>940
未完成のほうは抱き上げたらすげー軽そうでかわええ(;´Д`)ハァハァ
アキラ号の体の中身はどうなってるんだろう?
当初、ネジや歯車や配管が詰まってるロボットっぽいのを想像していたが
アキラミルクが原材料だし培養液みたいなのに浸って育ってるから人間と同じなのだろうか。
>939
鍵穴に合った鍵を挿し込むとカチャリとドアが開くように
俺珍子によって開くアキラたんの穴ーるの扉(;´Д`)ハァハァ
>945
ゼンマイが付いてる頃は機械の体だったんだろうか?つД`)ウエーン
あれもカワエエかったなあハァハァ(;´Д`)
>947
機械の身体から改良されて近ヒト型になったんだな。
博士の手記として、アキラ号開発史を出版して欲しい(;´Д`)ハァハァ
甘いものが食いたくなってきたよ(;´Д`)
止めたいのに止められないハァハァ(;´Д`)
まるで磯巾着アキラ穴ーるハァハァ(;´Д`)
俺のデブ化を止めてくれ!
>947
時々油を差してやらないと動きが固くなったうゼンマイアキラたん(*´Д`*)ハァハァ
ゼンマイアキラたんも肌触りやチェリーのクチビルの柔らかさなどは
限りなくアキラたんに近づけて作ってあるんだろうな〜(*´Д`*)ハァハァ
スレ勃て挑戦してくる!
┌─────――――┐
│Bar. チチャーイやまねこ│
└─────――――┘
開店致します!!
日 凸 ▽ ∇ U
≡≡≡≡≡≡≡ /|||||"||ヽ イラッシャイマセ!!
U ∩ [] %.. |(゚▽゚*)|| /
_________(つ)Uと)_/
―――――――――――――┐ ||
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━┳━ ━┳━ │/ ||
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(24)
「じゃあ、この痣とかは、妖しのせいなんだな」
自分でやるからいいと云うのに、光は強引に明を座らせテキパキと水を用意して、
固く絞った手拭いで明の全身を拭いてくれていた。
下袴を外し、微妙な部分にまで手を差し入れて他人に拭かれるのは恥ずかしかったが、
明はこうして光のなすがままに扱われるのが嫌いではなかった。
邪念のない手つきで、ごしごしと清められていく感覚が心地よい。
「うん」
「そうか、良かった。オレはてっきり・・・」
「夜盗にでもやられたと思ったかい?」
「ウン。でも、どっちにしたってオレが来たからにはもう大丈夫だ!
オレがそいつ倒して、オマエ護ってやるから」
たすき掛けした腕でジャッと水を絞り、笑顔で胸を叩いた光に明は溜め息をついた。
「簡単に言ってくれるね。ボクでも対処出来ない相手に、
キミがどうやって勝とうっていうんだい」
「この間一緒に妖し退治した時は、オマエに貰った御神刀で倒せたじゃん。
あれもう一遍貸してくれよ。夜になってそいつがオマエの中から出てきたら、
オレがやっつけてやる」
「あの御神刀は宮中に代々伝わる神宝。前回は都の危機ということで
特別に使用を許可されたが、一介の陰陽師のためになど軽々しく持ち出せる
ものじゃない。それに、もしキミが妖しの立場だったら、自分が刀で斬られる
かもしれないとわかっている状況で外に出ようだなんて思うかい?
・・・ずっとボクの体内にいれば安全なのに」
「う、それもそうだな。ってことは・・・じゃあどうすりゃいいんだよ!?」
「何か別のやり方を考える必要がある。未熟なボクでは対処出来なかったが、
他の陰陽師・・・たとえば倉田さんにこの状況を知らせれば、あるいは・・・」
明は目の裏に、陽気で騒々しいが腕は立つ先輩陰陽師の姿を思い浮かべた。
(25)
「よしっ、わかった!倉田さんを呼んで来りゃいいんだな!」
勢いよく起ちあがった光の袖に、だが明は思わず取りすがってしまった。
「ま、待ってくれ近衛」
「ん、どーした!?」
振り向いた光の瞳は、今にも駆け出していきそうに前向きで力強かった。
その瞳を見て明は、一人で再びこの場に残されるという事態に対して
一瞬弱気になってしまった己を恥じた。
「・・・何でもないさ。ただ、ボクも一緒に行くから少し待っていてくれ。
すぐに支度をする」
光が行ってしまったら、クチナハがまた体内で暴れ出すかもしれない。
またあのような思いをするくらいなら、だるさの残る身体を引き摺ってでも
光について外に行くほうがましだった。
だが、起ちあがろうとした途端喉の奥から細い悲鳴が洩れ、
明はその場に蹲ってしまった。
「はぅっ!・・・くっ・・・」
「賀茂!?どうしたんだよ」
「あぁ・・・」
光が助け起こすと、明はうっすらと頬を桜色に染めて耐えるように目を閉じている。
「んっ・・・んん・・・、あぅ・・・っ、・・・このえ・・・」
「・・・もしかして、そいつがまた中で暴れ出したのか!?」
目の縁に涙を滲ませて、明はこっくりと頷いた。
(26)
日中は夜よりは力が弱るらしいとは云え、クチナハは明が外に出ようとしたり
助けを求めようとしたりするたびに身内から明を責め、動きが取れなくさせる。
今また内部でうねるような運動が始まったのを感じ、明は身震いをした。
――だが、今までに比べるとこの動きは・・・?
