>934
玉団子をアキラたんの珍子に巻いてから食いて〜ハァハァ(;´Д`)
餅が珍子にはりついてなかなか取れなくて泣きじゃくりながら
俺にとってと言って珍子を差し出す姿を想像しただけで・・・
>941
俺を闇へと誘惑してやまないアキラ穴ーる。
桃色の闇が早くキテキテー♥と俺を呼んでいるアキラ穴ーる。
>930
アキラたんとボートの上でヤリたい(*´Д`*)ハァハァ
激しく動きたくてもボートが揺れて怖くて動けないアキラたん(*´Д`*)ハァハァ
それでも腰を器用に振るんだろうな(*´Д`*)ハァハァ
>943
ま〇こだけでなくおかまのケツ穴に対しても尻を上げてフーッと威嚇しるアキラたんかわええ(*´Д`*)
珍子も穴ーるも極上品なだけに前から後ろから狙われる人生。
>942
アキラたんは素面でアレなのだから、
酔ったらどうなるんだ?
いきなりストリップショーでも始めそうだハァハァ(;´Д`)
950じゃないんだが今夜建てといたほうがええのかな?
>951
安心して眠りたいから勃ててくれ〜んハァハァ(;´Д`)
>952
じゃあやってみる。見守っててくれアキラたん。
>951
スマン。何度か挑戦したんだが、俺では無理だった・・・
>5
あいや乙。精のつくもの食って早く勃つようになるといいな。
ママ、BARの開店待ってるよ〜!おやしみ!(;´Д`)ハァハァ
前スレに誤爆した_| ̄|○
ごめんよアキラたん。
┌─────――――┐
│Bar. チチャーイやまねこ│
└─────――――┘
お待たせしました! 開店致します!!
日 凸 ▽ ∇ U.
≡≡≡≡≡≡≡ /|||||"||ヽ シンガッキ ハジマッテシマッタネ… パトヤシロ
U ∩ [] %.. ||(*゚ー゚)| /
_________(つ)Uと)___/ ヽヽヽ.イ,, ワォ〜ン
―――――――――――――┐ ∠,从从, シ /~||
│ / ∪・ェ・∪,,,。,,ノ ||
━┳━ ━┳━ │/ ( u u ), ||
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~ ,_______
/ == /|
| ̄ ̄ ̄ ̄| .|
|.アキラ基金|/
 ̄ ̄ ̄ ̄
(21)
アキラママは長いキセルを持ってモンローウォークで舞台中央に歩み出てきた。
凄い貫禄だ。
会淫達を微笑みながら眺め回すその視線は一人一人に当てられているようで
アキラママから目が離せない。
少しずつ視線を移動させたママのネコ目はとうとう俺の視線とかち合った。
絶対に俺を見ている!そして微笑んでいる!
程なくして視線は俺から他の会淫に移ったが、絶対に俺に微笑みかけた時が
一番嬉しそうだった!絶対に!
さすがはママだ・・・・きっと全ての会淫が俺と同じ事を思っているに
違いない。
だが、それでもいい!俺は完全に悩殺されて動けなくなってしまった。
ところがママのビーム視線は悩殺どころでは無かった。
俺は何とか金縛り状態になっただけで済んだが、文字通り眼殺されてしまった
会淫が束になって倒れた。
それだけママの視線は男を狂わす甘く妖しく鋭い視線だった。
一通り会場を眺め回したママはマイクを持ってしっとりとした声で静かに
喋り出した。
「みなさん、今日は来て下さってありがとう」
「殆どの方がアキラ基金に寄付して下さって嬉しいです」
「そのお礼として、今日は素晴らしいものをお目にかけます」
息を呑んでアキラママの言葉を聞いていた会淫達が期待に目を輝かせると、
ママは楽しそうに微笑んで舞台中央からパトヤシロの近くまでゆっくり
歩いて行った。
(22)
ママはパトヤシロに微笑みかけてから前を向くと、上手の方に合図を送った。
すると、拍子木の音が軽快に『コン、コン、コンコンコン』と打ち鳴らされた。
この鳴らし方は、良く相撲の呼び出しが鳴らす音に似ている、と思っていると、
「桜穴の土俵入りです!」
とママが場内に告げた。
ママと土俵入りという意外な組み合わせに度肝を抜かれたが、それよりも
あの噂の桜穴の土俵入りが見られるとは思わなかったので、俺は思わず、
「ウッソー!信じらんねー!」
と叫んでしまった。
その声は驚きにざわざわしていた会場内に意外な音量で響いてしまった。
俺は慌てて体を小さくしようと視線を落として体を丸めた。
だが、会場内の非難の視線が俺に向けられているのをいやでも感じてしまう。
ああ、なんてこった。せっかくママが俺達のために土俵入りを見せてくれるのに
『ウッソー』はないだろ!そしてママに対して『信じらんね』もあり得ない。
ここまで来て会場からつまみ出されるのは不本意だが、ママに対して失礼な
言葉を投げつけてしまった俺の罪は重い。
潔く謝ってからつまみ出されようと、視線を上げると、意外にもママは
モナリザのような微笑で優しく俺を見ている。この俺をだ!
