<今までの経緯>
☆キャラネタ板→難民板と流れてきました。理由は主にこの2つです。
・キャラネタ板はキャラになりきって交流するスレのため、スレ違いを指摘されたこと
・住人の中から、作品への感想をなりきりで書くのは辛い、という声が挙がってきたこと
移転先としていくつか候補があった中から、マターリできそうなところということで、
ここ難民板を選びました。難民板の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
<お約束>
・sage推奨でお願いします(メール欄に半角文字で「sage」を入れる)。
・ここは社交場ですので特に形式は決めません。質問・雑談・作品発表ご自由に。
・作品がほのぼの系なので、あまり殺伐とした雰囲気はご勘弁を。
・作品の好みは人それぞれ。気にいらないならスルー、煽りや荒らしは完全放置。
あとは常識的マナーの範囲で。
<作品掲載について>
・非公式ファン交流広場なので、原作者及び出版元とは一切関係ありません。
・王家を愛する作家さんたちの創作も大歓迎です。ジャンルは問いませんが、
極端なエロや中傷など確信犯的な作品はご遠慮くださいね。
・作家さんは名前欄に作品のタイトルをお願いします。
連載の場合は巻頭に通しb書き、「>○○」という形で前作へのリンクを
貼ってもらえると助かります。
・18禁作品にはタイトルにΨ(`▼´)Ψを記入して下さい。
<ヒューリアさま〜!
乙カレーでございます〜!
このスレの存続がありがたや〜!
続きが読みたーい。
ヒューリアタソ、モツカレー!
そんじゃ、ダイジェスト暫定版ちょくら逝ってきます。
ヒューリア様乙でつ
139 名前: 名無しさん@妄想いっぱい 投稿日: 2001/03/28(水) 21:09
本編スレで熱く書き込んでいるうちにキャロルのことを過保護溺愛しちゃうイズミル王子の妄想がもくもくもくぅ。カキコに来ました。
今日はイシュタル女神の祭日。夕暮れのハットウシャのあちこちで松明がたかれ、にぎやかな音楽や楽しそうな喧噪が聞こえる。
「いいなぁ・・・」
キャロルは宮殿の窓からぼんやりと外を眺めていた。ハットウシャにもだんだん馴染んできたとはいえ、キャロルから見れば立派すぎる大人の貫禄を備えたイズミル王子に守られた生活は少し窮屈でもある。
(メンフィスは熱血漢の坊やだと突き放して見ることもできたけど王子は隙がないんですもの。何だか窮屈で・・・)
「姫、ここにいたのか」
王子が声をかけた。
「祭を見ていたのか。探したぞ。さぁ、外に連れていってやる。支度いたせ」
商人のような衣装の王子は戸惑うキャロルを質素な身なりに着替えさせると宮殿の外に出た。
「王子・・・?一体?」
「今宵は愛の女神イシュタルの祭。そなたにも見せてやりたくて、な。ふふ、今宵は忍びだ。私からはぐれるなよ!」
王子はわざと磊落な口調で言うと、キャロルの肩を抱えて黄昏の街に繰り出した。
140 名前: 名無しさん@妄想いっぱい 投稿日: 2001/03/28(水) 21:10
「わぁ・・・!」
あちこちに飾られた飾りもの、家々の壁に垂らされた多彩なタペストリー、晴れ着で街を行き交う人々、美味しそうな食べ物の匂い・・・。
キャロルは子供のように瞳を輝かせ、何一つ見逃すまいというように頭をあちこちに向けた。
その子供のようなキャロルを見守る王子の目には優しい暖かな光があった。
(楽しそうに・・・あんなふうに笑うこともあるのだな。何やら少し気鬱のようだとムーラに聞いて連れ出したが・・・。良い気晴らしになったようだな)
「見て!王子、あれ!大きな山車ね。何て綺麗!」
「ああ。あれは女神の眷属を乗せたもの。辻毎に飾られている。」
キャロルは山車に近づき珍しげに見物する。生き生きとしたその姿は、ヒッタイトの世継ぎとして早く立派に成長することだけを求められてきた孤独な青年の心を癒すのだった。
広場では踊りの輪が出来ていた。旋回を繰り返す単純な踊りは浮き立つような旋律に乗り、いつ果てるとも知れず続いてゆく。
「私、踊ってきてもいい?楽しそうですもの」
キャロルの問いに王子は狼狽えた。おとなしい娘なのに急に・・・。
だがキャロルは王子の返事を待たずに踊りの輪の中に入っていった。引き留めようとした王子に誰かが言う。
「野暮は言いっこなしだよ。兄さん!いいじゃないか祭の晩くらい」
キャロルは踊る。嫉妬と恋情に浮かされたような目をした王子の前で。
翻るベール、スカートの裾は浮き上がり、白い踝がほの見える。伏せることを忘れた真っ青の瞳は輝き、頬は薔薇色に染まる。
旋回の繰り返しに疲れたキャロルの肩を誰とも知らぬ若者が掴んだ。
「娘さん。なんてかわいいんだろう!他へ行こうよ。楽しいことを教えてあげよう!名前は何というの?」
戸惑うキャロルはすぐさま王子に助けられた。
「すまぬな。これは私の相手だ。娘は他にもおろうほどに、よそをあたれ!」
力一杯ひねり挙げられた手首を押さえながらその若者は行ってしまった。
王子は無言でキャロルの手を掴むと足早に広場を去った。嫉妬で煮えくり返っていたのだ。
141 名前: 名無しさん@妄想いっぱい 投稿日: 2001/03/28(水) 21:10
「姫。これを」
宮殿に帰り、王子は神殿近くの屋台で買い求めた小さな指輪をキャロルに差し出した。
赤い銅の指輪には深紅のガラス玉がはめ込まれている。決して高価なものではないけれど恋人同士が祭の夜には幸せな恋の成就を願って買い求める縁起物。
「つけてやろう・・・」
王子は有無を言わさず、自分が妃と思い定めている少女の白い指に指輪をはめてやった。
「あ、あの王子。さっきは・・・助けてくれてありがとう。あの・・・」
「全くそなたは不用心だな。私がいなければどうなっていたか。」
王子は不機嫌に言ったが、王子に叱られてしょぼんとしてしまったキャロルを見てはそう長くも不機嫌ではいられない。
「その指輪・・・気に入ったか?」
「え?ええ・・・きれいね。とっても。嬉しいわ。初めて。王子からこんなふうに贈り物を貰うの・・・」
キャロルは白い指を反らせて指輪に見入る。その幼さと一人前の女性の艶めかしさが混じった仕草を見て王子はときめいた。
王子は今までひたすら見守ってきた少女のうなじにそっと顔を埋め、問うた。
「では・・・その返礼に接吻をひとつ欲しいものだな・・・」
小さな小さな声。初恋に怯える少年の声音。
キャロルは戸惑い・・・やがて王子に初めての接吻を贈った。
指輪のガラス玉がきらり、と光った・・・。
初期の番外編スレログから拾って来た?
または再掲載?
もしやこれの続きを書いてくれるとか?
どきどきわくわく
ナンカアタラシイノエマシテクレ
ヨマシテクレだった・・・スマソ
>13
日付が、番外編スレの始まる前のものだから、
番外編スレとは別のスレで発表されたものだと思うな。
前スレ
>>780 8
耳鳴りがする、体中の血液が逆流していそうなほど激しく脈打つ鼓動。
キャロルが無意識に自分の身体を守るように自分の肩を手を廻すと、
イズミル王子はくすりと笑って楽しげな口調で続ける。
「おお、そのように恐れずともよいと申しておろう。無体はせぬ、
愛しいそなたを力づくで抱こうと無粋な真似をこの私がすると思うのか?」
何故王子はこんなにも悠々としているのか?キャロルにはわからない。ただその王子の態度がますますキャロルの恐怖心を募らせていることだけは確かである。
「ただ、そなたが名実共に我が妃にならなければ、今後の両国間の均等は計り知れぬがな。」
王子の言葉にキャロルは思わず目を瞑った。
一番触れてはほしくは綯い部分である、自分が古代に来てから、様々な影響が出ていることも、
自分のために過去戦があったことも、全ては自分の罪である。
イズミル王子がヒッタイトへの道中語ったこと、もし自分が自殺でもすれば即刻エジオプトを責め滅ぼすというのは嘘ではないだろう・・・。
それだけの力があり、決して引くことなどない、大国の世継ぎの王子としての矜持をキャロルは知っている。
では・・・私ができるのは、一つしかない・・・・。
「・・王子・・・どういえばいいの?」震える体をなんとか抑えようと肩を抱く手に力を入れようとするけでれど震えは一向におさまらない。
「簡単だ、この私に、抱いてくれと一言申せばよい。」
薄茶色の瞳が自分の目論見どおりだと満足そうに細められる。
「だ・・抱いて・・下さい・・・。」搾り出した声はか細く弱々しい。
王子の唇が今は血の気を失った白い頬を滑るのをキャロルは感じる、王子の手が身体の線をなぞっていく。
「もう一度だ、姫、誰がそなたを抱くのだ、申せ・・・。」
耳元でこれ以上はないほど甘く、どんな女でも蕩けてしまいそうな王子の声音。
悪魔の誘いのようだとキャロルは思う。その先にどんな罠が待っているのか、私には分からない・・・。
「イズミル王子・・・抱いてください・・・・。」
もう引き返せない・・・・。
キャロルの身体は大きな胸の内に絡めとられた。
>17
すみません、タイトル入れ忘れました。
「たった一つの言葉」です、すみません。
おお、前のスレばかりチェックしてたらこんな所で「たった一つ・・・」が!
キャロルへの愛に苦悩する王子も萌えだけど、ポーカーフェイスで
ちょっと意地悪な感じの王子もいいですねぇ。次回はオニかしらん?
sage忘れてすまんかった。
>たった一つの言葉様
やーん!読んでて顔がにやけちゃった。。
王子素敵すぎ!
たった一つの言葉、つづき気になりすぎて参るよ〜
>>17 9
神様、これが私への罰ですか?
多くの人を死に至らしめたことのために、私に架せられた罰ですか?
愛するメンフィスと引き離され、愛してはいないイズミル王子に抱かれなければいけないのですか?
メンフィスとは違う柔らかく熱い唇が、ゆっくりと白い肌に我が物であるという刻印を刻み付ける。
指が顎の線を滑り、細い首筋を滑り落ち、時々キャロルの身体がびくりと反応する個所を見つけては立ち止まる。
「そうだ、そなたが我が腕の中で戦慄く姿が見たかった・・・。」
「は、早く終らせたら・・・いいでしょう?」
身体にまき付いている薄絹を王子が取り去りながら囁くのに、キャロルは反抗的に応えた。
「褥の中でまで仏頂面はよくない、だが、それもどこまで保つかのぅ・・・。
すぐに我が名を呼び、私を欲しがるだろう、まだ夜は長いゆえ・・。」
なんという罰だろう・・・!
王子の手が触れる度、唇が触れる度、キャロルの身体の中心が熱くなって潤ってくるのが分かる。
甘美な波が体中を揺るがして、そのことしか考えられなくなる。
「良い声だ・・・。そなたのその声が聞きたかった・・・!」
さっきから耳に響くのは自分の甘え媚びた声だった、とやっと頭のどこかで分かる。
でももうそれすらもわからなくなる、もう、我慢できない!
王子の指がキャロルの泉から湧き上がる蜜にまみれた音を響かせてる最中に、一際悲鳴のような叫びをあげると
王子の胸のうちでキャロルの身体はびくびくと痙攣を起こし、白い咽喉を仰け反らせたのだ。
うっすらと涙ぐむ青い瞳に口付け、涙を吸い取る王子は殊のほか満足そうに微笑んだ。
うひゃひゃ〜!たった一つ王子って成熟した大人の男って感じでええわ〜ん。
でも20代前半でこんな男いるのかね。まぁ、メンヒスも
ハイティーンですでにセクハラ親父だからねー。昔の人って精神年齢
高かったのねぇ。
10
荒い息をつくキャロルの背中を撫でる手は優しく心地よい。
でもこれが始まりであることもよくわかっている。
いつしかキャロルの唇は開いてイズミル王子を受け入れ、王子の激しく繊細な舌の動きに翻弄されている。
助けて!いいえ、このまま続けて!
相反した願いがキャロルの中で渦巻いているのに、身体はイズミル王子の為すがままに応えてしまう。
細い足が持ち上げられ潤んだ花弁に灼熱の塊を感じた時、キャロルはそれでも肘でずり下がろうと無駄な抵抗をしようとした。
「まって・・おう・・きゃぁぁぁぁぁぁ!」
胎内に熱く屹立したものに抉られた時にでた悲鳴はなんだったのか。
歓びか哀しみか、それはキャロルにもわからなかった。
ただその一瞬に思ったのは、「メンフィス・・ごめんなさい・・・・もう・会えません・・・。」だったのだ。
深く抉られ擦り出されてはまた更に深く抉られる度、今まで知らなかったような、甘美な戦慄が体中を満たす。
まるで深い谷に落ちていきそうな、初めて知る恐さのあまり、白く細い足は王子の引き締まった腰に絡みつき、
華奢な腕は太い首にしがみ付く。
「やっ・・・落ちる・・・恐い・・・。」
口付けを繰り返しながらも王子はやめない。王子には分かっていたのだ、キャロルがまだ女としての歓びに目覚めていないことに。
「いいこだ・・そのまま身を任せよ・・・。そなたに最上の歓びをやろう・・・。」
その直後声にならない悲鳴をあげてキャロルは王子の腕の中で絶頂へと達し、王子もまたきつく締め詰められる胎内に欲望を放った。
脱力し寝台に身体を預けたキャロルに汗ばんだ逞しい体が圧し掛かる重みを感じる。瞼を開けるのもおっくうだった。
腕が廻されて離すものかと言わんばかりにきつく抱き締められ、その感触にゆっくりと目を開けると
満ち足りたような光のある薄茶色の瞳と目が合った。
「これで名実共に、そなたは我が妃となった・・・。飲み込みの良い生徒を私は得たようだな。」
王子の唇はまた貪欲にキャロルを求めてくる。
「私・・・死んでしまうわ・・・。」キャロルの抗いの言葉は熱い唇にとかされてしまう。
「私の腕の中なら、幾度でも死ねばよい・・・。
数日後、ルカが王子の用命を果たして王宮へ戻ってきた。
大臣達との会議を終えて政務の間を後にする王子は、ルカの姿を見つけるやいなや口を開いた。
「ルカ!どうであった?例の物は見つかったか?」
「はっ・・・王子のご用命の品は中庭の方に。仰せのままにあい整えました」
「そうか・・・、では昼餉の後にでも姫を連れて参ろうか。
ふふ・・・楽しみであるな。
ともあれご苦労であったな、礼を申すぞ。ルカ」
王子は満足そうな笑みを顔に浮かべてルカにねぎらいの言葉をかけると、急ぎ足でキャロルの許へと向かった。
(ふっ・・・早く姫にあれを見せてやりたい。どのような顔を見せるだろうか?)
王子はキャロルの白い顔に花ひらくように微笑みが浮かぶ様を思い描いた。
彼の胸を痛い程の幸福感で締め付けるその笑顔を。
それを見るためとあらば何でもしてやりたいと心躍らせる自分を、愚かと思えど止められない。
(私は姫を喜ばせてやりたいのか、それとも私自身が喜びを得たいのか?
・・・わからぬ。
ふふ・・・どちらでも良い、なんと愚かな問いであることぞ!
愛を知らぬ賢者であるよりも、愛に溺れる愚者でかまわぬ・・・。
早くそなたの許へ参りたい、姫よ)
切なさを含んだ優しい微笑みが思わず口許にほころんだ。
>>26 しかし恋慕の情を募らせながら足早に庭園を横切る王子の目端にチラリと小さな物影が映った。
琥珀色の瞳が大きく見開かれる。
「ここで何をしておるっ!!」
「きゃあ!!」
人目を忍ぶように物陰をこそこそと歩いていたキャロルは、王子の響く声に驚き飛び上がった。
「おっ・・王子!!」
「まだ部屋を出てはならぬと申したであろうが?!
さては、ムーラの目を盗んで抜け出したな?」
王子の燻すような怒りを感じて、キャロルは逃げ腰になる。
「だってこんなに良いお天気なのに・・・少し外の空気を吸いたかっただけよ」
王子がキャロルを睨みつけながら近づいて来たので、キャロルはとっさに中庭へ通じる廊下を駆け出した。
「待て!待たぬか!なぜ逃げる?!」
「だ・・・だって怖い顔して追いかけて来るんだもの」
王子は腕に抱えていた巻物の束をドサリと石造りの床に捨てるように放り、腕をまくってキャロルを追った。
「ええい、待てと言うに、まだ走ってはならぬ」
反射的に逃げようとするキャロルを、王子は追い詰める。
「きゃあっ!」
廊下と中庭の境目の段差につまづき、キャロルが身体の重心を失ったところを王子の力強い腕が抱きとめた。
「・・・馬鹿者。
これからそなたに中庭を案内してやろうと思っておったと言うに。
そなたの身体が戻れば、いつでも連れ出してやると申したであろう。
私の約束を信じられぬ愚かな姫は、部屋へ閉じ込めて置くべきかな?」
「そんな・・・中庭を見たいわ、王子!」
懇願するキャロルをおもむろに抱き上げる。
「ふん・・・。
私を見て逃げ出すとは・・・何と腹立たしい」
不機嫌そうに言う。
しかしキャロルの身体にまわされた腕は限りなく優しい。
「ごめんなさい・・・だって王子、怒ると怖いんだもの」
(まったく!私の心も知らずに・・・)
>>27 王子に手を引かれて、中庭に足を踏み入れると新緑と土の匂いが胸に深く染み渡った。
「まぁ・・・とてもきれいだわ」
「そなたに・・・見せたいものがある」
東寄りの一角には緑の生垣で囲まれた小さな庭園に王子は足を踏み入れた。
樹木の緑が壁を織りなし、その安らかな空間を外界から隔てている。
爽やかな初夏を祝うように、小さな白い花が足元で揺れていた。
見上げれば、日差しをやさしく遮る枝葉の合間には青い空が見える。
まるで小さな楽園であった。
「ここの木陰は書物を読むのに良い。
・・・誰も邪魔をせぬ。
今までは私だけの場所であったが、これからはそなたと私の場所だな」
低いささやく声で言いながら、王子はキャロルを降ろしてやった。
眼前には風に葉を揺らめかせる若い樹があった。
思わず王子を振り返る。
「王子・・・これは?」
「そなたの為に」
満足そうに王子は頷いた。
「そなたが臥せっている間、ルカにこの樹を探させておったのだ。
つい先ほどここに植わったばかりぞ」
キャロルは白い腕を伸ばし、その枝先に実る橙色の果実に触れた。
「いつだったか、随分とそれを懐かしんでいたな。
そなたの生家に杏の樹があった・・・そう申しておったな」
キャロルの碧い瞳が王子をしっかりと捉える。
杏の果実をのせた小さな掌を、王子は自分の大きな両手でそっと包んだ。
「私はそなたさえいれば、孤独など微塵にも感じぬ。
しかしそなたにとって、ここは故郷から程遠い見知らぬ地。
私と共に暮らせども時に寂しくなる事も、そなたの母や兄弟が思い偲ばれる事もあろう。
・・・少しでもそなたの寂しさを紛わす事ができればな」
>>28 「・・・王子」
瞳に浮かんだ涙がじわりと睫毛を濡らし始めた。
「悲しむ涙は見たくないが・・・このような涙ならば悪くない」
王子はいつもそうしてやるように、唇で涙を拭い去った。
キャロルは今までにない胸の熱さを感じて、思わず王子の広い胸に縋った。
「ありがとう・・・王子。ほんとうに・・・嬉しいわ」
「それは何よりであるな」
「ずっと覚えていてくれたのね・・・。
冷たく当たった事もあったのに、王子はずっとわたしを気遣ってくれていたんだわ。
わたしはそれに気づかずに・・・いいえ、本当は気づいていたのかも。
ごめんなさい・・・ひどい事も言ったわね」
王子はクスリと笑う。
「謝るべきは私のほうでは?
やみくもにそなたを求めて、随分と恐れさせた」
温かい腕の重みを感じながら、キャロルは首を横に振った。
「・・・わたし、罰が当たるかもしれないわ」
「何故そなたに?」
優しくささやく王子の問いに、キャロルはゆっくりと瞼を伏せた。
「・・・幸せすぎて」
「ならば、私も同罪。共に罪を受けようぞ」
心の中が温かいもので満たされてゆくのを王子は感じていた。
――身体がキャロルを求める熱い渇望とはまた異なる何か。
心の底の乾きを癒したいと願う切な欲望――それが今、穏やかに満たされてゆく。
>>29 「そなたを離したくない・・・永遠に。
私から決して離れるな・・・例え何があろうと!
私の妃は・・・私の妻はこの生涯かけてそなた一人だ」
キャロルはその悲願にも似た問いには何も答えず、顔を上げて王子を見つめた。
白い手が伸びて王子の両頬を優しく捉える。
「・・・姫?」
琥珀色の瞳に碧い瞳が映り込む。
キャロルの柔らかな唇が王子の唇を覆った。
それは初めてキャロルのほうから与えられた口づけであった。
あまりの心地よさに王子は目を閉じ、キャロルの好きなままにさせてやった。
やがて王子の腕がキャロルの身体を優しく押し倒すその時まで、キャロルの口づけは続いた。
ふりそそぐ木洩れ日だけが睦みあうふたりを見ていた。
時が止まったような静かな午後のひと時であった。
―――その後、このアナトリアの雄大な大地はキャロルの故郷となった。
いつの世も、愛する人と共に暮らすその地こそが永遠の故郷となるのである―――
―The End―
・・・という訳で最終回です。
随分長文になってしまいましたが、今まで読んで下さった方、スルーして下さった方ありがとうございます。
カワイイ顔文字や温かいレスを頂けて、本当に嬉しかったです!
しばらくはまた一読者に戻って、作家様達の作品を楽しませて頂きます。
>ヒッタイト道中記作家さま
素敵な物語をありがとうございました。
王子のもだえっぷりがつぼでした。次回作期待してます
>道中記作家様
とうとう最終回ですね...。(/_;。) サビシイ
PC不調の中、最後まで書き上げてくださってお疲れ様でした。
またいつか作品投下されることをお待ちしています。m(__)m
>たった一つの言葉作家様
「私の腕の中なら、幾度でも死ねばよい・・・。」
お、王子・・・(〃∇〃)テレ こんなこと王子に言われたら
心臓が止まりそうです〜〜〜。
>道中記作家様
すてきなお話をありがとうございました。
終ってしまうのは寂しいですが
新作を期待しています。
お疲れ様でした。m(__)m
ヒッタイト道中記作家様〜〜〜お疲れ様でした&ありがd。
Ψ(`▼´)Ψ系と思い読み始めましたが、なかなか奥深かったれす。
キャロルが徐々に傾いていく様子が絶妙で私も一緒に傾いていきました。
悶える王子と一緒に悶えてしまった・・・なんてとても言えな〜い(゚∀゚)キャッ!
次作たのしみに待ってます。
ヒューリア初恋作家様、連続うpありがと〜!
キャロル&メン&ヒューリアのいいとこ見れるのかと・・・カナーリ期待してた腐女子な私。
でも、何もなくてホッとしたかも。キャロルをなぐさめるメンフィス素敵でした!
>>839 「さぁ、これはそなたの大事な大事なものであろう?返してやろう」キャロルの左手に血の滲む包みを握らせた。
(…先程迄…この腕の中にいたのに…いたのに…)
「あ、あの…王子…私…あの」口ごもるキャロルの右手に握らせていた守り刀を取り上げ…ビリッと上に纏っている
衣装を引き裂く、驚きで声も出ないキャロルに「ふふっ無理に話さずとも良い」守り刀を鞘におさめると
再びその手に握らせベロリと手首から腕を舐め上げ解放する。そして一人で天蓋に近づき天井を見上げて
「上手い隠し場所を、考えたものだな流石…ナイルの姫よ」くくっと笑い続け、キャロルを見る---
「愛しさと、憎しみは姉妹のようだな…とても似ている…そうは思わぬか?」
「お…王子…」(怖い…)魂まで凍りつきそうな笑い---
「さぁ参れ…姫、存分に酔わせてやろう」(…笑顔が、笑顔が…怖い…逃げなければ!)
懸命に入り口に向かって懸命に走る、が、体が竦み足がもつれる様に重い。
扉を開いた所で肩を掴まれ---腰を屈めてキャロルの目線に合わせると
「そちらでは…ないだろう?」禍々しい程に美しい笑顔に「…ぁ、ひどくしないで…お願い…怖い…」
怯えるキャロルに
「…あぁ、それで合点がいく。私の腕の中で声を上げ、しがみ付いて来るのは怖いからだったのだな…」
「ならば…怖れられるのも…悪くないな…さぁ……」
抱き上げられ、寝台へいく間に床に散らばった破片を足で払い除け進み、寝台にドサッと乱暴に置かれ
その上で、膝を抱えて小さく丸まって震えているキャロルの足首を掴むと、ズルズルと寝台の端まで引っ張り
上半身だけを寝台に寝かされた、足を掴んでいた手を離されると
自由になった足を動かすと、床の固い感触とちくりとした痛みを感じ「っぅ」っと声を漏らす、どんな小さな声も
聞き逃さない男は、キャロルが痛みを感じ、僅かに引いた足を持つと、踵の上にある窪みに口を付ける。
「あっ止めて!」その声にも構わず、舌を這わせ異物を探り出しと、吐き出す。
「…もう大丈夫だ…だが、困ったな…床はこの有様…歩けぬばかりか、足も付けぬな」
そう言うと、躰をうつ伏せにし脇下に手を入れ、床が触れない高さまでキャロルをずらし
ぐいっと前みごろの裾を踏みつける。
先の見えない恐怖感がキャロルを混乱させる(なにを、何をする気なの…)
そして、衣装の後ろの裾を手に掴みバサッと広げた---真っ白な二つの膨らみが露になると
「…こうすると…まるで花のようだな…」躰を起こし逃れようとするが、衣装で拘束されて動けない!
「いやっ!」「ホラ…申し聞かせてあるだろう?怪我をするぞ…」「足を除けてっ」
「…花は口を聞かぬもの…」と裾を持ち上げていた薄物を、キャロルの背中に覆うように被せ
そのまま、滑るように乳房に移動した手が、両方の乳房の頂に小さく擦りつけ全体を甘く揉みしだく
片膝を、キャロルのふくらはぎに乗せ、さらに拘束し、花弁に顔を近付け…
「…香りは…濃厚…」チロチロと舌で花弁を舐め「…そして甘い…」
「ぃ、いや、」
「…先程から…」ピチャ「嫌は…」ピチャ----「違うのだろう…」狭い蜜壷を舌と指でこじ開け広げる。
ぎゅっと寝台に顔を押し付け、声を封じているキャロルの肩が小さな竦みを繰り返している。
(---全く強情な姫よ…ならば…鳴かせてみせよう…)
(どこに?ルカは?)あちこちをキョロキョロと宮殿内を探して回ってムーラの前に
「王子に何か?」広間の横から音も無く出てきたルカが声を掛けると。
「ルカ…そなたはいつも突然と現れ過ぎです…」ムーラが胸を押さえて、恨みがましい微笑をルカに掛けた。
ムーラの様子に王子の無事を察したルカが、
「驚かせてしまいましたね、ムーラ殿」微笑で詫びる。
「…その通りです。そうでなくても最近は心落ち着かぬ事ばかりで…」ハッと思い出し、表情を曇らせ
「そんな事よりも、ルカ、ルカ何とかしておくれ…このままでは王子は王子で無くなってしまう」
ルカの胸を掴み軽く揺すりながら、泣き出すムーラ-----
「そして姫もナイルの姫も、今のままでは狂われてしまいます(何かに憑かれた様に、姫様だけを求め続けている…)
…ルカ…どうすればお二人共救えるのでしょう…今も…姫は王子の…腕の中に捉えられたままです」
ムーラの哀しみが、少し前まで自分を苦しめていた思いと重なる。---やがてルカが口を開いた---
「ムーラ殿…王子は未だに、あの部屋を訪れていますか?」
「あの部屋というと…王女の?」涙を拭うと、ミタムン王女の事を思い出して微笑む。
(兄思いの王女様…いつも王子の後ろを、付いて回っていた、ミタムン王女様……)その顔がやり切れないものへと
変わったムーラ---
「…ええ…今でも…時々に…殊更にご陽気なご様子の時には、必ずに…長い時間を過ごされます…」
それは、王と王妃も知らない…側近でもルカ・ムーラ・将軍の三人だけが知っているが
その話題を口にする事は無かった。
王子が心から寛いで、癒されるのはミタムン王女の前でだけだった…その事を知っている者だけの秘密---
人前で弱い所を決して見せない王子が、どんな思いで主のいない王女の部屋で過ごしているのか…
王子を慕う三人には殊更辛いものだったのだ。
「…では、姫を…あの部屋に連れて行きましょう…」「ルカ!あの部屋は王子だけのものですよ」
怒りで大きな声で否定するムーラに。「あの部屋には隠し扉があるのですよ…王子もご存知ない事ですが」
「かくし?扉」目を丸くしているムーラに、とつとつとルカが話を続けていく。
「王子は、あの通りに厳しい方ですから、王女様も考えたのですね、ちょっとした探検を楽しまれてました…」
街へ御忍びで買い物にお出掛けになる時など、書物を読んでらっしゃる振りをして…時折、お供を言い付かってました」
楽しい思い出を懐かしむルカに「何という事を!何かあったら---」言いかけて「…それは王女様も良い思い出ですわね」
淋しそうに呟いた。
起きててヨカッター
眠れないので来てみてよかった。
願い作家様 ありがd☆
>願い作家様
悲壮感漂う王子もいいですねぇ。悲劇が似合うわ〜。でも最後は幸せにしてあげて〜。
>道中記作家様
をを、昨日ついに最終回でしたか。朝見てビックリ〜(@_@)
幸せ度300%の王子を満喫させて頂きました。また萌え王子を書いてくださいまちぃ。
>前スレ854
18
「ほう・・・ナイルの姫には無事、男児をご出産遊ばしたか」
ヒューリアは報告を聞いて、複雑に甘い感情を味わった。
「恩義ある姫君の慶事である。早速にお祝いを・・・」
恭しく女兵士は礼をして、世継ぎの君の命を果たすために出ていった。
(世継ぎ・・・新しい血をこの世に送り出すのか。私の愛した姫と・・・メンフィス王の御子が・・・)
ヒューリアは微笑んだ。
「・・・・・私の長かったもの思いも終わらせねば、な。
新しき血がこの世に加わったのだ」
ヒューリアの寵愛する少女が怪訝そうに長身の愛人を見上げた。
「今宵はそなたではなく・・・アテネより参ったテネギウスを召すとしようか」
「ヒューリア様、あ・・・男を召されるのですか?」
「ふふ。そんな顔をするな。誰が男になど心移すものか。ただ・・・私ももう二十歳をかなり過ぎた。そろそろ次代の子をなしたいのだよ。
我がアマゾネスの国を背負って立つ新しい血が欲しいのだ」
ヒューリアはそう言って少女に接吻した。
(長かった初恋への未練を終わらせよう・・・・。私の恋した男女が睦み合い、新しい血をうけた子を持ったのだ。
私もまた子を作ろう。その子には私のような想いはさせない・・)
ヒューリアはその夜、強壮な若者を寝所に召しだし、その胤を身の内に取り込んだ。初めて女に跨られた若者は屈辱と快感に打ち震え、やがて屈服した・・・。
愛する男を愛しえなかった女性の子供はやがてその母の想いを叶えることになるが・・・それは遙か未来の物語である。
了
前スレとにまたがって書かせていただきました。
アヤシゲな話におつきあい下さった方、スルーしてくださった方にお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
>ヒューリアの初恋作家さま
お疲れさまでした!妖しげな世界にドキドキ萌えていました。
そ れ で
リクエストでつ。名前だけ出ているテネギウスだとか、ヒューリアの寵愛する少女(!)
とヒューリアの恋も書いて下さいませ!!!
腐女子ですみません〜
ヒューリアの初恋作家様、乙〜!!
腐女子にはたまらぬ展開でございましたわ。
私もヒューリア寵愛の少女の話をキボンヌでございます。ひとつよろしく・・・
母の思いをかなえる子供の話も書いて下さい〜〜
ぐおぉぉ意味深なラストじゃ!もそっとその後を詳しく知りたい〜〜〜〜
最近番外編スレ活気あるねぇ。
前スレなんてひと月ほどで消費されてまつ・・・嬉しい事です。
(前スレ立ったの6/17、新スレ7/25だよ〜。すごいよ〜)
作家様の降臨が頻繁で、ラッシュのようにざくざくと〜〜〜(・∀・)
この調子で逝くと、あっという間に本編スレを抜かしてしまいそうだね。
それも面白いかも。つくづく作家様たちありがd。
管理人さま、更新大変だと思いますがいつもエールを送っております〜
願い、待ってるよ〜。
夕べはたった一つの言葉&願い作家様ご光臨なかったのでつか。。
残念!朝一で読もうと楽しみにしてたのにい。
今日に期待でつ。
お気に入り作品がほぼ同時に終わってしまってさみすぃ〜〜〜
昨日は願い作家タマもご降臨されなかったですね。
さみしぃよぉぉ〜〜〜
連載を終えられた作家様、またドキドキ新作お願い致します。
道中記作家様ヒューリア作家様
お疲れ様でした。いつも楽しみに読ませて頂いていました。
それで、それでなのですが・・・・作家様は読者で読者は作家様と
いうこのスレの特性を生かして、まとめサイト様がもうすぐ一万ヒットなのです
そちらでのキリバンを踏んだ人のリク権として、リクエストに応じて
頂けないものかと?
書き終えた作品の「〜バージョン」等と?
作家様がパスされるのも自由という感じで?いかがでしょうか?
図々しいお願いですけど、番外編でも読み続けたい作品が多すぎる〜〜
>>54 いいですねぇ〜、リクエストできるなんて!
ほんと、番外編だというのに、その番外編まで読みたくなりますね。
それぞれの作品ごとに王子がストイックなカタブツだったり、とことんHなセクシー系になっていたり。
それぞれの王子に愛着あるよ。
お茶目な一面や優しい一面が見れた日にはもう嬉しくて。。。
私はキャロルと思いが通じたのに、キャロルが子供だけを残して死んでしまって
悲しみにくれる王子が立ち直る話を読みたい・・・ツマラないかしら?
キャロル激似の娘を深ーい愛情で育てる王子、案外いいかもなんて。
・・・ハッ、一人勝手に妄想はいってしまった。逝ってきまつ。
(・∀・)イイ!作家様が書いてくれるならば・・・
○○を書いてた作家様にその後とか?未完のままの作品を独自に完結してもらったり?
砂吐き甘いのもいーなーーー。
お願いしまつ。
>>56タン
砂吐き甘いの・・・って何だろ?
気になってしまった。
私も讃せー。もしそうなったらキリ番ねらうぞ!
>>25 11
「・・後宮の者が一歩たりとも私の宮殿に、姫に近づこうものならば、即刻切り捨てよ。
これは私の勅命だ、よいな?」
「・・御意・・。」
「王子・・・。はい、仰せのままに・・。」
誰かの声がしている・・・とキャロルは目を閉じたままぼんやりと思った。
身体は泥のように重く、身体の中心がずきずきと疼くみたい・・・。
眠りと現実の半覚醒の合い間で、キャロルは雲の上にでも漂うような奇妙な居心地のよさに身を任せている。
言葉は未だ言葉でなく、ただの音としかわからない。
私、昨夜、何かを王子に頼んだわ・・・でも何をお願いしたのかしら・・・?
自分でも知らない何かを引き摺り出すような、そんな怖さがあった。
まるで奈落の底にでも落ちていくようなかんじを、幾度も味わった・・・。
メンフィスはいつも優しかった・・・。熱い身体を無理に抑えて、壊れ物で扱うように、私を優しく抱いたのを覚えてる。
時々は抑えが効かないように、荒々しいこともあったけど、私は嫌じゃなかった。
それに一緒に過ごせたのは短い時間だったわね・・・・。
私どうなっていくのかしら?これから・・・・。
不意に柔らかい何かが額に押し付けられ、唇を軽く吸われて、キャロルはゆっくりと目を開けた。
「目覚めたか?まだ随分と疲れておろう、今日は休んでおるが良い」
軽く衣装を羽織ったイズミル王子が寝台に腰を下ろし、穏やかでありながらどことなく哀しげに見える薄茶色の瞳で
キャロルを見下ろしていた。
「お・・おう・・・」
声を出そうとして酷くその声が掠れており、咽喉がひりつくのを不思議そうな顔をするキャロルを見て、
王子は満足そうに微笑んでいた。
>57
(・・?) エッ使わない?
砂吐く位に、むちゃくちゃ激ラブって?
・・・・方言なのか?
12
「どれ、湯殿へ連れて参ろう」
王子がキャロルの身体に手を伸ばそうとしたとき、キャロルは慌てて半身を起こした。
「じ、自分でいきま・・・あっ!」
その刹那に身体の中心から甘い疼きが背筋を走り、下肢に力が入らないのに驚くキャロルを
王子はくすりと好色そうに目を細めて笑う。
「昨夜のそなたの様子では無理だ、自分では動けまい。」
キャロルが恥かしさのあまり頬を紅く染めてるのを見ながら、王子は上掛けごと軽がると抱きあげてしまった。
「昨夜のそなたが私の腕の中で、どれほどいとおしかったか、そなたに分かるまいよ。」
王子の胸のうちにキャロルはその言葉でに呆然とした。
唇の感触も、肌の感触も、麝香のような香りのする匂いさえ、今の私は馴染んでしまったような気がする・・・。
好きで抱かれたわけじゃないのに・・それしかなかったのに・・・嫌じゃないわ、今。
私・・変わってしまったの?
王子がさっさと上掛けを剥ぎとり、キャロルの白い身体を溢れんばかりの湯にそっとつけてくれる。
「ムーラは?」お湯が疲れた肌に染み込んでくるような心地よさである。
王子も衣装を取ると、キャロルの横にその逞しい体を沈めてきて、また湯が勢いよく流れていく。
「私がそなたの世話をしたかったのだよ、その白い肌を他の誰にも見せたくはなかったのでな。」
明るい陽射しの中で、首筋や胸に色鮮やかに浮かび上がる口付けの跡はとてもエロティックだと、
キャロルは自分でも感じ、そんな事を思う自分を恥じてまた頬が熱く紅潮する。
王子がその長い茶色の髪を払った時、逞しい肩に不似合いな引っかき傷をキャロルは見つけた。
「王子・・肩に怪我をしているわ・・・。」そっと手を伸ばし触れてみる、小さな傷。
「それはそなたの爪の跡だ、覚えておらぬのか?私にそなたがしがみ付いていたのをな。」
王子の唇がキャロルの何か言おうとした唇を塞いでしまった。動くたびに流れていく湯の音が響き渡る。
私、どうなってしまうの?キャロルは先の見えない不安に目を閉じた。
作家様としては如何でしょう。
番外編スレの部分は、個人サイトじゃないしなぁ。>キリリク
リクの仕方も、「○○○書いた作家様に、こんなであんな
おはなし書いて下さい」とか指名して?
パス可にしても、断ることさえ負担に
ならないかと・・心配。
別にリクエストはいいと思うんだけどなぁ・・・。
「○○○書いた作家様、こんなお話を書いてもらえたら嬉しいです」って
お願いするのはいいと思うけど。
受けるか受けないかは作家様の自由でさ。
まとめサイトの管理人さんって、縁の下の力持ちだよね。
善意サイト様ですよね。特に週末はお世話になっているし
個人のサイトじゃないけど、番外編の為だけのサイトだから。
恩返しというか・・・
「たった一つの言葉」いいねぇ・・・今一番のお気に入りでつ。
古代のお風呂に王子と・・っていうシチュエーションは
萌え萌えですな。しかし夕飯の支度しなきゃならないのに
萌えてどうする、自分。
>59
がゆんとか同人系でよく使った表現じゃない?
なんだかそんな記憶がありまつよ。
たった一つの言葉の王子萌え萌えでつ。
こんな余裕の王子、もう本編ではお目にかかれないのでせうか・・?
あー、切ない。
>65タン サンクス(・∀・)
王子の風呂シーンといえば「願い」を思い出してしまった。鼻血もんだったナ、ありゃ。
今宵は願い作家さまは来られるのだろうか〜。寝酒を恵んでくだされぃ〜。また鼻血を流したい・・・。
連載減って(´・ω・`)ショボーン・・・
・・・とりあえず、ダイジェストサイトへ逝ってくる〜(管理人タマ、ありがd)
今書いておりますが、まだ終わりませんーー
明日うpしようかと思ってます。
みなさんおはようございます。
たった一つの言葉が上がっててヤター、です。
これで今日も元気に会社へ行けまつ。
願い作家様、皆様マターリお待ちになるとおもいまつよー。
あまりプレッシャー感じずにがんがってくださいね。
たった一つの言葉、耽美的よね・・ウトーリ。
>たった一つの言葉・・
繊細な表現がまた(・∀・)イイ!
楽しみにしてまつ。
>>60 13
昼間の私達はどう見えてるのかしら?
王子は私を丁重に扱ってくれてるし、私はどこかぎこちないけど、王子に添うような格好はとっているのだけれど・・・。
寝台の中で湯浴みを終えたイズミル王子が腰に布を巻いただけの気楽な姿で自分に知づいてくるのを見て、
キャロルは今更ながら不思議に思う。
誰が見てもその整った顔立ち、逞しく鍛え上げた体躯、纏う怜悧でありながらも王者の風格、全てが人目を惹き付ける男の人・・・。
好きでも嫌いでもない、ただ愛するメンフィスがいたために、対立する関係だった人。
でも今は私を妻にした人・・・。私がそれを望まなくても・・・。
「どうした?疲れたのか?」頤を捕らえる指先、いつも私に触れる時に、その優しい感触に驚いてしまうのだと、
改めてキャロルは夫となったイズミル王子を見た。
「・・ヒッタイトへ来て以来、そなたは随分とおとなしいな、寝台の中では別だが・・・。」
王子のからかいの言葉にキャロルの頬はかっと一瞬で熱くなり紅潮する。
「ぁ・・あれは・・王子が・・・。」
薔薇色に染めた頬を見せまいと王子の顔から背ける子供っぽい仕草に、王子はますます楽しそうにキャロルの身体に腕を伸ばし、
その華奢な身体をすっぽりと膝のうちに抱え込んでしまう。
「や、やめてったら!私・・」うまく言葉が出てこないもどかしさ、一体何を話そうとしているのだろう?
「さぁ、これからどうしたものか・・・。そなたはどうしたいのだ?」
指が感じやすいところに悪戯するように、軽く触れては離れて、体の線をなぞったり、柔らかな膨らみを辿る。
そうするうちにキャロルの息が乱れて、白い肌が色づいてくる様がまた美しい。
「どうしようか?・・・。のぅ・・姫・・。なんと申す?」
王子の熱く柔らかい唇が首筋を這うと、キャロルの体の中心が熱くなってきて、堪らずに言葉が零れ落ちた。
「抱いて・・抱いてください・・・お願い・・・。」
「いいこだ・・・。よく言えたな・・・。」
私の身体は私のものじゃない・・・王子のものみたいだわ・・・。
どこまで私は落ちていくんだろう・・・?
それ以上はぞくぞくするような快感に邪魔をされ、キャロルは考える事を放棄した。
キャー。たった一つ王子だわん。
読んでるだけで、ぞくぞくするような快感ですわ。
露骨じゃないのにすっごーくセクシーですな。ハァハァ、イズミルタソ・・・
14
「やめ・・こんな・・・恥かしい・・・・。いや・・」
まるで幼児に用を足すように、背後からキャロルの膝裏を抱えあげた王子にキャロルは抗った。
蜜の滴る花弁に伝わる固く熱くなった王子の分身。
自分の痴態を恥かしく思う一方で、早くそれを納めたいと切望する自分。
「そなたの蜜が零れておる・・・何故に恥かしがる?私を望むそなたはこんなにも愛らしいのに・・・。」
王子の言葉と同時に胎内を深く抉り食い込む灼熱の塊に、キャロルは悲鳴をあげる。
「ゃ・・・苦しい・・・壊れる・・・・。」
自らの重みで更に深く串刺しにされる錯覚を起こすほど、それは体の奥深いところまで潜り込んでくる。
「わかるか?そなたが私をしっかりと包み込むのが・・・。」
王子の掠れた囁きが耳に届くが、身体は甘美な戦慄を求め、唇から零れるのは甘いうめき声だけ・・・。
王子の動きがさらに甘美な波を呼ぶ。白い身体はオリーブ色の肌に密着して、絶頂を極めたその小さな痙攣を余すことなく伝えてきた。
痙攣する体の中の更に奥深い部分に王子も飛沫を放つ。
汗ばんだ白い肌に金髪が張り付き、可憐な花のような顔は息も絶え絶えに目を閉じ、
ぐったりと広い胸に凭れているその姿は、今まで見てきたどんな妖艶な女よりも、清廉で可憐で淫らで自分を惹き付けるのだと王子は見つめている。
身体は満足しているはずなのに、胸のどこかに何かが足りないのだと、王子は気を失ってしまった少女を見て思っていた。
私たち・・・何かおかしい・・・でもそれが何なのか、分からない・・・。
王子の手が労わるように白い肌に触れるのを心地よく思いながらも、キャロルもまた思った。
互いに感じた事を口にする事がないままに・・・。
すみません、作者でつ。
訂正個所を書いておきます。
13の3行目
「自分に近づいて・・」
13の22行目
「いいこだ・・・よく申せたな」でつ。
読みにくくてすみません。
読んでくださった方、レス下さった方、
心から感謝しておりまつ。
がんがって最後まで書きたいと思いまつでつので
どうぞよろしくお願いしまつ。
あ、あのぅ、作者様。ここまで来ると18禁にされたほうが良いのでは・・・
鼻血ブゥ〜〜〜
>>39 体の底から、突然と湧き上がる大きく激しいうねり---
それを避ける術もなく、うねりに翻弄されていく。
男の技巧は的確に、キャロルをいとも簡単に高みへと押し上げる。
腕輪の奏でる金属音の速さが変わる度に、キャロル自身が生み出す音も変化していく。
くちゅ……ちゅ--
息が止まる程、寝具に押し付けている顔が熱く火照り、息が苦しい。
「…本当に姫の肌は…よく喋る…」背中に熱い舌を這わせながら呟く。
「…肌の言葉は…素直で従順なのにな…」そうして、キャロルの裾を踏んでいた足を外し
寝台の上へゴロリと寝転び、頬杖を付いてキャロルを眺めている---
…解放された躰を起こし、緩慢な動作で身繕いするキャロルの、白い肌に付いた赤い刻印…
「…肌の会話を楽しみたいが、姫に話をしておかぬとな…」
---「話が?」けだるく問い返す--
「姫も聞いたであろう?父王が帰城する…姫、どういう事かわかるな?」
「ヒッタイト王は…私を使うのでしょう?…」(そして…戦が始まる)
「だろうな…だが、王は姫が我が手にあるのを知らない…」少しずつ謎掛けを楽しむ様に話を続ける---
「(そうだった!王妃にも…)王子は、何をしようとしているの?」余韻はすっかり消え、意識が完全に覚醒する。
「ひどく暑い…考えがまとまらぬ…姫に酔い過ぎたかも知れぬ…」はぐらかしている様な物言いが。キャロルの勘に触る。
「ふざけないで!王子!焦らさないで教えて」(からかってばかり)
額の汗を拭う素振りをしながら「焦らす?焦らしてなどいないのだが…」小さく笑いながらキャロルに視線をやり
「脱ぎたくとも、この手ではね--痛くて脱げぬ…話を続けたくとも、こう暑くてはね?」大げさに溜息を付く
「なっ--嘘よ!だってさっきまで」言いかけ…口をつぐむ--
「ん?先程まで…最後まで言わねば気になるではないか…」薄い笑みを浮かべ、首を傾げ問いかける。
甘い尋問に耳まで真っ赤になりながら
「---私に、私にどうしろと?」「…あいにくと、教えるのは苦手でね…」
のろのろと王子の傍までにじり寄り、とめ具を外し--衣装を脱がしていくキャロルの指が震えている--
薄物だけになった男から、少し距離を取って座ると「…教えて下さい」
「そうだな、姫は一つ願いを聞いてくれた。では私も一つ…王には話すつもりはない」「じゃ戦はしないのね?」
「では、口づけを貰おうかな」「えっ?…」きょとんとするキャロルに「苦手だと言ったであろう?見返りがなくては」
クスクスと笑いながら「一つ教えて、一つ願いを叶えて貰おうか」
目を瞑って待っている唇が動き「本気の口づけ以外は、認めぬぞ」
「そんな…」--心を決めて、顔の近くに座り屈むと、頬を挟むとゆっくりと
…唇を押し当てて、ぎこちなく舌を入れると男の舌を探す--
いつまでも深くならない口づけに舌を出す、と、小さな舌先が、おずおずと絡め突付く---
そっと目を開けて懸命に舌を使っているキャロルの幼い技巧が、なお更に男を刺激する--
「…っ、堪らぬ」後頭部を抑えつけ、舌を吸い上げキャロルの腰を掴み自分の体に重ね、更に激しく貪り始めた。
「っぁっ…王子っ…教えてっ」「戦は…する気はない…っ」「…本当に?」「…嘘はつかぬ」
先程の行為の余韻もあり、男の固い衝動が薄い布越しにキャロルの太股を叩く---
性急にキャロルの裾をたくし上げ、下から脚を入れ、そのまま膝でキャロルの脚を開かせ、花弁へと指を這わせる
「…姫……そなた自身にも、氾濫は起こるのだな…」
「ぃっ……」キャロルを抱きしめて躰を反転させ組み敷く---
膝を割り大きく広げたキャロルの脚の付け根の細い、コリコリとした筋に舌先を這わせ、筋に沿って
舐め上げながら、蜜壷に指を挿し入れ、やわやわと掻き回すと、肉襞のざらついた個所…を指腹で擦り上げる--と
「あっーーっ」ひと際高い声で鳴き、大きく躰を仰け反らせる。
花弁の上に隠れている小さな核を唇で剥き、舌先で転がすと小さく浅い息を繰り返すキャロルに
「…姫…私は…旅をする」「っ…ぁっ…た、旅を?」荒く息を吐きながら仰向けになると
「…私の上にっ」「……で、出来ない」薄っすらと涙を浮かべ懇願するキャロルに
「…それで、全て教えよう…さぁ」
薄物の衣装をたくし上げ、困惑しているキャロルの手を引っ張り促す----裾を持ち上げ跨がるが、
そこから固まってしまったままのキャロルに、激しく熱を帯びた衝動に耐え切れなくなった男が
花弁に自身を片手を沿えあてがうと、キャロルの腰を掴み自身へと沈めた。
「くっっ…」動きたい衝動をやり過ごし「…私は、そなたと共にエジプトへ向かう…その準備も…明日の夕刻には
…整う…」言い終わると、腰を支え激しく揺すり突き上げる。
初めての行為の恥かしさの為か、あっけなく達したキャロルのぐらついた躰を支え「…早すぎるな…」組み敷き
力ないキャロルの脚を両肩に乗せ動き始める…「ぁっ…っくっ」喘ぎ眉根を寄せるキャロルを見つめ
「もっと、もっと…その顔が見たい…」---やがて自身を解き放った後も、最後の最後まで…自分の情熱を
注ぎ込む様に腰を揺すっている---
--意識を失ってしまったキャロルに上掛けをかけ---鎧戸へ近づき静かに月を見上げていたが
振り向きキャロルの寝顔に寂しく笑いかけ-----月灯りに誘われる様に部屋を後にした。
きゃー!
鼻血一斗缶!!!
今夜眠れるのかしら・・・?(ドキドキ
ね・・・願い作家さま・・・こんな興奮させちゃ駄目でつよ〜。
読んだあと脱力してしまいました、ハァー。
あうー、これだから「願い」は堪んないよ〜。
また、続きお願いしまつね。ハァハァ
わたしも、あうー!と悶絶&脱力してしまいました。
願い&たった一つの言葉作家様、たまらんでつ。
作家様たちの書く王子ってほんとに素敵。
王子ファンのツボをよく押さえてる気がしまつ。
>>81 『ヒメ・・ヒメサマ・・・・』(誰?誰か呼んでいる・・・)躰を揺り起こされ、深い眠りから引き戻された。
ぼんやりと目を開けると、そこにムーラが立っていた。
「姫様…お休みの所を、申し訳ありませぬ」持っていた燈火を床に置き、深く深く頭を下げひざまずいた。
その手をあげさせようとして、ハッと自分の衣装の乱れを直しながら
「…どうしたの?手を上げてください」行為の後に寝入った自分が恥かしい…(あっ王子が居ない?)
部屋を見渡し、王子の気配を探している視線にムーラが「王子は、居ません」寝台の横に正座しながら
キャロルの疑問を見透かしていたかのように即答する。
「ですから、私が参ったのです」
「何も聞かず私に付いて来て頂けませんか?」「え?…」「姫様…私とて女です…」
「お辛いでしょうが…どんな狂気とも思える行動にも理由がある事を」
「付いて来ては…頂けませんか?」(王子の顔は他にもある事を知って頂きたい…)
(付いて行かなければ後悔する気がする…)
「…はい」
「では、ご案内致します、これを」濃いベールをキャロルへ被せ、燈火を持ち先導していく。
-----ルカとの会話を思い出しながら、案内を続けていく-----
「私は、姫様の臣下でいよと、王子の命令ですから、私は動けません。ですから、ムーラ殿が姫様が知らない
王子をお見せしてはいかがでしょうか?(…私は…王子の哀しみを知ってしまった…後は姫様に委ねるしか…)
最小限の灯りが付いているだけの、ひっそりとした佇まいの王子の隣に位置している宮殿に着くと
大小の泉をぐるりと囲う様に造られた建物の一番小さな泉の一部の石を持ち上げると、ルカの言った通りに鍵が
出てきた。城壁の傍まで来ると、深い垣根を掻き分けると小さな扉が現れた。
「ここよりは、お声を立てぬ様に」膝をついて扉の中に入る----
(^^)
今日も深夜組の同士たんいるかな?と思って見にきたら!!
願い作家様のうpがたくさんあって嬉しい〜
Ψ(`▼´)Ψマークつき王子萌え〜〜〜!!
また新たな展開がありそうで、続きがとっても気になりまする。
たった一つの言葉作家様の王子もいいでつね〜
ここにくると萌え萌えな王子に会えて癒されまつ☆
作家様、うpに癒される〜!
「願い」なんだか新展開で楽しみでつ。
王子、早く幸せになってほしいなあ。
前スレ578様の
>妖かし婚のあとトントン拍子に一線を超えてしまい更に
>妊娠したりした後やっと正気に戻って苦悩するキャロルをどうにかこうにか
>振り向かせる王子、みたいなのは既出でせうか?
という書き込みを拝見しまして「どうなるかな?」と妄想を膨らませてしまいました。
でもどうしても私の頭では無理っぽいので(スミマセヌ)、換骨奪胎のお話になってしまいました。
拙いですが私も参加させてください。
0−0
「王子、和子様のご誕生でございます!男御子でございます!御母君ともどもご無事でございます!」
興奮にうわずった声のムーラが政務の間の扉を開きざま、叫んだ。
おおっ、というどよめきの声が政務の間を揺るがし、すぐさま伝令役がこの輝かしい知らせを公にするために走っていった。
(私の・・・私が姫に生ませた私の子・・・。ヒッタイトの血を継ぐ子)
イズミル王子はしばし立ちつくした。嵐のような激しい想いが静かに立つその体の内を駆けめぐる。
エジプト王の妃であった佳人を、その愛故に騙して現心(うつつごころ)を失わせ我が物とし、一度は真実愛した男性の子を流した胎内に我が子を孕ませた・・・!
(我が想い、我が望み、我が命・・・。何よりも愛しい姫が私の子を産んでくれた。私が望んだその通りに。
だが私の罪は・・・最愛の姫に犯した我が罪は永遠に消えぬか・・・!)
「王子。どうか和子様のお顔をご覧下さいませ。・・・姫君もお待ちでございましょう。たいそうお苦しみになられましたゆえ」
ムーラの声に我に返り、初めて父となった王子は喜びの喧噪の中、ゆっくりと産屋に向かっていった。
(私の子・・・。私が産んだ王子の子。ああ・・・メンフィス・・・!許して、許して!私、私、あなたと・・・あなたとの間に出来た子を裏切ってしまった)
金茶色の髪の毛をした色白の嬰児を見るキャロルの顔は憔悴しきって蒼白だった。窶れてもなお美しいその顔のどこにも初子を無事に産み落とした母の喜びはない。
エジプトの王妃であったキャロルは、キルケーの妖かしに惑わされヒッタイト王子イズミルの妃となった。
彼女が正気と記憶を取り戻したのと、その胎内に夫メンフィス以外の男性の胤を宿していると分かったのはほぼ同時であった。
悪夢のような妊娠期間。キャロルは自害も許されず、絹と真綿の牢屋で文字通り‘生き長らえさせられた’。
(母である私が望まぬままに授かった可哀想な赤ちゃんと一緒に死んでしまいたかった。そうすれば楽になれたのに)
0−1
その時、産屋の扉が開きイズミル王子が現れた。
王子は自身の罪深さに戦くように一瞬、立ち止まったがすぐに喜びに顔を輝かせてキャロルと嬰児の横たわる寝台に駆け寄った。
「おお・・・!」
王子は自分の罪も何もかも忘れ果てて、母となったばかりの最愛の妃と生まれたばかりの男児に見とれた。それは何と美しいのだろう!
「姫、よく頑張って私の和子を産んでくれた。
そなたが難産の苦しみの中に居るというのに何もしてやれぬ私が歯がゆくて、万一そなたを失うようなことがあったら何としようと居ても立ってもいられなかった・・・!
ああ、姫!本当に・・・本当に・・・!」
王子の茶色の瞳は喜びの涙で潤んでいた。浮かない顔のキャロルの手を押し頂き接吻で覆う。聖なる物であるかのように。
激しく深くキャロルを愛するが故に、深い罪を犯し最愛の女性を悲しみのどん底に突き落としたイズミルの、それは紛れもない真実の愛だった。
だがイズミルに返されたのは冷たい拒絶と無関心の仕草だった。
「あなたの・・・子です。あなたが望んだあなたの子です。どうか・・・この子だけは愛してやってください。悲しませないでやってください。
この子は・・・あなただけの子です。この子にはあなたしかいないのだから」
言外にこの嬰児は自分の望まぬ子、と告げるキャロルの哀しい声音。
(これが私への罰か。永劫に消えぬ私の罪に対する罰か・・・)
「・・・・そのようなこと、言われるまでもないこと。私はこの子を愛する。
私の愛するそなたが産んだ子だ。何故、愛さぬ道理があろう。
私はそなたとそなたの産んだ子を愛する。誰にも渡さぬ。どこへもやらぬ」
王子は冷たく固い妻の身体を寝台から抱き起こした。
「愛しているのだ。愛しているのだ。何故、分からぬ?何故、分かってくれぬ?」
「何故と訊くの?私を騙してまでこんな情けない境遇に追いやった人が?
死にたかったのに死ぬことすら許されず、屈辱の中で生きるしかないようにした人が?」
0−2
その時、嬰児が元気な泣き声を上げた。キャロルは反射的に赤子を抱き上げるとぎこちなく初めての乳を含ませた。
赤子は小さな小さな口をいっぱいに開け、乳首を探り当てると慣れぬ様子で命の素を飲み始めた。
静かな産屋の中に一心に乳を吸う嬰児の息遣いだけが響く。
望んで授かったわけではない命なのに、心ならずも産み落とした冷酷な男の子なのに、キャロルはまだ名付けられてもない嬰児を愛しい、と思った。
(そうなのね。無事に生まれてきてくれたあなたは何の罪もない。私を信じ切って全てを任せてくれる。
だったら私はあなたを愛し、守ってあげる。誰にも欺かれないように。幸せになれるように。
無垢なあなたが・・・私の生きさせる。私にはあなたしかいない・・・)
まだ目が見えるわけでもないだろうに、赤子は父親譲りの茶色の瞳でキャロルを見つめた。キャロルの目に涙が盛り上がり、薄紅に染まった頬を滑り落ちた。
不意にキャロルの肩に大きな王子の手が置かれた。王子の目に暖かく真摯な光が宿り、その偽りのない誠実さがキャロルの胸を激しく打った。
「私は生涯かけて、そなたとそなたが産んでくれた和子を守ろうぞ。
それが私の・・・そなたへの詫びであり、心の証だ」
「王子・・・」
自分への激しすぎる愛故に、重い罪を犯した憎い男。正々堂々と王者の道を歩むべき男が、足を踏み外したのは何故だったのか。
キャロルは自分に触れる王子の手を乱暴にはねつけたりせず、ただそのままにしておいた。男の体温はゆっくりと赤子を抱くキャロルのそれと溶け合っていった。
0−3
王子とキャロルの間に生まれた男の子はスレイマンと名付けられた。
キャロルがこのスレイマンを愛することはこの上なく・・・そしてイズミル王子はそんな母子をこれ以上はないというほど大切に愛した。
口では決して多くを語りはしなかったが、イズミル王子の細やかな心遣いと愛情は常にキャロルの上に注がれており、キャロルもまたいつしかそれを拒絶することをしなくなっていったのである。
それが愛なのかと問われれば、キャロルは首を傾げ、王子もまたキャロルを慮って明言は避けただろう。
しかし初めて父と母となった男女の上には初めて穏やかな時間が流れ始めていったのである。
キャロルと遊んでいたスレイマンは、ムーラと共に中庭に現れたイズミル王子を見つけると嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ちちーえ、ちちーえ!」
「おお、スレイマン」
イズミル王子は笑み崩れ、我が子を抱き上げた。
父親に得意げに拾った小石を見せびらかすスレイマンを見るムーラの瞳もまた優しい光を宿していた。
0−4
イズミル王子はスレイマンを軽々と抱き上げて城壁の上に連れていってやった。
はしゃぐ幼児を大切に抱きかかえる大柄な男性を見送る二人の女性、キャロルとムーラ。
先に口を開いたのはムーラだった。
「スレイマン様は大きくなられましたこと。それに・・・何と父君によく懐いて。
私はあのような穏やかなイズミル王子のお顔を見たことがありませぬ。
いつも厳しい顔を崩さなかったあの王子があのように笑われる。
私は嬉しい。王子があのように幸せそうであるのを拝見いたしますると」
キャロルは黙ってムーラの言葉に耳を傾けた。
(そう・・・スレイマンが生まれてあの人は変わった。それは私も気づいていることだわ)
「姫君、ありがとうございます。
姫君の胸の内に渦巻く思いは同じ女として痛いほど分かります。私の愛し子はあなた様に対して、人として決してしてはならぬことをなされたのでございますもの」
「ムーラ?」(気づいている?この人は?)
「卑怯なる手段でもって姫君を妃とし・・・あなた様もご自分も不幸になる道を選んだ我が王子なのに・・・あなた様は王子の和子を生みまいらせ、そして愛し慈しんでくださる。
本当なら憎い憎い男の子供、殺したいほどでしょうに。姫君が王子を許せぬ者と蔑み憎むのは道理でございます。
しかしその憎い相手の子を慈しむ姫君の慈悲のお心が私にとっては何よりもの救いと映るのです。私の、私の愛するイズミル王子への慈悲が有り難いのです。
ありがとう、姫君。本当にありがとうございまする・・・」
キャロルはただただこみ上げてくる涙を堪えて、ムーラの手を押し頂くばかりだった。
0−5
それでも平和な日々は長くは続かなかった。
エジプトのファラオが妻を拐かした犯人をようやく発見し、復讐と奪還のための戦を始めたのである。
火のようにヒッタイトに攻め入るエジプト王。エジプト軍の士気は高く、軍はあっという間にヒッタイトの奥深くまで侵入した。
戦が始まってわずか一ヶ月の間に・・・ファラオはイズミル王子とその“妻子”のいる城塞を包囲したのである。
(くっそう・・・!援軍さえ来れば、そしてこの炎熱の季節さえ終わればエジプト軍など蹴散らしてくれるものを!)
敗色濃いヒッタイト軍の城塞。矢狭間から包囲軍を見下ろすイズミル王子の顔には疲労と苛立ちの色が濃かった。
少ない自軍でヒッタイト軍はよく持ちこたえていた。だが守り一遍倒れの軍の分は悪かった。
王子が部屋の中を振り返れば、スレイマンを抱えて不安そうにしているキャロルと目があった。キャロルはスレイマンを熱風から守るために自分のベールを与えてやっている。
「姫、これを」(今少し自分の身を省みよ。そなたに何かあれば私は)
王子は自分のマントをキャロルに与えた。豪華なマントは消耗と絶望をもたらす乾風からキャロルを守るだろう。
「でも王子が。私は大丈夫だから」(この子と、この子の父親のあなたが無事でいてくれるなら)
「私は大丈夫だ。姫、どうか私のために・・・いや私とスレイマンのためにその身を大切にしてくれ。さぁ・・・」
0−6
その時。
大音響が城塞を揺るがした。
「エジプト軍が城門を突破いたしましたっ!」
「くっそう!ひるむな!援軍が来るまで持ちこたえよ!」
王子はそう言いながら鎧甲を身に纏った。
「姫、そなたは脱出いたせ。何があってもそなただけは無事でいてくれ!エジプト軍もそなたに無体はいたすまい」
そう言って王子はキャロルの腕の中からスレイマンを抱き取った。じき3歳になろうかという大柄な男の子は大まじめな顔で父親を見つめた。
「いやっ!スレイマンをどうして取るの?返して、私の子よ!」
「ならぬ。こればかりは・・・。スレイマンは私の子でもある。ヒッタイトの嫡流だ。どうして・・・そなたと共に落ちさせてやれよう。
私がスレイマンを守る。必ずだ。だからそなたは今の内にファラオの許に行け。
・・・・・私が愛するそなたにしてやれる最後のことだ。そなたに心染まぬ懐妊を強いた私が今更・・と思うだろうが。私は・・・」
「いやっ!私もここに残る。ひどいわ、今になって私を捨てるの?もうヒッタイトにしか居場所のなくなった私を?
私はスレイマンの母親です。あ、あなたがスレイマンの父親であるのと同じように。お願い、私もあなたと一緒にいさせて!」」
「姫・・・そなたは・・・」(私と一緒にいてくれるのか?私を選んでくれたのか?)