体の芯からどうしようもなく甘い疼きが広がっていくのを覚えながらも、
訝しい思いが頭をかすめる。
妖し如きに責められて快楽を感じてしまう浅ましい己の姿など光の目から隠して
しまいたいと思うのに、置いていかれるのが怖くて、知らず知らずの内に明は
光の狩衣を握る手にぎゅっと力を込めていた。
そんな明の様子を見て、光は決意したように云った。
「よし、オレひとっ走り行って乗り物調達してくる!賀茂、そんなんじゃ
歩くの無理だろ。ホントは、外に出るのも辛いかも知れないけど・・・
車ん中でオレがずっと抱いて、手ぇ握っててやるから!それで、いいよな?」
乱れた息の下から薄く目を開いて明は光を見た。
いつも底抜けに明るい光が、ひどく真剣な男の顔をして己を見守っている。
そのことが可笑しくて、嬉しくて、泣き出したいような気持ちになった。
それと同時に、己のために奔走してくれる光の足手まといには決してなるまいと思った。
光の衣を握り締めていた手をそっと離して明は云った。
「気を遣わせてすまない、近衛。・・・でも、ボクはやっぱりここに残ることにするよ」
「なんで?遠慮してんのか?」
「いや・・・それもあるけど、いつもに比べると今日はどうも・・・動き、が大人しい
ような気がするんだ。これくらいなら一人で待っていられると、思う」
今までならこういう状況では、クチナハが分泌する疼きを生む淫液に
内部をジクジクと灼かれ、その上で更にクチナハに激しく動かれて、
明はなす術もなくのたうち悶えるより他に手がなかった。
それがどういうわけか、今日に限ってクチナハの動きが妙に緩慢だ。
奥の一点を突く動きも今までのような荒々しい勢いがないし、分泌される淫液も
普段より量が少ない気がする。
――弱っている、ような印象を明は後門で感じ取った。
(27)
「へ、そいつ今弱ってんの?どういうことだ?」
「わからない。特別なことは何もしていないはずだが・・・」
「特別なこと・・・?あっ」
光は急いで懐から一枚の紙片を取り出した。
「何だい?それは」
「護符なんだってさ。オマエの見舞いに渡してくれって、あかりから貰ったんだ。
さる親王様・・・一の宮様とか云う方がくれたんだって、云われたけど」
「一の宮?」
「知ってるのか?」
「帝に腹違いの兄宮が御ひと方おいでになるという話は聞いたことがあるが、
どのような方かまでは・・・近衛、ちょっとそれを見せてくれないか」
それは、明が見たことのない図柄だった。
一本の太い線が中心に向かって渦を巻く様子は、奇しくも蛇――クチナハを連想させる。
その護符を明が光から受け取る瞬間体内のクチナハが苦しむように大きく一つくねり、
次いでもともと緩慢だった動きが更に弱くなった。
――これだ。
明はにやりと赤い唇の端に微笑みをのぼらせた。
我が身が苛まれているさなかだと云うのに、妖しを追いつめられるかも知れぬ手立てが
見つかって心に攻撃的な歓びを覚えるのは、陰陽師としての血の成せる業だろうか。
妖しいまでに艶かしく美しいその表情に、己を抱きかかえる光が一瞬目を丸くし
ぞくりと身を震わせたことにも明は気づかない。
(28)
「あかりの君にはよくお礼を云っておいてくれ。この護符が効く妖しだということを
手がかりに、対処法が見つかるかもしれない。近衛、そこの筆と料紙を取ってくれ」
「あ、ああ」
さらさらと筆を走らせて護符の形状と図柄を写し取ると、明はそれを光に渡した。
「これを倉田さんの所に持って行って、事情を伝えて欲しい」
「わかった。任しとけ!」
渡された紙を大事に折り畳んで懐にしまい込み、光は改めて胸を叩いてみせた。
「じゃ、行ってくる!」
「すまないね。頼んだよ、近衛」
「あ、ちょっと待った」
いったん階を下りていきかけた光が、小走り気味に舞い戻ってきた。
「?」
「ちょっとだけな」
云うなり光は明を抱きしめその柔らかな唇を吸った。
面食らう明からぱっと顔を離し、背を向けて立つ。
「近衛・・・」
「・・・最近はオレとだって全然してないのに、妖しなんかにやられやがって。
オマエの中のそいつ、追い出したら、オレ思いっきりオマエのこと抱くからなっ!
覚悟しとけよ!?賀茂!」
答える暇も与えずにそれだけ云うと、光は照れ臭そうに振り返りもしないで
階から飛び下りて行ってしまった。
「・・・・・・」
自然と唇に指を遣る。
まったく光はいつも強引で素直で予想を超えていて、それでいてそんな光の
なすがままに扱われるのが、己は決して嫌いではないのだ。
緑がかった丸っこい小鳥が、チッ、チッ、と鳴きながら室内へ跳ねてくる。
「・・・ボクを、心配してくれたんだね」
懐かしい小さな友達を両手に掬い上げ、頬を寄せる。
あの頃は知らなかった温かな想いに満たされて、明はどちらに云うともなく
――ありがとう、と囁いた。
/|||||"||ヽ
||(゚ヘ⊂ヽ))
/ _ノ⌒⌒ヽ.
