第二回レゲーバトルロワイアル:シリアス

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ロードランナーとの悲しい別れの後、シレンは海岸を歩いていた。
これが旅の神の導きなら、神はあまりに冷酷だ。
青白く光る月の下、シレンは初めて神に対し怒りを覚えていた。

「出会い、別れは旅の常と言っても・・・これはないよ・・・」

それでも歩いていくしかない。風来人であるシレンはそれを知っていた。

「・・・」

ふと、何かが聞こえた気がしてシレンは足を止めた。

「・・・」

やはり気のせいではない。誰かがいる。
周りを見回すと・・・少し先に小さな影が見えた。
目を凝らしてみると、子供がうずくまっているようだ。
こんな場所に子供を放っておいたら大変なことになる。
シレンはその子供の方に走っていった。
「大丈夫かい?」

シレンはその子供に声をかけた。金髪の女の子だ。
どうやら泣いているようだ。無理もない。

「怖い思いをしたんだね。大丈夫だよ、僕は味方だから」

安心させてあげようとシレンは優しく語り掛けたが、
女の子は全く顔をあげようとしない。
小さな肩を震わせ、すすり泣くばかりだ。
シレンは困ってしまったが、放っておくことも出来ない。
「旅は道連れ、世は情け」の精神である。

「とりあえず、ここから動こう?怖い思いしない場所まで行こう」
「・・・怖くない場所って・・・どこ?」
「え?・・・そうだね・・・どこならいいんだろう・・・」
「なぁんだ、お兄ちゃんはそんなことも知らないんだ」

突然、女の子が大きな声を出した。

「・・・き、君・・・?」
「うん、いいよ。お兄ちゃんは優しいから教えてあげるね」

顔を上げた女の子の顔は―――――――見たこともない残酷な笑みを浮かべていた。
驚いて後ずさりするシレン。と、次の瞬間、何かが頬を掠めた。

「!?」

振り向くと、金髪の少年が立っているのが見えた。年は少女と同じくらいだろう。

「あぁ〜、ダメだよ、お兄ちゃん。せっかくいい所に連れて行ってあげようと思ったのに」

少女が残念そうに言う。少女の手には何時の間にか棍棒が握られていた。
シレンは悟った。この子達の言う「怖くない場所」、「いい所」とはあの世のことだ。
この子達は自分を殺すつもりでここで罠を張っていたのだ。

「ダメだよ、デミ。これじゃあ無理だよ」

突然、少年の方が言った。さも残念そうに、だ。

「ダニー兄ちゃん、ダメ?」
「ゴムが強力すぎて、僕の力じゃこのスリングショットはうまく扱えないよ。
その棍棒はデミには重すぎるし。仕方ないけど出直そう」
「うん!お兄ちゃん、またね!バイバイ」

呆然とするシレンを残し、手を繋いで去っていくダニー&デミ。
殺人を極上の遊戯とする超頭脳の双子。

【「風来のシレン」 シレン 白紙の巻物2枚 所持 生存、
「アウトフォクシーズ」 ダニー&デミ スリングショット(ダニー) 棍棒(デミ) 所持 生存】
なんだ今のイメージは・・・?

しむけんの残したディパックを手にしたスネークの脳裏にぼんやりと浮かんだ光景
体中に斑点ができ、血を吐いて倒れる人物・・・
それはスネーク本人のように見えた・・・

――毒か・・・――
スネークの長年のプロとしてのカンがそう告げていた。
(一瞬たりとも気を抜くなという事だな・・・)

スネークはそのディパックを川に放り投げて
すぐさまその場を去った。
その目には今まで以上の決意が見て取れた。


ディパックを放り投げた川には無数の魚が浮かんでいた・・・

【「メタルギアソリッド」スネーク 死亡確認→生存】
110不運 ◆dxXqzZbxPY :03/08/06 12:59
(さっきはあぶなかったぜ・・・)

マリオはさきほどの戦いの事を思い出して身震いした。
一瞬とはいえ死を感じさせたあの丸い獣・・・
「この現役で活躍する俺様に傷を負わせやがって・・・」
(とにかく肩の傷をどうにかするか・・・)
そう思ったマリオは近くの川で血を洗い流す事した。

そこがスネークの放り投げたディパックの辺りより川下ということを知らずに・・・

・・・数刻後・・・
川辺に横たわっていたのは一つの屍だった・・・

【「スーパーマリオブラザーズ」マリオ 死亡】
パラララララッ・・・チュチュチュンッ!!
ヒュヒュ〜ン・・・どどぉん!

無数の銃弾が地面で跳ね、二発一組の爆撃が辺りを轟かす…今はただ身をかわし逃げるしかない、何しろ相手は空中にいるのだ
3色に塗り分けられたタマゴに羽の生えたようなメカ生命体は、一瞬宙に静止すると不敵な笑みを浮かべた(どーやったんでしょね)
「オパオパ、トドメ・・・・・7−WeyShot!!!」

「動きが止まりました…今です、反撃を!」
「おっけー! 必殺っ“乱れ撃ち”ぃぃっ!!」

空中と地上の両者から、夥しい量の銃弾が撃ち出され、交錯する… 勝負は一瞬でついた…両者の放った弾丸のほとんどはお高いに命中する事無く虚空へと消えた
しかし、その中のたった1発が空中のオパオパの翼を射抜いた