見つめ合う王子とキャロル。
だが二人がそれ以上、相手の気持ちを確かめあう時間はなかった。
エジプトのファラオ メンフィスその人が・・・血塗れの剣を下げて単身乗り込んできたのである。
「キャロルっ!無事かっ!」
数年ぶりに最愛のキャロルに再会したメンフィスの喜びは一瞬にして潰え去った。彼が見たのは幼子を間に寄り添う男女の姿だったのである。
「・・・・イズミル、貴様、キャロルを・・・!
おのれっ、忌々しい餓鬼共々殺してやるっ!!!」
メンフィスは信じられない素早さでイズミル王子とその腕にある幼子目がけて斬りかかってきた。
0−7
「だめぇっ!」
キャロルの絶叫が響きわたる。
「私の大事な人たちを殺さないで!取らないで!」
メンフィスの剣と、王子の間に割って入ったキャロル。
振り下ろされる剣。白いうなじに食い込む剣。
全ては音と色を失ったスローモーションのような現実味のない風景・・・。
「姫っ?!」
王子は咄嗟に何が起こったか理解できぬままに自分を見つめる青い瞳を見つめ返した。キャロルは万感の想いを込めてイズミル王子を、その腕の中にあるスレイマンを見つめた。
(あなた達こそ無事でいて欲しい。無事に逃れて生き延びて欲しい。それが私の望みだから。
私はスレイマンを・・・王子を・・・)
キャロルは思った。死の直前の永遠の一瞬のうちに。
(そういえば・・・私、一度も言っていない。愛しているって。スレイマンにも・・・王子・・・にも・・・)
キャロルはメンフィスを愛した。その心に偽りはない。
だが。同じようにイズミルを、自分にスレイマンを授けてくれたイズミルをも愛するようになった。
それはメンフィスに対して抱いた激しい炎のような愛ではなく、静かで曖昧な色合いの愛であったかもしれない。
穏やかで複雑な陰影を帯びた愛。それはキャロルが苦しみ悩み育んだ愛。
恋することもなく、いきなり子を産ませた憎い男ではあったがキャロルは間違いなく王子を理解し、受け入れられるようになっていた。長い長い時の後に。
(愛していますって・・・・でも・・・もう言えないの・・・)
王子はキャロルを抱き留めて、その頭を抱き寄せようとした。だがその手は虚しく空を切った。
はずみとはいえ、怒り狂うメンフィスは一刀のもと、憎いイズミルとその子を庇ったキャロルの首を切り落としたのである。
イズミル王子の目の前が真っ赤に染まった・・・・。
無責任にも書き込んだアイディアを使ってもらって嬉しい〜!
でもよくよく考えると本当に物語にするのは無茶なんじゃないかと
いう気にも・・・。本来王子タソLOVEな私ですが、作者様のご都合で
ストーリーを広げてください。悲劇になってもいいし、
メンヒスとハッピーエンディングになってもおもしろいですよね。
影ながら応援してます。
新作嬉しいっ!と思ったらいきなりキャロルの首ちょんぱ?(爆)
一体これからどうなるのでしょう?
あああ〜、キャロルー。
王子って相愛になっても悲劇の似合うお方・・・。
王子に幸せになって欲しいと願いながらも、王子が不幸になればなる程萌える私。
Ψ(`▼´)Ψ系ストーリーも大好きだけど、久々にH抜きで純粋にお話を楽しませて頂きました。
遠い約束作家さま、素敵なお話ありがトン。
禿同〜〜(・∀・)イイ!
好きっっっっ
むちゃくちゃ好き…今日はお仕事お休みになって喜びーの上の
喜びですぅぅぅ
こんな素敵な作品を読めて幸せ〜♪
私も頑張って書きまするぅぅ。
へ?<<98書き込んでいる間にまさかの急展開があったのですね?
なんか間抜けな私。
>>102タン ・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )ヨチヨチ
たった一つの言葉のつづき、気になるー
今日読めるかな〜、うpは1話分?2話分かな〜
イパーイ読みたいぞぅあああ〜〜〜っっ
うーん。イズミルタソはなんとなくキャロルの子供だったら、他の男の
子でも可愛がりそうだけど、メンフィスは逆上して頃しちゃいそうだねぇ。
しかし、どうなるんだこの先。
遠い約束作家様
いきなりキャロルあぼーん(ですよね???)で始まったお話。
掴みはおっけーです。続きが気になります。
>>75 15
「あの・・や・・やめて・・」
王子の手を唇を拒むのは難しい。
胸のうちにすっぽり抱かれて、王子の体を感じてしまうと自分の意志を保つのが困難なのだと
キャロルはここしばらくの経験で分かっている。
頬が熱い、息が乱れる、どうして私の身体はこんなにも王子の為すがままなの?
「どうして?どうして毎晩のように私を抱くの?・私・・・一人で・・休みたい・・。」
それは自分の中ではどうしようもない感情に支配された言葉だ。
これ以上自分が王子によって乱されることを懸念した言葉であり、その反面、言葉は裏腹に王子に抱かれたいのだという、
相反した願いの言葉。
だがその言葉に王子は反応した、薄茶色の瞳の中に怒りなのか哀しみなのか、荒々しい光と宿らせて。
「そんなにもこの私が厭わしいと申すか!この私を!」
寝台に押しつけられる細い肩を掴む大きな手に、キャロルは驚いて青い瞳を見開いた。
「・・どういえばいいのか分からない。でもあなたが私を妃にしたこの状況を・・許したわけじゃないわ・・・。
でも・・・あなたが・・嫌い・・ということじゃない。あなたが私に触れたら、私・・もう・・自分では拒めない・・・。」
自分を見下ろす唇を引き締めたかすかに怒ったような表情。でも他にどういえばいいの?
「そなたの身体は正直だ、私をいつでも受けいれておろう、そなたの心も私を受け入れよ、何を躊躇する?
そなたは媚薬だ、そなたの身体に触れて仕舞えば歯止めが効かぬわ・・。」
強引で傲慢な言葉。でもそんな言葉が欲しいわけじゃない、私は一体何を望んでいるのかしら?
「や、やめてったら!王子・・・!」耳朶を甘く噛む感触に、頬を染めて抗う仕草がまた男をそそるのだが当の本人は知る由もない。
「私・・・あの・・・。」
恥かしがって口篭もるキャロルに、なおも白い肌を滑る唇は止まらない。
顔を背ける少女が、より一層愛らしく思えて、漸く王子はその手を止め、やんわりと問うた。
「具合でも悪いのか?そうとも思えぬが・・・。」
16
どういえばいいの?
キャロルの頬は紅潮したままだ。
今までこんなにも愛された経験がなかったため、キャロルの体の奥の泉がかすかに痛み、
花唇が腫れているようだとは、流石に恥かしくて言えない。
私の体なのに、私の意志どおりにならないで、王子を受け入れてしまう。
そしてそのことを自分の体が歓んでいることも、悩みの種となってしまった。
「どれ、見せてみよ、具合が悪いなら私が見よう・・。」
「ち、違うの!・・・あの・・・」
恥かしがって背を向ける少女の白い体。首筋、胸元、わき腹、腿、果物を思わせる双丘に散らばる夜毎の名残。
「どこか痛むか?ここか?どこだ?のぅ、姫よ・・。」
腕のうちでキャロルは恥かしさのあまり涙を浮かべて白状させられた、連日の営みで体が辛いのだと・・・。
「お願いだから・・・一人で・・休みたいの・・・。」
「可愛いことを申す・・・だが一人寝は許さぬ、少々そなたに無理をさせた、今宵は我慢いたそう。」
王子は自らの招いた事をただ笑って受け止めた、キャロルが驚愕のために青い瞳を見開くほどに。
王子は心底おかしそうに声を立てて笑った。
「すまなかったな、そなたを可愛がりすぎたようだな、だが、そう私を厭うな。」
おかしな人だわ・・・王子って。
王子の息遣いを感じながら、キャロルは不思議に思う。
こんなに機嫌のよい王子なんて初めてみたわ・・・。拒んでもむしろ大笑いするなんて、私にはわからない。
一体王子が私のことをどう思ってるか想像もつかない・・・・。
王子の鼓動を耳に聞き、逞しい胸に抱かれて、何時にない安堵感がキャロルの心を満たす。
変な人だわ、王子って・・・・。
「・・王子様のくせに・・・変な・・人・・・」
キャロルの呟きを聞いてイズミル王子は呆然とした後、ひとしきり笑って、腕の中の少女を改めて抱きしめた。
ク〜〜ウ〜〜!なんだかラヴラヴモードに近づいてきたね。>たった一つ・・
あたしゃうれしいよ。
読んでてなんかハヤシマリコさんの文章を思い出してしまった。
どこがと言われても困るが。
アンチだったらスマソ。
たったひとつ〜はマターリしてきていいかんじ。
もうひとつの衝撃の新作(笑)の遠い約束はどう続くのか気になる
キャロル首スッパーソの瞬間に随分いろんなこと考える暇あったね。(w
キャロルの首はゴロゴロと転げて逝ったんスかね・・・(想像するとチと怖いが)
あぁ、メンフィス&王子どうする?どうなる?あああ〜
キャロルの首の取り合いが始まるとか?!
新たな展開ですなぁ。
>>85 洞窟の様な狭い通路を這う様に進む、先導しているムーラも燈火をかざしながら探る様にゆっくり進んで行く。
追いかける様に付いて行くキャロルは、(ムーラも、ここへ来るのは慣れてないみたいだわ…この先は一体何が…)
途中、通路の燭台に燈火の火を移しつつ進むと、どうにか立つ事が出来る小さな部屋に辿りついた。
辺りを見回すキャロル…目の前に階段がある以外は、衣装箱が三個ばかり置いてあるだけの殺風景の小さな部屋。
…(ここは?---何の為の部屋なの?ここに何があるの?)ムーラも辺りを油断なく確認すると、ついとキャロルの前に立ち
口に人差し指を立てて、深々と頭を下げ、燈火を床に置くと、今来た通路へと戻って行った。
一人きりになったキャロルは----燈火がパチッと火を弾く音さえも聞こえる静寂の中で
取り合えず衣装箱を調べてみようと近づく---と、声が聞こえてきた。
(…今の声は、上から?)----声のした階段を静かに上がると、天井部分に押し上げる木製の扉があった。
押し上げようと扉に手を触れる---
「…ミタムン…私の事を愚かだと思うているだろうな」
(…王子の声だわ…)慌てて、扉を押し上げようと伸ばした手を引っ込め、そのまま階段に座り込み耳を傾けた。
「皮肉なものだな…お前の行方を探し…そこで…姫と初めて会ったのだった…」金属音と、ぶつかり合う小さな音
(お酒を飲んでいるのね…ここは…ミタムン王女の?)
ここへ来る迄の通路にもさえ敷物が敷かれてあった事を思い出し、一体何の為に造られた部屋なのかと考えていると、
ドサリと音が聞こえた後に、ミシリッときしむ音が聞こえる。
(寝台?…ここは寝台の下にあるのね…)ようやく状況を把握した。
「お前が居たら…私を責めるか?それとも良い策を講じてくれたかな…」自嘲気味な笑い声---
「…責めなら充分に受けている…姫の心に私は入り込めない--いくら躰を重ねてもね」
「…私の腕に抱く事が出来た喜びの後…それで全てが上手くいくとは考えてはいなかったが…」
途切れては、また紡いでゆく言葉に、キャロルはじっと聞き入っていた。
「私の本気の心も言葉さえも、受け入れてはくれない--私の気持ちを…王位継承権が欲しい為の偽りとしか
思ってはくれぬ…姫が私に心を与えてくれるならば…世継の地位さえ要らぬのに…」
ドクンとキャロルの心臓が脈打つ。
「愛している…愛している…」優しく語り掛ける声
「幾夜も夢の中でさえも求め続けたのか…焦がれて眠れぬ程に--焦がれ過ぎて狂ってしまったのかも知れぬな…」
「この耐え難い狂おしい想いは、抱き締めていても鎮まる事はない…」
「心から血を吐くほどに乞い願うものに…それに触れる事さえ叶わない、忘れる事も出来ない…そうして他の男の
腕の中で抱かれている事を思うと…そんな生きたままの地獄の中を這い回って来た---」
魂から絞り出した様な声は…キャロルの心に、辛く切なく刻印された。
「幾度抱いても、心は抱き締める事が出来ない…いっそ一つの体になれれば…心は…寒くはならないのか?」
「抱くたびに、心をも全て欲しくて堪らないのだ…得られない心を…」
「それでも…飽きる事も叶わず、焦がれて抱きしめずにはいられない…」
「ミタムン…お前も王に同じ想いを抱いたのか?…お前と姫の心を捉えて離さぬ程に…」
自分でも気付かない内にキャロルの、閉じた瞼からは涙が溢れていた、そして『変化』の正体も…
…自分の足に視線を落とす、不器用な手当てが施されている。不器用な優しさ-----
違う--そうさせてしまったのは自分なのだと-----
ただ蹂躙される為に傍にいるのだと---それを受け入れるべきが自分の罰
(気が付かなければ良かった…)
激しく抱かれた後、遠く霞む意識の中にシャラシャラと金属音と共に聞こえてた、意識の奥に語り掛けていた哀しげな声に
それは夢だと思おうとしていたのに、
『姫愛している…憎まれても疎まれててもよい、傍に…傍にいてくれ』
その小さな呟きが切なく胸を締め付けていた事に---
遠い約束作家様〜、どうか続きをうpして下され〜。
キャロル首チョンの後が気になって眠れません。
ほんとHな話でもラブラブ話でもないのになんでこんなに気になるんだろ。
キャロルを手に掛けてしまったメンフィスは一体どういう行動に出るのかな。
王子も自分が原因作ったんだからメンフィスだけを責められないよね。
そしてイズミルJrの運命はいかに?
おもしろすぎるよ〜〜〜!!!
願い作家様のご降臨はまだかしら?願いもダイスキなので毎晩楽しみにしてます♪
独特の文体が不思議な雰囲気持ってて個性的でいいですね。
やっば〜い
せつなくって寝れないよぅ。。>願い作家様
言えてる罠。
でもハッピーエンドに向って動きだしてる?
そーいうのを情が移ると言うのかも・・それでもいいのか?
メンフィスの立場は・・愛ってむつかしい(w
>>97 1
(ああ・・・・またあの夢だ・・・・)
寝台の上に起き直ったイズミルは、はぁはぁと荒い息を吐き、滴る脂汗を乱暴に拭うと水差しの水をぐっと飲んだ。
辺りは夜明け前の灰色の光の中に沈んでいる。見慣れた室内がひどくよそよそしく思える。
恐怖、絶望、愛する者を守れなかったという体の底から冷え冷えとしてくる感触。
夢はいつも戦の場面だ。どこかの城塞の中。攻め入ってくる敵軍から妻子を守ろうとする自分。
だが守ろうとした最愛の妻は自分の目の前でむごたらしく殺されてしまう。
飛び散る血。炎の中に転がっていく首。自分とそしてたった今、女の首をはね飛ばしたばかりの敵の絶叫、子供の泣き声。
どうして自分と敵は生き長らえているのだろう。
どうして敵と自分は同じ相手を愛し、結局は幸せにしてやれなかったのだろう。
愛していたのに・・・愛していたのに・・何よりも誰よりも・・・・・・。
イズミルは大きく吐息をついた。深い悲しみと切なさが氷の刃となって胸を刺す。
その夢はイズミルが物心ついた頃から幾度も幾度も彼の許を訪れた。どこか遠い時代の遠い国で彼は生き、誰かを愛し、その愛故に過ちを犯し、全てを失った。
(夢・・・か。ただの幻なのかあるいは・・・私が私として生まれる前の出来事か・・・)
砂漠の国、アル・シャハルの世継ぎにして摂政であるシーク・イズミルは先ほどの夢の残像に心を集中した。
映像が驚くほど鮮やかに目の前に浮かんだ。
自分を見つめる金髪碧眼の少女と言っていいほどの年若い女性。窶れ、戦塵に顔は汚れていてもその侵しがたい凛とした気品、愛らしい優雅な顔立ちは隠しきれなかった。
そしてその少女のような女性の腕の中に守られている幼児。幼いながら賢そうな顔立ち。金茶色の髪の毛と瞳。その男の子は自分の幼姿にうり二つだと、イズミルは思う。
2
シーク・イズミルの瞼の裏にさらに映像は流れる。
むごたらしく死んだ金髪の女性の遺体を目の前に呆然と立ちつくす二人の男。
黒髪の男性と茶色の髪の男性。後悔、絶望、悲しみ、いつ果てるとも知れない悲痛な慟哭が戦野にこだまする。
―・・・・・! 何故にそなたは死んだのだ?何故に私と生きてはくれなかったのだ・・・!―
イズミルは目を開いた。部屋に明るい朝日が射し込んでいる。
「シーク、お目覚めでございますか?」
乳母のムーラが朝のお茶の盆を持って部屋に入ってきた。
イズミルは勢い良く起きあがった。しなやかな肉食獣のような見事な体が朝日の中に露わになった。
「・・・・・お顔の色が冴えませぬ。また・・・夢を・・・?」
勘のいい乳母は心配そうに夢の残滓に捕らわれる育て子を見やった。
(イズミル様は前の世でよほどお辛い目に遭われたのだ。いつとも知れぬ前の人生の心残りを背負って生まれ変わって来られるほどに・・・)
古い言い伝えでは、人は幾度も生まれ変わるという。し残した事を成すために。もう一度愛しい人に巡り会うために。
ごくたまに、前世の記憶を引きずって生まれ変わってしまう人間もいるのだ。
(イズミル様は戦争の夢をご覧になると言う。前世に強く捕らわれて不幸にお生きになるようなことだけはなさらないでくださいませ・・・)
ムーラの心に感応したようにイズミルは言う。
「夢に捕らわれるとは愚かなこと。私はアル・シャハルのシーク・イズミルだ。私は私として生きるために今の世にあるのだ」
3
自らを叱咤激励しながらもイズミルは知っていた。自分がどうしようもなくあの金髪の少女に捕らわれているということを。
愛らしく優しい顔立ちも、毅然とした凛々しい言動も鮮やかに覚えている。
夢の中の自分に向けられた、哀しみと深い・・・愛情・・・のようなものが混じり合った視線。
それなのに名前すら分からない。夢の中の幻だと敢えて自分に言い聞かせ、心押さえねばならないほどに惹かれている相手の名前を、彼は知らないのだ。
「馬鹿げている・・・!」
イズミルは呟き、アル・シャハル首長国の摂政としての義務を果たすために政務室に向かった。
「おはようございます、殿下」
イズミルを迎えたのは秘書官のルカだった。イズミルは鷹揚に頷くと早速書類に目を通した。
ここ砂漠の中の王国アル・シャハルは近年、外国との交流の門戸を開いたばかりの国で、今は驚異的なスピードで近代化がなされていた。
豊富な石油資源は国庫を潤し、賢君と讃えられる若い摂政イズミルの元で国内は急速に発展していった。治安は良く、教育は行き届き、産業は栄えた。
鎖国状態から脱して20年とたっていないのに貧富の差なども少なかった。
右上がりに成長を続けるこの国に多くの外国企業が投資し、進出したがったが,イズミルは慎重に受け入れる相手を選んだ。近代化は急がれるが、しかし全体のバランスを崩しては国益を損なう。
やがて午餐の時間となった。
伝統的なゆったりとした寛衣を着たイズミルは病床の父王を見舞いに行った。
病勝ちですっかり弱ってしまった父王だったが、しかし午餐を共にしながら息子と国政の事を話すのは楽しそうだった。
父王は息子に満足そうに微笑んで見せた。父親の不満はただひとつ、息子が30近くにもなって未だ独身であることだけだ。
4
「イズミル。そなたいくつになったかな?」
「20と8・・・でございますが」
空とぼけてイズミルは言った。
「わしがそなたの年の頃は・・・」
「・・・もう、そなたは6歳になっていたぞ、でございましょう。父上。
分かっておりますよ、おっしゃりたいことは。私も考えぬわけではありません。
しかし今は国事が山積しております。個人的な事はどうしても後回しになります」
「何が個人的か。世継ぎにして摂政たるそなたの婚儀は国事である。縁談は多くあるのだぞ?」
「国事であればこそ慎重にもなります。少しでも良い条件で我が国の国母となる女性を手に入れなければ」
「・・・・・・イズミル、そなたはまたあの夢を見たのか?」
イズミルの顔がさっと緊張した。
幼い頃、あまり悪夢―もとい戦場での生々しい光景―に苦しめられる息子を見かねた父王は伝統的な占い師に彼を見せた。
そのためにイズミルがどうも前世の心残りと共にこの世に生まれ変わってきた人間だと明らかになったわけだが・・・。
「そなたが夢を見た後はすぐ分かる。他人には分からぬであろうが、真実そなたを大切に思っている者には分かるものだ」
「父上、お心遣いは無用でございます。私は大丈夫です。
・・・・ではこれで失礼いたします」
「明日から『王家の墓』展の視察か。帝国主義者どもの悪趣味な墓暴きだ」
イズミルはルカが差し出したスケジュールに目を通しながら呟いた。彼は欧米人にはあまり好意的ではない。
「シーク、しかしリード財閥の総帥が主催している展覧会です。今後のこともありますし。ご視察だけでなく公人私人との会談もいくつか入っています」
「分かっている。ライアン・リードは私と同じくらいの年だろう。興味はあるのだ。まぁ・・・これも私の義務なのだし疎かにはしないさ。
外遊は多くの実りをもたらす。今回も色々取り付けたい約束や有利に取り決めてしまいたい案件が山積しているな」
そう言ってイズミルはまた書類の山に没頭した。
5
「王家の墓」展・特別先行公開の会場は華やかな賑わいに包まれていた。
リード・コンツェルンが行う言ってみれば企業展覧会であるのに、まるで政府主催の催しであるかのように各国の要人、名士が集い、中には王侯貴族の姿も見える。
「大した羽振りだな」
ゆったりとしたマントと寛衣に身を包み、アル・シャハール独特の長髪を無造作に束ね垂らした大柄なイズミルは何の感情も籠もらない口調で呟いた。
何だか肌がぴりぴりとするようで落ち着かなかった。
(何か、あるのか・・・・?この死者達を晒しものにしている場所で?)
王家の人間の常でイズミルもある種の感覚が人よりは鋭かった。何かに呼ばれているような、何かに強く引き寄せられるような感覚。
マッテイタノ、ヤットキタ、ハヤクオイデ、コッチダ・・・
(私に呼びかけても無駄だ。私は何もしてやれぬ。全く勘が鋭いというのも考えものだ。こんな・・・ざわざわした強い感覚は初めてではないか)
イズミルは目に見えぬ何かに向かって心の中で告げた。
眉目秀麗な異国の青年を振り返って見る人も多かった。だがイズミルはそんな視線など露ほども感じていないように傲慢とも威厳溢れるとも言えるゆったりとした歩調で会場内に向かった。
イズミルが一歩、会場に足を踏み入れるとわーんと鳴るようなざわめきと熱気が彼を圧倒した。
人々は口々に一同に集められた珍奇で貴重な展示物に目を見張り、訪れるVIPたちを指さしては、やれフランスの大統領だ、アメリカの大使だ、アラブの王様だと声をあげた。
「ようこそおいでくださいました、イズミル殿下」
スーツをぴっちりと着こなした金髪の若い男性が恭しくイズミルに礼をした。
(ロディ・リードか。この若さでライアン・リードの片腕を務めているとか)
「どうぞこちらへ。ご案内申し上げます」
イズミルは無表情に頷いた。一国の摂政が到着したというのにこの展示会の主催者はどこかの国の大使とのお喋りに忙しいらしい。我ながら大人げないと思いながらもイズミルは不快だった。
6
ロディに声をかけられて長身の男性ライアン・リードがイズミルの方を振り返った。そして大股にイズミルの方に近づいてきた。
「イズミル殿下、ご来訪いただきまことに光栄です。どうかこの展示会をお楽しみくださいますよう」
若く、容貌にも頭脳にも恵まれた大財閥の首脳と、これまた若き名君と噂される一国の世継ぎは固く握手を交わした。
リード財閥はアル・シャハル進出を望んでおり,イズミルもリード財閥の国内誘致を有利に進めたがっていた。
(ふん、食えそうにない男だな。若いくせに海千山千の老人のような図々しさがほの見える。そうでなければ大財閥の長は務まらぬということか。
貴族的な性格だと言うがどうかな。見たところ商売人の抜け目の無さも持っているようではないか)
その時、ライアンの蔭から小柄な姿が現れた。
イズミルを見上げて、はにかんだように控えめに微笑むその少女。
「!」(この娘は!)
イズミルは後頭部に雷撃でも食らったような衝撃を覚え,思わず手に持っていたパンフレットを落としてしまった。ばさばさっという乾いた紙の音がする。
(この娘は・・・ああ、この娘は・・・!)
イズミルは永遠にこの少女を見ていたいと思った。
梳き流しただけの柔らかな金色の巻き毛、白い肌。細い華奢な身体つき。そして、そして青い瞳。夢の中で幾度も幾度も自分を見つめた夏空のような真っ青の瞳。
お前は誰なのだ、と喉の奥に張り付いたままの言葉を必死に体の外に押しだそうとするイズミルの目の前で、金髪の少女はすいっとかがみ込んだ。甘い香りがイズミルの鼻腔に届く。
「お落としになりましたわ、殿下」
少女は―ライアン・リードが溺愛する義妹キャロル・リードは―イズミルにそっと紙の束を差し出した。
>>109 17
窓辺から鮮やかに咲き誇る花々を見て、キャロルは溜め息を一つこぼした。
皇太子妃という名の囚人なのだと、自分の事を改めて思ったのだ。
ヒッタイト王夫妻に会う時も、必ず王子が付き添い短時間で終わるようにしていることも、
エジプトからずっと自分に忠心を捧げて今も自分に仕えてくれるルカ、王子の身の回りに采配を振るうムーラのこと、
そうやってある意味隔離された生活なのだと、漸く思いあたった。
エジプトのこともメンフィスのことも耳に入らないなんて・・・。
「姫君、お食事の用意が整いましてございます、どうぞこちらへ」
ムーラの声に我に返って振り向いた、女官達が静かに料理を運んでいる。
キャロルがムーラの方へ身体を向けようとしたとき、耳に飛び込んできた言葉に、キャロルは青い瞳を見開き窓辺へと振り向いた。
花でも摘みにきたのか、若々しい華やぎのある女官たちのおしゃべり。
「・・出入りの商人から聞いたの、エジプトのファラオがリビアのカーフラ王女を娶ったんですって!
テーベどころか国中でお祝いだったから、忙しかったんですって」
「ファラオって女と見紛うばかりの美少年だって聞いてるけど本当かしらね?」
「そうみたいよ、それは炎のような王だって専らの噂なの・・・。」
メンフィスのが結婚した?キャロルの体は強張ったまま動けなくなった。
「誰か!あの者達を遠ざけて参れ!早く!」
キャロルの表情を見て、ムーラが急いで指示を出し、小走りな足音が遠ざかっていく。
「さあ、姫君、こちらへ・・・。空腹ではございませぬか?」
ムーラがキャロルの手を取り促そうとする。身体はムーラに操られているが、
内面は様々な感情が溢れ、返って表情は凍りついたままだ。
「まもなく王子も参られましょう、さあ、姫君」
終わった・・・・もう帰る希望も何もないのだ、とキャロルの中で何か大切なものが失われたような気がした。
をを、新作の嵐だ(喜!!!
遠い約束作家様、生まれ変わり物語とは意外でつ。現代社会のいずみー様
を堪能させてくださいませ。やっぱりライアンはめんぴー?
たった一つの言葉作家様、王子を幸せにしてやってくださいませ!
110
イズミル王子もまもなく姿を現し、静かなうちに食事が始まった。
流石に先ほどのことを王子に告げるわけにもいかないムーラの唇を引き締めた顔を見て、
女官も事更に静かに仕えるばかり。
食事の手も進まないキャロルを見て、王子も何か悟ったらしいが何も言わない。
心のどこかで待ってた、信じていたのだ、メンフィスが私を愛してることを、私がメンフィスを愛してることを・・・。
いつかは私をエジプトへ連れて帰ってくれるかもしれないと、少女らしい真摯さで。
その一方で、こうなる事を予測してた冷静に見つめている自分がいた。
エジプトでメンフィスの側で過ごした日々はなんと遠くに行ってしまったのかしら?
でもエジプトを離れた日から、もうエジプトを想って、メンフィスを想って泣くのはやめようと決意していた。
自分にその資格がないからだと、自らに言い聞かせて・・・・。
「王子、王子の好物の果実が実りましたので、お持ちしました。」
「おお、もうそんな時期となるか、姫、そなたも食してみよ。」
王子から手渡されたのは、杏の実だった。
「王子のお好きなものは姫君にもお好きになってもらわねばなりませぬ」
ムーラの言葉にやっとキャロルも応える。
「杏は大好きよ、昔から・・・。」
そうだった、ママが作るパンケーキにたっぷりのアプリコットソースをかけて食べるのが大好きだったと
キャロルは思い出した、口の中に広がる甘酸っぱい懐かしい味。
この前食べたの何時だったかしら?古代から帰ったときの朝食?
ママがいて、ライアン兄さんはいて、ロディ兄さんがいて、ばあやが居た賑やかな食卓・・・・。
なんで急に思い出したのかしら?もう帰れないのに・・・。
「姫?・・下がれ!」
王子が大きな声で叫ぶが、女官を下がららせるよりこちらの方が手早いとばかりに
キャロルを抱き上げ寝室にと大股で進んでいく。
「え?何?どうして?」
突然のことに驚いてキャロルが問い掛けた時には既に寝室の扉が閉まった後だった。
大量うp、うれすぃ〜!
たった一つ、寝室で何が始まるのかしら?
ドキドキ・・
>遠い約束作家様〜
キャロルは義妹・・・?って事はトライアングル警報っすか?
萌え予感でブルブルでつ。
わたしも雷食らいました!!!!>遠い約束作家様
19
「王子・・どうしたの?」
寝台に幾分荒っぽい動作でキャロルは下ろされた。
怒ったような困ったような王子の顔が自分を見下ろし、どっかりと横に腰を下ろす。
「それは私が問いたい、何故そなたは泣いておるのだ?」
王子の指先が目元を拭う、頬に伝う濡れた感触は涙だったのだとやっと自分でわかった。
「あら・・変ね・・・。泣いてる・・・私・・・。」
涙を止めたいのに、どんどん溢れてくるのはどうして?泣かないって決めたのに、
急に家族を思い出したら止まらなくなってしまった・・・・。
そうだわ、家ではいつも甘やかされて、困った事があっても皆が私を守ってくれるんですもの・・・。
「・・ここまで我慢するとは・・・。そなたはほんに頑固だ、全く・・・。」
顔を見ないで済むようにとの配慮なのか、王子はキャロルの顔を自分の胸に押し付けた。
手は幼子を宥めようといわんばかりに背中を優しく幾度も滑る。その手がまた安堵感を与えて、涙が止まらない。
「・・思う存分泣いてよい。落ち着くまで抱いていよう・・・。」
王子の優しい声がする、キャロルは初めて自分から王子の体に腕を廻してしがみ付いて泣いた。
もう終わってしまった・・・エジプトの日々、メンフィスのこと。
帰りたくても帰れない家族のもとのこと、メンフィスとエジプトと決別してからの緊張と不安、
先の読めない王子との関係、全ての事に対する自分ではどうにもならない憤り・・・・。
その中でしがみ付く事が出来たのがただ一つ、王子の温もりだった・・・・。
たった一つの言葉作家様〜〜いつもより多めのうpうれすぃでつ!!
遠い約束作家様、パンフを拾い上げるキャロルに古代で布を拾い上げる王子の
姿が重なりました。ライアン、イズミル、キャロルの三角関係を私も期待して
いまする。
遠い約束作家様〜〜〜!!今までにない衝撃ありがとう!!
何かいても立ってもいられない衝撃ですっ!
本編よりずっと面白いじゃないの〜〜〜!
現代版イズミルが見れる(読める?)なんて思ってもみなかったぁ〜!ヒョエー
私もライアンはメンフィスかな?と睨んでおります。
王子が生まれ変わってくるなら、メンフィスも絶対執念で生まれ変わって来そうだもの。
はー、それにしても素晴らしい構成を思いつかれたものですねぇ。
本編王家がこの展開を持ってきてたら、私は細川センセを見直しましたよ〜。
ともかくお見事です。唸りっぱなしで読ませて頂いております。続きがマジ楽しみ・・・。
をを!仕事を終えて何気に覗いてみれば大量うpが!
遠い約束、思わず会社のPCに顔がのめり込みそうになりました。
キャロル首チョンの時もたいがい驚いたけど、ライアンと王子がキャロルを奪い合うとは意表を突かれました。
どちらと引っ付くのか予想がつかないですね。こんなの初めて。。。
>>136 禿胴!本編でも使えるネタだわ。こんなラストなら納得できる。すごい!
ルカやムーラまで生まれ変わって相変わらずイズミルに
仕えているところも微笑ましいでつ。
みんな、キャロルが首ちょんぱになっても
怒って抗議する人もいないの?
ヒドイッ、ヒドイワ〜
と、言ってみるテスト。キャロルのファンっていないのね。(w
>>139 >キャロルのファンっていないのね。(w
そんなことは無いと思う。
でも控えてるのでは?カキコほっとしましたが。
遠い約束作家様、現代社会でのイズミル王子を見せて下さるなんて
もう感謝感激アメアラレ〜!でございます。
作家様、身勝手な一読者子としてはライアン×イズミルの対決を
是非見てみたいのです。
>>139 首チョンパは話の構成上どうしても必要だったんだろうなー、と思えばどうってことないって。
いや、もちろん衝撃的だったけどさ。
輪廻転生モノも面白そうだし、そのためには衝撃的な死も必要で、ってことで(w
ファンガイナイ,ナンテソンナコトハ,,,ゲフゲフッ
首ちょんぱ、ゴカーン、拉致監禁。
みーんな話の構成上必要なんじゃないの?
どれがひどいっていう話じゃなくて。
キャロルはヒーローが引き立つための大道具なのよと言ってみる(藁
>>137 >本編でも使えるネタだわ。こんなラストなら納得できる。すごい!
・・50巻近く引っ張ってきてこのラストじゃ・・(((( ;゚д゚)))アワワワワ
とはいえ、私も、なにげにつけたパソコンにくぎづけ。
現代版王子か〜〜・・・デヘヘヘヘ・・
>143タン ぬををを〜〜禿同!!
大道具!!(・∀・)さしずめ小道具は?その他の脇役なのでつね。
題名かかなくても通じてしまう自分にワロタ
現代版王子の容姿を詳しく〜〜知りたいっす。
これで、昼と夜中のお楽しみが出来たよん。
わーーーいっっ。
願い作家様のルカを人質に立てて、とことん堕ちてく王子も斬新だし
遠い約束作家さまの現代版王子×ライアンも斬新!!
作家様のオリジナリティ溢れるアイデアって凄いですね。
私も昼と深夜に楽しみが出来てうれしぃぃ〜〜〜!
願いタイムが近づいてきたーっ!
わたしも願いの王子が不幸のどん底に自ら落ちていくところが何かツボだ。
でも胸の内を知ったキャロルは気持ち変わるのかな〜?
願い王子には不幸を堪能してほすぃかも。
いやだ〜!
王子には幸せになってほすぃ。
確かに悲劇が似合うキャラだけどさ。
幸せなとこみたいんだもん
たった一つの言葉作家様。。。
不覚にもPCの前で泣いてしまいました。
キャロルの孤独の悲しみと王子の切なさが伝わってきて
じーーーーーーんときました。
ふたりを幸せにしてあげてくだされ〜!
えっ??
面白い。遠い約束面白い〜〜〜〜〜
>>116 「ムーラ殿…姫様のご様子は」小さな戸口の前に佇んでいるムーラに投げかける声--
「…何度注意しても、私を驚かす事が余程に好きなのですね…」言葉とは裏腹に来るのが分かっていたように静かに答えた。
「賊の処罰は済みましたか?」「ええ…王子の布令を待ちきれなく、押し寄せていた者達に紛れての襲撃でした。
将軍が集まった者達を一所に集め収拾が着きました…して…姫は?」
「…まだ…中におられますよ…」小さな扉を見つめていたムーラの視線がふいに天を仰ぐ-----
「…心の中まで見透かされそうな、冴えた月だこと---手が届きそうなのに届かかない」
月に手をかざすムーラに、誘われる様に仰ぎ見るルカ
「私は天を見る時には、道標を探る為のものでしたが…ただ眺めるというのも…悪くないですね」魅入られた如く月を仰ぐ----
「ほほほ、まるで誰かを想ってい----?」いつもの様にからかいを含めた言葉を掛けるのを躊躇してしまう程に
月を愛しげに、身動きもせずに眺め続けているルカ---。
(ルカ…そなたも誰かに想いを---?)
(月は皆に等しく、柔らかな光を注いでくれる。今は靜して待ちましょう)心の中でひっそりと呟き---
「風が…出てきたようですね」襟口を押さえると、再び月を仰ぎ見る。
(…動けない---)扉を押し上げようと手を伸ばしては、戻すキャロル
自分をそこに留めて、動けなくしている、心の枷---
「…父の目から逃さなければ…姫を利用させない…傍に---行かなければ…」---そのまま寝入ってしまったのだろう
肺に溜まっていた空気を大きく吐き出し、涙を拭うキャロル----
(とても哀しく…激しい愛し方…でも、それは私のせいだったのね…苦しめてゴメンナサイ…)
目も眩むばかりの幸せの中で、突然に手折られてしまった---メンフィスとの事---
今もきっと自分を探し続けているに違いない…メンフィス…
ヒッタイトに居ても、自分はまだエジプトの王妃であると言う事実…
そして、イズミル王子…彼も心の底から自分を愛してくれていた事実に、父に背いて迄も私を守ってくれようとしている---
どうなるのかと甘んじてはいけなかったのだと…自分でどうしたいか---自分が目を背けていた事実にも受け止めなくては--
それが、どんな結果になろうとも、本気の心には本気でぶつからなければ----
「エジプトに…エジプトに答えはある気がする…自分の心と正直に向き合おう---」身に付けていた、王の印と守り刀を固く握り締め
天井を見つめ深く頭を下げて…通路へと戻って行った。
その頃、エジプト王宮ではウナスがメンフィスの元へ伝令からの書状を持ち、伝えていた。
「王、やはりイズミル王子は生きていました。明日の夕方に商人を集め王子自ら品定めをすると布令を出しているとの事です」
「やはりな!!間者は?伝令は?抜かりないだろうな?」後ろに居たミヌーエを振り向き、厳しい声が飛ぶ。
「はい、王のご命令通りに、ヒッタイト全土に間者を放っております。国境の警備にも抜かりありません」
「あらあら、メンフィスは随分といきり立っているのね」扇で口元を隠しながら、アイシスが近寄ってきた。
「…姉上!ここには入らぬように言ってあったはずだが?」きつい目で睨み付けるメンフィス---
「何を言うの?私はまだ、婚儀をあげた訳ではありませんよ、どこへ入ろうと、咎められる筈もないでしょう」
「ラガシュ王との婚儀を延期するなど、姉上はバビロニアの王妃になるのだ。国民への示しがつかないだろうに」
「まぁ…メンフィス!だからこそですよ。だからエジプトに戻ってきたのです」心配そうにメンフィスに縋りつくと
「キャロルが攫われたのは、元はと言えば私の婚儀に出席する為でしたもの。何かあれば婚儀どころではありませぬ」
涙を浮かべる嘆くアイシス---
「何かなど…ある筈も無い。姉上もうよい、わかった」ミヌーエとウナスに目配せをして部屋を出て行った----
「アリ!」楽しげな口元を扇で隠したアイシスに、影のように寄り添うアリが「ここに控えております、アイシス様」
「面白い事になってきたの」「はい!ラガシュ王が関わっての事なのでしょうか?」「ふふっ、まだラガシュ王の元へ
知らせは入ってはおらぬが、そうでないとも言い切れぬと書状には書いてあったが…そんな事はどうでも良い」
「肝心な事はキャロルが居ないという事ではないかえ」声を潜め、楽しくて堪らないとばかりに笑うアイシス----
「キャロルが居ないというだけで空気さえも芳しく感じる」大げさに息を吸い、パチンと扇を閉じた
「しかし、もう一人邪魔者が居る」険しい表情を浮かべると「カーフラ王女でございますね」「この私に『お姉さま』と媚びてくる」
「まぁ良い。いずれ…それよりもこの状況を楽しみたい」「アイシス様、お酒をお持ちしましょう」アリもアイシスの楽しげな
様子に心が浮き立ち、いそいそと酒の支度をしに行った----
>>150 ???ヨクワカンネーヨ
願い作家様、いつもお約束の時間帯にうpありがとうございます。
今日も就寝前の寝酒をごちそーさまでした。これで落ち着いて寝れます。
遠い約束明日も更新あるかな〜。スゲェ楽しみだよ〜。
>150
願い作家様とのレスと間違えた?
遠い約束が気になって、仕事中だっていうのについ来てしまいました。
今日も怒涛の展開待ってます〜
私も150のレス不思議だな〜と思いながら読んでたyo!
150さんは>133に対してのレスと思ったけど・・・。
>>126 7
白い小さな手がイズミルに紙の束を差し出す・・・。
受け取るまでの、ほんのほんの短い間。
(お前は誰だ?)
(名前は何という?私はお前を知っている。いつもいつも私を苦しめ嘆かせる夢の中のお前。ああ、本当にお前なのか?思い違いではないのか?)
(夢の中にしかいないお前が何故、私の前にいる?人違いに決まっている!)
(いいや、お前だ。間違いなくお前だ。青い瞳、その顔を声を私が間違えたりするものか・・・!さっきの感覚は・・・・お前が呼び起こしたのか・・?)
凄まじい思考の奔流に放り込まれたイズミルの意識を余所に、その体は勝手に動いてライアン・リードの妹からパンフレットを受け取る。
「これは・・・ありがとう」
(誰だ?喋っているのは?私の大事なやっと見つけた娘に気安く声をかけているのは?)
自分の声すら遠く聞き慣れない音声のように感じられる。
瞳は確かに今この瞬間の光景を映しているのに、頭の中に流れ込んでくるのは見慣れぬ異国風の衣装を着て自分に向かって曖昧に微笑んでみせる夢の中の少女の像だ。
「どういたしまして・・・」
大人っぽいデザインのドレスを着ていながら金髪の娘は未だ子供っぽい幼さを残した声で話す。高いその声はしかし不快ではない。
(ああ、この声が喜びに弾んだり、楽しそうに会話を紡ぐその様子を見たい!)
「殿下、ご紹介申し上げます。こちらは私の義妹キャロルと申します。まだ学生なのですが今日は私の手伝いをさせています」
「・・・ご挨拶が遅れました、殿下。キャロル・リードと申します」
膝を折って慎ましく会釈する少女を誇らしげに愛しげに見るライアンの視線。
ライアン・リードが溺愛する義妹をいつ婚約者にするか、が欧米の社交界ではもっぱらの噂なのだがイズミルがそんなことを知る由もない。
(ああ・・・キャロルというのか、お前は。やっと・・・・やっと私はお前を捕まえることができる。やっと見つけたぞ・・・!)
イズミルはじっと少女を見つめた。誰がどう見ても美男の部類に入る整った顔立ちの若い君主のその視線に気づかぬ少女ではなかった。白い頬が見る見る赤く染まる。
8
夜。
「王家の墓展」特別先行公開に引き続き行われたパーティは各国の名士、要人、貴紳が集う華やかなものだった。
人々の目にイズミルの姿は神秘な砂漠の国の謎めいた王子、と映るのかあまり華やいだ宴席は好まない彼の周りに人垣が出来てしまっている。
「お国のアル・シャハルではようやく民間観光客の受け入れも始められたのですってね。行ってみたいわ!」
「でも男性は誰でも観光に行けるのに、女性は既婚者か40歳以上の独身者に限るのでしょう?時代錯誤な気もしますね」
「それは宗教上の理由でしょう。殿下は今回のご外遊のご予定は?」
魅力的な微笑を浮かべ、貴人特有の慇懃さでどの質問もさらりと受け流す彼に熱い視線を向ける女性は多かった。
やがてその人垣にライアンも加わった。スーツを着こなした長身の彼の傍らにはキャロルが居た。
「ミスター・リード、素晴らしい展覧会でしたね。エジプト国内におけるリード・コンツェルンの影響力はなかなかのものらしい」
熟練外交官の優雅と抜け目の無さでイズミルは大財閥の主に先に話しかけた。
アル・シャハルでは身分の下の人間が、先に話すことは無礼とされている。
「お言葉光栄です、殿下。エジプトは我がリード・コンツェルンに縁深い土地。この展覧会は単なるメセナではなく、エジプトへの返礼の意味もあります。
・・・個人的にはお国のアル・シャハルの素晴らしい文化のことをもっと詳しく知る機会を賜りたいと思っております」
「我が国に貴殿が興味を持たれるとは嬉しいことです」
その時、イギリスの王族の到着が告げられ、イズミルの周りの人垣は自然に崩れた。
イズミルは気配を消してごく自然に窓際に移動し、彼の視線に絡め取られたキャロルも導かれるように後に続いた。
9
(私ったら変だわ。こんなに・・・こんなに顔が熱い。どうしよう、兄さんの側を離れたらいけないって言われていたのに。
どうしよう、どうしてこのシークは私を放って置いてくれないのかしら?
どうして私は動けないのかしら?失礼って言って歩き出せばいいだけなのに)
自分に見つめられて戸惑い、上気している少女の初々しさがたまらなく愛おしく思えてイズミルはしばらくキャロルから視線を外さなかった。
胸元を刳った薄薔薇色のドレスを着て、豊かな髪の毛を結って白いうなじを露わにしている少女は魅力的だった。
白いうなじを飾るのは小粒のガーネットを連ねた首飾り。血のように赤く、燃えさかる炎のように紅い宝石が肌の白さを引き立てる。
勘の鋭いイズミルはやっと見つけた夢の中の少女が、自分のことを初対面の人間としか見ていないことに気づき落胆したが、そんなことが何だというのだろう?
忘れたのなら、あの酷い夢の中の光景を覚えていないならむしろ幸いだ。
今度こそ幸せな恋をするのだ!
(目を離せばあっという間に消えてしまいそうだ。これがまた夢であったなら私は狂うかもしれない)
イズミルはキャロルの緊張をほぐすように柔らかく微笑んだ。
「キャロル嬢と言われたか。先ほどは失礼した。あなたのようなレディは屈み込むようなことはしないのだろう?」
「そんな!・・・殿下こそ、一国のお世継ぎの王子様ですもの、落ちたものを拾うようなことなさらないでしょう?」
天真爛漫な返答はイズミルを喜ばせ、わき上がるような幸福感をもたらした。
独身の王族として常にスキャンダルを避けるよう用心深く行動してきた若者は、この夜初めて羽目を外した。
そしてキャロル・リードもまたライアンの存在を忘れ、異国の王族との会話に時を忘れたのだった。
10
伝統的な白い絹のアラブ風長衣を着て、長い豊かな髪の毛を無造作に編んで垂らしたアル・シャハルの王族独特の風俗。
わずかにクセのあるしなやかな髪の毛は黒みの勝った茶色で、この青年にアラブ以外の血も混じっているらしいことを思わせた。
ややもすれば冷たい印象を与えがちな整いすぎた怜悧な容貌。人を威圧し、自ずと屈服させるその威風堂々たる生まれながらの王族の青年の瞳はしかし、暖かな光を宿していた。
その真昼の砂漠のような金茶色をした瞳には今、キャロル・リードの小柄な姿が映り込んでいる。
イズミルは自分に見つめられているせいで竦んで動けなくなってしまった少女の戸惑いと物慣れない幼さを楽しみながら会話を楽しんでいた。といってもそれは一方的にイズミルが質問をして、キャロルが答えるというもの。
「・・・少し疲れられたか?顔が赤い。私の質問責めで草臥れさせたかな?」
「そんなことはありません、殿下。でも・・そうね、少し草臥れてはいます。
こんな華やかな席はちょっと苦手です。
あ、いえ、つまらないなんてことはないですし、たくさんの方からお話を伺えるのは楽しいんです。でもまだ私は子供ですし・・・」
薄薔薇色の絹の色が映える白い肌がほんのりと染まっていく。シニョンでまとめて薔薇の生花を飾った金髪が明かりに映えて輝いた。
装身具も最低限に楚々とした装いのキャロルにイズミルは深い満足感を覚えた。夢の中で探し求めていた少女は、理想通りの初々しい乙女として彼の前に実在していてくれる!
「私も宴会は苦手だ。静かなのが好きなのだよ。だが今夜は・・・楽しいね」
自分に微笑みかける「王子様」を見上げてキャロルは真っ赤になった・・・。
うにゃー、遠い約束が更新されてる〜!しかも大量に!!
王子とキャロルに恋のヨカーン。
でもライアンとキャロルのラブラブも激しく見てみたいでつ。
遠い約束作家さま、大量うぷ感謝!
イズミル王子は行動が素早いし、キャロルも不必要ににぶちんじゃなさそうだし
いい雰囲気!
ライアンをなにげに牽制する王子にワラタよ。
遠い作家様、ミノアの宴席での王子を思い出し
にやけて、ふにゃけております〜
と・と・トライアングル…期待してまつ。
遠い約束、この先のライアンの行動が気になって気になって。
それにしても王子気合入ってますね〜〜〜〜
遠い約束すごく好きかも。どうなるのかワクワクするよ〜。
でも、また首チョンパはカンベン。
トライアングルになりつつも王子でハッピーエンド1丁願います。
現代の王子カコイイ!
気合いを入れ、持てる技術と根性(爆)の限りを尽くして
キャロルを落として下さい。
>>133 20
何かの物音がして、ふっとキャロルは我に返った。
泣いていたのか眠っていたのか、それは自分でも定かでない。
自分の手が王子の胸元の衣装を握りしめて、王子の胸に顔を埋めていると分かったのは何かを置く音がして、
静かに扉の閉まる音がした時だった。
頭の芯がぼうっとする、私は何をしていたの?自分の中が空っぽになったような奇妙な清々しさ。
「落ち着いたか?そなたにしがみ付かれるのは嫌ではないが、それでは身動きが取れぬ。」
静かな落ち着いた声音に、キャロルは顔を上げてみる。
王子は杯を唇をつけてから、今度はキャロルの唇を己のそれで塞いだ。キャロルの口の中に広がる苦味のある液体が咽喉を通る時に熱さを与えてくる。
体がじんわりと温まる様子に、その液体が酒である事がわかる。
「お酒は飲めないのに・・・。」
王子の手はなんて気持ちいいのかと、安堵の溜め息をついて、キャロルは胸に凭れたまま。
「しばらく休んでおれ、じき眠くなろう・・。」
王子の声が子守唄のようで、このまま委ねきってしまいたい心地よさに、キャロルはいつになく素直に頷く。
「いつもそのように素直だとよいのだがね・・・。」王子の声に笑いが混じる。
王子の表情はいつになく柔らかい。自分を見つめるこの人は、こんなにも穏やかな顔をしてたのかしら?
口許に浮かぶ笑みがいつもよりもずっとずっと親しみを感じさせる。どうして?
瞼が重い、引き込まれそう・・・。
「・・ありがとう・・・。」
眠りに落ちる寸前にキャロルの唇から呟きが零れ落ちた。この人は、慰めの言葉なんて言わないけど、
私を慰めてくれたのだ、とやっと分かった。手も胸も体中の全てが私に優しかった。
漸く警戒心なしに、キャロルは心地のよい眠りに引き込まれていった。
あらま、朝イチで「遠い約束」うpされていたのですね〜!
やっと仕事片付けて、ここに来れたよ〜。今日はPCに顔埋めないようにしなきゃ^_^;
現代版王子いいですねー、キャロルとは運命の出会いっぽくてとてもいい感じ。
問題はライアンがどう出てくるか・・・ですね!
はやくライアンの活躍も見せてくださーい。
昼も深夜も楽しみな作品ができて、夏バテにも耐えられるってもんです。
「願い」は皆さんのいうとおり、私にとっても寝酒のようなものになりつつあります♪
Ψ(`▼´)Ψモード突入になるのを心待ちにしてますので・・・よろしくお願いしまつ
あー、毎日楽しめてほんとに う れ し い −−−!!
遠い約束作家さま、大量うpありがd。
いよいよ次回あたりからライアンと王子の火花が激しく飛び交うのでしょうか?!
ワクワクドキドキしまつ!早くも名作の予感が・・・
現代でしあわせになっちゃうと、キャロルは過去に行かないから
ヒッタイトのイズミルには会わないでしょう?
ン〜〜パラドラックス・・・
>173
パラドックスがまた原作テイスト・・・・(藁
ライアン=メンフィスなのかが、とても気になるんだよね〜。はよライアン動いてほすぃ。
王子とライアンが同じ年くらいってのも良いな。大人の男の戦いが見たい。
だってメンフィス17歳では、今の私にはお子様すぎて〜。
・・・て事は、王子&ライアンとキャロルの間は12歳くらいの年の差がある訳ですな。良いわん〜
凄い勢いでスレ伸びているよー(・∀・)
私、「僕の地球を守って」ってマンガも好きなんだけど、
あのストーリーみたいにキャロルが前世を徐々に覚醒していって欲しいな〜<遠い約束
前世話(現代版?)大好きなので、これからもいろんなシチュエーションで
作家様に書いていっていただけると嬉しいです〜
>>155 「姫様…お体が冷えたでしょう、湯殿に参られませ---」扉を開けると、待っていたムーラは何も問わない---
掛ける言葉が見つからなず、黙って頷くと付いて行く。
途中で立ち止まり、ミタムン王女の宮殿を振り返り、先程の…小部屋と同じ様に、今度は宮殿に向かって深々と頭を下げるキャロル。
ミタムン王女が、既にこの世には居ないという事実を、知る目撃者として---
(ゴメンナサイ…本来なら王女として手厚く葬られる筈なのに…亡くなった日さえも知らせる事も出来ない私を…)
(どうか…安らかに…)人知れずに、祈る事しか出来ない無力な自分---
(私が生を終える時まで、重い枷として背負い続け、せめて心を込めて祈り続けていきます---)
「あの…王子とミタムン王女はとても仲が良かったのですね…」意外な質問に、ムーラは、すぐに優しい笑顔を浮かべて
「はい…留守がちの王の代わりに…時に父親の様に厳しく諭されたりもしましたが、でも旅から戻られると、真っ先にミタムン
王女様への贈り物を自らお届けになり…その日は夜遅くまで笑い声が、この宮殿に響いていましたよ…」
懐かしみながらも、過去形で話すムーラ---
(あなたも…わかっている…のね)
「…姫様、申し訳ありませぬ、お風邪でも召しましたら大変です、急ぎましょう」「…はい…」王子の宮殿へ戻って行った
キャロルの脱いだ衣装を手に取り、あちこちに血が付着している事に痛ましげに見つめて---
(…姫君…どうか我が王子をご理解下さいませ----)
---湯殿から出てきたキャロルの、身支度を整えてゆくムーラが選んだ衣装は、今迄身に付けさせられていた物よりも
子供っぽい衣装だった。「姫君…これはミタムン王女の為に誂えたものですが、今日は何故かこれを着ていただきたいと
思ったのですが…お嫌でしょうか?」「…私が着てもいいの?」「今日は何故か王女の事ばかり思いだされます…姫君に
こそ着て頂きたいのです」「…はい…」違和感を感じるキャロル----(姫様ではなく、姫君と…何故?)
「姫君は、まだ幼い姫の様にお可愛らしいですから…あぁ!衣装もよく、似合っておいでです」嬉しそうに微笑んでいる--
(私に…ミタムン王女を重ねている…)--(…いつかは王妃様と呼ばせて頂く日迄、ミタムン様と思い仕えさせて頂きます)
それが、ムーラの願い--成就するまでの思いを込めた意味を持つ呼び方になった。
その日は、宮殿の大広間も人の熱気とざわめきに満ち溢れていた。
「王子、異国の者には特に油断は禁物ですじゃ、昨夜の賊の事もありますからの」将軍は影のように王子の傍に張り付いている
「わかっておる!心配致すな」と、王子の前には次から次へと色々な品物が出され並んでいる。
珍しい織物・他国の衣装・宝石・置物など、その中から気に入った物を選んでゆく王子---
広間の横から目立たぬようにルカも、王子の身辺に気を配っていたが、商人の中に見知った顔を見つけると。
将軍を呼ぶように、顔見知りの侍女に言付けすると、目立たぬ様にひっそりと回廊で待つルカの元へ将軍がやってきた。
「ルカ、どうしたのじゃ?」「将軍、あそこにいる者を見てください」白いカーフィアを被ったハサン---
「王子より、エジプトに行くと聞きました、あの者姫の信頼も厚く、エジプト兵士達にも知られており
王宮にも出入りする事が出来る者です…お役に立つと思います」
「何?あの者がか」「どうなさいますか?」
「ん…待っておれ、王子に伺ってみる事にしよう」と王子の元へと行き、すぐにルカの元に戻ってきた---
「ルカ、王子よりの言付けだ、かの者は信頼はおけるのか?」「それはエジプト側にとってという意味ですか?」
「全てじゃ」「はい、少々風変わりではありますが…」「では、全てお前に一任すると申されていた…後は任せたぞ」
「はっ」(まずは、ハサンに近づかなくては…)
---その後、ハサンと似た衣装を身に付けたルカが、広間の人ごみに紛れてハサンに近づいて行き、声を掛ける。
「ハサン…声を出すな!」声を掛けた人物を確認する為に、隣を見たハサンが驚きの声をあげそうになるが…
すぐに、持ってきた売り物を確認する商人の顔に戻り、「どうしてここに?ルカ…」「話があるんだ、ハサン」
「…何か…あったんだな」「…まずは、ここから出よう、話はそれからだ」「…わかった…」
「では、怪しまれない様に、ハサンが品物を見せ終わったら、私に付いて来てくれ」「わかったよ」
「私は、それ迄出来る限りの根回しをしておくから」言い終わると、目立たぬ様に広間から出ようとしたルカに
「もし、そこのお人」女が声を掛けて来た-----
遅くにゴメンナサイ。
書き込みできなかったのです。
>願い作家様、うpありがd!
王子が出てないよう〜〜
>願い作家様 いつも楽しみにしてまつ。。
王子とキャロルの絡みが早く読みたいよう。
>>163 11
「全くキャロル!僕から離れてはダメだとあれほど言っておいたのに!」
後部座席で小さくなっている義妹にライアンはイライラと言った。
「もうお小言はいいじゃないか、兄さん。ほら運転に集中して!」
助手席からロディが声をかけた。
「いや、だめだ。キャロルが話していたのなら女性なら別にいいさ。
だが相手はイズミル王子だぞ。独身の若い王族、大富豪、リード・コンツェルンが進出したがっているアル・シャハルの世継ぎとリード家の末娘!
どんなスキャンダルになるか考えても見ろ」
ここでライアンは言葉を切った。バックミラー越しに見る少女は小さく固まって義兄の激しい言葉に涙ぐんですらいるようだ。
「いや、キャロル。お前に疚しいことがないことくらい僕にはよく分かっている。だがね、世間はお前が思っているより遙かに意地悪なものなのさ。
口さがない輩がお前と、シーク・イズミルのことを面白おかしく取りざたするかも知れない。
それでお前が傷つくようなことがあったらどうすればいい?僕はお前を守ってやりたいんだよ」
キャロルが今よりもっと幼い子供だった頃と同じように語りかける優しい口調。誰よりも頼りになる保護者ライアン。
(やれやれ、兄さんはキャロルのことになると本当に冷静じゃいられなくなるらしい)
ロディはそっと苦笑を漏らした。
「キャロルは分かっているさ。そんなに言い募ったら可哀想じゃないか。小さな子供じゃないんだから。ねえ、キャロル?」
「ええ。ライアン兄さん、分かったわ。今度からは気を付けます」
キャロルは素直にライアンに言った。昔からこの兄の言葉には逆らったことがないのだ。
12
「さっきは少し言い過ぎたな。ごめんよ。ちょっと僕も疲れていたんだろう」
日付が変わりだいぶたった時間帯だったが、ライアンはまだ起きているらしいキャロルの部屋を訪れた。
ふんわりしたネグリジェだけでくつろいでいたキャロルは嬉しそうにライアンを迎え入れた。
「私も軽率だったのよ、兄さんの言うとおり。あんなに長い間、同じ人とばかりお喋りしているのはマナー違反よね」
いかにも育ちの良い女性然として話すキャロルの愛らしい様子にライアンは目を細めた。
(全くこの子は・・・。あんなハンサムな王子様にのぼせ上がったらどうしようと僕は心配だったわけだが・・・杞憂だったな)
「シーク・イズミルとどんなことを話したんだい?」
ライアンはキャロルが腰掛けているベッドにごろりと体を伸ばした。まるで大きな肉食獣がくつろいでいるようにも見える。
「色々・・・。学校のことだとか、友達のことだとか、家族のこと。それに趣味だとか将来の夢だとか。シークが私に質問して私が答えていたの」
「身上調査かい?どうしてまた・・・」
ライアンの眉が不機嫌そうに寄せられていく。義妹のキャロルを誰よりも愛していると自負している男は、他の男が大切なキャロルに近づくのが我慢できない。
キャロルはライアンの眉間に寄った皺を指先で撫でながら微笑んだ。
「私ったら聞かれるままにずいぶん色々お喋りしちゃったわ。きっとシークは私が珍しかったのよ。あの方、普通に学校に通ったりしたことないんですって。・・・・私、面白がられてしまったのよ」
「・・・ならいいがね」
ライアンは半身を起こすとキャロルの唇に口づけた。
「忘れてはいけないよ。お前を一番大切に愛しているのは僕だ。僕以外の男など・・・」
「変な兄さん。シークはただ私が珍しかっただけなのよ・・・?」
13
(シーク・イズミルか・・・。気になるな。若いのにスキャンダルにも無縁な身辺の綺麗な頭のいい男・・・ということだが。
あんな席でキャロルにだけ話しかけて側を離さなかったというのは・・・)
まだキャロルの感触の残る唇を撫でながらライアンは書斎で書類に目を通していた。コンツェルンのアル・シャハル進出の案件書類だ。
砂漠の中の富裕な国アル・シャハル。
石油、天然ガスなど地下資源は豊富で各種インフラも整備されている。治安や民心も安定し、もしコンビナート建設に成功すれば莫大な利益を恒常的に得られるだろう。
若く野心的なライアンは是非、アル・シャハルに進出したいと思っていた。
言葉は悪いが近代化途中の国であれば、ちょっと鼻薬を効かせるだけで簡単に入り込めるだろうと踏んでいた。
しかし事実上の国首シーク・イズミルは手強く、細やかな外交技術を駆使した正攻法でしか攻められそうになかった。
(シークの興味を引き、信頼関係を築くことができたなら会社はあの国に進出できる。後ろ暗い裏取引や、腹芸は嫌だし通じる相手じゃないな。
それよりも・・・物堅いシークが僕のキャロルに興味を示したとは。あの男、実はキャロルが欲しくなった・・・とか?
馬鹿馬鹿しい、誰がそんなことを許すか!それにたかが一回だけ会った娘だ、何でもないかもしれないじゃないか。ただキャロルが珍しかっただけだ)
キャロルのことになると猛烈な独占欲と嫉妬心の虜になる自分を敢えて自嘲しながらライアンは書類に集中した。
(僕が会社のためにキャロルを利用するような噂でも立てば、大事なあの子を傷つけてしまう)
それにしても、どうしたらあの魅力的な砂漠の国に進出できるだろう?
14
(ライアン兄さんは機嫌が悪かったわ。私、本当に何も疚しいことなんかしていないのに。あんなふうに言われるの嫌だわ。私は兄さんが大好きなのに)
キャロルはベッドの中でほうっとため息をついた。ライアンが触れた唇も肩もまだ熱い。
「私は兄さんが大好きなのに・・・」
キャロルは口に出して小さく呟いた。
リード家に引き取られてきたキャロルをいつも大事に可愛がってくれた兄ライアン。キャロルは年の離れたライアンにまとわりつき、甘えた。
周りの大人達が面白がって、「キャロル、では大きくなったらライアンのお嫁さんになるの?」と言うほどに。
小さいキャロルは満面の笑みで「そうよ!」と答えて皆を笑わせたものだ。
ライアンはそんな妹の頭を優しく撫でて言った。繰り返し繰り返し。
「じゃあ、約束だ。キャロル、お前は大きくなったら僕の花嫁におなり。僕はお前が大きくなるのを待っていてやるからね」
そして。キャロルが14歳になったときにライアンは言った。
「キャロル。僕はお前を妻にしたい。まだお前は子供だから、すぐには結婚はできないのは分かっている。
でも約束して欲しいんだ。子供の頃の約束じゃなくてね。
・・・・キャロル、僕はお前を妻にする。いいね・・・?」
有無を言わせぬその口調。
でも昔から大好きだった兄の言葉は初なキャロルには何よりも嬉しくて誇らしくて、微笑んで彼の求めに応じたのだった・・・。
「ライアン兄さんはどうしてあんなこと言ったのかしら?私はただシークとお話しただけよ・・・?」
これまでは愛されているという甘いときめきしか感じさせなかったライアンの独占欲に、初めてキャロルは違和感を覚えた。
キャロルの脳裏にシーク・イズミルの面影が焼き付いて離れなかった・・・。
うおおー、ライアン来たーーーーー!
作家様、続きを〜〜〜
やっぱりライアンはメンフィスの生まれ変わりかな?
現代版王子もいいけど・・・義兄ライアンいいかも〜!
うひゃー、キャロルこんな大人のいい男達に囲まれてさぁどうする?!
でもライアンから王子に乗り換えるのは・・・並大抵ではできませんぞ!
「遠い約束」、すごい好みー!!
王子現代版って読んでみたかったんです。
ミタムンも出てきたらいいな。
良いねぇ、遠い約束。
イズミルとライアン、微妙な立場だな。
政略的な立場だと手を取り合わなきゃならない訳だけど…。
キャロル最終的には王子を選びそうに思うんだけど、ライアンはおいそれと許さんでしょうなぁ。
キャロルだってライアンを捨てるのは辛いぞ〜。あぁ、どうなるの?ほんと楽しみよ!
>>191 義兄ライアンいいよね〜!
多分王子に傾いちゃうんだろうけど、(前世があれだし)
ライアンとのラブラブ話も見てみたいよ!