ママの視線に固まって動けない俺を見て、ママはフフフと微かに笑って、
「驚いてもらえて嬉しいです」
と俺を許してくれたのだ。さすがはチチャーイバーヤマネコを切り盛りして
いるだけの事はある。酔っ払い客をあしらう様にママは寛大だった。
(23)
もう一度拍子木が打たれると、上手からシースルーのまわしに、これまた
シースルーの化粧まわしを着けた桜穴がのしのしと舞台中央に現れた。
オカッパ頭にまわしと化粧まわしを着けたアキラたんは、まさに金太郎が
エプロンをしているようで可愛い。
会場内からは溜息やどよめきと共に盛大な拍手がアキラたんに送られた。
するとまた崩れ落ちるように倒れた会淫が数人いる。
その会淫達をこれまた医療班が速やかに運び去った。
桜穴のまわしと化粧まわしは薄くて透けた生地で出来ているようだ。
その生地で珍子玉穴―るの部分を軽く隠していて、ウエストの部分は
何重かに巻かれて後ろで結んである。
無地の薄い生地にしか見えない化粧まわしだが、じっと見るとぼかしのように
大きな菊門紋章が刷り込まれているようだ。
そういえば、良く思い出すとアキラたん'sの浴衣の花柄だと思っていた模様も
菊門紋章をかたどったデザインだった事が分かる。
喜び組みの衣装の胸にあったワンポイントも小さくてよく見えなかったが、
菊門紋章だった可能性が高い。
パトヤシロ近くに居るアキラママの衣装を見ると、龍と獅子の間にある
ドラゴンボールのように見えた丸い刺繍は菊門紋章だった。
おれはハッとして場内に貼られた御札をもう一度見た。
するとここにも紋章がちゃんと刷り込まれていた。
次に男子十二肉棒を見るが、会淫が邪魔をして良く見えない。
だが角度を変えて少しジャンプして見ると、全員同じ腕輪をつけているのが
確認できた。そこに紋章が付けられている可能性が高い。
この事からアキラたんの正式な物品には菊門紋章が付けられている事が分かる。
兄貴や芦原にはそのような紋章をつけている様子は見当たらないので、
紋章入り首輪を付けているパトヤシロは完璧にアキラたんの所有物だと
いう事なのだろうか?
(24)
桜穴は舞台中央で会淫達の騒ぎが収まるのをじっと待っていた。
シースルーの化粧まわしを着けているので、大事な部分は見えそうで見えない。
露出度はさっきの喜び組みの方が高いが、この桜穴の方があまり動かないだけに
観察する方もジーっと見る事が出来る。
見えそうで見えないその部分はモッコシと膨らんでいて、触ると気持ち
良さそうだ。
イヤでも想像を掻き立てられて、会場からは『うぅ・・』という妙な声が
あちこちからする。
大騒ぎしていた会淫達の殆どが倒れるかトイレに駆け込んでいたので
今までは聞こえなかったその声が目立つようになったのかもしれない。
本来の土俵入りは行司・露払い・太刀持ちが並んで入ってくるのだが、
この土俵入りはもちろんアキラたん一人だ。
桜穴は正面を向いて唇をキリリと結ぶと、ゆっくりと拍手を2度打った。
その堂々たる振る舞いに会場からは再びどよめきが起こる。
桜穴は次に右手を横に広げてから盲腸の辺りに添えると、左手を真横に
上げ、そして右足で四股を踏んだ。
日本人ばかりの会場はこの動きに自然に『よいしょぉ!』と声がかかる。
桜穴はじっと前を見据えたまま、両手を広げてジリッジリッとつま先と踵で
前に出ながらせり上がって上段の構えに落ち着いた。
両手を広げるこの土俵入りは不知火型だ。
やはり両脇を惜しげなく晒す為に雲竜型ではなくこの型を選んだのだろうか?
右足一回左足二回の四股の度に『よいしょぉ!』の掛け声は大きくなり、
最後に真っ直ぐに立って満足そうに前を見詰める桜穴に割れんばかりの
賞賛の拍手が送られた。
(25)
この間俺の視線はもちろん桜穴の股間に引き寄せられていた。
四股を踏むたびにわずかにシースルーの生地が揺れて、桜穴の珍子が
少し位置を変える。
足を大きく開くので、前列の両脇に陣取る会淫にはチラチラと中身が見える
ようで、両脇からバタッ、バタッと会淫が倒れる音が聞こえてきた。
桜穴の股間はもちろん魅力的だが、侮れないのが胸におまけのように
付いている二つの突起だ。
四股名の通りそれは桜色をしていて、アキラたんが力を入れて四股を
踏むたびに少しずつ硬くなってツンと存在感を増していた。
そしてアキラたんの体は力を入れる都度赤みを増して、終る頃には
顔からつま先までピンク色に染まって本当に綺麗だった。
そんなプニプニの桜穴は美味しそうで思わず生唾を飲み込んでしまった。
あの桜穴に触れてみたい!
この腕に抱き締めて、四股を踏むたびに揺れる艶やかな黒髪を撫でてみたい!
桜穴は軽く会淫達にお辞儀をするとゆっくり上手の方に歩いて行った。
入って来る時は余りの驚きに見過ごしていたが、桜穴のポチャポチャの桃尻が
歩くたびにプルンプルンと揺れて、そのエロさに気が遠くなりそうだった。
桜穴を追うように、アキラママもキセルを揺らしながら会淫達を流し目で
悩殺してモンローウォークで舞台から消えた。
ナンデヤネン!! ナンデヤネン!!
