<今までの経緯>
☆キャラネタ板→難民板と流れてきました。理由は主にこの2つです。
・キャラネタ板はキャラになりきって交流するスレのため、スレ違いを指摘されたこと
・住人の中から、作品への感想をなりきりで書くのは辛い、という声が挙がってきたこと
移転先としていくつか候補があった中から、マターリできそうなところということで、
ここ難民板を選びました。難民板の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
<お約束>
・sage推奨でお願いします(メール欄に半角文字で「sage」を入れる)。
・ここは社交場ですので特に形式は決めません。質問・雑談・作品発表ご自由に。
・作品がほのぼの系なので、あまり殺伐とした雰囲気はご勘弁を。
あとは常識的マナーの範囲で。
<作品掲載について>
・非公式ファン交流広場なので、原作者及び出版元とは一切関係ありません。
・王家を愛する作家さんたちの創作も大歓迎です。ジャンルは問いませんが、
極端なエロや中傷など確信犯的な作品はご遠慮くださいね。
・作家さんは名前欄に作品のタイトルをお願いします。
連載の場合は巻頭に通しb書き、「>○○」という形で前作へのリンクを
貼ってもらえると助かります。
・18禁作品にはタイトルにΨ(`▼´)Ψを記入して下さい。
ワーイ、引越しおめでとうです。
早く続きを読みたいな。
本編の王家が停滞気味ですが、こちらでこんなに素晴らしい作品が読めるなんて。
ありがたや〜!
ほんと楽しませていただいております。
作家様たちのご健闘をお祈りしつつ。
ネセム神官スレ立て乙!!
スレ立て乙でござりまする。
>5 私もここの作品が本編より楽しみにな一人です。
とゆーか、本編の王家ではメンフィス派だったのが、ここの作家さまのおかげですっかり王子派に。
ここの王子って素敵すぎます。
でもメンフィス×キャロルもやっぱり捨てがたいのでそちらも作家さま、よろしくでつ。
スレ立て、お疲れ様でございます。
後宮物語も前スレで終わりましたありがとう。
うきゃー、後宮物語は全スレで終わりなのですか?!
王子とキャロルのその後を楽しみにしていたのでカナーリショックヽ(`Д´)ノ ウワァァン
でも素敵な物語をありがdでした。長期連載おつかれさまでした。
できれば続きが読みたいですぅ。シクシク。
温かい何かに包まれ、まどろみの中で寝返りを打つと、キャロルはふと自分を見つめる視線に気づき目を覚ました。
「うん、気づいたか・・・?」
自分の身体に男の低い声がじかに伝わる。
男の堅い筋肉質の胸に顔をうずめるようにして眠っている自分に気づき、ハッとして顔を上げると、王子の端正な顔がそこにあった。
憂いのある瞳に影が落ちて表情はよく分からないが、見守るように優しげな視線を感じる。
この心地よい温もりはイズミルだったのだ。
眠っている間もずっと無意識にこの胸の温かさを感じていた気がする。
「よく寝入っておったな。
あまりに心地よさそうに眠るものだから、可愛そうで起こせなかったぞ」
壊れ物でも扱うかのように優しくキャロルを抱き寄せると、まぶたや頬、唇、額や髪にまで何度もキスをした。
何という心地よさだろう。
また深い眠りに誘い込まれそうだ。
イズミルは少し身体を起こすと、キャロルの寝乱れた夜着の隙間から指を滑り込ませ、背中を愛撫した。
「あの・・・王子」
軽く腕で抵抗してみせたものの、もはや以前のような頑なさはキャロルには無い。
キャロルの身体をイズミルの身体にぴたりと寄せても、以前のように身体をすくめて硬くなる事も無く、腕の中で大人しく柔らかな呼吸を繰り返すだけだ。
>>10 (あれほど私を恐れていたというに、何と、少し肌をあわせればこれ程までに馴染むものか・・・・)
イズミルは肌が合うという感覚を今身をもって知った気がした。
キャロルの肌は暖かくなめらかで、触れているだけでイズミルの心を癒す。
恐らくこれはキャロルも無意識に感じているに違いないとイズミルは確信する。
「姫・・・昨夜の私の問いを覚えておるか?
まだそなたは答えておらぬぞ。
言いかけて途中で気を失ったからな」
「あっ・・・・」
昨夜の王子との営みが突然思い出されて、キャロルは真っ赤になった。
まるで霧がかかったようで、はっきりと思い出せないが、とても恥ずかしい姿態を王子に見せてしまった。
しかも途中から記憶が全く途切れて、いつ眠ったのか覚えていない。
「恥ずかしいのか?
・・・ふふ、何も恥じる事などない。
昨夜のそなたは・・・この私を狂わせるほど愛しかった」
「途中から・・・何も覚えてないの・・・いつ眠ったの私達?」
イズミルの甘い色の瞳が欲情し熱く潤んでいる。いつもの冷静さはもはやそこには無かった。
「そなたは私の腕の中で・・・激しい絶頂を迎えて気を失ったのだ。
ふん、私が・・・眠れる訳がなかろう!
眠るに眠れず、そなたを腕に抱きながら一晩寝顔を見ておったわ」
あの身体が蕩けそうになる感覚が思い出されると、キャロルはめまいを覚え目を閉じた。
>>11 「私恐いわ、あんなの・・・」
「恐れずとも良い、もっとそなたを心地良くさせてやる」
キャロルの夜着を手際よく解くと、むき出しになった白い肩に唇を押し当てた。
「あっ・・・」
「さあ、そなたの答えを聞かせよ。」
イズミルの指がキャロルの身体を優しくまさぐりながら、夜着をはだけさせる。
「王子が恐い・・・」
「なぜ?
これほどまでに愛しく思う姫を私が恐がらすというのだ?」
「だって・・・私、王子が触れると何も考えられない・・・動けない」
イズミルは満足そうに微笑んだ。
「ふふ・・・、そうだな。少なくともそなたの身体はそなたよりも従順だし素直だ。
しかし、私を嫌いではないと・・・そう昨夜私に言ったな、覚えているか?」
キャロルは目を伏せて頷いた。
「その続きを聞かせよ」
口調は優しいが威厳に満ちた低い声で問いかける。
「わからない・・・だって何も考えられないのに・・・嫌いじゃないけど・・・」
「そうか、ならば私は期待するぞ。よいな」
そう言うと、一気にキャロルの胸元を開く。
屈辱とあせりに耐えながら宴が終わるのを待っていたキャロルをヒッタイト王は唐突に捕らえた。
「のう、イズミル。ナイルの娘をわしにくれ。望みのものは何でもやろう。」
そういって杯を彼女に無理に含ませた。必死に抵抗するキャロルだがいくばくかの酒は彼女ののどを滑り落ちその華奢な体は倒れ臥した。
その傍ではヒッタイト王子がその意思のまったく無い女を妃にすると宣言しその体を抱き上げようとした。しかし
その瞬間すさまじい音がして王子の頬がはたかれた。神の娘は三白眼となり、先ほどまでのたおやかな様子は露ほども感じられない。
「ふざけるんじゃないわよ!さっきから勝手なことを!
女の意思や感情をなんだと思ってるのよ!?
自分に都合のいい妄想だけを私に押し付けないでよ!
女はみんな攫ってきて監禁して力で屈服させてから甘い言葉掛ければ諦めて自分を好きになるとでも思ってるの?
そんな大人になれない男なんて私は要らないわ!」
キャロルが完全に別モードに突入したことにまだ気づかないヒッタイト王はニヤつきながら近づいた。
「イズミル、神の娘はそなたのような子供に用はないそうだ。わしの愛を受けよ。子を産・・」
む゛びり
鈍い音がして王の鬚が半分無くなり頤は腫上がって血がにじんだ。
「あなたもよ!よくも不味い酒無理に飲ませてくれたわね!私はボルドーの100年物しか飲まないの!
おまけに汚い鬚近づけないでよ!」
罵声を浴びせる間にも鬚は毟られつづけ、完全脱毛状態になった。
呆然としていた臣下たちは王が仰向けに倒れるにいたってようやく取り押さえようと掴みかかったが足首をつかまれ、人間バットとかした王子に薙ぎ倒された。
事態はもう誰にも止められないかに見えたが突然王の体が空気を切り裂いた。
「王子に何をするの〜〜〜!」
王子妃候補のミラだった。
キャロルが暴れだしてすぐ必死に王子を助けようとしていた彼女は降りかかってきた酒を飲んでしまったのだ。
ヒッタイト最高権力者とその後継者を得物にした女の戦いは延々3時間続き、翌朝キャロルはすっかり神の娘の怒りに恐れをなした王妃を筆頭とする首脳一同に丁重に国境まで送り返された。
この後ヒッタイト王が女性恐怖症となり、浮気がやんで王妃が大変感謝したり、王子が衝撃で数年分の記憶を失っていたのはまったくい別の話である。
なんというか華奢でたおやかと表現される女性二人のタッグを組んでの大暴れな話をやってみたかったのですが、
うまくいきませんでした。
大暴れエジプト編もそのうちやってもいい?
( ゜д゜)ポカーン
ぁゎゎ…(゚Д゚;)
自分至上主義・無自覚な蓮画像aるいは踏んだり蹴ったり
>17
私怨ネタしかないの?
誰か換気してください!
ファンサイトネタはこのスレと関係ないからやめましょう。
>14
好きなようにお書きになれば?読む人は読むでしょう。
>14
好きです
続きを希望
番外編書きたい人は書く。
読みたい作品は読む。
読みたくない作品は黙ってスルー。
でつよ。
ナフテラ様換気して〜
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
(\(\_/) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< 換気致しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
ありがたや〜
マターリマターリいきましょう
>>12 柔らかに盛り上がる両の乳房がイズミルの眼前に露わになった。
「おお・・・
そなたはまこと、穢れの無き乙女の身体を持つ・・・」
小ぶりながら形よく盛り上がった柔らかな二つの膨らみは王子の手で優しく包み込まれた。
「いや・・・王子、恥ずかしいっ・・・!」
イズミルは手のひらに吸い付くような柔らかな双丘を揉みたて、その頂きの桜色に色づいた部分を唇に含んだ。
キャロルの目は閉じられ、眉根が苦しそうに寄せられる。
「はぁっ・・・」
柔らかな頂は、イズミルの口中であっという間に固く尖り始めた。
敏感なその頂きを舌や唇で苛まれると、キャロルは気が遠くなりそうになった。
「いや・・・やめて王子。
私、王子に触れられるとおかしくなっちゃう・・・。
こんなの恐い」
「・・・敏感すぎるだけだ」
しかしイズミルはキャロルの願いを聞き入れず、甘い果実のような乳房とその頂きを容赦なく吸い立てた。
「あぁん・・・王子」
明らかに自分を求めるキャロルの甘い声を聞くと、イズミルはたまらず自分の夜着を乱暴に脱ぎ捨てた。
キャロルの白く柔らかな身体とは対照的に、浅く陽に焼けた引き締まった筋肉質の身体。
長い明るい茶色の髪がサラサラとキャロルの肌に落ちてくる。
「さあ、そなたの一番心地よい処を愛でてやろう」
イズミルはキャロルの腰のあたりに纏わり付く夜着を荒っぽく剥ぎ取り、手際よく一糸まとわぬ姿にしてしまった。
>>27 「あっ・・・」
身体中に朝の冷気と王子の熱い視線を同時に感じて、キャロルは何とか身体を隠そうとする。
だが、それはすぐイズミルによって制止された。
「姫・・・恥ずかしがらなくとも良い。
私にそなたの全てを見せよ」
キャロルは恥ずかしさのあまり身体が震え、息苦しくなるのを感じた。
イズミルはほっそりとしながらも、女らしく膨らんだ乳房、丸く滑らかな曲線を描く腰のライン、見るからに柔らかそうな腹部を確かめるように指でなぞった。
柔らかで滑らかな肌がしっとり汗ばみ、王子の指に吸い付くようだ。
「・・・そなたは・・・私こそ私を狂わせる・・・!」
髪の色と同じ黄金の柔らかな淡い草むらを指で掻き分けると、閉じられた両腿の間に淡く色づいた割れ目が覗いている。
イズミルは苦しいほどに欲情している自分を抑えながら、キャロルを驚かせぬようゆっくりと優しく指を進めていった。
イズミルの指がキャロルの割れ目をそっと開くと、その奥に密かに息づく秘密の真珠がある。
昨夜、イズミルが指で愛でてやった場所だ。
その秘所をもっと露わにすべく、両脚を持ち上げて広げようとするとキャロルの身体がガクガクと大きく震えだした。
「いやぁ!」
キャロルの目は大きく見開かれ、涙が溢れ出ている。
喉から嗚咽が漏れ、しゃくり上げそうになっている。
王子はあまりに性急に事を急いではキャロルを本当に恐れさせると悟った。
>>28 「どうした姫・・・そのような悲しい顔をしなくても良いではないか。
よしよし・・・そうだな、そなたには初めてのこと。
このような事は辱めを受けているかのように恐ろしいのかも知れぬな」
王子はいったんキャロルの脚を閉じさせてやると、優しく身体を抱きしめ、軽く唇を吸った。
髪や背中をなだめるように撫でてキャロルを落ち着かせる。
「恐らく私を受け入れるには、徐々にそなたの心と身体を慣らしてやらねばならぬだろう。
時間をかけてそなたの蕾のような身体を女にしてやろうぞ。」
そして耳もとで何度も何度も愛をささやいた。
「そなたを愛している。
これほど女を・・・誰かを愛しいと思った事はない。
姫、そなたに私の思いが分かるかな」
キャロルは王子の胸に顔をうずめたまま、コクンと頷いた。
「私を愛しているかどうか今はわからなくとも良い。
私がわからせてやろう・・・そなたとて切ないほどに私を欲しているという事をな」
幾分かの間、そうしてキャロルを慰めていたイズミルであったが、キャロルの涙が止まったのを見計らうとそっと指をキャロルの秘所に忍ばせた。
そこが蜜で濡れているのを確認すると、再びキャロルの両脚に手をかけた。
「ああっ!」
脚を閉じようとしても、イズミルの力にはかなわない。
広げられた脚の内側にはすでに、甘い蜜が溢れ幾筋もの流れを作っていた。
王子は乾いた喉を潤すかのごとく、キャロルの神秘の泉に滴る蜜を吸った。
キャロルの唇にいつもするように、そこを唇や舌で丹念に愛でる。
愛する少女の甘い蜜を舌で絡め取りながら、未だ男を知らぬそこを手荒にならぬよう慈しむ。
キャロルは自分の鼓動が耳鳴りのように大きく響き、呼吸もままならぬ程息苦しい。
ただ王子の舌が触れるその部分だけが焼け付くように熱い。
>>29 うわ言のように王子を呼ぶ自分の声も、遥か遠くに聞こえる。
イズミルの柔らかい舌が小粒の真珠を捉えた。
指で秘所を広げると、真珠が鞘から少し顔を覗かせる。
舌先が真珠の先端の最も敏感な部分を舐め上げると、鋭い快感が背中を走った。
湿った蜜の音に混じり、秘所を吸い立てる淫靡な音が天幕に広がる。
「いやっ、王子・・・許して・・・もぅ、あああっ!」
容赦なく激しく舐め上げられ、キャロルは身体を痙攣させた。
身体を大きく反らせて喜びの声を上げると、寝台に崩れ落ちた。
「姫・・・?
くっそう、また気を失ったのか。
くっ・・・、この姫にはそうとうな手加減が必要だな!
私とていつまでも生殺しでは、この身がもたぬわ!!」
イズミルは怒張しきって今なお脈打つ自身をもてあましながら、悶々として寝台に身体を横たえた。
安らかな寝息を立てて満足そうに眠るキャロルを見つめながら、恨めしそうに長いため息をつく。
頬や髪をそっと撫でても、激しい悦びのあと脱力し、幸せそうに眠る少女が目覚める気配はない。
「まったく、手のかかる姫よ・・・。
まぁ、しかし、ついに私を受け入れ始めたのだから・・・たいした進歩ぞ」
あと数時間の後にはこの地を引き払い、首都ハットウシャへと出発する。
ハットウシャの王宮に到着すれば、もう姫に言い逃れは許さない。
名実ともに妃にするのだ。
「・・・待つのは辛いが、そなたの初めての男になると思えば・・・待つ価値があると言うもの」
王子はまだほの暗い夜明けの光の中で、我が物になりつつある愛しい少女を胸に抱きしめた。
今すぐにでもキャロルを抱きたいのは勿論であるが、清らかな乙女をじっくりと自分の手で女にする喜びをも大切にしたいという複雑な思いが王子の胸にあった。
ぼんやりと明るい早朝の光のなか、愛しい姫を見守る王子であった。
作家様、ありがとう!
萌えでございまする!
この期に及んで寸止め生殺しにワロタ。そこまでやらせてなんで嫌がるのかね。
このキャロル一回もメンフィスと叫んでにゃィ・・・
やっぱり王子は寸止めなんだw)
キャロルは嫌がってるんじゃなくて失神しちゃったんでしょ。
うーん、王子に責められて失神したいっす。うらやますぃ。
この時代って中だしが赤ちゃんの素だってわかってたのかな?
>>35 ハテ?どうなんでしょう、わかってるんじゃないでしょうか。
というか逆にこの時代なので避妊法なんて外だし以外に知らなさそうな気が。
魚か山羊か羊の腸で作った避妊具なかったっけ?
お昼にここを知り
メンフェスとキャロルの正統ぐるぐる読みました。
本編読んだ時の欲求不満が見事に補完されました!〜感謝。
>魚か山羊か羊の腸で作った避妊具
・・・使いたくねぇ。病気になりそ。
1
「姫君!ご無事でよろしゅうございました!」
イズミル王子に伴われて西宮殿の自室に入ったキャロルを出迎えたムーラは涙を流さんばかりに喜んで、キャロルの白い手を押し頂いた。
この忠義者の王子の乳母を少し煙たく思っていたキャロルはムーラの涙とやつれように驚かされた。
「心配かけてごめんなさい、ムーラ。でももう大丈夫なの」
優しいキャロルの声音にムーラはとうとう堪えきれずに声をあげて泣き出した。
「あなた様をどうしてお一人にしたのか、どうしてお守りできなかったのかと・・・王子が大切にされておいでのあなた様に何かあったら、私は王子に申しわけがたたぬところでした。本当によくご無事で・・・」
「もう済んだことだ、ムーラ。さぁ、姫の面倒を見てやってくれ。一刻ほどしたらまた来る」
「は、はい!かしこまりました。早速に!」
育て子の言葉で有能な乳母の頭は完全に切り替わった。いつもの調子で配下の侍女たちに指示を出し、キャロルに有無を言わせぬ調子であれこれ世話を焼く。
キャロルは香料を贅沢に溶かし込んだ湯に入れられ、入念に身体を洗われた。
自分でできるからといくら言っても誰も聞いてはくれない。
「王子のご命令でございます。お逆らいになることはお許し出来ませぬ。
さぁさぁ、こちらをお向き下さいませ。高貴の御方は全て人任せにするものですのに・・・」
入浴が終わるとキャロルは薄く、でも入念に化粧を施され、美しい衣装を着せられた。それはやはり未婚の少女が着るものでキャロルは我知らず顔が赤らんだ。
2
「支度はできたか?」
キャロルが背中に流した髪の毛を覆うような薄手のヴェールを着けられたのと、王子が部屋を訪れたのは殆ど同時だった。
「はい、王子。いかがでございます?」
旅の疲れを癒す間もなくキャロルは、どこに行くのかというような豪華な衣装を着せられてしまった。
白い絹の寛衣の上にはゆったりとした薄黄色のガウン。ガウンには様々な花が刺繍されている。ヴェールを額に留める額輪は銀に金の象眼を施したもの。
王女のような装いである。
「ふむ、よくできたではないか。何とも愛らしいことぞ・・・」
上機嫌で王子は言い、手の中に持ってきたラピスラズリと金の耳飾りを桜貝の耳朶に着けてやった。
「そなたに・・・。そなたと同じ色をしているのだ」
敏感な耳朶に留め金を留める王子の指先が触れ、吐息がかかる。キャロルは真っ赤になった。
(何と初々しい方だこと・・・)
ムーラは今更ながら自分の育て子が選んだ娘の美しさに見とれるのだった。
(この御方ならば私の王子を託するに相応しい。本当にご無事で良かった。
姫君はお気づきでは無いようだけれど・・・王子のお心はすっかりあなた様のものですのよ。お行方が知れぬ時の王子のお苦しみは見ておれなかった・・)
「ねえ、王子。これからどこかに行くの?」
手を取って歩き出した王子に、キャロルは伸び上がるようにして尋ねた。
「王宮の中にある聖所だ。我がヒッタイトを守護したもう神々のおわす神殿の中の神殿だ」
王子は笑った。
「順番が少々狂ったようだが、私はそなたを神々の御前で娶る。つまりは婚儀だな」
「後宮物語」の番外編です。
無事に帰ってきた王子とキャロルの傍若無人ならぶらぶぐるぐるを。。。
しばしおつきあい下されば嬉しいです。よろしくお願いいたします。
後宮物語の作家様〜、続編お待ちしておりました!!
ヒッタイト道中記はまだかなー
寝る前にもっかい来るクセついてるよぅ
ワーイ、らぶらぶぐるぐる〜〜〜!!!
うれしや〜
やっぱ@ぐるぐるサイコー!◎
後宮物語作者様の、なんかどぎつくなくて夢みる乙女でも安心して
読める作風が好き。でも王子が素敵ならどんなんでもいいや。
ヒッタイト道中記と後宮物語、それぞれ違った魅力があって
どっちの話も更新待ち遠しい〜〜!!
うんうん、夢見る乙女風いいですね。
でもエチーな王子も実は好きかも。
だって本編ではエチーを想像させときながら絶対見せてくれないんだもん。
王子×キャロルのラブラブ自体、本編では望めないんだけど
このスレでこんなに色んな王子を楽しませて頂けてホント幸せです。
他キャラ×キャロルの作品も大好きです。ライアンとかツボでした。
作家様がた、素敵な作品これからもよろしくです。
どのお話もすばらしすぎる〜!
更新&新作、お待ちしていますわ☆
最近の連載作品いずれも私好みで泣けるほど嬉しい!!
本編の王子よりもカコイイし断然セクシーかも、なんて。不埒者?
王子ってこんなにもステキだったのねん(はぁと)
改めて王子に惚れ直してしまった。
マジ続きが待ち遠しい。
>>42 3
王子に伴われてキャロルは王宮の地下に設けられた神殿に入った。
暗い室内は松明の明かりに照らされ、香の煙が白くたなびいている。
「おお、王子。お待ち申し上げておりました」
神官が手を差し伸べた。
「さぁ、こちらへ・・・」
老神官は感情を押し殺し、穏やかな笑みを浮かべた顔の下で考えた。
ヒッタイトの世継ぎともあろう男性が、庶人のように「婚儀」の真似事をしてから女を抱くとは一体どうしたことか、と。
王子の伴っている金髪の異国の神の娘は、駆け落ち同然でヒッタイトにやって来たともっぱらの噂だが、その幼い少女めいた魅力が冷静沈着な王子を恋狂いにさせたのか、と。
王子はキャロルの手を引いて祭壇の前に立った。二人を見守るのは、王子の腹心ルカ、将軍、官房長官、それにラバルナ師、ムーラ。
キャロルは知らないが、王子の非公式の「婚儀」を見守るのは皆、王子を支持する一派として次代の王国を担うであろうと目されている名家名流の人々だった。
征服された王国の王族だったルカ、王家の縁戚でもある将軍とその一族のムーラ。官房長官は王子に実地の政治を教えた師であり、不思議の力にも通じた博識のラバルナ老は王子のもっとも信頼する人間だった。
彼らは王子と共にキャロルを守り、支持する一派となるのだった。それはヒッタイトで王子より他に拠り所を持たぬ異国の娘に対するイズミルの心遣いだった。
4
神官が香炉を振り、跪く若い二人に祝福を与えた。どこからか巫女達の歌声が聞こえてくる。キャロルは敬虔な気持ちで異国の神々に頭を下げた。心細い我が身を守り賜え、と。
その不安を察したかのように王子の声がした。
「神よ、御前に共に罷り出でし我らに祝福を。我らの未来を守り賜え。共に末永く御前に仕える我らに祝福を与えたまえ。共に過ごす我らの長き生涯に豊饒と喜びを与えたまえ」
キャロルは、はっと王子の顔を見た。
(今のは、今のは結婚の誓いの言葉?末永く・・・一緒に過ごそうと言ってくれた?)
キャロルの視線に気付いた王子は暖かく目だけで笑うと、キャロルを促して深々と頭を下げた。神官が祝祷を唱える。
(王子の心遣いだ・・・。私を「妻」にしたいと言ってくれた王子の・・・)
キャロルは身体が打ち震えるほどの感動を覚え、涙を零した。
(私・・・私、王子を信じてよいのね?ずっとずっと、ただ王子だけを愛していればよいのね?)
「さぁ、姫。儀式は終わった。そなたは神の御前でただ一人の我が妻となった。もうこれで、そなたは私から離れられぬ・・・」
頬に流れるキャロルの涙を指先で拭ってやりながら王子は言った。黙って幾度も頷くキャロル。
「さぁ、これを」
王子は神官が差し出した盆の中から指輪を取りだし、キャロルに手を出せと目顔で促した。
キャロルが差し出した左手の薬指に王子は指輪をはめてやる。細い金線と銀線を捩った輪に
そんな二人を居合わせた人々は神話の中の一場面を見るような気持ちで見守るのだった。
いやぁ〜ん、王子私も娶ってちょおだい!(て、既婚子持ちなんだけどさ。)
王家ファソてメンヒス派とイズミル派、どっちが多いのかな。いっそ多数決して
イズミル派が多かったらキャロルと王子をくっつけてくれれば良いのに・・・
>>54 5
人々に恭しく頭を下げられ、雲を踏むような心持ちでキャロルは神殿から下がっていった。
大切に傅かれ、守られて王宮の長い廊下を行くキャロルを透き見する後宮の女達の目。
だが、どんな悪意に満ちた視線もキャロルを傷つけることは出来ない。愛されているという自信と喜びがキャロルを強くし、いやが上にも輝かせた。
キャロルは伴われるままに自室ではなく、王子の部屋に足を踏み入れた。
(どうして・・・?)
甘い期待と羞じらいを覚えて頬を赤らめるキャロル。未婚の乙女の衣装を着てはいるけれどすでに王子によって乙女ではない身体にされたキャロルである。
「姫君。お喜びを申し上げます。さぁ、こちらへ・・・」
先回りして待っていたムーラが背もたれのない椅子をキャロルに示した。
「これより成年の儀を行う」
王子が優しく言った。
「婚儀を終え、夫を持つ身となったそなたはもはや子供の衣装は似つかわしくない」
「姫君、もう御身はヒッタイトの人となられたのですからヒッタイトの風儀に従いましてお身の形をお改めあそばせ・・・。まずは御髪から・・・」
ムーラは浅い盆に入った調髪の道具を王子に差し出した。
「我がヒッタイトでは夫を持つ女人は髪を巻き、結う。調髪は親がするものだが、そなたの故郷は遠い。故に私がそなたの親がわりに髪を整えてやる」
王子は慎重に短い髪の毛を梳き、香料入りの整髪料と髪留めを使って頭にぴったりと沿うようにまとめてやった。
ムーラは潤んだ瞳で育て子の優しい仕草を見守り、続いて衣装の入った浅櫃を用意した。
「姫君、お衣装をお改めあそばして。もうご夫君をお持ちなのですから。御母君にかわりムーラがお手伝いいたします」
「・・・ムーラ。衣装も私が改めてやろうと思う。そなたは下がっておれ」
>56
それは王家が始まって以来ごうごうとループするネタだね〜
消防厨房、王子派の友人と何度妄想を語り合ったことか。
私はメンフィス派なんでそろそろ正統派ぐるぐるキボンヌ。
あとアフマドとのΨぐるぐるΨも読んでみたい。
ここやサイトでは王子派の方が多いような???
何となく活字になると更に王子の魅力が冴えてくるように思うの私だけ?
メンフィスも王子も好対照で素敵なのでどちらも楽しいです。
ダイジェストサイトの管理人さん、いつもこまめな更新ありがとうございます。
まとめて読むとまた楽しめるんですよね。Thanks m(__)m
王子のぐるぐるとメンフィスのぐるぐる、どっちも好き〜!
「契り」作家様
ああっ、王子御自らお着替えっ?!
いよいよ、ぐるぐるでしょーか?
ああ、すっごい寸止めです!
強力な寸止めだぁ。
「ヒッタイト道中記」作家様も週末寸止めでつか?
まーむくわれぬ王子派の方が多いからこそこういうスレが(ry
でもメンフィス派も本編が寸止め少女漫画だから
それなりに妄想さく裂するのよね・・・(ボソ
ン十年前「ファラオの墓」と合体したような悲劇ものを描いたなあ。
厨房でエロ描くなよ・・自分(鬱
寸止め辛いよー!(´ヘ`;)ハァァァー
今ならヒッタイト道中記の王子の気持ちがイタイほど分かる〜
なんていってる自分、ちょっとイタイ。
道中記まだかな・・
警護隊長ウナスはいつもファラオの側にいた。そしていつも見ていた。愛しいナイル
の姫がファラオに愛される様を。ほっそり見える肢体に似合わぬ豊満な乳房と濃い
恥毛を。敏感に反応する様を。乳首を吸われるとうっとりとなり胸を高々と突き出し
始める。優しく噛まれると身悶えし、艶色の吐息を繰り返す。つぶれそうなくらい
力いっぱいつままれるとベッドがきしむほど腰を上下させ始める。意地悪な笑みを
浮かべたファラオは力を緩めぬまま姫の脚が自然と大きく開くのを待つのだ。
ある日、姫がいつものように脚を拡げ愛撫を待っていたそのとき、ファラオはミヌー
エ将軍からの呼び出しで政務の間へ向かわれた。私は姫の警護のため残った。
このようなとき、欲求を満たされぬ姫は自慰にふけることがたびたびあった。
今日もファラオは朝まで帰ってこないことを察したのだろう。枕元の箱から止め具を
出し乳首を挟んだ。「あ・ふぅ」吐息が聞こえる。腰がヒクついているのが月明かりで
はっきりとわかる。左中指と人差し指で花びらを大きく押し広げ右手でご自分を擦り
あげ始めた。恍惚の表情・・・。いつもなら箱からファラオが作らせたファラオ自身
と同じ形をした"もの"をお使いになるのだが今日は出す気配がない。
「ウナス出てきて」。えっ!?密かに覗いていたことに気付かれ目を伏せてじっと
しているとさらに「ウナス出てきなさい!」と荒げた声が。姫が目に入らぬよううつ
むいて出て行くと顔を上げるように言われ視線を上げると・・・ご自分を開いたまま
の姫がいた。私は慌てて視線を下げた。「ウナス、いつも見ていたのは知っています。
務めとはいえ、男性のあなたにはツライお役目でしたでしょう。でも私がどうして
ほしいかはメンフィスと同じくらいわかっていますよね?だからお願い・・・」
姫のそこは狂おしげにうごめいていた。ファラオに殺されるかもしれないとの考えも
よぎったが気がついたときはそこに顔をうずめていた。つぼみを噛むたびにビクン
ビクンと反応する姫。「あっ」しまった・・・。警備服の中の生暖かい感触は自分が
耐え切れずに粗相をしたことを告げていた。
そこへちょうどファラオが戻ってきた。「キャロル、さっ続きを」。
ファラオは粗相をすることもなく姫を十分満足させご自分も満足して眠りに就かれた。
翌日からウナスは姫に恥ずかしくない男になるために女遊びにふけったのであった。
夜の帳の下りた寝台でイズミル王子は愛しい少女を抱き寄せる。
闇の中にほのかに浮かび上がる白い肌、鈍く光る黄金の髪がうねって
寝台の上に広がり、キャロルが身動きするたびにさらさらと動く様が艶かしい。
唇を寄せるだけで敏感に反応してぽうっと薔薇色に染まる肌はなんと王子の欲望を掻き立てることか。
口づけて少女を求めれば少女も戸惑いながら受け入れる。
華奢な体からは力が抜けて、柔らかく王子の体のなすがままになる。
幾千幾万の口づけをしても物足りない。
あまやかな吐息が、少し荒くなった息遣いに王子をそそる楚々としたうめき声が混じる。
「・・王子・・・待って・・・。私・・・おかしくなっちゃうわ・・・。」
快楽の小波に漂い始めた少女は、これから訪れるもっと大きくあまやかなうねりに少しの恐れをなしているようだ。
しっとりと汗ばんだ肌が、色づいて開こうとする唇が、もっとしてほしいと言外に訴えているのを王子は理解している。
「まだだ、そなたの声が聞きたい、もっと私を求める声が聞きたいのだ。」
肌を滑る優しくて繊細な指の動きに少女の唇から甘美なうめき声が漏れる。
白く柔らかい耳朶を噛む王子の耳には「意地悪ね・・・。」と吐息交じりの声音が届く。
「でも・・愛してるわ・・。」
その言葉に王子のはしばみ色の瞳が満足そうに細められた。
週末なのにふらふら来たら新作が!
うれしゅうございます、作家様。
「声」のやわらかさと美しさにうっとりです。
ぶはー、ファラオの寝室に道具箱!
おなじものをどーやって作らせたのか、いやそれより
とめ具イタそ。ってか王子のが持ってそー。ΨΨ
にしても、大胆なエジプトの面々でつね。
おもしろかったー。
「・・・姫」
耳もとで良く通る低い男の声がささやく。
「うん・・・」
キャロルは夢うつつで寝返りを打とうとしたが、身体を動かせないことに気づき目を覚ました。
「お・・・王子!」
寝返りをうてないはずだ。
キャロルは王子のたくましい腕を枕に、その厚い胸板に顔をうずめるように眠っていた。
王子の腕はキャロルの頭と背中を優しく抱き、大きな体躯ですっぽりと包み込んでいる。
「うらやましい程によく眠るな。
私はそなたのお陰ですっかり寝不足だというのに」
少し動けば触れそうなくらい間近に王子の憂いのある美しい顔があった。
王子はゆっくりと深い琥珀の瞳を閉じ、キャロルに優しく口づける。
さらさらと流れ落ちる王子の艶やかな薄茶色の髪とキャロルの黄金の柔らかな巻き毛が美しい絵織物のように重なり合った。
キャロルは眠りから覚めきらぬままに口づけの甘美さにほだされ、しばらくの間この事態をのみこめずにいた。
しかし今現実に、王子も自分も一糸まとわぬ裸体でこのように抱き合って朝を迎えている。
昨日の夜の出来事も、早朝の出来事もぼんやりした記憶が残るだけ。
不安そうに混乱するキャロルに王子は微笑みかけた。
「安心するがよい、まだそなたを女にはしておらぬ。
そなたは未だ乙女のままだ。
・・・私は女の悦びを少し、愛しいそなたに教えたまで」
>71
頬を優しく撫でるこの指や額に口づけられるこの唇がキャロルの身体中を愛した感覚を思い出しキャロルは頬を真っ赤に染めた。
「恥ずかしい・・・!」
キャロルはこの上ない恥ずかしさに両手で顔を隠すようにして打ち震えていた。
その様子が少し可愛そうに思えた王子は、床に落とされたままのキャロルの衣装を拾い上げ枕元に置いた。
そっとキャロルの肩に手を置いて優しい口調で言う。
「そのように・・・痛々しいほど恥ずかしがるでない。
私の心が痛むではないか」
相変わらずキャロルは顔を伏せたままだ。
王子は仕方がないな、という風にため息を着くと寝台から降りた。
「さぁ、我々はもうすぐこの地を発たねばならぬ。
そなたを一刻も早くハットウシャへ連れ帰りたいゆえ、ぐずぐずしてはおれぬのだ。
私は外の様子を見回って参る、そなたはその間に身支度を済ませるように」
王子はそう言うと、手際よく身なりを整え天幕から出て行った。
もう少しキャロルの側で睦言でも言いながら戯れていたかったが、しばらく一人にさせ落ち着かせてやろうという配慮であった。
(どんな顔をしてこれから王子に接したらいいの・・・?
私、王子を・・・好きになり始めている?)
一人残された天幕の中、キャロルは衣装を身にまといながら、身体のあちこちに残る王子に愛された跡を指でなぞった。
エジプトにいた頃、強引に求愛してくるメンフィスに無理やり唇を奪われた事は何度かあったが、王子に口づけされた時のように切ない高まりを感じる事は無かった。
ただそこには引き攣るような恐怖を感じただけで、死に物狂いで抵抗したものだった。
男から口づけを受けることがあのように甘く魅惑に満ち五感をとろけさせるものだと、キャロルに教えたのはイズミル王子だけであった。
>>72 エジプトで王子にさらわれた当初は、王子はメンフィスよりも数段恐ろしい存在に感じられた。
メンフィスよりも冷酷で鋭利に光る瞳、何人もあらがう事をゆるさぬ口調、彫像のように冷たく美しい貌や鍛え上げられた鋼の身体、それらのすべてがキャロルを威圧し萎縮させた。
しかし、王子に抱かれ眠る時の心地よさはどうだろう。
王子が身体に触れる時の胸の高鳴りはどうだろう。
あの恐ろしく冷たい翳りのある瞳がキャロルを見つめる時、どれほど甘く優しい光を宿すことか。
ふとキャロルは王子という人間が多くの二面性を持つ事に気づいた。
冷酷さと優しさ、穏やかさの中にある激しさ、そしてキャロルを畏怖させながらも魅惑し惹きつける不思議な何か。
キャロルは混乱した。
(・・・しっかりしなくっちゃ。
自分でしっかり考えなくちゃ。
私は古代の人間じゃないのよ・・・流されちゃだめ。
あぁ、でも・・・王子に触れられたら・・・私、どうしたらいいの?)
王子の一行はハットウシャへと向かう。
馬の上でキャロルを庇うように腕に抱きながら王子は手綱を取る。
さきほどから王子は物思いに耽っているのか、あまりキャロルに話しかけてこない。
妙な沈黙が続くと、キャロルの腰に回されている力強い腕や背後に密着する広い胸の存在を一層に意識させ、昨夜の王子との秘め事を嫌でも思い出させる。
(王子ったらずっと黙ったままだわ。
・・・何か言って、王子。何だか気まずいんだもの)
>>74 王子は腕の中に小さな身体を抱きながら、キャロルがエジプトで過ごした日々を思い馳せていた。
イズミルはエジプトの王であるメンフィスがいたくキャロルを気に入り、妃にしようとしていた事は良く知っていた。それは諸外国の民でさえ周知の有名すぎる噂であった。
しかしそのような熱愛ぶりにも関わらずメンフィスがこの少女に手をつけずにいた事を、王子はキャロルの身体を改めた時に初めてはっきりと確信を持ったのである。
メンフィスがキャロルを・・・と想像する度に煮えくり返る思いをかき消し、愛する少女を穢れない乙女と信じて疑わぬ王子であったが、キャロルの秘所に乙女の証を見つけた時にすべての杞憂が嘘のように晴れたのだ。
しかしながら、メンフィスが何故キャロルを我が物にしてしまわなかったのかイズミルには不可解でならなかった。
(メンフィスとてこの私と同様、姫を強く欲していたはず。
このかよわい身体で命がけの抵抗をしたのだろうか・・・?
よくぞ・・・あのメンフィスから乙女のまま身を守れたものだ。
奇跡としか思えぬ・・・神がそなたを護りたもうたのか)
王子は心の中で神々に感謝の祈りを一心に捧げていた。
そして腕の中の清らかなる少女を、もっと大切に愛してしてやろうと自分自身に誓うのだった。
「どうした、姫? 疲れたのか?」
王子は腕に抱かれたまま大人しいキャロルを心配そうに覗き込み、優しく問うた。
突然話しかけられ、ドキリとして王子を振り返り見上げる。
「い・・・いいえ、大丈夫。
王子こそ、昨日眠れなかったって言っていたわ。大丈夫なの?」
そう言ってしまった後に王子が眠れなかった原因を思い出し、恥ずかしい事を言ってしまったと後悔した。
>>74 「私を心配するのか?
ならば、眠れぬ事などより私の想いが報われぬ不幸を心配して欲しいものだな。
なぁ・・・愛しい姫よ」
王子は瞳を半ば伏せて、流れるような悩ましい視線でキャロルを見射る。
熱っぽく色香がただようその表情で見つめられるとキャロルはとたんに恥ずかしくなって、身の振り方に困惑した。
視線を脇にそらすのが精一杯だ。
「私がこうして口説いているというのに、私の方を見ようともせぬとは・・・何とつれない娘」
キャロルが恥らう姿はかくも愛らしく、王子は少しからかってやりたい悪戯心をおこす。
キャロルの顔を強引に自分に向き合せ頬を寄せると、少女の頬は火がついたように更に熱くなった。
「おお、真っ赤になりおって・・・可愛いやつ」
「何よっ!・・・王子ってば私が困っているのを見て楽しんで!離してよ、ばかっ、嫌いよ!」
王子の胸を手で叩いて反抗してみせても王子は動じない。
片手だけでいとも簡単にキャロルの両腕を優しく制してしまう。
「まったく・・・この私に向かって嫌いだ馬鹿だとほざく無礼な娘は後にも先にもそなただけぞ!
二度と私にそのような口がきけぬ様、今宵はそなたにきつく仕置きをしてやろう。
眠らせてなどやらぬからな、覚悟をいたせ!」
わざと怒りを帯びた低い声色を作りながら、楽しげに王子は言いつけた。
しかし瞬時に意味を悟ったキャロルは狼狽する。
>>75 「いやよ、そんなの!」
「ならぬ、生意気なそなたには仕置きが必要」
「いやだったら・・・ああん、ごめんなさい王子。もう言わないわ、ね?」
「ふん、詫びるつもりならば・・・私を愛していると申してみよ」
キャロルは王子の突飛な要求にしばし言葉を失う。
(そんなの・・・言えないわ!)
「さぁ、どうなのだ?」
キャロルは恨めしそうに王子を上目遣いで見上げる。
「・・・言ったら許してくれるの?」
王子はそうだな、とでも言うように口端だけで微笑した。
そのような言葉を一度でも口に出せば、心のうちを鋭い王子にすべて読み取られてしまいそうだ。
ためらいながらも胸が痛いほど高鳴り、震える声で呟く。
「じゃぁ・・・あの・・・あ、愛してるわ」
その一瞬、時が止まったかのように王子はその言葉を発するキャロルの愛らしい唇を見つめた。
単に許しを乞うための言葉とは言え、何と甘やかに響くことか。
愛する少女の声で語られるその言葉は王子の心を激しく揺さぶった。
王子の瞳が哀しいほど切なげに揺らぐ。
キャロルの身体を王子の腕は痛いほどに抱きしめた。
「おお・・・そなたを・・・そなたを愛している!」
揺れる馬上で王子に抱かれたまま、キャロルは唇を奪われた。
王子の引き締まった唇の意外な柔らかさに、うっとりと目を閉じるより他になす術がなかった。
寝ようと思ってきたけど、ちょっと待った〜〜ってかんじです。
「ヒッタイト道中記」作家様アイシテル〜CHU!!
おおっ続きがうpされているっ
「ヒッタイト道中記」作家様有難うございます!
今日はどの作品もうpなかったなり。残念。記念のカキコ。
私も何か書けるものなら書きたいけど、自分で読んでも萎えるようなのしか書けんかったし。
楽しみにしてます。おやすみなさい。
道中記はやくΨ(`▼´)Ψモードにならないかな〜〜(どきどき)
契りももうすぐらぶらぶぐるぐるモードに突入しそうだよね(わくわく)
道中記って1−26全部Ψ(`▼´)Ψモード
とオモテタわらしは子供でつか?
>>57 6
真っ赤に頬を染めて立ちつくしたきりのキャロルの子供っぽい初々しさを好ましく思いながら王子は細身の佳人を側近く引き寄せた。
キャロルは倒れかかるように王子の腕の中に捉えられてしまった。
「お、王子。離してっ!着替えくらい自分で出来るから。お願い、向こうに行って。ムーラや皆がどう思うかしら?嫌だったら!」
王子はくすくす笑いながら、小憎たらしく抗う娘の動きを封じ、あっという間にガウンを脱ぎ滑らせ、寛衣だけの姿にしてしまった。
未婚の女性の衣装はゆったりとした着こなしのもの。帯などで細い腰を強調するのは既婚の女性の風俗だった。キャロルも子供っぽい線の衣装だ。
「ふふ・・・。子供子供した衣装の何と似合うことか」
王子はキャロルの唇を奪い、そのまま彼女の身体が柔らかく従順になるまでじっくりと貪り味わった。
「乙女の衣装を身につけて楚々とした顔で神前に進む・・・誰が見ても美しい無垢の花嫁だ。でも本当は私がとうに乙女ではない身体にしてしまった・・」
恥ずかしい言葉でキャロルを煽りながら王子は細い身体をまさぐった。
言葉と王子の淫らな息づかいだけでキャロルはすっかり惑乱してのぼせ上がっていた。甘やかに苦しげに吐息する様子が王子を喜ばせる。
胸の双丘の突起は生々しく布地を持ち上げ、きめ細かな白い肌は紅潮して男を誘うように匂いたった。
「惜しいな・・・。まことこの衣装はよく似合う故、もう少し乙女のままにしておくのだった。もう脱がさねばならぬとは」
心にもないことを耳朶に囁きかけながら王子はキャロルを引き剥いていく。
7
「ああ・・・っ」
寛衣を脱がせて、脚の間を守るように巻かれていた絹帯を取ってしまえばキャロルはもう生まれたままの姿だった。
うすく汗ばんだ肌はしっとりと艶めかしく、胸の紅玉と脚の間の淡い金のくさむらが淫靡な彩りを添え、肌の白さを際だたせている。
自分が贈った耳飾りと指輪だけは取らずに、王子はキャロルを寝台に横たえた。キャロルはぎゅっと目を瞑り、小さく震えさえしている。
「ああ・・・何やら奪ってきた乙女を無理矢理抱くような心地がするな、そのように恐れられては。私を知らぬそなたではあるまいに・・・」
王子は自分も衣装を脱ぎ捨て、キャロルの白い手を自身に導いた。
「覚えているか・・・?これがそなたの中に入るのだ・・・。あのときと同じように」
羞恥に震えるキャロルは王子の固く熱い大きな強ばりの感触に「あのとき」の痛みを思い出した。思わず腰を捻り逃れようとするキャロル。
「大丈夫だ・・・。この慶びの日に愛しい娘を痛めつけるような真似はせぬ・・・」
王子はゆっくりと全身に口づけていった。じっくりと丹念に、入念に味わうように。
執拗でなぶるような口づけにやがてキャロルも燃え上がり、切ない吐息を漏らし始めた。
「そなたが愛しい・・・」
王子はそう言って、女を焦らすことをやめ、悦びを与えてやる仕草を始めた。
8
固くしこった胸の紅玉を王子は指先で、舌で弄んだ。勃ちあがったそこを白い膨らみの中に押し戻すようにするとキャロルから王子を誘うような甘い香りが立ち上った。
「さぁ・・・脚を拡げてみよ。どうするか分からぬのか?・・・こうだ」
王子は膝が胸につくくらいキャロルの身体を深く曲げさせると、甘い蜜を滴るばかりに湧き出させた秘所を愛でた。
昼間の光の中でふるふると震える花はたとえようもなく美しい。
花芯を舌先で舐めれば女は甘い声を上げ、蜜をもっともっと湧き出させた。歯で花びらをしごくように引っ張れば、白い身体は信じられぬほど撓った。
王子は癒されぬ喉の渇きを鎮めようとでもするように泉の中までも舌で探り、締め付けてくるそこの強さに嬉しい悦びを感じた。
「おう・・・じ・・・!私、もう・・・!」
キャロルは呆気なく達してしまった。イズミル王子はその呆気なさに好色な驚きを感じながら、キャロルに囁いた。
「まだまだ・・・終わりではないぞ。男が何をするか知らぬとは言わせぬ」
王子は痛いほどにいきり立った自身を、花びらの中にゆっくりと沈めていった。
一度は達してすっかり脱力した身体ではあったが、王子自身の圧倒的な存在感と熱感に戦くように緊張する。王子はわざとゆっくりと沈んでいった。
「あ・・・ああ・・・・イタっ・・・・うん・・・・!」
のけぞって苦痛と圧迫感に耐えるキャロルを見ながら王子は我慢しきれずに男の動作を激しく繰り返した。
そして男の荒い淫らな息づかいと女のか細い声は一つに溶け合っていく・・・
9
二度目でありながらなお、うっすらと血を滲ませた秘所を優しく清め上げてやり、王子は胸の中に細い身体をしっかりと抱きしめた。
キャロルはうっすらと涙ぐみ、疲れ切った顔をしていた。だが男の目には痛々しいまでのその疲れ方まで好ましく見える。
「すまぬな、姫・・・。ついそなたを気遣うことを忘れた。辛くはないか?
全く・・・女相手に自制が効かぬとは。こんなことそなたが初めてだ」
「大丈夫・・・」
キャロルは微笑んだ。激しく抱かれた衝撃や疲れも、自分がどれほど愛されているかを思い知らせてくれる甘い証拠だ。
「王子が大好き・・・。ずっとずっと一緒に居たい」
キャロルは初めて自分からキスした。その初な媚態が女に慣れた王子をこの上なく喜ばせた。
「嬉しいことを・・・。もう一度最初からそなたを愛したいが、成年の儀をいつまでも中断させるわけにもいくまい。さぁ・・・」
王子は寝台から起きあがると素早く衣装を着け、一糸纏わぬ姿のキャロルを敷物の上に導いた。
「これが夫を持ちたる女人の衣装ぞ。私が着せてやろうほどに」
寛衣もその上に着る葡萄色のガウンも、先ほど王子に脱がされたものより遙かに豪華だった。
王子に促されるままに動くとキャロルから先ほどの行為の残り香が立ち上る。
王子はガウンの上から美しく刺繍された帯を巻いてやった。それがヒッタイトの既婚婦人の印だった。
「私の妻は美しいな・・・」
王子の賞賛の言葉にキャロルは真っ赤になって俯いてしまった。
「私の妻はそなただけだ。忘れるでないぞ。そなただけが私と共に未来へと歩んでいけるのだ」
翌日。後宮の女達は、目の下にうすく艶めかしいくまを浮かべたキャロルが成人女性の衣装でいるのを見た。庭をそぞろ歩くキャロルの横には忠実な従者のように大柄なイズミル王子が添うている。
後宮の女達は自分の野心が潰えさったことを悟らされるのである。
というわけで終わりでございます。
最後はオニ締めでございます。
読んで下さった方、スルーして見守っていてくださった方、ありがとうございました。
わ〜い、王子はストイックに見えてエッチなところ、メンフィスはエッチに見えてエッチなところがツボです。
色気のある男ってステキ、どちらも良いわぁ。
キャロルはどちらと組み合わせてもベストカップルで(・∀・)イイ!
王子って実はロリ?!
でも王子って好きな相手の育成が趣味だしね、ここじゃ。
契り作家様、ありがとうございました!
キャロルが16歳なら王子って何歳なんだろ?
コミックスの王子は20歳くらいかと思ってたけど、ここに登場する Ψ(`▼´)Ψな王子のお色気と貫禄は20そこらの若造ではなさそう。
それぞれの作家さんは何歳くらいの設定で書かれてるのか、ちょっと知りたいれす。
個人的には王子は20代半ばくらいかと思いまつ。
でも年齢は若くても中身は3、40代の老練な政治家と夢見るチェリーボーイが同居してるの。
精神的には年寄り(なんたって20年)かもね
と思わず江口寿史の描いた風刺サザエさんを思い出しちゃったよ・・・
あははは。
>>92 知ってる、知ってる〜。
変わらないように見えるサザエさん一家を虫眼鏡で見たら皺だらけだった・・・ってヤツだね。
王子は20台前半〜半ばのイメージだけど、あの時代で25、6で独身ってどーなんでひょ。
14,5とかでケコーンしちゃうものじゃないのかね。
でも、何だったって王子なら許せるぅ!
やっぱり読者もそれなりの齢を重ねているもので、
ただ勢いだけのおぼっちゃまくん、チェリーボーイではいかんのよ。
そして情熱のないのもイヤだし。・・・贅沢な読者<自分だ。
>>76 商人が交易し、人々が行きかい賑わう市街地の市場の近くで王子の軍は一旦足を止めた。
食料や需要品の調達のためである。
新鮮な食料や様々な古代の装飾品や雑貨が店先に並ぶ様は、キャロルの好奇心を激しく駆り立てた。
「まぁ、なんて活気に溢れているの!
これが・・・これが古代の市なのね!
ああ、あれは何かしら・・・
ねぇ、王子、私も見に行きたいわ!」
王子は大きな碧い瞳が興奮してクルクルと動く様を少し驚きながら見つめた。
可憐な声で多弁に語りかけ、王子の袖許をしきりと引っ張っている。
子供のようにはしゃぐキャロルの様子は王子を嬉しくさせた。
「・・・ふむ、ならば少し歩いてみるか?
ありとあらゆる物が行き交う場ゆえ、何ぞそなたの気を引くめずらしいものがあるやもしれぬな。
おお、その前に・・・少し待っておれ」
王子は側の兵士に何やら指示を出し、荷駄の中から薄い布のベールを持って来させるとキャロルの元へ戻ってきた。
「黄金の髪はこの人ごみの中で目立ちすぎる・・・
これで覆ってやろう」
そう言って王子は優雅な仕草でキャロルの前に片膝をつくと、キャロルより少し低い目線の高さになった。
まるで王子にかしずかれているようで、面はゆいような妙な気分にさせる。
王子はそんな事は少しも構わぬ様子で、優しい手つきでキャロルの髪を束ねゆるく編んでゆく。
長身である王子の顔はいつも見下ろすようにキャロルの頭上にあるので、このように王子よりも高い位置から王子を見るのは初めてだった。
そしてこのように王子の姿をただ見つめることも。
>>95 明るい茶色の長い髪が風になびいて少し乱れて額や頬にかかる。
美しい線を描く眉に続く、すっと筋の通った上品な鼻梁。
王子の瞳に翳りを落とす睫毛はその髪と同じ艶やかな茶色で、王子が瞬きをする度にゆるやかに揺れる。
まっすぐ見据えられると戸惑ってしまう程に美しいその瞳は、今はキャロルの腰まで届く長い髪に向けられて伏し目がちに下を向いている。
キャロルはそっと盗み見るような気持ちで、睫毛の下に宿る深い琥珀色の宝玉の瞳に見入った。
突然、王子の視線がキャロルを見つめ返した。
「うん・・・どうかしたか?」
キャロルは眩しいほどの力強さを持つ視線にぶつかるとドキリとして慌てて首を横にふった。
「なんだ、おかしな姫だな」
王子はクスッと笑うと、器用な指先で編んだ髪の端を紐で結んだ。
「・・・よし、あとはこのベールを纏えば良い」
立ち上がり羽のように軽やかなベールでキャロルの顔や髪を包んだ。
淡い色のベールの間から碧い瞳だけがのぞき、何やらキャロルを神秘的に見せる。
「ふん・・・まぁまぁの出来ばえだな」
自分の手際にとりあえず満足したように頷いて王子は微笑する。
「では、姫と買い物に参るとするか。」
言い終わらぬうちに、王子の手がキャロルの手を握った。
「王子?!」
その骨ばった大きく温かい手の感触はキャロルを安堵とも高揚ともいえぬ複雑な気分にさせる。
「手を繋いでいてやろう。
そなたが迷子にならぬように・・・な。
そなたの欲しいものは何でも買ってやろう・・・遠慮なく申すがよい」
>>96 王子に手をひかれ市場に並ぶ品を見に行くなんて、まるで睦まじい恋人同士のようだ。
さきほど馬上でかりそめにも「愛している」などと言ってしまったせいか、いつになく穏やかな笑みを浮かべる王子のせいか、ついつい夢見心地になってしまう。
(だめだめ、王子のペースに乗せられてるわよ!)
キャロルは王子を睨み上げながら、手を振り払おうとした。
「王子、手を離してちょうだい! 私子供じゃないわ」
王子は少し訝しげに強い語調で言い放つキャロルを振り返ったが、精一杯に威勢を張るキャロルを見るとすぐにおどけたように笑った。
「おお、すまぬな。 そなたを子ども扱いしたつもりは無い」
キャロルの手はすぐに開放され、キャロルがほっと安堵の吐息を漏らしたのも束の間。
今度は王子の力強い腕が腰に巻きつくように回された。
「・・・・!!」
その腕がキャロルの身体をグッと引きつけたかと思うと、耳元に王子の唇が寄せられ、吐息まじりに甘く低い声がささやく。
「そうだとも、そなたは私の愛を一身に受ける恋しい姫。
子のように手をひくよりは、このように腕に抱くのがふさわしかろう」
優位に満ちたはしばみ色の瞳がからかう様にベール奥の碧い瞳を一瞥する。
「なっ・・・! ち・・・違うわっ! そういう意味じゃ・・・!」
「これでも不満だと申すのならば、そなたを胸に抱き上げて連れて参ろうぞ」
毅然とした態度で抵抗したつもりだったが、声高らかに笑う王子にキャロルはうなだれた。
王子はいつも言葉巧みにキャロルの防御を封じてしまい、結局は逆に王子の思うつぼである。
>>97 ただでさえ王子の長身と美貌は人ごみの中でも目立つ。
その王子が、ベールで顔を覆っていても隠す事のできぬたおやかで高貴なただずまいを持つキャロルを連れてこのように身を寄り添わせ歩くのだから、道行く人達の中にはすれ違いざまに仲睦まじすぎる二人に口笛を飛ばすものも数知れずいた。
男女の睦みを盗み見するような好奇の目が痛いほど突き刺ささりキャロルを羞恥させるが、王子は何食わぬ涼しい顔をしている。
時おり魅惑的な瞳で微笑みかけてくるのも、また気に障る。
「もう・・・もうっ!ひどいわ、どこまで私をからかったら気がすむのよ」
まぶたの淵まで真っ赤に紅潮させてキャロルが悔しがると、王子は可笑しくて仕方がないというようにクックッと笑った。
>>98 王子は若い女の好みそうな煌びやかに光る宝飾品や見るからに豪華な美しい絹布などをキャロルにすすめてみたが、彼女の興味はそちらにはあらず、商人が商いをする様や活気溢れる市場そのものにあった。
先ほどの不機嫌もどこへやら、まるで初めて市に連れてこられた子供のように並べられた品を手に取り、王子に様々な質問を問いかける。
王子の親切な応答と広い知識にキャロルは深く感心するようで、キャロルは王子と連れ立ちありとあらゆる店を回った。
新鮮な果物が並ぶ露店を通り過ぎようとした時、店先の籠を指差してキャロルが問うた。
「王子、あれは・・・杏かしら?」
橙色の小さな果実が艶やかに芳香を漂わせながら籠に盛られている。
キャロルはなぜかその果実の前から離れようとしない。
「そうだな・・・珍しいものでもないが、今が旬であろうな。
杏を食べたいのか?」
珍しく嬉しそうに素直に頷くキャロルに、王子は半ば呆れたように片手を額に当てると片目だけを細めて苦笑した。
「まったく・・・この私に何をねだるのかと思えば・・・。
宝玉でも絹でもなく、ただの杏とはな!
ふふ・・・まったくそなたは・・・
まぁ、よい。美味そうではないか。」
王子は杏を一山を買い求め、キャロルに与えた。
少し歩き疲れた二人は、人ごみから離れた木陰に腰を下ろした。
>>99 白く細い指で杏を取り上げると目の前にかざし、その甘酸っぱい果実を見つめる。
「杏・・・懐かしい」
キャロルはアメリカの生まれ育った家の庭に杏の木があったのを思い出していた。
「・・・・わたしの生まれた家で、それはたくさんの杏が採れたのよ。
ママとばぁやが二人で作ってくれるジャムは最高においしかったわ・・・甘いものが苦手な兄さん達もそれだけは好きだったの」
カリッとその果実を噛むと、懐かしい甘さが口中に広がった。
不意に幼い頃の記憶が色鮮やかに脳裏によみがえり、キャロルは時のかなたにある家族を偲んだ。
距離ではない遠さの先にある母や兄達の顔を。
「でも・・・
もう・・・私、ママや兄さん達に会えないかもしれない。
どうやったら戻れるのか・・・わからないもの。」
遥か遠くを見つめる碧い瞳がじわりと濡れてくるのを見守っていた王子は、大きな手でキャロルの頭をそっと優しく撫でた。
「・・・寂しいのか?」
その慈愛に満ちた声に目を上げると、王子は心配そうにじっとキャロルのベールの奥の瞳を見つめていた。
いつもの傲慢さや威圧感、キャロルを惑わせる甘い色香はそこには無かった。
王子の少し翳りのある瞳もキャロルと同様に寂しい色を宿しているように見える。
「そなたには私がついておろうが・・・」
キャロルは精一杯に涙を止めようとしていた。
しかし王子が泣く子をあやすかのようにそっと抱きしめた時、その広い胸の暖かさは例えようもなくキャロルを安堵させ、堰を切ったように涙が溢れた。
「たまには気をゆるめて存分に泣くがよい・・・そなたの涙が止まるまでこうしていよう」
小さく震える背中を王子の手はいたわるように優しく撫でた。
キャロルは溢れて止まらぬ涙でベールや王子の衣装を濡らした。
王子はキャロルに何を言うでもなく、何をするでもなく、ただ腕の中にキャロルを抱きしめた。
この世のすべてのものから庇うかのように・・・。
というところで続きまーす。
この物語の中の王子は私の勝手な想像で24〜6歳くらいでしょうか。
近々 Ψ(`▼´)Ψモードに突入の予定です。恥ずかしながら・・・(^^ゞ
読んでくださってる方、ほんとうにありがとうございます。
ヤパーリまだΨ(`▼´)Ψモードぢゃあなかった!
近々突入とな?
目ぐるぐる@@@しながら待ってます〜
質問。このスレでは「泉」「真珠」「花芯」がお約束のように使われていますが
何やら理由又は経緯があるのでつか?(煽りじゃないよ)
>>103 おゲフィンにならないよに、露骨な表現を避けておられるのでは?
ヒッタイト道中記28の、キャロルから見た王子の描写、萌え〜〜
私の想像ともピッタリだわん♪
作家様、アイシテル!