( ̄⊂人 //⌒ ノ
⊂ニニニニニニニニニニニニニ⊃
(29)
「えぇっ!倉田さん留守なの!?」
「地方での陰陽祭を執り行われるにより、今月中は戻られませぬ」
勇んで陰陽寮を訪ねた光だったが、倉田は都を離れていた。
「そんなぁ・・・」
途方に暮れる光の耳に、聞き覚えのある偉そうな声が飛び込んできた。
「そこにいるのは、近衛じゃないか?検非違使の。陰陽寮なんかで何をしている」
「お、緒方様!」
「――全く心当たりはないと云うんだな」
「はい。いつものように一人でその、・・・おりました時に、気づくとその者が側に居て」
「おまえの中に入った」
「はい」
緒方は光から事情を聞き出すと、すぐに乗り物を呼び賀茂邸につけさせた。
慣れない牛車で同道させられた光は揺れる車の中でしこたま頭をぶつけ、
ずれてしまった烏帽子を直そうと格闘している。
「この御符が効いたというのが分からないな。都一の天才陰陽師、賀茂明が尽くした
他のどんな手段でもそいつには敵わなかったのに、この御符だけが――」
「都一はやめてください。ボクはまだまだ未熟者ですよ。今回の件を通して
思い知りました」
寝床の上から半身だけ起こして、脇息に寄りかかった明が云った。
緒方は扇をパチンと鳴らしながら「ふ・・・ん」と考え込んでいる。
「緒方様、そのさ、一の宮様ってどんな方なんですか?」
漸く烏帽子を元通りにするのに成功した光が聞いた。
「一の宮か・・・私も直接お目にかかったことはないが・・・」
緒方が視線を少し上に遣って記憶を辿る。
(30)
「先の帝の第一皇子で、今上帝の腹違いの兄君。
御生母は宮家出身の更衣で血筋は高貴だが、確たる後ろ盾無くして入内されたため
苦労も多く、一の宮をお生みになってすぐ亡くなられたらしい。
それから暫くは母方の宮家で養育されていたが、長じてからは都を離れ、
何でも――陰陽術の研究に熱中していらした――とか」
「じゃあっ、その宮様も賀茂と同じ、陰陽師ってことか!?あ、いや、ことですか?」
緒方は曖昧に首を振った。
「いや。陰陽師という職業とは別に、貴人や知識人の中に独学で陰陽の道を学ぶ者は
少なくない。皇子ともなればその立場を活かして、大陸の貴重な陰陽書や国内外の古典を
収集されるのも容易いことだろう。だからそうした書物の中に賀茂が知らない御符の
記述があって、それがたまたま今回の妖しに効いたのかもしれないが――」
「じゃ、その宮様の所に行って御符のことが書かれた書物を見せて下さいって
云えばいいのかな?」
「ああ、それで解決する可能性もあるが、だがしかし――」
「・・・宮ご自身が、この妖しの主人である可能性・・・も」
明が眉根を寄せて呟いた。緒方が頷く。
「・・・あり得ないとは、云い切れないな」
(31)
「どういうことだ?オレにも分かるように説明してくれよ、賀茂」
「うん。つまり、こういうことだ。たとえば近衛、キミが犬を飼っていたとする」
「ふんふん」
「犬は主人には忠実な生き物だが、時には飼い主に反抗したり、
よその人に噛み付いたりすることもあるだろう。そんな時、キミならどうする?」
「うーん・・・まずは口で叱って、それでも駄目なら、可哀相だけど首輪を着けて
繋いでおくかなぁ」
「そうだね。陰陽師に使役される妖しの中には、隙あらば主人を倒して
自由を得ようとする、強力で危険なもの達もある。これは例えるなら、
言うことを聞かない"犬"だ。・・・それを抑えるためには、飼い主はその犬に合う
"首輪"を持っていなければならない」
「それが、御符か」
明がうん、と頷いた。
「単なる健康祈願や厄除けの御符だったら、陰陽師が何枚か持ち歩いていても
おかしくないけどね。倉田さんなんか、よく自筆の御符を都の人に配り歩いている
ようだし。でも、こんな珍しい御符をたまたま持ち歩いて、それが偶然ボクの妖しに
効いたというのはやはり考えにくい。宮がご自身の使役する妖しを操るために
持ち歩いていたと考えるのが自然だ。・・・それなら、宮が久しぶりに都に戻って
来られた日と妖しが現れた日が同じだったことの説明もつく」
「なるほどな。話はわかったけど・・・だったら、やっぱりその宮様んとこ行って
わけを話すのがいいんじゃねェか?お宅の妖しが逃げ出して困ってますって」
光は首を捻った。
よその犬が逃げ出していたら、まずその飼い主に知らせる。
それと同じではいけないのだろうか?
(32)
「勝手に逃げ出したのか、わざと放したのかが問題だ」
緒方が低い声で云った。
「宮がどのようなお人柄であるか詳しくは存じ上げないが、その境遇を考えれば
帝の兄でありながら強い後ろ盾を持たなかったため皇位とは無縁、
都人からも半ば忘れられかけた非運の皇子――という見方も出来る。
時の政治に不満を持つ皇族や朝廷人が帝を呪詛したり内裏に火を放ったりした事件は、
この国の歴史の中でこれまでにもあったことだ。一の宮がもし帝を恨んでおいでだと
すれば、まず帝の信頼厚い天才陰陽師として名を馳せる賀茂の身動きを取れなくさせ、
その間に帝やこの都に対して何らかの陰謀を企むことも十分考えられる」
「そんな・・・」
光は白い単姿で脇息に凭れている明を見た。
連日のクチナハとの攻防で疲れているのか目の下にうっすらと蒼い隈を作って、
少し姿勢を崩し首を前に傾けているその姿は普段より一層儚げに見える。
その明が良くわからない政治的思惑のために妖しに苦しめられ、しかもそれが
都や帝の危機に繋がっているかもしれないとすれば、これは一大事ではないか。
明を助けたいという気持ちに加え、都の人々の笑顔を守る検非違使としての正義感が
沸々と光の胸に湧き上がってきた。
「そんなことが起こってるかもしれないんなら、ますます放っておけねェ!