「・・・! オパァ〜〜〜〜・・・・・・……」

飛行翼にダメージを受けたオパオパは、バランスを崩して林の中へと墜落していった・・・

「やりましたね、でもしかし・・・よくあんな弾幕の中、全てかわし切りましたね・・・ よくぞ成長してくれました、私エルナーは・・・」

「え? たくさん撃って来たけど、縦1列だったから横に避けただけだよ」

・・・☆※ミ★ (←空中でコケたSE)
「東亜プラン系じゃなくってよかったですね・・・(;一_一)」

「え〜 なんなのよそ…」

 − トスッ −

背後から飛来した何かが、ユナに命中した

【「ファンタジーゾーン」オパオパ 行方不明 】
【「銀河お嬢様伝説ユナ」ユナ  ? 】
ゴトン
ユナの手にした武器、マトリクスディバイダーが地面に落ちる
「ユナ、しっかりしてくださいっ!」
「う・・・うごけない・・・よ・・・」

仁王立ち状態のユナの背後の低位置、髪に隠れていて正確な場所はわからないが、チューブのような物が伸びている
エルナーがその先へと視線をやると、白い服に身を包んだヘルメットの男が地面の穴から半身乗り出してこちらを見据えていた。

「へっ、下半身の背後に装甲がなかったのが命取りだったな」
「あなた、いったいなにを・・・」
くってかかるエルナーに対して、余裕の表情で男は返す
「安心しな、俺のモリはほとんど相手を傷つけないし、このチューブさえ抜けば外傷すら残らねえ 安心しろ 命に別状はない・・・今はな」

男の目に残忍な光が宿った
「しかし、人間相手にコレを使うのは初めてだぜ」
男の両手がゆっくりと上下する、何かのハンドルを操作しているらしい

「・・・がっ きゃあぁぁぁぁっ!!」
ユナの口から悲鳴があがる、
「…ひっ…オナカがぁっ! やめてぇ!」
ヘルメットの男…ディグダグがレバーを動かすにつれ
動けないユナの腹の辺りが風船のように少しずつ膨れ上がってくる
「や…やめてぇ! プロポーションくずれちゃうよぉ〜」


【「銀河お嬢様伝説ユナ」ユナ  生存・行動不能 】
【「ディグタグ」 ディグダグ、  生存 】

「そのチューブさえ外せばいいんでしたよね!」
エルナーがユナに向かって突進した・・・しかし、そのまますり抜けてしまった

「残念だったな、このモリを撃ち込まれ膨らまされた相手は、動くことはおろか、触ることも出来なくなっちまうのさ」

そうこうしているうちに、少しずつ膨らまされていたユナは、まるで相撲取りか妊婦さんのように・・・
「やだやだ、この歳で未婚の母なんかなりたくなぁい!」
この状態ですらボケるんか・・・この娘は…

「さて、そろそろオシマイにしようか・・・」
ディグダグの腕の速度が上がる

「ひっ・・・は…はちきれ…がはっ・・・」
ついにボケる気力もなくなった

「ちっ、頭身違いのせいか、やけに時間がかかりやがる・・・ さぁ、さっさと破裂しちまいな! プーカみたいになァ!
 このマイナーメーカー出がぁぁぁ!!」



 − ごきゅっ −

鈍い音とともに、一瞬 全てが止まった・・・

「ぼくも…同郷なんだけどな………あの娘は後輩だよ」

ディグダグは、事切れていた・・・一瞬で頚椎をへし折られて
「君は、ロボットのぼくにも分け隔てなく接してくれた・・・差別のない人だと思っていたのに・・・」

ボンバーマンは、メインマニュピレータ…鋼鉄の腕をゆっくりと開いた
さっきまでディグダグだったものは、くずれるように地に伏した

「君は・・・君の好きだった地面の中へ帰してあげるよ」

ボンバーマンは死体を穴にそっと落とすと、愛用の爆弾を焼夷弾モードにして放り込んだ

「白ボン・・・」
やっと空気が抜けて動けるようになったユナは、赤々と燃えさかる炎をじっと見つめているボンバーマンに なぜか近づくことが出来なかった・・・

【「銀河お嬢様伝説ユナ」ユナ  生存 】
【「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存 】
【「ディグタグ」 ディグダグ、  死亡 】
さて、・・・・・・

たけしはお茶をすすっていた。別にやることもなさそうだし。

そこに電話がかかってきた。
しむけんからだ。
「姿が見えないなんて反則じゃないか〜?
首輪を(ry」
言い終わる前にたけしはこう告げた。

・・・・・「それはできないなぁ〜・・・・・・」
「え?・・・・・・・」
「さすがにそこまでの介入は出来ないぞぉ〜?
イヤなら戻ってくるかぁ〜?そこまでタイトーの車を寄越すくらいならできるからなぁ〜?」

・・・・・・・・・・・・。
「それとも、探知機でもつかってみるかぁ〜?
武器庫にあったはずだぞぉ〜?それで首輪を探知するからなぁ〜
ただお前のは探知しないぞぉ〜。その首輪はただのダミーだからなぁ〜。」

・・・・・・残念しむけん。
どうするか、しばし考え込んでいた・・・
【「加トちゃんちゃんけんちゃん」志村けん 生存】
【「たけしの挑戦状」ビートたけし 生存】
116女の戦い ◆/Jk44dCVLM :03/08/09 00:06
「やめてくださいっ!本当に!」
「さっきから言ってるでしょう?あなた達が死ねばやめてあげるわ」
「狂ってるよ、アンタは!」

