あの短気なシンが、真面目な顔をしてこんなコトを言う。
この子はオーブで家族を殺されてることも関係してか、戦争を忌み嫌う傾向が強い。
 特に大人に対して、どうして戦争を起こしたのか追求する節もあった。
「関係ない人達や、子供まで巻き込んで戦争して…金儲けなんて、どうかしてる!
 過ちとか、そんなの言い訳じゃないですか…そんな大人、俺が…俺が修正してやる!」
 この子は私以上に不器用。
こういう乱暴な物言いでしか、自分を表現できない。
 でも、間違ってるとは思わないし、否定もしない。
私達の知らないところで知らない誰かが、自分達の利益のために命を弄ぶ。
 そんなの、理不尽すぎて許せるワケがない。私もシンの意見に心の中で同調する。

***

「私、ちょっとヒヤヒヤしちゃいました」
「えっ」
「シンですよ。いきなり『修正してやる!』なんて言い出すから…」
46名無し草:2005/04/26(火) 00:28:11
「ああいうのを、若さ…と言うんじゃないのか?」
「はぁ」
 隊長も隊長なりに考えがあってのことだと思う。
だから、さっき議長の問いに答えなかった…私はふとそんなことを考えた。
 シンが代わりにあんなことを言い出したのは以外だったけど。
「君はこれからどうするんだ?」
「えっ」
「今日はホテルに泊まるんだろう?」
「えっ、えぇ…そのつもり、ですが」
 どうしよう、困ったなぁ。
思い切って食事に誘うべきかしら…あぁ、でもラクス・クラインも来てるんだったなぁ。
 絶対、私なんか相手にしてくれないわよね…。
「予定がないなら、少し付き合わないか?」
「…へっ?」
「食堂のバイキングなんだが…君はバイキングは嫌いか?」
「いっ、いえ、そんなことないですっ! 好きです、バイキング! 大好きです!」
 こっ、これは隊長からのお誘い…ってことでいいのかしら?
そうよね、そうに違いないわよね? だって、2人で夕食なんて…。
「何なら、シンも誘っ―――」
「あの子はバイキングとか嫌いだから来ないと思います!」
 うわ、嘘ついちゃった。ごめんネ、シン。
「そ、そうなのか?」
「そうなんです!」
「あ、あぁ…じゃあ後で部屋に迎えに行くから」
「はい、お待ちしてます!」
 あぁ〜こんなことならもっとお洒落な服、用意しておくんだった。
食事ってことは軍務外だから、やっぱり私服を着るべきかしら?
 あ、でもバイキングってことはソースとか付いちゃったらヤダなぁ…やっぱりこのままかな?
47名無し草:2005/04/26(火) 00:28:34
***

「隊長、美味しいですね!」
「あ…あぁ」
 隊長との夕食は順調に進んでいた。
私はイカリングやエビフライ、海鮮サラダを皿に盛って口に運ぶ。
 これまでが激戦続きだったので、久々に陸で食べられる食事は本当に美味しい。
それがザラ隊長と一緒なら、尚の事…正直、ミネルバのカツ丼定食にも飽きてきてたし。
「隊長? どうなさったんですか?」
「え」
「さっきから辺りを見回してるみたいですけど…」
「ちょ、ちょっとな(いや、ミーアに見つからないようにしたいだけなんだ…)」
「?」
 まぁ、隊長がそう言うなら隊長を信じることにする。
それにしても、今日はやたらとお腹の空く日だと思う。
 結局、いつもの赤服のまま着ちゃったけど、ベルトを緩めておいて良かった…。
「…あ」
「?」
 不意に隊長の視線に気づいた。
私の顔を見て、何やら言いたげなご様子…何だろう?
 ああ、それにしてもエビフライが美味しい。タルタルソースも絶品ね。
「ル、ルナマリア」
「はい?」
「言いにくいんだが」
「何ですか?」
「…口にソースが付いてるぞ」
「えっ…あ、ヤダ!」
 不覚! 隊長とエビフライに気を取られて、思わぬ失態を…ド、ドジった!
48名無し草:2005/04/26(火) 00:28:52
***

「それではハイネ、ミネルバを頼む」
「はっ」
「さすがにタリア、アスランに加え、
 君まであの艦に投入するのは、やり過ぎとも思ったが…戦況も戦況だ、察してくれ」
「ご命令とあらば」
 ホテルからの去り際、デュランダルはハイネと共にあった。
周りには誰もいない…人払いをする程までに、重要な会話なのだろうか。
「しかし、こんなに早くグフの性能を試せるとは思っていませんでしたよ」
「橙の巨星、グフイグナイテッド…か。期待している、ハイネ」
「連合の連中に、ザクとは違うってところを思い知らせてやりますよ」
「頼もしい限りだな」
 デュランダルがハイネに寄せる信頼は大きい。
ミネルバへの配属は当初は逃したものの、後々になって頭角を現してきたこの少年。
 常に割り切って戦えるドライさと揺ぎ無い自信が、武人として彼を強くするのだと思われる。
「しかしアイツ、最後まで答えませんでしたね」
「ん?」
「アスラン・ザラですよ。
 やはり、2年前に脱走したことや最近まで隠れていたことを気にしてるんでしょうか」
「はは、それもあるだろう。
 彼は彼なりに負い目を感じているのさ…セイバーを渡した時もそうだったがね」
「過去の呪縛、ってやつですか」
 デュランダルは間を置く。アスランは未だに迷い続けている…。
自分のやっていることが正しいのか、間違っているのか、と。だが、結果はいずれ自ずと解る。
「ったく、いつまで昔のコトを引きずるつもりなんだか」
「…坊やだからさ」
49名無し草:2005/04/26(火) 00:29:17
***

「隊長、海ですよ、海!」
「あぁ」
 夕食を食べ終えてお腹いっぱいになった私は
隊長と一緒に散歩がてらに夜の海岸線をゆっくりと歩く。
 意外にも、散歩に誘ってくれたのは隊長だったけど…どうしてかしら?
「夜の海も静かで素敵ですよね」
「暗いから、足元に気をつけろ」
「あは、大丈夫でっ…とっ、とっ!」
 やば、言ってる傍から…!

 ぽふっ

「…言ったはずだぞ、気をつけろと」
「す、すみません」
 間一髪、カッコ悪くコケそうになった私は隊長に助けられた。
倒れ方がアレだったから、隊長の手は私のお腹の辺りに添えられている。
 うわぁ、あんなにいっぱい食べるんじゃなかった…!
「た、隊長」
「ん」
「あ、あの、お、お腹…」
「あっ、ああ」
 私が何を言おうとしているのか理解したのか、隊長は慌てて手を引っ込めた。
星空の明かりでも解るくらいに顔を真っ赤にして、今更って感じで驚いている隊長…可愛いなぁ。
 もしかして、女に免疫がないのかしら? でもラクス・クラインとのこともあるし…。
「…どうでした?」
「えっ」
50名無し草:2005/04/26(火) 00:30:01
「その、私のお腹…出っ張ってませんでした?
 さっき、ちょっと調子に乗って食べすぎちゃったかな、って」
「いや、ふ、普通だと思うぞ…た、多分」
 多分? 多分じゃ困る。
私だって一応、ウエストには気を配ってるんだし(少なくとも、メイリンよりは細いわよ)。
「隊長」
「何だ?」
「私のお腹、もう一度触ってください」
「なっ…」
「両手で、後ろからお願いします」
「いや、でも…」
「失礼を承知でお願いします。
 部下のコンディションを把握するのも、隊長の務めだと思うのですが」
 自分で言うのも何だけど、かなりの屁理屈だった。
でもこの際だし、思い切って隊長に触ってもらうのも思い出作りってことで。
 でもなぁ、ホントに今日はちょっと食べすぎちゃったからなぁ…。
「隊長」
「…分かったから、そんな目で見ないでくれ!」
 あら、私どんな目つきしてたのかしら? まぁ、いいわ。
「じゃあ、お願いします」
「あ、あぁ」
 まるで危険物を取り扱うみたいに、隊長の手は震えている。
最初は触れることさえ躊躇いがち…でも、やっと決心が着いたのか
ゆっくりと暖かな2つの手が、私のお腹に添えられた。
「最近、栄養が偏っちゃって…肌荒れとか、気をつけてるんですけどね」
「そ、そう…なのか?」
「コーディネーターだからって、油断しちゃダメですから」
51名無し草:2005/04/26(火) 00:30:22
「で、どうですか?」
「えっ」
「私のお腹ですよ。感触とか、触り心地とか」
「感触とか言われても…(軟らかいとは思うが…)」
 でも、ちょっと声が上ずってる。
意外とこういうシチュに隊長は弱いのかもしれない。
 と言うよりは女性とあんまりこういう経験をしたことがないのかしら?
「何なら、もっと触ってみますか?」
「な、何を?」
「胸とか」
「かっ、からかうな!」
 うわ、耳まで赤い。
やっぱりこの人、こういうことに免疫ないんだ…可愛い♪
 普段はカッコいいけど、こういう時のギャップって何だか新鮮ねぇ。
「からかってなんか、いませんよ」
「だ、第一…セクハラじゃないか!(コレもセクハラっぽいけど)」
「私、ザラ隊長にならセクハラされてもいいかな〜なんて」
「馬鹿っ、軽々しくそういうことを言うもんじゃない!
 そういうのは好きな相手に言ってやれ! 興味本位で言っていいことじゃないんだ!」
 …真面目なんだ。
でも照れながらそういうことを言う隊長も、可愛く思えてしまう。
 隊長の責任感の強さは私も知ってるけど…もうちょっと、私を気遣ってくれたらなぁ。
「興味本位とかじゃないです…私、隊長のコト、好きですから」
「…じょ、冗談なんだろ?」
「そりゃあ、ラクス様に比べれば地味かもしれませんけど(胸とか、イロイロ…)」
「い、いや、そういうことじゃなくてだな…」
「ふつつか者ですが、今後とも宜しくお願いいたします!」
「お、おいおい…!」
52名無し草:2005/04/26(火) 00:31:06
***

 結局ゆうべは隊長に無理を言って、手を繋いで帰ってもらった。
隊長は女の子の手を握るのも恥ずかしいらしく、終始俯いたままだったのが印象的だった。
 でも隊長の意外な一面を見れた、ということで良しとしておくことにする。
これはかなり進展した、と見ていいかもしれない。まぁ、隊長の照れ屋さんぶりは見てて面白いし。
 が、隊長を朝食に誘おうとしたところ、ラクス・クラインと鉢合わせた。
彼女は薄く勝ち誇ったような笑みを浮かべ、その身体を誇示するが如く、
私の前に突き出して何事か皮肉を言っていた気がする(自動消去したけど)。
「隊長はゆうべ、ラクス様とた〜っぷりお楽しみでしたものねぇ〜」
「いや、だから違うんだ…!」
 これは私から隊長に対する皮肉だ。
彼の性格を見る限り、多分、彼女とは何もしていないとは思う。
 けど、私の中の女の部分が、少し嫉妬していたのも本当のコト。だから、少し意地悪したくなる。
「まぁ、隊長とラクス様は婚約者ですし〜」
「…どう言っても信じてくれないのなら、それはそれで構わないが」
 あ、マズイ。怒らせちゃったかしら?
せっかく昨日いい雰囲気になったのに、それを壊しちゃマズイわね、やっぱり。
 ここはフォローを入れて、今後のフラグ立ちのためにも点数を稼いでおかないと…ね。
「嘘ですよ」
「ル、ルナマリア?」
「私が隊長を疑うはず、ないじゃないですか」
「…本当にそう思ってるのか?」
「あ、何なら証明してさしあげましょうか?」
 そう言って私はつま先に力を込め、隊長の肩の手を置きながら背伸びをする。
「これでも私が嘘ついてる、って思いますか…?」
 直後、私は隊長が言葉を紡ぐ前に唇を塞ぐ。自分のそれと、隊長のそれを重ね合わせることで。
今はこんなズルイ方法でしか想いを伝えられないけど…いつか、もっと素直に伝えられる日が来ればいいのになぁ…。
53名無し草:2005/04/26(火) 00:31:34
332 161 sage 2005/04/23(土) 23:44:11 ID:???
ムシャクシャして書いた
アスルナならファーストやZネタを使ってもいいと思った
今は反省している
54名無し草:2005/04/26(火) 01:16:39
>>1
ご苦労!!
55名無し草:2005/04/26(火) 01:38:16
>>1
乙!

アスルナ(´д`*)ハァハァ
56名無し草:2005/04/26(火) 01:42:48
       _,. ---ァ‐_ニニ=ー
      ,. '´::::::::,r':/:::::::::::``丶、
   , - '::ー--::::!:/::::::::::::::::::::::::`丶丶、
  ,:'...:.: ..::: .:: .:::::ヾ::::::、::. :. :::::::::::::.. :ヽヾ:、
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 '/|::ヽ',::::::::!:ヽヽ、      / イ:', l:!
   Wヾ',::::::ヽ:ヽ`゙`  --一 /::、ヽl、
     |、ヽ::::ヽ、ヽ、   `´イ:::::::::',ヾ``
    ノ ヽlヽ:::ヽヾ:、`` ;ー' ヽ',ヽ:::::! ヽ
   /`丶ヽ `ヾ:、 ``/ヽ、 リ ヽ::!
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'´,. ---- 、::::::::::::``ートト、ヽ、
/:::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::,:、:::::ヾー``ヽ
:::,r:::::::::ヽ:::::::::',:::::r'  ヽ::::',ヾ:、`゙`
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57名無し草:2005/04/26(火) 07:55:01
凸さん凸さん
ルナと代表はどちらが具合が良かったですか?
58名無し草:2005/04/26(火) 09:08:00
              -‐ ''' "" ゛゛ '' ー-- 、.,,
     / 〃    /  /   `、                |
      / //     |  /       ヽ      |   l     │
     | //|    |│ /        ヽ l     ||  ||     /
     |  ||   |│| |二ー- 、    ヽl|    j||  ||   //|  /
        |ト、  | |│|論_`丶ヽ、  ||  /リ j|」  /川 〃
        ヽ!`、 | | | 「i 「 __ノヾミ   ||  / ̄|ル'T j//7 〃    俺はルナとしかやったことないからな・・・・
        /  | | | | ¬ー‐┴'     リ /   T___ノ丁=/ム'
        //  ヽ `、           j/   `ー ┴' / /
       //,' / 八ヽ、     ,'          / 〃
      // | /| /||l `、     /           / // / /
     〃  |/ |/ 川 ヽ     `          /// //イ/
      , -‐ T --─┤/ \   `´" 丶、      〃/ ///l/
    (  (   ∠二|/|  ヽ、  `       //// ///`ヽ
    |`ヽ、_ `丶、   `丶、__| ヽ      ,   '" ////┴─ヽ
    |   | ト 、  `` ーァー-- `二 ´───--'∠ _____
    |   | |   ``   iー-- ...__
59名無し草:2005/04/26(火) 22:20:25
             _,..- 、._  ,,. ____
         ,.-''"´     `"´   ``ヽ、
        , '´                `ヽ、
      , '´                   `、
      /                     ヽ
      / / ,  ,                  ヽ
    / イ/ / /   /  /|        |      ヽ
    /' ,',| ,'  l  イ  / |  /| /l  /|      、`、
     ,' |  ,  |  /| / |  / ,' / |  / |     ヽ i
    ,' ,|  | /| /__レ'__ | / ,'/___| /__ |   ,    i\j
    ,' |  イ /.|/=---、`レ'  ' '  j/--/ //    |`、
    ,  | / レ' |'(::::;;;::ヽ'    /i::;::::)丿/ ,   | |
   .l /|'| ヽ ト ゝ⊃ノ     ヽ--(つ / / |,  | |     、人_人_人_人_从_人_人_人_人ノし
   .レ',' |  人 | / / /  . . / / / / /  |,   | |    _ノ
      |  | /  ヾ、   r-───- 、  //    |  ハj    ) アスランの童貞は私が貰うはずだったんだ・・・
      | /|' l / \ ト/\/\/\| /ヽ  、 |  j |  -<  それを・・・それを・・・
     l ;' | イ/ '' ⌒\i _ ____ _ jイ⌒''ヽノ | | /     )  お前達ッ!!
     l' レ'|/     { ` 、.___._ /,,.}    `、∨レ'     `ヽ
        ,'      ヽ\_______//       、        冫⌒Y⌒V⌒V⌒Y⌒V⌒Y⌒V⌒ヽ
        ,'      i,      /     ,.  i,
       ,'   、   i,      /     /   |
       ,'    ノ     i,   /      〈    |
      ,'   /      ! ̄!┤      i    |
      ト 、  {      └'┴i       }   |
      | `` ヽ               ノ''"´´|
      |    ヽ            ノ|    |
60名無し草:2005/04/26(火) 23:47:15
AA劇場なら本スレでどうぞー
61名無し草:2005/04/28(木) 00:51:49
保守
62名無し草:2005/04/29(金) 20:32:15
保守
63名無し草:2005/04/30(土) 23:18:55
保守
64名無し草:2005/05/02(月) 06:34:08
保守
65名無し草:2005/05/03(火) 11:34:28
鯖落ちで、本スレが見れねぇーー
66名無し草:2005/05/03(火) 16:05:51
まったく困ったもんだ
いつ復活寸のかな?
67名無し草:2005/05/03(火) 16:23:21
鯖落ちしてんのかー
これを機に荒らし消えねーかな
68名無し草:2005/05/03(火) 16:57:30
また懲罰鯖逝きかな。
69名無し草:2005/05/03(火) 17:50:36
306 321@ショタルナ2人目 sage 2005/04/25(月) 16:33:22 ID:???
記憶喪失 第2回−1/5

「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
「ん?あぁ、なんともない」

アスランさんは先ほどの喧騒の後でも割と冷静だった。

「それよりも、ルナ。君はまだ休んでいたほうがいい。
 けっして万全な体調というわけではないんだから・・・」
「・・・・・・わかりました」
「さぁ、横になって」
「はい」

ゆっくりベッドに横になる。
でもさっきの出来事のおかげでゆっくり寝られそうもない。
70名無し草:2005/05/03(火) 17:52:25
500 161 ◆E2q4Je3dsw sage 2005/05/01(日) 03:49:06 ID:???
短編のつもりだったんだけど
長編になりそうなんで前後編にて投下。
アスルナ展開っぽい偽28話。




「シンとアスランは上空のオーブ軍及びカオスの迎撃にまわって!」
 ブリッジにタリア艦長のイラ立ち気味の指示が飛ぶ。
でも艦長が怒りを隠せないのも無理はないと思った…こんなヤバイ状況じゃ。
 ハイネが戦死したり、シンがガイアのパイロットを艦内に連れ込んだりと
色々慌しかったけれど、もうここまで来てしまったら腹をくくるしかない…そんな気分。
「レイとルナマリアはミネルバの…」
『艦長、私にズゴックを使わせてください!』
「えっ?」
『アビスに対抗できるMSは、ミネルバではズゴックだけです!』
『私からもお願いします、砲台が1人では少々厳しい戦いになるとは思いますが』
 正直、まだ一回も実戦で操縦していないズゴックに乗るのには躊躇いがあった。
でもザラ隊長…アスランさんが調整してくれたOSの力を、今は信じてみたい。
 前回の水中戦で、私とレイのザクはアビスに大敗した。今度は、負けられない。
「レイまで……分かったわ。
 ルナマリアはズコックに搭乗後、アビスを迎撃!
 恐らくレイの言う通り、厳しい戦いになるとは思うけれど…各自の幸運を祈る!」
 砲台役をレイ1人に押し付けるみたいで嫌だったけど、そんなこと言ってられない。
すぐさま私はもう一度OS画面を見直し、どこか不備がないかチェックを繰り返す。
『ルナマリア』
「ザラ隊長?」
 不意に隊長から通信が入る。
隊長のセイバーもシンのインパルス同様に上空の敵機迎撃のため、
ミネルバを離れなければならない。隊長の強さは私だって知っている…でも、今日は何だか胸騒ぎがした。
71名無し草:2005/05/03(火) 17:52:43
『ミネルバを頼む。君なら大丈夫だ、ズゴックの性能を信じろ』
「隊長、あの、私…!」
『どうした?』
「もし、ですよ?
 もしこの戦いに生き残れたら今度、ちゃんとしたデート…してくれませんか?」
 こんな大変な時に何を言っているんだ、と思われたかもしれない。
でも私は自分の直感を信じた。2度と隊長に会えないような、そんな気がしたから。
 以前にディオキアでデートした時は、半ば彼の弱みを握っていただけに
もっとちゃんとしたデートを改めて隊長としてみたい、と私は考えていた。
 だから今、私はあえてこの場で隊長に…アスランさんに想いを告げたの。
『…だったら生きろ』
「えっ」
『生きてくれ。俺個人の、アスラン・ザラとしての頼みだ』
「アスラン、さん…」
 隊長としてではなく、アスラン・ザラとして私に生きてくれ、と彼は言う。
それがどんな意味かは、生き残って、デートの時にでも聞けばいい。
 今は、隊長のその言葉が聞けただけでも満足だった。
「隊長もご無事で」
『あぁ』
 直後、通信は途絶えた。
隊長のセイバーとシンのインパルスはハッチから飛び出し、
オーブ軍の迎撃へと向かったらしい。私とレイも、そろそろ発進しなければならない。

『レイ・ザ・バレル…ザク、発進する!』
「ルナマリア・ホーク…ズゴック、出るわよ!」

 レイのブレイズザクファントムはミネルバ艦上で待機、
私のズゴックリーゾンは艦底付近にて待機し、襲い来るアビスを迎撃する!
72名無し草:2005/05/03(火) 17:53:07
「何だありゃ、新型かぁ!?」
 アビスのコクピット内で、アウル・ニーダは愉快そうに笑った。
あのミネルバという戦艦にあんなMSが搭載されていた、というデータは無い。
 恐らくは最近になって新たに搬入された新型機と見ていいだろう。
「へっ、赤いMSねぇ…そういやインド洋で、ボクにズタボロにされた奴がいたっけなぁッ!!!」
「(ミネルバはやらせない!)」
 ズゴックのモノアイが紅く輝き、遥か前方の機影…アビスを補足する。
このズゴックリーゾンはアビスとザクの発展系、まだ試作機だが今はこの機体に懸けるしかない。
「(!)」
「いっくぜぇ――――――――――ッ!!!!!」

 ドドドッ!!!

 先制攻撃を仕掛けてきたのはアビス。
両肩の高速誘導魚雷を発射し、巡航形態のズゴックを襲う。
 だがルナマリアの反応も素晴らしく、すぐさま頭部の8連装ミサイルにてこれを迎撃、
続けざまにMS形態へ変形して舞い上がった砂煙に紛れ、両腕のメガ粒子砲を撃ち放つ!
「いけェ―――――――――ッ!!!」

 ズオッ!!!!!

「うおわっ!?」
「当たった!」
 射撃が下手なルナマリアだが、さすがにアウルの油断も手伝ってか
メガ粒子砲はモロにアビスの背部を守る両肩部シールドに直撃した…が。
「ダメ、対ビームコーティングのシールドとフェイズシフト装甲が邪魔を!」
「のぉやろぉぉぉ、やったなァァァァ――――――――――!!!!!」
 水中なのも幸いして、アビスが受けたダメージは小破程度。
だがアウルの怒りの導火線に火をつけるのには十分で、俄然目の前の敵への憎悪が増していく。
「ブッ殺す!!!」
「来る…!」
73名無し草:2005/05/03(火) 17:53:26
 ルナマリアがアビスと交戦していた時、
アスランもまた新たな敵との交戦を余儀なくされようとしていた。
「フリーダム…キラッ!?」
 またしても乱戦のさなか、ミネルバの窮地をキラの駆るフリーダムが救った。
ミネルバのブリッジを強襲したムラサメのビームライフルを、フリーダムが叩き落したのだ。
 だがアスランは前回の戦いを忘れない。
タンホイザーを破壊し、数多くの整備員らの命とハイネが戦死する原因を作ったのはキラ。
 いや、それだけではない。
アスランにとってもそうだが、シンにとってもフリーダムは…。
「何なんだよ、何だってお前はいつも…!」
 滾る憎悪と殺意。
あの日、オーブが連合の攻撃を受けたあの日。
オーブがアークエンジェルを庇い立てしなければ、あの悲劇は起こらなかったかもしれない。
 そしてフリーダムがあんな場所で戦わなければ、家族は死なずに済んだかもしれない。
「お前はいつも、俺の居場所を奪おうとするんだ―――――――――――――ッ!!!!!」
「シンッ、よせっ!!!」
 アスランの抑止も聞かず、フリーダムに突進するフォースインパルス。
ただでさえフリーダムはNジャマーキャンセラー搭載型の最強機体だと言うのに。
しかもこの前はすれ違いざまに腕を切断され、何が何だか分からないままだった。
 しかし今回はぎこちなさはあるものの、シンはキラの攻撃を見事にかわしている!
「…この機体!?」
「当たらなきゃいいんだろ、当たらなきゃッ!!!」
 フリーダムのバラエーナ砲とライフルからのビームを凄まじい速度で
ことごとくかわしつつ、フォースインパルスのライフルが唸る。
 性能的に見れば、フリーダムが圧倒的な火力を誇る。
パイロットとしての素質もスーパーコーディネーターであるキラがシンを凌駕するだろう。
 だがそれは時に過信を生む。ヒトがヒトを越える瞬間、種子はその心に呼応して弾けた。
「お前が消えろっ、フリーダムッ!!!!!!」
74名無し草:2005/05/03(火) 17:53:43
「上はドンパチやってんなぁ。
 てめぇブッ殺して、あの艦沈めて、ボクも参加しなきゃねッ!!!」
「きゃあぁっ!!!」
 やはり水中戦はあちらが手馴れている分、こちらが不利だとルナマリアは悟る。
ズゴックの性能が決してアビスに劣っているワケではない。
 自分に足りないのは実戦経験…それも水中の。シミュレーターとは勝手が違う!
「へへへっ、カッコ悪ィ〜♪」
「(私がここでやられたら…)」
 MA形態とMS形態を巧みに使い分けて攻撃を加えてくるアビス。
アウル自身の持つポテンシャルの高さもあってか、かつてないまでの猛攻を受ける。
 ズゴックはフェイズシフト装甲で無い分、被弾による小破ダメージが大きい。
すでに頭部のミサイルは撃ち尽し、メガ粒子砲もかなりのエネルギーを食ってしまい、
あと1発…右腕のネイルの分しか撃つ事は敵わないだろう。どうする…どうする?
「(隊長との約束も…守れない…)」
「ボク相手にまぁまぁ頑張ったけどさぁ…ここまでだよッ!!!!!」
「(そんなの…)」
「逝っちまえよ、こらァァァァァァァ―――――――――――――――ッ!!!!!!!!!」
「(そんなの…絶対に嫌!)」

 パキィィィン!!!

「うあああああああああああッ!!!!!」
「往生際の悪い奴だなぁ!!!」
 MS形態から全弾発射されるアビスの攻撃に怯む事無く、
ルナマリアのズゴックはMA形態のまま突撃する。所々に被弾しつつも
そのモノアイはアビスの腹部、即ちアウルの搭乗するコクピットに狙いを定めていた!
75名無し草:2005/05/03(火) 17:54:00
「なっ…お、おいッ!? な、何でッ!?」
「私は、死なないっ!!!!!」

 ズギャッ!!!!!!!

「ぎっ…がああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
 伊達にルナマリアもザフトレッドではない。
アビスは全弾発射の後、機体の冷却と次弾のエネルギーチャージのために
わずかながら間を置かなければならず、すぐに反撃できないことはすでに承知している。
 遠距離攻撃がダメなら、一か八かの近距離攻撃、
敵機コクピットへの攻撃しかないと、あの場合は判断せざるを得なかった。
 深々に突き刺さったズゴックのアイアンネイルは、
アウルごとアビスのコクピットに相応のダメージを与えるには十分。あとは…。
「何だよ…コレ…? ボクの…お腹に…ゴフッ、何で、何で…ッ!?」
 ネイルの先端はアウルの腹を貫いていた。
亀裂から徐々に海水が浸入し始め、段々と意識が遠のいていくのがアウルにも理解できる。
 これが「死」なのだろうか。
以前、誰かに「死ね」と言ったら、ひどく怯えていた気もする。
 誰だっただろうか…それすらも思い出せない。全てが真っ白になりそうだった。
「母さん…怖いよ、怖いよぉ! 母さんッ、助けてッ! 母さん、母さんッ!!!!!」
 刹那、遠ざかる意識の中でアウルは母の姿を見た。
だが次の瞬間、その思い出を払拭するかのように閃光が視界に疾り――――――――。
「(母さ…)」

 ズオッ………ドゥンッ!!!!!!!!

 無情にもズゴック最後のメガ粒子砲が放たれる。
深淵を冠する蒼い機体は、轟音と共に海の底…奈落へと落ちていった。
76名無し草:2005/05/03(火) 17:54:33
「ズゴック・ルナマリア機より入電、アビスの撃破に成功した模様です!」
「よくやったわ!
 続けてミネルバに帰艦、ザクウォーリアに乗り換えて艦の援護を!」
『了解!』
 今でも、心臓がバクバク言ってる。
自分でも何と無茶をしたのか、と今頃になって思い始めてきた始末。
 アビスにはどんな人が乗っていたのだろう…いや、やめておこう。
そんなことを考えていたらキリがない。私の手は血で真っ赤…今更、後悔する資格すらない。
「(隊長、シン、レイ…!)」
 みんな上で頑張っている。
メイリンからの通信によるとまたフリーダムとアークエンジェルが現れたとも聞く。
 隊長とフリーダムのパイロット…キラとか言う人は知り合いらしい。
あの監視で、私の隊長に対する見方が随分と変わってしまった。
 アスラン・ザラ…貴方は、私達の敵? それとも味方?
…そんなこと考えてる場合じゃない。今は、ミネルバを守らないと!


「でぇえええええええええぃっ!!!!!」
「っ…!」
 シンのフォースインパルスとキラのフリーダム、両者の戦いは続く。
あまりにも差があり過ぎると思われたものの、シンは憎悪と殺意を力に変え、キラに立ち向かう。
 あの時は不覚にも腕を持っていかれたが、今度は違う。
声が聴こえるのだ…もう耳にへばりついて久しい、家族達の声が。
「お前があの時、少しでも自分の力を自覚していたなら――――――――」
 抜刀し、火花を散らすビームサーベル。
以前、シンはアスランに「力を持つ者なら、それを自覚しろ」と言われた。
 だが眼前の敵はどうか? その力で好き放題、やりたい放題ではないか。
「俺の家族だって、死なずに済んだかもしれないのにッ!!!!!」
77名無し草:2005/05/03(火) 17:54:43
508 161 ◆E2q4Je3dsw sage 2005/05/01(日) 03:59:34 ID:???
かなりムシャクシャして書いた。
ルナマリア専用ズゴックを活躍させたかった。
多分後編でも反省はしないと思う。
78名無し草:2005/05/03(火) 17:55:12
540 初心者@ sage 2005/05/02(月) 13:55:50 ID:???
これからエロパロ板で投稿するつもりだったものをここに貼ります。
どうやら向こうはエロ無しは駄目みたいなんで。


541 アスルナ看病編 sage 2005/05/02(月) 13:56:40 ID:???

クレタでの戦闘から数日後、ミネルバは戦闘のあった海域からいくらか離れたある港に停泊していた。
連合・オーブによる攻撃はミネルバに甚大な被害をもたらし、多くの犠牲も出た。
数日経った今でも、作業員による艦の修復・復旧作業はあわただしく続いている。フェイスであるアスラン
といえども仕事は山のようにあり、今も作業に徹していた。けれども、考えなければいけないこと、悩まなけ
ればならないことを他のことで紛らわしていることはアスラン自身も自覚していた。
あれから何時間寝ただろうか?目を閉じただけで戦闘の時のことが浮かび、とても眠れる精神状態ではなくな
ってしまう。破壊されるセイバー。沈むタケミカヅチ。そして悲しげに飛び去るストライクルージュ。
「・・・駄目だな。このままじゃ。」
アスランはコンピュータの電源を落として天井を見上げた。
(そういや今日はまだ食事もしてなかったな・・・)
もうすでに夕刻であるが、食欲はわかなかった。戦闘の後は決まってそうなのだが、今回は一番ひどい。
しかし水分くらいは採っておこうと思い、自室を後にした。
79名無し草:2005/05/03(火) 17:55:28
艦内の住居エリアは比較的被害が少ないが、閉鎖された通路もありアスランが普段使っている近場の休息場所
へは遠回りせざるを得なかった。しばらく歩いていると、前方の角から赤毛のツインテールの少女が曲がって
きたのが見えた。向こうもこちらに気づいたようで小走りに近づいてくる。
「アスランさん!お仕事は順調ですか?」
メイリンは普段と変わらず明るく話しかける。
「あ・・。あぁ、まぁ、結構片付いたよ。」
アスランは少し目線をそらした。艦内の仕事よりもっと大事な問題を先送りにしているので胸を張っては言え
ない。
「そういえば君のおかげで助かったよ。セイバーの撃墜ポイントにすぐ救助が来なかったら助からなかったか
もしれない。」
一応自力で脱出もできただろうアスランだが早く艦にもどって戦況、いや、アークエンジェルの動向が知りた
かった。メイリンはセイバーが撃墜されてすぐに救助を向かわせ、その旨をアスランに伝えていた。
「い、いえ!当然のことをしたまでです!皆には艦を守ってもらってるし、無事に帰ってきてほしいですから
。」
少し頬を染めて話すメイリンにアスランは少しばかり肩の力が抜ける感覚をおぼえた。この少女といい姉とい
い、人と打ち解けるのがうまく自然と周りの人間を和ませる。アスランはそんな姉妹をうらやましく思ってい
た。そういえばその姉はどうしているだろうか?ザクは大破。パイロットは重体だったものの今はだいぶ回復
したと報告は受けている。そんな考えをしているとふとメイリンの腕の中のものが目に入った。
「?・・・それは?」
メイリンの腕にはバスケットが大事そうに抱えられていた。可愛らしいハンカチがかぶせられていて中は見え
ない。
80名無し草:2005/05/03(火) 17:55:45
「あ!これですか?これはお姉ちゃんへのお見舞いです。お姉ちゃん果物好きだし街に出て買ってきたんです。
最近お姉ちゃん回復も順調でいっぱい食べるんですよ?」
クスクスと笑いながら話すメイリンだが、ザク大破を知ったときのショックは誰よりも大きかっただろう。そ
の上セイバーの撃墜もあり艦内で一番神経をすり減らしたのはメイリンかもしれない。アスランは今更ながら
ルナマリアの無事に感謝した。そういえば一度も顔を見せてない。ここ数日はほとんど誰ともまともに顔を会
わせてはいなかったが見舞いくらいはしておくべきだ。こんなことに気づかないほど自分は追い詰められてい
たのか。
「これから行くようなら俺も行っていいかな?」
「えぇ!!」
突然のアスランの申し出にメイリンは素直に驚いた。もともとリアクションが大きい娘なのだ。
「い、嫌ならまた別の機会に行くが・・・。」
あまりにメイリンが驚きをあらわにしたのでアスランも少し気が引けた。まあ急な話なのは自分でも分かる。
「ぜぜ全然駄目じゃないですよ!お姉ちゃん絶対喜ぶし!・・・・・あっ!」
何か思いつくやいなやバスケットを足元に置き胸のポケットからペンとメモ用紙を取り出すと通路の壁を机代わり
になにやら書き始めた。そしてその紙をバスケットの中に放り込み、ぐいとアスランにバスケットを持たせた。
「なっ??」
「アスランさんが私の代わりに行ってください!私昨日も行ったし!」
数歩下がり両手を後ろで組んでメイリンは微笑んだ。
「そんな!それは悪い!これは君が買ったものじゃないか。」
アスランは半ば強制的に持たされたバスケットをメイリンに返そうとした。
「じゃあ私からって言っといてください。あ〜そういえば艦長に呼ばれてたんだ〜!それじゃ、よろしくお願いし
ます!」
明らかに思いつきな言い訳を言うとメイリンはすぐさま走って行ってしまった。アスランは急な展開にただ取り残さ
れ、通路の真ん中でたたずむしかなかった。ガンダムの中でも戦艦の中でも早い展開についていけない男、アスラン。
81名無し草:2005/05/03(火) 17:56:00
「今日はメイリンやけに遅いわね〜。」
ベッドの上からルナマリアは近くのデジタル時計に目をやった。
「いつも同じ時間にくるのに・・・。」
顔を少ししかめて枕に頭を沈めた。窓もない部屋に一日中一人でいることは耐え難い苦痛である。それを妹との会話で
いくらか解消していた。ちなみにルナマリアは自室で療養中である。重体ではあったが現在はそれなりに回復している
し、ルナマリア以上の重体患者が医務室のベッドを埋め尽くしていた。一応医者が定期健診に来るし、ルナマリアは自
分の枕以外で寝ると寝つきが悪かったので自室療養を医務の人に嘆願され即承諾した。
「はぁ、おなかすいてきたな・・・」
そう嘆いていると
ビー!
という電子音が部屋に鳴り響いた。
「やっと来たわね〜。さっさと入りなさいよ。」
ベッドから降りるには松葉杖が必要でめんどうだったので大声で言う。しかし扉の向こうからは予想外の声が聞こえて
きた。
「あ、アスラン・ザラだけど。今、いいか?」
「あああああああアスランさん!?え、あ、いいですけど、ちょ、ちょっと待ってくださいね!」
そう言うと近くにあった鏡と櫛で髪を整え始めるルナマリア。アスランが部屋に入ったのはその15分後であることは言
うまでもない。
82名無し草:2005/05/03(火) 17:56:20
アスランは部屋に入るとバスケットをルナマリアに手渡し、ベッドの脇の椅子に腰掛けた。
「君の妹が君のために買ったものだ。本人は用事があって来られないらしいけど。」
その用事が明らかに思いつきによるものであることは容易に想像できたが、その真意を想像することは難しかった。どこま
でも鈍感な男、アスラン。
「あ、ありがとうございます。届けてもらって・・・。あ!フルーツですね。おいしそう!・・・あら?」
ハンカチを取ると二つに折られた紙切れが落ちた。
「何これ?」
開いてみると中には

     今回は譲ってあげるからたくさん甘えなさい

                           メイリン

と書かれていた。
「何が書いているんだ?」
実は気になっていたアスランは顔を近づけて覗き込もうとした。
「いいいいいいや、なんでもないです!レシートです!これ!」
ルナマリアは顔を真っ赤にして紙を枕の下に突っ込んだ。
(お見舞いの品だよな・・・。これって。)
当然の疑問が浮かんだアスランだったがそれを打ち消すようにルナマリアはしゃべり始めた。
「あの、アスランさんはその、今日も忙しかったんじゃないんですか?うちの妹が無理に届けさせちゃったみたいで・・・。」
妹のずうずうしさは実姉である自分が十分理解している。なにせ自分もそうだからだ。姉妹揃ってなのである。
「いや、俺も見舞いに来ようとしていたからかまわないよ。」
自室を出たときとは目的が変わってはいるが、自分で決めたのは事実だ。素直にそう告げた。
「そ、そうなんですか・・・。あの、ありがとうございます。私なんかのために・・・。」
顔を赤らめて俯きながら言うルナマリア。アスランはその普段と違うしおらしい様子にどきりとした。格好だって赤服では
なくパジャマだ。環境がここまで感じ方を変えるものなのか。それからはお互い言葉が出ずに変な間が流れた。
83名無し草:2005/05/03(火) 17:56:37
「・・・そういえば体は大丈夫なのか?」
静寂を破ったのはアスラン。
「はい、右腕と右足はまだ折れてますが体の打撲はもうほとんど治ってきてます。やっぱりコーディネイターは治りが早いん
ですかね?」
ナチュラルと比べたわけではないが重体の割りには早く治っているとルナマリア自身も感じた。
「そうか、よかったな。」
メイリンの笑顔が思い出され、自然とアスランにも笑みがうまれた。
「今はインパルス以外の機体もないし、ミネルバの戦力は無いに等しい。ゆっくり休めばいい。」
事実アスランは議長への被害報告とセイバー大破により詫び状を作成していたが、それを見る限りではこのミネルバはもはや壊滅
といってもよい状況だった。しばらくは航行すらできないだろう。
しかし、ルナマリアは顔を曇らせながら言った。
「・・・なんか、私がいなくても変わらないんじゃないんですか?全然落とせてないし・・・。」
前から悩んでいることだった。射撃が苦手、しかし前線に出るにはまだまだシンに劣る。自分の役目を精一杯やればよいのだが、
どうにも結果がついてこない現実。
「相手だって必死なんだから簡単にやられてはくれないさ。それに戦果は決して喜ばしいものじゃない。この前の戦いだって、
多くの人が死んでいるんだ。」
そう俯きながら悲しげに語るアスランは今まで考えないようにしていたことに思いを馳せた。戦場で撤退を呼びかけるカガリ。
それを振り切りミネルバに特攻をしかけるムラサメ。やはりキラ達のやり方には納得できない。戦争の犠牲をしかたがないで
割り切れないのはわかるし自分もそうだ。しかし割り切らなくても犠牲はでる。だから武力介入より効率的な政治的解決の道
に進んでほしかった。そして自分はより正しいであろうザフトの一兵士として被害・加害を最小にするつもりだった。行き着
く先が同じはずの自分とカガリの道はなぜこうもすれ違いを重ねるのだろうか?
84名無し草:2005/05/03(火) 17:56:58
数秒後唇は離れたが、両者とも無言だった。アスランはなぜあのような行動に出たか聞けずにいたし、ルナマリア自身も
なぜ自分があのような行動に出たかわからずにいた。ただ、ルナマリアはすでに覚悟は決めていた。
(そうよ!あのアイドルラクスは偽者だし、カガリ・ユラ・アスハはアスランさんといい感じっぽかったけど結婚しようと
するし、チャンスじゃない!恋愛において立候補は自由よね。)
ルナマリアは転んでも絶対ただでは起きないタイプだった。
「あ、あの!アスランさん!」
少し声が裏返り気味に突然話し出すルナマリアにアスランはぎょっとした。
「ど、どうした?」
先ほどのキスが実は事故だとか、寝ぼけていたとかそういう返答が一番楽なので期待するアスラン。
「カガリさんとはどこまでいったんですか?」
「はぁ?」
あまりに予想だにしない言葉にアスランは理解できない。
「だ・か・ら、カガリさんとはどこまでいったんですか?」
ようやく理解したアスランだったが素直に答えられる質問ではない。
「いや、そ、そんなこと言えないし、第一なぜ君に・・・」
当然のような返しにもルナマリアは動じない。
「私とキスしましたよね?今。だから、聞く権利があるんです!」
何を言っているのか分からないし、アスランはなぜかキラと話している気分に陥った。しかし、アスランは強く出られると
いつも押し切られてしまう天性のへたれ属性なので、今回も例によってしぶしぶ答えた。
「どこまでっていうか、その、指輪を渡して、それから・・・」
後半はほとんど聞こえなかったがそこは女の勘ですぐさまルナマリアにはわかった。
「キスまでですか?それなら余裕ですね!」
何が余裕なのかさっぱりなアスランだったがそこは聞き流すことにした。なにはともあれ彼女は元気なようだし、少なからず
自分は安心した。
85名無し草:2005/05/03(火) 17:57:34
「どうやら怪我も大丈夫そうだし俺はもういくぞ、ルナマリア。」
半ば呆れ気味に席を立つアスラン。
「ちょっと!私、片手使えないんですよ!せめてこの果物は切っていって頂かないと。」
少し頬を膨らます彼女にアスランは苦笑するとともに何か暖かさを感じた。多少強引ながらも自分を元気付けているような、
そんな気がした。


それからアスランはナイフで果物を黙々と切り始めた。初めはルナマリアの方を向いていたのだがあまりに彼女の視線が
気になるために今は背を向けている。室内にはシャリシャリという音だけがしていた。
「あの、アスランさん?」
「ん?」
少しだけ振り返るとルナマリアが口を開いた。
「・・・アスランさんは、もっと自分を信じていいと思います。自分を信じればいつかわかってもらえます。私はアスラン
さんについて行くって決めました。私も同じ道を行くのだから、たとえ間違っていたとしても、責任は二分されるでしょ?
一人で抱え込んでも辛いだけですよ?」

その言葉を聞いてアスランの手は止まった。いつも不安に感じていたこと。自分は正しいのだろうか?所詮は自分だって
人殺しだ。なにを今更といわれてもおかしくはない。偽善かもしれない。昔の自分は誰かに与えられた正義に従っていた。
戦争に勝つことが正義だと。でも今は違う。自分で決めた正義に従っている。しかしその意志は脆弱なものなのだ。自分
一人では支えきれないほどの責任が重くのしかかる。

「ど、どうしたんですか?私、ひどいこと言いました?」
「え?」
アスランは自分が涙を流していることに気づいた。自分の愛する人からは立場としても絶対に聞くことができない言葉。
それでも心のどこかで聞きたかった。自分の不安を分かち合いたかった。そんな言葉が他の人から出て悲しかったのかも
しれない。一人ではなくなったことが嬉しかったのかもしれない。アスランにはどちらかはわからず、ただ今は泣くこと
しかできなかった。


                                                           * おわり *
86名無し草:2005/05/04(水) 00:59:57
アスルナスレが復活してないんだけど・・・・
871:2005/05/04(水) 01:06:58
88初心者@:2005/05/05(木) 13:30:43
本スレ荒れてるんでとりあえずこっちに投下します。
ルナマリアのエリートへの固執とアスランの不安を解消しようと、
本編準拠で頑張ったつもりが後半完全な妄想になりました。
まあ実際本編でもルナは固執はしてないんだけどそこは許して。
89アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:33:08
あれから数週間後、ミネルバは現在クレタ島の港にてザフト軍と合流、補給にあたっていた。とはいうものの
艦自体はまだまだ元の姿とはほど遠い外観なので、今のところは艦の修復に手一杯のようだ。アスランはと
いうと整備する機体を失った今、ほぼ雑用的な仕事に回っていたが、先ほどパイロット集合の連絡を受け
ミーティングルームへと足を運んでいた。
艦内は少しずつだが元の整備されたものにもどりつつあり、艦内で作業するものにとっては非常に嬉しかった。
まだあちこちで修復の音が鳴り響いているが、その音も以前よりは遠くに聞こえるようになった。
しばらく歩いていると、通路の先に右腕・右脚に簡易ギプスをはめた赤毛のショートヘアーが目に入った。
(・・・ルナマリア・・・)
アスランの歩く速さは極端に遅くなった。現在ルナマリアは松葉杖なしで歩いている。なぜ松葉杖を使わない
のか?骨折が治りかけていて患部が足の大腿部であるから必要としないのか、ザフトのエリート、赤服として
の意地なのか。アスランにはそのどちらかはわからなかった。また、聞く勇気もなかった。
数メートル先にはルナマリアが歩いている。距離としては話しかけることは簡単だろう。だが、アスランは前回の件で
どうにもルナマリアに会わせる顔がなかった。キスをされた上に自分は涙まで流してしまっている。あのあとアスランは
気持ちの整理もつかないうちに逃げるように部屋を後にしていた。

「私はアスランさんについて行くって決めました。」

そう澄んだ瞳で語るルナマリアの顔が思い出される。後輩であり、まだ会ってからそう長いわけでもない。し
かし、自分を慕って多少なりとも理解してくれている。今会話すると、どうにも自分が今まで他人には決して
見せなかった弱い部分が出てしまいそうで、話しかけるなんてことはできそうもなかった。
90アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:34:24
まるで二人の距離は測られているかのように一定の距離を保ちつつ、アスランは通路を進んでいった。ルナマリア
が自分に気づかないように足音を消して歩いているうちに、アスランは自分がなにか無性に悪いこと(この場合
非常に女性が嫌悪するようなこと)をしている気分になって他の通路を通ろうかとも考えたが、かなり
遠回りになり時間に遅れてしまいそうだったのでやむなく現状を維持していた。もうすぐミーティングルームに着く。
「うわっ!!!」
突然後ろから声をかけられ、アスランはうわずった声をあげてしまった。声の主はルナマリアの妹、メイリンであった。
「え?」
ルナマリアもその二つの声に気づいてこちらを振り返った。
「なにお姉ちゃんをつけまわしてるんですか〜?」
「えぇ!?」
茶化すように話すメイリンと、自分のすぐ後ろにアスランがいたことと、それが今さっきのことではないことに
驚くルナマリア。
「ご、誤解だ!その、別に、これは・・・」
アスランがあわてて必死に弁解しようとした時、ルナマリアの向こう側の通路から長身で白服の女性が
歩いてくるのが見えた。
「タ、タリア艦長。」
そう言って敬礼すると、それに気づいた姉妹もすぐ姿勢を正し敬礼した。
「あなたたち、なにをやっているの?もうすぐ集合の時間でしょ?さっさと部屋に入りなさい。」
そう呆れ顔でいうと艦長は部屋に入っていった。
敬礼を解き肩の力を抜くと、ふいにルナマリアと目が合った。
「お、俺達も行こう。」
目をそらしながらいうアスランにルナマリアは納得のいかない顔をしながらも部屋に入った。
91初心者@:2005/05/05(木) 13:37:44
ミスった・・・。>>90は飛ばして読んでくれ。
92アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:39:22
まるで二人の距離は測られているかのように一定の距離を保ちつつ、アスランは通路を進んでいった。ルナマリア
が自分に気づかないように足音を消して歩いているうちに、アスランは自分がなにか無性に悪いこと(この場合
非常に女性が嫌悪するようなこと)をしている気分になって他の通路を通ろうかとも考えたが、かなり
遠回りになり時間に遅れてしまいそうだったのでやむなく現状を維持していた。もうすぐミーティングルームに着く。

すると、
「アッスランさん♪」
「うわっ!!!」
突然後ろから声をかけられ、アスランはうわずった声をあげてしまった。声の主はルナマリアの妹、メイリンであった。
「え?」
ルナマリアもその二つの声に気づいてこちらを振り返った。
「なにお姉ちゃんをつけまわしてるんですか〜?」
「えぇ!?」
茶化すように話すメイリンと、自分のすぐ後ろにアスランがいたことと、それが今さっきのことではないことに
驚くルナマリア。
「ご、誤解だ!その、別に、これは・・・」
アスランがあわてて必死に弁解しようとした時、ルナマリアの向こう側の通路から長身で白服の女性が
歩いてくるのが見えた。
「タ、タリア艦長。」
そう言って敬礼すると、それに気づいた姉妹もすぐ姿勢を正し敬礼した。
「あなたたち、なにをやっているの?もうすぐ集合の時間でしょ?さっさと部屋に入りなさい。」
そう呆れ顔でいうと艦長は部屋に入っていった。
敬礼を解き肩の力を抜くと、ふいにルナマリアと目が合った。
「お、俺達も行こう。」
目をそらしながらいうアスランにルナマリアは納得のいかない顔をしながらも部屋に入った。
93アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:41:12
ミーティングルームにレイとシンはすでに来ていて、他には先ほど入ったタリア艦長がモニター横の席に
座っていた。
「あと来てないのは・・・アーサーね。まったく。」
ため息まじりにそういうとコンピュータの電源をいれ、なにやら準備を始めた。
「っていうかメイリン、なんであんたがここにいるのよ!」
部屋に入った後に当然のようにアスランに寄り添いながら入ってきたメイリンを問いただすルナマリア。
パイロットの招集命令であるし、その連絡を各パイロットにしたのは他でもないメイリンだった。
「いいじゃない。別に。私、見学するだけで邪魔しないし。」
そういうとさっさとシンとレイに声をかけに行ってしまった。
「まったく・・・。」
腰に左手を当て、呆れた表情で妹の後姿を見つめる。
(・・・他には誰かいないでしょうね)
そう周りを見渡すと、
((あ。))
偶然にも壁に寄りかかって腕組をしているアスランと目が合ってしまった。二人の間に気まずい空気が流れる。
あれからろくな会話もしていない。しかし、お互い話したいこと、知りたい気持ちはあった。
「「・・・・・・あの」」
同時に話しかけお互いが言いよどんだとき、扉から勢いよく人が駆け込んできた。
「お、遅れてすいません〜!!」
落ちそうになる帽子を片手でおさえ、息を切らしながら入ってくるアーサー。
「あなた、今まで何をしてたの?」
端末から顔をあげ、厳しい目つきでにらむタリア。
「行く道行く道、閉鎖されてて、なかなか、たどり着けなかったん、ですよ〜。」
いまだ肩で息をしながらたどたどしく話すアーサーに、部屋の全員がため息をついた。
「もういいから、その息を止めてちょうだい。そろそろ回線が開くわ。」
94アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:42:15
「えぇえ!!?」
冷徹に言うタリアに、アーサーは相変わらずといっていいほどの大きなリアクションをとった。
部屋の正面の大きなモニターに電源が入ると、通信の画面へと切り替わった。
「あななたち、そこに並んでちょうだい。デュランダル議長からあななたちにお話があるそうよ。
 議長もお忙しい人だから30分しか時間はとれないけれど、心して聞きなさい。」
4人がモニターの前に並び、しばらく待っていると椅子に腰掛けたデュランダル議長が映し出された。
全員が敬礼する。
「みな、クレタでの戦闘は非常に大変なものだったようだね。とりあえず、パイロットの君たちが無事でなによりだ。」
そういうと議長は少し微笑んだが、すぐに目を細めて言った。
「しかしながら、死者も多数出た上にミネルバの損害は甚だしい。オーブ軍は相当数の戦力を先の戦いに注いだようだ。
 そして・・・」
少し間をおくと、画面の議長はアスランの方に目線をむけた。
「アークエンジェルの介入。そしてフリーダム。代表もいたようだが、なにか話は聞いているかね?アスラン。」
議長の質問に3人の視線がアスランに集まる。シンは明らかに不機嫌そうな顔をしてアスランをにらんでいる。
「・・・彼ら、アークエンジェルの考えていることはもうわかりません。戦争を止めようとしているのはわかりますが、
 その方法はあまりに無謀です。」
悲しく語るアスランにルナマリアは胸がつまる思いだった。
「そうだね。彼らの行動はあまりに馬鹿げている。しかし、君の機体、セイバーは君の親友が駆るフリーダムに落とされた。
 彼らには止めることができるほどの力があるのだよ。・・・特に、キラ・ヤマトには。」
そう語る議長は意味深な微笑を浮かべた。
「その中で、シン・アスカ。君の活躍も聞いているよ。彼の攻撃を振り切り、相手戦艦を落としたそうだね。その上、
 無傷の帰還を果たした。」
「あ、ありがとうございます!!」
シンは頬を染めながら喜んだ。議長に褒められると、やはりカガリの言うことは上の立場からの奇麗事であり、自分は正し
かったと確信することができた。そして自分の力が認められたという充足感。
95アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:43:33
「とにかく、新しい機体については一考するとしよう。向こうの被害もただならぬものだろうし、しばらく戦闘はないだろ
う。ゆっくり休みたまえ。」
「「「「はい!」」」」
4人が敬礼した頃には時間は約束の30分を経過しようとしていた。タリアが通信を切る準備をしようとすると、
「タリア艦長、君も本当によくやった。ご苦労様。」
そうタリアに微笑む議長の顔が映し出され、向こう側から回線は切られた。

