4カ月で施設を巣立ったレイコさんは、店員をしながらアパートでひとり暮らしをしている。
今も父親の夢にうなされ、精神安定剤に頼る。不安から施設に電話をかける夜もある。
最近、欲しかったパソコンを15万円で買った。
「(ネット上で)同じ経験をした者同士で励まし合えれば」と、思っている。
体に青あざ…気づいた隣人も通報せず
子供たちの食事は1日に1度。
買ったばかりの缶入り粉ミルクは、生後6カ月の長男に2週間かけて与えるつもりだった。
それを三女の梨乃ちゃん(当時4歳)が空腹のあまりなめ、床にこぼした。
昨年9月7日夜、川崎市の古い木造アパート。
怒った母親(30)が髪の毛をつかんで持ち上げ、床にたたきつけた。
頭にけがをした梨乃ちゃんは「寒いよ、寒いよ」と泣いた。
泣き声で目を覚ました父親(32)が、顔や頭をげんこつで
10回くらい殴ったうえ足首をつかんで頭を畳に打ちつけ、
梨乃ちゃんは息絶えた。
小学3年の長女を頭に5人の子供。
梨乃ちゃんは昨年3月に弟が生まれたころから盗み食いが頻繁になり、
両親が体罰を加えるようになった。
父親は、飲食店などに勤めたが長続きしない。
母親も二女が生まれた1991年からは仕事に就かず、
貯金を取り崩したり、サラ金の借金で暮らした。
「残っていた生活費は800円」
「事件の日は上の4人の子供にポテトチップ1袋を与えただけ」。
法廷で検察官は、そう指摘した。
裁判長は「扶養義務を何ら果たしていない」と父親に懲役5年、
母親に懲役3年6月の実刑を言い渡した。
周囲は、家庭の異常に気づかなかったのか。
町内会には、約620世帯のうち約400世帯が入り、
近所付き合いも盛んだ。
「子供会」には、梨乃ちゃんの家も参加していた。
それが3年ほど前、突然、途絶えた。
月350円の町内会費を納めなくなったからだ。
「『もし生活保護の相談があれば、よろしく頼む』と民生委員には伝えていたんだが……」。
町内会長は、そう明かした。
児童委員も兼ねるその民生委員を訪ねると「何も話すことはない」と取材を拒み、
妻が代わって「生活苦は知らなかった」とドア越しに答えた。
長女の小学校の校長は「なにも気づかなかった。
家庭訪問でも親の収入までは立ち入りにくい」と言う。
梨乃ちゃんが寒い日に裸で外に出されたのを見たり、
目の周りの青あざに気づいた人はいる。
あざが目立つ体を銭湯で見て「こんなにたたいちゃだめよ」と
母親に注意した人もいた。
しかし、だれも公的機関に通報しようとはしなかった。
児童福祉法は「保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、
福祉事務所または児童相談所に通告しなければならない」(第25条)と、
親から虐待されている子供に気づいた人すべてに、通報の義務を課している。
茨城県笠間市の借家で今年1月、無職の母親(33)が約1時間にわたって、
長女の寿美香ちゃん(当時6歳)を殴ったりけったりして、死亡させた。
勝手に菓子を食べたのに「泥棒が来て食べた」とウソをついたことに腹を立てたのが
動機とされたが、水ぶろに押し込めたり、ライターの火であぶる虐待は、以前から続いていた。
子供5人のうち娘は1人。
生後間もなく心臓を手術し、2歳9カ月まで乳児院で過ごしたためか、
両親になつかなかったという。
幼稚園にも通わせず、家族で外出する時は、近所の人に見とがめられないように、
粘着テープで寿美香ちゃんの両手両足を縛り、室内に閉じ込めた。
一家は昨年4月、店員など職を転々とする父親の都合で転居してきた。
「引っ越して来た日に奥さんとあいさつしただけで付き合いはなかった。
寿美香ちゃんも2回しか見ていない」(近くの主婦)
「奥さんは3回しか見たことがない。物音や泣き声を聞いたこともない」(別の主婦)
たった壁ひとつ隔てた「孤立」で、幼い命を救えない現実がある。
寿美香ちゃんの遺体はやせ細り、
左手は骨折しても治療してもらえなかったせいか、
「くま手」のように開いたままだった。
相談所にも限界が…救済制度の確立急務
首をはさんだ両手の親指に力が込められていく。
赤ん坊の泣き声が止まった。蒸し暑かった7月29日午後。