「遠い約束」ベッドにごろりと横になるライアンがいい〜〜〜〜っ
妻にするっていかにも言いそう〜〜
おねまきのキャロルの座っているベッドにごろんと横になって、キスしちゃう
というのに萌えー。
でもまだキス以上のことはしてないよね。
ライアンもメンフィスみたいに「婚儀までは最後までしない」んだと思う。
こらこら〜お姫様方。
お行儀が悪いですよ、妄想し過ぎです。(・∀・)
キス・・・かぁ。
ぐへへへ。王子とエッチしてから、ライアンに襲われる・・・
でへへへっっ。作家様〜お 楽 し み で す ぅ。
わたしは王子に恋心を抱き始めたキャロルに、ライアンが激しく嫉妬して襲う…というのをキボンしまつ。
初夜まで大切に取っておきたかったはずなのに、手にかけてしまってほすぃ…。
でも初めてはやっぱ王子に奪ってもらってほしいので、ライアンは未遂でいいや。
モチロンその後は王子と〜♪
あー、でも義兄ライアン捨てがたいなぁ。
本編では実の兄っぽいので蚊帳の外だったけど、義兄となりゃ、あなた話は別よん!!
たった一つの言葉作家様
キテナ━━━━(゚A゚)━━━━イ ・・・・・
そう言えば・・・・
ライアンのΨ(`▼´)Ψって・・
見た読んだ記憶無いなーーー
作家様〜どなたかお願いできませんかねぇぇ?
そうそう、ライアンって兄だという事でヒーローから外れてしまいがちですが
なかなかどうしていい男ー!メンフィス・イズミルに負けてないと思う。
私もライアンのΨ(`▼´)Ψ読みたいぃ〜読みたいぃ〜読みたいぃぃぃ〜(しつこい!)
遠い約束作家様、願い作家様、お二方ともお約束の時間にうpして下さるのでとても嬉しい〜。
やっぱり心待ちにしてる作品て気になって、何度も見にきてしまうから…。
安心して読めるよ〜。お預けは辛いのら。
>>198 うんうん。ライアン未遂、王子本懐遂げるっていうのイイ!
んでもさ、キャロルったら早くもライアンの溺愛をうっとおしく思い始めてる?
「ライアンの独占欲に違和感を覚えた」なんて書いてあるし。
キャロルー、藻前、もったいなさ過ぎー。
みんな勝手なこと書いてて面白ーい。
>>170 21
「何か書物がないのかしら?」というキャロルの問いにムーラが幾分自慢げに
「王子の私室に数多く揃っております」と答えたのが発端だったとキャロルは思った。
泣いて感情を爆発させた後、キャロルは今更ながら王子に向かうと恥かしくなり、ぎこちない態度を取っていたが
王子もキャロルの気持ちを汲んだのか、穏やかに笑う程度で接しており、落ち着いた日を過ごしていた矢先だった。
丁度人気のない折、王子の私室という今まで入った事のない、王子の一面を知る部屋を覗いてみたいいう好奇心もあり、
こっそりと入り、書物を少し見せてもらうつもりだったのだ。
そこは世継ぎの王子の部屋としては、非常に簡素で実用的に整えられた部屋で、キャロルは今まで自分が知った王子の一面を納得させるものでもあり、
反面大国の世継ぎの君なのに意外であるという驚きを感じた。
使い込まれた武具、剣や弓矢などの手の跡、積み重ねられた粘土板、巻いてまるでピラミッドのようになっている書物が
知らない間にキャロルの顔に笑みを呼んだ。
誠実で努力の跡の見える部屋だとキャロルは思った。それがまるで自分の事のように嬉しく思えた。
でもあの人は本当に私を愛してるのかしら?そつがない洗練された仕草で、私をからかうばかり・・・・。
肝心なことはまだ何も聞いてない、私だって嫌いじゃないとしか言ってない・・・。
物思いに耽っているうちに足音が近づいてきて、キャロルは悪戯を見つかった子供のように垂れ幕の陰に潜んでしまった。
王子はキャロルが此処に居ても怒りはしないだろうけど、自分は恥かしいと思ったのだ。
「・・・私室までお供いたしまして申し訳ありませぬ、ですが、内密の件でございますれば・・。」
「構わぬ、将軍、分かっておる」
入ってきたのは王子と王子に忠心を捧げ、影のように仕えている将軍のようだった。
22「して首尾は?」
「はい、エジプトのメンフィス王の弟と名乗るネバメンとやらは、なんと罪人でした、先日同じ牢にいたという男に確認させました。」
「ふん、罪人か・・・。なかなかの大芝居を打ったものよ。」
「なんでも火傷した腕の部分には罪人の証たる刺青があったそうで、ネバメンを見た医師も何ゆえこんな所に火傷をしたか不審に思っていたというこですな。」
「罪人である証があれば、メンフィスが死ねば、王位継承権のあるのは姫だけぞ、充分エジプトに乗り込めるな。」
冷笑とも言える王子の声音にキャロルの身体は固まった。
「メンフィス王といえば、あの殷という東の国からきたリーという男の針の技は、見事なものでございましたな。」
「あやつは毒に体を慣らしておるゆえ、毒では死なぬ。あの針で体の自由を瞬時に奪えるのは便利なものだ。」
「あの男はエジプトに潜ませておりますゆえ、王子の命があれば、直にでもメンフィス王の命を奪うでしょうな。
大層王子に恩義を感じておる様子、裏切りはないでしょう。」
「となれば、メンフィスの命は我らが思うままだな、だがまだ早い。ネバメンとやらの身元が明るみに出た時こそ・・。」
「ですがカーフラ妃が嫁しておりますれば、油断なりませぬ。リビアの介入も読まなければ。」
「ふん、いざとなればリーに始末させよ。」
恐ろしい会話の内容にキャロルはどうにか身体の震えを押さえようと必死だった。
メンフィスが倒れたのも目覚めさせたもの全ては王子の仕業だなんて!
しかもエジプト王家が隠そうとしていたネバメンの事も証拠まで押さえている。
そして私が王位継承権を持っていることゆえに、王子は私を手元に置きたがったのだわ。
ばかなキャロル・・・王子の優しさは見せかけだったのに・・それを信用しようとしてたなんて・・・・。
早く、早く逃げなければ・・・・。
「悪い子だ、姫ともあろう者が盗み聞きとは・・・。さて、悪さをしたそなたには仕置きが必要だな。」
いつの間にか垂れ幕を捲りあげ、王子が自分を見つめていた、あの穏やかな笑顔で。
薄茶色の瞳にはキャロルに分からない光が宿っていた。
改行がうまくいきませんでした、すみません。
たった一つの言葉作家様
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
そして、
ガ━━━━ΣΣ(゚Д゚;)━━━━ン!!!!!
キャロル逃げてぇ逃げてぇ 早くゥ逃げてぇッ! Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
お仕置きされるぅ♪
あれ?「願い」とリンクしてるんかい??とおもちゃった、
しかし・・キャロルはやく逃げて・・・・・・・・つかまってくれ〜〜♪
願い作家さまー、ご降臨のお時間が近づいてきたので徘徊しながら待ってます〜!ウロウロ
ね、寝ないぞー。寝るもんか。
-61-
>>181 空がしらじらと明けた頃にそっと自分の横に身を滑らし王子を思い出していた---眠っていると思っているのだろう。
手に、小さく息を吹きかけ、擦り合わせる音…やがてそっとキャロルの頬に優しく触れる---
(…暖かい…)
「…姫…夢路を辿っているのか…私は…此処に…傍にいる…心を飛ばさないでくれ…」
呪文を唱えるようにそっと呟き、キャロルの腰に手を絡み付ける様にまわした手---やがて静かな寝息が聞こえてきた。
(王子…貴方が今はもう怖くない…)王子の手に、キャロルは自分の手を重ねると---眠りについた。
「ざわめきが、ここまで聞こえる」広間で商人達の賑わいが、離れた部屋まで聞こえる様子に
(一体、どの位の人が集まっているのかしら)
西日が入り込み、少し暑い部屋は…今は明るく開け放っていたが、風に当たろうと
鎧戸に近づき、見下ろすと護衛兵達が、至る所に配置されていた。
「脱出を警戒しているんじゃないわ、守ってくれる為に…」気付いてしまえば、意地悪な言葉の裏に隠された、
ガラスの様に繊細で、少年の様に純粋で不器用な王子の心に、今は信頼を寄せているキャロル----
「痛いだろうね、そこから飛び降りたら…」ムーラを伴い王子が戻ってきた。
「あ…おかえりなさい…」恥かしそうにキャロルが出迎えると
「あ…ああ…」思っても居なかった返事に、戸惑い返事をする王子----そのまま黙り込んでしまった二人に
「あら、まるで婚儀をあげたばかりのご夫婦のようですわね」ムーラが口を開くと。
「な、何を…姫、準備が整ったぞ、ムーラ、荷を置いて下がっておれ」「はいはい、私はお邪魔ですものね」
「ムーラ!」きつい目を向けるが、ムーラは意にも介さない
「姫君、御用があればいつでも、お呼びくださいましね」楽しそうな顔をキャロルに向け、部屋を出て行く---
「全く、何なんだ」顔をキャロルに向けずに、荷を解いていく。(照れているんだ…)微笑むキャロルに気付くと
「…何を笑っておる…」ぶっきらぼうに言いながら、キャロルを抱き締める。
「…もう一度…さっきの言葉を…」王子が話す度に、肩に乗っている王子の顎が動き、くすぐったい----
「おかえりなさい…」「今…戻った…しばらく、こうしていてくれ」更にきつく、抱き締めキャロルに優しい口づけをする。
「…このまま…姫に酔いたいが、明日出発する」キャロルを抱いていた手を放し、
「色々と楽しいものがあるぞ…」
次の朝、キャロルの金髪は赤髪へと変わり、肌もやや浅黒くなったキャロルになっていた。
キャロルの変身を楽しそうに見つめ、髪に触れ「ヒッタイトの川の色だ」
「あと、数刻で出立する」厳しい顔に変わる「はい!」青い目に強い光が灯った---
こんばんは!
浮世の義理で、帰郷します。続きは来週うpします。
では、行ってきます。良い週末を〜
>願い作家様
気をつけていってらっしゃいませ!
また、続きがうpされるのを楽しみにしてます。
なんだか、幸せそうな王子&キャロルでうれしいでつ。
朝いちでこのスレ来た甲斐がありました。
週末とお盆休みかぁ・・・
作家様方のうぷも当分お預けかな
>>188 15
「え?もう一度おっしゃって下さい、シーク。学校の・・・見学、いや視察ですか?」
「そうだ」
イズミルは、珍しく狼狽えたルカを面白そうに見ながら言った。
「我が国の近代化を一層進めるためには若い世代の教育が不可欠だ。基礎教育と各人の興味や特性に根ざした専門教育を両立して行うような教育。
せっかくエジプトに居るのだからカイロ学園を視察したいんだ」
イズミルは言った。ライアン・リードの妹がカイロ学園に留学中だと知った彼は自分から学園の責任者に視察をしたい旨を告げていた。
「シーク、このようなことは私が申し上げるべきことではないのですが・・」
ルカは遠慮がちな口調で、リード・コンツェルンとの契約締結が微妙な時に、そこの末娘が通う学園に顔を出すのは拙いのではないかと言った。
「スキャンダルになるかもしれません、シークが特定の方に興味を示されるのは。カイロ学園はおやめになっては?他に大学や研究所もあります」
だがルカの提案はあっさりと却下された。
2時間後。
イズミルはカイロ学園の理事長に伴われて学園内を歩いていた。要所要所で足を止め、理事長は若いシークに丁寧な説明をする。
シークは非公式に学園を訪れているのだから、歓迎式典のようなものはない。
だが生徒達は、ヨーロッパ風のスーツを着こなし、編んだ長髪を垂らして歩く大柄な若者の正体を知っていてざわめいていた。
砂漠の国のシークは大層、魅力的だ。
やがて理事長は言った。
「シーク、こちらが考古学専攻クラスの教室です。我が校は考古学に力を入れており、大学とも連携して素晴らしい成果を上げています」
「我が国にも古代からの貴重な遺産が手つかずのまま眠っている。実に興味深い」
理事長は恭しくシークを教室に案内した。若いシークはそのクラスのディスカッションを実に熱心に見ていた・・・。
16
キャロルは肌がちりちりとするような、のぼせて目眩がするような感覚に落ち着かなげに身じろぎした。
その不思議な感覚は、先ほどシーク・イズミルが教室に入ってきたときからずっと続いている。生徒達はさすがに騒ぎはしなかったが、若く眉目秀麗な訪問客に浮き足立っていた。
ブラウン教授はそれでも淡々と講義を行い、シークに自慢のクラスのレベルを紹介するために次々と生徒達を指名して、発表をさせた。
キャロルは立ち上がってブラウン教授が示した粘土板のヒエログリフを解読してみせた。ヒエログリフ自体はキャロルに簡単に読めるものなのに、声は思ったように出ず、顔が熱かった。
(シーク・イズミルが見ているからだわ)
キャロルはそっと体重を反対側の足に移した。シークの鋭い金茶色の瞳は値踏みするかのように彼女だけを見ている。
「・・・・ということからこの粘土板は建設半ばで放棄された幻の首都ネフェルの実在を裏付けるものと考えられます」
頬を真っ赤に上気させてようやく発表を終えたキャロルは、そそくさと自分の席に戻ろうとした。その時、手が滑って資料の束を落としてしまった。
静まり返った教室に白い紙が舞う。空調の風に煽られて一枚がイズミルの足許に滑り降りた。
「あ・・・」
イズミルは優雅に長身を屈めると、キャロルの几帳面な字が書き込まれた資料を拾い上げた。短い間にイズミルはその資料にざっと目を通し、満足の笑みを浮かべた。
「あ・・・ありがとうございます、殿下。いえ・・・失礼を・・・!」
自分の粗相と周りの生徒達の好奇の視線に真っ赤になったキャロル。イズミルはあるかなきかの微笑を浮かべ、彼女にだけ聞こえるように言った。
「どういたしまして。私だってかがみ込めると分かってもらえたかな?」
シークの指先がキャロルの指先に軽く触れた。
17
(・・・え・・・?)
ふわり、と体が浮き上がるような感覚と共に、キャロルの頭の中に凄まじい勢いで映像が流れ込んできた。
大柄な堂々たる体躯の若者が自分の顔をのぞき込んでいる。愛しさと・・・何か深い哀しみのような陰のある感情を湛えた瞳。
ソナタガ イトシイノダ。ソナタガ イカニ ワタシヲ イトウテモ ワタシハ ソナタヲ テバナスコトハデキヌ。ユルセヨ・・・ユルセヨ・・・。
見慣れない奇妙な衣装と冠と着けたその若者は、シーク・イズミルと同じ顔をしていた。同じ?いいや、今よりももう少し荒々しい精悍な感じがする顔。
アイシテイルノダ・・あいしているのだ・・・・・愛しているのだ・・・!
(シーク?いいえ、違う。誰?)
キャロルは焦点の合わない目を必死に見開いた。その時、クラスの誰かが「あ、貧血だ」と叫んで後は分からなくなってしまった・・・・。
「何、君の兄上とは一度、話し合う機会を持ちたいと思っていたのだ。そんなに恐縮されてはこちらが困るほどなのだがね。
・・・それとも君のようなお嬢さんはろくに知りもしない男の車で家に送られるなんてことは耐えられないか?」
シーク・イズミルはシートの反対側の隅っこで、まだ青ざめた顔色をして小さくなっているキャロルにわざとからかうような口調で話しかけた。
貧血を起こして教室で倒れたキャロルは自家用車を待たずにシーク・イズミルの車で送られることになった。
キャロルを送ると申し出た若いシークのやり方は実に洗練されていたので、皆,キャロルを心配したり、羨みこそすれ意地の悪いことを言う者はなかった。
「そんなことはありません、シーク。でもお忙しいのにご面倒をおかけしては申し訳ないですし、兄にも叱られてしまいます」
キャロルは心底、申し訳なさそうに詫びた。まだ青ざめた頬がイズミルの目に艶めかしく見える。
18
「貧血で倒れることは割にあるのかな?」
イズミルは話題を変えた。ルカが運転する車は滑るように走っていく。
「急に倒れたので驚いた」
「いえ、いつもは立ちくらみ程度で倒れるなんて初めてでした。
ちょっと緊張していたのかも。何だか目の前に急に色々見えたような気がして焦点が合わなくなって・・・」
「色々見えた?」
イズミルは目を眇めるようにしてキャロルを見た。
彼もまた、キャロルの指先に触れた瞬間、目の前の彼女が夢の中で馴染んだ少女に変化するのを見のだから。
贅沢な衣装を着けた金髪の少女が、少し戸惑ったように哀しげな微笑を浮かべていた。彼女の薔薇の唇は残酷な言葉を紡ぐ。
ドウシテ アナタハ ワタシヲ アイシタノ?ワタシニハ アイナド ワカラナイノニ。ワカラナクシタノハ アナタヨ。
(戦の夢の中ではあのような言葉を聞いたことはなかった。私がまだ思い出せておらぬことでもあるのだろうか?
だがキャロル・リードに触れた瞬間、あのようなことが起こるとは不思議だ。
彼女は何を見た?きっと私の力に感応したのだろうよ)
イズミルの思考は時として周囲の人間の感情に影響を及ぼしたり、映像を見せたりするような強い力を持っていた。これもまた古い王家の血のなせることなのだろう。
「ええ・・・あのシークのお顔が・・・ちょっと違う風に見えて・・・それで・・・」
キャロルは、はっとして口を噤んだ。シークによく似た誰かが自分に愛を囁いたなんて言えるわけがない。
「ごめんなさい、大丈夫です」
キャロルはそれきり、イズミルの方を見なかった。だがイズミルはじっとキャロルの横顔を見つめていた。
19
「あらまぁ、キャロルさん!どうなさったんです?」
シークの車に乗って早退してきたキャロルを見て、古くからリード家にいるばあやは大げさに叫びたてた。
善良で思いやり深い性格なのだが、現代的な洗練とは無縁で、ソツのない対応は出来ないタイプの人間なのだ。
キャロルはばあやを心配させないようにあっさりと事情を説明した。
「シーク、今日は本当にありがとうございました。あの、もしよろしければお茶など差し上げたいのですが」
キャロルの申し出をイズミルが断るわけがなかった。イズミルはそっとルカにスケジュール変更を命じると、導かれるままリード家の客間に行った。
リード家の客間でイズミルは上機嫌でお茶を飲み、菓子類をつまんだ。甘いものは苦手だったが、今日はどれもこれも天上の美味に思える。
「おいしいな。イギリス風のティータイムというのもいいものだ。留学中は毎日だった」
おいしそうに自分やばあやが作った焼き菓子をつまんでくれるシークの笑顔にキャロルの緊張も解れていく。
「ありがとうございます。嬉しいわ」
「よくこのような菓子類を作るのか?」
「ええ。ライアン兄さん、いえ、兄が好きですから。おいしそうに食べてくれる人に作るんだから甲斐もあります」
それから二人は色々な話をした。イズミルは故国や旅行した外国の話を少女が請うままにしてやり、しみじみとした幸せを感じた。
「色々な所にいらして、たくさん勉強しておいでなのね。すごいわ!
私もいろいろ勉強して、何かを残したいわ。勉強したことを何かの役に立てたいの。でも・・・難しいわ。今は右往左往するばかりで」
その幸せの唯一の瑕疵は、キャロルの話にやたら「ライアン兄さん」が出てくることだった。
(おかしいな、私はこの娘の兄にまで嫉妬するのか)
20
ひとしきり会話が弾み、ふと沈黙が訪れたところでイズミルは言った。
「いつか私の国に来て欲しいものだな。こんなおいしいお茶をむさ苦しい男に振る舞ってくれたお礼をしたい」
むさ苦しさの対極にいるような男性が魅力的な笑みを浮かべて言う言葉にキャロルは真っ赤になった。
(ば、馬鹿ね、キャロル。この方は私が珍しくてからかっているだけだわ。
兄さんと同じくらいすてきな人が、むさ苦しいなんて自分で言ったりして!
落ち着きなさい!)
「光栄です、シーク。兄と一緒に伺えたらどんなに素晴らしいでしょう?」
イズミルはくすりと笑った。
(本当に子供だな、まだ。気取ったふうな口をきいても大好きな‘ライアン兄さん’から離れられないらしい)
「親切な姫君のためなら法律だって変えよう。40歳を過ぎるまで私の国に来てもらえないなど我慢できないからね」
互いの会話は何となく噛み合わない。当然だった。
キャロルはライアンの妻となった「既婚女性」としてアル・シャハルに行くことを考えていたし、イズミルは「若い独身女性」のキャロルを自分の妃として国に迎えることを考えていたのだから。
(おかしいな?会話が噛み合っていないではない?)
イズミルは羞じらって指先まで紅く染まっているキャロルの初々しさに目を奪われて、キャロルの言葉の裏に隠されたものに気付かなかった。珍しいことだ。
その時、ばあやが顔を出してライアンとロディの帰宅を告げた。
遠い約束、いよいよ次回はイズミル対ライアン?
ああっ、でもお盆休載(笑)だったらどうしようっ!
ああ・・・ライアンが帰宅〜〜〜!
こりゃ只ではすみませんよー、ライアンの激怒する顔が目に浮かぶ〜
王子はフフンって感じか?!
願い作家さま、お盆休載で寂しいでつが、気をつけていってらっしゃいませ。
ライアン帰宅シターーーー!
対決が気になるよー。
キャロルとお茶する王子に萌え。カラミがなくても(爆)面白い〜
>>205 23
「お・・・王子・・・。」
王子の笑みがキャロルの恐怖心をますます煽り立てる。あの冷たい眼の光は何?
「将軍、用ができた、下がれ」
王子の口調には有無を言わさないものが潜んでおり、将軍はちらりとキャロルの方に心配そうな眼差しを投げかけて姿を消した。
将軍の後を追うようにキャロルも慌てて扉の方に走り出そうとしたが、王子の逞しい腕が伸びてきて腕と腰を捕まえ抱き寄せた。
「困った姫だ、そなたには知らせるつもりはなかったのだがね・・・。」
ねっとりした甘い囁きは、ヒッタイトでの初めての夜に聞いたものと同じ響きを持っていた。
そうだ、悪魔が囁くような・・・穏やかななかない淫靡で何か奥底に秘めた計り知れない怖さをもって・・・。
「帰る・・帰ります!エジプトに帰らなきゃ!」
腕のうちでキャロルは必死になって抗った。私がここにいることでまた戦になったりしたら!
それがキャロルの一番の心配でもあり、そしてメンフィスを助けたいと思ったのだ。
「エジプトにはそなたの居場所などないぞ、そなたは私の正式な妃、そなたの婚姻をもって同盟が締結したのではなかったかな?」
なんでこんな恐ろしい事を平気な顔で淡々と話せるの?悠々とした涼しい表情で!
「それにカーフラ妃がおるのを忘れたか?カーフラのメンフィスに対する執心はかなりのものと聞いておる。
そなたなどいとも簡単に殺させるぞ。」
笑い混じりの声音にキャロルも思わず腹が立って言い返す。
「メンフィスは私を愛してくれてるわ!損得など考えずに!アイシスよりも私を優先して結婚したんですもの!」
身体に廻された腕に力が入り、キャロルは痛みにかすかなうめき声を洩らす。
「そなたが悪いのだよ、私の愛を信じないのだから・・・。だがもう遠慮は要らぬ、分からせてやろう。」
イズミル王子に抱き上げられて寝室に連れ込まれようとするキャロルの口から悲鳴が響き渡った。
この話面白すぎるよ〜。作者様天才なんじゃない?
8行目
「穏やかな中に淫靡で・・・。」となります。
すみません。
遠い約束。ひゃーライアンと王子は絶対バチバチに火花散っちゃうゾ。
たのしみぃー。
>>222 21
「これはシーク・イズミル!」
ライアンは客間でくつろぐ長身の男性を見て心底驚いた。いつアポイントメントを取ろうかと考えていた当の本人が自宅にいたとは!
キャロルは大急ぎで事情を説明した。イズミルはゆうゆうと立ち上がると、まだキャロルの身体が心配だと言わんばかりに控えめにその細身を支えてやった。
ライアンの嫉妬心は一気に燃え上がった。
「ありがとうございます、シーク。ご多忙であるあなたが私の妹にして下さったことに何とお礼を申し上げればよいか」
イズミルは自分より先に話したライアンの「無礼」にわずかに眉を顰めた。
「いや。私も貴殿と話をする機会を持ちたいと思っていた。お互いの懸案事項にカタをつけるためにね。
貴殿の大切な妹御へのささやかな心遣いに過剰に感謝していただく必要はない。だが、どうしてもと言われるのなら少々、時間を割いていただきたい。
私は臨機応変であるのが好きなのでね」
イズミルは冷徹な為政者、有能なビジネスマンの貌になって言った。ライアンもまた相手の発する心地よい緊張感を感じながら言った。
「もちろんです、シーク。私の書斎に場所を移すことにしましょう。ロディも同席させます。
・・・キャロル、お前はもう下がっておいで。ばあや、後は頼む。大事な客人のおもてなしをね」
22
抜き打ちの会談であるのに、充分に言葉を吟味し、自分に挑んでくるライアンの頭の良さにイズミルは心地よい興奮を味わった。
(なるほど、ライアン・リードはアル・シャハル進出を真剣に考えている。
だが簡単には許さない。もっともっと我が国に有利な条件を引き出さねば)
イズミルとライアンは持てる限りの知識と言葉を剣のように駆使して、刺激的なやりとりを交わした。
だが、やがて二人の男性は固い握手を交わした。
「さて・・・後は貴殿がアル・シャハルの王宮に表敬に来て下さるのを待つのみだ。我が国はリード・コンツェルンのアル・シャハル来訪を歓迎する。
どうか二つの国の人間が力を合わせてアル・シャハルを発展させていけるように」
「お言葉恐れ入ります、殿下。我が社のプロジェクトがお国により一層の繁栄をもたらしますように」
沈黙。
やがてライアンが口を開いた。
「殿下、私の妹を送ってくださったことに改めてお礼を申し上げます。やはりエジプトの熱気は身体に合わないのかも知れません。
・・・殿下はカイロ学園においでになったのですか?」
ライアンは神経質そうに眉間にしわを寄せた。
(ただの視察かもしれない。そうに決まっている。キャロルを送って来て図々しくも客間に座り込んでいたのも偶然となりゆきかもしれない。そうとも。
・・・だが、こいつはキャロルの腰を支えて・・・抱いた!貧血で倒れたキャロルを抱き上げたかもしれない!
23
イズミルはライアンの変化に気付いた。
(私がここにいるのがよほど気になるらしいな。確かにキャロル嬢のあの様子では、彼女を溺愛しているらしいことはすぐ分かるが)
「何・・・先進的な教育施設の視察と言うことでね。キャロル嬢はなかなか頭の良い方のようだ。考え方も話し方もしっかりしている」
「・・・ずいぶんと・・・お詳しいようですね?」
「授業での様子、それに私をもてなしてくれた物腰などから見てね。これでも人を見る目には自信がある。貴殿もそうだろうが、人を見て評価するのも私の仕事の内だ」
「なるほど。しかし・・・このようなことを申し上げるのは無礼かもしれないが」
ライアンは巨大企業のトップの貌を捨て、一人の男の貌になった。
「独身であられ、万人が認める魅力と頭脳を兼ね備えられた殿下が、いくらなりゆきとはいえ特定の人間に、よりによってリード・コンツェルンの一人娘に興味を示されるのはいかがなものか。
互いにそんな気はなくても世間は姦しい。私の大切な妹が傷つく可能性のある行動は控えていただきたい。
無論、スキャンダルは殿下のためにも、殿下と我が社がこれから進めるプロジェクトのためにもならないでしょう」
「ライアン兄さん」
ロディがライアンを黙らせようとした。ライアンは何故、今日に限ってこんなにカリカリしているのだろう?らしくない。
イズミルは、「未来の義兄」と見なしている男の雑言に片眉をあげた。危険なしるしだ。
24
「スキャンダルと言うのか?」
イズミルは静かに問い返した。静かな口調、感情を抑えた穏やかな顔。だがそれは全て、内に波立つ激しい感情の波の裏返しだ。
「困っている人間を助けるのは宗派を問わず当然の行為であるし、助けられた礼をするのも自然な感情だろうと思っていたが。
そのような気の回しかたをしては、キャロル嬢が可哀想だと思わないのか?
心配だといいながら貴殿はまるで妹君が過ちを犯しかけたように言っている。
私は人を見る目は確かなつもりだが、キャロル嬢は淑やかな優しい兄思いの女性のようだ。‘大好きなライアン兄さん’の言葉を知れば、さぞ落胆するだろう」
さすがのライアンも赤面し、言葉が一瞬出なかった。
「それに、だ。スキャンダルというのは私がキャロル嬢の名誉を傷つけた場合にのみ当てはまる言葉だ。貴殿が我が国にどのようなイメージを抱いているかは問わないが・・・」
イズミルは誰もが竦み上がるような冷たい有無を言わせない威圧感を漂わせながら言った。
「私はキャロル嬢をいい加減に扱うつもりはない。尊敬と誠意を以て大切に接する用意がある」
(・・・! この男・・・!やはり!)
ライアンは、イズミルの王族特有とも言える高圧的な求愛の言葉にすぐ気付いた。
「・・・殿下、私の言葉を不快に思し召したのなら謝罪します。
ですが、自分の妻にと思い定めた女性を守ってやりたいというのも男として当然の感情でしょう。
そして殿下は我が社の重要なパートナーであられ、私個人としては大切な友人ともなりたいと考えております。どうかそれをお汲みおきください」
「殿下、どうか兄の無礼をお許し下さい。僕からもお詫びいたします。そして申し上げます。僕たち兄弟はキャロルを心から大切に思っていることを」
ロディも言葉を添えた。
25
だがイズミルはそれどころではなかった。
(妻・・・?!キャロル嬢を・・・自分の妹を妻にすると言ったのか、ライアン・リードは!どういうこと・・・・では二人に血のつながりはないのか?
・・・そうか、だからさっき会話が噛み合わなかったのだ!)
イズミルにとって、未来の義兄ライアンは今や恋敵ということだ。
ライアンは敏感にイズミルの狼狽を感じ取っていた。身分と地位故のたしなみか全く感情を表さない顔の下でイズミルが激しく動揺しているのが分かる。
「・・・これは・・・驚いたな・・・」
ようやくイズミルは言った。
「妹である女性を・・・妻に・・・?」
「血はつながっていないのです、殿下。キャロルは私たち兄弟の又従姉妹の間柄になります」
「は・・・。しかし・・・表向きは兄妹で通っている二人が結婚とは。それこそスキャンダル・・・もとい社交界の話題になるだろう」
黒々とした醜い嫉妬の蔓草がイズミルの心を絡め取る。
(何と言うことだ!ようやく見つけた私の娘がよりにもよって兄と婚約しているとは!私と彼女の間柄より何倍もスキャンダラスな関係ではないか。
・・・いや、待て。落ち着け!くっそう、こんな若造に笑い者にされてたまるか、この私が!)
イズミルは少し笑ってみせた。その笑みにライアンも不敵に微笑を返す。
「まぁ確かに。しかしリード・コンツェルンの一族の動向など多かれ少なかれ何だって話題の種になります。
私たちの間柄は母も、親族達も認めてくれています。何より、キャロルが私を夫となる男性と受け入れ、認めていてくれます」
「それは・・・重畳と・・・言うべきだろうな。欧米の上流階級では閨閥作りに熱心だと聞いていた。貴殿にしてもキャロル嬢にしても縁談は降るほどあるだろうに」
「だが結局のところ、結婚は当人同士の問題です。私はキャロルを愛しています。妹としても一人の女性としてもね。
キャロルが16歳の誕生日を迎えたら、婚約を公にするつもりです。あと一ヶ月ほどですか」
大量うぷのお目汚しお許し下さい。
キリのいいとこまでということで書かせていただきました。
私も続きは来週と言うことで・・・・。
>遠い約束作家さま
大量うぷ、感謝感激アメアラレ至福の極みでございまする〜!
個人的に前世を覚醒していくところがたまりませぬ・・・
来週まで待ちきれない。・゚・(ノД`)・゚・。 一日千秋の思いで待ってます〜
来週って、来週の木曜日ってこと?それとも月曜かな。
寂しーよぅ。
王家番外編の世界にはまってしまった私・・・
遠い約束、豪華前後編?!
嬉しいよー。
ライアンとイズミルの対決萌え〜。今のところライアン優勢みたいだけど・・・
王子ガンガレ〜!
ライアソ=メンヒスの生まれ変わりだったとしたら、やっぱりキャロル
首すっぱーんしちゃった場面思い出したりするのかすぃらねー。
何かライアンとキャロルの関係ってすっごく色っぽく思えるよ。
ベッドの上でキスだけしかしない(!)仲だなんて。
寸止めの色気漂う遠い約束が好きー。
>>227 うんうん、作者様天才的だよね〜。お話おもろすぎ〜。
ライアンvs王子なんて考えてもみなかったよ!!
私も「ベッドの上で」キスしかしないライアンに萌え萌えだよ〜。
だって抱いちゃうのは簡単だけど、耐えるのは辛いでしょ、男にとっちゃ。
そんだけ愛してる・・・ってコトだよね。ヒョエー、キャロルいいなぁ。
ライアン素敵・・・でも王子、負けないで〜!!
現代版ズミル王子に私も萌え〜!
勝手な想像では、古代版よりちょこっと柔和なイメージかな〜っと
一人で萌え萌えでつわ!
ん〜、ライアンてば16歳の女の子相手に口うるさくて
なんか束縛しすぎなのがチョット・・・・・。メンフィスは同世代の
若い男の子だからそういうのも可愛いで許せるけど。
>242タソ、私も現代版ズミル王子に一票。
いやいや243タン、王子だってきっとキャロルを束縛しまくりますよ、そのうち。
だってイズミルは元祖誘拐・拉致監禁男だもの。そこが魅力だしー。
遠い約束って最後どーなるんだろね?やっぱ王子とひっつくの?
うーん、最終的には王子に惚れてしまったキャロルをライアン兄さんが泣く泣く手放す・・・に100イズミル。
>>244タソ
王子は束縛してもいいんだよゥ。異国のプリンスだし価値観も違うのよ。
なんかキャロルにとってライアンとの関係は本当の愛に目覚める前の
幼い恋って感じかもしれないのに、それに付け込んで未成年を相手に
さっさと婚約発表しちゃうのは、現代社会じゃあちょっとなぁ、なんて
言ったら身も蓋もないかな。
んんんっ・・・王子になら束縛されてもいいわ!って感じ。
でも義兄ライアンの魅力もカナーリ強烈〜。義兄って響きが良いわ。
わたしは王子キャロルを奪い去る、に3000ライアン逝っときます。
遠い約束も面白いんだけど、読者のみんなのレスもかなりオモロイ。
みんな現代版王子がよっぽどツボだったと見える・・・。
わたしもモチロンすーっごくツボでひた。ついでに義兄ライアンもWツボ。たまらんわ〜
うー続きが読みたーい。来週は遠いなぁ。。。。
王子を意識してるキャロルを見て、あせって寸止めきかなくなるライアンに5000リード。
たった一つの言葉様、願い様〜〜お盆休み突入ですか?
キャロルだけでない政策に陰謀チックな王子がすきだ〜〜
本編ではすっかりアボ〜ンされてるんだもん・・かろうじてキャロルが
「私を利用して」とか言ってるけど、、、
あせりまくりのライアン兄さんキャロルを襲うが抵抗される
→「王子、助けて〜」とか叫ばれて超キレまくる・・・に8000シーク!
願い作家さまはお盆休み中だよね、たしか。とても待ち遠しいよぅ。
ロディ「実は僕も好きだったんだよ…」に3ロディ…
お盆休みでつか。ガクシ
たった一つ作家様は週末明けに出てきてくれるかな。
あんまり王子タソを悪者にせんといてや。
横からジミーがかっさらう・・・ あ り え ん ・・・・か。
遠い約束。はっそういえば、ジミーは出てくるのかしら。
>>234 26
(何だか・・・私・・・変だわ・・・)
キャロルはぼんやりとベッドに横になっていた。頭の芯が冴え返って熱でも持ったようなかんじで落ち着かない。
頭の仲に繰り返し流れる不思議な映像。見慣れない衣装をつけたシーク・イズミルが繰り返す言葉。
――愛しているのだ―― 哀しそうに愛しそうに、怯えるように・・・囁く言葉。まるでそれを口にするたびにどこか痛むかのように。
その映像に交錯するように、アラブ風の衣装を着けたイズミルや、グレイのスーツをかっちり着こなしたイズミルの顔が浮かぶ。
―私だってかがみ込める―
―キャロル嬢は何が好きなのか?どのようなことに興味があるのだ?―
―この菓子はおいしいな―
(どうしてこんなに気になるのかしら?今までこんなことなかったわ。
あの人に会ってまだいくらも経っていないのに・・・昔から知っていたような気もする)
キャロルはイズミルに触れた指先を眺めた。
(まるで電気でも走ったみたいだったわ。不思議な絵が見えて・・・。
そう言えばシークは私が何を見たかずいぶん気にしておられるみたいだったわね・・・? シークも何か見えたのかしら?)
「馬鹿ねっ!」
キャロルはがばっと起きあがった。貧血で血が足りなくなった脳味噌が見せた幻なのだ。ろくに知りもしない砂漠の国のシークが自分に愛を囁くなど。
(それよりもライアン兄さんがまた機嫌が悪くなったら嫌だわ)
その時、当のライアンが部屋に入ってきた。
「ああ、起きなくてもいい、キャロル。貧血を起こしたそうじゃないか。大丈夫なのか?・・・・シークはもう帰ったよ。お前に・・・よろしくだそうだ」
ぎし、と音を立ててライアンはベッドに腰かけた。キャロルが自分の顔を見た途端、小さく「あのシークは・・・」と聞いたのが不愉快だった。
ライアンはいきなりキャロルに覆い被さって唇を、頬を、首筋を接吻で覆った。相手のことなど思いやる余裕もないままに。
27
「・・・・兄さん?怒ってるの?あの・・・私がシークといたから?」
はぁはぁと息をつきながらキャロルは兄のいつにないやり方から逃れた。青い瞳は潤んで、怖がっているような、怒っているような色が浮かんでいる。
ライアンは、はっと胸を突かれてキャロルを抱き起こし、そっと服と髪を整えてやった。
「すまない・・・。つい・・・どうかしていたんだ。大丈夫か?」
「ええ・・・。あのシークは私を送ってくださっただけなの。スキャンダルとか兄さんが困るようなことは起きないわ、大丈夫よ」
ライアンは年下の妹の気遣いに自己嫌悪を覚えた。本当に自分はどうかしている。
嫉妬?不安?キャロルへの不信?全ては自分が生みだした醜い怪物ではないか。でも、この不安は何だろう?
(世間知らずでろくに男慣れしていないキャロルが、会って間もないシークと親しげに過ごしていた・・・かもしれない。シークの様子ではずいぶん話しも弾んだようだ。
キャロルが・・・恥ずかしがりやで人見知りもするキャロルがシークにはあまり警戒心を抱かない・・・とか?
あのシークは女性なら誰でも絡め取られるような容姿だ。もし、もし僕のキャロルが・・・)
「・・・ライアン兄さん?聞いている?私、兄さんが怒ったり困ったりするようなことしてないわ。
ただ、シークがお帰りになるときはお見送りして改めてお礼を申し上げたいと思っていたの。とっても親切にして下さったのよ?」
ライアンは腕の仲の妹をしっかりと息も止まらんばかりに抱き寄せた。
「やれやれ・・・僕はどうかしているな。これが焼き餅か。
キャロル、その話はもういい。あと一月すれば僕はお前をアメリカに連れて帰って婚約披露をしよう。・・・そう、あのシークを招待しても良いな」
「兄さんったら変よ・・・?どうしたの?焼き餅だなんて」
キャロルは自分を絡め取るライアンの腕から逃れるようにして言った。
期待せずに来たら・・・・ヤッターーーーー!!!!
うpされてるーありがとー。
ライアン兄さんの暴走はまだ助走なのだ。
う・・・うれすぃ〜〜〜!
あぁ、ライアン兄さんもっと暴走して〜〜〜!
スーツを着た王子・・・素敵そうなんだけどなんか想像しにくいわん。
頭にはやっぱりアラブのベールみたいなのとワッカはめてるのかなぁ???
作家様方にユクーリ休んでいただきたいおもひ半分、
続きキボンヌなおもひ半分なお盆の週。。。ぢっと手を見る(。_ 。)
週明けが待ち遠しいでつね〜〜
>260
ほんとそうでつねえ。
けどもここの常連サンとまたーり待ってる今このときも
割りとしやわせ。
朝晩必ず来て、がっかりするのもチト快感?
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
>>262 そうそうー!
じらされてるのカイカーン!王子にじらされてるみたいかもぅ。
でもはやくしてぇ(w
-63-
>>213 ルカが、手配してわざと手薄にさせた回廊の柱の影で、二人の男が周りを伺う様に話をしていた。
「それで…黄金の姫様は…今も?」「ああ…イズミル王子の元にいる」深く溜息を付くハサン---
「俺は、いつかこんな日が来ると思ってたんだ…で、戦になるのかい?」
「姫が此処にいる事は、ごく少人数しか知らぬようなのだ。
兵士も戦の準備をしてないから多分直ぐに戦にはならないと思う」(さすがだな…ハサン)
「ただ、姫を伴いエジプトに行く事は分かっている」
驚いた様に口を開け「姫様を?イズミル王子は何を考えているんだ?」
「…それは私にもわからない、が、ハサン協力して貰えないか?」
「何をする気だ、ルカ」
「私のせいで、姫は王の元へ戻れなくなった」俯き話すルカを憐れむように見つめるハサンは
「……姫様の事だ、何も無かった様に王の元には戻る事はしないだろう、
それを見据えてエジプト行きか…王子も考えたな」
「それにしても…王子は、どうして戦を仕掛けないんだろう?こんな機会を見逃すなんてな」考え込むハサンに
「ハサン、姫は王子と共にエジプトに行く…私は姫と生死を共にするつもりだ、が、
出来るだけ危険は回避したい、同行してくれないだろうか?」
「…頼まれなくても、話を聞いたからには付いて行くさ…」(俺に持てる力の全てで守ってやるよ……)
-64-
「それで、どうやってエジプトへ行くつもりなんだい?特に国境の警備は凄いぜ」道中の様子を詳しく話して聞かせると
「今宵、集まった人への労いの宴が催される、明日の朝、その人ごみに紛れて出立するとの事だった」
「へぇ---ルカ、お前は、その…動けるのかい?」不思議そうに問うハサン---
「ああ…見張りは付いて、宮殿内だけはね…姫の…心遣いだろうが…」目を伏せたルカに
「い、いや、とにかくルカが動けたおかげで、事情が分かったよ、でも俺が一緒に行く事を王子は納得するだろうか?」
「何としてもさせるさ…ご自身も無事にエジプトに行く為には…過ぎた用心など無いだろう?」
「それじゃ、ここから動かないのが一番安全だろうよ?エジプトに何かあるのかい?」
「…さぁ…それは…」「わかった!!取り合えず、俺は準備に取り掛かる…」
「ああ…では明日、皆が帰る頃に入り口近くの植え込み近くで落ち合おう」
「わかった」ハサンが、辺りの様子を探りながら広間へと戻っていった----
-65-
一夜明けて、宴に出席していた商人・町人達がぞくぞくと城が出て行く
その様子を王宮の一番高いバルコニーから、イズミル王子が城下を見下ろしていた。
それに気付いた者達が、口々に思い思いの事を叫び、手を振りながら帰っていく----
----「そちが、ハサンか?同行を許す、が、怪しげな動きがあれば即刻切り捨てる。」
威厳に満ちた低い声…全身から滲み出る、抜き身の剣の如き鋭さ---
初めて間近で見て言葉を掛けられたハサンは、王子の、恐ろしい迄の威圧感に圧倒された。
「は、はい!」(相変わらず恐ろしい王子だぜ…にしても身代わりを立てているとは周到だな)
そして、王子の背中に隠されるように、おずおずと顔を出す---
「…ハサン…」所在なさげに声を掛けるキャロル…
「黄金の姫様…また一緒に旅が出来るな--にしても、どうしたんだい別人みたいだ」
(青い目は隠せないが、肌の色が違う…)全身をあちこちと遠慮ない視線を這わせる---
キャロルがベールの中にまとめている、髪を一筋掬い「髪も、ホラ赤毛なの、多少の水にも平気な染料なんですって」
陽気に振舞うキャロルが、尚更に痛ましく見えてしまうハサン----
「その髪も似合うね、黄金の姫様。会えて嬉しいよ」笑顔がこぼれる
そして、キャロルを取り囲む様に、居並ぶ同行者達を見回す。
(…皆…怖い目をしているな、選りすぐりの兵士ってわけか…)
その中からずいっとハサンへと進み出る者---
「私はムーラ、姫君の事を『黄金の姫様等』等と呼ばぬように、くれぐれも分をわきまえた振る舞いを、お願いしますよ」
冷たい一瞥をハサンに投げつける。
「はいはい、心得てますよ」両手を頭の後ろで組み、拗ねた素振りの後、悪戯っぽい笑顔をキャロルに向けた。
-66-
「それで、ちょっと見て欲しいモノがあるんですが」少し離れた場所に垂れ幕で覆われている、
荷馬車へと先導し垂れ幕を開ける---
中には大きな壷がびっしりと入っている。それを軽々と外へと置くハサン。
「ハサンって、凄く力持ちだったのね」驚くキャロルに
「黄金の姫様、そうですと、言いたい所ですがね、あ・げ・ぞ・こ」驚かせた事が嬉しいのか、得意満面のハサンに
注意を無視したハサンの言葉に、キツイ目を向け、こめかみを押えるムーラ---
そのやり取りを見て微笑むルカ----
「えっと、ここからは本物だから、一人ではちょっと無理」すぐにルカが手伝い、全ての壷を降ろし終えると、荷台の床板を剥していく
「狭いですが、此処に二人位なら入れますぜ」王子に伺うような視線を向ける-----
「ふふっ---そなたが、使えると言うのは真であったな」ニヤリと笑い、「では、私達はそなたの荷馬車に乗ろう」
その後、支持を幾つか商人に扮した兵士達に与えると。
「では、出立する!!」隊商に紛れて----隊商に扮したイズミル王子一行は一路エジプトを目指す----
夜の砂漠を突き進むのは、危険と判断した一行はシリア砂漠のオアシスで休憩を取っていた…
「姫…出てきても良いぞ」荷台の床板を外してキャロルを抱き上げ、地面に降ろしてやる。
「…ええ…(シリア…)」さらさらと足に纏わり付く、砂を踏みしめ今はひんやりと冷たい感触を懐かしむキャロル---
キャロルの背中に何か声を掛けようとして…口をつぐんだ王子---王子の様子を見ていたムーラが、キャロルに話しかける
「姫君、お飲み物をお持ちいたしましょう…」「ぇっ!…はい、お願いします」促され、火を囲んでいる皆の傍に行くと
手招きしていたハサンの傍に、腰を下ろし足を伸ばすキャロル。
王子は、キャロルの様子に目を配り、兵士達を集め対策を話し歓談していたが、
「ここよりは、更に警備が厳しくなるであろう、心する様に」
こんばんは!書き込み出来たり、出来なかったりと・・?
中途半端な所で・・ゴメンナサイです。
願い作者さん、ありがとう。
これで寝ます。おやすみなさ〜い。
おはようございま〜〜す、書き込みがあったので爽やかな一日になりそうでッす。
おはようございますー。
いやーん、うれすぃっすー!
だれかあるーーーーーーっ と言ってみる。
>>255 28
アル・シャハルのシーク・イズミルがエジプトにある自国の領事館でパーティを催したのはカイロ学園視察から数日たってからのことだった。
摂政の君の29回目の誕生日を祝う催しは本来ならばごく近しい間柄の人間しか招かれないはずだったが、シークは特例としてリード・コンツェルンの総帥、ライアン・リードを招待していた。
アル・シャハルでのプロジェクト受注を勝ち取った、世界に冠たる大企業集団の総帥を、イズミルが招くことに誰も異を唱えはしない。シークは外国で迎えることになった誕生日を欧米風のパーティで祝うことにした。
招待客は男女同伴で現れるはずである・・・。
「兄さん、ネクタイ、締めてあげるわね!」
大好きな兄と出かけられるせいで、いつになく浮き浮きとした様子のキャロルは兄の部屋のベッドの上に拡げられていたスーツ一式を次々と兄に手渡していた。
ライアンは上機嫌でキャロルに「着替えのお手伝い」をさせていた。
シーク・イズミルから「ヨーロッパ風のパーティ」の招待状が来たときはリード夫人も不在であり、シークの見え透いた(とライアンは思った)招待が疎ましくも思えた。
しかしこれこそキャロルは自分のものだと誇示する絶好の機会になるかも知れないと思い直して、シークの誕生祝いの席に臨むことにしたのだった。
「ふふっ、キャロル。くすぐったいな。あ、結び目はもう少し小さくなるようにしてくれ。・・・うん、よくできました、お嬢さん」
「やだっ、兄さんたら。・・・・兄さん、とってもすてきに見えるわ」
キャロルは兄の接吻を避けるようにして笑った。
シークの名前が出ると何となく不機嫌になっていた兄が、今日はいつも以上に機嫌が良く優しいのが嬉しかった。
「お前の可愛いよ。よく似合っている」
ライアンは白い絹のドレスを着た義妹の髪に薔薇の花を飾ってやりながら笑った。胸高の切り替えの優雅なエンパイア・スタイルのドレスは彼が見繕ったものだった。まるで花嫁衣装のようにも見える楚々としたドレス。
(キャロルには花があるな。誰もが惹かれる花だ。でも僕だけのものだ)
ライアンはガーネットの首飾りに彩られた白いうなじにそっと唇をつけた。淡い淡い刻印が少女に押された・・・。
29
アル・シャハル領事館は華やかに光り輝いていた。明るい照明は伝統的な内装を施された室内を工芸品か何かのように美しく浮かび上がらせ、着飾りざわめく人々を鮮やかに照らし出した。
アル・シャハルに縁あるアラブ諸国の王族、各国の外交官達、ビジネスマン達・・・。
「華やかな席ね・・・。気後れしそう」
「これでごくごく内輪のささやかなパーティと言うんだからな。アラブ風の謙遜なのか、文字通りの意味なのか、僕たち外国人には判断に苦しむところだ」
ライアンは苦笑して義妹に笑いかけた。
「お前は誰よりも綺麗だと思うね。萎縮することなどないよ、僕の・・・花嫁さん」
長身で容姿の整ったライアンと、小柄で愛らしいキャロルのカップルは人目を引いた。ライアンに守られるようにして歩くキャロルは愛らしく、気難しいアラブの王族ですら、恥ずかしそうに、でも萎縮することなく楚々として挨拶をする金髪の少女を好ましげに眺めていた。
多くの人々がライアンに挨拶する。アラブ系の人々は、豊かで歴史あるアル・シャハルの世継ぎの個人的な祝い事に招待されたリード兄妹に、それが如何に大きな恩恵であるのかを匂わせた。
(やることが派手な男だな。大人しそうな顔をしながら・・・。旧習を墨守していた砂漠の王国か。どういうふうにつき合っていけばいいのやら)
ライアンは如才なく挨拶を交わしながら、今後のことを考え少し厳しい顔つきになった。
>>226 24
どのくらいの時間が流れたのか、キャロルにはわからなかった。
窓も扉も締め切った薄暗い寝室の中、イズミル王子は憑かれたと言わんばかりにキャロルを求める・・・・。
頭の中には綿でも詰まっているのか、自分に何が起こっていいるのかさえはっきりしない。
体が重く、幾度も絶頂へと追いやられるのも今は苦痛のようにも思えた。
王子の動きのままに翻弄される白い体には、まるで自分の意志というものが感じられなかった。
でも耳に残る王子の囁きは、キャロルの心を切なく締め上げた。
何故に申さぬ・・・この私を愛すると・・・。あのテーベで、布を落としてそなたと会うた時から、
私が愛するは天にも地にもそなた唯一人だというに・・・・。
さあ、我が名を呼べ、そなたを抱く私の名を・・・!
自分の名を呼べと、愛してると言えと言うその様子に、キャロルは返って物悲しいものを感じてしまうことを禁じえなかった。
私に命令するその言葉の裏に、この人はどれほどの哀しみや孤独を抱いているのか・・・・。
荒い息を吐いて汗ばんだ胸に抱き寄せるこの人に、私はどういえばいいのだろう
王子だって私のことを愛してるなんてちゃんと言ってない・・・・。
ただ『いとしいそなた』とかそんな風にいうだけ、メンフィスだって言ってくれたのに・・・・。
こうして抱かれていると、よくわかるのに、ばかな人・・・・。
私だって何にも言えなくなる・・・・・。
私にはも帰るところもなんにもないのに・・・。
頬に伝う涙を黙って王子が唇で拭う。仕草はこんなにも優しいのに、心がすれ違ってばかり・・・・。
身体は熱いのに心が冷めてるなんて、とキャロルは思う。
今の私に出来ることは何もないのかト、キャロルは考えることを放棄した。
>>275 30
「ようこそ、ミスター・リード。招待に応じていただけたことを光栄に思う」
シーク・イズミルはにこやかにライアンに手を差し出した。握手する二人の男性。
シークは白い絹の寛衣を着て、腰帯には反った短剣を挟んでいた。長い髪はゆったりと編まれ、かぶり布から豊かに流れ出している。
伝統的な衣装のせいか、それとも彼を取り巻く室内の豪華な雰囲気故か、シーク・イズミルはいつにもまして威風堂々と見える。
だがそんなシークの炯々たる眼光はキャロルを見ると優しくなった。
「ようこそ、ミス・リード。どうかくつろいで楽しんで欲しい。後で私の妹ミタムンを紹介しよう。・・・知らない人ばかりで怖いか?」
からかうようにかけられた言葉。キャロルは緊張に強ばった身体と心がくつろいでいくのを感じて微笑んだ。
(私の願い通り、お前はやって来た。さぁ、どうやってお前の心を取り戻せばいいのだろう)
イズミルはライアンに守られるようしているキャロルの姿を見守りながら考えた。
「さて・・・では,ミスター・リード。貴殿に紹介したい者がいる」
シーク・イズミルが目配せすると、たちまち威厳溢れる顔立ちのアラブの男性が歩み寄ってきた。
「こちらは石油担当大臣、国土交通担当大臣、それに財務大臣、外務大臣の面々だ。皆、私の叔父や親戚筋の者だ。今後のこともある。まずはくつろいだ席でビジネス抜きで互いに知り合うのも良いだろう」
(なるほどね・・・。こういうことか)
ライアンは、あるかなきかの微笑を浮かべ意地悪く、でも興味深そうに自分を見つめる青年を見つめ返した。自分はありとあらゆる機会に試されるらしい。
頭の良いビジネスマンか、思慮深く冷静な人間であるか。あるいは・・・いや、おそらくはイズミルの相手として相応しい人間であるか・・・・を。
ライアンとアル・シャハルの大臣達は穏やかな歓談を装いながらも、油断なく相手の出方を見定め、鋭い剣戟を繰り広げる古代の剣闘士さながらに権益を巡って渡り合うのだった。
31
兄と大臣達の話が始まって、キャロルはさり気なくそこを離れた。兄ライアンは仕事のことにキャロルが過剰に興味を持つことを許さなかった。
(それにしても華やかねぇ。領事館とはいいながら中は宮殿だわ・・・。
シーク・イズミルは本当に王子様なのね。話しかけてくださらなかったら私、あの方は私の知らない誰かだと思ったかも)
キャロルはさり気なく壁際に移動して、窓辺の椅子にそっと腰掛けた。
着飾った人々、ざわめき、まるで華やかな芝居でも見ているような錯覚を覚える。
(のぼせたかしら?)
キャロルは開け放たれたフランス窓からテラスに出た。月明かりに照らされるナイルに面したそこは、カーテンと植え込みのせいで静かな個室のようだった。
「いい気持ち・・・涼しい」
キャロルはうっとりと目を閉じた。
その時。
「キャロル嬢?このようなところでどうしたのだ?」
「!・・・シーク・・・・・?!どうして・・・」
(お前を捜して・・・)
シークはくすりと笑った。
31.5
「何、少し外の空気を吸おうと思っただけだ。宴もたけなわ、かなり酒も入っている、皆、私が居なくても気がつかぬよ。
アラブ風のなりをしていれば、特に外国人はまるで区別がつかぬと言う。キャロル嬢、あなたもそうか?
私ではなく、世間知らずの娘をくどくならず者だとでも思ったかな、あの驚きようでは」
「あ・・・シークだとはすぐ分かりました。だ、誰だって分かります、きっと。ただ驚いてしまって。シーク・イズミルが急においでになったから」
少女の口から「シーク・イズミル」と呼ばれると、無味乾燥な尊称も急に暖かみを帯びるように思える。イズミルは微笑するとゆっくりと手すりにもたれかかった。
そしてキャロルの緊張をほぐすように様々に話しかける。世間知らずなキャロルはじきにライアンに対すると同じようにイズミルに話しかけ、笑うようになった。
「・・・キャロル嬢は本当に兄君思いだな。兄妹仲がよいのはいいことだ」
「ええ。私は昔から兄さんっ子でしたから。兄はとても優しいから私も兄に何でもしてあげたいんです。兄がいつも私にしてくれるように」
イズミルは全身がかっと燃えるような気がした。
「・・・だがいつまでも兄妹で一緒にいるわけにもいくまい。何でもするといっても・・・」
イズミルの視線がキャロルを絡め取る。甘く強引な手がキャロルを引き寄せる。
「兄に妹がしてやれぬこともある・・・」
「!」
イズミルはキャロルに口づけた・・・・。
お盆明けキターーーーー!
作家様方、おかえりなさいませ!
キタ―――――!!
しかもこんな所でひいちゃうなんて…。
「遠い約束」作家様、にくい〜。
これでキャロルも思い出すのかな??
遠い約束、待ってました〜ぁ!!
いやはや絶好調ですね、現代版王子いいわぁ・・・。
その調子で強引に行ってくれぃ!!!
王子様のキスキターーーー!
強引&お約束の展開もいいの、王子だから(爆)
お盆休みが終わって嬉しいと思うなんて初めて。
ここのサイトの更新があるからなのねん(藁
たった一つの言葉 様、私は『いとしいそなた』でも全然いいっす!
王子が言ってくれるなら・・
あ、嬉しい!遠い約束更新されてたんだ!
ついに王子×キャロルチューでつね。
このチューで何かが起こりそうで、ワクワクします。
また、続きが読みたい病が騒ぐよ〜。
願い作家様も今宵あたり、復帰してくださるかしら?
こちらも続きが気になるんだよな。
>284
本当だよねぇー。キャロルって実はそんな言葉にこだわるタイプだったのか。
まぁ、そういうオンナ心もわかるよねぇ。でも言葉が無くても愛が
伝わるような愛され方なんて・・・もう、ただただウトーリ。
それにしても今回はせつなさも快感・・・って
感じでした。お預けが長かったからさぁ。でもたった一つキャロルも、
だいぶなびいてきたよね。春も遠からず、でせうか。
願い作家さま、お盆休み中も素敵な作品で寂しかった私達を
構ってくれてありがd。最近はエチーが減ったけどわくわくするような
展開ですね。(いえ、催促じゃないんですよ)
あと、現代版王子。がんがれー!ライアンに負けるなよお。
エチーがなくても作家様達のお話は面白いでつ。
でもエチーがお約束って期待しているお話があるもの確か・・・。
ビミョー。。。。。
-67-
>>268 やがて、寝入ってしまった様子のキャロルを荷馬車まで運び、そのまま皆から離れると小さな泉の淵に腰を下ろし
水面に映る月を眺めていた-----「王子、宜しいでしょうか?」声を掛けたルカを、振り向きもせずに
「いや…丁度喉も渇いていた」ルカが手にしている、葡萄酒が、まるで見えているかのように---
「話があるのだろう?」葡萄酒で満ちた杯を渡し、ルカは王子のやや斜め後ろへと肩膝を付いた-----
そのまま水面を見つめながら、静かに杯を口に運ぶ王子-----
「王子…」砂漠を渡る風に、言葉が掻き消えてしまう程の、遠慮がちな問いに-----
水面から視線を外さず「ん…何だ?申してみよ」低く通る声---
「何故、エジプトなのでしょうか?」杯の中に映る小さな月に指を入れ、広がる波紋を見つめ、飲み干すと
「…責められ、憎まれていたならば…違う選択もあったかも知れぬな…」飲み干した杯の淵に指先を這わせ---
振り向いた王子の、空になった杯を満たすルカ-----
「…賭けかも…知れぬ…自分の無鉄砲さに笑えるが…」小さな笑い声は、とても淋しく聞こえた---
「あのまま、隠しきれるものでもないだろう?…」(父王の耳に入れば…破綻はいつ来てもおかしくはなかった…)
何を賭けているのか、ルカはそれ以上聞く事が出来なかった。
「そういえば…ルカ、姫に何かしたな?」目を細め笑いながら問う王子---
「えっ!?わ、私は何も」焦って否定するルカに
「姫の心の強ばりが和らいだのだが----まぁよい。そろそろ戻らねば皆が心配するな」ゆっくりと腰をあげて
ルカの頭を、くしゃっと乱暴に撫で、戻って行く王子を、慌ててルカが追いかけていく----
-68-
シリア砂漠を渡る一行は度々、止められていたが、ハサンの荷馬車で、無事に切り抜けてきた。
最後尾を走っていた馬が、真ん中の葦毛の馬まで近寄り「これより、駱駝は捨て、一刻も早くエジプト入りしましょう
王子も、例の荷馬車の中へお入り下さい」将軍は、急き立てるように告げ、先頭まで駆け出して隊列を止めた---
「姫、もう少しの辛抱だ、苦しくはないか?」王子と共に隠された荷台に揺られてしばらくして---
狭い場所での密着感…王子はキャロルの頭を振動から守るように、腕の中に抱えていた-----
トクン・トクン・トクン・・・・少し早い規則正しい鼓動が脈打つ、その胸の中---
「私は平気…王子の方が疲れているでしょう?」「おや、私を心配してくれるのか?では…」軽く唇を合わせると
「疲れは、癒えた」おどけた口調で話す王子の心遣いが、今は素直に受け入れられた
-----「しっ!」王子の胸に更に強く押し付けられる。
ガヤガヤと人が慌ただしく話す声、(また…私を探しての詮議が始まる…)
メンフィスの命を受けて探す者達…王子の命を受けてエジプトへの旅の供をする者達…どちらも命を掛けてのこと---
今更ながらに、自分がこの世界に居続けている為の混乱を思い胸が塞がりそうだった。
「荷を改める!」(今回は、特に念入りだわ)荷物を開けてまで調べている音が聞こえる-----
王子の胸でギュッと目を瞑り(どうか、見つかりませんように)祈るキャロル-----
「全ての荷を降ろせ、中身も出して全ての持ち物も調べる」その声に観念したように激しく震えて…
(王子と一緒にいる今…ついにメンフィスの前に、民の前に『裏切り者』として引き出される…)
(えっ?)キャロルの髪を梳く優しい手----見上げたキャロルを優しい瞳が包む…
自分を激しく恥じていた…。見つかれば王子は命が無いのに、自分の事よりもキャロルを安心させようとしている。
辛い時にこそ、まず相手に手を差し伸べてくれる-----優しさには不思議な力があると---
「あれ?ハサンじゃないか」その時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「えっと---ウナス?」覚悟を決めたハサンにも光が見えた(これは、上手くいくかも?いや、いかせてみせる)
-69-
「一体何があったんだい?」とぼけてウナスに問いかける、「…お前になら話してもいいだろう、実はキャロル様が
行方知れずでな」「…成る程、でも困ったな黄金の姫様は居ないのか…姫様に珍しい極上の香油を届けに行く所だったのに」
「そうか…じゃ荷は?香油なのか」「そうだぜ、折角香りが逃げない様に工夫してたのに、まぁしょうがないよな」
悔しそうに荷を降ろそうとするハサンに「あっ、いいよ」ハサンを制止するウナス。
「…でも、いいのかい?」「ハサンはキャロル様に何かするとは思えないよ」「ありがとよ」ホッと胸を撫で下ろし
荷をまとめ、出発しようと馬に乗り込んだハサン----その目に黒い集団が砂煙をあげ近づいてくる-----
「王が見えたぞーー」その場に居たものは、全て膝を付いて出迎えている。
ハサンも馬から降りて、膝を付いた(一難去って…今度こそヤバイかもしれない)背中から嫌な汗が吹き出してくる。
「ウナース、どこだーー」キャロルの耳にも届いた--その声-----(メンフィス…)心臓が苦しい程に早鐘を打つ-----
「王!」ウナスとハサンの前に馬上から声を掛ける「キャロルの事は何かわかったか?」「いいえ…申し訳ありません」
「何をもたついておるのだ!一刻の猶予もならんと、申しておるに」激昂するメンフィスが、ハサンに気が付いた。
「そなた…確か?キャロルに解毒剤を持ってきた者ではなかったか?」
「は、はいっ!ハサンと申します」横からウナスが話に割って入った
「王、この者キャロル様に香油を届けに参ったそうです」「キャロルにか?」メンフィスの表情が優しいものへと変わる。
「…そうか、キャロルに…面をあげい」恐る恐る顔をあげるハサンの目に、
黒い装束に身を包んだメンフィスが馬上から声を掛けた。
「この先も宮殿も警備が厳しくなっておる、これを持っていけ…この私が許したとな」
言うと指から、まばゆい黄金の指輪を引き抜き、ハサンに向って放り投げた
「行くぞーー」と砂煙をあげて、あっという間に駆けていった---
ハサンも、そそくさと出発した----
---自分の回りの時が止まってしまったように、瞬きさえしないキャロル「…心とは…厄介なものだな…」
王子がポツリ---つぶやいた----
こんばんは!
催促?いえいえ、リクエストありがとうございます。
次回、完結の予定ですので、Ψ(`▼´)Ψ入れさせていただきますね。
ブラウザも調節完了しましたし、週末までにはうpさせますね。
願い作家様、もうすぐ完結しちゃうんですか?
ちょっとさみすい・・
でも、ラスト、どうなるのか楽しみです。
願い、最初は切ない展開でどうなることかと思ったけど
だんだんハピーエンドに向かっているのでしょうか?