しばらく部屋に沈黙が流れる。しばらくしてタリアが端末に目を落としながら言った。
「議長がおっしゃられたとおり、パイロットは全員これより休暇・休養とします。それでは、解散!」
そういうとさっさと部屋を出て行き、後を追うようにアーサーも出て行った。
どうやら赤くなった顔を見られたくなかったらしい。彼女もまだまだ可愛いところがある。
ようやく肩の力が抜けたと思った矢先に、シンがアスランに近寄ってきた。
「あの、隊長!聞いていいですか?」
少し眉間にしわを寄せたシンの様子からだいたい予想はついたがアスランは頷いた。
「ほんと、何なんですか?あいつらは!戦場でごちゃごちゃと!隊長の昔の仲間なんですよね?」
「ちょ、ちょっとシン!?」
今にも掴みかかりそうなシンの勢いにルナマリアが制止に入る。
「アスハは何を考えてるんだ!まったく。だから奇麗事なんだよ!あいつの言ってることは!」
「やめるんだ、シン。」
もはや質問ではなく文句になっているシンを諫(いさ)めるレイ。
「俺も・・・」
重たげに口を開くアスランにみんなの動きが止まった。
「俺もそう思う。だからシン。お前は、お前の思うように任務を遂行しろ。俺からはそれしか言えない。」
目線をおとして話すアスラン。
「そ、そうですか。じゃ、好きにやらせてもらいますけどね!」
96アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:44:58
いつもと反応の違うアスランに気が引けてしまったのか、シンもそれ以上は何も言わなかった。そして重たい空気が
流れた。
「あの〜・・・」
4人の後ろのほうから声が聞こえた。みなが振り返る。
「みんなこれから暇ってことだよね?んじゃ、みんなでどっか行かない?」
肩を竦(すく)めながら提案するメイリンに4人は目を見合わせた。
「・・・俺はパス。これからステラの見舞いに行くから。」
シンはオーバーに両手を広げて言った。
「私もシンと一緒に行きます。」
そう言うレイにシンは少し驚いたが、自分が問題行動を起こすと決まってレイが監視するかのように自分に張り付くのは
軍学校からお決まりだった。
(俺って信用ないな・・・)
と思ったが先ほどアスランにくってかかった手前、なにも言い出せなかった。
「っていうかメイリン、あんたは別に休暇じゃないんじゃないの?」
そもそもなぜこの場にいるのかすら疑問な妹に尋ねるルナマリア。
「私はもうとっくに艦長から休暇いただいちゃってるもんね〜。」
軽く舌を出して答えるメイリン。アスランの隣の今にも引っ付きそうな位置にいる。
(・・・もしかしてこの娘、アスランさんの予定を探るために来たんじゃないでしょうね?)
目を細めるルナマリアを尻目にメイリンは上目遣いにアスランを見上げて言った。
97アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:45:37
「アスランさんは暇ですよね?島に降りてみましょうよぉ。」
「あ、あぁ。まあ、別にこれといって予定はないが・・・」
女性の甘えた仕草にどきどきしながらアスランは素直に答えた。
「じゃ、決まり!お姉ちゃんは・・・その足じゃ、無理だよね〜。それに腕も。かっこ悪いもんね!」
満面の笑みで悲しげに(?)話すメイリンにさすがのルナマリアも黙ってはいなかった。
「・・・行く。絶対、行く。」
静かで、それでいて闘気に満ち溢れたルナマリアに、シンとレイは鳥肌が立った。
「あ、そ〜。まあ、いいんじゃない?それじゃ行きましょ、アスランさん♪」
「お、おい!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!メイリン、あんた引っ付きすぎ!」
そのままアスランは姉妹に両脇からかかえられるように引きずられて部屋を出て行った。


「レイ、あのさ、俺、もう少しだけ隊長に優しくしようと思う。」
「・・・・・・・」
嵐の過ぎ去った部屋で、シンは静かにレイに告げた。
98アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:46:45
ギリシャ最大の島、クレタ。一年を通して温暖なこの地域の気候は、訪れるものすべてを癒してくれる。
そのためか有数のリゾート地であり、今も多くの人でにぎわっている。ミネルバが現在停泊しているクレタ島
最大の港町イラクリオンとその周辺には、多くの遺跡が残されており観光地として最も栄えていた。
「うわ〜すっごい綺麗!!!」
「へぇ〜いいところね。」
海岸線を走る車の中で子供のようにはしゃぐメイリンと、潮風に髪をおさえるルナマリア。アスランは運転手をしている。
助手席争いでひと悶着あったのだが、呆れたアスランが車にのるやいなやエンジンをかけて出発しようとしたので
結局二人とも後部座席に座っている。二人とも可愛らしい格好をしていて、普段軍服しか目にしないアスランには
とても新鮮に見えた。ルナマリアの右腕と右太腿の簡易ギプスは単なる包帯へとグレードアップ(強度の面から言うと
明らかにグレードはダウン)していた。これもファッションに気を使う女の子の意地なのだろうか。

「ねぇ!次はどこ行く?」
「次はねぇ〜・・・」
「!!」
メイリンとルナマリアのショッピングにさんざん付き合わされたアスランはこの二人がまだ行きたい所があることが信じ
られなかった。人付き合いの苦手な自分がこの天真爛漫な姉妹を連れて買い物に出ること自体がそもそもの間違いだった
のだ。
「少し、落ち着いた場所はないのか?」
まだ日も落ちてはいないし、この二人が満足しているとも思えなかったので最低限静かで落ち着ける、それでいて
これ以上荷物の増えないような場所に行きたかった。
「じゃあここは?クノッソス宮殿。ここから一番近い遺跡だって。」
メイリンがここにきて一番最初に購入したガイドブックに目を落としながら言った。
「ここってミノタウロスの伝説で有名なとこで、ラビリンス(迷宮)って呼ばれてるらしいよ。」
「なんか面白そうね。じゃあアスランさん、お願いします!」
アスランはため息をついたが、今までの中では一番ましだろうと思い、アクセルを踏んだ。
99アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:47:40
「へぇ〜おっきいとこだね、お姉ちゃん。」
「なんか、本当に迷子になりそう・・・。」
「・・・・・」
アスランは先ほどに比べて静かな場所で内心ほっとしたが、この巨大な遺跡をくまなく歩きまわされると思うと少し
眩暈がした。
「それじゃ、行きましょうか!」
そういうとルナマリアはアスランに腕を絡ませて引っ張るように歩いていった。
「あ!お姉ちゃん、ずるい!」
遅れを取ったメイリンがそのあとに続く。アスランはあの元気で、明るく、強引なザフトの現歌姫が二人いるかのような
錯覚を覚え、歩く前から疲労感を感じずにはいられなかった。

クノッソス宮殿は紀元前に建造され現代に発掘された遺跡なので、もはや過去の原型はとどめておらずあちこちが崩れた
状態である。しかし、室内のような空洞も残されており、そのなかには古代人の壁画も多い。
「うわ〜これすごい!どうやって描いたんだろ?」
メイリンは物珍しさからかずいぶんと興味津津に壁画を眺めている。
「「・・・・・・・・・・」」
先ほどから妹への対抗心でアスランに大胆な行動をとってきたルナマリアだったが、いざこうしてあらたまってみると
会話が出てこなかった。何から話せばいいのか。自分は何を話したいのか。そんなものは決まっている。アスランの気持ち
が聞きたかった。別に自分をどう思っているのかではなく、あの時何を感じ、何に涙したのかを。まあできればどう思っ
ているのかも聞きたいけど。・・・・・・いや、むしろそっちのほうが聞きたい。うん、聞こう。
17歳の女の子にしてみれば当然といえば当然だった。
「あ!アスランさん、こっちのほうに・・・え!!」
メイリンのいない方へ少し駆け出した先の足元がふいに崩れ、アスランの視界からルナマリアが消えた。
「お、おい!ルナマ・・・」
そういって駆け寄ったアスランの床も抜け、気づいたときには上れない高さに元いた床が見えた。
100アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:48:25
あれから数十分、メイリンを呼んでも応答はなく、助けが来る様子はなかった。周りは暗くてよく見えなかったがどうやら
出口らしきものは見当たらない。エマージェンシーでミネルバに救助信号を送るのだけは絶対に嫌というルナマリアには
アスランも同感だった。これではシンと変わらない。ルナマリアと並んで座っていると、目が慣れてきたのか今では顔も
はっきりとわかる。
「あ、あの、こんな時になんなんですけど・・・。」
ルナマリアは顔を動かさずに静かに言った。アスランも話さなければいけないことは十分自覚していたので、相手をこれ
以上待たせないためにも自分から言うことにした。
「・・・俺は、正直どうしていいかわからない。」
予想外の相手からの言葉に驚きながらも、瞬時にその言葉は理解した。
「カガリには前大戦から支えてもらってお互い心が惹かれ合った。そして俺は彼女を、彼女の守るべきものを守ると誓った。
だけど、俺一人の力じゃ、それら全てを守るなんてできなかった。いや、今でも守ろうとしているが、なぜか彼女の協力が
得られない・・・。本当に今、俺は一人なんだ。」
孤独ゆえの寂しさ、不安がアスランの中で溢れていた。それは、人の命を背負っているからなおさら大きい。
「だから君がついてきてくれると言ったとき、心が救われたようだった。でも、悲しくもあった。カガリは、今のカガリ
は・・・」
そこまでいうと突然ルナマリアが抱きついてきた。首の後ろに両手を回されている。女性特有の甘いにおいがした。
「ルナマリア・・・」
「別にいいんです。カガリさんを信じたままで。お二人の絆はそんなにもろいとも思いません。・・・ただ、私がいるとい
うことも忘れないでください。私は逃げ場ではなく、新しい道だと思ってください。」
そう言って腕を緩めるとアスランの顔の正面に向き直った。ルナマリアの目は信じるものの目をしている。迷いも、そこに
はなかった。少しずつ、ゆっくりと、一定に保たれていた二人の距離は、お互いに縮めあい、そしてゼロになった。
101アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:48:51

落ちてから2時間ほど経過したが、助けも来なく、本当に困り果ててしまっていた。いや、この空間、空気が、どうしよう
もなく気恥ずかしくて耐えられなかった。まだ二人は10代の少年・少女である。
「はあ、もうエマージェンシーしちゃおっかな・・・。」
そう言いながらルナマリアは頭を軽く壁にぶつけた。
「・・・・・・・あら?」
「どうした?」
急に壁から頭を離したルナマリアになんとか上れないか考えていたアスランが反応した。
「いや、この壁、すごい薄いような・・・。」
そういって拳を作って軽く小突くと、どうも響きがいい。そして、アスランが助走をつけて蹴ってみると、壁はいとも簡単
に壊れ、外へと繋がった。
「出口がないなら作ればいい・・・か。」
なにか、今の自分の閉鎖的な状況を打破する解決策を比喩しているかのようで、じっとアスランは出口から漏れる光を見つ
めていた。
「いいんですか?文化財を壊しちゃって・・・。」
ジト目でルナマリアが言った。
「世界の平和には変えられないだろ?」
そういって肩を竦めるとルナマリアは笑っていた。本当に久しぶりかもしれない、冗談を言うのは。
すぐ出ようとしたが、ルナマリアはその場から動こうとしない。どうやら落ちた衝撃でまた脚を痛めたらしい。
しかたがないのでおぶって外に出て車のある駐車場へと向かった。
102アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 13:49:29

「そういえば気になったんだが・・・」
「?、なんですか?」
背中に伝わる感触と、耳元で囁かれるくすぐったさに顔を赤らめながらアスランは尋ねた。
「なぜ艦内でも松葉杖を使わないんだ?」
ふとした疑問をここで聞いてみた。
「どうしてだと思います?」
「・・・エリートの赤服としての意地かなにかか?」
なんとなく可能性の高そうなほうを答えてみた。
「違います。単に皆を心配させたくなかっただけです。メイリンも、アスランさんも。それに・・・」
そこまで言うとルナマリアはアスランの耳元で小声で囁いた。
「アスランさんのためなら、私、赤服も脱ぎますよ?」
「な!!!それはどういう・・・」
顔を真っ赤にして尋ねようとしたアスランの耳に自分の車から無線機の呼び出し音がしていることに気づき、すぐさま
応答した。
「あ、ザラ隊長ですか?こちらミネルバです。」
「なにか緊急事態か?」
少し緊張した面持ちで聞くアスラン。
「いえ、その、隊長の車の北東50mからメイリン・ホークのエマージェンシー信号が出ているので是非救助に向か
ってほしいのですが・・・。」
                                  

                                                          * おわり *
103アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:35:42
あれから数週間後、ミネルバは現在クレタ島の港にてザフト軍と合流、補給にあたっていた。とはいうものの
艦自体はまだまだ元の姿とはほど遠い外観なので、今のところは艦の修復に手一杯のようだ。アスランはと
いうと整備する機体を失った今、ほぼ雑用的な仕事に回っていたが、先ほどパイロット集合の連絡を受け
ミーティングルームへと足を運んでいた。
艦内は少しずつだが元の整備されたものにもどりつつあり、艦内で作業するものにとっては非常に嬉しかった。
まだあちこちで修復の音が鳴り響いているが、その音も以前よりは遠くに聞こえるようになった。
しばらく歩いていると、通路の先に右腕・右脚に簡易ギプスをはめた赤毛のショートヘアーが目に入った。
(・・・ルナマリア・・・)
アスランの歩く速さは極端に遅くなった。現在ルナマリアは松葉杖なしで歩いている。なぜ松葉杖を使わない
のか?骨折が治りかけていて患部が足の大腿部であるから必要としないのか、ザフトのエリート、赤服として
の意地なのか。アスランにはそのどちらかはわからなかった。また、聞く勇気もなかった。
数メートル先にはルナマリアが歩いている。距離としては話しかけることは簡単だろう。だが、アスランは前回の件で
どうにもルナマリアに会わせる顔がなかった。キスをされた上に自分は涙まで流してしまっている。あのあとアスランは
気持ちの整理もつかないうちに逃げるように部屋を後にしていた。

「私はアスランさんについて行くって決めました。」

そう澄んだ瞳で語るルナマリアの顔が思い出される。後輩であり、まだ会ってからそう長いわけでもない。し
かし、自分を慕って多少なりとも理解してくれている。今会話すると、どうにも自分が今まで他人には決して
見せなかった弱い部分が出てしまいそうで、話しかけるなんてことはできそうもなかった。

104アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:36:14
まるで二人の距離は測られているかのように一定の距離を保ちつつ、アスランは通路を進んでいった。ルナマリア
が自分に気づかないように足音を消して歩いているうちに、アスランは自分がなにか無性に悪いこと(この場合
非常に女性が嫌悪するようなこと)をしている気分になって他の通路を通ろうかとも考えたが、かなり
遠回りになり時間に遅れてしまいそうだったのでやむなく現状を維持していた。もうすぐミーティングルームに着く。

すると、
「アッスランさん♪」
「うわっ!!!」
突然後ろから声をかけられ、アスランはうわずった声をあげてしまった。声の主はルナマリアの妹、メイリンであった。
「え?」
ルナマリアもその二つの声に気づいてこちらを振り返った。
「なにお姉ちゃんをつけまわしてるんですか〜?」
「えぇ!?」
茶化すように話すメイリンと、自分のすぐ後ろにアスランがいたことと、それが今さっきのことではないことに
驚くルナマリア。
「ご、誤解だ!その、別に、これは・・・」
アスランがあわてて必死に弁解しようとした時、ルナマリアの向こう側の通路から長身で白服の女性が
歩いてくるのが見えた。
「タ、タリア艦長。」
そう言って敬礼すると、それに気づいた姉妹もすぐ姿勢を正し敬礼した。
「あなたたち、なにをやっているの?もうすぐ集合の時間でしょ?さっさと部屋に入りなさい。」
そう呆れ顔でいうと艦長は部屋に入っていった。
敬礼を解き肩の力を抜くと、ふいにルナマリアと目が合った。
「お、俺達も行こう。」
目をそらしながらいうアスランにルナマリアは納得のいかない顔をしながらも部屋に入った。
105アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:36:46
ミーティングルームにレイとシンはすでに来ていて、他には先ほど入ったタリア艦長がモニター横の席に
座っていた。
「あと来てないのは・・・アーサーね。まったく。」
ため息まじりにそういうとコンピュータの電源をいれ、なにやら準備を始めた。
「っていうかメイリン、なんであんたがここにいるのよ!」
部屋に入った後に当然のようにアスランに寄り添いながら入ってきたメイリンを問いただすルナマリア。
パイロットの招集命令であるし、その連絡を各パイロットにしたのは他でもないメイリンだった。
「いいじゃない。別に。私、見学するだけで邪魔しないし。」
そういうとさっさとシンとレイに声をかけに行ってしまった。
「まったく・・・。」
腰に左手を当て、呆れた表情で妹の後姿を見つめる。
(・・・他には誰かいないでしょうね)
そう周りを見渡すと、
((あ。))
偶然にも壁に寄りかかって腕組をしているアスランと目が合ってしまった。二人の間に気まずい空気が流れる。
あれからろくな会話もしていない。しかし、お互い話したいこと、知りたい気持ちはあった。
「「・・・・・・あの」」
同時に話しかけお互いが言いよどんだとき、扉から勢いよく人が駆け込んできた。
「お、遅れてすいません〜!!」
落ちそうになる帽子を片手でおさえ、息を切らしながら入ってくるアーサー。
「あなた、今まで何をしてたの?」
端末から顔をあげ、厳しい目つきでにらむタリア。
「行く道行く道、閉鎖されてて、なかなか、たどり着けなかったん、ですよ〜。」
いまだ肩で息をしながらたどたどしく話すアーサーに、部屋の全員がため息をついた。
「もういいから、その息を止めてちょうだい。そろそろ回線が開くわ。」
106アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:37:17
「えぇえ!!?」
冷徹に言うタリアに、アーサーは相変わらずといっていいほどの大きなリアクションをとった。
部屋の正面の大きなモニターに電源が入ると、通信の画面へと切り替わった。
「あななたち、そこに並んでちょうだい。デュランダル議長からあななたちにお話があるそうよ。
 議長もお忙しい人だから30分しか時間はとれないけれど、心して聞きなさい。」
4人がモニターの前に並び、しばらく待っていると椅子に腰掛けたデュランダル議長が映し出された。
全員が敬礼する。
「みな、クレタでの戦闘は非常に大変なものだったようだね。とりあえず、パイロットの君たちが無事でなによりだ。」
そういうと議長は少し微笑んだが、すぐに目を細めて言った。
「しかしながら、死者も多数出た上にミネルバの損害は甚だしい。オーブ軍は相当数の戦力を先の戦いに注いだようだ。
 そして・・・」
少し間をおくと、画面の議長はアスランの方に目線をむけた。
「アークエンジェルの介入。そしてフリーダム。代表もいたようだが、なにか話は聞いているかね?アスラン。」
議長の質問に3人の視線がアスランに集まる。シンは明らかに不機嫌そうな顔をしてアスランをにらんでいる。
「・・・彼ら、アークエンジェルの考えていることはもうわかりません。戦争を止めようとしているのはわかりますが、
 その方法はあまりに無謀です。」
悲しく語るアスランにルナマリアは胸がつまる思いだった。
「そうだね。彼らの行動はあまりに馬鹿げている。しかし、君の機体、セイバーは君の親友が駆るフリーダムに落とされた。
 彼らには止めることができるほどの力があるのだよ。・・・特に、キラ・ヤマトには。」
そう語る議長は意味深な微笑を浮かべた。
「その中で、シン・アスカ。君の活躍も聞いているよ。彼の攻撃を振り切り、相手戦艦を落としたそうだね。その上、
 無傷の帰還を果たした。」
「あ、ありがとうございます!!」
シンは頬を染めながら喜んだ。議長に褒められると、やはりカガリの言うことは上の立場からの奇麗事であり、自分は正し
かったと確信することができた。そして自分の力が認められたという充足感。
107アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:37:49
「とにかく、新しい機体については一考するとしよう。向こうの被害もただならぬものだろうし、しばらく戦闘はないだろ
う。ゆっくり休みたまえ。」
「「「「はい!」」」」
4人が敬礼した頃には時間は約束の30分を経過しようとしていた。タリアが通信を切る準備をしようとすると、
「タリア艦長、君も本当によくやった。ご苦労様。」
そうタリアに微笑む議長の顔が映し出され、向こう側から回線は切られた。

しばらく部屋に沈黙が流れる。しばらくしてタリアが端末に目を落としながら言った。
「議長がおっしゃられたとおり、パイロットは全員これより休暇・休養とします。それでは、解散!」
そういうとさっさと部屋を出て行き、後を追うようにアーサーも出て行った。
どうやら赤くなった顔を見られたくなかったらしい。彼女もまだまだ可愛いところがある。
ようやく肩の力が抜けたと思った矢先に、シンがアスランに近寄ってきた。
「あの、隊長!聞いていいですか?」
少し眉間にしわを寄せたシンの様子からだいたい予想はついたがアスランは頷いた。
「ほんと、何なんですか?あいつらは!戦場でごちゃごちゃと!隊長の昔の仲間なんですよね?」
「ちょ、ちょっとシン!?」
今にも掴みかかりそうなシンの勢いにルナマリアが制止に入る。
「アスハは何を考えてるんだ!まったく。だから奇麗事なんだよ!あいつの言ってることは!」
「やめるんだ、シン。」
もはや質問ではなく文句になっているシンを諫(いさ)めるレイ。
「俺も・・・」
重たげに口を開くアスランにみんなの動きが止まった。
「俺もそう思う。だからシン。お前は、お前の思うように任務を遂行しろ。俺からはそれしか言えない。」
目線をおとして話すアスラン。
「そ、そうですか。じゃ、好きにやらせてもらいますけどね!」
108アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:38:20
いつもと反応の違うアスランに気が引けてしまったのか、シンもそれ以上は何も言わなかった。そして重たい空気が
流れた。
「あの〜・・・」
4人の後ろのほうから声が聞こえた。みなが振り返る。
「みんなこれから暇ってことだよね?んじゃ、みんなでどっか行かない?」
肩を竦(すく)めながら提案するメイリンに4人は目を見合わせた。
「・・・俺はパス。これからステラの見舞いに行くから。」
シンはオーバーに両手を広げて言った。
「私もシンと一緒に行きます。」
そう言うレイにシンは少し驚いたが、自分が問題行動を起こすと決まってレイが監視するかのように自分に張り付くのは
軍学校からお決まりだった。
(俺って信用ないな・・・)
と思ったが先ほどアスランにくってかかった手前、なにも言い出せなかった。
「っていうかメイリン、あんたは別に休暇じゃないんじゃないの?」
そもそもなぜこの場にいるのかすら疑問な妹に尋ねるルナマリア。
「私はもうとっくに艦長から休暇いただいちゃってるもんね〜。」
軽く舌を出して答えるメイリン。アスランの隣の今にも引っ付きそうな位置にいる。
(・・・もしかしてこの娘、アスランさんの予定を探るために来たんじゃないでしょうね?)
目を細めるルナマリアを尻目にメイリンは上目遣いにアスランを見上げて言った。
109アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:38:52
「アスランさんは暇ですよね?島に降りてみましょうよぉ。」
「あ、あぁ。まあ、別にこれといって予定はないが・・・」
女性の甘えた仕草にどきどきしながらアスランは素直に答えた。
「じゃ、決まり!お姉ちゃんは・・・その足じゃ、無理だよね〜。それに腕も。かっこ悪いもんね!」
満面の笑みで悲しげに(?)話すメイリンにさすがのルナマリアも黙ってはいなかった。
「・・・行く。絶対、行く。」
静かで、それでいて闘気に満ち溢れたルナマリアに、シンとレイは鳥肌が立った。
「あ、そ〜。まあ、いいんじゃない?それじゃ行きましょ、アスランさん♪」
「お、おい!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!メイリン、あんた引っ付きすぎ!」
そのままアスランは姉妹に両脇からかかえられるように引きずられて部屋を出て行った。


「レイ、あのさ、俺、もう少しだけ隊長に優しくしようと思う。」
「・・・・・・・」
嵐の過ぎ去った部屋で、シンは静かにレイに告げた。
110アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:39:22
ギリシャ最大の島、クレタ。一年を通して温暖なこの地域の気候は、訪れるものすべてを癒してくれる。
そのためか有数のリゾート地であり、今も多くの人でにぎわっている。ミネルバが現在停泊しているクレタ島
最大の港町イラクリオンとその周辺には、多くの遺跡が残されており観光地として最も栄えていた。
「うわ〜すっごい綺麗!!!」
「へぇ〜いいところね。」
海岸線を走る車の中で子供のようにはしゃぐメイリンと、潮風に髪をおさえるルナマリア。アスランは運転手をしている。
助手席争いでひと悶着あったのだが、呆れたアスランが車にのるやいなやエンジンをかけて出発しようとしたので
結局二人とも後部座席に座っている。二人とも可愛らしい格好をしていて、普段軍服しか目にしないアスランには
とても新鮮に見えた。ルナマリアの右腕と右太腿の簡易ギプスは単なる包帯へとグレードアップ(強度の面から言うと
明らかにグレードはダウン)していた。これもファッションに気を使う女の子の意地なのだろうか。

「ねぇ!次はどこ行く?」
「次はねぇ〜・・・」
「!!」
メイリンとルナマリアのショッピングにさんざん付き合わされたアスランはこの二人がまだ行きたい所があることが信じ
られなかった。人付き合いの苦手な自分がこの天真爛漫な姉妹を連れて買い物に出ること自体がそもそもの間違いだった
のだ。
「少し、落ち着いた場所はないのか?」
まだ日も落ちてはいないし、この二人が満足しているとも思えなかったので最低限静かで落ち着ける、それでいて
これ以上荷物の増えないような場所に行きたかった。
「じゃあここは?クノッソス宮殿。ここから一番近い遺跡だって。」
メイリンがここにきて一番最初に購入したガイドブックに目を落としながら言った。
「ここってミノタウロスの伝説で有名なとこで、ラビリンス(迷宮)って呼ばれてるらしいよ。」
「なんか面白そうね。じゃあアスランさん、お願いします!」
アスランはため息をついたが、今までの中では一番ましだろうと思い、アクセルを踏んだ。

111アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:39:53
「へぇ〜おっきいとこだね、お姉ちゃん。」
「なんか、本当に迷子になりそう・・・。」
「・・・・・」
アスランは先ほどに比べて静かな場所で内心ほっとしたが、この巨大な遺跡をくまなく歩きまわされると思うと少し
眩暈がした。
「それじゃ、行きましょうか!」
そういうとルナマリアはアスランに腕を絡ませて引っ張るように歩いていった。
「あ!お姉ちゃん、ずるい!」
遅れを取ったメイリンがそのあとに続く。アスランはあの元気で、明るく、強引なザフトの現歌姫が二人いるかのような
錯覚を覚え、歩く前から疲労感を感じずにはいられなかった。

クノッソス宮殿は紀元前に建造され現代に発掘された遺跡なので、もはや過去の原型はとどめておらずあちこちが崩れた
状態である。しかし、室内のような空洞も残されており、そのなかには古代人の壁画も多い。
「うわ〜これすごい!どうやって描いたんだろ?」
メイリンは物珍しさからかずいぶんと興味津津に壁画を眺めている。
「「・・・・・・・・・・」」
先ほどから妹への対抗心でアスランに大胆な行動をとってきたルナマリアだったが、いざこうしてあらたまってみると
会話が出てこなかった。何から話せばいいのか。自分は何を話したいのか。そんなものは決まっている。アスランの気持ち
が聞きたかった。別に自分をどう思っているのかではなく、あの時何を感じ、何に涙したのかを。まあできればどう思っ
ているのかも聞きたいけど。・・・・・・いや、むしろそっちのほうが聞きたい。うん、聞こう。
17歳の女の子にしてみれば当然といえば当然だった。
「あ!アスランさん、こっちのほうに・・・え!!」
メイリンのいない方へ少し駆け出した先の足元がふいに崩れ、アスランの視界からルナマリアが消えた。
「お、おい!ルナマ・・・」
そういって駆け寄ったアスランの床も抜け、気づいたときには上れない高さに元いた床が見えた。

112アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:40:26

あれから数十分、メイリンを呼んでも応答はなく、助けが来る様子はなかった。周りは暗くてよく見えなかったがどうやら
出口らしきものは見当たらない。エマージェンシーでミネルバに救助信号を送るのだけは絶対に嫌というルナマリアには
アスランも同感だった。これではシンと変わらない。ルナマリアと並んで座っていると、目が慣れてきたのか今では顔も
はっきりとわかる。
「あ、あの、こんな時になんなんですけど・・・。」
ルナマリアは顔を動かさずに静かに言った。アスランも話さなければいけないことは十分自覚していたので、相手をこれ
以上待たせないためにも自分から言うことにした。
「・・・俺は、正直どうしていいかわからない。」
予想外の相手からの言葉に驚きながらも、瞬時にその言葉は理解した。
「カガリには前大戦から支えてもらってお互い心が惹かれ合った。そして俺は彼女を、彼女の守るべきものを守ると誓った。
だけど、俺一人の力じゃ、それら全てを守るなんてできなかった。いや、今でも守ろうとしているが、なぜか彼女の協力が
得られない・・・。本当に今、俺は一人なんだ。」
孤独ゆえの寂しさ、不安がアスランの中で溢れていた。それは、人の命を背負っているからなおさら大きい。
「だから君がついてきてくれると言ったとき、心が救われたようだった。でも、悲しくもあった。カガリは、今のカガリ
は・・・」
そこまでいうと突然ルナマリアが抱きついてきた。首の後ろに両手を回されている。女性特有の甘いにおいがした。
「ルナマリア・・・」
「別にいいんです。カガリさんを信じたままで。お二人の絆はそんなにもろいとも思いません。・・・ただ、私がいるとい
うことも忘れないでください。私は逃げ場ではなく、新しい道だと思ってください。」
そう言って腕を緩めるとアスランの顔の正面に向き直った。ルナマリアの目は信じるものの目をしている。迷いも、そこに
はなかった。少しずつ、ゆっくりと、一定に保たれていた二人の距離は、お互いに縮めあい、そしてゼロになった。
113アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:40:58

落ちてから2時間ほど経過したが、助けも来なく、本当に困り果ててしまっていた。いや、この空間、空気が、どうしよう
もなく気恥ずかしくて耐えられなかった。まだ二人は10代の少年・少女である。
「はあ、もうエマージェンシーしちゃおっかな・・・。」
そう言いながらルナマリアは頭を軽く壁にぶつけた。
「・・・・・・・あら?」
「どうした?」
急に壁から頭を離したルナマリアになんとか上れないか考えていたアスランが反応した。
「いや、この壁、すごい薄いような・・・。」
そういって拳を作って軽く小突くと、どうも響きがいい。そして、アスランが助走をつけて蹴ってみると、壁はいとも簡単
に壊れ、外へと繋がった。
「出口がないなら作ればいい・・・か。」
なにか、今の自分の閉鎖的な状況を打破する解決策を比喩しているかのようで、じっとアスランは出口から漏れる光を見つ
めていた。
「いいんですか?文化財を壊しちゃって・・・。」
ジト目でルナマリアが言った。
「世界の平和には変えられないだろ?」
そういって肩を竦めるとルナマリアは笑っていた。本当に久しぶりかもしれない、冗談を言うのは。
すぐ出ようとしたが、ルナマリアはその場から動こうとしない。どうやら落ちた衝撃でまた脚を痛めたらしい。
しかたがないのでおぶって外に出て車のある駐車場へと向かった。

114アスルナ休暇編:2005/05/05(木) 14:41:29

「そういえば気になったんだが・・・」
「?、なんですか?」
背中に伝わる感触と、耳元で囁かれるくすぐったさに顔を赤らめながらアスランは尋ねた。
「なぜ艦内でも松葉杖を使わないんだ?」
ふとした疑問をここで聞いてみた。
「どうしてだと思います?」
「・・・エリートの赤服としての意地かなにかか?」
なんとなく可能性の高そうなほうを答えてみた。
「違います。単に皆を心配させたくなかっただけです。メイリンも、アスランさんも。それに・・・」
そこまで言うとルナマリアはアスランの耳元で小声で囁いた。
「アスランさんのためなら、私、赤服も脱ぎますよ?」
「な!!!それはどういう・・・」
顔を真っ赤にして尋ねようとしたアスランの耳に自分の車から無線機の呼び出し音がしていることに気づき、すぐさま
応答した。
「あ、ザラ隊長ですか?こちらミネルバです。」
「なにか緊急事態か?」
少し緊張した面持ちで聞くアスラン。
「いえ、その、隊長の車の北東50mからメイリン・ホークのエマージェンシー信号が出ているので是非救助に向か
ってほしいのですが・・・。」
                                  

                                                          * おわり *
115初心者@:2005/05/05(木) 14:44:29
本スレに投下したと思ったら盛大な誤爆・・・orz
お許しください。
116321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/05(木) 16:56:19
気にしちゃいけない。
続編GJ!!&乙ですた!
あっちは今あんな状態だからこっちに投下で
いいと思うよ。
本スレは落ち着いたら投下でいいと思う。
117名無し草:2005/05/05(木) 23:37:52
グッジョーブ!!
久々に言おう・・・アスルナ(´д`*)ハァハァ
乙でした。グゥレイト!
118名無し草:2005/05/06(金) 00:33:25
>>88
長編乙です!読み応えありました。
本スレが荒れていて申し訳ないです。
119名無し草:2005/05/06(金) 02:41:25
すいません、本スレで予告しましたが、
これから過去のSS投下します。
最後にインデックス付けますので、
「温もり」の続きと「偽28話」の中篇は勝手に投下
させて頂きます。
インデックスでタイトルの無いSSはどれがどれか
分かりにくいので見やすいように適当な文言を
振りました。すいません職人さん、気に入らなければ
修正案をください。修正します。
職人さんの名前も入れたけれど、間違っていたり
抜けていたら指摘してください。
(この板って1レス2040Byteなのか・・・マンドクサ)
1204-1 1:2005/05/06(金) 02:46:33
380 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:05/03/10 04:02:08 ID:???
>>342 こんなので良ければドゾ

ホテルでのミーアとのことを誤解されたままミネルバに戻ると、
通路でばったりルナマリアと出会った。
無言で踵を返そうとする彼女の腕を掴んで引き止める。
「何かご用ですか?ザラ隊長」
「話があるんだ。俺の部屋へ行こう」

部屋に入ると、ルナマリアは入口近くに立ったまま
動こうとしない。
「彼女のことは誤解なんだ」
「あの状況で何をどう誤解するって言うんです?
それに婚約者同士ですものね」
「その・・・婚約は既に解消しているんだ」
「それなら、どうしてあんな」
「それは俺もどうして彼女がベッドにいたのか分からなくて」
「言い訳ですか?」
なお言い募ろうとするルナマリアを抱きすくめる。
「彼女とは何もしていない。俺が好きなのは君だけだ」
腕を振り解こうとするルナマリアを更に強く抱きしめてそう言うと、
ルナマリア腕から力が抜けていくのが感じられた。
無言のまましばらく抱きしめられていたルナマリアが、
そっと背中に手を回してくる。
「本当・・・ですか?」
「ああ」
背中に回した手に力を込め、ルナマリアが甘えるように体を寄せる。
「でも隊長って誰にでも曖昧な態度だから、そんな言葉だけじゃ
本当かどうか分からない」
「どうすれば信じてくれるんだ」
「じゃあ、このまま朝までずっとキスしてください」
1214-1 2(380と別の人らしい):2005/05/06(金) 02:47:32
382 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:05/03/10 05:53:09 ID:???
「ずっとキスを・・・ルナマリア、悪いがそれはできない」
「え・・・?」
「君とずっと一緒にいて・・・キスだけで済むわけがないだろう・・・?」
「ええ・・・ええ! それはもちろんよ、アスラン!・・・でもね」
「でも・・・?」
「でも、信じて欲しいのなら、ずっとキスをしなければならないのよ。
 まずはキスをしながら、一緒にシャワーを浴びましょう。
 お姫様だっこでベッドまで運んでくれるわよね。もちろん、キスをしながらよ。
 そして、キスをしながら何度も何度も求め合いましょう」
「キミは・・・ワガママだな」
「ワガママな女はお嫌いですか?」
「ああ、嫌いだ。・・・しかし、ワガママを言うキミは、たまらなく愛しい。何故だろう・・・?」
「その答えは・・・キスをすればわかるかもしれませんよ?」
「そんなにキスが好きかい?」
「いいえ。貴方とのキスだから好きなの・・・」
1224-1 2(380の人?):2005/05/06(金) 02:48:52
547 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:05/03/12 06:27:04 ID:???
|ω・`)自主規制したから、ここに投下させてね。
>>546 このスレにまで飛び火させるんじゃない。一緒に元スレに帰るぞw


>>380続き
ルナマリアの肩を抱きしめていた腕を腰の辺りにまで下げ、
そのまま抱き上げる。ベッドまで移動し、ルナマリアを
その上に横たえると、片脚を持ち上げて靴を脱がせにかかる。
ルナマリアがスカートを抑えながら、軽く抵抗してくる。
「やだ、そんなに脚上げなくても外せますよ」
「ん、ああ、そうだね。色っぽいよ、ルナ」
もう片方の靴も脱がせて、自分も靴を脱ぎルナマリアの上に
覆いかぶさると、ルナマリアが首に手を回してきた。
「好きだよ、ルナ」
「隊長」
長い間口付けた後、ルナマリアの襟元に手を掛け上着の前を
はだけると、両手で押し止められる。
「今日はキスだけですよ」
「キスだけだよ」
アンダーシャツを捲りあげて露になった腹部に口付ける。
  ・
  ・
  ・
   ____ζ.⌒〜〜⌒ヽ___ギシギシ  ぁ〜ん、キスだけだって言ったのに〜
  . |__. −‐        \ |      
((((..|\_/´   ::::::::       ~~\        俺のセイバーソードが
   | .|\  ::. 〜     ~ :::  ::::::::\  ))))))  持たん時が来ているのだ!
1234-2 1:2005/05/06(金) 02:50:54
386 名前:≠380,382[sage] 投稿日:05/03/10 10:31:49 ID:???
「ん…アスラン…さん…」

今日のルナマリアは,妙に積極的だったな…,
何か焦っているような感じもあった…アスランは思う.
そんな彼女も,今はアスランのベッドの上で規則正しい寝息をたてていた.

「アスランさん,か」
ルナマリアの寝言を,アスランは反芻する.
ルナマリアが,彼を「アスラン」と呼ぶようになったのは,最近のことだ.
あるいは,彼女は無理をしているのかもしれない.

表向きには婚約者として皆に認められているザフトの歌姫.
前大戦を共に戦い,単なるボディーガード以上の信頼関係を持つオーブ代表.
一方ルナマリアは,彼の指揮する隊の一員だ.
特別な…二人を繋ぐための肩書きを,彼女は持たない.
1244-2 2:2005/05/06(金) 02:51:37
387 名前:≠380,382[sage] 投稿日:05/03/10 10:32:40 ID:???
命令があればすぐに離れてしまわなければならない
弱い立場に対する憂いと,
同じ赤服を纏ってはいるが,何もかもが届かず,
自分には不釣合いなのではないかという葛藤.
それらの思いが,彼女を焦らせる.

よく知る元婚約者そのものの姿で,騒がしく纏わりつくミーアや,
好意を向けてくれるものの,ザフト時代の彼を完全否定するカガリ.
彼女らと過ごす時間の中で知らず知らず疲弊していく彼を,
誰よりもそばにいる自分が支えていることに,彼女は気づかない.
だから,せめて.ミーアやカガリと同じように,
自分も彼を「アスラン」と,そう呼びたい…
彼女の「アスラン」には,そんな願いが込められている.
1255-1 1:2005/05/06(金) 02:52:45
365 名前: ◆j5jVuxWdss [age] 投稿日:05/03/18 05:00:14 ID:???
僭越ながら投下させていただきます。エロ展開でいきまふ。
邪魔なら去りますです。。
どぞ〜

第一部「序曲」
「どーしたのお姉ちゃん?ぼ〜っとしちゃって?」
メイリンの言葉に
はっと我に帰る。「な、なんでもないわよ(アセアセ)」
言えない、絶対に言えない!今夜部屋に隊長…いえアスランに呼ばれているなんて!
食堂のいつもの席で、シンと食事をしているアスランをちらりとみる。
「アスランさんってさぁ〜…★カッコいいわよね」
「そ、そうかしら!?男らしくないし、シンとべったりだし、ホ、ホモじゃないの?!」
メイリンの視線が疑惑の視線へと変わる。
「ふ〜〜ん」
ここで悟られてはいけない!今夜が勝負よ!
他のハイエナを出し抜くには今夜、身を呈して彼をしとめるしかないわ!
部屋に戻るルナマリア。ベット脇の父母の写真に報告する。
「父さん母さんごめんなさい。今夜ルナは悪い子になります。」

大きく深呼吸し気持ちを落ち着ける。その瞳に迷いはない。
ドアノブに手をかける
「ルナマリア・ホークいくわよ!!!」
1265-2 1:2005/05/06(金) 02:56:24
528 名前:ハイネの半日1/2[sage] 投稿日:05/03/19 12:30:14 ID:???
さて、期待のミネルバに配属されたワケだが・・・どーせなら楽しくいかないとな。
取りあえず、友達100人――アイツは確かインパルスのパイロット。何でキョロキョロしてるんだ?探し物か?
巻き込まれたら面倒だな・・・おっと、シンの手前にガナザクパイロットのルナ・・・なんだっけ?まぁノリで誤魔化すか。
「よおっ、ルナマリンじゃないか。1人で何してるんだ?いつも一緒のアスランはどうした?」
「おはようございます、ハイネさん。隊長は・・・あ、そうだ!今空いてますか?」
「おっ!いきなりデートのお誘いか?喜んで受けよう♪」
「ありがとうございます。残念ながら隊長も一緒に、ですけどねっ」
ぬっ・・・まぁ、たまには3Pってのもいいか。
「それとハイネさん、私はルナマリアです。妹と混ぜないで下さい」
「あ〜ゴメンゴメン。でもさぁ、アスランの奴がいっつもルナルナ言ってるからそこばっか覚えてるんだよね」
「えっ!?あー・・・ハイ」
ルナマリアの顔がほんのり赤くなった・・・やべ、マジで可愛いかも・・・。
「えっと・・・一緒に部屋まで来てください。隊長が準備して待ってます」
ルナマリアに連れられて部屋へ入るとアスランが出迎えた。
「おかえり、ルナ・・・チュッ・・んんっ・・・」
「んっ・・・ぁ・・・はぁ・・・ヤダ、隊長・・・ハイネさん見てるのにぃ・・・」
「え!?あ、失礼しました。ど・・・どうぞ、適当に座って楽にして下さい」
「そうさせて貰おう。しっかしお前等、いつもこんな事してんのか?はははっ」
はは・・・冗談で言ったんだが、沈黙してる所を見るといつもしてるのかよ・・・畜生。
「なぁ、アスランもルナマリアもいつもは2人でヤってるんだろ?俺が入っちゃっていいのか?俺は良いけどサ」
「私は3人でやるの初めてなんですよ。隊長は?」
「俺は・・・オーブにいる時は子供がたくさんいたし・・・カガリとかも――」
1275-2 2:2005/05/06(金) 02:58:09
アスラン子供いるの!?と言おうとした瞬間、ルナマリアがアスランを優しく抱いた。
「隊長・・・辛い事を思い出させてごめんなさい。でも今は私がいるじゃないですか。もうオーブは忘れましょう?」
そう言うと2人は再びキスを始めた。あーもう堪らんっ!限界だ!!ホットリミットだ!!!俺は着ている赤服を脱ぎ捨てた。
ハイネ・ヴェステンフルス出るぞ!!
「えっ!?キャアッ!!ハ、ハイネさん?暑いんですか?」
「あぁ、もうヤバイくらいバーニングしてる!!早くヤろうぜ!!」
「あ、あの俺達がやるのはマリオカ○トなんですが・・・」
早く言えよ・・・これじゃ頭の弱い先輩じゃないか。
「後輩相手にTVゲームとはいえ手加減は・・・あれ?なんか俺のコントローラーだけテカってるな。正規品じゃないのか?」
「隊長の自作なんですよ、それ。それにしても、落ちてた携帯からこんなの作れるなんて隊長はスゴイです・・・」
「ルナが部品を拾ってきてくれたお陰だよ。幸い落ちてた携帯はオーブ製でな、オーブの物は・・・品質はいいんだ」
見つめ合った後、2人は三度キスを・・・何だこの2人は?羨ましい・・・。
くそっ、こんなの魅せつけられたら俺の下半身だけだけロケットスタートしちまう。
1285-2 3:2005/05/06(金) 02:59:14
529 名前:ハイネの半日2/2 [sage] 投稿日:05/03/19 12:32:04 ID:???
「やったぁ!また私の勝ちですね!!」
「ルナはテニスだけじゃなくカートも強いんだな、参ったよ」
ルナマリアが33連勝。だがな、アスラン・・・フェイスである俺の洞察力をなめるなよ?
お前・・・ワザとだろ?テニスがどうだったか俺には分からんが、カートはワザとルナマリアに負けてるだろ?
俺のヨ○シ-の後ろにずっと付いてたし、障害物全部俺に向けてくるし・・・しかも全部当たったし。
さすが射撃はザラのお家芸だな。
第一、ルナマリアが喜んでる顔を見てニヤニヤしてるお前を見れば誰でも気付く。
いいなぁ・・・この2人。ちくしょおー。
さすがにゲームは飽きたので3人で食事を取りに行くと、丁度シンも現れた。
「あ、でこ・・・いえアスランさんとルナ。それとハイネさん・・・どうも」
全員がカレーを頼み同じテーブルへと付く。当然アスランとルナマリアは並んでいる。
ミネルバのエースパイロットか・・・ちょっとプライベートを探ってみよう。
「なぁシン。お前は今日の午前何してたんだ?お勉強か?」
「えっと・・・その、マユを探してあ゛あぁ゛ーーぁっッ!!!ちょっとアスランさん!アスランさんの皿だけ肉が多いですよ!!!」
もうザフトは駄目かもしれんね。
「あのー隊長。どうやら私のカレーだけ手違いでフェイス盛りになってるみたいなんですけど・・・食べて貰えませんか?」
「ん・・・わかったよ。ルナはいつも緑盛りだもんな、フェイス盛りは多過ぎだ」
「ルナ!ルナ!!ルナ!!!俺も!俺も食べてあげるよ!!」
「すいません、隊長。じゃあ口開けて下さい。はい、あ〜ん・・・」
「・・・ルナの味がする」
「俺もルナの味食べたい!!下さいよ、アスランさん!!」
綺麗にスルーされるシン。どうやらミネルバの人間関係は面倒な様だ。
ところで他の3人は気付いていない様だが、さっきから俺達のテーブルをお揃いのカレーを持ってグルグル周ってる金髪。
1295-2 4:2005/05/06(金) 03:00:06
チラチラこっち見てるし、仲間に入りたがってるとしか思えない。やれやれ、俺の出番か・・・。
「レイっ!飯食うならお前もココ座れよ。パイロット同士で話そうぜ」
「ありがとうございます。ですが、そのテーブルはもう椅子が・・・」
「シン、さっき俺がルナから貰ったカレーの皿を・・・ほら、あげよう。ルーが少し残っているだけだが・・・」
「えっ!いいんですか!?やったぁああーーー!!!ありがとう、アスランさん!!・・・用事を思い出したんで失礼します!」
シンは皿を受け取ると足早に去り、代わりにレイが座る。恐らく、あのカレーはオカズと化すだろう。
「アスラン、今の作戦は見事だ。だがな・・・今渡した皿はルナマリアのじゃなくて俺のだろ・・・ワザとか?」
「俺にはルナの皿を危険な目に合わせるような真似は出来ませんから。な?ルナ・・・」
「隊長・・・大好きです」
2人が自分たちの世界へ旅立っている間、レイと話す。10分ほどで2人はこっちへ戻って来た。
「隊長・・・私、もう・・・」
「そうだな、部屋へ戻ろう。夜のミーティングが始まるまで可愛がってあげるよ・・・ルナ」
そう言うと2人は俺達に挨拶をして帰っていった。
俺はその後もずっとレイに明るい話し方を教え続ける。
どうやら俺はとんでもない艦に配属されたらしい。
1305-3 1:2005/05/06(金) 03:01:41
642 名前:ハイネのお仕事1/2[sage] 投稿日:05/03/20 19:01:24 ID:???
今日は丸一日フリー。
とは言え、ライブが入っているため準備の必要がある。
数曲練習した後、鼻歌交じりに部屋を出ると背後からタリア艦長に呼び止められた。
「今日は全員オフの予定だったんだけど、緊急のミーティングをする必要が出来たのよ。
フェイスである貴方をパシらせるのもなんだけど、シン達を呼んできて貰えるかしら?
・・・貴方の格好を見た所、今日はライブの予定だったのかしら?・・・ゴメンなさいね」
「いえ、自分は軍人ですから」
「そう・・・。このミーティングは急な召集だし、かかる時間自体はせいぜい30分程度、加えて今日は本来オフ・・・
だから貴方だけでなく他の子も制服ではなく、既に服を着ちゃってたらそのままでいいわ。
見ての通り、私もジャージだしね」
お似合いですよ、という勇気は俺には無かったので敬礼をして下がる。
着ている服からして艦長は昼まで寝ているつもりだったが、連絡を受けて起こされたのだろう。
しかし・・・何故ヘアースタイルは普段通りなんだ?アレがデフォなのか?
まぁ、今は後輩集めか。それぞれに電話をかければ済むんだろうが、階級の溝を埋めるためには直接部屋へ出向く。
それがハイネクオリティ。
まずはアスラン、と・・・今9時ちょいか。
昨日こっそり見たシンの『ルナ観察日記』によると、確かこの時間帯のルナマリアはアスランと高確率でヤってるとか。
って事は今、2人セットで全裸か・・・。
艦長が私服で良いって言ってたけど、裸はマズイよなぁ。
服着るまで出てこないだろうし、扉は空けずに「ゆっくり着替えてから来いよ」とでも言ってやるか。
ナイス気遣い、俺。
扉をノックするときょどったアスランの返事が聞こえた。やっぱヤってる最中か・・・俺も混ざりたい。
1315-3 2:2005/05/06(金) 03:02:30
「ハイネだ。休日のお楽しみ中悪いんだが、急にミーティングが入ったから来てくれ。
それと裸以外なら服は何でも良いらしい。急がなくていいから服を着て来いよ」
さて・・・2人を連れて一緒に他の連中を呼びに行こうと思ったが、服を着る時間を待つのは流石に無駄だな。
仕方が無い、残りも1人で周るか・・・そう思い部屋に背を向けた直後、扉が開いた。
バカな!声を掛けてからまだ5秒ほど・・・。
2人がギシギシアンアンしてたというのは俺の汚れた心が創り出した妄想だったのか!?
それともまさかコイツラ裸で!!?
「おはようございます。遅れて申し訳ありません、ハイネさん。ルナ、行くぞ」
「はい、ザラ隊長。おはようございますハイネさん」
「ん、あぁおはよう。服・・・既に着てたのか。いや、まぁ当然だよな」
どうやら俺は2人の事を誤解していたらしい。
2人一緒だったとは言え、部屋の中からはしっかりと制服に身を包んだアスランとルナマリアが――
ちょっと待てよ?
何でお前等は制服なんだ?今日は一日オフのハズだったんだから普通は私服だろ?
俺が今、着ている服なんてMS並に色々と付いてて、制服とはかけ離れている。
よく見りゃルナマリアの上着はシワだらけじゃねぇかよ・・・。
なるほど・・・そーゆーシチュエーションで楽しもうとしたら俺が来たってワケか・・・。
そのまま続けていいから混ぜろ!!俺も!!!
1325-3 3:2005/05/06(金) 03:03:33
643 名前:ハイネのお仕事2/2 [sage] 投稿日:05/03/20 19:03:45 ID:???
惜しかった・・・あと5分俺が遅く来ていたら・・・部屋を出る前にもう一曲だけ練習しておけば・・・!
さすればルナマリアは上着を身に付けずアンダーシャツを着た状態で現れ、
そしてシャツ越しにはくっきりと、アスランに直前まで弄ばれていた胸の先っぽが勃っている突起が・・・っ!
見てぇ・・・ちくしょー、後輩イジメしてやる。
「おいおい、アスラン。朝だからしょうがないかも知れないが・・・大切なトコ、たったまんまだぜ?」
「「えっ!!?」」
アスランだけでなく、ルナマリアもアスランの下半身を注目する。
「どこ見てるんだよ。俺が言ったのは髪の毛だ、俺とお前にとっちゃ命の次に大切だろ。凄いぞお前の寝癖」
「え?あ、いえ・・・俺も貴方みたいに周りの雰囲気を明るく出来るように、と思い練習を・・・」
「そ、そーなんですよ。隊長ったら最近目覚めちゃったらしくて!」
ルナマリアまでこんな動揺するなんて・・・やっぱ思い当たる節があるんだな。
「でもルナ・・・確かに俺は命の次に髪が大切だけど、命よりも君が大切だ」
「うれしい・・・私もザラ隊長が一番大切です」
否グゥレイト・・・いじめたつもりが妙なスイッチを入れてしまったようだ。
シン・レイ部屋まで行く間、ずっとルナマリアはアスランの腕にしがみついていた。
「シン、レイ起きているか?ハイネだ」
呼びかけると即座に制服を着用しているレイが出てきた。俺の勘だがこいつは私服を持っていない。
「おはようございますハイネさん。・・・ザラ隊長とルナも?何かありましたか?」
「な〜に、ちょっとしたミーティングが入っただけだ。休みの日に悪いが来てくれ。ところでシンは?」
「シンはまだ寝ています。昨晩は余程ハードなイメージトレーニングをしたようで・・・。
よく見えませんでしたが、何か尖った物を入れたビンを使い2時過ぎまで頑張っていたようです」
シンの枕元まで行き呼びかけるが、うなされているだけで起きる気配が無い。
1335-3 4:2005/05/06(金) 03:04:24
「ごめんよぉマユ〜、浮気なんて2度としないから・・・違うよマユ、ルナもステラも一方的に迫ってくるんだよ」
オメデタイ奴め。しかしどうするか?おいてくしかないかな・・・。
他の3人にも意見を聞こうと振り返ると、ルナマリアがナイフを振りかぶっている。シンの脳天直撃コースだ。
「くっ!!早まるな、ルナ!!!」
「離して下さいっ、隊長!だってコイツ・・・コイツ!!私は隊長が、アスラン・ザラが好きなのに・・・!!!」
何だこのプチ修羅場は?レイが緑茶啜って傍観しているところを見ると、ミネルバではこれが普通なのか?
「やめるんだ、ルナ!!こんな事したら・・・シンとのフラグが立つぞ!!!俺は・・・これでフラグ立てた奴を一人知っている」
「っ!!?シンと・・・?やだ、ヤダ・・・私は、私はアスランじゃないと・・・駄目なんです・・・」
そんなにシンと一緒になるのが嫌なのか・・・泣き崩れるルナマリアをアスランが優しくなだめる。
「ルナ・・・落ち着いたか?」
「はい・・・すいませんでした。・・・もう大丈夫ですから。シンを起こします・・・・・・オニーチャン、モウオコッテナイカラハヤクオキテヨォ」
「マユ・・・?あれ、みんな・・・ハイネさんも?」
ようやく起きたか。朝から色々在ったが全員無事でよかった・・・なんでこんな心配してるんだ、俺は?ここは戦場か?
「俺が艦長から頼まれてみんな集めてるんだ。もう時間が無いから必要なものだけもって付いて来い」
そう告げて他の三人と共に部屋の外で待っていると、間もなくシンも部屋から出てきた。
「一応、携帯だけは持ちましたけど・・・」
「あぁ、見れば分かる。言い忘れた俺に否があるのかもしれないが・・・裸は駄目だ!!!」
1346-1 1:2005/05/06(金) 03:09:51
480 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/26(土) 00:27:41 ID:???
フリーダム最強論が定着してそうなあの世界で、ジャスティスの方をご贔屓にしてそうなルナの存在は貴重だ。
アカデミーでもフリーダム最強という声が上がるたびに一生懸命反論してたに違いない。
ポケットの中の戦争のアルみたいに・・・で、ヨウランあたりに「カスはカスを好きに(ry」とか心無いこと言われて喧嘩したりしてたら萌える。

483 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/26(土) 00:42:19 ID:???
>>480
ハイネに憧れてたミゲルがパーソナリティカラーを同じオレンジにしてたんだから、
アスラン好きが高じて赤にしたとしてもおかしくないと思う

485 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/26(土) 00:46:57 ID:???
きっとザクとセイバーの色が微妙に違うって整備班に文句付けて塗り直させるんだよ

