◇◆◇◆有閑倶楽部を妄想で語ろう22◇◆◇◆

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663鬼闇(88)
「お、鬼だ――っ!」
ピシャン!ピシャン!ピシャン!!
あちこちで戸の閉まる音が響いた。

――ズシン!
地響きと砂埃を立てながら、鬼は地面へと着地した。
その身の丈は優に2メートルを超えている。
青白い顔とは対照に両目は赤く血走り、夜叉のごとく吊り上っていた。
鼻はひしゃげ、耳元まで裂けた口からは太く鋭い牙を剥き出しにしている。
そして頭には鬼の証――二本の角。
日の光の中に鬼が初めて正体をさらけ出した。
纏わりついていた闇はもうない。


一瞬玉の光に眩んだ目は残像で周りが見えなくなる程強烈だったが、それでも四人は光の行く末
を見届けていた。
ようやく残像が消え、通常の視力を取り戻した野梨子、可憐、悠理、美童は、自らの手の中にある
玉に目を落とした。
その玉は、ぼぅっと光ったり消えたりを繰り返していた。
「刀守神社ですわね。」
「あの光を目指せってことよね。」
「清四郎、魅録、あたいの出番を残しておけよ!」
「二人の応援に行かなきゃ!」
まるで光に導かれるかのように、四人は玉を抱えたまま刀守神社へと走った。

             【つづく】