瀬戸内海に面した香川県詫間町の団地の4畳半で、
生後9カ月の純奈ちゃんは窒息死した。
テレビゲームに疲れ、明け方寝入った父親(23)は昼過ぎ、
隣室の純奈ちゃんの泣き声で目覚めた。
派遣先の工場の仕事がなくなり、10日ほど前に失業した。
前日未明にも、泣きやまない純奈ちゃんの左胸を踏みつけた。
両足首をつかんで逆さにぶら下げる、両腕をひねる、髪を引き抜く……
傷害致死で逮捕・起訴された父親の暴力は、生後4カ月目から続いていた。
「なつこうとせず、腹が立った。のどの空気の出入りが少なくなれば黙ると思った」。
警察の取り調べに、父親はそう供述した。
町の保健婦が、乳児相談で顔のあざを見つけたのは2月。
医師の診察で、両ももなどの骨折が分かり、純奈ちゃんが
国立療養所・香川小児病院に入院したのは6月だった。
治療を受けた純奈ちゃんは、1カ月後に退院、再び自宅に戻った。
母親自身も夫から暴力を受けており、恐怖感から、
純奈ちゃんへの虐待を止められなかったという。
児童相談所には虐待の疑いのある家庭への立ち入り調査、
子供の施設入所や親権はく奪を家庭裁判所へ申し立てる権限がある。
しかし、保健婦から連絡を受けた香川県児童相談所は、
父親から事情を聴かないまま、純奈ちゃんの帰宅を認めた。
事件の6日前、心配した保健婦が父親と会い、純奈ちゃんの様子を尋ねたが、
「父親には注意されたという意識がなかった」と弁護士は話す。
「退院後のフォローは、児童相談所に強くお願いしていた。
残念です」と、香川小児病院の院長は声を落とした。
一方、相談所側は「母親には母子一緒に施設入所することも勧めたが、
『やり直したい』と言われた。事件は父親と面接する予定の直前に起きた」
と釈明する。
同じ香川小児病院に6月上旬、脳内出血で意識不明の女児(4)が
運び込まれた。「夕食を食べるのが遅い」と義父(26)に、
顔と胸を殴られて転び、床で頭を強く打ったのが原因だった。
女児は昨年8月上旬にも、太ももを骨折し、別の病院に入院している。
この時、体にあざがあるとの医師の連絡で、
相談所職員が両親に虐待についてただしたが、否定された。
1カ月後、治療が終わっていないのに、両親は女児を退院させた。
香川小児病院で手術を受けた女児は1週間後、ようやく意識を取り戻した。
相談所は昨年の経緯もあったため、保護しようとしたが、
母親と祖父母が強く反対、結局、祖父母が当面預かることになった。
しかし、女児が退院した翌日、純奈ちゃんの虐待死が起きた。
児童相談所は再び母親らを説得、8月上旬、女児はようやく保護された。
女児を治療した医師の一人は「医師が親を責めれば、
刺激してかえって子を追い詰めかねない。
親から抗議され、トラブルになる恐れも強い。
子供からのサインをすくいあげ、救済につなげる仕組みや法的な制度を
早急に整備してほしい」と訴えた。
医師や児童相談所や保健婦が虐待の事実に気付きながら、
1人は死に、1人はひん死の重傷を負った。
純奈ちゃんの死がなければ、女児の運命もどうなったか分からない。
虐待され、短い生を終えた子供たち。
その悲劇の再発を防ぐ責任が、私たちに突き付けられている。
5歳で死亡・真人君…間に合わぬ“助け”
児童虐待を追跡した企画「殺さないで」を昨年10月に連載して半年が過ぎた。
厚生省もようやく、対策に乗り出し、民間グループの取り組みも活発化しつつあるが、
虐待死の頻度は逆に増えている。
どうすれば幼い命を救えるのか。こどもの日を前に児童虐待という犯罪をもう一度、
見つめたい。
冷たい水が注ぎ込まれる浴槽に、裸で正座させられ、顔を何度も殴られた。
4月5日午前9時15分ごろ、茨城県取手市のマンション。
浴槽の縁で頭を強打した真人君(当時5歳)は「寒いよ」とおびえた声で
訴え、意識を失った。約2時間後、救急車で運ばれた病院で、死んだ。
食卓に真人君の椅子(いす)はない。
傷害致死罪で起訴された父親の長谷部健二被告(36)は食事中、
真人君をたびたび別の部屋に鍵(かぎ)をかけて閉じ込めた。
この朝、台所でレトルトのカレーを一人で食べた真人君に
「盗み食いした」と腹を立て、風呂(ふろ)場に放り投げた。