492 名前:通常の名無しさんの3倍[sage ] 投稿日:2005/03/26(土) 01:26:32 ID:???
「ジャスティスって任務でどっか行って行方不明になってヤキン戦でヒョッコリ帰ってきたんだろ?大した活躍してねーんじゃねーの?」
「オーブで連合軍と戦ってるフリーダムを助けたの!特殊任務中だったの!」
「ヤキンでも途中でどっかいったんだよな?フリーダムは命令無視のプロビデンスと戦ってたのに。」
「あ、あれはきっと父親を止めに行ってたのよ!地球を撃つのはだめだって!」
「ストライクに似た機体に追っかけられてたらしいぜ。ジェネシスの中でやられたんじゃねーの?アスランって奴今いないんだろ?」
「たぶん追いかけられながらジェネシスを止めたのよ!それでなんとか脱出して・・・・」
「んなわけねーよ。ジェネシス守ろうとしたけどやられて結局止められたんだって。」
「アスラン・ザラが乗ってるんだよ!大戦のエースの!」
「まあストライク撃ったのはスゲーらしいけどたぶんフリーダムには敵わないって。」
「ムキィーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ヒ、ヒィィィィィィ!!!!!!!」
1356-2 1:2005/05/06(金) 03:11:06
509 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/26(土) 02:19:48 ID:???
アスラン「ルナ・・・俺は今日中にこのミネルバから脱出する」
ルナ「えっ・・・逃げるの!?」
アスラン「そうだ。AAに降参しにいく」
ルナ「何で!?あいつは!?あのフリーダムはどうするの!?諦めちゃうの!?」
アスラン「気持ちは分かるが、時には逃げるのも男としてだな・・・」
ルナ「大丈夫よまだ!・・・それにこのままじゃ死んじゃったハイネさんは!?」
アスラン「あんな化け物、どうやれば倒せるんだ!?」
ルナ「最強ったって、ちょっと早いだけでしょ?あのセイバーだって修理すれば・・・」
アスラン「修理してどうするんだ?お前が動かすのか?」
ルナ「え・・・」
アスラン「俺はな・・・キラには絶対勝てないんだよ!」
ルナ「嘘よ!アスランはあいつが怖くなったんで嘘をついてるんだわ!」
アスラン「ああ、怖いね!怖くないほうがどうかしてる!臆病とでも何とでも言え!」
ルナ「待ってよ、アスラン!本当は強いんでしょ!?あいつをやっつけられるんでしょ!?」
アスラン「・・・生きたかったらお前も脱出するんだ、ルナ・・・」
ルナ「他のみんなはどうなるの・・・?フリーダム、あたしたちでやっつけましょうよ!そうすれば・・・」
アスラン「俺は逃げると決めたんだ・・・」
ルナ「そんな・・・嘘だといってよ、アスラン・・・」




メイリン「お姉ちゃん、通信よ、アスランさんから」
ルナ「もしもし、もしもし!アスランなの?さっきは御免なさい、アスラン・・・私たちを助けて・・・アスラン・・・!」
アスラン「ああ、そのつもりだ・・・フリーダムを倒すために、もう一度攻撃をかけることにした。手伝ってくれるか?」
ルナ「ええ、もちろんよ!・・・ありがとう、アスラン・・・二人でやればきっと上手くいくわよね?」
アスラン「ああ、上手くいくさ!」
ルナ「大好きよ、アスラン・・・」
アスラン「ばかやろう(微笑)」
1366-3 1:2005/05/06(金) 03:11:53
512 名前:通常の名無しさんの3倍[sage ] 投稿日:2005/03/26(土) 02:49:37 ID:???
「そういえば、何でルナのザクって赤なんだ?」
「ヒント、エース。」
「ハァ?・・・・赤服だから?」
「赤のパーソナルカラーといえば大戦のエースアスラン・ザラだな。」
「さぁっすがレイ!それに比べてこのバカは。」
「な、なんだよ!あんな奴雑魚だって!」
「これだからバカはダメね。アスラン・ザラといえば最強のパイロットなの!あんたじゃ足元にも及ばないわね。」
「最強はフリーダムと聞いたが。ザフト最高傑作と謳われたプロビデンスの暴走も止めたらしい。」
「オーブも守れなかったんだ!あいつらより俺の方が強い!俺最強!」
「フリーダムなんて終戦直後にぽっと出の機体でしょ。アスラン・ザラはイージスであのストライクも葬ったのよ。同型のバスターやブリッツはやられたのに。」
「ふむ、確かにパイロット単位での撃墜記録なら負けてないな。」
「フリーダムのパイロットは所属不明だけど、アスラン・ザラはフェイス所属でラクス・クラインの婚約者なんだから。憧れちゃうなぁ。」
「俺の話も聞けよ!」
「今度の新型もアスラン・ザラがいたら乗ってたんだろうなぁ。」
「ねぇ!俺の話も聞いてよ!ねぇってば!」
「今は行方不明らしい。ちなみにアカデミーは主席卒業でシンよりすべての記録が上だな。」
「なんで、レイまでチェックしてるんだあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
137凸-1 1:2005/05/06(金) 03:17:37
85 名前:1/2[sage] 投稿日:2005/03/26(土) 02:42:08 ID:???
シンのエマージェンシーコールに出動して帰艦した後、艦内の
休憩室に行くとルナマリアが居た。
今朝のことをまだ怒っているのだろうか。
ルナマリアは俺に気軽に話しかけてくれる割と貴重な存在なので、
今朝のような状態のままだと非常に困る。
どうしていいか分からず、とりあえず飲み物を買おうと移動すると、
ルナマリアから話し掛けてきた。
「無視するんですか?」
「いや、そういうつもりは・・・」
ルナマリアの様子は今朝から変わっていないようだ。
「今朝の誤解は解けたと思っていたんだが」
「誤解ってあれですか?久しぶりに会った婚約者が艶かしい姿で
部屋に居て、何もしなかったっていうあれのことですか?」
キツイ口調の声がわずかに大きくなっている。
廊下の方から誰かがこちらに近づいてくる声が聞こえてくる。
あまり人には聞かれたくない話になりそうなので、
俺の部屋に行くことを提案すると、ルナマリアはあっさりと承諾した。


「確かに今朝のことは上官としては褒められた行動ではないと
思うが、君がどうしてそこまで怒っているか分からない」
ルナマリアが一瞬驚いた顔をした後、何故か悲しそうな表情を浮かべる。
しばらく無言の時間が流れた後、顔を上げたルナマリアが
こちらに両手を伸ばし、その手が俺の頬を包んだ。
ルナマリアの瞳がじっと俺を見つめる。
「分からないんですか?」
分からないと言ったらどういうリアクションをされるのだろう、
と考えていると不意にルナマリアが唇を重ねてきた。
138凸-1 2:2005/05/06(金) 03:18:48
86 名前:2/2[sage] 投稿日:2005/03/26(土) 02:44:47 ID:???
「ルナマリアッ!」
「好きなんです、貴方が」
再び口付けられ、ベッドに押し倒される。
「もう自分でもどうしようもないんです。
だから、今夜このまま私と・・・」
俺の上に覆いかぶさったルナマリアが微かに目を逸らしながら、
搾り出すような声で言った。
「それはできない。俺には好きな人がいるんだ」
「その人の代わりでもいいんです」
「いや、彼女とはそういう関係じゃなかったから」
国家元首である彼女においそれと手を出すことはできず、
行政府との軋轢に疲れた彼女は俺にウズミ・ナラ・アスハの
ような揺ぎ無い信念の持ち主たることを求め、
未だ確固たる信念を持てない俺は彼女の理想との隔たりに疲れ、
何の権限も無いオーブでの生活は俺を苛立たせた。
久しぶりに思い出したオーブでの記憶のためか、
心の奥に何か凶暴なものが鎌首をもたげてくる。
「俺が自分を押さえられる内に、帰ってくれないか?」
「いやです。帰りません」
ルナマリアが胸に顔をうずめてくる。布越しに伝わってくる
体温が心地よくて、彼女を抱きしめたくなる。
抑えられず、体勢を入れ替えるとルナマリアに覆いかぶさり
激しく口付けた。
「ごめん、もう止められないから」
139凸-1 3:2005/05/06(金) 03:19:36
事が終わった後、激しい後悔の念にかられる。
「済まない」
謝ると顔をそむけるように向こうを向かれた。
「謝らないでください」
「今夜のことはお互い忘れよう」
ルナマリアがくるりと向きを変えると、じっと俺を
見つめ軽く唇を重ねてくる。
「私は忘れませんから」
1407-1 1:2005/05/06(金) 03:23:03
40 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/26(土) 22:50:29 ID:???
お姉さんルナに子供アスラン…ハァハァ

誰かSS書いてくれんかね…


128 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 12:43:12 ID:???
すまん、お楽しみ中のところ申し訳ない
>>40が言ってたSS、試しに書き殴ってみた・・・

今度は完全にアスルナONLYなんで問題ないとは思うんだが・・・
大丈夫かな? 投下して支障はないだろうか・・・?
1417-1 2:2005/05/06(金) 03:24:02
139 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:30:27 ID:???
>>134-138
そうか・・・本家職人さん方がそう言うなら落としてみよう
文字通り書き殴ったんで途中誤字脱字あったり、変なとこがあっても許してくれ

設定イメージは・・・アスランが中学1年生くらい、ルナが高校1年生ぐらいか?
寮制の士官学校じゃないの? とかはこの際無視してくれ、すまんorz


140 名前:(1)[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:31:11 ID:???
『アスラン。父さんはこれから仕事で、当分は家に帰れない。
幸い、父さんの知り合いが、しばらくお前の面倒を見てくれると申し出てくれた。
地図を同封しておくから、今日からしばらくここの世話になりなさい。
はっはっは、元気でな!』

…家に帰った僕は、テーブルの上に置いてあった手紙を一目見、ため息を漏らした。
相変わらず父さんの話は急だなぁ。もっと早く言ってくれればよかったのに。
だいたいここ、学校から遠すぎるよ! 
これじゃバス使うにしても、相当早く起きないと学校に間に合わないだろうな…。

一人で愚痴っていても仕方ないから、最低限の荷物をバッグにまとめて、
まずは地図の場所まで行ってみることにする。
父さんの知り合いって言うと、多分議員さんか軍人さんなんだろう。
やりにくいなぁ…恐くない人だといいんだけど、大丈夫かな? ちょっと心配だ…。

バスに揺られること2時間、ようやくその家に僕は辿り着いた。
ふ〜ん、意外なほどこじんまりして、かわいい感じの家だ。
もっと見るからに豪そうな空気を放つ豪邸を想像してた僕は、少しだけ安心した。
でもここ、どこから入るんだろう? まさか間違えてるってことはないと思うんだけど…。
う〜ん、ぱっと見インターホンも見つからないし、どうしたらいいかな? う〜ん…
1427-1 3:2005/05/06(金) 03:41:53
141 名前:(2)[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:32:34 ID:???
「こらぁ! そこの君、何してるの!」
「ッ!!」

――え? 今のひょっとして、ぼ、僕のことか!?

「ほら、君よ、君! さっきからうちをジロジロ覗き込んで、いったい何のつもり!?」

や、やっぱり僕のことなのか! ど、どうしよう、なんか怒ってるみたいだ!
僕は慌てて振り返ると、ほとんど反射的にがばっと頭を下げた。

「ご、ごめんなさい! ぼ、僕は、その、決して! 怪しい者じゃありません!」

そう一気にまくし立ててから、僕はゆっくりと視線を上にやる。
…うん? 逆光でよく見えないけど、相手は僕よりちょっと年上のお姉さんっぽい人かな?

「? じゃあ、いったいどうゆう理由で…――!」

…………あれ? 怒られると思ったのに、相手のお姉さんは、何故か黙りこんでしまった。

「…あ、あの、僕は、その…?」
「……(……か、か、かかかか、……かわいい♥♥♥)」
1437-1 4:2005/05/06(金) 03:42:40
142 名前:(3)[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:33:43 ID:???
顔の下半分をドラムバックで隠しながら、僕は必死で考える。
…駄目だ。猛烈に気まずい。
お姉さんがさっきから、うんともすんとも言ってくれない。
声をかけてきた相手の方がそんなだから、僕の方も何も切り出せない。
う〜ん、この後いったい、どうすればいいんだろう? う〜ん、う〜ん…
そんな具合で、お互い何も言わないまま、2分ぐらい経ってからのことだった。
まったく突然に、お姉さんが覚醒(?)した。

「…はっ! いけない、いけない、うっかり固まっちゃったわ。
お、驚かしてごめんね! ねぇ、僕、名前はなんていうの? どこの子?」

う〜ん、う〜ん……はっ! い、いけない、僕の方まで固まっちゃってた!
どうやらお姉さんの方も、理由はよくわからないけど、ちょっと混乱してたのかな?
僕は慌てて口を開いた。

「え? ああ、ええと! ぼ、僕は、アスラン。アスラン・ザラと言います。
今日はちょっと用事があって、ブラック・D・ホークっていう人の家を探してるんですけど…」

僕がそう言うと、話を聞いていたお姉さんの目が、文字通り一瞬で丸くなった。

「ブラック・ホーク? 何よ、パパのことじゃない?」
「え? パパ? じゃあ、お姉さんは、ここのうちの人なんですか?」

なんだ、やっぱりここでよかったんじゃないか。

「そうよ。私はここの娘で、ルナっていうの。ルナマリア・ホーク。
それで、いったいうちに何のご用?」
「え、ええ。実は父に言われて、今日からしばらく、ここのおうちにお世話になるよう、言われてきたんですけど…」
「!!!!」
1447-1 5:2005/05/06(金) 03:43:57
143 名前:(4)[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:35:40 ID:???
…どうしたんだろう? なんだかお姉さんが、また固まってしまった。

「あ、あの…?」
「………………神様、感謝します(ボソッ)――

――アスラン!」
「は、はい!(ビクッ)」

突然大声で名前を呼び捨てにされて、僕は思わず縮こまってしまう。

「あ、あら、ごめんなさい。驚かせちゃったわね。
大丈夫よ〜これからはお姉さんがしっかりみっちり、面倒見てあげるからね♥♥♥
さ、行きましょ! ここでぼうっと突っ立ってても仕方ないしね!」
「う、うわぁ!?」

そう言うとお姉さんは、いきなり僕の手を掴んで歩き出した! な、なんなんだ!?

…でも、お姉さんの手は暖かくて、柔らかくて…なんだかよくわからないけど、
ちょっと――どきどきした。

「? どうかしたの、アスラン?」
「…! な、なんでもないです、その…」
「もう、そんなにかしこまらくなったっていいわよ。
ルナでいいわ。もしくは…そうね、『ルナねぇ』、とか。うん、ルナ姉がいいわね!」
「え、ええ!? そんな、初対面の方相手に、いきなり姉だなんて…」

――うん。でも、よく考えたら、それもいいかもしれない。少なくとも、
年上の人を呼び捨てにするよりは、そっちの方がずっと呼びやすいのは確かだ。
ルナねぇ。『ルナ姉』、か。
1457-1 6:2005/05/06(金) 03:44:34
「じゃ、じゃあ、その…る、ルナ、ねぇ?」
「な〜に? アスラン♥♥♥」

そう言って、『ルナ姉』は悪戯っぽく笑った。

「! ……(//__//)」

な、なんだ? このこそばゆい感じは?
この、居心地が悪いような、それでいて全然嫌じゃない…むしろ…。
1467-1 7:2005/05/06(金) 03:45:22
144 名前:(5)[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:36:40 ID:???
「? ふふ、まあいいわ。さ、アスラン、入って入って♪」
「あ、あの、手……」

靴を脱ごうとしている間も、ルナ姉は僕の手を握ったままだ。
…気づいてない? 天然なのか? それとも…
……わざと? ……はは、ま、まさかね!

「――うふふ。これからよろしくね、アスラン」
「っ!」

靴を脱ごうとしている最中(片手だけでやってるから、脱ぎにくいのなんの)、
不意にルナ姉に話し掛けられて、僕はなんだか、激しく動揺してしまう。

「ほら、返事は? ア・ス・ラ・ン♪」

そう言ってにっこりと笑うルナ姉の顔を、僕はなんだか、何故だか直視できなくて、
つい下に俯いてしまう。

「よ、よろし…」
「ああん、もう! 挨拶はそんなんじゃ駄目でしょー?」

ちょっと拗ねたように言ってから、ルナ姉はようやく手を離してくれた…と思ったら、
ええ!? ちょ、ちょっと!
1477-1 8:2005/05/06(金) 03:45:50
145 名前:(6)[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:37:46 ID:???
「………………ァ、……ァ……」
「ほら。挨拶は、相手の目を見てしないと。ね……?」

ドックン、ドックン、ドックン、ドックン――

……自分の心臓の音って、自分で聞こえるんだなぁ。
妙なことに関心している僕。その両頬に、ルナ姉の手がしっとりと当てられている。
そうして、じっと僕の顔を見つめるルナ姉。

「……ょ、ょろ……」
「よ〜ろ、の後は?」

カァァァ!

自分でも信じられないくらい、顔が熱い。
きっと、それこそ顔から火を噴きそうなほど、真っ赤になっているんだろう。
なのに、そんなにも顔が熱いのに、
自分の頬に添えられたルナ姉の手が、もっと、もっと、ずっと、

熱い――。
1487-1 9:2005/05/06(金) 03:46:35
146 名前:(7)[sage] 投稿日:2005/03/27(日) 13:40:12 ID:???

「……よろしく、ルナ姉」


結局、僕は、顔をルナ姉に固定されたまま、目だけを下に逃がして、そう言った。
……何故だか、すごく、自分が意気地なしに感じて、
ルナ姉の目を、まっすぐ見てその一言が言えなかったことが……

すごく、すごく、悔しかった。

だけどルナ姉は、そんな僕に、もう一度にっこりと笑って、
「うん。よく言えたね、アスラン」

と言ってくれた。

……そんなルナ姉の仕草が、仕草が、僕の何かを刺激しているのを感じる。
何故かはわからない。けど、もっと、もっと強く、何があっても逃げない、
そういう男になりたい。ならなきゃいけない。
その時僕は、そんな風に思ったんだ。

「……ありがとう、ルナ姉」
「ふふっ、どういたしまして、アスラン」

……これが僕と、僕の世界で一番大切な人――ルナ姉との出会いだった。

fin
1497-2 1:2005/05/06(金) 03:56:11
296 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/28(月) 18:21:31 ID:???
アスランが軍人じゃなくて普通の学生だったらどうなってたかな?


324 名前:メイリン職人[sage] 投稿日:2005/03/28(月) 20:18:45 ID:???
ルナマリアSS 学園編

「なんで起こさずに先に行くのよ!バカメイリン!」
私は疾走していた。思いっきり寝坊だ。
でも予鈴にはまだ時間がある。このペースなら余裕♪あの角を曲がれば学校はもう目の前!
曲がった先にはちょうど人がいた。ってうわわっ!なんとかかわしたけど思いきりバランスを崩してしまう。

ガシッ!
転ぶと思ったその瞬間、何かに止められる。前にいた人が抱きとめてくれたようだ。

「大丈夫かい?」
男の声・・・よく見ると結構ハンサム。
「え!?あ、あの!・・・はいっ、大丈夫です!」
今の体勢に気づき慌てて立ち上がる
「どうもすみませんでした!」
一言そう言って再び駆け出す
(ちゃんとお礼言えばよかったな・・見かけない人だったけどうちの学校にあんな人いたかな?)

キーンコーンカーンコーン

なんとか時間前に教室に辿り着く。間に合った・・・。
ほどなくして担任のラミアス先生が現れる
「は〜い、みんな静かにして、HR始めるわよ。」
ガヤガヤ騒いでたクラスのみんなはラミアス先生の一声でピタリと止まる
「今日は転校生を紹介するわね。」
クラスが歓声をあげる
1507-2 2:2005/05/06(金) 03:56:45
「残念、男の子よ。」
半分が意気消沈する。
「アスラン君、入ってきて。」
入ってきたのはさっき助けてくれた人だった
「あ・・・・さっきの・・・」
思わず声が出てしまった。
「・・・!。君は・・・。」
あっちも私に気づいたみたいだ
1517-2 3:2005/05/06(金) 03:57:55
325 名前:メイリン職人[sage] 投稿日:2005/03/28(月) 20:19:52 ID:???
「あら?二人は知り合いなのかしら?」
「あ・・・いえ・・・」「あ・・・いえ・・・」
声がハモル。しばらく静寂が訪れる。ラミアス先生がクスッと笑い
「じゃあアスラン君、自己紹介お願いね」
「はいっ。今日からここに通うことになりました。アスラン・ザラです。みなさん、よろしくお願いします。」
「慣れない環境で大変だろうから、みんな協力お願いね。それじゃあ席は・・・」
空いてるのよ・・・・見事に・・・・私の横が・・・・
「ルナマリアさんの横になるわね。あそこでいいかしら?」
「はい、構いません」
私の隣の席に座る。こちらをチラリと見て
「よろしく。」
やっぱりかっこいい・・・かな・・・
「教科書はルナマリアさんに見せてもらってね。ルナマリアさん、いいかしら?」
「あ、はい。」
授業中は気が気じゃなかった。机を寄せてアスランさんと近づくだけでドキドキする
時々肘が当たる度に気まずくなっちゃう。
「勉強なんかしなくたってやろうと思えばいい点とれますよ。」
いつものシンの大口にイライラしてたけど今日はそれどころじゃない・・・

緊張が続くまま、あっという間に放課後
「ふぅ、やっと終わった。」
でも残念に思っている自分もいる
「このままじゃ私どうにかなっちゃいそう!早くお家に帰ろう・・・。」
家に戻るとメイリンの靴と・・・見慣れない靴・・・
1527-2 4:2005/05/06(金) 03:58:59
「メイリン?誰か遊びに来てるの?」
ロビーを行くと、そこにはアスランさんが・・・
「え?ええ!?」
「あー、お姉ちゃん、お帰りなさい〜♪」
「ちょ、ちょっとどういうこと?なんでアスランさんが家にいるのよ!?」
「え?こないだ話してたじゃない。この人が近々居候になるっていってたアスランさんだよ。」
「あー・・・どうも、よろしく。」
一体どうなっちゃうの!?私の学園生活〜!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続かないw
1537-3 1:2005/05/06(金) 04:01:52
474 名前:メイリン職人[sage] 投稿日:2005/03/29(火) 11:31:05 ID:???
ルナマリア熱血編
「どうしたルナマリアぁ!もっと集中しろぉ!」
「はいっ!すみません、イザーク先生!」
パコーン
体育の時間、テニスコート上でイザーク先生の剛球を打ち返す。
「いいぞ〜、やればできるじゃないか。よし、各自でシングルス開始しろ!」
「はいっ!」
「ルナマリアはインターハイ候補だ、その辺の生徒じゃ務まらんだろう、この俺が・・・ん?」
イザーク先生の目がアスランのほうに向く
「おい、そこの貴様!見ない顔ってことは最近転校してきたって奴だな?名前は?」
「アスラン、アスラン・ザラです。」
「ほぅ、お前があのアスラン・ザラか。面白い。よし、ルナマリア、お前の相手はこいつだ。」
えぇ〜?まさかアスランと対戦することになるなんて・・・でもこればかりは真剣勝負!負けたくない!
「よし、行くぞ!ルナマリア!」
「負けないわよ!」
アスランからのサーブ、来る!

ヒュ!ギュルルルルル!ズシャーーー!

目にも止まらぬ速さでサービスエースをとられる。今のサーブは!?
「グレィトゥ!おい、見たか?今のサーブ!あの伝説のテニスプレイヤー、パトリック・ザラのパトリックサーブだぜ!」
まさか!?あのパトリック・ザラの!?そんな・・・!?

結果は惨敗だった。あまりの力の差に自分が過信してたことに気づく。
1547-3 2:2005/05/06(金) 04:02:35
「やはり貴様はあのパトリック・ザラの息子だったか。ルナマリアが負けるのも無理はない。」
「そんな、俺だって少しでも気を抜けば負けていましたよ。」
「ルナマリアは精神的にまだ弱いところがある。だが、ルナマリアはもっと強くなる。俺が保障してやる。」
人を滅多に褒めないイザーク先生が私を褒めてくれた。
「アスラン・ザラ!お前はルナマリアとダブルスを組め!そしてザフト、いや、全宇宙NO.1を目指してみないか?」

熱血編オワリ
1558-1 1:2005/05/06(金) 04:05:45
32 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/29(火) 21:32:00 ID:???
俺は押せ押せなルナが好きな訳だが、
教えてあげる?なルナと処女なルナを
両立させる案を投下してみる。
ストロベリー100%のパクリだがなw

「ザラ隊長〜、えいっ」
「うわっ」
なぜだ、この俺が簡単にマウントポジションを取られてしまうとは!
「何をするんだ!ルナマリア」
「ザラ隊長のこと、食べちゃおうかなーって思って」
「えっ、ま・・・マズイって!」
「マズくないですよ、きっと。あっ!どうしよう
ほら今日私、思いきり気を抜いた下着・・・」
パンツを見せるな、パンツを。
「いや黒なら十分気合い入ってるような・・・」
「え?何ですか?聞こえません」
耳を近づけるフリをして胸を押し付けるな!
「いや、あの、そんなに体押し付けないでくれ」
「私の体、気持ち良くありません?」
それはもう、あったかくて、やわらかくて・・・
「止せ、ルナマリア。よくないぞこんなこと。
こういうことは好きな者同士でないと」
1568-1 2:2005/05/06(金) 04:06:14
「じゃあ私を好きになってくれるんですか?
ザラ隊長はいつだってみんなに優しくて。
でも私は隊長のことが好きなの!ほんとうに本気なんですから!
・・・・・・大人のキスをしてもいいですか?」
ああ、ルナマリアの顔が近づいてくる。
「んっ・・・」
あれ?別に普通のキスだったような・・・
「ごめんなさい。やっぱり無理。
私、強引にせまっているように見えるかもしれないけれど、
本当はこういうこと初めてで、恥ずかしいんですから」
そういえば顔を赤らめたルナマリアが微かに震えている。
「今日はここまで!続きは私を選んでくれたら・・・ねっ」
1578-2 1:2005/05/06(金) 04:07:12
37 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/29(火) 21:52:40 ID:???
便乗して書いてみました、文才ないのでつまらないかもしれないけど・・・
ルナマリアバージョンっす

私がはじめてあの人と出会ったのは、まだ進水式も終わってないミネルバのMS格納庫だった。
あの人は、片腕を無くしたZGMF-1000ザクウォーリアでミネルバに来た。
そこでザクから下りてきた二人の男女。
後にわかった事だが、女性のほうがオーブの代表。
男性のほうは付き人のアレックス・ディノ。

代表が負傷しているようなので、私の独断で代表を治療する事になった。
そして二人をブリッジへ連れて行く時の事だった。

コンディションレッド発令

この時、代表がアレックスさんのことを「アスラン」と呼んだ。
それが、私の初恋のはじまりだった。 いや、はじめて見た時からそうだったのかもしれない。

当初、私は素っ気無い態度でアスランさんに噛み付くように接していた。
それも、私が彼の事が好きになったと皆に悟られたくなかったからかもしれない。
・・・というより、自分で自分の感情に気づいてなかったのか?

時は進み、ユニウスセブンが地球に落下するのを防ぐという任務が来た。
その時にアスランさんは議長の許しを得、ザクに搭乗し出撃。
そして、高度の問題からミネルバに帰還した所で何か代表がゴチャゴチャぬかしていた。
なんと、アスランさん(とシン)が帰ってこないというのだ。
とても心配だった。 胸が苦しく、どうも落ち着かない。
いったい何なのか、それはまだわからなかった。
その後のタリア艦長の対応に少し憎しみと疑問の念を抱いた。
なぜ、アスランさん(+一人)が帰ってこないのにタンホイザーを撃つのか?と。
確かにユニウスセブンを落とさなきゃいけないのはわかってる。でも、それでも嫌だった。
1588-2 2:2005/05/06(金) 04:07:53
地球降下後、上空にてアスランさんのザク(とシンのインパルス)を補足し、なんとか着艦した。
この時はじめて自分の感情に気づいたのだろう。
とてつもない安心感に加えて何か不思議な感情がわきあがった。
さすがの自分も、これで気付いた。
アスラン・ザラが好きだと。

オーブ到着後、私はアスランさんに何かとがっつくことは無くなった。
それも、アスランさんが好きだと気付いたからだろう。
まだ、自分の感情はアスランさんには伝えていない。
けど、いつか、この気持ちを伝えよう。
それまで、自分の初恋を楽しみながら・・・
1598-3 1:2005/05/06(金) 04:09:16
112 名前:102[sage] 投稿日:2005/03/30(水) 14:20:48 ID:???
「ほらほら、隊長早くして下さいよ」
「ば、バカ、ルナ、やめろ」
「何言ってるんですか、バツゲームなんですから」
どうしてだ、なぜこんな事に……
事の始まりは他愛のない会話からだった。そう、ただのどこでもあるような会話だった。
ふとした意見のすれ違い、譲らぬ主張、言い争い、そして賭けへと発展した。
俺はその賭けに負けてしまったのだ。
その為、屈辱的な行為を受ける事となった。
「女装して下さい」
彼女の唇から紡ぎ出された言葉はそれだった。
意外だった。その予想だにしなかった言葉はある過去を思い出させ俺を悲しみへと突き落とした。
それは子供の頃の事だった。
原因はラクス・クライン……俺の許嫁だった女だ。
その彼女の一つの頼みだった。
「アスラン、私の学校に遊びに来て下さいな」
俺はまだ子供だったのだろう、その頼みを聞いてしまったのだ。
ラクスの学校は当然男子禁制の女学校。
なぜ、無理だと気づかなかったんだろうか……悔やんでも悔やみきれなかった。
俺は断るわけにもいかず、選んだ道は女装することだった。
母親の化粧品を盗み、精一杯の化粧をし学校へ忍び込んだ。
ラクスは喜んでくれた。それは良かった、……だが俺は散々な目にあった。
お姉様と呼ばれたり……キスを迫られたり……。
普通の人から言えば役得がどうだというが、けしてそんな事はなかった。
いつばれるとも限らない中で、演技し振る舞う。
そんな緊張が俺を押しつぶそうとした。
その時、俺は自分に誓った……ラクスの頼みを安易に聞いていけないと……。
1608-3 2:2005/05/06(金) 04:10:26
113 名前:102[sage] 投稿日:2005/03/30(水) 14:22:10 ID:???
「隊長、聞いてますか?」
ルナの声が俺を現実へと引き戻す。
「ああ、すまない」
「着付け方が分からないんだったら、手伝いますよザラ隊長」
半ば挑発するような感じ。どうも俺はこういうのにのってしまい易い。
「バカにするな、それぐらい出来る」
「化粧もですか」
「ああ、やった事がある」
……とんだ失言。我ながら何と愚かなんだろう。
「えぇええ」
驚くのは当然、そして追求がくるのもまた当然である。
「やった事があるって事は前にも女装した事があるんですよね」
「もしかして趣味ですか?」
「どんな格好したんですか?」
矢継ぎ早にくる質問。答えたくない、答えてはならないのだ。
「これ以上詮索するな、命令だぞ」
「これはあたしとあなたの問題ですよ、フェイスなんて関係ありませんよ」
ダメだ……頭が回っていない。何か打開策はないのか。
「ほらほら、早く言って下さいよ」
「言いたくない事だってあるんだ」
思わず怒鳴ってしまった。ルナが驚いてしまったよ。
「ご、ごめんなさい、あたし余計なこと……」
そう言うルナの瞳は少し潤んでいた。
まずいことになった。何であんな事言ってしまったんだろう……俺のバカ。
後悔しても仕方なく、出来ることは謝ることだけ。
「いや、こちらこそすまなかった、でもどうしても話したくないんだ」
「話したくないんだったら、一つだけあたしの言う事を聞いて下さい」
「ああ、いいよ」
1618-3 3:2005/05/06(金) 04:10:55
もしかして俺は乗せられた?いや、そんなことはないはずだ。
ルナがそんな事するなんて絶対無いはずだと自分に言い聞かせる。
「女装して一緒に買い物行きましょう」
え?それはいくら何でもひどいので抗議しよう。
「ルナ、いくらなんでもそれは……」
「この前のデート覚えてます?隊長が恥ずかしいからって下着屋の前で待ってたこと……」
「ほんとは隊長に選んで貰いたかったんですよ……」
「それはともかく、女装してたら恥ずかしいって事ないわよ、アスラン」
……はめられた。しかしいくらルナの頼みでも嫌なモノは嫌だ。
「それだけは勘弁してくれ、お願いだ」
「じゃあ、それは諦めてあげます、今日一日、あたしのお人形さんになって下さい」
「これなら人に見られないですみますよね、これ以上は譲歩しませんよ」
ルナが譲歩してくれた以上、強情は通せない。不本意であるが従うしかないんだ。
1628-3 4:2005/05/06(金) 04:12:25
114 名前:102[sage] 投稿日:2005/03/30(水) 14:22:54 ID:???
「では隊長、それ着て下さいね」
「ああ、……分かったよ」
時間が早く過ぎればいいのにと思うほど時計の針は進まない。
運命なんて逃げることは出来ず、受け入れることしかできない。
そう、まさに今の状況がそれだ。
この服を着るしかないんだ。
「わぁ、隊長かわい〜」
着替えた俺の姿を見るなりまず一声。
「隊長、ほんと似合ってますよ、今からお化粧しますね」
……あきらめが肝心とは昔の人はよく言った。
「隊長ってお母さんに似たんですか?」
「よく言われたよ」
そんな会話をしつつ、ルナはテキパキと俺の顔に化粧をしていった。
「出来ました、見て下さい」
そういい鏡を向けてきた。
……自分を見るのが怖い。恐る恐る見ると、そこには別人がいたといっても良かった。
鏡に映っていたのはアスラン・ザラではない、一人の女の子だ。
「ほら隊長、笑ってくださいよ」
完全におもちゃにされている。早く終わることを切に願い、ぎこちなく笑う。
「きゃー、隊長素敵すぎですよ」
ルナはどうやらご満悦。
「ザラ隊長は大至急艦長室に来て下さい」
神の助けが来た。俺はこの状況から逃げるべく服を脱ごうとしたがルナに止められた。
「ダメですよ、大至急なんですから間に合わなくなります」
「じゃあ、どうしろっていうんだ」
「そのまま行きましょ、あたしもついて行きますから」
……不運というのは重なりやすいものみたいだ。
1638-3 5:2005/05/06(金) 04:13:05
ルナに背中をおされて仕方なく艦長室に行くことになった。
幸いにして誰にも出会うことはなく、艦長室へとたどり着いた。
ルナが説明してくれたおかげで、艦長から処罰されることはなかった。
しかし、艦長は終始俺の方を見ながら苦笑いをしている。
呼び出しから解放されて、部屋へと戻る途中一番出会いたくない奴に出会ってしまった。
「ルナ、その人誰?」
……どうやら、俺だと気づいてないみたいだ。
「あたしの従姉よ」
ルナが助け船を出してくれた。
「俺、シン・アスカって言います」
……ルナが脇腹をこづいてくる。何か言わないといけないらしい。
「……はじめまして」
……精一杯の裏声を使って演技する。絶対ばれているはず。
「お名前教えて貰えませんか」
ばれてない?シン、お前はどこまで鈍いんだ。
「シン、そんなことより副長が呼んでいたわよ」
「すみません、時間がないのでこれで失礼します」
……助かった。これもルナのおかげだ。
1648-3 6:2005/05/06(金) 04:23:47
115 名前:102[sage] 投稿日:2005/03/30(水) 14:23:35 ID:???
そして無事に部屋へとたどり着いた。
部屋へ入るなり、笑いをこらえられず大笑いした。
ルナも同じだ。お腹を抱えて笑っている。
シンの態度を見て笑わない奴が居るならそれはミネルバのクルーじゃない。
「たいちょー、シンが見取れてましたよ、ああ、ほんとおかしいわ」
笑いが収まった頃、俺はルナに尋ねてみた。
「なあ、ルナもう女装やめていいか?」
「うーん、まあ、いいですよ」
どうやら、アスラン・ザラへと戻ることが出来るようだ。
俺は化粧を落とし、シャワーを浴びることにした。
シャワーを浴びながら、俺は一つのことを思った。
そして、すぐにそれを実行した。
シャワー室を出るなり、ルナをベッドへと押し倒した。
「たいちょ、いきなりだなんて……あたし、まだシャワーあび……」
有無を言わせない為に唇を塞ぐ。
卑怯かも知れないないが、ルナにはこれが一番効果的だ。
「たいちょの意地悪」
その言葉を聞くなり、俺は何度も激しくルナを抱いた。
ただ、自分が男であると言いたいかのごとく。


116 名前:102[sage] 投稿日:2005/03/30(水) 14:24:07 ID:???
以上です。稚拙な文章で申し訳ないです。
1658-4 1:2005/05/06(金) 04:25:25
135 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/30(水) 18:19:06 ID:???
ギャグSS書いてきたのに、萌え萌えSSが投下されているっ!
GJ!!
こっちも投下させてね。


「ねぇ、ルナマリアだったけ?君ってさ、アイツが好きなんだろ?」
「なっいきなり何ですか、ハイネさんっ」
「隠さなくってもいいってば。見てりゃ分かるよ」
「うっ・・・そうですか」
「アイツははっきり言わないと分かんないタイプだぜ?」
「でもそんな、恥ずかしくて言えません」
「じゃあ俺で練習してみなよ。俺がグッとくるような告白なら
アイツもグッとくるぜ」
そうか、そうよね。はっきり言わないと分かってもらえないわよね。
じゃあ、やってみるわよ。思いっきり気持ちを込めて・・・
「・・・好きです」
「あっ」
「え゛っ?」
「そうだったのかルナマリア・・・ハイネさんはいい人だし応援するよ」
「あ、ここここ、これは、ち・・・違っ、誤解ですっ!
アスランさん・・・待ってー!」
「お〜、お約束お約束」
1668-5 1:2005/05/06(金) 04:29:13
248 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 16:52:48 ID:???
アスランSS 学園編A
「あらあら?アスランじゃありませんか、一体どうなされたのですか?」
「あ、いえ、その・・・」
俺は保険医のラクス先生のところに相談に来ていた。内容はもちろんルナマリアのことだ。
「・・・・・。」
来てみたはいいものの、いざ目の前で話すとなると恥ずかしさと緊張で言葉が詰まる。
「恋を・・・しているのですね?」
「・・・!!」
「顔を見ればわかります。今までに何人もの悩みを聞いてきましたから。」
そう言い、優しく微笑む。全て見透かされている・・・この人に嘘や誤魔化しは通用しない。そう直感した。
「わたくしでよければ、お話を聞かせてもらえますか?」
「・・・・」
心をできるだけ落ち着けて、整理しながらゆっくりと話す。
「・・・好きな人がいて・・・どうしようもないほどに好きな人がいて・・・その人のことが好きで好きでたまらなくて・・・
その気持ちが満ちて溢れて抑え切れなくて・・・その人を想う気持ちで胸がいっぱいになって・・・
何もかもが手につかない時は・・・・一体どうすればいいんですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・。
しばらく、静寂が続く・・・それが短かったのか長かったのかはわからない。
そしてラクス先生がゆっくりと語りかける
「そのような時は、その想いを言葉という力に変え、相手に伝えるのです。
想いだけでは相手にその気持ちを伝えることはできません。そして、想いのない言葉には相手は応えてはくれません
想いだけでも、言葉だけでも、恋は実らないのです。わかりますわね?アスラン。」

想いだけでも・・・言葉だけでも・・・
1678-5 2:2005/05/06(金) 04:30:13
「幸い、5日後には誕生日という告白にピッタリなイベントもございますし、心を込めたプレゼントと一緒に
あなたの気持ちを伝えてみてはいかがですか?」

そうだ・・・そういえばもうすぐルナマリアの誕生日じゃないか・・・え?誕生日?どうしてラクス先生がルナの誕生日を?
ハッとラクス先生を見るとさっきの天使のような微笑みではなくどちらかといえば小悪魔のような笑顔で

「上手くいくといいですわね。・・・・・ルナマリアさんとw」

最初からわかっていましたと言わんばかりにクスっと笑う・・・この人には絶対にかなわない・・・

ラクス先生にお礼を言い、部屋を後にする。
「若いっていいですわね・・・」
1688-5 3:2005/05/06(金) 04:30:58
249 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 16:53:58 ID:???
そして5日後・・・
「ルナマリア、ちょっと・・・いいか?」「?・・なあに?アスラン。」
リビングでルナマリアと二人きりになる
「今日はルナマリアの誕生日だろ?おめでとう。」「わぁ、覚えててくれたんだ!?ありがとう♪」
「それで・・・ルナマリアにプレゼントがあるんだ。受け取ってくれないか?」
両手でソレを渡す。
「ルナ!タンジョウビ!オメデトー!オマエモナー!ンー、グーレィトォゥ!」
「わぁ、なに?これ、すっごく可愛い!喋ってるし。」
「ハロっていうんだ。俺が一生懸命作ったんだ、大事にしてくれるか?」
「ありがとう、生大事にするわね♪」
喜んでくれたみたいだ。よかった。だが・・・・ここからが本番だ。昨日、何時間も練習した。きっと上手くいく
「ルナマリア、聞いてくれ。」
「なに?アスラン。」
「その・・・」
もう一度だけ練習でまとめた告白の言葉を確認してルナマリアに伝えようとしたとき・・・

「ルナ!ダイスキ!アイシテル!アイラーヴュー!ミトメタクナイ!ミトメタクナーイ!」
ぐぁ・・・・
「・・・・・・・・・・。」「・・・・・・・・・・・。」
なんてこった・・・AI機能が裏目に出てしまった・・・どうする?誤魔化すか!?
・・・いや、ここで逃げてどうする・・・ここで逃げたら男じゃないだろ・・・
ルナマリアに伝えるんだ、俺の気持ちを・・・どう伝えるんだったか・・・頭が真っ白になって思い出せない・・・
だが、ルナマリアに伝えるんだ・・・・伝えなきゃ・・・・つたえ・・・・
「・・・・好きだ。」
「俺は・・・君が・・・好きだ。」
「どうか俺と付き合ってほしい。」
1698-5 4:2005/05/06(金) 04:31:40
・・・・・・どれくらいの時間がたったのだろう・・・
いつか感じた長く短い時間・・・そして、その静寂もやがて終わり・・・

「・・・・・私も・・・」
「私も・・・アスランの事、大好き・・・」
・・・・・!
「それじゃあ・・・・」「うん、これからもよろしくね、アスラン!」
この時から、俺とルナマリアは恋人同士になった。これから先、いろいろ大変な事もあるだろうけど二人ならきっと乗り越えていける。
そう信じて俺はルナマリアと一緒に同じ道を歩いていく・・・・長い、長い道のりを・・・ずっと二人で・・・・
「テヤンディ!ハロ!グーレィトォウ!」・・・・・・・学園編オワリ
1708-6 1:2005/05/06(金) 04:33:41
280 名前:1[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 22:14:35 ID:???
.        ヽ    、                      \
        /`   '、                        \
        , '    l  ト、    \                   ヽ
      //    !  '、\   ヽ                   ',
      / /   /l l ヽ'、 \   ヽ                   l
     , ' 〃   //∧', ト,'、  >-、 ヾ',ヽ                 !
    ,' //     / ','、ヾ>、<,.ィ≡ミ、ヽl   l     |         l
     !/. !  | !   ト-、',l ヾ', ヾ'、彳 ノ::::} }ト、  !     l−、      !
     |! l ハ l  | .l,.ィミ、      ゞ-rシ,.   / !     、 ',`、 !      l ザラ隊長,今夜部屋にいってもいいですか?
      ! l !  ! '〃,ハ      ゞ'"´  / /!     ト,'、 l !       !  ちょっと相談したいことがあるんです.
      ', l ',  ! '、_り'::::::::::       / //      ! ヾ ノ     l|
       ヾ ヽ  ! K´           /, '  !      l /    l   l!/
          ヽ,l  ! ヽ       /´  !     l l! l   〃 /′
           /  '、  ,..,,...__       ,' /    l! l ! |   ///
           / 〃 >、 --       / 〃   /l l l l  / '´
         / / l   \         / /イ   l l,.l lイ l  /
         /'´ ./       >、  __,. -ァ /ニl  / / リ l´l l!
           / /   /! `T´,. -‐〃'´ /  / /    l/ l
          /〃  / / / { </ |ィ_/ ,.ィ /       ト、
          〃 l  , ' / /   !, !ィ / / //  _,,...-―''"´ ̄`''‐-..,,,__
          ´ l /  !/   _,,.ll' l Y/ _,,..-‐''´
1718-6 2:2005/05/06(金) 04:34:13
           l /   ′,.‐'´  ll_j_,.-‐''´
           l/,.-‐''"´    / |        ,. ‐-- ...,,,,_
         ,.-‐''´  ,.-‐''7   , ' ,'      ,.-''´        ヽ     /
1728-6 3:2005/05/06(金) 04:34:44
281 名前:2[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 22:15:24 ID:???
夕食を終えて自室に戻ってからどれくらい経っただろうか.
俺は,先ほどのルナマリアの真剣な表情を思い出していた.
―何の相談だろう…射撃か?いや,セイバーの話かな…興味持ってたみたいだしー
コン,コン.
小気味好いノックの音が,ぼうっと彷徨っていた俺の思考を現実に引き戻す.
1738-6 4:2005/05/06(金) 04:35:09
282 名前:3[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 22:16:26 ID:???
               ,. -‐: ´: ̄: ̄: ヽ._
              /: : ;: ‐ : : : : : : : : : :`丶
            /: : ./: : : : : : : : : : : : :\ . \
           〃: .:.:/:: : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.. ヽ
             /.: .:.:.:! :. : : : :   : :、: : : : : : :.:.:.:.: l
           /./  .:.:.:l..:.. !   :..   ヽ :..: : l : :.:.:.:.:.|
         l〃.: : ! l:. ヽ.ヽ:.. :ヽ:::... :ヽヽ:.:l.:.:,-、:.:!
         ハ..:...:.:!:. :ト:.、:ヽ:ト、:.. :ト\:.:.:.:.:l:.!..::l.:ト lノ
          ゝ、:.ヽ:.:l_ヽ\ヽ \L>≦、!:.:.:.:lハノ、
          //..:.,イ:.:.:Y7こj ヽ   ┴'ク:ィ:.:.:.:.:ク イ   ザラ隊長,…ルナマリアです.
           !:l{:./ ノ/:.:ヽ ̄  j   /7  ; ‐_´イ/
          lハV//: :.:\ ヽ_  /: イ !イ:.:.:./_, 、
        , -‐ 7/! ハl:.`丶.、 ` j:. .ノ !,ゝ/:....:.. ー- 、
        |  ...::::l/::|:. !::::ヽ\:.リ `Tl:./ //::::::::::::::::::...  \
        | .::::::::::::::::l:.:|:::::::::` くヽ __ l_,.-'::::::::::::::::::::::::::::::::...  `ヽ
        ヽ::::::::/ ヽヽ:::::::::::::ヽj:::::::::::::::::::::/l::::::::::::::::::::::   |
         ヽl´l:.:..:.:.:..:`l:::::::/l:::::::://::::::/:.:.:.:!:::::::::::::::::::/.... /
         /.::j..:.:.:.:::..:.:./::/ j:::::/:.:./::/..:..:.: ..:{:::::::::::::::::.....::::: /
          /-く:..:..:.:.:...:./イ:.:.:.:l:::/:...::/__l.:.:.:.:!:::::::::::::::: __ /
      rー'   l:..:.:.:....:.:.:/、:.:.:l/.....::.:.:.|   /:.: ..:.:|:::::::::::::/イl|
      j   , -ヽ:.:.:...:.:.j::::ゝ:....:.:.:.:.:.:.j‐  7..:.:.:.:.:.ヽ::: ::/  V l!
1748-6 5:2005/05/06(金) 04:38:29
283 名前:4[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 22:17:14 ID:???
               _,.-‐''"´~ ̄ ̄~`´ ̄ ̄`ヽ、
            ,,r:'''" ;..-‐'     ::::::::::::::::::::::::ヽ、
           /   、..:i ,...、        :::::::::::::::::::::::ヽ、
          /    ヽ!|:::::`ヽ、       :: :::::::::::::::::::.ヽ
         /      ,ッ-‐-、:、  : :.  . . . : ::::::::::::::::::::゙i
.        /,ィ     , /    l::. ; .:i .::::. .:::::..:::::::::::::::::::::::::i.|
        l! i .:/ ,: :.::,il      |:::..,イ:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i.|
        ! .| ::;i::. .::i::::riト、._   ,l::;/リ/i:::::::;::::_:::::::::::::::::::::::: !|  あぁ…,入って.
.          ゙いヽ:::::::i|L廴_`  /'" '7ク:;::;ィ;/リ:::;:::::::::::::::::: i|
          ヾ `i、:::゙i、ヒ':゙ト     '゙イ'デt‐ッl::/,:::::::::|;:::::::..|
             }, ゙iー`""゙     ''゙ー゙┴ シ'/,::::::i:;リ:::::::: |、
            i′,ト、  ./           /ィ,:::::::::::'::::::::::::トi
            /イ,:'::::゙、  `        '/,:::::::::::::::::::::::::リ
            レi :::::::;゙:i、 `ニ''       ,.lイ::::;イ:::::::::::::,ル′
               | ∧::|!リ.|:ヽ、    _,. -'´ _|::/''1:::::;ルjノ
             i! ヽ|  Nwヤー=''-‐ ''"´: :" : i|::;〈. ′
               _,,..、-ァ''〉   : : :  : : : ,ィ'´.:.:.ヽ、_

1758-6 6:2005/05/06(金) 04:38:59


284 名前:5[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 22:18:13 ID:???
「ザラ隊長…」
ルナマリアは俯いていて表情は読み取れないが,その声がいつになく硬い.
沈黙する俺とルナマリアの間には,コンディション・レッド寸前の緊張感が漂っていた.
雰囲気に呑まれ,きっと間の抜けた顔をしていたであろう俺の方は見ないまま,
ルナマリアは言葉を続けた.
「ザラ隊長…,オーブの代表のこと,どう思っています?」
…オーブの代表…?…あぁ,カガリのことか.
なんだ,雰囲気が硬いと思ったら,政治談義を始めるつもりだったのか….
…ふぅ.少し落ち着いた頭で,元オーブ代表護衛としての受け答えを考える.
「代表は…そうだな,今は理想に囚われ過ぎて融通のきかないところも多く,
 政治家として問題が多いが…,これから為政者としての経験をつんでいけば,
 オーブ国民からの人望厚い,いい代表になるんじゃないかと思っているよ.」
「えっ?あ,そうですね…えぇ.」
ルナマリアは少し驚いたような目で俺を見た後,首をかしげて考え込んでしまった.
おかしなことは言ってないはずだが…
「良かったら,君の意見も聞かせてもらえないか?」
「意見…ですか?」
「あぁ.オーブについてでもザフトについてでも…
 そうだな,君は今の世界情勢とこれからについて,どう考えているんだ?」
ルナマリアは困ったような顔をして…また俯き,ため息をひとつついた.
そしてばっと顔を上げ…

「ザラ隊長!」
1768-6 7:2005/05/06(金) 04:39:31
285 名前:6[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 22:19:04 ID:???
   |;!  .|-'! |---、.__     u ヽ,,,   'l | ヽ  レ‐! |ヽ
     |''l,  |-ヽ l,----、,,ヽ、、     ヽ;;;,.  l ,!  .〉  |,-'l |,`!
      l ヽ. |  ヽ'!;;;;、、  '-、`_,,,,,..,,,_ ,ノ>;:  ,r|,!,,,ノri  !'" | ,! i
      'l, ヽ !ニ=;ヾ、==,`ヽ、ー-;;;;`'  彡'   '' !'','´‐;| ノ",--l!- l
      i、!_,,ゝ,!.r'´ _,,,,,_ `ヾヽ、;;,          ,/彡'''|,!'''`ヾミ- .|
      ヾ<,;;;'ヾ、 ,r'´゙`)゙ヽ `ヾ、;;;;         ,'/ ,r'!'゙)ヽ ヾ`. |
      ヾヾl,  {'、,.〃´`}  ; '''          ':  {、,ノr';,!  },`;;ノ     /
        ヽ. `、  ゝ、,__,:ノ  ノ,:,:;;;;;   ,;;;;;   、 、ゝ、::.:ノ ノ';;;:;;|     /
       ヽ  `ゝ、,,,,,,,,.-,彡 ';;;:''"  ,;;;;;;;;;, l, ゙ヾミー---‐'"'' ,;;;'|    /
        ヽ  '''''''''''''' '''""´   ,;;;;;;;;;;;;;;;, l,   `'''      " |  ./
      、、 ヽ           ::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;, ヽ         ノ /      !!!???
       l`ヽ、゙ヽ、          ''''::;;;;;;;;;;:' ,        /./    ,.'
        l  `ヽ'、_            '''''''  ノ       ,'イ     .r'
       l, U                 /        /   ト、  l,
        'l                 、...          /     ゙!ヽ  l
,        'l.           ,, ,.-=ニニニニニィ'      /     | ヽ  l,
ヽ     |、 |          ,;r'´     ヽ,.|     /       |  ヽ、l,
. 'l.       |ヽ l,.          ''`ー--------‐'   /         |   ヽ,l
 'l,     | ヽ'l`ヽ、.          、,,,,,,,,,,,,,,,,,..   /           |    `
  |      |  '!|   `'‐ 、        ゙'''''''''''''''"  /          |

1778-6 8:2005/05/06(金) 04:41:43
286 名前:7[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 22:22:45 ID:???
わけもわからず真っ白になった頭を叩き起こし,
状況を把握しようと自分の手を少し動かしてみる…
「あんっ…」
る…るな…まりあの…こえ?えっ?えーっと…???

間近で聞こえたルナマリアの声.
視界を覆う,赤い髪.
そしてかすかな石鹸の香り…
徐々に感覚を取り戻してきた俺の思考は,
ようやく今おかれている状況を認識し始める…

「ルナマリア…?」
俺は今,ルナマリアを抱きしめている…のか?
腕の中のルナマリアの肩は細く,それでいて柔らかくもあり…
カガリの,筋肉質で遊び盛りの少年のような身体とは,全く違っていた.
腕の中にいるのが,紛れもなく女の子だという事実が,脳を直撃する.
いやいや,浸ってる場合じゃない!次にするべきことは…
まずは,ルナマリアを起こしてあげて,ごめんと一言謝って,それから…?
そんな冷静さを装った思考も,耳に届いたルナマリアの甘い声と共にかき消されていく.
「隊長…迷惑,ですか…?何も言ってくれないと…私だって怖い…です.」
1788-6 9:2005/05/06(金) 04:42:22
293 名前:7[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 23:24:11 ID:???
>>290
たまーにAA作ってみたり,ss書いてみたりしてました…
でも全くの初心者(ノ∀`) アチャー



   ____ζ.⌒〜〜⌒ヽ___ギシギシ
  . |__. −‐        \ |          ほっ,ほんとに初めてなんですかっ…?
((((..|\_/´   ::::::::       ~~\         あっ,はぁ…たいちょっ…ん…
   | .|\  ::. 〜     ~ :::  ::::::::\  ))))))
   .\|  \:::::.......,,,,,,,....~........  :~::::::::::::::::\     君の身体がっ,俺を導いてくれるんだ…くっ
 ((((  \   \;;;;;;;::::::::::::::::::::::  ::::::::::::::::::::::::\
      \  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
        \||____________|


1798-7 1:2005/05/06(金) 04:48:24
329 名前:ショタルナA−1[sage] 投稿日:CE00005/04/01(金) 15:21:38 ID:???
「アスランはこの部屋使ってネ」

そういって通された部屋はきれいに掃除されていて
広さもそこそこな感じだった。何もないのは仕方ないけど、
とりあえずテレビやベッド、机もあるし
当面お邪魔させてもらうには不便はないかな?
とにかくこれからしばらくは、この部屋が僕の生活の
拠点になるんだなぁ・・・。

「さ、荷物置いて!これから家の中の案内してあげるから」

そういうとルナ姉は僕の手を取って部屋から出ようとした。

「は、はい!」

やわらかくてあったかいルナ姉の手の感触に、僕はまた
ドキドキして顔がどんどん熱くなるのを感じた。

(ふふふ‥。こんなに真っ赤になっちゃって。カワイ杉!)

「ここがあたしの部屋よ。何かわからないことがあったらいつでも
ここに来てね。お姉ちゃんが色々教えたげるから。で・も!
必ずノックする事。レディの部屋に入るときのマナーだからね!」
「は、はい!」
1808-7 2:2005/05/06(金) 04:49:05
330 名前:ショタルナA−2[sage] 投稿日:CE00005/04/01(金) 15:24:20 ID:???
僕はルナ姉に握られた手の感触にすっかり舞い上がっちゃっていて
何とか返事を返すのが精一杯だった。

「こっちは妹の部屋だよ。まだ学校から帰ってきてないから
あとで紹介してあげるね」
「ここはパパとママの部屋」
「こっちがトイレ。洗面所とバスルームはあっちだからね」

一通り説明が終わった後、僕たちはリビングで一息つくことにした。

「どう?この家がこれからアスランが住む家なんだよ。
気に入ってくれたかな?」
「あ・・・、は、はい・・」

ずっと手を握られていてまともにルナ姉の顔が見られないよ・・・。
僕はさっきから顔を上げられないでいた。

「そう。よかった!・・・って、・・・・・・・・・ねぇ、アスラン?」
「は、はい!?」
「・・・・・・まだ緊張してるの?」
「(ドキッ!)・・・・・・はい」
「・・・ねぇ、アスラン?これからあたしたちは家族になるんだよ?
そんなに他人行儀じゃお姉ちゃん少し寂しいなぁ・・・」

ぎくっ!