王子、幸せになってね>それがわたしの願いでつ
>>279 32
―愛しい愛しいお前をずっとずっと捜していたのだ
(捜していた?私を)
―夢の中でずっとずっと逢っていたのだ、私たちは。もう兄のことは忘れよ。
これからは私がお前を大切にしてやろう。いつまでも子供のままではいさせない・・・。
(私は兄さんが好きなのよ?夢の中ってどういうこと?どうしてシーク?私は分からない)
―分からぬならそれでよい。いっそお前は思い出さぬ方が幸せだ。私はあの悪夢から、大事なお前を守ってやれなかった悪夢にもう苛まれずにすむ。
お前は何も知らぬ無垢な心のままに私を・・・愛してくれ。
(愛する?あなたを?私は・・・私が好きなのは・・・ライアン兄さん・・。
大好きな・・・ライアン・・・兄さん。私は兄さんの妻になる・・・)
―ふふ。‘大好き’と‘愛している’は違う・・・違うのだよ。
口づけた唇は離れないまま、二人は言葉を紡ぐ。
イズミルの腕はしっかりとキャロルを抱きしめ、金茶色の危険な光を帯びた瞳は、焦点の定まらない碧の瞳を絡め取る。
―思い出せぬならそれもよい。だが、だが私は忘れてはいない。お前を如何に愛したか。幸せにしてやりたかったのに、どうしてもそれが叶わなかった口惜しさも・・・覚えている。
イズミルの体に抱きすくめられ、身体に直接響いてくるような低い声を聞き、だがキャロルは彼を拒否することは出来なかった。
(私はこの人をどう思っているの?どうして動けないの?この人は何を言っているの?)
キャロルの瞳に映る男性。アラブの装束に身を固めたシークと・・・キャロルがいつか壁画で見た古代の衣装を着たシーク・イズミル。二人?いや、一人?
いつの間にか深くなったシークの接吻にキャロルは抗うことをしなかった。
33
―思い出すな、あのような恐ろしい場面は。思い出せば、そなたは私を厭うだろう。妖かしなどでそなたを娶り、子まで生ませた私を軽蔑するだろう。
ああ・・・だが、思い出してはくれぬか。私の心を。私が生ませた子ゆえに私にも穏やかな笑みを見せてくれた日を・・・!
いつしかキャロルの目の前にいるのは古代の衣装を着たシーク・イズミルだけになった。
低い哀切な声。生まれながらの貴人だけが持つ威厳と気品。だがその瞳の奥に罪におののく罪人のような哀しい色が宿るのは何故?
―姫、私はそなたを愛している。天にも地にも我が愛するはそなただけだ。
許しを請わせてくれ、償わせてくれ、私を嫌っても・・・良いから。私はそなたを側に置きたいのだ。
何ひとつ愛さぬと思っていた私が初めて愛したそなたを。
(どうしてあなたは謝るの?私は本当は知っていたのよ。あなたが・・・)
「どうして・・・・?」
低い小さな声でキャロルは問うた。半ば以上、夢の中のようなぼんやりした気持ちで古代装束の誰かに・・・シーク・イズミルに・・・。
だがキャロルの問いに答えたのは、アラブの衣装を着たイズミルだった。
「私はお前を愛しているから。シークとして、お前の兄の取引先の責任者としてお前の心を取り引きするように扱いたくはない。
私は一人の男として、イズミル・ハールーン・スレイマンとしてお前を・・・妻にと求める・・・!」
キャロルが小さく息を呑んだ。あまりのことに息が止まりそうだ。不思議な二重写しの映像と声。気がつけば自分はまだ兄以外の男性の腕の中に居て・・!
イズミルはふっと表情を緩めると、もう一度キャロルに接吻した。
彼は苦もなく人形のようにぐったりとした少女の身体を支え、唇の中に馴れ馴れしく舌を差し入れ、しばらく慣れないゆえに硬直して無反応なキャロルを楽しんだ。
34
不意にキャロルの瞳から涙が溢れた。真珠のようにぽろぽろと零れる涙にイズミルは驚いて白い顔を覗き込んだ。
(しまった、性急にすぎたか。困ったな・・・加減を忘れた)
だが。
「ど、どうしよう。私ったら・・・私ったらライアン兄さんがいるのに、兄さん以外の人と・・・こんなこと・・・。やめて、も言えなくて・・」
「キャロル嬢、泣かないでくれ。驚かせ怖がらせるつもりはなかったのだ。私はただ・・・」
おろおろとイズミルはキャロルを腕の中に抱きしめ背中をさすった。いつのまにかキャロルのことも「お前」とは呼ばなくなっていた。
「嫌であったか?怖がらせてしまったのか?」
キャロルはしゃくり上げながら呟いた。
「い、嫌じゃなかった。こんなこと・・・兄さん以外の人とキスして嫌じゃないなんて、私、いやらしい最低の人間。兄さん、ママ、ごめんなさい・・・。
私がこんなだから兄さんは目が離せないって言うんだ」
「はっ・・・・はは・・・はははは」
イズミルは笑った。こんな熱烈な告白を返してもらえるとは思ってもみなかった。
「キャロル嬢、キャロル嬢。嫌でなかったとは・・・私のことが、私のしたことが嫌ではなかったということか!」
だがキャロルはそれには答えなかった。シーク・イズミルが腕の力を緩めたその瞬間に怯えた小鳥のように部屋の中に戻ってしまった。
「知りません、分かりません、私、兄さんの所に行かなきゃ・・・!」
シーク・イズミルは自分の体のそこここに残るキャロルの気配を愛おしむようにしばらくの間、テラスに立ちつくしていた。
(今度こそ・・・私はお前を幸せにしてやろう。私の側で)
35
「キャロル!どうしたんだ?捜したぞ」
ライアンはやっとキャロルの姿を見てほっとしたように駆け寄った。
「ごめんなさい、ちょっと洗面所に行っていたの」
泣いた跡を消して、シークの唇に取られてしまった口紅を直してキャロルは広間に戻った。何事もなかったように、心配をかけたライアンに微笑みかけて。
「ならいいが。そろそろお暇しようか。やはり僕たちはこの中にあっては異分子だよ。徹夜のアラブ式宴会にはつき合えない」
ライアンはキャロルの手を取って、シーク・イズミルに暇乞いをした。白いドレスを着たキャロルは正装のライアンの傍らにあって花嫁のようだ。
もちろんライアンもそれを知ってわざと義妹に白を着せた。シークにキャロルは自分のものだと改めて知らせるために。
でも。
そんな二人の様子を見てもシーク・イズミルの心は少しも波立たなかった。むしろ勝者の余裕のようなものをもってライアンにエスコートされたキャロルを見ることが出来る。
(キャロル・リードはまだほんの子供だ。‘大好きなライアン兄さんのお嫁さん’と‘自分の愛する男性の妻’になることの違いすら自覚していない。
私を愛するようにさせる。あの子供を、大人の女にしてやるのはライアンではない、私だ)
「ミスター・リード、楽しく有意義な夜を過ごされたことを祈っている。
我々は仕事の上では良き仲間、良き隣人、それ以外の時も良き友人でありたいと思う」
「恐れ入ります、シーク・イズミル。今宵得た知己は何にも勝る宝です。今後の我々の友情が長く続きますように」
ライアンの傍らでキャロルの膝を折り、礼をした。顔を伏せていてもシーク・イズミルの燃える炎でできた鎖のような視線を感じる。
(私は・・・あの人に掴まってしまったの?それとも今夜のことはただの夢?
明日になれば、また兄さんのお嫁さんになる日を数える私に戻れる・・・のかしら?)
「そう、我らの友情は長く続き、その結びつきは多くの喜びを生み出すだろう。貴殿が我らに多くの喜びをもたらしてくれることをアル・シャハルのイズミルは期待する」
シーク・イズミルの声がキャロルの身体の奥深いところを揺さぶった。
いつもの時間にうぷ感謝です>遠い約束作家様
「大好き」と「愛してる」は違うというイズミル王子の言葉に萌えました。
でも何だかもう一波乱くらいありそう〜
やっぱ「願い」は近く完結予定の所をみると
王子とハッピーかな〜あの状況で自分を選んでくれたら
さぞかし王子も幸福さのう〜(惚 楽しみ〜
チョト波乱万丈の末本命と結ばれる?
「アンジェリク」風な大河ドラマもいいけどね〜
遠い約束、どうなるの?
現代版王子は手際がよいねぇ(ほうっ)
「大好き」と「愛している」の違いをキャロルにしっかりと
教え込んでやって下さい!
願いはじき最終回。やっぱり王子とくっつくのかな?
あんだけいろんなことされて調教されて(爆)いまさら
メンフィスの所にゃ戻れまい。
戻ったとしても体が王子を恋しがって(以下略
遠い約束、良いわ〜〜〜!!
今日もお約束のうpありがとん。
王子が二人いるようで、とても新鮮&嬉しいですな〜。
古代王子と現代王子が一粒で二度おいしい、ほんとツボな作品ですじゃ。
とりあえず、王子とキャロルがディープキスまで進んでおめでとー!!!
「願い」
戻れても、メンフィスの嫉妬が怖いよなあ。怒りにまかせて
レイプまがいのHばかりとか。どちらにとっても不幸だ・・・・
メンフィスに愛とテクがあっても、
あれだけ肉体的に調教され傷付いたキャロルを包容する
精神器量はないと思うし(なんとなく)
家臣にも示しがつかないでしょ。
>>276 25
その夜のイズミル王子はいつになく疲れているようにキャロルには見えた。
黙って杯を傾けている、眉目秀麗な顔立ちには、どことなく近寄りがたい雰囲気さえ漂っていた。
何かあったのかしら?でも王子は私には私には何もいわないし、どうしたら良いのかしら?
不思議そうに、また自分を心配しているのか黙って見つめているその無防備な細い体を見たとき、
イズミル王子は少し表情を和らげ、キャロルを膝のうちに抱き寄せた。
「あの・・・どうかしたの?何かあったの?」
キャロルの問いかけに、王子も話す必要があると思ったのか、杯を置き、もう一度キャロルを抱きなおして口を開いた。
リビア国王がエジプトを訪れた折、一行に紛れ込んだ者に襲われたこと、その際にカーフラ王女と側にいたネバメンが襲われ命を落としたこと。
弔いもそこそこにリビア国王が帰国したことで、リビア国内の内政不安が表面化してしまったこと。
表向きネバメンも王家の者として葬儀が行われることなど・・・・。
王子の静かな声音のなかに、キャロルは陰ながら王子が関与したことを知った。
「そなたは何が望みだ?エジプトが欲しければそなたにやろう、どうする?」
突然の思ってもみなかった問に、キャロルは驚いて青い目を見開いた。
「いいえ!いらないわ!私・・・国なんて欲しくない!」
「では何を望む?黄金か?その身を飾る宝石か衣か?城か?」
「そんなもの、何にも欲しくない!欲しいのは・・・・。」
欲しいのは・・・・とキャロルは口篭もった。元々物欲の薄いキャロルである、宝石も黄金も自分にはそこまで執着がなかった。
「ほんに・・・そなたは変わった姫だ、」
大きな手が小さな白い頬を包み、薄茶色の瞳が覗き込む。軽く開いた薔薇色の唇を塞ぐそれ・・・。
願いはもうすぐ完結ですか。
なんか終わってしまうと思うと寂しいな。
26
私が望むのは何?
国も宝石もわたしにはそこまで価値がない。
帰るところもなく、私は一人なのに・・・。
そう、愛し愛し合える人、家族があれば・・・・。
王子は確かに私を大事にはしているみたいだけど、私にはまだよくわからないわ。
パパとママのように、あんなふうに愛し合えるのならいいのに・・・・。
王子の唇も手も胸の中も、全ては安心できるのに、でも私には足りないの。
何が足りないの?私が欲張りなだけ?
「・・和子が・・・いや・・なんでもない・・・。」
王子の呟きがあったが、キャロルの耳には良いのか悪いのか届かなかった。
「姫、明日から私は出かけねばならぬ、しばらく留守にするゆえ、いい子にしておくようにな。」
からかうように笑いの含んだ声が、キャロルの物思いを打ち破った。
「どこへいくの?」
キャロルは自分でもそれと気付かぬうちに王子にしがみ付いていたらしい。自分の胸元の衣装を握り締める白く小さな手を王子は眼を細めて見ていた。
姫は、自分ではわかってはいない、だが確実に自分を愛し始めているのだと、
王子の顔にはかすかな笑みが広がった。
「おやおや、そんな寂しげな顔をするとは・・・。やっと私も人並みに妻に愛された男のような気にさせられる・・・。」
王子の笑いを含んだ声音が、キャロルの頬を紅潮させる。
顔を背ける幼い仕草が王子の表情を更に綻ばせ、腕は逃すまいと華奢な体を絡みつく。
「すぐに戻る、いい子にしておれ。」
キャロルは自分の受けたショックを悟られないように、必死に王子の胸の中に顔を埋めた。
ちょっと留守にするって聞いただけで、どうしてこんなにもショックなのかしら?
いない方がいいはずでしょう?キャロル。
自分の感情の起伏にコントロールのきかないことがまらキャロルには信じられなかった。
そしてそれが唯一耐えられる方法であるかのように、大きな背中に腕を廻したのである。
遠い約束〜らぶ!
そのものずばりのえっちな描写がなくても何か引き込まれる。
もちろん、えっち描写も大好きな腐女子だけど(ぽっ)。
キスシーンとか何かすごくエロティックだよねぇ。
たった一つの言葉、願い、遠い約束、ずっと楽しみに待ってます。
名作揃い踏み状態を生みだして下さった作家様たち、頑張って下さい!
>302
そりゃ
>>276みたいなことがあれば誰だって疲れるわな。(w
でもなんか「たった一つの言葉」らぶらぶになって来ましたね。
王子タソに優しくしてくれてありがとう、キャロルタソ。
願い作家さま、次回はΨ(`▼´)Ψ楽しみにしてます。
願い王子のエチーはすごいんだもの・・・(ポ
遠い約束もますます目が離せない。
ライアンがどう出るのか、二人の男の戦いが見たいよう〜!
遠い約束にはΨ(`▼´)Ψあるのかなぁ???あったらうれすぃ〜
>>296 36
―私に優しくするのはやめて。私はいくら優しくされても、あなたに応えられないの。私を騙して滅茶苦茶にしたあなた。あなたが本当に見下げ果てた非道い人間ならよかった―
―可愛い子、大事な私の・・・。あなたはお父様に似ているのね―
―私はいつか素直にあの人に言うことができるの? でもあの人に愛しているって言ってもいいの?あの人は私が初めて愛した人ではないのに―
―ああ、イズミル。私はあなたが・・・・・・・・・・・―
「・・・・夢・・・・?」
キャロルはぼんやりと起きあがった。そこは見慣れた自室。寝る前に脱いだ白いパーティ・ドレスが椅子の背にかけたままになっている。
時計は午前1時過ぎだった。シーク・イズミルのパーティを辞してからまだいくらも経っていない。
「不思議な・・・夢・・・・。シーク・イズミルの名前を呼んでいた?」
キャロルはぶるっと身震いした。思いだそうとすれば意識の深淵に沈んでいって失われてしまう不思議な映像、ざわめき。切なくて哀しくて、それでいて愛おしい・・・思い出のような。
夢を思い出すと、おのずとシーク・イズミルの接吻が思い出される。ライアンと同じような深い接吻。まさかライアン以外の人間とあんなことができるなんて思いもしなかった。
(愛している・・・・って私は言っていた。でも誰を?)
キャロルはその答えが出るのを恐れるように、勢い良く起きあがった。
36.5
「・・・兄さん?まだ起きている?」
「! キャロル?! どうしたんだ、こんな夜更けに?」
帰宅した後、自室で早速アル・シャハル進出に関するプロジェクトの青写真を作っていたライアンは驚いたようにパソコンから顔をあげた。
キャロルは答えずに、ライアンの背に抱きついた。慣れ親しんだ兄の匂いと暖かさがキャロルを安心させた。
「どうした、キャロル。急にこんなに甘えて」
ライアンは嬉しさを押し隠して義妹を膝の中に抱き直した。
「さては怖い夢でも見たのかい?一人じゃ眠れないほど怖い夢を」
「・・・・そう、なの・・・。兄さん、今日は一緒に寝てもいい?お願い。
何だかいろんな夢を見て・・・誰かと居たいの。一人は・・・怖い・・・」
「よしよし、分かったよ。さ、おいで」
ライアンはキャロルを軽々と抱え上げてベッドに連れていった。
37
(幼い顔をして眠るんだな・・・)
仕事も一区切りついて、先に兄のベッドで寝入ってしまったキャロルの顔を眺めてライアンは優しい微笑を漏らした。
小さい頃はよく怖い夢を見たと言ってはベッドに潜り込んできたキャロルだった。それがいつの間にかすっかり大きくなって愛らしい少女になった。
「・・・キャロル・・・?寝てしまった?」
「う・・・・ん。大好き・・・兄さん・・・」
目は瞑ったままで、手を差し伸べるキャロル。
「愛しているよ、キャロル」
ライアンは上着を脱いだラフな格好でキャロルの横に潜り込んだ。ベッドが軋む。キャロルは小さい頃そのまま、半分眠ったままでライアンの腕の中に潜り込むのだった。
(本当に・・・無防備だな。安心しきって全てを僕に委ねている。僕のキャロル。僕だけを愛する僕の大事な義妹・・・妻。誰にも渡さない。)
ライアンはそっとキャロルに接吻すると目を閉じた。
しばらくの間、ライアンの脳裏にはキャロルへの求愛を仄めかした厚かましいシーク・イズミルの顔がちらついて苛立たせたが、キャロルの甘い匂いがじきにそれを忘れさせた。
(早くお前を妻として抱いて眠りたい。僕以外の男などキャロルは目もくれまいと分かっているのに・・妙に落ち着かない気分にさせられるのはどうしたものかな)
38
朝。キャロルが目を開けるといきなりライアンの胸の中に抱きしめられた。
「おはよう、キャロル」
ライアンはキャロルにキスした。昔は頬にしていたおはようのキス。でも今朝は唇に、深く。
「・・・おはよう、兄さん」
キャロルはライアンの首に抱きついて頬にキスを返した。小さい頃と同じように。ゆったりとした寝間着のボタンが外れて白いうなじと華奢な鎖骨が男を誘う。
「よく寝ていた。・・・怖い夢はもう見なかったかい?」
「ええ、大丈夫。ごめんなさい、私がいたから兄さんはよく眠れなかったんじゃないかしら?寝相が悪くて蹴ったりしなかったかしら?」
「大丈夫だよ。お前はもう子供じゃないんだから。眠るのもお行儀のいいものさ」
ライアンはキャロルを抱き寄せた。何も着ていない鍛え上げられた上半身の筋肉が鋼鉄のようにキャロルを縛める。暖かく柔らかい身体を抱き寄せて、ライアンは下半身がぎゅっと強ばるのを感じた。
「兄さんったら、やだもう・・・!」
(大丈夫、昨日のはただの夢。シーク・イズミルとのことだって・・・何でもないことよ。私が好きなのは兄さんだけ。兄さん以外の男の人なんて!)
キャロルは自分を安心させ、納得させるように言い聞かせた。
(私がいるのはこの胸の中だけ)
そんなもの思いはキャロルを物憂く、艶めかしく見せた。
そんな「女」の貌を見せるキャロルに、不意にライアンは思う。
(この場で抱いてしまおうか?この場で結婚してしまおうか?キャロルは拒めない、僕が本気で抱けば。そうすればこのわけの分からない不安は・・・)
ライアンは腕に力を込め、細いキャロルの腰を自分の方に引き寄せた。熱くたぎり、決して感情を偽ったりできない自分の分身の方に。
「・・・本当に・・・お前はもう子供じゃないよ・・・。僕を誘うことのできる・・・大事な僕の・・・」
「やっ・・・!」
キャロルは小さく叫ぶと思い切りライアンを押しのけた。だがライアンの体はびくともしないのだ。
(嫌、助けて!私はあなたのものにはなれないの!)
一緒に眠る兄妹〜でも一線は越えないっていう寸止めがツボ。
王子、らくだにでも乗って助けに来い!(笑
>>304 27
王子は何時戻るの?
王子の不在が反ってキャロルの意識をそちらに向ける。
体に残った、王子の愛した跡も消えてしまったけれど、そのことがもっとキャロルに寂しさを募らせる。
「・・王子はいつ戻るのかしら・・・。」
ムーラから手渡された飲み物を手に取り、キャロルがポツリと呟くのを王子の乳母は逃さなかった。
彼女の養育した王子が大切にする少女・・・でも王子が思うほどには王子のことを思ってはいない、
エジプトの妃となっていた少女。
王子の幸福を願う乳母にしてみれば、未だに王子に対して心を開ききらない少女が憎らしくもあり、早く心の通じ合う夫婦となって欲しいと願ってもいたのだ。
「王子はお忙しい方でございます、この程度の留守でそう寂しがられてはお困りになりましょう。
そのうち和子でも誕生なされば、そのようなことなど話す暇などありませぬ。」
ムーラの厳しい言葉にキャロルの表情は強張った。
内心きついことでも言い過ぎたかと、ムーラもほんの少しその厳しい表情と口調を和らげた。
「あのようなご寵愛ですゆえ、じき身ごもられましょう、ほんに今から楽しみですわ。
王子でも姫でも、あのお方にお仕えしたようにお世話をして差し上げるのが・・・。」
「・・お願い・・一人にして・・・。」
キャロルはムーラの言葉を遮り、子供が嫌がるように首を左右に振った、気のせいか顔色も少し悪く見える。
年齢の割に幼い方なのかと訝しがりながらムーラはキャロルを置いて引き下がった。
キャロルにしてみれば考えたこともなかったこと、いや考えないようにしてきたことを
今咽喉元に突きつけられたような気がしていた。
赤ちゃん・・・愛し愛し合える夫婦の結晶・・・・。
私の身体は?いいえ、まだそんな兆候など見せてはいないけれど、エジプトを出てからどれくらい経った?
まだ早いわ、早すぎる!
私と王子はただの体がつながっただけに過ぎない。お互いに心が通じ合ったわけではないのだ。
でも・・もし妊娠していたら・・・・。
キャロルの答えは一つだけだ、それを喜び待ち望むであろうこと。
でもそれを素直に喜べるのか否か、キャロルは途方にくれて両手で子を被った。
28
キャロルは黙って物思いに耽ることが多くなった。
王子の留守ももう半月ほどもなり、今何処にいるのか所在さえはっきりしなかった。
ただでさえ王子の移動は早く、情報は伝わりにくいのである。
そのことはキャロルもよく承知しており、誰に対しても文句を言うわけでもなく、
ただじっと一人で沈黙を守っている様子に、キャロルをよく知るルカもなんとか元気付けようと散歩などの気晴らしを勧め、
自らも護衛を兼ねて黙ってキャロルの後をついて歩いた。
「そちらは・・・いけません、姫君、そちらは立ち入らないよう言い付かっております!」
いつの間にか後宮とおぼしき方へ二人は入り込んでいたらしかった。
「え?そうなの?でも・・女の人がおしゃべりしてるだけよ、ルカ。」
「なりません、さあ、姫君・・・。」
ルカが半ば強引にキャロルを連れ去ろうとする背後から、艶やかな女性の声が響いている。
「・・早く王子様、お戻りになられないのかしら?最近、こちらにはお見えにもならなくて・・。」
「こちらにいらっしゃる時はナイルの姫君から一夜たりとも離れないんですってさ。
あんな子供子供した姫の何処がいいのかしらねえ・・・?」
「どうせすぐこちらにいらしゃるに決まってるわ、国王様の御子ですものね。」
「そうね、あんなに情熱的な国王様の御子ですもの、ほほほ・・・。」
キャロルの耳に届く王子の噂話に、キャロルは動揺する。
王子のキャロルの繊細な心を傷つけまいとする心遣いを今更ながらにルカは敬服し、キャロルを急いで抱き上げて宮殿に連れ帰った。
青ざめた顔をする主君の想い人をルカは言葉少なくとも慰めようとした。
そのルカにキャロルは無理に微笑んで見せた。
「大丈夫よ、ありがとう、ルカ。気にしてないわ、それよりせっかく散歩に誘ってくれたのに、ごめんなさいね」
ルカを気遣う優しい言葉をキャロルの口から出すのに、言葉と一緒に涙まで零れ落ちる様子に、
ルカの心には王子とキャロルに対する詫びの言葉しか浮かんでこなかった。
27の27行目「両手で顔を・・・」です。
すみません。
あああ〜〜〜、ラ、ライアンついに実力行使ですかっ!!!
現代版王子とのチューのところも萌〜だったけれど
ライアン添い寝&襲いモードもなかなか萌え萌えでつ〜!!
このまま、ライアンのものになっちゃえ!なんて思わず思ってしまった。
伯爵令嬢のアランとイメージかぶるんだよね、ライアンって。好きだなぁ。良いわ〜。
でも、やっぱり本命は王子だよね。
王子もライアンも両方いいよ〜、なぜかメンフィスvs王子より新鮮で楽しい。
続きが気になるー!!!
>>314 29
キャロルはこのところ庭の杏の木の下で物思いに耽る時間を過ごすことが多かった。
当人は知らなかったが、そこは王子が一人で寛いで過ごす場所で、人払いのしてある場所だったのだ。
木にもたれてかすかに漂う甘酸っぱい香りの中で、キャロルは王子のことを考えていた。
そこへルカが血相を変えてキャロルに報告しにきたのだ。
先ほど王子が戻られたが、負傷されたとのことで、極秘に戻って来られたのだ、と。
「そんなばかな・・・。王子の帰国にこんな静かなはずがないわ!」
キャロルはショックで目の前がくらくらするような頭をなんとかしゃんともたげて、ルカに詰め寄った。
「ですが・・世継ぎの王子の負傷ならば一大事でございますれば、隠密にされたのでは・・・・。」
ルカの言葉にキャロルは慌てて宮殿の方へと駆け出した。
嘘よ、嘘に決まってる!王子が、あの王子が怪我を?
私、まだ何にも言ってない!あの人にまだちゃんと言ってない!死ぬわけないわよね?そうよ!
王子の寝室には戸張が下ろしてあり、昼間なのに薄暗く設えてあった。
ムーラがいつも通りに静かに側に仕えていたが、キャロルが駆け込んできた姿に目を止め、
「まあ、静かになさいませ、姫君!」と小さな声で叱責した。
薄暗くした寝台の上で久し振りに見る王子の端整の顔は、この前見た時よりも幾分痩せたのか荒々し異様にキャロルの目には映った。
目を閉じた顔がキャロルに死の宣告をしたようにすら思われる。
酷い人、私にちゃんと言わせないの?言ってくれないままで終わってしまうの?
キャロルの頬をぽろぽろと涙が零れ落ちる。キャロルはふらふらと寝台の横に膝をついた。
「・・王子・・・王子・・・。」
「・・・何事だ?何故に泣く?うん・・・?」
寝台に伏せるキャロルの後頭部にふわりと温かい手の感触がして、キャロルは驚いて顔をあげた。
「私のために泣いているのか?それは嬉し泣きだとよいのだがね・・・。」
たった一つの言葉、萌え萌え要素がテンコ盛り!
ここで心もしっかり繋がり、一気に妊娠してしまえ!
遠い約束、ますます目が離せません!
ここしばらく、このスレの諸名作のトレンドだったΨ(`▼´)Ψが
なくても面白い!でも、そろそろΨ(`▼´)Ψが出てきてもいいかなぁ
・・・・・なんておねだりしてみる(笑)
>>318 そう、やっぱりたった一つの言葉、超萌え萌えですよね。ほんと萌え〜
これまでの番外編作品の中で一番好きかも・・・
舞台の設定も、王子やキャロルのキャラも抜群に魅力的でいいです。
317のお話はまた感動的で、涙が溢れてしまいましたよ。
ここまで感動させるなんてすごい。
こんな素晴らしいお話が書けるなんて、たった一つの言葉作家様って天才?!
>>318,319
あ、お仲間だ〜!
私もたった一つの言葉、大好きです。
萌え萌えようそがテンコ盛り・・・ってウマイ事言いますね。
最初からこの作品の大ファンでした。
たった一つ作家様、これからも沢山いる読者をどんどん楽しませて下さいませ!
たった一つの言葉の王子、すごく素敵ですもん。
遠い約束作家様ー、いいところで・・・・・(涙)
王子とキャロルのからみのあと、ライアンとキャロル。
ファンの心理を心得て(笑)目が離せません。
イズミルとライアンはどう折り合いをつけるのか?
いろんなお話が書かれて、だんだんに王族乙女の
「お約束萌え要素(添い寝、風呂、セクース、強引な男)」
が出そろってきましたが、遠い約束でまた新しい
スタンダードお約束萌え要素が出来るかも知れませんねん
たった一つの言葉いいよね〜。
私もこれが一番好き。最高傑作だわ。
やっぱりみんな読んで泣いてたんだね。
よかった、私だけじゃなくって。実は以前のシーンでも泣いてしまっていたの。
最高に上手いよ、たった一つの言葉作家様、才能あると思う!もう神だよ〜!
>>317 30
目の前にある幾分やつれた穏やかに微笑んだ王子の顔。
自分でも分からなかったこんなにも恋焦がれていたと思い知らされた懐かしく端整な顔立ち。
「だって・・・王子・・・王子が・・怪我をしたって・・。」
なんとか言葉を搾り出そうとするキャロルの目の前で、王子は悠々と半身を起こし、逞しく磨き上げた上半身の裸体を露にした。
「ああ・・・これのことか、矢で少し擦っただけだ、かすり傷とも言わぬ。」
太い左腕に巻かれた布がキャロルに示された。その瞬間に大きな安堵感と幸福感がキャロルの心を満たした。
「夜通し馬で駆けたのでな、仮眠を取ってからそなたに会うつもりだったのだよ。どうしたのだ?姫。」
王子からまるで表情を隠そうとしたように、キャロルが俯いたのを彼は逃さなかった。
機嫌でも悪くしたのか、と王子の手が細い肩に触れようとした瞬間。
「王子のばか!ばか!・・私がどれほど・・心配したか!」
「姫君!?」
ムーラはキャロルの言動に度肝を抜かれたと言っても過言ではなかった。
王子の胸を泣きながら小さな拳で叩き、アナトリアの近隣諸国に賢王子としてあまねく令名の響き渡る彼女の養育した王子が、
この小柄な少女にばかだと罵られているのである。
「この私をばかだと罵ることが出来るのはそなたくらいなものだ、姫よ。」
ムーラが聞いたことのないような朗らかな笑い声が王子の口から飛び出した。そしていとおしそうに黄金の髪を撫で小柄で華奢な体を胸に抱く。
「変だと申してみたり、罵ってみたり、ほんにそなたには驚かされる・・・。」
ムーラにすればあまりの無礼に怒るしかないことを、王子は笑いながら楽しそうに腕の中の少女に語りかける。
「すぐ・・戻るって言ったくせに・・・。私が・・どれだけ・・・心配したか・・・・。」
「ああ、すまなかった、状況が変わって随分と足を伸ばさねばならなかったのだよ。」
それは誰が見ても恋人同志の睦言にしか聞こえなかった。キャロルの言動に驚かされたムーラもそれを認めないわけにもいかず、
呆れるやら怒っていいやら感情を持て余しながらも、主君の喜びに満ちた表情を見てムーラはそっと部屋から引き下がった。
彼女が和子をその腕に抱く日もそう遠いことではないと思いながら。
31
懐かしい温もりと匂いがキャロルの体を包む。
たくさん話さなければならないことがあるわ、いない間に、王子になんて話そうかと、ずっと考えてたのに・・・・。
でも言葉が出てこない。なんて言えばいいの?
王子の手が優しく体の線をなぞる、王子の声が耳元で甘く囁く。それがこんなに幸福なことだったなんて知らなかった!
「こんなにそなたが私を恋しがるならば、時折は離れるのも悪くはない、こんなに愛らしいとは・・・。
だが私のほうが我慢できぬだろう、そなたの白い顔が胸に浮かんでばかりいた・・・。どれほどそなたを愛しているか・・・。」
小さな頤をやんわりと掴む王子の手で、キャロルは新たな涙を零しながら自分を見つめる薄茶色の瞳を見つめ返した。
「そんなに泣くほど私が厭わしいか?」
いつもは落ち着いた物言いの王子には珍しい不安げな口調にキャロルは首を左右に振った。
「違うの・・・。嬉しいの・・・。あなたが怪我をしたって知った時、どうしてもっと早くあなたのことが好きだって言わなかったんだろうって後悔したの。
私ずっとあなたが私を愛してるって言ってくれる言葉が・・・それが欲しかったの・・・。」
「黄金よりも宝石よりもか?」王子の声には愛された自信を持った響きがする。
「ええ・・・そのたった一つの言葉欲しかったの、今やっと分かったわ・・。」
「なんとまあ、欲のない姫だ!これからいくらでもそなたの望むかぎり与えようぞ。
そなたを愛しておる、そなたしか愛さない。」
その言葉にキャロルはきつく王子の胸にしがみ付いた。
やっと埋まったのだわ!私のどこかに欠けていたもの!足りなかったもの!
でも私も同じように王子に感じてもらいたい!この人が好きだから!愛しているのだから!
「愛してるわ、王子・・・。」
キャロルの囁きは王子の顔に満足そうな笑みをもたらし、更に継げようとした薔薇色の唇は口付けによって封じられた。
たった一つの言葉、今回はもうもうひたすら号泣ですっ!泣けて泣けて・・・
どうしてこんな素晴らしいお話が書けるの〜?
名作は沢山あったけれど、ダ・ン・ト・ツ!!
群を抜いて傑作ですわ、ほんと。
たった一つの言葉作家様の筆力、セリフ力、構成力、ストーリーテリングどれをとっても舌を巻きます。
キャロルが王子に傾いていく描写だって、素晴らしく自然で納得させられるし。
たった一つの言葉作家様、マジでプロになれると思ふ・・・
おはようございます!
感動、感動、感動です〜!!!
朝からこんなにしやわせになっていいものかしら。。。
たった一つの続きが読めるなら死んでもいい〜って程幸せ〜!!
すごい斬新なお話ですよね、たった一つの言葉って。
心からたった一つの言葉作家様をマンセー申しあげますよ。天才!
おはよ!
>>311 39
ライアンは力を緩めなかった。震えるキャロルのうなじに耳朶に唇を這わせる。
「っ・・・・!うぅっ・・・・・・!は・・ぁ・・・!」
キャロルは身体の芯が熱くなるのを感じた。恐ろしいはずなのに、嫌なはずなのに、身体は勝手にライアンの与える刺激に反応するのだった。涙が溢れ、ライアンの顔がぼやけた。
「ふっ・・・・・」
不意にライアンは身を離した。
「もう・・・お前とは一緒に眠れないな。結婚までは触れない、と自分で決めていたのに・・・守れそうにない」
「兄さん・・・・」(私は兄さんが好きなのよ。でもこういうのは嫌い。何だか違うの)
「・・・愛している。お前は僕の妻になるんだ。僕だけを見ておいで」
(いつもの兄さんだ・・・)
ライアンはキャロルにそっと接吻すると、出ていった。
(ライアン兄さんは私を愛していてくれる。ずっとずっと昔から。私を守って、私を大切にしてくれる。
でも何だか・・・・少し窮屈。兄さんの腕の中から出られないようなそんな気がするのは何故?)
キャロルはほうっとため息をついた。目の前にはライアンが用意してくれたアメリカ行きの航空券。
婚約発表はアメリカの本邸で行うとライアンはさっさと決めてしまって、キャロルだけを一足先に帰すことにしたのだった。
(あの朝から、兄さんは何だか私を閉じ込めるみたいにして。私がどこかに行くなんて思っているのかしら?私は兄さんしか・・・)
不意にキャロルの脳裏にシーク・イズミルの顔が浮かんだ。キャロルをお前、と呼び、強引な接吻で彼女を絡め取った異国の王子の顔が。
40
―大好きと愛しているは違うのだよ―
キャロルはぶるっと震えた。自分はどうしようもなくあのシークに、謎めいた異国の王子に惹かれているのだと思った。
(兄さんは私の・・こんな心の動きを見破って・・・?)
キャロルの予感は半ば当たっていたことになる。
リード・コンツェルンの総帥との諸々の折衝を自ら行うことになったシーク・イズミルは、同じ領事館に滞在中の妹ミタムン王女の話し相手としてキャロルを指名したのだった。
その見え透いた口実にライアンがライアンが激怒したのは当然である。ライアンはシーク・イズミルがキャロルへの興味を露わにしたことを決して忘れなかった。
「シーク・イズミル。せっかくのお言葉ですが妹はまだ15歳。とても御妹君の話し相手は務まりますまい。
年が近いならまだしも、王女殿下はもうご結婚もなさっておいでの貴婦人であられる。
・・・妹はアメリカへ帰そうと思っています。婚約発表をするために。
性急と思われるでしょうが、婚約・結婚をしても僕は妻には勉強を続けさせるつもりです。
妹も・・・キャロルも僕のやり方には賛成のようです。それに本邸に戻った方が彼女も落ち着いて安定するでしょう。それがあの子のためです。」
どうしてそこまで言い募るかと、側のロディが蒼くなるほどのライアンだった。
シーク・イズミルはただ、興味なさそうに頷いただけだった。しかし内心は煮えくりかえり、じきに手の届かぬ存在になるキャロルを何とか手に入れたいと気も狂わんばかりだった。
そしてキャロルが帰国する日が来た。
しかしキャロルが乗った飛行機はアメリカに到着することは出来なかった。彼女を含む大勢の人が乗った飛行機がハイ・ジャックされたというニュースが世界を駆けめぐる・・・。
41
―カイロ発ニューヨーク行きの・・・航空274便がハイ・ジャックされました。犯人の要求は某テロ組織幹部の釈放と現金。
乗客の大部分はアレキサンドル空港で解放されました。しかし「人質として高価値である」と犯人達に判断された一部乗客は、そのまま空港を離陸し東方に向かった模様です。
現在、エジプト、アメリカをはじめとする空軍機が犯人の乗った飛行機を追跡中ですが犯人の指定する行き先等は不明。燃料の残量が心配されています。
人質となった方は次の通り・・・・。
「キャロル・リードがあの飛行機に乗っているのかっ!」
シーク・イズミルは執務室の壁が震えるほどの大声を出し、ルカの度肝を抜いた。
ハイ・ジャック機は地中海を東に進み、現在は紅海上空を迷走、としか言いようのない無鉄砲な飛び方をしている。
燃料切れ、犯人の精神状態と人質の安全が懸念され、いつ墜落・不時着しても不思議でない飛行機の進路に当たっているアル・シャハルを含むアラビア半島の国々は緊張している。
「は、はい。燃料残量も少なく、エジプト空軍から万一に備えて救急・消火の待機要請が来ています。
我が国の領土内に不時着する確率も高く、付近住民の避難命令が先ほど発令されました。砂漠の中に落ちる・・・いえっ、不時着の可能性も高く・・・」
その時、顔面蒼白になった高級将校がシーク・イズミルの執務室に飛び込んできた。
「つ、追跡している軍用機に逆上した犯人が人質と乗務員の一部を外に放り出した模様です!犯人グループ内でも仲間割れが生じている模様っ!
ハイ・ジャック機は我が領土内に不時着します。シーク、出動命令を!追跡機が強硬手段に出る可能性もあります。国民の安全を・・・っ!」
「くそっ・・・・! ルカ、私が出る!用意を!
卑劣な犯人に我が国を傷つけ侮辱するような真似はさせん!」
シーク・イズミルは執務室を飛び出していった。
(無事でいてくれ!私はもうお前を失いたくないっ!)
>遠い約束作家様〜
ありがとうでつ。キャロルが無事なのはわかっているのに
大興奮っす。
これから、どんな救出劇が?ミタムンもルカも出てきてて更にうれしすぃぃ。
楽しみにしてまつ。
>328・・・ハゲシク ワロタ
>遠い約束作家様!
もう〜、予測もつかない展開にびっくりですだ〜!
早く続気読みたいっすよー!
遠い約束、またも怒涛の展開ですな。
これまでに無い展開の連続でいやはや驚きの連続です。
お約束のお時間にうpして下さるのもうれしい限り。
続きを楽しみにしています!
願い作家様の最終回も気になるー!
遠い約束作家様、怒濤の展開〜!
飽きさせない展開に目が離せません!
ホント、お約束のえっちぃとかないのにここまで引き込まれるとはっ。
ライアンの強引さがやっぱりメンフィス(笑)。
今週末は「たった一つの言葉」「遠い約束」「願い」
どれも目が離せません!作家様、ご光臨よろしく!
本当だ。オニはまだ出てないね、遠い約束。
いつ出てくるかな〜。
最近、オニありがスタンダードだからつい期待しちゃうよ。
>>328 こんにちは。毎日ここに来るのが楽しみですね♪
>337
本当に楽しみですよね。
遠い約束、本編もこれくらいスピーディで意外性と萌え性に満ちてればいいのに。
飽きさせないよねえ。
他の作家様の作品も私たちファンのツボをお約束通りついてくれるけど、
意外でセオリー破りの作品もイイ!
明日は週末だ〜!願い作家様、来て下さいよー!
>>324 32
キャロルに愛を囁く低く掠れた声がどんなに至福の時に誘っていったか、
王子の名を幾度も呼ぶ甘い呻き声が王子を精神的な充足が肉体的にも遥かに深い満足を得るのに不可欠だったことを
改めて知らせた濃密な時間を、二人は互いに分かち合い補って過ごした。
寝乱れてもつれ合う黄金の髪、疲労の色濃い艶やかな顔、白い肌に鮮やかに咲く幾つもの口付けの跡、
それは王子が夢にまで見た愛しい少女の姿だった。
深い満足感で心地のよい疲労が王子にも眠気を誘うが、腕の中にいる細く白い裸身をまだ手放す気にはなれず、
手は常に手放すまいと白く半透明な輝きを持つ肌から離れようとはしなかった。
口付ければ王子の要求に応える薔薇の唇も、たおやかに応える身体も何かもが王子を喜ばせた。
青く澄んだ瞳が満足そうに覗き込んでいる薄茶色の瞳と合った時、二人はどちらからともなく微笑み合った。
「どうしてもっと早く戻ってきてくれなかったの?私、毎日そのことばかり祈っていたの・・・。」
「可愛いことを申す・・・さて褒美はどうしようか?私をこのように喜ばせてくれるのはそなただけだ・・・。」
聡明なキャロルはそんな戯言では誤魔化せなかった、理由があってのことだと分かっているのだから。
「何かあったのでしょう?」
責めるわけでなく静かに問われると、王子の気持ちも変わり、右ひじをついた体勢に直し、眼の部分を空いた手で被った。
「そなたにも話しておかねばならぬ事ゆえ・・・。」
王子の苦笑した表情にキャロルの口許も引き締まった。
はぁ〜仕事終った!
満員電車に揺られて帰るぞ〜〜
お仕事乙〜
>たった一つ作家様。うpありがトン。
>>341 お疲れ様でございまする〜。
帰ってからどっぷり作家様たちの世界に浸ってくださいませ〜
もう、それはやめようや・・・
今の2chはブラウザ使ってる人がほとんどでしょう。丸見えで意味ないし。
で、万が一気づいてない人がいるとしても、
じゃあ、仕事終わったとかおつかれとか、一体何のスレ?
せめて見えるところにもスレ違いでないこと書きましょうよ・・・
それに夢中になってsage忘れてらっしゃる人もいるしさ・・・
33
「アイシスにしてやられたのだ・・・。」
その言葉に意外な名が出てきたことで驚愕した青い瞳が見開かれた。
王子はバビロニアの動向を探っていた、と話を始めた。
するとアイシス妃が療養と称して潮の海の神殿にもう数ヶ月に渡って潜んでいると聞き、
何かあると疑いを持った王子は調査を始めたのだ。
だがその件のみならずあちこちの間者と連携を取っていると、突然エジプトのメンフィス王に王子誕生の知らせが入った。
他に和子がいるわけでもなく、当然世継ぎの誕生にテーベでは沸きかえった。
だがメンフィスに側室らしい存在があったことも聞き及んでいない上、国母となる女性は王宮に仕える女官で産後の肥立ちも悪く早世したという。
負に落ちないことばかりだったが、そこでアイシスがバビロニアに嫁す頃には、
どのような手を使ったかは不明だがメンフィスの子を身ごもっていたのだと判明したのだ。
そして体調不良を理由に療養と称して潮の海の神殿に篭り男児を出産し、頃合を計ってその男児はテーベへと運ばれた、と。
エジプトの政を司るメンフィス、宰相、大臣はその赤子を見て王子と認めないわけにはいかなかった。
それほどまでに和子はメンフィス王に生き写しであったのだ。
血筋の面では申し分のないこの和子は直ちに体裁を取り繕われ、皇太子となるべく正当なる王家の世継ぎとしてネフェルマアトの名を賜り、
国中に公布した、というのが真相なのだ、と自嘲するように王子は語った。
「そなたにエジプトをやろうと思っていたのだが、世継ぎが出来てしまうと武力以外では乗り込み難い、
さてどうしようか?」
想像もつかなかった成り行きにキャロルは驚いて声も出なかった。
でもアイシスのメンフィスの子供をなんとしても産もうとした硬い決意に、悲しいものを感じることをとめられなかった。
自分は敵対する国の王妃でありながらも、たった一人炎のようにメンフィスを愛したアイシス。
分かり合うことの得ない美しいエジプト王家の姉弟をキャロルはただただ哀れだと思った。
願いの最終回気になるなァ。
終わるのはさみしいんだけどね。
先にキャロルを救出するのはライアンか、はたまたイズミルか!
はげしく気になりまする!!>遠い約束作家様
34
「エジプトなんていらないわ・・・。」
自然とキャロルの唇から言葉が零れた。
あんなにも帰りたいと恋焦がれたエジプトも、そしてメンフィスも今は何の感慨も呼び越さなかった。
自分でも不思議なほどそれは遥か彼方の存在のように思えた。
「そなたがエジプトに帰りたいと申すのなら奪ってしまえばよいと思っていたのだ、
ならばそなたもここで落ち着くであろうと・・・。」
困ったように微笑んだ王子の顔が、キャロルにも驚くほど子供のように可愛らしく感じるなど今まであったろうか?
そしてそれが王子が自分に対する愛情ゆえのことだったことが、どれほど嬉しく思われたことか!
「私、自分のいる場所をちゃんと見つけたわ、ここだもの。」
そう言ってキャロルは王子の胸に軽く頭を持たせかけた。王子の顔が歓喜の表情に取って代わる。
「他には何もいらない、あなたがいればいいわ、本当よ。」
細い腕がしっかりと王子の背中に廻された、それと同時に太く逞しい腕がキャロルの身体にも廻される。
「欲しいのは言葉だけよ、言ってくれる?」
王子の長く垂らした茶色の髪がキャロルの顔に影を作った、そして耳元で囁く低く響く愛しい声音。
「そなたを愛してる・・・。」
キャロルはこれから訪れることを予想して目を閉じた。
なんて自分は幸福なんだろうと思いながら・・・・。
fin
>344
意味わかりませんよ。
怒ってるのと、空気わるいのはわかりました。
えーっとすみません、
週末来れそうにないので、さっさと終わらせてしまいました。
こんなベタな話、大して面白くないのかもしれない・・・と作者は思っていましたが
読んでくださった方、レスを下さった方には
どうやってお礼を申し上げればよいやら分からないほど感謝しています。
本当にありがとうございました。
こんな拙い文にスペースを拝借したこと、感謝です。
遠い約束作家様、願い作家様、
いつも楽しみに読んでいます。
今後の展開が楽しみですごくわくわくしています。
続き待っています。
これでちょっと勝手に肩の荷を下ろして、
ロムラーに戻りますです。
ありがとうございました。
たった一つの言葉作家様〜大量うpアリガd!
すんごいたのしませてもらいました。
連載乙でした。
次回作での御光臨待ってます。
たったひとつの言葉作家様、おつかれさまでした!
願いも最終回らしいし寂しくなります。
メンフィスにせよ、王子にせよ、おそらくは心から愛し愛された
キャロルバンザイってことで次回作を激しく希望しますです。
>たった一つの言葉作家様。
お疲れさまでした(・∀・)。
まさか、今日で終了とは思いませんでした。
次回作、また読ませて下さいね。ありがd。
たったひとつも終わりなんだね。
ここの番外編の作家様たちのお話って本当にどれもファンのツボを心得た名作ばかりなのだけれど
それらの名シチュエーションや名セリフを拾ってまとめて下さったな…って感じ。
ほんと過去の作品の良いシーンが凝縮されてて、懐かしく楽しめました。
遠い約束がとても斬新な切り口な名作なら、たった一つはなつメロ的名作!
お疲れ様でした〜。
願い作家さまの最終回も気になります。
>350
344サンは怒ってるというより、小説の感想以外の話をされるのが
うっとうしいんだと思う。
私は2,3行ていどのROM同士のごあいさつはどってことないと思う。
仕事終って、帰り掛けに来てしまうぐらい、
作家様方の作品の続きが気になるんです
それぐらい好きなんですよ
家でじっくり読みなおしたら、感想も書くつもりでした
ロムしてて思うこと書きたくっても、書ける場がないんですよね、なかなか
兎にも角にも
>>344様すいませんでした
おつかれとレス下すった方々、巻きこんですいません!
はいはい!終了です。
わからない人にはわからないままで良いと思いますよ。
わざわざ、火の粉振りまく必要もないことでしょう。
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
(\(\_/) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< ハイ、すこし換気しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
ありがとうナフテラ様〜〜
マターリ願い作家様待ち〜
変な雰囲気がどこかへ去ってくれるといいのだけど。
漏れも願い作家さまをマターリと待つ身。
願いも最終回かー、何だか一気に連載陣減ったような。
前スレはラッシュだったね。スレ一月たたずに消費しちゃったもんな。
作家さん少ない間も、遠い約束が怒涛の展開で保たせてくれるかな。
たまに出る意見もよい!
たったひとつの言葉作家様、おつかれさまでした
あっという間に終わってしまって、さ、さみしぃーーー。
たったひとつの言葉作家様、お疲れさまでした!
昔の名作の萌えシーンやうっとりセリフの総集編っていうのは当たってますね!
でもとても上手にまとめられていたので、読んでいても安心できました。
お約束の幸せな展開が好きなんです。
次回作も書いて下さると嬉しいなっ!
何で357タソがあやまるよ?
悪いのは、作家様が複数いるなか、度が過ぎる
きっしょくわるいマンセーレス続けた香具師。
作家様潰しにかかってんのとおなじだよ、ありゃ。
現に連載さっさと終わらせたじゃん。
次に、むかつき半分あきれ半分のロムラーへ
気にいらないんだか、やめろと言った仕切屋。
>>364 おまい、まだいたのか・・・・・・・・!!
新種のイタタウィルスかとオモタ
>365
特定の作品に特別マンセーな読者さんもいるのでしょう。
それはそれで良いのではないですか?人の好み、ほめ方も人それぞれ。
熱烈なファンのせいで連載終わってしまったと考えるのもどうかと。
作品うpしてても全然レスがつかないより、作家様にとっては嬉しいのでは?
「まとめ」って言葉は大人じゃーん。
他作品で、マンセーレスがついても
これ程にはならなかったんじゃないかな?
過去の作品を一部引用しただけじゃないでしょ?
連載中の作品まで「まとめ」なくてもなぁ・・・・
>366タン・・。>364タンは・・
マンセーレスの香具師とは
あきらかに違うぞ!!
>370
禿胴。連載中の作品の要素にまで手を出すとは…((( ;゚Д゚)))
執筆中の作家様だって書きづらいだろな。
>>331 42
機内には煙がもうもうと立ちこめていた。全身が浮き上がるような、胃がひっくり返るような不愉快な感覚が、疲れ切って痺れるように痛むキャロルの身体を苛んだ。
耳が痛み、喉がいがらっぽく不愉快で、目からは止めどもなく涙が流れた。
(私も・・・もう死ぬんだわ。兄さん、ライアン兄さん。ごめんなさい、大好きなライアン兄さん・・・。もうじき地面に叩きつけられて・・・)
キャロルは祈るように首筋をまさぐった。ライアンに贈られたガーネットの首飾りが指先に触れる。
(兄さん・・・私が花嫁になるのを迷ったことを神様がお怒りになったのかしら?)
追跡してきた空軍機の威嚇射撃が機体のどこかに致命的な命中をしてしまったのだろう。コントロールのきかなくなったハイ・ジャック機はゆっくりと揺れながら地上に墜ちていく。
ハイ・ジャック犯人がアラビア語で怒鳴り立てている。もう正気ではないのだろう。
「使命」を果たし得ず、不本意にもテロリストの「正義」に殉じる羽目になった男の足許には殺されてしまった元・仲間や人質の死体が転がっている。
ついさっきまでキャロルともども励まし合っていた富裕な老人だった。他の人質や乗務員はどうしただろう?
(次は私が殺される・・・。神様、どうか死が速やかに訪れてますように。私はもう耐えられません。怖い、怖いのです・・・っ!)
ひきつったようにしゃくり上げたキャロルの気配に気付いた犯人が血走った目をあげた。彼は獣じみた声をあげると、キャロルに駆け寄り、拳銃の銃座で思い切り額を殴りつけた
43
うすい額の皮膚が破れ、血がキャロルの視界を奪う。男はキャロルの首から乱暴に首飾りをむしり取り、首を締め上げた。
圧倒的な悪意、絶望、暴力、狂気・・・。キャロルは自分にも死が訪れるのだと思った。
(もっと生きたかった。もっともっと・・・。兄さん、兄さん、大好きな兄さん。私、兄さんのお嫁さんになれません。私は兄さんを裏切ってシーク・イズミルとのことを秘密にしました。
大好きな兄さん、ごめんなさい。私、いつかきっと兄さんを裏切っていた。兄さん以外の人とキスして・・・ごめん・・・なさい・・・)
機体が不意にぐらりと傾いた。テロリストは驚いたようにキャロルから離れた。
(シーク・イズミル!)
キャロルの心が叫んだ。まだ始まってもいなかった恋。こんな時になってどうして全てを悟るのだろう。
自分が本当に好きだったのは・・・・・・・。
そしてキャロルを乗せた機体は大きな衝撃と共に砂漠に不時着したのだった・・・。
煙を引きながらアル・シャハルの砂漠に胴体着陸した飛行機は、柔らかな砂地に触れた途端、もう耐えきれないと言うように胴体中央あたりからまっぷたつになった。
空をも震わす大きな衝撃、救護活動のために待機していた人々をねじ伏せる大音響。巻き上がる砂。
すぐに待機していた消防隊が貴重な水を惜しみなく飛行機にかけた。火が出ぬように。誰かが・・・その生存をひたすらに祈られている誰かが閉じ込められている飛行機が炎の餌食にならぬよう。
それと同時に特殊な防護服に身を固めた一隊が無謀とも言えるスピードで危険な飛行機に向かって突入した。
先頭にいるのはこのアル・シャハルの世継ぎ、シーク・イズミルだった。
44
―カイロ発ニューヨーク行きの・・・航空274便がハイ・ジャックされた事件の続報です。
当該機は事件発生・・時間後の・・日、午前・・時にアラビア半島南東部に位置するアル・シャハル王国領内に不時着しました。
待機していたアル・シャハル王国軍の働きで飛行機は炎上は免れ、機内に残されていた人々は速やかに病院に運ばれました。
ただし生存者の有無などは今のところ不明であり、各国大使館が確認を急いでいます。
飛行機墜落の直接の原因は追跡機の威嚇射撃による機体破損と考えられます。
墜落した飛行機の進路では、飛行機からの落下物、漏れた燃料による死傷者等の被害も出ており、アラブ諸国では追跡機の判断責任を問う声が早くも出ています。
アル・シャハル王国内でも救護活動に当たった人々、及び飛行機の進路上に居住していた市民に直接、間接の被害が出ている模様で、同王国の摂政、シーク・イズミルが抗議声明を発表。
外国人の受け入れに慎重な同国では、国内保守派を中心に外国人排斥の声が早くも高まり、政府は同国内に居住する外国人に対して外出を控えるよう呼びかけ警備を強めています。
「キャロル嬢っ、どこだ!」
最初に飛行機の中に飛び込んだシーク・イズミルは立ちこめる煙に顔をしかめながら暗い機内に視線を彷徨わせた。
煙の中に血の匂いと硝煙の匂いが混じる。恐怖と苦痛の匂いだ。
「シーク!ここは危険です、どうか外に!後は我々にお任せ下さい!あなたのような立場にある方のなさることではありませんぞっ」
忠実な指揮官の怒声は、シークの氷の視線に封じられた。
(キャロル、キャロル・・・! 私はまたお前を失うのか? お前はまた私の前からいなくなってしまうのか?)
慎重に足を踏み出すごとに倒れた肢体に触る。煙を透かして不自然に体を折り曲げて動かない人間の姿が見える。
そして。
シークはテロリストらしい男の死体のすぐ側で探し求めていた少女を見つける。少女は額と口と血を流し、ぴくりともせずに目を瞑っていた。
遠い約束作家様、あなたのおかげでまたナフテラ・モードに戻れます。
これから舞台はアル・シャハルに移って、現代版イズミルとらぶらぶかな?
ワーイ、遠い約束キタ――――――!!
ライアンもすぐに駆けつけるんでしょうね!
そんでもって、先に王子がキャロルを見つけたので怒るんだろーな。
ライアンも王子も好きだから辛いわ、ワタシ。
きゃー!
次回の遠い約束は王子×ライアンね。
楽しみ!!
たった一つの言葉作家様
連載お疲れ様でした&ありがとうございました。
毎回ドキドキしながら読んでました!
もうマンセー香具師ウンザリ。
最初の方から妙なレスが不自然だとは思っていたけど…
まさか自○○演?だとしたら哂うしかないな。
『宮殿の城壁をよじ登った侵入者の投石によりナイルの姫が怪我を負った』
(姫の容態は…!)報せを受けて自分の宮殿へと急ぐヒッタイト王子、イズミル。
「姫!大丈夫か?」
イズミルがキャロルの部屋に入ると、キャロルは頭にできた”たんこぶ”を冷やしている最中だった。
「イズミル王子、申し訳ございませぬ。まさかこんなところを登ってくる者がおるとは…」
ムーラが済まなそうに口を開いた。
「『なぜお返事を下さらぬ!』と叫び声が聞こえたと思ったら、窓の外にユクタス将軍と思われる髪の先が一瞬見えたのですが、突然のことにて…そのまま」
「逃がしたと申すかっー!衛兵は何をしていたのだ、ルカ!」
「石だと思った書簡がナイルの姫様に命中し、それに気を取られている隙に…ヒラヒラと髪をなびかせて。我らの落ち度にございます。」
平伏したままのルカも主にひたすら許しを請う。
ミノアのミノス王からヒッタイトのイズミル王子の妃に宛てた書簡の数は尋常ではなかった。
このような書簡など見せられぬ!イズミルはすべてを倉庫に厳重に保管するように命じていたのに。
「私宛の書簡をどうして見せてくれなかったの?お返事はきちんとしなければならないわ!」
キャロルは”たんこぶ”をさすりながらイズミルに抗議した。
「本当にそなた、あれを読みたいと申すか…では仕方ない。」
イズミルはこれまでの書簡をすべて運ばせるように命じたのだが−
>>380 『私も元気になり身体を鍛える毎日です。どうか今一度ミノアにお越し下さい。まずは隣国の友人として新たに交流を深めましょう。。。』
『エジプトのファラオは寛容にも私の元へナイルの姫を遣してくださったのに。。。』
『姫君を束縛して。。。ヒッタイトのイズミル王子は、ご器量が狭いのではないですか?辛い思いはされていませんか?心配しています。』
『私は姫君の過去は一切気にしません。詳しいお話はミノアにおいで下さった際にあの時の神殿にて。』
『なぜお返事を下さらないのですか?姫君は再婚、再々婚というお身の上を恥じていらっしゃるのですか?私は寛容ですから心配しないで下さい。』
etc.
そして今日ユクタスによって届けられた、いや投げ込まれた書簡の内容が
『此度お返事をいただけない場合は、かつてのアルゴン王のように、ラガシュ王のように実力行使をしたいとまで思いつめています。
イズミル王子も拉致監禁を繰り返して姫君を妃となさいました。私だって、私だってやればできるんです。。。』
「火の島の噴火のことがあるから、ミノアは確かに心配なのよ…でもこうなってしまっては…もうお返事なんて出来ないわ。」
優しいキャロルもすべてに目を通した後は、だんだんエスカレートする内容に閉口していた。
>>381 イズミルはその言葉に閃いた。「おお、そのことを書けばよいではないか。」
「え?だって最初の頃なら火の島のことも相応しい返事だけど…
王子が隠すからこんなことになってしまったんじゃない。」
「だから私が文面を考えてやろう…よいか?そのまま書き写せ。」
「ええ…」
『ミノス王へ ミノス王のお気持はありがたく思いますが、今は私のことよりも火の島の様子にご注意下さい。
大きな災いが起きてからでは遅いのです。』
「ホントにこれでいいの?」キャロルは幾分疑わしげにイズミルを見る。
「いいのだ。それだけで十分わかるであろう。」
(ミノス王ではなく、諸外国がわかればそれでいいのだ)
イズミルは早速ミノアに向けて書簡を送らせた。
>>382 ミノアのミノス王の元に、初めてキャロルからの返事が届いた数日後のこと。
「火の島が!
火の島が天に向って炎と煙を吐き、ミノアは大被害を蒙ったとのことでございます!」
諸国に衝撃が走った。
ミノス王、皇太后他、多数の行方がわからぬままミノア王国は大混乱であった。
「ああ…ミノス王にもあれ程ご忠告申し上げたのに…」
キャロルは青ざめた顔で報告を聞き、多くの人が命を落としたことに心を痛めた。
そしてキャロルの知らないところでは−
『ミノアのミノス王がナイルの姫を奪うと宣言した途端に火の島が炎を上げたとか。』
『いやいや、ナイルの姫は前から火の島のことを予言していた。』
『ミノス王の大胆な宣言に神がお怒りだったのではないか?』
『これは…おそらくナイルの姫の意思に逆らうと神の逆鱗に触れるということであろうな』
ヒッタイト人は巧みに噂を撒き散らす。
何しろ、キャロルにはアッシリア城崩壊、バビロニアの塔爆破の前科がある。
その結果、『ナイルの姫を力で奪わんとするものには必ず災いが降りかかる』との噂が実しやかに囁かれるようになった。
その後、ナイルの姫を奪おうという勇気のある国王は一人も現れなかった。
古代の諸国とイズミル王子の心に平和が戻ったのだ。
めでたしめでたし。
うししっお帰りなさい作家様〜。
それは天誅というものですね。
ありがd。
ミノア編、楽しかったです。
ミノア編コミカルで面白かった。キャロル、バツイチなのね。
今宵願い作家様の最終回うpあるかな〜
気になってウロウロ徘徊してるんですが・・・。
>379
自作自演ってなんの事よ?何が言いたいの?
願い作家様、最終回さみしいけど読みたいでつ。
週末が来るのを待ってました。
どうか、ご降臨を〜!
遠い約束様。
このままキャロルは死亡と言うことにされて、シークイズミルのもとに軟禁
・・なんて展開はまだ早いか?
| |
| | ∧
|_|ω・)
|柱|⊂ノ
| ̄|u'
""""""""""
コソーリ
まだ、半分も出来てません…
ゴメンナサイ!
>願い作家様、カワイイ・・
期待しつつもマターリ待ちまつ。
おやすみなさーい。
>388
それもいいがやはりライアンとの対決が見たいよーん!
遠い約束は斬新でいいわ。続き待ち遠しい〜
そうそうライアンと王子の一騎打ち見せて〜!!
遠い約束はほんとに斬新だよね。
王家の二次小説だという事すらたまに忘れてしまいそうになる・・・。
願い作家様、(読みたいけど)あせらず待ってます。
願いも独特のムードがあって浸ってしまいます。
出だしの頃なんて王子悪役みたいだったし、こちらも新鮮だった。
でも終わっちゃうのね?!
∩∩
| | | | ( ̄ ̄ ̄ ̄)
(*・x・)(まだかな)
( つつ  ̄ ̄ ̄
(_⌒ヽ
⌒Y⌒ ,)ノ `J
チョトねむいな∩ ∩
| | | |
( ・x・) )) ファサァ
/つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ
ノ ) \ ))
(__丿\ヽ :: ノ:::: )
丿 ,:' ))
(( (___,,.;:-−''"´``'‐'
∩∩
| | | | もう寝るよオヤスミー
( ・x・)
/ _ノ⌒⌒⌒`〜、_
( ̄⊂人 //⌒ ノ ヽ)
⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃
作家さんはイズミル王子ファンなのですかしら?
イズミル王子が王子で生まれ変わっているのなら。
ライアン=メンフィスでなくて、メンフィスが王としてでてくるのですか?
ライアンがメンフィスだとしたら、ちと差がありすぎていやんです。
そんなこと言われても・・・。
大多数は今のストーリーで大喜びしてるんだから、ロムラーがとやかく
言わなくてもいいんじゃないの?作者様がライアン=メンフィスって明記した訳でも
ないしね。
気に入らなければスルー汁。
>393
カワイイ!
…「願い」完結編なのですが---
願いの王子は思いっきり幸せとは言えません--
ラストを決めてから、それに向って書いてきましたが
最後は幸せに…なるだろうと、痛い話に付きあって下さった方…
何よりも、ヒッタイト栄光の冠に「鬼畜」「サド」「絶倫」…色々なモノを被らせてしまった責任もありと…
なので-----願いのラストを選択して頂こう---と思います。
そんな訳で、当初よりかなり長くなってしまいました。
それでは、「願い」そのままで良いという乙女の方は→「王子の傷ついた左手」を取って下さい。
最後は幸せにと、思われる乙女の方は→「王子の右手」を取って下さい。
最後になりましたが、拙い誤字脱字だらけの鬼畜王子を読んで下さった方、忍耐でスルーして下さった方々
ありがとうございました!!