Ψ(`▼´)Ψな王子にはいつもクラクラ鼻血ブー!なんだけれども、理性的な一面がまたステキすぎまつ・・・
1
―放って置いて、もう。私に構わないで。疲れてしまったの。何もかも嫌。
どうして私を一人にしてくれないの。どうして誰も私を迎えに来てくれないの?どうして・・・?
慣れぬ旅路。疲労と緊張はとうに臨界を越えていて、猛烈な怒りと無気力な絶望が重く痛む頭の中を駆けめぐる。
キャロルはいつものようにイズミル王子を避けるように天幕の隅に寄ったが、いつの間にか眠りと覚醒の狭間を漂いだしたらしい。
―ああ・・・疲れてしまったの。いつもいつも張りつめていることに。
侮られないように、つけ込まれないように、騙されたり傷つけられたりしないように、上手く逃げ出せるように・・・。
あらゆることを観察して、考えて、自分で決めて、動いて、失敗して、また最初から考え直す。でもその先に何があるの?ちゃんと20世紀へ帰れるの?
全ては徒労ではないの・・・?
苦しげに身を丸めて泣きむせぶ少女の汗に濡れた額髪を王子は気遣わしげに掻き上げた。
(そのように眠りながら泣くのか、そなたは。何も言わず、ただ怒ったように全てを胸に納めて、張りつめて我慢して、そして泣くのか)
故郷に連れ帰ってやるから・・と見え透いた甘言でエジプトからさらってきた神の娘に本気で恋をしてしまったのは王子の方だった。
初めて愛しいと思った相手を喜ばせるためには何でもしてやりたいと思っていたが、自分の手許から離すことだけは絶対にできない。
(私がそなたを愛することは、そなたには苦しみにしかならぬか)
2
「しっかりいたせ・・・。悪い夢を見ているのだ・・・」
王子はしばらく迷った後、うなされる少女に口移しで水を飲ませた。
細い眉根が苦しげに寄せられ、青い瞳が濃い睫の下から覗き、自分を見つめる。王子は心が妖しく騒ぐのを感じた。
自分を嫌い、いつも身を固くして逃げ出そうとする相手なのに、決して報われぬ自分の想いなのに、それでも心は喜びに震える。
「あ・・・」
冷や汗に肌を湿らせ、まだ完全には覚めきっていないキャロルの背中を王子は優しく撫でた。
「大丈夫だ。もう大丈夫だ。そなたは疲れているのだ・・・」
キャロルが連日、眠らずにいて食事も殆ど摂らないのは自分のせいだ、と王子は初めて心から済まないと思った。
キャロルを苦しめるのは本意ではないのに・・・。
食べないせいか窶れて一回り小さくなったようにも思える華奢な身体を王子はそっと抱きしめた。
「大丈夫だ。そなたが嫌なことは何もせぬ。だから今夜だけは普通に眠ってくれ。そなたは私を恨んでいるのだろうが、私はそなたを苦しめたいと思ったことは一度もないのだ」
王子の抱擁は暖かで穏やかで、疲れ切ったキャロルはその安らぎを拒否することはできなかった。
王子は自分の胸に顔を埋め、無言のキャロルを気遣うように問うた。
「・・・・怖い夢を見たのか・・・?」
その夢を見させたのは自分の身勝手な、しかし決して譲れぬ望みゆえではないのかという恐れが彼を戦かせる。
3
キャロルはしばらく無言であった。王子は祈るような気持ちで返事を待った。
やがて。
「夢・・・。いいえ、ただ疲れて無性に悲しくて。夢とは違うわ。ひとりぼっちなんだって思ったら居たたまれなくて・・・」
「そうか・・・」
王子は叫びたかった。そなたは一人ではない、私がいるではないかと。だがそうすればきっと自制心は吹き飛び、胸の中でおとなしくしていてくれる相手を恐れさせるだけだろう。
「・・・・姫、せめて今宵だけはゆっくりと眠り身体を休ませよ。私がそなたが怖い夢など見ぬように守ってやるから。
そなたは疲れているのだ。せめて今宵だけは頑健な鎧を脱ぎ、休息を・・・」
王子の声は優しかった。キャロルは初めてその声の中の誠実さ、優しさに気付いた。
キャロルはすくい上げるように王子を見上げた。茶色の瞳が慈しみ包み込むように自分を見つめている。
そこにはキャロルがいつの間にか自分の中で育て上げた想像の怪物―冷酷で計算高い恐ろしい男、自分を滅茶苦茶に辱めるであろう男―のような王子はいなかった。
(・・・これも夢かしら?ライアン兄さんが私を抱いていてくれているみたい・・・。暖かくて安心できる。
そうね・・夢でも何でもいい。今はここが心地よい)
キャロルはじきに深い安らかな眠りの中に引き込まれていった。イズミル王子は聖なる物をみるような一種敬虔な気持ちで愛しい者の寝顔をいつまでも飽かず見つめていた・・・。
ライアン兄さん=王子の生まれ変わりっていうお話がツボでしたので今回のは嬉しいっす。
やっぱり王子は寸止め、奥手だよねー。
うんうん。
漏れ的には王子とキャロルの添い寝(最後までは致さないの)が一番ツボ
>>100 どのくらいの時間そうしていたのだろうか。
気がつけば涙も嗚咽も消え去り、キャロルは王子の腕と胸の心地よさにただ身を任せていた。
そこは陽だまりのように暖かく、深い海の底のように静かで安らかな場所だった。
今キャロルの心は穏やかに落ち着き、なぜ突然あんなに激しく泣いてしまったのか自分でも首を傾げる思いだった。
キャロルは不意に、王子の様子が気になり顔を上げた。
王子の手はまだ背中にそっと置かれていたが、瞳はキャロルの肩を越えてもっと遠くを見つめている。
彫りの深い顔立ちがまぶたに翳りを落とし琥珀の瞳を冷たく暗く彩る。
神々しささえ感じさせる憂いを帯びたその横顔は、キャロルに気安く声をかけるのを躊躇させた。
王子の手が二度ほど軽く背中を叩いた。
「・・・落ち着いたようだな」
キャロルに視線を戻しながら王子は言葉を漏らす。
「そなたのように・・・誰かを想いそのように泣けるとは、あるいは幸せな事かもしれぬと考えていたのだ」
王子の腕がキャロルの背中を引き寄せた。
物寂しげに深く響く声に、キャロルは孤高な王子の心の中をかいま見たような気がした。
「王子にも愛する家族がいるでしょう?」
キャロルは他愛なく聞いたつもりだったが、王子は口許だけで自嘲的に笑った。
「そうだな、もちろん私なりに愛してはいるが・・・
だが、王族にとって血の繋がりは時として何よりも汚いものになり得る。
血を分けた者同士であるがゆえに対峙せねばならぬ事もな」
>>112 キャロルは親兄弟であれ王座を奪い合い血で血を洗う殺戮の中、長い歴史が重ねられてきた事実を思い出しゾッとした。
目の前の男は生まれ出でてよりそのような陰謀の渦中で生きてきたのだと悟った。
家族に溺愛され育ったキャロルにはとうてい理解できない暗い業を胸に秘め、重い宿命をその背に背負って生きている。
王子はキャロルの髪に顔を埋めると、さらに強くキャロルを抱きしめた。
「私が無償で愛することができるのは・・・天にも地にもそなたひとり・・・そなただけだ」
痛い程にきつく抱きしめる腕よりも、王子の心にある孤独さがキャロルの胸を締め付ける。
気がつくと涙が頬を流れていた。
王子は雫を指でぬぐうと、少し訝しげにキャロルを見つめる。
「・・・なぜに泣く?
そなたの心が読めぬ」
キャロルはなぜ泣いているのか自分でも分からない。
悲しいわけでも辛いわけでもない。
「何だか・・・王子がとても孤独に思えたの」
ただとりとめなく自分のために流されるその涙を、王子はいかにも愛しげに唇で吸い取った。
王子の指がキャロルのベールをそっと脇へ払い、頬に手を添えキャロルの顔を自分に向ける。
ふっと微笑む王子の琥珀の瞳に再び穏やかで暖かい光が宿りはじめる。
「私は孤独ではない」
力強くそう言った後、王子の唇は自然に引き合うようにキャロルの唇に重なった。
キャロルは初めて王子の口づけを心のままに受け入れた。
王子とキャロルが手を繋ぐのって初めてじゃないですか???
いいなー、私も王子に手を握られてみたい。←アホですね。
>ヒッタイト道中記 作家様
いつも大量にありがとうございます。毎日が楽しみです。
私だって王子に傅かれてみたい!
ああ、このスレで幸せな妄想に浸ってまつ・・・・。
作家様、ありがとう〜!
組み敷かれてみたい(w
あのムチでびしぃいいいのとこ。
王子に手を、 縛 られてみたい。←更にアホですかね。
>>114>->116
夜中に何度ものぞくのが日課になりつつある今日この頃・・・
朝も日課になってるよ〜
>117心配するな。
あたしゃ王子『の手を』縛りたい。
そんでもって倍の仕返しくらいたい。←腐女子
下剋上ちょびっと萌え(w
しかし、ひとたび王子に反撃されたら最後、主従逆転はなさそで怖い。
王子とお手々つないでお買い物・・・
きっと何でも買ってくれるんだろうな〜
片膝ついて傅く王子って何気にホストみたいだ。
キャロルうらやますぃ〜〜〜
<倍の仕返し
・・・萌えるねぇ、それって。
王子にはいぢめられつつ可愛がられたいのよ〜
壁│ω・) <王子以外も読みたい今日この頃・・・。
1
私の王子が花嫁を連れて帰国なさいました。昨夜の賑わいはまるでお祭りのよう。
長く独り身であられた王子が―王子はもう25歳にもおなり。早いこと!―エジプトの地から美しい神の娘を連れ帰られたのです。
噂だけは早くからこの王宮にも届いておりました。
輝く金色、雪白、紺碧、薔薇色。驚くほど美しい姫君。
たおやかに優しく、賢く、でもファラオの熱愛を厭うて、ミタムン王女のお輿入れに付き添われた王子と共に母女神のお国を出られたとか!
一体、どのような御方かとずいぶん思い悩んだものでございます。私がお育てした大事な王子。
王子が選ばれた姫は、駆け落ちまがいのはしたない真似をなさるのかと。
だってそうでございましょう? 女は望まれるままに淑やかに殿方に嫁ぐのが幸せですのに、よりにもよってファラオを蹴ってなど!
そりゃあ、王子はご立派な方。女性なら誰でも靡きましょう。でもファラオに望まれた・・・愛された御方が、王子に従って国を出られるなんて。
エジプトの姫は男心を誑かす魔女でもありましょうかと心配したものでございます。
2
いいえ、私は決して王子のご決断について批判がましいことを賢しらに言い立てるつもりはございません。
あの王子がとうとう花嫁を見つけられたと聞いたときは嬉しかったのでございます。本当ですとも。ええ、本当。心の底から。
たとえ、どのような出自、容姿、心根でも王子が女人を選ばれたのですから。
・・・・・今となっては笑い話のことでございます。お話してもよろしゅうございましょう。
王子は長く独身であられました。
お世継ぎの王子で、しかもあの艶福家の父君の御子ですもの、二十歳になられるまでには御子の4、5人もお作りになろうだろうというのが私も含めて、世間の見方でございました。
ましてや、王子はご容姿は端麗であられ、賢く、強く、国を統べる者に求められる能力は悉く備えておいでのお方です。
10歳を過ぎられるとにわかに縁談が増えました。でも王子は学問に武芸に励まれるばかりで女人には見向きもなさいませぬ。
さすがに15歳をお過ぎになられますと、国王様の方からご側室候補の女人を王子の御許に送り込まれます。
で、当然、王子も男の方が女性になさる行為を経験されたわけでございます。
でも。
王子は同じ女人を幾度も召されることなど殆どなさいませんでした。王子の御子をおあげする女人もございませぬ。
王国のお世継ぎとしてご公務が多忙になられると、そもそも女人を召されることさえ間遠になりました・・・・。
3
そして世間は噂いたします。
王子は女人にご興味がおありでないのだ。御子を儲ける能力がないのだ。王子は本当の意味で男性ではないのだ・・・などと!
私の腹立ち、口惜しさをお察し下さいませ。王子が淡々としておられるだけに私の方が熱くなって取り乱したりもいたしました。
ほほ、自慢の息子を浅薄な世間の俗物に貶された「母」のいたらなさですわね。
・・・・・でも王子は姫君を連れ帰られました。
王子はどのようなおつもりで異国の姫君をファラオから奪うようにして娶られたのだろうと心配もいたしました。
政治的な取引が水面下であったとも聞いておりましたからね。実際に王子と、その花嫁様を拝見するまではただ心配で・・・花嫁様が憎くさえありました。
結局は王子を誑かした女ではないのかと。
それでも全ては杞憂でございました。いえ、もっと有り体に申せば育て子を盗られると嫉妬した私の浅はかさ。
ナイルの姫君は楚々とした美しい方でした。異性に慣れていないというのが一目で見て取れます。
物慣れず、王子の色めいたお戯れに戸惑い、私どもの視線に羞じらわれる幼げなご様子に私は安堵いたしました。
そう。私もヒッタイトの奥宮殿に長く仕える身でございます。一目見てそれと分かったのですよ、この姫君はまだ娘のお身体であられると。
もちろん、ヒッタイトのお世継ぎのご正妃になられようかという姫君ならご婚儀まで清らかな御身であられねばならないのは当然ですけれど。
4
とにかく姫君が恙なくご婚儀の日をお迎えになられるよう私は全力を尽くすことに致しました。
姫君のご教育、ご婚儀のお支度。姫君は素直なご性質のようでしたから、やりやすうございました。
でもねえ。
王子が日に幾度も姫君の御許においでになるのですよ。あの女人には何の興味もなさそうだった私の王子が。
そして隙をみては姫君にきわどく触れられるのです。困ったことに姫君もきつくはお抗いになれぬようなのです。
一度などは私がお使いから部屋に戻りますと、王子が姫君の上に覆い被さっておいででした。何とまぁ、王子は乳飲み子の昔に戻られたような真似をなさっておいでではございませんか!
「王子!」
私の声は裏返っていたかも知れません。
「なんでございますか。姫君、どうかこちらに。お衣装をおなおしいたしましょう」
姫君は真っ赤でございました。ほんの15、6の娘に王子のなさいような刺激が強すぎたのでございましょう。酔ったような正気でない様子でした。
「ご結婚まではなりませぬ、王子。恥ずかしいとは思われませぬか?
姫君も、ご自分の評判を落とすような真似をなさってはいけません。
ご結婚まで姫君が清らかでおいでになれるようにするのが私の務めです。砂漠で何があったかはルカに聞いています。お二人きりはお許し出来ませぬ!」
王子は初めて私に悪態をおつきになりました。私は意気揚々と姫君を別室にお連れしました。
・・・・・・・私は王子がご結婚なさることに嫉妬しているのでしょうか?
世の愚かな母のように?
5
私の複雑な思いを余所に、ご婚儀の夜は明けました。
昨夜のお戯れは相当激しかったようでございます。
王子は、私の王子は、女などに興味はなくてただひたすらご立派であられた私の王子は、新床の花嫁様の世話を全てお手ずからなさいました。
汚れたシーツもご自分で畳まれて、痛む場所に塗る軟膏もご自分で塗って差し上げたのです。
女などに、この私や御母君以外の女になど格別の思いやりなどお示しになったことなどなかった方が。
負けた、と私は思いました。
王子はもう私の大事な「育て子」では無くなったのです。今日からは姫君の大事な「ご夫君」なのです。
そしていつかお生まれになる和子の「父君」。
私の寂しさは予想よりはるかに早く癒されました。
王子に良く似た男御子がお生まれになったのです。もちろんご正妻腹でございます。
私は誇らかに嬰児を抱き参らせながら思います。この御子もまた私の理想の和子にお育てしようと。ナイルの姫君とご一緒にご立派な和子にお育てしようと。
ムーラはやっぱり姑なのねん。
キャロル苦労しそう
イメージとちょっと違うムーラなんだけど姑っぷりにワロタ。
砂漠で何があったのか教えて下さい
王子×キャロルの物語も好きだけど、
メンフィス×キャロルの物語も読みたい私・・・
わがままですみません。
>>131 131さんも物語を書かれてみてはいかがでしょう?
私もずっと読むほうだったのですが創作してみるととても楽しかったですよ〜!
キャロル×メンフィス、私も大好きです。
時間ができたら書いてみたいです。
私も昔は書いていたが(仲間内で)妄想さく裂。
ただキャロルとメンフィスもんなんでねえ。
>133
その妄想さく裂キャロル×メンフィス発表してくれ〜<m(__)m>お願い。
ヒッタイト道中記が気になって、この時間帯落ちつかなくなるのさ。。
「キャロル・・・」
メンフィスは夢見るような穏やかな顔で横たわる最愛の女性に呼びかけた。
もう何千回、この名前を呼んだだろう?声はすっかりかすれてしまった。
涙はとうに枯れ果てた。零れる滴がもしや眠る佳人を目覚めさせるやもと虚しく期待したけれど。
「どうして・・・」
問いかけてもキャロルは答えない。ただ眠っているようにも見えるのに、その白磁の身体の中にはもう魂はない。
生涯を共にと誓った相手は、あまりにも呆気なく逝ってしまった。
夫を愛し、子をなし、民を慈しみ、いつの日も誰よりも美しく若々しかったキャロル。だがエジプトの炎熱は確実に彼女を弱らせていた。
「もっと早くに気付いていたら・・・」
全ては遅すぎた。キャロルはたったの5日間、患って、そして逝ってしまった。
―メンフィス。ごめんなさい。あなたの側にずっと居るって約束したけれど・・・守れない。許して・・・
メンフィスの手を力無く握った細い手。
―これからはあなたが・・・幸せに長い生涯を過ごせるように守るから。
だから悲しまないで・・・怒らないで・・・。
母を亡くす幼子のように嘆くメンフィスにキャロルは囁いた。長く幸せに生きて、と。
「何と酷いことを言い残すか。そなたのおらぬ生に何の意味がある?私はそなたの夫なのに・・・」
メンフィスは妃の亡骸と共に自分の心を葬った。
名君と讃えられた彼が自分の心を、再び妃キャロルの手から取り戻したのは30年ほども後のことであったという・・・・。
というわけでメンフィス・キャロル編ですが
難 し い よ お!
他の作家様の降臨キヴォンヌ
ワーイ、早速メンフィス×キャロル編ありがd!
嗚呼、メンフィスも王子もステキ。
どちらかを選ぶなんてできないわ〜!
と聞かれてもいねぇのに言ってる私、アフォです。
道中記のつづき読みた〜い
今日もすてきな作品がうpされますよ〜に・・・
朝のお祈り<(_ _)>
メンフィスファンの声が届いて嬉しい
でもいきなり最後のお別れだなんて
うわぁぁぁぁん!!!!!
主人公カプルのらぶらぶもキヴォンヌでごじゃります
−わたしの務めはこの麗しくも美しい男を殺めること−
静かなる夜のとばりの中・・・
わたしは軽やかに身を翻し物影に身をひそめ、目の前にある美しき獲物を見つめる。
滝のごとく流れる漆黒の髪に凛々しい顔立ちはまこと女と見まごうばかりであると言うのに、夜目にも爛々と輝く黒曜石の瞳はなんと雄々しく強い輝きを放つのだろう。
なめらかな褐色の肌に包まれた逞しいしなやかな肢体は、野生に生ける獣のごとく猛々しく美しい。
完璧な美を纏う私の獲物・・・メンフィス王。
闇の狭間でわたしは人知れずおののき身震いするのだ。
この手で、このわたしの手で美しく輝やかしいファラオの息の根を止める・・・その至福の悦びに。
毎日毎夜、ファラオは愛してやまぬ姫君をその腕に抱き夜の閨へと消える。
ファラオにも引けを取らぬ美しい姫君。
腰より長い髪は黄金よりも艶やかに輝き、姫君が歩けばベールのように軽やかに舞いながら纏いつく。
ナイルよりも青いと謳われる瞳はまこと宝玉のような煌きを宿す。
すべらかな白い肌に暖かみをそえる愛らしい薔薇色の唇。
殿方に愛されんがために、いや、この美麗なるファラオにこそ愛されんがため生まれて来たような可憐な姫君。
待てぬとばかりにファラオは荒々しく姫君の衣を引き裂き帳の外へ投げ捨てる。
重なり合う褐色の肌と白い肌。
ファラオの唇が触れれば、透きとおるような白い肌にほのかな紅色の小さな花が咲く。
柔らかに波うつ黄金の髪のうねりの中に黒絹の髪が音もなく流れ落ちる。
わたしは息をひそめる。
姫君の蜜のしとどに溢れる泉をファラオはその指で、その唇で、優しく蹂躙する。
わたしは耳をすます。
姫君の花びらのような唇から慎ましくも甘美な呻きが漏れる。
ほの暗い床に照らし出された愛し合う二人の影がゆらめく。
ゆっくりと女の中に身を沈める男の影。
その影は深々と交わり、切なく甘美な喘ぎに駆り立てられ激しさを増してゆく・・・狂おしいほどに。
色濃く漂う甘く熱い空気がわたしの身をも焦がす。
刃を握り締めるわたしの指がじっとりと汗ばむ。
この世の何よりも美しいわたしの獲物に至高の死を。
愛しい姫君の中へ熱情を迸らせるその瞬間、その美貌は深い恍惚に満ちて妖しいほどの艶かしさを見せる。
わたしはその儚い刹那の美しさを永遠に留めるのだ。
今、ファラオと姫君は共に官能の極みに登りつつ・・・
−THE END−
道中記の合間に、前からちょっと書いてみたかったエレニーをうpしてみました。
一応キャロル×メンフィスもの・・・になるのかな。
道中記も続きを書いておりますので、今後も読んでもらえると嬉しいです。
うわーん、作家様、嬉しすぎだよー
1
「いらないわ、薬なんて!もう放って置いてったら!一人にしておいて!」
かすれた声でそう叫ぶとキャロルは激しく咳き込んで枕に突っ伏してしまった。
「ナイルの娘、お静まりあそばして。そのようにお泣きになってはまたお熱があがります。どうかどうかお薬を・・・」
おろおろとムーラが波打つ小さな背中をさすった。小さな背中は驚くほど熱かった。
海岸の宮殿からこのハットウシャの王城に連れ去られてもうどれくらいの時間がたったのか。王子の短剣に受けた傷がまだ完全には治っていないキャロルは慣れない環境故かひどい風邪をひいてしまった。
「医師はこのお薬をお召し上がりになってよくお休み下さいと申しておりました。お喉の痛みも胸の苦しさも取れましょう。さぁ・・・」
ムーラは嫌がるキャロルを無理に引き起こそうとした。
「嫌、嫌、嫌。薬はいらないわ」
「そのようなこと・・・。早くお身体をお治しになりませんと・・・」
「治したからどうなるのっ?エジプトに帰れるの?心配そうな顔なんてしないで。私は治りたくないんだからっ!」
キャロルはそう言うとムーラを思い切り突き飛ばした。ムーラはよろけ、高価な薬湯の入った杯は砕け、中身は床に飛び散った。
(いい気味だわ!)
苦しい息の下で思わずそう思ったキャロルにイズミル王子の怒声が飛んだ。
「ナイルの娘っ!我が儘勝手にもほどがある!」
2
反射的に身をすくめて部屋の入り口を見るキャロル。
王子はつかつかと寝台に近づいてきて、ごく軽くキャロルの頬を打った。
「そなたを心配し気遣う者に理不尽な言葉を浴びせ、困らせるとは何事か。そなたのような身分立場にある者がしてよいことではない。
ムーラに詫びよ。そしてきちんと薬湯を飲むのだ」
キャロルは呆然とイズミル王子を見上げた。打たれた頬が脈打つように熱い。
王子に叱責されるまでもなく、キャロルにだって悪いのは自分だということくらい充分に分かっていた。ムーラは本当に心から心配そうであり、困惑しきっていた。
でも素直になれるはずもない。自分は王子の政略の手駒、慰みもののおもちゃのような存在なのだから。
「嫌です!政略のための人質を死なさないように薬を飲ませるくせに!好き勝手に扱って、あげくに私を撲って謝れだなんて。あ、謝るのはあなたじゃないのっ!私をこんな目に・・・」
最後まで言えずキャロルはまた激しく咳き込んだ。もし最後まで憎まれ口をたたききったら更に激しい王子の叱責が待っていたに違いない。
王子は心配そうにキャロルの背中をさすり、目顔でムーラに新しい薬湯を命じた。
「さ・・・触らないでっ!」
キャロルはようやく咳を呑み込み、激しく王子を睨み据えた。
「放っておいて。私はこのまま死ぬんだから!」
「なにぃ・・・!」
キャロルの我が儘に毅然たる態度を崩さなかった王子だが、鋭い視線と共に投げつけられた激しい言葉に狼狽えの色を隠せなかった。
3
「死んでしまいたい・・・死んだらエジプトに、ママ達の所に帰れるんだから。このまま死なせて。治りたくない。治ってもまた苦しい嫌な毎日が始まるだけじゃないの」
「ナイルの娘、何ということを。そなたは私の大切な娘だ。私が心から望み、妃に迎えたいと思っている娘だ。
死ぬなどと申すでない。ああ、熱が高い。だからそのようなことを・・」
「私は正気よ。お願い、死なせて。殺して。もう苦しいのは嫌。私を短剣で刺したじゃないの。どうして生きろなんて言うの・・・?」
キャロルは熱のために少し喋るのもひどく辛そうだった。王子は愛しい娘をここまで追いつめた自分にひどく嫌悪感を覚えた。
その時、ムーラが薬湯の小鉢を持ってきた。王子は無言で受け取ると苦い中身を口に含んだ。
そしてそのまま、熱で赤く染まったキャロルの顔を上向かせ口移しに薬湯を飲ませた。
「う・・・っ!」
突然のことにキャロルは抗うことも出来ない。そのまま王子の舌で薬湯はキャロルの喉を滑り降りてしまった。
「王・・・・子・・・」
はぁはぁと荒く息をするキャロルを王子はしっかり抱きしめた。大きな手は優しく波立つ背中をさすって少しでも楽に息ができるようにしてやる。
キャロルはすっかり混乱して、身を固くした。
(王子が・・・怒っている。こんなに静かな目をしているときほど怖いのよ、この人は。ああ・・・どうしよう・・・)
ついさっきまで死にたい、殺して欲しいと言っていたキャロルは息を潜めて王子の様子を窺うのだった。
単行本4巻あたり、もしキャロルがヒッタイトにさらわれたままなら・・・?ということで書き始めてみたお話です。
個人的に王子がキャロルを育成(調教じゃなくてw)するというのが萌えでして。。。
ヒッタイト道中記作家様とかぶってしまうカップリングですが(しかも至らないとこばっか)よろしくお願いいたします。
兄妹作家様!
続貴が待ち遠しいです〜!
更新楽しみにしていますね!
>>123〜127のムーラの話、昨日は何気に読んでたんだけど、も一度読み返してみたらすんごい面白いね!
ムーラの声が裏返ってたとか、砂漠で何があったかとか、乳飲み子みたいな事をする王子とか。
ムーラに叱られて悪態をつく王子なんて、よくよく想像しちゃうとおかしくって。
こういう野際陽子風、ちょっとイケズでオチャメな姑キャラのムーラもいいでつね。
このムーラのお話の作家様、続きをぜひともキヴォンヌ!
新作ざくざくで目が回る〜!
ウレシイ〜〜!!
ヒッタイト道中記のつづきも気になるぅ!
>>113 王子は大きな身体で覆いかぶさるとゆっくりとキャロルを押し倒し、ほんのり上気したキャロルの顔をはさみ込むようにして地に両肘をつく。
通りから少し外れた人気のない小道の木陰。
王子の肩越しに高く晴れ渡った空が見える。
音といえば、風が小枝を揺らす音と遠くに聞こえる市のざわめき。
薄茶色の長い髪がはらりと落ちて、キャロルの頬をくすぐった。
逆光の陰になって王子の表情はよく見えないが、苦しげな息遣いをすぐそこに感じる。
切なく「愛している」と囁いては幾度もキャロルの唇を求めた。
唇を拒まずなすがままのキャロルに、王子の接吻は熱を帯びてくる。
キャロルは身体だけでなく心まで蕩けさせ、反抗してみせてももっと大きな懐で包み込んでしまうこの男にどうしても抗うことができない。
大きな波にさらわれた小船のようにキャロルは小さく無力だった。
(わたし、もう・・・!)
背すじを走る甘い痺れに耐えられるよう、キャロルは震える指で王子の厚みのある肩をぎゅっと掴む。
キャロルは無意識のうちに王子に応えて唇を吸っていた。
「・・・姫?!」
王子は嬉しい驚きを隠せずにキャロルを見下ろしたのも束の間、その拙しくも自分を求める仕草に激しく煽り立てられ、逆上したかのように唇を貪る。
キャロルの頭をかき抱くと、雄々しく強張る男のそれをキャロルの腿に押し当てた。
血が沸騰し、全身を鼓動と共に駆け巡る。
>>153 しかし突然、王子は唇をキャロルから離し身体を起こした。
荒い呼吸を沈めるかのように深く息を吸い込み、長い指で乱れた薄茶の髪を荒っぽく掻きあげる。
「くっ・・・、ここが寝所であらば・・・このままそなたのすべてを奪うものを!!」
苦々しく吐き捨てるように唇を歪ませる。
(このような場所でさえ、この私を狂わせおって・・・!
ここまで熱くさせておきながら、何度溜飲を飲ませれば気が済むのか!この姫は・・・!!)
王子は瞳を閉じて額にうっすらにじむ汗を拭いながら、苦笑まじりの長い吐息を漏らした。
「ふふ・・・まったくしてこの身がもたぬ・・・そなた、私を殺す気か」
「王子・・・」
キャロルはまだ甘い抱擁の名残から覚めきらず側に横たわったまま、熱っぽい潤んだ瞳で王子を見上げた。
頬はまだ桜色に染まり、しどけなく濡れた唇からは乱れた吐息が漏れる。
唇はわずかに開き小さな舌先が口づけの続きをねだるかのように見え隠れする。
清純な中に妖艶さを見せるキャロルを見るうちに、静かになりかけた欲望にまた火がつく。
「よさぬか・・・姫。そのような目で見られると・・・もはや自制が効かぬ。
場所もはばからず・・・良いのか?」
キャロルは真っ赤になって慌てて首を横に振った。
王子はふらふらと正気でない様子のキャロルの身体を抱き起こすと、息も止まらんばかりにきつく胸に抱きしめた。
「私はそなたが憎い・・・!これほどまでにこの私に愛させるそなたの罪は重い。
そなたの生涯かけて償わそうぞ!」
「王子・・・」
「わかっておるな・・・そなたは一生涯をかけて私に償うのだ」
>>154 キャロルは切なく愛を求める王子の言葉に大きく頷きたかった。
いつの間にか、恐れていたはずの王子に強く心惹かれている自分に素直になりたかった。
このままこの胸に縋れればどれほど幸せかわからない。
誰よりも深く愛し、甘えさせ、何もかも包んでくれる・・・そして王子が与える甘い快楽。
けれども、王子を選ぶ事はその他のすべてを捨てる事。
キャロルを育て愛してくれた母や兄達は今でも必死の捜索を続けているに違いない。
なのにどうして家族を忘れて恋におぼれる事ができよう。
どちらを選択する事も、捨てる事も今のキャロルにはできない。
キャロルはうつむいたまま、うなだれてと首を横に振った。
「だめ・・・ごめんなさい、王子・・・わたしは・・・」
固まったように反応を返さない王子をキャロルは恐々見上げる。
王子は信じられぬと言いたげな、怒りとも嘆きともつかぬ目でキャロルを見据えていた。
その厳しい表情にキャロルは気持ちが竦むのを覚えた。
複雑で深い痛みが胸を刺す。
(あぁどうしよう、王子を傷つけて怒らせてしまった・・・!
ちがうのに・・・本当はわたし王子が好き、だけど・・・)
乱暴にキャロルを抱き上げると、王子は荒っぽい足取りで来た道へと足を向けた。
いつも甘い口づけと口説を与える唇は、今は頑なに結ばれ何も言葉を紡がない。
キャロルはこんなに王子が側にいるのに、彼の存在をはるか遠く感じられてひたすら不安に駆られた。
そして初めて、どれほど自分も王子を恋しく思っていたのかを思い知るのである。
ああ〜切ない!続きはどうなるの?
ヒッタイト道中記作家様、ここまで熱くさせておきながら・・・くぅーっ!
わたしをころす気か〜
王子とおなじ気持ちれす、でも更新ありがd!
お話ウマすぎる〜
キャロルの感情が徐々に傾いていく描写が絶品!
>>155 王子とキャロルが戻ると、兵士達はすでに食料を調達し終え今日の夜営の地へと向かう準備を整えていた。
しかしその兵士達にまぎれて亜麻色の髪の少年がいるのをキャロルは視界の端に見つけた。
少し寂しげで優しい眼差しのつぶらな茶色の瞳。
まだ少年の名残を残す敏捷そうな細身の身体。
エジプトで王子が起こした混乱のさなか、別れたきりになっていた召使の少年の名をキャロルは叫んだ。
「・・・ルカ!!」
少年が振り返る。
「ナイルの姫!!」
いつもキャロルを案じ、窮地にはその身を投げ出し庇ってくれた少年。
キャロルは駆け寄りその手を両手で握った。
「ルカ!ルカ!あなた無事だったのね!
どれほど心配したか・・・今までどこにいたのよ?!」
言い終えぬうちに、背後の王子の気配に気づきキャロルは身構える。
キャロルは華奢なその背で少年を庇うと、王子をじっと見据えて言った。
「王子、お願い・・・ルカを殺さないで!
ずっとずっとエジプトではこのルカが護ってくれたの!
いつも命がけで私を守って戦ってくれたの・・お願い・・・お願い・・・どうかルカを助けて!!」
必死で懇願するキャロルに王子は伏目がちに苦笑する。
>>160 しかしキャロルが驚いた事に、ルカは胸の前に手を当てると恭しく王子の前に跪いた。
「イズミル王子、遅ればせながらただ今戻りました。
・・・連絡もままならぬ事多く、誠に申し訳ございませんでした」
瞬きする事すら忘れて立ちつくすキャロルに王子は静かな声で言った。
「ルカはな・・・私がそなたを護衛させるためエジプトに忍ばせておったのだ」
ルカは申し訳なさそうに頭を下げたまま王子の言葉を受け止める。
「すみません、ナイルの姫。
今まで貴女を騙していたような形になってしまって・・・。
私の真の主君はこのイズミル王子にあられます」
キャロルは頭を振って、ルカの肩を抱きしめた。
「いいのよ・・・良かった、良かったわ・・・とても心配したのよ」
キャロルにとってエジプト王宮に仕える者の中でもルカだけは特別だった。
メンフィスとの婚儀を皆のように勧めたりもせず、常にキャロルの心に耳を傾け忠実で誠実でいてくれる信頼できる存在。
そして20世紀の現代からやって来たというキャロルの身の上を、笑いもせずにまともに聞き入れてくれたのもこのルカだけだった。
しかし王子はルカとの再会を喜ぶ暇も充分に与えぬうちに、聞きたい事があると言ってルカと連れ立って去ってしまった。
微笑む事すらせずに行ってしまった王子によそよそしさを感じ、キャロルは胸に隙間風が吹くような不快感を覚えた。
(王子・・・、王子・・・やっぱり怒ってるの・・・?)
>>160 「ご苦労であったな、ルカ。
その後エジプトの情勢はいかに?
メンフィス王は烈火のごとく怒り狂ったのであろうな?」
低頭にものを述べるルカに背を向けたまま、王子は小気味よさげに高らかに笑う。
見上げれば側の大木には杏が実っており、王子はその果実を一つ戯れにもぎ取った。
先ほどのキャロルの涙を思い浮かべながら。
「はい、それはもう・・・。
ヒッタイトに戦を仕掛けると息巻いて軍備を整えている様子にございましたので、軍需品や軍馬などの大部分を王子のご指示のとおり焼き払って参りました。
あれだけの被害を受けた後のこと、しばらくは復旧できぬかと思われます」
「ふふ・・・その間に私は姫との婚儀を完了させる。
ヒッタイトの王子たるこの私の妃となった後は、いかにメンフィス王といえど姫に手出しはさせぬ!
エジプトが戦を仕掛けると言うならば、それもまた良し。
こちらも軍備ぬかりなくして応戦いたそうではないか!
私はナイルの姫もエジプトをも手に入れようぞ!」
「はっ・・・」
>>161 ルカの報告を満足そうに受けた後王子はルカに向き直り、声を落として言った。
「ルカよ・・・」
ルカが顔を上げる。
「メンフィス王は姫を一度たりとも、ものにできなかったのか?」
「王子・・・。
このような事を王子に申し上げてよいのか・・・。
メンフィス王はそれはひどいご執着で、実は何度か・・・王の意に沿わぬ姫を力ずくで得ようとされた事もございました」
「なに?!」
王子は思わずカッとなり怒鳴りつけるような声を発した。
ルカは首を横に振って話を続ける。
「しかし姫はその度に奪った短刀でご自身を刺そうとされたり、舌を噛み切ろうとされたり・・・。
さすがのメンフィス王も自害されては大事と随分手を焼かれていたようでございます」
「ふむ・・・・・」
そう言ったきり、王子は腕を組んで黙り込んでしまった。
(なるほど、沿わぬ相手ならばエジプトの王であれ絶対に拒絶すると言うのか。
しかし私の前では・・・そのような事は一度たりとも無かったぞ)
>>162 「王子・・・、ナイルの姫をお疑いですか?
ならば私は申し上げます。姫君は命をかけてご自身の純潔を守られました。決して・・・」
「わかっておる。
なにせ・・・姫はいまだ生娘ぞ!」
「・・・王子?」
ルカは正直なところかなり驚きながら、苦々しい笑みを浮かべる主君の顔を見上げた。
「ふふ・・・そなたは私を笑うか?
この私とて、いまだあの姫に手をつけられず指を咥えて見ているのだ!」
杏の木の幹に拳を叩きつけ、自虐気味に王子は言い捨てる。
「信じられぬといった目だな?
・・・そうだろう、私も初めてなのだ。私に靡かぬ女など・・・!
あの姫はな・・・私がヒッタイトの王子である事にも、煌びやかな宝玉にもさして興味はないらしい。
・・・まったく手に負えぬ娘よ。
そなたには引き続き、姫の警護を命ずる。
手強い姫ゆえ、心してかかるように」
「・・・かしこまりました」
再びキャロルの身辺警護ができる喜びを胸に、ルカは深々と頭を下げた。
>>163 キャロルは今日の夜営地へと向かうため、再び王子と馬上にあった。
王子は鞍の前にキャロルを乗せ、揺れから守るように身体を抱いてはくれたが、甘い瞳で見つめたりからかいの言葉をかけたりする事はなかった。
いつもと勝手の違う王子の様子にキャロルは戸惑いを隠せない。
王子の胸の内にいるというのに、妙な居心地の悪さを感じてキャロルは話を切り出した。
「王子・・・あの、さっきはごめんなさい。
わたし上手く言えないんだけれど・・・」
キャロルが言い終わらぬうちに王子の言葉が遮った。
「そなたが謝る事など何もなかろう。
それよりも明日はいよいよハットウシャ入りするゆえ、ゆっくりと休むが良い。
そなたも長旅に疲れておろうからな。
何ならここで寝入ってもかまわぬぞ、着いたら起こしてやろう。」
せっかく自分の方から糸口を引き出したつもりだったのに、あっさりと手折られてしまった。
王子の態度はあくまでも冷静で大人、そして紳士的だった。
(王子・・・、もう私に興味なんて無くなったの?)
見知らぬ土地へ投げ出された子供のように、キャロルは突然心細くて泣きたい気持ちになった。
キャロルは仕方なく王子の胸で寝たふりをしてみたが、目じりからじわりと涙が伝い落ちるのだった。
感謝でござります「ヒッタイト道中記」作家様。
昼のうpで続きはナイ、と油断しちょりました。
いよいよハットウシャ入りかぁ、おあずけもマターリわくわくでたのしい!
スミマセヌチョトアゲ
ヒッタイト道中記大量に読めてうれしや〜
>>14 ご本人でつか?それとも新手の煽り?
>>17 あそこはどこまで自作自演なんだか。
メンフィスは独占欲が強そうだけど、実際は
旅に出す、王子なら?監禁しても出さないだろう…
やはり、王子は萌えまする。
作家様、ご馳走様&ご苦労様です。
契り、今読みました〜
描写がすごくエロティッでドキドキしっぱなしでした。
ちょっと意地悪な王子に萌え萌え!
初めての時のお話も是非読んでみたいですー
細川センセのキャラ設定にはほんと舌を巻きます。
二次創作作品がたくさん寄せられるのもキャラの魅力溢れるゆえんでしょうね。
>169
ハゲ胴!王子のほうが絶対独占欲強そう!
メンフィスは直情的だけど、王子はもっと複雑で少し歪んでるし。
んで、メンフィスは亭主関白っぽいけど、王子は意地悪しながらも世話女房のように色々細々やってくれそう。
さー、あなたならどっち?!
私がキャロルならどっちにも靡いてしまいそうです。
>170
前スレかダイジェストサイトに行って「後宮物語」を読むがよろし。
>168
もうやめましょうよ。
>>171 …同士♪
あの、歪みが、ここでは更に生きまするぅ。
メンフィスは逝っちゃったらすぐ寝ちゃいそうだけど、王子は延々としつこくエチーして寝かせてくれなさそう。
メンフィスはひたすら激しそうだけど、王子は色んなテク持ってそう・・・それこそSMとか。
倒錯気味なところがまた素敵。
・・・あ〜、何言ってんのワタシ(汗)
ぐるぐるオニさま〜
ご光臨をぉぉぉ!
逆だったりちて(///;)
どっちかってゆーと王子萌えだけど、素性よく知らない人間に
攫われて、こっちの感情無視であーんなことやこーんなこと
されるんだよ?
よーく考えたらガグブル&オエーッでとうてい酔えないや。
読者として見るからこそ、メンフィスも王子もステキなんだね。
>>171 後宮物語はリアルタイムで読ませていただいてました。
でも初めてのエチーの場面がさらっとしていたので、もちっと詳細に・・
と思ったのです(笑)
どなたかおながいします〜〜
>>164 荒野に陽が落ちて、夜のとばりが幕を下ろす。
雲のない夜の空には黄金色の満月が地を照らすように輝いている。
兵士達は篝火を焚き、天幕を張りめぐらせ荒野で夜を過ごす準備を手際よくすすめていた。
王子は明日にハットウシャ入りを控えて、兵士達の報告を受けたり指示を出すのに慌しい。
しかし忙しいという理由だけでなく、王子が自分に不自然な距離を保っている事がキャロルには気がかりで仕方がない。
今までならば、どれほど忙しく立ち回ろうとも隙を見つけてはキャロルに構おうとする王子であった。
馴れ馴れしく恋の戯れを仕掛けてくる素振りは今の王子からは全く感じられない。
上辺は物言いも優しく穏やかであるのだが、まるで客人をもてなすかのごとく扱い、何かにつけ他人行儀なのだ。
どこなく寂しげなキャロルを察したルカが、さり気なく気遣ってくれるのがキャロルには嬉しかった。
他愛もない話に興じてキャロルの気を紛らわしてくれる。
しかしそれでも、王子の関心が自分に向けられていないと、キャロルには何もかもが色を失くしたように感じられるのだった。
王子が側にいるだけで心が舞い上がり、見つめられるだけで痛いほど胸が高鳴ったのに・・・。
ずっと王子から逃れようとしていたのは、ずっと王子を恐れていたのは、実は恋の息苦しさから逃れようとしていたのかもしれないとキャロルは思った。
>>179 「さぁナイルの姫、夕食のご用意が整いました。
どうぞ、こちらの天幕へ・・・」
ルカに促されるがまま、キャロルはしずしずと王子の天幕に足を踏み入れる。
「じきに王子はお見えになると思います・・・しばらくお待ちを」
キャロルは天幕の中でひとり残され、落ちつかずそわそわしながら王子が来るのを待った。
何気に天幕の奥を覗き込んだキャロルの目は、整えられた寝台に釘づけになる。
王子に愛された夜の幻影がまぶたに色濃くよぎる。
・・・片肘ついて側に横たわる王子・・・逞しい裸の胸に艶やかな薄茶色の髪をさらりと流し、その手はいとも優しくキャロルを愛撫する。
・・・耳もとで囁く低くかすれた王子の声、甘い吐息。
・・・王子の熱っぽい肌が触れ、その唇が身体を這う。
・・・妖しいまでの色香と魅惑に満ちた琥珀色の瞳。
身体の芯が甘く疼いて、ぶるっと身震いする。
もう少しで声が漏れそうになり、思わず自分の身体を腕で抱きしめた。
ドキドキ強く脈打つ鼓動を感じる。
王子が現われるのを緊張しながら、今か今かと待っている自分にキャロルは今更ながら驚いた。
(やだ・・・わたしってば何考えてるの!!)
キャロルは自分自身に赤面し、頬を両手で押さえたまま立ち尽くす。
>>180 「・・・何をしておるのだ」
不意に響く声にキャロルは飛び上がらんばかりに驚いた。
振り返ると、天幕の入り口には長身の人影。
「きゃぁ!!おっ・・・王子っ!!」
天幕の柱に背を持たせ、腕を組みながら斜めに構えてこちらを見つめる王子がいた。
王子は体躯を起こすと、つかつかとキャロルに歩み寄る。
「・・・見ておれば、ひとり赤くなったり驚いたり」
無表情にそう言ってキャロルの横に座り込んだ。
王子に促され、キャロルはその大きな身体の隣に腰を下ろした。
無言のまま琥珀色の瞳はキャロルの火照った顔をじっと見下ろしている。
「お・・・王子?」
キャロルは口づけの予感に胸を高鳴らせながらゆっくりと瞳を閉じた。
しかし・・・王子はキャロルを抱きしめることも唇を重ねることもなく視線を脇に逸らすと、優雅な手つきで杯に葡萄酒を満たした。
「首都ハットウシャへの道のりもあとわずか。
この地はすでに我がヒッタイト王国の領地内であるからな。
明日の夕刻には王宮へ着くであろう」
もの憂げで寡黙に語る王子には一種の近寄りがたさがあった。
楽しげに色めいた軽口をとばす王子とは全く異なる冷ややかな威厳ある空気を纏っている。
何を話せばよいのかさえわからず、キャロルは口にする物もろくに喉を通らぬ気がした。
(王子・・・、今何を思っているの・・・?)
しなやかな長い指が杯を口もとへ運び、葡萄酒が王子の唇と喉を経て飲み下される様をキャロルは見つめる。
しかし端正な横顔からその心情を読み取る事はできなかった。
>>181 食事を終え他愛無い話を言葉少なにキャロルと交わした後、王子は天幕の外に控えるルカを呼んだ。
「ルカ、食事は済んだ。姫を向いの天幕へ案内いたせ。
明日は朝陽と共にここを出立する。
姫、そなたも今宵は早く休息いたすよう。
頼んだぞ、ルカ」
「はい」
ルカの返事も終わらぬうちに王子は踵を返し、葡萄酒の杯を持ったまま天幕の奥の寝台に身を横たえる。
杯を傾けたままキャロルを振り返りもしない。
自然とわだかまりは解消されると思っていたキャロルには、王子の素気なさは冷水を浴びせられたように感じられた。
>>182 キャロルの去った天幕の中、王子は寝台に伏しながら苦い思いを噛みしめていた。
杯を持った腕を床に投げ出し、気だるそうに苦悩に満ちた溜め息をつく。
めったな酒量では酔わぬ王子であったが、苛立ちと脳裏に焼きつくキャロルの姿がやけに酒の回りを早くさせる。
しかしどれほどに酒を浴びようと、キャロルの面影は胸中から消えることは無い。
愛しくてたまらぬ姫。
何に代えても手に入れたいと願った姫。
人一倍自尊心の強い王子が自らの誇りを打ち捨ててまで愛を乞うたその娘は、
王子を受け入れるかのように甘やかに口づけを返しておきながら最後の最後に首を横に振ったのだ。
(解せぬ・・・私を愚弄しておるのか?
もはや落城しかけておるくせに・・・なんと・・・なんと強情な)
愛しさあり余るゆえに口惜しく、許しがたく、憎らしい。
この上ない屈辱を味わされたというのに、なおもキャロルを愛しく思ってしまう自分自身に王子は甚だ嫌気をさしていた。
(力づくで奪うことや身体をたぶらかし我が物にすることならば、私にはいとも容易い。
だが、私は姫の心が欲しい・・・!
メンフィス王には死をもって抗おうとしたそなたを、私のために純粋な涙を流したそなたを、どうして私に踏みにじることができようか)
道中の馬上で戯れてキャロルに強要して言わせた愛の言葉は、何度思い出しても胸を焦がし締め付ける。
何よりもキャロルからあの言葉が欲しいのだ。
(そなたとて私を求めておるくせに・・・私がそれを知らぬとでも思うのか?
しかし、私にも男の意地があるというもの。
そなたが私を心から欲するその時まで、私はそなたに触れはせぬぞ!!
おお・・・まこと罪深い姫よ!)
恋の業火かあるいは酒のせいか、身体が熱を帯びている。
冷水でも浴びて身体の火照りを冷まさねば、とても寝付けるはずもない。
王子は程なく離れた場所に泉があるのを思い出すと、熱く重い身体を引きずるように起こし天幕を後にした。
>>183 キャロルの天幕の外でルカは刀を足元に置きながら空を見上げていた。
天幕の中の物音にハッと振り向くと、そこには肩を震わせ白い頬を涙で濡らしたキャロルがいた。
「姫・・・どうされというのです?」
ルカは心配そうに、ただならぬ状況のキャロルを覗き込んだ。
キャロルはただ首を横に振るだけだ。
そんなキャロルをルカは何も聞こうともせず側で見守る。
キャロルはゆっくりと顔を上げ、ルカの誠実そうな茶色の瞳を見た。
「・・・眠れないの・・・目を瞑っても眠れないわ」
「姫・・・」
「ルカ・・・、わたし・・・わたしこんなに王子が好きだったなんて知らなかったの」
ルカの顔に思わず満面の喜びの色が浮かぶ。
「姫! そのお言葉を・・・イズミル王子がどれほどお心待ちにされているか!!
おお・・・なのに、なぜそのように泣かれるのですか?」
「わたし・・・ママや兄さんと王子と・・・どちらも選べないって思ってたの。
どうしていいかわからなくて王子に素直になれなかった・・・。
だけど・・・王子と少し離れてるだけで・・・王子が離れていきそうで・・・苦しい。」
キャロルは涙をぽたぽたと膝元に落とす。
「わたし気づかないうちに王子にとても我がままになってたの・・・。
何があっても側にいてくれるって・・・どこかで思ってた。
でも・・・今日の王子は・・・何だか遠くて・・・よそよそしくて
寂しい・・・胸が痛いわ・・・!!」
>>184 ルカは優しく頭を振った。
「姫・・・王子のもとへ行かれますか?」
キャロルは真っ赤になってうろたえながらルカを見上げた。
「王子はもっと苦しんでおられます。
随分と長い間、心悩まされておいでだったのですよ。
・・・ふふ、王子ならさきほどお一人で泉のほうへ歩いて行かれました。
行ってみますか?」
「えっ・・・」
キャロルは動揺して返答できずにいる。
優しく微笑むとルカはキャロルに手を差し伸べた。
そしてそっとキャロルを立ち上がらせると先導するように歩き始めた。
真夜中だというのにこうこうとした月明かりに照らされ、夜道は青白く輝いている。
ルカに手を引かれ、キャロルは足元の悪い道を歩んだ。
足がふわふわと浮くようで夢の中を歩いているような感じがする。
この先に王子がいるのだと思うと嬉しいはずなのに何だか少し怖い。
「さぁ、ここから先は姫、あなた様おひとりで・・・」
ルカはそっとキャロルの手を離し、恭しく跪き頭を深く下げた。
作家様、キターーーー!!
つ、つづきを・・・・
こんなところで止められちゃぁ・・
おお・・・まこと罪深い作家様よ!!
ぬをを、まこと罪深い!
寝付けませぬぞ〜〜
キャロルの愛の告白を王子よりも早く聞いたルカ、
・・・・王子に知れたらお仕置きもんだぞ・・・
次第に熱を帯び始めた、その行為に、少女は覚醒する…
「ぁあ…もうっっ…許して」
ひどく掠れた声で、体を固くした幼い娘は懇願した…
「私を、拒むのか?姫よ…」優しい声とは裏腹に、眼は残忍な焔をちらつかせ
男は、少女の上唇を軽く噛む
「ん?どうした?何度も教えたであろう?」
「…お、お願い、か、体が痛いの…」
何度、蹂躙されたか判らない、その体には、
男がつけた、赤や紫の華が散っていた
乱暴に扱わなくても、その武勇で知られた男が捕らえると
少女の柔らか過ぎる膚には、跡がついてしまう
「忘れたのならば、もう一度始めから教えようぞ…姫よ…」
そして、又先程と同じように、上唇を軽く噛む
…少女は諦めたのだろうか、唇をそっと開ける…
「それで、良い…私を拒む事は許さない」と
深い、口付けを繰り返す、何度も角度を変え
舌を絡ませ、少女の喉奥深くまでも、食らい尽くすかのように…
「わかっておろう?そなたが拒むと、あの者がどのようになるか?」
揺らめく、寝台の明かりの彼方…
少女はある方向を哀しげに見つめると
「・・ルカ・・・」とえも云われぬ哀しい溜息を一つ落とした
「王子…朝餉の支度が…整いまして御座います…」
躊躇いがちに、そっと声を掛ける。
その間も、途切れ途切れの少女の声がする
ややあって
「…よい…私が良いと云うまで、誰も近づくことは許さぬ」
「わかりました…お心のままに…」
ムーラはそっと、その場を離れた
「…王子…私の大事に育てた王子、何故?あのような…」
ムーラは今まで、見た事もない王子の変わりように戸惑いつつも
「そこまでしてもなお、神の娘を…欲するのですか」と、深い溜息を付くのであった
少女は、心から愛しいと思い心から愛されていると信じる人の妻となったばかりだった
そして、その流れる黒髪が美しい夫の姉の婚儀に臨席する予定だった
突然の火事に、慌てて外へ出て-----この男に捕らえられたのであった。
一人でいたのなら、少女は間違いなく「死」を選んでいた…
しかし、ルカが居た…
「姫〜私に構わずお逃げ下さい」
と、体を縛られ、喉に剣を突きつけられているルカを、そのままにはして置けなかった
そして、ハットゥシャに連れてこられ、エジプトの物を纏うことを許されなかった
予期していたのか、少女はたった一つ、愛する男から送られたネックレスだけは
侍女に見つからぬように、素早く手の中に隠した後、その見事な衣装の中に隠した
…それが、後でどのような事になるのかは、少女は想像だにしなかったのである。
その男は、愛する姫を手に入れた喜びの中に居た
「姫…何とヒッタイトの衣装が良く映える…」
清らかな少女としか見えないその娘は、しかし更に艶やかに美しく王子の目には映るのであった、
そして、短期間の間に、これだけの艶を持たせた黒髪の王への嫉妬が心に黒い染みを作っていた…
(だが、もう姫は離さぬ、私の私だけのものだ、もはやメンフィスには髪の一筋たりとも触れる事はさせぬ)
そんな事を考えているのはおくびにも出さず
「さ、疲れたであろう?ムリをさせたゆえ」少女に近づき
そっと、触れようとした瞬間---
「やめて、王子!何度も云ったわ。エジプトに帰して、私はメンフィスの妻になったのよ」
その言葉を聞いた途端
「…姫、私も何度も申したはずだ、エジプトには帰さない、そなたは私と共に生きるのだ」
いうなり、少女の肩を掴み、腰を引き寄せ、激しく、かき抱いた
「メンフィス王の事は忘れよ…そなたは、私と…この私と生きるのだ」
「は、離して下さい。無礼です。私はエジプトの王妃です」
身を離そうと、必死なキャロルの足に…
コロンと音を立てて、何かが落ちた…
「あっ!」
キャロルは慌てて、その硬質な物を拾おうとした…
が…それよりも早く、王子がそれを手にした。
「…これは…」低く掠れた声で呻いた男の手にあったもの…
「これは、王の印…」王子の中で、どす黒い感情が…
黒い思いが心を占めてゆく、王子はそっと目を細めた
そして、少女に向かって言い放った
「もう…そなたには頼まぬし、請いもせぬ、そなたは私の物だ」
王子の初めて見る表情に、キャロルは初めて「恐怖」を感じた…
王子の寝所の続きの間に…ルカは居た
猿轡をされ、後手に縛られて…
(いっそ、狂ってしまいたい…全て私のせいだ…姫、ナイルの姫)
狂乱が続いている…自分のせいで…
(何故ですか?王子…何故?あのような真似をなさるのですか…)
自分に二つの心など存在しない。主君と仰ぐは、イズミル王子のみ。
王子に「命を絶て」と命令されれば、躊躇なく命令を遂行する。
王子の為ならば、この体を盾にする事に、なんの迷いもない。
私の命は王子の為のみに存在するもの。
なのに、今は「何故ですか?何故なのですか?」同じ言葉を心で繰り返す。
姫を捕らえて後、姫の手前、私は牢に居た。
そして、王子が今、ナイルの姫の傍に居られる幸せを思っていた。
「…ルカ…付いて参れ」
「…王子?どうなされたのですか?…ナイルの姫に何かありましたのですか?」
もしや、ナイルの姫は脱走されたのかと…
「…姫は、寝所にいる…少し、我慢いたせ…」云うなり、猿轡をされ、後ろ手に縛られ
王子の続きの間に入った途端、足も拘束され。床に転がされた
意味も判らず、王子に視線を送ると、
「ルカ…愚かな私を…許せ」と…
私は、訳が判らず、王子の消えた方向を見つめていた。
そう…王子がナイルの姫を伴い、この部屋に来るまでは…
痛い始まりですが、苦手な方はスルーして下さいまし。
ヒッタイト道中記様の、?ぎにでもして頂けると幸いです。
もう少しお付き合い願えればと思います。
恋のキューピッドルカに萌え〜!
王子とキャロルは今日あたり、らぶらぶΨ(`▼´)Ψぐるぐる〜かな?
ドキドキ。
>>148 4
怯えた目をして自分を見上げるキャロルに王子は落胆した。こんなつもりではなかったのに。
だがすぐにキャロルの瞳から、本気で死を望む人間にしか見られぬ激しい色が消え失せたのに気付き、うすく微笑した。
「薬湯を飲み、早く身体を治せ。よいな」
王子はわざと素っ気なく言うと、キャロルを優しく寝台に横たえ出ていった。
薬はキャロルを眠りの中に連れていった。熱に浮かされた頭の中を様々なものが駆けめぐり、キャロルは泣きながら悪夢から逃れようと徒労を重ねる。
「ママ・・・ママ・・・。兄さん、怖い。帰りたい。ここは嫌・・・」
熱い額に髪の毛を張り付かせ、しゃくり上げながら呟くキャロルをムーラは痛ましげに見守った。
(ママ・・・とは母君のことでありましょう。まだまだ幼い世慣れぬ方らしいし・・・。戦にお怪我、そしてご病気。おかわいそうに・・・)
自分の大切な育て子が、何やら宝物でも扱うように連れ帰った少女。聞けばエジプトの神の娘で、未来を読む賢い娘だと言う。肩には深い傷を負って。
―貴重な娘だ。大切に扱うように。私が傷をつけたゆえ、しばらくは私は顔を見せぬ方が良いだろう。落ち着いたら報せて欲しい。
そう言って王子は戦後処理に忙殺される協議の間に向かった。ムーラはいつにない育て子の様子を訝りながら少女を看護した。
(王子は本気でこの方を大切に思っておられる。なのにこの方は)
ムーラは考え込んだ。キャロルの肩の傷が落ち着くまで本当に王子は病室に顔を出さなかった。そのかわり毎日、こまごまとした見舞いの品が届けられる。
そしてようやく医師がキャロルに起きあがることを許可した日に王子は訪れ、窶れて怯えた少女に詫びた。
一時の激情に溺れ、大切なそなたを傷つけた私を許せ、と。
政治的な野心から少女に興味を持ち、さらい、結果として戦まで起こった。
少女は心閉ざし、自分を弄び、傷まで負わせた男を嫌い抜いているのに、男の方はいつの間にか少女に恋心を抱くようになったというわけだ。
5
(とはいえ、この方が王子を恐れられるのも当然のこと。それがお分かりにならぬ王子でもあるまいに、こたびは周囲のことなどまるでお分かりにならぬかのように一途にこの金髪の方を求められる)
ムーラはそっとキャロルのほつれ毛を掻き上げてやった。
王子のことを大切に思うが故に、彼が連れてきたキャロルの世話をするようになったムーラだったが、いつしかこの娘に深く同情するようになっていった。
(15歳か16歳・・・。もし私のあの子が生きていたらこのようにもなっていただろうか。あの子も小さくて色白だった・・・)
ムーラはふと、乳母として出仕する直前に亡くした娘を思いだした。生まれてすぐ死ぬためだけに生まれてきたような娘だった。
子が息をしていたほんのほんの短い間、ムーラは娘が愛らしく美しく生い育つ様子を夢想したものだった。
「ああ・・・ああ・・・」
ムーラは、はっとして王子お気に入りの佳人の顔を見やった。
キャロルは眠ったまま、苦しそうに悲しそうに泣いていた。痛々しいその様子にムーラは改めて胸を突かれた。
「しっかりなさいませ、ナイルの娘。夢をご覧になっているのです。お心をしっかりお持ちなさいませ」
ムーラがそっと肩を叩くようにするとキャロルは目を開けた。心細そうに涙に濡れたその顔をムーラは優しく拭いてやった。
「怖い夢でもご覧になりましたか?・・・少しお熱が下がられてお苦しみも和らいだよう。お薬のせいでございますね。良かった。何かお飲みになりますか?」
いきなりキャロルは身を起こしムーラに抱きついた。
「ど・・・どうなさいました?」
「ごめんなさい。さっきはごめんなさい。ひどいこと言ってごめんなさい。
王子に腹を立てていたの。あなたにじゃないの。ごめんなさい。
お願い、そんなに優しくしないで。ひどい恩知らずだって怒って・・・」
6
ひゅうひゅう鳴る喉の奥からようやく絞り出した声でキャロルは嘆願した。
「ごめんなさい・・・。あんなことするつもりじゃなかったのよ。ただ悲しくて腹が立って・・・」
突然、自分の胸の中に飛び込んできた暖かな塊にムーラは不思議な感動を覚えた。最後に王子が抱きついてきてくれたのはいつだっただろう?