さっきまであんなに舞い上がっていたのに、何故か一気に体温が
下がった感じがした。
・・・そんな悲しそうな顔されたら・・・・・・。
1818-7 3:2005/05/06(金) 04:58:51
331 名前:ショタルナA−3[sage] 投稿日:CE00005/04/01(金) 15:28:03 ID:???
「・・・・・・あ、あの・・・、ゴメンナサイ・・・」

(あっちゃ〜。今度はしょげちゃった。やっぱり初対面だし
仕方ないのかなぁ?それとも意識しちゃってたりして?
どっちにしてもこの空気はさすがにまずいよね・・・。も〜!仕方ないなぁ!)

「ねぇ、アスラン?・・・あたしの顔よく見て」
「・・・え?」

勇気を振り絞って上目遣いに見てみたルナ姉は、少し困ったような
表情で、でも頬がほんのりピンク色・・・?

「あたしもね、まだ緊張してるの。でもね・・・、これから一緒に暮らして
いくんだから、はやくアスランと打ち解けて仲良くなりたいの。
アスランも多分緊張してると思うけど、最初は形だけでもいいから
家族として接してほしいな。・・・お姉ちゃんからのお願い」

「あ・・・・・・・・・」

ルナ姉のはにかんだような笑顔は何だか、凄く、・・・可愛い感じで・・・、
その笑顔に魅せられた僕は無意識のうちに答えてしまった。

「は、・・・・・・はい」
「くすっ。ほらぁ、・・・はい。じゃなくて、うん!でしょ?」
「あ!・・・うん」
「ふふっ。・・・アリガト、アスラン。あらためてヨロシクね!」

1828-7 4:2005/05/06(金) 05:04:11
そう言って、今度は凄く優しい笑顔でルナ姉は右手を差し出してきた。
そうだよ。ルナ姉だって緊張してるんだ!頑張ってるんだ!
それにさっき僕はどんなことからも逃げない、強い男になるんだって
決めたばっかりじゃないか!僕だって一生懸命頑張らなきゃ!

「・・・こ、こちらこそヨロシクね!ルナ姉!」

そう言いながら握ったルナ姉の手は、さっきとは少し違う感覚で、
何か、少しだけ、・・・僕たちの距離が縮まった気がした。
まだまだ二人とも少し顔が赤いけど・・・、その時交わした握手から
感じた温もりが、きっとこれからの幸せな生活を予感させたんだ・・・。


332 名前:321[sage] 投稿日:CE00005/04/01(金) 15:35:09 ID:???
投下完了
切るとこ間違えて各話ごとで長さが違うが
できるだけスルーしてただくということで・・・
183名無し草:2005/05/06(金) 05:12:44
連投に引っ掛かりまくりなので今日はここまでに
しておきます。また後日にでも。サヨーナラー。
184183:2005/05/06(金) 09:10:12
後日って言ったけれど、ちょっと時間があるので
少し転載していくよー。
1858-8 1:2005/05/06(金) 09:12:07
394 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:CE00005/04/02(土) 05:19:40 ID:???
えぇ〜いもうどうにでもなれ

「ルナぁ!!アスラン・ザラがこの学校に帰って来たよ!!」
教室で雑誌を見ているとそう言いながら友人が教室に入ってきた。
「まぁた、もうその手にはひっかかりませんよ〜」
相手にしないで見ていた雑誌に目を戻す。何度この手に騙されてきたことか・・・
「今度はホントに本当なんだって!!ルナに見せてもらった写真の人がうちの制服着てデュランダル先生と話してたの!!」
いつもと違ってなんか必死だな。でもまさか・・・とは思いつつも、
「・・・ホントなの?」
「ホントだって!!あんたに何回も写真見せられたもん、見間違えるわけないでしょ」
「間違いない。俺も見た。」
クラスメートのレイが突然会話に加わってきた。
「ほらぁ、レイも言ってるでしょ。ホントなんだって」
「レイが言うなら・・・」
あのくそマジメなレイが嘘をつくわけがないし、
「ねぇルナ、会いに行ってみようよ!!」
友人が目を輝かせながら提案してくる。
「会いに行くって言ったって、向こうは私の顔も知らないし・・・」
会ったところで何話せばいいのよ、なんて思ってたら、友人の一言が心に突き刺さりました。
「じゃあずっと憧れの先輩のままでいいの?せっかく追い掛けてこの学校に来たのに」

私とザラ先輩は同じ中学で、アスラン・ザラと言えば全校生徒知らない人はいないくらいだった。
成績優秀スポーツ万能容姿端麗・・・そんな彼に憧れてたのはもちろん私だけじゃ無くて・・・
そのザラ先輩が進んだ高校がこの名門ザフト高校だった。
中学時代の私は自分で言うのもなんだけど成績は結構いい方だった。けどザフト高校なんてのは到底無理で・・・
でも憧れのザラ先輩に会えるなら!って思ってめちゃめちゃは努力して、
そうしてなんとかザフト高校に入学したんだけど、そこにザラ先輩の姿は無く・・・
彼は入学してすぐに転校してしまったらしい。
1868-8 2:2005/05/06(金) 09:13:35
私、何のためにあんな努力したんだろ・・・何度もそう思ったことを今でもよく覚えてる。
そんなこんなで1年経って・・・

「・・・うん、行こう」
そうだよね、そのためにこの学校に来たんだもん!
「じゃ、いってらっしゃ〜い」
「へ・・?一緒に行かないの?」
「だって会いたいのはルナでしょ?」
1878-8 3:2005/05/06(金) 09:15:29
395 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:CE00005/04/02(土) 05:20:23 ID:???
まんまとハメられた・・・そう思いながら廊下を歩いていた。
レイの話によるとアスラン・ザラは3-Aにいるらしい。この角を曲がれば3-Aだ。
「うわっ!!」「きゃっ!!」
角を曲がろうとした瞬間反対から来た人とぶつかってしりもちついちゃった。
「すまない、よそ見してて・・・」
しりもちをついている私にぶつかった相手が手を差し伸べてきた。
「ザラ先輩・・・!!」「え・・・?」
ぶつかった相手はお約束通りザラ先輩でした・・・
やっばい、どうしよう心の準備がぁぁぁ・・・
ザラ先輩は見ず知らずの私に名前呼ばれて怪訝な顔してるし・・・
そんな気まずい空気を打破してくれたのがザラ先輩の友達っぽい色黒金髪の人だった。
「なになに二人は知り合いなの?」
「いや・・・」
「あ、その、私ザラ先輩と同じ中学で、それで・・・」
「じゃあ俺も同じだぜ!俺のことは?知らない?」
「ごめんなさい・・・」
「否グゥレイトゥ・・・」
「おい、そろそろ行くぞ」
「わかってるよ。じゃあね〜」

行っちゃった・・・ふぅ、色黒の人がいて助かったな。私もそろそろ戻らなくちゃ・・・

「かわいい子だったな」
「そうだな・・・」
「お!お前が女の子に興味持つなんてめずらしいじゃん!もしかして一目惚れしちゃったとか?」
「そんなんじゃないよ・・・たぶん」

                           〜続くといいな〜
1888-9 1:2005/05/06(金) 09:18:13
536 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:CE2005年,2005/04/02(土) 19:10:47 ID:???
ちょっと今日の話で小話書いてみたんだが・・・


539 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:CE2005年,2005/04/02(土) 19:19:03 ID:???
「ルナマリア!??どうしてここに!?」
「艦長に言われて、ずっと隊長を尾行してました。」
「聞いていたのか?全部?」
「はい。プラントにいるラクス・クラインは実は偽者で、本物が命を狙われ・・・」
「もういい・・わかった。」
「報告したらどうなりますかね?」
「どうだろうな・・・少なくともミネルバには居られないだろうな。でもそれは君も・・・」
「黙っててあげましょうか?」
「どういうことだ!?」
「だから、報告しないでおきましょうか?」
「・・・何が目的だ?」
「目的なんて無いですよ。ただ・・・」
「ただ?」
「あなたと、離れたくないから・・・」
「え・・・?」
「好きな人と離れたくないからっていうのは理由になりませんか?」
「ルナ、マリア・・・」
「じゃ、私戻りますね。」
「本当に報告しないつもりか・・・?」
「はいっ」
「どうして・・・」
「どうしてって・・・もう一回言わせる気ですか?」
「あ、いや、そうじゃなくて。君は軍人だろう?それでいいのか?」
「軍人である前に一人の女ですから・・・失礼します。」
「あっ、おい・・・・・・・どうすればいいんだよ・・・」
1898-10 1:2005/05/06(金) 09:21:42
554 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:CE2005年,2005/04/02(土) 20:56:59 ID:???
「何処に行ってらしたんですか」
「え…」
 隊長がミネルバに帰艦したのは、結局次の日だった。
何も知らずに格納庫から出てくる彼を、私が見逃すはずもない。
「隊長がいない間、大変だったんですよ。
レイは倒れるし、シンはガイアとガイアのパイロットを捕獲してくるし…」
「ガイアのっ!?」
 私に詰め寄られた隊長は眼を丸くする。
まあ、そりゃあ私だってシンがボロボロになって帰ってきた時は驚いた。
 コクピットにはシン、レイ、それに連合の制服を着た金髪の女の子が乗ってたんだもの。
「シンは医務室、レイは救護室、ガイアのパイロットは独房です」
「そう、か…」
「…会いに行かないんですね」
 彼はこの大事の時でも、あまり反応を示さない。
なら、昨日見せたアレは何? アスハ代表やアークエンジェルのクルー達と会っていた時の表情は?
 それに…本当のラクス・クラインが暗殺されかけった、って話を聞いた時に見せた、あの顔。
「(貴方は…仲間の私達よりも…あの人達の方が心配なんですか…?)」
 声には出さない。けれど、搾り出すように私はそれを心の中で繰り返す。
ハイネさんが死んじゃったばかりなのに、隊長は彼が死ぬ原因を作った人と平気で話せる。
 私にはそれが解せなかった。いや、許せないと言ってもいい。
私のやったことはお世辞にもいい趣味とは言えない。
 でも隊長のことを信じていたかったから、嫌な奴になってもいいって覚悟の上での選択だった。
「すまない、艦長に帰艦の報告をしなきゃならないから…」
「逃げるんですか?」
 肩をすり抜けていく彼の服を掴み、私は少し怒声を含んだ口調で呟く。
「私達の隊長なら部下を見舞うことくらい、優先してもいいじゃないですか!」
「ルナマリア…」
1908-10 2:2005/05/06(金) 09:22:43
555 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:CE2005年,2005/04/02(土) 20:57:47 ID:???
 身も蓋もない主張だった。
遠まわしに、シンやレイをダシにして自分のことも見て欲しいと言っているようなものだから。
 …あの時のラクス・クラインが偽者だったことに気づいた今なら、尚更のこと。
「もっと私達を見てください! 
隊長みたいにはなれなくても、私達だって私達なりに頑張ってるんです!」
 我ながら芝居がかって嫌になる。
こうやって引き止めて、少しでも彼と自分が共に在った時間を感じていたいだけ。
 隊長がアークエンジェルのクルー達と会っていた時に一瞬、
彼を軽蔑しそうになったけど…何のことはない、最低なのは私の方。
 今もこうやって彼の心の隙間に入り込もうとする自分が、すごく浅ましく見える。
「…ダメな隊長で、すまない」
「ダメでもいいです、いいですから!」
 何かもう、すごくカッコ悪い。
この事実を報告しようものなら、彼を隊長の座から追いやることもできるのに。
「ずっと私達の隊長でいてください! 私、アスランさんが隊長じゃなきゃ…嫌です…!」
 最後の方は涙声になってしまい、自分でもよく発音できなかった。
「ルナマリア…た、頼むから泣かないでくれ」
「だって、だって…っ!」
 こうしている瞬間も、私は心のどこかで彼を疑う。
自分でも何を信じていいのか分からないけれど、隊長に縋ることで保身だけでもしておきたい、という本能か。
「分かったよ、後でちゃんと2人は見舞う。…それでいいか?」
「(それじゃ、足りない…!)」
「あと、全部終わったら…ちゃんと君の部屋にも行く。約束する」
「ほ、んと…?」
 そう言って隊長は私の頭を撫でた。
何も返す言葉が出なかったけど、彼が最後に呟いた言葉が頭の中でゆっくりと繰り返される。
「待って、ますから…絶対、絶対、待ってますから!」
 誰も見ていないことを良いことに、私はそっと彼の背中に爪を立てる。
久しぶりに触れた彼の身体からは、私以外の女の匂いと、潮の香りが微かに漂っていた…。 
1918-10 3:2005/05/06(金) 09:24:27
556 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:CE2005年,2005/04/02(土) 20:58:27 ID:???
アスルナなら暗い話でもよかった。
今は反省している。
192凸-2 1:2005/05/06(金) 09:45:40
133 名前:1/8[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:19:56 ID:???
アスルナ(´д`*)ハァハァ …いつぞやの続き.
片思い系とはズレてるんで,スレ違いならいつでもご指摘をお願いしまっす.


俺は,ルナマリアを抱いた体勢のまま固まっていた.
動けなかった.動きたくなかった.
ルナマリアに手を回した時の記憶はない…だが,
今こうやって抱き続けているのは,確かに俺の意思なのだ.
「隊長…?」
ルナマリアが不安げに問いかけてくる.震えて…いるのか?
沈黙が続く.俺の返事を待っているんだ…彼女は.
俺は何か言おうと口を開けたが…とうとう言うべき言葉を選べなかった.
193凸-2 2:2005/05/06(金) 09:47:08
134 名前:2/8[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:21:40 ID:???
          ,,.._  /    :::::::::::::::::::::::::::::::\
         /,.、レ'´    ヽ、ヽ ::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
       , '/ /   、、 、ト、..... :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
      /, ' /  ll|,  ヽヽ` :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     //  /ィl/イ l{,l .    ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
    〃  / l'´    :::. :..  :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;!
    /´  | :| ::::.  ヽ ::::::. ::::. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l!
         |::ハ::::::::.  :::fヽ:::::::::::::.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:/
        |:! ';:、::l  :::::ヽ`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l′
       リ  ヾ`!  ::::::::l ハ::::::::::::::::::;:::::::;: - ;:ニニl'
           ゙!  ::::::::::1 !:::::::::::::/‐'',‐'"´    '、     ごめんなさい,なんだか…困らせちゃったみたいですね…
          /,ィ ,::::::::::::! |:::::;::::://        '、
          /'/,イ:::::;ィ:::ト、 !::/|::/´          ヽ
           /´/:::/ l:::l ゙!メ、ハトィ   ,.-‐'' " ´ ̄ ̄`''ー _
             /:; '  !/  ′'  ヾフ‐''´            `丶、
          /'´      _ -''´       __      __   `丶、
               _,.- '´      ,.-‐''" \    /  `''− 、   ヽ
           _,.‐''´       _ ‐ ´       \ /       `丶  ',
          / −-、     /           `^         ヽ ',
         /      、   /                       , ヽヽ
         /          l                        l  l !
194凸-2 3:2005/05/06(金) 09:49:08
135 名前:3/8[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:22:33 ID:???
         _,,,,,,-----,,,,,,,_、 .      /:::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
      .,,-'":::::::::::::::::.,,,--,==ミ,      !:::;: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
    ./:::::::::::::::::::::::::ヽ .,i´::::::::::::'⊥   !:::;::.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
   ,/`:::::::::::::::::::::::::::::::::゙''"::::::::::::::::::!: ヽ:!:::::::::::fヽ_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
  .,‐::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: lヽ 'i::::::::::::.;i `ト;:::;:: ::, }';::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
  l゙:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l゙ \‘i、::::::|   ''i::::. :j !l::::::::::::::::::;ィ:::::::::::::::::::::'、
  .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l゙_,/\\::.|   l::::::.:',ィ!::::::::::::::::::;ィ::::::::ノハ:ト、
  .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i、l゙´.,,,r'1 ``ぐ   ´ l/:::::::::!!::::::;ィ:::/ l:::/    待ってくれ!
  | .|::::::::::::::::::::::::::::::. ヽ ` .゙lフ   `'-   l::::;:::j´l:::/ l:/   ∨i     …いや,違うんだ…その…
  .゙l li:::::::::::::::::::::::i::::::::\ ヽ、   ,,, /   l:ハlイ .∨-――――- ..,,__
   .゙l| ゙'ヽ:::::::::::/ ヽ:::::::::::ッ、,ヽ,、 / ._,,,,--ー''冖''‘^
    "  `|'::l゙    ヽ::::::::::l.`''',ニ,,,,-''"^           ,,-‐"
       .,|/―――-\:::::゙l/゛ .,/_、       ,/`            ぇ…た,隊長…?
       .″|,,,,,,,,,,,,,,,、`"'-,゙l,,,r'"` `\    /
       ,/゛    `'i、  |-゚ l     ゙l  ,,-′
      .|  ,,,,---,,,,| /  ゙l     .,l゙,/`
       |..i'"    ,/ ,,i´   `'-,,,,,,,,,ri'"
       │‘'-、_ ,//',i´    .,,,-‐" 、          ,!
195凸-2 4:2005/05/06(金) 09:50:35
          ゙l,  _,/″.l,,,,---‐'''"` ._,/`         ,l゙
        .,ソ'′       ._,/゛l゙           ,l゙
       '"            '"`  ‘           ′
196凸-2 5:2005/05/06(金) 09:51:45
136 名前:4/8 ここで一旦様子見…[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:23:40 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ : ; : : : : : : : : : /`'-‐- 、: : : : : : : : : ::::!
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /! : : : :/ : :; : :!      ! ::: : : : : : : : :::!
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::::::::::ヽ i /::::::::::::::::::::i : !:::::.:トH::::/_l::! ',i     !:::::::::::::::::: :::: ::/i!.
:::::::::::::`,/:::::::::::::::::::::! : ';::::::! l !::<_ !:!'ーl-、    イ:::::::::::::::: : ::: :/ i
::::::::::::::/!/:::::::::::::::::::i: : :::';:::f''"!テ;<゙;i゛` '   ,イ、:::::::::::/:: :/!: /
::::::::::::::::::::/!::::::::::::::::l: : :::iヽ!゙ '' ',-'゙-    '゙f;フ/!/j ///'
::::::::::::::/!/ i:::::::::::::::::! !: ::l、////    ,"゙/ ' /
:::::::::/ i'  !:::::::::::::::i l : :i i          '/   …俺,こういうの…その,初めてで…
:::::/\、  l:::::::::::::::::::;: :i !:!          ',    だから,どうしていいか…分からないんだ…
/   \ 、 i:::::::::/!:::l !:l !i          , 、 - '゙
i       \コリ::/'l::::! l l '    ー- 、_,./:::::/
`、        `'‐-、i::iゝ、'!      -r '://
::::ヽ       ';、i/``‐-、_    /!/
:::::::\      、 i,ゝ  / /`丶...:':ヽ!
::::::::::::\    、- メ、 / /:::::::::::::::::::!/! ,
::::::::::::::::::丶、  \_!  ! /:::::::::::::::::::::::::', l
::::::::::::::::::::::::::`'....、_ l !!:::::::::;..、-── ',i'
197凸-2 6:2005/05/06(金) 09:53:37
138 名前:5/8 137さん,ども[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:42:33 ID:???
「嫌じゃないん…ですか?私に,こんな風に…されるの」
「あぁ…」
ルナマリアはしばらく,じっと俺の顔に見入っていた.

互いの体温が感じ取れるほど間近に,ルナマリアの顔がある.
普段,笑ったり怒ったり忙しく変化する愛らしい表情も,
一人で射撃訓練していた時に見せた真剣な表情も,俺は知っていた.
しかし,今目の前にいる彼女は,今まで見たどの彼女とも違う.
服越しではあるが,長く身体を密着させていたために,彼女も興奮しているのだろうか…?
今の彼女は,可愛いというには,あまりにも蠱惑的な雰囲気を纏っている.
深く澄んだ宇宙色の瞳が,俺の意識をさらっていく…
198凸-2 7:2005/05/06(金) 09:54:30
139 名前:6/8[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:43:17 ID:???
 ………

「…いちょ…隊長!大丈夫ですか!?隊長!」
「ん…?」
「もう,急に倒れちゃうから…心配したんですよっ!」
倒れた…?俺が?
わけがわからず少し前の記憶を辿る…確か,ルナマリアが目の前にいて…
「…隊長,ずっと息止めてらしたでしょう?無茶ですよ…何考えてるんですか!?」
あぁそうか,ルナマリアの顔に息がかからないよう,止めてたんだっけ.
「いや…君が嫌がるかと思って…」
「そんなことありませんよ!…そんなんじゃ…キスもできないじゃないですか…ばか…」
ルナマリアの頬が膨れた.
「すまない…俺は馬鹿だから…」
二人顔を見合わせて,ふっと笑う.
「…本当に…初めてみたいですね. …ラクス様や,オーブの……」
後半はよく聞き取れなかったが……,どうやら,納得してくれたようだった.
何かを決心したように,ルナマリアは一人頷くと,少し恥ずかしげに微笑んだ.
199凸-2 8:2005/05/06(金) 09:55:14
140 名前:7/8[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:44:16 ID:???
       _,. ---ァ‐_ニニ=ー
      ,. '´::::::::,r':/:::::::::::``丶、
   , - '::ー--::::!:/::::::::::::::::::::::::`丶丶、
  ,:'...:.: ..::: .:: .:::::ヾ::::::、::. :. :::::::::::::.. :ヽヾ:、
. /::::::::::::::::..:.: .: ::.:.::.::...::.\::::.. ::. :.:丶:::.ヽ \
/:::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::',::',、::、::ヽ:::::::::.:..::..\::',  `
l::::::::::::::::::::::|:::::::::::!::リ、ヽヽ:',、ヽ:::::::ヽ:::ヽヽ',
|::::::::::::::::::::::!::::::::/!/__ヽヽ ヾヽ,rヽ:::::',:ヽヽヽ
.l:::::::::::!:::::::::|::::://'__ ` ヾ、 ヽィ=、!、::::!::::ト、ト:',
. ',:::::r'l::::::::::!ノイ_ノ:}``  ` {ノ::} |:::',::ト、:! lハi  じゃあ,…この前の射撃訓練の時のお礼です
. 〉::{ !::::::::::ヽ ヽ-'‐'     ヽ`´ l::/|::! ヾ、     今日は…私に任せてください!
 '/|::ヽ',::::::::!:ヽヽ、      / イ:', l:!
   Wヾ',::::::ヽ:ヽ`゙`  --一 /::、ヽl、
     |、ヽ::::ヽ、ヽ、   `´イ:::::::::',ヾ``
    ノ ヽlヽ:::ヽヾ:、`` ;ー' ヽ',ヽ:::::! ヽ
   /`丶ヽ `ヾ:、 ``/ヽ、 リ ヽ::!
 /::::::::::::::`丶、   〃、      ソ
'´,. ---- 、::::::::::::``ートト、ヽ、
/:::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::,:、:::::ヾー``ヽ
:::,r:::::::::ヽ:::::::::',:::::r'  ヽ::::',ヾ:、`゙`
/:::::::::::::::::\:::::',::|   ,>、:',  \
::::::::::::::::::::::::::',::::l:!   /:::::ヾ   ヽ
200凸-2 9:2005/05/06(金) 09:56:19
141 名前:8/8 これにて撤収.アスルナ(´д`*)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 19:46:28 ID:???
                   ,. -――--- ... _
             ,.. --――/: : /´ ̄ ̄ ̄``゙`丶、
       ,. -‐ ''''''´: : : : : : : : !: :/: :``丶、
      /: : : : : : : : : : : : : : : :!: :!: : : : : : : 丶
    , ': : : : : : : : : : : : : : : : : : :',: !: : : : : : : : : :ヽ
    /: : : : : : : : : : : : : : : : : ,: : : ヾ: : : : : : : : : : : :ヽ
.   /: : : : : : : : : : : : : : : :/: : :/: :|、: : : : : : : : : : : : :ヽ
  /: : : : : : : : : : : : : : : / : : : : !: : ! |: : : ',: : ヽ : : : : ヽヽ
  /: : : : : : : /: : : : : : : /: : : : :/|: :/ !: : : ',: : : ',: : : : : :ヽヽ
 /: : : : : : ,./:/ : : : : : /:/: : /-!:/、 || ', : l: :', : ',: : : : : ',:',ヽ
 !: : : : : //,イ: !: : : : ://: /_,.-=!'ー、``|:||:|:l',: :', : l: : 、: : :',:', ヽ
 |: ,|: : : i〃/: ! : : //イ イ{_,...バヽ  |:!|!|| ',: :! : !: : !: : ! | !
 l !||: : :/、/: :l: : : : : : : :',  ヾニン   リ l!リ _|:||: : | : l!: :|: | !
 リ !|: : : : i : |:/: : ヽ: : ヽヽ        ノ /ノ!|:| : !: /|: :!: ! |
  リ| : : : ! /!:| : : : ト、: : ヽヽ       、゙'イ:l!|:!: :l/ |: l/ ノ   隊長の身体…私に預けて下さい…ね♪
    |!: /:l|:! | |: : : : :!: lヽ: :ヾヽ、      _, !: :!|l :/ ノ!/
   ノ!/!/| !、i ! : : : : ト ! ヽ : ',  -、-、_ ´, ' : !イ//´/
   // l! ヾ、|:!l : : : : l ヽ ヽ: !  ー`´ /ヽ: //
   /  ヽ  l:!'、: : : : :ト、 ヽ ヾ    ,.イ',: : : ヽヽ
.  /      ヾ ヽ: : : :', 、```; ー- '   ! ',: : : : :ヾ:、
/``::ー-- 、    ヾ:、: ヽ、`i/      ',:ト、 : : : i ヽ
::::``丶、::::::::::::`丶、  ``ヽ/      ヾ \: :!
::::``丶、::``丶::::::::::`丶、  |           ヾ
201凸-3 1:2005/05/06(金) 09:58:03
172 名前:1/5 141の続き[sage] 投稿日:2005/04/09(土) 00:12:32 ID:???
任せて下さい,か…
つまりルナマリアは,今日が初めてなわけじゃない….脱力感が全身を覆った.
自分はそんなこと気にしないと思っていたのに,
いざ直面してみると,ショックを受けずにはいられなかった.
普段の彼女には幼い仕草も多かったが故に,騙されたという思いすら沸いてくる.
「…はぁ…」

「じゃあ…服!…脱がしちゃってもいいですか?
 あっ,でもその前に電気…ですね!消しますよ〜…」
ルナマリアはばたばたと走り回っていて,俺のため息は聞こえなかったようだ.
明かりを失った部屋は薄暗く,彼女はこの沈んだ表情にも気付かないだろう.
俺がベッドに横たわると,ルナマリアはその上に座り,ベルトにそっと手をかけた.
冷静に考えても,ルナマリアは可愛い方だと思う.胸も…ミーア程ではないが,結構大きい.
ミニスカートから覗く太腿に,つい目が行ってしまうことも少なくなかった.
それらが今,全て目の前にある.しかも身体の上にだ.
…こんな状況で,興奮しないといったら嘘になる.
だが,頭の片隅に生じてしまった痼は,この状況に完全に浸ることを許してくれない.
彼女の相手は誰だ…?シンか?レイか?…それとも俺の知らない奴なのか…?

ルナマリアは,俺の上着を脱がしてしまうことはせず,
ただ前を開いて,その上に倒れこんだ.
ミネルバクルー内での通称「ルナ毛」が顔に当たってくすぐったい…
そのまま,ルナマリアはもぞもぞ動いて,自分のベルトも外し同じく上着の前を開く.
胸と胸が二枚の薄い布を隔てて,密着する形になった.
「隊長…生きているんですね…嬉しい」
「…?」
202凸-3 2:2005/05/06(金) 09:59:16
173 名前:2/5[sage] 投稿日:2005/04/09(土) 00:13:29 ID:???
            ,,/`:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ              ,,―-、,,,_
        ,/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\、            ,,/゛    ^"'ー-
       ,/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,,,,_::::::::::::::.-ミヽ,、     _,/`   ,,,―'''"゙゙ ̄″
      丿::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙'''ー-,,,::::::::゙''ニn,"'''''''''"    ,r'"`       いえ,こうしてると,心臓の音が,聞こえるんです.
      ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`゙"'''ニリj,!―--二ュ,、    `゙'''-、、
      l゙_,.,,,_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i、  ゙   .,/      ._,,―‐''″    なんだか…落ち着きますね…
     ,/、、`ヘ,、:::::::::::::::::::::::::::,、、:::::::::::::::::::::ヽ 丿  丿     .'i″
   .,/`./ ゙̄''ー,ヽ    ._,,,,―'シ `'-,`ヽ .i、  ヽl゙  .,l゙,!       `'-,,、
   ,/ /|::::::::::::::: `'i,''''"゙゙゛|  ,i´_ .,`'、ヽ、ヽ  .ヽ /,l゙         ‘'-、
  丿.,/  |:::::::::::::::::::::`'-、 .| 、|゙゚\;;;l  `〈|,!,ヽ  ゙i、.レ′          `'i、
  /丿  ゙l::::::::::::::::::::::::, ゙'-,、 .マ'''''''''′  .゙ペヽ、 V゜             ヽ
 ,リ′  ゙l:::::::::::::::::::::::゙'゙l-、,,''-,,、        ゙リヽ ,l゙               ゙l、
: ,!,i´    .゙l::::::::::::::::::::::::,`'-,,~"''=、    ,t    ゙l゙                   ゙l
..|/     ヽ.ヽ::::::::::::::::::゙ヮ-ミヽ,,,, \   .!" _,,,―'|            ,/'-,、  │
.,          \ヽ::::::::\,::::`-,,^"'フ=-―'''"゛   ゙l          ,,i´   `ヽ  .゙l
         `'‐\゙V、,`'ミ¬ーフ+    .,,、     ヽ           ,/     .゙i、  ゙l
203凸-3 3:2005/05/06(金) 10:00:06
            `-゙l,ミ'ーミュ,, _,,,,―''''"` ⌒'''ー-,,,,,,\ 、     .l゙       .゙l  .ゝ
              `'l,,,ニ二―ー''''"`       `゙゙ア `゙゙'''―--,,,,,,,__     "
             'ニ_,,,,,,,,,,,,,yv-ー         │        ⌒゙゙゙"''''''―--.
                ー''"` --‐"`ー-,,、    |
204凸-3 4:2005/05/06(金) 10:08:26
174 名前:3/5[sage] 投稿日:2005/04/09(土) 00:13:59 ID:???
「…そうか?」
「えぇ.隊長…,重くありませんか?……」
「いや,軽いよ…」
ルナマリアはそのままじっと動かなくなった.
身体を動かすことも躊躇われ,しかし何だか落ち着かずに,俺は訊く.
「何もしないのか?」
「え?そ,そうですね…今,すごく幸せで…でも,
 さすがに,このままってのも……そうですよね…」
ルナマリアはちょっと考えるようにして,伺うような目で俺の顔を見ると…
「─────……うっ」
俺の胸に乗せていた右手を,すっと撫でるように動かした.
205凸-3 5:2005/05/06(金) 10:09:18
175 名前:4/5 ちょっと顔が別人過ぎるかも?[sage] 投稿日:2005/04/09(土) 00:15:14 ID:???
 ,i´:::::::::::::.|:::::::::`''-、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
丿::::::::::::::::゙',"''ー-,,,,, `''-、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙l
"::::::::::::::::::、:::::::::: `゙''ー、,,`''-,,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ゙l
::::::::::::::::::::,l゙:::::::::/\:::::::: `''-、,゙'-,,::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::゙l
::::::::::::::::::│::::::ノ′ \ ゙ッ,、 `''-,\,::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::|
::::::::::::::::::l゙:::::丿    `'、ヽ"'-,,、`rミヽヽ:::::::::::::.ヽ::::::::::::::.|
:::::::::::::::.r|:::::/  ._,,,―''` `'ミミ''''┴、.゙'\‘'ヽ::::::::::゙l::::::::::::::゙l
,/`|:::::: /{ .l゙ー''"`      `'゙l,   ゙'' |,\、 .i、::::::.ヽ::::::i、 │
` ゙l:::::::l゙'U/  ,,xr=≒     `!リ'''≒i,、 `'-,..\:::│:::::゙l, ゙l  あっ…た,隊長!?ダメでしたか…?
  ゙l::::::|::::゙l .,rリ′.,,,、|      .l゙  ,-‐゚ヽ .," \,::::::::|.ヾl
   |:::l゙:::::゙l  |,''''::::::l゙      |,''"::::;l゙ /:::::::::,!゙'ノ .| ゙'ト
   ゙l,::|:::::│ ¬―'″ ,!    '''―-〃 ,/.,::::::::│ .lく .|  `
    ,゙:::::::::::゙l ////   "     ///// ,l゙,,i:::::::::.,!i、 | .゙i|
    |:::::::::::,/-、     __       ,ジ{::::::::::.l゙ ヽ.| `
   l゙::::::::::〈,-‐゙'-,_   く,,゙,>    ._,f'_,. |::::::::l-、,,,_
-ー''|:::::::::/    ゙l,ミヽ,,_     _,,-'彡'"  |:::::::|     ̄ ̄ ̄`
  /::_/      │`'-ミヘr‐'二-'"   .,、|::: l゙
  ,l/        │ .゙l, ゙l l゙ .|  │  ._/ ゙l:.l゙
            `'ー、ヽ| | .| .,/゙_,,-'"   ゙l,,!
              `''八.|-‐"`      ゙"
206凸-3 6:2005/05/06(金) 10:10:36
176 名前:5/5 こんな感じで撤収![sage] 投稿日:2005/04/09(土) 00:16:04 ID:???
   /:  :::::i::::::::::::: :::::::::::: :: ::::   ::::  :::: ::::::::::  ::     :::::::::::::::
   ,'::/ .::::::::!:::::::::::::: :::: ::: :::::  :::  ::::: : :::::::::::::  : ::: :::::  :::::::::::::
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  i:::i:: :  :::l::::::;::::::::: .:.  ::::::: ::::::::::::::;::  :::::::::::::: :::::::::::::::: ::::::::::::::
  |:::i;::::::::::::::l::::;'i::::::;::::::::::::::::;::::::::;::::::::::::;::::::::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::::
  'i::!l::::::::::::::|::/:|:::::;::::::::::::::::;::::::::;:::::::::::::::::::::::::::::::::;i:;:::;::::::::::::::::::;、::::::::  あ…いや…,気にせず続けてくれ
   ':| ':::::::::::::'イ:::!:::;::::::::::::::::;'::::::::;::::::::::;::::::::::::::::::::;'::;'!'::::::::::::::::::ノ、ヽ:::::
      ヽ::::::::::i':;'::/;::::::::::;:::;';;::::::;':|::::::/!::;:::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::|'フ.ノ:::::
      ヽ:::::::リ:ノヽ:::::::/:/;;;'::::ノ;;;|::::::;':;'::::::;::::;:'::::::::::::::::::::::::::::::|'ノヽ::::
       `ヽ、'、ヽi::/;:/;;/:/ヽ,::;::/':/::;:ノ;ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::!   〉、
            ソ/':::::":.   '´ //'"/:;::::::::::::::::::::::::::::::::::| /
          /::::::::::::::::::.      /::;i:::::::::::::::::::::::::::::i;::::|,.'
          ヽ,-,、:::::::       /:ノ'l:::;:::::::::::::::::::::::::|〉'"
           'ノ/i:ゝ.,.... .,__,.   ,.'ィ'´ .l::/;:::::::;:::::::::::;::::!
              i i:/'iヽ;::::...       |;' l::::::::;:::::::::l 'l:|
.             l  ゙ `!;:!゙゙゙     ,.ィ<. l:::;::ハ::::::::| '
            |    '´ヽ、 ,,,.. ‐':´/.   ヽ、:! 'l;:、::l
温もりは、いつも月の傍に・・・


あの絶望的な第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦終結から早2年。
俺は少しでも速くナチュラルとコーディネーターの間にある溝を埋めようと、現オーブ連合首長国代表首長 カガリ・ユラ・アスハの私的ボディーガードとして彼女と共に世界を奔走した。
俺は諸々の事情から『アレックス・ディノ』と名乗り、まだ年若い彼女をサポートしていた。政治的手腕としては幼すぎる彼女だが、平和を願う彼女の想いは誰よりも強かった。
平和。それは俺自身の願いでもあった。あの悲劇が再び繰り返されない為に、自分達がしてきた事が無意味にならない為に、あの戦争で犠牲になった人達の為にも・・・
だが、現実は非情にもそんな俺の願いを聞き入れてはくれなかった。
父の言葉を未だに信奉している者達によって、不安定な世界は均衡を崩し、世界は再び戦渦に包まれる事になった。
軍を離れた自分も今では再び『紅』を身に纏い、戦場にその身を投じている。
そして・・・再び悲劇が起きた。
同僚の、同じフェイスであるハイネが戦死したのだ。
キラ=ヤマト。
前大戦では、初めは敵対し、様々な喪失を経験し、オーブで和解した後に共に戦った親友が原因で。
コーディネーターである彼が、再び同胞をその手にかけた。
俺は協力者の甲斐もあり、アークエンジェルを探し出した。そして彼と、彼の双子の姉弟である彼女と再会を果たした。
再会を喜ぶ暇もなく―――いや、喜ぶ気にもならなず―――俺は彼等に問い詰めた。
だが、彼の取る道と俺の取る道は完全に違えてしまっていた。
完全な意見の違いは、共に兄弟のように育った親友と、共に歩む事を決めた彼女との決別と言う最悪な結果をもたらした。
俺は・・・どうしようもない苛立ちと虚無感に苛まれながら、アークエンジェルを後にした。

ミネルバに帰還した俺は、帰還報告を提出したらしたで、さっさと自室に足を運んだ。
「はぁ・・・」
まるで、今まで築き上げてきた物が轟音を立てて崩れ去った後に立ち込める砂埃のような虚しさ。
今は誰とも会話する気になれなかった。
もし話し掛けられても、今自分の心に渦巻いている苛立ちの所為で、関係のない誰かを傷付けてしまうかもしれない。何か酷い事を言ってしまうかもしれない。それが八つ当たりのようで嫌だった。
幸い、艦橋から自室までにクルーに出くわす事はなかったが。
俺は自室前のドアのロックを解除し、部屋に入ると勢い良くベッドに倒れ込んだ。
「くそッ・・・!」
俺は心に渦巻く苛立ちと理不尽に、シーツを力強く握り締めた。握り締める度に、シーツに皺が生まれていき、まるで今の自分の心を表しているようだった。
体を起こし、体勢を入れ替えてベッドに腰を預けると、俺はひたすら頭を抱えた。
何故、こんな事になってしまったのだろう?
何故、俺達が再び対立しなければいけない?
俺が選んだ道が間違っているのか?
それとも彼等が間違っているのか?
様々な懐疑的な言葉が浮かんでは消えていった。
と、こちらの思考を遮る様に電子音が鳴り響いた。
インターホン。
俺は音源の方に目を向けた。向けると、まるでリモコンのスイッチが入ったようなタイミングのよさで、インターホンを鳴らした本人の声がスピーカ越しに伝わってきた。
『あの隊長?・・・・その・・・大丈夫ですか?』
僅かに戸惑いを含んだ声の主はルナマリア・ホーク。
ザフトのエリートのみが着用を許される『紅』を身に纏っている、エースパイロットの少女だ。
普段から何かと自分の事を構い、気に掛けてくれる。このミネルバの艦内では唯一自分に気兼ねなく話し掛けてくれる貴重な存在だった。
だが、今の自分の状態を余り彼女には見せたくなかった。
『隊長?』
こちらからの返事がない事に困惑しているのだろう。
先の戸惑いと共に、困惑と不安が入り混じった声がスピーカ越しに伝わった。
「ああ・・・」
何が『ああ・・・』のものか。
俺はイライラしながらドアを―――正確には、そのドアの向こうにいるであろう少女を―――睨みつけた。
『あの・・・入ってもよろしいですか?』
ルナマリアが恐る恐る尋ねる。
「・・・・」
正直、今は一人にして欲しい。
だが、何故かそんな事を口にするのは躊躇った。
それがまた別の苛立ちを生んだ。
今は誰にも会いたくないのに、ルナマリアには会いたい? つくづく自分は矛盾しているな。
俺は腰を上げ、ドア横に取り付けられている開閉制御パネルに指をなぞらせた。簡単な操作を施すと、シュッと言う音を立て、ドアが開いた。
「あっ・・・」
突然ドアが開いた事に驚いたのだろう。ルナマリアが小さく悲鳴をあげ、一歩後退りする。
「何か・・・・ようか?」
俺は抑制した低い声で、ルナマリアに問い掛けた。
「えっ、あっ、その・・・帰ってきてから、その・・・なんだか様子がおかしかったので心配になって・・・」
ルナマリアが居心地悪げに言葉を濁す。
それがまたこちらの苛立ちを掻き立てる。
「別に君に心配される筋合いはないし、君には関係のない事だ。それ以外用が無いんだったら、さっさと帰れ」
言い終えると、俺は彼女に背を受けた。
だが次の瞬間、苛立ちを込めて言った自分の言葉にギクリとした戦慄が走った。
俺は今何を言った・・・?
俺は慌ててルナマリアに向き直った。
「・・・そう・・・ですよね」
ルナマリアは顔を逸らした。その表情は彼女の鮮やかな赤髪で伺えなかったが、逸らす寸前に見えた彼女の表情は明らかに傷付いていた。自分の心無い言葉によって。
「私じゃ・・・・駄目です・・よ・・・ね」
ルナマリアの頬に一筋の涙が流れた。その涙は傷付けられた痛みよりも、何も出来ない自分を悔しがっている様にも思えた。
「あ・・・す、すまない!・・・その・・・・イライラしていたものだから・・・」
こちらの謝罪に、ルナマリアは顔をあげた。
「すまない・・・ホントに・・・八つ当たりなんて、最低だな・・・俺は」
本当に、最低だ。ルナマリアがせっかく自分の事を心配してくれたのに。いくら苛ついていたからって、これでは余りにも不甲斐無さ過ぎる。
「隊長」
ルナマリアが、まるでこちらの荒んだ心を優しくあやすように、自分の耳にだけ届くように絞られた小さな声で呼ぶ。その顔にはいつの間にか涙の跡は見せていなかった。
「気にしないで下さい・・・・一人になりたかったんですよね? そんな事にも気が回らなくて、すみませんでした」
ルナマリアは何も悪くないのに。全て自分の非にしようとしている。
「では、失礼しま――」
「待ってくれ!」
ルナマリアの声を遮って、立ち去ろうとするルナマリアを呼び止めた。
「はい?」
「その・・・聞いて・・くれないか? 聞くだけでいいから」
別に罪滅ぼしと言うわけではい。だが、ルナマリアがこれから自分に話し掛けてくる事がなくなってしまう可能性だけは何とか避けたかった。
「え・・・」
当然、ルナマリアはこの突然な申し入れに戸惑ったように見えた。だが、案外早く、ルナマリアの決断は早かった。
「私でよかったら聞きますよ、いくらでも」
こちらの申し入れを快く引き受けてくれた事に、そして、いつものルナマリアの明るい表情が見れた事に、俺は内心ホッとした。
「あっ・・・うん・・・すまない・・・」
・・・・・言葉が続かない。
「えっと・・・」
話すと言っても何処から話せば良いんだろう?
「あの、隊長?」
「うん?」
何処から話そうか考えてる俺に、ルナマリアが声をかけた。
「せっかく隊長のお部屋があるんですから、そこで話を聞きたいなぁ〜、なぁんて思ったりするんですけど・・・駄目ですか?」
「あ・・・うん、そうだな」
バカだ・・・俺。
こんなとこに突っ立って、これから延々と話しをしようとしていたのか俺は。
自分の迂闊さに呆れつつ、俺はルナマリアを部屋に招いた。