灯台付近の崖で、その三つ巴の戦いは行われていた。
鞭を振り回し、二人の敵を寄せ付けないカチュア。
戦いを臨んでいないサイコソルジャー・麻宮アテナ。
割って入ったアリーナ。
戦いというにはあまりに一方的だった。
武道家のアリーナでも高速の鞭の軌道は見切れないし、
アテナに至ってはアリーナの後で震えるばかりなのだ。

「この武器じゃ時間かかりそうだし、そこから飛んでくれる?その方が手っ取り早いわ」
「・・・アンタは何が面白くて・・・」
「力が要るの。私は勝ち残って、弟を守れる力を手に入れるの」
「そんなの・・・弟さんも喜びません・・・」
「黙れっ!!あなたなんかに何がわかるの!?ふざけるんじゃない!」

アテナの言葉に半狂乱となるカチュア。鞭がより激しくなる。

「わわっ!?このままじゃホントにまずいかも・・・」
「あの・・・私が隙を作りますから、逃げてもらえますか?」
「え?」
「元々、私とあの人の戦いだったんです。あなたには関係ないことですから・・・」
「そっか・・・でもダメだね」
「え・・・」
「アンタを置いてく気にはなれないよ。どうせなら二人でやっつけようじゃん?」

驚くアテナに、アリーナは笑って見せた。
117乱入者 ◆/Jk44dCVLM :03/08/09 00:07
「え!?そんな、どうするんですか?」
「質問するのはこっちなんだけどなぁ。どうやってチャンス作るの?」
「えっと・・・あなたの準備がよければすぐにでも出来るんですけど」
「何か切り札あるみたいね。あたしはいつでもいいよ!」

構える二人。

「何をグダグダとっ!そこから落ちるか、この鞭の餌食になる他に道はないのよ!」

鞭を振るうカチュアが迫る。

「よっし、お願い!」
「はいっ!サイコボ・・・」

ドガアァァァァァァァァン!!

アテナが必殺のサイコボールを放とうとした瞬間だった。
何かが上空から落ちてきたのだ。

「な、何!?」
「敵!?何か撃たれた!?」
「こ・・・こんなの聞いてないです・・・」

やがて、土煙が晴れると・・・その落ちてきた何かが、ゆっくりと立ち上がった。

「いかんな、不測の事態のためか燃料切れにまで思考が回らなかった」
「何ですか、あの人・・・」
「あ、あれって・・・人って言うの?明らかにおかしいんだけど・・・」

その男は3人をまったく気にせず、身体のあちこちをチェックしているようだった。

「何者よ!」

カチュアが叫ぶ。敵を仕留めそこなったのだから怒って当然だ。

「よくぞ聞いてくれた・・・俺はッッッ!誇り高きドイツ帝国軍人ブロッケンッッッッッッッ!!
世界一のッッッッッッ!ドイツの技術が生んだ最強のサイボーグ戦士ィィィィィッ!!」

ビシッとポーズを決めるブロッケン。

「・・・何かと思えば、変態か・・・」
「確かに変態ね、こりゃ・・・」
「普通は通報しますね、『変態がいる』って・・・」
「き、貴様らァァァァッ!変態とは何だ、変態とはァァァァッ!!」

耳から煙を吹きながら怒るブロッケン。

「ありゃ間違いなく変態だわ。ね、あとはあたしがどうにかするから逃げちゃいな」

アリーナはアテナに囁いた。
「え?」
「あっちのお姉さんも変態に気を取られてるみたいだからさ」
「あなたは?」
「大丈夫!これでも結構強いんだから!そうそう、名前だけ教えといてよ。あたしはアリーナ」
「麻宮アテナです。アリーナさん、このご恩は必ず」

アテナはこっそりと走り出した。

「むっ!?」

ブロッケンはそれに気がついたが、特に追いはしなかった。
右腕にカチュアの鞭が巻きついていたからだ。

「敵が減ったか。どちらでも同じことだ。さて・・・」

改めて周囲を見回すブロッケン。
と、突然ブロッケンの動きが止まった。アリーナの顔を見つめている。

「!!」
「!?」
「・・・むぅ・・・これは・・・バカな・・・こんな衝動が俺にも・・・女!名前は!?」
「・・・アリーナだけど・・・何よ?」
「美しい・・・美しい・・・美しいぞォォォォォォォォォッ!!!」
「へっ!?」
「宣言するッッッッ!これより、アリーナ殿を全面的に援護するッッッッッッ!!」

叫ぶと同時に鞭ごとカチュアを放り投げていた。
完全に不意を突かれたカチュアは何メートルも後方に飛ばされていた。

「バカな・・・なんて力なの!?」

危険を感じたカチュアは逃げることにした。

「逃がすかッッッッッッッ!!」
「ちょっと!待ちなさいよ!」

アリーナは追撃しようとするブロッケンの襟首を掴まえた。

「な、何をッッッッッ!?」
「どういうことなのよ?いきなり味方になるなんて?」
「このブロッケン、あなたの美しさに一目惚れしましたッッッッッ!!」
「はぁっ!?」
「御用があれば何なりと!一命を賭けて尽くさせていただきますッッッッッ!」
「・・・言うこと何でも聞いてくれるの?」
「はッ!」
「じゃ、ちょっとそこに後ろ向きで立ってくれる?」
「わかりましたが・・・押さないでくださいよ」
「うん、大丈夫・・・おりゃー!」
「あっ・・・うわああああッッッッッッ!」
「理由はどうあれ、女の子に手を上げるヤツは大っ嫌いなんだよ、あたしはね!」