「も、もうよろしいのですよ。ほら、そのようにお泣きになってはまた喉が苦しくなりますよ。
あなた様はお疲れなのです。今はお身体をお治し遊ばせ。全てはそれからでございます」
胸が熱くなるような懐かしい喜びと、職務に忠実であろうとする心の板挟みになりながらムーラはぎこちない口調で言った。
「さ、このムーラがおつきいたしております。・・・・そのようなお顔をなさいますな。王子は参られませぬ」
心底ほっとした顔つきでまた目を瞑ったキャロルに少し呆れながらムーラは育つことなく逝った娘が舞い降りてきたような心地がした。
ムーラはうっすらと涙ぐみながらキャロルの寝顔を見守っていた。
「あなた様のお気持ちはよく分かります。でもあなた様を思う王子のお気持ちもよく分かるのです。
・・・・あなた様が、王子の望まれるままにお側に上がられればよろしいのに。せめて王子があなた様を刺しさえしなかったらねえ」
「ほう、ナイルの娘はそなたに詫びたのか。そうか。いくら病で苦しみ自棄になっていたとはいえ、あのような暴言は上に立つ者に許されぬことゆえな」
ムーラの報告に王子は頬をゆるめた。
「娘がそなたに懐いたのであれば、それはそれで良いことだ。少しずつこの国に慣れていけば良い」
ムーラの知られざる過去?!
ああっ、作家様がた、ありがとう!
1
「この時をどれほど待ちわびたか・・」
メンフィスは欲望に掠れたような声でキャロルに囁きかけた。
「そなたをやっと私のものに・・・」
抱きすくめられた腕の中で初々しく震えるキャロルに接吻し、メンフィスはゆるやかな夜衣の紐を解いていった。
「あ・・・」
恥ずかしさのあまり逃れようとしたキャロルのあらがいは筋肉質のしなやかな腕に押さえ込まれてしまった。
「神の御前にて誓ったではないか。そなたは私のものになると・・・」
キャロルの不安を封じるかのような優しい接吻を繰り返し、メンフィスは白い身体を一糸纏わぬようにしてしまった。
「そなたばかり恥ずかしい格好にさせてはならぬな」
震えて羞じらうキャロルに、女慣れしていない少年のように欲望を爆発させてしまいそうになりながらメンフィスは自分も衣装を脱ぎ滑らせた。彫刻のような均整の取れた体に不似合いな欲望の屹立。そこはもう露を宿しさえして・・・。
「美しい・・・」
メンフィスは妻とした少女の無垢の身体を舐めるように愛でた。メンフィスの好色な視線だけでキャロルは身がとろけるような気がした。
メンフィスは白いうなじを接吻で覆いながら性急に手をまろやかな胸に這わせた。柔らかな膨らみと、それとは対照的な頂の紅玉の堅さがメンフィスを喜ばせた。
2
「何と甘い・・・」
メンフィスは執拗にキャロルの乳嘴をねぶった。味わうほどにそこは固く尖り、キャロルの切ない吐息と性急な鼓動がメンフィスに直接伝わった。
もはや抗う気力も失せたかのように喘ぐキャロルの秘所にメンフィスはそっと手を滑らせた。そこはもうすっかり準備が出来ていて、メンフィスを欲して貪欲な涎を滴らせていた。
「ああ・・・やめて。何だかおかしくなりそう。私・・・変・・・」
「もっともっと乱れてみよ・・・」
メンフィスは痛いほどに怒張した自分自身をキャロルに擦り付けて煽った。自身の先に宿った露がキャロルの腿を濡らした。
いきなりメンフィスはキャロルの脚を開かせた。エジプトの風習に従って髪の毛以外の体毛はすっかり剃り落としてあるので、キャロルのそこはすっかり露わになってしまった。
キャロルの羞じらいぶりを嘲笑うかのように、しとどに蜜に濡れたそこは妖しくぬめり、固く勃ちあがった真珠が誘うようにメンフィスのまえにさらけだされていた。
「私を求めていてくれるのだな・・・」
メンフィスはそっとキャロル自身に触れた。それはすぐに淫靡な音のする指先の戯れになった。
いつもなら女のよがり声など何とも思わないメンフィスであったが、今回ばかりは自制が効かなかった。もっと乙女の身体を弄ぶように愛したいと思っていたが、これ以上は堪えきれそうにない。
3
「そなたが欲しかったのだ。ずっとずっと・・・」
メンフィスはぎらぎらと燃えるような瞳でキャロルを見つめた。キャロルはメンフィスに縋った。
「もう私を離さないでね・・・!」
快感は苦しいほどに高まっていて、キャロルは本能的にメンフィスに腰を突き出すような姿勢をとった。
「愛している・・・」
メンフィスは一瞬、探るようにキャロルの泉に自身をあてがったかと思うと一気にそこを貫いた。
「ああっ・・・!」
衝撃と痛み。
メンフィスはもうキャロルを気遣うことも忘れ果て、欲望の赴くまま大きく腰を動かした。キャロルの苦痛のうめき声も心地よい音楽のようだった。
「愛している、愛している、愛している。そなたに強いるこの痛みもそなたを愛すればこそ・・・」
「ああ・・・そなたはこの私の為にこの身を守っていてくれたのだな」
これまで女と交わったことはたくさんあったが、これほど強い快感を味わったことはなかった。
「そなたは私のものだ・・・!」
程なくメンフィスはキャロルの中に激情をぶちまけた・・・。
メンフィスはぎゅっとキャロルを抱きしめた。
痛みに泣き濡れる顔、羞じらい無意識の媚態を漂わせて縋ってくる細い身体、寝室を満たす生々しい愛の残り香。全てがメンフィスを喜ばせた。
「愛している・・・と言ってくれ。私を愛している、と」
メンフィスは言った。行為に消耗し、もう目を開けているのも大儀だった。
「そなたを痛めつけたことを許すと言ってくれ。そして・・・お願いだ。私を愛すると言って欲しい・・・」
「愛して・・・いるわ。私にはあなたしかいないの・・・」
メンフィスはそれを嬉しく聞きながら引き込まれるように眠ってしまった。
キャロルは初めて見る夫君メンフィスの少年じみた寝顔に感動を覚え、やがて深い深い眠りの中に入っていくのだった・・・・。
(メンフィス・・・・愛しているわ・・・)
ありがとん…
「願い」の設定が意外とツボです。相手が王子だったら苛められてもいいなぁ、
そこに愛があるなら・・なんて思ったりして。
それにしてもこのスレシリーズ、内容が濃いよう。
めんひすってひょっとして早いの・・・・・・・?
とオモタ腐女子。そんなら王子はしつこいのか?
・・・・・・コブラに巻かれて逝ってきまつ
>>205 ワタクシの勝手な想像によると
メンフィスは早いけど何回もできます。
王子はやっぱり1回がしつこいでしょう・・・。
・・・・・・・ゴメン、わたしもサソリに噛まれて逝ってきまつ
ぅぅッ、大人の乙女のお話ですわW。
私もメンフィスは回数こなせるタフ、
王子もタフだけど、一回一回がねっとりとしてるかんじだと思う・・・(赤面
ナイルに飛び込んでみそぎしてきまつ
相手の早さはキニシナイ。
その前のお戯れは・・・どっちが器用?
・・・・・ワニとたわむれに逝ってきまつ
>205-208
ワラタ
>208
やっぱり王子の方がじっくり攻めてきそうな・・・
メンフィスと王子。回数とテクとお好みはどっち???(笑)
私も王子の方がテクニシャンでねちこいかと。やっぱり年の差ですわねん。
王族乙女の間では王子=20代半ば〜後半、メンフィス=18歳が定説ですから。
・・・・・というわけでフェネックに噛まれて逝きまつ
>>185 木立を抜けると、月を映し出した紺碧の水面が視界いっぱいに広がった。
静寂の中にかすかな水音だけが響く。
柔らかな風が静かにさざ波を立て、水面に儚く宿る星影を揺らす。
(王子はどこ・・・?)
キャロルは月明かりを頼りに愛しい王子の姿を探す。
しかしそこには脱ぎ捨てられた衣装が岸辺にあるばかりで王子の姿は見当たらない。
(王子・・・王子・・・どこにいるの)
その時、泉の淵から銀色の水滴をしたたらせ、しなやかな筋肉を纏った彫刻のような身体が悠然と立ち上がった。
黄金の月を仰ぎ、長い髪を左右に振って水を払うその優雅な仕草にキャロルは思わず息を呑んだ。
その姿はいにしえの神が地に降臨する一場面を見るかのように、厳かで美しかった。
泉のほとりに立ち尽くすキャロルに気づくと、王子はゆっくりと腰に衣を巻きつけた。
月光に照らされた気品ある顔が真っ直ぐこちらを向く。
「そなた・・・なぜここに?」
キャロルはもう何も考えられずに王子の胸に飛び込んだ。
火照ったキャロルの頬に冷たく濡れた肌が触れる。
「王子・・・王子・・・王子!!」
伝えたい言葉がもどかしいまでに胸を突くのに、愛しいその名を呼ぶことしかできない。
王子はキャロルの身体をしっかりと腕で受け止め、抱き寄せる。
「・・・どうしたというのだ、夜半にそなた一人で何故このような場所に来た?」
少し咎めるような口調で王子は問う。
>>211 「王子・・・王子・・・わたし・・・」
ただ縋り付いて自分の名を呼ぶキャロルの様子に、王子は何事かあったのではと戸惑った。
「なんだ? ・・・言いたいことがあらば申せ」
可憐な口元は小刻みに震えている。
消え入りそうな声が漏れる。
「・・・好き・・・王子が好き・・・」
琥珀色の瞳が大きく見開かれた。
王子は一瞬自分の耳を疑った。
これは酒の酔いが見せる残酷な幻か?
しかし腕の中で震える少女は、王子の背を愛しいとばかりに強く抱きしめてくる。
その心を伝えんがためにキャロルは一人ここに来たのだと、王子はすぐに悟った。
「・・・今、なんと・・・何と申した? ・・・今一度、今一度聞きたいっ!!」
祈るような気持ちで再び唇が開かれるのを待った。
「お・・・王子が・・・好き・・・側に・・・側にいて欲しいの」
泉の水で冷やしたはずの身体が一気に熱くなる。
「おお・・・!」
王子は壊れんばかりにキャロルを抱く腕に力を込めた。
「言われずとも・・・そなたを離してはおくものか!
そなたは私の・・・私だけのものだ」
呼吸もままならない程に身体を締め付けるその腕の強さがキャロルを安堵させる。
王子に強く求められ、望まれているという喜び。
>>212 「わたし何を失くしても・・・王子と一緒にいたい」
「どれほどにその言葉・・・私が待っていたか。
そなたは誰にも渡さぬ!
未来永劫に・・・この私のものだ」
キャロルは王子の逞しい胸に頬を擦り付けるように、何度も頷いた。
「もう・・・もう20世紀には帰らない・・・ずっと・・・ずっと王子の側にいるわ!」
王子はキャロルの顔を自分に向けさせた。
柔らかな長い髪は月の光をうけて白金のように輝き、碧い瞳には天上の星が映りこむ。
白い頬にかすかに残る幾筋もの涙の跡が王子の胸を優しく締め付ける。
何と美しく何と愛らしいのかと、王子は腕の中の少女をあらためる。
琥珀色の熱っぽい瞳が真っすぐにキャロルを捉える。
「もはや待てぬ、そなたは今宵から私の妃。
その身も心も・・・そなたの全てはこの私のものぞ!!」
言い放つと同時に、キャロルの身体はふわりと宙に抱き上げられた。
王子は夢中で腕の中のキャロルの唇を求め吸い立てながら、脇目もふらず天幕へと続く道を急いだ。
ヒッタイト道中記作家様ぁぁっ
椅子から飛びおり、床の上3回転半ごろごろごろ〜っと
エンピツまわりしちゃったよぅ
・・・・・最強の寸止めアリガト(つДT)
コ、コレで今日は終わりなんんですの?
チョとまってくださいョ〜〜、深夜に徘徊してここに来てしまうが・・
>泉の水で冷やしたはずの身体が一気に熱くなる。
・・・ココモエ~~
捜索隊からの知らせはまだか?一体、何をしておるのだ」メンフィスの怒気に居並ぶ家臣は竦みあがる
(おのれ、何者がキャロルを連れ去ったのだ!アッシリアかヒッタイトか…許さぬ!!)
「王、どうかお静まりを」「どうか、どうか王」
「ええい、うるさい、各国へと放っている伝令よりの連絡はまだか、私が出かける。馬を引けーー」
(キャロル!どうか無事で居てくれ。すぐに助けてやるぞ)
「王…それはなりませぬ」
つとめて、静かにゆっくりとイムホテップが、傅いた……
「王妃様はエジプトの守り神、我らとて一日も早くご無事なるご帰還を切に願っております」
「が……」
苦渋に満ちた顔を上げ、王と視線を合わせ、尚も言葉を続ける
「今、ヌビアに不穏な動きがあり、ましてアッシリア・ヒッタイトとの戦が終わったばかりのわが国には、リビアとの同盟の調印の儀
が急務と…思われます。どうか、どうか王…お静まり下さいませ。我らが王妃様の探索には命がけで向かいますゆえ…」
「………わかった、今は踏みとどまろう…が、同盟が締結した後は、そなたの言葉とて、聞きはせぬ!何としても
キャロルを一日も早く探し出すのだ、しかと申し付けたぞ」
」
どうにもならぬ、苛立ちに体を震わせる…怒りの為、自身が炎のような王は、何とか自分を抑えていた。
「王ーーーー!ネフド砂漠のウナスより書状が参りました」
「おおっ、これへ早くこれへ」
----書状には、今の所目ぼしい痕跡が残っていない事を告げていた、が、
「…流砂に飲まれた、ヒッタイトの王子のその後を徹底的に調べよ」と言い放った。
(これ程のあざやかな手口…私の知る中では…一人しか居ない…)
「王子、どうか彼を助けて」泣きながら、ルカの元へ駆け寄ろうとするキャロルを逞しい腕で引き寄せ
「…姫…あの者を助けよう、そなたの望みならば全て叶えると申したであろう?」
「だが…わかっておろう?そなたが、私に従うのならばだ…それ以外の方法は無い」王子の腕から逃れようとする
キャロルの唇をなぞりながら、ぞくりとする甘美な声で囁く
-----(…王子?何を?何をおっしゃっているのですか?まさか、この優しい姫のお心を利用して…私を?私を使って?)
-----(王子、何故 私をご覧にならないのです?私の為に命を投げ出そうとする、この優しい姫を?)
「王子!卑怯だわっ、私は、私は…メンフィスの妻です。そんな事は出来る筈もないわ」王子の手を振り払い
「他の事ならば、なんでもします。牢に?がれても構わないわ、ルカを助けて、お願い!」
(何とか、ルカを助けたい、そして何とかメンフィスの腕の中に戻りたい いつも私を守ってくれるルカを守らなければ)
一瞬、張りつめていた空気が、穏やかなものに変わった…
「ふっ…」王子が笑みを浮かべている
「姫よ、私を卑怯者呼ばわりするのか…私に向かって、そのような口を聞く者は、そなたを入れて二人しかおらぬ」
「えっ?!」何を言おうとしているのか、わからずキャロルは首を傾げた…
「…ミタムン…ミタムンとそなたのみだな、そして、この世に居てその様な言葉を言うのは、もはやそなた一人…
そなたには、わかっておろう?」
「…………」(ゴメンナサイ)心の中で呟いた
唇を強く噛みしめ、白い手が更に白くなるほど握り締めて
----断末魔の叫び声--王女の末期はキャロルの心のしこりとなって、自分を責めている…
(一瞬、引き寄せたのに…どうしても助ける事が出来なかった)
自分に対する兄達の思いと、なんら変わりなく妹を愛していたであろう目の前の男の悲しみを考えると
流れる涙を止める事はできなかった
「姫は…優しいな…(だが、そこが最大の弱点なのだがね)でも、条件は替えられないな」言うなり
ルカに近づき、腰に刺した短剣を頬に当てると、頬に赤い線が走る
「さぁ…姫よ、そなたが決めよ。私の手を取るか?どちらを選んでも結果は同じだが、一つの命は長らえる事になる」
「いかがかな?姫よ…」
(メンフィス…貴方を愛していました…これからもずっと…)
体が、鎖でつながれたように重い、ヨロヨロと王子に近くと震える手を伸ばし
「…ルカを、ルカを助けて下さい…」
「…姫君の仰せのままに」そう言うと、キャロルの手を取り口付けをし、
寝所へと抱き上げてルカの前から去っていった
>>204さん 読んで下すってありがとうです。
痛いスタートだったので…感想もらえるとは思ってなくて
嬉しかったです
あ、結構こういう流れ好き! チョトエッチで陰謀臭いの。
>コブラに巻かれた人
>サソリに噛まれた人
>ナイルに飛び込んだ人
>ワニとたわむれに行った人
>フェネックに噛まれた人
・・・・生きて・・・・還られよ・・・・・。・゚・(ノ∀`)・゚・。
心優しい222タン、ありがd。
作家様方の素晴らしい作品を読むため命からがら生きて還りましたでつよ(・∀・)
さて、今日も朝の祈りをささげとこっと。
今日も沢山うpがありますよーにm(__)m
1
「王子、私そろそろ部屋に戻ろうかと思うの・・・」
王子の膝の中で繰り返し接吻の練習をさせられていたキャロルは真っ赤に頬を染めて呟くように言った。
次のイシュタルの祝日に婚儀を迎える二人。
王子は自ら教師となってキャロルにお妃教育を施していた。キャロルも王子に求められるまま未来の知識を伝える。二人は互いに教師であり生徒であった。
戻る、と言ってものぼせあがったキャロルは足許もおぼつかず、何よりも王子の熱っぽい視線に射竦められたようになっていた。
「今宵は殊更・・・そなたと離れがたい心地がする」
王子はそう言ってもう一度キャロルに口づけた。手は馴れ馴れしく乙女の身体を探る。キャロルは甘いうめき声をあげた。
「だめよ、王子。婚儀までは・・・」
だが少女の身体から立ち上る男を誘う甘い香りに気付かぬ王子ではなかった。
「そなたが欲しい・・・。今すぐ欲しい。もう待てぬ心地がするのだ。早く私だけのものにしなければ、そなたは居なくなってしまいそうな気がする」
王子は桜貝の耳朶を甘く噛んだ。キャロルの身体が女としての反応を示し始めていることを王子は自分の五官で感じ取っていた。
大人の男性としてキャロルの前では余裕ある男性の顔をしている王子だが、父王の好色な視線や、キャロルを陥れようとする後宮の女達の意地悪い視線に平常心は失われがちだった。
「そなたを私だけのものにしなければ・・・と物狂おしいほどだ。姫、愛している。今宵を過ぎればもう当分、心おきなく過ごせる夜はない。婚儀の夜の宴は夜明けまで続くのだぞ?
・・・・・姫、二人だけの婚儀を挙げることを諾と言って欲しい・・・」
2
欲望に掠れた低い声。
「でも・・・婚儀までは・・・。神様の前で、神官の祝福を受けてからあなたと・・・」
キャロルは欲望の波に必死に抗った。とはいえ自分の身体は妖しく熱く燃えているのだ。
「二人だけの婚儀だ・・・。私は世継ぎであり、高位神官でもある。神は常に私を照覧ある。
この私が・・・神官として婚儀を祝福し、祈り、そなたのただ一人、最初で最後の男として触れるのだ・・・」
王子の声はあまりに甘く、触れる手はあまりに熱かった。キャロルの頑なな抗いはじきに消え失せ、目を瞑り、甘い誘惑に身を任せる決意を王子に伝える・・・。
「愛しい・・・・」
王子は一糸纏わぬ姿にしたキャロルを熱い視線で、巧みな手つきで羞じらわせた。すべらかな肌を撫で、やがて唇で刻印を押していく。そなたは私だけのものだ、と。
キャロルの小振りな胸乳は指先で口唇で舌で入念に改められた。乳嘴は固く屹立し、キャロルはそこを王子に愛されるたびに苦痛に近いほどの快感に身を捩った。
「ああ・・・王子・・・。いけないことなのに・・・こんなこと・・・」
キャロルがわずかに身じろぎした拍子に、男を招じ入れる女の蜜が甘く匂い立った。
王子は素早くキャロルの脚の間に身を割り込ませた。匂いはますます強くなる。
王子は頭を下げて、キャロルの秘所がよく見えるようにした。指で大きく割り開くと、初めての快感に震えて蜜を滴らせる女が露わになった。
「いやっ、恥ずかしい!そんな所・・・!」
「何が恥ずかしいものか。ああ・・・何と美しく愛らしいことよ・・・」
王子は舌先で快感の源泉たる真珠を愛でた。キャロルはもはや恥ずかしい声を抑えることも、脚をとじ合わせようとすることも出来ず、身体を撓らせた。
王子は珊瑚色の真珠を、肉厚の花びらを舌で弄び、溢れる蜜を啜った。
「ああ・・・そなたは甘い花のようだな・・・」
その言葉にキャロルは生まれて初めての激しい絶頂を迎えた。
3
激しすぎる快感にあっさり達して脱力してしまったキャロルの身体を王子は深く曲げた。そのまま大きく屹立した自身を狭い場所にゆっくりと沈めていく。
溢れて滴る蜜も少しも男の助けにならぬほどキャロルはきつく狭かった。
「何と・・・潔癖な乙女の身体よ・・・」
王子はわざとゆっくりと自身を進めていった。キャロルは生身を引き裂かれる痛みに声をあげることもできない。
ただ愛しい人の手で自分の身体が変えられていくのだという甘い思いに縋って震えるだけだ。
王子は男女が繋がりあった場所を見下ろした。キャロルの身体は何と幼いのか。
「痛むか・・・」
深く串刺しにされ、身体の中側から押しつぶされそうな初めての痛みにキャロルは返事をすることもできなかった。
王子はそっとキャロルに接吻するとゆっくりと腰を動かし始めた。
(いっ・・・・痛いっ・・・!助けて!)
重い筋肉質の体がキャロルを縛る枷となり、男の快楽の行為はエスカレートする。王子はひとしきり動くと指先で震える真珠を転がした。
「ひっ・・・!ああ・・・う・・・・・はぁ・・・・っ!」
キャロルは外側から与えられる快感と内側から責めてくる痛みに苛まれて艶めかしく体を捩った。王子は自分を受け入れようと蠢く薄紅色の女の器官をいとおしく思った。
「少し・・・・動いてみようか・・・?」
激しい行為にも関わらず涼やかな顔をしたイズミルはぎゅっとキャロルを抱きしめた。つながったままだというのに、あっと言う間もなくキャロルは王子の上に跨るような格好になった。
熱い楔がキャロルを穿つ。キャロルは男女のつながった場所を目の当たりにして真っ赤になった。
4
「美しい・・・艶めかしい良い顔だな・・・」
王子はキャロルが倒れ込まないように胸の膨らみを弄びながら身体を支えてやっていた。幼児が小用を足すときのような格好で王子に跨ったキャロルは突き上げてくる王子の動きに翻弄された。
王子が摘み上げ、指を捩りあわせるように触れてくる乳嘴は今にも爆発しそうだった。
王子のもう片方の手はキャロルの痛みを和らげるように蜜と血に濡れる秘所をこね回した。
「もっともっと艶めかしく踊るようにさせるぞ・・・」
王子はそう言うと再びキャロルを体の下に組み敷いた。キャロルはもう最前のような痛みは感じなかった。
ただ身体の奥が熱く、そして何だかむずがゆいようなまどろっこしい感じで、王子に、王子自身にそれを鎮めて欲しかった。
「・・・辛くはないか・・・。私はそなたを壊してしまいそうだ」
王子もそろそろ自制が難しくなってきていた。自身を包み込むキャロルに蠕動するような動きが萌してきた。
もちろんキャロルは意識してそんな淫らな動きをしているわけではないだろう。
「王子・・・大好き・・・。お願い、私を・・・」
王子は深く激しくキャロルの中に耽溺した。狭く窮屈なそこが痛みに耐えつつ、自分自身を健気に締め上げ受け入れていてくれるのが嬉しかった。
密やかに響く粘液質の水音。女の喘ぎ。男の淫らな息遣い。
キャロルは幾度、王子に嘆願しただろう?もう許して欲しいと。王子はそのたびに残酷な男の動きをより激しくした。
そして。ようやく王子はキャロルの中に真白の情熱をぶちまけたのだった。
息を荒くしてすっかり憔悴した顔のキャロルを王子は優しく愛撫した。
(やはり初めての乙女には激しすぎたかな・・・?)
キャロルには王子の理性のタガを外す何かがあった。王子は眠り込みそうなキャロルに荒々しく覆い被さると再び行為に溺れていくのだった・・・。
いやーん、ヤパーリ王子はねちこいテクニシャンなのねん(ポ)
さぁて今日はムーラの氷の視線に縛られて逝ってきまつ
In Egypt
「よしよし、可愛いやつだ。今宵私の相手をせい。」
少年は無理やり飲まされた酒に咳き込んだ少女を抱き寄せ唇を奪った。半瞬後
ばぐぉ!
濁ったすさまじい音がして年若いエジプト王の頬は腫れ上がった。
「何をするの!私は奴隷じゃないわ!21世紀(?)の人間よ!
ジミーって恋人もいるのよ!」
「王を打つとは無礼な!」
平手打ちと共に王を痛罵した無礼な少女を兵士が捕らえようとした。だが
「いやぁ〜〜〜!!!助けて!ライアン兄さん!ジミー!」
錯乱の現れた悲鳴を上げながら少女は捕らえようとする腕をすり抜け相手の勢いを利用して投げ飛ばし、金の釧を利用して殴り倒してゆくではないか。
「ひょい、ひばらく待ってやる。だら王宮からにょがすな」
腫れ上がった頬をどうにか動かして王が声を上げたときには少女から半径3メートルは散乱した料理や酒、目を回した成人男性に占領されていた。
少女は泣きながらナフテラ女官長に付き添われて退出したのだが、次の一言で人型の嵐を見ていなかった王の乳母でもあった上司に翌日からのしごきを決定された。
「怖かった。どう育てたらあんな成り上がりのセクハラ俗物中年みたいな17歳が出来上がるの?」
少年の守り役でも会った将軍と少女の翌朝の会話は次のようなものであったという。
「キャロル昨夜の体術は何処で覚えたのだ?大の男を軽くいなすとは?お前はいったい何者だ?」
「酷いわ将軍!何のこと?私にそんなことできるわけ無いじゃない。大体無理にお酒の飲まされて気絶したのに!」
スラップスティックはだめでしょうか?
王子のお話に久しぶりに鼻血腰巻き侍女になりました
萌え〜・・・・・・・・・・・かも
王子〜〜〜
鼻血と涙で前が見えませぬぅ
>>213 王子は天幕に着くやいなやキャロルを抱いたまま、もつれる様に寝台になだれ込んだ。
「ここまでの距離がいやという程遠く感じられたぞ!」
そして息つく暇も与えず接吻を繰り返す。
王子の手がいささか乱暴にキャロルの夜着を剥いだ。
暗がりにほの白く浮き立つ白い肌を目の前に、王子は今一度キャロルの瞳を見据えた。
「もう逃がさぬ・・・そなたを私のものにするぞ! 良いのだな?!」
硬く怒張した王子の自身がキャロルの身体を圧迫し、どれほど王子に求められているかを言葉以上に伝えて、キャロルをいやでも昂ぶらせる。
恥ずかしさと嬉しさに震えながらもキャロルは大きく頷く。
王子の大きな両の手のひらがキャロルの乳房を包み込み、ゆっくりと揉み立てる。
それぞれの頂にある桃色の蕾を交互に唇で吸われた。
巧みな舌先で執拗に愛でられると、胸の蕾は恥ずかしいほどにツンと勃ち上がる。
触れられてもいないはずの秘所の花芯が自ら収縮し、すでに蜜を滴らせているのをキャロルは感じた。
(わたし、こんなに・・・恥ずかしい)
重くのし掛かる王子の身体も、肌も、唇も、驚くほどに熱い。
キャロルは目を瞑りその熱さと押し寄せる甘美な眩暈に耐えていた。
耳もとで王子が何度も何度も「愛している」と囁くのが、身体の芯に心地よくこだまする。
王子がキャロルの脚の間に指をしのばせると、そこはもう熱く潤み、愛する男に触れられるのを待っていた。
>>233 手馴れた仕草でキャロルの脚を大きく折り曲げ高々と持ち上げる。
王子は眼前に剥き出しになった潤んだはざまの美しさにしばし見惚れた。
(ここに触れられるのは私だけ・・・ぞ)
そしてゆっくりとそこに顔を埋め、口づける。
舌先を花びらに割り入れ、その奥深くまで泳がせる。
「あっ・・・はぁっ・・・いや」
情欲の赴くままにそこを愛してやりたかったが、キャロルがまだ快楽に慣れておらず、耐え切れずに意識を失った事を思い出した。
(・・・手加減してやらねば。 私とて楽しみたいのだ!)
王子の唇が割目の奥を探るようになぞり、震える小ぶりな真珠を捉える。
舌で弄ばれるうちに、さらに蜜は溢れ真珠は固く尖り始める。
「あぁっ・・・!」
真珠を甘噛みされた時、キャロルの全身は突然に強張り、そして一気に脱力した。
一瞬呼吸が止まり身体がビクビクと小刻みに震えたが・・・やがてそれは荒い吐息に変わった。
(・・・なんと感じやすいのか)
王子は自分の施したささやかな愛撫で呆気なく絶頂を迎えたキャロルが殊更に愛しく思えて、引き寄せて優しく抱きしめる。
胸に抱いて息苦しそうに上下する背中をさするように撫でてやった。
>>234 「ふふ・・・もう達したのか、可愛い姫よ。
しかし、この程度で果てていてはこの先に進めぬではないか。どうするのだ?」
キャロルは恥ずかしさに顔を隠すように王子の胸に顔を埋める。
しかしそれはもう、恥じらうだけでなく愛しい男に甘える仕草であった。
「王子・・・大好き・・・愛してるの・・・!」
胸に縋り付くキャロルの媚態、柔らかな身体の感触、そして囁かれた言葉が王子の男の部分を今だかつてないほど熱く脈打たせる。
男を知らぬ身体をゆっくりと慣らしてから、あまり痛まぬように抱いてやりたいと考えていた王子であったが、股間にいきり勃つ男根はもはや限界が近いことを切に訴えていた。
突然王子は起き上がりキャロルを身体で組み敷いて、荒々しくキャロルの両脚の間に身体を割り入れる。
熱く火照り、蜜に濡れた花びらの中心に、王子の雄々しい強張りがあてがわれた。
キャロルはそれの熱さに思わず声を上げた。
王子の琥珀色の瞳にどうしようもないほどに昂ぶった欲望が揺らめく。
「そなたを可愛がるのは・・・また後だ。
もう待てぬ・・・そなたを今すぐ・・・!!」
「お・・・王子・・・?!」
王子の突然の激しさに驚くキャロルの中に、王子はゆっくりと腰を沈める。
ああ、ゴメンなさい!
ヒッタイト道中記53〜55(
>>233〜235)にΨ(`▼´)Ψを付け忘れてしまいました。思いっきり・・・なのに(アセアセ
Ψ(`▼´)Ψが苦手な方、どうか読まずにスルーして下さい。申し訳ありません・・・。
きょ、きょうはこれでおしまいでつか。
道中記作家さま〜
え〜ん!これじゃあこっちが生殺しになっちゃうよ。
初めの頃は随分とエロオヤジな王子だと思ってたけど読んでるうちに
惚れてしまった。イズミー恐るべし。
Ψ(`▼´)Ψhヒッタイトの夜作家様、王子も回数こなせるとこ
見せてくれたんでつね。
めんひすに負けてらんねーぞっと。
こんどはライオンに喰われてきまつ。
>239
食われんでもいいんじゃぁ・・・?
戻って来ーい!!
ごごごごめんなさい〜〜〜!!
ナイルに投身自殺してきまつ。。。。。。。
昨日は王子のエチー祭りだったなり。
おかげで今朝、王子とエチーする夢を見てしまった・・・。
あぁ幸せかみしめつつ、逝ってきまつ。
>>198 7
キャロルは少しずつ回復していった。頑なな彼女の心をほぐしたのはムーラの心遣いだった。
遠い昔、娘を亡くし、そのままヒッタイトの世継ぎの王子の忠実な乳母として生きてきたムーラは頼る人とていない異国で萎縮し、途方に暮れている少女に亡き娘の幻を見たのであろうか。
寝苦しい病の床でうなされ泣きむせんだ少女の細い身体を抱きしめたときからムーラの中で何かが変わった。封印して忘れてしまおうと思っていた「娘を持つ平凡で穏和な母」の部分が目覚めたのだ。
身分高い貴種の娘、異国で屈辱的な立場にある娘、それが召使いに過ぎないムーラに対し自分の非を認め謝罪したのだ。
「さ、召し上がられませ。口当たりが良いものですよ」
ムーラはそう言って寝台の上に起きあがったキャロルに盆を見せた。鳥肉のスープの煮こごりや果物、ヨーグルトといったものが並んでいる。
「ありがとう、ムーラ・・・」
キャロルは知らされていないがこういった手間のかかった病人食は全て王子の直接の指示によるものだった。
「でもこんなにしてもらっては・・・」
ようやく起きあがることを許されたキャロルは心底戸惑ったように言った。
「治ったって・・・その後は?私、どうなるの?」
「キャロル様」
ムーラは金髪の少女を名前で呼んだ。病の床の徒然に二人は身の上などをどちらからともなく話しだし、不思議な絆で結ばれるようになっていった。
キャロルが自分の名前をムーラに教え、その名で呼んで欲しいと頼んだのは無意識にムーラの中に母の優しさをかぎ取ったせいだった。
「自棄はいけないと言っているではありませんか。とにかく身体をお治しなさいませ。身体が弱っていると心まで弱くなって故ない幻に翻弄され、物狂おしく悩むものですよ」
「・・・・・」
「考えてもご覧遊ばせ。ただの捕虜、人質にここまでの治療を受けさせたりするものですか。利用価値がある限りは生かしておくからとおっしゃいますか?
恐れながら政治的な事柄については‘かけがえのないこと’などまずありませぬ。必ず代替案があるのです。あなた様とてそうでございます」
8
ムーラの言葉にびくっと震えたキャロル。
「お心の波が静まり、落ち着いて物事を考えられるようになられるまでに早く回復なされませ。
あなた様は政治の駒としてここにあられるのではありません。あなた様は私が大切にお守りし、お仕えすべき方」
「・・・・分からないわ。分かるように言ってちょうだい、ムーラ。
私は家族の所に帰りたいの。ねえ、帰りたいのよ。幾度も言ったでしょう?」
ムーラは優しくキャロルの頬を撫でた。昔、柔らかな頬の少年だったイズミルにしたように。
「キャロル様。あなた様のお幸せはここにもあるかもしれませぬ。あなた様はいつか大人におなりになる。いつまでも母上の膝下にまつわるお子であってはなりませぬ」
キャロルはムーラに寄せていた心が急速に離れ、冷えていくような心地だった。
風邪も治り、落ち着きかけていたキャロルだったが今度は肩に受けた傷が嫌な熱を持ち、膿みはじめた。
「お身体が弱っておいでなのでしょう。お薬を差し上げまするが・・・」
医師は難しい顔で言った。生きる気力のない患者を治療するのは難しい。
それまでキャロルの病室を避けていた王子がやって来たのは医師が下がっていった直後だった。
「ムーラ、ナイルの娘の様子は?」
「は、はい。それが・・・あの、何やら治られることを恐れて・・・拒んでおいでのような・・・」
王子は苦い顔でムーラを下がらせた。
「王子・・・。あの・・・キャロル様をどうか気遣って差し上げて下さいませ。あの方はまだ小さな子供なのです。母親を恋しがる子供の心をどうか・・・」
王子は内心、金髪の娘を自分も知らなかった「キャロル」の名前で呼び、心底心配そうなムーラに驚きつつ、頷いた。
9
不愉快に熱っぽい額にひんやりした手が当てられるのを感じてキャロルは目を開けた。
はしばみ色の静かな瞳が憂わしげに自分を見下ろしていた。
嫌、来ないで、大嫌い。
そんな言葉を叫びたかったが薬のせいなのか熱のせいなのか声は出ない。キャロルは熱に潤んだ瞳で静かに王子を見返した。
「起こしてしまったか・・・。すまぬ」
王子は静かに言って冷たい水の入った杯をキャロルの唇にあてがってやった。
「私の・・・刺した傷がひどくなったと聞いたのだ」
キャロルは無言だった。
憎たらしい相手の顔を見たら、ああも言ってやろう、こうも罵ってやろうと思っていたのに、目の前の男の後悔と自己嫌悪に倦み疲れた顔を見ると同情心すら萌してくる。
(一体、王子はどうしたというの?何を企んでいるの?あの・・・エジプトで初めて会ったときのように優しいふりをして騙すの?)
ともすれば焦点が揺らぎそうになる青い瞳。その瞳に映るのは初めて王子に会った日の幻。
エジプトの市場の喧噪の中で初めて出会った青年イミル。彼は無遠慮に旅のことを聞きたがるキャロルを面白そうに見ていた。
王宮の庭に忍び込んできて、請われるままに旅の話をしてくれたイミル。
誰も本気にしてくれなかったキャロルの話を黙って聞いてくれたイミル。
家族を恋しがって泣き出してしまったキャロルの頭をそっと撫でてくれた大きな優しい手。
ヒッタイト王子イズミルの正体を明かし、キャロルをさらった時、キャロルは恐ろしいと思いながらも心のどこかで彼をメンフィスから救い出してくれた人間と見ていなかっただろうか?
そんなキャロルを嘲笑うかのように彼女を痛めつけ、恐ろしがらせたイズミル。だが折々に見せる優しさ。
キャロルを混乱させる青年の二面性。恐ろしい、優しい、分からない・・・。
「私がそなたを傷つけ苦しめたのだな。許せよ・・・」
「え・・・」
「許せぬだろうな。そなたの目。疑わしげで厭わしげで・・・。
だが許しを請わせて欲しいのだ。そして生きよ。激しい炎のような娘よ。
私はそなたを・・・」
キャロルは夢でも見ているのだろうかと訝りつつ、眠りの中に落ちていった。
兄妹作家さま
ムーラの描写にどきどきでございまつ。
王子のお話もよいのだけれど、どなたかメンフィスもお願いいたしまする〜
本編とは逆で、メンフィーの肩身がせまいよぅ。
だってメンヒスと違って王子タソは番外編でしか幸せになれないんですもの。
王子が本編でキャロルとらぶらぶになるんだったらいくらでもこっちで
メンヒスが活躍しても良いと思うけど。
兄妹作家様
キャロルを刺した王子がどうやってキャロルと結ばれるのか(勝手に決めたりして)
楽しみです!
うむむ・・・確かに王子はここでしか想いを遂げられないものね。
昔はメンフィーだったけど大人になったら王子派になってしまったのれすが、
王家が一気に切ないストーリーに感じられ。
どちらのサイドで読むかでこんなに違うなんて〜、王子かなすぃです。
今のメンヒスはキツネと戯れているバカ夫婦に成り下がっているし・・・。
昔の雄雄しいメンヒスが見たいんだよ〜。
>251
わかるよぅ、その気持ち。
雄々しかったもんねぇ・・・かつては。
メンフィス萌えの作家様、どうぞご降臨くだされ。でも王子ものも楽しいし好きです。
ここの住人の方々、もしかして、本スレ4とかにいらした皆様かしら・・・?
メンフィーとかめんひす、という言葉に懐かしさを感じたわ〜
違ってたらゴメンだけど、あの頃の本スレは活気があって面白かったなー
とふと思ったので。
(今はネタが尽きてきたのか、随分マターリしてるよね。別にいいんだけど))
私ってば本スレいつから読んでいるかなぁ・・遠い目。カレコレ4ネン・・・
ここは本スレで808がもめた初めから追い回しています
ずっと徘徊しています。 今ではお気に入りの一番上です。藁。
だから「王家の紋章2chダイジェスト暫定版」管理人様は
勝手に「大親友」にしています。
・・・おそれおおい、「神」かも・・・いつもお世話になっています。
私も随分長い住人だよ〜。
番外編と本スレ分岐してから、すごく読みやすくなったし
ダイジェストサイトには随分感謝しております。
そしていつも作品うpして下さる作家様たち、ほんとにありがd。
このスレのお陰で幸せなひと時過ごしてる一人れす。
私もですぅ。
管理人様、作家様と同様愛しています♪感謝っす。
今宵、道中記作家様のご降臨はまだでつね〜
道中記、早く続きが読みたいでつ。
生殺しはやめて〜
わたしも!
暫定版の管理人様&作家様がた、あいしてマス
『願い』作家様のつづき、お待ちしておりまするっ
(らしくない…私らしくない……)
この状況を…いやそう仕向けたのは他ならぬ自分自身だ…それは承知している
だが、腕に、胸に触れている箇所からじんわりと湧き上がる『痛み』にも似て寒気すら感じる衝動…
寝台に横たえる手が震える
-----この震えに気どられぬ様に…
この世に二つと存在しない大切なものを見下ろす…自分が宝玉である事に
気付きもしない、無邪気な宝玉…常ならば感情が現れる無邪気な瞳から次々と零れる真珠にさえ-----
それにさえも、どうしようも無く煽られる自分に苦笑する
(これが『情念』というものか…)
自分の中には存在しないと思っていた…その衝動が今にも爆発しそうだった
「…そなたは『火種で火消し』というわけか…」
目をきつくきつく、閉じているキャロルの耳に、シャラシャラと硬質な音が響く
その音に、更に恐怖が募り、体が竦む…震えが止まらない。
震えを止めようと、自分を守るかのように息を詰め、両肩を抱きしめる。
幾重にも重なった男の腕輪が奏でる音は、目を閉じていても男の存在を誇示するかのように
シャラシャラ…その音が左耳を掠め、男の左手がスッと頭の下に潜り、ぐいっと引き上げられた
「ぁっ…」恐怖に思わず声が漏れる、これから始まるであろう『罰』…
そうなのだ、これは「罰」なのだ…愛する男の為に、この世界に留まり歴史を歪めてしまった事への---
自分が存在した為に、失われた多くの命…
(私が居なければ---死ぬことはなかった…沢山の兵士達…そしてミタムン王女…)
「もう、逃げる術はないな…姫よ…」
(えっ?!)
拍子抜けする程の、優しいキスに、身構えていたキャロルは、ふとその青い目を開いた
「…やっと、私を見たな…姫」
ふっと緊張が緩みかける…
「私を見よ…私から目をそむける事は許さぬ…」
残酷な宣言の後、自分自身を守るように抱きしめている両手首を掴み、そのまま又、寝台へと押し倒される
「私を…私を見よ」---そうして、右手でキャロルの両手首を頭の上で拘束し、覆い被さってきた
覚悟はしていた筈なのに、その行為の始まりを告げるかのような行為に、
「いやっ」
「お願い、止めてぇ」首を左右に振り、身を捩って抵抗する
が、文武で高名な男にはキャロルの抵抗など、わずかに眉根を寄せるのみでしかない
その間にも、滑るような手際の良さで肩と腰の止め具を外し、体を覆うモノ全てを剥ぎ取っていった
…一糸纏わぬ姿になったキャロル……
-----以前、体を調べる為に見た時よりも、女らしくやわらなか曲線、
艶めき光を放つかのような真っ白い肌を眺めた
まるでその鳶色の瞳に、焼き付けるように熱い視線を遠慮なく浴びせるかけ
「……雪のようだな……これ程までに…美しい…とはな」…
「だが、姫よ、雪のように消えさせはせぬ!」と、左手で顎をあげさせ、口づけをする。
そして固く結んだ唇を舐め、舌先を唇の中に進入させると、
侵入を拒む、歯列をなぞるように何度も何度も往復し、柔らかく噛み、時に吸い上げる
「ゃっ…」ひんやりとした、手が膝から太股をすっと撫上げた
自分が知っている『手』とは、正反対な「冷感」に
ふと漏らした溜息を見逃さず口内にするっと舌が侵入し
舌の下に潜り込ませた舌は、蠢きリズミカルに前後に律動し
引っ込めたキャロルの舌を引きずり出し、激しさに強弱をつけ、吸い…絡みつき、口内を激しく犯してゆく
その口づけの激しさとは反対に、触れていないかのような優しい動きを繰り返していた
-9-
(えっ?!)
拍子抜けする程の、優しいキスに、身構えていたキャロルは、ふとその青い目を開いた
「…やっと、私を見たな…姫」
ふっと緊張が緩みかける…
「私を見よ…私から目をそむける事は許さぬ…」
残酷な宣言の後、自分自身を守るように抱きしめている両手首を掴み、そのまま又、寝台へと押し倒される
「私を…私を見よ」---そうして、右手でキャロルの両手首を頭の上で拘束し、覆い被さってきた
覚悟はしていた筈なのに、その行為の始まりを告げるかのような行為に、
「いやっ」
「お願い、止めてぇ」首を左右に振り、身を捩って抵抗する
が、文武で高名な男にはキャロルの抵抗など、わずかに眉根を寄せるのみでしかない
その間にも、滑るような手際の良さで肩と腰の止め具を外し、体を覆うモノ全てを剥ぎ取っていった
…一糸纏わぬ姿になったキャロル……
-----以前、体を調べる為に見た時よりも、女らしくやわらなか曲線、
艶めき光を放つかのような真っ白い肌を眺めた
まるでその鳶色の瞳に、焼き付けるように熱い視線を遠慮なく浴びせるかけ
「……雪のようだな……これ程までに…美しい…とはな」…
「だが、姫よ、雪のように消えさせはせぬ!」と、左手で顎をあげさせ、口づけをする。
そして固く結んだ唇を舐め、舌先を唇の中に進入させると、
侵入を拒む、歯列をなぞるように何度も何度も往復し、柔らかく噛み、時に吸い上げる
「ゃっ…」ひんやりとした、手が膝から太股をすっと撫上げた
自分が知っている『手』とは、正反対な「冷感」に
ふと漏らした溜息を見逃さず口内にするっと舌が侵入し
舌の下に潜り込ませた舌は、蠢きリズミカルに前後に律動し
引っ込めたキャロルの舌を引きずり出し、激しさに強弱をつけ、吸い…絡みつき、口内を激しく犯してゆく
その口づけの激しさとは反対に、触れていないかのような優しい動きを繰り返していた
ああ〜ゴメンナサイ。反省してます。スレの無駄遣い…
私も、マカオーンに乗って漂流してきます。
削除要請をしましたが、はじかれます。
何とかレス削除しますので、お許し下さい。
>264-265
二重投稿は2ちゃんではよくあることだから、気にすることないよ。
削除要請してもやってもらえないだろうし、このままでいいと思われ。
うpありがd願い作家様〜。
二重投稿そんなに気にしないでぇ。
スルーするからいいでつよ。
それよりつづき読めてうれすぃ!
私も楽しみにしてたので続きが読めて嬉しい。この状況せつなくていいけど
ここから両想いにもってくのは大変でつね。王子ファソの私としては当然
王子的ハッピーエンドを期待しているわけですが・・
「私をお召しと伺いましたが…アイシス女王様」
商人イミルと名乗る男は恭しくエジプト王の姉、アイシスの前に平伏した。
ここは、エジプト王メンフィスの姉、アイシス女王の宮殿の私室。
室内にはアイシスとイミルの他にはアイシスの忠実なる侍女アリ以外に
誰も居ない事など、イミルは承知していたのだが。
「人払いしてある故、そのような態度を取らずともよいのです。イズミル王子。」
アイシスは父ネフェルマアト王の治世の頃より、愛する弟メンフィスのために、そしてエジプトの安定のために各国の情報を集めていた。
父王が身罷り、メンフィスが即位してからも実質的な外交はアイシスの根回しによるところが大きい。
だが、他国への外聞上、アイシスは形式的な下エジプトの女王と、神殿の最高司祭という立場で弟王の政治に関わっているのみ、ということになっている。
そしてその立場さえ最近は危うくなっている。
大神官のカプターが政治的な影響力を以ってその地位を確固たるものにしようと、
神殿からアイシスを排除しよう、と画策しているのだ。
メンフィスが王に即位した祝賀の際に、ヒッタイトのミタムン王女−イズミル王子の妹−がヒッタイト王の名代としてエジプトを訪れたのだが、メンフィスはこの美しい王女にかなり心を動かされたようであった。
弟のメンフィスを愛する以上にエジプトの将来を案じる女王アイシスは、ヒッタイトとの友好を考えればこの賢き王女を妃に迎えるのも悪くない、と考えていた。
当然、自分が正妃になる前提の上で、の話。
しかし、自分の影響力のない国から妃を迎えることを良しとしないカプター大神官の一派によって、ミタムン王女は避けられない事故死に見せかけて殺されてしまった。
真相を知るアイシスは、立場上、カプターの犯行を公にすることも出来ずにいた。
カプター大神官はアイシスを排除するための次なる策として、ナイルの女神ハピの娘を、メンフィスの妃にしようとしているらしいのだ。
ナイルの姫−そう呼ばれる少女はアイシスの庇護下にあった。
アイシスには全く記憶にないのだが、アイシス自身がこの国に連れてきたのだとナイルの姫は語った。
「私を帰して!元の世界に戻して!」と泣き叫ぶ少女を前にアイシスはどうしてやることもできなかった。
「アイシスは弟さんを探す旅の途中だと言っていたわ。
でも身体が弱っていて、家で療養するうちに私たちは仲良くなったのよ。
まるで本当のお姉さんのように優しくしてくれて、エジプトのことも沢山教えてくれたわ。
”そなたのことを見れば我が弟は、もしやそなたに恋してしまうかもしれぬ”と笑っていたわ。」
アイシスは大神官の作った呪詛板によってその力を封印され、弟さんと一緒に葬られてしまったのだけれども、王家の墓の発掘作業で呪詛板が壊れてしまったの。
その発掘されたファラオの墓がアイシスの弟さんのものだったのよ。
呪詛板を作った大神官の名前はカプターだと。」
続けてキャロルは大粒の涙を流しながら訴えた。
「でも…パパの会社が発掘作業の出資をしていたと知って…アイシスはパパを殺して私を古代に連れてきてしまったの。
ライアン兄さんが呪詛板の復元をしてしまったから、もうここには居られない…って言って。」
「ちょっと待て。そなたの話は訳が分からぬ。パパとは誰ぞ。何の為にわたくしがそなたをエジプトに連れてくる必要があったのだ。」
「アイシスの弟さんはコブラに咬まれて死んだのだろう、と調査結果がでたのよ!
それでアイシスはパパ、私のお父さんにも同じ苦しみを与えてやると言ってコブラで殺してしまったの…その時一緒に咬まれた私は運良く助かって、ライアン兄さんがコブラの毒に効く薬を持たせてくれた。
アイシスはその薬が必要だったから私をここに連れてきたのよ!」
アイシスにとってあまりにも馬鹿げた話であり、このような異国の少女など打ち捨ててしまってもかまわなかったのだが、この少女の持っていた小さな白い粒がコブラに咬まれ死の床にあった弟を救ってくれた時から、すべての事情が変わったのだ。
メンフィスの御世になってから頭角を現してきたまだ若い護衛兵の隊長ウナスなどは仕方ないとしても、かつて自分に心を寄せていたミヌーエ将軍、
王宮の女官を束ねるナフテラ女官長、
エジプトの知恵と言われる宰相イムホテップまでもが、
ナイルの姫をエジプト王妃に、とメンフィスの歓心を買うべく進言しているそうだ。
カプター大神官はその動きに乗じて神殿のすべてを自分の配下に収めるために、アイシス女王を排除しようとしている。
アイシスとて、この英知ある女神の娘が自分と共にメンフィスの妃になることは好ましいことだ、と真剣に考えていた。
エジプトに富をもたらす女神の娘を我が弟に…
というよりも、ずっと自分の手元に繋ぎ止めておきたい。
カプター大神官の一派にキャロルを奪われ利用されるようなことがあってはならぬ。
しかし、今はキャロルを他の誰かに委ねる以外に手段はなくなってしまったのだ。
(急がねばならぬ。メンフィスがキャロルを汚してしまう前に。)
「ミタムン王女の件ですが…」
アイシスは先ほどまで恭しい態度を取っていた商人イミルが、イズミル王子の素顔に戻るのを見ながら言った。
「ようやく話してくれる気になったか、アイシス女王。」
アイシスはイズミル王子のこの落ち着き払った態度が苦手であった。
アイシスが他の国の王や王子と面会する時、−その多くは下エジプト配下のなんの飾り気もない砦の一室で−アイシスの魅力を存分に発揮することができた。
しかし、ヒッタイトの王子だけはアイシスの意のままにすることが叶わなかった。
アイシスとてメンフィス以外の男に肌を許すのは単に政治のためであるから、願ったり叶ったりではあったが、自分のすべてを見透かすかのようなこの男だけは苦手であった。
ミタムン王女の訪問と共に送り込まれた間者、ルカという少年を篭絡しようとしたが、これもまた主人に似た堅物でアイシスの裸体を見ても動揺した素振りさえ見せなかった。仕方がないのでイズミル王子の希望通り、この少年をナイルの姫の従者にした。
しかし、今は苦手だの嫌いだの言っている場合ではない。
ナイルの姫を王妃に、という動きが民衆の間でも高まってきたのだ。カプター大神官が各地の神殿にひそかに手を回したのだろう。
そのような国内の動きとは関係なくメンフィス自身がナイルの姫の神秘性を興じる段階から、もう一歩、いやそれ以上に踏み込んだ状況になってしまったのだ。
「ミタムン王女はカプター大神官の一味によって殺害されたのです。
わたくしはそれを阻止できませんでした。
どのような償いもミタムン王女の命に代えられるものではありませんが…
このことはメンフィスは与り知らぬ事。どうかそれだけは知っておいて下さい。」
長い沈黙が流れた。
アイシスが恐る恐る伏せた目を上げると、イズミル王子は妹の死を悼んで瞑目していた。「お願いいたしまする…メンフィスは真相を知りませぬ。」
「カプター大神官が、ナイルの姫をエジプト王妃にするべく画策しているとか。」
イズミル王子はアイシスの顔色を窺いながら言った。
「な、なぜそのようなことまで存じているのです?」
「他国の王女が、ただエジプトに遊びに来ていただけとでもお思いか?」
アイシスは取り戻せない大切な何かを思い出すように悲しげに目を伏せながら言った。
「そうです。ミタムン王女は美しいだけでなくて、賢く怜悧で世の道理を良く知っておられた。
この人と一緒であれば共にメンフィスを支えながらエジプトの繁栄を願えると。」
「では、やはりカプター大神官が。」
アイシスは目を瞑ることでイズミルに答えた。
「しかし、ナイルの姫をメンフィスの妃の一人とすることにアイシス女王も異存はなさそうだとミタムンの文にはあった。もしやナイルの姫を亡き者にしたいと心変わりなさったのか?」
「そんなことまでミタムン王女は…?やはり並大抵の人ではなかったのですね。」
「ミタムン亡き後は、ルカがおるゆえ。」
イズミル王子は妹の死を嘆く兄の顔から、すぐさまいつもの為政者の表情に戻り、エジプト女王の次の言葉を促した。
アイシスは確かにナイルの姫−その名をキャロルと言う−
キャロルの処遇をどうしたものかと悩むうちに、その言葉どおりに愛する弟の命を救ってもらう大事件が起こり、一緒に弟を死の床から救った。
頼り無げな少女のどこにこの英知と勇気とそして他者に対する優しさが潜んでいるのか、すぐにアイシスはキャロルという少女に夢中になった。
そして、女性の自分でさえこの少女に心動かされるというのに、
自分と同じ血の流れる弟はきっと男としてこの少女を愛するに違いない。
そうすれば一緒に弟を支えながらキャロルを保護してやれば良い。
キャロルの語るとおり、自分がキャロルの父を殺めたのであれば、
このエジプトでファラオの妃にしてやることがキャロルに対する償いになるであろう、
とアイシスは考えていたのだ。
ところが、キャロルはなぜかメンフィスのことを嫌っていた。
「アイシスには悪いんだけど…メンフィスは本当に我儘ね。アイシスの血の繋がった弟だなんて信じられない。」
「メンフィスは生まれながらの王者…
幼き頃はわたくしが厳しく叱る事も出来たのだが、
エジプト王の地位に就いてからはさすがにそれも叶わぬ。
メンフィスはそなたに何ぞ無体な仕打ちでもしたか?」
「えっ…そうじゃないけど…」
キャロルは顔を赤くして目を伏せながらアイシスに言った。
「とにかく私はアイシスと一緒でなければ、メンフィスのところには行きたくないわ。」
(キャロルはどうしたのであろう?メンフィスに乱暴なことをされたのであろうか?)
アイシスはメンフィスと共に政務の間に座っている間中、キャロルのことを考えていた。
(もしも、メンフィスがキャロルに危害を加えようとするならば、他の事とは違うのだから諌めねばならぬ。)
一日の政務が終わった後、アイシスはメンフィスに問いただした。
しかし、メンフィスは不貞腐れた子供のように
「姉上には関係ないこと!」
と言ってさっさと自分の宮殿に帰ってしまった。
「キャロル、久しぶりに一緒に湯浴みをいたさぬか?」
アイシスは宮殿に戻るとキャロルを気遣って声をかけた。
いつもは忙しいアイシスが珍しく早く宮殿に戻ったので
それだけで嬉しそうなキャロルは声を上げて喜んだ。
侍女のアリも遠ざけて湯殿で二人だけになる。
アイシスはキャロルにメンフィスの仕打ちについて聞くつもりであった。
「うふ。アイシスと一緒にお風呂に入ると、小さい頃ママと一緒にお風呂に入ったことを思い出すわ。」
「ママ、とは母上のことじゃな。」
「そうよ、アイシスはママのお気に入りで…
多分、今も私と一緒に居なくなったアイシスのことを心配していると思う…」
「す、すまぬ、キャロル。」
アイシスは慌ててキャロルの肩に手を置いた。キャロルの涙にアイシスは弱いのであった。
「うんん…最初はアイシスを恨んだけれども、今はこっちのアイシスも大好きよ。
そして私がもう現代には帰れなくて、ここで生きるしかないんだってことも…」
キャロルはそのままアイシスの胸に抱きついて泣いた。
アイシスは黄金の冠を持つ白い小さな塊が二つの乳房の間に飛び込んできたことに驚きながらも、その柔らかな甘い香りに身動きすることすら忘れてしまった。
(なんということでしょう…この娘の甘く芳しい香り、細い肩、
そして何よりも透けるように白い肌に、流れるような黄金の髪…
我が弟のメンフィスはこのような娘に何をしたのであろう…!)
アイシスはキャロルの耳朶に優しく語りかけた。
「ねぇキャロル…ここには誰もおらぬ。メンフィスがそなたに何をしたのか教えてくれぬか…」
「…!…」
キャロルの身体が腕の中で一瞬硬くなるのがアイシスにもハッキリとわかった。
そしてアイシスの腕から逃れようとキャロルがもがく。
「いやっ!アイシスには言えないわ…だって!!」
「キャロル!そなたにはわたくしと共に妃としてメンフィスを支えていってもらいたいと思っているのじゃ。そのそなたとわたくしの間で隠し事などあってはならぬ!」
アイシスはキャロルをきつく抱きしめながら言った。
「ぅぅっ!」
キャロルの呻き声が聞こえたのでアイシスが驚いて力を緩めると、顔を真っ赤にしたキャロルが叫んだ。
「ぷはーーーっ!やだ、もうっ!アイシスったら!胸の谷間で窒息しそうだったわ!」
さっきまで湯殿に充満していた淫靡な空気はどこへやら、アイシスは声を上げて笑った。
「ほほほ、済まぬ。そなたが余りにも愛らしい故、そなたの母上のような気分になってしもうたのじゃ。」
「うふっ、ママのおっぱいよりもアイシスの方がずっとずっと大きいわ。」
「そうか?そなたの白い胸は…まだ小さいが形は良い。メンフィスに愛されればきっと豊かに美しくなろうて。」
途端にキャロルの碧い瞳が曇り、くるりとアイシスに背を向けた。
「だから……なのよ…」
「キャロル?如何いたしたのだ?」
「…だから…」
「わたくしには何でも話せと言っておるではないか、キャロルよ…」
アイシスはキャロルを抱くように腰から腕を回し、肩越しにキャロルの顔を覗き込んだ。
自然とその両手は先ほど褒めたまだ小さいが形の良いキャロルの乳房をそっと包む。
アイシスは男達が自分にそうするように
−その中には当然メンフィスも含まれている−
キャロルの胸の頂を指先でそっと触れ刺激を与えた。
「ア、アイシス?!」
「動くでない。メンフィスとて当然そなたに同じ事をしておるであろう?
ミタムン王女亡き今、我らは三人が一心同体となりエジプトを守っていかねばならぬのだ。
メンフィスの悦びの為に…
いや、わたくし自身がそなたを愛しく思うているのかもしれぬ…」
「そっ、そんな…」
アイシスは息遣いの大きくなったキャロルの唇を肩越しに奪おうとした。
「そなたも悦びを感じているのではないのか?」
「違う…アイシス…やめてっ!」
「なぜじゃ?キャロル。メンフィスはそなたにまだこの様なことを致していないのか?」
「だから、それが嫌なの。だっ、だってこんなこと、愛し合う人と…でしょう?
アイシスのことは嫌いじゃないけど、女性同士よ!
うんん、それ以上に私はメンフィスに身体を触れられるのが嫌でしょうがないの!