ルナマリアを自室に招き入れて早々、俺はルナマリアの提案を呑んだ事を後悔した。
ルナマリアと2人っきりと言う状況。
そもそもザフトに復隊し、フェイスとなってこの艦に配属された俺には当初部屋が無かったのだ。
まぁ、それは当たり前の話だ。俺はこのミネルバの正式なクルーではないのだから。
そこを艦長の計らいで、以前客室として使わせてもらったこの部屋を俺の部屋へと割り当ててくれたのだ。
その部屋にルナマリアと2人っきり。
何と無く気まずくなり、俺はルナマリアに声を掛けた。
「あの・・・」
「はい?」
ルナマリアは大して気にした様子もなく、キョロキョロと部屋を見回してる。
・・・そんなに俺の部屋に興味があるのだろうか?
そう言えばこれまでの記憶の中で、自分の部屋を誰かに見せた事は余りない気がする。あるいは覚えていないだけかもしれないけど。
と、ふと思った。
この少女はこの部屋にどんな感想を抱くだろうか、と。
何故唐突にそんな事を思ったのか自分でも良く分からないが、何と無くこの少女なら答えてくれそうな気がした。
「殺風景な部屋ですね」
・・・・・・・身も蓋もないな。
何も言ってないのにこちらの期待通りに感想を述べてくれたのは驚異ではあったが、余り良い評価はしてくれなかった。
「ポスターでも貼れと言うのか?」
俺はルナマリアに背を向け、無機質な壁に目をやった。
まぁ、確かに殺風景かもしれないけどな。
「ええ」
「例えば?」
「ラクス様とか」
「結構だ」
「何でですか? 婚約者なんですから非売品のポスターとか」
「趣味じゃないんだ」
「じゃあじゃあ、グラビアとか?」
何でそこでそんな期待したような眼差しを・・・・しかもグラビアって、普通、女子がそんな事提案するか?
「そのポスターを見ながら一人自室でニヤニヤしてろって言うのか? 気色悪すぎるぞ、そんなの」
「私だってそんな隊長見たくありませんよ」
「じゃあどうして欲しいんだ?」
期待してた様な眼差し向けてたくせに。
「・・・・・」
ん? 何で急に会話が途切れるんだ? 何かマズイ事言ったか?
俺は不審に思い、チラッとルナマリアの顔を盗み見た。
盗み見た彼女の表情は、気遣わしげな表情でこちらを見つめていた。
「少しは・・・・元気が出ましたか?」
「あ・・・」
そこでようやく気付く。
彼女は、俺を元気付けるために慰めてくれていたのだ。
いつかの訓練規定の時のように。
「ありがとう・・・ルナマリア」
俺は素直に感謝を述べた。
するとルナマリアは柔らかな微笑みを浮かべた。
「良かった・・・」
その声にはホッとした、安堵が込められていた。
「・・・・・」
「・・・・・? 隊長?」
「あ・・・あぁ! あぁ、うん・・・・なんでも無い」
俺は不覚にもルナマリアの笑顔に見惚れてしまった。
カガリやラクスとは違う魅力を持つ笑顔。
自分の事を本当に気遣ってくれている笑顔。
まだどこか幼さが残る無邪気な笑顔。
「ここ。座ってもよろしいですか?」
忘我状態だった俺の頭に、ルナマリアの声が響く。
「え?」
「え? じゃ無いですよ。座っても構いませんか?」
ルナマリアは俺のベッドを指差した。
「あ、ああ・・・構わないよ」
俺が許可すると、ルナマリアはベッドに近付いて腰掛けようとした。
「皺に・・・なってますね」
俺がさっき握り締めた時に出来た皺だ。
ルナマリアはその皺になっている部分のシーツを丁寧に直していった。
皺の無くなったシーツに満足したルナマリアは、再び皺を作らないようにゆっくりとベッドに腰掛けた。
「・・・・」
「・・・・・・・」
沈黙。
ルナマリアはじっと俺が話すのを待っているだけなのだろうが、正直、何処から話せば良いのか見当がつかない。何かきっかけがあれば良いんだが。
「あの・・・隊長?」
こちらの沈黙に耐えかねたのか、ルナマリアが声を発する。
「え?・・・あぁ、その・・・正直、どこから話せば良いか分からないんだ」
「じゃあ・・・私の方から質問して言いですか?」
「え?」
 「気になる事があるんです・・・」
 確かにルナマリアの方から質問してくれればこちらも話し易いし、何より彼女の持つ情報量に合わせれば、会話に混乱を来たす可能性も低くなる。
俺はルナマリアの提案を呑んだ。
・・・・・・
・・・・
・・
俺はルナマリアの質問に答えながらも、記憶のどこかで二年前の事を思い返していた。
思えば、自分が前大戦で経験した事を誰かに話すのは初めてだった。
あの大戦では辛い事ばかりで、良かった事なんて極僅かしかなかった。
もっとも、その“良かった事”もついさっき失ってしまったのだが・・・
結局自分は、前大戦で何をしたんだろう?
仲間を失い、殺され、友と殺し合い、Nジャマーキャンセラーの開発、父の狂気、ジェネシス・・・
俺はいつも遅すぎていた。いつも手遅れだった。いつも・・・後悔するばかりだった。
そして現に、今また俺は疑念と後悔の間で激しく揺れ動いている。
「・・・ょう・・・・いちょう・・・・隊長!」
「え?・・・あっ・・・すまない・・」
ついルナマリアの事を忘れ、意識が飛んでいた。
「隊長・・・・凄い顔してましたよ」
 「そ、そうか・・・?」
 「ええ、もう眉間なんてこうですよ」
 言いながら、ルナマリアは自分の眉間をつまんで見せた。
 「そんなに険しい顔してたか?」
 自分にはあまり自覚ないんだが・・・
 「してましたよ。あ、それとも隊長って考え事する時って眉間に力が入ってしまうんですか?」
 ルナマリアがなにやら興味深げに聞いてくる。
 この子ひょっとして、俺のレポートとか作成してるんじゃないだろうな?
 だが、ルナマリアが指摘した通り俺は考え事していた。
 ―――常に変移する相対敵―――
これが前大戦から俺に課せられた命題。
立場が、命令を下す者が、各国の統治者が移り変われば、『敵』と言う概念は常に変移する。
当事者の観測条件次第で『敵』にも『味方』にも成り得る。中間的な存在など有り得ないのだ。
だが、彼等は存在する事が許されない中間存在の立場を気取っている。
彼は彼自身の技量と、フリーダムの及ぼす力を誇示しすぎているのだ。
だからこそ無用な混乱を生じさせてしまうと言う事に気付いていない。
それを説いても彼は分かってくれなかった・・・
俺は知らず知らずの内に拳を握り締めていた。
「また、寄ってますよ」
いつの間にか立ち上がっていたルナマリアが、呆れたような表情で俺の顔を覗き込むように見つめていた。
 そしてふわっと、ルナマリアの指が優しく俺の眉間を撫でる。
 「えっ・・・あっ・・・えぇ?」
 俺は突然の事に、思わず間の抜けた声を出した。
 狼狽した俺はそのまま後ずさった。
 が、肩幅一歩分にも満たないほどの距離でベッドに阻まれ、そのままベッドに腰を落とす形になった。
 その俺の隣に、ルナマリアも腰を降ろした。
「いろいろ聞いて、一つだけ分かった事があります」
「え?」
そっと俺の髪に触れながら、ルナマリアは言う。
俺がこの二年間悩んできた事を・・・?
だがルナマリアの答えは俺の想像した物とは異なる物だった。
「要するに、貴方は一人で抱え込みすぎるんですよ。だから混乱するんじゃないんですか?」
ルナマリアはどこか怒ったような口調で言う。
だが、それは非難すると言うより、無茶をしすぎる誰かを嗜めるそれに似ていた。
「確かに貴方は前の大戦で、一般の兵士達が体験できないような事を経験してきたかもしれない。
けれど、貴方は18なんですよ? 私と1歳しか違わないんですよ?」
確かに自分は他の兵士達が経験できないような事を体験してきた。
だが、だからこそ俺は戦場に特別な感情を抱くようになった。
「歳の差が関係あるのか? 俺は前の大戦で、戦争と言うシステムに組み込まれる『敵』と言う概念の愚かさを身をもって思い知った。
そして、その中で絶えず循環する憎しみの連鎖も見てきた」
『敵』と言う概念に取り憑かれ、『敵』への憎悪に狂気に走ったのが当時ブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエル、そして・・・俺の父、パトリック・ザラだ。
核の光に消えたボアズの同胞達。そして、ジェネシスの死の光に晒されて命を落とした人達。
世界は一体、幾程の犠牲を求めるのだろう?
世界などいっそ滅びてしまえば良いのに。
時折、自分がしている事が本当に意義の有る事なのか、自信を無くしてしまった時、遂こんな厭世的な事を考えてしまう。
そして『約束の地』と言う単語。
その単語はアカデミー時代、卒業単位修得の数合わせに、何と無く取った宗教学に出てきた単語だった。
その宗教学者によると、エヴィデンス01とはヒトを約束の地へと導いてくれる存在なのだと言う。
だが約束の地とは即ちペルソナ、全ての人が仮面に覆われ、『個』が消失した世界だと言う。そしてヒトは平等となる、と。
俺はその単位を見事に落とした。
内容が余りにも下らな過ぎたからだ。
だが、こうして絶えず争いばかりを繰り返す世界を見ていると、まだその『約束の地』の方がマシに思える。
しかし、『個』が消失したヒトは、そこで幸せを感じるのだろうか?
恐らく・・・・無い。
ヒトは『個』があるからこそ様々な思想を持ち、他者への理解に依存し、受け入れれば同志と認め、受け入れなければ『敵』と認識し争いが生じてしまう。
そうだ。ヒトの歴史の節目は、遥か彼方の過去から戦争や動乱、革命によって歴史を更新してきた。
だが、その歴史の中にだって平和な時代もあったではないか。
戦争によって大地が荒廃しても、ヒトはその大地の上に立ち、世界を再生させる力があるではないか。
だからこそ、俺はまだ世界に絶望する事無く希望を持てる。
「もう俺は、こんな戦争を終らせたいんだ! 世界がまた、あんな事になら無い為にも、憎悪の連鎖を断ち切る為にも・・・!」
「それじゃあ貴方は、“それからどうしたいんですか?”」
ルナマリアの言葉に、俺は息を呑み、喉元にまで出かかっていた言葉が消失するのを感じた。
「・・・・それから?」
俺は返答に窮した。
そんな事、一度も考えた事が無かったからだ。
いつも頭にあったのは世界の事で、俺は一刻も早くこの戦争を終わらせたいと考えていた。
だが、それは皆誰もが思っている事だ。
俺の場合は、他の皆よりも見ている戦場の意味が少し違うに過ぎない。
戦場で人を殺す事を正常と認識している者達と、それに奇異感を感じている自分。
だが、根本的に見ている戦場は同じなのだ。
だが俺個人の意思は?
それから・・・・
戦争が終わった後、俺はどうしたいのだろうか?
「貴方は確かに大戦終結後から世界の為に働いてきたんだと思う。でも、貴方は遠くを見すぎていて、自分の足元を見失っている。
隊長は考えた事無いんですか? この戦争が終ったら、これをやりたいって言う自分の願望みたいのは?」
俺の願望・・・。
俺にそんな希望を抱く権利があるんだろうか?
昔の様に、自分の趣味である電子工作に没頭できるような、そんな世界を望む権利が、自分にあるんだろうか?
ナチュラルを死滅させようとし、何万何十万の人命を奪ったあの男の息子の自分が?
「俺に・・・・」
俺は一語一句に心力を尽くすような気持ちで言葉を連ねた。
 「平穏な世界で生きる権利があるのかな・・・?」
 我ながら、随分悲観的な事を言うものだ。
 そんな俺の言葉に、ルナマリアは強く反発した。
 「当たり前じゃないですか! 大体、貴方はナチュラルとコーディネーターとの確執を無くす為にこの二年間頑張ってきたんでしょう!? 
その貴方が、そんな悲観的な事言ってたら・・・平穏になる世界も、なっちゃくれませんよ?」
「・・そう・・・だよな・・・」
嬉しかった。
ただ、純粋にルナマリアの言葉が嬉しかった。
自分の悲観的な言葉を、真っ向から否定してくれたルナマリアの言葉が嬉しかった。
 「でも・・・仲間を失った俺は、もう昔の様には戻れない・・・」
 キラ・・・カガリ・・・ラクス・・・・
 二年前の出来事で、強い絆で結ばれた親友、盟友、そして・・・恋人
 自分の信念を貫いた結果、俺は彼等と決別し、拠り所を失ってしまった。
 例え世界が平穏になっても、彼等を失った俺はどうすれば良いんだろう?
と、隣に座っていたルナマリアの手が、そっと俺の手に触れた。
優しく、ルナマリアの暖かな体温が俺の手に伝わってくる。
「ル、ルナマリア・・・」
突然の事に、俺はどうして良いか分からなくなった。
「駄目・・・ですか・・・?」
呟くような小さな、小さな声。
「えっ?・・・・あぁ・・・」
「私じゃ・・・駄目ですか?」
「え?」
何が言いたいんだ俺は。
ルナマリアの言葉から察するに、どうやら俺の手に触れている事を言っているわけではなさそうだ。
「駄目って・・・?」
「私じゃ、貴方の仲間になれませんか・・・・?」
俺はようやく彼女の言いたいことを理解した。
ルナマリアは、俺を過去のわだかまりから切り離そうとしているのだ。
過去にいつまでもこだわっている自分と、向き合う未来を拒絶している自分。
ルナマリアは、未来を拒絶している俺を、未来に向かせようと肯定している。
「私だけじゃない・・・シンも・・・レイも・・・他の皆も、貴方を必要としている。
私達じゃ、貴方の仲間にはなれませんか? 仲間と・・・・言えませんか?」
真っ直ぐな真摯な瞳。
俺はその瞳を直視する事が出来ず、思わず目を逸らした。
彼女達が頼りないとか、そう言うわけではない。
「俺は・・・」
「俺は?」
ルナマリアが促す。
「俺は、二年前にザフトを脱走した身だから、だから・・・今更戻ってきた俺を信用してくれるのかなって―――」
「そんな事ありません!!」
ルナマリアは鋭く叫び、叫んだ勢いで立ち上がって俺の言葉を遮った。
「私は・・・私は貴方の事を信用してます。少なくとも私は・・・・」
突然声を張り上げた事に恥かしくなったのか、ルナマリアの声は徐々に小さくなっていった。
それに反比例する様に、ルナマリアの頬が赤くなっていった。
俺はそんなルナマリアの表情を見て、可笑しさと嬉しさが入り混じった複雑な気持ちになった。
「ふふっ・・・」
俺の口から、思わず笑みが漏れる。
「わ、笑う事無いじゃないですかッ!」
尚も頬を上気させ、声を張り上げる。
嬉しい。
ルナマリアの言葉に嬉しさを感じたのは、これで二度目だ。
今思えば、他の者達はどこか畏怖的な態度でこちらと接し、事務的な会話をするだけだが、
ルナマリアにはそんな畏怖的な態度はなく、食事の誘いや、ちょっとした会話を交わしてくれた。
今になって気付く。
ユニウス7が落下した時に、ルナマリアは射撃訓練と言う形で俺を元気付けてくれた。
彼女が結婚したと言う報せを聞いた時も、無粋な方法ではあったが俺を慰めてくれた。
そして今、彼等と決別した俺をこうして話を聞いてくれるのもルナマリアだけだ。
俺は、ルナマリアと言う存在がこんなにも近くに感じたのは初めてだった。
ルナマリアの事をこんなに意識したのは、初めてだった。
「ごめんごめん・・・・ただ、嬉しくて」
ルナマリアは「?」な表情をして首を傾げた。
完全にとは言えないけれど、ザフトの裏切りに対する罪悪感が薄れた気がした。
「ありがとう・・・ルナマリア」
「えっ・・・うん・・・・」
ルナマリアも、先程の勢いが失速し、座り直して俯いてしまった。
しばらく辺りに沈黙が支配する。
だが、この沈黙は俺に、心地良い物を感じさせた。
ふと、駆け巡る一つの思考。
『それからどうしたいんですか?』
ルナマリアが俺に問い掛けた言葉。
未来を示唆する言葉。
「ルナマリアは、さ・・・」
俺はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「この戦争が終ったら、どうしたいんだ?」
「え?」
ルナマリアは俺の瞳を覗き込むようにこちらを見つめる。
俺は気恥ずかしくなり、不自然にならないように僅かに視線を逸らした。
それでも少し視線を動かしてルナマリアの様子を伺うと、ルナマリアは人差し指のちょうど第二関節にあたる側面を唇に触れさせていた。
どうやら考えるときの癖のようだ。
「私は・・・」
首を動かし、ルナマリアは天井をどこか遠い眼差しで仰ぎ見た。
「私は早く・・・普通の生活に戻りたいな」
普通の生活・・・か。
思えば、こんな戦争さえなかったら、ルナマリアは軍人になる事も無かっただろうに。
 そして、俺も。
 「そう・・・だな。明日命が無くなるかもしれない、何て不安になって考えなくて済むしな」
 そこで、ルナマリアが以外そうな表情で、瞳を大きく見開いてこちらを見る。
 「な、なんだ?」
 そんな風に見つめられると居心地悪いって。
 「隊長でも・・・そんな事考えたりするんですね」
 何だか凄く以外そうに言われてる。
 「いけないか? それとも、幻滅したか?」
 以前、彼女に言われた言葉を思い出す。
 『その人は私達の間じゃ英雄だわ』
 「そ、そんな事無いです!! ただ・・・貴方ほどの人が私たちと同じ不安を抱えてるんだなって・・・・」
 居心地悪げに言葉を濁し、気まずそうな顔をするルナマリアの頭に、俺はそっと触れた。
 ルナマリアは体をビクリと震わせると、恐る恐る顔を上げた。
 「死ぬのは誰だって恐いさ・・・」
 そっと―――撫でる。
 小さな子供が泣き出してしまい、それをあやす母親のように。
 「俺だって、ルナマリア達と同じ人間なんだから・・・」
 目の前のルナマリアは、その瞳を大きく見開き、次第に顔が赤くなっていた。
 ・・・・・なんで?
 「あ、あぅ、あの・・・た、たいちょう〜」
ルナマリアは泣きそうな表情で、とうとう俯いてしまった。
俯いて、そして・・・気付いた。
ルナマリアの頭に触れている、自分の手。
「ぉわっ・・・あぁ、そ、その! す、すまない! その、お、俺は・・・・な、何をやって・・・?!」
 何で俺はルナマリアの頭を撫でてたんだ!?
 全く意識しないでルナマリアの頭を撫でていた自分が恐ろしくなった。
だが、確かに残る。ルナマリアの、柔らかく、サラサラとした綺麗な赤髪の感触。
いつまでも撫でたくなる様な、とても撫で心地が良い、ルナマリアの髪・・・って、俺は何を考えてるんだ!?
「その・・・無意識とは言え・・・・・すまない」
 「い、いえ、その・・・恥かしかったけど、嫌じゃありませんでしたから。隊長に頭撫でてもらうの」
 「え?」
今度は俺が赤くなって、俯く番だった。
 「でも、何年振りだろう? 誰かに頭を撫でられたの」
 どこか、憂いを含む声。
俺も、最後に頭を撫でてもらったのはいつだっただろうか?
父はそんな事をしそうに無いから、やはり母に撫でてもらったんだろうな。
だが、それでも思い出せない。
そんな頭を撫でてくれるような幸せな記憶よりも、悲しい、思い出したくないような記憶ばかりだからだ。
 「ルナマリア・・・」
「ルナで・・・いいですよ」
ルナマリアが優しげに目を細めて、こちらに覗き込むように見やる。
「え?」
「そう呼んで欲しいんです、貴方に」
いきなりそんな事言われても・・・
「名前で呼び合ったほうが良いって、“彼”だってそう言ってたじゃないですか」
「確かに言ってたけど、愛称でとは・・・」
「じゃあ、呼んでみてください」
こちらの言い分なしか・・・
「ルナ・・・・・マリア」
遠慮がちに呼んでみるものの、どうも違和感があり、つい『マリア』を付けてしまう。
するとルナマリア―――ルナは、クスクスと笑い出した。
「だからルナで良いですってば!」
「す、すぐ慣れるわけ無いだろう!」
何だか無性に恥かしくなってきた。
「あの・・・だから私も、その・・・」
先程まで快活に喋っていたルナが、珍しく言いよどんでいる。
「? どうした?」
俺が言葉を促すと、ルナはわずかに緊張した声を出した。
「私も・・・隊長の事、アスランって呼んでも・・・いいですか?」
それは俺が彼女の事を『ルナ』と呼ぶ事に対する等価交換と言った所か。
もちろん俺にはそれを拒む理由などない。
「ああ、構わないよ」
「ふふっ・・・やった」
小さく、喜びを声に出す
そこにはさっきまでの、憂いた感じはない。
純粋に、一つの望みを叶えられた事を喜ぶ小さな歓喜。
なんか、そんな風に喜ばれるとこっちの方が照れくさくなるな。
何と無く、ルナが赤服に選ばれたときはもっと人目を省みず喜んでいたんだろうな、とか思ってしまう。
「・・・・」
ふと、自分の制服を見下ろす。
赤服。
二年前の大戦時に着用していた赤服とデザインは変わらないが、着ている信念が違う赤服。
では目の前のこの少女は?
 「ルナ・・・」
 「えっ・・・あっ! は、はい! 何ですか? その・・・・アスラン」
 やっぱりルナだって恥かしいんじゃないか。
まぁ、いきなりは無理だよな。
「? どうしたんですか?」
興味ありげに見上げるルナマリアの視線を受けながら、俺は言葉を連ねる。
「気になったんだが、ルナはどうして赤服に、ってか・・・ザフトに入隊したんだ?」
「え?」
俺の突然の質問に、ルナは虚を突かれたような表情をした。
「あ、その・・・すまない・・・その・・・気になったらから」
何と無く気まずくなり、俺は言葉を濁した。
「・・・・・」
ルナはこちらをじっと見つめていた。
表情を見る限りでは、俺の質問は失言では無かったようだ。
どちらかと言えば、予想もしてなかったこちらの質問に、どう答えたら良いのか戸惑っている様に思えた。
「やっぱり・・・君も血のバレンタインがきっかけか?」
俺はこの戦争の根源にある事件を口にした。
自分を含めてだが、この血のバレンタインがきっかけでザフトに入隊しようとする者は多い。
ルナもそうなのだろうか?
「アスラン・・・・」
「ん?」
しばらく沈黙を保っていたルナの口が開いた。
「アスランはその・・・ナチュラルだから、とか・・・コーディネーターだからって言う偏見は無いんですよね?」
「ああ」
俺は躊躇する事無く答えた。
その考え方がどんなに卑小な事か、俺は前大戦時に嫌と言うほど思い知らされた。
と、ルナは静かに、首の動きを左右に動かした。
無駄の動きが無い、最小限な動き。まるで辺りを警戒するような動き。
・・・・・何を警戒したんだ?
「あの・・・・これから話す事は他の皆には内緒にしておいてくれませんか? 特に、メイリンには」
「妹さんにも?」
「はい」
妹にも言えない入隊理由って何なんだ?
「・・・・・分かった」
何か特別な理由があるのだろう。
俺は深く追求する事無く、ルナの入隊理由に耳を傾けた。
「私は、オーブで生まれたんです」
「オーブで?」
俺はつい最近までいた島国の名前を、どこか後ろめたい気持ちで復唱した。
「はい。私の父と母は同じアカデミーで、母は天文学、父は宇宙物理学を専攻していたんだそうです」
ルナはどこか遠い眼差しをした。
そして次の瞬間、ルナは衝撃的なことを口走った。
「私はナチュラルの母と、コーディネーターの父から生まれたんです」
その言葉に、俺は氷のように冷たい手に、心臓を鷲掴みにされたような戦慄を覚えた。
ナチュラルの母とコーディネーターの父と言う事は・・・・
「じゃあ君は、ナチュラルとコーディネーターの・・・ハーフ?」
俺はどこか信じられない面持ちでその言葉を発した。
遺伝学的に、確かにナチュラルとコーディネーターの間に子孫、つまりのハーフの子供が生まれる可能性は理論的に指摘されてきた。
だが、それは余りにも低確率な事象である為、ハーフはほとんど発生しないものだと考えられていた。
だがこうして目の前に存在する。
ルナが人前で平気で虚言を付くような人間ではない事は、ここ何週間か共に過ごしてきて分かりきっているから真実なのだろう。
 「ハーフ・・・何でしょうね、一応。でも、遺伝子操作が施されてるから、私はコーディネーターですよ」
ルナはどこか自嘲気味に言う。
そして瞳を閉じ、昔の事を思い出したのかふふっと小さく笑みを漏らした。
「母は、よく私を連れて星を見ていたんだそうです。星の一生や、星座、惑星の運動・・・いくらコーディネーターって言っても
まだ赤ん坊だった私にそんな事解説されても分かる筈無いのにね・・・でも、母は楽しそうに私と一緒に星を眺めていたんだそうです。
そして私はいつも、届くはずも無い星空にいつも手を伸ばしてたって父が教えてくれました」
「・・・・・」
「お父さん、言ってました。あの頃は幸せだったって」
「・・・・・・お母さんは?」
「母は・・・・死にました。私が1歳の時に、ブルーコスモスのテロに巻き込まれて」
「・・・・すまない」
「いいえ・・・」
沈黙。
ナチュラルがナチュラルによって殺される。
例えその意図が無くとも、一部の人間の所為で、ナチュラルとコーディネーターの偏見がない幸せな家庭が消滅したのだ。
それは俺にとって、暗い未来を暗示していたかのように思えた。
ナチュラルとコーディネーターの偏見の無い世界。
それは紛れもなく俺が望む世界。
だが、一部の人間の手によってその世界はいとも容易く崩壊してしまう。
俺は言葉が連ねる事が出来なかった。
やるせない気持ちと、ルナの・・・天井を、いや、その向こうにある星空を、寂しげに見上げている表情が堪らなく切なかったから・・・
「その後・・・」
ルナは続ける。
思い出したくない辛い記憶もあるかもしれないのに、続ける。
「私は父と一緒にプラントへ移住しました。父は、人工的に制御された環境と言うものを好まない人なんですけど、
少なくともブルーコスモスのような危険な存在から回避すると言うことで我慢していたようです。
そしてそこで、もう一人の母とも言うべき人と出会いました」
何と無く分かった・・・・ルナが、妹には黙っていて欲しいと言う願い。
「ひょっとして・・・君と妹さんは、異母姉妹?」
「ちょっと違いますね・・・その人にも赤ちゃんが居たから」
「・・・その赤ちゃんが?」
「メイリンです。だから、私達に事実上血縁関係は無いんです」
229名無し草:2005/05/06(金) 12:43:42
編集も何もしてなかったら、読み辛くってスミマセン・・・
230名無し草:2005/05/06(金) 12:45:48
アレ、なんで名前が・・・?
231119:2005/05/06(金) 14:59:41
>>229
転載ありがとうございます。助かります。

残りの過去SSはちまちま転載していきます。
2329-1 1:2005/05/06(金) 15:00:46
22 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 02:07:51 ID:???
ルナマリアSS お祭り編
「お祭り・・・ですか?」
ミーティングに相応しくない単語を聞いてびっくりする
「ええ、そうよ、戦争中とはいえこの日だけは祭りで停戦になるの。唯一軍人が軍人でなくなれる一日だけのお祭り
あなたもアカデミーで聞いてるでしょ?」
そういえば、アカデミー時代にお祭りで一時的に停戦になるという講義を聞いたことがあった。
「ゆっくり楽しんでらっしゃい、私もみんなに伝えてから向かうから」
「はい!失礼します!」
「ああ、それと・・・」
「はい?」
「これに着替えて向かって頂戴、これは基本よ」
渡されたのは浴衣だった

「お姉ちゃ〜ん?これどうやって着るの?」
「そういうことはネットで調べてきなさいよ、先にいってるわよ。」
「えぇ?あぁん、待ってよ〜!」
着付けに手間どうメイリンを無視してアスランさんのもとへ向かう
「あ、レイ!アスランさん見なかった?」
途中でレイと出会う
「いや、見てはいない、だがもう艦内にはいないみたいだ。」
「え?そうなの?もう、私を置いて先に行っちゃうなんて・・・
ありがと、レイ。それと、なかなか似合ってるわよ、浴衣♪」
「!!そ、そうか?ギルも・・・・喜んでくれるかな?」
少し自身なさそうに問いかけてくる
「ええ、きっとね。がんばって!」
レイと別れを告げる。アスランさんを見つけなくっちゃ!
2339-1 2:2005/05/06(金) 15:02:02
23 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 02:08:58 ID:???
大通りの屋台はすごい数だ。これを全部見て回るのはちょっと大変かもしれない。
「うぇ〜〜〜い!!」
どこかで聞いた声が聞こえる。声のするほうを見ると、シンとステラがいた
「は〜い、残念。」
「・・・・やぶれた・・・・」
「そんなに勢いつけたらやぶれるのは当たり前だろ?ただでさえこの店のはインチキしてるのに。」
「ちょっと兄ちゃん、そいつぁ聞き捨てならねぇな、営業妨害する気か?」
「金魚・・・ほしいのに・・・」
「俺がお手本を見せてあげるよ、おじさん、一本頂戴。」
「こいつ、聞いちゃいねぇ・・・ほらよ」
「これを攻略するにはちょっとコツがいるんだ。」
軽々と金魚をすくいあげるシン
「ほら、簡単だろ?」
「わぁ、出目金・・・・。」
「あ、ルナじゃないか。隊長と一緒じゃないの?」
二人がこちらに気づく
「あ、いや、そうなんだけど、シンは見てない?」
「今さっきここ通ってきたぜ。それに、隊長がやるものっていったら、やっぱあれじゃないの?」
「あ・・・そうか、シン、ありがと。」
「シン・・・・金魚、もっとほしい・・・」
「ん?よぉっし、じゃあここの金魚全部ミネルバに持って帰ってやるからな。」
「兄ちゃん、勘弁してくれよぉ〜;;」
アスランさんはあの店に行くに違いない。シンと別れ再び大通りを歩き出す
2349-1 3:2005/05/06(金) 15:03:09
24 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 02:09:55 ID:???
射的屋にアスランさんはいた、ちょうどやるところみたいだ
「やっと見つけた!もう、先に行っちゃうなんてひどいですよ〜」
「うわぁ!」
パンッ!
「はい、はずれね〜」
「ルナマリア!?」
「どうして私を置いて先に行っちゃったんです?」
「いや、その、俺、祭りが好きでな、つい誘うのを忘れていたんだ、すまなかったな。」
怒りたい気持ちだったけどアスランさんに会うとそんな気持ちはどこかにいっちゃった
「あ、あの人形が欲しいな。アスランさんなら余裕ですよね。」
「あ、ああ、もちろんさ。」
アスランさんが玉をもらい銃を構える。狙いを定めるアスランさんかっこいいな
パンッ!
「はい、はずれね〜」
あれ?見当違いのところに玉が飛ぶ
「・・・・」
黙り込むアスランさん
「い、今のはちょっと油断してただけだ!今度は外さない!」
パンッ!
「はい、はずれね〜、おじさんは景品じゃないからね〜」
「・・・・」
「・・・・・もしかして、射撃は上手だけど、射的は苦手だったりします?」
「・・・・・シンには・・・言わないでくれよ。」
「っぷ。あはははははw」
「そ、そんなに笑うことないだろ。」
「え〜、だって、アスランさんにも苦手なものがあったんだなぁって♪」
「・・・・馬鹿にするな・・・」
ちょっとむくれるアスランさん。
2359-1 4:2005/05/06(金) 15:04:41
「でも、ちょっと可愛いかなって思っちゃいました。」
「嬉しいような、恥ずかしいような・・・」
照れるアスランさん、やっぱりこういうところ可愛い♪
「その・・・ルナも、似合ってるよ、浴衣。」
「え?あ、あ、ありがとう、アスランさん」
顔が真っ赤になったのがわかる。たった一言で一気に立場が逆転されてしまった・・・
「兄ちゃん、客が待ってるんだけどよぉ、イチャつくなら他いってくれねぇかい?」
「あ・・・」
「あ・・・」
後ろを向くと客がこちらに注目していた・・・
「すみません、すぐ出ます。」
アスランさんが私の手を取り店をでる

「でも意外だったなぁ、なんでもできそうな感じなのに。」
「俺はキ・・・機械じゃないんだ、苦手な事もあるさ。」
「今・・・・・何言いかけました?」
「の、喉が渇かないか?午後ティー買ってくるよ。」
そそくさと離れるアスランさん。何を言おうとしてたのかわかるけどちょっぴりいじわるしちゃった。
2369-1 5:2005/05/06(金) 15:05:51
25 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 02:10:51 ID:???
「ルナ・・・」
「何ですか?アスランさん」
神社の境内で二人で午後ティーを飲みながらゆっくりくつろいでいたところにアスランさんが話しかけてくる
「今日は誘わなくて、すまなかったと思っている」
「いいんですよ、こうして会えたんだし、私は気にしてませんよ、面白いもの見られたしね。」
「あ・・・あれは・・・まぁ、だからこそ、先に行って練習してルナにいいところを見せたかったんだよ」
顔を背けてポツリと言う。アスランさん・・・
「大丈夫ですよ。」
「え?」
「私はアスランさんのいいところ、もういっぱい知ってます。」
「・・・そうか、そうだったな。」
「そうですよ♪」
そのまま二人で笑いあう
「手、またつないでもいいですか?」
答えを聞く前にもう繋いじゃうけど♪
そのまましばらく黙り込む、お互いが手のぬくもりを感じあっているかのように

「私は今のままのアスランさんでじゅうぶんですよ、そんなアスランさんが・・・私は好きなんだし。」
「ルナ・・・・」

そしてまた静寂が続く・・・

ひゅるるるるるる〜〜〜〜


ど〜〜〜〜〜〜ん!!!
2379-1 6:2005/05/06(金) 15:07:10
「あ、花火、・・・・綺麗。」
「あぁ、そうだな。でも、ルナのほうが・・・」
「あ、もしかして、お約束ってやつですか?」
「そうじゃない、俺は本気で・・・」
「アスランさんってほんっとに可愛いですね」
「あんまりからかうなよ・・・」
二人でそのまま花火を見続けていた、こんな日がいつまでも続いて欲しいな・・・
「ルナ、この花火の最後の大玉に願いを言えば叶えてくれるって言い伝えがあるんだ」
「あ、それは覚えてます、アカデミーで習いました」
「もうすぐ時間だ、願いは決まってるか?」
「もちろんですよ♪」

そして最後の大玉が大空に舞いあがる。
2389-1 7:2005/05/06(金) 15:08:56
26 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 02:11:50 ID:???
                 ,. -;:=‐
                / ∠...,,,__
              _,. -l /       `'' 、
            ,. '´  ヽ!            \
           /     l rヽ  、       ',〃ィ
            / /   /l l l ト, ',       Yイr;=‐
          l /    /=、ll、',', l ト、  ヽ   f7'´ヾ   「アスランさんとずっと一緒にいられますように」
          l l',   l,ィミfト, ト! ヽl, >、 l  く_l{アf/ ) 「ルナとずっと一緒にいられますように」
          `゙l ハ  l、ヒイハヾヽ リィ≡ミY l >、ニ丕>
.           l' /, ト  ̄ ;::::  、ヒ;7/ / ハfヲfイ ノ
            lイ ,!   、;;_    ̄〃/ / j、ノ-イ
            / ノ ヽ  l'´ `フ  フ´  /´ l lT''´
           ノ7 ,ィ ト、`ー' _/  ,//´``j/                    ,、_ ___
             / //イ/イ` ''"´/イィ //                    rー''";:::`:::、:::::::::::::`丶、
          _,,.l./‐'"/r'll   ,.-ァ' /'´ヽ、                 ,.'"::::::i:{::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::`ヽ、
         / ll′ / ll |' //"´  /  \               /::::::::::::::;r;、::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::ヽ
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.    r'´ -''"ヽ∨  !  /      l ! _,.‐ ュ{ l !  ',           |:::;::;:::i:::::|ヽヽ、l:i:::::::/:::/i:;イ::::::::/::::::::
2399-1 8:2005/05/06(金) 15:10:03
  ,.-''フ',  ` ̄_)′  l,/   /   ゙rf、 ヽ ヽ'ノ_ / ',          {::;i::::;:::;:::i7テfミ,/'i::::/i/ナニl::::::/::::::|::::
/-ァ' /ト、  ̄ ィ  〃   / /"⌒〈ヽ ヽ ` ノ/_r'' ',          'l:l ';::::;:::ゞゞ‐'‐, j:ノ 7テラ'7;イ:::::::;イ:::
 /´ ''ヽ',  _,ィr' ⌒ーァ ∠_ //.  〈`  _,ノY"´  ̄  ヽ         ヾ ';:i!:、:i    ' ′   ̄`゙"/::::::::::iリ}::l
. '     ','r'′lY、__ r''´    `''‐- _  ',   /  ヽ     |           リ!:::ヾ  丶      彳:::::::::j'"::::!
, =-、 ,  ヽ',  !| ll `ァfr-..,,_     ` 7', 〃   ゙r 、-、  l            j::::::::ヽ `_`''ー  /:::::::::::;::::::::;:{
   ヾ,.   ヾ,|ト,ll〃-ヲ)ュ l l7{ニアー/ //     ヽ \  l           /;ィ:::::::::;ィ'、    _ノ;:::::;ィ:::::::ハ::ハ
ヽ,._ ,i l = 、 ヽl l{{イf≦ヲく__lハ`r'"ヾ〃 〃    _..._ `  ヽヽ          /´i::;ィ:::/ l:;::ト-‐ ''´ /::;イ7:ィ:;i::!j/
`ヽ‐ '" `, ヽ ヾ ト,l} }ト、`fイ=fアモ=7/ /  ,. -=//  ヽ     丶         レ i/  j;ィl    /´, '/" lバ!
=.,_l l,    l |  Ylfヽハヽヽ/,.ー rl !/  //  '、'、lr''"ソ=-、  /          ,.ィ"´//j!   // /  \
 // ヾ`,=.y'  ヾヾ'r、`y'  '、__ l l,/  l l    //´  `ヾ,/      _,. -‐''´/ // {j , ' /  /    /`
'/    ヽ'    `',−- ..∠_= ll    >,´=‐'l lヽヽ   /,    、''"´    /  / / _у /   ,/    /
       l l      l      `'7   //   l ! ヽヽ, '.    /     ,  /   / l'´ ,/   /      /
,      //     ,.',_      |   //    ヽ 、j/!    /   i  / /   / |/      /     /
.' ‐ - ''/    / `''ー-....,,,_/l   l l      ブ |   /     ! / l  l  у       /      /
2409-1 9:2005/05/06(金) 15:11:04
  ̄ ´   / ´          ハ   ヾ、    ,ィノ   ト,..  /     l/  l   l /        /      /
                  !      ̄ -= '   |ヽ/     i'   l   /′       /      /    /
2419-1 10:2005/05/06(金) 15:12:21
27 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 02:12:54 ID:???



「た〜まや〜〜〜〜〜!!!」


最後の花火も終わり店に活気が少しずつ消えていく

「いつの日か、毎日こういう日が続くといいですね」
「そうだな。そして、そうするのが俺達の仕事だ。」
「そうですね。」
「さぁ、帰ろう、みんなが待ってる」
「はい!」
二人で手を繋いだままミネルバまでゆっくりと歩き出す
私たちの夏祭りはこうして幕をとじた


ルナマリアSSお祭り編 オワリ 
暇な人リンクさせてミナイカ?
2429-2 1:2005/05/06(金) 15:50:56
59 名前:25話凸独り語り[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 10:32:38 ID:???
ルナがいない・・・
キラたちと別れてミネルバに戻ろうとしたら港にはいないし、ミネルバに着いたら着いたでルナはいないし・・・
もう・・なんなんだ、くそっ

・・・まぁともかく、アレでキラはともかくカガリは大丈夫だな
キラがいる手前はっきりとは言えなかったが、カガリとのお別れは完了だろ、うん。
オーブにもアークエンジェルにもルナはいないんだ・・・ならミネルバに戻るしかないじゃないか!!!
って言って、ミネルバに戻ってもルナはいませんでしたけどね・・・

で、なんだここ?連合の施設?ふ〜ん・・・あ?なに?内部探査?え?俺も?はぁ・・・ルナぁ

うわっ?なんだこれ・・・?キモっ!!なんでルナに会えないのにこんなトコ来なきゃ行けないんだよ!!!
・・・俺、連合とか興味ないから戻っていいかな?

内部探査終了。まだルナはいない・・・俺に黙ってどこ行っちゃったんだよ・・・
しかたないからパソコンに保存してあるルナ画像で我慢だ。・・・やっぱかわいいなぁ、ルナは。
隣でシンがなんか怒鳴り散らしてる。
うるさいやつだな、俺はルナに会えなくてイラついてるんだ。これ以上騒いだら撃つぞ。

は?敵襲?ガイア?しかたないな、俺も出るか。暇潰しにはなるだろ。シンに戦わせて俺は飛んでよう。飛ぶの結構楽しいんだ。
なんだよ、弱いなガイア。シンなんかにやられるなよな。2年前の戦争なら二人ともストライクにやられてるな。
ん?なんだあのヘリ?

ルナぁ〜!!!一人でどこ行ってたんだ?心配したんだぞ。ごめんなさい?謝る姿もかわいいな〜ルナは。
あぁ〜やっぱルナを抱きしめるのは気持ちいいなぁ〜。え?寂しかった?俺だって寂しかったさ、当たり前だろ?

今夜は長くなりそうだな・・・ルナがかわいすぎるからいけないんだぞ?

〜完〜
2439-3 1:2005/05/06(金) 15:53:32
62 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:47:14 ID:???
 頭までかぶった毛布の隙間から、かすかに差し込んでくる優しい光。
 うつ伏せの状態で、使い慣れた枕にほっぺたを押しつけながら、私は目を覚ました。
 目を閉じたまま、のろのろと半分だけ顔を出す。まぶたに感じる眩しさからすると、結
構いい時間かもしれない。
 焦点の合わない目を何度もまばたき、テーブルに置かれた目覚まし時計を睨む。
 九時四十分。
「――っ!」
 瞬間、慌ててしまう。
 しかし反射的に上がった頭を、私はゆっくりと再び枕にうずめる。今日は日曜日だった。
 寝返りを打つ。
 短くしているが、それでも頬にかかるサイドの髪が、なんだかムズムズする。
 もっと短くしちゃおうかな……。いやでも一応女の子だしなぁ……。これ位の長さはあ
 った方が……。でもやっぱりスカートは短い方が……。
「あ!」
 二度寝の誘惑に流される寸前、唐突に思い出す。
 がばっ! と。私は勢いを付けてベッドから起き上がる。
 そうだった。
 今日は日曜だけど、いつもみたいにすよすよと昼過ぎまで寝ているわけにはいかない。
 だって私は、『お姉さん』なんだから。
 あの子に嫌われないように――ううん。むしろ好きになって、もらわないとね。
 私は、ほつれた髪をかき上げながら鏡の前に立った。
 うーん。なんか怖い顔。私はごしごしと目をこする。まぁ寝起きだしね。寝癖は……そ
れほど酷くはないかな。よし。
2449-3 2:2005/05/06(金) 15:54:45
 ドアへと向かい、ノブに手をかけたところでふと気付く。今の私の格好。いつも通りの
格好なんだけど……。
 薄手のタンクトップにローライズのボクサー。……だらしないかな、やっぱり。
 うん。やっぱりちゃんとしていこう、っていうかそんなの当たり前でしょ。……寝ぼけ
てるなぁ。
 私は引き返して、ハンガーに掛けてあるジーンズに足を通した。――うし。これなら平
気。ちょっぴりラフで涼しげな、タンクトップのお姉さんだ。
 もう一度鏡の前に立つ。うん。これなら人様に会っても問題――あった。
 先っぽが浮き出てる。まぁ、そんなに気にする必要もないかもしれないけど、一応相手
は男の子だしね。
 私はタンクトップを脱いでブラジャーを探した。
2459-3 3:2005/05/06(金) 15:55:50
63 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:47:58 ID:???
「あ……。おはようございます。ルナマリアさん」
 トイレと洗顔を済ませリビングに入った私は、どこか不安そうで、それでも天使のよう
な『弟』の笑顔に迎えられた。
 ……しまった。もう起きてたか。私が起こしてあげようと思ってたのになぁ。……それ
にしても――
 うわぁ……。やっぱり可愛いなぁ、この子。
 ――アスラン・ザラ君。昨日、ウチにやって来た少年。
 父の話によると、仕事の都合で彼の親御さんがプラントを離れるらしく、それならと、
しばらくの間ウチで預かることにしたらしい。
 年頃の娘に一言の相談もなく、そんなことを決めてしまう父親に私は呆れるしかなかっ
た。しかも、その預かる子はあのパトリック・ザラ氏の息子だという。ていうか、ウチの
親父殿がザラ議長と知り合いだったことに私はビックリしたわけだけど。
 でも、だ。
 一番ビックリしたのは――。
「あ、あの……。ルナマリア、さん……?」
 見とれている私に、アスラン君が心配そうな顔で近寄ってくる。
 ――こんなに愛くるしい美少年だったなんて。
 ふらふらと私の手が伸びる。アスラン君の柔らかそうな髪に向かって。
2469-3 4:2005/05/06(金) 15:56:55
「あの……え? う、うわぁ、なんですか? えっと、あの」
 なでなで。
「あの」
 さわさわ。
「ぼ、僕、なにか……」
「やーらかくてさらさらしてるー」
 真っ赤な顔で、おどおどしながら私を見上げてくるアスラン君。
 ――初めて会った昨日の夕方。
 私は一発でやられてしまったのだ。アスラン君。この子とこれから一緒に暮らす。
 硬直してしまった私に父は言った。
『お姉さんなんだから、ちゃんと面倒見てあげるんだぞ』
『……お姉さん……私が……この子の……』
『なに、すでにお前には妹がいるわけだしな。だいじょう――』
『お任せ下さいお父様!』
『……お、お父様……?』
2479-3 5:2005/05/06(金) 15:57:38
64 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:48:31 ID:???
 お姉さん。そう。私はお姉さんだ。そして姉とくれば弟だ。男の子だし。常識だ。
 そう。年上の私はお姉さんで、そうすると当然年下のアスラン君は弟ということになる。
妹のメイリンは、『いやだからといって別に弟にはならないんじゃ……』などと訳の分か
らないことを言っていたが、まぁいい。とにかく、私には弟が出来たのだ。それはもう、ス
トライクゾーンど真ん中の弟が。
「あの。えっと。その、えーと。――あ、そ、そうだった」
 されるがままだったアスラン君が、ぱっと私から離れた。あれ。嫌われちゃったかな。
 てけてけとキッチンに消えていったアスラン君が、少しして再び現れる。
「あの、ちょうど呼びにいくところだったんです」
 声変わりしていない綺麗なソプラノ。見るとアスラン君はトレイを持っていた。上には
おいしそうなトーストとサラダが乗っている。これってひょっとして――。
「えっと。あんまりおいしくないかもしれないですけど……」
 アスラン君はリビング兼ダイニングのテーブルにそれらを並べる。
「僕も少しは家事のお手伝い出来たらなって」
 ふらふらと私の足が進む。アスラン君の小さな後ろ姿に向かって。
「すぐにコーヒー持ってきま……わわ!」
 私はキッチンへいこうとするアスラン君を、後ろからぎゅっと抱きしめた。
2489-3 6:2005/05/06(金) 15:58:28
「あ、あの」
「――もうっ! アスラン君ってば! お姉さんは感動したぞっ!」
 ぎゅー。
「ル、ルナマリアさん……く、くるしいです……」
 すりすり。
「う、うわわ」
 これでもかってくらいに、私はアスラン君を愛撫する。この子ってばもう。なんて可愛
いんだろう。
「ご飯、作ってくれたんだ?」
「は、はい……。その、自信ないですけど……。まずかったら、ごめんなさい……」
 そんなこと! 私はアスラン君を正面向かせ、再度思いっきり抱きしめる。私の胸にア
スラン君の顔が埋もれる形。アスラン君の体温が胸に伝わってきて、私はもっとぎゅーっ
とする。こういうのを母性っていうのかな。ああ……涙が出そう、というかすでにもうウ
ルウルだ。
「ありがとね、アスラン君。いい子いい子」
「んー! んー!」
2499-3 7:2005/05/06(金) 15:59:14
65 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:49:13 ID:???
「……窒息するかと思いました……」
 テーブルに着きながら、アスラン君はそんなことを言う。あはは、さすがにやり過ぎち
ゃったかな。
「ごめんごめん。だって、あんまりアスラン君がいじらしいから、つい」
 笑いながら私もテーブルに着き、どちらからともなく『いただきます』をする。
 アスラン君が淹れてくれたコーヒーからいい香りが漂っている。私はそれを一口飲んで、
ちょっと意地悪をする。
「あ。でも……実はちょっぴり嬉しかったりした?」
「え?」
「おっぱい」
 ぱちくりと。アスラン君は一度だけまばたきをする。そして……みるみるうちに、耳ま
で真っ赤にした。
「そ! あ、あの、あの……」
 か、可愛い……!
 ぷしゅー、って音が聞こえてくるみたいに真っ赤っかになってる。小さいけどやっぱり
男の子なんだなぁ。うつむいてしまうアスラン君。ちらっと一瞬、私と目が合う。
「あう……」
 きゃー! 『あう……』って! そんな! あああ! なんて可愛いの! しかし私は
グッと堪え、内心で悶えながら、唇を尖らせる。
「アスラン君の……えっち」
「あう……」
 神様……ありがとうございます……!

 楽しい時間はすぐに終わり、気付けば日曜日はもうあとわずかだ。
 今日はアスラン君とずっと一緒に過ごした。途中、メイリンや父の妨害(?)もあった
けど、姉弟水入らずというやつだ。二人で買い物にいってランチを食べて、帰ってからは
マリオカートで遊んで、夕飯も一緒に作って、残念ながら一緒にお風呂は拒否されてしま
ったけど。
 そして、お風呂以外にもう一つ残念な点があった。
2509-3 8:2005/05/06(金) 16:00:29
66 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:49:48 ID:???
「あ。いいって、アスラン。洗い物は私がやっとくから。もうそろそろ寝ないと、だめだ
ぞっ」
 お風呂上がり。そういえば夕飯の洗い物がまだだったなと、キッチンへいくと、アスラ
ン君が先回りしていた。つくづくいい子だなぁ。メイリンも少しは見習って欲しい。
「平気です。もうすぐ終わりますから」
 ほっぺたに洗剤の泡を付けながら、アスラン君が楽しそうに笑う。
「もう……。アスランはウチがお預かりしてるお客様なんだから。もっとくつろいでくれ
ていいのよ?」
 私は布巾を取ってアスラン君の横に立ち、すすがれた食器を拭いていく。
「あ……。ありがとうございます」
「こーら。だからお礼なんていいの」
 私は横からアスラン君の顔を覗き込む。……はにかんだ顔がとてつもなく可愛いじゃな
いの。
 しばらく無言で洗い物を続ける。
 ――きゅっきゅっ。
「――今日は」
 不意にアスラン君が口を開く。
「んー?」
「今日はありがとうございました。せっかくの日曜日に僕と遊んでくれて。すごく、楽し
かったです」
 ――きゅっきゅっ。
 使っているスポンジは、アスラン君の小さい手にはちょっと大きくて、それはなぜか私
の胸を一杯にさせた。
2519-3 9:2005/05/06(金) 16:01:18
「? ルナマリアさん?」
 手が止まってしまった私に、ぼーっと見つめられ、アスラン君が首を傾げる。
 今日一日。
 私は、事あるごとにアスラン君を抱きしめた。だって本当に、すごく、可愛いから。外
見だけじゃなく、性格、言動、仕草――全部が可愛いから。だから『可愛い!』って思う
たびに抱きしめた。そうしないと、なんだか胸が感情に押しつぶされそうで。
 でも、全然足りない。
 あんなに何回も抱きしめたのに、どうしてまだこんなにも感情が溢れてくるんだろう。
 そして、どうして私は、こんなにも泣きそうなんだろう。
2529-3 10:2005/05/06(金) 16:01:57
67 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:50:31 ID:???
 ――いけない。これじゃヘンに思われちゃうな。一つ咳払いをして、話題を変える。
「――違うでしょー?」
 私はじろりとアスラン君を睨む。
「え? 違うって……」
「る・な・ね・え」
 そう。もう一つの残念なこと。アスラン君は私のことを『姉』と呼んでくれないのだ。
「もう、何度言っても分からないんだから。いい? 『ルナねえ』、もしくは『お姉さん』
か『お姉ちゃん』。――ほら、アスラン。言ってみて。『ルナねえ』がベストだよ?」
 私の方はとっくに『アスラン』と、呼び捨てで呼んでいる。
「だ、だって……。だから。そんな、昨日会ったばかりの人なのに……」
「呼んでくれないとルナねえ悲しいなー。後でベッドの中で泣いちゃうかもなー」
「あう……」
 アスラン君は困ったようにうつむいてしまう。どうしても恥ずかしいらしい。……うー
ん。そんなものなのかなぁ。
 でも……まぁ仕方ないか。確かに会ってまだ二日目だしね。それに男の子にしたら、か
っこ悪いことに感じるのかもしれない。うん、無理強いはよそう。私は物分かりのいい、
優しいお姉さんになるのだ。
「――しょうがないなー。でも、いつかは呼んでくれるよね?」
「え、あの」
「『昨日会ったばかり』、じゃなければいいんだよね?」
 ずいっと。私はアスラン君に近づき、『違うの?』と、目線を合わせて聞いてみる。鼻
をくすぐる洗剤の匂いとシャンプーの香り。
 アスラン君は顔を赤くしながら、それでも『姉』のお願いを受け入れてくれた。
「うう……。がんばります……」
2539-3 11:2005/05/06(金) 16:02:39
68 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:51:08 ID:???
 しばらくして洗い物が終わった。あとはもう寝るだけだ。
 私は冷蔵庫から冷たい麦茶を取り出し、ぐびぐびと飲む。リビングにいき、リモコンを
手に取るが、あまり面白そうなテレビはやってない。
 アスラン君は洗面所だ。歯を磨いたあと、そのまま自室へと向かうだろう。もう少しし
たら、おやすみなさいをしにいこう。
 ……ん? 待てよ? ……姉弟なわけだし……。『おやすみのキス』、はアリかしら。
アリよね? あの柔らかそうなほっぺに……。いやまぁ、すでに何度も頬ずりしたから柔
らかいのは知ってるんだけどね。……えへへ。
「……ど、どうしたんですか?」
「きゃあ!」
 ビックリして振り返ると、いつの間にかドアのところに、怯えた表情のアスラン君が立
っていた。……気付かなかった。どうやら、にやにやと悶えていたところを見られてしま
ったらしい。うう……。恥ずかしいなぁ。
「え、えーと。別に。ちょっとね、思い出し笑いを……」
「は、はぁ……」
 冷静を装って、あまりフォローにはなっていない言い訳をする私。……いけない。姉と
しての威厳が。
「……んん。で、アスランこそどうしたの? いい加減、もう寝ないとダメでしょー?」
 私はテレビを消してアスラン君に注意する。
「あ、いえ。その、まだ『おやすみなさい』をしてなかったですから……。その」
「え……?」
 予想外の嬉しいセリフに、私はじーんとした。だって、アスラン君も私と同じことを考
えてくれてたんだから。さすがは私の弟ね。
 私はアスラン君に『おいでおいで』をする。ちょっとだけ不安そうに、私の目の前にや
って来た可愛い弟。私はなでなでする。
「うん、そうね。……実は私も」
「えっ?」
「私も、もう少ししたらアスランの部屋に『おやすみなさい』をしにいこうと思ってたの
よ」
 頭を撫でられながら、アスラン君は上目遣いに私を見上げている。……あ。なんか嬉し
そう。うんうん。私も嬉しいぞっ。
2549-3 12:2005/05/06(金) 16:03:39
69 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:51:40 ID:???
「――おやすみ。アスラン」
 それは自然に。
 まったく自然に。
 私はアスラン君のほっぺたにキスをした。
 短い、まばたき一回分くらいの時間。だけど唇には、しっかりとその記憶が残っている。
「……あ、あの……」
 まだ、唇を離しただけ。
 近すぎて互いの顔が分からない距離。アスラン君の吐息が聞こえる。
 あはは。アスラン君ったら、きっとまた顔を真っ赤にしてるんだろうなぁ。
 私はゆっくりとアスラン君の顔から離れ……ん? あれ……? なんだか耳が熱い。い
や耳だけじゃなくて――。
「あ……あの、大丈夫、ですか……?」
 不思議そうなアスラン君の声。
 どういう訳か、顔を真っ赤にしているのは私の方だった。いや、アスラン君も真っ赤な
んだけど……。
「え……あ、その」
 顔が燃えるように熱い。気付けば、心臓は爆発しそうに早鐘を打っていた。耳の後ろで、
ドクドクと脈打つ音が聞こえる。
 なぜか私は、これ以上ないくらいに赤面し、緊張していた。アスラン君の頭を撫でてい
た私の手は、いつの間にか止まっている。
 な、なに、これ? なんで? どうして? なんで私、こんな……。
 ――いけない。自分からキスしておいてこれでは。うわわ。なにか言わないと……。
 しかしダメだった。なにも言葉が浮かんでこない。ますます顔が熱くなる。
 ああもう! これじゃアスラン君からしたら、たまったものじゃないだろう。もっとこ
う、『お姉さん』らしく、かっこよく決めるつもりだったのに。……うう。立場が逆じゃ
ないの。
「あ、えっと。ご、ごめん。びっくりした? あははー」
 ……ダメダメだ。ヘンなお姉さんでごめんアスラン君。お姉さんにも訳が分からないの
だ。いったいどうして……。
2559-3 13:2005/05/06(金) 16:04:21
70 名前:三人目?のルナねえ[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 11:53:16 ID:???
 私はアセアセしながら、なんとか心を落ち着けようとする。
 うん、まぁ、一応『おやすみのキス』は出来たわけだしね。うん。結果オーライといこ
う。私は『ぽんぽん』、とアスラン君の肩を叩く。うん、よし。落ち着いてきた。
「というわけで。はい、アスラン。もう寝ないとね」
「は、はぁ……」
 なんにせよ、今日という日はこれで本当に終了だ。明日からはまた学校も始まる。これ
から先、いったいどんな姉弟生活が待っているのか。
 私は残っていた麦茶を飲み干し、最後にもう一度、アスラン君の頭を撫でる。
「ちゃんと暖かくして寝るのよ?」
「はい。それじゃあ――」
 よく似合っている赤いパジャマを着たアスラン君が、リビングのドアへと向かう。
「――おやすみなさい……ルナねえ」
「うん。おやす――」
 心を捕らえて放さない、恥ずかしげな笑顔を一瞬だけ私に向け、アスラン君はぴゅーっ
とリビングから出て行った。

 ――やられた。
 
 自分からそう呼ぶように言っておいてアレだけど。今にして思えば――多分この時のこ
れが決定打だったのかな……。




※ルナマリア・ホーク 『ルナねえの「アスラン、愛してるぞっ」』(民明書房)より、
冒頭部分を一部抜粋。
2569-4 1:2005/05/06(金) 16:27:04
152 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 02:59:51 ID:???
ディオキアあたりのシチュでアスルナを書いてみた。
何かルナがはしゃぎまくってるのは勘弁してネ。




 かなりムカついた。
そりゃあ隊長とラクス・クラインは婚約者同士だし、そういう関係も有りだろう。
 でも面白くない、女として。
「あー、街に遊びに行きたいなぁ。誰か一緒に行ってくれないかなぁ〜」
「ん、俺が付き合おうか?」
「おだまり、人間ミラージュコロイド!」
 何で本命の隊長が無反応でコイツが反応するのかしら。
インパルスを与えられた割に全然活躍してないのに、叙勲ですって?
 私だってねぇ、これまでに5〜6機は落としてるんだからね(シンの戦艦6隻には劣るけど)!
「いいじゃないか、ルナマリア。シンを誘えば」
 この人はこの人で反応をしたかと思えば、さらりと残酷なことを言ってくれる。
「そ〜ですよねぇ、隊長はお忙しいですもんねぇ」
「(…今日はやたらと突っかかってくるな)」
 一瞬、怪訝な表情を浮かべた隊長はエレベーターを降りながら、ため息をつく。
「シン、悪いが先にミネルバに戻ってくれないか? 後で合流するから」
「はぁ、まぁいいですけど…」
 シンは単純だ。念能力で言うところの強化系だわね。あら、短気だから放出系かしら?
「ルナマリア」
 と、私がハンタ的思考を巡らせていると隊長の声が私を現実に戻す。 
「朝から何を怒っているんだ? 俺が君に何かしたか?」
「別に、隊長に怒っているわけじゃありませんけど」
「そのあからさまな態度は、誰がどう見ても怒っているようにしか見えないんだが」
「怒っている、というよりは呆れているんです」
 あのラクス・クラインの挑発めいた言葉も、私の焦燥する心に拍車をかける。
2579-4 2:2005/05/06(金) 16:27:47
153 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:01:16 ID:???
「隊長とラクスさんは婚約者同士だし、別に何をしようと勝手ですけど」
「いや、アレは違うんだよ…」
「違う? 何が違うって言うんです?
 あんな寝間着姿の女の子が同じ部屋にいて、何も無いわけないじゃないですか」
「君がどんな想像をしてるか知らないが、俺はラクスとは何もしていない!」
 隊長を信じてあげたい。
あげたいけど、あの状況を見てしまった限り、かなり無理があると思う。
 隊長はメイリンや他のミネルバ女子クルーにも狙われてるし、
ここはひとまず(一応)信じてあげて、借りを作っておいた方が良さ気かしら…?
「…わかりました、ザラ隊長を信じます」
 本当はまだ信じてないけど。
「良かった、誤解されたままじゃ俺も後味が悪い」
「その代わり、いいですか?」
 間髪いれず、ここぞとばかりに私は隊長を追撃する。
「私と一緒にディオキアの視察に行ってください」
「し、視察?」
「簡単に言えば、デートです。いくら隊長でも、デートの意味はご存知ですよね?」
「…馬鹿にするな」
 ムッとするも、隊長は考え込んでいたみたいだった。
私とデートするのに、考え込む必要があるワケ? 私、なよなよした男って嫌いなんだけどなぁ。
「それともアレですか? ゆうべはラクスさんとお楽しみすぎて…足腰が立たないとか?」
「…行くよ、行けばいいんだろう?」
 やっと折れた。この人、意外にも女性関係の話題になると弱いのねぇ…。
2589-4 3:2005/05/06(金) 16:30:15
154 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:02:18 ID:???
***

「隊長、次はあそこのお店に行きませんか?」
「ま、また服屋か?」
「だってここらのお店で売ってる服って、
プラントにいた時には全然見たことないデザインばっかりなんですよ?」
「はぁ…いいよ、行ってみよう」
 隊長はあまり乗り気ではないみたいだったけど、私についてきてくれている。
このお店に入る前にも2〜3軒回っているけど、目移りして未だに欲しいものが見つからない。
「これとか、いい感じですよね」
「えっ、あっ、あぁ…うん」
「…今、よそ見してませんでしたか?」
「し、してない」
 せっかくのデートだと言うのに、隊長の態度は何か余所余所しい。
あまりこの地方の気候に慣れていないのかもしれないけど、そわそわして変な感じ。
「もしかして隊長、私とデートしてもつまらないとか」
「そ、そんなことはない…ないんだが…」
「何ですか?」
 隊長だろうが1歳年上だろうが、そんなことお構いなしに私は追及する。
けどここでちょっと発見。困った顔の隊長って結構、可愛いかもしれない。
「俺は…その…デートとかしたことがないから…
どんなふうに声をかければいいのか…よく分からないんだ」
「…へっ?」
 デート、したことない…? 
「ラクスとも彼女の家に遊びに行くくらいのことしかしてないし、
彼女と婚約する前も…だ、誰かと付き合ったことがないから…す、すまない」
2599-4 4:2005/05/06(金) 16:33:24
155 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:03:58 ID:???
 かなり、いや、すごい意外。
あのアスラン・ザラがデート未経験? さすがにこれは私も耳を疑う。
「た、隊長? からかってません…よね?」
 えーっと、と言うことは…私がアスラン・ザラの初デートの相手?
「で、でも隊長ってアスハ代表とも、かなりお親しいみたいですけど」
「カガリとも…い、いや、代表とデートなんて(ユウナ・ロマの監視もあるし)!」
「じゃあ…私が隊長の初デートの相手、でいいんですね?」
 急に嬉しくなる。
隊長は根も真面目そうだし、そういうことには奥手なのかも。
「…好きなようにしてくれ」
「はい、勝手にそう思っちゃいますから」
 俄然、やる気が出てきた。
隊長のためにも、この初デートは完璧にこなしたいものね。
「じゃあ早速ですけど隊長、私に似合いそうな服を選んでください」
「お、俺が選ぶのか?」
「デートで女の子の服を選んであけるのは定番じゃないですか」
 ここで隊長はまた悩む。
アレックスの時にかけてたグラサンといい、この人はファッションセンスに自信がないらしい。
「えーっと…ルナマリアにはこういう色が…に、似合うんじゃないか?」
 そう言って隊長が選んだのは、薄いピンク生地のワンピース。
オールシーズン対応らしく、腰の水色のスカーフリボンがネックかしら?
 ピンクは赤に続いて私の好きな色だし、結構いいかも。
「あは、可愛いですね、コレ」
「(き、気に入ってくれたみたいだ…)」
「試着してみますから、待っててくださいね〜」
「わ、分かった」
2609-4 5:2005/05/06(金) 16:34:53
156 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:05:35 ID:???
***

「サンダルまで買っていただいちゃって、ありがとうございます」
「は、ははは…」
 隊長は気前良く、ワンピースをプレゼントしてくれた。更に服に合うサンダルまで。
私への口封じを遠まわしにしているつもりだろうけど、これは喜ぶべきことだわ。
「大事にしますね、隊長からのプレゼント!」
「た、頼むから引っ付かないでくれ」
 腕を組むのも隊長はお嫌らしい。
単にラクス・クラインがいるから遠慮しているのか、それとも恥ずかしいだけなのかしら?
 背は彼が頭1つ分高いだけに、私からすれば丁度いい感じで腕が組めるのになぁ。
「お腹、空きませんか? もうお昼過ぎですよ」
「ルナマリアは何が食べたいんだ?」
「隊長と一緒なら、何でもいいです」
「…」
 ちょっと馬鹿っぽかったかな。
一応、私は赤服で隊長はフェイスなんだし、それなりのお金は支給されてる。
 だからその気になれば高級黒海料理店とかで食事することだってできるんだけど。
「…海岸沿いに、美味いレストランがあると
ホテルのボーイから出発前に聞いたが…行きたいか?」
「はい、行きたいです!」
 即答。周りの人から見れば馬鹿の子と思われたかも。
いーや、どうせ言葉とかは通じてないんだろうし、旅の恥は掻き捨てってやつってことで。
2619-4 6:2005/05/06(金) 16:35:45
157 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:06:45 ID:???
***

「美味しかったですねぇ〜」
「君は食べている時、本当に幸せそうな顔をするんだな」
「人間、食べてる時とお風呂に入ってる時と寝る時が一番幸せなんですよ」
「ま、まぁ、そうかもしれないが…」
 隊長の言う通り、ここはなかなかの穴場だった。
そんなに待つこともなくテーブルに座れたし、座ったら座ったで眺めもサイコー。
 並んでいる途中に日差しが暑くなってきた時、さり気なく隊長が気遣ってくれたのも嬉しかった。
「それに」
「?」
「好きな人と一緒に居る時って、幸せな気分になりません?」
「え…」
 せっかくのデートだし、これくらい言わないと意味がない。
黒海グルメを満喫した私はデザートのフルーツを頬張りながら、隊長に呟いた。
「私、ザラ隊長のこと、好きですよ」
「……」
「あ、初対面で銃突きつけちゃったりしましたよね? その節はとんだご無礼を…」
「…そんなこともあったな。もう随分と昔のことのような気がするよ」
 そう言って、彼は笑う。
「ルナマリア」
「はい?」
「それを食べ終わったら…少し、浜辺を歩いてみないか?」
 珍しく、彼から誘われた。
いや、お誘いというよりは食後の運動、みたいなニュアンスなのかもしれないけど。
 でも、こういう場合、こう答えるのが定石でしょ?
「喜んで、お供させていただきます」
ってね。
2629-4 7:2005/05/06(金) 16:36:41
158 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:07:58 ID:???
***

「綺麗ですね」
「あぁ」
 人工物のプラントの夕日も、本物のお日様には敵わない。
水平線の向こうにその姿を半分以上隠しつつ、太陽は海の彼方に眩しく浮かぶ。
「今日はありがとうございました」
「楽しんでもらえたなら、それでいい」
 ま、隊長からすれば早くラクスさんとのことを忘れてもらいたいんだろうけど。
「それで、ラクスとの件なんだが…」
 そら来た。どーしよっかなぁ、ここまでしてくれたし、信じてあげるべきかしら?
でも何かまだ物足りない気がする。沈む夕日に、デート終盤の男女とくれば…。
「隊長」
「な、何だ?」
「キス、しませんか」
「ええっ!?」
 …そんなに驚かれても困るんだけど。
「デートの終わりは、やっぱりキスですよ」
「そんなこと言われても…」
「私とでは嫌ですか、あーそうですか…いいんですよ、隊長がお嫌でしたら別に…」
「そ、そこまでは言ってないじゃないか!」
 わざとそう言ってみせると、隊長の狼狽ぶりは面白かった。
この人、やっぱりまだ子供みたい。外見は大人で物事もはっきり言うのに、
こういうことに関してはてんで素人って言うか知識が無くて…ますます、可愛く思えてしまう。
2639-4 8:2005/05/06(金) 16:37:51
159 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:09:09 ID:???
「キスしてくれたら、隊長を信じます」
「朝方は『デートしてくれたら信じる』と言わなかったか?」
「嘘も方便です」
「…」
 ここまでする必要はないかもしれないけど、一応は念のため。
特にメイリン、あの子はまだ隊長を狙う気満々だし、ここら辺で姉としてもケジメをつけたいのよ。
 うん、ケジメよ、ケジメ。
「隊長…ダメ、ですか?」
「君は、本当に俺のことが…その、好きなのか?」
「もちろんです」
「俺なんかのどこがいいんだか…」
「可愛いし、何か母性本能くすぐられちゃうんですよ、隊長を見てると」
「…」
 そう、おっきな子供みたい。
何て言うか、この人のために何かしてあげなきゃ、って気持ちになる。
 彼はミネルバを守るために、もう何度も私達にしてくれたけど。
「だから私、ザラ隊長が好きです」
「…分かったよ、俺の負けだ」
 隊長は苦笑いを浮かべながら、右手で私の前髪を掻き分ける。
ドキリとする間もなく、私の体は彼の胸に抱き寄せられた…押しては返すさざ波の音と共に。
「後悔、しないな?」
「…しません。するはず、ないじゃないですか」
 何故だか、こういう仕草のみ彼は手馴れているようにも思えた。
緑色の瞳に魅入られるまま、沈む夕日の眩しさも手伝ってか…私は、すんなりと目を閉じた。
「じゃあ」
「んっ…ふ…」
 私の唇に、重なる隊長の唇。すごく軟らかいし、抱いてくれる力も優しい。
思わず私も彼の首に両腕を絡め、もっと、もっと顕示するように唇をねだる。
 ここまで来るのは長い道のりだったけど、今、私は多分幸せな女なのだろう…。
2649-4 9:2005/05/06(金) 16:38:52
160 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:11:44 ID:???
***

「…もう、止めちゃうんですか?」
「俺だって男なんだぞ…と、取り返しのつかないこと、するかもしれないだろ?」
「私、隊長なら取り返しがつかなくなってもいいですよ」
 本日の馬鹿の子発言、その2。
初デート、初キスの次のステップを期待するのは、さすがに馬鹿な女と思われたかも。
「ルナマリアは…」
「他人行儀なこと、言わないでください。ルナでいいです」
 レイは未だにルナマリアって呼ぶけどね。
「ルナ、君はパイロットである前に女性なんだから…もっと、こう…」
「おしとやかに?」
「…そんなところだ」
 隊長から見て、
私ってそんなお転婆に見えるのかしら…自分のイメージと他人の抱くイメージって違うもんね。
「じゃあ私、隊長のためにおしとやかな女の子、目指します」
「いや、俺のためとか言われても」
「もう決めました。隊長のために、頑張ります!」
「…ほどほどにな」
 もう一度、彼は苦笑いを浮かべながら…私の頭を撫でてくれた。

 その後、再び良い雰囲気になってきたのでこのままミネルバに帰艦せず、
どこかのホテルで一休みしませんか、と私が提案しようとした矢先、
シンから救難信号が出ている…とミネルバの管制室から連絡があった。 
 当然、隊長はミネルバに戻ることとなり、私の希望は脆くも崩れ去る(私も一緒に帰艦したけど)。
あの人間ミラージュコロイドめ、どうしてくれようかしら? いつもは出番すらないクセに!
 が、隊長と「おしとやかな女の子を目指す」と約束してしまったため、荒っぽいことはできない。
「隊長との約束だもんね、今回は見逃してやるかぁ」
 黒海で、私は大切な思い出を作ることができた。これが最初で最後であることも知らずに…。
2659-4 10:2005/05/06(金) 16:39:40
161 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/12(火) 03:13:47 ID:???
ムシャクシャしてやった。
アスルナなら(この場合はルナアスかもしれんが)
何でもよかった。今は反省している。
2669-5 1:2005/05/06(金) 16:51:23
231 名前:161[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:08:46 ID:???
前に書いた話の声援くれた人アリガトウ
調子に乗って第2弾を書いてみますた
今回はちょっとだけルナマリアを大人しめにしてまつ
エロは当然ないんで期待しないでネ



「テストパイロット…私がですか?」
「そうよ。グーン、ゾノの後継機…ズゴックリーゾンのね。興味ない?」
 ディオキアに寄港して数日が経過した頃、私は艦長に呼び出された。
何でも、ザフトの新型水陸両用MSのテストパイロットに私が選ばれたらしい。
「ズゴック…リーゾン…」
「ザクとアビスの性能を参考に新製造された、
水陸両用の戦闘が可能なMSの試験運転を実施したいの。
貴女のこれまでの活躍を聞いた、デュランダル議長直々のご命令よ」
「議長が私を…?」
 驚いた。
だってつい先日シンに叙勲の申請とか言われていたから、
てっきり自分にはそういうことは全然縁のない話だと思っていたのに…。
「どう? 何なら、貴女のパーソナルカラー仕様にしてあげてもいいのよ」
「は、はい。ルナマリア・ホーク、頑張らせていただきます!」
「いい返事だわ。夕方に到着予定だから、その頃格納庫へ行ってみなさい」
「はい、では失礼いたします!」
 試作機の試運転かぁ、隊長に報告したら喜んでくれるかしら?