押したんじゃなくて蹴落としたんだからね――――――海を見下ろすアリーナだった。

【「タクティクスオウガ」 カチュア 鞭所持 生存、「サイコソルジャー」 麻宮アテナ 生存、
「ドラゴンクエスト4」 アリーナ 鉄の爪、ボウガン、探知機(使用方法不明)所持 生存
「ワールドヒーローズ」 ブロッケン 生死不明】
「タケちゃん!タ〜ケちゃん!」
「・・・うるせぇなこの野郎!人がいい気分で寝てるのに騒ぐんじゃねぇ!」

分校の職員室。ソファーで眠っていたたけしは、さんまに起こされていた。

「いやいやいや、違いまっせ、今度は真面目な話や」
「おまえ、適当な事言ったら首輪付けて吹っ飛ばすぞ」
「その前に、一つ思い出さないとタケちゃんが吹っ飛ぶことになるんやないか?」
「何?」
「そろそろ定時放送するんと違うんかいな?」
「あっ!・・・おまえが調子狂わすから忘れるんだろ!こいつめ!」

自分のミスをさんまに転嫁して殴りつけるたけし。

「痛い、痛い!まぁ、ワテも邪魔になってるとは思ったさかい、
詫びの代わりに定時放送用のジングルを用意したんや。このテープなんやけど」
「別にジングルなんかいらねぇよ」
「せっかく作ったんや〜、お願いやから使ってもらえへんかな〜」
「しょうがねぇな・・・おい、やす!放送室どっちだったっけ!?」

眠い目を擦りながら、たけしは立ち上がった。
「・・・で?今どれくらい死んでるんだ?ん?結構頑張ってるじゃねぇか」
「そうやな」

結局放送室について来たさんまである。

「先生、準備できました」

助手のやすひこが合図した。いよいよ定時放送一回目の開始である。
やや緊張した面持ちでたけしは機器のスイッチを入れた。
そしてさんま特製のジングルが流れて・・・流れて・・・流れて・・・来ない?
たけしが不思議そうにさんまの顔を見た瞬間。


『・・・あ・・・あん・・・もっと・・・あ・・・あぁ〜ん、気持ちいい・・・』


「さんま、てめぇこの野郎ー!!!」
「先生!マイク!マイク切るのが先ですー!音流れてますー!」

そこで放送は途切れたが、その音声が島中に流れ、耳にした者全てがコケたのは言うまでもない。
約1名を除いて、なのだが。

「アスカー!アスカー!アスカはどこでゴザルかー!!」

『戦国エース』代表、熱血金髪侍アイン。
妹探しで頭が一杯な上に男好きの彼には放送はまったく耳に入らないのだった。

【「戦国エース」 アイン 生存】
123名無し草:03/08/15 15:35
その頃、予定外の新たなる参加者が、島内へと足を踏み入れていた。

ある意味では、最も危険な男―――。

彼は島内で早速最初の獲物を見付けると、
いやらしく舌なめずりをして、自分の幸運に感謝した。


彼の前には、一人の少女が歩いている。
年の瀬は15〜6、だいたい高校生ぐらいといったところだろうか?
生憎顔はメットのようなものに包まれており確認出来ないが、
短いスカートから時折見え隠れする純白の下着、
そしてなにより、若さと青春の匂いを感じさせる大腿部が艶かしい。
それは、彼女を獲物たらしめるに十分な要素であった。

少女はまだ、自分の存在には気付いていないようだ。
それだけ確認すると、彼は早速特別製の小型カメラを取り出す。
少女の通り道を予測して迅速にカメラをセットするその姿は、
見る者が見れば、恐怖さえ感じさせられるだろう。

彼の持つ特殊カメラには、被写体を写真の中へと閉じ込める効果がある……
わけはなく、それはただ、彼の欲望を忠実に形にする為の道具にすぎない。
だがそんなことはどうでもいい。だって彼は、戦う為にここへ来たわけではないのだから。
124名無し草:03/08/15 15:36
「シャッターチャンス!」

彼は心の中でそう叫んだつもりだったが、興奮が高まりすぎて理性を抑え切れず、
つい口に出してしまったようだ。

「えっ? ……きゃーっ!
 どうしてこんな所にまで、カメラ小僧さんがいるのよー!」

事態に気付いた少女は、顔を真っ赤にして一目散に逃げてゆく。
その光景は、彼にえもいわれぬ快感をもたらした。
……いや、正確には、顔はメットで覆われ見えないはずなのだが、
彼は勝手に脳内で恥らう少女の図を補完したので、何も問題は無い。
自身の脈打つ活火山を木陰で鎮めた彼は、
まだ見ぬ次なるターゲットへ向けて、歩を進め出した……。

「ミニにタコ、ミニにタコ……」

これも全て、日頃の行いが良いからだろう。
この場所を教えてくれたしむけんには、いつかお礼せねばなるまい。



死の恐怖でさえも、彼の性欲には勝てない。
彼の名は、マーシー。
ある意味、最も危険な男……。

【「ワンダーモモ」 モモ 変身 生存】
【「田代まさしのプリンセスがいっぱい」 マーシー 生存】
125山崎 渉:03/08/15 18:05
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
126Get Ready! ◆/Jk44dCVLM :03/08/15 21:33
さんまの悪戯によるちょっとした事故から30分後、本当の第1回目の定時放送が行われていた。