アイシスには悪いけれども、メンフィスはもっとしつこく私に触れようとしてくるわ。
私はそんなメンフィスが大嫌いよ!」
それだけ言うとキャロルは真っ赤になってアイシスの腕の中で意識を失った。
「キャロル?!だ、誰かある!アリはおらぬか!」
キャロルは湯中りでのぼせてしまったのだ。
心地よい涼風と口に流し込まれる冷たい水でキャロルは目を覚ました。
目の前にはアイシスの心配げな顔。
「キャロル…大丈夫か?」
「…私…」
「申し訳なかった、キャロル。あまりにもそなたが愛しい故、つい。」
「アイシスったら!アイシスにはメンフィスという人がいるのに、レズかと思ったわ。」
キャロルは湯殿での出来事を思い出したのか、真っ赤になりながら抗議した。
「レズ、とは何のことじゃ?」
「んー、この時代にはそんな言葉はなかったのね…女性同士が愛し合うことよ。」
「ほう…先ほどのような行為ならば女同士でもよくあること。特に戦の時期にはそうやって互いを慰めあうのじゃ。戦場では男同士で慰めおうているらしい。」
「そーいうのは、ホモって言うのよっ!いやらしい!」
キャロルは薄衣を被ってしまった。
「いやいや、本当に申し訳なかったと思っておるのじゃ。機嫌を直しておくれ。」
狼狽するアイシスの声にキャロルは薄衣から目だけを出した。
「本当にもうあんなこと、しないって約束してくれる?」
「もちろんじゃ。そなたの嫌がることは金輪際しない。」
「じゃ、じゃあ…メンフィスにもそう言って…アイシスからきつく言ってもらいたいの。」
ここに来てアイシスはようやくキャロルの本心が理解できた。
いや、確かにメンフィスを好きではないらしい、ということが分かったというだけで、
エジプトの王をなぜ愛そうとしないのか?
そういった肝心の事はアイシスには理解できないままなのだが。
「のう、キャロル。そなた、どうやらメンフィスのことを好きではないらしい。
しかし、エジプトのファラオという点を除いても、メンフィス程の男はこの世にはおるまい。
メンフィスの妃となり、メンフィスに愛されることこそ、そなたの幸せぞ。」
「アイシスだって、私がライアン兄さんのお嫁さんになって、と言った時には断ったくせに。」
「そのようなことがあったのか?
しかし、わたくしには愛するメンフィスが…いずれにせよ無理な話じゃ。」
「そう!私が言いたいのもそれなのよ、アイシス。
私だって愛する人と結婚したいわ。一方的に愛されるだけでは、結ばれたって言わないと思うの。」
「ふむ…。確かにそなたの言うことも尤もである。して、そなたは誰と結ばれたいと願っておるのじゃ?」
「だからその相手と巡り合う前にアイシスに古代に連れて来られたのよ…」
「そ、そうか…では、やはりメン…」
「メンフィスみたいな我儘な人は絶対にイヤ!
それだったらアイシスのお嫁さんになった方がマシよっ!」
アイシスが言い終わらない内にキャロルは言い放って再び薄衣を被ってしまった。
確かに我が弟メンフィスは王者たる故傲慢である。)
アイシスは普段のメンフィスの行いを王者として当然の振る舞いだと思っていた。
(しかしキャロルはナイルの女神ハピの娘、メンフィスの治世を女神ハピはお喜びではないのであろうか…)
アイシスは大きくため息をついた。
そんな様子を薄衣から目だけだして覗き込んでいたキャロルは、アイシスの前でメンフィスを貶してしまったからアイシスが悲しんでいる、と勘違いした。
「あの…ごめんなさい、アイシス。アイシスの愛する人を悪く言ってしまって。
アイシスのことは大好きよ。
…でも自分の愛する人だったら独占したいと思うのが普通なのに、私とも結婚するように勧めるなんて、アイシスもちょっと変だわ。嫉妬しないの?」
「そなたは優しい娘じゃ。そなたが悪いのではないから心配いたすな。」
「アイシスが男でファラオだったら、きっと私、アイシスと喜んで結婚していたのに。」
「そのようなこと…ほほ。そなたはいつも突飛なことを言ってわたくしを笑わせる。」
アイシスはキャロルに優しい笑顔を見せながら言った。
「わたくしとて、どのような女子でもいいからメンフィスの妃に、と勧めておるのではない。
そなただからこそ。いつまでもそなたにはわたくしの側にいてもらいたいのじゃ。
それにはメンフィスの妃になることが一番だと思ったのだが…
そなたはそうは思わぬようじゃ。」
気高い女王とは言えアイシスも生身の女性である。「嫉妬」という感情がないわけではない。だが、メンフィスに仕える身分低き女性はメンフィスにとって所詮一夜の慰み者。
他国の身分高き女性の中で、メンフィスが心動かされたのはミタムン王女のみ。
それとて、アイシスが仕組んだようなものなので、メンフィスの女性関係で嫉妬したことなど一度もなかったのだ。
ただ、−アイシスが嫉妬という感情を認識することがあるとすれば−
自分と自分の分身ともいえる弟メンフィス以外の人間が、キャロルに先ほどのようなことをしたなら、アイシスは狂ったように相手を憎んでしまうかもしれない。
そんなことをぼんやり考えていた。
「キャロル、そなたはわたくしを好きだと申したな。
わたくしとメンフィスは瓜二つと言われておる。わたくしを好きだと言うのなら、メンフィスとて同じことではないか?」
「ぜんぜん違うわ!私が言っているのは外見じゃなくて中身のことよ!」
キャロルは薄衣を跳ね除けて起き上がった。
新しい物語が・・・!!
作者さまありがとうございます〜。
「私、知っているのよ。
メンフィスはあんな建物が欲しい、こんな事業をやりたい、って言うだけで、実際にこのエジプトの政治を司っているのはアイシスだわ。
いつも夜遅くまで書類に目を通して、いろんな計算をして…。
ほら、この前のオベリスク建造の時も。」
キャロルが言うのはメンフィスが気まぐれに口にしたオベリスク建造の大事業のことであった。
「メンフィスの言う日に間に合わせるために、どれくらいの人を準備すればよいのか、
必要な材料の石をどこからどのように運べばいいのか、
アイシスが全て手配したのよ。
そして、使役の民が充分に働けるように心を配ったのもアイシスだわ。」
「あれは…メンフィスが使役の民の中に病が流行っているのでどうにかせよと…
それで、そなたの知恵を貸してもらったのではないか。」
「メンフィスは不機嫌そうに喚くだけだった。
でもアイシスはちゃんと原因を突き止めて、私が汚水を浄化する方法を教えただけよ。
私、アイシスの役に立てて嬉しかった。」
「わたくしは父王の頃よりずっとそのような仕事を任されてきたゆえ、慣れているだけじゃ。
メンフィスとて直に自分ですべてを執り行うようになろうて。」
「それだけじゃないわ。この宮殿に出入りする多くの商人たち。」
アイシスは心臓が凍りつくような思いに囚われた。
(もしや、キャロルはわたくしと彼らの間の秘め事に気が付いておるのか?
…ならぬ!キャロルにだけは知られたくない!)
「アイシスは贅沢な買い物もしないのに、出入りする多くの商人の話を直に聞いている。
やっぱりそれは他国の情報を商人たちから聞き出しているのでしょう?
そうでなければアイシスのように身分の高い女性が、そんなことするわけないもの。」
どうやらキャロルはアイシスにとって都合のいい勘違いをしているらしかった。
「国内の政治も外交も…今のエジプトはアイシス抜きではきっと成り立たないんだわ。
でもアイシスが身体を壊してしまいそうで心配なの。
それなのにあのメンフィスったら!」
「聞いておると、まるでわたくしがこの国のファラオのように思っておるらしいが、
そうではないぞ、キャロル。
だが…そうじゃな、男であればそなたを娶っていたかもしれぬ。」
アイシスは高らかに笑いながらキャロルの手を取った。
「本当はママじゃなくてライアン兄さんを思い出すの…アイシスを見ていると。」
「ライアン?そなたの兄上じゃな。ならば、なぜライアンと婚姻しなかったのじゃ?」
「私の世界では血の繋がった者同士の結婚は、神様がお許しにならないのよ。」
「しかし、そなたはライアンが好きだったのだな?」
「やあねぇ…そういうのともちょっと違うんだけど、
でも、恋をするならライアン兄さんみたいな人と、って思っていたわ。
みんなはブラコンだって笑ったんだけど。」
キャロルはクスクスと笑った。
(ブラコンとはなんぞや…?まこと、この娘の申すことは訳がわからぬ時がある。
だが、ライアンがキャロルの理想の男性であることは確からしい。)
「もう一度、ライアンのことをわたくしに話して聞かせてくれぬか。」
「うーん、ライアン兄さんはアイシスと同じタイプの人よ…」
−キャロルが語るライアンの人物像とは−
父の後継者としてリードコンツェルンという巨大な組織の頂点に立つ有能なリーダーで
仕事一筋で、女性にはあまり興味がなく−どうやらアイシスに目もくれなかったらしい−
だが、キャロルにだけは優しく、そして家族の中で唯一キャロルを叱る厳しさも持ち…
キャロルの兄自慢は留まるところを知らなかったが、軽い嫉妬を覚えたアイシスはキャロルを優しく制した。
「ほほほ。そのような男がこの世に存在するとは思えぬような高き理想じゃな。」
「まぁ、兄さんだからちょっと贔屓目も入っているけど、でも本当よ。
そんな人がこの古代にいたら…きっと私は恋をして…結婚したいと願うわ…きゃっ!」
キャロルは跳ね除けた薄衣を手繰り寄せ恥ずかしげに口元を覆った。
「では…そのような人物がおれば、キャロルはその男の元に往ってしまうのか?
わたくしを忘れて…」
「アイシスのことを忘れるわけがないでしょう?アイシスは私の大切なお姉さんのような人よ。アイシスにも祝福してもらって…そして私は愛する人と幸せになるの。
結婚してもアイシスの役に立ちたいと私はそう願っているわ。」
(どうやらキャロルは恋をして婚姻したいらしい…それがキャロルの幸せのためなのか。
しかしキャロルの願うような男がいるであろうか?
相手が臣下ではメンフィスも民も納得しないであろう…
メンフィスは力でキャロルを奪おうとするやもしれぬ。
わたくしは寂しいが、いっそわたくしの影響力のある他国の王に嫁がせてしまおうか?
それならばメンフィスも手出しはできぬし、民も納得するであろう。)
アイシスは各国の王の顔を思い浮かべた。
(駄目じゃ…キャロルの嫌うような好色な男共しか…
いや、待て…一人おったわ。
それどころかキャロルの申す兄ライアンとそっくり同じような男が!
口惜しいが、キャロルの幸せとエジプトの繁栄のためぞ!)
「なんと申した?アイシス女王よ。」
イズミル王子は思わず聞き返した。
「ですから、ナイルの姫、キャロルをヒッタイトの王子の妃にしていただきたい、と。」
イズミルは唖然とした。
英知あるナイルの姫をなんとかヒッタイトに奪うことはできぬか、
そのためにルカをアイシスの元に送り込んだのだ。
「それは願ってもないこと。そのような話であればすぐに正式に使者を立てようぞ。」
「いえ、それでは困るのです。」
ナイルの女神の娘を狙って各国が暗躍していたことなど、アイシスは重々承知していた。
「わたくしはキャロルを政略の道具には使いたくありません。」
「何を申される。ナイルの姫をヒッタイトにという、それこそがそなたの得意とする政略では…?」
イズミルは怪訝そうにアイシスの表情から本心を窺おうとした。
アイシスはイズミル王子に表情を読み取られることを常に嫌っていたのだが、
今だけはキャロルのために、胸の中を開いてでもイズミルに願い出るより他に
方法がなかったのだ。
「どうか…キャロルに恋の悦びを。あの娘は未だ初恋も知らぬ清らかな乙女。
そなたにキャロルを託す以外、わたくしにはキャロルを幸せにしてやる手段がないことを知ったのです。」
「若きメンフィス王は、ナイルの姫に心奪われつつあると聞いたが。」
「メンフィスでは駄目なのです。
キャロルはメンフィスの妃になるくらいならば、
わたくしの花嫁になった方が良いと真顔で申すのじゃ…
わたくしも…男であればキャロルの願いを叶えてやりたいと思っておるくらいじゃ。」
「なんと!
では私はメンフィス王ではなく、アイシス女王からナイルの姫を奪うことになるのだな。」
「なんとでも申すがよい!だが、キャロルがそなたに恋心を抱かねば、
この婚姻をエジプトは、いやわたくしが承知いたしませぬ。」
「良かろう…。で、どのような手筈で…?」
妖しい火花を散らしていたアイシスとイズミルは
即座に政治向きの仮面をかぶり今後の相談を重ねていく。
「アイシス?こちらにいるの?メンフィスから呼び出されて困っているの…」
キャロルが遠慮がちにアイシスの私室を覗き込んだ。
キャロルの目に映ったのは、アリを従え悠然と微笑むアイシスと、幾多の商品を背後にアイシスに平伏する異国の商人の姿。
「おお、キャロル、ちょうど良いところに。
そなたと一緒に珍しい宝石や衣を見ながら異国の話をこの者から聞こうと思っていたのです。」
「まぁ!どこのお国の方?」
「イミル、姫がそなたに問うておる。」
アイシスは平伏する商人にことさら鷹揚に言った。
「私はイミルと申します。各地を旅しながらこのように珍しい品々を仕入れております。
ナイルの姫様、どうか以後お見知りおきを。」
顔を伏せたまま、だがハッキリとした口調の商人にキャロルは矢継ぎ早に質問した。
「エジプトに来る前はどちらに?そこからどうやってエジプトに?」
「ほほほ、キャロル、そのように急いではイミルが困っておるではないか。
イミル、この姫は広く知識を得たいと思っているようじゃ。
もしもそなたに答えられることがあれば聞かせてやって欲しい。」
「は、私でよろしければ…」
「嬉しいわ!アイシス!…でもメンフィスが…」
「よいよい、ちょうどメンフィスに用があるゆえわたくしが行ってこよう。
そなたは行かずとも良い。」
アイシスは商人イミル−イズミル王子−にだけ判る眼差しを向けると部屋を出て行った。
--
ようやく本編らしきものに突入です...
どんどん、いけいけ。。。。お待ち申し上げております。
大量うpうれスィー・・・作家様有難うございます。
いつの間にか大量うpされている!ヽ(*´Д`*)ノ
更新は少し遅くなりそうですが、皆の声援を受けてがんばります。
とりあえずナイルの氾濫に巻き込まれて逝って来ます。
>301
うおお〜、そなたはナイルの女神、管理人様でつね。
更新楽しみにしております〜
ゼイゼイ・・追いついた・・・・・。
新作の大量うp有難うございます。>「初恋物語」作家様
ひさびさにアイシス登場でうれすぃでつ。
本編突入もたのしみ〜〜。
まだかな〜ヒッタイト道中記
>>235 「痛いっ・・・王子、やめ・・・!!」
身体の中心を太い火柱で貫かれるような熱さと痛み。
キャロルは唇を噛みしめて、その大きな圧迫に耐えた。
王子は自身をキャロルの最奥に沈めると、ピタリと動きを止めた。
「今、私はそなたの中だ・・・わかるか?」
王子を押出さんとばかりに締めつけて来るキャロルの暖かな感触を確かめ、王子はキャロルと一つになった喜びに胸を熱くする。
「おお・・・これでそなたは私の妃…ぞ!」
身を裂く様な辛さが、その言葉で痛い程の幸福感に変わる。
今ここに、王子と結ばれ、身体の奥深くに王子の刻印を押されたのだ。
痛みではなく、嬉しさに涙が溢れた。
「辛いのか・・・?」
王子の瞳はキャロルを案じながらも、切なく燃えている。
キャロルは首をゆっくりと横に振るキャロルに唇を重ねあわす。
「愛している・・・愛している、姫・・・そなたを・・・命よりも」
王子は耐え切れず、突然に激しく腰を動かし始めた。
キャロルをいたわってやらねばと心では思うのに、積年の想いが叶い今、ついに愛しいキャロルを抱いているのだと思うと、男の部分が枷を外された獣のように猛り狂って自制が効かない。
欲望のまま、キャロルを壊さんばかりに突き上げ責め立てる事しかできなかった。
その間をキャロルは、あまりはっきりと覚えていない。
あまりにも激しくて熱かった。
冷静さを失い、こんなにも激高した王子は初めてだと思った。
でも、不思議と恐ろしいとは思わなかった。
王子が我に返ったのは、キャロルの中に一度ならず二度も激情を迸らせた後だった。
王子は脱力しきった身体をキャロルの上で伏せるようにして、荒い呼吸を繰り返していた。
>>305 (なんという事だ・・・私とした事が。姫は乙女の身であるというのに!)
王子は少し照れたように目を伏せて苦笑した。
「すまぬ・・・そなたを苦しませたくはないと言うに・・・愛しさ余って加減が効かぬ。
痛むであろう?今、手当てをいたそう」
王子は優しく言うとキャロルの脚をそっと開かせ、乙女の純血の滲む痛々しい箇所を清水で洗い、清潔な布で拭おうとした。
「あっ・・・痛っ・・・!」
「む・・・痛むのか? ・・・ならば」
布よりも遥かに柔らかな王子の舌がそこを伝う。
「あ・・・イヤ、王子っ!!」
触れられた箇所からまた、妖しい感覚が湧き起こりキャロルは身を捩った。
しかし王子は、なおも痛む箇所を優しく清め、さらにその上の真珠までからかう様に舌を伸ばす。
「あんっ…やだったら、王子!もう離して」
「ならぬ・・・今宵はそなたを離さぬ」
嫌がってはみせるものの、甘い声が唇から漏れる。
「ふふ・・・私がどれほどそなたを想い、眠れぬ夜を過ごしてきたと思っておるのだ。
甘いな、そなただけ眠らせてやる訳には行かぬ。」
王子は意地悪く口端に笑みを浮かべると、キャロルを膝の上に載せて再び胸に抱きしめる。
「私がそなたをどれ程愛しているか・・・嫌という程分からせてやらねば」
「ダメっ、もう痛いの・・・今日は許して」
少し怯えるキャロルに、王子は優しく微笑んだ。
「案ずるな・・・今宵はもうそなたを痛めつけぬ。
まだそなたが私を妃にした実感がつかめぬゆえ、もう暫しこうして触れていたいのだ」
先ほどの激しさと打って変わって、王子の手はいとも優しくキャロルの身体を心地よく撫でる。
キャロルは目を閉じて心地よさに身を任せた。このまま眠りの淵へ落ちてしまいそうだ。
しかし、じゃれ合う様にキャロルの身体を愛しむ王子の手が突然止まった。
「むっ・・・何事か」
天幕の外のにわかな物音に鋭い視線を投げつける。
王子は俊敏に身を起こすとキャロルの裸身をシーツで覆い隠した。
手元の剣をスラリと抜き取った。
「王子・・・?どうしたの?」
キャロルは王子の背中に隠れ怯えた様子で問うたが、それには答えず剣を構えたまま天幕の外の様子を窺う。
刃の交わる音と衛兵の叫ぶ声。王子の背に緊張が走り、筋肉が張り詰める。
天幕に複数の男の影が映し出され、刃が幕を切り裂き、二人の天幕に怒声がなだれ込んだ。
またもやタイトルにΨ(`▼´)Ψ付け忘れてしまいました(大汗)
申し訳ありません・・・アトラス王子に首を締められ逝ってきます。
道中記作家様キター!!
うれしーぃ(σ´∀`)σゲッツ!!
と思いきや、らぶらぶモードの夜に何事か( ̄□ ̄;)!!
またまたまた先が気になる〜〜
うわ〜ん。今日は続きもう読めないかと思ってたから嬉しいでつ。
最近毎日新作王子ネタがつづいて、し・あ・わ・せ
作者様たちありがとう。
わを〜、二人が結ばれてらぶらぶなのと思いきや・・・
どうなっちゃうのれすか?
>309
(σ´∀`)σゲッツ!! ←コレ、可愛すぎる〜。早速辞書に登録しました。
仕事休める週末はうれしいのだけど、作家様もお休みになられるのでチョトさみし。
でもつい見にきてしまう。
初恋作家様、道中記作家様、ありがとう〜
雨でも幸せ
>>298 「姉上、キャロルはどうした?」
宮殿の庭でイムホテップやミヌーエに囲まれて鬱陶しそうにしていたメンフィスが言った。
「キャロルはわたくしの元に来た商人の持参した品々を見ておる。」
「なに!その商人と二人きりでか!」
「アリが付いておるに決まっておろうが。まったく…何を申すのやら。」
「アイシス様に申し上げます。
今、メンフィス様にご報告していたところなのですが、
先のヒッタイト王女ミタムン様の一件で、ヒッタイト国より使者が参りました。
旅先で亡くされた王女様を偲んでヒッタイト王妃がいたくお嘆きとか。
また、ヒッタイト王は真相究明を要求しエジプトへの態度を硬化しておりまする。
如何いたしましょう。アイシス様。」
エジプトの知恵と言われる宰相イムホテップの言うことの一部は事実であった。
しかし、そのような使者はミタムン王女の死後すぐに来ていたものであって、
今に始まったことではない。
彼らがいちいち報告しなかっただけで、そういう使者が来ていたことは
アイシスはとっくに承知していた。
だが、ヒッタイト王の態度の硬化という新情報は、つい先程のイズミル王子との会談で
決まった話。なんと手回しの良い王子よ…とアイシスは心の中で思った。
「わたくしもそのことが気掛かりで…ずっと考えておった。
わたくしがヒッタイトを訪れてヒッタイト王や王妃をお慰めしようと思っておる。
エジプトとして正式に招待した王女が、この国で事故に遭われ命を落とされたのじゃ。
ましてや、エジプトにとってヒッタイトは今微妙な立場にある。
なんとしても敵対国になることを防がねばならぬ。」
「おう!姉上が行ってくれるか!それなら安心じゃ。のう、イムホテップ。」
メンフィスは最早問題が片付いたかのように長椅子に寝転んだ。
--
閑話休題
徒然なるままに書き始めました
本編では悪役の登場人物たちですが、
アイシスの最初の対応が違っていたらどうなる?という設定です。
初恋なんで、あんまりエチーじゃありません。
それと、導入部分が説明がましくてすみませーん...
「旅の道のりを考えれば船の方が早くしかもアイシス様の御為にも安全ではあるが、
ヒッタイトへの風は逆風…時には嵐もあるゆえ、ここは陸路が望ましいか。」
「しかし、そのために護衛の兵を多く付ければ、諸外国はもとより
ヒッタイトに必要以上に警戒心を与えることとなりまする。」
イムホテップとミヌーエ将軍、そこにホルス将軍やアイシス配下のナクト将軍までもが
入り乱れてアイシスのヒッタイトへの旅程の相談をしている。
「あまり目立った護衛はわたくしも好まぬ。
前後、目の届く範囲で目立たぬようにしてもらいたい。
諸外国を刺激することが目的ではないゆえ。」
「ですが、アイシス様、それではあまりにも無用心かと。」
「ならば、わたくしの元に出入りする商人の一団に守らせようぞ。
エジプトの次に陸路ヒッタイトを目指す商人団がいたはず。
ナクトに前後の安全を確認させつつ進み、ヒッタイト領内に入ったら、
ヒッタイト兵に道案内がてら護衛を願い出ればよいではないか。」
「しかし、それではアイシス様の御身に…」
「ミタムン王女も同じ条件でエジプトに参ったのじゃ。
わたくしも同じようにしてこそ、ヒッタイト王妃をお慰めする資格があるというもの。
おお、そうじゃ。キャロルもミタムン王女とは親しくしておった。姫も連れて参ろう。
ヒッタイト王妃はきっとお喜びになるはずじゃ。」
「ナイルの姫君を。姫はお優しい。きっとヒッタイト王妃のお気も晴れるでしょう。」
「なにーっ!キャロルを連れて行くだと!?」
今まで寝転んで話半分に聞いていたメンフィスが急に起き上がり怒鳴った。
「駄目だ、駄目だ、そんなことは許さん!エジプト女王の姉上一人で充分じゃ!
キャロルはその間、私の側に置く!
第一、キャロルをヒッタイトなどにやって、あの色好みで有名なヒッタイト王に
奪われてしまったらどうするのだ!」
(それが今回の目的なのじゃ…
ただし、相手は好色な王ではなく堅物の王子だとはメンフィスも絶対に気が付くまい)
「ヒッタイト王の噂は聞いておるが、まさかあのような少女にまで、
しかも自分の娘の死に嘆く王妃を慰めるため訪れた客人に対して、
まさか礼を失するようなことは。
もしもの時には…わたくしがエジプトのためにナイルの女神の娘を守る覚悟はできておる。」
「おお、女王アイシス様…」
メンフィス以外の人間はアイシスの言葉に深く感動し、
キャロルの同行はいつの間にやら既成事実となった。
「フン!面白くない!」
只一人、エジプトのファラオ、メンフィスだけがいつまでも納得せず駄々をこねた。
「キャロル、今戻りました。」
アイシスが宮殿に戻ってきた。
「アイシス!」
商人イミル−イズミル王子−は再び平伏し、アイシスを迎える。
キャロルの碧い目の輝きを見れば、このわずかな時間が如何に有意義であったか
すぐにわかる。
キャロルと並びイズミルの前に腰を降ろしたアイシスは、キャロルの髪をなでながら言った。
「イミル、そなた、近くヒッタイトへ向けて旅立つとか。」
「はい、エジプトでの商品も整いましたゆえ、ヒッタイトに向けて陸路を進む予定でございます。」
「実はわたくしもヒッタイトに行くことになったのじゃ。
だが、あまり多くの兵士に護衛させるのはいかにも物々しく好ましくない。
そこでそなたの一団に護衛がてら道案内を頼みたいと思うのじゃが。」
「は、女王アイシス様。おおせの通りに。」
「え?アイシスがヒッタイトに?商人のキャラバンと一緒に旅をするの?すごいわ!」
キャロルの口から次にでる言葉はアイシスにはわかりきっていた。
「私も一緒に行きたいわ!古代のキャラバンよ!なんて素敵なの!」
「わたくしがそなたを置いてゆくわけがないではないか。
キャロル、そなたも一緒に行くのじゃ。」
「アイシス、ありがとう!」
キャロルはアイシスに抱きつきその白い身体をアイシスに預けた。
ヒッタイト王子イズミルの目の奥が妖しげに光るのをアイシスは感じていた。
−よいな、イズミル王子。姫が必ずそなたに恋するように。−
アイシスは祈るような気持ちでイズミル王子を見つめ返した。
「キャロル様、商人のイミルが参りました。」
アリがキャロルの部屋にやって来て恭しく告げた。
「ナイルの姫、砂漠の旅の心構えと準備などを姫にお教えするよう
女王アイシス様に言付かっております。
なんなりとこのイミルにお申し付け下さい。」
「あ…イミル、よろしくお願いします。」
イズミルの見るナイルの姫は昨日と違い沈んでいるようにも思えた。
「姫、どうかなさいましたか?」
「昨日はキャラバンと一緒に旅をすることばかり喜んでいたけど、
アイシスがヒッタイトを訪問する目的を聞いたら…あんなにはしゃいではいけなかったの。」
「なぜに?」
「イミルも商人であれば、ヒッタイトの王女がこのエジプトで亡くなったことは知っているでしょう?
アイシスはそのお詫びと、王女のお母様、ヒッタイト王妃をお慰めするために自らヒッタイト行きを望んだの。
ミタムン王女は私にもヒッタイトのことをたくさん教えて下さったのよ。
それなのに私は自分のことばかり考えてはしゃいでしまって。
アイシスにもミタムン王女にも、お母様のヒッタイト王妃にも申し訳ないわ…」
(ほう…ミタムンやルカが申すとおり、この姫は神の娘らしくもない
人間味あふれる性質であることよ。)
「ナイルの姫、姫のお優しい気持ちはきっと天のヒッタイト王女様に通じていることでしょう。
またヒッタイトの王妃様にもエジプトでの王女様のご様子などお話なされば、
それが何よりのお慰めになろうと存じます。」
「ありがとう、イミル。」
「さあ、涙をお拭き下さい。無事に砂漠を超えてヒッタイトに到着しなければ、
姫のお優しい気持ちを直に伝えることはできないのですから。」
「イミルは私の先生になってくれるのよね。
今日から出発の日まで…教えて、私に砂漠の旅のこと、
そしてそれ以外のたくさんのことを。」
(まさか恋を教えるためにやって来た、とは思ってもいないであろうな)
「姫のお望みのこと、このイミル、なんでも教えて差し上げまする。」
イズミルはこみ上げる笑いをキャロルに悟られないよう恭しく頭を下げた。
明後日はいよいよヒッタイトに向けて出立という日、
キャロルは宮殿の広い庭でラクダに乗る練習をしていた。
「そうそう…そのようになさって…ナイルの姫はなかなか筋がよろしゅうございます。」
「小さい頃からライアン兄さんに乗馬を教えてもらっていたの。ふふ。」
「なんと、姫は馬にも乗られますか?」
商人イミル−イズミル王子−は驚いてキャロルに聞いた。
「ええ、こっちに来てからアイシスとお忍びで遠乗りにでかけたこともあるの。
でもアイシスみたいに上手には乗れないわ。
帰りはいつもアイシスに抱かれて戻ってきたし。」
「おお、では、お疲れの際はアイシス様の代わりに恐れながら私がお抱きして旅を続けましょう。
それともアイシス様の方がよろしゅうございますか?」
「アイシスだって長旅で疲れてしまうでしょう…アイシスにばかり甘えてはいられないわ。
なるべく皆に迷惑をかけないようにするつもりよ。
でも、そうね、もしもの時はイミルにお願いしようかしら。」
「アイシス様のお許しがあれば、喜んでナイルの姫をお乗せいたします。」
「あんまり重くはないつもりだけど…」
キャロルはイミルに申し訳なさそうに頬を赤らめた。
「なんの、私は砂漠を旅する商人、姫をお守りするくらいの力はございますぞ。
…それに姫は霞のように軽やかでこのイミルの負担になることなどありますまい。」
イズミルはキャロルをラクダから下ろしながら微笑みかけた。
ルカはその様子を少し離れた場所で眩しげに見ていた。
(なんと…我がイズミル王子が女性にあのように優しくお話なさるのは初めてだ。
まるで在りし日のミタムン王女とご一緒の時のように穏やかなご表情、
いやそれ以上かもしれぬ。)
王子は常に冷静で、自分の立場を忘れることなど今まで一度たりともなかった。
たとえ、アイシスと謀ったことだとしても、だ。
(王子は優男のような演技をなさる方ではない。
何が王子をあのように変えられたのか?)
その時、ルカの背後に褐色の大きな影が立った。
本能でただならぬ雰囲気を感じ取り素早く振り向くと、
そこには怒りの表情を隠そうともしないエジプトのファラオ、メンフィスが立っていた。
「どけ!キャロルから離れよ!」
メンフィスはルカになど目もくれずにイミルに向って怒鳴り散らした。
「そなた、姉上の宮殿に出入りする商人とな。
姉上の頼みゆえ此度の警護をそなたの一行にも任せることになったが、
キャロルに触れてよいとは、言うておらぬわ!」
イズミルは傲慢な物言いの若きファラオの顔をことさらゆっくりと眺めると、
「申し訳ございませぬ。
アイシス様のお申し付けとはいえ、アイシス様のいらっしゃらない場で出すぎた真似をいたしました。
ナイルの姫様にもお詫び申し上げます。」
(このような若造に…腸煮えくり返るが、大事の前の小事ぞ。
イミルとしてならばいくらでも頭を下げよう。
しかし見ておれ!いつの日かこの屈辱、倍にして返してやろうぞ!)
「何を言うのっ!イミルは何も悪いことなんてしていないわっ!」
「フン!そなたを腕に抱いて旅をするなど、商人風情がっ」
メンフィスはキャロルの腕を引き寄せながら吐き捨てるように言った。
「キャロル、姉上との婚儀が正式に決まった。ヒッタイトより戻れば婚儀じゃ。」
「えっ?本当?ああ、良かったわ!アイシス!」
「そして、その次はそなたぞ…。」
メンフィスは最早、イミルなどその場に存在しないかのように、
キャロルを身動きできないように強く抱きしめた。
「いやっ!やめて!メンフィス!」
「今はそのように申していても、じきに私から離れられなくなる。
本当はヒッタイトになどやりたくないのだが…
そうじゃ、旅の途中で私のことばかり考えるようにそなたの身体に私を刻み付けてやろうぞ。」
「な…何をするの!アイシスー!助けてー!」
「姉上ならば婚儀の慶びの報告と旅の安全を祈願して神殿に籠もっておる。
あの様子では夜まで戻らないであろう。その間にそなたを…。」
(如何いたします、イズミル王子。今なら二人力を合わせれば…。)
イズミルはルカの言わんとするところに気付き、立ち上がりかけた。
その時、メンフィスの肩に担がれ今にも連れされれそうなキャロルが首を横に振った。
(いけない!イミルが殺されてしまうわ。)
「さあ!私の宮殿へ行くぞ!」
メンフィスが肩に担いだキャロルを、もう一度安定させるために担ぎなおしたその時。
キャロルは目の前にいたラクダの首にしっかりと抱きついたのだ。
抱きつかれたラクダは、たまったものではない。
急に暴れだし、その鳴声に驚いたメンフィスはキャロルを抱いたまま尻餅をついてしまった。
「ナイルの姫!危ない!」
イズミル王子がラクダの前に投げ出されたキャロルを救い出すのと、
ルカが素早く綱を手繰ってラクダを鎮めるのと、ほぼ同時に−。
騒ぎ声を聞きつけたナクト将軍が兵士を連れ庭に走りよってきた。
ナクト将軍が目にしたものは、ナイルの姫を左手でしっかりと抱きしめ、
驚きのため動けずにいるメンフィスを悠然と見下ろしているヒッタイトの王子の姿。
−アイシスの治める下エジプトの神殿を警護するこの将軍は当然イズミルの正体を知っている−
「お怪我はございませぬか?メンフィス王。」
イズミルはメンフィスに向ってゆっくりとその右手を差し出した。
「キャロル様!いかがなされました?!
ご出発まであと僅かでございますのに、大事があってはいけませぬ!」
ナフテラやアリも騒ぎを聞きつけてやって来たのであろう。
「イミル!何をしているのです!
キャロル様にもしものことがあれば、アイシス様に申し開きができませぬ。
そなたは医術の心得もあるゆえ、早くキャロル様のお身体に障りがないか、
もしもお怪我などなさっていたら…すぐにお手当てを!」
アリは機転を利かせて、この場からキャロルとイミルを去らせ、
アイシスの宮殿内に入るように計らった。
「ナフテラ様、わたくしと一緒にキャロル様をご寝所へ…!お願いいたしまする。」
「えっ、ええ、そうですね!キャロル様の御身に障りがあってはいけませぬ!
イミルと申す商人とやら、わたくしに続きなさい!
それからアイシス様の侍医にも早く連絡を!」
何がなんだかわからないが、ナイルの姫に何かあったら一大事である。
ナフテラはアリに上手く煽られて、てきぱきと指示を出し始めた。
「いや、それにしてもイミルとルカの機転で、ファラオにもナイルの姫にもお怪我がなくて、ようございました。」
ナクト将軍は
(メンフィス様のことゆえ、何かあったに違いない。
それにしても、我がエジプトの若きファラオがヒッタイトの王子に見劣りするとは…
やはりアイシス女王あってこそのファラオであられるのか)
と苦々しく思いながらも、若きメンフィス王の機嫌を損ねぬ程度に言った。
「ラクダが急に暴れだしたゆえ驚いた。このラクダ、成敗してやらねばならぬ!」
キャロルを無理に自分の宮殿に奪おうとして、ラクダに踏み潰されそうになったなど
臣下に知られては威厳が保てない。
「今日のお慶びの日に、アイシス様の宮殿で殺生があっては、
アイシス様もお悲しみになりましょう。
ファラオも宮殿にお戻りになり少しお休みになられては…」
ナクト将軍は体よくファラオをアイシスの宮殿から追い出すことに成功した。
327 :
初恋物語43:03/07/05 12:31
「キャロルー!大丈夫かっ?!」
アイシスが取り乱しながら宮殿に戻ったのは、ナフテラ女官長も侍医も下がり、
アリの計らいでイズミル王子ただ一人がキャロルの枕辺に座り、
静かに語らっている時であった。
「アリから話は聞いた…メンフィスがそなたに何か…?」
「なんでもないのよ、アイシス。メンフィスが来たせいかしら。
驚いたラクダが暴れて…イミルが助けてくれたの。」
(アイシスにとって今日は慶びの日。
そんな時にメンフィスのあんな言葉は聞かせたくない…)
キャロルは気を遣っているつもりであったが、
アイシスは只ならぬ雰囲気を敏感に感じ取っていた。
(良いわ、あとでナクトに聞けばよいこと。
…それにしても、この部屋に入ってきた時の二人の間に流れる空気。
その方がわたくしには気になる。
自ら仕掛けたこととはいえ、この冷徹な王子があのように蕩ける様な笑顔を
わたくしのキャロルに向けるとは。)
>>309タソありがd!
そんなアナタに(σ´∀`)σゲッツ!!
ア-ンド(´∀`)( ´∀)( ´)( )(` )(∀` )(´∀`)ターン アーンド(´∀`)(∀`)(` )( )(´)( ´∀)(つ´∀`)つリヴァース・・・
ヒッタイト道中記作家様に捧ぐ〜
(σ`▼´)σ ウワーオッコトシタ≡≡≡⊂~⌒⊃。▲。)⊃ΨΨ ≡≡≡マテー⊂⌒~⊃(つΨ´▼`)つΨ≡≡≡Ψ(`・▼・´)Ψシャキーン!!
「イミル、そなたに申し付ける。
今宵より出立の朝までわたくしの宮殿に留まり、キャロルの世話をせよ。
わたくしは…夜はメンフィスの宮殿に参るゆえ。」
アイシスはこの身を焦がすような熱が、婚儀の決まったメンフィスへの愛なのか、
それとも自分の筋書き通りに、商人イミル−イズミル王子−に心を開き始めたキャロルと、
演技かはたまた本気かわからないイズミル王子の間に流れる
自分が入り込めない空気に嫉妬しているのか、わからなかった。
(この昂ぶった気持ちを…メンフィスに鎮めてもらうより仕方ない。)
夜はメンフィスの宮殿に−という言葉の意味に気が付いたキャロルは
真っ赤になって俯きながらアイシスを見送った。
(この艶めかしい乙女をイズミル王子はなんと見るであろう…)
アイシスはイズミルの表情を窺おうとしたが、
あくまでも商人イミルの仮面をかぶるイズミルは、
恭しく頭を垂れることでアイシスの視線を逃れたのであった。
--
ひぃー上げてしまいました〜
申し訳ないので火の島の火口に身投げしてきますλ...
309は自分だ・・
>>312タソのマチガイ・・
しかも初恋物語作家様のうpに割り込んじった、ゴメンナチャイ
作家様のかわりに、火の鳥の火口に身投げしに逝ってきまつ
デモデモ(つω;)ハツコイモノガタリ44マデヨンデカラデモイイ?(;人;)
「初恋物語」作家様、週末の更新、うれしいです。
今後の展開もすんごい気になります。
>330
(つω;)ヾ(・д・ )よしよし。
みんな顔文字ウマー。
私も顔文字で感謝や感想を述べたいけど思い浮かばん。
初恋物語作家さま、すごい大量うpお疲れ様&ありがd。
雨なので久々に王家を読み直してみました。
今、27巻、オロンテスの森のところです。
ああ王子・・・あなたって人は・・・もう、涙なしに読めません。
また王子に惚れ直してしまったぁ!
>>307 山賊のいでたちの武骨な男達がぞろぞろと二人の前に立ちはだかる。
王子の影に身を寄せて、シーツを纏っただけの身体で震えるキャロルを見て卑猥な笑い声を上げる。
「へへ・・・女とお楽しみのところ悪いな」
「見ろよ、あの女! めずらしい髪をしてやがる、黄金みたいじゃねぇか!」
「男は殺して、女は生け捕りにしろっ!高く売れらぁ」
しかし王子は落ち着き払った様子でキャロルを後ろ手に庇い、下卑た言葉を吐く男達の前に立つ。
端整な顔に冷酷な微笑が浮かんだ。
「ふ・・・何が目当てかは知らぬが・・・命知らずの下郎どもよ」
「なにぃ・・・何様だと思ってやがるんだっ?!」
「衛兵―――!!出合え―――い!!」
王子の太い叫びが響き渡ると同時に、一斉に男達が王子に斬りかかる。
キャロルは耳を押さえて悲鳴をあげた。
振り下ろされる刃を王子は巧みにかわし、並みいる男達の隙を抜いては斬り付けた。
「女を捕らえろ、女をっ!」
「そうはさせぬ!」
キャロルを襲おうとした男の喉もとに王子の剣先が鋭く走る。
怯えるキャロルの眼前に、血潮をあげる男の身体が崩れるように倒れ込む。
「きゃぁぁぁ!!」
片端から賊を斬り捨てて行くものの、天幕の外から男達の仲間が飛び入ってはかかって来る。
「むうっ・・・きりがないではないか! 衛兵は何をしておるのだ――っ!!」
天幕の外に火の手が上がり、喧騒が巻き起こる。
>>333 力任せに斬りつけてくる刃を、王子は強靭な腕と鉄の剣で受け止め、男の動きを読みつつ剣先を振るう。
賊の数は多かれど、華麗なまでに鍛え上げられ磨かれた王子の剣技の前には立ち向かう術がない。
ついに最後の一人を床に倒し、容赦なくとどめを刺した王子は、肩で安堵の息を漏らすと床に膝をついた。
王子の背後で床に這うように倒れていた男が腰元の短刀を抜き、ゆらりと起き上がる。
ふらふらと男は王子に歩み寄り、最期の力を振り絞って王子の背中に刃先を向ける。
王子が殺気に振り返った瞬間、王子が制するより先にキャロルが立ち上がった。
「いやああっ!!王子・・・逃げて!!」
王子の背中にキャロルの身体が衝突する。
倒れかかるキャロルの身体を腕で受け止めた。
薄絹の夜着を羽織った肩に深々と短刀が埋まり、鮮血が溢れる。
「姫・・・姫―――っ!!
馬鹿なっ!! なぜだ・・・なぜ飛び出した? なぜに私を庇った!?」
指がキャロルの血で染まる。
「おお・・・なんと・・・なんという事・・・おのれ!!」
凄まじいまでの怒気に、男達は短剣を持ったまま尻餅をつき、その場に凍りつく。
王子は怒りに震える手で剣を振り上げた。
>>334 「王子――!姫――!ご無事でおられるか?!」
ルカや衛兵が息を切らせて駆けつけた時、王子の天幕を襲った男達は一人残らず無残に斬りつけられ、床をおびただしい血で濡らしていた。もはや微動だにしない。
「これは、お・・・王子お一人で・・・」
「もっ・・・申し訳ございませぬ!!不意を討たれ、王子の護衛ままならず・・・!」
返り血を浴びた端整な顔は何も答えず、忌々しげに剣を地面に投げつけた。
王子の腕の中には、肩から流血し苦しげな呼吸を繰り返すキャロルがいた。
「ルカ、医師を呼べい!湯を沸かし、薬湯の用意をいたせ!」
「そっ・・・それが、医師はこの騒ぎで斬られ、重態にございます」
「なにぃ・・・?!」
やり場の無い怒りに王子の瞳が鈍く光る。
「ならば!!姫の手当ては私がいたす、医薬具をすべて私によこせ!」
「はっ・・・!」
キャロルの身体を慎重に抱き上げた。
王子は振り返り、衛兵を睨みつける。
「そちらは残党どもを捕らえよ!・・・一人とて逃さず私の前に引っ立てい!よいな?!」
>>335 王子は向かいの天幕にキャロルを運び込み、寝台にそっと寝かせた。
キャロルの受けた刀傷は大きなものでこそなかったが、深く達して肩を裂き鮮血を白い肌に滲ませる。
(早く止血をせねば、出血に耐えられまい!)
止血の為に腕を押さえ、強く布で縛るものの、なかなか出血は止まらない。
「お・・・王子・・・」
王子を見上げるキャロルの顔が細かに震える。
「姫、姫・・・どうした? 痛むのか? しっかりいたせ!
私がすぐに手当てをしてやろうぞ・・・案ずるな」
「王子・・・怪我をしたの・・・?顔に・・血が・・・こんなに」
キャロルの白い指が力なく王子の頬を撫でる。
王子はその手をきつく握り締め、自分の頬に押し当てた。
「このような時にさえ・・・私の、この私の身を案じるのか・・・おお、姫よ!
そなたの為なら命も惜しまぬ私を・・・そなたが身をもって庇うとは・・・。
私の為にそなたが傷つこうとは・・・!!
何としても・・・何としてもそなたを救おうぞ!」
王子の大きな手が震える。
背後にルカの足音を聞きつけ、王子は振り返る。
「王子、あの者ども、この辺りを荒らしまわる金品目当ての賊のようにございます。
我々をヒッタイト王子の一軍とは知らず、通りがかりに襲った様子。
残党40名余り全員取り押えましたが・・・いかがいたしますか」
指示を仰ぐルカの頭上で王子の瞳が鋭く冷酷に光る。
「・・・殺せ」
引き攣った口許を怒りに歪め、静かに言い放つ。
「・・・一人残らず皆殺しにいたせ!」
>>336 医療・薬草にも幅広く深い知識を持つ王子は医師のように手際よく処置を行う。
キャロルの身体を優しく起こし、背中に腕を添えて支えた。
「姫、傷口を消毒する。 我慢いたせ・・・少し痛むぞ」
薬湯を浸した布をそっとキャロルの肩に押し当てる。
たちまち苦痛にみちた痛々しい悲鳴が上がり、キャロルの身体が激しく痙攣した。
そのまま意識が遠のき、王子の腕の中に崩れ落ちる。
「おおお・・・変われるものならば私が変わってやろうものを!
・・・そなたが苦しむは見るに耐えぬ!!
私のために・・・そなたが苦しむのは・・・!」
王子は血が滲むほどに唇を噛みしめた。
キャロルの応急処置を終えると、一軍は日の出を待たずしてこの地を発った。
一刻も早く設備の整った王宮で侍医に診せ、キャロルを静かに療養させねばならない。
ここからハットウシャへの道のりは、身も心も我が物にしたばかりの愛しい姫を胸に抱き、愛の言葉を交しながらの道中になるはずであった。
流れる景色や町並みの様子にキャロルが歓喜するのを、目を細めて見守るはずだった。
しかし、今キャロルは朦朧として王子に抱かれたまま動かない。
キャロルの身体の熱さが、苦しげな呼吸が、王子の心を苛立たせる。
「おお・・・姫よ、何としても・・・何としても持ちこたえよ!
そなたに危機あらば、我が命さえ投げ出すも厭わぬというに・・・
今、そなたをどうしてやる事もできぬとは!!
愛の女神イシュタルよ・・・我に・・・姫にご加護を! 我が愛する妃を守りたまえ!」
王子は腕の中の小さな命がこのまま消えてしまいそうな不安に駆られて、心急くまま馬を激しく打ち、疾風のように走らせるのだった。
わーい。大量うれしいな。
その夜更け。
アイシスは密やかな話し声で目を覚ました。
隣で寝ているはずのメンフィスの姿がない。
(メンフィス…?)
愛しい弟から受けた愛の行為に溺れたアイシスではあったが、
今日ばかりは自分の宮殿に残したキャロルとイズミル王子のことが気になり、
どこか熟睡できなかったのだろう。
また、その密やかな声の持ち主が常日頃より警戒している相手だったからかもしれない。
アイシスは物音一つ立てずに起き上がると、声の方向に精神を集中した。
まるで耳元で聞いているようにその会話が聞こえてくる。
人はそのようなアイシスを「神秘の力を持っている」と噂するが、なんのことはない。
訓練のたまものである。
--
朝から10話くらい一気にいきまふ。
でも、道中記のキャロルの容態が心配でつ。
こっちのキャロルは暢気で元気...
「なに?そなたは今日の騒ぎを最初から目にしていたと申すのか。」
「はい、ファラオ。あと一息でございましたのに…」
「むむっ。カプターよ。そなたは姉上よりもキャロルが私の正妃に相応しいと常々申しておったな。」
「はい、ファラオ。アイシス様は確かに下エジプトの女王にて、
神殿の最高司祭でございますが、母上は名もなき踊り子という劣ったご出自にございます。
しかしながらナイルの姫は違います。
エジプトの女神の産みたもうたこの上なく尊いご身分。
アイシス様よりも下のお扱いでは神々の怒りに触れましょう。」
「ふむ…しかし、姉上は父ネフェルマアト王の頃よりエジプトを束ねる重要な存在であった。
また、ネフェルマアト王の正妃、私の母上の遺言でエジプトの正妃とするように定められておる。
姉上には今まで通り正妃として、また女王として政務と神殿を司ってもらい、
キャロルはただ私のそばにいてくれる妃でよいと思っておる。
キャロルさえ我が意のままになれば、正妃だろうと妃だろうと関係ない。」
「ファラオ、我が星占いは神々がそれをお喜びではないと出ております。」
「しかし…姉上を差し置いてキャロルを正妃に迎えれば、姉上とて気分を損ねよう。
また下エジプトの民はどう思うであろうか。
私自身も姉上なくしてエジプトを束ねていくことは難しい。」
「ファラオ、ご心配めされるな。神殿のこと、政治向きのこと、及ばずながら
このカプターをお使いくださいませ。」
「そなた、姉上を排除せよと暗に申しておるのか?」
「め、めっそうもない!アイシス様にもこれまでその肩にかかっていた重荷を取り除き、
ファラオに愛されて穏やかな日々をお過ごしいただきたいと…」
「ふむ…確かに姉上は働きすぎ。あのままでは婚儀をあげても子を授かる暇もない。
だが、カプターよ、我が正妃はあくまでも姉上ぞ。
エジプトで最高位の女性は姉上以外には考えられぬ。
もちろんキャロルは女神の娘ゆえそれに劣らぬ扱いをするつもりじゃ。」
「では、アイシス様は正妃、ナイルの姫は聖妃ということで如何でしょう…」
「正妃に聖妃か…それならば姉上も納得しよう、また女神ハピの娘にも相応しい呼び方じゃ。
姉上との婚儀の後、すぐにキャロルとの婚儀を行いたい。」
「しかし、あまりに急ぎますとご新婚のアイシス様のご気分を損ねましょう。」
「…だが私はもう待てぬぞ。早くあのキャロルを我が胸に抱きたいのだ。
ヒッタイトになどやりたくないのに…!」
「ファラオ…わたくしに良い考えがございます。
アイシス様は…ゆっくりとお休みでしょうな?」
カプターは一層声を潜めた。
「姉上ならば、そなたに言われたとおり、朝まで、
いや朝になっても気が付かぬほどに愛したゆえ…あの様子ならば大丈夫だ。」
メンフィスの声も自然と小さくなる。
「ん…メンフィス…?」
アイシスは夜明け前に愛しい弟の愛撫に無理やり目覚めさせられた−ふりをした。
「姉上、ヒッタイトへの旅立ちはいよいよ明日。もはや一時も姉上と離れていたくはないのだ。」
(それもまた本心やもしれぬが…たった今までキャロルをわたくしから奪う算段をしていたとは思えぬ。
いや、それゆえの振る舞いか?)
「メンフィス、わたくしもそなたと離れて幾夜を過ごさねばならないと思うと、今から苦しいのです。
わたくしに…そなたの消えることない面影を刻み付けてたもれ。
いや、わたくしがそなたに刻みつけようぞ。」
アイシスはこれまで他国の王や王子からその身体に教え込まれた技を使い、
メンフィスに挑みかかり、メンフィスを激しく悦ばせ、夜が明けるまでの僅かな時間に
メンフィスの精気をすべて吸い尽くすかのように愛し続けた。
「姉上…アイシス…もう…」
「メンフィス、そなたはエジプトのファラオ。
これから先、幾多の女性を抱きながらエジプトの繁栄を願わねばならぬ身。」
「む…そうであるが…姉上、もはや身がもたぬ…」
(わたくしはキャロルのことも気掛かりなのです。さっさと果てておしまい!)
メンフィスにまたがったアイシスが激しく身をよじると、
メンフィスは最後の一滴を搾り取られた抜け殻のように気を失った。
(キャロル…どのような一夜を過ごしたのでしょう…)
アイシスは自分の宮殿へと急いだ。
次の間からキャロルの寝台のある部屋をそっと覗き込もうとした瞬間、
背後から剣を突きつけられる感覚に襲われた。
(くせものっ?!)
振り向くとそこには音もなく忍び寄った商人イミル−イズミル王子−が、
ただし手には剣など持っていないが、するどい眼差しでアイシスを見つめていた。
「姫はぐっすりとお休みになっておる。
夜が明けきるまでは今しばらく時間があるゆえ、姫の眠りを妨げないでいただきたい。」
「そなた、一緒に休んでいるものだと思っていました…」
「それゆえあのように急いで戻ってこられたのか。」
アイシスは含み笑いで物を言うイズミルにカッとして声を荒げそうになったが、
イズミルに制止された。
「昨夜は…」
自分の居間に戻ってきたアイシスはイズミルに言いかけたが、すぐに口をつぐんだ。
(この男の語ることよりも、キャロルから聞いた方がよかろう。
いずれにせよイズミル王子は自分の本心など滅多なことでは明かしたりしないだろうし、
気取られるそぶりさえ見せなかろうて。)
「いよいよ明日は出立です。旅にあればキャロルも居ることゆえ、
なかなか話しにくいこともでてくるであろう。約束は覚えていますね?」
「当然のこと。ナイルの姫が私に恋心を覚え、そしてヒッタイトの王子として姫を妃に迎えよ、
との約束、このイズミル王子、神に誓って違わぬと約束しようぞ。」
(で、そなた自身はどうなのです…イズミル王子。)
アイシスは問い正したい思いに駆られたが、イズミル王子の表情には
それを許さぬ何かがあった。
「実は…エジプトの恥を申すようで情けなくもあるのですが、
道中に災いが降りかかりそうな動きがありまする…」
アイシスは話題を変えた。
「ほう…やはりナイルの姫を国外に出すにあたって、一筋縄ではいかぬと見える。」
二人の密やかな話し声はナイルの小波に消されて聞き取ることすら難しい。
旅程を示した地図を前に相変わらず聞き取れない程の声で語り合う二人であったが、
イズミルが急に人差し指を立て、話を止めた。
「しっ、ナイルの姫がそろそろ目覚める。」
「なに?キャロルが?なぜそのようなこと、そなたにわかるのです?」
「離れたところにある気配や、話し声を読み取る能力は自分だけのものとお思いか?」
イズミルは声に出さずに唇だけを微かに動かしてみた。
アイシスにはそれだけで充分に理解できた。
(この男も唇の動き、風の動きを読むのか…人の心を読む不思議な王子よ、と思っていたが。
やはりキャロルを託すのはこの男しかいない。わたくしの選択は間違ってはいない…!)
「このように旅の途中でも充分相談はできるであろう。さて、姫のお目覚めであるが…
今朝よりこの先ずっと、私が一番最初に、姫に目覚めの挨拶をしてもよかろうな?」
イズミルは今度はわざと声を出して、「この先ずっと、私が一番最初に」という言葉を
強調するかのように言った。
「そなたに任せます…これから姫のことはすべて…」
(口惜しい。だが、この微かな唇の動きがわかるか…?)
「ふっ」
イズミルは謎めいた微笑をアイシスに一瞬だけ向けて…
商人イミルの仮面をかぶりキャロルの寝所へと向った。
その足取りが、ほんのわずかではあるが、軽やかだったのをアイシスは見逃さなかった。
テーベの都を出立した一行は順調に砂漠の旅を続けていた。
隊列はキャロルを気遣ってゆっくりと進んだ。
キャロルは最初の二日間だけ一人でラクダに揺られていたが、
生まれて初めての砂漠の旅、キャロルの身を案じるアイシスの命令で、
今はイズミルの腕の守られながらラクダに乗っていた。
最初のうちは恥ずかしがり遠慮がちにイズミルにそっとしがみつくキャロルであったが、
「姫、恐れながら申し上げます。
もう少し私にお身体を預けてくださった方がラクダも安定いたしますし、
姫もお楽になることでしょう。
私もその方が手綱を操りやすいのです。」
「キャロル、イミルの申すとおりじゃ。
わたくしと一緒に馬に乗った時のようにすれば良いのじゃぞ。」
アイシスの言葉もあり、戸惑いながらもイズミルにもたれかかる様に身体を寄せる。
「さあ、オアシスまでいま少し。オアシスでは明日一日の休養を取る予定です。」
イズミルは恥ずかしがる姫に優しく気遣いながら話しかけた。
今宵と明日、身体を休めるオアシスはエジプト領内の東の端にあり、
ここを抜けるとエジプトの勢力の及ばぬ砂漠の民が入り乱れる地域に入る。
途中点在する小さなオアシスで、気にかかる報告を受けていたアイシスは、
イズミルとナクト将軍を部屋に招いて相談を重ねた。
「例の一行、本隊はオアシスを遠く迂回し、少人数があらかじめ準備されていた
食料などを受け取り、先を急いだそうじゃ。」
アイシスは懇意にしている大商人の妻、ネネからもたらされた情報を二人に話した。
「ではこの先で?」
ナクト将軍も真剣な眼差しで地図を読む。
「砂漠を抜けてしまえば、彼らも帰路が大変であろう。
おそらくは次のオアシスまでの間に、と思われる。」
イズミルは地図の上のある一点を指差した。
右手に岩山のあるこの地点、おそらくここで待ち伏せしている。
三人の意見は一致した。
「して、どうなさいまする?アイシス様。」
「武装しているとはいえ、所詮は神官。目的はキャロルを奪うことのみ。ただ…。」
「ただ?如何いたした。アイシス女王よ。」
「わたくしの命を狙っているやもしれませぬ。
メンフィスの命令とは別に、カプターの密命がでているはず。」
「我ら、命に代えましても、アイシス様とナイルの姫をお守りいたします!」
意気込んでいうナクト将軍にアイシスは答えた。
「ナクトはこれまで縦に長かった護衛を纏め、キャラバンをしっかりと守るようにするのです。」
「しかし、それでは…狭い岩山付近で襲われれば身動きがとれませぬ。」
「わたくしに一案があるのです。すでに手配は済ませました。
イズミル王子よ、そなたはわたくしにかまわずキャロルをしっかりと守ってたもれ。
この先はラクダではなく馬で進もうぞ。」
そんな危険がこの先に待ち受けているなど夢にも思わないキャロルは、
アリに身体中の痛みを和らげるマッサージをしてもらっていた。
「キャロル様、ここをこうして…」
「つぅっ…!」
「ほら、これでだいぶお楽になりましたでしょう。」
「アリ…これはマッサージじゃなくて中国式の整体よ…。
古代エジプトにもこんなものがあったなんて…」
起き上がったキャロルはアリの言うとおりに身体が軽くなったことに気が付いた。
「すごいわ!さっきまでの身体の凝りが嘘みたいに取れたわ。」
「さぁさぁ、お休み前のお飲み物でもいただいてまいりましょう。」
しかし飲み物を手にして戻ってきたのはアリではなく、商人イミル−イズミル−であった。
「アリ?ねぇ、こんなに身体が楽になったんだったらまた一人でラクダに乗れそうよ。
私だけ甘えさせてもらってはやっぱり悪いもの。」
キャロルは寝台にうつ伏しているので、部屋に入ってきたのがイズミルだとは気が付かない。
「ホントはイミルに乗せてもらっているとゆったりとして安心できるんだけど…
うーん、やっぱりイミルに乗せてもらおうかしら?」
「それは嬉しい事を言ってくださる。」
イズミルはキャロルの寝台の脇に跪きながら言った。
「えっ?やだわ、アリだと思っていたのに。」
キャロルは真っ赤な顔でうつ伏せたまま両手で顔を覆った。
「明後日よりはラクダから馬に乗り換えての旅となりまする。
馬を駆けさせることもございますので、姫は私と一緒にお乗り下さい。」
「ええ…でも岩山地帯に入るのに馬で駆けるって、何か危険なことでも…?」
「姫の心配なさることではありません。
今宵はゆっくり休んで、明日はオアシスに買い物にでかけましょう。」
「わかったわ。ここは大きなオアシスだから楽しみよ…おやすみ…な…さ…」
(よほど疲れておるのだな。呆気なく眠りに入ってしまった。
もう少し物語などしたいと思っておったのに。
仕方あるまい、このような小さな身体で砂漠を越えて参ったのだ。
さて、アイシスの許しも得ているゆえ、今宵はここに休むとしよう。)
イズミルはキャロルの寝台の脇にあるゆったりとした長椅子に身体を横たえた。
(しかし、アイシスも酔狂なことよ。
この婚姻に外交上の理由付けなどいくらでも出来そうなもの。
それを、わざわざこのように回りくどいやり方で、
しかも自身は妬心を滲ませながら、姫に恋をさせた上で嫁がせたいなど。)
イズミルは安らかに眠るキャロルの顔をぼんやりと見つめていた。
(恋…か。)
軽く目を閉じると、メンフィスから逃れようともがくキャロルが、
アイシスに嬉しそうに身体を預けて抱きつくキャロルが、瞼の裏に浮かんだ。
(この姫が私に恋をしたら…メンフィスに対するようではなく、
アイシスに対するような態度を取ってくれるのであろうか…?)
(そして、それ以上に…?)
イズミルは身体の芯に甘い疼きが走るのを感じて、思わず眉を寄せた。
(ふっ。私としたことが…アイシスに踊らされる人形になるところであった。)
うざいな初恋。
え〜、なんで?!私みたいに楽しみにしてる人たくさんいる筈。
気にいらないならスルー汁のがお約束。
作者さま方週末なのに新作うpありがとうございます。
どっちも違った魅力があっていいです。ここのは話の展開が
早いし王子大活躍なので本編より好きかも。
大量ウpありがとうございます〜〜〜ヾ(〃^∇^)ノ
私も楽しみにしている一人です。
また続きを是非に!・・・・週明けまで待てないよ〜
353さん
私も王子大活躍が嬉しい。( *^-^*)人(*^-^* )
マターリとうpされる作品を楽しみましょうよ・・・
私も話の進まない本編でのストレスと王子の恋が報われない切なさを、ここで救ってもらってます。
色んなお話がうpして下さる作家様、ありがとーって思ってる。
週末にこんな大量に読めて幸せでつ〜〜>ヒッタイト道中記作家様&初恋物語作家様 ♥
゚☆,。・:*:・゚★o(´▽`*)/♪サンクスゥ♪\(*´▽`)o゚★,。・:*:・☆゚
>王子大活躍
王子ファンにはたまらん場所ですな、ここは。
てゆーか、王子ファンが夢を見れるのはここしかない(?)
絶えず新作が出てくるのは本当に素晴らしい!ありがたい!