どうすりゃいいんだ!?よしっ、まずオレがその宮様のうちに乗り込んで――」
「いや、それは駄目だ。不遇な立場にあるとは云え相手は帝の皇子。
万一間違いだったり、無礼があったりしては――」
「ああ。それに今話したことがもし当たっているとすれば、何の準備もせずに
乗り込むのは丸腰で敵の懐に飛び込むようなものだ。危険過ぎる」
「でも、じゃあどうすりゃ――」
うーん、と三人で額を寄せ集めて考え込んだ。
(33)
「・・・法力勝れた聖の噂を、聞いたことがある」
ややあって、緒方がぽつりと呟いた。
「ヒジリ?」
「ああ。難波の出身で、長年仏道の修行に励み強い法力を得たとか。
その聖が最近洛外の山中に庵を結んで修行をし、時折街に下りて来ては
人々の病を治したり物の怪を退治したりして、評判を呼んでいるそうな」
「そのお坊さんを連れて来たら、賀茂の中の妖しも退治してくれるかな?」
「わからんが・・・他に手立てもないなら、坊主に相談してみるのもいいんじゃないかと
思っただけだ」
緒方が難しい顔でふんぞり返った。
もし無駄に終わっても己のせいではないと言いたげだ。だが、本当の所は緒方も
途方に暮れているのだろう。
「近衛・・・」
明が心配そうに光を見る。光は安心させるようににっこりと笑顔を見せた。
「賀茂、そんな顔すんなって。オレ、そのお坊さんに訳話してここに来てもらう。
嫌だって云われたら、地面に頭つけてでも来てもらう。
・・・きっと何とかなるさ!大丈夫!」
思い切り笑うと真っ白な歯がこぼれる。
その底抜けの前向きさが眩しくて、明は目を細めた。
| ::::::::::::::: アト
| /|||||"||ヽ::::::::::: ヤキウ
_ | |(゚〜゚*)|| :::::::::: リラヤ
◎ー) / ヽ ::::::::: マハ
| | (~) (~二) :::::::: ン
~~~ /⌒ヽ( ̄、 ヽ ___
/ Lヽ \ノ___
゙ー―――(_)---
迷ったけど出します。何やってんだろ俺・・・。Part47>273のつづき
※せいじ運子話につき、嫌なヤシはスルー頼んます
(2)
幼い頃から見守り導いてきた弟弟子のアキラに排便姿を見られる・・・
いや「見ていただく」ということは、
せいじにとってそれまで築き上げてきた自己を全て壊すことにも等しかった。
だがそんな屈辱的なはずの状況に、限りない安らぎを覚える自分がいるのもまた事実だった。
蔑むようなアキラの強い瞳に見られながら排便しることは
小さな子供の昔に返って母親の前で運子をしるような、郷愁にも似た感覚をせいじにもたらした。
突き上げるような強い便意の波が襲い「せいじもう駄目かもしれない」と思った瞬間、
アキラが振り向いた。
顔を真っ赤にして下半身にプルプルと力を込めるせいじを見てアキラはハァ・・・と
聞こえよがしに溜め息をついた。
そのまま小さく首を傾げると、漆黒の黒髪が窓からの光を受けてサラリと輝く。
「出したいの?」
眼鏡がズレるほどコクコクと強く頷く。
二人きりのこの空間にいる時、アキラはせいじに対して普段の敬語を使わない。
「ふぅん。可哀相だね」
そっけなく視線を本の上に戻し、白魚のような手でページをめくり出したアキラにがっかりする。
一旦解放の期待を持たされたせいか下半身の衝動は激しさを増し、
このままではあと1分も耐えられそうにない。
(3)
「あ、あ、あ、アキラ君・・・っ!」
下半身にありったけの力を込め声を上擦らせながらせいじはアキラの名を呼んだ。
「うん?」
本の上に視線を落としたままの、気のない返事が返ってくる。
その冷たいうつくしい横顔に自分の窮状が伝わるように、せいじは力一杯訴えた。
「あ、アキラ君っ!せいじもう我慢できないよう」
アキラは本をパタンと閉じて傍らのマガジンラックに放り込み、
回転式の椅子をゆっくりと回してせいじのほうを向いた。
スラリと伸びた美しい脚が膝の所で組まれて、ぶらぶらとせいじの気持ちを弄ぶように揺れる。
あでやかな赤い唇を軽侮の形に歪めてアキラは言った。
「何が我慢できないの?ちゃんと言葉にして言ってごらんよ」
「せ、せいじ運子がしたくて我慢できない。運子がしたいよう」
羞恥を感じる心などとうに失くしていた。
ただ自分の下腹部を突き上げるこの悪魔のような衝動を外に出して苦しみから解放されたい。
それだけだった。
(4)
「そう。本当は臭いが籠もるからベランダでして欲しいんだけど、
今日は寒いから外に出てもらうのは可哀相だね。
じゃあ、してもいいよ、ここで。ただし、白鳥さんからこぼれないようにお願いするよ」
「本当に?後で怒らない?」
「したいの、したくないの?キミがくどいと、見ていてあげないよ」
「する!せいじする。アキラ君、ちゃんと見ててね」
せいじの顔が、我慢のためだけではなく上気してバラ色に染まった。
たくさん我慢して良い運子を出した時は、アキラはいつも心底嫌そうな顔をして
せいじの頬をピシャリと叩く。
秀麗な顔に浮かぶ嫌悪の表情と白魚の手によって与えられる痛みとが
せいじにとっては最高のご褒美なのだった。
今日は我慢してだいぶ経つから、きっとたくさん出る。
それを見てアキラはどんな嫌な顔をするだろう。
どんなに無慈悲にせいじのほっぺたを引っぱたいてくれるだろう。
嗜虐にも自虐にも似た期待感に唇を震わせながら、
せいじは白鳥さんの長い首の横についている取っ手にしがみついた。
アキラの苦々しい視線を感じながら、満面の笑みでせいじは肛門を引き締める力を抜いた。
だがどうしたことだろう。
あれほど待ち望んだ解放の瞬間だというのに、力を抜いても何も起こらない。
そんな馬鹿な、焦って息んでも自分のお尻と白鳥さんの間にある冷ややかな空気を感じるだけだ。
アキラが舌打ちして立ち上がる。
そのままスタスタと、無情な美しい足取りで部屋から出て行ってしまう。
あっ、待って!アキラ君、これは何かの間違いだから、
今から頑張ってたくさん出すから!アキラ君ー!