, -ー-、 , -ー-、
/::::o∠> ビシッ!! <>o:::ヽ
(;;||*゚▽゚|| ||^◇^||::)
/;;;ノ ヽフ 日 <ノ <:::ヽ
くVl ) ┃ ( )_,>
('^')ー('^') ┃ ('^')ー('^')
"´'''"""''"`''"""'''"''''"`""""´'''""''"`''''``'
(17)
きな粉餅を二つ食べると、アキラは腹くちくなったのかふいっと格子窓から離れて、
また元通りくったりと壁に寄り掛かり脚を伸ばした。
着物の裾から覗く足首はすんなりと真っ直ぐで透けるほど白く、
以前見たアキラの内腿の、花のような白さをヒカルに思い出させる。
「もういいのかよ。まだあるぜ、ホラ。なあってば」
「う〜・・・」
ヒカルが呼びかける声をよそにアキラは次第にうとうとし始め、
壁伝いに体を滑らせて畳の上へ横たわるとふんふん、スンスンと鼻歌を歌い出した。
眠たくなった子供がぐずるような途切れ途切れの旋律。
小さい甘いたどたどしい声。
――また、あの歌だ。
ヒカルが初めてアキラを見た日にも、二人が初めて交流を持った日にも、
アキラが歌っていた同じ旋律。
歌いながらアキラはぽん、ぽんとあやすように自分の体を叩く。
その仕草を見るのもこれで三度目だった。
この仕草とこの歌とは、或いは昔日アキラの母なる人がアキラに対して
与えてくれたものでもあろうか。
「・・・そう言や、オマエのお母さんって今どうしてるんだ?」
返事はない。
見るとアキラは歌を止め、すうすうと満ち足りた眠りに落ちてしまったようだった。
その純真そのものの寝顔を見ながら、せめてこの少年の母親が憐れな我が子を
男たちの玩び物として売り飛ばすような女ではなく、既に他界したか何かして
やむを得ず我が子を守ることが出来ない事態となったのであればよいと思った。
否、こうした境遇に置かれながらもアキラが人への恐怖心や嫌悪感に歪むことなく、
こんなにも満ち足りた顔で眠っていられるのは、そっくりそのまま、
アキラがかつて正しく愛情を注いで育てられた幸福な子供だったことの証ではなかろうか。
そう思い至るとヒカルは、自分の心までもが不思議に優しく癒されて、
ほのぼのと温められていくような感じを覚えるのだった。
(18)
アキラが眠ってしまったので、仕方なくヒカルは袋に手を突っ込み
残りのきな粉餅を取り出して自分で食べた。
ヒカルの与える菓子に目がないとは言え、
アキラは決して自分が食べられる以上の物を欲しがることはなかった。
ヒカルはアキラが菓子を食べる姿が好きだから、残っている菓子を見せて何度も勧める。
腹が一杯になってしまったにしても、後で食べるために取っておけばいいのにと思う。
だがアキラはいつもほんの一つか二つばかりを嬉しそうにつまむと、
満足して昼寝か一人遊びに戻ってしまうのだった。
狭い部屋の中であまり動かないので腹が空かないということもあろうが、
アキラのそんな淡泊さはどこかおっとりとした育ちを感じさせた。
長い睫毛を閉じ、素直な黒髪を頬にまつわりつかせて眠るアキラの安らかな寝息を
宝物のように聴く。
いつまでもこうしていたいと思う。
だが早春の日が傾いて空が光を失い始めると、母と約束した帰宅時間はもうじきだ。
「アキラ。オレ、今日はもう帰らなきゃなんないんだ。・・・また来るから!元気でな」
今日も一方通行の呼びかけ。
一方通行の別れ。
無理だろうと分かってはいても、いつかアキラも自分の名を呼んでくれたらと思う。
――眠るアキラの上方には、今日もあの頼りなげで清らかな白い花が、
おもちゃのような一輪挿しの花瓶に活けてあった。
(19)
「じゃあおばさん、私はこれで」
「また来てちょうだいね、あかりちゃん。・・・あ、待って!帰って来たわ」
黄昏時の人影は朧ろにしか見えないが、
母の傍らに立つその少女の輪郭には馴染みがあった。
「・・・あかり!?また来たのかよ」
「またって何よぉ。うちのお母さんに頼まれて、お使いに来たのよ」
小さな唇を尖らせたのは、幼馴染みのあかりであった。
「ヒカル、何ですその言い方は。あかりちゃん、里芋の煮付けをお裾分けにって
持って来てくれたのよ。あんたも好物でしょう。ごめんなさいねあかりちゃん。
お母さんによろしくお伝えしてね」
「親戚からお芋をたくさん送って来たので・・・」
あかりが恥じらうように首を竦める。
そんなあかりを微笑ましそうに見ていた美津子は、息子のほうを振り向いて言った。
「ヒカル、もう暗くなるからあかりちゃんを送って行ってあげなさい」
「エーッ」
「エーッじゃありません。向こうのおうちの方にもしっかり挨拶するのよ」
「すみません、おばさん。じゃ、遅くならないうちに行こっ!ヒカル」
幼馴染みの手がヒカルの袖を思いがけない強さでぐいっと引っ張った。
「あーもう、この辺でいいだろ?オマエの家、すぐそこじゃんか」
こぢんまりとした雑木林を抜ける頃になって、袖を掴んだままだった手を振りほどくと
あかりがぷぅっと頬を膨らませた。
「駄目だよ、ここでヒカルが帰るなら私もついて行くからね!話したいことがあるのよ」
「話?」
「ヒカル、おばさんに隠してることがあるでしょ?」
どきんとした。
アキラたんの口のまわりについた黄粉を舐め舐めしたいよ(;´Д`)ハァハァ
(26)
ずっと息を詰めて土俵入りを鑑賞していた会淫達からえも言われぬ溜息が
あちこちから漏れた。
俺も体に力が入っていたので、満足の溜息と共に久し振りに大きく息を吸った。
会場の中は会淫達の熱気と男臭さでむせ返る様だ。そのため、新鮮な空気を
求めて出行く者や相変わらず前屈みで出て行く会淫が居る。
どうやら前の方に居た会淫には退場する事の危険性が分かっていないようだ。
ちょっと息抜きのつもりで出て行った様子の会淫ですら、誰一人戻って
来ない事実に気付いている人間は俺以外にどれくらいいるのだろうか?
だが正直これだけ濃い中身の祭典だとは思わなかったので、変な緊張の連続で
俺はヘトヘトだった。
喉も渇いているし、もし戻ってこられるのなら廊下に出たい。
会場から出て行った会淫達は今頃どうしているのだろうか?
もしかしたら、この会場よりももっと楽しいイベントがトイレで行われて
いるのではないのか?
アキラたんが一人一人と握手したり、話をしたり、前屈みだった会淫が
個室トイレのドアを開けるとそこに笑顔のアキラたんが待ち構えていて、
珍子を手に取って点検したり・・・・・。
のぼせた頭で考えると、どうしても惑わされてしまう。
あー、頭がおかしくなりそうだ。
だが、ここには兄貴も芦原もいる。そして何よりパトヤシロがいる。
この会場が一番正式な場所であることは明白のはずだ。
俺は自分の頬を数回パンパンパン!と叩いた。
しっかりしろ!と自分を叱咤した。
今日はずっと待ち続けた二周年祭ではないか!
本物のアキラたんに会えるチャンスなのだ!
いや、俺は単に会うためにここに来たわけではない!
今日はアキラたんに俺の存在を知ってもらいたいのだ!
(27)
芦原は半分近くに減った会淫達を見回してから、
「さぁ〜〜て皆さ〜ん!」
「いよいよ祭典もクライマックスに近付いて来ましたよ〜ん!!」
と酔っ払いのような喋り方で皆を笑わせようとした。
しかし、笑う者など誰一人としていない。
そりゃそうだ、今度こそアキラたんが登場するのでは?と会淫達は皆
緊張しているのだ。俺の心臓もドクンドクンと音を立てている。
その緊張感を察したのか、芦原はヘラヘラ笑いながら、
「あー、いや、ここでゲームをしまーす!」
と告げた。
ふざけるな!何がゲームだ!何がクライマックスだ!