もちろんメンフィスや他キャラの話も好きだ〜
メンフィスファンも楽しいでつ、ここ。
原作はM様萌えで、番外は王子萌え。
このところ大量うp続きで朝晩見に来ちゃうよ。
初恋もおもしろいよー。
作家様達ありがとう!
初恋物語、すごく面白いです!
この先、イズミルもキャロルに惚れる展開になっていくのかな?
その辺のお話が凄く楽しみです!
ンだね、初恋は新しい切り口で好きだ。
自作自演?
>362
私は今日はじめてきたけど、私のこと?
ナフテラ様呼んじゃうよ〜〜。
<<352と362は同一人物?
あなたみたいな意地の悪い人よりは、初恋楽しみに読んでる人
の方が多いと思うけど。
作者さん気を悪くなさらないでね。
万人に受ける物語はないから、気に入らない人が出てくるのは仕方ないさ。
初恋はとてもおもしろいとは思うけど、
メンフィスがただの我侭で無力な王様的な書かれ方をされているのが
ちょっと気になるかな。
王子とメンフィを分かりやすく比較させたのかもしれないけど、
メンフィをもって王子を上げているようで、その点は残念。
話の展開上仕方ないんだろうけどね。
話が気に入らない人は、それなりの理由を書いて発言すればよろし。
誹謗中傷でなければどんな感想でも作家にとっては嬉しいはずだよ。
…こんなこと言っている私自身が一番うざいかも(w
マターリ行きましょう〜♪
私も以前に作品うpした事がありますが、皆さんからの感想やカキコがとても嬉しかったものです。
何よりも励みになりましたしね。ウザイなんて言われると辛いと思います。
素人投稿とはいえ物語を書き上げるのは、案外に労力いるものなんですよ。
好みじゃない作品スルーするくらいは大した手間じゃないと思います・・・
更新・新作楽しみにしています。また私も書きたいな(ネタ思い浮かばんけど)
ちょっと気が早い気もするけど、ナフテラ様召還しました
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
(\(\_/) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 〜 (\ヽ( ゚Д゚)′< 換気致しましょうね〜
. ∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ 〜 (\ (ナフテラ)つ .\__________
(____) .∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ ∪∪
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+
.∴・.゚ ゚.・∴..*.☆+ マターリ
ナフテラさま〜
換気は嬉しいのですが、あげちゃってます・・・
そそっかしいナフテラ様、かわいい・・・
ナフテラ様、アリガd。
何やかんや言っても、このスレとっても愛しています。
本当に日々の楽しみになっているのれすよ。
このスレが続いていけるのは作家様のお陰。今後もよろしくお願いしますだ。
煽り煽られ2ちゃんねる、、、ってことで初恋創作者です。
個人的には
>>365さんの意見がもっともだと思います。
こんな○○はいやだ、ってのは主役級になればなるほど、あるもの。
「TBS月曜20時40分にチャンネルを合わせたら、
助さん角さんが悪代官の手下に呆気なく切られていた。」
確かにそんな水戸黄門は誰も見たくないですよね。
一度に大量うpは反省してます。
特に他の作者さん、流れを乱してごめんなさい。
批判要望ご意見、さまざま拝見させていただきました。
創作なんで、スルーするなり、批判するなり、大目に見るなり、楽しむなり、
人それぞれで一つよろしくお願いしますm(__)m
我儘王なメンフィスもこれまた好きなんだな〜
本編とはちがう性格のキャラも、
番外編だからこそ味わえるたのしみでつ
好みにあってないときは、スルーもよし、脳内変換であそぶもよし
私も初恋好きです〜
王子ファンだからというものありますが、
アイシスが意外なキャラ設定で面白いです!
大量アップも嬉しいし、これからも楽しませてください、作家様方。
今夜の道中記はないのかな?
もうここは毎日の習慣&生きがいだ〜
>>371 印籠出してナンデモ解決、ってな水戸黄門毎回見るより
たまにはイケてないメンフィス&王子もおもしろい!
わたしとしては、登場人物を大事にしてるなーとわかる話がすき。
常時鼻水たらした王子とか、股間ボリボリ掻いてるメンフィスが
出てきたら腹立つかもしんない。
そんなのあったらすぐさま脳内あぼーんします。
>374
それはもはや王子・めんひすでなくなってる罠。(w
王家好きにはありえないよ、心配しなさるな。
私個人は、どんな内容でも喜んで読ませてもらっています。
自分では絶対にかけないようなお話が読めるのも
いろんなタイプの作家様のご好意のおかげと
日々感謝の毎日です。
作家様方、心から感謝です!
ぼえうおあいいいえああああああああああああ
気にいらないならスルー
煽りや荒らしは完全放置
次からテンプレ<お約束>の「sage推奨で〜」の下ぐらいにいれますか。
>>371 お、初恋作者様。
大量うpが悪いとも、他の作家さんの流れを邪魔してるとも思えないです。
以前から複数の作家さんが同時に連載されておられました。
ダイジェストサイトまで作っていただいて、読み返しやすくなってますし。
がんばって下さい。
妄想さく裂って感じだね初恋。
好き嫌いは別として、
スルーできない香具師は逝ってよし。
ヒッタイト道中記が気になるよぅ。
読めるのあしたかなー。。
あまり書きたくないけど、ココのスレには、「・・・・2・後」と言う
人気長文にものすごくひどいことを平気でした、
平気でできる人がいます。
ココはよい人ばかりだけど、そんな人もいることを忘れずに、
色々な人のためにこの板まで流れてきたことを忘れずに大切にしていきましょう
そういえば、私あれの第一部終了まで読んだのですが
続きはあるのでしょうか。まだ話が全部終わった雰囲気じゃない
ですよね?
どこかにダイジェストがあると嬉しいけど。
>>383 ひどいことって何かしたっけ?
2※後はじまる前から読んでるけど、気づかなかったよ。
長編うざいって、2※後作家さんが追い出されたんじゃ?
それで「もうこねぇよ!」みたくなったとオモテタ。
こんな事で作家様の降臨が妨げられるのが・・・・
心配でつ・・・
思い通りになんない、気にイラネって理由だけで
暴れる香具師が前から居る。
人の話聞く耳持ってないし。
完全無視して放置しかない。
>>245 10
(夢じゃなかった・・・)
キャロルの枕元には芳香を放つ高価な薬草が置かれていた。
常夜灯の中で見た静かな瞳、隠しようもない悔いを滲ませた低い声、贖罪の言葉。自分の額に当てられた大きな手。
その大きな手は、自分に短剣を投げつけた手と同じ・・・。
「まぁ、王子がこのようなことまでなさるとは!」
キャロルの様子を見に来たムーラは薬草を見て、驚きの声をあげた。
「ああ、ごめんあそばせね、キャロル様。これは王宮の薬草園で大切に育てられている薬草なのですよ。王家の方々だけがお使いになれる薬草。
それはよく効くのです。・・・・王子が夜更けにあなたの所に参られたのは知っていますか?」
「ええ・・・。夢かと思ったわ。良い匂いがして眠ってしまったけれど、これの匂いだったのね・・・」
ムーラは優しく微笑むと、てきぱきと薬草を煎じる支度を始めた。彼女の自慢の育て子の気遣いが嬉しく誇らしかったのだ。
「ねえ、ムーラ。その薬湯、私が飲むの?」
唐突にキャロルが尋ねた。その声にはいつだったか薬を飲むのを嫌がった折りに見せた癇性さが滲んでいる。
「どうして王子はこんなことをしたのかしら? 私に怪我をさせたのは王子よ。偶然の事故なんかじゃない、狙い定めて短剣を投げつけたわ。わざとよ!
それなのに今度はお見舞いに薬草? 一体どういうことなの?
分からないわ。分からないのにそんなもの貰いたくない!欲しくないわ。気味の悪い!」
ここまで言ってキャロルは、はっと口を噤んだ。ムーラが悲しそうな顔をしていたのだ。王子は大嫌いだった。だがムーラはキャロルにとって母のような存在。
「ご・・・ごめんなさい。言い過ぎたわ。あなたに怒ったって仕方ないわね」
11
「いいえ・・・。あなた様がそういうのも当然ですよ。あなた様ほどの年の娘が親元から引き離されて戦に巻き込まれて恐ろしい怪我まで負って・・・。
今度は怪我をさせた当人の保護を受ける立場」
ムーラは心からの同情と優しさを込めて少女の細い肩を抱いた。
「あなた様の自制心の強さには感心いたしますよ。本当なら私を側近くに置くこともお嫌でしょうに」
「・・・・あなたは・・・・優しくしてくれるわ。ママ・・・みたい。うまく言えないけれど・・・」
不器用にキャロルは言い、母親を喜ばせようとする幼児のように薬湯を飲み干して見せた。薬湯はまろやかに喉ごしがよく、身体の奥に活力の炎が灯ったような心地にさせられた。
「よくお飲みになりました。さぁ、これで少しずつ良くなられますよ。
・・・・キャロル様。どうかお聞き下さいませね。王子は確かにあなた様をお刺しになりました。混乱した戦場の中、エジプト軍の方へと闇雲に駆け出されたあなた様を。それは紛れもない事実でございます」
キャロルは固い顔つきでムーラを見守った。
「王子は確かにあなた様を傷つけられ・・・・でもその後にあなた様を保護され、最高の治療を受けさせて下さいました。王子は心からあなた様をご心配なされておいででございます」
「それは・・・私が捕虜だから?死んだら困るから?エジプトを手に入れる手駒だから?矛盾だらけよ、王子のやり方は!」
「つまらぬ策を弄せずとも王子ならばエジプトを手に入れられましょう。
お聞き遊ばせ。王子は本気であなた様を刺された。戦場で、足止めのためには手段を選べなかったのだと私には打ち明けて下さいました。
そして王子は本気で、心からあなた様を心配してくださっています。
・・・人は・・・全く矛盾するふたつのことをやりおおせるなど簡単なのですよ。小憎たらしいと思い、愛しいと思い・・・。どちらも本当の姿です。
分かって下さいませとは申せませぬ。でも覚えておいては欲しいのです。
私がお育てした王子は、あなた様がお考えのような醜い怪物ではございませぬ」
12
王子から薬草が届けられるようになって5日ほど過ぎた。
あれからキャロルとムーラは王子のことを話題にはしなかった。しかしキャロルはいつも王子と、そしてムーラの言葉のことを考えていた。
(私は・・・いくら吼えたって所詮、王子に守られているってことよね。滑稽だわ。滑稽で悔しい)
戦場でキャロルを刺したのは、闇雲に走り出したキャロルを止めるためだったとムーラに聞いたとき、キャロルの中で何かが変わった。
(あのとき、私はどうしたかったのかしら?メンフィスの許に帰りたかった?
いいえ、エジプトに・・・家族の所に帰りたいとは思ったけれど、メンフィスの所なんてとんでもないわ!
私のために戦を起こしたメンフィス・・・。私のために傷つき、死んでいった人たち。でも私は・・・メンフィスが恐ろしい。あの人の望むままに振る舞うなんて出来ない)
キャロルはぶるっと震えた。強引で傲慢だったメンフィス。戦まで起こして自分を手許に引き戻そうとした彼に疎ましさすら覚えた。
あのまま放っておいて忘れてくれたなら、キャロルは戦の元凶という重い重い枷を着けずに済んだだろうとまで思った。その勝手さがまた吐き気がするほどの自己嫌悪を誘うのだが。
(王子は私をメンフィスの所から連れだしてくれた。そして私はと言えば、王子を恐れ嫌いつつ、最初に会ったときの優しさが忘れられない。
馬鹿みたいだわ!あの思い出に縋ろうとして!)
その時。部屋の扉が開いてキャロルの錯綜した思考は断ち切られた。
「王子!どうして・・・!」
「具合は・・・どうか?ナイルの娘よ」
いつもの薬草を手ずから持ってきた王子は素早くキャロルの顔を上向かせ、顔色と熱を改めた。
「かなり落ち着いたと聞いた。様子を見てみたいと思ったのだ。我が儘は言っておらぬか?」
キャロルは真っ赤になって首を振った。ムーラが王子にだけ分かる視線で、キャロルは全く問題のない患者であったと素早く告げた。
「では少しずつ、身体を動かしてみるのだな。外気に触れたり・・・」
そういいざま、王子はキャロルを抱き上げた。
キャロルは本調子でない身体が許す限りの激しさで暴れ、叫んだが、王子は涼しい顔で彼女を王宮の屋上に連れていった。
兄妹作家様、降臨ありがd
いよいよこれからキャロルは王子に心開いていくのでしょうか?
兄弟作家様〜何よりの換気と思われまつ
ささっ作品をマターリマターリ楽しみせうでつ
うーー
大量うpは嬉しかったですが
インパクトはあったけれど
もう少しゆっくりでも?と思われ
話題の作家様に対抗意識?
そんなふうにオモタノカかも・・・・
兄妹作家様〜、わたくしもご光臨が殊更嬉しく思われまつる〜。
ムーラの出番が嬉しいです。創作諸作品では作家様の解釈で
いきいきしたキャラになる原作わき役達も大きな楽しみです。
わたくしも皆様と同じく兄弟作家タマに感謝感謝でつ。
続きがきになります〜
道中記は文章うまいし読者のツボをついた話作りがすっごく上手だと思う
初恋はアイシスの人物造形・・・・・?かな〜????
願いも痛いと思いつつ続きが楽しみ
兄妹はサブキャラで読ませるよね。あとキャロルの心理描写
どれもこれも面白い続き物なので作家様方、これからもますますのご光臨を!
>>337 日差しが少し西に傾きかけた頃、城壁に囲まれた王宮へ続く道に轟々しい土煙が舞い上がった。
目指す王宮はもはや遠からずというのに、その一軍は怒涛のように馬を走らせ押し寄せる。
「おお!あれに見えるはイルミズ王子か?」
城門の衛兵が城内に響き渡る大声で叫んだ。
「皆の者―――!!王子のお帰りじゃ!王子が戻られたぞ―――!!」
軋む音を立てて堅牢な門戸が開放される。
轟くような馬蹄の音と土埃をあげ、王子は城門を駆け抜けた。
一斉に衛兵や武官が駆け寄り、王子のエジプト戦での勝利とナイルの姫君奪取の功績を声高に賛嘆した。
しかし美姫を胸に抱き凱旋する英雄の表情はあまりに固く強張り、歓喜して出迎える臣下の者にひと目もくれず、ただ前方を厳しく睨み据える。
人群の中にムーラの姿をいち早く見つけるなり、王子は強引に手綱を引いて馬を停めた。
馬の嘶きと共に、馬上から叩きつけるように怒鳴る。
「ムーラ!私の部屋へ侍医を呼べいっ!!急ぐのだ、一刻も早く!!」
ムーラを始め居並ぶ家臣たちは、王子のただならぬ様子に水を打ったように静かになった。
「お、王子・・・一体どうされたのです?」
「姫が危篤にある!!早う医師をっ!!急がぬかっ!!」
「・・・はっ・・・はい!ただ今!」
冷静沈着な王子らしからぬ荒々しい怒声に驚きながらも、ムーラはすぐさま侍女達に指示を与えて機敏に動く。
ナイルの姫の容態を案じる不安なざわめきが起こるなか、王子は馬上からキャロルを慎重に抱き降ろし、宮殿の中の自分の部屋へと向かった。
>>397 王子は自室の寝台の上にキャロルをそっと寝かせ、血の気が失せた頬を撫でてやる。
もはや王子が触れても、何の反応も返ってはこない。
「姫よ・・・私がわからぬのか?
そなたは今、ハットウシャの我が王宮に着いたのだぞ・・・!」
王子はキャロルの衣装の胸元をそっと開いた。
青白いまでの肌の白さが、鮮血の滲む傷跡をいっそう痛々しく見せる。
キャロルの胸元には王子の接吻の跡が所々にまだ色濃く残っていた。
それは否応なしにキャロルとの初夜を王子の胸によみがえらせる。
唇に、指に、腕に、身体中にキャロルの温もりが今も生々しく残っているというのに、キャロルの身体は熱っぽさにも関わらず何と冷たく感じられる事か。
王子はいたたまれぬ思いに目を堅く瞑った。
慌しく侍医達が招致され、息も弱々しく、ぐったりと横たわるキャロルの診察に当たった。
>>398 「応急処置がよろしかったゆえ敗血の心配はございますまい。
・・・しかし出血のせいでかなり衰弱しておられます。
本来が強壮なお身体ではあられませぬゆえ、絶対安静が必要ですぞ。
これから暫くは熱が上がりましょうが・・・ともかく、今宵が峠ですな」
キャロルの肩に包帯を巻き終えた医師が王子を振り返りながら言った。
「姫を失う訳には行かぬ・・・!
この姫だけが私の妃だ」
「これほどに王子のお心を奪われたお方、姫君には何とか持ちこたえて頂かねばなりませぬな。
私も手を尽くしますゆえ・・・どうか王子、あまりに心労なされますな。
王子もさぞお疲れでございましょう、お顔色が優れませぬ。
姫君は私どもに任されて、少しお休みになられた方がよろしいぞ」
王子は医師の言葉を厳しい面差しで聞いていたが、静かに首を振った。
「かまわぬ・・・。
休んだところで眠れる訳もあるまい。
今は姫の側に付いていてやりたい」
キャロルの手を両手で包み込むように握った。
それに応えるかのようにキャロルの唇がかすかに動く。
「お・・・王子・・・おう・・・」
一瞬驚きと喜びが王子の顔に浮かんだが、それは正気無いうわ言とすぐに悟る。
「・・・意識の底で私を呼ぶのか。
何としても・・・何に代えても・・・そなたを救ってやろうぞ」
(何という事でしょう・・・積年の想い叶って、今やっと我がヒッタイトへ姫君をお連れになったというのに。
王子の胸の内のお喜びはいかばかりかと・・・お戻りを心待ちにしておりましたのに。
このように憔悴された王子を見るような事になろうとは・・・)
ムーラは寝台の後ろに侍して目頭を袖で押さえつつ、悲嘆にくれる王子の背中を見守った。
拙い物語にも関わらず読んでくださる方、スルーして下さる方、本当に有難いと思っております。
こういう小説って自分で書いてるだけでは面白くないですから、発表の場があるというのは嬉しい限りです。
初恋物語作家様、毎回続きを楽しみに読ませて頂いてます。王子の身分が隠されたまま・・・というのが新鮮でとても面白いです!!
最初は20話程度で終わらそうと思っていたのに、どういう訳かこんなに長くなってしまいました。すみません(汗)
まもなく最終回の予定ですので、もう暫く書かせて下さい・・・。
ヒッタイト道中記の続きがうpされてる〜〜うれすぃ!
作家様多謝!!
唇が頬へと滑り、未だ止まる事のない涙をせき止めるように目尻へと舌でなぞり
キャロルが流した涙の跡を辿るように…ゆっくりと舌を這わせ涙を拭ってゆく
赤みを帯びた耳をやんわりと噛み、迷路の様な形のままに舌が這い回り差し入れる。
「…ぅっ…」刺激に反応し声が漏れる、そんな自分の中の「女」に嫌悪する…
男の手が絹のような肌の手触りを愛でていた手が膝裏に入る、そしてぐいっと片足をあげられ
素早く体を割り込ませる。
「!!」「やっ…待って、お願いっ」
固く合わせていた膝を割られ、より近くなった距離にとっさに男の体を押し退けようと
必死に身を捩る----
抗う行為が、ぷるるんと真っ白な乳房を揺らす----(…何と悩ましい)
-----大事に慈しみ、酔わせてやりたい-----
(…だが…今は…望む者の為に愚か者になろう)
-----そして、心とは裏腹な言葉を吐く-----
「忘れたのか?…決めたのは、そう、確か姫自身ではなかったか?」(愛している…愛しているのだ!!)
「……っ…」(そんな哀しげな瞳で…姫、そなたしか望まぬ)
「あぁ、やっと思い出したようだな、では、これは必要ないな」(…許せ…姫…)押さえていた手を解放し
「…痛むか?」と手首に付いたバラの痣をさすり、そっと口づける。
「…姫に『私』を教えよう…1つずつ、ゆるりとな…」(そなた以外は愛せぬのだ)
-----口に出せない思いを胸に秘めて-----
ゆっくりと両手で顔を挟み、纏わりついている輝く髪をぐいっとかきあげると、
仰け反った喉に舌を這わせ、やがてやんわりと口づけ、そっと上唇を噛む。
「……唇を開くのだよ…」キャロルが自ら唇を開くまで、じっと繰り返し待つ…
やがて、小さく唇を開くキャロル…
「…それでよい」と、ぬるりと舌が押し入り舌先を絡めとり、激しく深いものへと変わって行く
…マカオーンに乗ってミノアまで…
アトラス王子に、バケツを持たされ立たされ反省して参りました。
>>266〜
>>268様等の温かいお言葉に甘えて「放置プレイ」(←殴)させて頂きます。
七夕なのに、これ以上鬼畜な王子はいかがなものかと?…後日うpさせて下さいね。
道中記作者様がおっしゃってましたが、私も感謝してます。
まして、初創作なのです。初恋物語の作者様、遅筆な私には羨ましかったです。
兄弟作者様は、まさに自身が「キャロル」です。
道中記作者様、熱く萌え、初創作にのきっかけを作ってくれました。
私も、広げた風呂敷をもう少しで閉じます。もう少しお付き合い下さい。
>>願い作家様
いやぁ〜ん。鬼畜な王子がまた良いのでございますよ。
楽しんで読ませて頂いてます。
作者様方、もうすぐ
終わるなんて言わないで・・私自身は長編大好き大歓迎なんだけどなあ。
やはりイズミラーとしては時間をかけてねちっこく楽しませて欲しいでつ。
>>390 13
薄暗い階段は不意に途切れ、目の前に雄大な高原都市の風景が広がった。
「わ・・・・あ・・・・」
久しぶりに感じる風、目映い真昼の光が煉瓦づくりの都市群を彩っていた。
キャロルの目の前には幾重にも重なるようにそびえたつ宮殿群、神殿、家屋、城壁がパノラマのように拡がり、抗いを忘れさせた。
(これが・・・ハットウシャ!何て見事な大きな都市かしら?今となっては失われ誰も見ることの叶わない都・・・)
目も口も大きく開け、あまりの感動と驚きに喘ぐように呼吸するキャロルをそっと見下ろすイズミルの視線は優しかった。
「我がヒッタイトの誇るハットウシャだ、ナイルの娘よ。あれが嵐の神の大神殿、あれが政務の行われる表宮殿・・・」
「すごいわ!・・・」
紅潮した頬にうっすらと笑みのような表情すら浮かべて歓喜のつぶやきを漏らしたキャロルだったが、自分を抱き上げるイズミルの大きな腕に気付き、途端に表情を強ばらせた。
「お・・・降ろしてちょうだい、王子!一体どういうつもり?私、赤ん坊じゃありませんものっ、一人で立てます!」
振り上げられた白い手を難なく避けると王子は皮肉に笑った。
「元気なことだな・・・。病人が退屈であろうと連れてきてやったのに」
王子は軽く腕を揺すってキャロルを抱きなおすと、そのまま説明を続けた。
「王宮の表門を出て、嵐の神の大神殿に至り、そして大城門に伸びる、あれが都大路だ。その左右に拡がるのは高官達の屋敷、向こうには民の家々。市場もある」
低い王子の声が直接キャロルの身体に伝わってくる。王子は詳しくキャロルに都の説明をしてやる。
「・・・ああ、姫。すっかりおとなしくなったな。疲れたか?連れて帰ってやろうか?」
「なっ・・・!結構です!私、一人で・・・」
14
キャロルは王子の腕の中から滑り降りた。長く伏せっていた身体はめまいに襲われ、ひどく気分が悪くなったがキャロルは身体を矢狭間で支え王子を見返した。
「ふふ・・・。気の強い子猫だ。よしっ、頑固な子猫は一人で帰るがよかろう」
王子はそう言うと本当に一人で戻っていってしまった。扉の陰で見守っていた人々に手出しは極力するなと言い残して。
病み上がりのキャロルは、自尊心と負けん気でふらつく自分を叱咤激励してどうにかこうにか自室に歩いて戻ったのである。
「・・・全く!王子様もあなた様もなんでございましょう!病人を放って帰ってしまわれる、足許もおぼつかないのに意地を張って一人でお戻りになる!」
ムーラはぷりぷりしながらキャロルの身体のあちこちにできた青あざに軟膏を塗りつけ、薬湯の用意をしていた。
キャロルは目眩と疲労で身体を壁にぶつけ、引きずるようにして―それでもみっともなく這ったりしゃがみ込んで休むような真似はしなかった―部屋に戻ってきたのだ。
ムーラも含めて召使い達は万が一に備えてキャロルを陰から見守っていたが、彼女は自力でやりおおせたというわけだった。
「でも大丈夫だったわ。本当よ、ムーラ。もういつまでも寝ているわけにはいかないわ!」
キャロルは勇ましく言った。
(今日見下ろしたハットウシャの都!王宮を上手く抜け出して、城壁の外に出て、きっとエジプトに帰るわ。エジプトに戻りさえしたらきっとアイシスに頼んで現代に返して貰うから!)
ムーラはつい先ほどまでの生気のない輝きの失せた瞳をしていた娘が、今はこちらが圧倒されるほどの生気を取り戻していることに驚いた。
王子はどんな薬もなしえなかったであろう事をいとも易々とやりおおせたのである。
15
キャロルが床上げを済ませたのはそれからまもなくのことだった。
元気になったキャロルは屋上にまた行きたいと言ってムーラを困らせた。
「ね、いいでしょう?外の空気に当たりたいの!」
退屈を持て余す病み上がりの娘に手を焼いたムーラは、彼女を屋上ではなくて中庭に面した露台に連れていってくれた。
「ここならばまだ風も穏やかでございますからね」
美しく装われ、幼さを残す容貌をベールで慎ましく隠したキャロルは王子の宮殿の露台に出た。見下ろす中庭では王子が精鋭の近衛兵を相手に剣の稽古をしていた。
鋭い金属音が響きわたり、真剣が激しく舞った。
「あれは・・・?」
「王子が剣の稽古をなされておいでなのです。王子ほどの使い手はそうそうおりませぬよ」
ムーラは自慢げに説明した。
「でも本物の剣を使っているのよ?怪我でもしたら・・・?」
キャロルの心配そうな様子が思いがけなくて、ムーラは嬉しい驚きを感じた。
「ほほ・・・。王子は大丈夫でございますよ。真に優れた使い手であられるのですもの。ご自身はもとよりお相手が酷く傷つくというようなこともなさいませぬ」
その時、王子が顔を上げ、キャロルに気付いた。
(おお、ずいぶんと快復いたしたな。あの露台に娘を連れてくるとはムーラの心遣いか)
中庭の他の兵士も露台に立つ佳人の姿に気付いたようだ。キャロルの姿を余人の目にさらしたくなくて、王子は剣を従僕に預けると建物の中に入っていった。
「元気そうで安心したぞ」
不意に後ろから声をかけられてキャロルは驚いて飛び上がった。大柄で秀麗な容貌の青年は面白そうに自分を見ている。
「王子・・・。キャロル様がお外の空気に当たりたいと申されましたので」
ムーラの言葉にキャロルは思わず頷いてしまった。王子はくすりと口の端で笑った。
「そうか・・・。そろそろ退屈なのだな。よかろう、小人閑居して不善を為すなどとも異国では申すそう。私が何とかしてやろう」
お昼の楽しみは兄妹作家様ですー。
王子が何を何とかしてくれるのか楽しみです。
兄妹作家様、ここのペースをもとのナフテラ風味にしたくださったあなたに感謝!
>>351 「ねぇ、イミル!あれは何?」
大きなオアシスはキャラバンの休息の場でもあり、商品の取引の場でもある。
キャロルは見るものすべてが珍しく、見飽きることがなかった。
「姫、そのようにはしゃがれては。髪を覆うベールが落ちてしまいますぞ。」
イズミルは自分のマントでキャロルをすっぽりと包み込むような真似をしてみた。
「そんなことをしたら、何も見えないわっ!」
「ではもう少しお淑やかなさいませ。
いくら私がお付しているとはいえ…ここには商人に身をやつした異国の高官など、
多く出入りしているやもしれませぬ。」
イズミルは自分のことを棚にあげて、キャロルに注意した。
「そうね、イミルの言うとおりだわ。
腕や手を見れば商人か、剣を扱う兵士か見分けはつきそうだけど…
外見ではわからないもの。
でも、イミルの腕や手も、まるで武人のように鍛えてあるのね。」
イズミルは一瞬背中に冷たいものが流れるのを感じた。
>>411 しかしすぐに厳しい顔で姫に言った。
「姫、商人は、いつどこでどのような危険に巻き込まれるかわかりませぬ。
腕に覚えがなければ、幾多の商品を抱えて砂漠を渡るなど無理なこと。
私とて同じです。そうでなければこうして姫をお守りすることもできませぬ。」
当然、今この周囲にもイズミル王子と共に商人に身をやつした多くのヒッタイト兵や、
キャロルの従者としてルカが二人を幾重にも護衛している。
だが、キャロルはそんなことに気が付きもせずに、商人であるイミルと
二人だけでオアシスを歩いているのだと思い込んでいた。
「アイシスが警護を頼むほどだもの。
イミルのキャラバンの人たちはきっとみんな強いのね。
イミルはその商人たちの長なんでしょう?
無事にヒッタイトに到着できるよう、ちゃんとイミルの言うことを聞くわ。」
キャロルはベールを目深にかぶりなおし、
心持イズミルに寄り添うように歩き始めた。
(人を疑うことを知らない素直な姫よ…)
イズミルもまた周囲に鋭く目配せをしながら、オアシスの通りを進んだ。
>>412 「ただいま!アイシス!」
逗留している宿に戻ったキャロルは、アイシスにオアシスの様子を語り始めた。
「アイシスも一緒だったらもっと楽しかったのに…。
でもアイシスはエジプトの女王で、ファラオの正妃になる身分。
イミルにもオアシスには危険がたくさんある、って叱られたの。
それで、イミルがね…」
キャロルの話は尽きない。
「ほほほ、キャロル、そなたイミルの名を何度口にしたか自分で覚えておるか?」
「えっ?やだーっ。
アイシスったら人の話を真剣に聞かないで、そんなことを数えていたの?」
キャロルは真っ赤になって周囲を見回した。
イズミルは補給した食料や水の仕分けの指示でこの場にはいない。
「イミルに聞かれたら恥ずかしいじゃない。
イミルはライアン兄さんみたいに私にいろんなことを教えてくれたり、
叱ってくれたりしているだけなのに。」
その言葉を聞いた途端に、アイシスの目の奥が光った。
初恋作家さま〜、こんなんじゃちぃっともお腹が膨れませぬー
もっとー
>>413 「楽しげな笑い声が、回廊にまで漏れ聞こえてまいりましたぞ。」
イズミルが部屋に入ってきたのはそんな時だった。
(よく言うわ、耳を済ませて聞いておったくせに)
アイシスはちらりとイズミル王子の顔を見た。
(本心を表さぬそなたなれど、顔がどことなく上気しておる。
わたくしの目を欺こうとしても、ことキャロルに関しては…)
「キャロルは先ほどからそなたの話ばかり。
あまりにもそなたの名ばかり口にするゆえ、
わたくしが姫に数えて聞かせてやったのじゃ。」
アイシスは恥ずかしげに抗議するキャロルの表情を見せたくて、
わざと話を蒸し返した。
「イミル、違うのよっ。んもうー、アイシスったら。」
「アイシス様、ナイルの姫がお困りになっておられます。
あまりご冗談が過ぎますと、かえって私が姫に嫌われてしまいそうな。」
イズミルも負けてはいない。
「イミルを嫌うなんて!そんなことは絶対にないわ!
ただ、その…イミルは大人だし、私は子供だし…
そう、そ、それにね、お国には奥様か恋人がイミルの帰りを待ちわびているわ。」
>>415 キャロルは自分でも何を言っているのかわからなかったが、
(イミルの奥様か恋人)という自分の言葉になぜか胸がちくりと痛んだ。
アイシスはキャロルを見つめるイズミルの小さな表情の変化を見逃さなかった。
(隠しても無駄です。そなたの目の縁、頬のあたり。
目は口ほどに物を言うとはこのことじゃ。)
キャロルに恋をさせるつもりの怜悧で堅物のイズミル王子が、
逆にキャロルに恋をしていく瞬間を、アイシスは楽しく、しかしどこか寂しい思いも
手伝って、意地悪く観察していたのだ。
「イミル、そなたはわたくしより少し年かさであったはず。
妻や恋人が国にいてもおかしくない年齢であろう。」
アイシスの煽りは止まらない。
いつものイズミルであれば、アイシスの意図など容易く見破るのだが、
自分の心に初めてざわめく甘い感情−姫に誤解されたくない−
に気を取られ、冷静さを失いつつある。
「私は長く旅を続ける身でありますので…未だにそのような存在の者はおりませぬ。」
「ほう、そうであったか。もしも良き縁があればわたくしに世話をさせてはくれぬか?」
「おお、なんとアイシス様が。これは願ってもないことでございまする。」
アイシスは満足そうに肯いた。
>>416 (まんまとアイシスに乗せられてしまった。私ともあろうものが。)
今夜もキャロルの寝台の脇の長椅子に横になったイズミルは、
昼間の出来事を思い出していた。
(あれではまるで私が妻を娶りたがっているようではないか。
姫のことから、なぜそんな話になってしまったのやら…)
イズミルは微かに身を動かして、キャロルの寝顔が良く見えるような姿勢に変えた。
(姫は誤解したのではないだろうか?)
今すぐに姫を目覚めさせ、姫が昼間の話をどう受け取ったのか聞きだしたい。
そんな衝動に囚われるなど、イズミルにとって初めての経験であった。
(私は何を考えているのだ。姫が私に恋をするように…
そして私の妃にするようにと願い出たのはアイシスではないか。)
キャロルが未だ恋を知らないように、イズミル王子もまた恋というものを知らない。
只違うのは、キャロルは恋も男性との交わりも知らない本当の乙女であり、
イズミルは恋など必要のない身分で、大人の男としての生理を処理するだけの
日常がすでにある、ということだ。
ヒッタイト国王や王妃が、世継ぎのこの王子に早く妃を迎えるように勧めても、
父王の好色癖と媚を売る身分低き女たち、そして母王妃の決して表には出さない嘆きを
見て育ったイズミルは、女性嫌いとまではいかなくとも、どこか潔癖な性質であった。
諸国を旅するうちに耳にしたナイルの女神の娘の噂。
ミタムンやルカからの便りで更に知ったその英知ある神の娘を、
どうにかヒッタイトに奪い取ることは出来ぬか、
と興味を持ったに過ぎなかったのだが−。
>>417 キャロルの愛らしい顔立ち、透き通る白い肌、細き肩、豊かな黄金の髪、
素直な性格、そしてエジプトの若きファラオから身を守ろうと必死になる様、
その最中でも、商人としての自分が罰せられることのないように気遣う優しさ、
(神の娘だとか、英知だとか、政略だとか、そんなことは一切関係ない!
この清らかなる姫を我が側において、ずっと眺めていられたら…!…)
その先のことを考えてイズミルは身体の芯が熱く燃え上がるのを感じ、
キャロルの寝台の脇に音も立てずに近づいていた。
−自分でも知らないうちに−
「…イミル?」
人の気配を感じてキャロルは薄く目を開けた。
目の前にイミルの顔があることに驚いたキャロルは
「何かあったの?」
と心配げに周囲を窺いながら聞いた。
まさかイズミルが別の意図で自分に近づき、顔を見つめていたなど
キャロルには想像もつかないらしい。
「何もございませぬ、姫よ…このイミルが姫をお守りしておりますゆえ、
安心してお休み下さい。夜明けはまだまだ先でございます。」
イズミルは切なげな表情でキャロルに語りかけることしか出来なかった。
「イミル…あなたも身体を休めないと。長椅子では寝付けないのでしょう?
あの、今夜は場所を交代しない…?
明日からはまたイミルに馬に乗せてもらうんですもの。」
キャロルはイズミルを気遣って少し顔を赤らめながら起き上がった。
「何を申されます…姫、私はどこでも眠ることができます。
この先、ゆっくりと休むことができるのは、
ヒッタイト領内に入ってからもしばらくありますまい。
天幕での夜が続きます。姫こそ今のうちにお身体を休めて…」
「じゃあ、こうしましょう。イミルも今宵はここで寝てちょうだい。
そうじゃなきゃ、心配で私も眠れないわ。
昨夜は…ぐぅぐぅと寝ちゃったんだけどね。」
顔を赤らめていたのは、どうやら自分だけがゆっくりと休んでいた気恥ずかしさゆえだったらしい。
そんなキャロルにイズミルは少し拍子抜けした。
(私は何をしようとしていたのだ…まだ子供のような姫に対して。)
「では姫君のお許しを得て、今宵は寝台で宿直つかまつりますぞ。」
イズミルはわざと厳めしく囁いた。
>>419 「ねぇ…イミル」
寝台は広いので直接二人の身体が触れるようなことはない。
「なんでございますか?姫。」
「天幕でもこうやって一緒に休んでくれる?」
「は…?しかし、天幕でしつらえる寝所はこのように広くはございませぬ。
その…姫と身体が触れ合うことがあっては…」
イズミルは少しうろたえた。
「私が小さい頃はね、大好きなライアン兄さんが時々こうやって一緒に眠ってくれたのよ。
でも、もう大人なんだから一人で寝なさい、って。
こうしていると、小さい子供に戻ってライアン兄さんといるみたいなの。」
(面白きことを申す。大人だからこそ一つ寝所に眠るというのに。)
「私と一緒じゃないと、イミルは夜通し起きていそうな気がして…」
「ではお約束いたしましょう。昼も夜も、姫は私がこの腕でお守りいたします。
それならば姫も安心して休むことができましょう。」
−これから一生涯−イズミルは小さく呟いた。
「では、姫、もそっとこちらに…」
イズミルの腕がキャロルの肩に回され、キャロルはラクダに乗っている時と同じように、
イズミルの腕と胸に守られて、そのうち静かに寝息を立て始めた。
(姫、そなたは安心かもしれぬが…逆に私は眠ることができなくなりそうぞ。)
鎮めたはずの疼きが再びイズミルを苛んでいた。
(困ったことよ…)
イズミルは苦笑した。
がんばれーー
ゲップ。
初恋作家タソ、うpありがd。
応援してる読者は多いよ、頑張ってぇ!
幸せよ・・・
あ、あのう幸せというのはずっとお待ち申し上げていた
「初恋」が読めて幸せ、ってことです。キャラクター設定も
斬新だし読んでて楽しいです。もしかしてこれ王子の初恋の話なんでつね。
こういうの上手に書ける方って文学部出身とかなんでしょうか。
語彙も豊富だしとても真似できません。いつも楽しみにしているので
頑張ってくださいね。
1
身体の回復を助けるために何か運動を、と侍医に言われたヒューリアはそれでは剣術を、と即答した。
長い幽閉生活に健康を蝕まれていた年若いアマゾネスの世継ぎの王女はエジプト王妃キャロルの尽力でようやく人並みの立ち居振る舞いができるまでになった。
「まぁ、それでは激しすぎませんかしら?いきなり剣術とは。エジプトの風土はお国のそれとは違いますわ。もう少し・・・」
ヒューリアの恩人である小柄な少女は穏やかに反対した。
「さようでございますなぁ・・・。しかしながらヒューリア王女様はもとより頑健なご体質とお見受けいたします。少しずつ、暑い真昼時を避けてなら許可いたしましょう」
侍医の言葉に当然とばかりに頷いて見せたヒューリアを、キャロルはなおも気遣わしげに見ていた。
「ご心配いただきありがとうございます、ナイルの王妃。しかしながら自分の身体のことは誰よりもこのヒューリアが弁えております。無理はいたしませぬよ」
ヒューリアは涼やかに笑って見せた。キャロルも戸惑いながら笑い返す。
凛々しい若い男性のようにも見える美貌が際だつ容貌。それでいて男性のむさ苦しい荒々しさが無いのだから、王宮の侍女たちの中にはこの年若いアマゾネスに惹かれる者も多い。
(こうしてみると私と同じ生き物とは思えぬな、このナイルの王妃は。
小柄で骨細で頼りない。美しく愛らしく、丹精されねばたちまちに枯れる花のようだ・・・)
2
ただ美しいだけの詰まらない女であったら、いくら命の恩人とはいえヒューリアもここまで興味は覚えなかっただろう。
だが長く過ごすうちにキャロルの内面−無邪気に優しいだけでなく、毅然とした強く意志的な部分も持つ−を知るようになり、ヒューリアはいつしかキャロルに尊敬の念すら抱くようになっていった。
(ナイルの王妃は私とは全く違う育ち方をした方だが、やはり生まれながらの女王、人を自ずと従える方だ・・・)
アマゾネスにとって美しく心映えの良い女性というのは宝であった。そのような女性の血を一族に取り入れることが出来れば、アマゾネスの栄えはいや増すであろう。
男性が美しい女性を望むように、アマゾネス達も美しい女性を望む。生涯の連れ合いとして。
そして男性は、アマゾネスが子を産むための道具、であった。血を残すのに必要であるから交わる。だが心を交わすことはない。男は男。野蛮な彼らは決して女性にはなれぬのだ。
ヒューリアは選ばれた兵士と剣の稽古を始めたが、じきにもっと強い相手を求めるようになった。ついにはウナスが召し出され、ミヌーエ将軍も相手をさせられた。
「エジプトにはもっと強い男はおらぬのか?皆、相手にならぬ!」
うすく汗ばんだ肌を太陽に晒してヒューリアは笑った。ミヌーエ将軍やウナスは苦笑している。半ば社交辞令で負けたのだが、あとの半分は間違いなくヒューリアの大胆な剣に翻弄され追いつめられたのだ。
3
ヒューリアはキャロルと共に中庭を見下ろすメンフィスに呼びかけた。
「ファラオ!かくなる上は御身と手合わせ願いたい!」
人々がざわめいた。アマゾネスの王女は何と大胆なのか!
メンフィスはまともに取り合う気にはなれぬとばかりに微笑している。キャロルも心配そうにメンフィスの腕に縋っている。
「どうされた?私の相手はしていただけぬか?ナイルの王妃よ、御身の夫君は女の挑戦を受けられぬ腰抜けかっ?」
見え透いた稚拙な挑発だったが、メンフィスを怒らせるのには十分だった。
「メンフィス、やめて!あの方、病み上がりよ?お相手の兵士達だって手加減はしていたのでしょう?」
キャロルをふりほどき、わざと怒った声でメンフィスは言った。
「あのような雑言を聞き捨てたとあっては私の名折れだ!ふん、私ならば身分を慮っての遠慮はいらぬ。そなたの大切な預かりものの王女だが、少し躾けてもよかろう!」
メンフィスは剣を取り、マントを脱ぎ捨て腰衣だけの軽装になると中庭に降り立った。
「いざ、お相手つかまつろう、アマゾネスの世継ぎよ!」
「おお!」
人々の心配を余所に鋭い剣戟が繰り返される。
4
「ナフテラ、どうしましょう?ヒューリアに何かあったら・・・。あの方、強いのよ?」
「大丈夫でございますよ、キャロル様。ほら、メンフィス様はご冷静でございます。手加減をなさっておいでなのがお分かりになりませぬか?ほら・・・」
言われてみればメンフィスは真剣勝負と言うより剣舞でもしているような身のこなしだ。それはヒューリアにも分かったのだろう。
「メンフィス王、御身まで私を愚弄されるかっ?」
「ふふ・・・」
メンフィスは優しい笑みを浮かべた。キャロルを幾度と無くうっとりとさせてきた笑みだ。
そして次の瞬間。
甲高い金属音と共にヒューリアの剣は高くはじき飛ばされ、はずみで仰向けに倒れたヒューリアにメンフィスは馬乗りになり、首筋に剣をつきつけた。
「・・・・・私の勝ちだ・・・・」
全く身動きのとれないヒューリアは生まれて初めて男に負けるという屈辱を味わったのである。
新作ラッシュにコソーリ乱入させてください。
穴狙いでメンフィスの出てくるエジプトものです。
なま暖かく見守っていただければ嬉しいです。
新作うれしいです。
最近は盛りだくさんでここを覗くのが楽しみ。
いいぞ!ヒューリア作者様・・・・
>410さん、最終回は作者の自由じゃないの?読むのもスルーするのも自由
作者様達だって書き込みも少ない中、うpされるのは勇気いると思うのに
皆、書いてくれているんだ
作者様達に にこの雰囲気も書いて和ませろって責任まで負わすの?
書き込みで盛り上げて降臨しやすい事しか読者には出来ないと思うんだけど?
その中、ヒューリア作者様はこの中新作うpしてくれた
初恋物語作者様にも拍手だよ
他の作者様も何ももう書かないって言っているじゃないんだから、楽しませてもらってありがとう
って、次回作に期待したいよ・・・ヒューリア作者様ブラボー!
>432
これこれご婦人、何をそんなに怒っているのか私にはわかりませぬよ。
禿同。
432がなににカリカリしてるのかよく分からん。
揚げ足取りにしか見えない。
道中記作家様と願い作家様はマダ?
もちょっと起きてよっかな〜
>>434 うんうん。
わたしなんか、どの足取ったのかさえわかんないよ・・・
願い作家様〜七夕の夜は過ぎましたわ、御降臨下さいまし。。
「…ふぁっ…うっ」
やっと、唇が離れると息苦しさで呼吸が乱れ胸が大きく上下する、息があがった呼吸を整える間も与えずに
首筋から胸へと舌を這わせ、そのふくらみを下からやんわりと持ち上げ揉みしだき、先端を指で軽く摘み優しく擦りあげ、捏ね回すと
ツンと固くなったそのしこりを、咥え、舌ではじき、舐め転がしつつ、内腿を彷徨い続ける手は、足の付け根をじんわりと撫で回す…
やがて、ツーッとふくらみの間から舌先が舐め下りて、臍の窪みを辿る。
「…ぁぁっ!…っ」
堪えていた甘い声が漏れ、反射的に仰け反った
(…感じたくないのに、体が反応してしまう)
-----その艶やかな反応に黒髪の男への激しい嫉妬心が渦巻く-----
(私が、染め直す…他の男の事を思い出させはせぬ…もう、誰にも触れさせない…)
さっと、上半身を起こすと、身につけているゆったりとした装束を引き千切るように脱ぎ捨てると
左右に大きく膝を割り開き、膝裏から手を入れ足を抱え込む様に固定する
「ゃっ…!」
秘めた場所を、触れずに眺めるだけの行為に猛烈な羞恥心-----
膝を合わせ隠そうとするも男の手で拘束され動けない-----
両手で顔を覆い、頭を左右に揺らす-----その恥らう姿の可愛さに
「…目をそむけるなと申したのに、まぁよい」と、笑みが出る
そして、おもむろにキャロルが隠そうともがいていた部分へと、そっと唇を付けた。
花弁全体をベロリと舐め、潤った蜜の味を舌先で確認して、満足げに顔を上げると
「…濡れている…だが、まだまだ足りぬな」と囁くと、
そのざらついた舌が蕾を守っているかのような襞を、舌先でなぞりあげる、自在に硬さと形を変えながら
硬い舌先で、蜜を掬い小さな隠れた核に載せ、小刻みにはじき、太く丸め蜜壷へ差し入れを繰り返す
「…ぅっ…はぁっ…」(必死に堪えても、どうしても声が…どうしよう…どうなるんだろう…怖い!)
「…もっと、もっと私を感じてくれ」
「ぁっ…ぃっ、ちがっ…感じてな…ぃ」
「そうか?心地良くないのだな?」と、核を包んでいる膜を剥き激しく舌で舐め転がし、蜜壷の中をかき回す
くちゅくちゅ----
「良い音が聞こえぬか?」自身も昂ぶり鼓動が激しい一気に貫きたい-----
「…は…ぁ、ぅっ…ああ!」(…息が…苦しい…体が…熱い)(…もう、何も考えたくないっ…)
男はその様子を見ると「…そろそろ…頃合か…」
-----男は何度も、狂気に近い衝動をどうにかやり過ごしていた-----
自分自身も限界だった…
キャロルの腰を持ち上げて、両足を抱え自身を花弁に押し当て上下に擦り、充分に蜜をつけて一気に貫いた…
「きゃーーっっ」充分に潤んではいても、性急な行動に成熟してない花弁に痛みが走った
「…ぅぅっ…姫…止めぬかっ…そのように…ぅっ」熱い内襞が自身を強く締め付ける感覚にじっと耐え、
やり過ごすと、激しく突きながら、核を指の腹で撫で回し、細かな律動を加える。
角度を変えて、突く…「ぁっ…」キャロルの腰が逃げる、その個所を見逃さず更に突き上げる
「やんっ…!!ぁっあ…っくっ」(怖い…自分の体に戻れない…何か?くる?何?怖い…)
男はそのキャロルの様子に気が付いた
(…限界が近いな…まさか?知らぬのか?…)
「…姫、怖くはなのだ、受け入れるのだ」更に激しく突き上げると
やがて、弓なりに体を反らせ下腹部をうっすらと朱に染めて、びくびくっと痙攣する熱い肉襞に男もキャロルの中に
低く呻くと熱いモノを吐き出した。大きく上下する男の荒い呼吸-----
「姫…まだだ、まだ足りぬ」と、再び覆いかぶさってきた。
朦朧とする意識の中で
(…これから…どうすれば?…もう永遠に会えない…メンフィス…)
-----一度の契りでも裏切りには変わりはない、許される筈はない、自分もそれは望んでいない-----
それならば、いっそ……(…この甘美な罰を受け入れよう…)
「?!…姫?…」男の背中にそっと手を回した。
その予想だにしていなかった行動に、更にキャロルの思いを募らせ。行為に耽ってゆく。
気だるく満足げに隣で寝入ってしまった愛しい人の背中の感触を楽しんでいた男は
-----(ひどく、ムリをさせてしまったな。起きたら湯浴みをさせて軽く食事も用意せねば)-----
悦びの中で、何度も自分の背中に手を回した小さな手の感触を思い出していた男だったが
「…メンフィ…なさいっ…愛している…」
(…姫…?!)
-----心が乾いてゆく-----
(…夢路で…通っている?王の元へ?…愛している?!誰を?)
-----心が急速に翳りを持ち、渇いていく-----
「…そうだったな…そなたは望んで私と愛し合った訳ではなかったのだったな…だが、放さぬ…決して!」
そして、冷徹な目を向けて、やわらかく上下している背骨をなぞり、双球の間をたどり、まだ熱を持つ花弁を押し開いてゆく
その刺激に完全に覚醒したキャロルが
「…もぅっ…止めて、お願い」「…許さぬと申したであろう?」冷酷な瞳で笑みを浮かべて…
----夜明けが近いが、寝所で痴態は続いていた-----
体を折り曲げられ、耳の横の自分の足がゆらゆらと動いている
キャロル自身の体がバネのように、突き上げられる度に押し返し、更に深く突き上げる力になる
執拗な行為に、体が溶けそうだった。だが、キャロルが絶頂を迎えそうになると、ズルっと引き抜く…
「ぁぁっ、ぃっ!お願いっ…もぅっ」
「姫よ…辛いのだな?可哀相に…こんなになって」指で蜜壷へと愛撫をしながら
蜜の付いた指を舐める。
「姫は、誰にどうして欲しいのかな?」
「…!!っぅ」
「言わねば、このまま…良いのか?」
「…しぃ…」
「聞こえぬな」
「…王子がっ…ぁぁっ…お願いっ…」
「姫は、この私が欲しいのだな、このイズミルを欲するのだな」激しく突き上げてきた。
-----キャロルは激しい快感にそのまま意識を手放した-----
キャロルの様子を確認すると、軽く装束を羽織ると寝所の続きの間に入っていった…
王子とキャロルの、それぞれのどうにもならない
哀しさがあらわれててΨ(`▼´)Ψなのに
ひどくせつないでつ・゚・(´Д⊂)・゚・
ツボに入りました>願い作家様
ひぃっ。目が覚めましてございます。
初恋や兄妹のクールな堅物王子と濃厚鬼畜だけど切ない願い王子、
両方堪能できてうれしいっす。両方いいわぁ・・・・キャロルになりたい。
>>408 16
「とりあえずこれを読んでみるのだな・・・」
召使いに運ばせた浅箱から無造作に書物を取りだしてやりながら王子は言った。粘土板もあれば皮の巻物もあり結構な分量だ。
「地誌に歴史書などなど・・・。私も幼い頃に親しんだものだ。どうだ、読んでみたくはないか?」
書物の山から目を離せないでいるキャロルに王子はからかうように言った。
キャロルは自分が「憎まなくてはいけない」相手から、このような心遣いを示されたことで戸惑いと不愉快さが混ざったような顔をしていた。
「でも、私・・・」
「口答えは許さぬ!」
王子にぴしゃりと言われ、キャロルは思わず身をすくめた。
「読んでみたくはないか、ではなくて読んでみよ、だな。
そなたは放っておくと何をしでかすか分からぬ油断ならぬ娘。良いか、療養の時間を無為に過ごすことはよくない。
私の貸し与えた書物を読み、勉強するのだな。私は怠けやの愚か者は嫌いだ」
「私は怠け者じゃないわ!馬鹿にしないで!」
王子は、元気に囀る金色の小鳥に嬉しさを感じながら、それをつゆも表さず言った。
「そのうちに試験をしてやろう。馬鹿にされるのが嫌ならば、それなりの努力をしてみせよ!」
そういうと王子は午後の執務のために出ていった。
その後ろ姿に憎たらしげに舌を出すキャロルに、ムーラはまたまた驚かされた。
(まぁ、王子のなされようは!大切な書物を惜しげもなくキャロル様に貸し与えられる。なのにキャロル様は王子のご親切に気付こうともなさらぬ
17
ムーラが驚いたことに、キャロルはすぐに書物の山に手を伸ばし、慎重な手つきで中身を改め始めた。キャロルはざっと書物に目を通し、ふたつの山を築いていく。
ムーラの視線に気づいたキャロルは少し赤くなりながら言った。
「読めるのと、そうでないのを選り分けているの。ヒエログリフやアッカド語のは何とか読めるわ。でもヒッタイトの文字は読めなくて。残念ね、ヒッタイト語の書物の方が多いんですもの。
・・・・・そうだわ、ムーラ!私にヒッタイトの文字を教えてくれない?」
「私が、でございますか?」
「ええ、だめ?私、読みたいのよ。王子に馬鹿にされるのは嫌。ねえ、だめ?お願い!」
結局、ムーラは金髪の娘の熱意には勝てず、にわかの教師になることを約束させられたのであった。
キャロルの熱意は周囲の人々を驚かせた。
文字を読める人間などまだ少なかったこの時代、キャロルは割に短い時間で自分が理解できる文字で書かれた書物を読破した。
ヒッタイトの文字はムーラが教えた。
キャロルは自分が知らないこと、理解できないことを質すのを少しも恥ずかしいとは思っていないらしく―キャロルの年と身分を考えれば珍しい―ムーラや他の召使いにもどんどん質問をした。
「ナイルの娘の部屋はにわかの学校になっているようだな」
王子はムーラの報告を聞きながら笑った。
「娘は落ち着いてきているのか?無茶をしてはおらぬか?身体の方はどうなのだ?」
ムーラはキャロルを心配し、普通以上の気遣いを示しながらも、肩に傷を負わせたという負い目故かろくに彼女を見舞わぬ育て子に答えた。
「王子、あの方は健康も、もともとの明るく優しいご気性も取り戻されたようにございます。どうか試験かたがた、ご自分でお確かめ遊ばして」
兄妹作家様
全くのほのぼの路線なのですけれど、王子の見守る優しさがいいのですよー
ムーラがいいよぉ。
こんな魅力的な人だとは思わなかった。
>>399 侍医の所見のとおり、その夜キャロルはの熱は徐々に上がり、苦しげな呼吸を繰り返した。
王子は休息も取らず、キャロルの側に付き添い額に滲む寝汗を拭ってやった。
重たく押し潰されそうに沈んだ空気の中、途切れがちにキャロルの唇は何度も王子の名を呼んだ。
王子も医師もムーラを始めとする侍女達も、固唾を飲んでキャロルの様子を見守る。
誰もが口を固く結び、言葉も交さず、時の経過をひたすらに待っていた。
常夜灯の炎だけがパチパチと乾いた音を立てる。
東の空が明るみ、早朝を告げる小鳥の囀りが聞こえ始めた頃、キャロルの頬にも唇にも紅をさしたような赤味が戻り、小康を得た事を知らせていた。
寝息も安らかで、柔らかく閉じられた瞼にはもう苦しげな表情は見受けられない。
キャロルの熱を計っていた医師の顔に安堵の色が浮かぶ。
「王子、神はあなた様の祈りを聞き入れられたようですぞ。
このご様子なら、後は滋養を取られ、安静にご養生なさればじきにお元気になられましょう。
疲れが色濃く影をおとす琥珀色の瞳が揺れて、わずかに潤んだ。
喉元に熱い塊がこみ上げ、痛い程に胸を締め付ける。
「・・・よくぞ!・・・姫よ・・・!!」
キャロルの頬にかすかに触れる程度に口づける。
(おお・・・我が女神イシュタルよ!御名を讃え、全霊をあげて感謝を捧げん!!)
堅く目を閉じて王子は心からの祈りを唱えた。
>>449 「王子・・・少しご休息下さいませ。
姫君にはわたくしが付き添っておりますゆえ・・・」
ムーラがそう進言したが、王子はキャロルの額に手を置いたまま口許だけで微笑した。
「構うな。私ならば大丈夫だ。
そちらこそ、お疲れであったな。
もう下がっても構わぬぞ、休むがよい」
しかし王子は部屋を下がろうとしたムーラを呼び止めた。
「・・・ムーラ。
私は・・・まこと驚いたのだ」
「・・・はい?」
憔悴してもなお凛々しい端整な面差しを、ムーラはまじまじと見つめていた。
あまり感情を外に出すことを好まぬ王子の顔に、押さえきれぬ無量の感慨が溢れて流れているではないか。
「武術も知らぬ・・・剣など持ったためしもないようなこの姫が、だ。
荒くれた山賊に・・・刃の前に立ちはだかったのだぞ。
女ならば、見ただけで足がすくみ震え上がでるであろうものを。
すぐに涙を見せるか弱い姫かと思えば・・・驚く程に強情で・・・時に何をも恐れぬ勇気を見せる。
ふふ・・・恐れ入るではないか」
胸に昂ぶる激情に、王子は切なく眉根を寄せる。
「この姫のなすこと全てが私の心を捉えて離さぬのだ。
私は・・・姫の為ならば何でもしてやりたいと思う。
愛しくて堪らぬ。
我が身を持て余す程に・・・な。
愛に溺れる愚かな己を止める事もできぬ。
ムーラ・・・こんな私はおかしいか?」
>>450 「いいえ!!・・・いいえ、王子!」
毅然と強く答えるムーラから厳しい表情がすっと消え、母親のような慈しみに満ちた微笑が柔らかく覆った。
ムーラは姿勢を正して跪き、合わせた手を床に着けると低頭に申し述べた。
「王家におきましては、ご婚儀さえも政(まつりごと)のひとつというのが常でございます。
されど、心より望み望まれ、愛し合って添いとげることが、どの殿方どの女人にとりましても・・・この上なき幸せにございましょう。
王子が姫君を何にもまして愛しまれ、姫君もお命賭して王子を愛されるのであれば・・・
これ以上のお幸せはございますまい。
わたくしは・・・わたくしは、王子、心より嬉しゅうございます!!
どうぞ・・・どうぞこの姫君とお幸せにおなりあそばせまし・・・王子」
王子の足許に深く頭を下げるムーラの頬に涙が伝う。
無言のままに王子は頷いた。
隣に控えております、と言い残しムーラや侍医が続きになっている隣の間へ下がった。
二人きりになった爽やかな朝の光さす室内で、王子は椅子に掛けたままキャロルの寝顔を愛しげに眺めていたが、いつしかキャロルの安らかな寝息に誘われ、柔らかな黄金の髪のうねりに顔を伏せるように眠り込んだ。
>>451 キャロルは夢を見ていた。
心地よい風と光に包まれながら、穏やかな波に抱かれ揺れる不思議な夢。
引いては寄せる小さな波の、柔らかな暖かさが耳元をくすぐる。
キャロルは眩しい光に細く目を開けた。
光を反射して明るくきらめく薄茶色の髪。
長く流れる髪に半ば埋もれるように、愛しい男性の顔はそこにあった。
椅子に腰掛けたままの不自然な姿勢であるというのに、疲れてぐっすりと寝入っているようだ。
ともすれば冷徹に見える整った容貌も、寝顔は案外に子供のように邪気なく無防備であった。
王子の暖かな寝息がキャロルの耳たぶにかかる。
キャロルは心地よいくすぐったさに、思わずクスクスと笑いを漏らした。
長い睫毛が瞬いて、琥珀色の瞳がキャロルを捉えた。
触れんばかりの距離にキャロルの白い顔を感じて、王子は慌てて顔を上げた。
「姫・・・!!気づいたか!」
キャロルは身体を起こそうと肘をついたが、肩にするどい痛みが走って思わず声をあげた。
「あっ・・・痛っ・・・!」
「おお、まだ起き上がってはならぬ!
やっと熱が下がったばかり、無理はできぬぞ。
まだ痛むであろうが?」
諌めるような厳しい口調ではあったが、キャロルを寝かしつける王子の手はこの上なく優しかった。
王子は言葉を失ったかのように何も言わず、ただキャロルを見つめた。
>>453 真っ直ぐな王子の視線に戸惑いながら、キャロルは上目遣いで見上げる。
「あの・・・王子、ここは・・・?」
王子は静かに微笑む。
「・・・ここは私の宮殿・・・私の寝室。
今後、そなたが私の胸で眠る処ぞ」
そう言っただけであるのに、キャロルの頬が花を散らしたように上気する。
視線を逸らしてキャロルが問う。
「・・・じゃ、今ハットウシャに?
あ・・・わたし肩を刺されて・・・それから・・・?」
「そうだ、幕舎で賊に斬り付けられ手負いになったそなたを連れて参った。
意識無く・・・熱にうなされるをなたを・・・私がどれ程に案じたか!!
まったく、生きた心地がしなかったぞ」
王子はキャロルの頬に手を沿え、真剣な眼差しで見据えた。
荒々しくキャロルを組み敷いて唇を心のままに奪いたいところであるが、王子は努めてそっと唇を重ね合わせるだけに留めた。
「王子・・・心配させてごめんなさい。
でも、でも・・・わたし王子を守りたかったの。
だって、わたし・・・!」
王子は首を横に振って、キャロルの言葉を制した。
「・・・よいか、姫!