***

「いよぅ」
「あ、ヴェステンフ…」
「ハイネだよ、ハ・イ・ネ」
2679-5 2:2005/05/06(金) 16:53:51
232 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:09:33 ID:???
 艦長室を出てミーティングルームに向かう途中、私は呼びとめられた。
ハイネ・ヴェステンフルス。ザラ隊長と同じ特務隊FAITHに所属してて、
新型MSのグフイグナイテッド(あのオレンジ色のMSだわ…)のパイロット。
 何かすごくフレンドリーな人で、配属後すぐミネルバにも溶け込んじゃったみたい。
「私に御用ですか?」
「いやね、俺のミネルバ配属記念に、皆で街に昼飯でも食いに行かねぇかなぁって」
「お昼ご飯ですか」
 どうしようか。
新型のズゴックリーゾンとやらがミネルバに到着するのは夕方頃らしいし。
 それまでの暇つぶしくらいにはなるかしら?
「で、どーよ? レイって奴は来ないけど、シンとアスランは来るって決まったんだが」
 私は聞き逃さなかった。確かに今、彼が『アスラン』という名前を口にしたのを。
「絶対行きます!」
「お、おぅ…やけに張り切ってんなぁ」
「私服OKですかっ!?」
「オ、OKよ、OK…じゃあ12時に集合ってことで」
 こうしちゃいられない、急いで出かける準備よ、準備!

***

「お待たせしました〜」
「おっ、来た来た」
「ルナ、遅ぇよ」
「あ…」
 せっかく隊長とまた食事(正確にはハイネとシンも一緒だけど)
できるんだから、可愛く決めたかった。
 一応はアーモリーワン出向時の折、艦には私服を常備しておいたけど
やっぱりここは隊長からのプレゼントを着る絶好の機会だと思うのよねぇ。
2689-5 3:2005/05/06(金) 16:54:34
233 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:10:34 ID:???
「へぇ、可愛いじゃん」
「ルナ、そういうヒラヒラしたの好きだっけか?」
「うっさ…い、いいでしょ別に。私だって女の子なんだから」
 隊長と先日「おしとやかな女の子を目指す」と確約した私。
そのザラ隊長の見ている目の前でシンをブン殴るワケにも行かず、拳を振るうのをグッと我慢する。
 そりゃあね、私だってコーディネーターなんだし、その気になればケンカもできるワケよ。
「ルナ、それ…」
「あ、隊長、コレ…どうでしょうか?」
「あっ、あぁ」
 どうもこうもない。
つい先日、隊長自身が選んでプレゼントしてくれたワンピースなのだから。
 勿論、ちゃんと一緒に買ってもらったサンダルも履いてきてる。
「似合ってるみたいで…良かったよ」
「あは、ありがとうございます!」
 隊長はちょっと恥ずかしそうだったけど、ちゃんと褒めてくれた。
この前の初デート以来、隊長は私に対して徐々に打ち解けてきてくれたような気がする。
 ハイネも隊長と部下と関係ないって言ってるし、私と隊長もそうありたいものだわ…。

***

「隊長はどれが食べたいですか?」
「これとかどうかな」
「あ、じゃあ2人で同じの頼みません?」
 街のレストラン到着後、少しだけ並んだ後に私達は席に座った。
当然、私と隊長は隣同士でシンとハイネは真正面で隣同士。
 2人には悪いけど、こっちはこっちで勝手にさせてもらいますからね〜だ。
「…何か、虚しいっすね」
「…おぅ」
2699-5 4:2005/05/06(金) 16:55:53
234 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:11:42 ID:???
***

「食ったなぁ〜」
「これからどーします?」
「カラオケでも行くかぁ?」
「ひ、昼間から?」
 私はともかくとして、シンとハイネはやけに大食いだった。
特にシンは日頃から影が薄い印象を何とか払拭しようと、無理して魚介類のスパゲティを3皿も食べていた。
 隊長は私と同じメニューだったので、そんなにお腹は膨れてないと思うけど。
「隊長はどうされます?」
「そうだな…」
「おいおい、昨日言ったばっかじゃん!」
「えっ?」
 ミネルバ配属記念として、今日はハイネのおごり。
が、シンがまさかこんなに食べるとは思っていなかったために顔面蒼白でレシートを
見つめていたハイネが、私と隊長の会話を遮ったのだった。もう、一体何よ?
「隊長とか部下とか関係ねーっての。
俺達はチーム、仲間なんだからさぁ…名前で呼び合えって言ったろ?」
「えっ…えっ?」
「い、いや、それは…」
 つまりはこうか、私に「隊長」ではなく「アスラン」と呼べ、と?
それは願ったりもない話だとは思うが、これまでも「アスランさん」がギリギリのライン。
 いくら何でも呼び捨てというのは…いや、ぶっちゃけると呼んでみたいわよ、うん、すごく。
「何だよ、別に恥ずかしがることないだろ?
 ルナマリアだって俺のこと、普通に呼び捨てにしてるんだしよ」
「ハ、ハイネがそう呼べって言っただけで、隊長はそんなこと…」
「あ、いや、俺は別に構わないんだが…ル、ルナさえ良ければ」
「…へっ?」
 今、何と仰いました?
2709-5 5:2005/05/06(金) 16:56:48
235 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:13:40 ID:???
***

 結局、有耶無耶のままに私はミネルバへ戻ってきてしまった。
本当は隊長について行きたかったけど…強引にハイネが隊長を拉致、そのままカラオケに直行してしまった。
 ちなみに後で分かったが、隊長は昔から歌が ド 下 手 だったらしい。
まぁ、世の中、完璧超人なんていないもんね、欠点があった方が人間味があって私は好きだけど。
「ルナー、こっちこっちー!」
「新型、搬入完了してるぜ」
 格納庫に向かうと、ヴィーノとヨウランがはしゃいでいた。
夕方頃に到着予定と聞いていたズゴックが、予定より早めに到着したらしい。
 どれどれ、と早速私はこれから試運転することとなる機体を眺めに行く。
「へぇ、これがズゴックかぁ」
「どことなく、グーンに似てるよな」
「そーかなぁ? ゾノとザクを足して割った感じじゃない?」
 薄紫のがっしりとした機体、これがズゴックリーゾンと私の出会いだった。
背部の高出力ブースター、腕の3連爪アイアンネイル、頭部の6門砲ロケットランチャー…。
 接近戦と遠距離戦、どちらもイケるようにバランスよく武装が施されている。
ジンやザクと同じでモノアイ搭載型っぽいし、私の心をくすぐるには十分…燃えてきたわ!
「OSとかは自分で設定してくれよ、ルナの機体なんだからさ」
「早ければ明日にも赤く塗装できるっぽいしね」
「え、マジ!?」
 私は赤が好きだ。ザクも赤く塗ったけど、
試作機であるズゴックも赤く塗装してよいとの艦長の許可もある。
「これでインパルス、セイバー、ガナーザクウォーリア、
ブレイズザクファントム、グフイグナイテッド、ズゴックリーゾンの配備が決まったワケかぁ」
「俺達、整備班にとっちゃ余り喜べないけどな、手間が増えて」
 そう言いながら、2人は夕食の準備のためか、格納庫を離れていった。
2719-5 6:2005/05/06(金) 16:58:29
236 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:14:46 ID:???
***

「ここがこーで、えーっと…うーん、水陸両用仕様のMSって複雑ねぇ」
 私は射撃の他に、実はプログラミングの成績も良くない。
だから操縦席に篭ってさっきからずっとOSを私用に書き換えてるんだけど、
なかなか捗らない…おまけに、ちょっと眠くなってきたかなぁ…。
「あー、ちょっと休憩…」
 私はリフトを降りて自販機を目指す。
眠気覚ましにコーヒーでも飲めば、少しは落ちつくかしら。
 でも自分が乗る機体なんだし、ちゃんとやることはやっておかないとね…。
「睡眠不足は乙女の大敵…ふあぁ…」
 誰もいないことを確認しつつ、大欠伸をする私。
そう言えば隊長とは昼から会ってないな…さすがにもう帰艦してるとは思うけど。
「会いたいなぁ、隊長に…」
「俺がどうした?」
「うはぅ!?」
「だ、大丈夫か?」
「コホッ、コホッ、た、隊長…!?」
 コーヒーを飲みながらそんなことを呟いていた私を、隊長が奇襲する。
おかげで私はカッコ悪くも、コーヒーで咽てしまった…あ、隊長が悪いわけじゃないのよ?
 悪いのは私、私。
「す、すまない。驚かすつもりはなかったんだが…ほ、本当に大丈夫か?」
「ちょ、ちょっと咽ちゃっただけですから、あ、あはは」
 でもカッコ悪いとこ見られちゃったなぁ。
「ところで…こんな時間まで何をしてるんだ?」
「あ、新型MSのOSを私用に書き直してるんですけど…ぜ、全然終わらなくて…」
「新型…あぁ、ズゴックとかいう…アレか」
2729-5 7:2005/05/06(金) 16:59:23
237 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:15:37 ID:???
***

「ここはどうしてほしいんだ?」
「アイアンネイルを動かす時の誤差補正をしたいんですけど…」
「…そうだな。このままじゃ、ちょっと扱い辛いかもしれない」
 隊長はやっぱりすごい。
隊長自身がズゴックに乗るわけでもないのに、私に合わせてOSを的確に書き換えてくれている。
 私が散々てこずった作業が、ものの数分で次々と仕上がっていくのは圧巻だった。
「できた、これでいいはずだ」
「ありがとうございます、隊長!」
「元々、開発スタッフが女性が乗ることを考慮してなかったんだろうな。
初期OSでは、君が使うには少し機動の際の負担も大きかったかもしれない」
 隊長もハイネとシンにカラオケに付き合わされて疲れてるはずなのに…。
もしかして私、余計なこと頼んじゃったかな? この前から、ちょっと調子に乗りすぎてるかも…。
「隊長、お疲れじゃないですか? その、カラオケ…」
「ん、あぁ…俺は歌、得意じゃないし。1曲だけ歌って後はずっと見学さ」
「曲名は?」
「ベートベーンの第九(鼻歌)」
 それ歌ちゃうやん、交響曲やん! とツッコミたいのを我慢して、私は続けた。
「歌っていいですよね、リリンが生み出した文化の極みって感じです」
「…それ、番組違うぞ」
 あら、ウケなかったかしら? 隊長ってやっぱり真面目なのね…。
「じゃ、じゃあ…俺はそろそろ…」
「え、もう、ですか…?」
 何だか名残惜しい。
せっかく隊長と操縦席で2人きりだっていうのに、これで終わり?
 こんな狭い操縦席で成人とは言え、若い男女が2人っきりなのに?
2739-5 8:2005/05/06(金) 17:00:58
238 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:16:57 ID:???
「あの、待って!」
「えっ?」
「待って…待ってください…あともうちょっとだけ…」
 わがままなのは分かってるけど、もうちょっとだけ隊長に傍にいてほしかった。
子供の頃、寝る前にパパやママに本を読んでもらった時みたいに、
本を読んでもうらという行為よりも一緒にいてほしいという気持ちの方が強いように。
 私は彼に向かって、気づかないうちに手を伸ばしていた。
「…仕方ないな」
 嫌がる素振りも見せず、
隊長はこの前のデートの時のように私の頭を撫でてくれる。
 元の通りに腰を下ろして膝の上に私を乗せて、ちょっと照れくさそうに笑うの。
「昼間のことなんだが…」
「昼間の、ですか?」
「君さえよければ…その、別に呼び捨てでも…という件だ」
「あ…」
 しまった、すっかり忘れてた。
結局、私はどうすればいいか分かんなくて、有耶無耶になっちゃったんだっけ。
 隊長、ちゃんと覚えててくれたんだ…!
「ほ、本当にいいんですか?」
「むしろ、隊長っていう方がガラじゃない。
アレックスとか、隊長とか…自分を偽る感じで、うまく言えないんだが…本来の自分じゃない気がして…」
 複雑そうな顔してるなぁ…やっぱり、隊長は隊長なりに責任とか感じてるんだ…。
「…アスラン」
 声に出して呼んでみると、少しだけ隊長は驚いてみせていた。
ただ名前を呼ぶだけなのに、こんなにも勇気がいる。
 好きな人の名前だからこそ呟く意味があると、私は初めてここで知る。
2749-5 9:2005/05/06(金) 17:01:50
239 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:18:39 ID:???
「や、やっぱり難しいですよね!」
 隊長に呆れられる前に私は体裁を立て直す。
いくら何でも出会ってから数週間しか経っていないのに、これはないだろう。
「好きな人の名前を呼ぶのに…こんなに緊張して…ホント、馬鹿みたい…」
 自分で言うのも何だけど、カッコ悪かった。
この前、「おしとやかな女」を目指す、って言ったばかりなのに…これじゃ馬鹿丸出しだよね。
「いいんじゃないか?」
「…?」
「恥らえるってことは、君が『おしとやか』になってきたってことだろう?」
「そ、そうでしょうか?」
 恋は女を変える、と昔から言う。
私はどこか変わったのだろうか? 隊長に…アスランに出会えてから…。
「…2人きりの時にするか?」
「え…っ」
「よ、呼び捨ての件だ…」
 隊長もこういう状況には慣れてないのかしら?
でもアスハ代表やラクス・クラインは普通に日常的って感じで呼び捨てにしてたし…うーん。
「やっぱり、いいです」
 後悔しないように、私はお腹にグッと力を込めた。
「貴方のこと…いつでも、アスランって…呼びたいから」
 こういうのは自分のキャラじゃないと分かってる。
でも、何かこうでもしないといまいち勇気を出せない。好きって言うのは、あんなに簡単だったのに。
「ダメ…ですか?」
「…俺に拒否権は無いよ」
 可愛い部下の…いや、仲間の頼みだから。
そう言って隊長…アスランはもう一度、頭を撫でてくれる。
 おやすみのキスをねだると、最初はちょっと困ったような顔をされた。でも、ちゃんとしてくれた。
別に恋人になったわけでもないし、アスランが私を好きだと言ってくれたわけでもない。
 私の自己満足にすぎない。だけど…彼が私に触れた部分をなぞるだけで心地良い気分になるのは…どうしてかな?
2759-5 10:2005/05/06(金) 17:06:49
240 名前:161[sage] 投稿日:2005/04/14(木) 03:20:14 ID:???
ムシャクシャしてやった
アスルナならズゴックを出してもいいと思った
今は反省している
27610-8 1:2005/05/06(金) 17:18:38
650 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:00:54 ID:???
俺も生きてます、一応
職人さん方がGJなんで俺も便乗して
>>507の続き投下してみますよ
でも後編のつもりが長くなったんで中編になったのは内緒



「シン、もうやめろ!」

 キラと交戦するシンに必死に呼びかけるも、まるで相手にされないアスラン。
ミネルバはムラサメ隊の攻撃により大ダメージを蒙り、
もはや片腕を失ったレイのザク1機だけでは迎撃もままならない状態だった。

「よそ見すんなよな、よそ見!」 
「ちぃっ!」

 だがこちらもカオスの執拗な攻撃に阻まれ、
シンとミネルバ、どちらの援護にも向かうことができない。
 ルナマリアがアビスを撃破したことで不安要素の1つが取り除かれたと
思ったのも束の間、この大部隊を相手にそれは焼け石に水なのではないだろうか?

「キラ、お前の力は戦況を混乱させるだけだということに、何故気づかない!?
 撃たせないでくれ、というのはただの言い訳に過ぎない!
 そうやってお前が力を振るう度に新たな犠牲が生まれることを、何故自覚しないんだ!?」
『君の言いたいことも判る…でも、カガリは今泣いているんだ!』 
「…巫山戯るなッ!」
27710-8 2:2005/05/06(金) 17:19:20
651 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:01:59 ID:???
 カガリが泣いているから戦う? そのためだけに人の命を無駄に奪うのか?
自分はカガリにオーブに戻れと言った。
 武力以外に和平を進める方法を模索して、元首としての勤めを果たせと。
だが今ではストライクルージュを駆り、戦場で無意味なことばかりを彼女は叫んでいる。
 例え信じてくれるオーブ兵がいても、この状況では彼らは上に従うしかない。
戦うしかない。そういう命令なのだから。兵士である以上、命令は絶対なのだから。 

「せやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「君、しつこいよ!」

 ブゥン!!!

「シンッ!」
「あっ、がぁぁぁ! …ちっくしょおおおおおお!!!!!!!」

 アスランとの通信に気を取られているフリーダムを討たんと突撃したインパルス。
だが、一瞬でフリーダムの2刀流の餌食となり、四肢を切断されて海中に没した。
 これをチャンスとばかりにスティングのカオスも攻撃を試みるが…。

「もらったぜ!」
「君も邪魔だ!」
 
 ズシャッ!!!!!

「なっ…にぃ…!?」
「お願いだから、僕の邪魔をしないで…」

 神速のスピードで振り下ろされたビームサーベルが
カオスをインパルス同様にバラバラに切断し、続けて海中に叩き落す…!
27810-8 3:2005/05/06(金) 17:20:07
652 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:02:52 ID:???
 まさに白い悪魔、こんなMSが本当に存在していいのか?
やはりあの時、プロヴィデンスとの戦いで全壊した
フリーダムを回収して修復してしまったことは間違いだった。
 だが自分もカガリも、いつかあの機体が平和のために…と妄信していたことも事実。
自分達の誤った判断が新たな悲劇を生み出してしまう悪循環…これが運命などと、絶対に思いたくない。

***

「レイ、大丈夫!?」
『ああ、まだだ…まだ終わらない!』

 こちらはミネルバ。
片腕を失いながらも奮戦するレイ機を援護するべく、
ルナマリア機もズゴックから乗り換える形でカタパルトに聳え立った。
 ただしその武装はガナーウィザードではなくレイと同じブレイズウィザード。
四方八方から次々と現れ出でる敵機に対し、ライフルと誘導ミサイルで反撃するも
あまりに数が多すぎて撃ち落としても撃ち落してもひっきり無しに増援がやって来る。
 ミネルバはすでにボロボロの状態、陥落間近。
ここで自分達が踏ん張らなければ、今までやってきたこと全てが無駄となってしまう。

「こんのぉ―――――――――――!!!」

 ズォン!!!

 ルナマリア機のブレイズウィザードから一斉発射された
ミサイル群が爆炎を撒き散らしながらムラサメ隊を撃墜してゆく。
 レイ機も片腕で不安定ながらも襲い来るミサイルの群れに
ビームを放ち、少しでもミネルバへのダメージを緩和しようと頑張っていた。
27910-8 4:2005/05/06(金) 17:20:59
653 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:04:17 ID:???
「しつっこい!」
『ルナマリア、ここはいいわ! アスランの援護に向かって!』
「か、艦長!?」
『彼を死なせるワケにも、機体を失うワケにも行かないの!』
「ですが、ミネルバは…」 
『安心しろ、俺が食い止める』
「レイ…」

 艦長の命令とレイの強がり。
確かにこのミネルバ配属の機体の中でまともに動けるのは
私のザクと隊長のセイバーだけ…しかもそのセイバーは今、フリーダムと交戦中。

「…了解しました、ただちに援護に向かいます!」
 私はミネルバから一旦離脱し、ザクを飛ばした。
短時間なら滑空も可能なバックパックのエネルギーをフルに活用し、
途中、波間に漂うインパルスを捕捉、急いで通信を開いてシンに呼びかけた。

「シン、大丈夫!?」
『ってぇ…あの野郎ッ!』
「コアスプレンダーだけなら脱出できるでしょ! ミネルバに戻って再出撃して!」
『あん? ルナはどうすんだ?』
「…隊長の援護」

 ミネルバに戻ればまだソードシルエットとブラストシルエットがある。
でも今の気力体力を使い果たしたシンに過度の期待を寄せることはできない。
 あとはザラ隊長…アスランさんさえ戻ってくれれば…。
28010-8 5:2005/05/06(金) 17:22:18
654 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:05:11 ID:???
『なら、僕は君を討つ!』
「くっ…!」

 セイバーとフリーダム、両者のビームサーベルが火花を散らす。
セイバーとてフリーダムには及ばないものの、最新機として素晴らしい性能を誇る。
 だがやはりNジャマーキャンセラーを搭載、核による無尽蔵のエネルギー供給を
得たフリーダムが相手では分が悪すぎる…それに、相手はスーパーコーディネーターなのだから。

『どうして僕達の邪魔をするんだ、アスラン!
 僕達はただ、僕達にできるやり方で戦いを止めたいと思っているだけなのに!』
「それはエゴだっ!」

 キラ・ヤマトはこの2年間で変わってしまった。
悟った、とでも言えばいいのか…アスランには彼の考えが全く理解できなかった。
 戦いを止めるためならば犠牲は止むを得ないというのか?
アークエンジェルは第三勢力という構図を図式化してしまっているため、
今のミネルバにとっては完全な敵である…あのタンホイザーを破壊された時がそうだったように。

『君は目の前で大切な人が泣いていても、何も思わないの!?』
「その原因を作っているのはお前達自身だ!
 お前達が無用な混乱と犠牲者を出していることに気づかない限り、
 俺はお前達を理解することもできないし、しようとも思わない!」

 ズジュゥ…!!!

 セイバーのビームサーベルがフリーダムのシールドに食い込み、徐々に溶解してゆく。
だが両者ともにすぐさま2本目のサーベルを引き抜き、またぶつかり合う。
 斬撃は攻防一体を極め、周囲のオーブ、連合艦隊らはどちらかが倒れるのをひたすらに待つしかない。
28110-8 6:2005/05/06(金) 17:23:19
655 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:06:12 ID:???
「(敵艦隊が攻撃をしてこない…フリーダムからの反撃を恐れているのか!?)」

 彼らからしてみればキラは厄介な存在でもあり、有難い存在でもある。 
敵対しているミネルバへこうもやすやすと攻撃が可能なのは、
フリーダムに対してセイバーとインパルス、ミネルバの主力MSが対抗措置をとったからである。
 おかげで艦の守りはかなり薄くなり、今のこの惨状を齎している始末。

***

「隊長!」

 私は焦っていた。
隊長が強いのは、これまでの戦いで私も十分知っている。
 でも嫌な予感がさっきからしてならない。
あのフリーダムとあそこまで戦える隊長はすごいと思う。
 けど、私は不安で堪らなかった。だから助ける。
艦長からの命令を抜きにして、隊長の部下として、私として、あの人を助けたい!

***

『隊長、離れてくださいっ!』
「…ルナマリア!?」

 セイバーのコクピットにルナの声が響く。
見れば後方からブレイズウィザードを背中に装着したザクが飛んでくるではないか。
 まさか加勢に来たのか…彼女には申し訳ないが、とてもキラに勝てるとは思えない。

「(ミサイルは全部撃っちゃったし、ライフルは多分かわされる…だったらぁ!)」
28210-8 7:2005/05/06(金) 17:24:32
656 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:06:56 ID:???
「どぉぉりゃあぁぁぁぁ!!!!!」

 シールドに内臓されたビームトマホーク。
私は迷うことなく、フリーダム目掛けて投げつけた。
 隊長は上手くよけてくれたけど、正直この攻撃が成功するとは思えない。

『(もう、邪魔だなぁ)』
「かわされた!」

 やっぱりかわされた。
けど、それもこっちは想定の範囲内。
 ほんの数秒の間に私の機体とフリーダムの距離は随分と縮まった。
行ける、このまま残ったもう1本のビームトマホークで…! 

 ズシャッ……!!!!!

「…えっ?」
『君がいけないんだ、僕を攻撃したりするから』

 私のザクがフリーダムに向かってトマホークを
振り下ろそうとした次の瞬間、攻撃は決まることもなく…代わりに右腕が切り裂かれた。
 攻撃が、全然見えない!?

『どいて!』
「きゃあぁぁぁぁっ!!!」

 呆ける間もなく、フリーダムのキックがザクの脳天に決まった。
マズイ、体勢を立て直さないと…このままでは隊長に何が起こるか分からない!
28310-8 8:2005/05/06(金) 17:25:04
657 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:07:52 ID:???
「キラァ!!!!!」

 隊長の怒声が聞こえた。
今まで聞いたことがないくらい、怖い声だった。
 いつもの優しいって言うか、優柔不断な隊長の声とは思えないくらいの。

「そうやってお前は、次から次へと…!!!」
『僕の前に立ち塞がるなら…君も僕の敵だ!』

 ズシュッ!!!!!

「ぐぅぅっ…!!!」
『もう止めてよ、僕をこれ以上困らせないで』

 フリーダムの攻撃がセイバーの左腕を切り落とす。
続けて右脚、左足首、右肩…まるで切り刻むのを楽しむように。
 いや、まるで力に酔っているとしか思えない、おぞましい光景だった。

「隊長ぉ!」
『来るんじゃない、ルナッ!』

 フリーダムは攻撃の手を休めようとはしなかった。
切り刻まれてゆくセイバーを黙って見ていることなど、私にはできない。
 許せない、どうしてこんなことが平気でできるのだろう。
私は見ていて気分が悪かった。でもそれ以上に隊長が苦しんでいるのを見てられなかった。

「今、行きますからっ!」

 腕を失ったことも忘れ、私は機体をフリーダムに向けて突進させる。
28410-8 9:2005/05/06(金) 17:25:55
658 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:09:43 ID:???
『あのMS…本当にしつこいなぁ』
『!? ルナマリア、よせっ!!! 下がれと言ったはずだっ!!!!!』
「でぇぇぇぇぇいぃぃぃッ!!!」

 バックパックのブレイズウィザードを解除、
私のザクから解き放たれたそれは、スラスター噴射を続けながらフリーダム
目掛けて一直線にぶつかってゆく! 

『(こんなもので僕を殺せるはずないのに…)』
「(一瞬でいい、隊長を…セイバーを回収できるチャンスがあれば!)」

 私の目論見はビンゴだった。
フリーダムはブレイズウィザードをビームサーベルで破壊、
その衝撃でかなりの爆発が起きた…この爆発に紛れて隊長を助ける…それが私の狙い!

「隊長っ!」

 ガシッ!!!

 残された左腕だけで、私のザクは隊長のセイバーを抱きかかえた。
セイバーはもう胴体しか残っていない…見るも無残な姿。
 私はセイバーを包み込むようにして降下する。
ザクは飛べない…海に落ちるしかない。連合もオーブもフリーダムを怖がって
私達を撃墜しようとはしなかった…と言うよりは、私達にはもう、撃ち落す価値もない、ってこと?

「落ちます、衝撃に備えてください…!」
『ルナ、どうしてこんな無茶を…!?』
「私が守るって、勝手に決めたんです…だから、隊長は死なせません、絶対!」
28510-8 10:2005/05/06(金) 17:26:41
659 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/05(木) 05:13:43 ID:???
とりあえず中編オワタ
後編は負傷ルナの看病編
噂じゃ右腕切断とか聞くけど、
痛い描写は極力なしにするつもり










てかキラが悪人チック
本当はセイバーを守るためにルナザクが
代わりに斬られるみたいな展開も考えたけど
ベタすぎて却下したのは秘密
後編でお会いしませう
286インデックス1:2005/05/06(金) 17:33:23
4-1  21話あたり >>120-122
4-2  アスラン >>123-124
5-1  序曲(◆j5jVuxWdss殿) >>125
5-2  ハイネの半日 >>126-129
5-3  ハイネのお仕事 >>130-133
6-1  小話 >>134
6-2  小話 >>135
6-3  小話 >>136
凸-1 片思い >>137-139
7-1  ショタルナ姉1(初代ショタルナSS書き殿) >>140-148
287インデックス2:2005/05/06(金) 17:34:11
7-2  ルナマリアSS 学園編(メイリン職人殿) >>149-152
7-3  学園編−ルナマリア熱血編(メイリン職人殿) >>153-154
8-1  ストロベリー100% >>155-156
8-2  初恋 >>157-158
8-3  女装もの >>159-164
8-4  告白 >>165
8-5  アスランSS 学園編A(メイリン職人殿) >>166-169
8-6  ハイブリッドSS >>170-178
8-7  ショタルナ姉2(321@ショタルナ2人目殿) >>179-182
8-8  学園もの >>185-187
288インデックス3:2005/05/06(金) 17:34:52
8-9  24話あたり >>188
8-10 25話あたり >>189-191
凸-2 ハイブリッドSS−2 >>192-200
凸-3 ハイブリッドSS−3 >>201-206
9-1  お祭り編(メイリン職人殿) >>232-241
9-2  25話凸独り語り >>242
9-3  ショタルナ姉2(三人目?のルナねえ殿) >>243-255
9-4  ディオキアあたり(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>256-265
9-5  ズゴッグ(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>266-275
9-6  温もりはいつも月の傍に・・・ >>207-228
289インデックス4:2005/05/06(金) 17:35:36
ハァ-1 共闘!ジュール隊! PHASE01「苺ましまろ」(メイリン職人殿) >>38-42
10-1 学園もの−射撃部(321@ショタルナ2人目殿) >>2-4
10-2 記憶喪失 第1回(321@ショタルナ2人目殿) >>5-17
10-3 お祭り編−メイリン視点 >>18-25
ハァ-2 20話あたり(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>43-53
10-4 記憶喪失 第2回(321@ショタルナ2人目殿) >>26-37
10-5 偽28話−前編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>70-77
10-6 アスルナ看病編(初心者@殿) >>78-85
10-7 温もりはいつも月の傍に・・・2(9-6に含む 215-228)
10-8 偽28話中編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>276-285
290インデックス5:2005/05/06(金) 17:37:22
隠-1 アスルナ休暇編(初心者@殿) >>88-89,92-115



とりあえず貼りました。
この板、参照(>>)は10個までみたい。
職人さん、修正があれば言ってくださいねー。
291321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/06(金) 17:50:33
マジ乙です!
今思うとかなりの量だよね
大変な作業をこなしてくれた
>>290氏に 乾杯!
292290:2005/05/06(金) 18:13:02
>>291
いえいえ、これぐらいしかお手伝いできることがないので。
しかし自分も作業始めた時はこんなに多いと思いませんでした。
容量の大きいAAを分割しなきゃならなかったのが悲しい・・・orz
293161 ◆E2q4Je3dsw :2005/05/06(金) 22:02:56
>>290
乙ですた
欲を言わせてもらうなら、
本スレ10の>>500-508あたりの掲載もお願いしたいのでつが
一応、このスレの>>276-285の前編に当たる話なんで…
294290:2005/05/07(土) 05:13:27
>>293
先に誰かが転載していたみたいです。>>70-77にあります。
インデックス4の7行目にもあります。

10-5 偽28話−前編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>70-77
295名無し草:2005/05/09(月) 01:35:41
保守
296名無し草:2005/05/09(月) 22:16:33
保守age
29711-1 1:2005/05/10(火) 21:18:38
168 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 11:46:07 ID:???
第3回−1/6

あれから何度かの精密検査を受けて、記憶以外特に
異常もなかったことから私は晴れて退院(?)することができた。
それまでに色んな人がお見舞いに来てくれたんだけど、
色々気を使ったりして少し大変だった。
でもアスランさんやメイリンが傍に居てくれたおかげで
気が楽だったことも確かだった。
ただ、あの時みたいにアスランさんがずっと傍に居てくれることは
なくなってしまったんだけど。
それと言うのも退院したと同時に自分の部屋に戻らなくっちゃいけなくなったから・・・。

・・・そういえば・・・・・・。あの暴れん坊はどこいったんだろう?

ふと気になって、その疑問を確かめるべくアスランさんと食堂で待ち合わせた。

「あの、アス・・・ザラ隊長?」
「ん?どうした?」
「あの、あの時暴れてた人はどうしたんですか?」
「・・・あぁ、シンのことか。あいつは営巣に入っていたよ」
「えっ?どうしてですか?」
「まぁあの時曲りなりにも俺に手を上げたことが咎められたんだろう。
 あの程度のことで営巣入りとはシンにも悪い気がしたんだが・・・」
29811-1 2:2005/05/10(火) 21:19:05
そっか。あいつもアスランさんの部下なんだ。確かに上司に手を上げるのは
いけないことよね・・・。

「・・・ザラ隊長っておおらかなんですね」
「実際怪我とかはしていないからな。それよりもルナ・・・」
「はい、なんでしょう?」
「・・・その、・・・あの時は本当にすまなかった」
「え?」
「いや、ほら!一緒にベッドで・・・のことなんだが・・・」
「あ!・・・い、いえ、あの時は私も・・・」

いきなりのアスランさんの発言で二人して赤くなって俯いてしまった。
幸い今居る食堂には私たち以外は誰もいない。

・・・も〜!何言い出すのよ〜!
29911-1 3:2005/05/10(火) 21:19:49
169 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 11:46:42 ID:???
第3回−2/6

「・・・その、そのときのことで」
「は、はい」
「・・・俺たちは付き合っていたってこと話したと思うんだが」
「!・・・はい」
「や、やっぱり今の君には・・・その、実感が沸かないんじゃないかなと」
「?・・・はぁ」
「つまり・・・、俺は何が言いたいかというと」
「はい」

そいうとアスランさんは黙り込んでしまった。

「今すぐ前みたいな関係を君に強要したいってことじゃないんだ」
「・・・・・・・・・」
「今はこんな状態だし、君もやっぱりあの時の俺の言葉を信じていないだろ?」
「あの・・・アスランさん?」
「ん?なんだ?」
「私、あれから一人になったときに色々考えたんです」
「・・・・・・」
「あの・・・、こんなこと言うの凄く恥ずかしいんですけど・・・」
「・・・・・・なんだ?」
「私、アスランさんが傍に居てくれて凄く嬉しかったんです」
「え?」
「アスランさんに手を繋いでもらっていたとき、とても安心できたんです」
「・・・・・・ルナ」
「記憶はないけど、体が覚えているって言うか、そうしていたことが
 すごく普通なことなんだって思えていたんです」
30011-1 4:2005/05/10(火) 21:20:20
体が覚えてる!?何言ってんの私?恥ずかしいよぉ〜〜!
でも口が勝手に動いちゃう!

「だから私、アスランさんの彼女だったってことが嬉しくて!
 ちゃんと自分で納得できているって言うか、これからもそうなって
 いたいって思って・・・」
「本当に?・・・ルナ、本当にそう思ってくれているのか?」
「アスランさんは優しくて・・・、あったかくて、傍に居て欲しいって」

アスランさんの目を見つめてみた。・・・・・・少し潤んでる。
あ、あたしもなんだろ?目頭が熱い・・・。
30111-1 5:2005/05/10(火) 21:21:01
170 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 11:47:14 ID:???
第3回−3/6

「あ、あの!前の私がどんなのかわからなくて、その、
 アスランさんの期待に何も応えられないかも知れないけど
 傍に居てほしいんですっ!アスランさんに一緒に居て欲しいんです!」

ダメ!涙出ちゃう!泣いちゃうよ!泣き顔なんか見せたくない!

「ルナ・・・。ありがとう。今の君がそう思ってくれて俺も嬉しいよ。
 でも、俺でいいのか?」
「・・・・・・え?」
「ホントは騙しているかもしれないんだぞ?それでもいのか?」
「・・・・・・私、アスランさんのこと信じます」
「ルナ・・・」
「一緒のベッドで抱きしめてもらったときに、私にとってアスランさんは
 とっても大事な人なんだって思えたんです!ホントなんです!」
「・・・・・・」
「・・・ずっと、ずっと傍に居させて・・・ください」
「ルナ・・・。ありがとう。ずっと傍に居るよ」
「うぅ、アスランさ〜ん」
結局私はアスランさんの胸で泣いてしまった。

30211-1 6:2005/05/10(火) 21:21:25
暫くアスランさんは私を抱きしめていてくれて、私が落ち着いてきたら
そっと涙を拭いてくれた。泣き顔見られたのは凄く恥ずかしかったけど
その後、そっとキスしてくれて・・・。
後々考えるとホントに周りに人が居なくてよかったって思う。
大声で告っちゃった私もアレだけど、アスランさんも大胆だなぁなんて
今更ながらに思ったりもした。

「ルナ・・・、どうせだから場所を変えよう。ここは誰が来るかわからないし」
「・・・はい」

そういえば・・・、私ってあの暴れん坊ことシンって人のこと聞きに
いっただけだったのに、なんであんな展開に・・・?
なんてこと考えてたら、いつの間にかアスランさんの部屋に来ていた。

「そこに座っててくれ」
「はい」

アスランさんはソファを指差して、私はそこに座った。
30311-1 7:2005/05/10(火) 21:22:01
171 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 11:47:50 ID:???
第3回−4/6

赤服といわれている私の部屋よりも豪華な部屋だった。個室だし。
さすが、フェイスだけのことはあるなぁと、キョロキョロ部屋を見渡す。

「ルナ。これ、飲むか?」
「え?」
「はい、ホットミルクだよ」
「あ、ありがとうございます!」

アスランさんから受け取ったホットミルクを飲んでみる。

・・・あれ?ちょっと不思議な味。それに何となく懐かしい感じもする。

「おいしいかい?」
「あの・・・、普通のホットミルクじゃないんですか?」
「あぁ、暖まるように少しだけブランデーを混ぜてある。それと砂糖も」
「へぇ〜、そなんですか?だから甘いんだぁ」
「ふふ、気に入ってくれたかい?」
「はい!」
「よかった。嬉しいよ」
30411-1 8:2005/05/10(火) 21:22:50
そう言うとアスランさんは優しく微笑んでくれた。
私はアスランさんのこの笑顔が好き。
あの日の夜、私に色んな話を聞かせてくれたときの優しい笑顔。
とっても心があったかくなって、すごく穏やかな気分になる。

「でも不思議です。なんか懐かしい感じの味・・・」
「!・・・・・・ルナ?その味が分かるのかい?」
「え?」
「・・・いや、今懐かしいって」
「あ、やっぱり変ですよね?私何言ってるんだろ。記憶がないのに」
「・・・・・・・・・ルナ、そのホットミルクは、君が前に好きだって言ってくれた
 ものなんだよ」
「え?・・・・・・そうなんですか?」
「あぁ、俺がまだ子供だったときに、よく飲ませてもらっていたものなんだ。
 前に君にも勧めたときにすごく気に入ってくれてね」
「そうだったんですか・・・・・・」
30511-1 9:2005/05/10(火) 21:23:48
172 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 11:48:59 ID:???
第3回−5/6

なんかすごく嬉しい・・・。

アスランさんやメイリンが教えてくれる今までの私を知ったときも
嬉しいことに違いはなかったけどけど、このホットミルクは特別だった。
私が好きだったことや物をアスランさんが覚えてくれているのが
何よりも嬉しくて、心にじーんときた。そして自然と涙がこみ上げる。

あ・・・・・・れ?やだ・・・、またきちゃった。

「・・・・・・ルナ」
「ゴメンナサイ・・・。私泣いてばかりですね。えへへ」

慌ててアスランさんから顔を背けるようにかぶりを振る。
そんな私にアスランさんはそっとハンカチを差し出してくれた。

「あ、ありがとうございます」
「いや、いいよ。それより早く飲まないと冷めてしまうぞ」
30611-1 10:2005/05/10(火) 21:24:25
照れ隠しなのかな?アスランさんも頬を人差し指でコリコリ掻きながら
そっぽ向いている。耳が真っ赤だ。
私も泣き顔を見られたくなかったからとても助かった。
そしてちびちびとホットミルクを飲み始める。
それを確認したアスランさんは私の隣にそっと腰を下ろし、
私の頭を優しく抱き寄せてくれた。私も自然にそれを受け入れる。

もう暴れん坊のことなんか頭の片隅にもなかった。
ただただアスランさんと過ごす暖かな時間を享受するので精一杯だったから。
そうしてホットミルクを飲み終えるころには、私もすっかり安心しきって
アスランさんの肩に頭を乗せて身を任せていた。


暫くそのままでいると、デスクにある通話機のコールがなった。

「あ・・・・・・」
「・・・・・・ごめん、ルナ。出なくちゃ・・・」
「・・・はい」

アスランさんは名残惜しそうに私から離れてデスクに向かった。
30711-1 11:2005/05/10(火) 21:25:08
173 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 11:49:31 ID:???
第3回−6/6

「ルナ。メイリンが迎えに来る」
「・・・え?」
「君が部屋からいなくなっていたから心配してるそうだ」
「あ、そっか。何も言わないで出てきちゃったから・・・」

そういうと部屋の扉が開いてメイリンが入ってきた。

「お姉ちゃんったら、どこか行くときは一言声かけてっていったじゃない!?」
「えへへ、ゴメン」
「もぉ〜、アスランさんごめんなさい。忙しいところに姉が迷惑かけたみたいで・・・」

そういうとメイリンはアスランさんに向かって深々と頭を下げる。

「いや、気にしてはいないよ。そんなに忙しかったわけじゃないから」
「そうなんですか?あ!お姉ちゃんずるいっ!アスランさんのホットミルク!」
「え?」
「・・・っと、前の約束なんか覚えていないか」
「なんだ?その約束って」
「前に姉が私にも飲ませてくれるって言ってたんです。アスランさんのホットミルク」

メイリンは苦笑いしながらアスランさんの問いに答える。
そして私の隣に座ると、私の腕にしがみつきながら寄りかかってきた。
30811-1 12:2005/05/10(火) 21:25:43
「ねぇ〜、お姉ちゃ〜ん?ホットミルク美味しかったぁ〜?」
「う、うん」
「あたしも飲んでみたいなぁ〜」

そんな猫なで声で言われても困るよぉ〜。

と、思いながら助けを求めるようにアスランさんを見つめる。
アスランさんは苦笑いしながら応えてくれた。

「わかったよ、メイリン。今から作ってあげるから。離れないとルナが困ってるだろ?」
「やったぁ〜!いつ飲ませてもらえるかずっと心配だったんだぁ」

メイリンははしゃぎながら私から離れた。
その後は暫く今までのことや今後のことで、3人でお喋りしていた。
アスランさんの作ってくれた、温かいホットミルクを飲みながら・・・・・・。
30911-1 13:2005/05/10(火) 21:26:10
174 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 11:53:37 ID:???
ルナ姉SS期待してた人はスマソ
結局記憶喪失3話目のが早かった
これで皆が
アスルナ(´д`*)ハァハァ
してくれれば幸いだ

読み返すとかなりしまりの悪い終わり方だな・・・orz
サブタイトルは「アスランのホットミルク」といったところか?
310インデックス5 更新:2005/05/10(火) 21:30:40
転載&保守しまーす。

インデックス1〜4 >>286-289

隠-1 アスルナ休暇編(初心者@殿) >>88-89,92-115
11-1 記憶喪失 第3回「アスランのホットミルク」(321@ショタルナ2人目殿) >>297-309
31111-2 1:2005/05/12(木) 05:44:02
227 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 19:51:34 ID:???
「ここにいたんですね、ザラ隊長」
「あぁ、ルナマリアか・・・!」

アスランがルナに振り返ったときに
自分の目を疑った
なんと痛々しい姿であろうか・・・

「隊長は怪我とかはしなかったんですね・・・よかった」
「いったいどうしたんだ!?その怪我は!」
「えへへ、ドジっちゃいました」
「ドジっちゃったって・・・・・・」

確かに何とか帰還したミネルバの惨状も
目を背けたくなるぐらいのものだったが
当然護衛についていたガナーザクもただでは
すまなかったということか

苛立ち、後悔、自責の念
これらの思いや感情がキラやカガリたちのこと以上に
アスランの心に負担をかける

「アスランさん?」
「・・・・・・・・・」

特にキラに対して様々な思いが錯綜する
ルナの呼びかけも耳に入らないくらい
31211-2 2:2005/05/12(木) 18:12:29
229 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 20:07:00 ID:???
くそっ!キラ!どうして・・・!
キラさえいなければ、ミネルバも
ここまでやられなかったかもしれないのに!
俺が何とかできたかもしれないのに!

キラの感情をモロに受けて、戦いのさなかに
迷いを持ってしまった
カガリのこと オーブのこと
色んなことが頭の中を駆け巡りアスランを混乱させる

「アスランさん!」

ルナは叫んで痛む体を酷使してアスランの体を揺すった
今のアスランの顔色は尋常なものではなかったからだ

このままじゃアスランさんが大変なことになっちゃう!

予感めいた不安がルナの心を満たす
自分の容態すらも取るに足らないものと言わんばかりに

「・・・・・・ルナマリア」
「アスランさん、大丈夫ですか?」
「・・・・・・俺は大丈夫だ。それよりも君のほう」
「あたしよりもアスランさんのほうが心配です!」

アスランの言葉を途中で切るルナ
ルナにはそれほどアスランが深刻な状態に見えたのだ
31311-2 3:2005/05/13(金) 18:58:10
233 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 20:25:45 ID:???
だが無理を押してここまで来たことがルナにとって仇となった
急な発熱で意識が希薄になりつつある
だがそれしきのことで、今アスランを
一人にすることなどできるはずがない

「アスランさんが抱え込んでいるものが・・・なんなのか
 あたしには・・・わかりませんけど、あたしなんかよりも
 ずっと・・・アスランさんのほうが・・・心配・・・」
「ルナ・・・」
「・・・一人で・・・たった一人で・・・・・・悲しまない・・・で・・・」
「ルナ!」

肉体が限界を超え、強制的に意識を断ち切ってしまう
懸命にアスランに語りかけながら倒れこんでしまうルナ
アスランは崩れ落ちるルナを慌てて抱きとめる

* * *

ルナマリアは何で悲しまないでなんていったんだろう?