『現在の死亡者は・・・チャールズ君・・・ワトソン君・・・』

ちゃんと数えてはいなかったが、10人くらい脱落しているようだ。

「結構、みんな乗り気ってわけね・・・じゃ、しょうがないか」

展望台の下、岩場の陰で休んでいたシャロンは呟いた。
展望台は海に面した崖に作られており、シャロンは崖の下にいるのだが
そこは死角になっているため、展望台からは見えないのだ。
デイパックからパンを取り出すと一口だけ齧る。
軽く口を拭い、支給武器のマシンガンの安全装置を外す。

「さぁて、行きましょうか」

超人的な跳躍力で展望台の上に飛び上がると、ツインテールの髪をなびかせ走り出した。
彼女はニューマン。突然変異で力を得た人類を超えた存在、まさに超人類。
全参加者中、最高クラスの身体能力を持つ少女が今、狩人と化す。

【「ニューマン アスレチックス」 シャロン マシンガン所持 生存】
127問いかけ ◆/Jk44dCVLM :03/08/15 21:34
焚き火を囲んでいるユナ(とエルナー)とボンバーマン。
ディグダグの死から一言も話そうとしないボンバーマンとは対照的に
ユナはこれまでに起きたことを休むことなく話し続けていた。
ゲームが始まってからずっと寂しかったこと。
突然の襲撃者。
力を発揮できないライトスーツ。
姿すら確認できなかったが、その襲撃から自分を助けてくれた人。
一通り、ユナが話し終わったところでようやくボンバーマンが口を開いた。

「・・・それで、これからどうしたいんだ?」

じっとユナの目を見るボンバーマン。
ロボットである彼の目に、人間しか陥らないはずの暗い光が宿っているように見える。

「・・・あたしは」

その時だった。

『あ〜、皆さん、元気に殺しあってますか〜?お待ちかね、脱落者の発表で〜す』

たけしの定時放送が聞こえてきた。
先程の取り乱しぶりはすっかり収まっているようだ。

「答えろ。俺は既に一人殺している。俺の他にもそういう奴がいる。この放送を聞けばわかるな?
そんな俺を、他の敵を前に、おまえはどうする?」

そんなユナをボンバーマンはさらに問い詰めるのだった。
「・・・あれは、仕方がなかったじゃないですか」

ユナの代わりにエルナーが答えた。

「お前じゃない。俺はユナに訊いている」

ボンバーマンは冷たく言い放った。

「・・・わかんないよ。何で、こんなことしなきゃいけないの?嫌だよ、こんなの・・・」
「嫌なら、どうする?そうやって膝を抱えて泣いてるつもりか?」
「何でそんな冷たいこと言うの?」
「お前が心配だからだ」

ユナは顔を上げた。

「お前次第だ。お前次第でどうにでもしてやる」
「・・・あたし・・・殺し合いなんかしたくないよ・・・」
「じゃあ、俺と来い」
「・・・」
「お前だけでも、このゲームから帰してやる」
「そんなの、嫌だよ」
「・・・」
「・・・」
「わかったよ、俺も一緒に帰る。それでいいんだろ?」
「・・・うん!」
「決まりだ。そろそろ行くか。ちょっと休みすぎた」
129再出発 ◆/Jk44dCVLM :03/08/15 21:39
焚き火を消し、出発の準備をする一行。

「焚き火なんてしてよかったんですかね?こっちの位置バレません?」
「真夜中なんだ、わかりゃしないさ」

ボンバーマンは少し余裕を取り戻しているように見えた。
それぞれ、自分のデイパックを背負う。

「で、どっちに行くの?」
「さぁな。女の勘に任せる・・・が少し待ってくれ」

ボンバーマンが向った先は、ディグダグを葬った穴だった。
その穴に対し、拝むような姿勢をとっている。
短い間でも、相棒だった男への最後の挨拶なのか。

「さぁ、行こう」

振り返ったボンバーマンは先頭に立って歩き出した。後にユナが続く。
だが、エルナーは違った。逆に、穴の中に飛び込んだのだ。
ボンバーマンがその穴に、丸めた紙を落しているのを見ていたからだ。

そんなエルナーの動きに、ボンバーマンは気が付いていた。

【「銀河お嬢様伝説ユナ」ユナ エルナー所持 生存、「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存 】
―――――――終わったのかしら?

灯台に身を潜めていた麻生優子は静かになったようなので、外を見下ろしてみた。
暗くてよくわからないが、少なくとも人の気配はしない。
先程まで何人かの言い争うような声が聞こえていたので、
複数の参加者が戦っていたことは間違いないだろう。

「何故、こんなことに・・・」

悲しそうに呟く。
元々、争いごとは好きではない。
元の世界でも戦士として戦ってはいたが、簡単に割り切れたわけじゃない。
このゲームの中でも、割り切るには時間がかかりそうだ。
暗くてまったくわからなかったので灯台の外に出てみる。
一番見たくない光景が広がっていることを覚悟したが、
意外なことに、死体の一つも見当たらなかった。
みんな、逃げたのだろうか?
疑問に思った優子は、付近の様子を調べることにした。

【「夢幻戦士ヴァリス」 麻生優子 生存】
エルナーの潜った穴は思いのほか深い穴だった。
これを掘ったと思われる男、ディグダグは何を考えていたのだろうか?
ボンバーマンに首を折られて死んだ今となってはそれを知る術はないのだが。

「しかし、暗いですねぇ。どこまで潜ったんでしょう?」

戻った方がいいのかな、と思い始めた。
いい加減に戻らないとユナとボンバーマンを見失うことになってしまう。
しかし、あの時のボンバーマンの奇行を見逃したら
大変なことになるのではないだろうか。
穴に葬ったディグダグに祈りを捧げる振りをして、
何か丸めた紙くずを落した、あの行為には重大な意味がある気がしてならない。
アンドロイドのエルナーにそんなものがあるのかどうかわからないが、
人間で言うところの勘というものだ。