よく聞くのだ。
私と共に過ごせば、あのように刺客や賊に襲われる事も今後ままあるや知れぬ。
ヒッタイトの世継として生を受けた我が身、それを避けては通れぬのだ。
ゆえに、私は自身とそなたを護る術を心得ておる。
例え私にどれほど危機が迫ろうと、戦う事を知らぬそなたが出て来てはならぬ!絶対にだ!
よいか、私がそなたを護るのだ!!
・・・二度とあのような無茶な真似をするでないぞ!
そなたに何かあらば、私はっ・・・!!」
>>453 言い終わらぬうちに、王子はキャロルに覆いかぶさるようにして抱きしめた。
「くそうっ・・・そなたを力の限りに抱きしめたいが、それもままならぬ。
口づけさえも思うままにできぬとは・・・!」
キャロルは叱り付けるような王子の態度に、どれ程深く愛されているかを思い知らされ、幸せを噛みしめながら王子の熱い胸に頬をすり寄せた。
(大好きよ・・・王子)
「して、わかったのか?!姫よ」
「ん・・・心配させたのは悪いと思うわ。
王子に心配させるような事はしないようにする。
だけど、やっぱり王子が危なかったら助けに行っちゃうと思うわ」
王子は一瞬キャロルを睨みつけたが、すぐにそれは愛しさ混じりの苦笑に変わった。
王子とて、キャロルにそのように想われて嬉して仕方がないのだから。
「ふふ・・・ははは・・・!
まったく、まったくそなたは手に負えぬわ!
ならば私を心配させぬよう、早く回復いたすよう努める事ぞ。
そなたとの婚儀を私は心待ちにしておる。
婚儀はそなたの身体が戻り次第、挙行いたそう」
キャロルは王子の言葉に何度も頷いた。
王子が優しく額に口づけし、その手がゆるやかに髪を撫でる。
キャロルは再び夢の中へとまどろみ始めた。
女もここ見てオナニーしてたんだ
姫になりきって王子に色々やられる想像してんだ
すごい絵を想像してしまった おばさんとかも?
彼女に借りて読んだんだけど彼女のお母さんも読んでるっつーからさ
すげ―漫画だ
そろそろ夏厨の時期か……
はあやれやれ。
夏厨ではあるまい。
キルケーや人前でげっぷなさる下品なお方みたく
常駐してんだわ。
脳内あぼんの対象れす。
四六時中エチーのことしか考えていられない厨房時代の人には
エチーもマタリもすべてひっくるめて受け入れられるときが来る、
なんでもありの時代が来ることなんか考えられないんだろうな・・
ある意味「油ぎっちゅな」厨房荒らしが羨ましいときもあったりする。
道中記うpされてる〜!嬉しや〜待ってたよん。
何ともシアワセそうな二人(・∀・)イイ!
キャロルに命がけでかばわれたら、王子もたまらんでしょうね。
本編のキャロルもこれくらい王子を愛してくれたら・・・(ToT)
道中記作家様
ウプありがとうございます。
兄妹作家様
キャロルに憎たらしいお説教をする王子に萌えです。
しかし両作家様、ムーラの描き方がうまいよー(感動)
王子の幸せに涙するムーラ。冷たく見えて人情派。素敵。
(ムーラに萌えてどうする?!)
ルカは仲を取り持ってくれたし、王子は家臣に恵まれてまつね。
「願い」の鬼畜な王子にキャロルとのハッピーエンドはあるのかな〜?
気になるところです。ドキドキ
今日はもう作家さまのご光臨はないのかな〜
楽しみにお待ちしてます(*^^*)
道中記と願い読んでから寝る、これ日課になった(・∀・)
ナカマ( ‘∀‘)σ)∀・)
↑深夜組さんたちカワイイ♥
願い作家様の光臨はなかったんでつね。
今日に期待。
>>420 ラクダから馬に乗り換えた一行だが、相変わらずその進行はゆっくりとしていた。
(まるで何かを待っているみたい…?)
「イミル…怖い。」
「姫…?如何なされましたか?」
キャロルの言葉にイズミルが不思議そうに聞き返したその瞬間−
「いけーっ!」
右前方の岩山から、右後方の岩山から、同時に土煙を上げながら隊列に向けて
一気に襲い掛かる集団が駆け下りてきた。
「ナクト!兵を展開せよ!イミルはキャロルを守って先を急げーっ!ルカはイミルに続くのじゃ!」
アイシスは次々に指示を出した。
「アリ!そなたはわたくしの側におれっ!」
「姫っ!駆けますぞ。しっかりと私につかまっていて下さい。」
「イミル、アイシスがっ!」
「女王ならば大丈夫。今は姫を守らねばなりませぬ。」
襲い掛かる集団は口々に「ナイルの姫を奪うのだー!」
「ナイルの姫はどこだー!」と叫んでいる。
(え?私を狙っているの?何故?)
「でも、イミル、これじゃ前後を挟まれて不利な戦いだわっ!」
(この混乱の最中、戦など知らぬ姫でさえこの状況を判断できる。
だが、今はアイシスの言葉に従う以外に手立てはない。
最悪の場合、姫さえ助かれば…そのまま一気にヒッタイトへ)
イズミルのそんな心を知ってか知らずかキャロルは泣き叫ぶ。
「イヤよ!アイシスが殺されてしまうわっ!」
「姫!アイシス女王のご命令ですぞ。ナクト将軍を信じて、我が商人達を信じて…
そして私を信じて下さい。私の命に代えても姫をお守りいたしますっ!」
>>466 だが、前方から襲い掛かる集団を目の前に、
後方から襲い掛かる集団に退路を絶たれ、
左に逃げようにもじりじりと追い詰められるのみである。
キャロルに言われるまでもなく、形成はどう考えても不利であることなど
イズミルは充分わかっていた。
しかし、アイシスの策を信じて力の限り戦うしかない。
「イ、イミル!また敵がやって来たわ!」
たった今一団が現れた岩山に、イズミルでさえ慄くほどの大集団が姿を現した。
(あの人数では…だが、姫だけは奪われてはならぬ!)
ところが、後から姿を現した大集団は、先に現れた一団の背後を襲い、
圧倒的な強さで蹴散らしていく。
キャロルと一行の荷駄を守った商人団は安全な場所に避難し、
戦いの終わるのを待っていた。
(あの戦いぶり、ただの砂漠の民とも思えぬが…)
混乱はすぐに収まり、多くの賊が捕らえられた。
生き残った者だけではなく、死者の亡骸、馬、武器や防具、装身具の細かなものまで
すべてが集められ、ナクト将軍配下の一部隊によってエジプトの方向へ運ばれていく。
キャロルたちの待つ場所まであとわずか、というところまでアイシスは大集団の中心にいた大柄な男に送られてきた。
キャロルの目にもアイシスの表情がハッキリと見える。
砂漠の民の衣装を身に纏った大柄な男とアイシスの会話はここまでは聞こえない。
>>467 「あんなアイシスは初めて見たわ…イミル、あの人は誰なのかしら?」
キャロルの言葉にイズミルは我に返った。
「アイシス様には、私のような商人の他にも砂漠の民など、
懇意になされている者が多くおりましょう…。
砂漠の戦などを得意とする部族やもしれませぬ。」
イズミルはキャロルを安心させるためにさらりと言った。
しかし、そのイズミル自身が信じられない光景を目の当たりにして動揺していた。
(あの戦いぶり、あの姿、あれはまさしく…いやそんなことよりも!)
イズミルはアイシスのいる方向を注視した。
(エジプトの女王アイシスよ…そなたは一体…?)
「大事なかったか?キャロル!」
アイシスはナクト将軍とアリを両脇に従えてキャロルたちの待つ場所にやってきた。
「待たせて済まなかったが、すべては片付いた。ヒッタイトへ向けて先を急ごうぞ!」
「アイシス、無事で良かったわ。あの…先ほど助けてくれたのは…?」
「おお、わたくしの懇意にしている砂漠の民じゃ。偶然近くを通りかかったとか。
キャロル、あのような危険なことにも遭遇するゆえ、
そなたは辛かろうがゆったりと進むことが出来なくなった。
ヒッタイトまでしばし辛抱するのじゃ、よいな?」
有無を言わせないアイシスにキャロルは黙って頷くしかなかった。
アイシスは最後までイズミルの目を見ようとはしなかった…。
>>468 天幕を張り、束の間の休息を取っても夜明け前には出立。
あの日以来、休息の間にも近寄りがたい雰囲気のアイシスにキャロルは戸惑っていた。
(アイシスは一体どうしたの…?いつも何事か考えているようで…)
自然とキャロルはイズミルとの時間が長くなる。
もともと昼は馬上で、夜は天幕の中でイズミルがキャロルをその腕の中で守っているのだ。
(姫は女王アイシスのことが気掛かりの様子…。このままでは姫が私に恋をした上で、
ヒッタイト王子の妃にするというアイシスとの約束を果たせぬまま、
首都ハットウシャの王宮に到着してしまう。なんとかせねば…)
明日はアナトリア高原に入るという夜の天幕で、イズミルも焦っていた。
「イミル…アイシスは?」
「女王アイシス様は先ほどまで、ナクト将軍とハットウシャ滞在中のご相談をしておられましたが、すでにお休みなられましたご様子…」
「そう…」
キャロルはため息をついた。
「イミル、私も休むわ…なんだかとっても疲れてしまって。」
>>469 天幕の中にしつらえた小さな寝所とはいえ、二人で眠るには充分な広さであった。
だが、キャロルは仔猫のように身体を丸めてイズミルに寄り添って眠る。
旅の途中からイズミルの腕の中で眠るようになって数日…
ヒッタイトへの旅は、キャロルが誰かの体温を感じて安心しなければ眠れない、そんな過酷な日々だったのだ。
「私はアイシスに嫌われてしまったのかしら?足手まといになったから。」
眠っていると思っていたキャロルが突然口を開いた。
「起きておられたのですか?明日も早いのですからお休みにならなければ…」
「わかっている…でも、アイシスは今まで誰よりも私を可愛がってくれたわ。
自分の愛するメンフィスの妃に一緒になろう、って言ってくれたのよ。
それなのに…今のアイシスは違う。もしかして…私がメンフィスの妃になりたくない、
って言った事を本当は怒っていたのかしら?アイシスの気持ちがわからないわ、イミル。」
小さな肩を震わせてキャロルは嗚咽を漏らした。
「メンフィスの妃になる、と言えばアイシスは私を嫌いにならなかったのかも…」
>>470 (それは違う!アイシスは私に姫を託したのだ!今更あのメンフィスになど…!)
だが、イズミルはそれを口にするわけにはいかない。
「姫、アイシス様は姫の幸せのみ願っております。いえ…私にはそう見えまする。」
「私の幸せ…?」
「姫はアイシス様とそのようなお話をなさったことがございませぬか?」
イズミルの言葉にキャロルはエジプトでの日々を回想した。
(恋をして結ばれたい、という話なら…)
「ねぇ、イミル。この古代では、恋と結婚は違うものなのかしら?」
「は…?」
「誰かに恋をして、愛し合うようになり、いつも一緒にいたいと願って結婚するんだと思っていたし、私もそうしたいとアイシスに言ったの。
アイシスはメンフィスを愛しているはずだし、だから結婚を待ち望んでいたわ。
でも、古代エジプト王の婚姻は政略のための道具でもあったのよ。
アイシスだけは違うと思っていたんだけど。」
イズミルは黙ってキャロルの言葉を聞いていた。
(姫はアイシスの一面しか知らぬ。エジプトの繁栄のためならば、その身すら政略のために使い、相手を拐すような怖ろしき女子よ。
確かにメンフィス王を愛しておろうが、先日の砂漠の民を装った男といい、まだまだ謎の多き女王。)
イズミルもまたアイシスの行動や本心を量りかねていた。
(姫を私に嫁がせたい、というその気持ちに嘘はなさそうだが…)
>>471 「聞いているの?イミル。」
キャロルは肘をついて起き上がり、仰向けになっているイズミルの顔を覗き込んだ。
「イミルは恋をしたことがあるの?って何度も聞いているのに、ぼんやりして。」
今、まさに婚姻について思い巡らしていた相手の小さな白い顔が目の前に突然現れ、黄金の髪がハラリとこぼれ、イズミルの心を擽る。
イズミルはこぼれ落ちたキャロルの髪を梳きすかし、耳にかけてやりながら言った。
「私は不粋者ゆえ…ただ、女神イシュタルの祝福を受け、愛しき者をいつも腕に抱き、
我が手で守り幸せにしてやりたい、と願っております。」
イズミルはキャロルを自分の胸に引き寄せ、なおも髪をなでながら続ける。
「それが姫のおっしゃる恋というものであるならば…このイミルは…。」
今まではただ心地よく安心できるだけのイズミルの腕や手が、まるで別の生き物に変わってしまったようで、キャロルは戸惑っていた。
(やだ、私ったら、なぜこんなにドキドキしているの。)
「姫…」
イズミルは身体を横向きに起こしキャロルの耳元に口を近づけて囁く。
初めての体験にキャロルは声を出すことすらできない。
(イミル…一体何を…?)
お昼に来てみてよかった〜
初恋作家様、あ( ̄○ ̄)り( ̄◇ ̄)が( ̄△ ̄)と( ̄0 ̄)う( ̄ー ̄)~~☆
今日はじめてこのスレの存在を知りました・・・!
皆様、素晴らしいです。
時間をかけてじっくり読ませてイタダキマス。
だけどヒッタイト道中記のはじめの頃は前のスレになるんですね。
読もうとしたけど読めませんでした。(>_<)
作家さん達、皆さん文章ウマイです・・・感動もの。
こんなに何パターンもの王家を楽しめるなんて嬉しすぎます。
もっと早くに見つけておけばよかったぁ。
さて、今から過去スレの旅に出かけて参ります。
どうなるの?どうなるの?
初恋作者さま 続きを〜〜〜!!!
どうしよう このスレ中毒になってしまったわ
単行本も一気に揃えてしまった(/o\)
本編では王子が報われないのでこちらで
欲求不満解消してまつ。
作家様方、感謝!
>>476 私もこのスレ中毒者です。
道中記や初恋の長編の間に色とりどりな短・中編があって、たまりません。
お宝ザクザクですよねぇ!
ここのスレ読むたびに皆様の王家への愛着の深さを感じます。
メンフィス萌えだったはずなのに、ここのお蔭ですっかり王子派になってしまいました。
数少ないメンフィスもの「ヒューリアの恋」のつづきも楽しみにしてまーす!
作家様、どなたかアマゾネス女王×キャロルを書いていただけませぬか〜?
アマゾネスの女王好きなんだけどな。
>>472 「ナイルの姫…」
もう一度耳に囁かれてキャロルは身体をピクリと震わせた。
その反応がイズミルを悦ばせもし、また不安にもさせる。
(姫は震えておるのか?姫一人を覆う厚衣を…そして姫の身体を包む衣装をすべて剥ぎ取って、我が肌で直に姫を温めたい…!)
(いや…しかし、姫がここで逃れようとすれば…私は。ああ、なんと切なきこの想いよ!)
「姫…」
イズミルの呼びかけにキャロルが身を震わせる。
「明日の朝も早い…夜は冷えます。
私の厚衣を上からおかけいたしますので、どうか今宵はこのまま…」
声を出せば、身体を動かせば何かが起こってしまいそうな予感に震えながら、
キャロルはただじっと、目を堅く瞑り眠る努力を重ねていた。
どのくらい時間が過ぎたのか。
キャロルは浅い眠りを繰り返していた。
ふと、自分を守る温かなぬくもりがなくなったことに気が付きあたりを見回した。
天幕のどこにもイズミルの気配がない。
(イミル…?どこにいったの?)
不安になったキャロルはそっと天幕から顔を出した。
不寝番の兵士の篝火と月明かりを頼りに目を凝らし、耳を済ませて周囲を窺うが、
あたりは静まり返っている。
物音を立てないように天幕から抜け出し、イズミルの姿を探した。
(兵士に見つかったら…別に悪いことをしてるわけじゃないんだから、一緒に探してもらえばいいのよ。)
キャロルは、自分を落ち着かせるように自らに言い聞かせ天幕の裏手に廻ると、
野営地のそばにある泉の畔に、二つの影を見つけた。
(イミル…それに、アイシス?)
>>479 並んで泉の方を向いているその影は微動だにしない。あたりはこんなに静かなのに話し声さえ聞こえない。
−二人ともどうしたの?−
声をかけたくても近寄りがたい空気が二つの影を包んでいる、そんな気がしてキャロルはそっとその場を離れた。
天幕に戻り寝台にもぐりこんでも、二つの影がこれからどうなってしまうのか、気になって眠ることができない。
ふと滲んで来る涙の意味もわからず、イズミルの厚衣を被って夜の冷気で冷たくなった身体を丸めた。
「姫が…見ておった。天幕に戻ったようだが。」
「キャロルが?」
「おそらく私を探しに来たのであろう…私は嘘は言わぬ。私はそなたの問いに正直に答えた。
次はそなたの番だ。女王アイシスよ、何が目的で此度のことを仕組んだ?
生け捕ったカプター大神官一派の者供をなんとする?
そして、姫も気にかけていたあの男…
そなた、エジプトのファラオの妃となる身ではないか。さあ、私の問いに答えよ。」
−何から話せばよいのか−
アイシスはその場に座り込んでポツリ、ポツリと話し始めた。
>>480 −イズミル王子よ、そなたはメンフィスと同様、生まれながらの世継ぎの王子。
だが、その生い立ちの過程で残酷な陰謀があったと聞く。
わたくしが初めて父王の名代でヒッタイトを訪れたのは、行方不明の世継ぎの王子に代わって、国王の甥が世継ぎとして立つ祝賀の際であった。
あの折に、王家の人間なれど、いや王家の人間だからこそ、
わが身は自分で守らねばならぬ、ということをわたくしは知ったのじゃ。
わたくしの母は、旅の踊り子でネフェルマアト王の目に留まり寵愛を受けたことになっておるが、
真実はネフェルマアト王に殺された先代ファラオの縁に連なる者。
母は幼子だったゆえ、下エジプトの神官らに匿われその存在をあまり知られていなかった。
父王は先代ファラオの正妃との婚姻によって、エジプトのファラオとなった。
そして、婚姻の後すぐに正妃を闇に葬り、新たなる正妃を迎えた−それがメンフィスの母。
しかし、なかなか御子を授からない正妃のためにと、カプターの進言により父王は下エジプトの神殿に祈願をするようになった。
当時の下エジプトは先代の王の影響力がまだ強く残っており、父王の手を煩わせることもあったという。
先代の王の霊鎮めのため敢えてその地を祈願の場に選び…そこで父王は、まだ少女の母を見初めて無理やり娶った。
だが、先代の正妃を排除し、ようやく自身の影響力で上エジプトの支配を磐石なるものにしようとしていた時期に、
先代の縁に連なる者を妃にしては混乱の火種となる、また新たに迎えた正妃の母国リビアの協力も得にくかろう、
そんな父王の配慮があって、母の身分は固く秘められた。そんな中でわたくしは生まれ育ったのじゃ。
しかしその配慮も空しく、正妃をリビアから迎えるために暗躍したカプター大神官、
当時はまだ神殿の一つを預かる神官に過ぎなかったのだが、
リビアの顔色を窺うあのカプターによって母は暗殺されてしまった。
>>481 −アイシスの独白は続く−
下エジプトは動揺し、上エジプトに反抗したが、父王は幼いわたくしに下エジプトを譲ることで、下エジプトの神官や兵、民の支持をようやく得ることができた。
そしてわたくしの立場を諸外国にも、国内にも印象付けるために、自分の名代としてわたくしを数多の国々への使者とした。
正妃との間にようやく授かった世継ぎの御子、メンフィスの御世を確かなものにするべく、
産褥でわたくしを呪いながら身罷った正妃の遺言を捏造し、メンフィスの妃とするように定めたのも父王じゃ。
わたくしは…父王が何をわたくしに期待していたのか、正直なところわからぬ。
だが、母の無念の思いはよく知っておる。そして下エジプトの民の願いも。
−そこまで語ってアイシスは黙り込んだ。
「女王アイシスよ、そなたはメンフィス王を愛しておらぬのか?
そなたの望みはエジプト…そのものであったのか?」
イズミル王子は言葉を続けようとしないアイシスに更に問いかけた。
>>482 −わたくしは…−
アイシスはようやく語り始めた。
わたくしがメンフィスに会ったのは、母を亡くしたことも知らずに、
乳母の乳をむさぼる弟を父王に紹介されたのが最初であった。
この赤子がエジプトのファラオとなる…
母の無念の声が、下エジプトの民の怨嗟の声が耳に響いた。
−呪われてあれ、血塗られたラーの息子よ−
父王の命令でメンフィスはわたくしと共に暮らすようになった。
赤子の命を奪うなど容易いこと…。
だが、時として乳母と間違えて、わたくしの乳をまさぐる弟の命を絶つことなど、わたくしにはできなかった。
−メンフィスの良き妃となれ、さすればそなたは上下エジプトの王位継承権を正式に得るのだ−
それは母を愛したゆえに罪の意識に苦しむ父王か、あるいは下エジプトの亡霊が言ったのか…
もしや自分自身の願いだったのかもしれないが、結局のところ、
わたくしはメンフィスの存在を憎みつつ、愛する以外に生きる術はなかったのじゃ…。
>>483 しかし、我がエジプトを愛する気持ちは他の誰にも負けぬつもり。
わたくしはエジプトの繁栄を願い、また父王に言われるまま、エジプトのために
他国の情報など集め始めた。そんな中で…あの男と出逢った。
そなたはあの男の正体を知っておるようじゃ。
先代ファラオの数多ある妃の一人はバビロニアから来たのだが、
もしもそこまで知っておれば、そのように不思議に思うこともなかったであろう…。
わたくしの母は、そのバビロニアからエジプトに嫁いだ妃から生まれた王女だったのじゃ。
−アイシスはそこまで語ると再び黙り込んだ。
泉の水面に映る月が傾いて時を刻む。
アイシスは再び言葉を繋いだ−
わたくしは下エジプトの女王…。
恋や愛だけで国を治めることなどできぬ。
わたくしは憎みつつも愛する弟との婚姻により、エジプトの王位継承権を正式にわが身に受ける。
そのように期待されて育ち、またわたくしもそのように願って生きてきたのじゃ。
だが、キャロルは違う。愛と慈しみで人の心を癒す、そのようなことを好む娘じゃ。
諸外国はナイルの女神の娘を得ようとすでに蠢いておる。
メンフィスはまだ若い。その動乱の中でわたくしはキャロルを守るどころか、
エジプトそのものを守ることができないやもしれぬ。
今後はヒッタイトから一歩たりとも出すことなく…
それがあの清らかな魂を持った娘の幸せかもしれぬ。
捕らえたカプター大神官配下の者供、あれはメンフィスに対する切り札じゃ。
わたくしがいつの日か上下エジプトの女王として君臨するために。
−アイシスの独り語りはここで終わった
>>484 「では、近くエジプトに騒乱が起きる、と考えてよいのか?
そうなった時、ナイルの女神の娘を妃とする私は…エジプトを狙うぞ。」
「さあ…騒乱が起きるのか起きないのか、わたくしにもわからぬ。
だが、いずれにせよキャロルが側にいる限り、そなたは何もできぬであろう。
キャロルは、わたくしを滅ぼしてまでエジプトを手に入れようとするそなたを、なんと見るであろう?」
(くっ…そこまで考えておったか…!)
イズミルは歯軋りした。だがすべては、この女王の筋書き通りに物語が進んでしまったのだ。
「夜明けまで、まだ暫し時間がある。キャロルがそなたを待って泣いておろう。わたくしは姫の涙に弱いのじゃ。」
立ち上がり踵を返すと、アイシスは音も立てずに自分の天幕に向って滑るように歩き始めた。
イズミルが天幕に戻ると、キャロルは厚衣にすっぽりとくるまって眠っていた。
そっと厚衣をめくると…アイシスの言うとおりキャロルの睫は涙に濡れていた。
(眠ってしまったのか…だがその涙の意味を今すぐ問うてみたいぞ…姫よ。)
イズミルは眠っているキャロルの唇をそっと指でなぞった。
(初めてそなたの唇を奪うのは、やはりそなたの目覚めている時…であろうな。)
イズミルはキャロルを起こさぬようにそっと包み込むと、眠れないとわかっていても、
甘い空想のために目を閉じずにはいられなかったのだ。
今日も大量うpありがd!
願い作家様、今日は降臨されないのれしょうか?
続きを楽しみにしてるんだけどナ。
冷酷andサディスティックな王子ポイント高し!!!
>>446 18
「王子?! 何か用ですか?」
しばらく、床に座り書物に没頭しているキャロルを愛しげに見ていた王子は、固い少女の声に皮肉な笑みを漏らした。
「ご挨拶だ。勉強は進んでいるか? 怠けずに励んだかどうか確かめてやろうと思ってな」
王子は無遠慮にキャロルの隣に座り込むと無造作にキャロルの膝の間から書物を取り上げた。
「さて・・・と。何から試験するかな・・・」
王子はキャロルの気持ちにわざと気づかぬふりをして、質問を始めた。
試験は単純に暗記した内容を問うものから、知識をもとに考えをまとめなければならないものまでずいぶんと多岐に渡った。
半時ほどして王子は試験を切り上げた。キャロルは最初こそ緊張のせいか少しどもり気味に答えていたが、最後の方はしっかりと思慮深さと自信を感じさせる口調になっていた。
「ふーん。なるほど、そなたは確かに怠け者ではないようだな」
王子の言葉にキャロルは頬を紅潮させ、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「言ったでしょう?私は自分が知らないことを知るのが好き。書物は面白かったわ」
「書物は全部読んだのか。文字も勉強しているそうだな」
「ええ、まぁ・・・」
キャロルは答えた。
ムーラは他の仕事があるのでしょっちゅうキャロルの教師役を務めることはできないし、召使い達もキャロルの知識欲を満たすには難しくなってきていた。
「もっともっと色々なことを知りたそうだな・・・。ムーラに聞いた。
何故にそのように学びたい?若い女であれば美しい衣装や華やかな楽しみ事に心惹かれるだろうに」
王子は学問を重んじ、他者にも怜悧さや思慮深さを求めた。彼はますますキャロルに惹かれているのに、その口は心を裏切って皮肉な言葉ばかりを紡ぐのだった。
19
キャロルは王子の下手な挑発に乗るかとばかりに険悪に目を眇めた。
「何故って・・・。私はこの世界に興味があるからよ。何でも知りたいわ。何でも見たい。もし偏った知識しかなければ、物事を公平に見られなくて恥をかくでしょう?
例えば・・・若い女性は馬鹿で虚栄心の塊だとか、男というのはすべからく賢いだとか!」
王子は自分よりはるかに年下の少女の強気な言葉に笑みを誘われた。
生意気な口のききかたをする無礼な少女なのに、不思議と腹立たしさはない。
幼いとばかり思い、侮って相手をしていたキャロルの思いがけない反撃が新鮮だった。
(なるほど、この娘、馬鹿でも詰まらぬ人間でもないらしい。面白い!)
「何に一番興味を覚えた?」
「え・・・? あ・・・・そうね、地誌と歴史」
「そなたが怠け者でなかった褒美をやろう!今望みうる限り最高の教師を差し向ける。そなたの望むままに知識を授け、ついでに礼儀作法も教えられる教師をな」
王子はくしゃっとキャロルの頭を撫でると、上機嫌で出ていった。
後に残ったムーラや侍女たちは、いたく王子のお眼鏡にかなったらしい少女の幸運を羨んだ。王子が他人にあのような心遣いを示したことはついぞない。
その王子の優しさに気づかないのは当のキャロルばかりというわけだった。
次の日の午前中。
教師はいつ来るのだろうと思いながら、ペンを弄んでいたキャロルは唐突な王子の訪れに飛び上がった。
「な、何をしに来たのっ?」
「ご挨拶だな、自分の師に。約束通り、最高の教師がやって来たぞ。
さぁ、学びたいことは何だ?何でも教えてやろう。そのような顔をいたすな。
私はまじめに言っている」
キャロルはやっとの思いで自制した。
「何を学びたいかというと・・・色々とあるけれど一番知りたいのは地誌と旅の方法。一日も早くこの国を出てエジプトに帰りたいから!」
キャロルは一気に言い放った。
今度は王子が目を眇めた。哀しみと不快が混じった危険な色。
20
「そんなにこの国に居るのが嫌か。エジプトを・・・メンフィスを嫌って泣いていたそなたが、な。あの戦の中、エジプトに戻りファラオに陵辱されるのが本望であったか?」
イズミル王子は言いながらどんどん、どす黒い嫉妬の蔓に心絡め取られていった。
身分を隠して初めて出会ったときから、キャロルは印象的な相手だった。
少し言葉を交わすようになり、ついにはヒッタイトへさらった。
はじめこそ、計算尽くでキャロルに近づいた王子だったが、じきに初めての恋に絡め取られる愚か者に成り下がった。
王子の強引で性急な求愛に、全くの子供であるキャロルは少しずつ傾いていった。
だが戦が起こり、失われていく人命の多さに絶望した少女は王子から離れようとした。闇雲に不幸に向かって走り出した。まるでそれが贖いであるかのように。
だから王子はキャロルを刺した。守るために。全てから守り、ずっと側にいて自分を愛させるために。幸せにするために。
矛盾した理由。
(娘は私を嫌い抜いている・・・)
王子は内心の絶望を押し隠し、キャロルを睨み付けた。
「どうしてそんなこと言うのっ?私に何と答えさせたいのよ?」
とうとうキャロルは自制がきかなくなった。
「分からないわ、分からない。あなたの心が。あなたのせいで私は戦の元凶になってしまったのよ。私のせいで多くの人が倒れた。
あなたは私を刺して・・・でも気まぐれとしか思えないやり方で親切めいた真似をする。
私は・・・私が一番知りたいのはエジプトに帰る方法なの!帰って・・・戦の償いをして・・・それから帰るの、帰して貰うの、アイシスに!分かった?」
イズミルは自分の心を知ろうともせぬ、つれない娘に意地悪い感情を覚えた。
「・・・・ふーん。そなたはまだ知らなかったかな。女王アイシスは死んだ。
ファラオの身代わりに暗殺者の手にかかってな」
王子の復讐は予想外の結果をもたらした。キャロルは声もなく床に倒れたのである。
兄妹作家様、ご光臨待ってました〜!
クールビューティお兄さまの王子萌え(はぁと)
初恋物語作家様、大量うpアリガd!!
つづき気になってたからうれし〜い
まだ気になってるケド。。あしたも楽しみにしてまつ
兄妹作家様
苦悩するキャロルと王子。どうか幸せにしてやってくだされー
ああ早く続きが読みたい・・・
初恋物語のアイシス様に萌えですわ…
道中記作家様と願い作家様はまだかな・・・
待つ身は辛いですぅ、作家様ぁ!!
2時頃まで起きて粘ってる毎日・・・(l|l´Д`)
⊂(・∀・)⊃私も作家様待ち〜
も、もしや「兄弟」作家様は「後宮物語」を書かれた作家様と同一人物ですか?
何となくそんな気がして・・・違ってたらスマソ。
「後宮物語」好きだったからつい。
あと「ある晴れた日に」の作家様は、今は書いていらっしゃらないのでしょうか〜
あうあう〜、「ある晴れた日に」じゃなくって「いつか晴れた日に」でした。
失礼をば! あれには萌えに悶えてしまったなぁ。
王子に鞭打たれて逝ってきます〜 ピシッツ!
どうかなー、そのへんは自身の心の中で想像して
愉しむのが良いかも。
匿名ってことで多くの作家様がさまざまなスタイルの
作品を書いて下さってるわけだし、ね。
>>495、496
深夜組の同士よ!
このスレが更新されたらお知らせしてくれるプログラムか何かがホスィー。
だって何回リロードしとんねんッ!って感じなんだもん。
画面が変わらなかった時って妙にムナシイ、でも止められない〜。
>>500 アヒャ!⊂(・∀・)⊃コンバンビ!
ワカルよその気持ち〜
ねむい・・けど夜毎来てしまう・・・・・
願い作家様は(゚Д゚≡゚Д゚)−−−−−−−マダだったかヽ(冫、)ノ
>>441 入り口に人の気配を感じ、本能からかサッとそちらに視線を向ける
ゆらりと長身の男…
(……王子…)思わず視線を床に向ける
ゆっくりと近寄り片膝を付き、床に転がったルカの半身を起こすと
縛めを解くこともせずに、口を開いた…
「…ルカ…そなたは姫を死なせても…良いか?」
(…何を?!)意味が判りかねて、視線で問いかけた
(!!…何という顔をなさっているのですか…王子)、長年仕えたルカの知る王子は常に自信に満ちて何事にも悠然と構えていた。
が、今、目の前にいる王子…その瞳は果ての無い沼の底のように…暗く澱んでいる。
「…ルカ…そなた…死ぬ気であろう?」
「!!」王子の様子に気を取られていて、咄嗟に視線を外してしまった自分の不覚に…俯き唇を噛む…
(見透かされていた!…『鬼神の眼力』と異名をとる王子に…隠し事など…出来ようはずもなかったのだ)
尊敬する主君に仕える事が誇りだった…その王子に相応しいナイルの姫…命令に従い傍近く守ってきた姫が…
主君の望みを叶え、役に立てる事が喜びであった筈なのに
今は、遂行した任務が喜べない…
姫の傍にいて、身分を気にもせず無邪気に振る舞う姿、他人の命を守る為に命を賭ける深い慈愛…
傍にいると春風のように、周りの思惑も清浄してしまうかのような心地良さを…いつまでも見続けていたかったのに…
他人が自分をどのように思おうと構わない
でも、姫にはだけは嫌われたくない…全てをわかってしまった姫の顔を見るくらいなら…
…胸の奥で人知れず、育っていた感情…その『名前』が
…気付かずにいたかった口に出す事も思う事も許されないその『名前』
自分の命と引き替えに、王子に抱かれ続ける姫を想うたびに身を苛み続けた感情に……
-----姫を縛る枷である自分…その枷だけでも外す事…-----
そなたには、辛い役をさせてしまったな…許せとは言わぬ…」
「だが…」ついと、ルカの顎に指を掛け、顔を上げさせると
「…今…姫が生きているのは、ルカ…お前が生きているからだ」
「!!…」
「私の為にも、死んではならぬ…生きてくれ…」と、悲しげに微笑むと全ての戒めを解いた。
「酒しかないか…」と、棚を見回し葡萄酒の入った壷を取り、そのまま目の前に差し出された。
「…頂戴致します」口に含むと乾いてた喉に王子の心遣いが染みた、
そして深く息を吸い、意を決して口を開く。
「…王子、ご無礼は承知です…でも、一つだけお尋ねしても宜しいでしょうか?」
同じように壷から直接、葡萄酒を飲んでいた王子に声をかける、が、(…何とお尋ねすれば…)続く言葉を探す
「ああ、わかっているよ、お前が問いたい事はね…」唇から流れ落ちる液体を拭いながら、ルカの言葉を制した
その仕草が、美しい容貌に更に艶を纏って凄みすらある動作に…一瞬目を奪われる。
「そしてお前には、問う権利もある」と寝所へと続く戸を見つめて
「…お前は、どうしても欲しいと心から願い、望むものがあるか?」
「?!」
「…私はある…心に決めた唯一のものがね…そしてその望むものが、どうしても手に入らないとしたら?ルカ…お前ならどうする?」
「…王子…」(……王子の望むものは……)
「何度も心を告げたのだ…そう…何度もね」酒壷を口へ運び、喉が上下する。
「だが、姫は私の言葉を心をも拒否するのだ…」初めて他人に告げた姫への激しい想い
「王位継承権など要らぬ、姫の心を得る為ならば…世継の身分さえ捨てようものを…その本気の言葉さえも受け入れてはくれぬのだ…」
(…これが本当の王子なのか?)黙って王子の口から零れる少年のような告白を聞いていた
「…その気持ちすら信じてもらえぬ程、私は…嫌われているらしいがな…」鬱陶しげに乱れた髪を掻きあげ
「今日の私は…どうかしているな…忘れてくれ…」ゆっくりと寝所の去りかけて戸口で止まると
「…他に方法があったのだろうか?…」振り返らずに告げた言葉はひどく悲しげで
「王子!」(私の望むものは……私の願いは…)
「このルカの望むものは、王子の望む全てを叶える事です」その背中に新たなる決意を告げると
「…ふっ、頼りにしているぞ、ではこの私に靡かぬ姫の元へと戻るとするか」
「いい忘れたが、そなたは『姫の臣下』で私の臣下ではないぞ」と悪戯っぽい笑顔で、寝所へと去っていった。
侍女達が忙しく、その身を飾ってゆく。
立ったまま、させるがままにさせていたが、部屋に入りうやうやしく頭を垂れたムーラに言葉を掛けた
「王子は、いつ母の元に顔を見せにくるのであろう?」眼には微かな怒りが見て取れる
「…王妃様…何を仰います。王子はまだ帰国されてはいらっしゃいません」
「…ムーラ…そなた自分では気付かずにいるのですね」言葉に棘を含んだ物言いに溜息混じりに告げる
「そち、私の前から度々に姿を消すわね…」侍女達が何事かと二人をそっと見ている。
「私以外の世話をする者といったら、王子しかあるまい?」
「いいえっ、いいえっ王子はまだ、お戻りにはなってはおりませぬ」(あのような王子を見せるわけにはいかない)
くくくっと笑いながら
「ムーラ、そちは本当に判り易いのぉ」とひとしきり笑った後に
「王子の宮殿に参る!そちも付いておいで」言うなり、王子の宮殿に向かう王妃
「お待ち下さい。王妃様」後を追いかけて
「わかりました、申し上げます…」
「王子はお戻りになりました…」(すみませぬ、王子)
「…して?」
「はい?」心の動揺を悟られますと、とぼけた。
「何ゆえ、王子は帰国を隠すのであろう?」(さすが王妃様、何かを感じてらっしゃる…)
「!!……」(何と…何と言えば良いのだろう?)
「よい、そちには聞かぬ!見ればわかる事であろう」一刻も早く知りたいのか、ひどく早足で歩いてゆく
慌てて後を追いつつ、王妃にだけ聞こえるような小さな声で
「…王子は…お一人ではありません…」
「えっ!?…」驚いた顔でムーラを見る…
「皆の者は下がっておれ…ムーラと二人にさせておくれ」
願い作家様、ルカを幸せにしてくだちい。
王子も自滅への道まっしぐら
・・・にならないことを願いまつ。
503タソ惜しかったね〜。
朝組さんになったら待たずに読めてウマーでつよ。
おおー、願い作家様うpありがd!
あれー、道中記作家様はまだかなぁ〜?
今宵のご降臨を心待ちにしておりまする〜
続きが読みたいよ・・・
なれるものなら朝組さんになりたいでつ。
昨日も2時まで粘ってしまった(眠い・・・)
今日も初恋作家様の大量ウp楽しみにしてます。カコイイアイシス大好きだ。
道中記作家様、私も更新お待ちしちょります。
また王子の口から萌え萌えセリフを吐かせてくだはい。お願いでつ<(_ _)>
「そなたわたしを殺す気かー!」が、私にとって殺し文句でした。ハァハァ
>>429 5
メンフィスはにやりとアマゾネスに笑いかけると手慣れた仕草でこの美しい敗者を助け起こしてやった。
「私は女などに遅れは取らぬ。だが・・・まぁ・・・あなたの勇気と剣技を賞賛することにはやぶさかではないな」
「くっ・・・!」
ヒューリアは年若いファラオを睨み付けた。彼女とて武術の心得ある身。
メンフィスの圧倒的な強さは認めざるを得なかった。
メンフィスはひやひやと成り行きを見守っていた人々に聞こえるように言った。
「これは・・・御身の真剣さと強さに思わずこちらも熱くなってしまった。
ヒューリア殿、なかなか手応えある手合わせであった。本復された御身と刃を交えるようなことはしたくないものだ!」
ヒューリアに恥をかかせまいとするメンフィスの心遣い。
だが誇り高いアマゾネスの世継ぎは、その心遣いがまた口惜しく、気がつけば衆人環視の許、涙で目を潤ませていたのである。
「・・・ヒューリア。どうかあまり無理はなさらないで。今日だって本当にどうなることかと思いました。
あなたに万が一のことがあれば私、女王にどのように申し上げればよいのかしら?
ね、ヒューリア。お願いだわ・・・」
心配そうに囀るキャロルを手で制して、ヒューリアは笑った。
「無理など。私は大丈夫。久しぶりに身体を動かせて心地よい汗をかいた」
「メンフィスのこと、悪く思わないで下さいね。メンフィスは・・・」
キャロルは誇り高い女戦士の顔を心配そうに見た。ここに来る前にすでにメンフィスとちょっとした喧嘩をしてきているのだ。
6
「メンフィスったら!今日のことはやりすぎだわ。ヒューリアは女性で病み上がりなのよ。それをあんなコテンパンにするなんてひどい!」
「何を申すか。あの女傑に妙な手加減などしてこそ無礼というもの。私はエジプトのファラオであり、ヒューリアに何の遠慮もいらぬ身分と立場を備えている。
大丈夫だ、身体に触るようなきつい打ち込みはしておらぬし。それに病み上がりであの強さだ。本復してより後の腕は推して知るべしだな。
ふーむ。ヒューリア殿がそなたと同じ女性とは思えぬ。あの強さ・・・」
メンフィスはまだぷんぷん腹を立てているキャロルを抱きすくめた。
「そなたは柔らかく華奢だ。強いと言ってもそれは心根のこと。まことこの身体は儚げでたおやかで私が存分に愛することにすら耐えられぬらしい。
・・・・ヒューリア殿に鍛えてもらうか?あの一族の・・・・は凄いらしいぞ。男は天国を味わうそうだ。かの一族に己の精を分け与えるとき・・・」
メンフィスは最後までは言えなかった。
怒ったキャロルの白い手が口をつねったからだ。メンフィスはその罰に白い手を掴み、その持ち主に苦しいまでの愛撫を加えた・・・。
ヒューリアは先ほどのことを思い出して頬を淡く染めるキャロルに言った。
「そのような気遣いこそ私にとっては屈辱だな、姫。
私に真剣に挑み、高慢の鼻をへし折ってくれたメンフィス王はまこと見上げた男性よ。あのように強く素晴らしい男性がいるとは・・・」
「え?」
「うん、私は男など身勝手で馬鹿でくだらないむさ苦しい生き物だと思って生きてきた。実際、その通りなのだしアマゾネスは男を卑しむからな。
だが・・・メンフィス王は違う。まるで」
考え考え喋るヒューリアにキャロルは無邪気に言った。
7
「あら、メンフィスは特別よ、ヒューリア。
そりゃ、我が儘な暴君で本気で腹が立つこともあるけれど、とっても優しいし、いつも私を守ってくれるわ。むさ苦しくもないし。
さっきはあなたに意地悪だったと私は思うけれど、でも本当は公正で素晴らしいファラオなのよ。少なくとも世の中にはくだらなくない男の人もいるの」
親友に大好きな恋人のことを惚気るような調子で話すキャロルにヒューリアは微笑を誘われた。
「姫はメンフィス王のことが好きなのだなぁ。我が儘勝手な暴君呼ばわりしてもそこがまた良いのであろう?」
「やだっ、ヒューリアったら!」
キャロルはくすくす笑った。
「そうね、私はメンフィスのことが大好きだわ」
ヒューリアは素直に夫君への恋情を語るキャロルを眩しく見た。
(本当に何と素直で愛らしい姫君であろう。このような人がいつも側にいてくれたのなら毎日はさぞ楽しいだろうな。
この姫君はどのような子を産むであろう?賢く優しく人々の心癒す女神のような美しい姫か・・・それともまっすぐな気性の文武両道の姫?)
ヒューリアは美しい女性を伴侶に求めるアマゾネスの視点でキャロルを値踏みするように凝視した。やがてその瞳には妖しい炎が萌すのである。
「おや、キャロルは?」
ヒューリアの私室に姿を現したのはメンフィス王その人であった。室内にキャロルが居ないのを確かめるとメンフィスはヒューリアに手を差し伸べた。
「先ほどは失礼した、ヒューリア殿。あなたに恥をかかせるつもりはなかったのだ。だが不快に思われたのであればお詫びする。
どうか許されよ」
ヒューリアは凛々しい青年の言葉に不思議に心乱れた。
「よ、良いのです。そのようなこと。自分より強き相手に負け、己の未熟を知ることは恥辱でも何でもありませぬゆえ」
ヒューリアは言葉を切り、自分より力溢れる英明なる王に我知らず赤面した。
「まこと・・・あなたはお強い。ヒューリア、感じ入りました」
その不器用な恋の告白に気づくメンフィスではなかった。ヒューリア自身、男などに膝を屈して、少しも屈辱を感じぬ自分に驚いていた。
わたしは昼組さん。
仕事・残業の合間にちょくちょく覗くのが楽しみ。。。
今のこのスレとても充実していて嬉しい。
ヒューリアのお話も続きをキヴォンヌ〜
と、書き込んだところでヒューリア初恋のうpを発見!
作家様、ありがと。
ここでメンフィスと会えるのが嬉しい〜(でも王子も好き)
>>489 21
キャロルはそう長く気を失っていたわけではなかったようだ。
心配そうなイズミル王子がキャロルの口元にお茶の器を当ててくれた。痛みを覚えるほどに乾いた喉を、お茶は心地よく滑っていった。
「すまぬ、ナイルの娘・・・。まさかあのように・・・」
心配そうなはしばみ色の瞳、気遣わしげな声音がキャロルに告げた。先ほど聞かされたことは嘘でも夢でもない、と。
「王子・・・。さっきの話は・・・・本当?アイシスは・・・・」
王子は頷いた。
キャロルは目を見開いたまま、意識の深淵に飛ばされるような心地を味わった。
―キャロル、私はそなたを再び故郷に戻してやることはできぬ!そのような怨みがましい顔をされては目障りじゃ。どこへなと去ね!
―そなたはもはやこの世界でしか生きられぬ。もし私にそなたを元の世界に飛ばす力があったとしても・・・その力をそなたのために使う酔狂はせぬ!
メンフィスへの恋、キャロルへの嫉妬に狂った美女はキャロルに辛く当たった。アイシスの秘術によって古代に引き込まれたキャロルは一縷の望みをアイシスに託していたのだが・・・。
(私はもう・・・帰れない・・・)
今まで敢えて考えぬようにしていた恐ろしい事実がキャロルを押しつぶした。
声も出せず、身動きも叶わず、ただうつろに目を見開くキャロルを王子は強く抱きしめた。
「ナイルの娘、気をしっかり持て!ナイルの娘、しっかりといたさぬかっ!」
王子はキャロルが哀しみと絶望のあまり狂って死ぬのではないかと危惧したのだ。
王子の心配を余所にキャロルは狂いも死にもしなかった。
あの衝撃の日。キャロルは一人にして欲しいと静かに、しかし鬼気迫るまでの気迫で人々に言い、死人のように部屋に籠もった。
22
その間に彼女が何を考え、涙したのかは誰も知らない。翌日の午後遅く、部屋の扉を開いたキャロルは硬質な平静さで自らの心を鎧い、その胸の内を明かさなかった。
「・・・・私は大丈夫・・・」
キャロルはただそう言った。
王子はキャロルにエジプトからの報告書を見せてやっていた。
愛しくも憎たらしい少女に衝撃を与えてやろうとアイシスの死を性急に告げた王子だが、あの日以来、心を殺してしまったように過ごすキャロルに償いをしたい気持ちでいっぱいだった。
本来なら機密である文章をキャロルに見せてやるのも、それがせめてもの詫びだと思うからだった。
そしてどのようなものであれ、真実だけがキャロルの心を癒やし、活力を与えると信じるが故の・・・。
「アイシスは・・・苦しまずに逝ったのね。せめてもの・・・」
キャロルは呟くように言って報告書を王子の手の中に返した。
リビアの暗殺者に狙われたメンフィスを庇って絶命したアイシス。メンフィスは生き延び、皮肉なことに政治的配慮から今度はリビアの王女を娶る羽目になったという。
「可哀想なアイシス。可哀想なメンフィス・・・・。虚しいわ。失ったものが多すぎる」
「ナイルの娘よ・・・」
「アイシスはね、私の姉妹のように優しくしてくれたこともあったのよ。
メンフィスのことがなければ、私とアイシスはこの世界でもきっと仲良く過ごせたわ」
イズミル王子は淡々と語る幼いといってもよいような年の娘に、痛々しさを覚えた。
「ナイルの娘・・・。私はそなたに済まなく思う。私はそなたを哀れに思う」
キャロルは、はっとしたように王子を見上げ・・・迸る感情を抑えることも叶わず泣きだした。
>ヒューリアの初恋作家様
キャロルにもメンフィスにも「ぽっ」らしいヒューリア。
回を追うにつれ面白くなってきます。
メンフィスの「凄いらしいぞ」発言に悶えて萌えた私はマイナーのメンフィスファンです。
兄妹作家さま
王子を幸せにしてやってくださいまし。
本誌ではまたまた不幸に突っ走りそうです。
ヒューリアの初恋、話のテンポ良いしすっごい面白いですね!
こういう画期的な作品を待ってたんだ。
ヒューリアはメンフィスに惚れるのか、それともキャロルに惚れるのか?!
・・・アマゾネス一族はちょっとレズビアンの気があるのかしら?
うんうん、ヒューリアのお話、すっごいスピーディで読ませるよね。
長編も楽しみだけど、こういうのも大好き!
ヒューリアはメンフィスに惚れるんだと思っているけれど、実はキャロルにも
惚れてしまっているのか?
ああ〜、週末がまたキター。続きが待ち遠しいモノばかり。。。
メインにヒューリア使ったところがイイよね。
ヒューリアがキャロルにキワドイ事して、メンフィスが複雑な嫉妬にイライラして欲しい。
いつも他の男に嫉妬するのはメンフィスの常だけど、女に嫉妬するなんて新鮮じゃないすか!?
ところで、他にキャロル&メンフィス両方に惚れたヤシといえば・・・アルゴン?
>>485 アナトリア高原に入ってから、一行は更に首都ハットウシャへと先を急いだ。
出迎えたヒッタイト兵が、道案内と護衛の役についたからであろう。
だが、キャロルは旅の終わりの日が近づくにつれて段々と沈む自分の気持ちを、どうすることも出来ずにいた。
(アイシスは相変わらず近寄りがたい。そして…ハットウシャに到着してしまったらイミルともお別れなのね…。)
いよいよ明日は宮殿に、という夕方、長旅の疲れを癒すためにハットウシャ郊外の小さな館にイズミルに案内されてやって来た。
「イミル、そなたのお陰で無事ハットウシャに到着することができた。大儀であった。」
アイシスは鷹揚に言った。
「そなたの労に報いたい…良き縁があればという件、そなたの望みを叶えてやろうと思うのだが。」
「…。ありがたき幸せにございまする。」
(…!イミルは誰かと結婚するの…?!)
キャロルにはアイシスとイズミルの言葉の裏にある真実などわからない。
(これから交わされるイミルの結婚の話など、聞きたくない!)
「あの…アイシス、もう下がらせてもらっていいかしら…」
キャロルはそれだけ言うのがやっとであった。
>>523 「では、私がお部屋にご案内を…」
言いかけるイズミルをアイシスはやんわりと制した。
「いや、わたくしが連れて行こう。姫にも苦労をかけた。旅の疲れであろう。
あとで、そうじゃな…疲れの取れるような何かを持って参るように…イミル、よいな?」
アイシスは目配せをしてキャロルを寝室に送っていった。
「キャロル…このヒッタイトまで要らざる苦労をかけた。だが、もう安心いたせ。」
アイシスの言葉にもキャロルは答えられない。
「如何いたした?キャロル。」
キャロルの目から涙が溢れ出て来た。
「アイシス!旅の途中でいろんなことがあって、アイシスは急に冷たくなるし、私、もう…どうしていいのか…」
「何を申すのじゃ。わたくしは、ずっと常のわたくしじゃ。そうであろう?」
「う、うん…でも…」
「そなたの涙は、それだけが理由ではなさそうじゃ。正直に申してみよ。」
だが、キャロルには自分の感情を上手に整理して話すことなどできなかった。
「わからないの…でも涙がでてくるの…」
(そなたを愛しむのも今日が最後…)
アイシスはキャロルの碧い瞳をじっと覗き込んだ。
「そなた、恋をしたいと言っておったな。」
「…えっ?」
アイシスはそう言ってキャロルから離れた。
「そこにいる男が恋しいと想うのであれば…」
キャロルが振り向くとそこにはイズミルが立っていた。
「わたくしはそなたの幸せを願っておる。恋をして結ばれたい相手がいるのならば、あとはそなたの気持ち次第じゃ。」
そのままアイシスは真っ直ぐ前だけを見て部屋を出て行った。
>>524 (恋…?私が…イミルに恋を…!)
アイシスに言われて、ようやく自分の胸を切なくさせる感情の正体にキャロルは気が付いた。
イズミルは静かにキャロルに近寄ると、その頬をそっと両手で包んだ。
「あ、あの…イミル…」
何かを言わなければ…でも何を言えばいいのか…キャロルはうろたえるばかりで言葉がでてこない。
「姫…何も申されますな…ただ、お約束をしていただいてかまいませぬか?」
イズミルはキャロルの頬に添えた両手を徐々に首筋に、そして肩、背中に滑らせながら言った。
「私は姫に恋をしております…こんなにも人を恋しく想ったのは、初めてでございます。
旅の宿直は今宵で終わりますが…私は必ず姫をお迎えに上がります。
どうか次に逢うときには、私の花嫁に…姫。」
キャロルは震えながら小さく頷いた。
「おお…ではお約束の印に…」
キャロルはその言葉の意味を本能で悟り、静かに目を閉じた。
イズミルの唇がキャロルの唇に重なる。
>>525 イズミルは寝台にキャロルを静かに横たえた。
「昼に夜に姫を腕に抱き、私は幸せを感じつつも苦しく切ない日々を送りました。
だが、それも今宵で最後。姫、お約束どおり…次に逢ったときは身も心も私の花嫁…」
髪に瞼に耳朶に、イズミルは約束の印を残すかのように唇を這わせる。
今は遠慮することなくキャロルを抱きしめるその腕は、キャロルを離すまいとしっかりと自分の身体に縛り付ける。
「…あっ…イ、イミル…」
イズミルの唇がキャロルの首筋に強く約束の朱い印をつけた時に、キャロルは初めて声を上げた。
「姫…男女が一つ寝所で眠るというのは…こういうことなのです。おわかりになりますね…。」
キャロルとてその意味は充分わかる。
未知の領域への恐怖心と甘い期待−だが、キャロルの中で甘い期待が膨らんでいく。
その期待を裏切るようにイズミルは突然キャロルを開放した。
「さあ、明日は王宮で国王ご夫妻にお目通りでございます。
ゆっくりとお休みにならなければ…。」
(このままでは…明日、姫は王宮に、いや人前にさえ姿を見せられまい…すべては明日のため。)
>>526 −翌朝
エジプトからの一行を迎えるハットウシャ宮殿の歓迎の騒ぎに紛れて、
手慣れた様子で裏門から宮殿に滑り込む若者の姿に誰も気が付かなかった。−
「久方ぶりである、アイシス女王よ。遠路、よくおいでなされた!」
王宮の接見の間ではヒッタイト国王夫妻が到着を待ちかねていた。
「此度のミタムン王女のこと…心より御悔み申し上げます。」
「うむ。ミタムンのことは無念であった。まだ若き娘を先に亡くすとは。」
ヒッタイト王妃はやつれた表情で言葉もなく国王の隣に座っている。
「これにあるはエジプトのファラオより、ヒッタイト国王に宛てた書状にございます。まずはこちらを。」
その書状は、当初エジプト出立時にメンフィスより託されたものではなく、
早馬によって昨夜、ようやく館に運ばれてきた新たな書状。
(メンフィスはどのような気持ちでこの書状を…しかし確たる証拠が我が手にある以上、わたくしの申し出に否とは言えぬ筈。)
「ほ…う…。」
書状に目を通したヒッタイト国王は驚きの表情でアイシスを見た。
「婚姻による同盟とは。ミタムン亡き今願ってもないことであるが、この条件はヒッタイトに有利とも思える。エジプトの真意や如何に?」
「真意も何も。本来、我がエジプトのファラオとミタムン王女の婚姻により同盟を結ぶ筈でありました。しかし、王女はエジプト滞在中不幸にも事故に遭われて…事故を防ぎ得なかったエジプトの落ち度にございます。
ヒッタイトの世継ぎの王子と、これに控えるナイルの女神の娘、キャロルとの婚姻により、両国の和平と同盟をより確かなるものに。
それがすべてにございます。」
エジプトの落ち度、と言いつつも気高い女王は遜った態度など決して見せない。
アイシスは居並ぶヒッタイト高官の耳に届くように、堂々と言い放った。
つ、つづきを〜〜!!>初恋物語作家様
・・・・・・・・・・・・・・
ああ、続きが気になるよ〜
作家さまカモーン!
>531
529は初恋作家さんに粘着してる香具師だろ。
マターリ脳内あぼーんでつよ(´∀`)つ旦
>>532
今日もたくさんの作品が読めて幸せ。
また明日も作家様のご降臨、皆でお茶でも頂きながら
マターリお待ちいたしましょうぞ (=^〜^)o旦~
だ、誰も来てないの〜?ここのところ、週末もなにかしら
新作うpがあって幸せだったのに今日は寂しいでつね。
月曜日までお預けでしょうか。くすんくすん・・・
いや、きっと初恋作家さんは
来てくれるはず・・・・・と信じて何回も覗いている私。
書きためてるから待っててネ
>537作家様
わくわく(*≧∀≦*)
>>537さんじゃないけど、「初恋物語」はあと5話くらいで完結するので、
これからうpします。
読んでくれた方、生温かくスルーしてくれた方、ぐっと堪えてくれた方、
今までありがとうございました。
>>527 エジプト女王として正装したアイシスが、ヒッタイト国王夫妻をはじめ、居並ぶ臣下の前で口にした
ファラオよりもたらされたこの書状の内容は、接見の間をゆるがすには充分すぎる内容であった。
「おお!ナイルの女神の娘を我がヒッタイトに!」
「これはまことに良き同盟ぞ!」
「王!ご決断を!」
この興奮の中、当のキャロルだけが一体何が起きているのかを把握するまで、かなりの時を要した。
(婚姻による同盟?エジプトから誰が…?)
皆の視線が一斉に自分に注がれている。
(えっ?私?私がっ?!)
「ア…イシス、」
アイシスに声を掛けその腕を掴もうとするが、舌がもつれ、足が前に進まない。
(なぜ、私がっ!だって私は…)
「ふむ、これは目出度き話しぞ!だが、我が世継ぎの王子はなんと申すか。」
「どうして…私なの…アイシス…」
キャロルがようやくふらふらとアイシスに歩み寄り、その腕に縋り付いた瞬間−
「否、とは申されますまい。この婚姻は当の本人同士の強い意思によるもの。」
アイシスの言葉と同時に接見の間の扉が開き、商人の仮面を脱ぎ捨て、今は王子の装束を身に纏ったイミル−イズミル王子−が姿を現した。
「父上、母上、ただ今戻りました。ここにいるナイルの姫は私の花嫁。
このヒッタイトまで我が腕で大切に守り、連れて参りました。」
>>540 「アイシス…イミルは…イミルはヒッタイトの王子だったの?」
「キャロル、そなたの望みどおり恋をして婚姻するのじゃ。それがそなたの幸せ、そうであろう?」
自分の腕に縋るキャロルの白い手を取りながらアイシスは言った。
「イズミル王子、さあ、エジプトの女王であるわたくしの手より、ナイルの女神の産みたもうた黄金の姫、受け取られよ!」
アイシスに差し出されたキャロルの白い手を受け取り、緊張のあまり震える肩をそっと抱きながらイズミルはキャロルに囁いた。
「姫…約束どおり…迎えに参ったぞ。」
そしてキャロルが今朝自分の目の前で、懸命に白粉や首飾りで隠した首筋の約束の朱い印を、そっと指で撫でた。
「イミル…あなたは…」
「アイシス女王が世話してくれた良き縁…姫も約束を違うことなど…なかろうな?」
−昨夜の約束ぞ…ここにまだその印が鮮明に残っておる。そなたは承諾したはず。−
首筋を撫でられる度に目に見えない柔らかな羽がキャロルの全身を擽る。
−あっ、はい…−
「父上、母上に申し上げる!