俺達の気持ちを弄ぶような態度は許せん!
さっきまでの緊張が解けて、俺は自分の苛立ちを芦原にぶつけるように
心の中で毒づいた。
芦原がゲームをする事を告げると、舞台裏から大盤解説に使うような大きな
碁盤ボードが舞台に運び込まれた。
何が何だか分からずにざわつく会淫達に芦原はやや真剣に説明し始めた。
「えー、これから次の一手当てゲームを行います」
「これは実際に教祖が打った手を当てていただきます。ですから、必ずしも
本手とは限りません」
「中盤から後半にかけての盤面は複雑でここに並べるのに時間がかかりますから、
布石段階あるいは戦いの序盤の次の一手を当てていただきます」
「広い盤面からただ当てろと言っても無理ですから、三択にします」
「問題は沢山用意してありますが・・・・最後12人になるまで続けます」
「途中適当な時に敗者復活戦も考えていますのでダメだった人も諦めずに
頑張って下さい」
「勝ち残った12人には!素晴らしいご褒美が待っています!!!」
「ダメだった人にも抽選で色々な景品が当たりまーす!」
(28)
芦原の説明の途中でおれは密かにガッツポーズを決めていた。
俺はこの瞬間を信じてこの二年、毎日精進してきた!
いつかアキラたんと出会う時のために俺は様々な用意をしている。
アキラたんがいつ俺の家を訪ねてきても良いように、まずベッドを
シングルからセミダブルに変えた。
アキラたんのために新しい羽毛の掛け布団・シーツ・枕を用意しているし、
シャワーのためのバスタオル・浴用タオル・シャンプー・リンス・ソープも
揃えてある。
さらに歯ブラシ・ヘアブラシ・スリッパ・ブリーフ・絹の女性用パジャマも
準備してある。
もちろん潤滑剤・コンドーム・大人のおもちゃ数点・イチジク浣腸・
拘束具・ムチ・媚薬も念のために買い揃えてある。
トイレは自分でウォシュレットを設置した。その時の技術を活かして
棋院5階6階トイレにウォシュレットを付けに行ったりもした。
アキラたんが食べられそうな和食を作る修行もしているし、自家製プリン
にも挑戦している。
ドライブに誘えるように、運転席から助手席のシートが倒せる
エッチレバー付きのプレリュードも中古で購入した。
クマたんを好きだったアキラたんの気持ちがほぐれるように、俺が
子供の頃いつも一緒に遊んでいたクマのぬいぐるみを実家の棚の中から
持ってきてベッドサイドに置いてある。俺もクマが大好きだ!
(29)
そして囲碁の強い人に一目置くアキラたんのために、全く知らなかった
囲碁も始めた。
最初は入門書を読んだり、テレビゲームで基本を学んだりして、最近では
ネット囲碁で腕を磨いている。
公開ネット囲碁のランクで初段クラスまで強くなってきた。
もちろんアマ初段などアキラたんにとっては一目置くに値するほどの
腕前では無い事は分かっている。
だが、アキラたんの公式戦に関しては棋譜を集めて棋譜並べをしている。
そのために日向産の新カヤ6センチ卓上碁盤・本蛤雪印碁石・那智黒石を
ネット通販で購入してテーブルの上に置いてある。
食事はもっぱらパソデスクの上で済ませているくらいだ。
最近のアキラたんの棋譜なら大体頭に入っている自信はある。任せてくれ!
芦原の説明に会場内は様々な反応が起こっていた。
少しでも囲碁を知っている者にとってはこの上ないチャンスだ。
だが、アキラたんの熱狂的な信者であっても囲碁を知らない者は沢山居るので、
その会淫達にとっては12人に残る機会を奪われたようなものだ。
だが三択だし、敗者復活戦もあるらしいので運が良ければ残る可能性もある。
俺としては残る自信はあるが、万が一知らない棋譜からの出題だと、なまじ
囲碁をかじっているだけに落とし穴があるような気がする。
どんなご褒美なのかわからないが、会淫にとってはとてつもなく素晴らしい
何かが待っているに違いない。
ここで頑張らなくては真性おかっぱバカの名がすたるってもんだ。
(30)
ざわついている会場をよそに舞台上では上手近くに設置された大盤の横で
オカッパの小柄な男がマグネットの黒石と白石を並べようと箱を持って
準備していた。
よく見るとオカッパと言うよりマッシュルームだ。しかもメガネをかけている。
黒子のように全身真っ黒なツナギの衣装に身を包んでいるのは、なんと
越智だった。物言わぬ式神越智なのだろうか?
その時奥に引っ込んでいた兄貴が現れて芦原とヒソヒソ話を始めた。
芦原は驚いた表情で兄貴になにやら一生懸命説明している。
頷いた兄貴は手を上げて下手に控えているパトヤシロを呼んだ。
大盤の前を通って二人に近付いたヤシロは、芦原から何やら耳打ちされて、
慌てて首を振っている。
舞台上の動きに、何か予期せぬ事態が起こったのかと会淫達は心配そうに
三人の行動を注視していた。
まさか祭典が中止になるのではないだろうか?