確かにあの時は周りが見えなくなるぐらい
色んな思考に自分が飲まれていたことに
アスランは気づいていたが、今は自分を心配してくれた
ルナのことでアスランの頭の中はいっぱいだった

こんなひどい怪我をしているのに・・・なんで・・・俺なんかを・・・
「・・・・・」
俺はただ、沈黙する事しか出来なかった。
「私は純粋に―――例え血の繋がりが無くとも―――妹が出来たのが嬉しかった。でも・・・」
ルナはそこで傷ましげに表情を曇らせる。
思い出したくない何かを思い出すような、そんな傷み。
「でもあの人は、父が居ない前では私の事を酷く疎ましく思ってた。私が、ナチュラルの母を持つから・・・」
俺は胸に、何か詰め物を詰められたような息苦しさを覚えた。
このまま、ルナに辛い思い出を語らせて良いのか?
「ルナ・・・辛いんだったら良いんだぞ? 無理に話さなくても・・・」
だが、ルナは小さく頭を振るだけだった。
「大丈夫ですよ。それに・・・私はアスランが辛い経験を語るのを止めなかった。何でだと思います?」
まるで挑むようにこちらを見つめるルナの瞳。
「・・・・義務意識?」
「違いますよ」
ルナは即答した。
「貴方の事をもっと知りたいと思ったから・・・・貴方がどんな事を思って前の大戦を体験してきたのか知りたかったから・・・だから・・・」
一呼吸つき、再び言葉を紡ぐ。
「だから・・・アスランにも私の事、知って欲しいんです」
「ルナ・・・」
俺は、俺の中で少しずつ、ルナに対する想いが変質していくのを感した。
投げ入れられた石が、水面に波を生じさせるように。
心がざわつく。
僅かな罪悪感と、変質していく想いと共に俺の心を掻き乱していく。
ルナはそんな俺の心情に気付く事無く、話を再開させた。
「悲しかった・・・差別を受ける事よりも、母の事を・・・どんな人だったかも知らないのに、悪口を言われるのが凄く辛かった」
コーディネーターでありながら、コーディネーターであるルナが差別を受ける。
ルナの母親がナチュラルと言う理由だけで。
結局ヒトは、“自分とは違うモノ”を受け入れる事が出来ないのだ。
「それでも、何とか育ててもらいました。そして私が13の時に―――」
俺はその時、ルナの呼吸のリズムが微妙に変化した事に気付いた。
呼吸を整えるそれとは違う、微妙な変化。
「血のバレンタインが起きました」
ルナは僅かに身じろぎをし、首を動かす。
ルナの視線をたどると、舷窓から夜空に散りばめられていた星々がこの部屋を儚く照らしていた。
その星々の光は、あたかもその宇宙で散っていった死者の魂達に、鎮魂歌を奏でているように思えた。
「そしてそこで、メイリンの母も死にました」
ルナは尚も星空を見上げながら、呟くように告げる。
・・・・いや、違うな。
ルナが見てるのは星空じゃなくて、かつてユニウス7があった宙域なのかも知れない。
「そして父は軍部にその知識を買われ、ザフトに召喚されました。そして私とメイリンも・・・」
「・・・・どうして?」
どうしてそこでルナ達までもがザフトに入隊しなければならないんだ?
俺の問いに、ルナはそっと立ち上がる。
そっと立ち上がって舷窓の下まで移動し、そこに背を向けて、星々の儚い光を一身に浴びる。
場違いにも俺は、ルナのその神秘的な振る舞い、そして幻想的な光景に固唾を飲み、魅入ってしまった。
「だって悲しいじゃないですか・・・」
そこにいつもの明るいルナの瞳は無く。
優しさの中にどこか哀しさを携える、切ないアイスブルーの瞳。
「お父さん<コーディネーター>とお母さん<ナチュラル>が憎しみ合うなんて、悲しいじゃないですか。だから・・・」
アイスブルーの瞳が、俺を見つめる。
「だから私も入隊したんです。あんな戦争、早く終らせたかったから・・・」
俺は・・・
「ルナは・・・凄いな」
「え?」
俺は何を一人で悩んでいたんだろう?
「俺の母も血のバレンタインで死んだ。俺はその時、ナチュラルに復讐する事しか考えてなかった。
ルナのような考えを持つようになったのは、様々な喪失を経験して、いろんな人の導きが合って、父の掲げる大義に疑問を持った後だった」
そこで言葉を区切る。
ルナが、僅かに俯くように頭を下げる。
「私なんて、全然凄くないですよ・・・」
その表情は悔しそうに歪んでいた。
「いくら偉そうな事言っても、実力が伴ってなきゃ・・・虚しいだけです」
ルナの表情に、明らかな諦観が伺える。
「私・・・怖い。自分の・・・ここでの存在意義がなくなるのが、怖い」
唇を噛み締めながらも、その声は僅かに震えていた。
「アスランだって、もう分かってるでしょう。私の、戦場での無様な戦いぶりを」
「そんなこと・・・!」
俺は思わず、身を乗り出した。
ルナの言葉を否定する為に。
俺の悲観的な言葉を即座に否定してくれたルナのように。
「私は結局、みんなに迷惑をかけるだけ―――」
「やめろ!!」
俺は叫んだ勢いで立ち上がった。
叫んだ声に、ルナは身体をビクリッと硬直させた。
そして、恐る恐る顔を上げる。
「ルナ、良いか? 信念を持って戦わない者は破壊者と変わらないんだぞ? 
ただ自分の力に自己陶酔して、その力を制御できない者達なんだぞ? 
シンにも言ったが、力ある者はその力を自覚しなければならない」
キッと、ルナが顔を上げる。
「私には・・・!」
ルナの瞳に、涙が溢れる。
「私にはその力が無いんです!」
大粒の涙が零れる。
悔しくて、悔しくて、堪らないのだろう。
自分の力の無さを、不甲斐無さを、ルナはこれまで抱えながら戦ってきたのだ。
それなのに、いつも明るく振舞って、こんな俺を・・・慰めてくれる。
「ルナ・・・」
俺は涙を拭っているルナの左肩に、そっと手を乗せた。
今度は意識的に。
明確な意思を持って。
「君は力が無いと言う。けれど、君は『紅』になれるだけの実力があるじゃないか」
くっと、ルナの華奢な肩に触れる手の指に、僅かに力を入れる。
「俺も一度通った道だから分かる。あの『紅』の選定試験の過酷さが。でも君は潜り抜けてきた。
それは君に信念があって、それに見合う実力を持っているからだろう?」
ルナが、顔を上げる。
涙を拭って目元が少し赤くなり、その目を大きく見開いて、俺を見つめる。
「確かに今、君は戦果が上げられないのかもしれない。けれど、戦場に出て生き残る事ができればそれで上出来なんだ。
重要なのは敵の撃墜数ではなく、自分に与えられた任務を全うする事ができるかどうかだ。そして君は、この艦をしっかり守っているじゃないか」
「アスラン・・・私」
「君は、君が思ってるほど弱くなんか無い。それは、俺が保証する」
グッと、ルナが顔を俯かせる。そして、
「あり・・・がとう・・・アスラン」
再び顔を上げたルナには、いつもの明るい笑顔。
その瞳に、また涙が溢れていたが、それでもルナは笑顔で俺を見つめてくれた。
温かい・・・柔らかい・・・ルナの笑顔。
そんなルナが、クスっと笑った。
「アスランの話を聞くだけだったのに、何だか慰められちゃいましたね」
はにかむようにルナが言う。
俺はルナの肩から手を離し、再びベッドに腰をかける。
「そんな事無いさ。それに・・・君は気付いてないかもしれないけど、俺だってルナに何度も慰めてもらっているぞ」
「え?」
「訓練規定の時、俺が戻ってきた時、そして今も。俺は君に何度も慰めてもらっている。元気付けてもらっている」
未だに舷窓を背に立ち尽くすルナに、
「ありがとう」
俺は素直に感謝を口にした。
「えっ・・・あ、その、私・・・」
可愛いな。
言葉が上手く出てこなくて、たどたどしく言葉を連ねながら頬が赤く染まっていく。
「あの、ね・・・」
ルナが舷窓から一歩踏み出し、俺を何か探るように見つめる。
「うん?」
「どうして、私が『紅』を志願したんだと思う?」
こちらを覗き込むように見つめる。
「え?・・・それは、やっぱり、君の信念の為?」
ルナは、小さく頭を振る。
「それもあるけど、でも『紅』に志願した動機としては不十分なの。それに私は、一般兵で落ち着くつもりだったんだ・・・」
「じゃあ、なぜ?」
ルナは突然、表情を綻ばせた。
まるでこの質問を待っていたかのように。
ルナは完全に舷窓から身を離し、俺の隣に腰掛ける。
「一言で言えば、アスランの影響かな」
「俺の?」
ルナはコクンと頷いた。
「アスランは知らないんでしょうけど、私、貴方がジェネシスに突入する所を見てたんですよ」
「え?」
俺は言葉を詰まらせた。
あの宙域に、ルナが居たのか?
「私はその時、ヤキン・ドゥーエでハーシェル隊の一般兵として待機してたんです。でも突然司令部から―――あ・・・ごめんなさい」
ルナが言いたい事は分かった。
司令部からの交信が切れた事を言おうとしたのだろう。
そしてそれが意味するのは―――
「気にするな。それより、続けて」
「あ、はい」
ルナは一呼吸つき、呼吸を整える。
「それから、その、退避命令が下されたんです。突然。だから私達も何が何だか分からないまま、ヤキンを放棄したんです。その時に・・・」
ちらっと、俺を見る。
「貴方が駆るジャスティスが現れたんです。ビックリしましたよ、当時、反逆者といわれていた貴方が突然現れて、私達は・・・あ、怒らないで下さいね?」
「?」
「私達は、貴方を迎撃する為に発砲したんです」
「そう・・・なんだ」
ちょっと、ショックだ。
そう言えば・・・確かにあの時、ジェネシスに突入するとき迎撃されたな。
でも、それどころじゃなくて・・・
「あっさりこちらの戦闘能力を奪われてしまいましたけどね」
僅かに拗ねたような声。
俺はそっと顔を伏せる。
「でもその後、貴方の手によってジェネシスが破壊された。私は、凄いって思った。自分が信じる物の為に、あそこまで出来るなんて羨ましかった」
ルナが、覗き込むように見つめる。
そのアイスブルーの瞳で、じっと俺を見つめる。
「だから私、アスランのようになりたいって思った。アスランが見た世界を、アスランと同じ視線で見てみたいって思った」
そっと、ルナが立ち上がる。
今度は舷窓側にではなく、ドア側に。
「アスランのようになりたくて、アスランの事をもっと知りたくて・・・私、夢中になってアスランの事を調べた」
俺の脈拍が、僅かに早まる。
俺の事を、知りたいと言うルナ。
俺は・・・
「気付いたら、私にとってアスラン・ザラは誰よりも尊敬する人物で、目標でもあり・・・・憧れの人になってた」
「ルナ・・・」
「だから『紅』になれた時は本当に嬉しかった。アスランと一緒の位置に辿り着けたのが嬉しかった」
俺は立ち上がり、ルナと向き合う位置に移動する。
「そしてあのアーモリ1で、貴方と出会った。私はこの巡り合せが信じられなかった。だから今こうして、憧れの人が目の前に居て、私たちと同じ艦に居て・・・」
舷窓から月光が差し込み、ルナの顔を青白く染める。
月光を身に纏うルナは、どこか儚げで・・・
このまま消えてしまいそうで・・・
「私、ずっと・・・アスランの事・・・」
ルナは、ギュッと自分の手を握る。
何かを必死に繋ぎ止めるように。
「私・・・はっ・・・!」
顔を伏せ、何かを恐れるように身を強張らせ、ルナの小さな身体が小さく震える。
身体を緊張させ、肩が僅かに上下する。
そして・・・
「私・・・アスランの事が・・・・・好きです」
心臓が、トクンと一際大きく跳ねる。
「好き・・・なんです、アスランの事・・・」
「ルナ・・・俺・・・」
こちらが言い終える前に、ルナは身体を反転させた。
「あ、あの! 今の事は忘れてください!」
そう言って、ルナは部屋から出ようとする。
俺は・・・
自分の事を、こんなにも想い慕ってくれるこの少女を、このまま帰して良いのか?
俺は・・・
ルナの明るい笑顔、いつも自分の事を気に掛けてくれる優しさ。
俺は・・・
俺の心をいつも慰めてくれて・・・いつも、温もりを与えてくれて・・・
俺は・・・
「え?」
俺は、ルナの事が・・・!
「ぅん!?・・・んんっ!・・・はぁ・・・ぅん・・・!」 
部屋を出て行こうとするルナの腕を掴み、俺はルナの唇を求めた。
初めは腕でこちらの胸を突っぱねていたが、やがて力が抜け、突っぱねていた手は俺の肩に引っ掛けるように預けられた。
血色が良く、ふっくらとした唇は、甘く、柔らかく。離れる事を引き止めるような魅力を持っていた。
「ちゅっ・・・ぅん・・・はぁ・・・ぁむ・・・・」
ルナも稚拙ながらも、俺のキスに答えてくれる。
それが堪らない快感となって、俺の心を掻き乱す。
「あっ・・・」
俺は名残惜しげに唇を離す。
ルナは突然の俺の行動に驚愕したように、その瞳を大きく見開いていた。
その湖面の様に透き通った瞳には俺の顔が映っていた。
湖面は突然の事にゆらゆら揺れていたが、ルナの視界に俺しか映っていないと思うと、悦びが俺の心を満たしていった。
だが、満たされた悦びは更なる悦びを求めだした。
「えっ・・・うそ・・・・私・・・」
信じられないように、ルナは唇を指で触れ、撫でる。そこに嫌悪感は無く、まるで感触を思い出しているようだった。
それに今のルナは、俺が何をしても喜んでくれるような気がした。
「ルナ・・・」
ルナのふっくらとした頬を、優しく、包み込むように触れ、
「あ、アスラン・・・ぅん・・・はぁ・・・ぁむ」
暖かな温もりを与えてくれるルナの唇を、俺は再び求めた・・・
32211-2 4:2005/05/13(金) 23:55:13
234 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 20:40:46 ID:???
医務室に運んでも良かったんだが
とにかく休ませることを優先させるため
そのまま自分の部屋のベッドにルナの体を横たえる

医務室まで行かなくても、それなりの処置は
ここでも可能だが・・・

息の荒いルナの寝姿をアスランは眺めた

「顔が赤いな・・・、熱が出ているのか・・・」

部屋にあったタオルを冷水で濡らし、
絞ってルナの額に乗せ、
そしてルナの手を両の手で握り締める

キラやカガリのこと オーブのこと
アスランを悩ませる事柄はいっぱいあったが
今だけはルナのことを考えていたかった
それが逃げであるとしてもだ

こんなひどい怪我をしているのに
なんで俺のところに・・・

自問してみたが、答えは意外なほど
簡単に見つかった気がした
32311-2 5:2005/05/13(金) 23:55:54
235 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 20:52:32 ID:???
今までのルナの言動を思えばわかることだった
特にミーアが自分の部屋にいたことを
知ったときのルナの態度は誰が見ても
特別な感情が働いたためだといえるだろう

気づかなかったわけじゃない
気づいていない振りをしていただけなんだと
アスランは思った
カガリのことがあったから
他の女性を受け入れることはできないと

あの時、カガリに指輪を渡した時
万感の想いを込めてキスを交わした

ヤキン戦でカガリとともに戦い
すべてを守るつもりでジャスティスとともに
全てを終わらせようとした自分にカガリは言った

「生きるほうが戦いだっ!」

あの言葉を自らの涙とともに受け止めたときから
カガリを愛し、守ることを誓ったはずだった
32411-2 6:2005/05/13(金) 23:56:30
236 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 21:08:03 ID:???
だが現実はどうだ?
今の連合を止めるため、全ての争いを止めるために
何よりもカガリの望む世界を実現させるために
再びザフトに戻る決心をして
振るいたくもない力を振るってきたのに
カガリは連合との同盟を甘んじて受け入れるような
行動に出ようとしただけでなく
俺の考えや行動を混乱させ、否定しようと
しているように見受けられる

一度浮かんだ疑念は、かつての確固たる想いを
容易く不安定なものにしてしまった

もうカガリとはわかりあえない・・・
想いを共にすることはできない・・・

そう思ったとき、アスランの手に感じる
ルナの温もりに自然と意識が向いた

面識も殆どなく仲間となったこのか弱い存在は
ただひたすらに俺だけを見つめ続けてくれている

「ルナ・・・、ルナは俺を、俺の全てを受け止めてくれるのか?」

そう言うと、アスランはルナの手を握り締めた
その両手に力を込めた
32511-2 7:2005/05/13(金) 23:57:54
237 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 21:10:23 ID:???
いったん休憩させて・・・
腹減っちゃった
続きは希望があれば掻きたいと思いまつが・・・

っていうか慰安になってないじゃん!
何書いてんだ俺は・・・orz



241 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 21:20:13 ID:???
リアルタイムで書き込んだから
他の住人さんのレスを
阻害してんじゃないかと心配でした

ホント申し訳ないorz

続きは書き溜めて一括でうpしますね

326インデックス5 更新:2005/05/14(土) 00:14:43
インデックス1〜4 >>286-289

隠-1 アスルナ休暇編(初心者@殿) >>88-89,92-115
11-1 記憶喪失 第3回「アスランのホットミルク」(321@ショタルナ2人目殿) >>297-309
11-2 慰安(321@ショタルナ2人目殿) >>311-313,322-325
11-3 偽28話後編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) 未
11-4 花見(初代ショタルナSS書き殿) 未
11-5 小話 未
12-1 アスルナ 未
12-2 温もりはいつも月の傍に・・・3 >>314-321


321@ショタルナ2人目殿、ちんたらと1日1レスで転載していたため、
慰安SSが分割転載になってしまって申し訳ない。
温もり職人殿も申し訳ない。荒らしは去ったと思ったのになぁ。
327321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/14(土) 00:41:02
いえいえ
いつもながら大変乙です
このスレとあなたがいるから
安心してSS投下できるんで、大変感謝してますよ!
32812-3 1:2005/05/14(土) 09:56:14
僕がルナ姉の家にお世話になり始めてから初めての登校日。
学校からは遠くなってしまった分早起きをしなくちゃいけくななってしまったのが少し辛い。
目が覚めて、眠気の残る目を擦りながら部屋のカーテンを開ける。
やはりというか外はまだ薄暗い。

「おはようございます」

そういってリビングに出てみたものの、誰も居ない。
まだホーク家の皆は眠っている時間のようだ。
やっぱり生活習慣の違いってあるんだな〜なんてしみじみ思ってしまう。

「顔洗わなくちゃ」

洗面所のドアをくぐると、シャワールームの明かりがついているのに気づいた。
水の爆ぜる音も聞こえる。

・・・・・・あ、だれかもう起きているんだ!

一瞬このまま洗面台まで行こうかどうか迷ってしまった。
それが命取りだった。
僕はいつも考え事をするとき目線を下げる癖があるらしく
そのときも例に漏れず床に目線を落としてしまった。
そして見つけてしまった・・・・・・・・・。

「・・・う!」

そこには明らかに女性ものと思われる下着というか
男の僕には恐らく一生身につけることはないだろう
胸部のやわらかくいアレをああする下着と、
やたら小さくクルクルと丸まっている布製の何かが
バスタオルらしき物の上に慎ましく置いてあった。
32912-3 2:2005/05/14(土) 09:57:25
「こ、これは・・・」

その時不意にシャワーの音が止まる。

「はぅっ!」

僕はできるだけ音を立てないように大慌てでその場を後にした。

・・・・・・あ、危ないところだった!あのまま固まっていたら
きっと世にも恐ろしい災いが僕の元に降りかかってきていたに違いない。

結局リビングまで戦略的撤退を余儀なくされた僕は、再び作戦を検討し始めた。

・・・・・・今はまだ顔を洗ったり歯を磨いたりするのは危険だ。
地雷原を匍匐全身で進んでいくようなものだ。
なら朝食を用意するしかないじゃないか!
居候させてもらっているんだから、これくらいは僕がやらせてもらわなきゃいけない。

そう結論を出すと、僕はマイエプロンを取りに部屋まで戻る。
そしてマイエプロン装着。これは僕が小等部にいたころに自作した自慢の一品だ。
そしてリビングを通り抜けてキッチンに向う。

・・・さて、今日は何を作ろうかな?

などと考えつつ冷蔵庫をチェック。
材料と鮮度を確認しながら、コーディネイトされた頭脳でてきぱきとレシピを組み立てる。

時期的に外はまだ寒いから、温かいオニオンスープも用意しよう。
となると焼き物も暖かいものを出してあげたいから・・・。
33012-3 3:2005/05/14(土) 09:58:17
と、料理の段取りも完璧だ。
まず鍋に油を引いて、火にかけて暖める。次は玉ねぎをスライスする。
切った玉ねぎを鍋に入れて、十分過ぎるくらい火を通す。焦がさないように気をつけて。
そして鍋にお湯を張り、他に刻んだ野菜を入れて、しっかりと煮込む。そしてサラダに取り掛かる。
得意のキャベツの千切りだ。包丁を握った瞬間、頭の中で何かの種が景気よくパキーンと弾ける。

ほら!凄くない?このプロ顔負けの包丁裁き!

見る見るうちに溜まっていくキャベツの千切り。
そして中盤に差し掛かるころ・・・。

「あ!アスラン君!?」
「え?」

不意にキッチンに侵入してきた人は、下着姿で首からバスタオルをかけただけのメイリンさんだった!
そのあられもない姿を余すところなく凝視してしまった僕は完全に思考を飛ばしてしまう!
でも手だけは豪快にキャベツを刻み続けたわけで・・・。

* * *

「この馬鹿メイっ!!」
ごちっ!
「痛っ!痛いよぉお姉ちゃ〜ん」
「あんた何考えてんの?下着姿で家ん中歩き回るなんて!」
「だってぇ、まさかこんな早くにアスラン君が起きてるなんて
 思わなかったんだも〜ん。ぐすっ」
「だからって年頃の男の子がいる家で、女の子が下着姿で
 闊歩していいってことにはならんだろぉ!!」
「何よ!お姉ちゃんだってよくパパに同じことで怒られてるじゃない!」
「うっ!でっ、でもパパは論外よっ!対象外だわっ!」
「そんなの屁理屈だよぉ〜」
「うっさい!とにかくあんたの不注意でアスランが怪我しちゃったのよ!?」
33112-3 4:2005/05/14(土) 09:59:11
そう。僕は突然の出来事に思考能力が一気にすっ飛んでしまい、
キャベツと同時に自分の指も・・・。
輪切りにならなかったのは不幸中の幸いか・・・。
取りあえず学校は大事をとって休むことになっちゃったんだけど、
それにルナ姉までつき合わせることになったのが申し訳なかった。

* * *

「じゃ、いってきま〜す」

そういいながらメイリンさんは登校していった。
家に残ったのは何故か僕とルナ姉のみ。
僕は下着姿とはいえ女性の裸を見てしまったわけで、その申し訳なさから
ルナ姉をまともに見ることができなかった。

「アスラン?指、大丈夫?」
「えぇ、昔はよくやってましたから・・・。それよりもごめんなさい」
「え?」
「いや、朝食の準備できなくて・・・。結局迷惑かけただけで」
「・・・そんなのどうでもいいのよ。アスランが大怪我しなくてホントよかったって思ってるんだから」
「あ・・・、ありがと」

そっといたわるように僕の手をルナ姉が握ってくれた。
そして怪我をした指にそっと口付けをしてくれる。

「あ・・・」
「早く治るようにおまじないだよ」

・・・・・・だめだ。やっぱり恥ずかしい。
33212-3 5:2005/05/14(土) 10:00:25
今度は気恥ずかしさで下を向いてしまう。
そんな僕にルナ姉が優しく話しかけてきた。

「ねぇ、アスラン?やっぱりびっくりしちゃった?」
「え?」
「メイリンの裸見ちゃって」
「えぇ!?そっ、それは!・・・・・・その、かなり・・・」
「だよねぇ〜。アスランくらいの歳の男の子ならしょうがないよね」
「・・・・・・」

(すごく真っ赤になっちゃって・・・可愛いんだけど、今回ばかりは悔しいな。
 メイリンでもやっぱり女だし、自分以外の女の裸をアスランには見てほしくなかったな・・・
 って私何考えてんだろ?アスランはずっと年下なのに・・・。でも・・・・・・)

「・・・あの、ゴメンなさい」
「ん?」
「わざとじゃなかったんですっ!居候させてもらってるんだから
 朝食ぐらい僕が作ろうって思って・・・、みんなの役に立ちたくて・・・」
「アスラン・・・」
「昨日の朝食もルナ姉凄くおいしそうに食べてくれたし・・・」

「嫌いにならないで・・・・・・下さい」

(そうなの。これなの!アスラン健気すぎっ!そんな子犬みたいな目で・・・・・・。我慢できないよ!)

「アスランっ!」
「ぅわっ!ルっ、ルナ姉!?」
「んん〜!そんなのアスランが悪いんじゃないの!」

胸に僕の顔を抱き寄せて、頭にぐりぐりと頬擦りしてきた!
って冷静になってる場合じゃないっ!
33312-3 6:2005/05/14(土) 10:01:26
「アスランっ!もぅ好き好き!!絶対嫌いになったりなんかしないんだからっ!!」
「むっ!んぐぐ・・・!」
「もし裸が見たいんなら私がいつでも見せてあげるんだからっ!」
「んん・・・・・・・・・・・・」

(はっ!いっけない!ついやっちゃったよ・・・)

* * *

・・・ん?
誰かが僕の頭を優しく撫でている。何だか気持ちいいな・・・。
くすぐったいけど、もう少しこのままでいたいな・・・。
枕も柔らかくてあったかくて気持ちイイや。
いったいなんだろ?

「アスランの寝顔って可愛いな・・・。ずっとこのままでいてもいいかな〜」
「!」

ルナ姉の声?上から聞こえる・・・。
このポジションを考えるにもしかして・・・・・・膝枕状態?
や、やばいよ・・・!このままじゃ・・・

(ん?アスランが真っ赤になってる・・・)

いまさら寝たふりを続けるなんて・・・。でも目を開けられないっ!

「・・・アスラン?目、覚めた?」
「!・・・・・・・・・」
33412-3 7:2005/05/14(土) 10:02:17
バ、バレてる!?

動揺から体が強張るのを抑えきれない。

「くすっ。バレてるよ」
「ご!ごめんなさい!」

慌てて起きようとするのをルナ姉に阻止された。

「いいの。このままで」
「で、でも!」
「アスランはこういうの嫌?」
「えっ!?い、嫌って言うか・・・・・・嫌じゃないですけど・・・」
「だったらもうしばらくこうしていようよ」
「・・・・・・・・・はい」

やっぱりルナ姉には逆らえない。
くすぐったいけど、後頭部から伝わる温もりや優しく髪を梳く
ルナ姉の柔らかい指の感触からは何故か離れられない。

「さっきはゴメンね・・・。まさか気を失っちゃうなんて思ってなかったの」
「・・・い、いえ。大丈夫です」
「でもね、さっき言ったことは本当だよ。アスランのこと好きっていうの、ホントの気持ちだもん」
「・・・・・・ルナ姉・・・」
「こんなにお姉ちゃんだったら迷惑かな?」
「迷惑だなんてそんなっ!そんなことないですっ!」
「ホント?ふふ、嬉しいな」

ルナ姉の無邪気な笑顔に僕は見とれてしまった。
でもさっきまでの気恥ずかしい空気は跡形もなく消え去り、
今はただ穏やかな空気が僕たちを包んでいた。
気がつけばホントにずっとこのままでいられたらって思う僕がそこにいた。
335321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/14(土) 10:09:40
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336転載の人:2005/05/15(日) 05:43:51
>>335
あ、どうもわざわざ申し訳ないです。
337321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/16(月) 14:45:06
まぁ今回は訂正ヶ所があったんで
修正版を倉庫に入れた次第にございます
33811-3 1:2005/05/16(月) 19:37:46
254 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:10:29 ID:???
じゃあ取り合えず、投下してみまつ
順番的には前スレ>>658の続きで後編



***

「やぁ」
「あ…」
「具合、どうだ?」 
「隊長こそ、どうなんですか?」
「打撲で済んだのはラッキーだったよ」

 あの戦いから1週間くらい経った、ある日。
私と隊長はあのまま海に墜落、何時間か経った後にミネルバに回収された。
 結局、オーブ軍はシンのソードインパルス1機が全滅に近いカタチで追い払ったらしい。
でもミネルバの受けた被害は甚大、レイもザクを失って負傷、
更に今回の戦いの大立者であるはずのシンは現在は営倉の中、という妙な事態になっていた。
 どうも先日捕獲したガイアのパイロットを独断でレイと一緒に逃がしたらしい。
私が眠っている間に色んなことが起きすぎて…正直、参っている。

「その、すまなかった」
「?」
「君がこんなことになったのは…俺のせいだ」
「隊長…」
「俺がフリーダムに構わずに、もっと早く撤退していれば…!」
33911-3 2:2005/05/16(月) 19:38:18
 あの戦いで、私は傷を負った。
コーディネーターの医療技術を駆使すれば、十分に消せる範囲の傷。
 顔と、腕と、脚と、お腹と…胸にあたりに何箇所かある。
今は痛み止めが効いているけど…夜は痛くて眠れないこともある。それがもう1週間以上。
 隊長は責任を感じているのか、積極的に私を見舞ってくれている。
さすがに着替えとかはメイリンに手伝ってもらっているけど、あの子もあの子で
何かと忙しいだろうし、私はあえて自分でこなすようにしたかった。
34011-3 3:2005/05/16(月) 19:38:48
255 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:12:28 ID:???
「傷、痛むのか?」
「最初に比べたら、だいぶマシになってきました。
 先生は安静にしてなきゃダメだ、って言うけど…じっとしてるの、嫌いなんですよねぇ」
「頼むから大人しくしていてくれ…君に何かあったら、俺は…」
「…ごめんなさい」

 今、ミネルバは最寄のザフト軍基地に駐留している。
とにかく損壊が激しく、スクラップ寸前だったらしい。
 でもそれは私達のザクや隊長のセイバーも同じこと。
今のミネルバに残っている機体は、シンのインパルスしかない。
 私のズゴックもアビスとの戦いで中破〜大破の間くらいだったらしく、修理に廻された。

「…私、生きてますよ」
「…」
「隊長との約束通り、生きてます」
 点滴のチューブが繋がった右手を、私は力なく伸ばす。
隊長もそれを察して手を重ねてくれた…でも、今の私はちょっと積極的。
 重ねた手を出せるだけの力で握り、自分の健在ぶりをアピールする。

「…無理は、しない方がいい」
「えへへ…そう、見えちゃいますか?」
「今は休め」
「でも私、もっと隊長とお話したいです」
「傷に障るぞ、いいのか?」
「こんな時じゃないと、貴方は私を見てくれないもの」
「…」
34111-3 4:2005/05/16(月) 19:39:25
256 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:13:13 ID:???
「あれから考えたんだ」
「何を、ですか?」
「…俺がこれからどうするべき、か」

 隊長は暗く沈んでいた。
セイバーがあれだけ損壊して生きているのも奇跡に近いのに
隊長はそれを喜ぼうとせず、私の手を握ったままで、語り始める…。

「議長からセイバーを渡され、FAITHにも任命された。
 だが結果を見れば、俺が何も成し得ていないのは明らか。
 『力を持つものなら、それを自覚しろ』とシンに言ったのを覚えているか?
 あれは…シンじゃない、俺だよ。俺のことだったんだ…俺は、何もできなかった!」
「隊長…何、言ってるんですか…?」

 あのアスラン・ザラが私の前で泣きそうな顔をしていた。
伝説のエース、ザフトレッドのトップエリートが、私の前で泣く?
 いや、違う。隊長だって人間、失敗くらいする。それを悔やんで泣く。当然じゃない。

「俺はいつも逃げてた」
「…」
「ヤキンの時もそうだ。
 俺はジェネシスと共に自爆するつもりだった。
 父の罪過を償えるならと…でも死ねなかった。
 それからずっとオーブで隠れるように生きて…今はこのザマさ」

 2年間、彼は行方不明だった。
それがオーブ代表のアスハのボディガードとしてミネルバに現れた時は
さすがに私だって驚いた。だって、あの大戦の英雄が目の前にいたんだもの…。
34211-3 5:2005/05/16(月) 19:40:00
257 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:13:55 ID:???
「自分に嘘をつき続けたままじゃ…何も守れるワケ、ないのにな」
「嘘…」

 私の脳裏に、あの夕焼けの光景が過る。
隊長がアスハ代表とフリーダムのパイロット達と密会してる場面が。
 あれはかなりショックだった。騙されていた、とも思った。
でも同時に隊長が抱え込んでいる辛さとか苦悩も伝わってきたと感じた。
 隊長は隊長なりに戦いをどうにかしたいと考えている…でも、
あのフリーダムのパイロット達はそれを解そうとせず、隊長を否定した。
 …隊長はこんなに苦しんでいるのに、誰も理解しようとしない。
そんなの悲しすぎて、嫌だ。個人の都合だけで、隊長は振り回されてきたのに…。

「…私も」
「え」
「私も、隊長に嘘…ついてました」
「君が…嘘を?」

 どうしようか、とも思ったけど…この際話しておいた方がいいよね…。

「射撃の訓練の時…私、『貴方のこと、みんな知ってるわ』って言いました。
 だけど、あれってスゴイ嘘だったんです。
 私、隊長のこと知ってるつもり、ってだけで…本当は全然知らなかった」
「…ルナマリア?」

 わずかに指に力を込め、私は隊長の手を強く握った。

「隊長がどんなに苦しんでるか…私、全然知らなかった。
 隊長がどんな思いでこれまで戦ってきたのか…知ろうともしなかった。
 それなのに私、一方的に隊長を困らせるようなこと言って…恥ずかしいです」
34311-3 6:2005/05/16(月) 19:40:36
258 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:14:47 ID:???
「君が気に病むことはない…俺が話さなかっただけだ」
「あのラクス様が偽者ってことも、ですか?
「!」
「ごめんなさい…艦長の命令で、貴方を尾けました。
 アスハ代表やフリーダムのパイロットと隊長がお話しているのを…盗聴しました。
 ディオキアで会ったラクス様が偽者ってことや、
 本物のラクス様がコーディネーターに殺されそうになったってことも、全部」 
「…そう、か」

 もう隊長の涙は乾いていた。
でも私を見つめる表情は複雑そう。
 まさかあの場面を見られていた、とは思っていなかったのね…。

「私、誰にも喋ってません」
「えっ…」
「艦長にもラクス様のことは報告してません」
「…」
「私は、隊長を信じてますから」

 だってそうだもの。
私は隊長を信じてる。隊長を信じることで、私は強くなれた。
 隊長だって人間だから過ちを犯すかもしれない…だけど、それでも私は、好きな人を信じたい。

「…俺は、信じるに値する人間じゃないよ」
「隊長がそう思っても、私は勝手に信じます」
「ルナマリア…」
「だって、私の好きな人だもの…信じてあげたいんです」
34411-3 7:2005/05/16(月) 19:41:11
259 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:15:58 ID:???
「俺を信じた結果、こんなことになっても…それでもか?」
「こんなのカスリ傷ですよ、へっちゃらで…ッ!」
「お、おい!」

 マズイ、ちょっとカッコつけすぎた。
せっかく塞がり始めた傷口がまた痛くなった。
 隊長ったら顔面蒼白って感じで心配そうに覗き込んでる…。

「だ、大丈夫か? ドクターを呼んだ方がいいんじゃ…」
「あはは、たいしたことないです。ちょっと傷口とガーゼがこすれちゃって」
「…君と居ると、俺はいつもハラハラさせられっぱなしだな」
「私は隊長と居ると、いつもドキドキしますよ」

 カッコ悪いところを見られたのを補うように、私は苦笑する。
でも本当のことだし、これは嘘じゃない。ドキドキするのは本当のこと。
 これって、好きな人が傍に居てくれないと絶対に味わえないドキドキ感だと思う。

「…隊長」
「どうした?」
「キス、しませんか」
「……してほしいのか?」
「はい」

 私はこれまでに2度、隊長と…アスランさんとキスをした。
1度目はディオキアの海岸で。2度目はズゴックのコクピットの中で。
 どちらも隊長は戸惑い気味で、それでもちゃんと私の気持ちに答えてくれた。
例え、あれが両方ともその場しのぎの演技でも構わなかったし、後悔もしていない。
 この人になら、きっと私は殺されてもいいと思える程に…私は彼を好きになってしまっていたから。
34511-3 8:2005/05/16(月) 19:41:53
260 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:16:44 ID:???
「隊長がキスしてくれたら、ケガも早く治るかなぁ…みたいな?」
「…本気ととって、いいんだな?」
「もう、嘘はつきたくありませんから」

 優しく、優しく。 
体重をかけないように、隊長は私を抱き寄せる。
 別に寝たきり状態ではないから、私も自分で上半身を起こして隊長に擦り寄った。
久々の、隊長の匂い。包帯やガーゼ、消毒液の匂いとは全然違う。
 たった一週間くらいだったのに、こんなにも彼が、この匂いが、全てが懐かしい。

「隊長の匂い…私、大好きです」

 点滴のチューブが繋がった右手はまだ上手く力が入らないけど、
左手はもう動くようになっている…隊長の背中の感触を慈しむように、私は触れた。
 ただ、あと少しだけ体力があればもっと強く抱きしめてあげられるのに、
今の私じゃそれができないことが、ちょっと悔しくもあった。でも、これはこれで嬉しい。

「俺も…」
「?」
「俺も、もう嘘をつくのは…嫌だ」

 私の眼と、隊長の眼が向かい合う。
寝つけなかったのか、隊長の眼は充血していて…薄っすら隈まで出来てる。
 色んなことが重なりすぎて、隊長も辛かったのに、苦しかったのに。
34611-3 9:2005/05/16(月) 19:42:15
「君の気持ちにも、前から気づいていたのに」
「隊長…」
「知らないふりをして、また逃げてた。でも、もう逃げない…逃げたくない」

 その眼差しに吸い込まれそう。覚悟を決めた、って感じの眼に。

「こんな俺でも…君はついてきてくれるか?」
「…はい!」
34711-3 10:2005/05/16(月) 19:42:49
261 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:18:34 ID:???
「ん…」
「あっ…ぁ…」

 3度目のキスは、優しいけど情熱的だった。
私がこんなケガをしていなければ、もっと激しいものだったかもしれない。
 隊長の手が、私が痛がらないギリギリの範囲の力で抱きしめてくれる。 
ずっとずっと待っていた瞬間なのに、何故だか涙が止まらない。
 嬉しいはずなのに、私は泣きながらキスを続けた。息をするのも忘れるくらいに。

「たぃ…ちょ…」
「今は…アスランでいい、ルナ」
「…アスラン!」

 4度目。 
今度は私の方が積極的だった。
 もう傷が痛い、とかそんなレベルの話じゃない。
隊長の、アスランの唇を貪ることしか頭になかった。
 野生動物の求愛行動だって、もうちょっと節度があるかもしれない。
でも、もうどうでもよかった。この人のモノになりたい…それだけ。

***

「アス…隊長?」
「ん」
「また…海、見に行きたいですね」
「…そうだな」

 私と隊長…アスランがこれからどうなるのか、誰も知らない。
でも一つだけ分かることがある。私はこれから先、この人と共に在る…ということ。
 この人が、きっと私の運命の人。辿り着くべき場所だったということ…それだけは分かる。
この先何が起こっても、私はこの人の隣に居たい、居てあげたい…それが私の運命なら、それもいいだろう。
34811-3 11:2005/05/16(月) 19:43:18
262 名前:161 ◆E2q4Je3dsw [sage] 投稿日:2005/05/07(土) 22:20:47 ID:???
ムシャクシャして書いた
アスランとルナをキスさせて見たかった
今後も反省はしないと思う







ルナが何か悟った感じになってシマタ
本編での右腕切断がとりあえずデマで゙ヨカタ
今後もアスルナハァハァの精神は忘れずにいたいと思う
349インデックス5 更新:2005/05/16(月) 19:54:06
インデックス1〜4 >>286-289

隠-1 アスルナ休暇編(初心者@殿) >>88-89,92-115
11-1 記憶喪失 第3回「アスランのホットミルク」(321@ショタルナ2人目殿) >>297-309
11-2 慰安(321@ショタルナ2人目殿) >>311-313,322-325
11-3 偽28話後編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>338-348
11-4 花見(初代ショタルナSS書き殿) 未
11-5 小話 未
12-1 アスルナ 未
12-2 温もりはいつも月の傍に・・・3 >>314-321
12-2.5 水着(321@ショタルナ2人目殿) 未
12-3 ショタルナ姉4(321@ショタルナ2人目殿) >>328-334
12-4 小話(初心者@殿) 未
12-5 ショタルナ姉5(ルナねえ@三人目殿) 未
35011-4 1:2005/05/17(火) 19:07:23
302 名前:(1)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:07:21 ID:???
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    ヽ、:::::::::::::::::...  ー 、ヽ、    ,r'''''''''j}   , イ::´:::: ..::::: /
        ` ‐-、_:::::::::::...  ヾ`ヽ、  ゙‐;;;;;;;;' /{_/イ:::: ..://
          `丶、:::::;:::.... \r`ヽ、  ̄/} j /::;;<:::/
        ,.-‐'"´  `゙`ミ`ー ヽヽ トrイ/ { / ''"´  `''ー- ,,.._
35111-4 2:2005/05/17(火) 19:07:49
舞い散る桜の山道を、わいわいと進む一団があった。

「花見だーっ! 桜だ飯だ酒だルナだー!!」
「……何をわけのわからないことを言っている、シン。
それから俺たちは未成年だ。20歳に満たない者の飲酒は、法律で禁止されている」
「レイの言う通りです、まったく……私の前で飲酒を仄めかす発言をするなど言語道断。
問答無用で反省房行きにしますよ?」
「う……す、すみません」
「……クスッ」

その集団を中心に、辺り一面に笑い声が響き渡る。
緩やかな登り道が、はたして和気藹々とした空気で埋め尽くされていた。

「あはは……本当馬鹿よね、シンって。お子様っていうか、直情突進系っていうか」
「おいおい、そう邪険にしてやるなよ、ルナマリア。
それがあいつのいい所でもあるんだからさ」
「あはっ! そうですね。扱いが難しいようで、実は単純っていうか……
少なくとも私には簡単です」
〈ああー、またそんなにラブラブな雰囲気で! 
も〜う、そんなにアスランさんにくっつかないでよ、お姉ちゃん!〉
〈うんうん。メイリンちゃん、今日もかわいいなぁ。
よし! 今日この機会に、なんとか距離を縮めなければ!〉
35211-4 3:2005/05/17(火) 19:08:41
303 名前:(2)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:07:58 ID:???
    /   ヽ、 ヽ                ヽ
    /      `   、                 ',
   /         / !  ヽ   ヽ           ',
.   !   l l  〃/! l ! ト、  ヽ     ヽ  ヽ  !
   l  l  l l  /// l l l、'、ヽ  ヽ     ',  l  !
   l  l l / ///、 ', ト, ',ヽ'、 \ ヾ'、    ヽ l  !
   ', l /ハ/,/ィ≡ミ、!_ヽ', ヾ', ,.≧ミヾヽ   l| !
   ヽ!ハ!  l〃 {,ィ"´}ヽ ヾ ヾ'´{__,.ィ`T>ヽ  Y  !
     ! |'、 -ゞ=''´       ゞ='- /  / l}  !
     ! l ', ',        l ::::::     / , '  lハ/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
::i:::::::i_ヾi-  、     i;;::::/i;;;;;;:;;;;;;;;::::i  !'
::iヾ::::i"''ヽ-- ==-   i;;:://;;;;;;;;;;;;;;;::::i  |
:::i ヽ:i===\- 、   i;:/ i;;;;;;;;;;;;;;;;:::/  /
ヽ く" フ"フii' ゛    ,i/7'';;;;;/i;;;;;;:::/   
i   ___i '´/_      ノ_;;;;;;;i i;;;;/    
.i     ̄       、|;;;:://      
:::i            ヽl;::::::i        
ヾヽ            ヾ:::i        
  \         ,  ';;;;iヾ、      
       _ ___ _ ,   ヽ;;;::i ヽ      
、       _ ,

35311-4 4:2005/05/17(火) 19:09:28
――その中に、一組の若い男女がいた。
一人は、真っ直ぐ、強い意志を感じさせる瞳の中に、どこか影を持つ男。
一人は、特徴的な紅色の髪に、ぴんと跳ねた毛が印象的な、明るく活発そうな娘。
この二人、決して密着しているわけではない。
なのに、どこか見ている者に、二人の領域を犯させてはならないような、そんな空気を漂わせていた。
事実、両者の後を羨ましげ、半ば恨めしそうに見ている少女が、己が意思とは裏腹に……今日び大胆な行動を取れないのは、二人の間にはっきりとわかる、男女の色事のかおりを嗅ぎ付けていたからに他ならない。
尤も、その少女に熱い視線を送る青年士官風の男は、根が鈍感なのか、そんな微妙な男女の機微をまったく感じ取れずにいたようだが。

ともかく、見ている者に
「一生に一度は、想い人とこんな関係を結んでみたい」
――そんな感情を抱かせる、爽やかながらも濃密な二人だった。
35411-4 5:2005/05/17(火) 19:10:18
304 名前:(3)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:09:28 ID:???
 ::::/::::::l::::;;!:::::::::::::::::::l:::/"l/';::::::/.l::::;l   l::::::ハ:::::;::;ィ:::::::::::::::::::::::;:::::!\\
 :;イ::::::::i:/,l:::/:::::::;:::::::l/zニlニl::::{ヽl::::l ヽ, l::::l;≦!::ハ:l_!::::::::::::::::::::::lヽ::l  `''‐
  {::::::::l:{{l::;:::::::::::::;:::::i ス { ☆l゙トミ::l- ''/ 1:l彳ノ☆リ'l::::::::::::;イ::::::j ';:!
  ゝ:::::j::!ll:l::::::;::;:::::ヽ:ヽ --ゞ=''‐' i::!    j/-ゞ='‐' /::::::::::;::i ';:::/  リ
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              j、{::::::ノjYヘ/ ノ'∠<_ `Z=‐  }
           ノ ヽミ''´/| l `−'´`‐r`−r''´
         ,,.-'´  ,.-'ヘY.| lヽ _rヘ~} ノ|r,  `丶、
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  l'ヽ    ::::::::l ヽ!ヽ::.::ヽゞ-‐'   i:.  'ー-ソ;ノ;::::::;ィ'i::::::::::   ノ'l !
   ' ヽ    ::::::| ` ,!`; 、:ヽ、     |:::    ,:'ィ:';:::ノリ .|:::::::    / '
35511-4 6:2005/05/17(火) 19:10:38
そして宴は賑やか楽しげに、かつ派手に行われた。
「うはー酒だ飯だ歌だ! よし、一番シン・アスカ歌います!
みかんは! いろいろ! あるけれど〜♪」
「……(無言で太巻きを口に運ぶ)」
「ああもう、うるさいなぁ。艦長、あれはちょっと止めた方が……あれ?」
「ふむ、まだいけそうかね? タリア(淡々と杯を流し込む)」
「(グビッ、グビビ)……ぷはっ〜! 議長、今日はとことんお付き合い致します。ヒック!」
「あら、駄目だこりゃ。副長、艦長が駄目なら副長がお願いします。
シンの暴走を止めてください」
「えっ!? は、はい(メイリンちゃんのご指名とあらば)!
こらこら、シン。いいかげんにしないか……ってお前、やっぱり酒飲んだな!?」
「みかんに〜蹴られて〜氏んじまえー♪ って俺もシンじゃないかー!!
ひでぇー!?」
「……(黙々とタコさんウィンナーを口に運ぶ)」
「ああん、もうめちゃくちゃ……私もいっそ酔っちゃった方が早いのかしら!?」

酔い歌い、絶叫する少年。終始変わらぬ表情で、箸を動かしつづける若者。
周囲の喧騒に頭を抱える少女。まるで水でも飲むかのように、ゆるゆると酒を飲みつづける男。
その横に、外見(そとみ)の印象とは異なり健気な想いで、さして好きでもない筈の酒をあおっている女。
結局当初の目的を果たせず、騒動に振り回される青年。
まっこと、賑やかな集団であった。
35611-4 7:2005/05/17(火) 19:11:03
305 名前:(4)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:10:14 ID:???
  l/        /l l  ! l  l '、  \   ヽ
  l        / / /  ヽ'、 ト, '、   \  ヽ
  l ,!      ∠/ /--..,,_','ト, ヽヾ'、 __,,...>、 ヾ',   !
  l ハ     / /,.ィ≡ミ、`ll ヽ ', `´ ,.ィ≡ミ、 ヾ! /  |,
  l ! l  l  ヽ〃 / ノ::}` ヾ', ヾ',   ´{  _ノ::}`、|∨   l l
.  リ  '、 ヽ  ヽl トイ:::::j   ヽ       ヾr':::::シ  /   ,l l}
     ヽ ト、 ', -ゞ='‐        ‐ゞ='‐'  /  / l /
      `r! ヽ '、       l::::::::::      / /   l´/
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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l  ` ̄ `ヽ:!        ヽ;| l;;l     ∨
35711-4 8:2005/05/17(火) 19:11:27
そんな中で、やはりあの二人――彼と彼女だけは、まるで別の世界にいた。

「あ〜あ、もう収集付かないわ、これは。ね、隊長……?」

彼女は本来、それほど敏感な性質ではなかった。むしろどちらかと言えば、鈍の方といえる。
他方、表裏のない晴朗な性格が幸いし、多くの者から愛される。そんな人間だった。

だが、彼と出会ったことで、彼女は少なからず変わったように思える。
彼は、乾いた視線の奥で必死に感情を抑え、理性という名のフィルタリングを通して世界を見る、そんな人間だった。
人に優しく、自分に厳しく。己の矛盾や苦悩を、常識や道理でひた隠しにして行動する。
そんな彼が、普段決して人前では見せない、自分の弱き部分。それを埋め、彼を癒す決意を固めた時から、彼女は変わっていった。
人の心の微細な変化、感情の起伏に敏感に気付く。彼女はいつしか、そのように自身を変化させた。否、自身が意識しないうちに、変わっていたというべきか。

「隊長、どうかしたんですか? 何か悩み事でも……?」

彼は静かに笑っていた。時折箸と杯を動かし、宴の様子をひどくやさしい瞳で、ぼんやりと眺めている。傍目に見れば、普段の彼と変わらぬようにも思えたろう。
しかし、彼女だけは、彼の心の迷いに気付いた。その鋭敏な感覚、嗅覚だけではない。
彼を想うが故に、である。
35811-4 9:2005/05/17(火) 19:12:18
306 名前:(5)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:11:17 ID:???
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35911-4 10:2005/05/17(火) 19:12:47
「? いや、ルナ……実は俺、桜ってあんまり好きじゃないんだ。
いや、本当にきれいだとは思う。華麗に豪奢に、満開に咲いて、その後また一息に散っていく。その意味じゃすごい、派手な花だよな。
だけど……一方で、桜は寂し過ぎる。もっとゆっくり咲いていてもいいのに、慌てて咲いて慌てて散ってしまう。それがすごく寂しいことのような気がしてさ。
実際、ここの桜だって、俺が見つけなければどうなってたと思う?
花として咲いたのに、ほとんど人に見られずに散ってしまう……そんなのはやっぱ、寂しいだろ?」

事実、この桜の森は彼が哨戒任務中、偶然に発見したものだった。
山間部の中腹、ちょうど人の入って来難い位置。地元の住民はともかくとして、平地に居を構える者は、その存在すら知らないであろう、巨木の一群。
彼はこの木々達の命運を嘆き、憂いていたらしかった。

一連の騒動で疲れきっていたクルーを誘い、宴に連れ出したのは確かに彼だったが、こうした行動とは裏腹に、その心は疲れきっていた。
仲間の身を思い、世の問題に煩悶し、相対する敵の身さえ考えずにはいられない。真面目さ故に彼は傷つき、疲弊していった。
そして、彼は知っていた。

そんな自分の傷を癒してくれるのは、目の前にいる彼女、ただ一人なのだと……。
36011-4 11:2005/05/17(火) 19:13:51
307 名前:(6)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:11:58 ID:???
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36111-4 12:2005/05/17(火) 19:14:44
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          ′.ヽ::::ヽ::ヽー―''   j/ ー―‐' j:::::::::|.}:::!
              j:::::::::',`゙`    /      /:::::::::jノ:::{
              /;イ::::、:ヽ       、     ノィ::::::::::::::ト;',
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             l::l!::;:::::::`;.、   ̄   / {::::::;:::::l゙ヽ、'、
             '"j/ ヽ、ハl丶、_,. '´  {:;ィハ:/  ``
                   _',        { 
36211-4 13:2005/05/17(火) 19:15:05
「……ねえ隊長、ちょっとお散歩しません?
邪魔の入らないところ、二人で抜け駆けしちゃいましょうよ!」
「えっ……? それって――お、おいルナ! わかった、わかったからそんなに引っ張るなって……」
「うふふっ、だ〜〜め! ほら、おじんくさいこと言ってないで。
若者は若者らしく、元気に明るくいきましょうよ!」

半ば強引に、彼は立たされた。その際、彼女はにこりと笑うと、彼をその場に残して走り出した。
彼は気付いている。表面上は笑っていても、本心では自分のことを、心底心配している彼女のことを。そしてわかっている。そんな彼女だからこそ、こうして自分は心惹かれたことを。
彼は上着を脱いで肩にかけると、彼女が消えた方向へ向かい、歩き出した。

喧騒の中、金髪の若者と黒髪の男、そして男と杯を交わしていた女の三人はそれに気付いたが、何も言うことはなかった。別段、無粋な真似をすまいと考えたわけではない。
余計な波風を立てず、自分の花見を満喫しようと思っただけだ。

とは言え、彼にとってそれはやはり気遣いであり、ありがたく感じられるのだった。
だから、彼は桜の中へと走り出した。
一刻も早く彼女を見つけだそうとして。

一時でも早く、彼女の声を聞きたくて。
36311-4 14:2005/05/17(火) 19:15:34
308 名前:(7)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:12:40 ID:???
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::!ヽ:::::::i、ヽ         :::::: |   ,.ィ':ィ::::::|''´
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ヽ::i`,'!::|ヽ \    `_ー`コ     /:::::::ハ::|
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  `-、゙`ヽ、`ヽ`=ヽ、 ,. -'、`ヽ l::::/ !::/.  ヾ!
    `>ッ、`ヽ、`ヽ`´丿  }、ヽV /'´ヽ.
     //  `丶-`、ヽ、_ 〃 ./     ',
36411-4 15:2005/05/17(火) 19:16:00
―― 一面の桜だった。

一本一本の木が『桜』であることは間違いないが、この木々すべてが密集してこその『桜』でもあった。
まさしく満開の桜の只中である。

春の海、吹き通る風はまだ幾分冷たい。彼は思わず身震いしたが、またすぐ走り出そうとする。だがその刹那、綿津見の猛き息吹が辺りを駆け抜け、桜の花びらをこれでもかと撒き散らして彼の行く手を阻む。

〈……桜に嫌われたのかな、俺は?〉

彼の心の中に咲く、虚構の世界に花開く桜は、いつでも変わらず美しい。
しかし現実はかくも儚きもの、現世(うつしよ)の栄華は一瞬にして凪ぎ散らされる。
だが、それ故に桜は美しいのだ。桜が桜たる、本当の理由はそこにあるのだ。
宇宙(そら)も、海も、大地にも。あらゆる場所で人が子を産み、育てる時代。

そんな中、桜の存在は変わることはない。
世界をただただ同じ景色、桜色の一色に染め上げ、人に現実と虚構の区別をわからなくさせる。
事実、彼は戸惑っていた。

「ルナ……?」


36511-4 16:2005/05/17(火) 19:16:50
309 名前:(8)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:13:19 ID:???
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   ,':::ィ:::'ゝ_|:::::::::::::::::::::i::',`゙ー'-  ` -ィ=、ソ: ,::. ,ィ:ノノ リ
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  /´i:://`ヽ!::ハl:::::::::i::::| ヽ、   :::::::. ',/:::::ィ''´  l:!
     /   l::!、ヾ:::::::i::::l       _,.ィ':::、::ヽ  ,!'
          ヾ ヾヽ::::i';::|  ´`ニ''‐ィ':i;::::::ヽ、ヽ '
              ヽ::|:!|、_  ,.ィ':::::;' !:|ヽ:::lヽ`丶、._
            !'ヾ!'|ヽ`´ '!::::/ ヾ! '!:::! ';
            ヽ〈 /'`ヽ、. |; '  ヽ |ノ  !
36611-4 17:2005/05/17(火) 19:17:21
どれだけの間、彼女を探していたのか。
愛しき女は未だ見つからぬ。五分か十分か、はたまた一時間か。
時間の経過も己が立っている場所も、すべてを見失いかける。そんな危うき地に、今自分は立っているのだ。

〈やっぱり、桃色なのが……いけないのかもしれないな〉

己が気持ちに嘘はつけぬ。その者も、かつては真実愛した人であったから。
また次、別の者とも通じ合った。一度は自身の人生をかけ、愛した筈の女だった。

〈……俺は、〉

現世はそうそううまくは立ち回らぬ。
本気で護り抜こうとした女だったのに。
わかり合えると信じていたのに。
どちらが悪いわけでもなく、互いを責めるわけでもなし。
さりとて、人の心はうつろい、さ迷う定めにあるのだろうか? 
自問したところで、答は見つかる筈もない。さりとて、問い掛けずにもいられない。

〈ドクンッ――〉

――自分でも聞こえるほど、はっきりと心臓の音が鳴った。
36711-4 18:2005/05/17(火) 19:17:58
310 名前:(9)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:14:06 ID:???
     /'// /::/::::::::::::::::/ /:::::/ {//イ∠;=;メ、ィ7:::::::::::::::::::::!
       /"´ .//::::::::::::::::/ニ|::/ノ ノ`‐'´ '´{:::'‐j_ ''ノ::::::::::::::::::::::!
        /:::::::::::::::::::::i:::/r'7て;`     ´ ̄  /:::::::::::::::::::::i::::l
      /::::::::::;:-イ::::::::l:ハ` ゞ‐'´ l        _/:::::::::::::::::::::::::j、:リ
    _/;:-‐''"´  /ィ::::::::'::::}     丶    ´フ::::::::::::::::::::::::::::ハ }
   ‐''"~´     /::::::::::::::::::l       _,,..--、/::;:::::::::::::::::::::::::/ '/|
          /::;;:::::::::::::::::'、    「r'" ̄//7:::::::::::::::::::::::/-''::::!
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        /'"´ /::::::::::::::::::::::::/,へ   "  /:::::::::::/j::::;イ:::::/:::l:|
          ノ:::::::::::;イ::::;イ://:::::::\    /::::::;ィ´| // l:::ハ:::リ!
         /:::::::;:-'´/:::/ l//::ノ|::r‐ヘー‐/:::/|| |/′  j/  ∨|
       /:;:-‐'´  /;:イ  /'´ .|:;1 _>/:; ' .l| .{.          { 
     _/‐''´    '´  |   _ -'"~  ノ'´  i|   |          |
               |   {         jj   |       」
                |   |     _,.-‐''7   ヽ    _‐'´`ヽ、
               _」  ス_ _,.-‐'´   _ノ    ヽ.  /     `丶、
            _,.-‐'´ l />'    _-'´      ∨          `丶
         ,.-''´     ゙ヾ   _,.-''´
      _,.-''´         _>'´
36811-4 19:2005/05/17(火) 19:18:24
ことの始めに理由はいらぬ。桜が桜であるように、己が己であるように。
始まりはただ、いつも突然来るというだけだ。本人が意図する、しないに関わらず……望む、望まざるを関係なしに。

しかし、終末には常に理由(わけ)が付きまとう。
この世にいくつもある理(ことわり)が、自然と綻びを広げ、亀裂を深くする。
気付かぬうちに侵食されし現実――作り上げるのには幾数層の月日を有するというのに、
壊れるのが一瞬なのは何故なのか?