ザッ・・・ザッ・・・

その時だった。何かの音が穴の奥から聞こえてきたのだ。

「何だぁ?誰かいるのかぁ?」

そして、姿を現した人物は――――――――
「ぎぃやああああああ!!」

エルナーは叫んでいた。そこにいたのが、いるはずのない人物だったからだ。

「何だよ、追って来ちゃったのか?ボンちゃん、芝居が下手なんだから・・・」

そう、ボンバーマンに首を折られたはずのディグダグだったのだ。

「あ、あなた・・・死んだはずじゃなかったんですか?」
「あぁ、あれか・・・アンタさ、首の骨の折れた音って今までに聞いたことある?」
「え?いや、ありませんが」
「そういうことさ」
「・・・!あれは芝居ってことですか!でも何でこんなことを」
「ま、話は長くなるんだが・・・で、どう?俺って死んだことになってる?」
「え?」
「定時放送は?」
「そう言えば、名前挙がってましたよ?何で向こうは死んでるって思ってるんでしょう?」
「この首輪で判断してるんだろ。おそらく脈拍を測っていて、計測できてる限り
首輪が電波を発信してるのさ。本部はそれを受信して生死を判断してるんだろう。
ところがどっこい、ここは深い深い地の底だ。電波も送れないってわけよ」
「だから、電波を受信できないから死んだと判断したと・・・」
「そういうこったな・・・ここからが大逆襲さ。死人が何かやるなんて思わないだろ?」

ディグダグはニヤリと笑った。
「逆襲って・・・あなたは一体何を?第一、あなたは・・・」
「あのユナってガキを襲ったことか?芝居だって言ったろ」

ディグダグはニヤニヤしたままだ。

「ボンちゃんに感謝しろよ?『後輩を助けたい』って言ったの、あいつなんだから」
「助けるって・・・」
「あぁ、俺達はこの島を脱出するんだよ。ユナも含めてな」

とんでもないことをさらりと言ってのけた。

「本当は、俺が生き残るためにボンちゃんと組んだんだけどさ。
『それならユナを助ける方法を考えてくれ、そうじゃないと解散』なんて言うからさ。
それやると戦略狂っちまうけどボンちゃんがいなくなったら俺、絶対に生き残れないから」
「それなら、なぜあなたは別行動を?」
「理由は二つ。俺しか出来ない仕事があるのが一つ。もう一つは・・・ユナを信用しきれてないだけさ」
「・・・」
「だからユナのことはボンちゃんに任せた。今頃全ての事情を説明してるはずだ」
「そうか、ボンバーマンが落した紙は連絡用のメモだったんですね?」
「何だ、ボンちゃん見られてたのかよ」
「・・・で、具体的にどうするんですか?」

エルナーはついに最大の疑問をぶつけた。

「あぁ、そうだな。アンタも連絡係は出来そうだし、知っておいてもらうか」

そして、ディグダグは数枚の紙を見せた。

【「ディグタグ」 ディグダグ 生存(本部発表では死亡)】
ゲーム開始以来、ひたすら走っていたソニック。
さすがに疲れが出たため、少し休憩していた。
いくらか酷い目にもあったが、概ね順調と言っていいだろう。
白い服の若者に投げられた時に身体を捻られ、その痛みが残っていたが他には怪我もない。

「後はあのヒゲ野郎を追い詰めるだけか・・・」

自分が一番になるのを邪魔した男、マリオを探し出し、この手で殺す。
そして最後まで生き残り、もう一度ゲーム界で名を上げる。
それがソニックの目標だった。

『え〜・・・現在の脱落者は・・・』

島中に設置されたスピーカーから放送が流れてきていた。
間抜けどもめ。俺はそうはならないぜ。ソニックはそう思いながら聞いていた。

『マリオ君』

それまで聞き流していたソニックの表情が変わった。

「・・・奴が・・・死んだだと?」

バカな。そんなあっけない男だったのか?
自分が追ってきた男はそんなつまらない男だったのか?
自分の手で討たなければ意味がないと思っていたソニックにはあまりにショックな出来事だった。
それでも、一番憎い相手が消えたのだ。喜ぶべきだ。そう、これは喜ぶべきことなのだ。

「・・・クソッ・・・なのに・・・なのに、何だこの気分は!?」

ソニックの苛立ちはしばらく続きそうだった。

【「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」 ソニック 生存】
135反則確認 ◆hyd5IaKNqc :03/08/18 02:21
・・・。
応答がない。

死亡確認後、10分間復帰しなかったキャラの首輪を爆破するのだが、コレは自動で爆破するわけではない。
たけし(またはヤクザ)が、モニターを通じて該当キャラの首輪の爆破を指示するのである。
そして、爆破時は確認のため信号を返信して、その応答を以て爆破確認=死亡確定となるのだが、残念ながら応答しないキャラが
出現したようだ(最初から爆破出来ないしむけんを除く)。

定時放送直前の死亡だったために死亡確認の段階で発表してしまったディグダグ(ホリ・タイゾウ)の死亡確認から10分が経過したため
試みた首輪爆破が失敗したのだ。

たけしからヤクザに指示が飛ぶ。役柄の口調ではなく、本来の口調だ。
「ディグダグを探せ!車載モニタで首輪の確認をしろ!もし生きていたら反則だ!すぐに首輪を爆破させろ!」