王子の傷ついた左手を取る--
-1-
テーベの郊外にハサンが手配してくれた家に、供を最小限に分けて王子・ムーラ・将軍・ルカ---そしてキャロルとの生活
庶民の生活…王宮で何不自由する事もなかった王子には、さぞ不便だろうと思っていたキャロルだったが---
王子は、とても自然で---むしろ楽しんでいるようにも思える程だった。
市に買い物に行ったり、店の者に気軽に声を掛けたりしながら---珍しそうに、あれこれと説明したり聞いたりしている
「やはり、テーベの都は交易が盛んだな、ここがどの国なのかも分からない程に…」
何気ない会話にも感じる、(王子は王になるべく生まれた人なのね)と----
借りた家の庭には、小さな葡萄棚があった、そのの下で、二人は賭けをする…
「熟れているか、熟れていないか」子供のようにはしゃぐ王子---
二人で同時に、口に入れた---王子が顔を歪めて吐き出した。
「姫!吐き出せ。まだ熟していない」と慌てる王子…
「もう食べてしまったわ」笑いながら答えるキャロルに
「姫は…もっと傲慢に我侭になった方がいいぞ」怒った顔をみせた---穏やかな時間が流れている
が、キャロルの心中は平穏とは、およそ程遠い所でもがき苦しんでいた----
乾いた風の匂い…同じ空の下にメンフィスが、同じ暑さを感じ、同じ空気を吸っている…
懐かしい匂い…(私の幸せは…全てここにあった)
エジプトは…メンフィスとの思い出に繋がってしまうことが多すぎた…
ここに、迷い込み、求められ、拒絶し…いつのまにか心の中に芽生えていた感情---
もう…会うこともない…命よりも愛しかったメンフィス…
罵られ、蔑まれ、傷つきたい…そうすれば今ほどに苦しむことはないのに…
砂漠で声を聞いた時、頭の中では理解してたはずなのに…耳がメンフィスの吐息さえも聞き逃すまいと
無意識のうちに出た行動----(まだ…忘れることができない)断ち切れない想いを持て余していた。
-2-
そんなキャロルに、追い討ちをかけるように、民の声がじかに、耳に入ってくる-----
--「王妃様は、まだお戻りにならないのかしら?」
--「まさか、ナイルにお帰りになったのかしら?」
--「いやいや、そんな事はあるわけないじゃないか、王妃様はエジプトの守り神、必ずお戻りになるさ」
--「神殿に届け物をして、王妃様のご無事をお祈りしてきたわ」
--「王宮の兵士に聞いたのよ、メンフィス様はひどく憔悴してて夜も余りお休みにならないようだって」
--「私も、見たわ、毎日あちこちと馬を駆られて…王妃様を探しているのを」
--「お可愛そうに、どんなにかご心痛だろう」
--「王妃様の無事を祈ろう、王の元に戻っていただけるように…」
--「なぁに、私の息子も先の戦で戦死したが…きっと姫様をあの世から守っているはずさ、私は息子を信じているからね」
テーベ中が自分の身を案じ、帰国を待っている…
自分に寄せる信頼と願望がキャロルに王妃としての身分が、今は重い鎖となって自分を縛り付ける。
エジプトに来てから王子は、寝所こそは共にしているがキャロルを抱こうとはしない…
キャロルを気遣ってなのかもしれない…でも…強く抱かれて忘れさせて欲しい時もあった。
愛とはよべないのかも?…でも、命を掛けてエジプトへ自分の責務すら犠牲にしてくれた哀しく、優しい人---
王子の気持ちを意識して行動してしまう---
まるで、『太陽と月』正反対の二人----
いつでも、真っ直ぐに自分の情熱を迷う事なくぶつけてくる---光を浴びせ、自ら光り続ける太陽
傍らで眠る王子は…満ちては欠ける月のように様々な変化を見せる…時に恐ろしい迄に激しく怒り、哀しみ、少年のような
瑞々しいまでの優しさ…
太陽に傍に居れば?…月を想い出してしまう---太陽には近づく事も出来ないのに…太陽を囲む民が太陽へと切望する…
---太陽と月は交わる事はない、決して!
私は…私は、王子とメンフィスに優劣なんかつけたくない…
いっそ…二人の前から消えてしまおうか?
大声で叫び出したい衝動にかられる、(…本気の心で向き合うと誓ったのに…でも…選べない…)
-3-
王子は、眠ってはいなかった…
キャロルが、何度も寝返りをうち…時に声を押し殺し、泣いているのを背中越しに感じていた。
(…抱きしめたい!躰を震わす心ごと抱きとめ鎮めてやりたいのに…)
…そうして、明け方に浅い眠りにつくキャロルを確認してから、ようやく目を閉じる---そんな毎日…
何度も胸の中で抱きしめ、その涙を胸の中で吸い取ってやりたかったか---
唇から血が流れる程に奥歯をかみ締め…その耐え難い衝動をギリギリで抑え込んでいた---
---王子の賭け---
(一人の孤独は耐えられる---だが、心より望んだ愛する姫といる…二人でいる孤独感には、もう耐えられない…
心を通わせたい…このどうしようもない孤独感から解放される為に…今は見守ろう、姫自身が私を選んでくれるのを…)
限界だった…愛されている自信があれば----それが欲しい!どうしてもどうしても欲しかった。
しかし、極限のストレスは、キャロルの身に深刻な事態を招いていた。
「姫…そなた痩せたな」心配げにキャロルの痩せた頬を優しく触れる…
(王子に心配をかけられない…)
「そんな事ないわ、ほらね」目の前の食事を無理矢理に口に入れる---
王子の目の前で、必死に吐き気を我慢するが、その後全て吐いてしまう…その繰り返し---
キャロルは食事を受けつけられなくなっていた…
やがて---先に身支度を済ませ、いつまでも起きてこないキャロルに王子が呼びかける。
「今日は随分と寝坊だ…ひ、姫?」いつになく取り乱した王子の声に、ムーラ達が駆けつける。
「姫君っ、姫君」「医師を…医師と薬師をすぐに呼べ」必死にキャロルの名を呼びつづける…
「………どうしたの?そんなに大きな声を出して…」弱々しい声で返事をして、握られた手を握り返すが…
その力は余りにも頼りない---そして、再び意識を失った---
-4-
「あっ…王子…」キャロルは湖の横にある木にもたれて、湖面を見つめている王子に駆け寄ろうとする。
けれど、体がピクリとも動かない?!
後ろを振り返ると、傷を負った沢山の兵士が泣きながら、キャロルに縋っていた---
王子の方に視線を戻すと、ミタムン王女がキャロルに向って膝を折り、胸で両手を組みキャロルに祈っている---
(…一歩も動けない…)ミタムン王女と兵士を交互に見ながら、キャロルは大声で叫んでいた。
「姫っ、姫!夢だ!姫、目覚めよ」(---王子の声…心配している…私は平気よ…早く目を開けて安心させたい…)
目をあける行為が、とても難しい行為に感じるた…ようやく王子の顔をみる事ができた---
「姫…怖い夢をみたのか?…私が傍にいる、心配はいらぬ」(…ゆめ…夢だけど、あれは夢じゃない--私自身)
「---ずっと…手を握ってくれてたのね」微笑んだキャロルの額の汗を、そっと拭いてやる王子---
「……ひどく衰弱してますな……」見立てを終えた医師が王子を振り返る。
「それで、命に関わる事はないであろうな?」医師の胸元を掴み、急き立てるように質問する王子。
「お気持ちはわかりますが…このままの状態が続き…いずれは水物さえも受けつけますまい…」王子の剣幕にたじろぎ
ながら、ようやく言い終える医師---
「死ぬ---と?」---王子と視線を合わさずに小さく頷く。
どの位そうしていただろう…
「王子、少しお休み下さいませ私が代わりましょう」ためらいがちに言葉を掛けた。
「…よい…目覚めた時に私がいなければ…不安になるであろう?」王子はキャロルから一時も目を離さない---
「王子…これをご覧下さい」「なんだ」ちらっとムーラを見る「…それは…何だ?」
ムーラは手にしていた布を王子に手渡し「姫君が…お体に…巻いておりましたものです」医師がキャロルの体を診る前に
キャロルが自分ですると言い張って譲らなかった、体と髪に塗っていた染料を確認しようとして---
(姫君の白い肌が見つかれば…すぐに兵士たちがやってくる)…衣装を脱がしたムーラは幾重にも、巻きつけていた薄絹…
それを剥ぐと、やせ細った…キャロルの体を見て言葉を失った---
「何てことだ!!」(私のせいだ…気付けたのに…意地を張らず、我慢などせずに、この胸に抱いていれば…)
「守っているつもりで…笑止千万---滑稽だな私は…」
ムーラが今にも泣き出しそうな顔を王子に向け「王子、すぐにヒッタイトへ姫君と共に帰りましょう」
ゆっくりと頭を左右に振り「……無理だな---旅は…死出の旅に繋がる…」
「…王子?では…?」---王子はそれ以上ムーラの問いに答えることはなかった。
-5-
「---王子…寝てないのね…」時折目を覚まし、王子を気遣うキャロルに
「私は姫の寝顔を…ただ見ていたいだけなのだ」キャロルの赤い髪に口づける。
「寝顔なんて…見ないで」恥かしそうに顔をそむける「では、どの顔なら見ていてもよいのだ?」二人顔を見合わせ笑う---
「…あの…お願いがあるの…」おずおずと、言いにくそうに問いかけ、王子の反応を伺う…
「姫からの頼み事とは初めてだな…何だ?申せ、そなたの願いならどんなことでも叶えると…何度も言っているだろう」
初めての願い事に…嬉しさを隠そうともしない王子の顔---見つめ合っていた視線を外し…
「…あのね…もし、もしも私が死んだら…」キャロルの言葉を王子が遮った。
「何という…バカなことを…」「お願い…最後まで聞いて」「………」キャロルの言葉の力に無言で頷く王子に
「怒らないで…人は…いつかは死ぬわ…もしもの話よ 」
「私の最期の時には…この赤い髪のまま…ヒッタイトで眠りたい…」(私は…もう…)
「---それは、私と共に…私の腕の中で眠る事を選んでくれるということ--か?」青い目を見つめる…
「ええ…王子が…とても好きよ…」慈愛に満ちた青い瞳で、王子を見つめ返した---
「……私は…この場で死んでも悔いはない…」キャロルを抱きしめる…折れてしまいそうな細いきゃしゃな躰を---
その抱きしめている腕は、小刻みに震えていた---
「死」には「死」を持って償うしかない…王子の傍で命を終える…それが王子の為にも…エジプトの為にも最良の選択だと…
エジプトの為は、ひいてはメンフィスの為にもなる事だと…
それが自分に出来る全てだと、それしか道はないのだと-----
「王子…抱いて」痩せて細くなった腕を王子の首にまわす---(姫は…死期を感じとっているのか?)
「…姫…そんな事より今は一日も早く元気になってくれ…頼む…から…」(私の腕の中で…死ぬつもりなのか…)
---人前で涙することなど無かった王子の目から、幾筋もの涙がつたっていく---
その涙をキャロルの細い指が拭ってゆく「…子供みたい…」そう言うキャロルも…また、泣いていた。
「…そうだ…ミタムン王女の…寝台の下を…」言い終える前に夢幻のひずみに落ちてゆく---
「そなたを決して死なせはしない…生きていてくれるだけでいい、今は…それしか望まぬ…」
キャロルの頬に、次々と落ちていく涙----
「心が砕けても、我が命と引き替えにしてでも---決して死なさぬ…死ぬ事など許さぬ…」
-6-
「ああ…この方がいい…」しっかり抱きしめていなければ、湯から浮かびあがってしまいそうに軽くなった躰を
しっかりと腕に抱き、香油を浸らせた布で、丁寧にゆっくりとキャロルの躰の染料を落としていった。
「…この白い肌に…初めて触れた喜びは、いまも心に熱く刻まれている…」
「黄金の髪…きれいだ…この手触り…いつまでも触れていたかった」キャロルの体に別れの挨拶をしているように…
手に記憶させてゆくように---シャラシャラと優しい音色が湯殿に響いている---
衣装を着せ終えると、キャロルの衣装箱にしまってある、守り刀と…今は変色して茶色くなっている布の包みをほどき
『王のしるし』を取り出し…一瞬の躊躇の後、キャロルの首にかけた。
守り刀を抜き、キャロルの髪を少し切り、布でくるみ大事そうに懐深くにしまい込み替わりに小さな小瓶を取り出し
…守り刀を自分の髪の中に戻した---
そうして…小さな瓶に唇をつけ口に含み…少しづつキャロルの唇へ流し込み顎をあげさせ…確実に飲み干させ終えると…
(…もう一度だけ…抱きしめさせてくれ…)キャロルの命の温かさを愛しむように抱きしめる。
「ルカ!…後は…頼むぞ」「はい……宜しいのですか?」「…ああ……後は、姫の心が決めることだ…」
ルカが王子と同じ瓶を懐から出すと「王子、これを…」ルカが差し出した瓶は、王子がたった今キャロルの口に含ませた
ものと…同じもの。どうしてルカが持っているのかと一瞬驚いた顔をするが…
「私には要らぬもの…(…ヒッタイトでの日々を忘れる事など---)」まるで迷子の子供が不安に怯え--泣いているように映る…
(…王子…)ルカは、これ以上王子を見れずに、視線を床に落とす。
---ヒッタイトの城で商人達を集めた広間で、ハサンと再会した、あの日…ルカに声を掛けてきた女から買った小瓶……
「何だか、楽しそうな話だこと」ハサンとの会話を聞いていたらしかった…その怪しげな女に呼び止められ、
忌々しげに軽く舌打ちをし、構わずに立ち去ろうとしたルカだったが---
「残念だね、生きていれば、一度は欲しいと願うものなのに」…ルカの心の何かがその場に留まらせる。
「話をきかせてくれ」「ほほほ、よいぞえ」-----「ほれ薬、しびれ薬、色々とあるけどねぇ『レテ』これはね
嫁入り前の親には特に必要とされるえ 心が一番に強く求めている者を忘れてしまうのえ、人の強すぎる想いは不幸の種…
二番目位がちょうどいいのだえ」その後の説明は、もうルカの耳には入ってなかった---
(忘れられる?…)ルカは…自分の為にそれを買い求めていた。
---荷馬車にキャロルを乗せナイルへと急ぐ---
ナイルにキャロルの身を浮かばせ…気付いてくれるのを待つ…やがて、キャロルが目覚めて…
「姫!」「…ルカ…」ナイルから抱き上げ、やっと見つけたとばかりに声を掛けるルカ---
「随分とお探ししました…」「えっ?!…」まだぼんやりとしているキャロルに
「姫、皆が心配しております…早く戻りましょう」(姫は誰の元へ----)
-7-
「…ええ…メンフィス…心配させているのね…」---自分がナイルにいるという事は
(現代へ戻ってたの?…覚えてない…)思い出そうとするが、意識を集中する事ができない---
「え??…メンフィス王の元へ?…戻られるのですか?」動揺を隠せないルカがキャロルに確認するように問いかける。
「……」どうしてそんな事を聞くのか、不思議そうな顔をしてルカを見上げ…
「おかしなルカ…私はメンフィスの…妻よ…でも私…どうしてナイルに…」こめかみを押さえ思い出そうとするが…
「姫!!しっかりなさって下さい」ルカの腕の中で…再び意識を失う、自分の腕の中でまるで眠っているようなキャロル…
その顔を見下ろすルカの唇が一瞬…キャロルの唇を掠める---
「…申し訳ありません…」心の奥、名も無き想いに永遠に封じ込める決別の儀式のように---
…キャロルを腕に抱き、エジプト王宮を目指し、キャロルを気遣いながら駆けてゆく----
-----キャロルの宮殿では、医師と薬師達がぐるりとキャロルの寝台を取り囲み、懸命に忙しく立ち動いていた…
少し離れた所から、その様子を見守るルカの元へ、医師達の間からメンフィスが足早に自分へと近づいてくる。
両手をつき頭を低くする。
「ルカ、よく連れ帰ってくれた、礼を言うぞ」「いえ…もっと早くにお連れ出来ずに申し訳ありません」
「何を言う、賊の手に落ちなかった上に、こうして連れ帰ってきてくれたではないか」心から安堵したメンフィスの顔
「それで、逃げている途中にキャロルとはぐれて、探し続けてナイルで見つけたのだな?」
王宮に戻り、ルカは事の経緯を簡単に説明していた。
「はい…もしやナイルの女神の元へお帰りになられたのではないかと…」(王は何か、気付いたのか?)緊張するルカに
「…この二月近く、ナイルもくまなく探しておったに誰も見つけられなかったものを……キャロルの信頼厚いそなたに、
女神が察して帰してくれたのかも知れぬな…」腕を組み感慨深げに頷くメンフィス…
「キャロルの病平癒と共に、感謝の祈りを捧げなくてはな…ルカ、そなたも下がって休むがよい」
マントを翻し、キャロルの傍へと戻っていく後姿に安堵の溜息を付いた。
(王子…今頃…どうしておられるのか…姫は王子を…王子こそを選ばれたのに)
---ルカが小瓶を持ち立ち去った後に、残った小瓶を片付けながら、怪しげなる薬売りの女が、
「一時的なものだけどねぇ、思い出す頃には情に流され、しがらみの中…人の心の顔は一つじゃないのでねぇ
自分さえも気付かない顔も心も沢山持っているえ、その中でもがくのも良し、自分で忘れるのも良し…
さてどのような顔を引き出すのか…心に憂いを持つ者にしか売らぬのえ」その呟きは誰にも聞かれる事はなかった---
-8-
--「王妃さまが、お庭に出られるまでに回復なさったらしいわ」
--「わしらの祈りが通じたのだな」得意そうに喋っている老人…テーベ中、キャロルの噂で持ちきりだった。
日に何度も人の多く集まる場所へと足を運び、キャロルの様子を人の噂の中で探っていた王子。
(姫…良かった…)国中がキャロルの帰国と、病気平癒で湧き返る中…ひっそりとエジプトを出る隊商一行---
(賭けに…勝つ事は勝ったのだ…)姫は、一番にと望む者の元には戻らない…
あの日…戻ってきて傍から放したくない気持ちと---
キャロルが戻れば、メンフィスへの想いの深さに苦しむであろう自分---
メンフィスの事は忘れても、エジプトの守護神である事は忘れてないかもしれない…
キャロルをエジプトへと縛り付けているものは、メンフィスだけではない事は王子はわかっていた。
…エジプト人がキャロルに寄せる信頼と、戦死した兵士達への強い罪悪感…
それら全てを忘れてくれなかったら?キャロルは必ずや、また苦む事になる…
「これで---良かったのだ」誰にともなく呟く…
ならば、民にも納得させ姫を得る為には…メンフィスを亡き者にし、エジプトを手中に収めてみせる。
民にも納得せざる得ない状況を作りだせばいい----
「私は、近い将来必ずやエジプトを手に入れるぞ」兵士達から一斉に歓声があがった。
(必ず、もう一度私を愛させるぞ、その時は決して忘れさせはしない!!)
その後、ヒッタイトに戻った王子の元へ…白い使いの鳩が飛んできた-----
キャロルの為に延期していた、アイシスの婚儀に出席したキャロルが…嫉妬に狂ったアイシスに死の海に突き落とされ
流産したと、ルカからの知らせ---
「…和子は……私の和子だったかも…」(…私と姫との和子…そう思いたい…)その存在にも気付かず、逝かせてしまった
「…父を…守ってやれなかった父を許してくれ…」神に召された和子に侘びる---
腕に抱いてやることすら出来なかった…不憫な和子を思い…涙が後から後から流れていく。
「---涙を流す事しか出来ない無力な父を…許してくれ」天に向って両手を伸ばし---
「イシュタル…どうか和子に安らぎを……そして…再び…我が元に戻らせたまへ…」心を込めて願い懸命に祈りを捧げた---
「アイシス、決して決して許しはしない!」アイシスへの復讐を心に固く誓う王子-----
---その頃、エジプトでは失意の中…泣きつかれて眠ってしまったキャロルは、不思議な夢をみていた。
思い出しそうで思い出せない…だが、流産の悲しみと連動している感覚…深い哀しみと同時に、深い慈愛に満ちた雨のように
心に癒しをもたらしてもいた---その夢はシャラシャラという音を伴いキャロルを深い眠りへと誘っていくのだった---
---それ以来キャロルは幾重にも巻かれた腕輪を、好んで身に付けるようになっていた。
時折、自分の腕輪を揺すりながら……ぼんやりと物思いに耽っていた。
「何か、とても大事なことを忘れている気がする……」心の刻印が疼いていた…
おしまい
コミック27巻の、イズミル王子がキャロルの妊娠を知って、それがイズミル王子の子供だったらと…
妄想してのお話でした。最後まで読んでくださいまして有難うございました。
王子の右手を取る
-1-
ハサンが下賜されたメンフィスの指輪は、雑事に煩わせる事無く難なく一行をエジプト入りさせた。
郊外に家を借り、ルカ、ムーラ、将軍…側近のみを傍に置いてのエジプトでの日々。
「さぁ姫、今日はどこに参ろう?」
キャロルはベールを付け、商人姿の王子と共に自由にテーベの都をあちこちと散策に出かけていた。
テーベの西にある王家の谷やカルナック神殿を見に行ったりと…
「えっと…ルクソール宮殿に行ってみたい…」(メンフィスとの婚儀を挙げた場所…知っているの?)
王子の反応を伺う様に答える-----
「仰せのままに」キャロルに向ける笑顔には、含む心など見当たらない…澱む事なく答える王子。
…砂漠でメンフィスの声を聞いた時、自分の心と体が別物のように暴走してしまった…
あの時、王子が呟いた言葉「心とは…厄介なものだな」その言葉を思い出す。
(王子は、どうして何も言わないの?)自分で答えを見つけると誓ったけれど…
…霧の中を手探りで歩いているような状態のまま---誰かに強く背中を押されたいと思う脆い自分も感じていた。
やがて、ルクソール宮殿に着くと、今は立ち入る事も出来ない。
旅の者が見物している…その者達と何ら変わる事のない…
王妃として、祭儀をメンフィスと一緒に執り行った---
--あの日の、民の歓声、熱気…今も忘れずに胸の中にある…
テーベの都は、余りにもメンフィスとの思い出が多すぎる…
-2-
乾いた風の匂い…同じ空の下にメンフィスが、同じ暑さを感じ、同じ空気を吸っている…
懐かしいナイルの匂い…(私の幸せは…全てここにあった)
ここに、引きずり込まれ、求められ、拒絶し…いつのまにか心の中に芽生えていた感情---
もう…会うこともない…命よりも愛しかったメンフィス…
そんなキャロルに、追い討ちをかけるように、民の声がじかに、耳に入ってくる-----
--「王妃様は、まだお戻りにならないのかしら?」
--「まさか、ナイルにお帰りになったのかしら?」
--「いやいや、そんな事はあるわけないじゃないか、王妃様はエジプトの守り神、必ずお戻りになるさ」
--「神殿に届け物をして、王妃様のご無事をお祈りしてきたわ」
--「王宮の兵士に聞いたのよ、メンフィス様はひどく憔悴してて夜も余りお休みにならないようだって」
--「私も、見たわ、毎日あちこちと馬を駆られて…王妃様を探しているのを」
--「お可愛そうに、どんなにかご心痛だろう」
--「王妃様の無事を祈ろう、王の元に戻っていただけるように…」
--「なぁに、私の息子も先の戦で戦死したが…きっと姫様をあの世から守っているはずさ、私は息子を信じているからね」
テーベ中が自分の身を案じ、帰国を待っている…
自分に寄せる信頼と願望がキャロルに王妃としての身分が、今は重い鎖となって自分を縛り付ける。
(…一日も早く…答えを見つけなければ…)
-3-
夕方から激しい雨と風が、屋敷を叩きつけていた。
ムーラが何度も戸を閉め、入り込んだ雨を拭いている。
「将軍…これではキリがないですよ」何とかしてくれと困ったように目で訴える---
「そうですなぁ、では戸を打ち付けてきますか」腰をあげる将軍に
「そのままで良い…」やや激しい口調で王子が止める。
「あ…そうですな、ではこのままで」将軍がムーラにとまどいの視線を送り腰をおろした。
「ムーラには面倒を掛けるが…城では感じる事もできまい…嵐を楽しむのもまた一興…姫は怖いか?」
「私は、平気です」ムーラに申し訳なさそうに答えるキャロル---
夜になっても、雨は止むことなく降り続いていた。
---寝所へ王子と共に入り、寝台に横になる、背中を向けていた王子が
「このような激しい雨では、多少の物音にも気付かぬな…」それきり…黙り込んでいる。
「…王子?」キャロルが声を掛けると「ああ…姫、すまぬ今日は、何だかひどく眠いのだ…」
「…あ…ごめんなさい」(これが、王子流の優しさ…眠ってなんかないのに…)
王子の苦しみは自分にある事を知ってしまったキャロルは、自分の事よりもキャロルの苦しみを知り優先させてくれる…
自分の事よりも、相手に手を差し伸べる---相手に気付かない様な優しさで---
王子の気持ちが泣きたいくらい嬉しい…「アリガトウ」背中に向って小さな声で囁くキャロル。
そして、静かに寝所から出て行き-----パタンと扉が閉まる音が聞こえる。
引き止めたい衝動に体中の血が燃えるように熱くたぎる---そんな身の内に湧き上がるものを必死に押し殺し---
さっきまでキャロルが寝ていた場所に、わずかに残った温もりを探すように、その身を沈める---
-4-
キャロルが屋敷を抜け出すと、「姫様…」そこには馬に乗った、ずぶ濡れのルカが立っていた…
聞かなくてもわかった、王子が手配していてくれたことなのだと---
「ルカ…ありがとう…私、メンフィスに会わなければ…答えが見つからないの…」泣きそうな呟くキャロルに、
マントを被らせ、馬上と引き上げる。
「わかってますよ…私はどんな事があろうとも姫様だけの従者ですから、どこへなりとお供します」
王宮を目指して、駆けてゆく---
(メンフィスに会って、何て言おう?何を話していいの?でも…どうしても会わなければ…会いたいの…)
やがて王宮に付き、門の前でルカが門番に話かける「重大な事なのだ…内密に王妃様がお戻りなのだ…門を開けろ」
「王妃様の従者であるルカ様はお通り下さい…でも、今は不確かに人を入れる事は出来ないのです…お顔を見せて頂けば」
マントを被ったキャロルへと困った顔を向ける門番達-----
「…いいわ…」やがて被りを取るキャロルの赤く染めた髪が…激しい雨で洗われ金髪へと戻っていく
「失礼しました!よくお戻り下さいました」急いで開門する門番に「くれぐれも内密に」そして、王宮へと入っていった。
目立たぬように、庭からメンフィスの宮殿へと向うキャロルに
「姫様…これを」と小瓶を差し出すルカ…「これは…何?」「…毒薬…でございます」「毒…どうして?」
「姫様が何を王に話されるか、わかりません…が、あの王の事です、姫様の命に危険が及ぶのであれば…これを王に…」
「ルカ!!何を?私がメンフィスを殺すって事?」驚くキャロルに
「姫様、私は姫様のみの従者です…王よりも姫様が大事なのです」必死に訴えるルカに押され…「わかったわ」
小瓶を受け取ったキャロル---
そして、メンフィスの寝所へと続く庭から近づいていったキャロルの耳に----
「…ぁっ…王…っっくっ」---キャロルの体が凍りつく----やがて「もう用はない!下がれ」メンフィスの声----
(抱いていたの?私以外の人を…)自分もメンフィスと同じ立場。何も言う資格はない…
そして、女が立ち去った後…メンフィスの寝所へ入った-----
「何奴?」剣を持ち振り返ったメンフィス----「キャロル!!そなたか?」剣を床に投げつけキャロルへと近づいて
抱きしめようとする手から---身をかわすキャロル。情事の後の---その手で触れて欲しくはなかった。
-5-
「どうしたのだ?」キャロルを再び抱こうとするメンフィスの無神経さが、信じられなかった。
「…今…一緒に居たのは誰なの?」(責める資格なんか無いのはわかっている…)目の前での裏切り---それを気にする事も
ないメンフィスが、理解出来なかった-----
「あっ!今のか?名も知らぬ…ただの侍女だ、それよりキャロル随分と探したのだ。どうしていたのだ?」
「その汚い髪はなんだ?そうだ、共に湯殿に入ろうぞ…そしてその後ゆっくりと話を聞かせてくれ」喜ぶメンフィス…
「すぐに、ナフテラに用意させる…それにしてもキャロル…会いたかった!ずっと心配してたぞ…」
「呼ばないで!」キャロルの激しい口調に…「なんだ、妬いておるのか?私はキャロルしか愛してはいないのだ」
「…愛がなくても抱けるの?」「それが男というものなのだ、キャロルにはわからぬかも知れぬが、キャロルが居たら
他の女など抱くものか」機嫌をとるように頬へと口づける。
「…でも、さっきの女の人に赤ちゃんが出来てたら…」「何だ、そんな事か…間違いなく私の子ならば、
それなりの面倒をみる、和子は、王子が王女になるだけの事ではないか、姉上の事も知っているではないか」
そうだった…王家の血筋を絶やさぬように側室を持ち、沢山の子供を持っていた---その中で起こる権力争いも
自分は誰よりも知っていたのに……愛しすぎて、考えたくも無かった--特別だと思い上がっていたの…
育ってきた価値観の違いは、埋まらないの?
「メンフィス…私も…私もあなた以外の人に抱かれました…」頬を思い切り平手で打たれた。
「嘘でも、そのような事は申すな」苛立たしげに「妬いてくれるのは可愛いが、そのような嫌味を言うな」
「…嘘じゃないわ…」キャロルの目から涙が溢れている…「…まさか?嘘だろう?」激しく肩を揺さぶられる
「嘘をついていいのなら、言うわ『今のは嘘よ』」------「まことなのか?」何も答えないキャロルを見据える
メンフィスの目----まるで価値の無いもの…置物などを見るのと変わらない冷たい目---
その目を見た時に、先程まで一緒にいた王子の事が頭を掠めた---何があってもあの人は私を許し、慈しんでくれた
でも、大人すぎて私には気付けなかったの……戻っても優しく受け入れてくれる王子を…利用したくはなかった。
メンフィスとの恋は熱病だったの…気がつくのが遅かった…最後に心を伝えられない事が心残りだった。
「バカね…私は…メンフィスさようなら」そうして、ルカから貰った小瓶を一息に飲み干した----
-6-
次の日、エジプト中が深い悲しみの中にいた---
--「王妃様が…亡くなったなんて…信じられない」
--「宮殿に仕えている兵士たちも…信じたくないって話していたぞ」
--「姫様が死んじゃったなんて嘘だろ?」
--「いや、王妃様はナイルに還すそうだ、再び戻ってくるかも知れないからって王家の谷には入らないって話だよ」
--「私も聞いたわ…そのままの姿でナイルに戻すって」
--「婚儀をあげたばかりなのに…王はどれ程に哀しんでいるだろう」
その日の夕方、テーベに布令が出た。
それには、王妃キャロルが亡くなった事と、女神の御許に明日還すという内容だった。
そして、次の日キャロルが小さな船に乗せられナイルへと還された。民が王妃にたむけた花でナイルは花畑のようだった
メンフィスは…何故キャロルが死を選ばなければならなかったのか?キャロルの告げた話は本当なのか
確かめる事も出来ず、キャロルを永遠に失ってしまった悲しみに打ちひしがれていた。
キャロルを乗せた小船が、ナイルの中へと沈んでいく---
川の中で、ルカが皮袋を使ってエジプト側のナイル河岸からキャロルの亡骸を抱き進む---
そうして、小さな船へと泳いでいくと、力強い手がキャロルを船へと引き上げる。
----「まもなくか…」「ええ…そろそろだと」ルカも心配そうにキャロルの傍へと張り付いている。
「…ぅっ…」激しく咳き込み、目覚めたキャロルの背中をさすり水を飲ませてくれる人の顔を見て驚くキャロル---
「王子?私…どうして?」「姫…私の腕の中へ…よく戻ってくれた」心からの笑顔を向け、喜ぶ王子の顔を見ると
「…ただいま…」幸せな涙がこぼれて落ちた。
「一刻も早く、戻りたい…ヒッタイトへ」抱き合う二人を見て、ムーラと将軍が目を潤ませて立ち去ると
どちらからともなく…自然に唇を合わせる。
-7-
「もうっ!ルカったら嘘つきなんだから」すっかり元気になったキャロルがルカに文句を言っていた。
船内には笑い声が、絶える事はなかった…その声に「もう、その位にしておやり」後ろからふんわりと抱きしめる
優しい腕に「だって…毒薬って言ったのよ」「ルカのおかげで私の腕の中に戻ってこれたではないか…」
「それは…そうだけど…でも、悔しいんだもん」「また、子供のように頬を膨らませて」笑いながらキャロルの頬を突付く
ヒッタイトで、ルカに話しかけて来た女から買った小瓶---
それは、三日間の間仮死状態になるものだった。
キャロルが、小瓶を飲み干した後…メンフィスにキャロルは、ナイルの女神の元へ還すと戻ってくるかも知れないと
今まで何度も、死ぬようなケガを負いながらも戻ってきた事を織り交ぜて、説得したのだった。
「王にも、民にも納得させる為に、姫の死体が必要だったのです」オロオロと説明するルカが可笑しくて、
吹き出してしまったキャロルに、ヤレヤレと目を細める王子----
「そう言えば、これからヒッタイトの城へ戻るの?」
「いや、城には還らぬ…私はこれから放蕩の限りを尽くすのだ」「ええ??」王子は笑いながら「全て私に任せておけ」
はぐらかす王子に「もうっまた子供扱いばかりするんだから…意地悪なんだから」ふくれるキャロルに…
「そんな事をするから、子供扱いしたくなるのだ」---王子の顔は以前の翳りは全く見られない---
それが、とても嬉しくて突然涙を流すキャロルに…慌てて「どうしたのだ?どこか痛むのか?」
「…幸せだと…涙が出る時もあるの…」王子の胸の中で、幸せな涙を流すキャロルをしっかりと抱きしめる王子---
そうして、一行は王子が幼少の頃、ラバルナ師に匿われていたヒッタイト内の山中に落ち着いた。
-8-
その夜---
「…姫…疲れているだろうな…」寝所で二人きりになった時に、唐突に聞いてくる王子に---
「え?…いいえ…」その言葉の持つ意味に…鼓動が早くなる…ヒッタイトを出てから一度も肌を合わせていなかった…
後ろから優しく抱きしめられる---
「姫…鼓動が早い……姫…抱きたい…もう我慢出来ない…」抱きしめられる腕に力がこもる。
「…聞かないで…」まるで初めて抱かれる時みたいで、恥かしくてたまらない---
「私を…私を見てくれ」ゆっくりと振り向くキャロル--顔をあげられない
キャロルの顎を軽く掴みあげる---視線が絡みつく---「姫…心から愛している」真剣な目で訴えかけている
その目を見つめて、偽りのない心を見せるように「私も…王子を愛しています…心から」その言葉を吸い取るように
唇を合わせる--「…姫…目を閉じないでくれ…本気を…私に見せてくれ…」閉じかけた青い瞳を開ける…
キャロルの瞳に、欲望が見える---唇を吸い上げ、歯列に舌でなぞり舌を入れる…キャロルも舌を出してくる--
唇を少し放すと、キャロルの舌が自分の舌を追いかけてくる--
舌先と舌先でつつき合う、焦れたキャロルの舌が、深く王子の口の中へと差し入れられる---
求め求め合う---心が通いあって初めての行為は…互いを貪りつくしたいと---深さをましていく
もどかしく、キャロルの衣装を脱がし、寝台へ倒れ込むように組み敷く---一糸纏わぬ姿になった二人---
キャロルの耳から胸まで舌を這わせ「…姫は…ここが好きだな」「ぁっ…」「感じるままを口に…口にしてくれ」
「そなたの全てを…今日は味わいたい」乳房を揉みしだいて…小さなしこりを軽く噛む
「ッ…」キャロルの手が王子の背中へ回り、その小さな手が王子の背中を撫で回している
キャロルによって、自分もまた酔わされていく----
舌で小さなしこりを転がしながら、胸から手を滑らせていく、内腿をさすりあげるとピクンとキャロルの体が反応する
そのまま片足をあげ、太股の付け根を爪でやんわりと何度もなぞっていく
「ぁ…王子…いや…もぅっ…」「姫っどうして欲しいのだ…言ってくれ」「っ…触れて…欲しいの…」
花弁へと指を這わせ、蜜を小さな核へのせ円をえがき、小さな律動を与える----
「くっ---」蜜壷へと指を挿し入れを繰り返すと、キャロルの腰がそれを追って動いていく---
「…今宵は…私こそが…酔わされる」自身を掴み小さな核にのせ、捏ね回す---キャロルの腰が更に激しく追いかけてくる
「姫…愛している」そのまま下へ自身をずらし、蜜壷へと滑り込み…ゆっくりと動き、キャロルの変化を見ながら
段々と激しくなってゆく----キャロルの瞳が見開く個所を突き上げる…「…ぁっぁっ…」キャロルの息遣いが早くなり
「姫…一緒に…」激しく突きあげて----自身を解放し…そのままキャロルの体の上で荒い息をつく…
-9-
「王子…まだ書くのですか?」将軍がもう嫌だとばかりに王子に尋ねた。
「本当に…そろそろ三月になりますよ」怒ったようにムーラも非難の目を王子に向ける。
ヒッタイト王へ向けた書簡---ナイルの姫が亡くなった事を悲しみ、王子は腑抜けてしまったと---
王からの叱責も全て、この二人にかかってきていた---
「そうだな…そろそろ戻るとするか…では最後にこう書いてくれ…旅と途中で美しい乙女と出会い立ち直りつつあると…」
やがて、ヒッタイトの王子は赤い髪の王妃を迎えた。
王と王妃に紹介した姫を見て、王は(何と…ナイルの姫に生き写しではないか…)それで立ち直ってくれたのだと---
王妃は、王に聞こえぬ小さな声で…「いつかは無粋な事は…忘れて下さいね…姫や」楽しそうに笑っていた。
その後、ヒッタイトの王が亡くなり、イズミル王子が即位した後に
赤い髪の王妃の神は、輝く金髪になったと不思議な事もあるものだと…
諸国の噂になっていた。
--おしまい--
願い作家様
終わっちゃったのが残念でした〜!
でも2ぱたーんの終わり方なんて斬新!!!
切なかったり、ほのぼのしたり、幸福です〜!
ありがとうございました!
次回作を期待していますね。
>>375 45
首筋に強い衝撃と熱を感じ、そして一瞬遅れに痛みがやってくる。
目の前が真っ赤に染まり、世界がぐるりと回転する。ごろん、ごろん・・・。
後悔、後悔、押しつぶされそうな後悔の念、それだけが自分の全世界を占めていた。
―私はまだ言っていない、大切なことを。まだ言っていないのに、言わなきゃいけないのに―
―あなたに言わないままに逝かなきゃいけないのは、ひどすぎる。
私に、何も知らなかった私に初めて愛することを教えてくれたあなたに。
自分から愛することを教えてくれたあなたに、私は何も伝えていない。謝っていない―
―メンフィス、私はあなたの情熱にめくるめく恋の喜びを教わりました。あなたの激しい求愛は、ナイルの洪水のように私を流し、酔わせたわ。
私、あなたが好きだった。私を押しつぶすように愛してくれたメンフィス―
―でも私に静かで力強い愛を教えてくれたのはメンフィスじゃなかった。
私を愛し、守り、私の心を目覚めさせ、初めて私の方から誰かを愛することを教えてくれたのはイズミル王子。
罪を過ちを乗り越えてなお、愛することは出来るのだと教えてくれた―
―私は・・・言わなきゃいけない。謝らなきゃいけない。でも・・・―
キャロルはゆっくりと目を開けた。白い部屋の中。薬の匂い。ブラインド越しに明るい外の雰囲気が感じられる。
(ここ・・・どこ? 私、どうして・・・?)
つい先ほどまで見ていた夢の続きなのかと訝る彼女に白衣の看護婦が優しく声をかけた。
「もう大丈夫ですよ、お嬢様。あなたは助かったんです。もう何も心配はいりませんよ」
看護婦はキャロルに優しく微笑みかけると衝立の向こうに消えた。でもすぐ戻ってきて言った。
「あなたのことをずっと心配してくださった方が今、おいでになりますよ。主治医の先生もね。ああ、本当にあなたが気がついて良かったですよ。もう五日も眠り続けていたんですから」
その時、白い衝立の後ろからキャロルのよく知っている人間の顔が見えた。
シーク・イズミルだった。
46
(シーク・イズミル!)
キャロルは驚いて目を見開いた。現れたのはシーク・イズミルその人だった。
キャロルが覚えている顔よりもさらに窶れて、顔つきが厳しく見える。
その面差しはキャロルが夢の中で呼びかけていた「あの人―イズミル王子」に似ていた。
「気がついたか・・・。やっと、やっと気がついてくれたか」
シークはキャロルのベッドの横に跪き、点滴の管に痛々しく繋がれた細い手首に口づけた。居合わせた看護婦や医師は大変驚いた。
いつも冷静で感情など無いなどと密かに揶揄されるほど、自制のきいた怜悧な若者が、かくも衝動的な行動を取るとは!
しかも相手は若い女性、今回の墜落騒動でアラブ諸国の神経を逆撫でしたアメリカ国籍の人間!テロリストはアメリカを恨み暴挙に出て、その威嚇射撃に逆上して多くの無実の人間を殺した!
だが、シーク・イズミルはそんなことなどお構いなしだ。
「私が・・・分かるか?」
はい、と声を出そうとしてキャロルは顔をしかめた。喉が痛んで声が出ない。慌てて首元に手をやれば、そこには包帯が巻かれている。
「ああ、声は出ないだろう。お前は怪我をしているのだ・・・事故に・・・巻き込まれて・・・」
(そうだわ、私、ハイ・ジャック機で・・・)
飛び起きようとして、身体の痛みに呻いたキャロルを宥めるように抱きかかえながらイズミルは言った。
「まだ起きてはならん。お前は怪我人だ。まずは身体を治してやろう。お前は何も心配せずに私の宮殿で治療に専念すればよいのだ」
シークは訳が分からず、硬直しているキャロルに優しく言い聞かせ、待ちかまえていた主治医に席を譲った。医師はイズミル王子の侍医でもある。
願い作家様、すてきなお話をありがとうございました!
二通りの終わり方、どっちも良かったです。でもやっぱり個人的には
「右手」のお話の方が好きかなぁと。
本当にありがとうございました。
とうとう遠い約束作家様だけぽ。。。
お約束の拉致監禁愛(爆)が始まる?(じゅる)
1
この世界にあり得べからざる硬質な大音声が、風に舞い上がる砂塵を引き裂いて、響き渡る。
灼熱の炎が生み出した陽炎の向こうに、輪郭を不安定に滲ませながら揺らぐのは、忘れようもない、懐かしい兄の影。
「兄さん!ライアン兄さん…っ!」
出し抜けに、熱を含んだ砂の上にその身を放り出されながらも、逢いたかった面影を離すまいと、兄の名を呼びながら、キャロルは瞳で兄の姿を追い、その手に握られている、禍々しく光る小さな黒い「それ」に気づいた。
激しい衝撃と恐怖、そして絶望が、キャロルの心を闇の色に染めてゆく。
恐る恐る振り返った先には、予想に違わぬ、苦痛にうめくヒッタイトの世嗣の姿があった。
見る間に彼の肩口を濡らしてゆく、夥しい鮮血。
「姫!」
飛び交う怒号を縫って、イズミル王子が、キャロルを呼ぶ。
焼け付くような痛みに、怜悧な顔を歪めながら、強い視線をひたとキャロルへ当てる。
そこに浮かぶ光は、キャロルを得損ねた僅かな落胆と、不屈の意志と、何よりキャロル自身へ向けられた、一途な愛。
まだ幼さを否めぬキャロルのこころが、それでもそのイズミル王子の想いを、本能で感じ取った刹那。
キャロルは、王子の明るいヘイゼル色の瞳に絡めとられたような感覚を、軽い眩暈と共に覚えた。
絡みあう二人の視線の糸を断ち切るように、エジプト・ヒッタイトの兵士達が、それぞれの敬愛する貴人を守るべく取り囲み、引き離していった。
いつの間にか、ライアンとキャロルを一つの次元に結びつけた、不思議な炎は、跡形もなく消え去っていた。
遠い約束、王子はライアンには連絡してないんだろーか?気になる〜
願い作家様、出だしもちょっとサディスティックで新鮮でしたが、終わりもまた斬新でした。
ほんとうにお疲れ様でした。
遠い約束も願いも、作家様のアイデアとオリジナリティーが溢れているので読んでいて楽しいです。
新作の登場も楽しみ・・・!
>>431 2
イズミル王子の手から助け出され、住み慣れた王宮へ戻ったキャロルは、メンフィスはじめ、自分を心配してくれていた人間に、どうにか穏やかに接してから、少し疲れたから、と、侍女達さえも遠ざけ、ひとり自室へ引きこもった。
自分がイズミル王子に攫われかけた、今度の一件の事後の対応に追われ、恐らくメンフィスはまだ暫くは自分の元へはこれないだろう、そう冷静に考える。
細く長い溜息が、キャロルの薔薇色の唇から洩れる。
キャロルの心は、ただ、一つの考えで満たされていた。
こんな事が、あってはいけない。
いかに、敵国の王子であろうと、20世紀の凶器で、この時代の人間が傷つけられるなど、あってはいけない事なのだ。
確かに、かつて自分が原因で、この時代に戦が起こり、沢山の血が流された。
既に自分は、拭いきる事のできぬ罪を、背負っている。
けれど。
原因は、確かに自分だが、戦を起こしたのは、彼ら自身なのだ。だから、きっと歴史は歪まない。
この考えへ逃げ込む自分を、卑怯だと十分自覚しながら、それでもキャロルは、せめて、古代エジプトでメンフィスと共に生き、今後起こるかも知れぬ戦を、身を挺しても防ごうと決心をしていた。
それもまた、罪を償う一つの手段となりうる、そう自分を納得させていた。
だが、今度の一件は、言い訳の仕様がない。
この時代の人間が、弾傷など、負う筈がないのだ。
この時代の医術がいかに優れているとはいえ、弾傷を手当てする技術など、ある筈がない。傷は塞がらぬまま、化膿するかも知れない。それに、万が一あの肩に弾が残っていたとしたら。
矢傷や刀の傷とは訳が違う。一国の王子が、20世紀の悪魔の技術で、命を落とすかもしれない。
自分を助ける為、ライアンが放った銃弾は、古代史の中に歪んだ爪痕を残す。
歴史は、歪む。
>>433 3
キャロルの青い瞳から、透明な雫が零れた。
堰を切ったように、血の気の失せた頬を、絶望の涙が流れ落ちる。
キャロルは、声を殺して泣き続けた。
そうして、どれほどの時間がたっただろうか。
ようやく涙を止め、顔を上げたキャロルは、ある決心をしていた。
自分の所為で、歴史が歪んでしまうことなど、あってはならない。なんとしても、自分の人生、命を掛けても、それだけは避けなければ。
これは、愛してはいけない人を愛してしまった自分の罪に対する罰。償う為には、どんな事でもする。
決然とした瞳を、豊かな水を湛えるナイルへと据えた。
ナイルから吹く、涼やかな風が、濡れた頬を優しく拭う。
それは、まるで自分を誘っている様に、キャロルには思えた。
確かな足取りで、自室のバルコニーへ出る。
すぐ下には、午後の光を煌びやかに反射させている、底の見えぬ川面。
風が吹く。
キャロルをいざなう。
万感の想いを込めて、キャロルは振り返った。
「メンフィス、ごめんなさい。お別れ、です」
短い、別離の言葉。
改めて、ナイルへと向き合うと、キャロルは硬く目を閉じて、滔々とした流れへ身を躍らせた。
水柱が高く上がる。水面に打ち付けられた体が、軋むように痛む。
間もなく、水が意志を持った様に、キャロルの体を包み込んだ。
覚えのある感覚。激しい渦に揉まれ、意識と共に古代での記憶まで奪おうとする、大きなその力に抗うように、キャロルは心で強く唱え続けた。
(記憶は忘れても、自分のすべき事だけは忘れてはならない。20世紀で、あのひとを助ける術を身につける。そして、必ず古代へ、もう一度戻る…!)
>>434 4
行方不明だったアメリカ大富豪の末娘、キャロル=リードがナイル川で発見され、家族の元へ戻ってから、彼女はエジプト留学を打ち切って、アメリカへと急遽帰国した。恐らく、よほど恐ろしい目にあったのだろう、そう、考えるものが殆どだった。
そんな憶測をよそに、彼女は暫くゆっくりさせようと思っていた周囲の反対を押し切って、自分の進路を180度転換させた。
医学部、外科医への道へと。
何かにとり憑かれたように知識を貪る彼女を、家族は心配して、止めた。
それでも、キャロルは古代での記憶を失ったまま、理由のわからぬ何かに突き動かされ、医師への道をひたすら進んだ。
そうして、月日は、流れた。
「ミズ・リード!」
大学病院内にある木陰のベンチで寛いでいたキャロルは、研修生の呼び声に、振り向いた。
豊かに波打つ金髪を無造作に後ろで一つに束ね、白衣を纏った彼女は、飾り気などまるで無いのに、目を瞠るばかりに美しい。
少女だった頃、真昼の空の色をしていた明るい色合いの瞳は、現在はその濃さを増し、深い海の藍を湛えている。
そしてその光には、穏やかだが凛然とした意志が宿り、出自の良さを表す上品で優雅な物腰は、大学在学中に驚異的な速さで医師免許を取得した、将来を嘱望されている女性外科医という堅苦しい肩書きを、見事に裏切っていた。
>>435 5
「どうしたの?」
自分で呼んでおいて、キャロルの姿に見蕩れ、ぼう、となっていた研修生は、キャロルから柔かな声で問いかけられ、頬を染めながら、慌てて用件を伝えた。
「あ、あのっ、スミス教授がお呼びです。ミズが休暇を取られる前に、見せておきたい手術があるから、と」
「そう・・・。解りました、どうもありがとう」
アメリカへ帰って以来、わき目も振らずに学んできた彼女は、自分の何気ない笑顔でさえ、周囲を魅了するのに十分だという自覚が、いまひとつ薄い。
その美しい、罪な微笑を研修生の青年へむけると、流れるような仕草で立ち上がる。
キャロルは、その青年と連れ立って、スミス教授の元へ向かった。
病院中の注目の的となっている、若く美しい女性医師と二人で歩く事のできる幸運に感謝しながら、青年がうきうきと問いかける。
「ミズ・リード?この休暇でエジプトへ行かれるそうですね?」
「そうなの。よく、ご存知ね?」
「どうして、エジプトなんですか?」
「以前、考古学を志して、エジプトに留学していた事があったの。なんだかその頃が妙に懐かしくなって」
そう答えたキャロルに対して、青年はおどけて言った。
「ミズ・リードが、考古学!?そんなことにならなくて、よかった!もう少しで、我々は貴重な医師を一人、失うところだったのですね?」
その仕草の可笑しさに、キャロルが小さく吹き出す。
「大げさな人ね、新米のひよっこ医師に対して」
そう言うと、ふ、とキャロルは遠い目をして、言った。
「でも、本当に、休暇もエジプトも久し振り。今から、楽しみだわ」
風が、吹く。
遠く、エジプトの空の下、ナイルの川面が、ざわり、と、ざわめいた。
バビロニアから戻ったばかりのキャロルは、婚姻による同盟を画策するカプター大神官の言葉にコロリと騙されてしまった。
もうここには居られない、居たくないと悲しんだキャロルは、ナイルの流れに身を任せようとするが、溺れて意識を失ったままルカに助けられ岸にたどり着いてしまう。
宮殿は静かでまだ誰も異変には気が付いていない。これは絶好の機会だ、ルカはそう思った。
宮殿内部に居て常に目を光らせているルカ、彼は婚姻による同盟の噂を早くから知っていた。
一途なナイルの姫は傷つきメンフィスの元を去るだろうと主従は考えて、イズミルは肩の傷を庇いながらも、荷を運ぶ川舟に乗って宮殿に近い場所に身を潜めていた。
ルカによって意識のないままイズミル王子の川舟に乗せられるキャロル。
舟底に隠された小さな部屋にイズミルはキャロルと二人だけで入った。
濡れた衣装を脱がせ、自分の肌でキャロルを温める。
「私ならば、そなたにこのような悲しい思いをさせぬものを…許さぬ、メンフィスめ!」
メンフィスという言葉に反応したわけではないのだろうが、自分を包む温もりに無意識に手を伸ばし、背に手を回し、胸に顔を埋めるキャロル。
「よいのか…?私は今度こそ自分を抑えることはしないぞ…」
>>437 キャロルの意識がぼんやりと戻ったのは、熱い行為の真っ只中であった。
(なぜ…?メンフィス…私を裏切ったのに…)しかし、何かが違う。
肌にかかる髪の感触が、腕を押さえる掌の感触が、微かに漂う香りが…そして何よりも自分の体内で感じる相手の身体の一部分が!
「あ、あなたは…メンフィスじゃない…!ここはどこっ?」
だが、暗闇の中で相手を確かめる術もなく、キャロルはメンフィスとの間にはなかった痺れる様な官能の渦に深く堕ちていった。
気が付くと、天井から光が漏れていた。その薄明かりを頼りに自分をしっかりと抱く手の持ち主の顔を覗き見ると…
「イズミル王子!」
キャロルの声でイズミルも目を覚ました。
「目覚めたのか、姫。そなたはもう私のものだ。このままヒッタイトへ連れて行く。」
「い、いやよ!私は、エジプトのっ、うぅぅっ…」
そのキャロルの唇をイズミル王子が塞ぐ。
「エジプトのファラオの元から逃げ出してきたのであろう?そして…そなたは何度も私を求めたのだ。覚えていないとは言わせぬぞ。」
「違うわっ!私を放して!」
しかし、イズミル王子の強い力には抗えない。
(なぜこんなことになってしまったの…これで本当にメンフィスのところには…)
そう思うキャロルであるが、本能に火を灯すようなイズミル王子の唇が全身を這う。
(私もメンフィスを裏切ってしまった…)
>>438 川舟が下エジプトの小さな町に着いた時、乗り換えのためにようやくキャロルは船底の荷物室から出ることができた。
人目を避けるために岸に上がらずに夜の間に乗り換えるらしい。
(このままヒッタイトに連れて行かれて利用されるのならば、死んでしまおう)
キャロルは隙を見て舟べりに立つ。
「ナイルの姫!何をなさるのですっ!」振り返るとそこには召使のルカの姿。
「えっ?ルカ?!なぜここにいるのっ?」その瞬間キャロルの身体はナイル川に落ちた。
「ルカーっ!姫を助けろっ!私もすぐに行くっ!」
(なぜ王子がルカのことを知っているの?何がどうなっているの?)
渦に巻かれて川面に顔を出した時に、舟の様子を見ようとしたが大きな渦がキャロルを襲う。
(もうダメ。このまま死んでしまう…でも、どうしてルカが王子の命令されていたかの…知りたかった…けど)
キャロルがそう思った瞬間にイズミル王子の姿が水の中に揺らいで強い手を感じた。
そのまま一瞬強い流れに巻き込まれたと思ったら、今度は力強い手によってぐんぐんと引っ張られていく。
「そなたを死なせはせぬ!」(いや!私は自分意思ですべてを決めるのよ!!)
濁流に身を打たれて目すら開けられないキャロル。だが川岸にたどり着いたことだけはわかっていた。
「うぅ…姫…大丈夫か…しかし…ここは一体…くっ!」(またイズミル王子に捕らえられてしまった…)
しかし、自分を支えていた強い力が急に崩れ落ちてしまったことで、キャロルはようやく例えようのない違和感に気が付いた。。
「ひ、姫…ここは…どこなのだ…」
イズミルの聞き慣れた声、だがその口にする言語はキャロルの母国語の英語、そして自分達の居る場所はコンクリートの上。
恐る恐る目を上げると、そこには…
>>439 リードコンツェルンの次男ロディは、港湾整備事業の出資に関する視察でナイル河口を訪れていた。
仕事を終えてカイロの屋敷に戻ってもいいのだが、母はアメリカに帰っている。
「ばあやには悪いが…今日はここに泊まるか。」
そこは自分ひとりのために用意したナイル川沿いの高級メゾネットマンション。ナイル川から引いた人工川に直接出られる庭もある。
締め切っていた室内の空気を入れ替えるために、ナイル川に面した窓を開けたその時。
「あっ…!ロディ兄さん?本当に兄さんなの?」
護岸工事を施したなだらかな斜面にうずくまるキャロルと、右肩を真っ赤に染めて横たわる男を見つけたのだ。
「キャロルーっ!お前、今までどうしていたんだーっ!」
ロディに問われても、キャロルはすぐに答えることができない。
(前に現代に戻った時は記憶を失くしていたのに、なぜか今は古代のことをハッキリと覚えているなんて。)
いや、それ以上にキャロルが呆然としているのは、古代のヒッタイト王国のイズミル王子がこの場にいること。
(イズミル王子を現代に連れてきてしまった…どうすればいいの…)
「キャロル…その男は…?」
咄嗟に口走るキャロル。
「わ、私もわからないのっ!でもこの人は私を助けようとして川に…
肩にひどい怪我をしているわ。お願いっ!兄さん、この人の命を救って!」
>>440 カイロに滞在中のキャロルの長兄ライアンは、ロディからの連絡を受けてすぐに現地に向った。
妹の無事を喜びつつも、身元不明の男の正体が気にかかる。
しかも妹のキャロルはなぜかその男を保護してくれと頼むのだ。
「右肩に銃弾が入っていました。手術で取り除いたのでもう大丈夫でしょうが、右肩から右手にかけて完全に回復するまでは、しばらく時間がかかります。
他にはかなり強く全身を打っているようです。こちらは安静にしていれば良くなるでしょう。」
ライアンの前にいる医師はカルテを見ながら続けて言う。
「妹さんは、少し興奮していましたが、外傷はありません。
一緒にいた男性の側に居たいと言っておられるので、今はその部屋に。あの、いけませんでしたか?」
「いや…わかりました。入院中は外部から完全に遮断できる環境を整えて下さい。妹と少し話してみます。
それから、取り出した銃弾ですが、後で弟に渡しておいて下さい。こちらで調査します。」
病院に搬送する途中に見た男の顔が、ライアンの記憶を呼び起こす。(まさかとは思うが…)
>>441 麻酔のせいか青白い顔で横たわるイズミル。
「どうしよう…どうしたらいいの。王子を連れてきてしまうなんて!」
古代での悲しく辛い記憶を引きずったまま現代にもどったキャロルが、パニックにならずに済んでいるのはある意味でイズミルの存在のおかげであり、またイズミルの存在がキャロルを苦悩させている。
(私が古代に行った時と同じように言葉だけが通じるなんて…王子は英語なんて知らないはずなのに。)
看護師に、麻酔から覚ますために名前を呼びかけてください、と言われたのを思い出し、キャロルはイズミルの頬に手を当てながらその名を呼んだ。
「王子…イズミル王子…」
キャロルの言葉に反応したのか、イズミルの瞼がかすかに動く。
「イズミル王子?気が付いたの?」
「う…ひ、め…」
「王子、ああ、気が付いたのね…」
しかしキャロルは次の言葉がでてこない。この状況を一体どうやって説明すればよいのか?
「姫、ここは…一体どこだ…?」
「それは…あの…」
「見たこともない風景、見たこともない建物…ここはそなたの母がいる神の国か…?」
「王子…私の言っていることがわかる?」
キャロルは確かめるようにゆっくりと英語で語りかける。
「お願い…今はとにかく私の言うとおりにして。私もまだどうしていいかわからないの。」
「うっ…っ!」
起き上がろうとするイズミルをキャロルは必死で押さえる。
「まだ動いてはいけないわっ。王子の肩の傷は…バビロニアへの旅の途中でライアン兄さんが撃った銃弾のせいだったの。」
「あの折の不思議な大音響…?」
「もうすぐライアン兄さんもここに来ると思う。でも王子は何も知らない、覚えていないと言って。お願いだから…」
(私が古代にいた時と同じように言葉だけが通じるなんて…王子は英語なんて知らないはずなのに。)
>442
「キャロル?入るぞ…」
ライアンは術後の男が眠る部屋のドアを開けた。
「キャロル、一体お前に何があったんだ?どんなに探したか…」
あれも聞こう、これも聞こうと思っていたライアンであるが、まるで男を守るかのように立つキャロルを見ると言葉がでてこない。
病衣に身を包む妹が妙に大人びて見える。
一方のキャロルも会いたかった兄ライアンに何をどう説明しようか、まだ決めあぐねている。
(古代ヒッタイトの王子だなんて、兄さんは信じてくれないわ…でも、現代で王子を守ることができるのは私しかいない!)
「キャロル、お前が何も覚えていないのは医師からも聞いた。麻酔から覚めたその男と直接話したいのだが。」
(王子、お願い、打ち合わせた通りに)キャロルは祈るような気持ちでイズミルを見る。
「エジプト人には見えないが、まず名前と国籍を聞かせてもらおうか。」
「この人も何もっ!」
「お前は黙っていろ!次に、なぜ妹と一緒にいた?さあ、答えてもらおうか。」
「私の名は…イズミル。それ以外はここがどこなのか、なぜここにいるのかもわからぬ。」
「ライアン兄さんっ、わ、私ね、この人に助けられたのなら、今度は私が助けたいのっ!
私はここに戻ってくることができたけど、この人はこのままじゃ戻ることもできないわ。
出来る限り世話をしたいの。お願い!この人を助けてあげて!」
病室に沈黙が流れる。ライアンの口からどんな言葉がでてくるのか。
「私は…大切な人がナイルに流されるのを見て夢中で追いかけた…ただ、それだけだ…。」
沈黙を破ったのは渦中の人、イズミル。
「大切な人?妹は君にとって大切な人だった、それは覚えているんだな?」
「…失うわけにはいかない…我が命に代えても!それだけはハッキリと覚えておる!」
>>443 「わかった。今はキャロルの望み通りにしよう。何も心配するな。」
二人が何かを隠していることはわかっている。
だが今問い詰めても仕方がなさそうだと感じたライアンは、とりあえずキャロルの願いを聞き入れて、失踪事件の手がかりになりそうな男を保護することにした。
ライアンが病室を出て行くと同時に、キャロルは椅子に座り込んだ。
「いつまでも兄さんを騙せるとは思えないけど…しばらくは何とかなりそうだわ。」
「姫、そなたが私を助けてくれるのか?」
「その呼び方はやめて、って言ったでしょう?私の名前はキャロル。そう呼んで。私も王子のことは…名前で呼ぶから。」
「キャロル…?」
「そうよ、えっと…イズミル。王子とか姫とか…家族が聞いたら驚いてしまうわ。
古代と現代とでは生活の仕方も違うから、私が側を離れずにいるしかないの。」
「ここがそなたの生まれた神の国か…いずれにしても今の私にはどうすることもできぬらしい。言うとおりにしよう…キャロル。」
そうは言うものの、キャロル自身がこれからどうしたらいいのか混乱していた。
(メンフィスの元から逃げ出して…そして、私はこの人に…もうメンフィスの元には戻れない、わかっているのに…)
い、いったいどうなっているんだ〜〜!
読むのが大変です〜〜嬉しい悲鳴で良いのか?
うきゃー!
新作が目白押し!
しかも王子ファンには悩みの種だった
肩の怪我も治ってるヨ!・゚・(ノД`)・゚・。
早く続き読みたい!
願い作家様、感動のラストでした〜っっ。
仕事中に傷ついた左手読んで、ぐすっじゅる〜で
慌ててトイレへ駆け込みましたわ。
おつかれさまでした&アリガd!
興奮冷めやらぬうち、新作ラッシュでうれしい悲鳴〜〜!!
願いはどっちも王子寄りの解釈でしたね!うんうん。
肩の傷が治療してもらえたのも嬉しいし
この王子が貴重なチャンスを活かしてキャロルタソと
さっさとやってしまったのもあっぱれじゃ〜。
それにしても王子も一緒にタイムスリップする話って
じっくり読んでみたかったから嬉しいです。
ここでのライアソは実の兄なのかしら。どっちにしてもこっちの王子には
すでに実績があるし楽勝?
王子、このまま現代に滞在してリーダーシップを発揮し
ビッグな企業主になってキャロルともめでたしめでたしは………ダメか(w
で、最近はタイムトリップものが受けそうなので新作は軒並みその路線、と。
前世モノ、タイムトリップ、ケキョーク王子とオニHすると
>L.O.V.E
王子の方が現代に来てしまうというのは、
ありそうで無かったパターンだから面白そう。
続きが楽しみです〜
>>436 6
数日後、キャロルは懐かしいエジプトへと、降り立った。
ピラミッドよりも、王家の墓よりも、他のどんな遺跡よりも、無性にナイルが見たかった。あの、水を湛え、豊かに流れる深い青が。
いてもたってもいられず、何かに呼び寄せられるように、キャロルの足は、ナイルへと向かった。かつて、留学していた頃、仲間とよく行った、人気の無い川岸を、懐かしい想いと共に暫し歩いた。
「ここは、何もかも変わらないのね。まるで、時の流れがここだけゆったりとしているかの様」
吹き抜ける川風が心地よい。肌に馴染んだ風に、まるで、故郷へ帰ってきたような安らぎさえ覚える。
こうしていると、何故考古学を捨て、医師になったのか、我ながら不思議でならない。
と、感傷に浸るキャロルの視界を、ふわり、と白い影がよぎった。
驚いて、その影を目で追うと、それは小さな白い帽子だった。
少し離れたところから、少女が必死で駆けてくる。
(いたずらな風に、飛ばされたのね。ナイルの風は、強いから)
かるく微笑んで、川面近くまで飛んだところで、葦にかかって濡れるのを免れているその帽子をとってやろうと、キャロルは足を踏み出した。
ちゃぷん、と、サンダルを履いたままの足が水に入った刹那。
あっ、と思う間もなく、キャロルは強い力で、ナイルへと引き込まれた。
あまりに突然の事で、一瞬、足を滑らせたのかと、思った。
だが、慌てて体を支えようとして伸ばされた手が触れる筈の、浅瀬の川底は、そこには存在していなかった。
ごぽり、と、バランスを失った体が、水の中へ沈む。
(そんな、馬鹿な事…!?)