遺体は3歳児の平均より少ない13・5キロしかなかった。
長谷部被告は2年ほど前、真人君を連れた妻(26)と再婚した。
その後2児をもうけたが、前夫との間に生まれた真人君だけを
「こそこそして、なつかない」と嫌った。
昨年9月、顔などに大やけどを負った真人君が水戸市内の病院へ運ばれた。
病院は虐待を疑い、通報を受けた茨城県の中央児童相談所が両親に「在宅指導」を続けた。
しかし、両親は真人君が退院すると、行方をくらませる。
大やけどは、浴槽で水を浴びせて失神させ、さらに熱湯をかけたためだったことが
事件後に分かった。
家族は昨年11月、取手市に転居した。
3階のベランダから真人君が逆さづりにされているのを見た人もいる。
今年2月17日、住民から通報を受けた民生委員が、
市役所の児童相談室へ報告した。
翌日、職員が自宅を訪れたが、真人君には会えず、
管轄の土浦児童相談所に経過を連絡した。
3月下旬、中央児童相談所は一家の転居先を突き止め、
水戸と土浦のケースが同じ子供だと分かった。
両相談所が合同で家庭訪問を予定したのは4月8日。
事件はその3日前に起きた。
対応はなぜ遅れたのか。
中央児童相談所の次長は「取手市か土浦児童相談所が何らかの対応を
していたと思っていた」と釈明した。
一方、土浦児童相談所の相談課長は「3月下旬は異動の時期と重なり、
水戸と土浦の予定もなかなか合わなかった」と弁解した。
幼稚園にも通えなかった真人君は朝、
自宅から約200メートルのクリーニング店まで袋を抱えて歩いた。
身だしなみにこだわる長谷部被告のワイシャツ類ばかりだった。
店員が額のあざに気づき、尋ねても何も答えない。
色白の顔に油性フェルトペンで「バカ」と書かれていた時だけは
「お父さんがやった」とつぶやいた。
その目は「いつも凍りついたようだった」という。
東京郊外の会社役員、山本和男さん(48)=仮名=は昨年7月、
児童相談所を訪ねた。
妻(40)による小学2年生の長男(8)への虐待の相談だった。
「すぐに母子を引き離した方がいい」と勧められたが、
「妻が逆上してもっとひどい状況になるのでは」とためらった。
相談所は親の同意がなくても所長の判断で子供を
一時的に保護できるが二の足を踏んだ。
妻はまじめで潔癖性だが、気分の浮き沈みが激しい。
長男への暴力は、成長するにつれエスカレートした。
食事をこぼしただけで前歯が折れるほど顔を殴り、
「のろま」「能なし」とののしった。
昨年暮れ、帰宅すると妻が長男に「勝手に死ね」と当たり散らし、
頭を両手で思い切りたたいている。
引き離すと妻は台所のナイフで山本さんに切りつけ、腕に大けがをさせた。
「ごめんなさい。ごめんなさい」。自分のせいだと思ったのだろう。
長男は涙をこぼしながら、床の血をぞうきんでふき始めた。
山本さんは悩んだ末、今年4月に相談所へ保護を頼んだ。
2人の子供は保護施設を経て、山本さんの元に戻った。
妻は当面、子供と離れて暮らすことに同意しているが、
その後の見通しは立っていない。
相談所の所長は、保護をいったん見送ったことについて
「生命に危険が及ぶ状態ではないと判断した。
子供にとっては親元で育つのが理想と思っており、
(一時保護も)親の了解を得て動きたい」と話した。
虐待が疑われれば、すぐに子供を保護し、親へのカウンセリングを施す――
対策の先進国・アメリカとはほど遠い日本の児童福祉行政。
その陰で、子供たちの心と体が取り返しのつかないほど傷ついていく。
ポカーン
> EAOcf-307p194.ppp15.odn.ne.jp
>462はアナタだっていうのはわかってるんですよ。
2:24にウチに来て、ウチのリンクから2:25にアチラに行って、
2:28にココで書き込みですか?w
アチラの管理人は私じゃないってわかってて曝したんでしょうね?
私がココで書き込んだURL、何度も踏んでウチに来てるのはアナタだけなの。
「何故この人は何度も何度も来るんだろう?」と思って調べさせて頂いたの。
アナタ…マジで頭悪すぎ。
私は腹黒いですからねw
私以外の人間巻き込むなって言ってるのに…
ここまでされたら何するかわかんないよ。
アナタに対しては真剣に怒ってるからね。