駆け抜けようとする己を必死で押し止めて、清四郎は疑問を口にした。
「なぜですか、なぜ、美童……」
「あっ、はぁっ、ああっ、清四郎っ、いいよ……」
「美童、なぜ、なぜ……」
ふふっ。笑い声が聞こえる。
「愛してるよ、清四郎」
思わず言葉を飲む清四郎に、美童は邪悪な瞳で笑った。
「愛してるよ、清四郎……」
笑っている。僕を、情欲にまみれたこの僕を。
神聖にして犯すべからざる野梨子が汚れ堕ちていく様を見て、興奮していたこの僕を。
ああ、僕は、僕は……は。
「あっ、美童、汚したい、あなたを汚したい。汚してもいいですかっ……!?」
そう叫ぶと清四郎は引き抜き、美童の白肌の上に放った。
飛沫は美童の髪に、背中に、臀部に、舞い、
金色の男をほんの一瞬だけ、汚すと、たちまち雨に流されて、
消えた。
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6月某日。五人目。菊正宗清四郎。あと−−1人。
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▼▲▼つづく▼▲▼