(5)
ハッと目が覚めると、全身に脂汗をかいていた。
隣を見るとアキラが満ち足りた美しい寝顔で安らかな吐息を立てている。
今宵、ベッドの周囲にはムチやピンヒールや蝶々を模した黒い仮面が転がっていた。
たまにはこんな趣向もと思って緒方が用意したSMセットが気に入ったらしく
今日のアキラはその手のプレイが初めてとは思えない一流の女王様っぷりを魅せてくれた。
縛り上げられムチ打たれた背中がヒリヒリと痛むが、
その後で黒い網タイツにガーターベルトなどというマニアックな格好をしたアキラに
いい思いもさせてもらったし、などと寝顔を見ながらついニヤケそうになった瞬間、
下腹部をキリキリと突き上げる鈍い痛みがあった。
慌ててベッドを抜け出しトイレに駆け込む。
背後でアキラが「ん・・・」と寝返りを打つ音が聞こえた。
思い起こせば十数年前、師匠の家でトイレに籠もっていた時
幼いアキラがいきなり鍵の掛かっていないドアを開けて乱入してきたことがあった。
当時トイレトレーニングが済んだばかりだったアキラは、すっかりお兄さんになった
気分だったらしい。
自分が母親にされていたのと同じように便座に腰掛けた緒方の膝に小さな手をかけ
ニコニコと励ましてくれるアキラの前で、緒方は出る物も出なくなってしまったのだ。
あの時の思い出と今日の珍しいプレイと、たまたま起こった便意とが混ざり合って
あんな奇妙な夢を見てしまったのだろう。
(6)
便座に腰掛けほっと力を抜いて、あの悪魔的な衝動を半分ほど外へと押し出した時
いきなりガチャッとドアノブが回りかけた。慌ててノブに取り付き抑える。
鍵を掛けると、向こう側で残念そうにカリカリカリ・・・とドアを掻く音が聞こえた。
相手の姿が見えないことで身も凍る恐怖を感じた緒方は恐る恐る聞いた。
「・・・アキラ君か?」
「他に、誰がいるって言うんです」
ほっと息をつきながらも緊張は解けない。こういう時は一人になりたいものなのだが。
「向こうに戻って少し待っていてくれ。すぐ空けるから」
アキラも夜中に目が覚めてトイレを使いに来たのだと思った。
だがよく考えてみれば隣で寝ていた自分が消えていてトイレの電気も点いているなら、
自分がここに入っていることはわかりきっているはずだ。
それを承知でアキラはドアを開けようとしたのだろうか?
嫌な予感は的中したらしくアキラがドアの前から立ち去る気配はない。
「アキラ君、そこにいられると落ち着かないんだ」
懇願するように言った。
アキラはクスクス笑って脅すようにまたドアノブをガチャリ、と回そうとする。
開かないと分かっていてもドキリとする。
出かかった物は半分は体外に中途半端に出、半分は途中で引っ込んでしまっていた。
(7)
このままでは体に悪いだろう。
何としてもアキラに帰ってもらって出すべき物を出してしまいたい。
「アキラ君」
「ボクがここにいると、困ります?」
「ああ。だから、しばらくあっちに」
「そうか、困るんだ・・・そんなこと言われると、もっともっと困らせたくなっちゃう・・・」
「あ、アキラくん?」
「開けてくれないなら、ボクここでドアに耳をつけていますから。
緒方さんの音、ちゃんと聞かせてくださいね」
「お、おい」
外側から換気が止められた。
「緒方さんの後って、どんなにおいがするのかな・・・」
「アキラ君!まだ十代の子供のくせに、そんな変態みたいなことを考えなくてもいい!」
「変態みたいなことをボクに教えたのも緒方さんじゃありませんか!
今日だってボクにこんなもの穿かせて、あんな恥ずかしいことさせて・・・
それに、ボクのことを好きならボクに恥ずかしいことさせるばっかりじゃなく、
ボクにも緒方さんの恥ずかしい所、見せてください・・・」
それはもっともな言い分という気もする。
だがそれとこれとは話が別という気もする。
とにかくアキラにそこにいられては、健康的な排泄行為が阻害されてしまうのだ。
「なあ、・・・頼むよ」
「・・・お願い・・・」
逆に儚げな声で頼まれて、緒方はついに降参した。
(8)
げっそりとなってトイレから出てきた緒方にアキラは大輪の花のような笑顔で言った。
「今度する時はボクも中に入れて、見せてくださいね!」
「毎回これじゃ、オレの身が保たないぜ」
「すぐ慣れますよ。ボクだって緒方さんに色々されるの、すぐ慣れちゃったし」
「だがなあ、これは健康に関わる問題だぞ。今もオマエが外にいると思ったら、
半分くらいは引っ込んじまった」
「それじゃ、この間見せてくださったビデオの中に看護服の女性が患者さんを浣腸する
場面があったじゃありませんか。あれだったら嫌でもお腹がゆるくなりますよ。
ボク、次はあれやってみたいなぁ」
刺激的な格好のままでうきうきとベッドに戻るアキラの後ろ姿を見て、
それもこれも自分が教え込んだこととは言え何故こんなことになったのかと
溜め息をつきながら、
そう遠くない将来に自分が浣腸器具ととアキラに似合いそうな白いナース服と、
リボン付きの箱に入った純白の白鳥のおまるとを買って帰る姿が、
鮮やかに緒方の目の裏をよぎって消えた。
<終>
______
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 ̄| | ヽヽヽ.イ,, T ̄ /|||||"||ヽ
____|___ | ∠,从从 シ| (( つぺ*)|| オガタサンガ Barノナカハ ダメッテ…
| パトヤシロノオウチ | | |::(*´O`,):::|| フ ⊂)
' ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ | |:( ∩∩):|| ⊂,,_)-(_,,⊃
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(44)
久しぶりのヒカルは、少し体つきが変わったように思う。
ヒカルの身体は細くて、薄い。
寄りかかる胸は、こんなにはしっかりしていなかったような―――
気になって、Tシャツの上からヒカルの胸元を何度も撫でた。
ほんの2、3ヶ月とはいえ、少し大人になったのかと嬉しくもあり、
自分の知らないところで成長している事が淋しかった。
いつも一緒にいられると思っていたけれど、そうではなかった。
自分も、ヒカルの知らないところで少し成長しているのだろうか。
ヒカルと居る時間は、とても幸せだ。
何も話さなくても、何もしなくても、
ただ抱き締めてもらえるだけで、それで十分だ。
ただ、今はこうしていられて幸せだが、次はいつか分からない。
もしかしたら、とんでもなく先なのかもしれない。
先が見えない約束は辛すぎて、もう二度としたくない。
目を閉じると、昨晩の緒方の言葉が頭を掠めた。
―――進藤の時間を、お前が買えばいいだろう?
ヒカルの時間は、一体、いくら位するんだろう?
キミと一晩過ごすためには、いくらあればいい……?