アイシス女王滞在中に、私、イズミルは、ナイルの女神の産みたもうた黄金の姫と
婚姻の儀式を行うことをここに宣言いたしまする!」
キャロルの小さな承諾の言葉を、自分の耳でしっかりと聞いたイズミルは上気した顔で大きく宣言した。
接見の間のざわめきはそのまま王宮内のどよめきへと変わった。
「我がヒッタイトとエジプトの同盟は成立した!今宵は宴じゃ!」
ヒッタイト国王の言葉に、ミタムン王女の逝去以来、沈んでいたハットウシャの宮殿は沸きかえった。
その慶事はすぐに国民にも知らされて、首都ハットウシャ全体が慶びで満ち溢れる。
>>541 宴は夜更けまで続いていた。
−その慶びの声が微かに届く王宮の一室−
ヒッタイトの古い慣習に則って、母親が初夜を迎える娘に薄化粧を施す儀式が、ひっそりと執り行われていた。
しかし花嫁、キャロルの母は当然この古代にはいない。
「ナイルの女神に代わり、わたくしがそなたの母上の役目を…キャロル、幸せになるのじゃぞ。」
「…アイシス…私…」
「ほらほら、泣いてはならぬ。せっかくの化粧が流れてしまうぞ…」
そのアイシスも眦にうっすらと涙を浮かべている。
「キャロル、そなたはイズミル王子の良き妃となり、そなたの優しさでこの国の民を治めるが良い。」
花嫁の部屋に花婿のイズミル王子が迎えに来た。
母から−この場合はアイシスであるが−花嫁の手を受け取り、寝室へと導いていくのは花婿の役目。
イズミルに導かれた部屋は、初夜に相応しく適度に明かりを落とした、しっとりと落ち着いた設え。
「姫…昨夜の約束は…」
寝台の前までキャロルを導いたイズミルであったが、今一度、キャロルに問いかけた。
「イミル…いえ、イズミル王子…」
キャロルはようやくイズミルの名前を正しく呼んだ。
「私は何も知らずに旅に出たの。でも、アイシスもイミ、イズミル王子も最初からそのつもりだったの?」
(姫は怒っているのか…?私が姫を謀ったと…)
>>542 だが、最初は確かにアイシスと謀ったこと。
キャロルは何一つ説明されていないのだが、イズミルにとっては、キャロルがアイシスから何を聞かされたのかと、想像しただけで胸が塞がる。
「姫!私はっ…!」
狼狽し激情に流されるまま、キャロルを寝台に押し倒し、その唇を塞ぎうわ言の様にキャロルに許しを請う。
−私はずっと姫に恋していた−
−その白き身体を我が腕に抱きながら、なんと切ない道中だったことか−
−我が妃にと願ったその日より、女神イシュタルの祝福を得るまでの長き日々−
「イズミル王子…あなたは私に身分を偽って近づいてきたわ…」
キャロルの言葉でイズミルの愛の動作が止まる。
「姫…どうあっても私を許さぬと、そう思っておるのか…?」
「許せないわ…許せない…私を騙して…」
その言葉と裏腹にキャロルはイズミルの首に両腕を回した。
「だから…今宵からはずっと私の側で休んで…。これは罰よ、イズミル王子。」
キャロルの突然の行動と言葉に、イズミルの顔がぱっと輝きを増す。
「おお…姫よ!では、今宵よりこの宮殿にて姫の宿直を勤めようぞ。姫が私を許すまで、永久に…。」
そして、新婚の夜の清楚な衣装に身を包んだキャロルの身体をそっと撫でる。
その指が衣装を束ねる紐の先を探り当てた時…イズミルはキャロルに言った。
「しかし、姫に男女が一つ寝所で眠るとは本当はどういうことか、
これから私が時間をかけてゆっくりと教えてやらねばならぬ。
そうでなければ、宿直をしていても私は切なき心を持て余すままぞ…姫よ。」
キャロルは恥ずかしげに小さく笑った。
−キャロルの甘い期待は、今宵は裏切られることはなかった−
>>543 「アイシスの婚儀に…必ずエジプトに行くわ!」
ここは地中海に面したヒッタイトの海岸の城。
イズミル王子とキャロルの婚儀を見届けたアイシスは、ビブロスで建造されたばかりの新造船を廻してもらい、海路エジプトへ帰国することとなった。
「ほほほ。キャロル、まだ新婚のイズミル王子が、そなたを一日たりとも離したりするものか。」
首都ハットウシャから見送りに来たイズミル王子とキャロルを前にアイシスは言った。
「イズミル王子、キャロルの身体が心配ゆえ、その必要はない。またいつかゆっくりと…。」
(ヒッタイトから一歩たりとも出すことなく…二度とエジプトの地を踏むことなく)
イズミルも、アイシスの言いたいことは充分わかっている。
「アイシスー!元気でー!幸せになってね!」
船の上からでも、城壁の端に立ち黄金の髪をなびかせてキャロルが叫んでいる言葉が、アイシスにだけは聞こえる。
(そなたも…)
「さあ、エジプトへ帰ろうぞ!出航せよ!」
アイシスの命令で船はゆっくりと岸を離れ始める。
>>544 (イズミル王子、わたくしはそなたに最後まで本当のことを話さなかった。
わたくしの母は、カプターの魔の手からなんとか生き延び、縁を頼りにバビロニアに逃れたのじゃ。
あの時、母は再び身籠っておった。カプターは母が世継ぎの御子を上げることを恐れたのであろう。
だが、月満ちて母が産み落としたのは女子であったそうな。
今もバビロニアの王宮奥深く…ネフェルマアト王の血を呪いながら、母と我が妹は生きておる…)
アイシスは遠ざかるヒッタイトの地にもう一度目を向けた。
キャロルの姿も、その側に立つイズミル王子の姿も今は見えない。
(イズミルよ、キャロルは確かにエジプトとヒッタイトの友好の礎となろう…
しかし、その礎が足枷になる、と気付いた時にはもう遅いのじゃ。
恋や愛などで国を治めることはできぬ…そなたがその本当の意味に気が付くのは、いつの日であろう。)
−いや…そのようなことに気付くことなく、恋する人と静かに穏やかに暮らすことができれば…−
アイシスの胸に遠くバビロニアの空の下、同じように国を治める大柄な男の影がゆらりと浮かんできた。
「アイシス様、風が強くなってまいりました。そろそろ船室に…」
アリの声でふと我に返る。
(わたくしは女王アイシス、下エジプトの民のために…母のために…そしてわたくし自身のために…!)
「アリ、下エジプトに到着したらすぐにバビロニアに使いをだせ!
メンフィスとわたくしの婚儀の祝賀の使者、かのバビロニア王女の訪問を心より歓迎すると。」
アイシスは二度とヒッタイトの地に目を向けることなく船室に向った。
END
初恋作家様リアルタイムで読ませて頂きました。
魅力のある話作り、筆力…見事でした。
次の新作も楽しみにしています。
ゆっくり休んで下さいまし。
初恋作家様、ありがとうございました。
終わってしまうのが、悲しいような、ハッピ−エンドで嬉しいような、、
これを楽しみに毎日、覗いていたもんで。
余韻を残す終わり方で、とてもよかったです。
>>547 そうそう、いい人キャラのアイシスさまがメインで
続編ができそうな終わり方ですね。
大好きな初恋物語でしたが、タイトルらしくほのぼのきれいに
ハッピーエンドになったところもまた良かったです。
(違う話ではドロドロなところが好きだったりするんだけど)
途中変なレスが付いてきて心配していたんですが
最後まで読めて良かったです。作者様ありがとうございました。
次回作も心よりお待ちしております。匿名でどの作者さまなのか
さっぱりわからないのはあとくされがなくていいんでしょうけど
ちょっと寂しいですね。
週末と知りつつ。
ヒッタイト道中記作家様&願い作家様を
待ってみる(´・ω・`)
初恋作家様、楽しませていただきました。
キャロルの姉のようなアイシス、っていうのもいいですね〜。
その後の「初恋」というような続編も是非待ってます。
週末だけれど、道中記作家様&願い作家様
ご降臨されないかと思いつつ、また明日の深夜に来てみます。
>552
可愛い?ワラタ
>>551 を、深夜組の同士タソ!
私も道中記と願い作家様のご光臨をお待ちして度々チェック。
願いの破滅型サド王子、道中記の熱々の王子、好きなんですよね。
どちらも最終回近しと言われてたのでチョト寂しいですが・・・でも楽しみにしてます。
初恋も終わっちゃったし、お気に入り作品が終わっていくのは寂しいなぁ〜
>>537 さりげなく優しいオネエサマのような作者様に萌え。
厨房のくせにすでに王家で欲求不満に陥ってた。
ここに来ると癒されるなあ…………
自分が考えてたネタ、キャロルが強引に鬼畜王子にヤラれちゃった設定で
半分以上狂ってるつーか、メンフィス共々エロなんだよね…(鬱
逝ってきます…
>>548 作者様は、それぞれ書き癖みたいなものがあるので
良く読むと判るものです。符号や記号も参考に(σ´∀`)σゲッツ!!
>>557 す、すご〜い。わかりますかねぇ・・・。ちなみにレギュラー作者さんって
何人くらいいらっしゃるんでしょうかね。
>>557 557の読解能力すごいなぁ。
私にゃさっぱり・・・
最近書き始めたとコメントされてた作家さまも多いので、結構な数の作家様がいらっしゃるのではなかろうかと思っておりますが・・・
匿名だから作家さんも前作のイメージとかにとらわれず書きやすいのかもね。
初恋物語 作家様。
素晴らしい話をありがとうございました。
このアイシスが好きだ〜。
しかもうPが大量だし早いし毎日楽しみでした。
>>557 ううう。私にはわからない…。まだまだ精進が必要ですね。
>560
私も分からないけど、分かろうともしてないな〜
楽しく読むのが一番!
初恋物語作者さま、
新鮮なアイシスの姿が楽しみでした。ありがとうございました。
道中記作家様&願い作家様〜〜〜今宵も首をながーくして待っております。
折角匿名で書きやすいのに、あれとこれは同じ作家の〜
とか言われたら、こっぱずかしくって新作出しづらいなぁ。(;´Д`)
ピーンと来ても内緒でおながいしたいでつ。
もちっとこちらも精進して、書きグセ見直しに逝ってきまつ。
お願い 作家様、じらさないで〜!
>>563 一人でコソーリと言うのが楽しみなのですよ〜
どうぞ安心して下さいな♪大人の乙女の常識ざーんす。
口も指も固いのですよ♪
新作書きたいんだが、ネタ切れ・・・
誰かヒントかネタ頂戴〜
王子もので萌えシチュエーションってどんなのがありますか、皆様?
ライアンがじゃまをする。
王子といやぁ甘く厳しく調教モノ
ケコーン何年目かの、甘やかされて弛みきったキャロルを
難癖付けてはオシオキするも、そっち方面での王子に
魅了された妃はなんだかんだいってしあわせ&らぶらぶ〜〜
;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン汁!! ばーい myselfでつか?
>>568 ワラタ!
ターン・・・・せずとも良い。
ミラに恋する王子はどうですか?
今宵もまた来ますた深夜組です、そして寂しく帰ってく...
逆パターンが見てみたいかも。
現代に来るメンフとか、王子とか。
>568
めんふぃバージョンで見てみたいと言ってみる。
568にちょびっと萌えた。
ターンしに逝って来る。。
ああ、メンヒスのお仕置き・・・激しく見てみたいかも!!
でもメンフィスって口では「ただではおかぬ!」とか「どうしてくれよう」とか
kナーリ激しいこと言ってるけど、いざベッドに入ると以外にすごく優しそうな気がする。
↑禿同〜
いつもいつも、夜明け前か・・・・
その前を見たいんじゃい
真夜中見せろ・・ハァハァ
・・・腐女子逝ってきます・・・
576のハァハァぶりにワロタ。
でも私も見たいぞ〜!
うんうん、メンフィスはメロメロに優しくしてくれそうだよね!
王子は意地悪&サドっ気が魅力だけど案外身勝手そうだ。
初夜の時、痛くなくしてくれそうなのは実はメンフィスの方かも〜!!
・・・なんて自分で言って萌えてしまった。逝ってきまつ。
妖かし婚のあとトントン拍子に一線を超えてしまい更に
妊娠したりした後やっと正気に戻って苦悩するキャロルをどうにかこうにか
振り向かせる王子、みたいなのは既出でせうか?
>>568タソ以降、みんなまとめて
ターン!、ターン!、ターン!、ターン!、ターン!だゴルァ!!
そしてわたしも・・・y=ー( ゚д゚)・∵. スイマセン----ガクッ------.
>>517 23
「私はもう帰れない!帰れないの!怖い、怖い、怖い!
誰か助けて!お願い、私、私、もう帰れない!誰にも会えない!」
王子はキャロルが初めて見せる感情の奔流に驚きながら、そっとその小さな身体を自分の胸の中に抱きしめた。
「どうして私が?まだやりたいことがたくさんあるのに!家族にお別れすら言っていない!
もう帰ることも叶わず、生涯、戦の元凶となったっていう重荷を背負っていくの?ひどい、ひどい、ひどい!」
病的に痙攣するキャロルを王子はしっかりと抱きしめた。まだまだ子供のキャロルにはもう自分の感情とストレスの奔流を自制することなどできなかった。
「いやあっ!」
王子を突き飛ばして闇雲に窓際に駆け寄ろうとしたキャロル。
王子はかろうじて虚空に飛び出しかけた白い身体を抱きしめ、当て身でしばらくとはいえ安息を与えてやれたのである。
王子はあわてふためくムーラ達を制して自分でキャロルを寝室に運んでいってやった。
「私はどうすればよいのだ、ナイルの娘よ。そなたを見初めて母女神の国から連れてきたのは私だ。
故郷に帰る手だてを失ったそなたは、残りの生涯を自分を責めることで過ごすのか・・・?
私はそなたをそのような目に遭わせるために我が手許に引き寄せたのではない。そなたを望んだことでそなたを不幸にするのは私の本意ではない」
王子はふうっと重い吐息をついた。
「・・・・・・・・許せよ」
24
キャロルが目を開くと、王子のはしばみ色の瞳と目があった。
「ずっと・・・側にいたの?」
「うむ・・・」
「向こうに行って。一人になりたいの」
キャロルはぷいと王子に背中を向けた。先ほど憎い相手に自分の見苦しいところを見せてしまったことが悔しくてたまらない。
「一人にはしてやれぬ、私の話を聞くまではな」
王子は無理矢理、キャロルを抱き起こして自分の方を向かせた。キャロルはかっとなって王子を撲とうとした。
「いい加減にせぬかっ、ナイルの娘!」
王子の一喝にキャロルは思わず縮み上がった。そのままふくれっ面で王子の言う通りにするキャロル。
王子は厳しい顔つきを崩さぬままに言った。
「よいか、ナイルの娘。先だってもそなたに申し聞かせたはずぞ、人の上に立つ身分の者は我が儘勝手は許されぬと。
そなたは申したな、戦は自分のせいだと。思い上がりも甚だしい勘違いだ。
確かに私がそなたを手許に連れだしたためにエジプトより不興を買ったやもしれぬ。だが、たかが娘一人で戦になどなるものか。
ミタムンの事故死、エジプト国内の施政不満を外に逸らすため、若き王の国威発揚行為、シナイ銅山の利権争い・・そのような諸々がこたびの戦の下地だ。
私がそなたに見せてやった書類のどこを読んでいたのやら。
自分の不幸に酔って客観的に事実を見られぬとは呆れた愚か者よ。私はこのような者に入れ込んだというわけか?」
挑発的に言い募るイズミル。キャロルは最初、呆気にとられたように、そして見る見る怒りと屈辱感で真っ赤になって王子を睨み据えた。
「私は愚か者じゃないわ!私はただ・・・どうしたらいいか分からなくて」
「ふん、では分かるまで考えるのだな」
王子は軽くキャロルの頭に手をのせて部屋から出ていった。
578タン、、それいいなあ。
私的には抱かれると正気になるキャロルとかね〜
あらぁ、ターンされちゃったけどお目に留まって
嬉しいでつ。
>兄妹作家様
キャロルの反応に一喜一憂、日頃の冷静さはどこへやらの王子もいいけど
平気でキャロルを教育(育成じゃなくて)する王子って新鮮。
王子がキャロルを叱る理由っていちいちもっともってかんじがします。
久しぶりのうp有難や〜。兄妹のイズミルって冷静で余裕があって
いいですね。本編の王子に爪の垢でも飲ませたいものざんす。
週明けウプ嬉しい〜。
兄妹作家様のイズミル王子はきっとハッピーエンドだと思うんだけど
キャロル、いつも王子に怒るか八つ当たりするばっかり(笑)。
早くなびかないかなー。
・・・メンヒスと王子に二人がかりでされちゃうキャロル。
だめ?
これ以上のシチュエーション思い浮かばないよぉ。
だってメンヒスも王子も好きなんだもん。
Ψ(`▼´)Ψ系作家さま、ちょっとキツーイのをかまして頂けませんか?
王子に夢中なキャロル。
でも、王子は振り向いてくれない。
あの手、この手で王子を振り向かそうとするキャロル。
いつもと反対バ−ジョンで。
ええと何かでキャロルが脅迫されてメンフィスとイタしてから
イズミル王子の元に行く、しかしキャロルの心が奪えないと知った王子は
媚薬を使ってキャロルの体から攻略していく(エロ
実はキャロルはメンフィスの子を宿しているのだがそれを知らない王子は
懐妊を喜びキャロルを王妃とする。
しかし怒りまくったメンフィスが・・・・・・・(略
今夜、願い作家様と道中記作家様の光臨はあるかな〜
>>507 (……あれからどの位…?何日?ルカは…無事なの?…)必死に意識を集中する…
(…確かめなきゃ…)
「っ…ぉ、お水が…欲しいの…ぉっお願いっ…」背中から乳房をやんわりと揉み、うなじに熱い舌を這わせる男に懇願した声は
啼き続けたいるせいかひどく擦れている。
するりと手を抜き体が離れ、起き上がる気配に振り向くと、床に落ちている衣装を羽織り戸口に向かって行き
扉を開け、パンッパンッと手を打つ乾いた音が響いた-----
(あ…明るい…)開けた扉から差し込んで来る、明るさと冷たい新鮮な空気がスーッと部屋に入り込み
体に皮膚のように粘るように絡みつき、貼りついたものが、はがれ落ちていくような清涼感----
ゆっくりと部屋を見回して見ると…天井から重く垂れている幾重にも重なった布が鎧戸をも塞いでいて
わずかな燈火の灯りのみ、音さえも入り込まない-----隔絶たれた空間-----
やがて、回廊に控えていたであろう者に何事かを話し、寝台へ戻りそっとキャロルの横に座る…
(王子が沈黙すると怖い…何を考えているのかわからない…)
が、ずっと気に掛かっていた事を口にする機会を無駄に出来ない-----
「…あの…ルカは?ルカはどうしているの?…」(ひどい事をされてないと、いいのだけど…)
「喋るな!」その剣幕に思わずピクッと肩を竦ませた
(…怒らせた…でも…確かめなきゃ…)と、唇をを開きかけた途端に、大きな手で口を押さえつけられる----
「んんっ!」(何…?)訳もわからず、王子の手を引き剥がそうともがくキャロルに
「そのように、暴れるものではない…」
「そなたの供は、続きの間に控えている…案じるな」乱暴な行動とは裏腹な、優しい声…
(ルカが…ルカが生きてる!!)……キャロルの顔がパッと明るいものへと替わる
----それは捕らえてから見せた、初めての笑顔-----
(…いつも…私の傍らで微笑んでくれるなら…)口を塞いでいた手を離し、キャロルの衣装を白い体に落とす
「…ふっ、そなたに約束したであろう…」
「約束は違えぬと……私はそれ程に信用ならぬのか?…」その顔はひどく傷ついている風にキャロルに映る。
「王子…私です」と扉の向こうから声が掛かる
「ムーラか」
「…はい。お命じになられた物を持って参りました…」
「…待っておれ」と声を掛け、扉へと歩いてゆく
(…久しぶりに他人の声を聞いた気がする…)
二言三言話した後に、手に盆を持ち戻ってくると、燈火が灯る花台の横へ置く様を、ぼんやりと眺めていた
それは、数種類の果物・パン・壷などが青銅の盆から落ちそうな程に盛り付けられている
その中から壷を手に取り、高杯へと注ぎつつ
「姫、こちらへ参れ…」と自分の横を空いた手でポンと指し示す…
しっかりと衣装を体に巻きつけて、促された場所から少し離れてに座ると
その様を横目でちらりと確認し、高杯を口元へ運ぶと、ゴクリと口に含み顎に手を掛け顔を上げさせると
唇を重ね、舌先で唇をやんわりと開け、ゆっくりと杯の中身を注ぎ込む…
「っ!!」…お酒が入っていると思っていた、が…注がれた液体の爽やかさが口中に広がると
(?…甘い…はちみつ?……)柑橘類の酸味と混ざり合いほの甘い液体は、喉越しが良くとても美味しかった
唇へ全て注ぎ終えると、数回、同じ行為を繰り返す----
少しの沈黙の後、目を開けると-----
「…もう少し飲むか?」と、問う声は初めての口づけを交わした後のような、所在なさげな仕草も交じり
いつもは、大人な男の中に、少年ぽさを感じる----
「…ぇえぇ」と、唇を開いた瞬間に「話すなと申すに…」と慌てて唇を塞ごうとして----
「すまぬ…問うたのは…私か…」目尻に薄い朱に染めて微笑んだ
(…こんな笑顔も出来る人なんだ…)先程から感じている『変化』に戸惑う
そして(?…あっ!蜂蜜…)ようやく気が付いた-----さっきの乱暴な行動の意味が
(私の為?…気を遣ってくれたの?)----自分の身を案じての行動だった事-----
近づいてくる唇に、静かに目を閉じる。
全て飲み干したのに…未だに離れない唇が、次第に甘く深くなる……
唇を外し「…そなたは媚薬のようだな…」(触れれば、深く求めずにはいられない)
「…湯殿の支度も整ったようだ…」とキャロルを寝台から抱えあげて、戸口へと向かう
(…この人が、王子がわからない、優しいのか恐ろしいのか?)
回廊へ出ると、眩しさに目をしばたかせ、やがて体の五感を取り戻す…と、
自分を抱いている腕の感触への違和感を感じる、思い出す暇もない…故意に思い出さないようしていた
懐かしい…愛する人と異なる、体臭、抱き上げられて見渡す風景、視線の高さ、温もり、空気の匂い-----
…涙を我慢するのが精一杯で瞼を閉じると、ハッキリと思い出す事が出来る顔…(メンフィス…)
身を預けている自分が…とても厭わしい
(ルカ…ルカだけは必ず無事に逃がさなければ…私には…もうそれしか残ってないのだから…)
(…姫の心は…今…ここに無い…)震える睫毛…隠されてしまった青い瞳、腕の中でこわばる体が小刻みに震えている
(…これ程に……)自分の気持ちが振り子のように大きく揺れている
ぎりっと歯噛みし…キャロルの一挙一動に大きく振れる気持ちの振り子----
苛立ち・焦燥感、自分を激しく駆り立ててる。
キャロルを抱く腕に、力がこもる
やがて一つの扉の前でムーラが控えていた
(ここに来てから、会ったのは…この人を入れて三人だけ)
近づくと、頭を下げ扉を開く-----
「あ、あの王子、姫様の介添えを…」とおずおずと声を掛けた
「よい、呼ぶまで控えておれ…」「はい」と扉の中へと入っていく…その後ろ姿に
「王子…何故そのように、ご自身を追い込まれる事を…」哀しげに後姿を見送る
(眩しい…)陽の光を、久しぶりに浴びた気がする…大きな格子の青銅枠から差し込む太陽
湯気が立ち上がり、大きく造られている格子の青銅枠から差し込む太陽…
男は軽く合わせただけの衣装を肩から滑らせた…バサリと床に落とされた音で我に返る
無言のまま、キャロルの衣装に手を掛けた
「あっあの、一人で入れます…」巻き付けた衣装の合わせ目をしっかりと握る-----
(あっ…)先程迄見せていた、笑顔とは全く異質な「笑い」-----
「ふふっ恥らう姫も、堪らなく可愛いのだが…私は共に入りたいのだよ…」
最後の方の言葉をゆっくりと、いい聞かせるように耳元へと囁くと、そのまま耳の中に熱い息と舌が入り込む
(………)衣装を握りしめている手を緩めてゆく
「姫は疲れているであろう?ゆったりと…くつろぐと良い」衣装の合わせ目に手を入れ剥ぎ取る
キャロルを横抱きにしたまま、湯壷へとゆっくりと身を沈めてゆく
だが、光に透ける黄金の髪…白い躰がキラキラと光り、そのまま…陽の光の中へと溶けてしまう?-----
「消えるな!!」叫び、驚くキャロルの躰を強く、抱え込む「…ぃ、痛いっ!」
(…女神が堪りかねて娘を迎えに来たのか?……神罰を下すと言うなら下すがいい…)
(だが、この腕の中の温もりを奪うものは、誰であろうと容赦はしない)
手を緩め、腰を掴むと湯の中で羽が生えているように軽い躰を抱えあげ、向かい合うと…
「…姫は疲れさせた責任は…とろうぞ」ぞくりとする笑顔を向けた。
寝ないで待っててヨカッタ
「願い」作家様うp有難うございまつ・・・(*´∀`)
皆さんのネタをご開帳ありがd!
どれも素晴らしすぎて悩んでしまうよ〜。
ちょっと構想練りに逝ってきまつ。
>願い作家様、 うpありがとー!!
願い作者です。
いつも、遅い時間にうpしてゴメンナサイ!
12時を過ぎてから書き始めているのです。
なので、 うpが遅くなってました。明日から1時前後にうp出来ない時には
次の日にうpしますね。
>596さん、こちらこそ有難うです。
>566さん、作家様ですね、他の作家様のように、大容量の引き出しが欲しいです。
私は小物入れのキャパしかないので、もう、いっぱいいっぱいです。
次回作のうpされるのを楽しみにしていますね。
願い作家様、朝から読めて幸せでつ(しみじみ)
この後どんな展開になるのでせう・・?
どきどきでつ。
>566様
遅れ馳せながら…
婚儀前にキャロルをさらう王子。
メンフィスを愛していながらも、
キャロルは王子の優しさや孤独に触れ、流されるようにセクースしてしまう。
助けに来た王と共にエジプトへ戻り婚儀をあげ、
王とセクースするが、身体は王子を求めてしまう。
セクースの齟齬から気持ちの齟齬が生まれ、最後には王子のもとへ…
なんつーのはどうでしょう。
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
あぁ!いつもは深夜組なのに、今日に限って…
寝てしまった自分に歯軋り。
願い作家様、また続きを是非お願いします〜〜。
大人の男の中の少年っぽさ…そんな王子に萌え〜(;゚∀゚)=3
>願い作家様
いつも楽しみに読ませてもらってます。
いっぱいいっぱいだなんて、なんて謙虚な作家様ー!
とんでもない、とても斬新で退廃的なムード漂ういい作品だと思いますよ。
王子の「ぞくりとする笑顔」っていいですね。何となく想像できて萌えます。
だけどこの王子とキャロルにハッピーエンドはあるのでつか?
願い作家さま〜
王子を幸せに・・・どうか・・・お願いしまつ。
>>581 25
「考えよ」
王子はキャロルに命じた。そして言葉を続けた。
「私も考えよう。どうしたら・・・戦で荒廃した者の哀しみを癒してやれるのか。もし償えるのであれば、どうすればよいのか」
怪訝そうに見上げた青い瞳に王子は答えた。
「為政者とは、人の上に立つ者とはそういうのものだ。全てを背負い、受け止め、しかしその重みに打ちひしがれることなく頭を上げて前を見据えるのだ。
己が支配し、責任を持つ民のためにな」
「・・・・高貴なるがゆえの・・・義務・・・・?」
王子はふと頬を緩めた。
「そうだな。そなたはそれに耐えられるか?」
「私が?」
「耐えられるだけの器量の持ち主なれば私はそなたが考える手伝いをしてやろう。そなたが考える材料をやろう。そなたが知りたいことは全て教えてやる。
我が国のこと、エジプトのこと、こたびの戦の戦後処理こと」
キャロルはまっすぐ王子を見つめ返した。真摯な強い視線に王子は思わずたじろぎを覚えた。
「・・・・・・・分かったわ。私は王族でも何でもない普通の娘よ。
でも皆に私を神の娘と思わせて犠牲を強いたことを忘れてはいけない。
私は・・・償いたい。出来るかしら?いえ、やらなくては」
キャロルは初めて自分の力で運命に逆らい、その波に逆らってどことも知れぬ岸辺に向かって泳ぎたい、と思った。
キャロルは王子の宮殿の一角に大切に隠され守られていた。
来る日も来る日も王子の与えてくれる書物や報告書を耽読し、公務を終えた王子が教師となって彼女を教えた。
ただ教えるだけではない。絶えず問いかけ、意見を述べさせ・・・・・。
そんな日々が長く続いた。学僧のような生活はキャロルの心に不思議な平安をもたらした。
26
「王子、キャロル様のお勉強はいつまでお続けになりますの?若い姫君なのにあのようなお暮らしぶり。
ご自身をお責めになって、静かに祈りに書物に明け暮れを送られる。
王子が下された禄もご自分にはお使いにならず民のために使われます。エジプトへも送りたいと仰せなのですよ。
王子のなさることでございますゆえ、何か特別のご意図がとは思いますが、あれではキャロル様があまりにお可愛そうで痛ましくて・・・」
「もう一年近くになるな」
王子は穏やかにムーラに答えた。
「私はずっとあのナイルの娘を見ていた。様々な事を教えた。私の妃となる娘を、いや姫を教え導くのはなかなか興深いことであった」
「まぁ、では!」
「かの姫を娶る」
王子は当然のように宣言した。
「だが・・・肝心の姫は我に靡いてはおらぬ。まぁ、しばらくは妹のように扱うとするかな」
そう言った王子の顔はずいぶんと寂しそうであった。
「姫。元気か?」
キャロルの部屋に入ってきた王子は、くいっと金色の髪を掴んだ。
キャロルは驚いたように王子を見て、続いてうっすらと微笑んだ。王子を狂喜させるその笑み。
静かな日々がキャロルを変えた。自分の運命を、古代世界の全てを闇雲に厭い、手負いの獣のように牙を剥き、人々に唸っていた少女は落ち着きと静かさを取り戻していた。
王子に与えられたものとはいえ、自分の禄で人々のために償いが少しなりともできることも救いとなった。
優しい諦観の笑みを浮かべる金髪の賢い娘を慕う民人は多かった。彼女は気づかぬうちに人々の尊敬と信頼を得ていったのである。
お、兄妹作家様!覗きに来た甲斐がありまつた。
地味だけどこういう淡々ほのぼの路線も好きなんだ。
がんがれー!
兄妹のイズミル王子、何か為政者としても有能そう。
でも結局、キャロルの育成(教育)から離れられないのねん。
こういう教師タイプの王子って新しい?スキだ。
ヒッタイト道中記の更新、1週間止まってるね。
つづき読みたいよぅ。
ウニャ、道中記作家さまどうなされたのかしら?
ヒューリアのお話の作家さまも続きを是非〜
>>595 猫の目のようにクルクルと変わる変化が怖かった…
シャラシャラと金属の重なり合う音が、絶え間なく揺れている…
男はどんな時にもその腕輪を外さない…抱かれる時にも、今こうしている時にも決して…
外さぬ腕輪はまるで自分自身が施した手枷であるかのようだ
動くたびにシャラシャラと揺れる音が耳について離れない…
「ほら…動くと洗えぬではないか…」背中を撫で回しながらい反応を引き出すように探るように動く
キャロルが反応する個所を見つけると、そんな言葉を投げかける…
湯気の熱気と男の手で広がる熱に、夢うつつの中の出来事のように感じていた
先程まで思っていた人が、再び脳裏に浮かぶ
(…メンフィス…貴方の腕の中なの?…夢を見たの…怖かった…抱きしめて安心させて…)
(貴方に抱かれると、愛しくて、傍にいたくて、触れられて、もっと傍に居たくて…
私の躰の上で激しい吐息が、たまらなく愛しくて…荒い息の中で見せる切ない顔を見るだけで…幸せで涙が出る…)
「…姫…何を考えている?…」(そんな切なげな顔…)
「姫は随分と…暇を持て余しているようだな…」
男の膝の上に跨らされていた-----
肉薄なまっ白い双球を両手でぐっと鷲掴みされると、花弁の隅々にまで、湯の熱を感じる。
「ぅっ…」何度も男によって貫かれた個所にピリッと軽い痛みが走り、顔を歪む…
そうして、耳朶から肩までと、そのなだらかな曲線に舌を這わせ
双球を掴んでいた手が、そのまま後ろから伸び痛みの残る個所の上にある小さな核を二本の指で剥き広げ
指腹で、ゆっくりとゆっくりと円を描く、空いた手は激しく乳房を揉みしだき、
固く変化した先端のしこりに、小さな核と同じように擦る…
「…ぃっっ…ぁぅっ…」(…熱いっ!!…)
「あっ…!!」-----
跨がされて開かれた両脚…その花弁にあたっているもの…
「…どうしたのだ?姫?」腰の位置をずらし、そのあたるものの先端で…花弁全体をなぞる…
顔も躰全体が赤く色づき過ぎるキャロルの様子に、ザーッと湯壷から抱え上げると
「はぁっ…はぁ」と、今にものぼせそうなキャロルを長い台の上にそっとうつ伏せに横たえると
「きゃっ!」
「ああ、冷たかったか?」背中にとろりとする液体を壷から背中へと垂らしながら----すうっと目を細め笑うと
「責任は取るとは…言わなかったか?」背中全体にやわやわと香油を広げていく…
やんわりと、揉み込むように、脚、太股、双球、首へと丁寧に繰り返す
「…さぁ、こちらを向くのだ…」
「姫…こちらを向くのだ」動かないキャロルに
「私に…抱えられたいのなら、そう申さば良いものを…」-----その言葉にのろのろと起き上がり胸を手で覆い腰掛ける
「それでは、疲れを癒す事はできぬな…」肩を掴まれ、仰向けに寝かされた。
明るすぎる部屋が、堪らなく恨めしい------
胸にツツーッと香油を垂らし、その香油が潤滑油の様に、男の膚を滑る手に拍車をかけてゆく
やがて、ツンと固く尖った先端を唇を寄せ、口に含み舐め転がす
「ここも、揉みほぐさねば…」囁きながら弄ぶ
「くっ…」先程から熱くなったキャロルの躰は発火しそうだ。
陽の光の中での反応は、どんな小さな所作も反応もさらけだす-----
穢れも知らぬ白い裸身…何度躰を重ねても輝くばかりに輝き続ける-----
(さすがは、神の…ナイルの女神の娘よ…)
だが、その神々しさにさえも煽られる-----
(触れたい…繋がりたい…)性急な衝動にかられ
素早く抱き上げ、湯壷へと取って返しすと
躰についた香油を、洗い流す…と、キャロルを湯壷の端へと腰掛けさせると待ちきれぬとばかりに膝を割り腰を屈めて舐める。
座ったまま、強烈な刺激に、後ろ手を床につき、白い喉を反らし羞恥に涙ぐむキャロル
(…こんな…明るい中で…いや)舌づかいがだんだと激しさを増してゆく
「…お願いっやめてっ…」顔をあげずに「…拒む事は許さぬと…何度もっ」ぐちゅっ---指が蜜壷へと侵入する
とシャラシャラと、せわしなく鳴り続ける音-----
「…申したはず…」
「くっぅ…ここでは…お願い!!」ついっと顔だけをあげ、尚も出入りを繰り返す指-----
「…ここでは?では、続きはどこで?…」
「…ぁっ…部屋で…王子の…部屋…」
「そなたたつての願いとあらば、叶えよう…」
願い作家様、もしや今夜はここでおしまいですか・・?
切ないです〜!どうか続きを!
「願い」作家様〜有難うでつ〜〜
時間は気になさらずに、何時のうpでもうれしゅうございます
王子にキャロルが靡いてくの、期待してます
幸せにしてあげて下さいませ〜〜
王子ったら疲れ知らずだね〜。
「願い」って全編オニマークいるじゃん、と思って読んでたけど
今日は格別エチーでしたね。作者様ありがd。
ところで王家ってよく口移しで飲み物くれるシーンありますよね。
あれってどうなんだろう・・・実際やった事ある人います?
直接飲ましてやれよ、ってつい思っちゃったよ。
↑わははは
その昔に、王様ゲームの罰ゲームで氷の口移しという辛い経験を持つ身としては
絶対NGです。
キャー、願い作家様〜!!
遅ればせながら今読ませて頂きました。
なんてエチーな王子・・・素敵です。
だけど、願いの王子って一体何回ヤッてるのかな〜?絶倫だわァ(゚∀゚)アヒャ
願いの王子いい!いいよ!
早くキャロルちん振り向いてあげてくれい!
今夜もうpを待ってますよ〜、願い作家さまぁ!!
こんなセクシーな王子は初めてだよ。クラクラ・・・
身体で責め落とすなんて、あぁ王子あなたって人は!
本編の王子もこんくらい強引に行ってほすぃね。
ルカの使い方を見習えって(w
>>513 8
「わぁ、ヒューリア!すごいわ、まるでイルカのよう・・・」
王宮の奥庭に作られた細長い人工の池。熱い日光を厭う二人の貴人が水浴に興じていた。
「何のこれくらい・・・。しかしナイルの姫は水練が苦手か!水の女神の御娘の名折れではないか。手を貸してご覧!私の手につかまって脚を動かして!」
ヒューリアは恥ずかしがるキャロルの細い腕を掴むと、小さな子供に泳ぎを教えるように引いてやった。
池の周りでは侍女たちがキャロルとヒューリアの「水練」を面白そうに見守っている。
(水遊びにお誘いしたのにいつの間にか水練の時間になってしまったわ。ヒューリアが元気になったのは嬉しいけど何だか・・・)
キャロルは自分の手を引いて泳がせてくれる背の高い女性を困ったように盗み見た。
アマゾネスの習俗とて泳ぐ際には腰布しか纏わない―片方の乳房を落とすとは俗説であるようだ―ヒューリアは引き締まった凹凸のしっかりついた見事な身体つきをしていた。
浅く焼けた肌、誇らしげに突き出され揺れる乳房、細い腰に、しっかりと張り出した腰。女のキャロルが目のやり場に困るほどの色気がある身体。
「ナイルの姫、顔を下に向けない!しっかり私の顔を見て、脚はまっすぐに動かして膝を曲げない!」
ヒューリアは命令し慣れた軍人の声音と口調でキャロルを叱咤激励する。
キャロルは腰布の他に胸に厚みのある布をしっかりと巻き付けて泳いでいる。エジプトでは腰布だけか、何も着ないで泳ぐのが普通なのだがキャロルはそれを嫌がって、こればかりは我が儘を通した。
(まこと子供のような身体つき。何と細く厚みのない身体だろう。水しぶきにも折れてしまいそうではないか)
ヒューリアはばた足をするキャロルの身体を見下ろした。
ほっそりとしたたおやかな身体。どこもかしこも細くて男心をそそる凹凸には乏しい。分厚い布で女の身体のもっとも魅力的な場所を隠しているけれど、だが幼い凹凸はヒューリアをそそった。
透き通るほどに白い肌に浮かぶ華奢な肋骨や鎖骨が未熟な美しさを強調してみせる。
(何とも魅力的な身体だな。布で隠した部分が気になる事よ・・・。
何というか・・・・・抱きしめてみたくなる身体つきだ。もし姫がサッフォーの風儀(註:女性同士の恋愛)に通じているならば興深いことだが)
9
「キャロル、そこにいるのか?」
ヒューリアの好色な物思いはメンフィスの声に破られた。
「部屋で待っているものとばかり思っていたに!私に断りもせずに・・・。
おや!ヒューリア殿。今度は水練か?キャロルがあなたの相手になりますかな?」
大股に灌木の陰から現れたメンフィスは、キャロルを抱くように水中に立つヒューリアを見て眉を顰めた。大柄で凛々しい容貌のヒューリアは鍛え上げられた身体を持ち、中性的な男性にも見える。
(おやおや、お妃を箱の中に閉じ込めてしまいたいほどに執心して熱愛しているという噂はまことか)
ヒューリアは腕の中のキャロルの耳朶に囁きかけた。
「夫君がおいでだ。私は下がらせて頂く」
「え?」
ヒューリアはひょいと水から上がった。彫刻じみた見事な身体から水が滑り落ちる。
アマゾネスは自分の身体を隠しもせずに堂々とメンフィスの前を通って消えていった。
(何とも大胆な女人よ。男など見下して眼中にないとはまことか)
メンフィスは一瞬、見事な胸乳に腰に見とれて苦笑した。
(あれで大人しやかな可愛らしい性格であればなぁ。男が放って置かぬ美姫であるに)
「メンフィス?」
キャロルが池の中から声をかけた。メンフィスが見れば、その白い幼い顔に嫉妬の影が萌している。
女のキャロルですら見惚れるヒューリアである。メンフィスの男の視線くらいすぐ分かる。
「そなた、嫉妬でもしておるか?ヒューリア殿はそなたの患者、水練の師ではないか」
メンフィスはするすると腰布を解くと、水に飛び込んだ。侍っていた侍女たちはそそくさと下がっていった。
「そして私はそなたの夫ぞ。夫の心を疑うのか?私は断りもなく外に出た妻を捜して炎天下を歩いてきたというのに」
メンフィスはすいっとキャロルの傍らにやってくるとあっという間に胸を隠していた布を解いてしまった。押さえつけられていた小振りなふくらみが真昼の光の中にまろびでる。
「やだっ、メンフィスったら!やめてちょうだい。恥ずかしい!」
「何を申すか。解いて取り去って欲しいから、あのような窮屈なものをつけているのであろう?可哀想にこの私の大切なる身体をあのような無粋な布で締め付けるとは」
メンフィスは素早く胸の頂きに接吻し、キャロルが狼狽えたスキをついて腰布も取り去ってしまった。
ををっ!何かすっごいなまめかしい。。。。。
王子に抱かれれば抱かれる程メンフィスを体で思い出すキャロル・・
こんなだと王子が気の毒だね。
>>624 気の毒なのはキャロルでは?
「願い」作家様
不幸のカタルシスも好きです。
ヒューリアの初恋作者様、うpお待ち申し上げておりました。
嬉しい展開です、やっぱりヒューリアはキャロルに・・・!
この調子でキャロルに迫ってほしいわん♪
メンフィスとキャロルとヒューリアの微妙な三角関係良いわぁo(`∀´)9
「願い」のキャロル&王子はお互いに不幸なのがまた美しいって感じですね。
だけどあんなに王子に立て続けに抱かれ続けたら、キャロル発狂しちゃいませんか〜?
願いのシチュエーション、激しく気に入ってます!
狂ってもいいかも。ごめんなさーーい。けっして鬼畜なわけじゃないけど
元々ホントはそれくらいあっても不思議じゃない
シチュエーションなんだし。
抱いても抱いても想い出すのはメンフィスだけ
ある意味あっぱれな純愛だ。
関係ないが、体を先に陥落させられちゃうと女の体は辛いね。
体が先という筋はハーレクインでもよくあるが現実にはどうなんだろ?
王子〜〜がんがれ(涙
楽しみです「願い」作者様〜
ヒューリアの初恋作家様、お待ち申し上げていました!!!!
水浴する二人の女性。なんつーかすごくエロチクで、でも綺麗で。
ヒューリアはキャロルを好きなのか?メンフィスはどうなる?
目が離せませぬ。
いいね〜、ヒューリアの初恋&願いの両作家様!
もう待ち遠しくてたまりません!
今まであまりレズビアン風味のものって無かったので新鮮〜。
同性愛ものが好きな訳じゃないんですが、キャロル×ヒューリアならいい絵だと思うしそれに嫉妬するメンフィスなんて萌えですぞー!
イタイつぼを突いて来ますねぇ、もうっ!
願いはホント萌えポイント高いですよぅ。
>体が先という筋
たしかにハーレクインにありがちですね。
現実はどうなんでしょ、相手の男によりけりじゃないですか?
王子みたくイイ男なら、やっぱり抗えないんじゃないでしょうか。
ネバメンとかカプターの話だったら、まったく結果は違うと思うけど。
・・・てか、そんな「願い」イヤすぎる〜
>ネバメンとかカプターの話
うなされて自殺したくなりそう(藁
私は20年ごしにイズミルタソ、ハァハァだから「願い」の王子も
萌え萌えだけど、実際こんなに相手の気持ち考えない男は嫌かも。
だけどストックホルムシンドローム(だっけ?)みたいなこともあるから
恋愛感情湧くこともあるかもしれないね、相手が魅力的だったら。
うっく・・・王子じゃなきゃあり得ない話だよー!<願い
ネバorカプだったら、ヤられる前にルカを見捨てます!!ルカには悪いけど。
メンヒスだったらOKだけど、メンヒスの雰囲気ではないか。
このシチュエーションはやっぱり王子だわ。
道中記ずっと気になってるんだけど・・・
うpしてくれないかなー
>道中記作家様
体の調子でも良くないのですか?
更新されてないので、何かあったのかと心配です。
早く戻って来てくれると嬉しいでつ。
前にもかかれていたけど、「願い」はこのまま不幸な終わり方でもいいかなーなんて。
ここまでメンヒスを想っているキャロルがいきなり王子に傾くのもなんだかなーって感じなので。
王子だったら悲恋でも、不幸でも似合いそうなので、
このままおもいっきり不幸のカタルシスを味わうのもいいかも。
>>613 パンパンと手を叩く
すぐに隣の部屋からムーラが顔を出した
(…聞かれてた…)湯殿での出来事を思い出し、恥ずかしさに湯壷に自ら飛び込むように湯に浸かる
「…お呼びでございますか…」何も気付かなかった…何も知らないと…平静な仮面をつけて抑揚を付けずに応える
「姫の支度を整えてくれ」それだけ言うと、ザブンと湯壷に潜った。
「…はい、王子はいかがなさいます?」湯壷から顔を出し
「姫の支度が整うまで、湯浴みをする」と湯壷の端に頭を乗せて目を閉じている-----
「かしこまりました、では姫様こちらへ…」濡れた躰に布を巻きつけ促された
風のよく通った部屋は躰の熱を冷ましてくれる
「…姫様、お風邪を召しますよ」躰を拭こうとする
「ぁっ…自分で出来ますから…」
「…はい、わかりました…では、私はお衣装を」(何と無体な事を…)
と背を向ける-----布が覆っていない所にさえ見える薔薇色の痣-----
やがて、「あの衣装を…」キャロルが声を掛けると
「はい、では…あのこれを…」おずおずと差し出す衣装は、夜の衣装だった
(……これが…これのみを私に求めているという事なの?)泣きたい位の屈辱----
その様子に気付いたムーラが、躊躇いがちに言葉をかける
「…姫様…私は王子の乳母です、ですから、王子の事は全てわかっているつもりでした…でも、今のような王子を見るのは
初めての事です。何事に固執されない方でしたのに…姫様以外の事には…」ムーラの方が泣き出しそうな顔をしている
「……着ます」
「は、はい、すぐに」真っ白の薄物で…重なる胸元は花飾りの紐のみで止める、頼りなげな衣装…
身につけると、ムーラが装身具を付けようとしていた
「…それは要らない…誰に見せるわけではないもの…」(八つ当たり…わかっているけど…どうせ…)
「で、でも姫様、気持ちが浮き立ちますよ…これなんかとても細工が良くて、きっとお似合いになると思いますのに」
(姫様の憂いが…少しでも晴れますように…私にはこのような事しか出来ない…)
「…ごめんなさい…そうね、付けて貰うわ…とてもキレイね…」衣装にはまるで不釣合い…
髪は解いたまま、涙の形の額飾り、細かな花の細工の耳飾り…幾重にも重なる腕輪---
「紅玉がとてもよくお似合いですわ、姫様」キャロルを優しく見つめている
パンパンッと乾いた音が響いた
「…姫様…王子が…お呼びです…」視線を泳がせながら…そう伝える。
座った男の脚に後ろ向きで跨らされていた
後ろから伸びた二本の手が交差するように、それぞれの個所を捏ね続けている
唇は以前に傷であったもの----今は薄い薔薇色をしている右肩の個所だけを丁寧に丁寧に舐めていた
それは以前、男が付けたもの…殆ど目立たぬそれを舐め消すように何度も何度も舐め続けている-----
今の男の気持ちを表すようだ、慈しみ・後悔・渇望し求め続けるもの-----
「ぅっ…ぁぁ」細く糸をひくような、甘い声が広がり
首をガクガクッと後ろへ反らす、密着している男の体に、それは素直に伝わった
男の手が動いた
交差していた手を解き
両手で…剥かれた小さな核を一定のリズムで捏ね擦り、熱い蜜壷へと差し入れを繰り返す
「ぅぅっ…ぁ…ぁっ…」膝に乗せた躰が脱力した。
脇の下から手を入れ、腰を支えると寝台へと寝かせ
「もぅ…降参か?…」
くるりと、仰向けにすると
自身のくびれまでを、差し入れる。
「っっ…」ゆっくりと時間をかけて、すっぽりと埋没させ
そのまま…黙って躰の下に敷いたキャロルの顔をじっと…見つめる
「ぁ…」青い目が不思議そうに見上げた
「ん…そなたを感じていたいのだ…」
(ぁっ…また…この目は)…何度も感じた『変化』そしてこの上なく真剣な眼差し…
腰の下に手をくぐらせ、ぐっと繋がったまま…自分の膝の上に戻す動かずに…押し黙ったまま
「…姫の中は温かいな…姫自身のようだ…」ぎゅっと抱きしめられ
「姫…抱きしめてくれ…寒いのだ(心が)寒くて堪らぬのだ」
(…?……)ひどく不安定な様子に…おずおずと背に手を回す…
(何?!髪の中に?)背中に回した手が硬質なものに触れた…
「それは、私の守り刀の鉄剣だ」髪を掴みスルーッと金の紐を解くと…キャロルの前に差し出した
「…これを姫にやろう…」しっかりと手に握らせる鉄剣
「ぇ?…」驚き、男の顔を見上げる
「…姫は…辛いのだろう?…私が…憎いか?」
(憎い…?辛い悲しい…メンフィスには逢えない…けど?憎しみとは違う気がする…)
「ここを…」と髪をかき上げ首筋を指し示す…
「ここを引くと、姫は…苦しみを終わらせる事が出来る…」
「なっ何を…?」慌てて手にある鉄剣を押し返そうとする…
「私は、そなたがそれを望むなら…それでもいいのだ…」…と天井を見上げ…(私も…心の中で望んでいるのやも知れぬ…)
「……」
「…求めずには…いられないのだ…どうしても抑えられぬ…」
「ぇ……」(私の躰を…?エジプト?…)この男の真意を…今なら聞けるかも知れない-----
「…な…何を?…」すぐに頭の上から激しい視線が落ちてきた
「何を?何をと私に…問うのか?…姫には…何度も私の気持ちを伝えてあるはず…忘れたとは言わさぬ」
「………」言葉が出ない…何と言葉をかけても…ひどくこの男を傷つける気がする-----
「姫は…戻りたいか?…エジプトに(メンフィスの元に…)?」怖くて聞けなかった言葉を口にした
「…私は…戻りません…」(戻れない…)
キャロルの哀しみが、小刻みに震えている躰を通して心に哀しく響く…
このまま-----自分を全て曝け出したなら?受け入れてくれるのだろうか-----
(…それは出来ぬ…私が私で居られなくなる)頬を撫で、腰を抱き上げ繋がりをほどいた。
「ふっ…このような時にする話ではなかったな…ゆっくりと体を休めるがいい…」手を伸ばし高杯を取り口元へ運んだ時
「王妃さまーー、お待ち下さいませー」回廊の外がひどく騒がしい
「姫…少し騒がしい事になりそうだ、そのままで休んでおれ」慌てた風もなく
ヤレヤレといった面倒げに衣装を着る、腰帯を結わえていると
バタンと強く扉が開け放たれた-----
そこに、急ぎ足で来たのか、呼吸を整えている王妃が立っていた
「王子!!」王妃は、キツイ目を王子に向け
「何故、母に帰国を…告げに参らぬのですか?」傍で申し訳なさそうな顔でムーラが王子を見た
「これは、これは母上…寝所を突然訪問するとは、何と無粋な事を…」物憂げに答えた
キャー!!キタキター、願い作家さま〜!
待ってたよ〜ん、しかも大量うpで嬉しや。
キャロル、マジで王子を殺るのかと思たよ。ホッとした。
このまま王子に靡いてくれい!
>623だと思うのですが
この方の書き込み、わかるんですよね(笑)好きです。
思いやりがレスに現れているんですよね〜
個人的にこのスレの管理人様と思ってます。
>道中記作家様、続きを楽しみにしてます。
キャロル靡くのかなあ?情が移るというのが近いような。
カラダが先つーと紫の上を強姦同然にヤった光源氏を連想しました。
それより事実を知ったメンフィスの「苦悩」も読みたかったりする
戻れたにせよ
事実を知ったメンフィスが優しく抱き締めることができる器量があるか?
嫉妬のあまり鬼畜に走るか?
>>644 メンフィスはキャロルに関する心配事は何でも「ええい!考えたくも無い!!」で片付けちゃう・・って、本編スレの方にカキコがあり笑いました。
でもこの場合どうでしょう。
妖し婚以上にメンフィスに知って欲し〜い事実だ、怒るんだろな〜
だけどきっとキャロルや他の者が言い出そうとしても「申すなー!!」とか言って話の先を聞かないような気もする。
んで辺りにあるものをバーンバーン壊しまくって、やっぱり風呂にザバーと飛び込んで風呂の底にブクブク潜るんでしょうねぇ。
そして王子が抱いた以上に激しくキャロルを抱こうとするのかなぁ?
あ〜、朝から妄想入りまくりだわん。だけど見てみたい。
道中記作家さまはどうされちゃったのでしょうね?
ぱったりうpが途切れてしまっているので、本当にお体でも・・・?心配でつね(´・ω・`)ウチュ
age
なんでageるんだよう。。(´・ω・`)
>645
そのメンフィス面白い!
激しく見てみたい気がしまつね。
プクプクしてる場合じゃないぞメンフィス!どうすんだ?
真面目に物事に対峙しなきゃね(w
>バーンバーン壊しまくって、やっぱり風呂にザバーと飛び込んで風呂の底にブクブク
ワロタ!
でもメンフィスっていつもそう。で、すぐ忘れちゃうと(w
もし王子だったそういう時どうなんだろ?
しつこくキャロルに詮議するのかな?それとも一切聞かず自分の中で溜め込むんだろか?
ますます「願い」の今後の展開が楽しみ。
サッフォーの風儀とやらを是非キャロルに披露してやってくだちぃ>ヒューリア
道中記様〜
>願い
王子に靡くに・・・1イズミル
1
「どうか・・・王妃キャロル・・・。ご英断を・・・。」
イムホテップの苦渋のにじむ言葉に、周りの臣下の声も幾重にも連なる。
「そんな・・・・。そんなの・・あんまりだわ・・・・。」
声が震えるのを止められない、やっと搾り出した声がこんなにも弱々しいなんて・・・。
でもどうして?私はメンフィスを愛してるのに・・・なのに何故離れなくてはいけないの?
キャロルの頭の中にはその言葉しか浮かばない。
イムホテップの視線を避けるようにキャロルは顔を背けたけれども、
その時に目の合ったナフテラでさえ「キャロル様・・・。」と泣きながら床に蹲っている。
ミヌーエ将軍もウナスもキャロルを直視できないというように、
唇を噛み俯き、キャロルの決断の言葉が出るのを待っているのだ。
自分だって声をあげて泣き喚きたかったけれども、それでは何の解決にもつながらず、
メンフィスが目覚めないことだけははっきりしていた。
昏睡状態にあるメンフィスがいる部屋の扉をちらりと視線を向けてから、
「わかりました。メンフィスが助かるのなら、ヒッタイトへ参ります・・・。」とやっとの思いで
キャロルはその言葉を口に出した。
「キャロル様!キャロル様!」
「申し訳ありません!私どもが至らないばかりに・・・。」
「ファラオをお守りできず申し訳ありません!」
泣き声が響き渡る部屋で、キャロルは自分の心が半分死んでいくような錯覚を覚えている。
本当に辛い時って・・・涙は出ないのね・・・・。
目の前で泣き崩れるナフテラやウナスを、そんなことを思いながら見つめているキャロルに
イムホテップは重々しく頭を下げた。
「我がエジプトのためのご英断、お承りましてございます。」
「宰相イムホテップ、早くイズミル王子に使いをだして・・・。早くメンフィスを・・・。」
自分の周りから色彩を失ったような感覚を覚えながら、キャロルはもう王妃として命令することがないであろうと思った。
もうエジプト王妃ではなくなるのだと・・・。
2
足元の覚束無い様子で、キャロルはメンフィスの眠る部屋へと入っていった。
医師ゼネクが薬草をあれこれ煎じさせては、メンフィスの口許へ運ぼうとするのを
キャロルはやんわりと止めた。
「今・・・ヒッタイトの使者が薬を持って来るわ、それまでメンフィスの側にいさせてちょうだい。
人払いをし、昏昏と眠るメンフィスの顔を見、額にそっと口づける。
どうしてこんなことになったのかしら?
そう・・・ネバメンがメンフィスの弟だとテーベの王宮に来てから、
それまでの幸福は微塵のかけらもなくなったのだ。
メンフィスは弟がいたことを喜んでたわ、私には弟なんていないからどんな風に接すればいいのかわからなくて・・・。
でも、亡き父を弔い静かに暮らしたいと話したネバメンのどこかに、
なんだか恐ろしいものを感じてた、でも弟がいたと喜ぶメンフィスには言えなかったわ。
それにいつも私を舐めるような視線で見るカプター大神官が、
ネバメンの出生を確認し、このテーベまでの道中も手配したなんて聞いたら
あまり良い印象を持つことができなくて・・・・。
メンフィスは私に心配させまいといろんなことを秘密にしてた・・・。
イムホテップの提案で、秘密裏にヒッタイトと連絡を連絡を取り、なんとか戦を起こさないよう話し合ってたことも、
なんにも知らなかった・・・メンフィスに甘えてて知らなかった・・・。
私は甘やかされて愛されて幸せだった。
なのに急にメンフィスが倒れて眠ったまま眼を覚まさないなんて!
毒ならメンフィスには効かないのに、病気でもなさそうで、医師ゼネクにも手に負えないなんて・・・。
意志の強さを感じさせる鋭い眼は今は閉じられて、キャロルを見ることもない。
もう眠りについてから3日になるのに、だんだんと呼吸の度に生気を失いつつあるよう。
いつもなら自分を力強く抱く手も、いくら握り締めてもそのまま自分の手を握り返すこともない。
「キャロル様、使者がお着きです。」
ナフテラの声にキャロルは我に返り、扉の方へ顔を向けると、そこには顔を見られぬよう変装したイズミル王子が
数名の部下と共に立っていた。そして静かに、だが威厳のある声で話した。
「医師を連れて参った、メンフィス王を助けようぞ。」
おお!来てみたら新作が!
嬉しいよー
ヒッタイトと手を組むエジプト?
凄く新鮮でつ♪変装王子は想像しただけで萌えでつ。
楽しみ〜
どっちの男がメインなのかしら。わくわく。
>658
メインは王子と見た!違うかな〜?
・・・でも以外や以外、ネバメンだった―――なんて事はないよね。
どんな華麗なストーリーをもってしても萌えられないよ、ネバメンじゃぁ。
ネバメン&カプターは逝ってよし!
てか本編だけでもう十分うざいよ。
でもヒッタイト王はわりかし好きかも(汗)
あのお髭が。。。
キャロル&ヒッタイト王のお話書いてくんないかなー
と、言ってみるテスト<あくまでテスト(汗)
・・・すんません逝ってきます。。
しかも不倫になっちゃうし。
いやーでも、二次創作でおもしろく味付けされたネバやカプだったら見てみたいよ。
作者様ごとの色々な切り口の彼らも見てみたい。
メンフも王子も大好きだけど、ダイジェストにあったアトラスとかの脇役の話も
それなりに需要はあると思うんだけどな。
>661
そうかも。なんたって王家はいじりがいのある脇役多いもんね。
かといって自分じゃ書けましぇん。妄想だけはできるんだけど(笑)
作家様、今夜もどうかご光臨を!
>>640 いつもの王子と違う返答に眦をあげつつも、努めて冷静に
「のう王子よ…どうしたのです?いつもの貴方らしくありませぬ」
「…母上、私は私です。何ら変わる事はありませんが?…」腰帯を結び終え王妃と向き合うと
その後ろでハラハラして事の成り行きを見ているムーラに目をやり、心配するなとばかりに軽く頷く
「これが?令名高きと世に名高い…王子の行いですか?」(日も高いというに、に薄暗く閉め切り燈火まで…)
(床に広がる装束…装身具…何と嘆かわしいこと…)
「母上…ご心配には及びませんよ…」悪びれる風でもない振る舞いが、王妃の勘に障る…
キャロルは天蓋の奥深くに体に掛け布を巻き付けて、身を縮まらせていた…
(ヒッタイトの王妃…が来たの?)
(もうダメ…ついに、来るべき時が来た…やっぱり…)
(王子との事を…利用し、メンフィスを…エジプトを手に入れようと…)かつての出来事を思い出す、その事実を残す右肩に触れ
(…守ろうと思うのに…私のせいで、又戦が起こるの?…)今にも王妃の前に戦利品の様に連れ出される…それはメンフィスにも
エジプト国民の前にも自分の罪が、白日の下に晒されるのだと…
「何をなさるおつもりですか?」
つかつかと天蓋に向かって歩く王妃を呼び止めた
(…何があったの?)声は聞こえるが、天蓋の奥のキャロルにその様子は見えない-----
「ほほほ…王子自ら、自室に招き入れ、傍を放さぬ程の娘を見るのも一興だと思うての」と、王子の横を通り過ぎようと…
「そのように無粋な事をするとは、母上らしくありませぬな」言葉に含まれた蔑みを感じ、王妃は更に憤った
「なっ何を?母に何という事を…以前の王子からは、そんな言葉は聞いた事がありませぬ…」
「そこに隠れている女!お前が王子をたぶらかしたに違いない、どんな手練手管を用いて王子に縋ったのか!
出てきやっ!卑しい遊び女風情が!!」
天蓋に向かってヒステリックに叫び、尚も進もうとする王妃だったが
「母上!…それ以上愚弄すると、母上とあろうと許しませぬ!」怒りを滲ませた目を向けて、王妃の手を掴んだ
(えっ?!王子?)
「許さぬと言うのか?この母に?…何故庇う、この母よりも大事だと申すのか?」
「大事…あぁ…その言葉よりも、相応しい言葉がありますよ母上…」掴んだ手を放すと
「私は…そこにいる娘を、愛しているのですよ…」
「お…王子?今…何と?」呆気に取られ目をしばたかせた
「ふっ…何度も言わせたいのですか母上は、これはお人が悪い」と笑う
「して?その他にも、何かあるのでしょう」顔から笑いが消える
未だボーッとしていた王妃だったが-----
「あっ」やっと思い出したのか、王妃の顔に戻ると「父上から書状が届きました、ミノアの探査を終えて三日後に帰国するそうです」
「父上が?」考え込む
「王子?」
「わかりました、母上わざわざ有難うございます、他に御用は?」
「ほほ、王子は余程私が邪魔とみえる、が、まぁ良い、楽しい事を聞かせて貰いましたからね」とムーラと共に部屋を出て行った
回廊に出ると、王妃はじっと考え込んでいた
(ムーラに問い詰めても、決して言わなかった…だから王子の宮殿まで参った…何故?王子は、ああもいきり立つ?たかが女の一人や二人の事で?)
「ムーラ…そち、王子の世話ばかりしている訳ではあるまい?」
「……」(王妃は、どこまで気が付いておいでなのか?)