いきなり、ありえぬ深さに捉えられ、ありえぬ流れの速さに攫われ、うろたえるキャロルを、不思議な渦が包み込んだ。
>>454 7
それと同時に、封じられていた過去の記憶が、怒涛の様にキャロルへ流れ込んだ。
激しい水流に翻弄されながら、キャロルは必死で思考を纏める。
古代で起こった、「起きてはいけない悲劇」。
20世紀へもどり、医師を志した理由。
そして、間違いなく自分は呼ばれたのだ。この大河に。
ナイルの流れを通して、幾度か20世紀と古代を行き来するうちに、キャロルは気づいた事があった。
ナイルが生む、時の流れは、自分の望みを叶えてくれる。
自分が望めば、そしてそれが本当に必要な事ならば、ナイルは答えてくれる。
キャロルは願った。
どうか、自分を、決意を秘めて20世紀へ戻った、あの時へと戻してくれ、と。
その願いを受けるかのように、流れが、激しさを増した。
ようやく足が付く程度の浅瀬にたどり着いたキャロルは、痺れる体を引きずるようにして、川岸へ上がった。
あたりを見回すと、風化など微塵も感じさせぬ荘厳な神殿と、豊かな葦の茂み。
これは、20世紀の風景ではない。
どうやら自分は無事にたどり着いたのだ。懐かしい、古代へ。
短く溜息を吐くと、キャロルはひとりごちた。
「正直、体に優しい時間旅行とは、言えないわね…」
周囲の風景からして、やはりここは下エジプトだ、と判断する。今はバビロニアへ嫁した、女王アイシスが治めていた地。
慎重に行動しなければ、と、気を引き締めた時、興奮した、覚えのある声が掛けられた。
「ナイルの姫!?」
慌てて振り返ると、そこには懐かしいルカの姿があった。
だが、ルカは驚きと失望をその表情に浮かべ、こう言った。
「し、失礼を…。私が探しております、あるお方とあまりにも似ていらしたので」
>>455 8
「ルカ?」
思わず、キャロルは自分の従者であった若者の名を呼んだ。
ルカの明るい瞳が驚愕に見開かれる。
「何故、私の名を!?それに、貴方はあまりにも、ナイルの姫に似過ぎている。貴方は一体、誰なのです?」
僅かな警戒と共にそうルカに問われ、キャロルはようやく思い当たった。
望んだとどおりの「時」へ、ナイルは自分を運んでくれたのだ、と。
ルカの姿は別れた時と変わらない。それに比べ、10代だった自分は、もう二十歳を過ぎ、年齢と共に顔立ちも、瞳の色も、変わっている。時の流れが大きく、キャロルとルカを隔てていたのだ。
咄嗟に、キャロルは自分を偽る事を選んだ。なすべき事をなしたら、また現代へ戻るつもりでいたから。
もう、ほんの少しでも、古代に介入して歴史を歪めてはいけない。
「貴方はルカ、でしょう?あなたの事は、妹から聞きました。私はダイアナ。キャロルの姉です」
親友の名を借りて、名乗る。自分を自分の姉だと偽る、その滑稽さに内心苦笑しながら。
咳き込むようにして、ルカがキャロルへ問いかけた。
「姫の、姉君様!それでは、ナイルの姫はご無事なのですね!?それで、姫は今何処に!?」
自分を心配してくれていた事を嬉しく思いながら、キャロルは、以前ナイルの姫、と呼ばれていた頃の口調を敢えて変えて訊いた。
「その前に教えてください、ルカ。私が、いえ、妹が行方不明になってから、どれ位たっていますか?」
「2日、になりますが?」
何故、そんな事を訊くのだろう、と戸惑いながらも返された答えに、キャロルはほっと息を吐いた。
(よかった、あれからそんなにたっていないのね。でも、ヒッタイトへの道のりを考えると、急がなければ…)
「そう。旅慣れている貴方に、お願いがあるのだけれど」
敬愛する姫とよく似た面差しで、そう頼まれ、ルカは頭を垂れた。
「なんなりと、姉君様」
「私と一緒に、ヒッタイトへ…」
言いかけたキャロルを遮るように、必死の声が掛けられた。
「キャロルさまっ!?」
>>456 9
兵士を従え、自分の方へ急いでくるウナスを認め、キャロルは寂しさを隠せなかった。
案の定、彼もルカと同様、自分の姿を見て、喜びの顔を、失望と戸惑いに変えてしまったから。
「貴方は!?」
ルカと同じ事を問うたウナスに、キャロルに代わってルカが答えた。
「こちらのお方は、ナイルの姫の姉君様だ」
忽ち、ウナスと兵士達が、その場へ膝をつく。
興奮に高潮した顔をキャロルへ向け、ウナスが口早に言い募った。
「姉君様は、キャロル様の行方をご存知でありませんか!?あ、いえ、ともかく、王宮へお越しください。キャロル様を探して、メンフィス様がこの下エジプトにおいでです!」
「メ…、ファラオが?」
途端に、キャロルの鼓動が跳ね上がる。
「はい、そうです!ですから一刻も早く、メンフィス様にお会いいただき、キャロル様の行方を!」
「わかりました。ファラオに逢いましょう」
逸る心を押さえ、キャロルは静かに答えると、ウナスの案内で王宮へと向かった。
メンフィス。
大好きな、メンフィス。その気持ちは少しも変わらない。
その名を聞くだけで、鼓動が高鳴る。
自分が何の為にこの古代へ戻ったかも忘れ、キャロルは、一刻も早くメンフィスに逢いたい、それだけを考え、道を急いだ。
>>457 10
濡れた服をエジプトの衣装に着替え、キャロルは胸をときめかせて、久し振りに再会するメンフィスの前に立った。
だが。
「義姉上、よう参られた。して、キャロルは無事であろうか?今、何処にいる?母なるナイルの女神の元か!?なぜ、私の元へ帰ってこぬ!」
挨拶もそこそこに、自分のほうへ身を乗り出して、矢継ぎ早に訊いて来るメンフィスに、キャロルは目の前が真っ暗になるような絶望を覚えた。
他の誰が判らなくてもいい。
年齢を経て姿が変わろうと、瞳の色が違おうと、メンフィスは、メンフィスだけは自分の事を、判ってくれるのではないか。
自分の妻のキャロルだと、気づいてくれるのではないだろうか。
そんな淡い期待を、キャロルは抱いていた。
そして、それは、メンフィス自身によって無残に打ち砕かれたのだ。
メンフィス、わたし、キャロルよ?
あなたもなの?あなたも、私が、解らないの?
あんなに、私の事を愛してくれた、あなただったのに!
そう叫びだしそうになるのを、キャロルはぐっと堪えた。
俯き、唇をかみ締めて、零れ落ちそうな涙を呑み込む。
そう、思っていてくれたほうが、都合がいいではないか。
もう2度と、自分は古代には関わってはならない。兄の銃弾にイズミル王子が倒れた時から、キャロルはそれを痛感していた。
だから、たとえ、メンフィスが気づいてくれたとしても、自分がここへとどまる訳には行かないのだ。気づかれないていた方が、きっと、辛くない。
キャロルは自分にそう言い聞かせた。
ややあって、顔を上げたキャロルの表情は、もとの理性溢れる、穏やかな表情を浮かべていた。
「お心静かに、お聞きください。妹は、キャロルは、貴方の元へは2度と、戻りません。私は妹に請われ、その事を告げに、そして妹のやり残した事をやりに、参ったのです」
新作ラッシュは嬉しい…。が、どれも同じ路線なのね〜(ニガワラ
ま、物議をかもしだした例の引用&まとめ作品みたいなあからさまな事にはならないだろうけど。
あれは酷かったからな。
>>428 47
初老の医師はキャロルを安心させるように穏やかに微笑むと診察をし、それから怪我の状況を分かりやすく話してくれた。
喉は煙と煤に燻されていて当分声を出してはいけないこと。額の切り傷は3針ほど縫ったこと、絞められた首は当分赤みが消えないだろうこと。それに左足首は骨折していること。
「お嬢さん、あなたは恐ろしい目にあって、ひどい怪我をしたが神のお恵みとシークの行き届いた看護のおかげで生きている。これは天恵ですぞ?
決して軽い怪我ではないが必ずいつかは綺麗に治って、あなたは元気になる。
今は何の心配もせずに治療に専念なさいますように。私がお手伝いいたしましょう」
シーク・イズミルが言葉を添えた。
「そのように心細そうな顔をしてくれるな。まるで見ず知らずの場所に一人で放り出された子供のようだ。私はずっとお前が目覚めるのを待っていたのだ。
お前は私を知っているだろう?私はお前が兄同様に甘え、頼ってよい相手だ。
さぁ、薬を飲んで。何も心配しなくてもいいのだ。お前が怪我が治るまで私が面倒を見て、きっと元気な身体にしてやろう。それが私の役目だ。
お前の仕事は早くよくなって私を喜ばせてくれることだ・・・」
シーク・イズミルの瞳が金茶色に燃えた。
(お前はやっと私の許に戻ってきてくれた。もう一度お前を失うのではないかと思ったときの恐怖はもう味わいたくない)
キャロルはこくん、と頷いた。医師の肩越しに見えるシーク・イズミルの微笑みが嬉しくて、キャロルはじきにまた眠ってしまった・・・。
(シーク・イズミル・・・。私を待っていてくれた人。私、不思議な夢を見たって・・・話さなきゃいけない気がする。
大切なこと、言わないままでいるのは嫌だって思ったこと・・・。落ちていく飛行機の中で、あんなにも生々しく感じたこと・・・)
48
「それで、シーク。これからどうされるおつもりですか?シークがお助けになって宮殿にお連れになった方は・・・私の思い違いでなければキャロル・リード嬢のように思われます」
「大当たりだ、とでも言ってお前の眼力を褒めればいいのか、ルカ?
私は人道上の理由から生き残った人々の救助を行い、生存者は適切な治療が受けられるよう病院に送った。
キャロル・リードは怪我もさりながら、心的ショックも大きかろうと思って気心も知れている私の許に引き取ったのだ。私と彼女は旧知の仲なのだしね」
ルカはやれやれと吐息をついた。全くシークらしからぬ唐突な振る舞いだ。
わずかな生存者―犯人グループの生き残りも含めて4人―はアル・シャハルで無事保護された。現在は各国大使館が生存者の身元確認を急いで右往左往しているだろう。
アル・シャハルの外務省も今後の対応に追われ大忙しのはずだ。現にシーク・イズミルの執務室にも決済を仰ぐ案件が山積している。
「シーク・・・。外務省の方にキャロル・リード嬢の無事を知らせますか?
」
「ルカ、僭越が過ぎる。リード嬢の扱いについては私自ら連絡を行う。
それより今は他の案件を決済していかねばな・・・。
今回の惨劇の元凶を作ってくれた空軍機の国元への抗議、怪我をしたり財産を傷つけられたり失ったりした者への補償・・・。
しかし無意味に強硬に出ては今後のことに禍根を残す。災禍は災禍としても・・・やっと開かれた外国との窓を閉ざすことは避けねばならない」
シーク・イズミルは、何ともいえない顔をしているルカを無視して窓の外、宮殿の西翼にある自分のための一角を見やった。
あそこには探し求めていた少女がいる。自分では動けない美しい人形のような少女が。
(もう二度と同じ過ちは繰り返さぬ・・・)
49
アル・シャハルのシーク・イズミルは、今回のハイ・ジャック事件で生き残った人々を丁重に扱った。
自国の病院で加療し、本人の希望と体力を勘案して順次、帰国させた。生き残ったハイ・ジャック犯人については各国の圧力をはねのけて、国際的な司法の場で公開された裁きを行うよう尽力した。
情報の公開と、行動の公正さ、透明さが悲劇の繰り返しを防ぐだろう、という若いシークの声明は皆の胸に不思議な感動を呼び起こし、大国と呼ばれる国もとるに足らない砂漠の小国の前にひれ伏した。
ただ・・・・。
ただ、キャロル・リードの行方だけは、はっきりと分からないことにされていた。
シーク・イズミル自らが助け出した生存者に関する情報は徹底的にブロックされ、救助隊すらシークが助けた人間の性別、年齢も分からないほどだった。
王家への時代錯誤とも言える盲目的、絶対的な忠誠が当たり前のこの国で、キャロルの存在は夢か幻のようにかき消えてしまったのである。
犯人が腹立ち紛れに人や物品を大空に向かって放り投げるという蛮行を行った今回の事件を考えると―遺体はどれも粉々であったし、いつ何人が放り出されたかも曖昧だった―それも当然だった。
アメリカ政府内に隠然たる影響力を持つ世界企業リード・コンツェルンの総帥ライアンですら、いつものように大統領を動かして物事を解決するというわけにはいかないのだった。
50
「具合はどうだ?」
いつもの時間にキャロルの許に見舞いに訪れたイズミルは寝台の上に起きあがり、所在なげに窓の外を眺めていた少女に微笑みかけた。
キャロルがこの王宮の西翼に連れてこられてもう十日が過ぎた。キャロルは徐々に回復し―といっても、薬のせいで一日の大半はうつらうつらしている―
起きあがれるようになった。
キャロルもまたシーク・イズミルを見て嬉しそうに微笑んだ。彼の顔を見ていると不安も心細さも消えていくような気がする。
「薬は飲んでいるか?よく眠れているか?皆は親切にしてくれているか?
どこか痛んだりはせぬか?熱は出ておらぬか?」
キャロルは馴れ馴れしく額や身体に触れるイズミルの手で緊張して身構えることもなくなっていた。シークの言葉にいいえ、というふうに首を振る。
「それは良かった。医師はお前の回復ぶりは順調だと褒めていたぞ。首筋の包帯はもう取れたのだな・・・」
イズミルはまだ紅い筋の残る首筋を愛おしげに撫でた。ライアンがキャロルに贈ったガーネットの首飾りをハイ・ジャック犯が引きちぎり、首を締め上げた跡。
痛々しいその輪は、イズミルに悪夢を思い出させる。
だが同時に、忌まわしい悪夢の象徴のように思っていたガーネットの首飾りが失われ、首筋の「赤い輪」は今やただの「いつかは消える傷跡」にしかすぎなくなったのだということが彼を安心させた。
「そうだ、今日はいいものをもってきてやったぞ」
イズミルはキャロルにノートとペンを差し出した。当分声が出ないならば筆談を、という心遣いだった。期待通り、キャロルは嬉しそうに微笑んだ。
『ありがとう。シーク・イズミル』
キャロルはエジプトで習い覚えたアラビア語でそう書いた。
イズミルサマ、いつの間にかキャロルをお前呼ばわり。
でもキャロルもいやがってなさげだし(笑
ライアンって政界にも顔が利くのねー。大財閥やってたら当然か。
超大国の大財閥の総帥と、砂漠の国の跡取りなら立場はどっちも「王子様」?
ぱくりぱくられ2ちゃんねる〜
まぁキャラ萌え2次創作だからしょうがないか
たった一つはパk(ryだったのか?
しつこいマンセーレスはイヤミだったのか?
あわわわわわ
しゃしゃり出てきてすみません、作者です。
私の書いた話のせいで、物議をかもしだしたようなので
一言お詫びを。
「イズミル王子とキャロルでベタベタなハーレクインロマンスを!」と思って
書いたのがあの話でした。
展開や文章力に実力がなかったので
お気に召さない方もいらっしゃると思います。
ご不快にさせてしまったのでしたら大変申し訳なく思います。
一応自分の少ない脳味噌で考えた話で、パクるとかそういうもりで書いたわけではありません。
作者の好みの傾向がそういう方向だっただけのことです。
このスレ荒らす要因にしてしまったのでしたら
本当にすみませんでした。
私はこのスレが好きです。
自分では想像もつかない素晴らしいお話を書かれる作家様方がいて、
活発なレスもあります。
話の展開も登場するキャラクターもバリエーションが豊富で、
読むのがいつも楽しみなスレです。
ですから自分の書いたものが原因で
スレが荒れるのは正直とても辛いです。
話を書いた身には感想をレスしてもらえるのは
心から嬉しいと思いますが、
あのお気に召されたと言う大群のレスは
正直な話、小心者の私には恐ろしく思えました。
レスを下さった方、すみません。
それとここのスレの持ち味のマターリマターリが失われる事がないことを
祈ってやみません。
勝手な事ばかり書いて、お目汚したこと
どうぞお許しください。
>>466 釣られちゃだめ〜〜
>>467 自分は作家様のこと、そんな風におもってません。
たった一つの言葉おもしろかったし、いつもたのしみしてました。
新作心待ちにしてます!!
粘着レスする厨がいても、キニシナーイ!!
たった一つの言葉作家様
えっとパクリ云々の発言を真に受けてあれこれ悩まれる必要はないと思います。
あの作品はとても面白いもので沢山の好意的な発言も決して揶揄だとかそういう
ものじゃないと思います。
本当に面白くて毎日続きが楽しみでしたもの。同じ意見の方も多いでしょう。
皆が「読んでみたい」「こういうお話がスキ!」っていう最大公約数的要素
(決してパクリとかそういう意味じゃなく)を詰め込んだお話は、これまで
も繰り返し現れ、そして好意的に迎えられてきたと思います。
イズミル王子とキャロルが多くの困難・誤解を乗り越えて幸せになる物語、
メンフィスとキャロルのほのぼのなお話・・・。
今、作家様達がアップして下さってるお話も私たちが読みたい!と思うものばかりです。
もちろん、いいなと思う物語には個人的嗜好もあるし、どうも受け入れがたいパターン
というのもあるでしょう。
そういう場合、好意的なコメントにむかっときてわざと意地の悪い書き込みをする
人もいるかと思います。
そういう場合はまぁ、スルーということにしませんか?意図的にパクリ話を書く人も
いないと思いますし、目に余る場合は自然と淘汰されると思いますよ?
マンセー意見ばかりじゃないということは作家様達も十分分かっておられると思います。
でも書き続けて楽しませて下さる作家様とそれを待っている読者もいるのです。
マターリとこのスレを育てていきませんか???
みんな過去のお話網羅してるの?記憶力いいんだね。
最初、何の事だかわからなかったよ・・・
確かにどっかの引用のような似てるなあと
段々ダブってきてるからそんなもんだと思ってました。
>>444 リード家のために病院が用意したVIP用の病室に、ばあやも一緒に泊り込むという条件で、キャロルはイズミルの付き添いをすることになった。
右手が不自由だからと理由を付けながら、現代での生活に順応するために様々なことを教えるには最適な空間であった。
ばあやが屋敷に戻ったり、買い物で出かけたりする時には二人だけになる。
「今日はママがここに来るから、ばあやは出迎えに行ったの。夕方まで帰ってこないから…」
「ナイルの女神が?」
「あのね、何度も言っているけど私は普通の人間よ。もちろんママも女神じゃなくて普通の人なの。絶対にそんなことは言わないで。」
「そうであったな…しかし私には神の国としか思えない。」
「さ、お昼ご飯を食べて。」
右手の使えないイズミルのために、キャロルはナイフとフォークを使い料理を切り分け、一口ずつ口元に運ぶ。
その合間にスープはスプーンで同じように運び、パンは小さくちぎってバターやジャム、
時にはメインディッシュのソースをつけて左手に渡し、その食欲から嗜好を確認して細かく記すようになっていた。
現代に来てから、これまでずっとイズミルは物静かであった。キャロルを除いて、身の回りの全てが初めて目にするものばかり。
自分がいた国とまったく異なる生活習慣に馴染まなければならない、ということはイズミルも十分承知していた。
>>471 古代での出来事、メンフィスのことは当然ながら、川舟の中での二人の行為についても、イズミルは敢えて一切触れなかった。
それは、キャロルに対する家族や常に一緒に居るばあやの接し方から、今までのようにしてはいけない、と本能的に感じ取り自分自身を抑えていたのだ。しかし、今日は二人だけ。イズミルも自然と饒舌になる。
「ここにエジプトの者は…来たことがあるのか?」
「え?」
「エジプトの…メンフィス王…」
「…」キャロルの手が止まり、室内に沈黙の時が流れる。
「済まなかった…忘れていたわけではないのだ。そなたは家族の元に帰りたくても帰れないと、よく泣いていたな。」
現代に来てから初めてイズミルはキャロルに向って手を伸ばした。
「泣きそうな顔をするな。胸が締め付けられる。」その左手がキャロルの右頬に添えられる。
「いいえ…私は…今は家族に会えたんだから。でもあなたは…。」
「私は大丈夫だ。キャロル、そなたさえ側に居てくれれば。」
「でも王子はヒッタイトの世継ぎよ。必ずヒッタイトに帰すわ。そうでなければ…歴史が変わってしまう…」
「一緒にヒッタイトに帰らぬか?」
「ダメ!私はもう…メンフィスのところには帰れないし、本当はあなたをヒッタイトに帰す方法もわからない…」
「メンフィスの元になどやらぬ!私とヒッタイトで共に生きれば良い!」
「やめて!やめて!」
「なぜそのように私を拒む!そなたはあの時、私の愛を受け入れたではないかっ!」
「もう、やめて…ここで全部忘れたいの…メンフィスのことも…すべて…。」
どのくらい時間が過ぎたか。「ごめんなさい…取り乱してしまって。料理も冷めてしまったわ…」
キャロルが口を開くまでの間、イズミルは左手をキャロルの右頬、そして髪をゆっくりと撫でていた。
「姫、いや、キャロルよ、私がヒッタイトに帰りたいと望むことがそなたに苦痛を与えるのか。」
「王子…」
「王子とは呼んではならぬのであろう?もう泣くな。」イズミルが静かにキャロルに微笑んで、病室は再び静かな時間が流れ始めた。
>>472 「キャロル!ああ!本当に帰ってきてくれたのね。ママがどんなに心配したか…」
夕方、リード夫人、キャロルの母親がアメリカからやって来た。
「もう身体は大丈夫なの?ママにもっと良く顔を見せて。少し顔が痩せたかしら?会いたかったわ。毎日夢に見たのよ、キャロル。」
「ママ、ママ、ごめんなさい、心配掛けて。もうどこへも行かないわ。ママとずっと一緒にいるっ!」
母と娘はしっかりと抱き合い、再会を喜び合う。
「ライアンから聞いたわ。こちらの方がキャロルを助けてくれたんですってね。」
リード夫人はベッドに横たわるイズミルに歩み寄る。
(この女人が…ナイルの女神…?エジプト人とはまったく異なる風貌だが…)
「私はキャロルの母です。娘を助けてくれて本当に感謝しています。怪我をなさったそうで…。
その上、キャロルと同様に記憶を失くしているんですってね。一ヶ月くらいで退院できそうだと伺いましたが、心配なさらないで。
どうぞ家にいらっしゃい。キャロルと一緒にゆっくりと療養して下さい、ね?イズミルさん。」
リード夫人の言葉には、人を疑うという様子など全く感じられない。
「お母上のお言葉、感謝申し上げます。」
(姫の性質は、母譲りであったのだな…)
イズミルは素直な気持ちでリード夫人の言葉を受け入れた。
一方、病室の外では。
「いいのかい?ライアン兄さん。」
「仕方がないだろう。キャロルだけでなくお母さんまでもがああ言う以上は、あのイズミルをリード家で保護しなければ。
ところで、二人の衣服や装飾品の調査はどうなった?」
「それが、やはり保存状態の極めて良い高価な古代の物ではないか、というだけで。
けれども、これだけ保存状態が良いのは考えられないとも。」
「前と同じか…。銃弾の方は?」
「形式は特定できたけど、長く体内にあったから、まだ警備員の所持品と一致するだけの確証はない。」
「ロディ、引き続き調べてくれ。後は二人の出入国記録だな。」
「わかったよ、兄さん。」
>>473 しばらくしてイズミルの退院許可が出た。それを前にして、ライアンは妹のキャロルに語った。
「キャロル、お前が行方不明になっていた間、エジプトの政府だけでなくインターポールにも調査依頼をしていたんだ。
それだけ大騒ぎになっていたんだぞ。本来ならイズミルは失踪事件の重要参考人。
だが、お前があくまでもナイル川で溺れていたところを助けてくれた、と言い張るから、今後もリード家で保護することにした。」
「ライアン兄さん…それって、イズミルを警察に引き渡すこともできるんだ、ってこと?」
「当然だ。なぜナイル川で溺れそうになっていたお前を見つけたのか、
溺れる前から一緒だったのならば、どういった理由があるのか。
それがわかれば、真相解明に近づくのだからな。」
イズミルが警察に引き渡されるかもしれない。
(メンフィスの墓を暴いた王家の呪い…なんて、兄さんは信じてくれるかしら?)
だが、今まで起きたすべての出来事をライアンに話したとして、信じてもらえる自信もないし、話しづらい事もある。
(兄さんがネフド砂漠でイズミルを見て銃で撃ったことをハッキリと覚えていれば…)
「あの…ライアン兄さん、私…行方不明の間に、兄さんに会ったことがあるんじゃないかしら…なんとなくそんな気がして。」
「馬鹿なことを言うな!もしもお前に会っていたら、僕はその場で連れ戻している!」
そう答えるライアンも、キャロルの言葉に益々確信する。
(やはり、二人は油田事故の現場に居たんだ!後は出入国記録を丹念に調べれば、イズミルの身元もわかるだろう。)
>>474 いよいよ退院の日。
散々迷ったが、キャロルはイズミルのためにアラブの伝統的な装束を用意してもらった。
古代のそれとは異なるが、現代風の洋服に比べれば違和感もないだろうと思ってのことであった。
「家に着くまでの間、街の風景を見ることになるけど驚かないでね。」
「今更何を驚くことがあるものか…。水の湧き出る"蛇口"、常に消えることのない"電灯"、これ以上驚くようなこともなかろう。」
そう言っていたイズミルであったが、車窓から見る光景に青ざめてすら見える。
(無理もないわ…古代人にとってこんな未来は想像もつかないのだもの…本当は見せたくない、見せてはいけないものだったのに。)
キャロルは眉を寄せて青ざめているイズミルの右手にそっと手を伸ばした。
まだ完全に握力は戻っていない。だが、「心配しないで」というキャロルの指先のぬくもりを逃すまいと、キャロルの白い指の間に自分の指を重ねて少しずつ力を入れる。
後部座席の二人の様子を、助手席のリード夫人はルームミラーで黙って見つめていた。
「この部屋を使って下さいな。身の回りの物は一通り用意させましたけど、足りないものがあったら遠慮なく仰って。」
カイロのリード屋敷は広い。リード夫人はキャロルの部屋の隣のゲストルームをイズミルの寝室とした。
「キャロルのお友達が来た時のためのお部屋で、前は別の方が使っていたのだけれど、気に入っていただけるかしら?」
「お母上のお心遣い、ありがとうございます…」
イズミルはリード夫人の手を両手で捧げ持ち恭しく礼をした。
「今日は家族だけで退院のお祝いをしましょうね。夕食までゆっくりと休んでいらして。キャロルはお部屋の説明をして差し上げて。」
>>475 「えっと、こっちがバスルームとトイレ。造りは病院とほとんど一緒だからわかるわね。
衣装は毎日着替えてね。お洗濯は、ばあやがやってくれるから籠に入れておいて。
クローゼット、衣装箱はここね。お洗濯したものは、ばあやが部屋まで届けてくれるけど、ここには自分で納めて、着る時は自分で出して。
不便かもしれないけど、我慢してね。…イズミル?大丈夫?」
「ああ…済まぬ。話は聞いておった…」
ベッドに横たわったまま目でキャロルを追いながら説明を聞いていたイズミル。
リード夫人の前では何とか自らを奮い立たせていた。だが、『現実』はイズミルの精神の許容範囲を遥かに超えて重く圧し掛かる。
今信じられる確かなものは目の前のキャロルだけ。
「私は…。気がおかしくなりそうだ、助けてくれ…」
イズミルの右手がキャロルに向ってもどかしげに動く。
「私は今まで命の危ういことなど幾度も遭遇した…だが、不思議と恐怖など感じたことはない…しかし此度は違う。」
「イズミル…王子…」
「そなたの国にあっては、ヒッタイトの王子などという身分はなんの役にも立たぬ、そうであろう?」
イズミルの琥珀色の瞳がキャロルを見上げる。
まーどうしてもキャロルの選択範囲はある程度狭まるから王子の対応も
斬新さが段々なくなってきてるかも〜
他の作品の影響も受けるしデジャヴのように描写が被るのも
仕方ない気がする。
私も全〜然気付かず楽しんで読んでたクチ。
しかし物語のネタも王子マンセー物が続いてるから
この辺りでそろそろ 男 前 のメンフィスをキボンヌ〜
なんか王子がヒーロー過ぎて昨今のメンフィスヘタレ過ぎ(涙
>>476 なんと答えればいいのか…しかし、どんな言葉もイズミルの慰めにはならない、キャロルは自分自身の体験でそれを良く知っている。
自分が古代に迷い込んだ時、確かに混乱したが「過去」というものの存在を知っていた。
未来の人間だということを誰一人知らずとも、史実を知っているというだけで神の娘と崇められ、古代エジプトの王妃にまでなった。
だが、イズミルは過去から来てしまった人間。(怜悧な王子が人前でこんなに弱さを見せるなんて想像もできなかった…)
「もう一度、先ほどのように私の手を握ってくれぬか?」
イズミルは不安げな眼差しでキャロルに懇願した。
「眠って…側にいるから。」
イズミルの言葉に胸を痛めるキャロルは、ベッドの端に座ってイズミルの右手を両手で包み込む。
「あの舟の中で…」
瞼を閉じたまま語りかけるイズミルの言葉に、一瞬キャロルは身体を硬くした。
「手を離さないでくれ…。そなたに謝ろうと思っているのだから。
舟に引き上げた時、夢中で私に抱きついてきた意識も朧気なそなたに、我を忘れてそのまま我がものにしてしまった。
そなたの気持ちを踏みにじったこと、本当に済まなかった。これがその罰であろうな。」
「そうじゃないの…あ…いえ…それは関係ないから…」
これまでの出来事はすべて王家の呪いから始まったことである、そう言えたらどんなに楽か。
だが、それには時を隔てた未来の世界であることを説明しなければならない。
「罰ならば私一人に…あなたが悪いんじゃないから。私のせいなの…ごめんなさい…」
(王家の呪いのせいだけじゃない。歴史を歪めた私の罪。)
>>478 ダイニングテーブルを飾っていたリード夫人は、来客の報せを受けて玄関ホールに出向いた。
「お久しぶりです。あの…さっき祖父からキャロルが退院したらしい、と聞いたので。」
玄関に立っていたのはジミー・ブラウン。
「入院中もずっと会えなくて、心配していたんです。キャロルに会わせて下さい!」
「キャロル・リード嬢発見される」の報道はあったが、その後の状況などは一切マスコミに発表されなかった。
家族以外は面会できず、病院関係者の口も堅かったためにジミーもキャロルに会えず事情がわからないまま、苛立ちの日々を過ごすしかなかった。
リード財閥の考古学発掘事業に祖父のブラウン教授が携わっている関係で、今日が退院の日らしいとようやく耳に入ったのだ。
「ジミー、何度も病院に足を運んで下さったと聞いています。でもね…ごめんなさい。
ライアンからキャロル達には誰も会わせるなと言われていて…」
「キャロル達?キャロルは一人じゃないんですか?!」
ジミーはリード夫人の失言を聞き逃さなかった。
「僕はキャロルの婚約者です!お願いです!」
「私から返事はできません…キャロルも今はまだ休んでいるでしょうし、ごめんなさいね…ジミー。」
この前キャロルが失踪したのは、ジミーとの婚約パーティの最中で、婚約をライアンの反対を押し切って進めたのは自分であった。
それが原因でキャロルが失踪したのではないか、リード夫人はずっと悩んでいた。
「キャロルの様子を見てきますから…ライアンが戻るまでここでお待ちになって。」
ちっ現代にはジミーがいたか(w
話にならんだろうが。あとアフマドは出て来るかしら?
>>479 しかしキャロルは自分の部屋にいなかった。
(イズミルさんのお部屋にいるのかしら?)ノックをするが返事がない。リード夫人はそっとドアを開けてみると…
自分をそっと揺り動かす手の温かさでキャロルは目を覚ました。
ベッドに横座りしたまま、イズミルの胸を枕に眠ってしまったらしい。
「あ…ママ…」
「しっ。静かに。イズミルさんを起こしては気の毒だから。」
キャロルはゆっくりと身体を起こし、ずっと繋がれたままの手をそっと離した。
「キャロル、実はね、ジミーが来ているの。」
「え?ジミー?」
「あなたが会いたくなければ断ってもかまわないのよ。ライアンからもそう言われているし…。」
どんな顔をして会えばよいのだろう。かつて婚約までしたジミー。だが、今の自分は…
「ママ…私…」
「いいのよ、キャロル。ジミーとの婚約のことはママが悪かったの。それが嫌だったのね?ごめんなさいね…キャロル。」
「ジミーのことを嫌っていたんじゃないのよ!でも…違うの…その結婚とか…」
「ママがジミーにお断りするから、今日は帰っていただきましょう。」
「いつかきちんと自分の口からすべて話すから…ごめんなさい…」
それはジミーに対してか、母のリード夫人に対してか。
階下の玄関ホールでは、すでに騒動が起きていた。
>>481 「なぜ僕がキャロルに会わせてもらえないんですか!」ちょうど帰宅したライアンにジミーが懇願していた。
「僕はキャロルの婚約者です。今までずっとキャロルを探してきたんです!会わせて下さい!」
ライアンはジミー・ブラウンという青年をあまり好きではなかった。
それはジミーのせいではなく、あくまでもライアン個人の感情。
だが、婚約パーティの最中にキャロルが失踪した時に、やはり自分の考えは間違っていなかったのだと、この青年はキャロルには相応しくないのだと確信していた。
「君との婚約は、キャロルが失踪した時点でブラウン教授に解消を申し出ている。
君のご両親も同席せず両家の合意に基づく正式なものではなかったし、元々僕は反対だった。」
「キャロルの気持ちが聞きたいんです!会わせてもらえるまで帰りません!」
頑として動こうとしないジミーに困り果てるライアンであったが、ふと思いついた。
「いいだろう。今日は家族だけで退院祝いをする。キャロルの友人としてならば招待しよう。」
「ライアンさん、ありがとうございます!」
「用意が出来るまでリビングで待っていてくれ。さあ。」
ジミーをリビングに通すと、ライアンはイズミルの部屋へと向った。
「お母さん、キャロルもここにいますね?入りますよ。」
イズミルもすでに目を覚ましており、ドアを開けたライアンは笑顔を作りながら言った。
「二人とも、退院おめでとう。イズミルは回復するまでゆっくりと過ごして下さい。
キャロルも無理をせずにのんびりとすればいいから、な?」
「ラ、ライアン。ジミーが…」
「ああ、お母さん、そうですね。今日はジミーが訪ねてきたので食事に招待しました。
キャロルの支度をしてあげて下さい。さあ、あまり待たせては気の毒ですよ。」
ライアンはキャロルとリード夫人を部屋から追い出すように急き立てた。
>>482 「さて、イズミル。聞いての通り、今日は一人客人を招くことになった。キャロルの友人ジミー・ブラウンという青年だ。」
イズミルはリード夫人がキャロルを起こしに来た時から気が付いていて、目を閉じたままずっと二人の会話を聞いていた。
(この男、何を考えておるのだ?ただ招いただけとも思えぬ。)
イズミルは黙ってライアンの次の言葉を待つ。
「以前、母が彼とキャロルを婚約させたがっていたが、今日はあくまでも友人の一人として招いた。
彼はそのことで君に何か無礼な事を言うかもしれないが、気にしないでくれたまえ。」
(なるほど…ライアンはその青年を快く思っていない…と言うことか。)
「もうしばらくしたら、キャロルと一緒に下りて来てくれ。」
「ライアン。」
部屋を出て行こうとするライアンにイズミルが話しかけた。
「なんだ?」
「こうして世話になっていること、貴殿には感謝している。」
(おそらく、私には私の役割があるということだな。ここはライアンの望むとおりに…)
キャロルがジミーを愛しているとは思っていなかった、いや思いたくなかったライアンは、婚約パーティの最中にキャロルが失踪したことを表向きの理由として、婚約の白紙撤回を申し出ていたし、
ブラウン教授もリード夫人も承諾しているが、当のジミーだけは今もキャロルとの婚約は、二人の間で約束したのだと主張する。
(ジミーには気の毒だが、キャロルの口から直接言わせるようなことはさせたくない。イズミルの存在を…利用させてもらうか。)
妹可愛さのあまり、ふと思いついた計画がどのような結果になるのか、ライアンは知る由もなかった。
心細げな王子が新鮮でいい。
キャロタソも母性本能くすぐられちゃうのでは。
リード夫人=ナイルの女神・・・とか思っちゃってるところも
かわいい。
あとこのスレ読むの大好きなんですが大量うpは、まじ
嬉しいです。お盆休みの閑古鳥状態が嘘のようです。
なぁんだ、すでにラヴラヴ一直線じゃないですか。(いい感じいい感じ)
ライアソ的にはイズミルのほうが地味ーよりは気にいってんのか?
ジミーよりイズミルの勘がするどそーなとこがなんとなく気に入ったのでは
ないでしょかライアン兄さん。
パクリ疑惑だの、お詫びだの・・・怖いよ。
荒々しくて近寄りがたいメンフィスが見たいよう
近寄りがたいっていうのは大事よね
わたしはここが好きっ
>時のナイル作家様…時間の歪みに落ちてしまったというのがツボです。
お相手は誰なんでしょう?楽しみにしています。
>LOVE作家様…私はもう自分を抑えないぞの王子萌え〜〜楽しみです!
>遠い約束作家様…現代版王子で、新しい風穴空けてくれたって感じで
次々と新作ラッシュ嬉しいです。作品も続き楽しみにしています。
>たった一つ作家様…自信を持って下すって良いと思いますよ。沢山のレスが
物語ってるじゃないですか?楽しく読ませて頂きました。
毎日書かれるのは大変だと思いますが、皆さんサクサクと書いてくれるので
展開が早くて、楽しみにしています。
頑張って下さいね。
>ぱくりぱくられ2ちゃんねる〜
>まぁキャラ萌え2次創作だからしょうがないか
本質はコレでしょう。
パクリがダメ、という事になったらそもそも二次創作は・・・?
あまりパクリだの何だのって気にしなくていいんじゃないのかな〜。
気に入ったシーンやセリフは何度でも読みたいもん。
だからこそ、作家さんも読者もここに来ている訳だと思うんですが。
たったひとつみたいな作品もあっても良いと思います。
独創的なストーリも、改良型ストーリーもどちらも歓迎だけど、みんなは違うのかな?
>492
パクリと二次創作は大きく違うって。
つか、それ以前に、釣られてどうする?
ワタシモナー
作家さんたち、お忙しいのに楽しませてくれて本当にアリガd。
どの小説もツボで、本当に楽しみにしています!
メンフィスファンの方も2次創作書いてみてはいかがですか?
近寄りがたいメンフィス、楽しみにしています。
ここがダイスキなのでマターリ楽しみたいです。
>>463 51
「ああ、そうか!お前はアラビア語もできるのだな!もっと他に書けるか?」
『少し。難しい』
キャロルはぎこちなく書いた。そしてしばらく迷った末に慣れた母国語で書いた。
「事故からどれくらい経ったかしら?家族に連絡をしていただけたでしょうか?私は家族に会いたい。きっと心配している」
「ああ・・・そのことか」
珍しく歯切れの悪いイズミル。
(そうか・・・。いつまでも囲っておけるはずもない。この家族思いの娘を。
身体を治してやって私のことを愛させるようにしようと考えていたが、今時そんな愚行が許されるはずもない、か)
「どうしたの?」
キャロルはもう一度書いた。頭の良さと神経質さが同居した右上がりの文字。
兄と似たような字を書くのだな、とイズミルは寂しく思った。
「そうだな、話してやらねばな・・・」
イズミルはキャロルに説明してやった。
事件の後、アラブ諸国の領空内で越権的な行動を取った戦闘機の所属する国―それはキャロルの祖国だ―との緊張が高まっていること。
事件で間接直接に被害を被ったアル・シャハルや近隣友邦の国民感情に考慮して、現在キャロルの祖国とは事故の処理関係のことを除いては事実上断絶状態であること。
他の生存者は治療の必要上などの理由から国外に出ており、キャロルだけが事故の関係者としてはアル・シャハル国内にいること・・・。
「・・・だが心配はしなくていい。お前の家族にはもうお前の無事を知らせてあるから。いつになるかは分からないがきっと再会できるようにしてやろう。
今の状況を考えてみればお前の存在をおおっぴらにするのは好ましくないのだ。可哀想だと思うが、私はお前を守るために全力を尽くそう」
・・・イズミルはキャロルに嘘をついた。キャロルが婚約発表のために帰国する途中だったと信じている彼は、彼女をライアンの許に帰したくなかった。
遠い約束のキャロルは、神経質・おとなしめの設定なのでつね!
あまり王子に逆らわない従順そうなところも嬉しい。
本編のキャロルがだんだん我侭であつかましく厚顔になっていくのが耐えられないので
なんだかホッとします。
外見16歳、中身中年主婦みたいなキャロルは嫌なのだー!
少女らしい恥じらいのあるキャロルじゃないと、いくら相手が素敵でも萌えないよ〜。
テティがレギュラーキャラ化してからヲバ化が進むキャロル。
テティは作者だという説がでたこともあるけれど、どーよ?
笑わせちゃ、嫌ずら〜!
テティも最初はスリムだったのにね(藁
今じゃ、アンパン○ンだよね。
そういや、ダイジェスト一万ヒット超えたね〜
誰が踏んだのかなー?
キリバンのおねだりネタは、あぼーんすか?
>>483 「席が…6つ?」
ダイニングルームに招き入れられたジミーは違和感を感じた。
リード夫人の言葉に従って席に座るが、空いたままの三つの席は自分の隣にひとつ、円卓のちょうど向かい側、リード夫人とライアンに挟まれた二つ。
残る家族はロディとキャロル本人だ。
自分の隣にキャロルが座ったとしても、向かい側の二つの席は主役が座るべきもの。まさかロディとその連れ?しかし家族だけの退院祝いとライアンは言った。
「あの、ロディさんは?」
「ロディは仕事の都合で少し帰りが遅れるそうだ。」
その時、ジミーの背後でドアが開いた。
席を立って振り返ると懐かしいキャロルが…すぐに駆け寄ろうとしたジミーの足が止まった。
「キャロル…」
「長い間、心配をかけてごめんなさい。ジミー、あの、、、今日はありがとう。」
キャロルをエスコートしている髪の長い異国の男性の存在が、ジミーに言葉の続きを飲み込ませてしまう。
少し時代的な雰囲気はあるが、ライアンの元までキャロルを導き、当然のように自分の向かい側の二つの席に座るのをジミーも黙って見ている以外ない。
「紹介しよう。キャロルを助けてくれたイズミルだ。怪我をしてまだ右手が不自由なので、キャロルが世話をしている。」
途中で遅れてきたロディが参加して、キャロルの退院祝いは、不安げなジミーの気持ちをを他所に和やかに過ぎていった。
>>499 「キャロル達は疲れるといけないから、もう上で休んだほうがいい。お母さん、お願いしますよ。」
リビングに寛ぎの場を移した際に、ライアンがリード夫人に切り出した。
「え、ええ、そうね。イズミルさんもまだ怪我が治らないのですもの。さあ、キャロル、ジミーにご挨拶をして…」
「ジミー、今日は本当にありがとう。マリアやハッサンにも私は元気だと伝えて。」
「キャロル、僕は…君がカイロ学園に戻ってくる日を待っているよ。一緒に考古学を勉強する日を…僕達は約束したよね?」
「私は、もう考古学のことは…古代の歴史には関わりたくないの。ブラウン教授にもお世話になったのに…ごめんなさい。」
「それはどういうこと…?」
しかし、キャロルは目を伏せ静かに首を横に振るばかり。まるでもうその話はしたくない、と拒絶するかのようにさえジミーの目には映る。
当然のようにキャロルの脇に立つイズミルを、非難するような眼差しで見つめるジミーだが、逆にイズミルの射るような琥珀色の瞳の前にして…
(その男は誰なんだ?キャロル、君は僕と結婚の約束をしたじゃないか!)
なぜその一言がいえないのか。
イズミルはふと自分を凝視するライアンの視線に気が付いた。そしてキャロルの手を取りジミーに向って初めて言葉をかける。
「ジミー・ブラウン、キャロルも疲れておるようだ。早く休ませてあげたいゆえ今日は失礼させてもらう。」
その堂々たる態度は、ヒッタイト帝国の王子として威厳を保ったイズミルそのもの。
ジミーに反論の余地など与えずに、戸惑うキャロルを連れて部屋から出て行く。
>>500 「ライアンさん…彼は一体…」
唇を咬みながらジミーはようやくライアンにずっと聞きたかった言葉を口にする。
「イズミルに関する質問は一切答えられない。だが、キャロルは落ち着き次第、アメリカに帰らせるつもりだ。」
「ライアンさん!キャロルは僕と一生、考古学をやっていこうと約束したんですよ?!」
「考古学から離れたいというキャロルの言葉は今日はじめて聞いたが、僕はもともとそのつもりだったし、それがキャロルの返事ではないのか?」
「僕は…僕は納得できません!」
これでは平行線だ、と思ったロディが口を挟む。
「ジミー、君がキャロルを心配して今まで探してくれていたことは感謝するよ。
でも、キャロルが失踪したのは、兄さんが反対していた君との婚約パーティの日だったんだ。
お母さんや僕がキャロルの気持ちを十分考えなかったことをどんなに悔やんだか、それを察して欲しいんだ。」
「…わかりました…でも僕はキャロルに忘れて欲しくないんです。
僕と一緒に古代エジプトの歴史を研究していこうと誓ったことを…
何度でもキャロルに言います!僕は絶対に諦めないと!今日は…これで失礼します…」
ジミーが去った後、リード兄弟は書斎に席を移した。
「今までお前はジミーに好意的だったが、キャロルの言葉が原因ではあるまい?」
兄の言葉に弟は頷く。
「例の油田事故の件、兄さんの言ったとおりだった。」
「では、あの銃弾が?」
「99パーセント間違いないだろうと。」
「やはり二人はサウジアラビアで一緒だったんだ。あの油田事故の現場からどう逃げたのかわからないが…」
「でもね、兄さん。そんなことが可能だろうか?炎の中から逃げるなんて。」
「いや、銃弾が一致した、それだけでいいんだ。後は…直接聞き出すしかない。あの二人は何か隠している。」
>>501 久しぶりに自分のベッドに横たわるキャロル。しかし、その胸のうちは乱れて眠りにつくことが出来ない。
深夜の静寂の中、ゆらりと闇が動き過去から自分を呼ぶ声が聞こえてくるような気がして一人の夜が怖かった。
思い返せば、メンフィスの墓を発掘した時からアイシスによって自分にかけられた王家の呪い。
自分は古代でそのメンフィスと出会い、エジプトの王妃となった。
だが…そのために古代の歴史を捻じ曲げ、多くの命を犠牲にした。
しかもアッシリア城を崩壊させ、バベルの塔までも破壊してしまい、それだけでなく、
古代ヒッタイト帝国の世継ぎの王子を現代に連れてきてしまったのだ。
(私が古代に興味を持ったことで、多くの人を傷つけてしまった。)
キャロルは、自分のせいで現代に迷い込んだ古代ヒッタイト帝国の世継ぎの王子さえいなければ、すぐにでもアメリカに帰りたかった。
(でも、王子を放っておくことはできない。私の責任だもの。)
キャロルは起き上がるとそっと廊下に出て、イズミルの部屋のドアを静かに開けた。
「あの…起きていたの?」
イズミルは窓辺に立っていた。
「こんなことはこの国に来て初めてだが…目が冴えてしまって眠れぬのだ。そなたは?」「あなたのことが心配だったのと…ちょっとね、一人で居ると怖くて眠れなくて。」
(どんな理由であれ私の元に来てくれた。)イズミルの顔が綻ぶ。
「少し話をしてもかまわぬか?」
イズミルは窓辺の椅子に座りながらキャロルを手招きし、向かいの椅子に座るように促す。
月の灯りだけが部屋を照らしている。
>501
「星を見ていた。ヒッタイトやエジプトと変わらぬ星が煌いている。月も同じだ。だが、私はどのくらい遠くへ来てしまっているのだろうな。」
距離でいえばここはエジプトその地であり、地中海を隔てたトルコはかつてヒッタイト帝国が存在した場所。
だが、時間の隔たりをどのように説明すれば良いのか、キャロルには答えられない。
「そんな顔をするな。私は、今そなたと一緒に居られること、それだけで心が安らかになる。
もう無理にそなたを抱いたりはしない。そなたを悲しませてお母上にも嫌われたくない。」
「もしも、もしも戻ることができなかったら、私はずっとイズミルの側にいるわ…」
「なに?それはどういう…?」
「だから、もしも、よ。イズミルがヒッタイトに戻らなかったら、それこそ大変なことが起きてしまうもの。」
「それはナイルの姫の予言か?」笑いながらイズミルが続ける。
「だが、そんなことを聞くともう戻らずとも良いさえ願ってしまうぞ。」
「姫、王子、は禁句よ。」キャロルもつられて笑う。
古代で、イズミルの元で過ごす時はいつも緊張していたキャロルが、イズミルとこんな風に穏やかに話すのは初めてである。
沈黙に怯えて逃げ出そうとしていた頃と違って、静かな時間が流れることが心地よいとさえ感じる。
(不思議ね…今は王子が怖くない。逆に王子の側に付いていないと不安になってしまう。ここが現代だからかしら…?)
キャロルは、イズミルに対して素直な気持ちを言葉に出来るような気がしていた。
>>502 「以前、ライオンに引き裂かれたまま帰ってきた時…うんん、その前もそうだった。
いつも声が聞こえるの。私を呼ぶ誰かの声、エジプト兵の幻、その声と幻に導かれてナイル川に流されて…」
「今は聞こえぬのか?」
「聞こえないわ…聞きたくないの。だから一人になるのが怖くて。」
「聞こえぬのは、私のせいかもしれぬぞ?」
「どうして?」キャロルはきょとんとして聞き返す。
「そなたが姿を消している間、私も星を見ながらいつも呼びかけていた。私の声が足らぬのであろう。」
「イズミルったら。あなたがそんなに大声だなんて知らなかったわ。」二人は声を上げて笑う。
(イズミルがここにいるから…本当にそうなのかもしれない…なんだか眠れそうな気が…)
「キャロル?」
イズミルは窓の外をずっと見ていたが、静かになったキャロルが気になって呼びかけた。
キャロルは椅子に座ったままいつしか目を閉じ眠りに落ちていた。
「部屋に戻って寝たほうがよいぞ…私の腕ではまだ連れて行けそうに…」
揺り動かすが、キャロルは一向に目覚める様子はない。
(母上やライアンが見たら何というか…だが、仕方あるまい。)
左手で上体を支えて自分のベッドまで連れて行く。少し乱暴に横たえるが、それでもキャロルはぐっすりと眠り込んでいる。
(無理に抱かぬ、と言ったばかりだからな。)
キャロルに自分のベッドを譲り、長椅子に身を横たえて(やれやれ…)とため息をついた。
>L.O.V.E.作家様〜うpありがd!
何気に陰謀めいて参りましたね。ライアン何する気だろう?
>あ・い・
でじゃぶ〜
>504
「お母さん、キャロルが部屋にいないんだ。」
朝を迎えたリード家、ライアンがキャロルを起こしに行くと、部屋はもぬけの殻。
「まあ!なんですって?」
「まさかイズミルの部屋に?」
二人はイズミルの部屋の前まで来たが、なんとなく躊躇ってしまう。
というのもリード夫人は、昨日イズミルの胸を枕に手を繋いでうたた寝する娘を見たばかり。
ライアンは、二人が行動を共にしていた証拠を得たばかり。ドアの向こうの光景を想像してライアンは眉をひそめる。
「イズミル、入ってもいいか?」
ドアをノックすると予想と違ってすぐに「どうぞ」とイズミルの声が返ってきた。
「夕べこのまま眠ってしまいました。部屋まで連れて行くことができず…」
キャロルはイズミルのベッドでぐっすりと眠っており、イズミルは長椅子の上でたった今目覚めたような様子。
「キャロルったら…ごめんなさいね、イズミルさんの方が怪我人なのに。」
そのうちにキャロルも目を覚ました。
「ママ、ライアン兄さん…おはよう…あれ?」
キャロルには寝乱れた様子もない。
「えー!私、昨日あのまま寝ちゃったの?イズミル、ごめんなさーい!」
「いや、私は構わないが、お母上やライアンが心配しているのだぞ。」
古代では見られなかったキャロルの様子に、さすがのイズミルも苦笑する。
兄ライアンに叱られると思ったが、キャロルの頭をコツンと叩き「心配させるなよ」と言っただけだった
>>508 イズミルは約束を守ってくれた。
その安心感も手伝って、キャロルとイズミルは一日のほとんどを二人だけで同じ部屋で過ごすようになった。
現代に来てから2ヶ月近くになる。
会話はできても文字を知らないイズミルのために、英語とアラビア語の子供向けの学習教材を取り寄せて、二人で文字の勉強をする。
「私もアラビア語はなんとか聞き取れるけど、まだまだなの。」
「ふうん…こちらがキャロルの国の英語で、こちらがこの地の言葉のアラビア語か?」
「その他にもいろんな言葉があるのよ。フランス語、ロシア語、ドイツ語…いろんな国でそれぞれの人々が自分たちの言葉を話すの。」
「ここにはたくさんの国があるのか?」
「ええ。それぞれに信じる神様がいて、国ごとや国の中にも違った主張があったりして、争いが起きることもあるわ。」
「国の王は?」
「王様が治めている国もあるし、国民の代表、これは国民によって選ばれた人なんだけどね、そういう人々が相談して治める国もあるの。」
「民が…?」
「そうよ。あ、そろそろお医者様がお見えになる頃だわ。今日はここまでにしましょう。」
「もうそのような時刻か?まだまだ聞きたい文字があったのに…」
週に一度、イズミルの診断のために医師が出向く。
「病院でリハビリ治療を受けるのが本来は望ましいのですが、順調に回復していますよ。
あとは以前の握力や筋肉を戻すようにしてください。」
医師は術後の経過が順調なことを告げる。
「おや?キャロルさんは少し顔色が優れませんが…どうかしましたか?」
「い、いいえ、何でもありません。」キャロルは少し慌てた。
「家からあまり出ないものですから…運動不足かしら。たまには外出した方が?」
リード夫人の言葉に医師も同意する。
「そうですねぇ…お若いのですから少し身体を動かしたほうがいいかもしれませんね。」
>>506 書き込みを 半分くらいで 抑えとく
そんな奥ゆかしさが好きかもw
>時のナイルを越えて作家様〜ご降臨待ってますよ。時を間違えて遡って
しまったキャロルは?元に戻れるのでつか?
楽しみにしてまつ。
キャロルの顔色が悪い、っていうのが気に掛かるんだけど、
ひょひょひょっとして・・・?
・・・・・寂しいづら。
・・・わたすも。
願い作家様待ちの習慣がついた自分
なんかさみすぃ〜
待てど 暮らせど
こぬ人を
宵待草の
やるせなさ
今宵は月も
出ぬそうな
深夜組名無し草=宵待ち草か!!
なるほどウマー
本当にうまい〜〜!深夜組さん達〜。
願いも、終わっちゃいましたね。
次回作に期待でつ。
遠い約束作家様〜〜〜今日はどうされたのでしょう?
なんか心配しちゃう…
きっと、来てくれると信じているもん。
にしても、「宵待ち草」が深夜組タンなら朝組タンは?「朝顔」んーー安易すぎる。
昼組タンは?「昼顔」・・・更に安易だ・・・
逝ってきまつ。
週末でもないのに寂しすぎ〜。なんかの間違い?
パクリだの、傾向が似てるだの
余計な文句ばかり言ってる香具師がいるから
作家さんたちうんざりしちゃったんじゃないの?
作家さまたちも忙しいんでしょうね。首を長くして待っております。
民の暮らしを学びたいとキャロルはテティとヌウに頼み込むが、
あと一歩のところで衛兵に見つかり、メンフィスの怒りをかう。
「うぬ等がキャロルを連れ出そうとしただと?!テティ!ヌウ!そこへ直れーっ!」
(ひゃぁぁぁぁぁ〜ころされるぅぅぅぅ〜)震えるテティとヌウ。
「やめて!テティとヌウは悪くないのっ!私が無理やり頼んだのよっ!殺すなら私をっ!」
キャロルは二人の侍女を庇ってメンフィスの前に身を投げ出し、まっすぐにメンフィスを見上げた。
「むーっ!」
メンフィスは剣を手にしたまま固まってしまう。
(ん?どこかでみたような光景…)ウナスは思う。
(どこかで聞いたような言葉…)ルカも思う。
(前にもこんなことが…)兵士達も目配せする。
その時、神殿の奥に通じる扉がゆっくりと開き、
「何を騒いでおるのです。」
と、涼やかな、だが威厳のある声が神殿に響き渡った。
>>523 「なんと!姉上か?」「なぜここにアイシスが?」「アイシス様!」
「こっそり里帰りしていたのに、騒々しい。」「おいたわしや〜アイシス様、静かにエジプトの空気を満喫することも叶わず〜」
アイシスの後ろからはアリがいつものポーズで現れる。
「姉上は今や敵国の王妃、、、」と言いかけるメンフィスに向って
「ここは元々私の神殿。バビロニアの王妃となろうとも帰ってきて何が悪い。」と一蹴する。
「だいたい、エジプトはお妃教育が為されていないではないか。バビロニアはもっと厳しいぞ。」
そしてキャロルに向って言った。
「私が大人しくしていると思って我儘三昧をしておるようだが、もう少し気を引き締めよ。
コブラやサソリ、ライオンもワニもまだまだ豊富に用意してあるので、油断していると見ればいつでも届けて遣わすぞ。」
アイシスはアリを伴って「では、バビロニアに帰る」とスタスタ歩き始めた。
「姉上!」メンフィスの声に立ち止まり、振り向いたアイシスは、
「おお、もう一つ忘れておった。キャロルの言い訳、一度目は通用したかもしれぬが、二度目ともなるとさすがに皆も呆れておるようだ。
そもそも王妃が軽々しく出歩くものではない。少しは周りの迷惑を考えよ。」
自分のことは棚に上げて言いたい放題のアイシスは( ゚д゚)ポカーンとしたエジプトの面々を残して去っていった。
こんな感じでビシッとキャロルを教育してくれる人いませんかねえ。。。
ぎゃはははははっっっっっっ!!!
バンバン(デスクを叩く音)
無茶苦茶楽しいでやんす〜〜。
全くそのとーり・・・・・でも・・・出かけないと・・・
イズミルタン・・・・・拉致監禁出来んがな〜〜。
>>521 それもですが、似たシチュエーションの連載が怒涛のようにうpされて
遠い約束作家様が萎えてらっしゃらないか…すごーく心配です。
萌え度が高いものほどそうなる宿命なんでしょうけれど。
せめて連載が終わってからにしてあげたらいいのに。
作家様=作品書いて下さる神 読者=文句言わず有難く読むべし
みたいな暗黙のルールがあるのかどうか知らないけれど、書き手さん側にも連載中作品には手を出さない、引用するにもあからさまなのはやめる等の最低限の配慮は必要かもしれないと感じました。
例の文句を言っていた方達とは違いますが、少しそのように感じたので書かせて頂きました。
気を悪くされた方がいらっしゃったらごめんなさい。
ただ、良い作品はしがらみなく最後まで作者さんの思い通りに心置きなく書いて欲しいと思っただけです。
同時期に似たお話が出ると、展開も似やすく、作家さんも書きづらいだろうと思いまして。
それに読ませて頂く方も、やはり作品同士混同してしまったり多少するので、勿体無い気がします。
(ダイジェストサイトもあるので、だったらそちらで一気に読めば?と言われればそうなのかも知れませんが。)
それだけです。すみません。
>>526 そこまで書けば他の作家様も遠慮するだろうから一件落着でつよ
あとはうpを待てば回路の日和あり
うーん、でも私LOVE結構萌えなんだけど。
始めの発想は似てても、ストーリー全体は全然
違う仕上がりじゃないですか?
あとばしばしうpがあるから、展開が早いとこも好き。
>526タン 優しい〜〜。うんうん。気持ちはわかるよ。
でも、作家様もこのスレ(=読者タン)の為ににうpしてくれているわけで・・・・
連載が減ってしまったので、うpしてくれたと私は感謝してまつ。
内容も現代物って以外は、カプが被るのは物語上仕方がないと思うのでつ。
キャロル&ネバとか書き手も、読み手も萌えないぃぃぃ(笑)
それに、遠い約束作家様が、このスレ一人で背負わせるのも酷かな〜と。
にしても、続きが気になるね。
>>526サン
フムーなるほど。一理あるご意見ですな。
ここでは読者=作家さんのケースも多いんだろから、そういう配慮はあって良いかもね。
無記名の掲示板だからともすれば対人的マナーもルーズになりがちだからね。
そうしたらパクリ・引用騒ぎも落ち着くのかな・・・
でも遠い約束作家様も忙しいからだけなのかもしれないよ。
マターリ見守りましょう〜〜〜
そういや連載減ったね。でも前スレが異様に名作ラッシュだったからそう思うだけ?
結構のんびりペースで進んでた頃も多かったような・・・。
ネバ×メクメク等の萎え萎え話を書いてみたいが、却下?
こんなキモイカップリング初めてでひょ???
どこまで皆を萎えさせられるかに挑戦ーッ!!
リクエストな〜い?
メクメク×カプター、テティ×カレブあたりもかなりオエエと思うんですけど。いかが?
・・・もちろん「そんなの読みたくねぇよ!」って苦情が来たら止めるわ(泣
誰も止めなかったらマジで書いちゃうよ!(脅迫)
激しく見たいです。
メクメク×カプター…油ぎっちゅなΨ(`▼´)Ψを想像してしまいます。
>>531 読みたい人いるかもだし、ゼッタイ書くな
、とはいえないよ。
うpされても文句いわず、黙ってスルーするね。
あ、でも、まず読んでキモくなったら逃げるよ。
キモくなかったらどーしよー?
ちょーっとこわいもの見たさ(w
>526 は遠い約束さんを思いやった発言をしてるけど、他の人には
けっこうキツイ事書いてるね。
こんな風に書かれたら他の作家さんが書きづらい雰囲気になりそう。
作家様同士の確執が続いてるんだよ
名無しだからって、きつい発言が読者とは限らないでしょう
2年後作家2年後みたいな
まぁ実際のところは誰にもわかんないけど
最近の書き込み見るとここの人口の作家様率は結構高いのかなオモタよ
でも526の言う「似た設定話は終わってからにすれば良いのに」というのは
それもそうだなと思いますた
>>531 萌え対象としては読みたくないけど
怖いもの見たさ&お笑い期待 で激しくキヴォンヌ!
書いて〜〜〜
>作家様率
ワロタ
確かに私なんて読んでるだけだから
面白い筋だけたくさん読めれば満足という感じで
著作権ぽいことには無関心だったかも。
でも皆さん文才あるんですねぇ。ちょっと羨ましい。
遠い約束、どしたのかな〜。ライアンvs王子対決を心待ちにしてまつ。
L.O.V.Eもお話としては好きですよ〜。
私も単なる読者だから何にも考えずに読ませてもらってた。
作家さん率なんて考えてみなかったな。どれくらいらっしゃるんだろ?
なので「文句言ってる人達うるさい」みたいな事書いちゃった。すまそです。
私も書けるものなら書きたいよ〜羨ましいのはげどう>538
続きがよめなくてつまらん。
パクリだの、つまらんことばっかりで騒ぐからだよ。
『ミノア王国のミノス王が初めてエジプトを訪問する』
私はこの話を聞いたときに、意を決してミノア滞在中に感じた、
ミノス王の姫様への仄かな想いをメンフィス様に言上しようと心に決めた。
メンフィス様は炎のようにお怒りになり、ミノス王御滞在中は宮殿の警護を倍に増やし、それだけでは足らず、
メンフィス様と御一緒でない姫様がミノス王の視界に入ることすらないよう、厳重に警戒態勢を敷いたので何事も起きず、
何やら未練を残したように見えるミノス王はともかくミノアにお帰りになられたので、私も心から安堵して、こうやってペラペラしゃべってるんだけど。
姫様もねぇ、お優しいのは結構なことなんだけど、ミノアではそのお優しさが災いして姫様ご自身も、そして、こう申してはなんだけど私もエライ目に遭った。
いえ、姫様をお守りするのが私の役目だしそれは当然なんだけど、私がエライ目に遭ったのはどっちかと言うと姫様が助かってから後のこと…
>>542 『お前が付いていながら一体なんたること!』
『お若いメンフィス王をお諌めしつつ、王妃のお身の上を案じつつ、そして密かにお前の身を案じる私の身にもなってみよ!』
『今度このようなことがあれば、妻として公にし宮殿のお勤めをご遠慮させていただくことも考えねばならぬ!』
こんな感じで、ずっと怒られっぱなし。
でも、宮廷女官のお役目は栄えあるものだし、公に妻となってお姑仕えするのも肩が懲りそうなのよね…今の関係のほうが気が楽そう。。。
それにこのまま姫様の御信頼を得て、将来は世継ぎの君の乳母役になるのが彼と私の夢なの。
なーんて思っているけど、ホントは昼も宮殿で愛する人を見ていたい、ってのが本心かしら。
え?私の恋人が誰か気になるって?そりゃもう決まってるじゃない。
母と息子が共にファラオ御夫妻のお側近くにお仕えしてる方と言えばわかるでしょ?
ん?なんですって?あの方がなぜ私を恋人にしているかですって?
失礼ねっ!こう見てても私…
「脱ぐとすごいんです。」
テティは本編では何かウザいんだけど、憎めないキャラだわ。
テティ、ミヌーエが好きだたの?
ウナスあたりかと思ったよー
この空気の中うpしてくれた作家さん、蟻がd!
今の状況は
>>526タンが心配していたように遠い約束作家様が萎えた、ってのがあるわけで。
その証拠に遠い約束は止まったままだし、心当たりがあるから該当の作家も出てこない。
いろんなことを猛省して該当作家が謝罪しない限り換気しても作家は帰って来ない。
謝罪って・・・大げさな。どっかの半島の人?
騒ぐほどのもんでもないだろうが。
遠い約束はタイムトリップ関連作品が始まってからも
しばらく続いていたし連載がとぎれたのは誰かがパクリパクリ
言い出してからでしょ。作家様本人が出てきて他作品が原因で萎えた、って
言ったわけでもないし。
だいたい遠い約束は輪廻転生の物語で他の2作品はタイムトラベル物
だから微妙に違うといえば違うし。共通する点といえば王子∩キャロルの
カップルが現代を舞台にしてどうこうするっていう点だけじゃん。
おかげでこっちは毎日のお楽しみが無くなって本当に迷惑千番だよ。
遠い約束以外の作家様もカムバックきぼ〜ん。
なんで
>>545タソがそこまで言い切るの?
遠い約束作家様のお気持ち、よくご存知なのね。
>547
だからさ、遠い約束作家様の後を追うように話を展開してるわけでそ。
アラビア語とかでてくんのは、その典型っつー感じで。
そうなりゃ誰だってパクリだと思う罠。
もう一つ、時のナイルを越えて作家様が銃弾ネタを出した後に
すぐ同じネタを絡めて投稿する無神経さ。
これだけ考えりゃ「謝罪汁!」も当たり前・・・って半島系の思考(・・?
語りはもう良いから、
・・・・私がここに来る理由はたった1つ、
「楽しくお話しを読みたい」です。
作家の皆様方、是非この空気を吹き飛ばしてください。
>549
同じく〜。
物語の続きが気になって覗きにきてます。
でも週末・・・
仕事終わった後、
ここで作品読む時間が至福のひととき。
作家様方、お待ちしてます。
でも読者もくれくれ言いすぎだと思ふ。
毎日UPが当たり前なんつー雰囲気は、作家様にもつらいんでないの?
うpされる作品を大切にしたい気持ちはみんな一緒♪
私、ここでも駄作を幾つか書かせてもらった者です。
作者の立場から思うと後から追うように書かれたら、きっとしんどいですよ。
おそらく名前を語って発表する場だったら、あまり安易な行動はできないはずです。
作家様なら何してもマンセーって考え方も、作品読めりゃ何でもいい、というのもどうなのでしょう。
他作品に感化されて物語が生み出される事は良い事と思うけど、無神経すぎるとせっかくのうpも楽しめなくて残念です。
他作品に触発されて、書きたくて発表したくて仕方ない気持ちはよくわかるけど
書き溜めておいて後で発表する事だって出来る訳だしね?