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ /||"||||ヽ .┃
┃ ( ‘エ‘ ) ||(*゚ー゚)| ネェ クマタン .┃
┃ ノ| |ヽ / ヽ ┃
┃ O へ O. " OへO ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ /|||||,||ヽ .┃
┃ ( ‘エ‘ ). (ー゚ *)|| ボクノコトスキィ? .┃
┃ ノ| |ヽ / ヽ ┃
┃ O へ O. " OへO ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ /|||||,||ヽ アノネ….ボクハクマタン ┃
┃ ( ‘エ‘ ). (o゚ *)||| ダイスキダケド ┃
┃ ノ| |ヽ (つと) オトウサント オガタサンノ┃
┃ O へ O. OへO ツギニナノ… .┃
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┃ (*□エ□) ||(*゚ー゚)| ゴメンネ♪ ┃
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(34)
「じゃ、行って来る!今日中には戻れないと思うけど、その御符しっかり持って
待ってろよな」
庭まで引いて来た馬に跨りながら、開け放たれた室内の明に向かって光が云った。
「うん。・・・すまない、近衛」
今クチナハが大人しくしているのは、御符の効力の他に今が日中だからというせいも
あるだろう。
日が落ちてから彼奴の動きがまた活発になり始めることは予想出来た。
その時光と一緒にいられないのは心細いが――
己のことばかりではいけない。
明はにっこりと微笑んでみせた。
「道中は、気をつけてくれ」
「ウン、それじゃな!あっそうそう、そのお坊さんの名前、何て云うんだ?緒方様」
「吉川上人だ。白犬と一緒に修行してる聖と云えば分かるらしい。
賀茂にはオレがついているから、心置きなく行って来い」
「ウンッ、ありがとう!・・・ございます。じゃーな、賀茂!行って来る!」
軽やかに蹄の音を響かせて光が去って行った後を明がいつまでも眺めていると、
その視界を遮るように、緒方はザッと庭に面した御簾を下ろしてしまった。
あ、と明が小さく声を洩らす。
「何だ?」
「・・・いえ」
「ふん。・・・気に入らんな」
緒方はのしのしと明が半身を起こしている枕元まで来ると、どっかりと腰を下ろした。
「オレや高貴な御方が言い寄るのを剣もほろろに跳ねつけて来たおまえが選んだのが、
あんなガキだったわけか?ええ?」
「・・・・・・」
その通りなのだが、ただそうですと肯定するのも間抜けな気がして、明は黙っていた。
こんな時気の利いた歌の一つも返せるような己であったなら、
人付き合いももっと上手に出来るだろうに。
(35)
「・・・まぁいい」
緒方が扇をパチンと打ち鳴らすと、従者がそっと姿を見せた。
「お呼びでしょうか」
「今夜はここに泊まるから、オレの邸に使いを出してそう伝えろ。
それから、食物を届けさせろ。食欲の出そうなものと、精の付きそうなものと、
それに先日帝より下賜いただいた珍しい唐菓子があったろう。あれもだ」
「はっ」
「他に欲しい物はあるか?」
緒方が振り向いた。明は少し考えてから、傍らで丸くなって羽を休めている
小さな友達を見遣って云った。
「鳥が啄めるような、生の青菜と雑穀の類を少しいただければ」
「・・・だそうだ。新鮮な青菜を一束と、搗いた米を袋に一杯持って来い。
帝に献上しても通るような、質の良い奴をな」
「はっ。かしこまりました」
光が発った上に従者も退がり二人きりになってしまうと、
沈黙と共に今までの疲れがどっと押し寄せてくる。
気づかれないようそっと吐いた溜め息を緒方が耳聡く聞きつけ、苦笑した。
「そう嫌そうにするなよ。・・・嫌がられてもオレは今夜おまえの側を離れるつもりはない。
諦めて今の内に眠っておくなりするんだな。この数日はろくに寝ていないんだろ?」
そういうつもりで溜め息を吐いたのではない、と説明しようとしたが
誰かに気遣われ、見守られているという安心感がこれまで張りつめていたものを
急激に緩ませたのか、瞼が重りをつけたように下がってきた。
夕刻からクチナハがまた活動を始めた場合に備えるためにも、
今はとにかく少しでも寝て体力を回復しておくほうがよい――
緒方に少し申し訳なさを覚えつつ、明は無言で目を閉じぱったりと倒れ臥した。
(45)
(……いや、いけない。そういう事を考えるのは…)
昨晩、緒方の口からその言葉を聞いたときは
虫酢が走るほどの嫌悪感を覚えた筈なのに、
そして、ヒカルがそんな事を言われたら
きっと同じように不快に思うだろうに
それでも、そんな考えに染まり始めている自分がいる。
そんな自分を、ヒカルが、不快感も露に見下ろす姿が浮かんで
アキラは慌てて考え事を止めようと試みた。
そういえば、ヒカルは話しかけても来なければ
お茶を飲む気配もない。
アキラの髪を弄るヒカルの手だって、いつの間にか止まっている。
ヒカルの片腕に身体を支えられ、なおかつ額の上にはヒカルの頬が
乗せられた今の状態では動くこともままならないが、
それでもなんとか様子を探ると、規則正しい呼吸音だけが聞こえる。
あまりに早く寝入ってしまったのは、疲れているからだろうか。
そっとアキラが身を捩ると、肩に置かれたヒカルの手が
音を立てて畳の上に落ち、それでもヒカルは反応しなかった。
「進藤、進藤……ここで寝ないで、進藤…」
ヒカルの反応は鈍い。
アキラは仕方なく立ち上がり、布団の用意を始めた。
「進藤、寝るなら布団で寝て…、ほら、進藤」
/|||||"||ヽ ▼〃ヾ ホシュ!
|(゚ー゚*)|| (*゚ー゚)
ノ \ ノ \ ホシュ!!
⊂( ヽノ つ ⊂ヽ/ ) つ
しヽ_) (_/J
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||(*゚▽゚)| オハヨウゴザイマス
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日 凸 ▽ ∇ U.