そして、しむけんにも同様の指示が飛んだ。
「業務連絡だ!すぐに分校に戻り探知機と腕章、武器の釣り竿を取りに来い!腕章をしている限り主催者モードになるから、
無敵状態の間に探知機を頼りにディグダグを探せ!見つけたら、・・・・釣り竿で首輪を盗め!!!」

そして、タイトーのロゴいりの車が数台分校をあとにした。更に、そのあとからしむけんが・・・・・・・

さらに、ディグダグの会話記録の再生を開始した。
・・・・・・・・・・ボンバーマンが反則に参加した疑いを確認。
音声が途中で途切れたため断定は不可能だが、それを断定するべく、ボンバーマンに対して監視体制が敷かれた。
今後もし脱出への行動を実行するならば、即座に首輪は爆破されるであろう。

【「加トちゃんちゃんけんちゃん」志村けん 生存 探知機/BR主催者腕章/釣り竿所持(モード変更:参加者モード→先生モード)】
【「たけしの挑戦状」ビートたけし 生存】
【「ディグタグ」 ディグダグ 生存(反則確認につき主催者による抹殺対象に指定)】
【「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存(ヤクザ及び音声モニターによる監視対象に指定) 】
定時放送を聞きながら、カチュアはブロッケンに投げられた時のダメージを確認していた。
特に血は出ていないようだが、打ち付けた背中が痛む。
打撲しているのだろう。

「忌々しい・・・変態のくせに・・・」

整った顔が醜く歪む。
だが、今流れている定時放送がその痛みを忘れさせてくれた。
現在の死亡者は約10名。思ったより早い。この調子で敵が消えてくれればいいのだ。

「早くデニムのところに帰ってあげなきゃ・・・私は背負っているものが違うの。
ただ1人の家族のため・・・私欲で動いてる連中とは違うのよ」

カチュアの家族愛も、実は私欲でしかない。だが、そんなことを認めるはずがなかった。

ガシャッ。

何かが、足に当たった。
見るとそれは・・・デイパックだ。中にはサブマシンガンと予備のマガジンまで入っている。

「ほら・・・神も私に味方してくれるのよ・・・」

志村が落としたものと思われるサブマシンガンを拾い上げ、笑みを浮かべるカチュアだった。

【「タクティクスオウガ」 カチュア 鞭、サブマシンガン所持 生存】
「そんな無茶な!」

ディグダグに渡された紙の束を一通り読んでエルナーは叫んでいた。

「まぁ、割と無茶だわなー」

ディグダグが笑う。だが、目は真剣そのものだ。

「だからいいのさ。まともにやって勝てるわけないんだから、奇襲しかねーじゃん」
「・・・でも・・・」
「俺は銃の撃ち方も知らない。剣の扱い方も知らない。
生き残りたかったら頭を使うしかなかった。そうやって生きてきた。
だから、俺は自分の頭脳を信じる。この作戦で絶対に勝つ」
「・・・」
「マジになりすぎだな。ちょっとお使い頼むよ。二人の気が変わってないか確認してくれ」
「・・・わかりました。もし失敗したら、この先ずっとあなたを恨みますよ?」
「もし成功したら、この先ずっと俺に感謝しろよ?」

ディグダグの言葉に頷くとエルナーは飛び立った。

「さてと・・・おさらい、おさらい」

ディグダグは自分の書いた計画書を再読し始めた。

【「ディグタグ」 ディグダグ 生存(手配中)】
「ここまでだ」
「!」

ボンバーマンの言葉に、ユナは「来るべきものが来た」と直感した。
ボンバーマンから紙の束を見せられた時は驚いた。
そこにはとてつもない作戦が書かれていたからだ。
よく言えば大胆。悪く言えば無茶。そんな作戦だった。
だが、そんな計画書がユナを安心させたのは、所々に注釈があったからだ。
注釈には、各ステップが何を意味するのか詳細に書かれていたのである。
口頭ではなく紙で渡されたのは「盗聴されてるだろうから」ということだった。
ただ、誰が考えたものなのか教えてくれなかったことだけが不安だった。

「俺が面倒を見るのはここまでだ。次に会ったら容赦しない。お前でもな」
「・・・ありがとう。ここまで一緒にいてくれて」

ユナは精一杯の芝居をした。
これでもアイドルだ。芝居は苦手ではなかった。
実はこのやりとりすらも作戦である。
計画書の注釈によると、組んでると思わせないようにするための
カモフラージュということらしい。
この後は合図があるまで単独行動しなければならない。
ここから先はしばらく誰も助けてくれない。覚悟を決めるしかないのだ。
踏み出した一歩が妙に重かった。

【「銀河お嬢様伝説ユナ」ユナ エルナー所持 生存、「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存 】
139地獄耳 ◆/Jk44dCVLM :03/08/23 22:33
―――――――最初からこうすればよかったんだ。

シレンは巻物を見ながらそう思った。
支給時は白紙だったその巻物は、今ではこの島の地図が浮かび上がっている。
さらによく見ると地図上を無数の赤い点が動いている。
地獄耳の巻物。風来人の間ではよく知られた巻物だ。
自分以外の存在の位置を知ることが出来る、便利なアイテムである。
手持ちの白紙の巻物の一枚を使ってこの巻物を作り出したのだ。
改めて地図を見てみると各参加者がいろいろな動きをしていることがわかる。
一人で動いているもの、何人かで組んでいると思われるもの。