その時、舞台中央後ろに作られている玉座の奥が開いたような気がした。
白い薄いベールで四角く囲われているのではっきりとは見えないが、奥の扉から
誰かが出て来て玉座を囲っているベールの観客側の真ん中にある切れ目から
顔だけ出した。
へッ??!!ウソッ!!!!・・・・アキラたんだ。
アキラたんだと分かった会淫達は余りの事に驚いて目を剥いて息を詰めたまま、
ただただ玉座の方を見詰めるばかりだ。
会淫の様子を不審に思った十二肉棒の一人が後ろを振り返った。
そしてそこにアキラたんを認めた肉棒はそのまま倒れてしまった。
(31)
アキラたんは暫し兄貴達の方を見ていたが、兄貴達はアキラたんに
全然気付かず協議を続けていた。
すると、なんとアキラたんが小首をかしげながら、
「やしろ?」
と小さな声を出した。
ヤシロは玉座の方を振り返ると、慌ててアキラたんに近付いてベールの中に
アキラたんを押し込めた。
アキラたんの背中に軽く手を添えて押すように後ろの扉に導こうとしているが、
アキラたんは抵抗するように顔を上げてヤシロに話しかけている。
玉座の横で二言三言話をすると、アキラたんはスッと玉座に座ってしまった。
ヤシロは仕方ないな、という感じで玉座の横にアキラたんを守るように立った。
夢にまで見た本物のアキラたんの登場だ。
今まで何度もアキラたんを生で見る劇的な瞬間を夢想していたのに、
余りに唐突な事態に感情が現実に付いて行けなくて、感動や興奮している
余裕もなくただアキラたんを見詰めるばかりだ。
アキラたんが『やしろ』と声を発した途端に倒れてしまった会淫も数名いるし、
アキラたんの声を聞いて後ろを振り返った肉棒達の中の二人がさっきの一人に
続いて倒れてしまった。
俺は彼らを男子十二肉棒だと思い込んでいたが、本当にそうなのだろうか?
もし十二肉棒だとしたら、アキラたんの声を聞いたり顔を見たりしただけで
気絶したりするだろうか?
肉棒ならば、今までに何回もアキラたんの要望に応えてご奉仕しているはずだ。
そしてアキラたんのアヘ声や痴態を知っていてもおかしくないのではないか?
アキラたんの姿や声で倒れてしまうという事は、もしかしたら彼らは
十二肉棒候補だというだけなのかもしれない。
,.-、
j;,;; ,.`、 /|||||''||ヽ
/;,; ,;;; ; ,ヽ ||(*゚▽゚)|
/;, ;,;; ,;, ;, .: 、つ,:-‐=ヽV(/ヲ
i,;; ;,;;, ,; ,;;;, ;. ;.〉': : ;:: :; : .`ヾ')
l; ;,; ;,; ; ;,; ; ;,/:,. :: :, :;,: ,:,; :,゙ヒ>
ゝ、;_;;_;;;_;_;/: : , ::: ,: ;:; ;:,. ;: !
'⌒(/`ー^t';,.: .; , :, :; ;; ::;:.,: '
!、_;;_;_;;_;;:=-‐'"
イチゴアキラたんハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ホッシュハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)
苺にかけるのはアキラミルク〜♪
>975
ごめんアキラたん、一瞬大空を羽ばたくモスラアキラたんかと思った
塔矢門下の春の苺狩りツアーに参加したいです(;´Д`)ハァハァ
(22)
「社、キミ、・・・強くなったね」
三ヶ月ぶりの対局の後、盤面に描かれた白黒の模様を真顔で眺めながらアキラが言った。
社もまた勝負のついた盤面を睨みながら、唇を突き出して首を振った。
「いや・・・オレも北斗杯で負けてから相当頑張って、力つけたつもりやってんけど・・・
それでもまだ、塔矢に敵わへんのやなあ。塔矢も何や、またごっつい強なってへんか」
社の言葉が謙遜などでないことは、エアコンの効いた室内にも関わらず
その額にじっとりと浮かんだ汗からも窺える。
その感覚はヒカルにも覚えがあった。
追う立場の者がどれだけ走っても、手を伸ばしても、アキラには容易に届かない。
「追って来い」かつて投げかけられたその言葉どおりに、
アキラはこと碁に関してヒカルが自らを追い越すことを、
常に自らがヒカル以上の速度で前進していくことを以て厳しく封じた。
「それはボクだって、毎日精進しているからね」
社の言葉を眉一つ動かさず引き取ってから、アキラは盤面から顔を上げ表情を和らげた。
「けど、キミも強くなった。五月の時はまだ危なっかしいところもあったのに随分安定したし、
正直な話ボクも何度か・・・」
「何度か?」
身を乗り出すようにして真面目に問い返す社をチラッと見て、
アキラは盤面に視線を戻し少しばかり癪そうに小声で言った。
「・・・そんな手があったのかと、思わされた」
「・・・・・・ほ〜〜か!」
ぱっと喜色を表した社に、アキラは釘を刺すように言った。
「ただそれは飽くまでボクがその手に気づいていなかったというだけの話だ。
せっかく意表を突く一手を放っても、盤上の展開の中でそれを最大限に活かすことが
出来なければ意味がない。もしキミがそれを出来ていたなら、勝負はもっと競っていたはずだ。
たとえばこの一手・・・」
「お、おぅ!」
社を前に早速石を並べ直し始めるアキラの表情は、普段より生き生きとしているように見えた。
(23)
「・・・オレ、まだまだやなぁ。途中までは結構イケる思とってんけど・・・読みが浅かったわ」
一局の検討が終わると、社は少ししゅんとなって鼻の頭を掻いた。
そんな社の様子を見てアキラが微笑む。
「気を落とすことはないよ。さっきも言ったけど、五月の時に比べてキミは格段に強くなった。
何より今回のキミからは、気迫が伝わってくる。・・・いい合宿になりそうでボクも嬉しいよ」
「ほ、ほぉか」
へへ、と社が照れ臭そうに首を竦める。
「実はオレも、今の一局は結構気合い入れとったんや・・・そんな風に言って貰えると嬉しいわ」
そう言う社の顔は母親か教師に誉められた子供のように、本当に嬉しそうだった。
「進藤とボクは、いつも打っているんだから後でいいだろう」
アキラのその一言で、夕飯前のもう一局はヒカルと社で戦うことになった。
パチリ。
パチリ。
盤上に描かれていく模様を、アキラが平静な表情で見守る。
真っ直ぐな眼差しは二人のうちどちらにも肩入れしていない。
ただ静かに白石と黒石の力を比べはかっている。
かつて北斗杯予選時に己が目の前で行われた二人の熱戦――
あれから二人がそれぞれどのような成長を遂げたのか、見定めようとしている。
ヒカルはちらりとアキラを見た。
盤面に向けたアキラの表情は風が無い時の水面のように美しく動かない。
――その水面を風でさらってやれと思った。
社の一手が先刻アキラを驚かせたのなら、
今度は自分の一手でアキラの胸を躍らせてやろうと思った。
碁笥の中から石を取り、
パチリ。
とヒカルは社の喉元に斬り込んだ。
(゚д゚)ウマー
(32)
さっき芦原は12人になるまでゲームを続ける、と言っていた。
もしかしたらこの勝ち残った12人こそ十二肉棒として採用されるのかもしれない。
アキラたん'sや喜び組み、そしてアキラママや桜穴の誘惑に耐えてこそ、
パトヤシロに次ぐ地位で、6本珍子では飽き足らなくなったアキラたんの要望に
応えられる存在であるべき十二肉棒に相応しいという訳か。
そしてもちろん囲碁を嗜む人間でなくてはならない。
そうだ、そうに違いない!