≡≡≡≡≡≡≡ /|||||"||ヽ
U ∩ [] %.. |(゚ー゚*)||
________(つ)Uと)
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 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アキラたん、俺にポッキーとボージョレ・ヌーヴォーをグラスでおくれ。
(46)
アキラが振り返ると、ヒカルは座椅子の上で
抱いていたアキラを失い、バランスを崩したままの
異様に不自然な体勢なのに、起きそうな気配は露ほどもない。
「進藤、そんな変な姿勢で寝たら、後で身体痛くなるよ?」
その不思議な格好がおかしくて、半分笑いながら声をかけた。
ヒカルは弱く唸っているが、やはり動きそうには思えない。
パジャマを用意すると、アキラはもう一度、ヒカルを促した。
「進藤、着替えて布団で寝て……ここに寝間着あるし
布団もそこにあるし、すぐ寝られるから、ほら、早く」
「んー…………」
ヒカルはやっと身体をずらすと、唸りながら目も開かずに這いずり
ようやく布団まで辿り着いて、そのままその上に伏せて丸まった。
尺取り虫かなにかを移動させているかのようで、可笑しい。
「進藤…、着替えて、布団の中で寝て欲しいんだけど?」
「ん、んんぅん…」
なんとなく返事はあるが、かといってヒカルが動く気配はない。
余程眠いのだろうが、その姿が笑いを誘うのは何故だろう?
しかし、ヒカルをこのまま放っておくわけにもいかない。
(とりあえず、着替えさせないと…)
(47)
アキラはヒカルのシャツを脱がせにかかった。
ボタンも留めずに羽織っているだけのそれは、背中から
襟元を掴んで引くと、思ったよりあっさりと両腕から外れた。
しかし、パジャマを着せるとなると、手がかかりそうだ。
「進藤…、パジャマぐらい、自分で着てくれないかな?」
一応声をかけてみたものの、ヒカルは身じろぎすらしない。
軽い溜息の後、シャツを抜いたままになっている両腕に
ボタンを外した上着の両袖を通して、何度もひっかかりながら
そろそろと引き上げ、なんとか肩までかけることが出来た。
ボタンをかけてやりたいが、うつ伏せではそれもできない。
(うーん…………、まぁ、いいかな、後でも)
だんだん面倒になってきたアキラは、パジャマの前は
あっさりとあきらめ、ヒカルのベルトを外し始めた。
ジーンズのボタンを外し、前を緩めて
ウエストに手をかけたところで、ふっと思う。
(これを下ろしたら、下着…、だよね……)
握った手が、微かに震えた。
(48)
暫くそのままでいたが、小さく掛け声をかけながら
思い切りぐいっと、折られた膝まで一息にジーンズを下ろした。
相も変わらず細い腰が、下着一枚だけでこちらに突き出されている。
前に、ヒカルを風呂に入れて、全身洗ってやったときの感覚が
ふと頭を掠めて―――奇妙な動悸がする。
慌ててぎゅっと目をつむって首を振り、深呼吸すると大きく叫んだ。
「進藤!寝間着ぐらい自分で着てくれ!
布団にぐらい自分で寝られないのか!!!」
とは言っても、後半は掠れて声にもならなかったのだが…。
少しして、ヒカルは答えるように唸りながら
仰向けにころりと転がって、
そしてまた一人、瞼の奥の世界へ引き返してしまった。
何度呼んでも、最早ぴくりとも反応してはくれない。
そんな様子に、アキラは荒く吐息をつき
思いっきり唇をつきだしながら、ジーンズを脱がせて
難儀しながらパジャマのズボンを無理やり履かせた。
さらに上着のボタンもかけてから、
無理やりヒカルを布団の中に押し込んだ。
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日 凸 ▽ ∇ U.
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U ∩ [] %.. |(゚ー゚*)|| ンショ ンショ
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(36)
馬を飛ばして山あいの小さな村に着いたのは、
秋の日が金色から紅に変わり山の端へと沈んでいこうとする時分だった。
「ふいーっ、何とか日が落ちる前に着いたか。オマエ、よく頑張ってくれたなぁ。
すぐどっかで水飲ませてやるから、もうちょっとだけ頑張ってくれな」
ぶるんと鼻を鳴らす葦毛の馬の首を労うように叩きながら、
光は暮れなずむ風景を見渡した。
小さいが平和そうな村だ。そろそろ一日の仕事が終わる時間なのだろうか、
鋤や鍬を肩に担ぎ牛を引いてゆっくりと田畑から引き揚げてくる者たちがいる。
その間を擦り抜けるように、童たちが何か歌を歌いながら紅い蜻蛉を追って駆けて行く。
都人のなりは珍しいのか、横を通り過ぎようとした年嵩の童の一人がちらっと
馬上の光を見たのと目が合った。
「あ、待ってくれ。ちょっと質問してもいいか?」
一人を呼び止めると全員が集まってきた。
光に声を掛けられた童が、不審と好奇心の入り混じった瞳でぶっきらぼうに訊いた。
「なに?」
「あのさ、この辺りに吉川上人っていう方、いるかな」
「よしかわしょうにん?」
童たちは互いに顔を見合わせ、首を振っている。
「知らねェか?法力の強い、難波から来た坊さんで・・・なんか、
白犬飼ってるとか聞いたんだけど」
「ああ、シロのお坊さん!」
「シロのお坊さんだね」
シロとはその犬の名前だろうか。
優れた法力の有難味より何より、童たちにとってその聖は白犬の飼い主としての
認識が強いらしい。
(37)
「そのお坊さんなら、山にいるよ。時々里に下りてきて、病人を治したり
有難いお経の話をしたりしてくれるんだ。シロはとっても利口な犬だから、
いつも薬籠を運んだりしてお坊さんを手伝ってるんだよ」
「この間なんか、お坊さんが庵に忘れ物したって云ったらシロが独りで山に走ってって、
ちゃんと足りない物取って来たもんな〜。シロはきっと、人間の言葉が解るんだ」
「三郎太の弟が池に落ちて溺れそうになった時、すぐに飛び込んで助けたのもシロだよ。
利口だし強いし、雪みたいに白くて綺麗だし、シロみたいな犬ならオレも欲しいや」
どうやらそのシロは童たちの間で人気者らしい。
光も動物はどちらかと云うと好きなほうだが、今はゆっくり話を聞いている暇がない。
気にかかっていたことを単刀直入に訊いた。
「あのさ、その坊さんって物の怪退治とか出来るか?オレいま訳あって、
そーゆーこと出来る人を探してるんだけど」
童たちは顔を見合わせた。互いに頷きあう。
「ウン、出来るよ。ねぇ」
「なんか具体的にこういう物の怪をやっつけたって話とか、あるのか?」
相手は明ですら敵わなかった強力な妖しなのだ。
いくら法力があると云っても、その辺の雑魚な物の怪にやっと勝てるくらいでは
勝負にならないだろう。
光の真剣な眼差しに只事ではない雰囲気を感じ取ったのか、
年嵩の童が真顔になって口籠もりながら云った。
「この村は平和だから、あまりそういう話は無いけど・・・街で物の怪に憑かれた人が
出ると、良くあのお坊さんが呼ばれるよ。物の怪退治の名人なんだって。
それに難波にいた時、なんか一年以上も街の人たちを苦しめてた凄い妖怪を退治して、
皆を救ったんだって噂だよ。オレが見たわけじゃないけど、
難波から来た行商人のおじさんもそう云ってたから、多分本当だと思う・・・」
「そうか・・・!」
もしそれが事実なら、その聖はクチナハに対抗し得る法力の持ち主かも知れない。
――賀茂!これでオマエ助けられるかもしんねェぞ!