商業ベースでもないので、あまり細かくパクリとか騒ぐ必要は無いだろうけど
読者だけでなく、作家陣にもマナーは必要ですよ、きっと。マターリ行くためにはね。
作家陣のみなさん、またお互いに刺激しあいながら頑張りましょうよ!
作家様、
くれくれ言うのはダメなの?クスン
>>552 そうそう、全スレがうp多かったからそれに慣れすぎたんだよ。
作家様だって仕事や家事しながらだろし、忙しくて書けない時もあるさ。
うpが待ち遠しい時は、ダイジェストさいとへレッツラゴー。
一緒に過去の名作を忍びに逝きませんか〜?
ダイジェストサイトで待ってるよーん
もしかして
たったひとつ=ら.ぶ.作家様でつか?
ここのお話って、ぜ〜んぶ
細川ふ〜みん先生が書いておられるのでは
なかったのでつか。
>526 = >545 = 遠い約束作家?
>558 L.O.V.E作家様?
ただただ、それぞれのお話の続きが読めることを願ってます。
マターリと作家様を待っております。
>556
違いまつよ。
>>535 当らずも遠からじ・・・・
なんで作家潰しっつーか、邪魔ばっかすんだろね。
ひょっとして少し前からパクリだ何だと(口調は穏やかだけど)
ブチ切れて書き込み続けてるのって最近更新が止まった作家本人?
ウ ヒャア〜!
なんかすごい事になってまつね。
単に旅行とか行っててうp出来ないだけだったりしてさ。
これじゃあ滅茶苦茶登場しにくい状態だよ。>問題の作家さん
続きが読みたいです。
続きを楽しみにしている人は多いと思います。
作家様方、よろしく・・・ね!!
L.O.V.Eの続きが読みたいっす。
地味ーや炉ディ、キャロルママが結構活躍してるのも
目新しいし、最後のうpでキャロルの顔色が悪いのが
どうしてなんだか気になるよ。もしかして御懐妊の
伏線とかさ。そんでもって子供にスレイマンと名づけて
誰かさんを煽る・・・なんてのは如何?
はーい、そこまで〜。
もう大体のことは言い尽くしたでしょ?
このスレを楽しむのも見守るのも、みんなの愛情あってこそ。
同じ王家のファンとして仲良くしましょうね(^-^)
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
(\(\_/) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< 換気致しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
過去の亡霊作家から言わせて貰えば…
私は「引用」とか全然気にはならなかったですよ。
自分の書いたものには当然「萌え」ないわけでして…
著作権って、個人のサイトのモノを他の個人サイトでという事ならば納得も
出来ますが、ここに発表した段階で自分の手を離れたと思ってましたが…
私のような大雑把な作者もいますので、マターリと作家様を待ってあげて下さい。
どの作品もシチュエーションは似ててもストーリーは別物って思いましたけど。
それぞれ文章がきれいだし、違った魅力がありますし。
人を楽しませる話、引き込む文章ってなかなか書けないもんだよ・・・
皆さん才能あると思う。
せっかく現実から離れて虚構の世界に浸れていたのに
つまんないことで荒らして楽しみを奪わないでほしい・・・(泣)。
各作家様、お願いですから続きを・・・!!
亡霊作家様とはもしや!?
もしやそうならば、続きうpヨロ(w
おながい、まだ待ってますよ〜
>571
(笑)多分待たれている作家様とは違うと思います〜。
未完ではなく、完結してます。
なんだぁ
ならば、あの作家様でつか?
なんちゃって、おもい当たる作家様なし
そんじゃ、新作おながいします(゚人゚)
( i д i )メソリ
大雑把作家様、わたしからもひとつヨロ。
大雑把作家様、このお時間は?
ひょっとして?次回作激しくキヴォンヌーーーーーー。
大雑把大雑把って、ああたたち失礼・・
でもちょびっとワラタ!!
大雑把作家様〜〜ちゅ
今見たら、私の書いたカキコが作家さん本人のカキコなんて言われててビックリ…
私はご本人じゃないですよ。
ただちょっと心配になったので書いただけです。
私自身は他作品を書いた者です。
だーかーらー
心配とか貴方の書いたものは特定の作家さん以外には言いながら
攻撃的な内容だから煽る人が出てくるんだってばー。
良識派ぶるのやめたら?
>578
2行目がなんか変な文になってる。
心配とか言いながら貴方の書いたものは特定の作家さん以外には
だった。
>581
へ?私単なる読者でつよ。581サンは例の作家様?多分違うだろうけど
決め付けるのは良くないすよ。
まぁ、あなたのような方に誤解されてもL.O.V.E作者様に
「ファンもいるんだよ」っていう声が届けばいいなと思いまして。
>>581,582
いいかげんにしろ!あんたらどっちも痛いね。
582サンも決めつけは良くないと書きながら決め付けてるし。暑さで馬鹿になってるんじゃない?
こういう書き込み読むのすら馬鹿馬鹿しくなてきたよ。
遠い約束にもL.O.V.Eにもファンはいるでしょ。
お馬鹿なファンがわざわざ空気乱す発言をして、声を届けなくても大丈夫だって。
どうでもいいから、早く作家さん達戻ってきて。
多分、馬鹿な書き込みしてるのはここしか楽しみのない一部の痛い人だけですよ。
>578〜582 L.O.V.E作家様の御光臨でつか!
582の発言がますますご本人っぽいにゃん。
・・・・いつから作家様VS作家様になってしまったのやら・・・
ここは2ちゃんじゃないのでつか?
ここは、もう少し落ち着くのでつ。
推測で話をするのは、イタタちゃんでつ。
今は「週末」なのでつ。
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
(\(\_/) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< 換気致しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
ナフテラ様〜〜
今回はいつになく出番が多く、お疲れ様〜〜。
(/_-、)
何かさ・・・
ここに至っては、作家様の姿勢みたいなのが伝わってくるよ。
揉め始めた頃も、うpを続けた作家様と、謝罪までして終息させようとした作家様達。
何の応答もないまま更新を止める作家様達・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
L.O.V.E投稿の「該当」作家です。
迷いましたが、ホントに私が謝罪しないと他の作家さんが帰ってこないんじゃないかと
心配になってきたので、先行で投稿していたお二人の作家さん、そして皆さんに
このような事態を招いたお詫びをさせて下さい。
本当に済みませんでした。
作品投稿中、スレが荒れるのを何よりも恐れているので、
名無しで自己擁護や他者批判などできません。
それは他の作家さんも同じ気持ちだと思います。
だから、○○は××作家だろうなどの当て推量でスレを消費するのは、
他の方々にも失礼ですから止めていただけませんか?
>>526さん、勇気を持って指摘してくださってありがとうございました。
今更もう遅いと怒られそうですが、これで投稿を打ち切ります。
続き云々も含めて子の件については、
スレの荒れる要因となりますので絶対に言わないで下さい。
煽りたい・騙りたい・荒らしたいだけの投稿として皆さんもスルーして下さるようにお願いします。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,__ | マ−タリ スレに戻りますように、、、、
/ ./\ \_______________
/ ./( ・ ).\ o〇 ヾ!;;;::iii|//"
/_____/ .(´ー`) ,\ ∧∧ |;;;;::iii|/゙
 ̄|| || || ||. |っ¢..|| ̄ (,, ) ナモナモ |;;;;::iii|
|| || || ||./,,, |ゝ iii~ ⊂ ヾwwwjjrjww!;;;;::iii|jwjjrjww〃
| ̄ ̄ ̄|~~凸( ̄)凸 ( ,,)〜 wjwjjrj从jwwjwjjrj从jr
そうですね。スレのマタ−リ進行がなにより大事、
ですもんね。
なんでこんなに荒れちゃったんだろうなぁ…
どの作品も楽しみにしてたのに悲しい。
自分は鈍感なんだろうけど、特にパクリとか感じなかった。
萌え設定はどうしても似たようなものになってしまうし。
文体とか雰囲気とか作家様によって異なるし、
それぞれの良さがあるじゃないですか〜
今後はこういうことが無いといいなぁと強く思います。
お叱り覚悟でご相談をば。
王家もいいけど、伯爵令嬢書きたいなーーと、
新スレ立ててもいい?
ここでもいい?
私は個人的にはここでイイとは思う。
細川総合創作スレみたいなかんじで・・・。
それにキャラが結構被る人多いもんね。
誰か他の意見ある人いないですか?
OKです。
でも、伯爵令嬢って、どんな話か知らないんだよなぁ
別室再利用したらどうか?>伯爵令嬢
レスあんがとーー。
そっか。
知らない人も居る事を激しく忘れてますた。スマソ<(_ _)>
未読の人にはポカーンですね。
んじゃ、新作構想練って王家ネタでキバルわ。
>>596 過去ログなので、専用ブラウザ使わないと逝けないの。
でも、あんがとね。
連続カキコ スマソ。
伯爵令嬢、激しく読みたいです〜!!
ここでうpして頂くのダメなんでしょうかね?
知らない方には「伯爵令嬢」を読むきっかけにならないかしら。
そうそう、ここで伯爵令嬢読みたい〜!
まだ秋田書店で現役で売っている本だし、王家に劣らず面白いです。
ちょっと流れを変えて伯爵令嬢希望!
・・・でももちろん今までの王家番外編の続きも読みたい・・・
結構作家さんの中でも、伯爵令嬢ネタで書きたい方いらっしゃいそうな…
私は王家と同じくらい令嬢好きだからここで読めるとホンとうれしいよ
>迷いましたが、ホントに私が謝罪しないと他の作家さんが帰ってこないんじゃないかと
―悪いとおもわないのに、しょーがないから?
>心配になってきたので、先行で投稿していたお二人の作家さん、そして皆さんに
>このような事態を招いたお詫びをさせて下さい。
>本当に済みませんでした。
―何して、何にたいして謝ってるんですか?
>続き云々も含めて子の件については、
>スレの荒れる要因となりますので絶対に言わないで下さい。
―自分だけ言い逃げすんの?
疑問&矛盾だらけだ
>603
どうしてそんなにしつこいのですか?
このスレ、つぶしたいの??
こういうレス、やめない限り、作家様方、戻って来れないじゃないですか〜
せっかく、伯爵令嬢ネタでいいですか、とかスレの流れを良い方向へ
変えようと努力してくださってる方々もいるのに…
スルーすべきだったのかもしれませんが、どうしても我慢できなくて。
自分は、ただこのスレでいろんなお話を楽しみたいだけなんです。
603はスルーできた。
604は待った!
自分は読めたらそれでいい、作家はなにされても
だまって書いてろ、そういうことですか。
己の駄作をパクられただのは思ってません。
ほかの部分含め、やりかたに不満感じることは多々あります。
意欲喪失しました。
何で王家のファンって人の作品に文句つける変な人多いんだろう。
そういう人はどの王家ファンサイトでも作家の意欲を無くすような事ばっかりして。
黙って楽しむ事が出来なければ自分でサイト開設して管理人として
自分の思うようにやって欲しい。
何のための2ちゃんの難民版なのか・・・嫌なら来るなと言いたい。
作家様の気苦労も省みずに
くれくれ言ってすいません(´д`*)
>>605 ほかの部分含め、やりかたに不満感じることは多々あります。
意欲喪失しました。
ファンに「そんな事言わずに書いてー」と言って欲しいような文だね。
他の人が読んで気分悪くなるような事書くなんてサイテー
某王家のファンサイトの管理人さんも前に言ってたよ。
「消えるなら黙って消えて下さい。わざわざ人が読んで不快になるような
事を書いて消えないで下さい」って。
それにここは2ちゃんねんですけど・・・
ううう〜。
この荒れようが悲しい。
私は作家様の作品を読めるだけで良かったんだけどな。
以前のマターリスレに戻ってほしい…
皆さん、どうして流れ流れて難民板に来たか、経緯を知っている方も
多いと思いますが、それを踏まえて、それでも不毛な議論したいですか?
王家のファンは(私も含めて)かなり「年齢の高い」人が多いと思ってます。
年齢の分、いままでの人生の中で「引く、引けない」という場面が多々あった
と思いますし、それが自分が大人になっていく経過だったとも思います。
王家は小さい頃から親しんでいた自分の中の「子どもの部分」ではありますが、
どうか皆さんの「大人の部分」を引き出してください、私はここが大好きです。
しばし、「昔の自分」にひたれる貴重な場が荒れるのは辛いです。
>608
一見もっともらしいよね。
でも、おかしいや。
作家様にだって言いたいことぐらいはあるでしょう。
他人にむかって誘い受け、サイテー、黙って消えろ
だの、書いてるの読む方が気分わるいよ。
あー、これもわざわざ書かず、黙って消えろ?
今がこのスレの分岐点なのかも知れない・・・
作家様も読者も、色々な膿を出していい方向に行くといいね。
作家様のタイプも考え方も色々とありなのもわかりました!
作品を書いている時に、嫌だと感じたら名前を出して
「もう少し待って」と堂々と言えたり・・
そんな自由な書き込みも出来て、読者も煽る事無く受け入れて
・・・そんなスレになりつつあるのかも?
私は作品書いてる訳じゃないから、作家様の気持ちがどんなものかわからないのですが
「書いてくれれば(読めれば)何でもいい。クレクレ」と言うのは失礼な気もします。
「黙って消えろ」なんてチョト言いすぎでは?あなたこそここの管理人のつもりですか?
作品に思い入れの強い作家さんほど今回の事では複雑なんではないでしょーか。
作家さんの言い分や気持ちを無視して「読ませてくれ」だけでは成りたたないんじゃ・・・
ヒヨエー!!L.O.V.E作家様の書き込み、逆ギレっぽい(@0@;)
あんたらの為にとりあえず謝ってやるよ。
気分悪いからもう書かないからな。
続きはどうなるとか、そういう事聞くのも一切お断り!
これ以上、騒ぐのはもう許さないよ。
わたしのパクリ疑惑はこれでオ・シ・マ・イ!!!わかったな?
って読めてしまうんですが。
たったひとつ作家様はとても誠実な印象だったけど、この方って。
ここまでスレ荒らした原因がどこにあるのか全然わかってないんじゃないの?
他作家さん&読者に対してすごい傲慢な人ですねー
>603
作家の人?それとも『作家の気持ちを代弁』してる優しーい
お方なのかしら?
どうせ匿名なんだし、不満がある作家の人は名乗って不満表明
したらどうですか?そうじゃないと、一見作家思いの仕切りたがり
が下らないレス延々つけるし。
作家陣の皆様〜〜
指がうずうずしてらっしゃいませんか〜?
昔懐かしくリレー小説でもしましょうか?
設定やシュチエーションが似てる。かぶる。それは当たり前なんじゃ?
登場人物が同じキャラ、そのうえ場所も時代も限られてる。
そんな条件のもとで書くのだから、多少の似てる、かぶるは、
もう避けられないんじゃないかな。と思ってしまった。
作家様のupするタイミングによっては、
似ている部分がよけいに目立ってしまうことも有るてっことでしょうね。
チーターかいな?
一歩進んで二歩下がるみたいな?
「スレの継続」この方向に向いましょうざーーーーんす。
>>615 もっと素直に読みましょうよ。
私は純粋に読めましたが・・・
>615
他の作家って誰を指しているの??
作家の一人ですが、たった一つ作家様もLOVE作家さんも
「ここまでしなくても」と思っていますが??
>>621タンは、作家様ですか?
もし、同じような境遇になられて謝罪しても「謝罪の仕方が気に入らない」
みたいに言われたら?
もし読者タンだったのなら、創作してみると良いです。
作家様の気持ちもわかりますから。
自己擁護
┌――――――――――――――――――┐
| マ−タリになるまで |
| /) |
| ∧∧ /) |
| (*゚∀゚)ノ |
| / つ-∀-) |
| 〜(_ ,,つ |
| し' |
| |
| Now Going... |
| |
| しばらくそのままでお待ちください ..|
| |
└――――――――――――――――――┘
「遠い約束」作家様「時のナイルを越えて」作家様が発言されれば
解決なのでしょ?読者が何を言っても疑心暗鬼で、これは〜作家様だとか憶測で
スレが荒れていくわけだし・・・
ご本人が読者のフリしている疑惑も晴れるわけでしょ?
んな・・難しい事なの?
それで、打ち切りならそれでもいいじゃないの?と思ってしまう痛い読者でつ。
>626
一人の非常識作家のために、名作が打ち切りなんてヽ(`Д´)ノウワーン
それに被害者の作家様に発言を促すっつーのも失礼では・・と思ってしまう小心者読者でつ。
>>627 >一人の非常識作家のために・・・
ってどの作家さまも非常識だとは思えませんが・・・
そういう貴方が非常識。
>>628 禿胴!!
作家から見れば、見えてしまうものもあるのでつ。
読者のフリをしている作家様・・・もうお止めなされ。
>628
> そういう貴方が非常識。
おこられちゃった(´・ω・`)ショボーン
でも、589のあとも延々と自己擁護・他者批判の(・∀・)ジサクジエーンを
名無しでやられたんじゃ、他の作家様が戻ってこられないんじゃないかと。
そういう意味でも非常識だと思ったんでつ・・
もともと何についてモメてんのかよく分からなくてモヤモヤするよ〜
同じような話が多いことが物議になってるの?
それとも同じような設定の小説は時期をずらして投稿してほしいってこと?
>>622 のスレは私(願いを書かせてもらった者です)が書いたものですが?
どのスレを指して言っているのか判らないですが…
自作自演と決め付けちゃダメダーーメ!!
>>630 自己擁護・他者批判の(・∀・)ジサクジエーンを・・・って
たまたま来て書いた一読者の私が書いたものも含まれてるんですけど。
根拠もなしにそんな事いってはスレが荒れるだけです。
まあ荒らしたいのならそういう言い方も止めないけど。
名無しで書くなって・・・それが嫌なら2ちゃんねらーできないよ。
>>627 >一人の非常識作家のために、名作が打ち切りなんて
すごい断定ですね。
非常識作家=自分を批判した他作家
名作=自分の作品
と理解されちゃうよ〜。
批判してる作家さんは一人ってなぜわかるの?
>>605 >己の駄作をパクられただのは思ってません。
ほかの部分含め、やりかたに不満感じることは多々あります。
こう書くとパクリ疑惑の元作品の作家が揉め事の原因を
言い始めてその本人が言っているように聞こえますよ。
>>627=630さん
他人を「非常識」と言い切れる貴方すごいよ。
いちお自分のお名前でコメント出されたんだし
大人しくしているほうが賢明なのでは?
自分自身で騒ぎを引き伸ばしてる気がするけど・・・。
他人の書いた作品をさしてパクリ・盗作扱いしてる事こそ非常識で思い上がりです。
ここはそもそも王家の二次創作です。
設定や何やらをあたかも自分の所有権みたいに言うのはどうなのでしょうか。
それともご自分の作品連載中は邪魔をするなと言いたいのですか?
設定なんかはっきり言ってどうしても似てくるし、連載の時期だって作家ならすぐに読んでもらいたいと思うものです。
もしご自分が書きたいものがある時に、「それは今書いたらダメ」と言われたらどんな気分になりますか?
萌え設定は自分だけの物ではないはずです。そろそろ勘違いに気づいて下さい。
もういい加減にこの話題は終了しましょう。
>>625 のった!
ここ2ちゃんの中で、ここまで無作為に自作自演の容疑を
掛けまくってもなぁ・・不毛としか・・
でも、なにがなんでも荒らしたいという悪意を持っている人が混ざっている
ことだけは感じる。怖い。「みんな、釣られないで」としか言えない。
これを最後に、スレが平和になるまでじっと無言で待ちますです。
>>634 ぁゃιぃやつ、ぜーんぶ一人で書いたからか?ww
>639
禿げ胴〜
ここまでくると逆恨み激しすぎるよね。
自作自演で自分の作品名作扱いしてるのもww
>>637のコメントも凄いけどさ〜 開き直ると強いね
L.O.V.Eはパクリではないよ。
同じ時期にたまたま似た設定で一足早く発表された作家様がいた為に言われない攻撃を受け
封印されてしまっただけ。運が悪かったのです。
627さんが一人の非常識作家のために、と書いたのがバッシングされたみたいだけど
私627さん、あなたに全く同感。似た設定をパクリと騒ぐのは非常識、ナンセンス。
>632が騙りでなければ・・
言いすぎました。ごめんなさい。
でも、荒れるから自分のことはもう言うな、名無しにもどって他の作家様批判じゃ、
納得できないでつ。おまけに 読者のフリした作者 なんて酷すぎ(ノ_・、)グスン
全部が全部LOVE作家の自作自演じゃないかもしれないけど、
自分も読者の証明できないかもしれないけど、
自分が打ち切ったからって、他の作家様のお話の続きを邪魔するようなことだけは
やめてもらいたいんです。
そんな当たり前のことが出来ないから 非常識作家 と言っただけです。
はい、間違いなく私です。
「遠い約束作家様」「たった一つの言葉作家様」達や同じ頃に連載をしていた
者として「同志」の様に大事に思っています。
(勿論、前スレでご一緒させて頂いた作家様も同じです)
うp出来ない日は、他の作家様がうpされていたら気持ちの上で余裕が出来たりと…
だからこその想いなのですが---
ですから「遠い約束作家様」も自作自演なさる事は決してないと確信してますし
熱心な読者タン同士がお互いのお気に入りの作家様を庇っての、気持ちが高じての
今の状態なのではないかと…思っています。
御当人達が一番当惑してるのではないでしょうか?
私も「名無し草」としてエールを送ってましたが、作家様達が「謝罪」という
形を取られて、そこまでしての自作自演扱いでは、
一体何の為にお名前を出されて謝罪されたのかと…
今回は自分の書き込みを自作自演と思われたかも?それは「違う」と自分に出来る
事…でと思い名前を出しました。
>627さんも含めて、続きを熱望される気持ちも作家様は、きっと届いてると思いますよ。
お互いマターリと、待ちませんか?
あのー、とりあえず何をそんなにもめているの?
パクリってどのくらいの線引きで言っているのかな?
二次創作という狭い範囲での創作なんだから似てしまうのは仕方ないと思うんだけど。
王家の二次創作もある程度色々なパターンが出尽くした感があるし。
今はパクリでもめているの?それとも作者非難?
寸止め王子→鬼畜王子→タイムトラベルもの
パクリというよりネタかぶりのたぐいでしょう、これは。
傾向の似た作品、流行のネタが複数同時期うPというのは前からあったよ。
現代版にしろ、古代版にしろ、
狭い作品のなかから二次創作を作っていったら、
ネタかぶりなんて当たり前に起こること。
いちいちそれに目くじらたてるのもナー。
……自分が同人やってるからそんな風に思うだけなのか?
ちなみに同じ難民版で春先くらいだったか(?)騒いでいた「提言問題」、
これの内容を知っている人だったら、
ネタかぶりくらいで騒ぐ虚しさと危うさをよく知ってると思うんだけど。
>645-646
同意。
それにタイムトラベルについては、ネタ被りですらないと思ってる。
キャロルが古代と現代を行き来するのは、原作がそうなんだから
ある意味デフォルトみたいなものだし、キャロルが古代に行くのと
王子が現代に来るのとでは話が全然違ってくる。
生まれ変わりとなれば、さらに違うしね。
>>タイムトラベルしたらパクリなら
ドラえもん以降の作品はみんなパクリですね。
読者の萌えポイントおさえた結果、話が似てくるのはあたりまえ。
パクリ云々より、叩かれた作家様の対応がイタタ。
アンタしつこいねえ。パクられた(と思ってる)人ですか?
放っときなよ。もう来ないって言ってるんだし。
って書くと私もジサクジエーン扱いなんだろうな。
( ´_ゝ`)フーンもう来ないって言ってるんだ。( ´_ゝ`)フーン
>>648 ワロタ。
案外ここの雰囲気乱してるの650一人だけかもね。
何の根拠も無くそういうところが妄想っぽい。
たまには妄想の世界だけでなくちゃんと現実社会にも戻りなさいよ。
あのー、653たん・・・・・・・・
かける言葉が見つからぬ。
おいたわしや〜〜
遠い約束の続きは読めるのかな?
LOVEもできることなら続き書いてほしい・・・
どちらもマジで続きが気になるんですけどー
みんなホントはそう思ってるんじゃないの?違うかな〜???
王子笑いで「ふっ」
にぎやかですねぇ。
ラブは正直もういいよ。
さめた。
こっちはめんひす風味で、「ふんっ!」
どうだ!
遠い約束作家様はここの雰囲気が元に戻ったら降臨されると信じて待ってます。
遠い約束は今までにないパターンでライアンとの対決が気になります。
L.O.V.E作家様も気分を取り直して下さいな。こちらもキャロル懐妊が気になるところです。
ここに書き込みしなくても、期待して待っている読者は沢山いると思いますよ〜
同時期の連載が問題だと言うなら、先に連載された「遠い約束」が終了してから「L.O.V.E」が続きを連載ではダメですか?
ぜひお願いします・・・
お二人ともカムバーック!!
読みかけで放置くらうのはイヤン。
原作だって、だからこそ十ン年も粘着してるわけで。
そこに愛があるのかは、もはや。。
そうだよー、読者にも作家様にもルールや配慮が必要だったって事はもう十分論議されたと思う。
あとは作家様が帰ってきてくれれば、元より良いスレになると思うんだけどな。
そろそろ皆さん、作家さん達が作品発表しやすいムードを作りませんか?
遠い約束、LOVE続きをぜひキヴォンしまーす(涙)
LOVEのキャロルはこれから御懐妊でつか!!
更新アリガt!
作家様が帰って来やすい雰囲気にするためには、
やっぱ作品UPが一番かなと思って、無い才能ふりしぼって
この時間まで5時間掛けてお話書いていました。今、来たら、
なんかその間にも雰囲気好転してなくて、逆に悪転してて(TT)ウルウルウルウル
作家様が来にくくなるのが一番怖いんです。
私はとにかくこのスレが大好きなんです!!いや、愛しているんです!!
それかLOVEがパクリといわれるんなら
先にLOVE作家さん書いてくれないかな〜
っていうか是非読みたい。
私的にはLOVEお気に入りだったんだよ〜
ちなみに私は一読者です。自作自演ではありませんので念のため。
>665
あ、それいいですねー。私も続きが気になってるので是非読みたい。
>>664の新作読みたーーい。
うぷして作家様ーー。
>>664タンアリガとー
ぜひUPして
そしてそれを機にいつものまた〜りスレに
戻りませう。
それがよろしい(σ´∀`)σゲッツ!!
では大恥を忍んで行きます。
スレを愛する心意気だけ買ってください。
マターリマターリに戻ろう!
遠い約束作家様もぜひお戻りください〜
あの作品を心待ちにしている読者はいっぱいいますよ。
連載時はレスの嵐、大旋風を巻きおこした作品じゃないですか。
このまま終わっちゃうなんて絶対嫌〜〜〜!!
LOVEの懐妊話も読みたいです♪楽しみにしています。
みんなで作家さんを呼び戻しましょう!!
1
むかし、むかし。ヒッタイト国とエジプト国がまだ仲良しだったころのお話でございます。
ヒッタイト国にはイズミルという幼いながらにたいそう美しく賢い王子がおりました。
それは王子が4歳になったときのことでした。宮殿を歩いていると、
大人たちがガヤガヤと噂話をして騒いでおります。
大人たちは小さな王子の姿を見ると、かしこまって頭を下げながら答えました。
「イズミル王子様、たったいま大国エジプトより知らせが届きました」
「エジプトでは3年前のアイシス王女の誕生に続き、このたび王子が誕生
しましてございます」
「エジプトに王子が!」
王子はその国の名前を何度も聞いたことがありました。父のヒッタイト王は
多くの諸国の中でこのエジプトには特別な魅力を感じていました。そして同時に
その国の強さをよく知っていました。父からいつもエジプトの話を聞かされた
せいで、王子もたいそうこの国に興味を持っていました。
王子がヒッタイト王の広間に入っていくと、あれやこれやと家臣たちが
きらびやかな宝物を運びながら頭を悩ませています。
「エジプト王子誕生の祝いの品だ。ヒッタイトが恥をかくような質素な物は贈れない」
「もちろんだ。見てみろ。この上なく豪華な品々ばかりだ。これで文句はあるまい」
そんな中、ヒッタイトの王様は息子の姿を見つけて手招きしました。
「おお、イズミルよ」
「父上」
「よく聞け。エジプトに世継ぎの王子が誕生したぞ」
「はい。いま他の者から聞きました」
「名はメンフィスと申すそうじゃ」
「メンフィス…。メンフィス王子」
「ようく覚えておけ。メンフィス王子こそ、お前の生涯のライバルになるであろうぞ」
「はい」
ヒッタイト国とエジプト国はまだ仲良しの時代でした。
しかし王子はそんな平和な関係がいつまでも続かないことを心のどこかで知っていました。
「チニーテはまだか?」
気の短い王様のイライラした声が響いた瞬間のことでした。
ヒッタイト一の魔法使いと名高いチニーテ婆さんが、どこからともなく現れて、
いつの間にか王と王子の前にひざまずいています。
「おお、きたか」
「お召しいただきまして有難うございます。我が偉大なる国王陛下さま」
「堅苦しい挨拶などいらぬ。さっそくじゃが、仕事に取りかかってくれ」
「かしこまりましてございます」
魔法使いチニーテは、メンフィス王子に贈る祝いの品々を前にすると、
節くれだった大杖をふるい、恐ろしげな呪文を唱えだしました。
ひとりでにタイマツの炎は揺れて、やがて一つ一つと消えてゆき、
部屋にはもうわずかな明かりしか残っていません。
髪を振り乱して術をかける不気味なチニーテの姿を目にしただけで、
まわりの者は後ずさりしたくとも、恐ろしさに体が凍りつくほどでした。
最初はいつものように強気な様子のチニーテでしたが、
やがて息苦しそうにハアハアと肩を震わせるばかりか、
とうとう呪文を唱えることもできなくなり、ガックリとひざまづきました。
「くぅ…っ」
くやしそうに言葉をもらすチニーテを見て、ヒッタイト王は驚きました。
こんなに疲れたチニーテを見たのは生まれて初めてだったのです。
「いったいどうしたのだ!」
「お…、王様…。この祝いの品々に呪いを掛けよとのご命令でございましたが…。
エジプトの王子とはなんという強い未来をもっている和子でございましょう。
メンフィス王子の強運がじゃまをして、このチニーテの術が届きませぬ」
「なにっ!!そなたほどの魔法使いの術が効かぬというのか!」
まわりの者は不安な気持ちで嘆いた。
「おお、なんと、それほどまでの強運の王子がエジプトに誕生とは!」
「強大なエジプトが、ますます強くなっていくということか!」
チニーテはようやく息を整えると、落ち着いた声で告げた。
「みなさま、どうかお静かに。実はこの国にたった一人だけ、そのメンフィス王の
強運を弱められる方がおりまする。その方のお力をお借りできれば、
このチニーテが未来かならずや、メンフィス王子に18歳の若き死を、
コブラの猛毒によってもたらしてみせましょう」
この言葉に宮廷中にざわめきがおこった。
王様はチニーテにつかみかかるようにして、問いかけた。
「そのものとは誰だ。申してみよ!」
チニーテは深々とおじぎをしたあと、うやうやしく幼い王子の手をとった。
「このヒッタイトの世継ぎの王子様をおいて、他ありません」
この言葉に宮廷中にざわめきがおこった。
「おおーっ、なんと!」
「我が世継ぎの君こそメンフィス王子の強運に立ちむかえるその一人であったか!!」
「さすがはイズミル王子だ。我が王子がエジプトの王子になど負けるはずがない!」
喜びの声が叫ばれるなか、チニーテはいっそう血の気を無くした顔で言葉を続けた。
「ただし、ただ一つだけ、イズミル王子様は大切なものを失わなくてはなりません」
王子は大人たちの誰より落ち着いたようすで、「それは何だ」と聞いた。
「イズミル王子様、あなた様には将来心から恋し、愛する姫が現れます。
それは誰かは今は誰にも分かりませぬ。しかしあなた様は、そのような姫に必ず
出会うのです。しかし王子様は、メンフィス王子への呪いの代償として
その姫の心は生涯得ることはできませぬぞ」
「えっ!」
「その姫に恋焦れて、焼け付くような苦しみを味わい生涯を送ることになるやもしれませぬぞ」
「わ、わたしが…」
幼い王子は恋や愛という言葉に照れてしまい、かすかに頬をそめながらとまどっていた。
そんな王子の耳に父の笑い声が届いた。
「はっはっはっはっ。イズミルよ。そのようなことなら何の心配もいらぬ。
そなたは将来このヒッタイトの王者になる男ぞ。女など思いのままだ。
たとえどのような姫であろうとも、そなたの手に入らぬ者などいるはずがない」
遠い日の恋の苦しみなど想像もつかない幼い王子は、父の言葉を真実だと思い込んだ。
王子みずからチニーテの方を向くと、キリリとした口調で命令を下した。
「この私は未来のヒッタイト王。そのような姫の心より、エジプト王子の死の方が大切だ。
そなたの力で、我が運命と引きかえに呪いの術をかけるのだ」
「まあ、なんて元気な声の和子様でございましょう」
乳母ナフテラはメンフィス王子の泣き声が寝室から聞こえるたびに、目を細めてそう言いました。
健康で美しい王子の誕生は、彼女だけではなく、エジプトの国民の大きなよろこびでありました。
「ナフテラ」
「これここれはアイシス様」
「弟がまた泣いているわ。そばに行ってあげてもいい?」
「はい、もちろんでございます。ご一緒にまいりましょう」
ナフテラは小さなアイシス王女の手をとって豪華な扉を開くと、
メンフィス王子の寝室に入りました。
そのときです。
「ああっ…」
突然、アイシス王女は苦しそうに息を飲むと、気を失って倒れてしまいました。
「アイシス様、アイシス様!王女!」
いくら名前を呼んでも王女は目をあけません。
ねむり続けて5日目のアイシス王女を前にして、
とうとう医師は「もはやお助けできないかもしれません」と肩を落として言いました。
この言葉に一番悲しんだのはエジプトの王様です。王様はアイシス王女を心より愛していました。
王様は王女が気を失った原因を知りたいと、何度もメンフィス王子の寝室を訪れましたが、
中には豪華な寝台に眠っている赤ん坊のメンフィスと、そのメンフィスに送られた数々のお祝いの品物
が山と積まれているだけで気分が悪くなるものなど一つもありません。
王様はよく眠っている息子に話し掛けました。
「メンフィスよ。わたしはお前という大切な命を与えられたというのに、
なぜ神はアイシスを連れ去ろうとするのか…」
いつもは強い王様ですが、あまりに大きな悲しみのあまり、メンフィス王子の寝顔を見ながら
ひとりぼっちで泣きました。
「王様、王様どうかもう泣かないで」
王様がハッと顔をあげると、いつの間にか自分のそばにひれ伏している
10歳くらいの男の子がいました。
「い、いつからそこにいたのだ」
「ごめんなさい。ぼくずっと王様のそばにいたよ。ただ王様に見えなかっただけ」
「お前はだれだ」
「ぼくは魔法使いのノーレさ」
「魔法使いだと!」
ノーレは論より証拠とばかり、指先をちょちょいっと動かしてハンカチをひらりと空に飛ばすと、
ハンカチは王様の頬に残る涙のあとをひとりでに拭いて、またノーレの手に戻ってきました。
「そういえば聞いたことがあるぞ。このエジプト王宮にはその昔、魔法使いが住んでいたと!」
「いまでも住んでいるよ。ただ姿をあらわさないだけさ」
「なんと、そうだったのか!ではなぜ今は姿をあらわしているのだ」
「王様があまりに悲しそうだったから、どうしてアイシス王女が倒れたのか教えてあげようと
思って…。王様、安心して。アイシス王女は死ぬことはないよ」
「おおっ!そなた何か知っているのか!!」
「王女のことを僕のおばあちゃんがとても感心してたよ。人間にしてはめずらしく邪気にするどいって。
この部屋に漂っている呪いの邪気が女王の意識を直撃してしまったのさ。だから気を失っただけだって」
「な、なにを申しておるのだ」
そのときでした。部屋の中に一瞬大きな風が舞ったかと思うと、魔法使いのお婆さんがあらわれました。
「あっ、おばあちゃん!」
「ノーラ、私の許可なく姿をあらわしたらダメだと言ってるでしょう!!」
「ご、ごめんなさいっ」
ノーラは叱られるのをさけようと王様の背中に隠れてしまいました。
「これはこれは王様、はじめまして、魔法使いのランベナでございます」
「ラ、ランベナと申すのか…」
「はい、このたび謹んで王様に申し上げたいことがございます」
「申せ」
「この愛らしい和子様の運命にかかわる一大事でございます。心してお聞きくださいますように」
「なに!我が子メンフィスにかかわる一大事だと!」
「このメンフィス様は、異国の者によって恐ろしい呪いをかけられております」
「なにを申すか!大切なる我が子メンフィスには生まれて今日まで、
異国の者など誰一人として近づけてはおらぬぞ」
「呪いの術はここにある祝いの品のどれかに込められて、
念としてメンフィス王子のお身元に届いてしまったようでございます」
「なんと!ではその恐ろしい品物とは、この中のどれなのじゃ!どの国から届いたものなのじゃ!」
「残念ながら分かりませぬ。そうとう腕の立つ魔法使いのしわざでございましょう。
なんとも緻密な術にて、このわたくしの眼をもってしても見破れませぬ」
「ではこの部屋に山とつまれたこの祝いの品々は捨てさせる!即刻じゃ!」
「もはや遅うございます。呪いの術は完全にメンフィス王子の運命に入り込んでしまっておりまする」
王様は愕然としました。
「どうなるというのだ、王子は、メンフィスの運命は」
「メンフィス王子は18歳の御年に、コブラの毒に苦しみながらお亡くなりになる運命でございます」
「なにっ!ならぬ!メンフィスは世継ぎの王子ぞ!そのような死に方は決して許さぬ!」
「わたくしとて、お助けしとうございます。
このように魔法使いの身なれどこのエジプトは我が愛国でございます。
王子様をお救いしたい気持ちにいつわりはございません」
「おお!そなたが助けてくれるというのか!」
「できない事ではございません…。しかし…、大いなる代償が必要なのでございます」
「メンフィスを助けるためならば、どのような代償もいとわぬ。申せ!」
「相手はこの呪いの為に、高貴な大いなる者の運命を犠牲にしているようでございます。
ゆえにこちらも、それにみあう犠牲を払わなければなりません」
「どうすればよいのだ」
恐れながら王様、エジプトの高貴な大いなる王女・アイシス様の運命の一部を犠牲にして
いただけない限り術は解くことができないと申しているのでございます」
「なにっ!アイシスの!…そ、その運命の一部とはいったい…」
「アイシス王女様は将来心から恋し、愛する方が現れます。
それは誰かは今は誰にも分かりませぬ。しかしアイシス様は、そのような方に必ず
出会うのです。しかしアイシス様は、メンフィス王子の呪いを解く代償として
その方の心は生涯得ることはできませぬぞ」
「おお、なんと!」
「いかがされまするか、王様?この先のご決断はもはや王様にしか下せますまい」
王様はしばらく黙っていましたが、やがて真剣な顔で告げました。
「エジプト王子の死はなんとしても避けなければならない!アイシスはこのエジプトの王女。
恋する女ではなく一国の王女として生きることを理解してくれるであろう。
そなたの力で、アイシスの運命と引きかえに呪いの術を解くのだ」
「かしこまりました。しかし、王様。メンフィス王がコブラにかまれることは避けることはできませんし、
苦しむことも避けることもできません。ただひとつ、お救いできるのはメンフィス王子を死からお救いすることのみ。
それでよろしゅうございますね」
「しかたがなかろう」
王様がつらい顔でうなずいた時でした。家来達が喜びの声をあげて王を呼んでいます。
「王様!王様!アイシス王女が目を覚まされました!!目を覚まされました!!」
「おお、アイシスよ!」
王様はいそいで愛娘の元へむかいました。
「おばあちゃん、王様は行っちゃたけど、かわりに誰かくるよ」
「わかっているよ。さあ、姿を消すよ」
エジプトの魔法使いランベナ。ヒッタイトの魔法使いチニーテ。二人が力をつくした術は
もつれた糸のようにからまって、メンフィス王子、イズミル王子、アイシス王女、
そしてまだ見ぬ金色のお姫様の運命さえもからめとってしまうのでありました。
はてさてこの続き、どうなることでありましょうか?それは天のみぞ知るところ…
おしまい
すてきなお話ありがd!!!
これを機に作家様達のうpが更新されるのを待ってまつ〜
ひどいお話でつね。(TT)ごめんなさい。
どうかこの大恥かき野郎の大汗に免じて許してください。
ここが今までのような癒しの場に戻ことを願ってやみません。
おお〜新しい作家様の登場ですな。
五時間でここまで書けるのは凄い!!
おかげで和みました。
ありがd!
>>664さん
ありがと〜
こんなゴタゴタの中このスレの事を思って
書いてくれてたのだと思うとそれだけでウルウルきて
味わいながら読ませて頂きました。
良かったらまた書いて下さいm(__)m
魔法童話作家様ありがたや〜!!
魔法童話!
わーこのお話面白いです!
うきうきしました。感謝です〜。
さーて週末も明けて月曜日ですねー!!
遠い約束・L.O.V.E・他作家様のうpお待ち申し上げております〜
作品が未完で終わってしまうのは作者様にとっても読者にとっても不本意でございます〜
連載途中の作家様、
ご光臨、待ってます。
読者はやっぱり完結まで読みたいですよ〜。
あったらしい朝がきた♪きっぼうの朝〜だ♪
それ、いっち!にい!さん!
(ラジオ体操の曲です。知らない方、ゴメン)
みなさま、楽しくいきましょー!!
あ〜、マターリモードが戻ってきてうれすぃ・・・
遠い約束様は書かないとは言っておられないし更新あるかな?更新あったら嬉しすぎ!
L.O.V.E様もここがマターリしてきたら、続き書いてくださるかも・・・なんて期待してしまう読者心。
ともあれ、雰囲気を変えてくれた魔法童話作家様ありがとん
>魔法童話作家さま
まさにいろんな意味で魔法でした〜♪ありがと!
雨降って地かたまる。
嵐のあとには虹が〜♪
意見を出し合う事も、良いことだったのだと思います。
いっそう良いスレになるといいですね。
こんな所でなんだけど
ダイジェストサイトさんも更新してくれないかな〜。
遠い約束来ないのかな〜
ドキドキしながら待ってまつ。
ダイジェストの管理人さんも、いつもありがdです。
あれがあるお陰でうpが無い時も楽しめます。
過去作品をマターリ楽しむのも大好き。何回読んでも楽しい名作イパーイ
696 :
もっとマターリ風よ吹け☆:03/09/01 16:01
― ナイルの姫 ―
正直、そう呼ばれる事に慣れてきた。
歴史を変えてしまう事の重大さに押し潰されそうな時もあるけれど、現代ではけして味わう事の出来ない状況を捨てられない自分もいる。
自分が現代へ帰れば・・そして二度と戻らなければ、これ以上の歴史の湾曲は起こらない。
けれど、書物でしか知らなかった勇猛な王や王子達が目の前に現れ、そして私に恋心を抱いてくれている。
歴史を学んで来た者にとって、これ程魅惑的な事ってある?
「キャロルー!」
あら、メンフィスが呼んでるわ。
もう、見当たらないとすぐ呼ぶんですもの。
「あ・こんな所にいらっしゃったのですか姫様っメンフィス様がお呼びですわ」
「そうね。行きましょ」
でも・・不自由ない古代だけれど、マックとコーラが時々無性に食べたくなるのよね。
あら・・思い出したら食べたくなってきちゃった。
ちょっと食べに帰っちゃおうかしら♪
はじめまして。
そしてごめんなさい・・・
sageるの忘れてました。(汗)
>ちょっと食べに帰っちゃおうかしら♪
そのためだけに帰るんかい(笑)
>697
ドンマイ and ガンガレー
読者→作家へと・・・この波がどんどん広がるといいな〜♪♪
うpありがd!!
>>524の続きを自分で考えてみました。。。が萌えない(ーー;)
「しばらく世話になる。」
バビロニア王妃のアイシスが突然テーベの宮殿にやって来た。
相変わらずその脇にはアリが右手を地に、左手を頭上に掲げてひれ伏している。
「なんとー!今度はテーベにまで!今や姉上は敵国の、、、」
「メンフィス、それはもう聞き飽きた。長旅で疲れたゆえ少し休みたい。
ナフテラ、部屋を用意せよ。」
「は、はい。」
ナフテラ女官長は返事をしたが、宮殿の女性ナンバー1はなんといっても
王妃キャロルだから、流石に戸惑ってキャロルの顔色を窺う。
「おお、そうであった。こういうことはキャロルに頼まねばならぬのだな。」
その存在にはじめて気がついたような顔でキャロルに言った。
「王妃キャロル、他国に嫁いだ我が身なれど、義姉のために部屋を用意してくれぬか?」
その高圧的な態度に心の奥底ではカチーンと来たキャロルだが、
口ではああ言ってもメンフィスにとってはたった一人の姉であるし、
ここで自分が拗ねても、結局アイシスはエジプトに滞在することになるのだ。
キャロルはナフテラにかつてアイシスが使っていた部屋をすぐに整えるよう命じた。
アイシスはアリ以外に侍女を伴っていなかったので、
アイシスのための侍女選びもキャロルの役目。
「こちらが主だった侍女の名前でございます。」
ナフテラが持ってきた「王宮付き侍女一覧表」をしばらく眺めていたキャロルは、
その中から数人の侍女を選んで、アイシスの世話をするよう言い渡した。
>>701 「姫様ー!アイシス様のお部屋を訪れる旨、使いをやりましたけど。姫様?」
「え?ああ、そう。ありがとう、テティ。それじゃ行きましょう。」
何の目的でアイシスがやって来たのかぼんやり考えていたキャロルは、
ようやく腰を上げ、テティを伴ってアイシスの部屋へと出向いた。
「アイシス様付きの侍女は、姫様のご信頼の篤い有能な人達を特に選んだんですね。
でも、私を姫様の元に残してくださって感謝してますー。」
「テティは私のそばにいて欲しいと思ったからよ。」
キャロルは先導するテティにそう言ったが、本当のところは違う。
(アイシスとテティじゃどう考えても…いいえ、
テティが決して有能ではないってことじゃないわ。)
「おお、キャロル。本来ならばこちらから出向かねばならぬところ、
わざわざ足を運んでくれるとは。」
アイシスはすでに何十年もそこに暮らしていたかのように寛いでいた。
(自分から出向く気なんてなかったくせに…)
そんな思いをぐっと堪えてキャロルはアイシスに笑顔を返す。
「いいえ、アイシスはメンフィスのたった一人の姉ですもの。
こうしてエジプトにお迎えできて嬉しく思いますけど、お国のほうは大丈夫ですの?」
言ってしまってから、キャロルは(あ、なんだか今のは嫌味ったらしいわ…
いつまでエジプトに?って素直に言ったほうが良かったかしら)と後悔した。
>702
しかし、アイシスはそんなキャロルの思考などお見通しである。
「そう言ってくれるのはキャロルだけだ。メンフィスは実の弟なのにあの通り。
更に異腹の弟とやらも、今この宮殿にいると聞いた。
エジプトとバビロニアが敵国になったのも、すべて私が原因とされておる…」
(だってアイシスが私を殺そうとするから!)
喉元まで出かかった言葉をぐっと呑み込むキャロル。
そんなキャロルを横目で確かめつつ、アイシスの言葉は続く。
「頼りになるのは女子同士…私には他に姉妹がおらぬゆえ、そなたに頼みたい。
私はラガシュ王の和子を身籠っているのだ。
だがバビロニアでは敵国から嫁いだ王妃と常に監視され、身の危険さえ感じる時がある。。
いくらラガシュ王が庇って下さろうともこのままでは和子ともども…」
よよよ、とアイシスが泣き崩れ、脇にいるアリは「おいたわしや〜」と涙を流す。
普通の人間であれば、自分に流産という辛い目に遭わせた人間に対して同情心など、
寄せられるものではない。
しかしよく言えば優しい、ちょっと悪く言えばお人好しのキャロルの思考は常人とは違う。
「アイシス…そうだったの。辛い思いをしていたのね。
わかりました。バビロニアのラガシュ王の御子と王妃アイシスのお命、
エジプトの王妃として、またアイシスの義妹として私が守ってみせます!」
我らが王妃キャロルは小姑アイシスの思惑など知らない。
ああ、この先どうなるのか・・・
誰かパロディ好きな人短編考えてーっ
>「今や姉上は敵国の、、、」
>「メンフィス、それはもう聞き飽きた」
淡々としたアイシス、いいね
1日明けて来てみたら、レスが64もついている。。。。
小姑アイシス面白かったです。
いつも王子×キャロルの萌えストーリーにハマっていた私ですが
脇役キャラのこういう短編もいいわぁ。
超遅レスだけど
懐妊説は作者さんが書いたんじゃなくて
私一読者の単なるあてずっぽうでした。
本物の作者様、並びに期待してた方々迷惑かけてすまんかった。
今過去レス見てあせったよ。
>>708 気にするな、708タソ。
実は私もそう思ってたヤツだから。
>709さまありがとう。
いちおう作者じゃないって書いたんだけど信じてもらえなかったようで。
もし違ってたら勝手にストーリー決めちゃうみたいだし
当たっててもネタバレになるし。作者様ごめんね。
でも続きが見たい・・・(涙
なんかお気軽に現代に帰れたりすると面白そう・・・
「マリアンヌの夢」ぽくて(脈絡ないけどw)
現代と古代を楽々いったりきたり。おお、それ本当に面白そう。
ふっ…このスレも色々悶着があったが何とか落ち着いたようであるな。
ここは私が唯一、姫とイチャつける貴重なる場であるゆえ
マターリしていると私も心落ち着くのだ。
ところで作家殿。そろそろ私の愛しい姫とΨ(`▼´)Ψさせてもらえぬか?
いえ、強引なメンフェス様もここでしか拝めなくなっておりまつ(鬱
>714
ほんとだねー。私王子ファンだけどその点では
同情するよ。
おのれーイズミルまだ、狙っておったか。
この私でさえ、夜明け前のキスしかさせてもらえぬものを
私だってキャロルとΨ(`▼´)Ψしたいのだ。
・・・いっそイズミル二人で?・・・・モゴモゴ・・・・
妄想入りまくりの腐女子・・・クサリヘビに巻かれて悶えに逝ってきまつ。
(私はメンフィス派なんですが)
なんつーか王子というとあの初期の鞭でびしィィィが強烈で
今はひ弱に見えて気の毒で仕方がない。
もしかしてあれはメンフィス贔屓が嵩じて
狙った設定ですかね?
メンフィスだって、初期版ならいつでもどこでも超禿H全開!のはずだろうに
攫われたりするのも単なる平和倦怠夫婦の刺激に過ぎないぽい。
なんとー!メンフィス!いっそ二人で姫をΨ(`▼´)Ψと…?
とんでもない事を思いつくのだな。
そなたも夜明けチューだけで相当欲求不満と見える。ふん、私はもっと溜まっておるわ。
…ふむ、興味は(カナーリ)ある。ちょっと考えておこうぞ。ムンムンムンムン…
このスレって王子とメンフィスのΨ(`▼´)Ψの比率ってどの位かな?
王子8:メンフィス2位かな〜〜?ちょっと嬉しいイズミルタンハァハァでした。
ごめんよー。メンフィス派タン。
>いっそ二人で
それ(・∀・)イイ!
作家様どなたかおながいしまつ!
姫が奔放な性格ってハナシ
日頃は、二人の寝所を行ったり来たり〜
ワロタ。
『はずれ』の晩、のぞきに徹す男。
んなわけないか。
10年位前に亀が地元新人候補の演説会に来た時のこと。
1時間近く遅れて来て、自分の功績をダラダラと。
んで、帰京のタイムリミットギリギリになって
「彼が当選すれば高速道路も新幹線もすぐに実現する!それは間違いない!」
と力説して去って行った。
ホールの使用時間が迫っていたのか、結局候補者はほとんど演説しなかったっけ。
その候補は当選して今も窓際国会議員やってるけど、
新幹線どころか、高速道路の盛土さえ拝めない。
そんなもんどーでもいいから、取りあえず国道の路肩を整備するか、
どどーんと隣町に繋がるトンネル掘ってくれーーー!
↑・・・・・・・まさか?
でば亀の揶揄・・・?
ぐわー!誤爆です>722
ひゃっっっっ笑えるねーー。
にしても、誤爆も見方によってもデバ亀に取れてしまうから怖いね。
マターリ作家様をお待ちしている今も、何だかマターリ出来てよいわね。
朝−−−兄上の御機嫌伺いに赴くが、寵妃ジャマリがご寝所にまだ侍っているとのこと。
扉の前で一礼し、自分の部屋に戻る。
昼−−−朝の重臣会議ではちっとも発言できなかった。議題は対エジプト戦略ばかり。
兄上にはもっと国政に力を入れて欲しいのだが、私の口からは進言できない。
夜−−−今日も無事に終わった。まだ誰にも懐妊の兆しはなさそうだ。
ジャマリは内心エジプト王にぞっこんながらも、兄上のご寝所を独占しているし、
この様子ならば、私の『皇太弟』の地位もしばらくは安泰。
深夜−−−明日の自分はどうなっているのか不安で目覚める。
だが、万が一兄上の身に何事か起きた場合は、私がアッシリアの王となる。
その暁には、エジプトの女神の娘を昼に夜に頭上に拝んで、
いいえ!決して我が身の下に組み敷きたいなど・・・
早朝−−−下帯を汚してしまった。
侍女に見つからないうちに、チグリス川で洗濯。
>726
面白いー
最初シャルが誰だったか思い出せなかったよ
>726
ぶはっ
新鮮な笑いをありがとうぅ。
シャル・・・マジにやりそうだ。
シャル… ミノスよりは好きだなー
遠い約束作家様〜
つづき読みたくって待ってるんすけど。。ずっと。。
ナニカイッテホスィーーーーー
>>731 一休さんでつよ。ひとやすみ、ひとやすみ。
マターリまちませう。
む・・・作家殿はどうされたのであろうな?
ルカ、そなた様子を見てまいれ。
ふっ、思いを募らせ待つことも、そう悪くはないぞ>731タソよ。
なにせ私は30年近くひたすら姫が振り向くのを待ち焦がれておるのだからな。
私に比べればまだまだ・・・フッフッフッフッ
あんな粘着の書いた話なんてもう
読む気しない。
あ、王子だ。おはようございます。
ルカがんばって作家様達を連れて帰ってきてね〜。
私も連載途中のお話の続きが気になる〜☆
作家様をせかすつもりは全然無いのですが、ほんとに気になるのよ・・。
仕事の合間についつい覗いてしまう。作家様カムバーック!
もうマターリモードだから大丈夫、作家様達安心してうpして下され。
もし荒れても読者兵士達がお守りいたしまする〜!
飛行機事故のあとの現代版王子キャロル軟禁状態のその後はどうなるの?
てか現代王子のΨ(`▼´)Ψをすっごく見たい。腐女子?
>>726 > いいえ!決して我が身の下に組み敷きたいなど・・・
>
> 早朝−−−下帯を汚してしまった。
・・・の後は、真面目そうなシャルタソ的に
ピーΨ(`▼´)Ψしばらくそのままでお待ち下さいΨ(`▼´)Ψピー
っつう感じ?グフフ
>>736 いやいや、腐れてはおりませぬぞ。
現代の小技の効いたΨ(`▼´)Ψ・・・
共に・・妄想は尽きぬでござりまするな。
あの・・・・
画面いっぱいΨ(`▼´)Ψが目に刺さって痛くてタマラナイノデスが?(藁
・・・・・・ミンナ・・・スキネ・・ワタシモ・・・ダイスキ
な、何っ!キャロルとイズミルのΨ(`▼´)Ψだとー?!
キャロルめ、なぜイズミルなどに・・・
ええい!考えたくもないっ!!!
しかし私とキャロルのΨ(`▼´)Ψを書こうという志の者はおらぬのか!
くっそう!ミヌーエ、馬ひけーぃっ!
ヒッタイト王宮はナイルの姫君を連れて凱旋したイズミル王子の帰国を祝い、夜を徹した宴で賑わっていた。
黄金の髪に深い海のような青い瞳の美しい姫君が、逞しくも麗しい王子の横に侍っている。
王子は姫君が可愛くて愛しくて仕方がないらしく、片時も傍を離そうとしない。
また姫君も、容姿・人間性・その才、どれをとっても非の打ち所もない恋人を誇らしげに、しかし恥ずかしそうに頬を染めながら見つめ返すのだった。
寄り添うように着座する王子と姫君は、絵に描かれたかのような完璧な一対であった。
誰もが麗しい将来の王と王妃に祝福を贈った。
「姫・・・どうしたのだ?顔が赤い」
王子はキャロルの火照った頬に手を沿え、瞳を覗き込んだ。
青い瞳はトロンとして物憂げに王子を見つめ返す。
「なんだか体が熱いの・・・」
いつもの清純で潔癖なキャロルではなく、どこか妖しく奔放な雰囲気が見受けられる。
「熱いわ」
キャロルの指先が胸元を少し広げた。
真っ白な胸元の肌を凝視していた王子は、血が騒ぎだすのを何とか鎮めようとしていた。
しかしキャロルは体を王子の胸に預けるように寄りかかって来る。
(まさか・・・私を誘っておるのか?)
上気した肌と苦しげな呼吸が少女をひときわなまめかしく見せている。
「珍しい事もあるものだ。
そなたの方から私に触れて来る事もあるのだな。・・・ふっ、嬉しい限りだが」
「王子、もう眠たいの・・・横になりたい」
甘える仕草で王子の首に抱きつくキャロル。
恥ずかしがりやで内気な姫がこのような振る舞いをするとは信じがたく、王子は目を疑った。
王子は何気にキャロルが先ほど飲んでいた杯に目をやって、すぐにその訳を悟った。
(ふ・・・どうやら間違えて私の杯の酒を口にしてしまったらしいな。
なるほど、姫は酔うとこのようになるのか・・・何とも愛いらし事よ)
柔らかな胸の膨らみが、王子の厚い胸板に押し付けられる。
抗い難い衝動を覚えて、王子は思わず喉を鳴らして溜飲を下した。
「姫、この場が辛いのなら寝室へ連れて行こうぞ。
賑やかすぎる宴がそなたを疲れさせたのかも知れぬな。さぁ・・・参ろう」
王子はキャロルを揚々と抱き上げると、自分の物だと言わんばかりに愛しげに抱きしめた。
(さて、どうしたものか。
初夜まで待ってやろうと決めていたと言うに・・・このようにしな垂れかかって来られては決心が鈍るではないか。しかしそなたが私を欲しがるのなら、いつでもこの私を惜しみなく与えてやろう。)
酒のせいで乱れているとはいえ、キャロルのほうから王子を欲するなどこれまでに考えられなかった事だ。
王子はキャロルに怖がられたり、嫌われたりするのを恐れ、キャロルにはせいぜい舌を使った深い接吻をするぐらいに留めていた。
時間をかけて、恐れさせぬようにゆっくりと快楽を教えてやらねばならないと思っていた。
下手に色事を仕掛けては潔癖なこの姫の事、男女の睦を汚らわしいものと捉えられてしまっては不本意ならない。
これまでも愛しさ余って激しく求愛しようとしたが、恥ずかしがって腕から逃げ出されてしまった。
だからただ腕の中で壊れ物のように扱う事しかできなかったこの少女が、酒の仕業とはいえ王子を求める仕草を見せている。
ついに彼女を自分のものにする時が来たのかと思うと、嬉しさと興奮で気が遠くなりそうだった。
王子はキャロルの為に用意された部屋ではなく、自室の寝台に彼女を横たわらせた。
「ここは・・・?」
「私の部屋だ。今宵はここで過ごすのだ」
キャロルは王子に甘えて身体をすり寄せる。驚くほどに彼女の体が熱い。
「どうした?
今宵は私を誘うような可愛い仕草ばかりを見せるのだな」
眩しそうに琥珀色の瞳を細めてキャロルを優しく胸に抱く。
「そなたを私のものに・・・もう待てぬ」
キャロルはゆっくりと目を閉じた。
「そのような色めいたそなたに触れれば、私の我慢にも限界がある・・・」
少しかすれた声で言いながら、キャロルの唇に唇を重ねる王子。
いつもとは全く違う刺激的な接吻であるというのに、キャロルからは何も反応が返ってこない。
それもそのはず。キャロルは王子の体の下で気持ちよさそうに寝息を立て始めていた。
「・・・・・・!!」
今日こそは、と昂ぶりに昂ぶった体を持て余した王子は声にならない唸りを喉の奥から発した。
(・・・その気になっていたというに!これをどうしてくれるのだ!!)
股間を熱くする痛いほどの強張りに王子は顔を歪めて、恨めしそうにキャロルを睨んだ。
その時。薔薇色の唇が僅かに開いた。
「ん・・・王子・・・大好き」
王子は寝言で我が名を呼ぶ可憐な唇を自分の唇で覆うように塞いだ。
(ああ・・・愛しい)
激しい興奮が波が引くように収まるまで、抱きしめていた。
眠れそうにはなかったが王子は目を瞑り、幸せそうに眠るキャロルの添い寝をしてやるのだった。
♪おしまい♪
すみませーん、作家様を待っていたのですが待ちきれず書いてしまいました。
お目汚し失礼しました。添い寝王子をちょいと書いてみたくなりました。
ほんとは私もΨ(`▼´)Ψが読みたいのですが、上手く書けそうにないので作家様ぜひお願い致します。
でわでわ、ROMりながら作家様のお戻りをお待ちしてまーつ。
>>宴の夜作家様、ありがとうござりまつ。<(_ _)>
王子の股間を眺めての絶叫風景が浮かび、楽しかったです。
また、ひとつよろしくでつ。
さっすが番外スレ!
コテハン王子とメンフィスが・・
ナカ(・∀・)イイ!
>>宴の夜作家さま〜、久々に萌え萌えでございます〜っ。
Ψ(`▼´)Ψなくっても十分ドキドキドキドキ…
なんか、私の理想の王子のお姿でつた。ありがとうございまする〜。
本誌を読んでると、読者はキャロルが誰に攫われて
今どこを漂ってるか(ま、たいてはイズミルの側)わかるけど、
番外編仕立ての「おお!キャロル!今どこに居るのだ!!」byメンフィスサイド(悶々)
サブタイトル〜読者もハラハラ!キャロルは誰の手に?!湯煙温泉拉致監禁事件〜
こんなミステリーを読んでみたいよぉ・・・どなたか挑戦してー
サブタイトルの最後だけなら、いろいろ考え付くんだよね。
オアシスに消えたナイルの姫〜
大緑海(地中海)の花嫁〜
遥かなるシルクロード(殷王朝への誘い)〜
実は21世紀でライアンとアンアンギシギシ〜
しかし、肝心の脚本となると・・・_| ̄|○ガックリ
(・∀・)イイ! サブタイトル書いてくれると妄想が膨らみますゆえ〜。
作家様魂に火が灯るのでは?にしても、湯煙温泉拉致監禁事件〜はギャグしか
思い浮かばないでつ。ライアンとアンアンギシギシ・・腹筋痛いよ〜。
さーてと、そろそろ眠るかにゃー
みんなは、もう寝たのかにゃー
しずかな、夜だにゃー
イズミルタン、オヤスミなさいー
>>750 おやすみ。
添い寝はしてやれぬが、良い夢を見るがよい。
しかし、サブタイトルは悪くないが「ライアンとアンアンギシギシ」は許せぬぞ。
「湯煙温泉拉致監禁」はなかなか良いな。私の血が騒ぐ。
さて、私も寝るとしよう。
なんか王子というより
デーモン小暮の顔が思い浮かぶんですが。
添い寝されても眠れん罠。
なんでデーモン?でもワロタ。
そういやデーモンも王家調のしゃべり方だよね〜
優しい王子の囁きで心地よい眠りから覚めもうした。
私の愛しい王子のマターリラブラブ&ギシギシが読みたい〜。
デーモン?激しくうなされるっちゅうの。でもワラタ。
王子に癒されたよ〜。
作家様、ご降臨お待ちしてます。
ふふ。
王家ファンは気が長い罠。
連載休止・年に二回のコミックを、もう何年も続けている罠。
マターリ待つのじゃ。
>>741-743 小ネタ・宴の夜 の続きの小ネタです。
朝の光が鎧戸の隙間から漏れて、睦まじく眠る二人を照らした。
王子はかすかな光で眠りから覚めた。
鼻腔に感じる甘い香り。暖かく柔らかな肌の感触。
(そうか・・・昨夜は姫を私の寝台で寝かせたのだったな)
王子は上掛けをそっとずらして、愛しい恋人の寝顔を眺めた。
(よく寝入っておるな・・・しかし何と幸せそうな・・・まるで幼子のようではないか)
キャロルは王子の逞しい胸に抱かれまどろみながら夢を見ていた。誰よりも愛しい王子の夢を。
いつも王子は、これ以上は無いという程キャロルに優しくしてくれるのに、王子の真っ直ぐな瞳に見つめられると恥ずかしくてどう振舞えば良いのか分らず、胸がドキドキして逃げてしまいたくなるのだ。
王子がこんなに素敵な人じゃなかったら、ここまで胸が苦しくならないのに・・・とさえ思う事もある。
でも夢の中でなら、彼女は照れることも恥じ入る事もなく恋しい王子と向き合い触れ合う事ができるのだ。
だから、キャロルはよく王子の夢を見たし、また王子の夢を見るのは幸せだった。
しかし今日の夢は格別だ。王子の体温までがリアルに伝わってくる。
「はて、そなたはどのような夢を見ているのであろうな?」
王子はさらにキャロルの上掛けを下にずらしてみて、思わず息を呑んだ。
薄絹の衣がはだけて胸のふくらみもあらわに、滑らかな白い肌が寝息に合わせて上下している。
形よく盛り上がる双丘に引き寄せられるように手が伸びる。
自分を諌めてみても、理性だけではもはや抗えない。
王子はキャロルを起こさないようにそっと衣の下に手を差し入れ、優しく手のひらで包み込んだ。
(何と柔らかな・・・)
触れるだけでは物足りず思わず衝動に駆られて胸元の合わせ目を解くと、眩しいほどに白く初々しい乳房が目の前にこぼれ出た。
淡く色づいた頂。
指先で軽く触れてみると、敏感そうなそれはたちまちそれはキュッと反応した。
(ああ・・・何と美しいのだ。欲しくてたまらぬ)
王子は立ち上がった頂を口に含んで愛でてみたかったが、そんな事をすればもう自分を抑えられない事は火を見るより明らかであったので、何とか自制した。
愛しい娘が寝ているのを良い事に、これ以上の無体はできない。
ここでキャロルに目を覚まされては困ってしまう。卑怯だとは思われたくなかった。
大切に大切に愛してやりたいのだ。
自分の身勝手な欲望などで最愛の娘を傷つけたりしたくはない。
(いつになれば、そなたを私の思うままにできる?