いや、だが、その条件だけで肉棒に選ばれると考えるのは虫が良すぎやしないか?
やはり現物のチェックも無くてはおかしい・・・・。
単にアキラたんを見て気が動転しているのか、防衛本能がそうさせているのか、
俺はアキラたんを見た事による興奮を脳には伝えず、訳の分からない思考へ
誘導する事で何とか平静を保つ事に成功した。
せっかくのチャンスなのにここで倒れるわけには行かない!
俺はゆっくりと自分の体調を気遣いながら、さっきから目の前で展開されている
事実を脳細胞に送信した。
脳内シナプスがパチパチパチッと音を立てて画像と音声を伝達して行く。
(33)
あー、本物のアキラたんは何て美しいのだ。
それは俺の想像を遥かに超えた美しさだ。
いや「美しい」などという平凡な言葉では到底言い表せない程に美麗だ。
やはり今日発売の週刊碁にあったアキラたんと同じで、カオッパ髪が肩まで
伸びてサラサラ揺れている。
肌の色は抜けるように白くてシミ一つない。
ヤシロと並ぶとその華奢な体がより強調されて女性にしか見えない。
今日はチャイナ風のピッタリとした上下の衣装を身に着けている。
兄貴が『今度の日曜、あいてるかな?』とか言って誘い出して院生研修の
部屋を見に行かせた時の、あの妙な上下の服に似ている。
上着はウエスト付近までしか無く、細めのズボンを身に着けているので、
柳腰のラインがくっきりと見えて悩ましい。
服の色は淡い紫色で胸に何箇所かある掛けボタンは濃い紫色になっている。
アキラたんのネコ目はくっきりとしていて見る者の視線を惹きつける。
そしてチェリーの唇から発せられた『やしろ』という声は、あのアキラたん
独特のハスキーボイスで、しかも遠慮がちに発せられたその声は限りなく
優しくて艶っぽかった。
アキラたんは今ベールのカーテンの中の玉座に座って穏やかな表情で
前を見ている。
俺は会淫の後ろの方にいて、ベールが邪魔をしてアキラたんの細かい
表情が見えないのは残念だが、12人の中に残る事が出来たら、きっと
アキラたんを間近で見る事が出来るのだ!そうに違いない!
(34)
会淫や肉棒達が緊張で顔を強張らせている中、芦原は呑気に笑いながら、
「あれ?アキラー?もう出てきちゃったのぉ?」
「しょうがないなー。やっぱり囲碁ゲームが気になるんだねぇ」
と言ってヘラヘラしている。
芦原のマイペースな明るさはこの場合非常に助かった。
教祖登場で張り詰めた空気が、芦原の笑い声に救われて皆も笑顔を取り戻す
事が出来た。
アキラたんの登場は本当はもっと後だったのだろう。
だが、自分の棋譜を題材にした次の一手ゲームとあって、居ても立っても
いられなくて無理矢理舞台に出てきてしまったのだと思われる。
囲碁バカのアキラたんを動かす事の出来る囲碁ゲームは神だ!
お陰で俺達はゲームの間、ほぼ素になっているアキラたんを拝む事が
出来るわけだから。
「えー、それでは早速始めます。並べてもらえます?」
芦原がそう言うと、越智が何も言わず大盤の前に立って黒石から順番に
置いて行く。
「皆さーん。手順も大事だから玉座の方ばかり見てないで、ちゃんと
碁盤に注目して下さいよー」
そう言いながら芦原は問題用紙を手に取って確認してから教鞭を持った。
「はい。これは教祖が黒番の一局ですね」
「50手目の白のこの覗きに対して黒はどう打ったかが問題です」
よしッ!分かった。これはつい最近打たれた名人戦リーグでの一局だ。
上辺での覗きに対して当然継ぐと思われたのに、アキラたんはそこで継がずに
突き当たって右辺への足がかりを掴んで白の勢力拡大を押さえ込んだのだ。
(35)
「えー、答えの一番はここの『継ぎ』、二番はこっちへ『突き当たり』、
三番は『下辺への開き』、さーどれでしょう?」
「いやー、今解説したいけどダメ?だめ?・・ダメだよね?」
と、芦原は兄貴や玉座の方をキョロキョロ見ながら残念そうにした。
やはり芦原もプロ棋士だけのことはある。碁盤を前にするとついつい詳しく
解説したくなるらしい。
解答は一番か二番に限られる。三番は筋違いだ。
初心者ならまず一番の継「継ぎ」しか考えないだろうし、それが一番無難だ。
俺も継ぐと思う。
だがトッププロになるとそう簡単には考えない、ずっと先まで手を読む事は
もちろん大事だが、まだ序盤でも全体の形勢判断も非常に大事だ。
ほんの少しでも不利だと思えば無理をしてでも勝負手を打ってくる。
プロにとって「良い一局だった」と言われることは大事だが、その場合は
その一局の勝者でなくては意味が無い。
たとえ半目でも負ければ意味が無いし、プロで3目以上差がついたら、
それは大差に近い。
だからこそ中押し負けになるのを覚悟で活路を見出すべく強手を放って
くるのだ。
アキラたんは勝利をもぎ取ろうとする力が非常に強い。
それは即ち読みと形勢判断が正確な上に冷静で思い切りが良いのだ。
会淫達がざわつく中、警備の四人がオカッパを揺らしながら会場の中央に
現れた。三人は一番から三番までの番号板を持っている。
「えーでは一番は前のこっちに、二番は前のあっちに、三番は後ろ側に行って
下さい」
と芦原が言うと板を持った人間がそれぞれの場所に移動した。
会淫達もそれに合わせて、自分が思うところの番号近くに集まってくる。
最初250人位はいると思われていた会淫も、出て行ったきり戻って来ない
会淫が多数居るので、現在は150〜160人に減っているのではないだろうか?