「とりあえず、これ見て動けば簡単には・・・」

と、その時気が付いた。

「ん!?すぐ近くにいる!?」

地図をよく見ると、現在地のすぐそばに二人いる。
動きからすると自分を追っているわけではないようだ。
とりあえず、シレンはそこに行ってみることにした。
相手の位置がわかるのだから、いざとなれば容易く逃げられる。

【「風来のシレン」 シレン 白紙の巻物1枚所持、地獄耳の巻物使用中 生存】
140リベンジ ◆/Jk44dCVLM :03/08/23 22:35
「・・・貴様か」
「また会えるとはな。借りを返させてもらおうか」

二人の騎士が対峙していた。

「自分の刀に振り回される男に俺を倒せると思っているのか?」

濃紺の鎧を纏った男――――カインが問う。

「扱いなら覚えたさ・・・我が名はオルステッド!行くぞ!」

名乗ると同時にオルステッドは背負っていた幅広の日本刀、胴田貫を抜き放った。
身体ごとぶつかるようにして刀を浴びせていく。斬るのではない。全体重をかけて叩きつける。
その一撃の危険性を察知し、バックジャンプして避けるカイン。

「なるほどな・・・その刀の大きさ、重さから考えればそれが最善手というわけか」
「受ければ、その受けごと破壊する。東洋人は大した武器を作ったものだ」
「・・・」

カインは動揺していた。以前に不意打ちを仕掛けた時とは状況が違う。
あの武器は危険だ。下手な剣や防具で受けた場合、それごと叩き割られてしまうだろう。
それ以前に、自分の武器であったグラディウスは奪われてしまったのだが。
141決定打 ◆/Jk44dCVLM :03/08/23 22:36
オルステッドが刀を打ち込んでいく。
思い切り浴びせてくるため、一撃一撃の間が開くのがカインにとっては救いだった。

「どこまで避け続ける気だ?」
「さぁな」

言葉ほど、カインには余裕はない。喰らえばそこまでだ。

「・・・喰らえば、だがな・・・」

ふっと笑うカイン。背後に木を背負った。

――――――愚かな。

オルステッドは思った。
どうやら、槍をなくしてしまったらしいこの男は、
紙一重で避けて刀が木に食い込んで抜けなくなったところを襲うつもりなのだろう。
だが、この刀は切れ味も素晴らしいものなのだ。
金属ですら断ち割る刀が、木を問題にするわけがない。
ならば、乗ってやろう。抜けないふりをし、カインが攻撃してきたところで斬る。
オルステッドは刀を振り下ろした。

ズバァァァァァッ!!
(・・・何だ、これは?)

倒れていたのはオルステッドの方だった。
どうやら、致命傷を負ってしまったらしい。

「俺の武器があの槍一つだと思ったのが運の尽きだ」

カインは最初に支給された斧を持っていたのだ。
オルステッドが迫った瞬間、それを投げつけたのである。
カインに攻撃の手段があると思わなかったオルステッドはまともに喰らってしまったのだ。
斧は刃こぼれはしていたものの、殺傷能力は十分にあった。
斧を拾い上げると、オルステッドに迫るカイン。

(すまない・・・アリシア・・・私は君の元には帰れそうもない・・・本当にすまない・・・)

オルステッドの脳裏には愛する人の顔が浮かんでいた。

「・・・アリシア・・・私は・・すまない・・・」
「何をブツブツ言っている」

カインは容赦なく斧を振り下ろした。

「何に詫びているのか知らないが、そんなに詫びたければ」

オルステッドの死体を見下ろし吐き捨てるカイン。

「あの世で詫び続けるんだな、オルステッド」

【「ファイナルファンタジー4」 カイン 斧所持 生存
「ライブ・ア・ライブ」 オルステッド 死亡】
143名無し草:03/11/29 03:56
(゚д゚)マズー
144名無し草:03/12/03 16:30
3ヶ月放置か
145名無し草:03/12/04 00:29
作者がいないんじゃ仕方あるまい。
さすがに一人、二人では書く気になれんのよ
146名無し草:03/12/06 07:26
あげ
147名無し草:03/12/12 23:11
hage
148ふら〜り:03/12/18 22:33
今なら言えるかな。言おう。
……前スレ序盤に戻りたい。
149名無し草:03/12/18 22:38
うむ
150名無し草:03/12/20 00:37
>>148
本物?楽しかったよな、あの頃。
151名無し草:03/12/20 00:40
うむ
152148のふら〜り:03/12/20 00:51
殺人鬼ミオを書いてた本人です。今は別の場所で、ほのぼのした
SSを書かせて頂いております。そういえば当時、ミオは最終的には
自殺させる予定だったなぁ……と回想してみたり。
実際はスペランカーに殺られた訳ですけど、殺られ方が本当に見事
でしたから、あれはあれで良かったと思ってますけどね。そりゃまあ、
最初に見た時は魂の奥底から愕然としましたが。
153名無し草:03/12/20 07:55
ありゃ最高の対決だっただろう。
最強最悪の殺人鬼が、最弱キャラに殺されるんだから。
しかもちゃんとキャラ設定に適っている対決っぷりだったのだから。

ああいうコラボをもっと見たいね。
154名無し草:03/12/20 11:58
・・・作者残ってればここで続ける気はあったんだけどな・・・
155名無し草
そういえばあのスレのスペランカーは神がかっていたな。
文章も凄かったし、何よりスペランカーというお笑いキャラの設定を
見事に覆してメチャカコイイキャラにしていた。
後半荒れてしまって大変なときも見事に完結まで持っていたし、
もう一度読みたいなぁ。