〈……ルナ――〉

自分は今、桜色の世界を流離う迷い人。
それが理由故の不安かもしれぬ。それが理由でないのやもしれぬ。
しかしそんなことはどうでもいい。
今己が成すべきことは、一人の女を探し出すこと。
真実今現在、自分の身と心と時と空間と、すべてを持って愛した女を見つけ出すのみ――

「ルナー!!」



――桜色の世界に、ふと……一厘の紅い花びらが舞った。


369名無し草:2005/05/17(火) 21:58:20
支援
37011-4 20:2005/05/17(火) 22:09:30
311 名前:(10)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:14:40 ID:???
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. 〉::{ !::::::::::ヽ ヽ-'‐'     ヽ`´ l::/|::! ヾ、.    ┃    ',:.:! ヽ:.:l:.:.:.:.ヽ      ___,,,,_    ,ィ:.:./:./`ス`
 '/|::ヽ',::::::::!:ヽヽ、      / イ:', l:!      ┃     ス!  ',:.ト、:.:.:.、ト、    _,.   ,. '´/:.:/l:/ / '、
37111-4 21:2005/05/17(火) 22:10:57
   Wヾ',::::::ヽ:ヽ`゙`  --一 /::、ヽl、.      ┃     /    ヽ! |\:ヾ、::::>、    ,. ''´:::::/:.:/ リ//;;;;;;;;
     |、ヽ::::ヽ、ヽ、   `´イ:::::::::',ヾ``     ┃.   /     /`l:::::rゝ!´:::::::::`::ー‐':::::::::::::/l:/、 //;;;;;;;;;;
    ノ ヽlヽ:::ヽヾ:、`` ;ー' ヽ',ヽ:::::! ヽ      ┃   ,/    /;;;;;;;ト、ヽ:::::::::::::::::::::::::::_,,..-‐''"::´:::}.//;;;;;;;;;;;;;
   /`丶ヽ `ヾ:、 ``/ヽ、 リ ヽ::!        ┃‐'"´{    /;;;;;;;/;;;'`ヽ__,.、-‐''"´:::::::::::::::::::::::}//;;;;;;;;;;;;;;;
 /::::::::::::::`丶、   〃、      ソ        ┃;;;;;;;;;;ヽ   /;;;;;;;;;;;;;;; ̄ ̄ ̄`'' ┐::::::::::::::::::::_ノノ┘;;;;;;;;;;;;;;;
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37211-4 22:2005/05/18(水) 19:45:46
……確証はなかった。
ただ、他にあてらしきものはない。通信機を使えばすぐにでもわかるだろうが、何故だかそんな気になれない。
自分の足で歩を進め、目で見て判断しなければ。そうしなければいけないような、ある種の使命感みたいなものを感じていた。

「……見つけた」

一面桜色の世界の中で、ようやく俺はかの人を見つけ出した。
木々が連なる、桜の森の奥深く。

ひっそりと咲いた、一輪の紅椿。

彼女はその横に膝をつき、じっと俺の方を見つめている。
俺は自分の手の中に、紅い花びらをそっと一枚……握り締めていた。

「……遅いです、隊長」

37311-4 23:2005/05/18(水) 19:46:46
312 名前:(11)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:15:33 ID:???
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             /.: .:.:.:! :. : : : :   : :、: : : : : : :.:.:.:.: l
           /./  .:.:.:l..:.. !   :..   ヽ :..: : l : :.:.:.:.:.|
         l〃.: : ! l:. ヽ.ヽ:.. :ヽ:::... :ヽヽ:.:l.:.:,-、:.:!
         ハ..:...:.:!:. :ト:.、:ヽ:ト、:.. :ト\:.:.:.:.:l:.!..::l.:ト lノ
          ゝ、:.ヽ:.:l_ヽ\ヽ \L>≦、!:.:.:.:lハノ、
          //..:.,イ:.:.:Y7こj ヽ   ┴'ク:ィ:.:.:.:.:ク イ
           !:l{:./ ノ/:.:ヽ//  j   //7  ; ‐_´イ/
          lハV//: :.:\  ヽ_, /: イ !イ:.:.:./_, 、
        , -‐ 7/! ハl:.`丶.、  j:. .ノ !,ゝ/:....:.. ー- 、
        |  ...::::l/::|:. !::::ヽ\:.リ `Tl:./ //::::::::::::::::::...  \
        | .::::::::::::::::l:.:|:::::::::` くヽ __ l_,.-'::::::::::::::::::::::::::::::::...  `ヽ
        ヽ::::::::/ ヽヽ:::::::::::::ヽj:::::::::::::::::::::/l::::::::::::::::::::::   |
         ヽl´l:.:..:.:.:..:`l:::::::/l:::::::://::::::/:.:.:.:!:::::::::::::::::::/.... /
         /.::j..:.:.:.:::..:.:./::/ j:::::/:.:./::/..:..:.: ..:{:::::::::::::::::.....::::: /
          /-く:..:..:.:.:...:./イ:.:.:.:l:::/:...::/__l.:.:.:.:!:::::::::::::::: __ /
      rー'   l:..:.:.:....:.:.:/、:.:.:l/.....::.:.:.|   /:.: ..:.:|:::::::::::::/イl|
      j   , -ヽ:.:.:...:.:.j::::ゝ:....:.:.:.:.:.:.j‐  7..:.:.:.:.:.ヽ::: ::/  V l!
      j  /   ::\:.:.:l/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ーr‐'...:.: .:...:..:.ヽ: ヽ 7:V
37411-4 24:2005/05/18(水) 19:53:07
       ヽ |::...   ::::\::::..... :.:.:.:.:.:..:: :.l:.:.:.: : :.: :. :. :. ヽ ヽ-j
      ヽ l:::::::::::....  :::::`::‐-..、:::::::::::: j:.:.: :. :. :. :. :. :. :.|::  /
顔は優しい微笑みに溢れていた。声は幾分湿っていた。体は小刻みに震えていた。
だがその心だけはどうあっても、目に見える形で伺い知ることはできない。

「寂しかったか?」
「ええ」

照らいも遠慮もなく、はっきりと応える。
それが一番、俺の求めていることだと彼女がわかってくれているから。
どこまで底があるのかわからぬ、どこまで知れば気が済むのか見えぬ、人の気持ちと心の行く末。
順風満帆とはいかない。時に傷つけ、時にすれ違う。人の心はそのことの繰り返しだ。

愛することとは、相互理解ということ。相手の視線でもって、今までの自分とはまったく違う世界を見ること。
求め過ぎても、慮り過ぎてもいけない。純粋に相手を信じきれるかどうか、この世で最も困難な戦い。
それでも、俺は彼女を愛した。彼女もまた、俺を想った。

「桜の海に溺れていたよ。やっぱり……桜とは相性がよくないらしい。
俺にはきっと――この紅い花が一番なんだろうな」

俺はすっと力を抜き、握り締めていた紅い花びらを解き放った。

37511-4 25:2005/05/19(木) 19:51:43
313 名前:(12)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:16:45 ID:???
.        _,r'" ̄
        /:::|
       \ヽ   _,.-‐'" ̄ ̄ ̄ ̄`` ‐- 、_
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     ///.:.:.:.:.:./|:: ト、: :.:.:.:.:.ヽ:.:. \: :ヾヽ:ヽ:.:.:.:.:. : \
    //.:.:.:./.:.:.:.//|:: |:.:.::.\:.:.:.:.:.:. :. :ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: \
   /:.:, ィ:.:.:/.:.:.:.:.:// .|:: |\:.:.::.\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
  ///.:.:.:.:/ .::/l!|  |:: |/へ:.:.l`\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
 |/ ./ ,: : //,イ .| |   ヽ|'´ /ラkz_ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
. |  ! /: : /: :/ |__| |    // i{_rく`ト/.:.:.:.:.:.: .: :/|ヽ|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
.  |/.:/.:.:.:;イ.:.:.', ヾ!     _,. ゞ‐゚"/.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:|ニ、ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
  / :/!l: /:||:.:.:.:lzz、    //////.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|-、ヾ.l:.:.:.:.:.:.:.:ト|
.  | /  lハ: : !|:.:.:.:| ‐'     ::::::::: /イ /.::/.:.:.:.:.:.:.:ト l l |:.:.:.:.:.:.:.:|
.  |!   | ヽ: :ヽ: :ト、           / //.:.:.:.:.:.:.:.:i|-‐'/.:.:.:.: /V
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         }l: :ヽ __      / .:/ |:.:.:.:.:./l| !|ヽ: : ,ィ'レ'´
       // ,ハ     //  |::.:.:.:/ |从:: ,イ
     -‐ァ",イ/ // ,ハ、  ´ ̄    /.:.:.:/-‐,|/ :/ |
     // | ://: :/|/ ̄ ̄|lヽ_,. -/:::/-‐'´.|::/  |
.     //  | |/: :/./    | l´  //|    | |   .|
   /′    !:.:.:/       l.∧ |´ | L._   |'′
        ヽ |       |′ヽ | └┐ |
         `|
37611-4 26:2005/05/19(木) 19:54:10
言葉で隠す、己が本心。言葉でしか伝わらぬ、己の真実。
多分俺は、彼女ほど相手を愛せていない。彼女よりも卑怯で、臆病な自分が、どこかで歯止めをかけている。
それが悔しく、遣る瀬無い。彼女の気持ちすべてに応えられない、自分がこの世で最低の生き物に思えてしまうのは、神が俺に与えたもうた、現世で最大の戒めだ。
しかし、彼女はここにいる。
"マリア"と銘うつ名を冠した、現世に降り立った俺の女神。

「私は好きですよ、桜の花。
華麗に散って、華麗に咲いて。世界中にいろんな花が、他にもたくさん、たくさんあるけど、桜が一番豪奢で雄大です。
でも……隊長がそう言うなら、私もきっと桜が嫌いになるでしょうね
それにしても、隊長が椿を好きだとは知りませんでした。クスッ……
……嬉しいな。私も、椿が大好きですから」

やはり伝わっていないのか。それともこちらがはっきりと、言葉に出すのを待っているのか。
言葉で騙しはぐらかす、人の本心と隠された願望。
言葉。それは時に兵器よりも汚く、狡猾で残酷な力だ。
だが、それが言葉のすべてではない。言葉は人と人とがわかり合うための、唯一にして最高の手段。
例えば目の前の相手とであれば? ありとあらゆるやり取りが、枯れ地に染み渡る水のように、さらりと心地よく受け入れられるだろう。

37711-4 27:2005/05/19(木) 20:01:09
314 名前:(13)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:17:34 ID:???
「ふっ、ははは! ……そうじゃない。
そうじゃないんだよ、ルナ」


桜の花には悪いけど。紅椿にも謝りながら。
俺はかっかと歩を進める。目の前に咲いた、一輪の華に向かって。

ありったけの想いを一度に伝えられる、この世で一番尊い力――



「君が好きってことさ、ルナマリア。
他のどんな花よりも」

「あっ……!」



さっと抱きしめ、唇を奪う。椿のかおりを思い切り吸い込み、舌を伸ばして、彼女のすべてを飲み込むつもりで――


37811-4 28:2005/05/19(木) 20:04:21
「……」
「……」



――君に会えて、
――あなたに会えて、






『……本当によかった……』


37911-4 29:2005/05/20(金) 19:57:39
315 名前:(14)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:18:08 ID:???
           l     !  |─ー- 、.ヽ.ヽ、 _,. ニ==-ノ(ァ─''' "´ ヽ
         !   、 ヽ. k-===ミ、ノ(ヾ、 ;:'ィ== ;、^_/      〉
       ,. -'ヽ  ヽ、 ヽ.i┴‐‐'-` ^  `  ゞ--イィソ,.ィ  ,.    /
     r''´   ヽ. | 'ト、 iゝ////  l ::::. /////'"'/´,ィ   / \
     {      ヽ i ヽ,ヾ`、 ///   ! :::::  /// /ィ'ノ   /     `ヽ、
    ヽ       ヾ'、 `i、`    ヽ       /,/'/ /         }
      ヾ、  、   `、  ';.、   _........_    ,ィ' /'           ノ
       ゙ヽ ヽヽ、   ヾ.、 |`:ヽ、 `''―''´ ,., '´イ ,. '     ,   ,ィ /
        \ ヽ \  \`|;;;;;ト、`;、__,. ,.´;;;;;;;;;;lア ,.  ,. -;:' ,. '//
          `ヽ  `丶、 ヾ:;;;;〉/;;|| |〈 /;;;;/ィ>',.iイ / '
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
         ,.j'"´ _,,.. ‐r ''"7 / ̄` ! /       \  l    /
         /_,.ィ"´ |  /_,.〃,ィテ〒‐ ∠,,,...イ   l,.‐r、ヽ l  /
      /  / l/Uヽl  {     ゞ''"´    U j     !7/ヽ ヾ!'´
     /   { / {  ,.ィテr、 ヽ、 `''       _ノ,イ  /ィ‐ヘ l }
    {____ゞハ_ヽ ゞ'"/  ̄`        __/  /   |} Y
           `l   ´:::::::::::   U      ̄7´    /r'´
            ',  ヽ           _,.-''" |  _,.ィ  {
            '、   -,,..-―r‐、 _,.‐''´ _,.-┴''゙7/   ` ̄7‐ァ
            ∠',  ヾ-‐''"´ ̄  {__,,..-''´   | ´ ヽ     /
              '、  ''"´ ̄          ノ   _l_,.r‐''´
38011-4 30:2005/05/20(金) 20:00:31
「遅―い! どこで何をしていたの、あんた達は! ヒック」
『も、申し訳ありません……』

開口一番、女は怒鳴った。青年は必死で女を宥め、男は笑ってそれを眺める。
少年少女他数人は、結局派手に酔いつぶれたようだ。若者と青年が、それぞれ背中に背負っている。

「ふう……まあいいわ。さて、そろそろ港に帰るわよ。
明日からはまた、厳しい職務の連続……きゃっ!?」

やはり相当酔っていたのだろう。踵を返そうとした瞬間、がくりとバランスを崩し、女がその場に倒れそうになる。

「あっ! 艦ちょ――を?」
38111-4 31:2005/05/20(金) 20:12:58
316 名前:(15)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:18:51 ID:???
      l  、  、        __,,..ィヌ/     ∧      `丶、
      !  ` r 、`ヽ r-―''"´〃lィ::シ/     ,イ ノ        l
      l    '、 `>ミニ=‐   ''"´/,イ  //         ノ
      ',  l  、',〃tテ、    ////´/,.-''"/         /
       ヽ 'ト、 、 \ ゞ'´ !      ´ /_,.       _,.- / 
        ヾ'、∧ト-、/// '       ´7´_..,, -r―''"´ /
         ///7  '、` ` ‐,. _    "´  / /イ;:― '
        /'´, '    ヽ、  `''"    _ - '     !
            /      `丶、    _        '、
          /  _/   _,,.ィ_>''"´ヽ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
;,;,;,;,;|;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,/`|/ヽ、    !;,;,;|;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,!
;,;,;,;,;'、;,;,;,;,;,;,;,;/Tテミヾ、ヽ  /;,;,イ;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;|
;,;,;,;,;,;,ヽ;,;,;,;,;,;! `''‐ ` `'  /;,∠/;,;,;,;,;,;,;,;,;|,;,;,;,l
;,;,;,;,;,;,;,l;ヽ;,;,;,;l       /ィテ/;,;,;,;,;,;,;,;,;,;/;,;,;/
;,;,;,;,;,;,;,l;,| ヽ;,;,',   :::::: T´7;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,イ;,;,;,/
;,;,;,;,;,;,;,l!;l  ヽ;l   .::::::: ! /;,;,;,;,;,;,;,;,//;,;/
;,;,;,;,;,;,;,| l!   `      |´ヾーァイ .//
、;,;,;,;,;,;,|   ヽ、_ ,.-‐''´;,;,;,;l;,;,l;,;,| ´
゙ヽ;,;,;,;,;l     、_r''l;,l;,;,;,;,;,;,;,ト;,;,'、;{
  ',;,;,;,;l\   /  l;ハ;,;,;,;,;,;,;lヽ;,;l`
  ',;,;,;,l  T''´   ′|;,;,;,;,;,;l  ',;!
38211-4 32:2005/05/20(金) 20:16:28
しかし女は倒れなかった。
男がしっかと支えていたから。
付かず離れず、微妙な位置で、そっと女を抱きとめていた。

「ぎ、議長……お手を、」
「かまわんさ、タリア。今日はずいぶん飲んでいたからね。
たまには君も私を頼ってくれたまえ」
「えっ!!」

言うが早いか、男は女を抱きかかえ、そのまま悠然と歩き出した。
女は最初こそ何やか言っていたが、じきに言葉を失い、男の腕の中に収まった。
呆気に取られる一団へ、男はくるりと振り返ると、はっきりこう言った。

「総員、ご苦労。これより帰還する」
「りょ、了解!」

慌てて一団は歩き出す。辺りは何時の間にか日が暮れかけていた。


383名無し草:2005/05/21(土) 00:27:32
援護
38411-4 33:2005/05/22(日) 14:33:33
317 名前:(16)[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:20:38 ID:???
             /:::{:::::'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
               , '::::::::::`::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
           /::::::::::::::::::::::::::::;、::::;:‐-、:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
            {:::::::::::::::::/::::::::::|;>''"`丶、:::::::::::ヽ:::::::::::::ヽヽ
           l::::::::::::::/:;ィ:::::::::|      ヽ::::::::::l、:::::::::::::::',ヽ
             ';:::::::::::l/:::l:::::l;:::l   ____ ヽ::::::lzjl:::/::}:::::}
             ';:::::::::'::::::l::::::i;:::! ‐';zニ;ミ‐` !::::ヒj_リ::::/';:::|
            j::::l::::ハ::::ヽ::::!ヾ r'{r':j_    ';:/'"´|::/ i:/
           ノィ::l:::{{.}:|::::::ヾ、   ///     ' 丶j、:}  ′
            l:;::;i::ヽi;l::::::::::',          _'ム`'、
            ' `lヽ:/' ';:::::::::ヽ、      r '´-‐ へ ヽ
           ,.-‐7 `  ';:i;:::::i、ヽ` ‐- _  l   ー'''´} `丶、
         _,.-'´  {    ``ヽ}1ト` z--  ̄l    ~`゙`}    `丶、
       /     \    / ./"´      !     l‐ノ
      /         ヽ、  ,' {|    _,. -7.    {´
二人は、最後までそこに立っていた。否、突っ立っていたという方が正しいか。
やがて、おずおずと彼が口を開いた。

「……やっぱあの二人って大人だよなぁ。なんか完敗、いや乾杯したい気分だよ。
……な、なあルナ? 俺達も、いつかあんな風に……」

――そこまで言ったところで、彼の言葉は途切れてしまった。

……まったく、言葉は不思議なもの。先刻、あれほど愛した仲だというのに。
相手に面と向かっていう一言が、かくも難しきものだとは。

38511-4 34:2005/05/22(日) 14:34:24
318 名前:LAST[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:21:26 ID:???
             //  _,.-‐''" ̄ ̄`丶、
          〈::{''"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
            /:ヾ::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::ヽ
         /::/:::::::{:::{::{:ヽ::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::',
.        /::/::::::::∧::';::';::゙r、:::::::ヽ:::::::::::::::::::::::!
        l::::i::::::::::|__ヽヽヽヽ,`ヽ、 ト、::::::::::::::::::}
          l:::;i::/゙}'}:| `ヽ,ヾヽメ´ `ヾ ゙ト;::::::::;::;'
          l::|.y くj_:!_,.ィぅ=、    ,.ニ、/::;ヽ::/;:{
        ';|{ 、ノ- }Kl ヒ:::::}   ''´ /:;イ::::/:::l:!
          ハ `ノ ヽ;;`ー' ___, -''"/:/;イハ!'、
        {_フ'   ヽ   ヽ_,ノ ,..イノ-'-'-,
         ヽ    /`~T¬iiア-''"/ヽ ,.-}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
             ,.':::::::::::::::::::〈;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
         //:::::::::::::::::/`'⌒ヽ;:::::::::::::::::::::::::::::::',
          //:;:::::::U::i:::!    ヽ:::::::|:::::::::/:::::::::|
        l:::l:::|::::::::::::ハ:!    Ul:::::;i::|::::/:;:::::::::}
        ';::{:i:;:';:::::::::!__'、/,, ,,\l:::/jイ;イ;イ::::::::;'
         ';i;::;::;:ヽ:::::l__`   jノ,-;‐'r/:::::::/
         `ヽト;:::ヾリ ヒ::::T  ′ヒ::::/::ノ::::l
           `` ';:i::ゝ  ̄      `7イ::::::::{
              ゙;::ir 、_  ―一 r;‐「::;イル'
              `'iヘ/l`''rァ―''7 | Y__
                r;'´ ∨{_,.-'' レ'  _>,
38611-4 35:2005/05/22(日) 14:36:29
「え〜違いますよ、隊長! ……いえ、アスラン」

女は悪戯な笑みを浮かべて、しかし真実幸せそうな顔でこう言った。

「大人になったら大人の恋を。でも、若者の今は若者の恋を。
さ、今夜もよろしくお願いしますね、ダ〜リン!」
「……誰がダーリンだ、ダーリン……って、まだするのか? 今晩この後で!?」
「きゃはっ、当たり前です! さあさ、今宵も『大人』の恋を満喫しましょう♪」

一瞬、驚愕と困惑がこれ以上ないほどはっきり混じった顔をして、
……それでも、彼は幸せそうに、

「……了解だ、俺のお姫様」

と、騎士ぜんとした態度で応えたそうな。


――FIN――


38711-4 36:2005/05/22(日) 14:44:22
320 名前:はぐれ(ry[sage] 投稿日:2005/05/08(日) 20:25:07 ID:???
・・・大変投下が遅れてしまい、申し訳ないことこの上ないですorz

しかもAA込みでやってみたら、馬鹿みたく容量喰うはめになってしまって・・・一歩間違えば荒しですね
はい、猛省しております・・・orz

321さん、おそらく期待されていた内容とは、まったく違ったものを目の当たりにし、さぞ落胆されるかと思います・・・
でも今回は時間・体力気力全てにおいて余裕がありませんでした。・゚・(ノД`)・゚・。

内容・文体共々、萌えに改変する余裕がなく、自分流でやるしかなかった・・・どうかお許しをorz

ではまた・・・忘れた頃に、やってきますので・・・!
388インデックス5 更新:2005/05/22(日) 14:47:44
>>369,383 連投支援ありがとうございます。

インデックス1〜4 >>286-289

隠-1 アスルナ休暇編(初心者@殿) >>88-89,92-115
11-1 記憶喪失 第3回「アスランのホットミルク」(321@ショタルナ2人目殿) >>297-309
11-2 慰安(321@ショタルナ2人目殿) >>311-313,322-325
11-3 偽28話後編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>338-348
11-4 花見(初代ショタルナSS書き殿) >>350-368,370-382,384-387
11-5 小話 未
12-1 アスルナ 未
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12-4 小話(初心者@殿) 未
12-5 ショタルナ姉5(ルナねえ@三人目殿) 未
38911-5 1:2005/05/23(月) 22:29:57
凸「仕掛けてきているのはカガリだ! じゃあお前達は俺達にヤるなというのか!?」
キラ「どうして君は!」
凸「だから別れようと言った! しょうがないよね、と言いながら、なんだ!おまえは!」
キラ「分かるけど…! 君の言う事も分かるけど…!」
キラ「カガリは今泣いているんだ!!」
凸「えっ!?」
キラ「こんなことになるのが嫌で、今泣いているんだぞ! なぜ君はそれが分からない!」
キラ「このスレも、この(´Д`*)ハァハァ も、仕方が無いことだって! 色気のない、カガリのせいだって!」
キラ「そう言って君は振るのか!? カガリを!」
凸「なっ…、キ…キラ…」
キラ「なら僕は、君を撃つ!!」
凸「……えっ!?」

390インデックス5 更新:2005/05/23(月) 22:30:57
インデックス1〜4 >>286-289

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11-2 慰安(321@ショタルナ2人目殿) >>311-313,322-325
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11-4 花見(初代ショタルナSS書き殿) >>350-368,370-382,384-387
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12-2 温もりはいつも月の傍に・・・3 >>314-321
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39112-1 1:2005/05/25(水) 05:19:55
69 名前:アスルナ[sage] 投稿日:2005/05/12(木) 21:48:15 ID:???
負けた。
ミネルバの談話室で俺は独り項垂れている。先の戦闘でフリーダムの、キラの介入を防ごうとして逆にセイバーを完全大破させられた。気分はもちろん最悪だ。
「・・・ハァ・・・。」
そのあとにも気が滅入ることがあった。

「シン!」
戦闘後の喧騒の格納庫内で整備士がシンに駆け寄る。
「ヨウラン!ヴィーノ!ルナは?あと、アスランさん。大丈夫か?」
「ああ、あいつは無傷だったしルナも命に別状はないって。」
「そっか・・・」
「それにしてもフリーダムと互角に戦うし、オーブの艦は沈めるし。大活躍だな!」
「え?あ、あぁ・・・」
「それに比べてあの隊長、ほんとにフェイスかよ。」
「お、おいヨウラン。」
整備士とシンがこちらを見る。俺はいづらくなって格納庫を後にした。

39212-1 2:2005/05/25(水) 05:26:16
「・・・・。」
今思えば、何をうろたえたんだろう。カガリやキラにはオーブに帰れといった。それでも介入するなら、止めるしかない。そう心に決めたはずだった。
「カガリが泣いている・・・か・・。」
オーブは撃ちたくない。だがオーブは撃ちに来る。プラントを、コーディネーターを殺しに来る。覚悟を決めて復隊したはずなのに、あの一言でこのザマだった。
「・・・泣いているってなんだよ?」
それが俺たちを撃つ理由になるのか?ハイネが死んだ。ターンホイザーの整備担当も、あの介入のせいで。彼らの家族はもちろん泣いているだろう。
そして、また犠牲を出すところだった。ミネルバにザクで着艦したときに銃を向けてきた女の子。
赤服なのに射撃が下手で、それなのに何故かMSは遠距離射撃タイプで。俺のことを知っていて、いやみを言ってきて俺のこと嫌いなのかと思ったら笑顔で話しかけてくるようになって。何故か最近また機嫌を損ねたみたいで・・・。
彼女が負傷したことは、インパルスに回収されてミネルバに戻ってから聞いた。手元には戦闘報告書がある。治療室でドクターに状態を聞けば報告書は作れるが。
「お姉ちゃん、面会可能ですから。お見舞いに行ってあげてください。お願いします。」
ブリッジでCICのメイリン・・・ルナマリアの妹にそう言われた。ひどく落ち込んだ顔で、それでも何か覚悟したような、今の俺にはない瞳で言われた。
「行くしか・・・ないよな・・・。」
俺は硬いソファーから立ち上がって、医療室へと向かった。自分でわかるぐらいにぬかるんだ泥道を行くように足取りは重かった。
39312-1 3:2005/05/25(水) 05:27:24
76 名前:アスルナ2[sage] 投稿日:2005/05/12(木) 23:08:16 ID:???
緊急医療室2。ルナマリアが収容されている医療室の前。廊下に俺は立っている。かれこれ20分ぐらいだろうか。
中からは話し声が聞こえる。内容は聞き取れないが、明るい声だ。時折笑う声も聞こえる。誰かが先に面会に来ているようだ。
入りづらい。もともとそういう空気が苦手だし、こんなことになった負い目もある。今入れといわれても勘弁して欲しい。そんなこんなで医療室の前を往復することもう30回にのぼる。
「それじゃあ。ルナ。お大事に。」
「無理はするな。当分戦闘はないだろう。」
急に自動ドアが開き、シンとレイが出てきてちょうど前に来た俺と目が合ってしまった。
「あ・・・。」
「失礼します。行くぞ、シン。」
「おいっ。ちょ、待てよレイ!」
そそくさと横を通り過ぎる二人。シンは気まずそうで、レイはいつもに増して無愛想だった。
「・・・。」
ふと前を見るとベッドのルナマリア、傍らのナースやドクターがこちらを見ていることに気づいた。
「あ・・・面会と、報告書で、その・・・」
いくら狭い戦艦とはいえ、入り口のすぐ奥にベッドはどうだろう。ルナマリアがこちらをじっと見ているのがわかり、心の中で悪態をつく。
「容態はカルテのコピーでよかったね?」
「ハッ、ありがとうございます。」
「それでは少し、横の様子でも見てこよう。なにかあったら頼むよ。」
「え?あ、了解しました。」
「あたしは大丈夫ですよぅ。」
「それじゃあごゆっくり。」
ドクターとナースが出て行き、部屋にはルナマリアと二人きりになった。流石に向こうも話しかけづらそうにしている。少しの間沈黙が続いた。
39412-1 4:2005/05/25(水) 05:29:10
「「あの」」
お決まりのパターンだ。見事に被ってしまった。
「あ、すまない。先に言ってくれ。」
「アスランから先にどうぞ。」
「レディーファーストだろ?」
「・・・古いですよソレ。」
「む・・・そうか。」
少し傷ついた。しかし彼女が笑っているので良しとしよう。
「コレ、一応お見舞いのつもりで。」
食堂で貰って来たりんごやバナナを渡す。彼女はすこし苦笑いで
「・・・。まったく。ひねりとかないのかな?ここの男は。」
「え?」
よく見るとテーブルにはりんご、バナナ、オレンジなどが積まれていた。少し考えれば予想できたことだ。食堂の人が少なめに渡してくれたことに感謝する。
「すまない。気が回らなかったな。」
「いいですよ。アスランにそんなこと期待してません。」
いやみを混ぜてくるがもう慣れたものだ。苦笑しながら
「そうか。手、使えないんだろ?りんご切ってあげようか?」
「できるんですか?」
「そのくらいできるさ。これでもナイフの格闘戦はトップだったんだぞ?」
「いや、それたぶん関係ないと思います。」


39512-1 5:2005/05/25(水) 05:30:02
83 名前:アスルナ3[sage] 投稿日:2005/05/13(金) 01:14:37 ID:???
包帯姿が痛々しい。現在の医療技術ならたいていの傷は完全に消すことが出来るが、やはり時間は掛かる。
そういえば、自分もこんなことがあったな。と、昔を思い出す。ストライクを。キラを自爆で倒した時だ。
「どうしたんですか?」
声に顔を上げるとルナマリアがこちらをじっと見ていた。
「いや、昔戦闘でそんな包帯だらけになったことがあってね。」
「ストライクとの死闘の時ですよね?」
「ああ。休養扱いで自宅に戻ったから、一人で片手しか使えず家事全部はキツかったよ。」
「不器用そうですもんね。」
「否定はできないな。痛みはどうなんだ?歩けなかったりすれば大変だろう?」
「大丈夫ですよ。腕は折れてるんでまだ痛いですけど、足は軽症だったんで。」
「そうか。良かった。」
安堵の息をつく。そんな俺を見て彼女は微笑みながら
「さすがに死ぬかなーとか思ったんですけどね。くやしいけどシンやレイより弱いし。やられるなら自分が先かなとは思ってました。」
「俺もやられたよ。何も出来ずに。君たちを、ミネルバを守れなかった。」
「アスラン・・・」
情けない。そんな想いやいらつきが言葉に出てしまう。
「カガリの言うことは結局無駄なんだ。守る力は必要で、奪いに来るものがいれば戦わないといけない。」
「あんな条約を結んでしまったオーブは自国のためにザフトと戦うしかない。俺たちはプラントを守るためにオーブも撃つしかない。」
「キラの言い分だってめちゃくちゃなんだ!カガリが泣いているからって、戦闘に介入して、混乱させて。」
「キラってフリーダムのパイロットですよね?」
39612-1 6:2005/05/25(水) 05:38:07
普通戦闘中に回線を切り替えてる暇はない。あの通信は共通回線だったので他のパイロットにも聞こえていただろう。
「あぁ・・・戦いが嫌いで、撃ちたくないって言っといて、戦わない方法をとろうともしないんだ。今のあいつは。」
彼女も混乱の被害者かもしれない。もう隠す気にもなれない。誰かに溜め込んだものを吐き出したかった。
「すまない。見舞いに来たのにな。こんな話をして。」
「いいですよ。いつも自分のこと話してくれなかったし。」
「はは・・・そうだったかな?」
彼女はじっとこちらを見つめている。
「もっとアスランのことが知りたいんです。何が好きで、何が嫌いで、どんなことがしたくで、どんな秘密があって。」
「なん・・・で?」
苦笑したあと、一度頷き
「最初は憧れだったんです。アカデミーの成績で歴代トップに名前が何個もあって、大戦の英雄で、だから赤服になった後パーソナルカラーも赤にして」
そんな理由だったのか。同じ赤のPCだなとは思ってはいたが、自分は成り行きで赤になったのであまり気にしてはいなかった。
「でも・・・今は・・・・」
397インデックス5 更新:2005/05/25(水) 06:20:40
インデックス1〜4 >>286-289

隠-1 アスルナ休暇編(初心者@殿) >>88-89,92-115
11-1 記憶喪失 第3回「アスランのホットミルク」(321@ショタルナ2人目殿) >>297-309
11-2 慰安(321@ショタルナ2人目殿) >>311-313,322-325
11-3 偽28話後編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>338-348
11-4 花見(初代ショタルナSS書き殿) >>350-368,370-382,384-387
11-5 小話 >>389
12-1 アスルナ >>391-396
12-2 温もりはいつも月の傍に・・・3 >>314-321
12-2.5 水着(321@ショタルナ2人目殿) 未
12-3 ショタルナ姉4(321@ショタルナ2人目殿) >>328-334
12-4 小話(初心者@殿) 未
12-5 ショタルナ姉5(ルナねえ@三人目殿) 未
13-1 小ネタ(321@ショタルナ2人目殿) 未
13-2 慰安−完結(321@ショタルナ2人目殿) 未
39812-2.5 1:2005/05/25(水) 19:35:35
136 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/14(土) 00:30:57 ID:???
>>119,124 でちょっと息抜き

「アスランさん!やっぱり夏は海ですよねっ!」
「あぁ、そうだな。・・・・・・ってその水着はやっぱり派手すぎやしないか?」
「いいんですよっ!ここには私たち二人しかいないんだし。
 それにアスランさんに見てほしくてわざわざ買ってきたんですから!」
「まぁ、確かにザラ家のプライベートビーチだから俺たちしかいないが・・・」
「えへへ、そういうことっ!っぷわ!」
「ルナ!」
「大丈夫ですよ。ちょっと波をかぶっただけですから」
「!!ルっ、ルナァァァァァァ!下!下っ!!!」
「え?わっきゃぁぁぁぁ!!アスランさんのH!」
「・・・・・・イイから隠せよ」

39912-2.5 2:2005/05/25(水) 19:36:17
140 名前:321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio [sage] 投稿日:2005/05/14(土) 00:49:25 ID:???
>>139 じゃ続きをw

「イイじゃないですか。いつも見てるんだから」
「確かにそうだが、女性というのはやはり恥じらいを・・・」
「じゃ、アスランさんが隠してください」
「!そこまで言うならやるしかないじゃないかっ!」
「きゃぁぁぁん!朝起きてすぐしたばっかりなのに・・・」
「こんな、こんなエロいルナがいけないんだぁ!
 でもそれがイイんだぁぁぁぁ!」
「あぁ〜〜ん!アスランさ〜〜〜ん!」

懲りない二人ということで・・・
400インデックス5:2005/05/25(水) 19:37:17
隠-1 アスルナ休暇編(初心者@殿) >>88-89,92-115
11-1 記憶喪失 第3回「アスランのホットミルク」(321@ショタルナ2人目殿) >>297-309
11-2 慰安(321@ショタルナ2人目殿) >>311-313,322-325
11-3 偽28話後編(161 ◆E2q4Je3dsw殿) >>338-348
11-4 花見(初代ショタルナSS書き殿) >>350-368,370-382,384-387
11-5 小話 >>389
12-1 アスルナ >>391-396
12-2 温もりはいつも月の傍に・・・3 >>314-321
12-2.5 水着(321@ショタルナ2人目殿) >>398-399
12-3 ショタルナ姉4(321@ショタルナ2人目殿) >>328-334
401インデックス6:2005/05/25(水) 19:38:21
インデックス1〜5 >>286-289,400

12-3 ショタルナ姉4(321@ショタルナ2人目殿) >>328-334
12-4 小話(初心者@殿) 未
12-5 ショタルナ姉5(ルナねえ@三人目殿) 未
13-1 小ネタ(321@ショタルナ2人目殿) 未
13-2 慰安−完結(321@ショタルナ2人目殿) 未

402名無し草:2005/05/26(木) 01:28:18
本当にお疲れ様です。
403名無し草:2005/05/26(木) 02:14:14
乙です
404名無し草:2005/05/26(木) 02:41:40
あげてしまた・・・orz
40512-4 1:2005/05/27(金) 02:41:23
393 名前:初心者@[sage] 投稿日:2005/05/15(日) 00:09:41 ID:???
ルナ「アスラン・・・」
アスラン「ああ・・・」
ルナ「レイとシン、どうなっちゃうんでしょうね?」
アスラン「わからないが重い処罰が課せられるのは確実だろう・・・。
      そういえば俺の心配をしてくれてありがとう。君のほうが怪我をしているというのに・・・」
ルナ「あ・・・い、いいえ!いいんです!それより私の部屋で話しませんか?
    お話があるんです」

そして部屋で二人で・・・

という妄想をしましたがなにか?


406インデックス6 更新:2005/05/27(金) 02:42:24
インデックス1〜5 >>286-289,400

12-4 小話(初心者@殿) >>405
12-5 ショタルナ姉5(ルナねえ@三人目殿) 未
13-1 小ネタ(321@ショタルナ2人目殿) 未
13-2 慰安−完結(321@ショタルナ2人目殿) 未

407名無し草:2005/05/29(日) 02:11:51
容量がそろそろ・・・。
408321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/29(日) 19:59:28
480kbくらいで次スレ立てましょう。
スレタイはこのままでもいいけど、
隠れ家じゃなくてSS退避所にしたほうがいいと思われ。
鯖の負担もあるけど、今みたいに本スレや関連スレが
総攻撃くらってる状態のときは、せめて雑談くらいは
できる避難所が必要だと思うってことで。
409名無し草:2005/05/29(日) 23:32:00
新スレたてるにしても新シャアのほうにリンク貼ったりしないほうがいいよね
ここにまで荒らし来たら流石に困るし
410321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/30(月) 00:53:47
リンクはこのスレに載せるほうが良いっすね。
本スレ関係は俺もやばいと思います。
問題は本スレ住人をどうやって誘導するかってとこじゃないでしょうか?
ここをマメにチェックするひとは問題ないんだけど…
411名無し草:2005/05/30(月) 03:05:55
荒らしに悟られずに誘導か・・・。非常に難しいな。
412321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/30(月) 05:22:02
俺のほうで慰安SS修正版をここに転載する旨を
さり気なく本スレで告知しておくついでに
こっちに誘導リンクを貼っておくって感じはどう?
基本的に今粘着してるヌコたんは
ここの存在知らないみたいだし
たぶん安全に誘導できるかもしれない。
ただしたらばに避難所作ろうかって動きも
あるみたいだから、かぶったりしないかちょっと心配
413転載人:2005/05/30(月) 20:07:29
皆さんお疲れ様。
週末転載できなくて申し訳ない。
ショタルナ姉5がだいたい18KBなので、
慰安SSもそのくらいかな。この2つを
転載したら480KB超えそう。

誘導方法は>>412で良いと思います。

次スレが立ったらこのスレは
こまめに保守してdat落ちさせないように
した方が良いですかね?
414名無し草:2005/05/30(月) 20:19:21
漏れにはルナマリアの臭い口に溜まった唾でドロドロネチョネチョになるくらいブチュ〜ってデープチスされたい。
そして鼻の油をきれいに舐めとってもらって、鼻の穴を鼻水・鼻くそを掻き取るように舌入れて舐め回され、
うなじや首筋には、ブチュブチュとルナマリアのモノである証のチスマーク付けまくられたい・・・。
そしてルナマリアの腐れマムコに溜まった真っ赤な「げっけいけつ」をきれいに舐め取ってあげて・・・タンパク質たっぷりの特濃母乳をおいしそうに飲んであげたい。
415321@ショタルナ2人目 ◆e2z0.c5zio :2005/05/31(火) 08:38:28
なんとか避難所に誘導できたようです
こちらのSS転載も予定通りいきましょう
416転載人:2005/05/31(火) 20:30:12
>>415
うぅ・・・避難所にたどり着けませんでした・・・
愛が・・・愛が足りないのか・・・・・・

SS転載は予定通りにしますね。
41712-5 1:2005/05/31(火) 20:32:00
473 名前:ルナねえ@三人目[sage] 投稿日:2005/05/15(日) 11:40:46 ID:???
「疲れたー」
「腕が重いです……」
 夕方になって。
 私たちは家へと戻ってきた。あの後、どういう話の流れか、私とアスラン君はバッティ
ングセンターに行ったのだ。アスラン君の言う通り、腕にいい感じのダルさがあった。二
人とも熱が入り、やりすぎてしまったのだ。
 私はリビングに荷物を置き、お風呂のスイッチを入れた。かなり汗をかいちゃったし、
それに――ふっふっふ。
「でもアスランって運動神経いいんだねー。ちょっとビックリ」
 冷蔵庫から麦茶を取り出しながら、私はアスラン君のバッティング姿を思い出す。見た
目のポワポワした雰囲気とは裏腹に、アスラン君は空振りなど、ほとんどしなかったのだ。
「そ、そうですか? あの、僕って運動神経なさそうに見えます?」
「え? うーん。なさそうってわけじゃないんだけど、なんていうか、アスランは家庭的
な感じがするから。ほら、料理とか上手いし」
「か、家庭的、ですか。そうなのかな」
 いや、家庭的だと運動神経がなさそうというのは、単なる私の偏見なんだけどね。コッ
プに注いだ麦茶を、しかしアスラン君はなんだか嬉しそうに受け取った。

41812-5 2:2005/05/31(火) 20:33:27
 その後、しばらく他愛もない話をしながらくつろいでいると、(やっとの事で)お風呂
のブザーが鳴った。
 ……落ち着け私。まるで昔からそうであったかのようにようにいくのよ……。
「――おし。んじゃアスラン、お風呂でも入ろっか?」
 私はソファーから立ち上がり、アスラン君に声を掛ける。
「あ、夕飯はもう準備しちゃっていいですか?」
「え? 夕飯? お風呂出てから一緒にやろーよ?」
「あ、はい。それじゃ待ってますね」
 ちっちっち。甘いぞアスラン君。今日の私は本気なのだ。
「待たなくていいって。ほら、行こ?」
「……え?」
 私はアスラン君の細い腕を取る。うーむ。この細腕のどこにあの打撃力があるのだろう。
やっぱり角度とタイミングなのかな。
「え、ちょ、ちょっと! ル、ルナねえ」
 おもいっきり慌てたアスラン君の声。私は構わず、アスラン君を椅子から立ち上がらせ
る。あんなに動いたのに、なぜかアスラン君からは石鹸のいい匂いがした。うう、ひょっ
としたら私の方が汗くさいかな。
「あ、あの……ルナねえ?」
 アスラン君が恐る恐る目で聞いてくる。うんうん。その通りだぞ。
「お風呂。今日こそ一緒に入ろ。アスラン」
419名無し草:2005/06/01(水) 01:00:12
416|∀・)ニヤニヤ
420名無し草:2005/06/01(水) 01:15:40
>>416
コピペっすよ
421転載人:2005/06/01(水) 19:31:48
>>419-420
本スレ見てやっと分かったんですが、
何度もDLKeyに |∀・)ニヤニヤ していたんですよ・・・・・orz
週末のUPまで待ちます・・・・・
422 12-5 3:2005/06/01(水) 19:34:01
474 名前:ルナねえ@三人目[sage] 投稿日:2005/05/15(日) 11:41:42 ID:???

 かたくなに拒否したアスラン君だったが、最後は渋々ながら承諾してくれた。
『……アスラン、そんなにルナねえと一緒にお風呂入るの、いや……?』
 アスラン君は優しいから、こうすれば絶対に聞いてくれると分かってた。卑怯な手だけ
ど、泣き落としだ。でも、それでも、私は一度でいいから可愛い『弟』と、一緒にお風呂
に入ってみたかったのだ。
「えへへ。アスラン、言うこと聞いてくれて、ルナねえは嬉しいぞっ」
「……僕は恥ずかしいですよ……」
 脱衣所に来たけど、アスラン君はやっぱりとても恥ずかしそうだった。そして、そんな
アスラン君が私には、なぜかとても愛らしく感じられた。
 アスラン君がいつまでウチに居られるのかは分からない。そう、アスラン君はウチが預
かっているだけであって、この子はいつかは必ず出て行ってしまう。そしてきっと、ここ
を出たらアスラン君は私のことなど忘れてしまうだろう。だって、アスラン君にとっては
私など『おばさん』にすぎないのだから。今は『お姉さん』って思っていてくれても、
『そういう歳』になった頃、この子の眼中には私などが入る余地はないだろう。
 ……そういう歳?
 いやいやいや。待った。違うって。
 いけない。そうじゃない。そういう意味じゃなくって。だから、アスラン君は私の『弟』
だ。そう、弟。今ならば。
 つまり、今だけは、私はアスラン君にとって『お姉さん』でいられるのだ。うん。そし
てそのお姉さんは、アスラン君のことが大好きなのだ。深い意味はなく、決して大げさで
もなんでもなく、私はアスラン君のためなら、この可愛い『弟』のためならなんだって出
来る。この『姉弟生活』は期限付きなのだから、今というこの時々を私は大事にしたいと
思うのだ。
 ――つまりなにが言いたいのかというと、お風呂だ。アスラン君とお風呂。裸のお付き
合い。
「あはは。ごめんねアスラン。でも、一回でいいから私、アスランと一緒にお風呂入りた
かったんだぁ」
 私は笑いながら、自分の上着に手を掛けた。それを見たアスラン君が、ぱっと顔を背け
る。おお。見る見るうちに、うなじまで真っ赤に。
423名無し草:2005/06/02(木) 14:30:27
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475 名前:ルナねえ@三人目[sage] 投稿日:2005/05/15(日) 11:42:58 ID:???
 むう……。まいったなぁ。なんだか私もちょっと恥ずかしくなってきてしまったぞ。
 いやいやしかし、ここで私が照れていてはお話にならない。お姉さんは度胸だ!。
 私はハイネックのブラウスを一気に脱ぎ去る。静電気が髪を頬に貼り付け、冷たい空気
が身体に触れた。
「ほら、アスランもとっとと服を脱ぐ」
 言いながら、私はスカートを脱ぎ、ブラウスと一緒に(わざと)アスラン君の頭上から
洗濯機へと放り込む。それを見て『びくっ』としたアスラン君は、観念したのか、もじも
じと赤いスプリングセーターに手を掛けた。
 しかし……うああ。想像していたよりもなんだかずっと照れるなぁ。洗面台の鏡に映る、
もぞもぞとセーターを脱いでいるアスラン君と下着姿の私。
 オーケー落ち着くのよルナ。私はお姉さんなんだからね。ここは年の功というやつよ。
うん。落ち着いて、冷静に。
 でも……。考えてみれば、人に裸を見られるのなんて、子供の頃や妹のメイリンを除け
ば初めてなのよね。そうそう。なんだ、照れて当然じゃん。ブラジャーのホックを外すの
に通常の三倍くらい時間が掛かってしまうのは、至極当然のことよね。
 私は最後にショーツと靴下を脱いで、素っ裸になった。色っぽく言うなら、生まれたま
まの、一糸まとわぬ姿だ。……いかん。さっきから私、なんでこんなにハイなんだろう。
普通にしないとアスラン君にヘンに思われちゃう。
「こーら。アスラン、早く脱ぐの。ルナねえはもう準備オーケーだぞっ」
 私は誤魔化すように、わざとおどけて見せる。
「だ、だってルナねえ。僕、誰かとお風呂なんて初めてで……」
 Tシャツを脱いだアスラン君の背中は、まるで女の子みたいに真っ白で、そして小さか
った。でもこの背中はあと何年かすると、私のよりもずっと大きく広くなるんだよなー。
なんだか不思議な感じだ。
「お。アスラン君ボクサーパンツだ。私と一緒」
「え?」
 率直な感想を述べた私に、ズボンを脱いだアスラン君が振り向く。いや、私はもう脱い
じゃったけどね。
「――っ!」
 ものすごい勢いでまた後ろを向いてしまうアスラン君。うう。可愛いなー。
42512-5 5:2005/06/02(木) 20:30:20
476 名前:ルナねえ@三人目[sage] 投稿日:2005/05/15(日) 11:43:59 ID:???
「もう、アスランったら。それじゃこっちまで恥ずかしくなっちゃうでしょー」
 本当は私もすごく恥ずかしかったりするのだが、それはそれ。
「だ、だだ、だって! ル、ルナねえ、ちょっとは隠してよ!」
「なんでよー?」
「な、なんでって、は、恥ずかしくないの?」
「うーん……。恥ずかしいけど……アスランになら、いいよ? 私の大好きな『弟』だも
ん」
「あうう……」
 おお。やるじゃん私。今の会話は『お姉さん度』がかなり高いぞ。実際にはドキドキし
っぱなしなんだけど、これでアスラン君も少しは落ち着いてくれるかな。――ううん。落
ち着きたいのはきっと私の方かな。
 アスラン君は少しだけ躊躇するも、相変わらずの真っ赤な顔で、するするとパンツを脱
いだ。
 ……どきどき。小さくて可愛いアスラン君のお尻が。
 ……ドキドキ。洗濯機にパンツを入れた時に、チラッと見えてしまったアスラン君の小
さい――その、おちんちんが。
 うああ。そうだよ。だってアスラン君は男の子なんだもん。男の子なら付いてて当たり
前でしょ。そう、当たり前。だからヘンに気にしちゃダメだ。
 ……でも……。あああ。どうしても目がいってしまう。……ドキドキ……(チラッ)。
 きゃー! ぷるんって! なんか、ぷるんって付いてるー! か、可愛い……!
「わわ! ル、ルナねえ、なに?」
「え! う、ううん、なにも! あははー」
 ……変態ですか、私は。
42612-5 6:2005/06/02(木) 20:31:50
477 名前:ルナねえ@三人目[sage] 投稿日:2005/05/15(日) 11:45:00 ID:???

 気を取り直して、私はお風呂の扉を開ける。
「というわけでアスラン。ここが我が家のお風呂よ」
「は、はぁ……。えと、知ってますけど」
 それもそうよね。緊張してるなぁ私。それにアスラン君はさっきからずっと下を向いて、
私の方を見ようとしない。うう。ちょっぴり悲しいかも。
 私は浴室内に入り、シャワーのレバーを下げる。シャワワーというオノマトペと共に、
すぐに四十℃に設定されたお湯が出てくる。
「はいアスラン。あ、ほら、ドア閉めて」
「……あい」
 あい? そんな町娘な。
 アスラン君は振り向いた私から、さり気なく片手であそこを隠しながら、ドアを閉めた。
「おいでアスラン。取り合えず軽く汗を流さないとね」
 私はシャワーを取って、お湯加減を確認する。アスラン君は相変わらず下を向いていた。
むむむ……。こうなったら――。
42712-5 7:2005/06/02(木) 20:32:46
「おりゃっ」
「わぁ! ちょっ、ルナねえ!」
 私はアスラン君の腕を取り、ぐいっとこちらに引き寄せた。勢い余って、アスラン君は
私に抱きつく形になる。小さなアスラン君の頭は、丁度私のみぞおちあたりだ。
「あ、その! す、すいま――」
「だーめ」
 私は、即座に離れようとするアスラン君の背中に手を回し、片手で抱き締める。密着し
たアスラン君の体温が私の肌に直接伝わってくる。ふとももに当たってる小さな柔らかさ
が、なんだかとてもくすぐったい。
「ル、ルナねえ」
 私はそのままの姿勢で、アスラン君の背中にシャワーをかざした。
「熱くない?」
「……へ、平気です……」
 消え入りそうなアスラン君の声。私はしばらくアスラン君の背中にシャワーを当て、次
に自分の肩から浴びた。勢いよく吹き出るシャワーと、流れ落ちるお湯がアスラン君の柔
らかな髪を濡らす。私はアスラン君の前髪を掻き上げ、上を向かせる。その顔はうるうる
で、なんだか泣いてしまいそうに見えた。私はシャワーをアスラン君の首筋に当て、真っ
赤になっているほっぺたをぷにぷに突く。
428名無し草:2005/06/02(木) 23:22:33
















ここを便所にしていい?






429転載人:2005/06/02(木) 23:59:19
週末に避難所に行きます。
それまで転載は中断します。
430名無し草:2005/06/03(金) 00:04:39
>>429
乙です
431名無し草:2005/06/05(日) 00:08:35
保守
432名無し草:2005/06/05(日) 18:42:36
>>429
お疲れ様です。
かなり大変だとは思いますが、もしよろしければご利用下さい。

ルナマリアとアスランってやったの? 【SS保管庫】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/2885/1117964363/
433名無し草:2005/06/06(月) 18:16:16
保守
434名無し草:2005/06/07(火) 18:43:42
保守
435名無し草:2005/06/08(水) 17:58:37
転載人さん生きていますか?
436転載人:2005/06/08(水) 21:35:12
申し訳ない。リアルで忙しくて・・・
437名無し草:2005/06/09(木) 19:55:53
保守
438名無し草:2005/06/10(金) 18:54:38
保守
439名無し草:2005/06/11(土) 21:32:25
保守
440名無し草:2005/06/12(日) 16:14:33
クソスレはここかよ
てめーら本スレ来て暴れてるんじゃねーよ氏ね
441名無し草:2005/06/13(月) 22:14:25
保守
442名無し草:2005/06/14(火) 18:26:51
保守
443名無し草:2005/06/15(水) 22:32:30
保守
444名無し草:2005/06/16(木) 21:32:24
保守
445名無し草:2005/06/17(金) 22:27:39
保守
446名無し草:2005/06/19(日) 08:48:19
保守
447名無し草:2005/06/20(月) 12:04:51
保守age
448名無し草:2005/06/22(水) 02:47:19
保守
449名無し草:2005/06/23(木) 00:29:57
アスルナ(;´Д`)ハァハァ
450名無し草:2005/06/23(木) 10:23:27
アスルナ(´д`*)ハァハァ
451名無し草:2005/06/23(木) 11:17:39
キモスレ晒しage
452名無し草:2005/06/24(金) 19:20:17
保守
453321@ショタルナ2人目 ◆321NTFWLI. :2005/06/26(日) 21:32:17
保守
454名無し草:2005/06/28(火) 12:00:40
保守
455名無し草:2005/06/28(火) 22:03:41
保守age
456名無し草:2005/06/29(水) 06:59:45
おい、ルナマリアの貞操が危ないらしいぞ。

今から思えば、アスランにくれてた方がよかったような気がする。
457名無し草:2005/06/30(木) 21:24:53
保守
458転載人:2005/07/01(金) 20:00:17
ハイになっていたためか、なんという書き込みを本スレに・・・・・・orz

保守
459名無し草:2005/07/02(土) 14:41:35
                /|  /l
             | | //ミ シャキン シャキーン!
             .| |//  ヽ
            / Oヽ
            |レ/ |l_))
           ∩ノ .し1
            / /   | |
          ./ /    .|キ
         / /    | |    ______
        ./ /∧   ./ /  /
       / /´Д`)/ / < シンのチンポ、ちょん切りてぇ!
       |      /    \______
       |    /
       |   /⌒l
        | / ./ .|
        ヽ   | /
        | ゙ー'| L
        |  /(_  ヽ
        ノ /   ゙し'
      / ノ 彡
     / /
    / ./
    ( ヽ
    ヽ、_つ
460名無し草:2005/07/03(日) 20:56:21
保守
461名無し草:2005/07/05(火) 05:30:09
保守
462名無し草:2005/07/06(水) 19:08:13
保守
463名無し草:2005/07/07(木) 22:03:23
保守
464名無し草:2005/07/09(土) 00:23:26
保守
465名無し草:2005/07/10(日) 00:55:46
保守
466名無し草:2005/07/11(月) 23:58:31
保守
467名無し草:2005/07/13(水) 00:48:14
保守
468名無し草:2005/07/14(木) 18:38:50
保守
469名無し草:2005/07/16(土) 07:29:15
保守
470名無し草:2005/07/17(日) 21:55:31
捕手
471名無し草:2005/07/20(水) 01:48:12
保守
472名無し草:2005/07/21(木) 01:21:44
保守
473名無し草:2005/07/22(金) 19:42:25
ほしゅ
474名無し草:2005/07/23(土) 22:35:19
保守
475名無し草:2005/07/25(月) 20:08:17
ほしゅ
476ルナマリア:2005/07/26(火) 11:50:03
私。アスランさんとやってませんよォ?
477名無し草:2005/07/27(水) 16:48:56
ほす
478名無し草:2005/07/28(木) 01:12:37
保守
479名無し草:2005/07/29(金) 02:36:21
死守
480名無し草:2005/07/30(土) 06:57:47
堅守
481名無し草:2005/07/31(日) 15:04:28
攻守
482名無し草:2005/08/01(月) 17:53:18
好守
483名無し草:2005/08/02(火) 20:35:50
専守
484名無し草:2005/08/04(木) 01:40:22
拙守
485名無し草:2005/08/05(金) 20:04:57
保守
486名無し草:2005/08/07(日) 07:54:47
ほしゅ
487名無し草:2005/08/09(火) 03:31:26
ほしゅ
488名無し草:2005/08/10(水) 22:17:43
ほっしゅ
489名無し草:2005/08/12(金) 00:43:42
ほしゅほしゅ
490名無し草:2005/08/13(土) 01:40:44
保守
491名無し草:2005/08/14(日) 22:51:29
ほしゅ
492名無し草:2005/08/16(火) 15:06:06
もう保守する必要ないかな
493名無し草:2005/08/21(日) 13:22:24
保守
494名無し草:2005/08/22(月) 01:51:13
乙です
495名無し草:2005/09/09(金) 02:56:46
保守
496名無し草:2005/09/14(水) 22:32:32
age
497名無し草:2005/09/24(土) 23:57:25
498名無し草
ルナアスモユルw