(36)
俺は自信満々で二番だと思っているが、会淫の様子を見ているとやはり一番を
選ぶ人間が一番多いように思われた。
他の会淫の動きを見ながら行ったり来たりして迷っている会淫も多数居る。
「さー、そろそろ決めてくださいよー」
と芦原が声を出すと、もう一人の警備の人間が会場のほぼ中央に立った。
きっと解答が分かった途端にズルをする人間を捕まえるためなのだろう。
「では、あと十秒で打ち止めにしまーす!10、9、8・・・・」
俺はこの間ずっとアキラたんの方を見ていた。
いや見惚れていたと言った方が良いかも知れない。
やはり本物のアキラたんはその身に纏っている空気が全然違う。
それは他の会淫も感じているようで、今までのように気安く声援を送る
者など誰一人として居ない。
アキラたんはその長い脚を組んで肘かけに右腕を乗せて穏やかに成り行きを
見守っている。
生アキラたんの姿に気が遠くなったのか倒れてしまった会淫も数名いた。
「2、1、0!はい終わり!」
芦原が時間切れを告げると妙な緊張感が会場を埋めた。
そしてそれぞれのグループ同士で静かなガン付け合いが始まった。
ここに居る会淫全員がライバルなのに、同じグループの人間達の中には
何か同じ運命を背負っている者ならではの連帯感が漂っていた。
この問題で一緒に正解者になれたとしても、次の問題ではライバル同士に
なる事は分かっているが、今この瞬間は共に正解を勝ち取ろうという意識が
働いているのかもしれない。
そして他の二つのグループを睨みつける事で不安を忘れようとするかのようだ。
(37)
「ハイ、正解は二番です!」
その途端に二番グループからは歓声が上がり、他のグループからはどよめきが
起こった。
何やら不満を口にしている者も多数居る。
「えーっと、この場合は継ぐのが普通ですが・・・・」
芦原が解説を始めたが、聞いている者は殆ど居なかった。
短い解説の後、
「あ、じゃ、一番三番の方達は後ろの方に移動してください」
と芦原が言うと、ヒモを持った人間が現れて正解者と不正解者の間を分けた。
この調子で三問が終ると、すでに正解者は7人になってしまった。
この7人に、大きなホッチキスの様な器具を使って簡単には取れない腕輪が
右手に付けられた。
十二肉棒候補が付けている腕輪は黒かったが、これは薄いブルーで小さな
菊門紋章入りだ。
俺は何だかアキラたんの所有物になったようで踊り出したい気分になった。
この後第一回目の敗者復活戦が行われて、問題に正解した人間が7人に加わって
また新たな二問が行われた。
そこに残った11人にまた腕輪が付けられた。俺は2個目だ。
そしてまた敗者復活戦と二問。
そこに残った15人にまた腕輪を付けて、俺は3個になった。
(20)
「さっきお芋を届けに行った時、おばさんがお茶を淹れてくれて少し上がらせてもらったの。
今日はヒカルいないんですか?ってあたしが聞いたら、ヒカルは加賀君たちと出かけてるの、
って。だけど加賀君は今日伯父さん夫婦が家に来てて出られないし、
筒井さんはここ二、三日風邪気味だとかで学校をお休みしてるし、三谷君だって・・・
おばさんに嘘をついてまでどこに行ってたの?
それに、最近ヒカルは付き合いが悪くなったって三谷君が言ってたよ。
それと何か関係があるの?」
「あー・・・」と呟いてヒカルは頭を掻いた。
母の美津子に対する感情から、ヒカルは女という生き物を多少苦手としていた。
だがこのあかりは別である。
母親同士の仲が良く、幼い頃からきょうだいのように接してきただけに気心は知れていた。
しかしだからと言って、アキラに会いに行っていることを打ち明けるわけにはいかない。
それを話すとなったら自分がアキラと会うに至った経緯や、
かの少年が置かれている境遇についても触れなければならないだろう。
気にしやすい年頃のヒカルにとって、それはかなり気恥ずかしいことに思えた。
それにアキラの格子窓を訪うことは、人目に触れず大事に仕舞い込んだ宝物を
自分一人でこっそりと眺めるのに似た、何とも言えぬ甘美な情動をもたらす行為だった。
それをいくら幼馴染みであるとは言え、他の人間にあっさりと洩らしてしまうのは
勿体なく感じられたのだ。
少し考えてからヒカルはぶっきらぼうに答えた。
「・・・別に、大した用じゃねェよ。ちょっと家を出て一人になりたかっただけだ」
「そお?・・・」
あかりは舶来物の人形のように睫毛がくるりと反り上がった、
栗色がかった大きな瞳でなおも探るようにヒカルの顔を見守っていたが、
しばしの沈黙の後、根負けしたように溜め息をついた。
「・・・いいわ、ヒカルがそう言うなら信じる。でももしヒカルに誰かの助けが
必要な時が来たら・・・その時は一番にあたしに相談してね。絶対だよ」
(21)
「あー、ウン。ありがとな」
思いがけずあっさりとあかりが追及するのを止めてくれたので、
ヒカルはほっとして笑顔を見せた。
そんなヒカルに対しあかりはまだ日頃の快活さが戻らない表情で、もう一度念を押した。
「・・・筒井さんとかじゃなくて、あたしにだよ。約束して!」
「んっ、わかったわかった。約束するからさ、今日のことはお母さんには黙っててくれよ」
「いいけど・・・」
ヒカルの軽い反応が不満なのか、あかりがまたぷぅっと頬を膨らませる。
「ンな顔すんなよ。もう暗くなったし、家まで送ってやるからさ」
「・・・うん」
幼馴染み同士、言葉少なに黄昏の雑木林を歩き出した。
雑木林を抜ける頃、ふと道脇に目を遣ったヒカルは、
湿った土の窪みの中に懐かしい佇まいの白い物を見つけた。
「あれ・・・」
「えっ?」
土を踏む音が止まった。
ヒカルの視線の先にあるものを見たあかりが、表情を和ませて言った。