愛しすぎて・・・そなたに手さえつけられぬ。
私の想いの半分でも、そなたが私を想ってくれればな。
もっと私を愛させたい。もっと私を求めさせたい。・・・どうすれば良い?)
名残惜しくてたまらなかったが、王子は大切な宝物をしまうようにキャロルの衣の胸元をきちんと整えてやった。
夢の中でキャロルは一糸まとわぬ裸体だった。
やはり同じように生まれたままの姿の王子に抱きしめられ、肌を優しく愛撫されていた。
とても恥ずかしいはずなのに、淫らな事なのに、夢の中では王子に何をされても平気でいられた。
王子の長い指が、優しく胸のふくらみをまさぐる。
指先が頂に触れた時、体がピクッと震えた。
キャロルの未だ知らない、不思議な感覚が波のように体の奥から沸き寄せる。
体を溶かすような心地よい甘い痺れ。少し怖い。でも嫌ではなかった。
もっと王子に触れてほしいと思った。もっと王子を傍に感じたい。もっと・・・
「・・・王子!!」
キャロルは自分の声で目を覚ました。
目の前には夢ではなく本物の王子がいる。しかも同じ寝台の上に横たわっている!
王子はキャロルを腕に抱きながら、いつも通りの余裕ある微笑を口元に湛えながら彼女を見つめている。
「今私を呼んだな?私の夢でも見ていたか?」
キャロルは淫らな夢を言い当てられたような気がして、顔から火が出るほど赤面した。
「いや・・・」
「どうした?なぜ目をそらす?」
キャロルは顔を背けたまま、あたりを見回した。ここは王子の部屋らしい。
「あの、どうして私ここに?王子と一緒に・・・あの・・・?」
「ふ・・・覚えておらぬか?
昨日そなたは少し酒に酔って・・・私にあのように甘えた事を覚えておらぬのか?
横になりたいと申したゆえここに連れて参ったのだ。」
王子はキャロルの髪に顔を埋めるようにして背後から抱きしめた。
「えっ・・・嘘。
私、王子に何か恥ずかしい事をした?」
クスクスと王子のからかうような笑いが漏れる。
「何も恥ずかしい事などなかろう。
もう一度酔わせてみたいものだな。
普段のそなたは恥らってばかりだ。いつもあのようにあれば良いのに」
キャロルはますます赤面した。
(いやだ、私いったい何をしたの?)
「さあ、姫。こちらを向くのだ・・・姫・・・姫」
優しい仕草ではあったが、王子は少し強引にキャロルの体を自分のほうへ向き合わせた。
頬に手を沿えると、唇を奪うように重ねた。
キャロルの唇と舌を丹念に味わう。
柔らかく甘い感触は何度触れても色あせる事はなかった。
ますます王子を虜にさせ、欲望に火をつける。
昨夜の果たせなかった欲望をあがなわせるかのように、王子はいつまでも執拗に唇を求めた。
突然の官能的で激しい接吻にキャロルは動揺して震え始めた。
王子は唇を離すと、キャロルの背中をそっとさすり震えを鎮めてやった。
彼女が落ち着くまで、優しく抱きしめた。
(いつかそなたに教えてやろう、接吻よりもっと深く愛を交わす手段があると言う事を)
♪おしまい♪
昨日の続きを書いてみました。
変哲のないつまんない話ですが小ネタという事で許して下さい。
ホンモノ作家様が来られるまでの、暇つぶしに読んでもらえると嬉しいでつ。
スケールの大きい、長編連載が始まらないかな〜
中断中の長編の続きも気になります・・・
いやん。。。
短編だと思ってたら、続きあったのでつね。
王子タン。いい感じだわ〜マターリしながらも内心萌えって感じがたまらないでつ。
ここは某所専用@王家登場人物&アイテム貯蔵庫。
今日も作家様が貯蔵庫を覗いて、
活用してくれることを、みんな心待ちにしている。
メンフィス「私よりイズミルの登場が多いとは、許さーん!」
イズミル「ふっ・・・」
イムホテプ「確かに・・・これは深く詮議せねば・・・」
アイシス「ああ。。。メンフィスよ、苦しい炎が我が身を焦がす。。。」
ミタムン「それは私を焼き殺した報いですわ。」
某王1「どうせ私は萌えませんよ・・・ああ、ナイルの姫君(ボソ」
イルカ「ウケケケ ナニニツイテ シラベマスカ?」
そして貯蔵庫の片隅には古びた鞭が一本・・・
ムチ「昔は活躍したのに(涙)」
>小ネタ作家様
連作ありがd
長編もいいけど読みきり小ネタも楽しいですよぉ。
寸止めの王子ツボです。また書いてくだされ。
以前の板のようで、王子とメンフィス楽しいでつ〜♪
小ネタ作家様。
連夜のうpありがd!!癒されます〜。
私も書きたいと思い、文板みたけど・・・・ダメぽ。深すぎるぅぅぅ。
以前の板?
文板?
意味わからんのだ〜
・・・・・・・だめぽ
あのぅ、LOVEの続きは…( '・ω・)ナイノ?
>766
以前の板・・・以前のスレは別板にあって、その時はなりきりさんが多かった
だと思われ。
文板とは文学板のこと?ごめん765タソではないのに横レスしちゃった。
>768
アリガトウでつ。まさにビンゴーーー!!
>>765タンもデビューするのだ!
読者作家様を待ってる民は多いと思うよ〜マジで書いてほすぃ・・・
(゚ー゚)(。_。)ウンウン。デビューして下さい。待ってます〜。
最近、以前のスレを読む漂流の民となってました。
このスレの色々な経緯を読んで、改めてこのスレの長い住人様達に感謝してます。
今日も素敵な話が読める事を期待して、アリポーズで朝のお祈りを捧げます。
>767
別室でもいいからやって欲しいよね。
王子とキャロルのやり取りが意外と本和歌系で
よかった。
別室にしなくても、ここでやってもらっても良いのでは〜?
もう落ち着いたと思うし大丈夫では?
遠い約束も激しく続き読みたいんですが…。
現代版王子とライアン対決気になりすぎて、もうダメポ。
今日は王子の朝のコメントはないのですか?
とりあえず、キャロルの仮面を被る ゴソゴソ・・・ソウチャクカンリョウ。
そうすれば、きっと会いにきてくれるはず(藁
774タソはキァロルになったでつか?
そんだら、めんひすがクル鴨(w
作家様戻って来て下さいです。
このまま週末はいやづら
マターリ待ちたい気持ち半分。続きを激しく読みたい気持ち半分以上。
アレ?合わなくなるぢゃないか。
他の作家様もマターリ中なのですねぇ。
構想中なのかな〜?
新作も楽しみにしてます〜〜。
皆の者、マターリと待つのだ。
私も続きを読みたいが、ここはひとつ気長に待つことにしようぞ。
しかし早くΨ(`▼´)Ψいたしたい…独り寝は辛いのだ。
作家様を探しに逝ったルカは何をしておるのか。
まだ知らせ(ハト)が来ぬ…
>>774 私のために姫の仮面を被ろうとは、可愛いやつ。チュッ
ああ〜今日は作家様ご降臨なしかな〜さみしや〜
ワタスは現代版王子のΨ(`▼´)Ψが気になってダメぽです。。。
お話の結末だけでもダイジェストでも良いので教えて欲しいです。
王子かライアンのどちらとひっつくのかだけでも。きっと王子?
うわーーん、作家様戻ってきてー
私も続きかいてもらうの難しいのなら、結果おしえてほすぃよう。
このままじゃ悶々だよぅ。
王子タンもΨ(`▼´)Ψがしたくて仕方なさそうなので、是非彼の願いを成就させてあげてくだちぃ。
・・・て、実は私が読みたいんだけどさ。
王子タン、Ψ(`▼´)Ψのまえに、御身体を治されませ――
王子ったら〜仮面ソーチャクした甲斐があったわ。
むらら様の言うように、体を早く治してね。
ソシテ・・・・・ギシギシ・・・ハナヂーー。
・゚・(ノД`)・・・
・・・すまぬな、私の身を気遣わせてしまったようだ。だが案ずるでない。
日ごろから鍛錬しておるゆえ、少々の傷ではこたえぬ・・・フッ。(実はアイタタタ)
むうら、そなたいつの間に名前がひらがなになったのだ。
私の乳母のムーラではないのか?
そういえば最近メンフィスはおとなしいな。
二人で姫をΨ(`▼´)Ψなどと申しておったくせに・・・抜け駆けは許さぬぞ!
☆O=(−−#)q
前スレ落ちたーーー。はやーー。
小ネタ作家タマは今日はお出ましになられないのでしょーか?
>>765タソ、ここはひとつ頑張って何か書いてくれ〜ぃ頼む〜
おや1時 どうしてくれよう この習性
おーい、たわしやー。
作家様次回予告だけでも
おながいいたしまする。
さ・・・さみすぃ〜
できるものなら超大作を書いて献上したいけれど〜
実力が無い・・・ _| ̄|○ガクッ
テンコープリンセスでも呼ぶ?
スーパーイリュージョンで作家様を出してもらう?
いいかもしれない・・・・言っていて・む・な・し・い。
現代版王子・・・戻ってきてくれー!!
キャロルを拉致ってる事、ライアンには告げ口しないからさ
キャロルを好きにしちゃってくれよ〜
戻ってきてくれなきゃ、私がライアンにチクりまするぞ!
険しく切立った崖の下にキャロルは横たわっていた。
大きな雨粒が容赦なく叩きつけるように彼女の体を濡らしていた。
金色の髪から鮮血が滲んでは、濡れた地面に流されてゆく。
うつ伏せるように倒れたまま、キャロルは動かなかった。
「姫―!どこにいるのだ・・・返事をいたせ!!」
王子の声が樹々を抜けて響きこだまする。
(・・・一体どこへ行ったというのだ。
早く見つけてやらねば・・・この雨と寒さでは姫の体が持たぬぞ!早く!)
王子は急く心を落ち着けながら、豪雨のせいでぬかるみ崩れそうな山道を進んだ。
兵士達とは戦いの最中、キャロルと二人はぐれてしまった。そしてついにはキャロルとも。
何とかここは独力でキャロルを探し出し、早く体を温め休息させてやらねばなるまい。
一刻も早く!
「これは・・・?」
王子は足元で光る小さな物を拾い上げた。
泥にまみれているが、それは紛れも無くキャロルの耳飾であった。
「まさか・・・?」
王子は山道のすぐ端から深く切り込む崖に目をやった。
道端が崩れた形跡が残っている。
「おお・・・まさか!!」
今にも崩れそうな崖を覗き込んだ王子の目が、その底辺にキャロルが横たわる姿を見つけた。
「姫!!姫、私だ!今すぐ行ってやるぞ」
しかしキャロルからの返答は無い。
太く頑丈な蔓を見つけると、王子は迷いもなく危険な崖壁を降りた。
最悪の事態を想像すると、体の底から嫌な震えが込み上げてくる。
「どうか・・・どうか無事でいてくれ・・・そなたを失くすなど耐えられぬ!」
崖下に降り立った王子は、飛びつくようにキャロルのもとへ行くと、腕を取り脈を確かめた。
規則正しく脈打つ命の鼓動が感じられた。
頭に外傷があり出血しているが、他には目立った怪我は無いようだ。
この高さから落ちたにしては奇跡的であった。
王子はキャロルの頬に触れて、彼女の名前を呼んだ。
「う・・・ん」
ゆっくりとキャロルの青い瞳が開く。
「姫!助けに来たぞ。大丈夫か・・・どこか痛むか?」
しかしキャロルは王子を不思議そうに見つめたまま動かない。
まるで見知らぬ人を見るような、恐れの色を潜めた瞳。
「姫?どうした・・・なぜそのように私を見る?」
「あの・・・あなたは・・・誰?」
王子はキャロルの手を取ったまま、しばらく言葉を失っていた。
落ちた衝撃で動転しているのか?それとも・・・?
「何・・・私がわからぬのか?」
王子が身を乗り出すと、キャロルは混乱した様子で頭を振り、後ずさった。
「話は後だ。とりあえず今は安全な場所へ避難いたさねば。歩けるか?」
怯えた目で王子を見ながら、キャロルはふらふらと立ち上がった。
「無理だな。私が抱いて行こう」
王子はキャロルをそっと胸に抱き上げた。
「あっ・・・!いや」
キャロルの体が腕の中で堅くなった。
「心配いたすな。私はそなたを助けに来たのだ。危害を加えたりせぬ。
体が冷え切っている・・・どこか休める場所を探そうぞ」
王子は腕に抱き慣れたはずのキャロルの体が、別人であるかのような不思議な違和感を感じていた。
(信じられぬ・・・私を忘れてしまうなどと。一時的な錯乱か?なら良いが・・・)
王子はキャロルを抱えて、崖下の道ならぬ道を歩き続けた。
とりあえずは豪雨が収まるまでどこかで避難し、ヒッタイト軍を探し合流しなければならない。
程なく歩いたところで、王子は雨を凌げそうな洞を見つけた。
キャロルを抱いたまま、洞の中に入り王子は腰を降ろした。
膝の中にキャロルを座らせ、顔と顔を向き合わせた。
傍にいるだけで、こんなに愛しさが込み上げるというのに、馴れ馴れしく触れる事は躊躇われた。
何とか無事に保護できたキャロルに思うままに口付けたい所だが王子は渦巻く感情を飲み込み、つとめて冷静を装った。
「まだ、私が誰だか思い出せぬか?」
「はい」
王子の優しい口調にキャロルも少し警戒を解いたようだ。
「私はイズミルだ。・・・そなたの許婚だ」
青い瞳が驚きで大きく見開かれた。
「嘘・・・私達・・・その・・・恋人同士なの?」
「ああ、そうだな。
そなたは私の最愛の娘、そして将来の私の妻。
ふふ・・・そなたとて、私を慕い愛してくれておったと言うに・・・それも忘れてしまったか」
キャロルの頬が真っ赤に染まり、彼女は頬を両手で覆って隠すとうつむいてしまった。
王子はわざと自分がヒッタイトの王子である事は告げなかった。
とりあえず彼女の状態が落ち着くまでは、ただの恋人であろうと決めた
これ以上混乱させたくなかったからだ。
「しかし何という事だ。
こんなに簡単にそなたに忘れられてしまうとは・・・何とも情けない」
「ご、ごめんなさい。私・・・駄目。何もわからない、あなたの事も自分の事も。
どうしたらいいの・・・どうしたら」
「いや、そなたを責めたつもりは無い。
そのうちに嫌でも思い出す」
腕の中で不安そうに震えるキャロルを王子は優しく抱きしめた。
「寒いか?」
キャロルは素直に頷いた。
「濡れた衣は脱いだほうが良いのだが・・・参ったな。
今のそなたは私の前で肌など晒したくはなかろうからな」
アリガト〜〜新作キターーーーー!!
キャロルは記憶失う前て、王子妃でつか?
エジプト王妃を拉致った!?
そこが気になりまつ>記憶の恋人作家様
イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーん。しかも週末にぃぃ。
来た来た来たーーーーーーーーーーーーーー。
おっっっっっっっっっ待ちしてました(ためすぎ?)
記憶喪失かぁフフフフッ、ニヤニヤニヤ、ウヒヒヒヒ、
>>798サン はげどー。
王家の呪い編も読みたいなぁ。
______ ____________ _______
V /┴┬\ V
,,,,,,.......,,,,....,,,,,,,/┴┬┴┬\ ../\....▲...,,,,,,,,,,,,,,,,,,
__ ヽ_|_|_/
/| | |\ ::::::;;;: :::.:::;;;;;;;;;; (゚Д゚) γ^・⌒)
|二二二_| (つつ~~~~~~~/~~/~~
ノノ ・∀・) γ^・⌒) γ⌒U⌒ / /
( つ~~つ~~~~~~~/~~/~~ / ヽ_ノ /
( ) / / / ノ
γ⌒⌒⌒ヽ / / ( ノ :: ::::::
/ ヽ_ノ / :: ::::::. ミミ |/ ̄ ̄レ\|
/ ノ
( ノ :: ::::::
ミ |/ ̄ ̄レ\|
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:: ::::::. :: ::::::. :: ::::::. .
カワイイ〜〜!!やはり、作家様のうpがあると皆嬉しいんだね。
新作キタ━━━━ (*゚∀゚)人(゚∀゚*)━━━━━━!!!!
王子早くキャロルの体をあっためてやってくれい
現代で心細い弱々王子うpもお待ちしておりまする・゚・(ノД`)・゚・
禿げ同!
あと、この時間帯にいつもうpしてくださった
あの作者様の新作もキボーン。
>801さんに禿げ同!
明日以降の作家様の御降臨をひたすらお待ち申し上げております。
とにもかくにも続きが気になって、気になって…
新作もあれば、さらに幸せ…
>>797 キャロルは着ている衣を見下ろしたが、たしかに濡れて汚れている。
外気の寒さが濡れた布を通して、ひしひしと伝わってくるようだった。
思わず身震いが走り、小さなクシャミをした。
でも、この男性の前で―彼は許婚だと言うけれど―衣を脱ぐなんてキャロルにはとてもできない。
キャロルが躊躇いを見せると、彼は小さく頷き仕方が無いな、という風に笑った。
「このままでは風邪をひく。
まずは何か燃えそうな物を集めて、火を焚くことが先決だな」
王子は言うなり立ち上がると、洞の中に舞い込んだ枯葉や枝を集めて手早く火をおこした。
キャロルは自分の冷たい体を両腕で擦り暖めながら、彼の姿を改めてじっと目で追った。
とても・・・美しい男だと思った。
キャロルに話しかける口調や彼女に触れる腕は限りなく優しかったが、端整な顔立ちは一見冷たくも見え、精悍で逞しさを漂わす風貌にはどこか危険な香りを孕んでいる。
イズミルと、許婚だと名乗るこの男を信用して良いのかどうか、それすらもキャロルには判断できない。
彼は振り向いて言った。
「さあ、火の近くに参れ」
キャロルはおずおずと歩み、彼から少し離れた場所に座った。
火の暖かさにホッとした瞬間、またクシャミが出て今度はなかなか止まらなかった。
王子はキャロルにそっと近づき、肩を抱き寄せた。
「やはり駄目だ。体が冷え切っている。
衣を脱いで乾かした方が良い」
「で、でも」
「安心いたせ。何もそなたが恐れるような事はしない。
それに私もいつまでもこんな濡れた衣を着ておれぬ・・・」
ぎゅっと手を硬く握り締めて、キャロルは気重に頷いた。
「・・・わかったわ。でも、後ろを向いていて」
二人は背を向けたまま着ている物を脱ぐと、濡れた衣を広げて、火に近い壁に掛けた。
キャロルは火の前に座り、王子に背を向けて体を隠すように膝を抱いて丸まっていた。
火に照らされて、白い肌がほんのりと桜色に色づいていた。
王子は彼女の隣に腰を降ろし、なるべくその肌に目をやらぬように気を配り体を寄り添わせた。
「きゃっ!!」
キャロルは驚いて飛び上がったが、その拍子に彼の膝の中に座り込む姿勢を取ってしまった。
「慌てるな。
そなたが恥ずかしいのは分っておるが、離れていては体が冷えるだけだ。
私の体から暖を取らねば本当に持たぬぞ」
王子の膝の間に座り込み、胸に顔を埋めるような体勢の今、もはや体を動かす事はできなかった。
少しでも離れれば裸の体が露になってしまう。
心ならずも、キャロルは彼の胸にぴったりと身を寄せるしか他になかった。
広い胸と逞しい両腕がキャロルを包み込んで、彼の体温をキャロルの肌へ直に伝えた。
「いい子だ・・・」
王子は落ち着いた低い声で囁くように言って彼女を抱きしめたが、その内心は全く冷静さを失い始めていた。
キャロルの柔らかい胸が、滑らかな肌が、いや彼女の存在そのものが王子を熱くさせるのだ。
キャロルも、とても平静ではいられなかった。キャロルを包み込む男らしい体が色々な想いを掻き立てる。
彼とどのような関係にあったのだろう?
こんな風に抱き合った事はあるのだろうか?
愛し合った事は?
でも聞くに聞けない。
うわぁ〜い!
作家様、ありがとうございますー
キャロルから見た王子の描写にドキドキ・・>キケンな香りを孕んでいる
理想のカコイイ王子ですー。
記憶の恋人作家様うpありがd。
昔見た「潮騒」を思い出しました。デヘヘヘ〜。
王子タン悶々しとらんと、Ψ(`▼´)Ψ作家タンになりんしゃい
如何様な願いでもかなうじょ〜(・∀・)b
記憶の恋人作家様。。。。。
メンフィスの出番はないのでしょうか?
(´へ`;)はぁ。
焦らされるのは慣れっこのイズ好きですが。
日に何度も覗いてガッカリする毎日…。
ここは2ちゃん、書くのも書かないのも自由なのはわかってますが。
辛いです〜作家様〜。現代版王子カムバーーーック(切実)
>>806 二人の間には息が詰まるような濃密で気まずい空気があった。
先に沈黙を破ったのは王子のほうだった。
何か言わなければ、そのまま押し倒してどうにかしてしまいそうだったからだ。
「ずっと黙っているのだな。
私が・・・怖いのか?」
キャロルは王子の深い琥珀の瞳を見上げた。
何と答えて良いのか当惑してしまう。
「そんな、怖いだなんて・・・でも、すごく・・・緊張しているわ」
さっきから心臓の鼓動がどんどん速さを増してくる。
(この人は平気なのかしら・・・?)
「そうか・・・。それなら良い。
そなたに恐れられたくはないからな」
王子はキャロルの背に回した腕に力を込めて彼女の柔らかな体を改めて抱きしめた。
彼の滑らかなオリーブ色の肌に体が密着した。
そして驚いた事に、彼の胸から伝わる鼓動はキャロルのそれよりももっと早く力強かった!
「そなたを愛している。
今そう言えば、そなたを戸惑わせるだけなのかも知れぬが・・・言わずにはおれぬ」
王子の言う通り、彼の言葉でキャロルの心は激しく揺れていた。
苦しさを押し殺すような彼の声は胸の奥に深く突き刺さるようで、気づかぬうちに涙が頬を濡らしていた。
「ごめんなさい・・・どうして思い出せないのかしら。
わたしあなたの事を思い出したい・・・わたしがどれ程あなたを好きだったのか思い出したい」
王子の指先がキャロルの目尻の涙をそっと拭った。
彼の仕草のひとつひとつには、キャロルへのあふれ出るような愛情が感じられた。
「私達はヒッタイトへと向かって旅をしていたのだ。
ヒッタイトへ着けば、そなたは私の花嫁になると私に誓ってくれた。
私はそなたが何に増しても愛しかったし、そなたも私に懐いて・・・私から離れようとはしなかった。
いつでも私の傍にいたがった・・・寝る時でさえな」
琥珀色の瞳が甘やかに煌き、キャロルを捉えて離さない。
胸が痛い程に高鳴った。
「あ・・・あの、わたし達って・・・その・・・もう」
頬を染めてうろたえる様子が可愛いくて、王子はクスリと笑った。
「そうだ。婚儀はまだでも、そなたはもう私のものだった。
この髪も肌も・・・そなたの体のすべては私のものだ。
私が触れておらぬところなど無い。
だから、私の前で恥じ入る必要など無いのだぞ」
不思議な感じだった。目の前がくらくらと翳むような気がする。
彼の事を、自分達の事をもっと知りたいとキャロルは渇望した。
「わたし達はどこで出会ったの?」
「・・・エジプトだ」
「わたし達はエジプトに住んでいたのね?」
「いや・・・私は違う。私はヒッタイトの人間だ。
エジプトに旅をしていて・・・そう、そしてそなたと出会った」
「エジプト!エジプト・・・エジプト」
彼女の唇が意味も無く、かの地の名前を繰り返す。
「わたしはエジプトで何をしていたの?
エジプトでどんな風に出会ったのかしら?」
王子の顔が不意に険しくなった。
「もう、この話は終わりだ!
何もかも一度に思い出そうとするのは無理があるぞ」
王子は突然に傲慢な態度でキャロルの質問を打ち切った。
端整な横顔には怒りの表情が浮かんでいる。
「イ・・・イズミル?」
いや〜ん。なんかミステリアスで読者も王子が
本当のこと言ってるのかどうか分からないとこが
おもしろいです。作者さんありがと。
kak
kak?
書くと?
でもさぁ、キャロルの濡れた体を肌で温めるっていう設定は
L.O.V.Eでもあったよね。
もしかして同じ方?だったらウェルカムバック!
続きも是非うpしてくださいませ。
作家様・゚・(ノД`)
何度もご光臨嬉しいでつ〜。
作家様のおかげで、残暑の厳しさにも耐えてゆけておりますよ。
毎日の更新大変だと思いますが、暑さに負けずに頑張ってくださいです。
ありがd!!!!!!!
アクセス規制のため、ずっと書き込めませんでした。
色々とご心配下さった方、暖かいお言葉を下さった方、どうもありがとうございました。
今になって色々と言いますと雰囲気が悪くなるかも知れませんが、ここで作品を書かせて
いただいている身として一言、言わせて下さい。
私は細川先生が描かれたキャラクタをお借りして自分でこうだったらいいなーと思うような
話を書かせていただいています。ここでいつの間にか定着してしまった王子のイメージ
(寸止め、優しい、でもちょっとサド?庭に杏の木がある等々)はもちろんお借りしています。
そういう意味では今、書かせていただいている作品は過去の作品の作家様の築いてこられた
様々な要素をお借りしているともいえます。
同じキャラクタのお話を他の作家様と一緒に書くのは刺激的でした。面白いものを書きたいと
思いましたし。
ですからここに書き込めなくなったときに、パクリだの作家同士の確執だと言われるのはショックでした。
うまく言えませんが、ここでは「書くのは楽しい」「他の作家様の作品を読むのは楽しい」と
思ってやって来ました。
作品についての批評は当然出てくるモノですし、書いている以上はきついこと言われたからヤメルということ
も避けたいと思っています。
私も他の作家様の作品を楽しみにしている読者でもあるので、他の作家様を妬んで潰そうと
しているなんて言われるような真似はしません。
「書いて読んで楽しい王家の紋章板」でもうしばらく書かせていただきたいと思っています。
どうかよろしくお願いいたします。
>>495 52
「ああ、額の包帯が取れたのだな」
キャロルがシーク・イズミルの隠された賓客になってからどれくらいの日が経ったのか。キャロルは最高の治療を受けて少しずつ元気になっていく。
彼女付きと決められた召使い達はシークの乳母であるムーラを筆頭に皆、礼儀正しく至れり尽くせりで仕えてくれた。
親切ではあるけれど決してうち解けない召使い達は、イズミルから何事かを命じられているのだろう、キャロルの質問には一切答えてくれなかった。
「あなた様の処遇は全てシーク・イズミルがお決めになることです。あなた様はまずお身体を治されませ。それがシークのご希望です。
シークは国事でご多忙な方。あなた様の個人的な心配事でお心を患わせてはなりませぬよ」
しつこく家族との連絡は取れたのか、いつ帰れるだろうかと聞くキャロルにムーラはぴしりと言ったものだ。キャロルは賢明にもそれ以後は口を噤んだ。
「傷は綺麗に治っておいでですのに、キャロル様はご覧になろうとしないのです」
近寄ってきたイズミルにムーラは困ったように言った。
「だって何だか怖くて」
毎日のようにシーク・イズミルと顔を合わせ、互いに気心も知れてきたこととてキャロルにも、もうかつての堅苦しさや他人行儀さはない。イズミルが望んだ通り、親しみ慕ってきてくれる。
「何、そのようなことを申しては手当をした医師が残念がるぞ。それは綺麗に縫わせたというのに」
「でも何だか見るのが怖い」
キャロルは傷を受けた時のことを思い出して身震いした。とてもたくさんの血が出た・・。
「では私が一緒に見てやろう。ならば良いだろう?私が差し回した医師だ、腕は確かだ」
イズミルはムーラに手鏡を持ってこさせるとキャロルの包帯を有無を言わせず、取ってしまった。白い額にかすかに薔薇色をした線が浮かんでいる。
ぎざぎざに裂けていた皮膚はまっすぐに細かく縫われ、醜い凸凹もない。
「ふふ、良い出来だ。この傷はお前が私のところで間違いなく元気になっていって居るという嬉しい証拠だな」
53
つられて微笑んだキャロルのうなじを、シーク・イズミルはそっと撫でた。
「赤い跡も消えたか・・・」
不吉な赤い首の線。それは彼を苦しめる悪夢を思い出させる。
「ガーネットの首飾りもなくなってしまったな」
義兄でキャロルの婚約者でもあるライアンが、彼女に贈った見事なガーネットの首飾り。白いうなじを彩る血のような紅。
(怪我をして運び込まれてきたあの日、首の赤い線が不吉で恐ろしかった。
夢の中でのようにまた私はキャロルを失うのではないかと。また取り返しのつかない失敗をしでかすのではないかと)
「助かったのですもの、首飾りは仕方ないわ。・・・後は歩けるようになれば!毎日、リハビリをしているのよ」
キャロルは砂を詰めた袋を見せた。これを臑にのせて負荷として、足を上下に動かして筋肉が衰えないようにするのだ。
キャロルは心配そうに眉根を寄せて自分を見るイズミルを安心させるように微笑んで見せた。
自分でも不思議だった。
外国人であるキャロルを半ば閉じ込めるように鎖国状態の王国の中に置いている男であり、優しいながらも決して肝心のこと―キャロルはいつ帰国できるのか、家族はどうしているのか―は教えてくれないどこか得体の知れない男であるシーク。
だがその危険な男の腕をキャロルは拒否できない。恐れながら戸惑いながらキャロルはシーク・イズミルに微笑みかける。彼の好意を得たいと。彼を喜ばせたいと。
キャロルは初めて自分から人を好きになった。それは彼女が初めて知った恋だった。
>遠い約束きたーーーーーーーーー!!!!
お帰りなさい。。°°(>_<)°°。
待ってましたよ。あなたを信じてずっと待ってました。
規制の為だったのですね。
正直、未完で終わるのかも知れないと思ったこともありましたが。
信じて良かった〜。
これからも怒涛の展開お待ちしておりまつ。
本当にありがd。
きゃ〜(´∀`)つ遠い約束作家様!!
お待ちしておりましたわん
しばらくといわずずっと書いて下さい〜〜!!
つづきうp、たまってませんか〜ぃ( ̄ー ̄)ジュル
遠い作家さま、私たちのお願いを聞き入れてくださって
また書き込んでくれて本当にありがとうございます!
>「書いて読んで楽しい王家の紋章板」
本当に末永くそうであってほしいです!
だから、ちょっとでも荒れた発言が出ると作家さんが書いてくれなくなったら
どうしよう。。とドキドキしてしまう心配性の私・・^^;
ここのスレが大好きなので、これからもずっとマターリ続いていくことを
アリポーズでお祈りしています。
作家様、おかえりなさい〜。
アクセス規制とはひょっとして作家様もヤフでつか?(ぢつは私もやっと2ちゃん解禁)
作家同士の妬みそねみ云々は大多数はスルーしてまつよ。
これからも書いて下さい&他の作家様も書いて下さいねん(くねっ)
>記憶の恋人作家様
焦らされる事には慣れてますけど、やはーり今回のうpからすると
メンピーから略奪?楽しみに読ませて頂いています。
>遠い約束作家様
心待ちにしてました。
久しぶりに、シーク・イズミルの名前を見た時は椅子から落ちる所でした。
仕事中にどうも気になってしまうのは、私一人ではない様ですね。
皆…落ちたのかな(笑)
これからもどうぞ作家の皆様頑張って下さいね。続きを楽しみにしております。
作家殿達が戻ってこられたか!
新作も連載再開もどちらも楽しみなことぞ。
>>826タソよ 椅子から落ちたのはそなただけではないぞ。私も危うく駱駝から落ちる所であった。
>>809タソよ フッ・・・私に物語が書ければ、とっくに今頃は姫とΨ(`▼´)Ψアンアンギシギシ―ピー―(以下自粛)
わ〜。
作家様が戻ってきてくれて嬉しい〜!
どの作家様も全部楽しみにして
毎日読んでいます。
これからも頑張ってくださいね。
>>827 まあ、王子ったら!Ψ(`▼´)Ψにはまだ早いわよっ。
私なんてこれから記憶を取り戻したり、ライアン兄さんと話し合ったり
とーっても大変なんですもの。
それにメンフィスだってどんなに怒るかしれないし…
でも…私もほんとは王子と早く…ポッ
(n‘∀‘)ηワーイ作家様復活記念小咄
アイシスがエジプトに『里帰り出産』に来てから、アリの日常はガラリと変わった。
バビロニアでの肩身の狭い日々と違い思う様に振舞えるのだから、
気持にハリが出ることこの上ない。それは表情やお肌にも如実に顕れていて、
『以前は意気地なくこの想いを伝えることができませんでしたが・・・』
などと、付文ならぬ『付粘土板』が届くこともあった。
アイシス様恩為一途のアリは、それらの粘土板をポイッ(ノ´ー`)ノ ⌒ (:D) ゴロンッと捨てると、
これまで各国から密かに集めたアッカド語で綴られた物語を、
エジプトの侍女らが読むことのできる象形文字に訳していく、その作業に時間を費やした。
判らない文字は、暇でしょうがないアイシスの助けを求め、
貴重なパピルスを惜しげもなく使い、今日も翻訳作業を続ける。
「おお・・・アイシス様の元に届けられた待ちに待った物語の続編、
どうやらキャロルはイズミルに恋を覚えたようじゃ。
このような物語をエジプトに広めることこそ、アイシス様の密かなる大望。
ふふふ、キャロルがイズミルに囚われていた間の物語なども面白い。
産み月が誤魔化せる時期までに、なんとかメンフィス王とキャロルを不仲にし、
アイシス様をメンフィス王のお側に・・・」
アリは更に各地に、特にヒッタイト方面に向けて、物語を集めるように指令を出した。
キャロルタンキタァァァ(゚∀゚)ァ( ゚∀)ァ( ゚)ァ( )ァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
王子タンとメンフィスタンもっとやってくだちい〜
むうらタンもカモーーーーン!
でもでも、スレわけるべしだーね、別室リサイクルはダメぽ?
作家様のうpに混ざるのは読みにくい。
なりきりはじめるつもりなら別でしてくれたらいいなぁ。
好みも割れるしさ。
まあまあ、そんなに目くじら立てなくても〜
王子タンは作家様のご降臨がない時に楽しい雰囲気作ってくれたんだし、
キャロルタンも今日のアップの喜びをあらわしてるだけなんだと思うよ〜
連続で続いてるならともかく、このくらいなら楽しいじゃない?
優しくマターリといきましょ♪
>>813 質問したい事が山ほどあったが、とても今の彼にはこれ以上詮索できそうになかった。
彼の回りには張り詰めた空気が漂っていて、眉根を寄せたまま険しい表情を崩さない。
(どうして? エジプトの事となると急に怒ったみたいに・・・。エジプトで何かあったの?)
キャロルはもう一度彼の名を口に出して呼んでみた。
「イズミル・・・」
なぜだろう・・・?彼をこう呼ぶ時、唇に引っかかる微妙な違和感があった。
王子はふと我に返ったように、再び暖かい微笑みを彼女に向けた。
「すまぬ・・・色々と考える事があってな。
すべてを思い出すのはそなたにとって辛い事かもしれぬ・・・そう思ったのだ。
私とそなたはただ平和に過ごしてきた訳ではない。色々な事がありすぎた」
憂いのある瞳を伏せるようにして彼は言った。
「ともかくヒッタイト領へ入るまでは一時たりとも気を抜けぬ。
今はそなたを動揺させたくない。
いつかすべて話そう・・・しかし信じて欲しい。
私は女神イシュタルの名にかけて、そなたを愛している」
キャロルの青い瞳は不安げに揺れていた。
「何だか、わたしの過去を聞くのが怖くなってきたわ」
「案ずるな・・・何があっても私が護ってやる」
泣き出しそうなキャロルの頬に手を沿えて、顔をあげさせた。
王子はキャロルが不安や心細さを感じた時、いつもその唇に優しい接吻を与えていた。
そうすれば、いとも簡単に彼女を落ち着かせてやる事ができた。
――しかし今はどうだろう?彼女は見覚えない男の接吻を拒絶するかもしれない。
王子は少し迷ったが、唇をそっとキャロルに重ね合わせ軽く吸った。
不安をよそに、キャロルはおとなしく目を閉じて接吻を受け入れた。
そして唇が離れると、かすかな声で呟いた。
「・・・あなたを信じてみるわ」
陽が落ちてもまだ雨は轟々と降り続けていた。
体が温まると徐々に眠気がキャロルを包み込んでいく。
王子の腕の中で彼の心音に耳を澄ましているうちに、ついに深い眠りに落ちてしまった。
王子は胸に顔を埋めて眠るキャロルを見守りながら、髪や頬に口付けた。
(何にしても無事でいてくれて良かった。
私を思い出せぬと言うのなら、もう一度私に惚れさせてみせよう。
辛い事は忘れてしまえば良い・・・エジプトもメンフィスも、何もかも)
――キャロルは灼熱の砂漠に一人立っていた。
遠方で白い馬に乗った若い男が叫んでいる。
「キャロル――!!どこにいるのだ」
その男は渾身の声を張り上げて、キャロルを呼んでいる。
黒く長い髪には豪華な黄金の冠。強い陽射しを反射して煌びやかに輝いている。
男の顔は強い光の影になってはっきりとは見えなかった。
なのに、彼の力強い瞳が真っ直ぐにキャロルを見つめているのがわかる。
突然、目の前は真っ暗になった。
地下牢のような陰気な湿った空気。
黒い髪の美貌の女が立っていた。エジプトの壁画から抜け出たような女王のような女。
しかし女の黒い瞳は憎悪の色に染まり、その両手がキャロルの細い首を締め上げる。
「お前のような罪人は生かしてはおけぬ。死んで罪を贖え!」
キャロルの目の前に夜の砂漠が広がった。砂漠を渡るキャラバン。
キャロルはその一隊の中にいて、駱駝の上で揺られていた。
背後の男が彼女の体をいたわるように抱き寄せている。琥珀色の瞳。亜麻色の長い髪。
「姫・・・そなたを私の妃に。愛している。未来永劫に私の妃はそなた唯一人だ」
キャロルはその男をこう呼んだ。
「・・・王子」
,,ゞ.ヾ\\ ゞヾ:ゞヾ ノノ ゞヾ . ゞヾ ゞヾ .ゞ;ゞヾ;ゞゞ;ゞ ヾ;ゞゞ;ゞ
ゞヾ ,,.ゞヾ::ゞヾゞ:ヾ ゞ:.y.ノヾゞ..ヾ .ゞ,'ヾ ゞヾゞ ;ゞヽ,.ゞ:,,ヾゞヾ;ゞゞ;ゞゞヾゞ;
ゞヾゞ;ゞゞヾゞ;ゞiiiiii;;;;::::: イ.ヾゞ, .,; ゞヾゞ___// ;ゞ ゞヾゞ;ゞ ヾ;ゞゞ;ゞ
ゞヾ ゞ;ゞ iiiiii;;;;;::::: :)_/ヽ,.ゞ:,,ヾゞヾゞ__;::/ ゞヾゞ;ゞヾ;ゞゞ;ゞ
ゞヾゞ;ゞ iiiiii;;;;::::: :|;:/ ヾ;ゞゞ;ゞ ヾゞ
ヾ;ゞゞヾ;ゞゞ |iiiiii;;;;::: : |:/ ヾゞ
ヾ |iiiii;;;;;::::: ::|
|iiiiiiii;;;;;;::: :|
,|i;iiiiiii;;;;;;::: :|
|ii,iiiiiii;;;;;;::: ::|
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|iiiiiii;;;;;;((,,,):::.:|_∧
|iiiiiiii;;ii;;;;;;~~:::|ー゚)
|iiiiii;iii;;;;i;;:: :: ::⊂|
|iii;;iiiii;::;:;;;:: :::| 〜
,,.,.. ,..M|M|iMiiii;;ii:i;;:;i:i;;:;ヘU ,.,.. ,...... ,.... ,,,.,.. ,.... ,,,.,.. ,.... ,,,.. ,.... ,,,.,.. ,.... ,,,.,...,.. .. ,.... ,,,.,.. ,.... ,,,.,.. ,.... ,,,.,..
,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,....
お帰りなさい。遠い約束作家様〜。
このスレの住民の皆の温かいレスを読んでいると嬉しくなります。
記憶の恋人作家様〜。謎めいて素敵です。連日のうp楽しみにしています。
しあわせ〜〜〜!!
>>817さん
残念ながらL.O.V.E作家様ではありません。
期待はずれだったかな・・・紛らわしい所があったのならごめんなさい_(._.)_
連載再開なるといいですね!私も楽しみにしてる一人です♪
ミステリー風味の作品を・・・という書込に触発されて書き始めました。
湯煙拉致監禁にはならないですけど(笑いましたよ、コレ)
今度サブタイトル考えておきますわ。
>>遠い約束作家様
続きが読めて嬉しかったですー!思わずガッツポーズ出そうになりました。
またひとつ続きをよろしくお願いします。
ちなみに作中のライアン好きです。現代王子も両方ステキ(^o^)丿
また以前のように沢山の作品のうpがあるのを祈りつつ〜オヤスミナサイ。
>>深夜組さん ( ^^) _旦~~ お茶ドーゾ デモ、ネブソクニハキヲツケテネ
おてんばキャロルだナー( ´∀`)σ)∀`)>829
小姑アイシス面白いっす!!
ポイッ(ノ´ー`)ノ ⌒ (:D) ゴロンッ
これワラタ!!
>>837 お茶ありがd。夜更かしの習慣がまだ続いてまつ。
こんな時間じゃまだ眠れない〜
遠い約束作家様キテ━━━━ル!!!!!
なにはともあれアリガd、うれし泣き*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
>>836 かわいい!
>遠い約束作家様
お帰りなさいませ。
また続きが読めて嬉しいです。
王子がキャロルを肌であたためる設定から始まるし何かタブるんだけど。。。
気のせい?
L.O.V.Eの続き読みたーい
禿げ同!
誤解も解けたことだしね。
でも、シチュが似ているからって同じ作家様とは思えないけどな〜。
>>821 54
その時、キャロルの主治医が部屋に入ってきた。謹厳実直を絵に描いたような老人はシークの在室に驚いたようだった。何しろシークは政務中の時間なので。
「私に構わずにいたせ。額の傷は綺麗に縫えているな」
「恐れ入ります、シーク・イズミル。ではおみ足を拝診いたします。そろそろ歩く練習を始められた方がよろしいでしょう」
医師はこの国の事実上の支配者が大切に傅き隠す患者に恭しく近づいた。ムーラが心得顔にキャロルの足許に控える。
「あのっ・・・!」
いつものようにムーラがキャロルの着せられている裾長の衣装を捲って脚を露わにしようとしたとき、キャロルは我慢しきれずに叫んだ。
「あの・・・っ、シークがまだおいでです。恥ずかしいの。
お願い、シーク。もう向こうに行って下さい。お見舞いに来て下さってありがとう・・・!」
ムーラも医師も心底驚いた顔をして、この無礼な異国の客人の顔を眺めた。
ルネサンス頃の宗教画に出てくる天使のような中性っぽい美しさを持つ顔は真っ赤に染まり、無礼な言葉を紡ぐ唇はふるふると震えている。
治療の時、キャロルの両足は膝頭まで露わになる。普通なら気にもならないが、アラブ風の慎ましい長い衣装を着ていれば、それはかなり恥ずかしい。
ましてや自分の露わな足をシーク・イズミルに見られるとあっては!
ムーラは腹を立てながらも、すばやくキャロルの気持ちを見抜いた。ムーラも典型的なアラブ婦人として欧米人には偏見を持っていたのだけれど、キャロルの初な恥じらいは非常に好ましかった。
「シーク、殿方は席をお外しあそばして。治療の時は肌を露出いたしますから若い方は恥ずかしく思われるのでしょう。
キャロルお嬢様も落ち着いてそのようにおっしゃいませ。先ほどのようにシークを追い出すようなご無礼はなりませぬ」
55
ところがシークは乳母の言葉をあっさりと蹴った。
「何を恥ずかしがることがある?私が大切に治して元気にしてやりたいと思っているお前の治療に立ち会うだけなのに。
医師、私もこの娘の怪我の様子を改めたい。早く進めよ」
医師は困ったようにムーラを見た。この国では女性の肌の露出については厳しいタブーがある。未婚の女性の肌―たとえそれが脚であろうとも―を独身のシークが見るというのは・・・。
「何も恥ずかしがることはない。別にお前を取って食おうというわけではない。私はただお前が心配なのだ。さぁ、小さな子のように我が儘を言うな」
キャロルは真っ赤になってシークに自分の脚を見せることに同意した。シークには誰も逆らえないのだ。
骨折した足首はすっかり細く蒼白なまでに白くなっていた。痛ましさに顔をゆがめるイズミル。
骨は順調に付きつつあるが歩けるまでにはまだ間があるだろうと医師は言った。
「そろそろ松葉杖か何かで歩く練習をお始めになられてはいかがかと。寝たままでは心にも体にも障りがありましょう」
キャロルは熱心に医師の言葉に従うことを約束した。真綿に包まれるように傅かれる鳥かごの毎日にうんざりしていたところだったのだ。
だがキャロルの嬉しそうな顔を見て自然、イズミルの頬も緩んだ。
「そうだな、歩く稽古をするときは私も一緒にいてやろう。くれぐれも勝手に動き回ったりはしないように。
さぁ、夕方にまた来るからそれまで良い子で待っておいで」
「シーク、あの・・・。あのお連れになったキャロルお嬢様はこれからどのようになさるおつもりですか?」
いつもより少し遅れて執務室に向かうイズミルに、言いにくそうにムーラが問うた。
「おいでになってからずいぶんと経ちました。お怪我も治ってきておいでです。お心映えのよい方でお世話の甲斐もあります。ですがいつまでもこのままというのは・・・」
ムーラの心は大きく波立っていた。当然のようにキャロルの治療に立ち会い、この国ではタブー視される真似までして、縁もゆかりもない未婚の女性の肌も改めた。
56
「やれやれ、ムーラには敵わないことだ」
イズミルは苦笑した。
「ルカにも同じことを言われた。父上に隠すにしても限度があると。そうだな・・・。言っておこうか。
事故という思いもかけない形で手許に来させてしまったが、私はキャロル・リードを娶るつもりでいる。だがこのことはまだ誰にも漏らしてはならんぞ」
驚きのあまり声も出ない忠義者の乳母にイズミルは言った。
「キャロル・リードは我が国の経済界はもとより世界経済にも大きな影響力を持つリード・コンツェルンの一人娘だ。まぁ、出自身分に私はこだわりはないが名家の出というやつだ。
エジプトで彼女に出会い、妻にと考えた。滅多に人を褒めないムーラが心映えを褒めた通りなかなかの器量の娘だよ。
異教徒であり、異人種であり、この国の保守派は大反対だろうな。だが彼女はその大反対を押し切ってでも手に入れる価値のある宝石だ。きっと彼女は我が国の宝石となるだろう」
「まぁ・・・!」
ムーラは育て子の饒舌に呆れた。要するに目の前にいる大柄な青年は異国の小さな子供のような娘に一目惚れしたと言うことか!
ムーラは少し目眩すら覚えて廊下のくぼみに設えられたベンチにへなへなと腰を下ろした。イズミルは長身を屈めて乳母の顔を窺った。小さい子供の頃のように。
「あのお嬢様は・・・シークのお気持ちをご存じなのですか?」
「知っていると思うか?」
イズミルは面白そうに苦笑した。ムーラはぶるぶると首を横に振った。
先ほど、子供っぽく強い調子でシークに向こうに行けと言った少女の口調。あれは相愛の相手やまして婚約者に対するものの言い方ではなかった。
「あれは大切に育てられた温室の薔薇だ。まだ自分の心というものさえ掴みきっていない幼さだな。だが私がきちんと丹精して妻に相応しい女性にしてやろう。
・・・ムーラ、笑わないで聞いて欲しい。あれは私がずっと捜していた相手なのだよ」
「え・・・?」
「・・・私を悪夢から解き放ってくれる相手だ」
56.5
ムーラは、はっとして真摯な光を宿したイズミルの瞳を見上げた。前世からの定めを負って生まれてきたイズミル。それが何なのかは彼女もはっきりとは知らない。
だがイズミルは一時の気まぐれのために軽々しく前世の定め―あの悪夢―を口に出すような人間ではない。
「・・・お聞かせいただいたからにはこのムーラも、あなた様と心合わせましょう」
ムーラは恭しく言った。
あー、そうかぁ。キャロルって異教徒だもんね。結婚までには遠いやね。
でも王子ががんがって結婚しちゃうんだろうけどさ
L.O.V.Eと記憶の恋人は別作家さんでしょ。
L.O.V.Eはパクだの何だの言われて連載できなくなったのに
L.O.V.Eのパク作品はOK?不思議。
>>850 パク作品????
連載できなくなった????
お.も.い.こ.み
だれも止めてないし
どうぞ、連載して下さいな
・゚・(ノД`)・゚・
ねぇねぇ、マターリ・マターリ行きましょうよぉ・・・
○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。
○ウザイと思ったらそのままスルー。透明になるのでつ。
○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
ノセられてレスしたらアカンでーー。
○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを
与えちゃダメぽ。
○枯死するまで孤独に暴れさせておいて、スルーが一番でつ。
よその板のを改造してます、どこにもいるのね〜〜。
書き忘れた!!
私もL.O.V.E.作家様には連載再開まってますよ。
気分一新して書いてもらえないかな〜〜。
>837 記憶の恋人作家様
うぉ〜〜
2時間ドラマ風サブタイトル付ミステリーをキボンしたの、私です〜
ミノアの祝祭辺りを読み返していたんで、そこらへんをちょっと捻って・・・
意気込んでメモ帳開いたまでは良かったんだけど、
私の頭では、箇条書きかギャグみたいなものしか思い浮かばなくて^^;
妄想の双葉に追肥をパラパラと撒いてみよう・・・(;´Д`)っ∴γ
アクセス規制かかってるプロバイダ(ホスト)多いよ。批判・要望板を見るべし。
遠い記憶作家様もそのせいで書き込めなかったようだし。L.O.V.E.作家様もそう鴨。
まぁ、ゆっくりと待ちましょう。
>>835 キャロルは目を覚ました。
「目覚めたか?随分とうなされていたぞ・・・悪い夢でも見たのか?」
心配してキャロルの顔を覗き込む彼を、瞬きも忘れて見つめた。
「わたし・・・わたし、あなたを『王子』って呼んでいた。
そしてあなたは私を『姫』・・・って。
そういえば、最初あなたは私を姫と呼んでいたわ!
何なの?王子って、姫って・・・私達は一体」
王子は仕方なく頷いた。
「いかにも・・・私はヒッタイトの王子、イズミルだ」
「お・・・おうじ?」
そう、王子だ!彼を『王子』と呼ぶのに彼女の唇はとても慣れていた。
「わたしは・・・?」
「そなたは、ナイルの姫。
エジプトの女神の娘と呼ばれていた」
キャロルの想像を遥かに超えた現実に、気持ちが激しく撹乱した。
王子はキャロルを守るように抱きしめた。
「・・・落ち着け。思い出したのはそれだけか?」
「黒い髪の男の人が・・・私を呼んでいた!!
胸が苦しくなるくらい悲痛な声だったの」
王子は眉をひそめた。
「それから?」
「そして・・・綺麗な・・・とても綺麗な女の人が・・・」
その先を思い出してキャロルは震えた。
「わたしを・・・わたしを罪人だと・・・死んで贖え・・・そう言ったわ!」
不安と恐怖に押し潰されそうになって、キャロルは王子の胸にしがみついた。
「わたし・・・エジプトで何かした?何か裁きを受けるような事を?
だからあなたは・・・思い出さない方がいいって言ったの?」
「違う、そうではない!
そなたに罪など無い!もしそなたに罪があると言うなら、すべてこの私が受けて立つ。
やましい所などそなたに限ってあろうものか。私が保証する」
「王子・・・王子・・・」
キャロルは懐かしい響きのする呼び名で彼を呼んだ。
優しくキャロルを抱きしめる彼の胸は、夢の中の王子と同じ暖かさがあった。
(やっぱり私はこの人を愛してた…?)
「何も考えずに眠れ。良いな」
「だけど、私を呼んでいた黒髪の男の人は誰なのかしら?
とても・・・とても気になるの!
顔も名前も思い出せないのに!!」
王子の腕が痛い程キャロルの体を締め付けた。
「もう良い!!動揺するだけぞ・・・何も考えるな!」
「痛い・・・そんなにしたら痛いわ、王子」
ふっと苦々しいため息をつくと、王子は腕をゆるめた。
「夢の最後は王子がね・・・夜の砂漠でわたしにプロポーズしたの。
『私の妃はそなただけ』って言ったのよ」
そう言うと、キャロルは嬉しそうにはにかんで王子を見上げた。
思わず、王子の表情も柔和になる。
「・・・夢の中だけでは物足りないか?
ならば、もう一度求婚いたしても良いぞ」
おどけた口調で言う王子にキャロルは微笑み返した。
「さあ、そなたは疲れておる。十分に寝て体を休めねばならぬ。
私がついておるゆえ、安心して休め」
王子は子どもをなだめるようにキャロルを言い含め、寝かしつけた。
夜が明けると、昨日の激しい雨が嘘のように空は高く晴れ渡っていた。
昨夜の寒さとは打って変わって、強い陽射しが照りつけている。
「うーん、今日はとても良いお天気よ!熱くなりそうね」
キャロルは乾かした衣をまとい、洞の外に向かって軽やかに両手を上げて伸びをした。
王子は苦笑したが、伸び伸びと振舞うキャロルを見ると心が安らいだ。
「嬉しそうにはしゃいでいる場合ではないぞ。一刻も早く我が軍を探して合流せねばなるまい」
二人は崖下の川に沿って下流へと下る。道とは呼べぬ道であった。
「足元に気を付けろ。私が先に行く。私の歩いたところを辿るのだぞ」
王子に手を引かれながら、キャロルは危なげな足取りで王子の後を歩く。
ぬめった岩場でキャロルは何度も足を滑らせ、その度に王子の手が俊敏に彼女の体を支えた。
先を行く王子の背中はとても広く逞しく頼もしい限りだ。
長い亜麻色の髪も颯爽と風に流れて美しい。
キャロルは惚れ惚れと彼の後ろ姿を見ていた。
(私の恋人・・・)
胸の中でキャロルは呟いた。
王子の事を思う度に、暖かい肌や低く落ち着きのある声が脳裏によみがえり胸を切なくする。
彼は目の前にいるというのに、どうしてこんなに切なくなるのか自分でもわからない。
(私この人の事・・・すごく好きになってしまったみたい。でもこれって2回目なのよね?
最初に好きになった時はどんな感じだったの・・・?)
そんな事を思い巡らせているうちに、昨日の夢で見た黒髪の男の姿が突然色鮮やかに胸に浮かんだ。
魂の底からの叫び。彼はなぜあのようにキャロルを強く呼ぶのだろう?
そしてあの美しい女が責め立てる『罪』とは・・・
王子は何故か、彼らについて何も語ってくれない――
キタ━*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*━!!!
どういう裏事情が隠されてるのかしらん(ワクワク
うpありがdです。アイちゃんたら陰謀チックですな。
王子の陰謀っぽい気もするんだけど〜違うかなぁ?
メンヒスの登場を期待してまつ。
遠い約束作家様の、56.5に大笑いしたよ(・∀・)。
今日のアンカーに期待しちゃうよ〜。
>>848 57
「シーク。あの外国のお客人はいつまでご滞在なのですか?アメリカ大使館からの問い合わせがひっきりなしです。サウジ大使館など第三国経由での問い合わせまであるのですよ。
どうなさるのです?リード・コンツェルンのプロジェクトの起工もじきです。
この時期に詰まらないスキャンダルでシークのご令名に傷をつけるのは得策ではありません」
執務室に戻ったシーク・イズミルは、秘書官ルカの刺々しい物言いに迎えられた。シークが言い返すいとまも与えず大胆に秘書官は言い募る。
「お父君も薄々何事かを気付いておられるのはもう申し上げたとおり。いくら箝口令を敷いても奥向きのことをいつまでも表に隠しおおせるものでなし。
ご命令下されば今日の夕方にでもチャーター機を仕立てて、あのご令嬢を国外にお出しできます」
「ルカ、お前はずいぶんと饒舌になったな」
シークの穏やかな一言にルカは心底震え上がった。
「あ・・・僭越でした。言葉が過ぎたことはお詫びいたします。しかしお叱り覚悟で申し上げますなら事態は・・・」
「構わないよ、お前が私を煩わせぬように色々と尽力していてくれることは重々承知している。
まぁ、あのハイジャック事件から2ヶ月以上経っていることを考えればよく持ったということかな」
「は?」
イズミルは資料の束を繰った。ルカやムーラに言われるまでもない。行方不明のキャロル・リードの安否を確かめるべく膨大な問い合わせが来ている。
(そろそろキャロルの存在を公式のものとしなくてはな・・・)
イズミルはこの国でも進歩派、改革派と目されている重要人物達にそれとない根回しをしてきていた。もっとも根回しを受けた相手もまさかシークが外国人の妃を迎えるつもりだとは思っても居ないだろう。
「シーク。お叱りを受けたついでに申し上げます。ライアン・リードが自国の政府に圧力をかけています。アメリカ政府は今度ばかりは経済界の帝王の言うことを唯々諾々と受け入れる気配はないようですが」
「当たり前だ。石油産出国としても、投資先としても我が国ほど魅力ある国はそうそうあるまい」
(ライアンが捜しているのは許嫁としてのキャロルだ。キャロルはじきに兄への思慕と私への愛の違いに気付くだろう。それまでは・・・)
58
「良い子にしていたか?お前を喜ばせる土産があるぞ」
夕方、約束通りキャロルの部屋を訪れたイズミルはキャロルに松葉杖を見せてやった。使う人の小柄な体つきに合わせて作られたそれは軽くて安定性が高い。急いで職人に作らせたものだ。
「わぁ、嬉しい!」
キャロルは、はらはらするムーラを尻目に杖を使って早速部屋中を歩き回った。まだ慣れないこととて危なっかしい足取りをそっとイズミルが支えてやる。
「練習すればもっと上手に歩けるようになるわ。歩けるようになれば・・・」
キャロルは少し言葉を切った。目が潤んで白い喉が神経質に震える。
「どうした?」
「あ・・・早く帰りたいなって思っただけ。まだ・・・私は帰れませんか?」
ムーラがキャロルの無礼な言いぐさを咎めるより早く王子が言った。
「国同士のやりとりは複雑なのだよ。今までお前は何も言わなかったな。
ずっとずっと帰りたいというのを我慢していたのか?」
こくんと頷くキャロル。声を出せば泣き出してしまいそうだ。
「・・・ムーラ、しばらく下がっていよ。私とこの子だけにしてくれ」
二人きりになるとイズミルはキャロルを抱き上げ、ソファに座った。
「可哀想なことをしたな。私はお前がいつも明るい顔を向けてくれるからそれが嬉しくてついお前の不安を思いやってやるのを忘れていた」
その言葉にキャロルは堰を切ったように泣きだした。
「ご、ごめんなさい。ムーラに我が儘を言ってはいけないって言われていたのに。怖くて不安で・・・ひとりぼっちは嫌。嫌なの。ママ達に会いたいの」
イズミルは大きく波打つ背中をそっと撫でてやった。キャロルもやがて落ち着いてくる。
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「お前は一人ではないぞ」
イズミルは自分の胸に顔を埋めたままでいるキャロルに語りかけた。泣き疲れたのか少女はもう半ば眠り込んでいるようだ。
「お前には私がいる。私のいるところがお前のいるべき場所だ。
・・・いつか言ったことを忘れてしまったか?私は一人の男として、イズミル・ハールーン・スレイマンとしてお前を妻にと求める」
低い声は眠りの淵に沈んでいくキャロルの耳にも届いた。心震わせるその言葉。
(シーク?何てことを?私のことをからかっているの?私は・・・)
キャロルは困ったように、嫌々の仕草をした。もう眠くて身体が動かない。薬のせいなのだろう。
「私・・・は・・・ライアン兄さんのお嫁・・・さん・・・」
シーク・イズミルの大きな暖かい手が駄々っ子を慰めるようにキャロルを愛撫する。
「ライアン兄さんのお嫁さん、か。困ったことだ。私の妻になろうかという身がいつまでも子供の繰り言を。
言い聞かせたではないか、‘好き’ということと‘愛している’ということは違うのだと。恋に恋する子供よ、早く目覚めて人を、私を愛するようになってほしいものだな」
もう声も出ないキャロルを軽々と抱き上げるとイズミルは、寝台にそっと小柄な身体を横たえた。そして無粋な覚醒が彼女を捕らえることがないように、優しく額を撫でて眠りをさらに深くしてやる。
幼い寝顔をしばらく眺めていたシークは少し迷うと・・・キャロルの傍らにその体を横たえたのだった。
イズミー、展開早いわ(嬉)。
ここの作家様達の作品を読んでいるとお互いに惚れぬいた恋愛関係って
相互拉致監禁状態になるのかなぁと思ったり。
でもそれも理想の形だと思う漏れは三十路の独身乙女(笑
>>860 「何を考えている?ボヤボヤしているとまた足を取られるぞ」
声にハッとして、キャロルは慌てて笑顔を作った。
「何でもない」
王子は鋭い視線で、心の内を見透かすかのようにキャロルをジロリと見た。
(もう・・・ほんとに鋭いんだから!)
気持ちを取り直し、キャロルは王子の後に続いた。
昼間の炎天下を歩くのはキャロルにとっては相当に過酷であった。
キャロルは息を乱しながら懸命に王子について来るものの、金の髪は汗に濡れ白い肌は赤く火照っていた。
川辺の木陰を見つけると、王子は休息を取るように申し出た。
「ここで暫し休もう。私は水を浴びて汗を流して参る。そなたもどうだ?」
「えっ!!い・・・一緒に?!」
キャロルの驚き方が大げさだったので、王子は思わずクスクスと笑いを漏らした。
「一緒になどとは申しておらぬ。
私はこちらで、そなたはその岩陰のあたりで浴びれば良い。
・・・そなたが一緒にと申すなら、私は一向に構わぬが?」
たちまちキャロルの頬が染まる。
「水流はゆるやかだが、あまり川の中程へは行くでないぞ。危ないからな」
そう言うと王子はさっと背を向け、腰帯を緩め衣を脱ぎ始めた。
「ああ・・・もぅ、恥ずかしいんだから」
岩陰でキャロルは脱いだ衣を畳み、そっとつま先から水に入った。
まったくの裸身で野外にいるのは、いくら人気のない場所とはいえ落ち着かない。
けれど清らかな水流が泥汚れや埃を洗い流すと、心まで洗われるようだった。
キャロルはもう少し先へと足を伸ばした。
突然、水が深くなった。
キャロルは必死で水面を求めてもがき、声を張り上げて王子を呼んだ。
「姫?!何事だ!」
激しい水音とキャロルの声を聞きつけて、王子は水を掻き分けて泳ぎキャロルの許へと急いだ。
すぐにキャロルは王子の腕で抱き上げられ、水面上に顔を上げて荒い呼吸を繰り返した。
「どうしたのだ、溺れるような深さではないぞ」
「だって・・・わたしは足がつかないのよ。王子は背が高いから・・・」
「ならば、もっと浅い所におれば良いのに。まったく、そなたは向う見ずだな」
また王子はクスクスと笑った。
「もう・・・さっきから私を笑ってばかり!」
(そなたがあまりに可愛いからだ!)
王子は思ったが声には出さず、相変わらずキャロルをからかうような笑いを続けていた。
キャロルは王子を睨んで、手のひらですくった水を彼の顔をめがけて放った。
俊敏にかわそうとしたが、顔半分を濡らされた。
「この・・・!」
王子はキャロルの両手首を掴み上げる。
キャロルの両腕を頭のあたりまで万歳をするように引き上げると、水面に白い乳房が浮かんだ。
「きゃぁっ!」
とっさにキャロルは胸を隠そうとしたが、両手を掴まれていては何もできない。
水を浴びて清らかになったキャロルの抜ける様な白い肌に王子の目は惹き付けられる。
琥珀の瞳に妖しく危険な色が灯った。
「あまりに悪戯がすぎると、こうだ・・・」
王子はキャロルの腕を頭上で掴んだまま、白い胸の先端をそっと口に含んだ。
「あっ・・・」
小さな蕾のようなそれを舌先で転がすと、あっと言う間に硬く尖り始めた。
その正直な体の反応は王子を喜ばせ、さらに劣情を煽り立てる。
ふたつの蕾を交互に唇でついばみ吸い寄せると、キャロルは堪らず甘い声を漏らした。
「あ・・・あんっ!」
しかし突然、王子はキャロルの両腕を解放した。
キャロルに少しは抵抗されるかと思ったのに、彼女は目を閉じて微かに唇を震わせるだけだった。
恐ろしいあまり抵抗すらできないのでは・・・と不安になったのだ。
「姫・・・嫌ならそう申せ。そなたが嫌がるのならこのような真似はしない」
キャロルは答える代わりに、王子の胸にそっと寄り添った。
「王子・・・」
白い頬は上気し、悩ましい色に染まっていた。
もはや迷いも無くキャロルの体を抱き上げると、水から上がり川辺にそっと横たわらせた。
昨夜、彼女の体を抱いて温めていた時も、狂おしい程にその肌が欲しかったのだ。
胸の中で眠る愛らしい姿を見守りながら、どれほど自分を戒めて抑えていた事か!
抑えに抑えた欲望が堰を切って溢れ出した。
「良いのか?途中では止めてやれぬぞ・・・!!」
キャロルは王子を真っ直ぐに見つめて、コクンと頷いた。
キャロルってばもっと焦らさないとぉ(ワラ
大人の時間だわ〜
1000取ってみたいな。
むん!
とりゃーー
900でもいいから、取ってみたいな。
888でも良いな。
半神優勝オメデト
おりょ。
882
ハッハッハッ・・・883!ウリャー!!マダ、オトサヌゾー
ワロタ。ほっしゅ
「キャア、オチルワヨゥ」「フン!オトスカッ!」 by キャロル & メンヒス
>878サン、次ドゾー
888(σ・∀・)σゲッツ!!
おめでd。
まだ落とさぬーーーー。