気持ちが逸って、一刻も早くその聖に会いたいと思った。
(38)
「なあ、教えてくれ!その坊さん、山のどの辺りに住んでんだ?馬で行ける道か?」
馬からずり落ちんばかりに身を乗り出して光は問うた。
その勢いに気圧されまいとするように胸を反らして、年嵩の童が答えた。
「だっ、駄目だよ!お坊さんが自分から里に下りて来るまでは、庵の辺りには
近づくなって云われてるんだ。オレが道を教えたって分かったら叱られちゃうよ。
お坊さんが来るのは月に二度だから、お兄ちゃんもこの村に泊まって待つといいよ」
「月に二度って、次に来るのはいつなんだ?」
「今日の昼に来たばっかりだから、今度は月末だよ」
それでは困る。都で明が苦しんでいるのに、そんなに待っているわけにはいかないのだ。
「――」
逡巡するより先に体が動いた。
真っ直ぐに山を睨みながらぽんぽんと馬を促そうとする光を、童が慌てて呼び止めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!どこ行くつもりだよ、お兄ちゃん」
「あ、礼云うの忘れてた。ゴメンな。良かったらこれ、みんなで分けて食ってくれ」
光がいつも出勤時の軽食用に持ち歩いている菓子袋を差し出して微笑むと、
童は首を振り困った顔をした。
「いいよ、そんなの。それよりどこ行くんだよ。山には行っちゃいけないって
今云ったばっかだろ?それに日が落ちたら山を歩くのは危ないよ」
「あぁ。でも」
光は肩越しに振り返り、輝く夕陽を今まさに呑み込もうとする山の姿を
真っ直ぐに見据えた。
「そんなこと云っちゃ居られねェんだ。オレの・・・オレの大事な人が都で待ってるから、
一刻も早く坊さん連れて戻ってやらなきゃ」
夕陽に片頬を照らされながら低い声で呟いた光の真剣な横顔に、
童たちのうち何人かの少女がポッと顔を赤らめた。
(39)
「・・・その大事な人って、お兄ちゃんのこいびと?」
年嵩の童の質問に、答えずに光は微笑んだ。
「オマエたちには世話になった。ありがとな。これ、やっぱりやるからみんなで食えよ。
オレのお気に入りのオヤツ!」
ぽーんと弧を描いて投げられた菓子袋を、童の一人が慌てて捉えた。
そのまま馬を嘶かせて山を目指し駆け出した光の背に向かって、年嵩の童が叫んだ。
「――シロのお坊さんの庵は、山の西面の真ん中辺りだよーっ!
川に沿って行ったら紅葉が真っ赤で凄く綺麗な場所があるから、すぐ分かるよ!
――頑張れっ、お兄ちゃん!」
振り返らずに大きく手を振って去っていく光をいつまでも見送る年嵩の童と少女たちの
後ろで、年少の童たちが早速嬉しそうに菓子袋を開け始めた。
>986
アキラたんいつもホッシュ乙であります!敬礼!(;´Д`)ハァハァ
>987
リロードしないでうpしたらアキラたんが増えてた(;´Д`)ハァハァ
俺何か邪魔しちゃったかな。してたらごめんよ。
(49)
「もうっ!何だよ何だよ何だよっ!!!」
顔も目も、耳まで真っ赤にしてアキラはヒカルに怒鳴りつけた。
(…ったく、人の気も知らないで……)
それでも変わらず、気持ちよさそうに眠っているヒカルの目には
唇をこれ以上ないほどに尖らせて、
泣きそうなほどに潤んだ瞳で睨みつけるアキラが映るはずもない。
アキラはしばらくそのまま立ち尽くしていたが、
どうにもならず、結局、先程までヒカルのいた座椅子に座り、
傍らに置かれた、冷めきったお茶の入ったカップを取った。
別に、何がしたかったわけでも、何をして欲しかったわけでもない。
そう思ってはいるのだが、やはり目の前に居ると
色々と期待せずにはいられない。
「あーあ、ボクももう寝ちゃおうかなぁ…」
眠るにはあまりに早い時間だったが、ヒカルが眠ってしまった以上
する事もないし、ただここでこうしていても、もやもやするばかりだ。
(50)
アキラは手早く仕度を済ませて、部屋の電気を消すと
ヒカルのいる布団に端から潜り込みながら、
大の字で眠るヒカルを押しやり、自分の場所を作ると
ヒカルにしがみつくようにして、アキラはそっと目を閉じた。
色々と思うところはあるが、それでも、
明朝、目が覚めた時にヒカルがここにいるなら、
それで十分なような気もする。
これからのことは、明日起きたら二人で少し考えよう。
まだ眠るには早すぎて、眠れないまま色々なことを考えていたが
ずっと二人で会えずに居た日々と、隣にヒカルがいる今とでは
明らかに考え事の方向性が違うことに―これまで頭の中を巡った
苦しい、つらい思考など、一つも浮かんではこないということに―
アキラ自身も気付いてはいなかった。