「ああ、もう桜草が咲く季節なのね」
「サクラソウ?」
「そうよ。ヒカルも名前くらい知ってるでしょ?」
あかりの後ろ姿がさくさくと土を蹴ってその場所へ先導した。
(22)
近づいてみれば、それは確かにあの花だった。
アキラの部屋に時折、おもちゃのような一輪挿しの花瓶で飾られているあの花。
ほっそりとした茎の上部を、桜に似た白い花が数輪で円く取り巻くように咲いている。
その形状は、若い娘が髪に挿す簪をヒカルに連想させた。
「・・・ヒカルが花に興味を持つなんて、意外」
いつまでもしゃがみ込んで指で花に触れたりなどしている幼馴染みを見て、
あかりが本気で驚いたような顔をする。
「あ?べ、別に・・・興味とか、そういうんじゃねェよ!これ花だろ?男が花なんて興味ねェよ!」
急に照れ臭くなってがばっと立ち上がった。
「え?そうなの。でも、ヒカルは花に興味がなくても、ヒカルに花を貰ったら
喜ぶ子もいるかもしれないよ?」
「へ?」
「女の子なら誰だって、お花を貰ったら嬉しいって思うもの。
あたしももし自分にお花をくれる人がいたら、
それまでその人のこと特別好きだったわけじゃなくても感動しちゃうな。
その辺りに咲いてる、何でもない花でいいから」
「ふーん?・・・」
幼馴染みが何故こんな話を始めたのかよく分からなくてヒカルが黙っていると、
あかりは急にハッとした顔になって焦り出した。
「・・・あ、深い意味はないのよ!別にヒカルからあたしがお花を貰いたいって言ってる
わけじゃないんだから、か、勘違いしないでよね!」
その顔が見る見る赤く染まっていく。あかりのこんな様子を見るのは初めてだった。
あかりはしばらく何だかんだと一人で混乱気味に騒いでいたが、
やがて呆気に取られているヒカルの視線に気づくと、
「・・・何よぉ」と紅潮した頬で小さな唇を尖らせた。
(23)
「それは藤崎さん、進藤君のことが好きなんじゃないのかな?」
放課後の教室。
この間のあかりとの遣り取りを学校で筒井に話すと、事もなげにそう返された。
「え?まっさかぁー!相手はあかりだぜ?ガキの頃から泥んこになって一緒に遊んで・・・」
「子供の頃の関係が大人になったら変わるなんて、よくあることだろう?
ボクたちだってそろそろそういう話が出てきてもおかしくない年だよ」
そう言いながら筒井は急に顔をしかめて胸の辺りを押さえ、小さく咳き込んだ。
「筒井さん、大丈夫?風邪まだ治ってねェの」
「大丈夫だよ。ボクは昔から一度病気になると治りが遅いけど、
大事にはならないってキミも知ってるだろ?」
友を安心させるようにそう答える筒井の微笑みは相変わらず穏やかで人懐こく、
たとえあの置屋での出来事に衝撃を受けたとしても、
自分はやはりこの相手を嫌うことは出来ないのだとヒカルに思い知らせる。
四人の仲間は学年は同じだが、実は筒井と加賀の二人はヒカルと三谷よりも年長だった。
筒井は体が弱くて出席日数が不足しがちだったために、
加賀は勉学よりも喧嘩や街遊びに精を出して留年を重ねたために、
いまだにヒカルたちと同じ学年にいるのだ。
男兄弟の中で育ち統率力のある加賀が男に慕われるのに対して、
物柔らかで落ち着いた雰囲気の級長筒井は同級下級を問わず女生徒に人気があった。
だが、今までそのように女生徒にもてはやされるといった体験などとはおよそ縁がなかった
ヒカルにとって、あかりが自分を好いているかも知れぬなどという情報は寝耳に水である。
「まさかなぁ・・・」
そう呟きながらも瞼の裏には昨日自分の前で真っ赤になったあかりの顔が思い出されて、
どことなく誇らしいような、心が浮き立つような感覚を呼び起こすのだった。
(24)
「あ、進藤君。もしかしてボクのこと待ってくれてる?
ボクはこの後、進路のことで先生と相談があるから、先に帰っていていいよ」
級長の日誌を書いていた筒井がふと手を止めて、ヒカルに言った。
「え、そうなんだ。加賀と三谷は?」
「加賀は今日の放課後、伯父さん夫婦の家に行くって言ってた」
「この間は、伯父さん夫婦が加賀の家に来てたって聞いたぜ?」
「あ、そうなの?ボクも詳しい事情は分からないけど・・・」
「三谷は?」
「三谷君も何だか用があるって、授業が終わったら飛んでっちゃったよ」
「チェッ、そうなんだ」
アキラの許に通うようになってから自分はすっかり仲間付き合いが悪くなっていたのに、
いざ仲間のほうで自分を放って帰ってしまったと聞くと友達甲斐のない奴だなどと
感じるのだから人の心とは勝手なものだ。
だがこうして仲間たちの予定がばらばらになっている今日なら、
自分がいない間に他の三人が楽しい冒険をしているのではないかといった想像に
後ろ髪を引かれることなく、すっきりとした気持ちでアキラに会いに行くことが出来る。
「・・・わかった!じゃ、オレ先に帰るね筒井さん」
ヒカルが勢い良く立ち上がった時、気をつけて、と言いかけた筒井が急に顔を俯かせ、
口に手を当てて激しく咳き込んだ。
ヒカルが、歩いて行きかけた体を慌てて振り向かせる。
「筒井さん!?本当に大丈夫」
「・・・大丈夫だよ、すぐ治まる。家に帰ったらまた、ねえやに生姜湯を作って貰うよ」
田舎とは言えこの一帯では名の知れた富家の一人息子として生まれた筒井は、
生来病弱ということもあろうが幼少時から何人もの女中をつけて大切に育てられていた。
筒井の体調を気にしいしい教室を出て行くヒカルの耳に、
――ボクたちこうして大人になっていくのにつれて、みんなばらばらになっちゃうのかな。
と独りごつような筒井の声が聞こえた。
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