「誰じゃ?」
「王妃様、私は王子の乳母…王子以外の世話など致しませぬ」(私が言うわけにはいかない…)
「ふふ、相変わらずムーラは王子に甘いのぉ…まぁ良い、今は聞かぬ事にしましょう」と王子の宮殿を後にした…
おぉ〜この時間にやってきてよかった・・・。
願い作家様ウpありがd★
この後の展開が楽しみだ〜〜〜
>>606 27
「いつも宮殿の中では退屈であろう。これより忍びで市中に出るがそなたにも同道を命じる」
王子はそう言うとキャロルにぽいとフード付きのマントを投げ渡した。キャロルは是非もなく王子と共に真昼の光目映いハットウシャ市街へと出ていった。
ハットウシャの街は活気に溢れ、人々の表情も明るかった。
「徐々に国内は復興してきておるな。市場に並ぶ品々の種類と質の多さを見てみよ。
・・・ほら、あそこに見えるのがそなたの禄で建てた傷病兵や寡婦達のための建物だ。ふふっ、戦の後にあのようなものが、かほど役立つとは思わなかった」
王子の褒め言葉にキャロルはほんのりと頬を染めた。この男性が世辞など言わない性格だということはもう知っていたので、こんな一言がとても嬉しい。
「他の地方都市は?農村だとかも。は、働き手が激減している・・・とか。
前の戦で・・・」
「ふん、政治の授業をしているわけではないのに。せっかく息抜きに連れてきてやったのに生真面目な生徒だ」
王子は笑ってキャロルを引き寄せた。その暖かい腕の中が嬉しくてキャロルはされるままにしておいた。
「お二人さん、仲のいいことで!」
若い商人がすれ違いざまに忍び姿のふたりに声をかけた。
キャロルは、はっとして王子を見上げた。
王子は・・・王子は優しく暖かい眼差しでキャロルを見ていた。
キャロルは初めて自分の肩を抱く王子の手の温かさに気づく心地がした。初めて人間らしい暖かみを湛えた王子の瞳に気づく心地がした。
王子もまたキャロルの青い瞳の中に初めて萌した光に気づいていた。困ったような甘えるような、初々しい少女の瞳。
その時。肩にいっぱいの荷を負った行商人がキャロルにぶつかり、フードが取れてしまった。
「ナイルの姫君だ!」
市場は喧噪に包まれた。そして人々のあげる声はキャロルが驚いたことにとても好意的なものだったのだ。
人々はてんでに叫びながら異国の優しい神の娘に触れ、好意を伝えようと躍起になった。
>>655 3
イズミル王子の目配せで側に控えていた者は迅速な動きで旅装束を外し、
「失礼致します」とキャロルに断りを入れて後、メンフィスの周りに集まり容態を確かめる。
息を呑んで佇むキャロルの細い肩に誰かの手が触れる。
それが誰の手なのかは振り向かずともわかる。
でも今は王子に助けを求めるしかなく、そして私はメンフィスを救って貰った暁にはヒッタイトへ行かなければならない・・・・。
メンフィスが死ぬのは嫌、このまま目覚めないなんて嫌、私の命でよければいくらでもあげる。
メンフィスが生きていなければ私だって生きていたくないのに、なのにもう一緒にいられない。
肩に触れた手に軽く揺すられ、キャロルはその手の持ち主を見る、非常なまでに冷酷に映る端整な顔立ち。
「診察の邪魔になる、こちらへ参れ。」
握っていたメンフィスの手をするりと外され、キャロルはイズミル王子に抱えられるように寝台から離れたところへ誘われた。
医師団の一人がメンフィスを背後から抱き起こし、一人は口に薬湯を注ぎ込むが上手く口に流れ込まないのか、一筋のど元に伝ったのが見えた。
「メンフィス!」
キャロルはイズミル王子の手を振り解き寝台に駆け寄った。
横たわったメンフィスの顔を覗き込むと、眉間にかすかに皺が寄ったかと思うと眦に動きが見られ、
ゆっくりと眼が開いていった。
「ファラオ!ファラオがお目覚めになったぞ!」
「メンフィス様!」
「メンフィス!よかった!メンフィス!」
部屋の中は歓喜の声に包まれた。
「何・・・が・・あったのだ・・・。キャロ・・・。」
かすかに漏れでた声に答える間もなく、メンフィスは今度は先ほどとは違う、幾分か柔らかい表情で眠りに落ちた。
「メンフィス!助かったのね?本当に、助かったのね?」
キャロルはメンフィスの手を握りながら、医師に問うと、医師も安堵したように
「もう大丈夫です、今しばらくは安静になさればじき回復されましょう」と答えた。
「王妃キャロル、では書状を作成し、御身の署名を・・・。」
イムホテップの言葉が胸に突き刺さるようで、キャロルはそれが自分の死刑執行の命にすら思えた。
お夕飯作る前に覗いてみたら、豪華三本立てがあったよ。
嬉しい〜。兄妹のキャロルもやっとこさ王子に靡いて来たし願いは相変わらず
面白いし、新作もこれから楽しみな感じ。
でもこれから新作おあずけの週末が来るわぁ・・・
あと道中記作家さんどうしたんでしょうねぇ。あれが読めないと
寂しいでつ。
作家様方、今夜はお出ましになられるか?!
お茶も入れたことですし、これよりウエィティングタイムに入らせて頂きます(w
新作も嬉しいよー
私も夕方からずっとちょこちょこ覘いてウエィティングタイム
しておりまする。早く読みたいな〜。
このままアオズケ3連休なのか〜〜(¶_¶)
あおずけってなんなんだよぅ、まちがいたよぅ。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
>671
…(*^ー゚)ノ(^^) ナデナデ
私もついついここに来ちゃったお仲間よ。人大杉で良い機会だから
2チャンをやめようと思っているんだけど、ここがあるからやめられない。
>>672 そっかヨシヨシ、「まちがいた」んだね。
まだ間違ってるzo( ´∀`)σ)∀`)
あおずけワロタ。
私はあきらめてもう寝るよ。
オヤスミー
やっぱりウプされてなかったのね〜。・゚・(ノД`)・゚・。
3連休はおとなしくしておりまする…
作家様、また作品読めますよね?
なんだか、一日うpがないだけで
さみしい気がいたします
<10年ぶりくらいにここのスレ見て王家にはまってしまたもんで・・
作家様達、連休でご旅行にでも行っちゃったのかな。
私は夜遊び帰りで見に来たんだけどウp無いのね・・・寂シィー。
ともあれ週末はゆっくり休んで、又めくるめく王家の世界を
堪能させてくださいね。
ヒッタイト道中記作家様の光臨、ないでつね。
△△と□□はおなじ作家様だとか、詮索し杉いやがって
つづき書いてくれなくなったんじゃ?
番外編1が読めなくなってる・・・・・
>>39 ダイジェスト暫定版の更新が止まってしまいましたね。
どうしたんだろう?
暫定版396管理人様が更新きつくなってるんだったら、
後、引継ぎましょうか?
1ROM人様のサイト分も合体させて。
暫く管理人様、作家様、読み手様からのご意見待ってみます。
神様ですか?
へ?>683
完結後にまとめ読み派なんで
マメに更新してくれるまとめサイト
の存在、存続はありがたいよー。
ダイジェストサイト、過去ログ倉庫に行ってしまうと
読めない期間が長くなることや、完結して一気にまとめて
もう一度読みたい時にいつも有難く読ませてもらってます。
ここ最近、更新がSTOPしてるようなので心配してたところです・・・
是非これからも存続して欲しいです。
>679
そうかもねぇ、たしかに悪気は無くとも
これぞ名無しのなせるワザって作品もあるわけで、
へんなチェックはせず、作品ごとにたのしむべきかも
理想は完結キボンヌでも、未完で終る場合、作家様から
ひと言コメントもらえると待つ身としては助かる・・・・・
すみません、ダイジェスト管理人です。
気づけば最後の更新の通知から一ヶ月ですね…。
更新が遅くなっていますが、実はちまちまと手は加えています。
1ROM人様からIDとPASSを頂いてサイトそのまま引継という流れになるはずでした。
(そのために、私のダイジェストサイトは’暫定版’なのです)
ですが、1ROM様からお返事が全くない状態ですので、過去ログや1ROM人様サイト掲載の小説も
暫定版サイトの方に統合しようかと考えていたところでした。
一応これからも更新は続けていくつもりです。
ご心配をおかけしてしまってごめんなさい。
本当に更新が辛くなった場合はこのスレに書き込みます。
ども・・・ヒッタイト道中記の作者です。色々ご心配かけて申し訳ありません。
突然パソコンがクラッシュ、結局修理できず買い替えるはめになってしまい先日やっと新しいパソコンが我が家に。大変でした。
そんな訳で、気になっていたものの、こちらのスレを見に来る事すらもできなかったのです。
体調は至って元気です(*^_^*)
だけど全てのデータ(書き溜めていた分も)が飛んでしまいかなーり鬱です。
思い出して書きますので、どうかまた読んでやって下さいませ。
ダイジェストの管理人様、いつもありがとうございます。
あのサイトがあってどれ程有難いか!ほんとうに感謝、感謝です。
また今後もよろしくお願いいたします。
道中記作家さんだ〜。
いろいろと大変だったんですね。
のんびりと、でも楽しみに続きまってるんで、
頑張ってください。
ダイジェスト版があるとは知りませんでした!ありがトーーーン(涙涙
1の正統派カップルぐるぐるがお気に入りで何度も読んでます。
>暫定管理人様〜いつもありがとうでつ〜以前も書き込みしましたが
心より愛しています。更新無理なさらず、頑張って下さいね。
にしても・・・このスレ生きているって感じですねぇ。
>682様も・・・優しいお言葉ありがとう。
>道中記作家様〜貴方の流れる文体が好きです、ゆっくりと休んでうpされるのを
待ってますね。
>>454 戦後処理や帰国後のあらゆる諸事に慌しい中、王子は政務を驚くべき的確さと迅速さでこなし、臣下の者を唸らす一方でキャロルとの婚儀の準備もぬかりなく進めていた。
そして時間を捻出してはキャロルの許へと通った。
王子はムーラやルカでさえ目を疑う程の甲斐甲斐しさでキャロルの看護をし、キャロルへの寵愛ぶりは王宮での尽きぬ話題となった。
しかもキャロルを気遣う王子はムーラやルカ、そして極側近の侍女や侍医にしかキャロルを会わせない為、この寵姫の噂は王宮を駆け巡った。
その甲斐あってキャロルの容態は日に日に良くなり、そしてまたキャロルが回復してゆく様は何よりも王子を喜ばせた。
執務を終えルカ宮殿へ戻る途中、王子は中庭を見ながらふと足を止めた。
美しく手を入れられた花々に彩られた広い中庭の一角に更に樹木で囲われた小さな庭園がある。
初夏の青葉が見た目にも爽やかである。
この庭園の木陰は一人になって静かに書を読むのに最適で、王子の最も気に入りの場所のひとつであった。
「姫をこの庭園に連れて参りたいものぞ・・・実によくできた庭であるな」
背後にいたルカに言った。
「そうですね。花がお好きな姫の事、さぞお気に召されるでしょうね」
王子は突然に何かが閃いたように両手を打ち合わせ、少年のような輝かしい笑みをその顔に浮かべた。
ルカは意表を突かれ、しばし王子らしからぬその表情を見つめていた。
(王子もこのようなお顔をされる事があるのだ)
いつも澄ました印象の強い王子だけに、とても嬉しい気分にさせられる。
「良い事を思いついたのだ!
ルカ、そなたに頼みたい事がある」
「はっ、何でございましょう?」
王子は勿体ぶってルカの耳元に顔を寄せると、小声で耳打ちした。
まるで重大な指令を下すかのように声をひそめて話すが、王子の声はいかにも楽しげであった。
真顔で聞いていたルカの表情もみるみるうちに今にも笑い出しそうな笑顔に変わる。
「かしこまりました、王子!
ならば今すぐ手配にかかりますゆえ、どうぞお待ちを!」
「・・・ふ、頼んだぞ」
満足そうに王子が片手を上げ足取りも軽くキャロルの許へ去るのを見送ると、ルカは早々に馬を引いて王子の命を果たすべく出立した。
私も感謝感激雨霰〜最近こちらを知った者なんで~
しあわせを感じまつ。
>>693 負傷したキャロルを王宮に連れ戻ってより、王子はキャロルを自室の寝台に寝かせていた。
勿論、他に幾らでも部屋を用意することはできるのだが、あえてそうしていた。
執務を終え馴染んだ自分の部屋にもどれば自分の寝台にキャロルがいるという事が、王子にはたまらなく幸せであった。
すっきりと整頓され整ってはいるものの、男の部屋らしく無駄に飾り立てる物など置かれておらず殺風景とも言える。
天井に届きそうな大きな書庫には膨大な書物や巻物、剣や弓など武具の数々・・・そして続き部屋には大きな寝台が置かれているだけの以外に素朴な部屋。
しかしキャロルがそこにいるというだけで、なんと甘く華やいだ空気が部屋中に満ちることか。
(この部屋も少し姫に似つかわしく改めねばならぬかな・・・)
王子の口許が自然と緩んだ。
王子は寝室に入ると、寝具の上に流れるキャロルの黄金の髪を見つけて微笑んだ。
小さな白い顔は長い髪に埋もれるように、安らかな寝息を立てている。
ムーラからキャロルの様子を静かに聞きだすと、薬湯を用意するように命じた。
寝台の脇の椅子に腰を下ろすと王子は身をかがめて、眠るキャロルに優しく口づけした。
キャロルが怪我人であるのはよくよく分かっているはずなのだが、王子は身体がざわざわと熱くなるのを抑え切れない。
一度キャロルの身体を味わっただけに、あの感触が事あるごとに艶かしくよみがえり王子を苛んだ。
軽く口づけるだけのつもりであったのに唇はキャロルから離れがたく、それどころか更に熱を帯びてきてしまう。
キャロルの瞼がゆっくりと上がり、碧い瞳が開く。
「・・・王子?」
「おっと、起こしてしまったか。
・・・具合はどうか?」
王子の幾分上気した瞳はキャロルを捉え、唇はなおも額に頬に耳元に口づけを与え続ける。
「もうほとんど痛みはなくなったわ。
先生も傷は割ときれいに治るんじゃないかって言ってくれたの」
「そうか・・・。
どれ、傷を見せてみよ」
王子の指がキャロルの夜着の肩紐をほどいて胸元をはだけさせ、肩の白布を取り払う。
長く器用な指が肌の上を滑るのを、キャロルはドキドキしながら見守っていた。
>>695 「うむ・・・化膿もせずに上手く塞がったな。
時間はかかるであろうが、傷跡も薄れてまいるであろう」
王子は平静を努めて落ち着いた表情でそう言って包帯を巻きなおしてやったが、傷口のすぐ下に盛り上がる白い膨らみの谷間が気になって仕方がない。
それを覆い隠す薄絹の夜着をもっと引き下げて、柔らかな膨らみに触れてみたい。
しかし、キャロルの身体を案じる理性が何とか衝動を抑えていた。
「もう私大丈夫よ、毎日毎日寝てばかりじゃ身体がなまってしまうわ。
そろそろ寝台から出たいんだけど・・・まだダメ?」
「ならぬ!」
容赦ない王子の声の響きにキャロルは眉根をしかめた。
「大丈夫よ。
だってもう痛くないもの、宮殿の中を歩く位いいでしょ?
こんなにじっとしてたら、かえって悪くなっちゃう」
「どれほど出血したと思っておるのだ?
危うく命を落とすところだったのだぞ!!
侍医の許可がでるまで、いましばらく大人しく養生しておるのだな。
今日も書を読んでやるではないか・・・それとも退屈か?」
王子に軽く睨みつけられて、キャロルは慌てて首を横に振った。
「ううん、王子がこのお城の事やヒッタイトの歴史を色々教えてくれるのは楽しいわ。
とても興味があるのよ。だからこの目で見たくて見たくて仕方がないの!」
興味に目を輝かすキャロルを見ると元気を取り戻したのが嬉しい反面、もっと縛り付けておきたいという激しい独占欲に駆り立てられる。
キャロルをこのままずっと何処にもやらず誰にも会わせず、部屋の中に閉じ込めておければどれ程いいだろう、と王子は何度も考えた。
―――そう、寝台の中で自分の帰りだけを待たせて、他の何も考えさせず―――
>>696 「ねぇ、王子。部屋の外に行きたいわ・・・もうウズウズしてるの!」
おもむろにキャロルが上体を起こそうとしたので、肩紐を解かれていた夜着はしどけなくキャロルの腰元へ落ちた。
果実のように初々しい二つの膨らみが王子の眼前で弾むように揺れ、まだ柔らかに眠る薔薇色の頂きが王子を誘う。
突然の事に王子はカッとなり、思わず理性も忘れてキャロルの乳房に触れてしまった。
「きゃぁ!」
王子に触れられて初めてキャロルは胸元をさらしていた事に気づき、両手で隠そうとしたが遅かった。
それより早く王子は白い胸に顔を埋めるように、キャロルの身体を抱いていた。
「・・・何がウズウズだ!
私がどれほどそなたの身を案じ、自分を抑えていると思っている?!」
王子は苦しさを吐き出すように言い、胸の頂きを唇に含んだ。
息を呑むようなキャロルの吐息と共に、小さな頂きは王子の口中で舌に転がされるとあっという間に固くなった。
キャロルの反応に煽られるように、王子の自身も更に固く強張っていった。
「外へ出せだと?
・・・ならぬな!
出してなどやらぬ。
そなたを存分に愛し尽くすまで・・・外になど出してなどやるものか!」
王子はこのままキャロルを押し倒して、身体で組み敷いてやりたいのを何とか自制しようとするが、股間にそそり立つものが、どうしてもキャロルの中に押し入りたいと悲願する。
しかし今キャロルを求めれば、とても穏やかに抱いてやれる自信はない。
初めての夜以上に激しくしてしまうに違いない。
(ならぬ、しかし・・・欲しい・・・欲しい・・・今すぐ欲しい!)
眉根を深く寄せて堅く目を閉じた王子の官能的で苦しげな表情に、キャロルは胸に熱い痛みを覚えた。
王子に抱かれた時と同じ熱い疼きがよみがえる。
「王子・・・好き・・・愛してる」
理性と欲情のはざまで葛藤に苦しむ王子を、キャロルの一言があっさり狂わせる。
キャロルが王子の胸に身を預けるように寄りかかってくると、もはや王子はこれ以上自分を抑える事など出来なかった。
>>697 「この・・・!!」
王子は苦々しく唇を噛んで睨みつけると同時にキャロルを寝台に倒し、白い身体に纏わりつく衣を手馴れた手付きで引き裂くように剥ぎ取った。
「いやっ・・・!」
キャロルは突然の王子の激しい振る舞いに恐れ慄いた。
白昼の明るい光のもとに全裸をさらされ、キャロルは恥ずかしさに身を捩り、上掛けを身体に巻きつけて身体を隠した。
「何を申す・・・そなたが悪い」
王子は脇の椅子に座ったまま、上掛けの隙間を縫って手を入れるとキャロルは身体を堅くして王子から逃れようとした。
しかし王子の力強い手は容赦なくキャロルの身体を撫でるようにまさぐった。
上掛けの下で、大きな手のひらが膝から太ももを這い上がり、足の付け根に触れる。
「あっ・・・」
キャロルの花びらのような唇から可憐な声が漏れると、ニヤリと魅惑的な笑みをキャロルに向けた。
指が優しく淡い草むらを撫でまわし、そして淫らな動きで掻き乱す。
「あ・・・やめて・・・いや」
「・・・そうかな?」
そう言うと王子は草むらの下の亀裂を指で広げ、触れた。
蜜の溢れる花弁の中に王子の長い指が沈む。
王子の自身で貫かれる程の圧迫感は無いが、器用に動く指先で胎内を内側から愛撫されると、不思議な戦慄が背筋を走った。
「んん・・・!!」
そして花びらから抜き取られた王子の指が、一番敏感なキャロルの真珠を探り当てた。
――その時。
「お薬湯をお持ち致しました。遅くなり申し訳ございませぬ」
ムーラが盆に薬湯を載せて寝室に入ってきた。
うひゃああああああああ(絶叫
700げっちゅ〜
ムーラ・・・・・
思い出しながらイッキに書いてしまいました。すみませぬ。
久々に書いたら止まらなくなってしまって(藁)
まだ続きがあるのでチェックした後、晩にでもうpさせて下さーい。
お持ちしております!!!ムーラどうなるどうする!!
>暫定版管理人様
いつもありがとうございます。
おすがりするばかりで恐縮ですが、
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。m(__)m
>道中記作家様
ご降臨お待ちしておりました。
PCクラッシュお見舞い申し上げます〜〜。
Ψ(`▼´)Ψ マークが出た上に、ムーラが・・・?!
どんな展開になるのか気になります。
また是非続きを〜〜〜
暫定版管理人様、お声を聞けてホッとしました。
いつも更新お疲れ様です、そしてありがとうございます。
お世話になりっぱなしで申し訳ないので、何かありましたら
いつでも仰ってください。
編集作業でも遣いっパシリでも何でも、陰からそーっと応援させていただきます。
よろこんで!
ヒッタイト道中記作家様、お戻りになられるのを心待ちにしておりました。
新PCでの再スタート、大変な中での大量うpに感謝します。
レスを下さったみなさまも、ありがとうございます。(ぺこり)
>>698 「あら、もうお目覚めでございましたか?」
いつもどおりの何気ない気遣いを見せながらムーラはキャロルに尋ねた。
キャロルの身体は上掛けで覆われているので、キャロルの身体が一糸纏わぬ裸体である事や王子がキャロルの秘所に愛撫を施していようとは、ムーラには知る由もない。
王子はムーラの入室にも全く動じず、涼しい顔をしたままキャロルを愛しむ手を止めようともしない。
キャロルはこの時ばかりは、王子の愛撫を恨めしいと思った。
しかし声に出して「やめて」と言う訳にもいかない。
「おお、ムーラ。
薬湯をここに持ってまいれ、後で私が飲ませよう」
「はい。
姫君、ご気分はいかがでございますか?」
ムーラが寝台に近づいてくるので、キャロルはすがる様な目で王子に懇願した。
しかし王子はキャロルの反応を楽しんでいるかのように、さらに指先は真珠の上で舞うように円を描く。
「・・・・・・!!」
今のキャロルにはムーラの問いに答えるなど、とても出来ない事だった。
唇を開けば、とたんに喉の奥から悩ましい声を上げてしまっただろう。
「あら、お顔が赤うございますわ。
また熱が上がられたのではないでしょうね?」
キャロルは必死で顔を横に振る。
ムーラの言葉にあわせるように、王子はキャロルを覗き込んだ。
「姫・・・どうした?・・・熱でもあるのか?」
わざとらしく心配そうに、もう一方の手をキャロルの額にのせて熱を見るふりをする。
もうキャロルは弾ける寸前までに昂ぶっていた。
王子の指が真珠を摘まみ上げ、2本の指でこねる様に強烈な刺激を与える。
キャロルは寝台の奥の壁側へ顔を向けて、息を殺して甘い責め苦に耐えた。
白い喉が震えて小さく痙攣し始めている。
キャロルの限界を悟った王子はムーラに向き直り、いつもどおりの口調で言いつけた。
「ムーラ、姫に何か果物でも持って参れ。
少し熱があるのかも知れぬ」
「・・・かしこまりました」
>>705 そう言ってムーラが背中を向けると、王子の指はいよいよ激しくキャロルの絶頂を煽って真珠を擦り立てる。
(あっ・・・もうだめ!)
ムーラが部屋を下がるとほぼ同時にキャロルは身体をわななかせて昇天した。
甘い泣き声が唇から漏れそうになったが、すんでの所で王子の唇に封じ込められ押し殺された。
キャロルは肩を上下させて荒い呼吸を繰り返し、時おりむせるように咳き込んだ。
ぐったりと脱力したキャロルの背中を王子は優しくさすってやった。
(やはり・・・まだ体力が戻っておらぬか)
王子は少し可哀相な事をしたと反省しつつも、冗談めいた口調でキャロルをからかった。
「・・・よくぞ耐えたな、褒めてつかわすぞ」
キャロルは涙をいっぱいに溜めた碧い瞳で王子を振り返り睨んだ。
「ひどい・・・ひどいわ!王子!!」
王子の腕を力任せに叩いた。
しかしその力は、まだまだ弱々しい。
「私をいつも悩ませる罰ぞ・・・心して受けよ」
クスクスと王子は可笑しそうに笑った。
しかしキャロルは涙をポロポロと溢して、泣き始めてしまった。
さすがに王子は少しうろたえて、キャロルの顔を覗き込んだ。
キャロルの身体をそっと抱きしめ、涙を唇で拭ってやると、キャロルの濡れた頬に自分の頬を擦り付けた。
「ふふ・・・すまぬ、姫よ。
そなたが愛しくて堪らぬゆえ・・・苛めてみたくもなるのだ。許せよ」
優しくあやしてみるが、キャロルはまだ腕の中で脹れたままだ。
しかし幾らキャロルが拗ねて脹れてみせても、王子は愛しさをいや増しに募らせるだけである。
勿論キャロルの笑顔が一番好ましいのであるが、キャロルが怒ったり泣いたりするのをなだめて慰めるのもまた王子にとっては悦びであった。
「そう怒るな。そんな可愛い顔で睨まれると、また苛めたくなるかも知れぬぞ」
キャロルは王子相手に怒ってみてもあまり意味が無い事を悟り、呆れたように言った。
「もう!あんな事する王子は嫌いよ!」
唇を尖らせてそっぽを向くキャロルの頭をそっと撫でると、包み込むように抱きしめた。
「・・・わかった、わかった。
そうだな・・・よし!
では、近いうちに・・・そなたにこの城を案内してやろう。
ハットウシャの市街へも連れて参ろうぞ」
>>706 王子の腕の中のキャロルがパッと顔を上げた。
「本当?」
「おお・・・嘘を申して何とする」
キャロルの白い顔に華やかな笑顔が広がる。
「嬉しい! ・・・早く行きたいわ!」
「まず、身体を回復させてからだ」
「ん・・・わかったわ」
珍しく素直にキャロルが折れた。
王子はキャロルの顎に手を添え自分に向かせると、悩ましい琥珀色の瞳で見つめた。
「そして・・・今日の続きを終えてからだ。
今日はそなたの身体を案じて仕方なく断念いたすが・・・
もう待たされるのは懲り懲りだ、今後は・・・欲しいときに何度でもそなたを私のものにする!」
そう言い放つ王子の身体はとても熱っぽくて、キャロルの胸をドキドキさせる。
王子と結ばれたあの夜を思い出せば、キャロルだとて熱い吐息を漏らさずにはいられない。
王子は脱ぎ捨てられたキャロルの夜着を手繰り寄せた。
(抱こうと思うていたに、衣を着せてやらねばならぬとは・・・何と不本意な!)
心の中で愚痴をこぼしながらも優しい手付きでキャロルに夜着を着せてやり、寝台に寝かしつけた。
「さぁ、疲れたであろう。薬湯を飲んでしばらく眠るがよい。側に付いていてやろう」
「だめよ、王子。ムーラが果物を持ってきてくれるのに」
薬湯の入った杯を受け取ると、キャロルは可愛らしく王子を睨んだ。
「・・・そうであったな!」
ちょうどその時にムーラが果物を持って入って来た。
「姫君!無理に起き上がってはいけませぬ。
それにまぁ、何ですか。
まだお薬湯をお飲みになられていないのですか?!」
ムーラの心配をよそに、二人は目を合わせて苦笑いするのであった。
ワーイ♪長いこと待ってましたよ〜!うれすぃ〜!
道中記作家さま大量うpありがとうございますた。
王子の悶々っぷりが大好きですわん。こっちまでモンモンモンモン・・・
キャロルを怒らせ泣かしといてからなだめるのが大好きだなんてやっぱり王子はサド?
いや、包容力があるというべきなのかしら〜?!
でもムーラ・・・本当に気づかなかったのかい?見てみぬふり?
道中作家さま、王子の幸せそうな様子がとっても嬉しくて、
思わずにやけちゃいます〜。
こんな2人のやりとりを、ずっと見て(読んで)いたいなあ・・
ををを・・・昨日うpがあったのでつね。知らなかったぁ!
ヒッタイト道中記様、王子に寸止めかけて苛めてらっしゃいまつね?
でも幸せなんだからチョトくらい我慢しときなよ>王子
作家様によって王子は堅物だったりエチーだったりするので楽しいです。
どちらの王子も好きだなぁ。
本編でΨ(`▼´)Ψ が見れないから特にエチーな王子には萌えちゃうよぉぉ。
「願い」のキャロルはメンフィスとの婚儀の直後に攫われたの?
てことはまだ未経験のままで王子の手に?
>>711 済んだ直後じゃないかな〜
願いのつづき早く読みたいよ〜〜
よく読み返してみると、初夜〜の後アイシスの婚儀に逝く途中にも思える。
>711
処女ではないと思われ。
だって王子に抱かれながら、メンフィスとのHを思い出してたような気がするんだけども。
王子モノ大好きだから、ここは私のオアシスです!ありがトン作家様たち〜(チュッツ)
>願い作家様 どこまでも堕ちてく王子、絵になるねぇ。でも王子幸せにしてやってー
>道中記作家様 王子のセクシーなセリフ回しと悶える姿がイイっす。
>兄弟作家様 クールな王子がツボです。理屈っぽいあたりが王子らしくてステキぃ!
じゃあまだメンフィスの元に戻る可能性は有りそうだね。
なんとなく戻ってからの二人の展開が今までになく楽しみなんだけど(w
>>666 28
「・・・・疲れた。でも嬉しかった・・・。ありがとう、王子」
キャロルは王子の差し出す茶器を受け取りながら頬を染めて言った。
「何故、私に礼など?私は何もしておらぬ。民がそなたを押しつぶしはしないかと気が気でなかっただけだ」
お忍びで出かけていった市場で、キャロルのことが知れてしまってずいぶんと騒ぎは大きくなってしまった。結局、王子は王宮差し回しの兵の力を借りてキャロルを連れ帰らねばならなかった。
それでなくても精神的に張りつめて不安定なキャロルを王子は心配したが、それは杞憂だった。
民の素朴な声や妙に繕ったりしない直截な好意は、キャロルにとっては自分の犯した「罪」―戦の元凶となって多くの命を失わせてしまった―への癒しとなった。
「私・・・少しは、ほんのほんの少しは償えているかもしれないって・・・思っても良いのかしら?」
キャロルはまっすぐに王子を見つめた。そこには闇雲に罪を恐れ、理不尽な運命に嘆き苦しむ萎縮した少女はいなかった。
初めて王子が出会ったときの意志と生気溢れる青い瞳・・・・・。
王子はキャロルの独り言のような問いには答えずに、ただ白い手をぎゅっと握りしめた。自分を見つめる青い瞳に映る自分自身を嬉しく見返しながら。
「私は・・・私はこれからも償っていくことを許されるのかしら?
私が古代に来たばかりに戦が起こって・・・もう私は生きていてはいけないと思ったの。沢山の人が私を信じて死んでいったのに何故生きていけるのって。
でも死んでしまうのも無責任に逃げることのように思えた」
「そなたは・・・自害を考えていたのかっ!」
キャロルは穏やかに首を横に振った。
「今はもう考えていないわ。どうしていいか分からなかった時に王子が色々なことを教えてくれたわ。辛くても逃げないでいることができたのは、王子のおかげ」
キャロルは少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「ずっと言わなきゃって思っていたの。・・・・王子、ありがとう。
私が自棄になっていたときも、泣いていたときも、ずっと・・・居てくれてありがとう。兄さんみたいに・・・居てくれてありがとう」
29
いつもの自制や冷静さはどこにいったのか。
気がつけばイズミル王子は初めて自分に心から微笑みかけ、優しい言葉を口にした少女の身体を激しく掻き抱いていた。
「お・・・王・・・子?」
苦しげに顔を上げたキャロルの唇はいきなり王子に奪われた。
「どれほど私が苦しんだと思うのだっ!」
王子の声は少し掠れていた。
「そなたが苦しみ、嘆くのをただ見ているしかなかった私の苦しみを思っても見よ!
決してそなた一人のせいではない戦に心痛め、私が欲し守るが故にそなたがより苦しむのをただ見ているしかなかった私の心を!
私が初めて愛しいと思ったそなたが、私故に生涯、嘆き苦しみ、死者達への祈りに生きるしかないのかと思ったとき私は・・・私はっ・・・!」
今までずっと冷然とキャロルを見守り、時に意地の悪い言葉で無気力になりがちな少女の心を煽り立ててきた男の、それが真の心であった。
キャロルは呆然と、初めて見る王子の感情に溺れた姿を見守った。
(・・・・ひょっとして・・・・)
不意にある予感がキャロルの中に萌した。その予感はあっという間に大きく膨れ上がり、キャロルの頬を赤く染めた。
(ひょっとして・・・・王子は・・・・私のことを・・・・?
ああ、まさか!そんなことってあるかしら? 自惚れが過ぎるわ、思い上がりも甚だしいわよ、キャロル!
王子はただ私のことを珍しがって・・・それに私を刺したじゃないの!それに・・それに・・・)
「あの・・王子。どうか落ち着いて。どうしたの?ねえ・・・」
「どうして、などと問うか、この期に及んでこの不調法者は!」
王子は吼えるように言った。
30
自分よりはるかに年下の少女相手に、初恋に目の眩んだ少年のような真似はすまいと思っていたがイシュタルは意地が悪かった。
王子はおそらく生まれて初めてプライドを捨てて、胸の内を相手にさらけ出すという真似をする羽目になった。
「私は言わなかったか?そなたを愛していると。私が愛しいと思っているそなたが初めて私に心から微笑みかけ、感謝の言葉を口にした。兄のようだと!
兄! 惚れた女から兄呼ばわりとはとんだ間抜けだ。私はそなたにとっては男ではないのか?
よいか、よく聞くがいい。私はそなたを愛しいと思っている。そなたを欲しいと思っている!」
(私は・・・愛されている・・・?こんなに激しく?こんなに、こんなふうに言われたの初めて・・・・)
キャロルは全身を薔薇色に染めた。
自分がたった今、好意と感謝を伝えた相手から激しく求められた嬉しさとこれは何かの間違いではないだろうかという思いが交錯する。
不意に王子を映していた青の瞳が逸らされた。
「私は・・・私は・・・そんなこと急に言われても・・・分からない。
だって私は・・・エジプトが欲しいから、私にそんなこと言うの?
私の色形が珍しいからそんなこと言うの?よ、予言ができるっていう噂をあなたも信じているの?私はねえ、ただの娘よ・・・」
「愚か者めが!」
王子が優しく撫でるようにキャロルの頬を叩き、心にも無い言葉を際限もなく紡ぐ嘘つきな唇を閉じさせた。
「私はそなたが泣き、拗ね、怒るところを見た。そなたが学び、思慮深く言葉を紡ぐのを知っている。この一年間、ずっとずっとそなたをただ見ていた。
利用するつもりならば、弄ぶだけのつもりなら誰が辛抱強くつき合ったりするものか。
・・・よいか、二度とは申さぬ。私はそなたがそなたであるがゆえに欲しいのだ。姿形や地位身分など、どうでもよい。私が欲するのはまさに、ただの娘たるそなたなのだから」
31
「・・・・・急すぎるわ。急にそんなこと言われても分からない・・・」
やっとキャロルは言った。
(愛されている・・・。私は愛されている・・・無条件に、私が私だからっていうただそれだけの理由で。・・・・・嬉しい・・・・!)
自分を引き寄せた王子の腕から逃れることはできなかった。いつもいつも張りつめて、侮られまい、嘲笑われまいとしていた緊張が溶けていく・・・・。
だがキャロルはなおも抗った。
「私は・・・・・・戦を・・・・呼んでしまった。沢山の人が死んだわ。
それなのに私だけ・・・・。だめ」
それは王子の告白に答えたも同然の言葉だった。王子はキャロルの肩に両手を置き、言った。
「そうだ、そなたは多くの者に責任を負う立場にあるのだ。それゆえ常に自身を律し強くあらねばならぬ。
あの戦は決してそなた一人のせいで起こったのではない。だが戦がそなたの負い目であるのなら生涯かけて償えばよいのだ。民が平和に幸せに生きられるように。
私がいつも側にいて手伝ってやろう。そなたの重荷を共に持ってやろう」
「王子・・・・本当に・・・・?」
「私もまた、多くの民に責任を持つ立場。一人では孤独で、荷は時に重すぎる。・・・・二人であればきっと全てはもっとうまくいく。
私が側にいてやろう。寂しくないように、泣かずにすむように。
だから・・・そなたも私の側に居てくれないか?いや、居て欲しい!」
不意に王子はキャロルの足許に跪いた。
「ナイルの娘、キャロル。どうか私の妻になって欲しい。私は御身の心をこそ欲する」
すきま風が灯火を揺らした。明かりは揺れる、キャロルの心のように。
「・・・・・・はい。私を・・・こんな私を、ただ私だっていうそれだけの理由で・・・そこまで言ってもらえるなら・・・私は・・・・嬉しい」
王子は立ち上がって、キャロルに口づけた。
32
「キャロル様、よろしいですか?今日よりはイズミル王子のお妃におなり遊ばしたのですから、きちんと‘お妃様’らしくお仕え遊ばしませ。
いつまでもお兄さまに甘える妹ではいけませぬ。今宵も我が儘を遊ばさず、ただただ王子のお望みのまま、素直になさいますよう・・・」
婚儀を終えたキャロルを夜衣に着替えさせながら、ムーラは母親のように細々と注意を与えていた。
(早いこと・・・。ひどい風邪で苦しんでふせっておいでだった方がもうお輿入れ。娘のようにもお見上げ申していた方が、私の大切な王子の御許に)
涙ぐむムーラの目元をそっとキャロルの夜衣の袖が拭った。
「まぁ、申しわけありませぬ。私といたしましたことが・・・!このお喜びの夜のお衣装に涙など縁起でもない!」
「いいの、ムーラ。これは私のママの涙と同じよ。
ありがとう、ムーラ。本当にありがとう。私、ハットウシャに来てから本当に色々あったけれど・・・やっと居場所が見つかったの。
ムーラは私の本当のママみたい。ムーラが居てくれたから私、どうにかこうにかやってこられたと思うの」
率直な少女の言葉がムーラを感激させた。だが古参の乳母は殊更、淡々と言葉を返した。
「まぁまぁ。キャロル様は王子がおられて、辛抱強く導いて下さったから今日のこの日をお迎えになられたのです。お忘れになってはいけませぬよ。
今日よりは王子があなた様の一の人です。どうかお幸せに・・・」
その時、扉が開いて王子が花嫁を迎えに来た。
キャロルは大切に王子に抱きかかえられて新床に消えていったのである・・。
33
「エジプトでは兄妹でも婚儀を挙げられると聞いた。そなたが私を兄とも慕ってくれていたのは・・・ひょっとしてそういう含みもあったのであろうか?」
自分が女にしたばかりの華奢な身体を弄ぶように触りながら王子は馴れ馴れしく問うた。
「ち、違うわよ! 私はあのときはただ王子が優しくて、安心できる相手に思えて・・・それで・・・・。
に、兄さんとはこんなことしないっ!」
王子はくすりと笑った。全く先ほどまで王子の体の下で初めての快楽と痛みに涙していた乙女とは思えない子供っぽさ。
「そうかそうか。それを聞いて安堵いたしたぞ。
よいか、姫。これより先、そなたがこのようなことをしてよい相手は私だけぞ。私だけがそなたを愛し、様々なことをこの身体に・・・・教えてやれるのだ」
キャロルは答えるかわりに、王子の肌に口づけた。
王子とキャロルは生涯睦まじく、多くの子を為し、国を繁栄に導き、中興の祖を称せられたという。
キャロルは全てを失ってただ一人、古代世界に引き込まれたが・・・だが失ったもの全てを補ってあまりあるものを手に入れたのである。
終わり
というわけで終わりでございます。
何だかとりとめのないお話におつきあい下さった方、寛大にスルーして下さった方、
どうもありがとうございました。
先輩諸作家様の物語の続きを私も楽しみにしています!
兄妹作家様、お疲れさまでした&ありがとう!
オニマークもないし、王子はクールだしで一見淡々としたお話でしたが
キャロルの心理描写が細かくてリアルだと思ってました。
最終回にむかう今回のウプ分、王子の口説き文句がツボで萌えました!
あーいうふうに言われてみたい
兄妹作家様!
素敵なお話をありがとうございました!
私も王子にあんなセリフで口説かれてみたいと悶える
王族乙女の一人です。
続編&新作、お待ちしております。
お疲れさまでした。
>>667 4
厳重に警備を配した奥向きの部屋。
重々しく響くイムホテップの声。
居並ぶのはエジプトとヒッタイトの政に携わるミヌーエ将軍やイズミル王子などの面々。
キャロルが友好の証と婚姻による同盟の為に嫁す条項を読み上げるイムホテップの声を聞きながら
カプター大神官がこの場にいなくてよかったという思いと、いたら責めていたであろうという思いを抱きながら
先ほど回廊に響いていた彼の得意げな声音を思い出す。
自分のファラオ快癒の為の祈祷が効いたと喜び、今は感謝の祈祷を神殿でしている野心家の神官。
もしメンフィスが目覚めなければ・・・そんなことは露ほども考えたくはないけれども・・・
ネバメンがいるではないかと言った私に返ってきたのは思いもかけないものだった・・・・。
ネバメンが誠にネフェルマアト王の和子か否か、それは未確認ながらそうではないということ。
カプター大神官もそれは知らされていないらしい、と・・・・。
『王妃キャロル、あなた様がナイルの女神の娘としても、私どもはメンフィス様をお守りし、その血筋をお守りするのが大事。
メンフィス様あってのエジプト王家でございますれば・・・・。』
あの時私はなんてイムホテップに言ったのだったかしら?あなたは立派な宰相だと。
頭を下げたイムホテップの口から聞いたのは「私どもはエジプト王家に仕える者でございます」だった。
だから最近医療の充実を図っているヒッタイトから救いの手が差し伸べられた時に、その代償が私を娶ることだったとしても、他に選択肢はなかった。
「・・・よってシナイ、ティムナ銅山の利権の一部をここにヒッタイトに譲渡する・・・。」
「了承した。これにて同盟は締結とする」
イズミル王子の声が締めくくった時、キャロルははっと顔を上げた。
「これで正式にそなたは私のものとなる」
低く耳元に囁く王子の声、キャロルの手をとり、優雅に自分の口許に寄せる自信に満ちた仕草。
自分を見つめる明るい薄茶色の瞳。
いやよ、私はメンフィスの妻なのに・・・。古代にいる決心をしたのはメンフィスがいたからなのに・・・・。
もう・・・あなたに会えない・・・会う資格がない・・・・。
意識を手放した脱力したキャロルの体を我が物だと言わんばかりに抱き取ったのはイズミル王子だった。
1
「ですから、ちゃんと聞いているのですか?イズミルよ。」
「母上の教え、深く胸に。しかし、私は、」
「ほらほら、それがいけないのです。」
ここはヒッタイト宮殿、王妃の間。ヒッタイト王妃の話は延々と続く。
国王の女癖の悪さに、どれほど自分が泣かされてきたか。
その最初のきっかけは、王子を身籠っている最中であったこと。
ナイルの姫一途に思い続けた長年の願いが叶って妃とし、目出度くも初めての御子を身籠った今が肝心な時。
これまでの経緯もあって、そのようなことを口に出来ない王子の妃に代わって、言い聞かせておるのに。
(しかし、私は父上とは違います。)
そう続けようとしたイズミルの言葉は行き場を失った。
「国王がそなたに何か言うかもしれませんが、今度ばかりは私も黙っていられませんよ。
生まれてくる御子の母を苦しめる国王には、一切御子を触らせません、私がそう申していると伝えても結構です。」
「わかりました、、、して、その品々は?」
「そうそう、今日はそのためにそなたを呼んだのです。
端から説明しましょうか。これは御子のための寝台と寝具。どうです?見事な出来栄えでしょう。」
王妃の部屋の一角には、生まれてくる御子のための身の回りの道具が山のように積まれていた。
「これは確かに・・・しかし、出産はまだ三月ほど先だと侍医が申して・・・」
「やはりそなたは何もわかっていない!」
王妃はまたもやイズミルの言葉を遮る。
いいですか?妃の里はエジプト、今は敵対国ですよ。初子で心細い思いもしているでしょうに、それをわかってやるのがそなたの役目です!
それなのに・・・ああ、やはり妃の気持ちをわかってやれるのは私しか・・・ん?何用です?」
2
>>726 入り口には王妃の剣幕に恐れをなして、声を掛けそびれた侍女が首を竦めながら立っていた。
「あ、あの、国王様がイズミル王子様をお呼びでございます。」
「わかった。すぐに行く。では母上、失礼いたします。」
イズミルは永遠に続くかと思われた王妃の繰言から解放された。(しかし、何か嫌な予感がする・・・)
「おお!イズミルよ!待っておった。まさか王妃のところに居たとはな。」
「お待たせいたしました。して、私に何か?」
「うむ、まぁそこに座れ。うん、その、あれじゃ。
ナイルの姫が身籠ってから、そなたもいろいろと大変だと思ってな。」
国王の部屋にやってきたイズミルの予感は的中した。(またあの話か・・・)
「先ほど、母上からまるで同じ事柄について、まったく逆のお小言を。
そうそう、あくまでも妾を勧めるのであれば、生まれてくる御子には一切触れさせぬと、母上は申しておりましたが。」
「なにぃ?それは困る。」
「いずれにせよ、私は妃以外の女人を侍らせるなど、考えたこともございません。」
「あれものぉ・・・そなたが腹の中に居る時から
”もしも王子であったら決して将来女人を泣かせたりはしてくれるな”
などと呪文のように唱えながら腹をさすっていたのだ。
それゆえ、そなたがそのように堅物になってしまったのだろうなあ・・・」
「お話はそれだけでございますか?」
「あ、いやいや、ちょっと見てもらいたいものがあってな。おい!例のものをここへ!」
運び込まれたものは、数々の子供用の玩具、たとえば小さな物は精巧に作られた木製の兵隊であったり、大きな物は幼児が乗れるほどの木馬であったり。
「父上・・・これは。」
その数の多さにイズミル王子も唖然とする。
「そなたの幼少の時には、政務に忙殺され十分なことをしてやれなかったことが、今も悔やまれてのう。
男御子であれば、自ら馬術や剣の手ほどきをしようと今から楽しみにしておるのだ。」
3
>>728 「しかし、生まれてくるまでは男か女かは神のみぞ知ること。私は妃と御子が無事であればどちらでもかまいません。」
「それは当然のことよ!姫であれば、ほれ、このように準備しておるぞ。」
その言葉と同時に運ばれてきたのは、木製のお人形に、屋敷や家具を模った小さな木製のおままごと道具。
「姫であれば、そなたの妃、ナイルの姫に似て美しくなるであろう・・・
だが、今から申しておくぞ。ワシの目の黒いうちはどこにも嫁がせてはならん!
そなたが、ナイルの姫をかっさらって来たように他国の者などが狙うかもしれんが、
求婚者などこのワシが切って捨ててくれるわ!」
国王は、まだ性別もわからぬ胎児の父親その人が、まるで将来の求婚者であるかのように、
憤怒の表情を浮かべている。
「ち、父上、落ち着いてください。まだ生まれてもいないというのに・・・」
「何を申すか!ナイルの姫の祖国エジプトは敵対国、もはやあっても無いと同じ祖国の両親に代わって、様々なる品を用意するのがワシの役目でないか!
ナイルの姫は泣きながら感謝してくれたというのに、そなたはこの親心がわからぬのかー!」
「妃が喜べば、それが我が喜び、父上母上のお心遣いに深く感謝いたします・・・」
イズミル王子はやっとのことで国王の部屋から逃げ出した。
エジプトからナイルの姫を連れて来た当初、王妃は相思相愛でない王子を不幸な・・・と嘆き、国王はどうにか自分の妾にできないかと虎視眈々と狙っていた。
それから考えれば、自分の妃として重々しく扱ってくれるのはありがたい変化。
しかし・・・
「何事にも限度というものがある。父上、母上にとっては初めての孫かもしれないが、
私にとっても初めての子。
そのようにすべて先回りされては、私の面目丸つぶれではないか・・・」
ぶつぶつと呟きながらイズミル王子が愛する妃の部屋に入ろうとすると、中からムーラの声が聞こえてきた。
いやーーん新作まで!うPありがトン〜作家様
でも夕飯作らなきゃ・・・(汗
5
「どうした?静かだな」
エジプトを出発した後、自分の腕の中にいる華奢な体の重みに喜びを感じている王子の声。
「泣きもせず、何も語らず、そなたにしてはおとなしいことよ。」
徐々に離れていくエジプトの風景を心にに焼き付けるように見ていたキャロルは王子の顔を見ようとはしない。
表面上祝い事として見送った懐かしいナフテラ、ウナス、女官の顔。
メンフィスはあれからまた眠っていたけど、その顔にキスすることもなく別れてしまった後悔。
でも私、王子の妻なんてなれない・・・心はエジプトに置いてきてしまった・・・・。
「あなたはもう私を手に入れてしまったわ、満足なんでしょう?」
幾分か責めたてる口調の中に言い返す元気があるのならさほど心配はいらぬ、と王子は見たようだった。
「ふん、先に申し付けておくが、私が欲しいのはそなたの屍ではない。自らの意思を持って死を望んだ場合、
容赦なくエジプトを責め滅ぼす、心しておくが良い」
「王子!」自分の顔から血の気が引いていくのが分かるような気がする、とキャロルは感じた。
そして図星をつかれたことも。
「そなたの心根は一途だ、アルゴン王から身を守ろうと毒の花を飲むことも辞さないそなたのことゆえ、
気に染まぬ相手なら同じ事を躊躇なくするであろう。
だが私は許さぬ、戦を止めたくば私の側で生きよ。簡単だ、私を愛せばよい。」
王子の言葉はキャロルの気持ちを締め付ける。
死ぬこともできないなんて、どうすればいいの?
身体は王子のものとなって、心は私のものだわ!
「心は私のものです、あなたの自由にはありません・・・。」
王子が冷笑とも思える表情をしてるのをキャロルは青い瞳で臆することなどないように射た。
王子の手が金髪を弄ぶ、でもその触れ方は思ったよりも優しい感触だった。
「いつまでその元気が続くか楽しみだ。」
王子の唇が頬に触れた時にキャロルの身体がびくっと反応したのはなんだったのか。
自分でもわからないまま、王子はキャロルに無体を働くことなどせず旅は終った。
4
>>729 「ええ、それはもういろいろな縁故を辿って乳母候補が毎日やって来ますけど。
ご安心くださいませ。お妃様のお気に染まぬような乳母をこのムーラが許すものですか。系譜も確かで、見栄えの良い、しかも賢く、かといって出過ぎず控えめで、身体の丈夫な乳母、そういった者でなければなりません。」
「でも、私は出来れば自分のお乳で育てて、私の行届かないところをムーラに助けてもらえたら、と思っているの・・・ムーラ。」
「何を申されますか!お妃様の産後のご回復が遅れるようなことがあっては大変です。
いえ、私が今少し若ければ、もちろん御子様の乳母としてお仕えさせていただくよう真っ先にお願いするのですが・・・」
「それでいいんじゃないかしら?もしもお乳の出が悪かったら・・・その時また考えましょ。」
「お妃様、ではこのムーラに御子様の乳母を・・・?」
「イズミル王子を育てたあなた以外に乳母の適任者はいないでしょう?
お願い・・・ムーラ。」
「おお!ありがたき幸せ。このムーラ、我が命にかえましても御子様を立派にお育て申し上げますっ!
ああ、こうしてはおれませんわ。とにかく乳の出だけは良さそうな系譜の者などを選んでおきませんと。
・・・おや、イズミル王子様!お戻りとは知らずに失礼申し上げました。急ぎますので御前失礼いたします。」
5
>>732 ムーラはばたばたと部屋をでていった。
「王子!お帰りなさいませ。聞いていたでしょう?昨日話していた乳母のこと、ムーラにお願いしたわ。」
「私から言うより姫から頼んだ方が、ムーラも喜ぶであろうからな。
しかし、本当に良いのか?自分の乳で育てるなど。」
「だって・・・母親ですもの。なんでも人任せにはしたくないの。」
「元はといえばムーラが乳母選びに難癖をつけていたことが始まり。やはりあれも父上や母上と同じ気持ちなのであろうか・・・」
「なんのこと?」
「いや、独り言だ。そんなことより、ここに戻る前にまた父上、母上より生まれてくる御子への贈り物をいただいた。
そろそろこの宮殿に収まりきらなくなるぞ。」
「え?また?先ほど、お二人ともご一緒にこちらに足を運ばれたばかりなのに?」
「ここに?父上、母上が共に?」
「ええ、新しく整えてくださった産屋の調度品が揃ったので一緒に拝見しましょうと。
国王様はその時に、良い馬の産地に御子のための馬をご注文なさったとおっしゃっていたわ。
また、王妃様はこれからもっとお腹が大きくなるからと、ゆったりした衣装をたくさん下さって・・・
王子、こんなに大切にしてもらって、私も御子も本当に幸せだわ。」
(一番大切にしているのは、姫の夫であり御子の父親である自分だ・・・)
イズミル王子は声を大にして言いたかった。
(それにしても、父上、母上ご一緒でありながら、何ゆえ先ほどのように険悪な雰囲気に?)
「その時の父上、母上のご様子は?」
6
>>733 「あのね・・・それが。どちらが先に御子をお抱きするか、で口論なさったの。
国王様はご自分が一番だと。でも王妃様が・・・」
言い辛そうな妃に、早く申せ、と促す。
「イズミル王子が生まれた時に、他の女人のところに、その・・・
そのような国王様では御子誕生に間に合わず、かといって他の者が抱いてやる訳にもいかず、御子が可哀相ではありませんか、と。」
(20年以上前の夫婦喧嘩の続きに私は振り回されていたのか・・・
だいたい、御子の父である私が一番に抱くべきではないか?)
イズミルはぶつぶつと口の中で繰り返した。
「どうしたの?王子・・・」
気が付くと碧い瞳が自分をじっと見つめている。
お腹を気遣いながらそっと妃を抱きしめながらイズミルは言った。
「そなたと御子を一番大切にしているのは・・・誰だ?」
「なぜそんなことを聞くの?もちろんあなたよ・・・王子。」
「で、生まれてくる子を一番先に抱くのは・・・」
「もちろん、あなたよ・・・王子。」
その言葉で日課のように繰り返される一日の疲れが癒されるイズミル。
窓の外の茂みの影にいるルカは・・・
「ああ、イズミル王子とナイルの姫の御子様がお生まれになったら、今度こそ堂々と胸張って護衛の兵のお役を頂きたい・・・。
イズミル王子の命を受けて、誰にも遠慮することなくナイルの姫と御子様だけをお守りすることこそ、我が喜び・・・」
本編では考えられないような平和なヒッタイトの夕暮れ。
−おしまい−
王子・・・・幸せになってね。
ほのぼの〜鍋を掴みながら三回転〜
>ヒッタイトの夕暮れ作家さま (・∀・)イイ!こういうほのぼのホームドラマ好きかも。 いやらしくないヒッタイト王が新鮮でした。
続々とうpがあって嬉や〜。
たった一つの言葉もこれからの展開がとっても
楽しみっす。
連休中うpがほとんど無い時期いろんなO家ファンサイトを
回ってたんだけど、ここほど王子が幸せに(これ重要)なれるストーリーが
豊富なところは無くて欲求不満でした。このスレ最高よ。
そうそう、王子はほんとは幸せになってもいい人なのに、
本編ではなんであんな目にばかりあわせられるの〜???
ここでは安心して幸せに浸れます。
作家の皆様、感謝です!
>>737 そうそう、このスレほんとに最高よ〜!特に王子ファソにはね★
クオリティ高い作品多いし、文章ウマイ作家さん多いし。
ここで書かれる作家様の中には「お金払っても読みたい〜」と思う方も多いですもん。
本編よりこっちのがお金はらう価値があ(ry
>>740 ・・・言えてるかもぉ〜。最近本編よりここ読んで萌える事が多いですわ。
このスレをプリントアウトして細川センセに送り付けたい。
王家番外編で王子の幸せストーリーのどれかを漫画化してほすぃ〜
>741
その時には是非鼻斜線抜きでお願いしまつ。
>ヒッタイトの夕暮れ
両親に振りまわされてる王子が、いつもの理知的な様子と違って
楽しかったです(ちょっと気の毒だったけどw)。
親たちに張り合っちゃってるところとか、可愛くて好きでした。
でも、今からこの調子では、生まれた後はさらに大変そう・・・w
今宵は願い作家様&道中記作家様の御降臨はあるのかな〜?
Ψ(`▼´)Ψ系王子ストーリーが好きなので、コレを読まずには寝れない…
ダッテ ネルマエニヨンダラ ユメニ デテクルンダモンネ! シアワセ!
兄妹がひっそりと終わっている。。。。
淡々とした筋だけど、クールな王子に萌えました。
あとムーラの過去が語られたのも珍しく。
作家様、最終回でにわかに遡って読むきになりました。
だって王子の怒濤の告白だも〜〜〜!!!
不謹慎な読者ですみません。また書いて下さい。
たった一つの言葉作家様〜待ってました!!
これまたせっつな〜い展開になるのでしょか・・・・
思い切り、切なくて最後に王子の想いが報われるパターンって
萌え萌えですよね。
はぁい、それはもう萌え萌えでございます〜
>>664 「驚かせてしまったな…」寝台の奥に、置物の様に動かずにいるキャロルの元へ戻ると
その白い剥き出しになった肩に手を置き、そっと抱きしめる。
「母の目には、私は未だに子供に映るというわけか」大げさに溜息をつき…おどける様に笑い掛けてくる
強ばりが少しずつ溶けてくる…男の腕の中で何度か浅い呼吸を繰り返し、深く息を吸い大きく吐き出す-----
そして、スッとその腕の中から身を引くと、尋ねた-----
「王子は…どうして?…どうして…私の事を言わなかったの?」
「姫は、言われたかったのか?」からかうように、問われると
(王子に…下手な小細工は通用しない…聞くしかないわ)
「……王子は、エジプトを手に入れる気なのでしょう?…」
心が浮き立つ…この感覚-----(久しぶりだ…)
「…さて…姫はどう思う?」楽しそうに、問い返されると
(…真剣に取り合ってすら貰えない?…その資格すら今の私には無いと?…意見など認めないと?)
湧き上がる怒りに、指先から血の気が引いてゆく-----
「…イズミル王子、私は真剣に聞いているのです。以前の様に私を利用するつもりですか?」
(メンフィスの元には戻らない…でも…守りたい…私の為に戦を二度と起こすものか!)
「そうではない…」射抜くような視線を、さらりと受け止めて
(強い信念を持つ、青い瞳…この瞳に魅せられ、惹かれ、焦がれ続けているのだ-----)
「何がですか?」
キャロルの瞳から目を逸らさず、瞬きを忘れたようにじっと見つめ続けて
「気にして欲しいのは、そこではないという事だ」(生気に満ちた声…もっと聞かせておくれ)
「?!…」謎掛けをしているような、的を得ない答えに、まるでわからないとばかりに見つめ返すと
「私が気にして欲しいのは…『愛している』と言う言葉なのだがねえ…」
「…なっ何を!ふざけないで…」真っ赤になって怒るキャロルに
「ふざけるなどと…先程の言葉に嘘などない」と言うと、傍に落ちていた守り刀を握らせる
「何故ごまかす?そなたは…もう気付いてくれているのでは…ないのか?」
「ぃ、今はそんな話よりも大切な話を」キャロルの言葉は激しい声で遮られた
「そんな話?その事より大切な話など私には無い」(気付いているのだろう…?)
「……」(怖い!この人の心が…怖いくらい真剣な心が響いてくる…)
「…答えたくなければ、答えなくとも良い…」
「先程の問いに答えよう…いつかは手に入れる、いつかはな…」この話は終りだとばかりに、入り口へと歩いて行くと
「私は、急ぎ取り掛からねばならぬ用事が出来たゆえ」と、扉を開き、回廊に控えている者に何事かを命じた後
「姫、逃げようなどとは考えぬ事だ!…わかっておろう?」
「----良い子にしているのだぞ」留守番を命じた子供に話す様に言うと、笑いながら部屋を出て行った。
「評議の間に参る!将軍を呼んでおいてくれ」と伝え、こちらに向かって小走りにムーラが来るのが見えると
ムーラの元へと歩み寄る。
「…王子、お呼びでございますか…」何度も宮殿の行き来を繰り返す、ムーラの息は上がっていた
「ムーラ!そなたには随分と忙しい思いをさせているようだな」
その原因は全て自分だと、意味を含んだ笑顔に、つられて(その通りですよ)の意味を含めて笑い返すムーラ…
(…いつもの王子に戻られた…)この何日間…見ることの無かった王子の笑顔に安堵しながらも
(先程の王妃様との一件も、無かった事の様に思えてしまう)
「いえ、私は平気ですよ。でも心配して下すって嬉しゅうございます」と王子を見つめる。
「王子!お召し替え致しましょうか、ささっこちらへ…」慌ただしく侍女を呼び付け、支度を整えていった-----
評議の間に将軍と、将軍の命でキャロルを捕らえた王子直属の腹心の部下達が、王子の来るのを傅き、待っていた
やがて、王子が部屋に入り、兵士達を見渡すと
「…さすが将軍だな…話が早い」将軍が部下達を全員呼び寄せていた事に、満足そうに頷き、最前列に控えている者に視線を合わすと
「恐れ入ります、王子、して?召集のご用向きは?」将軍と呼ばれた、眼光の鋭い初老の男の問いに
「王が、三日後に戻られる事になった…今、ナイルの姫が我が手にある事はここに居る者と、後は数人の召使い以外は知らぬ事だ」
「他言はしておらぬな?」王子のいつに無く、厳しい問いに一同は大きく頷くと
「王にも王妃にも、まだ知られてはならぬ」兵士達の顔に一瞬疑問の表情が浮かぶが、王子は構わず続けた
「重ねて申す他言は無用!そして街中に布令を出せ!」真剣な表情で王子の話を聞く兵士達
「…いいか、文面はこうだ…王子イズミルは、二つと無き、珍しい物のみを所望している…とな」
「王子!恐れながら申し上げます、それでは先日の砂漠での戦闘後、王子のご無事を諸国に知られる事になりますが?
特にエジプトは油断しております。今こそが好機と思われます、その上ナイルの姫様も得られてますのに?」首を傾げて
王子の返答を待つ-----
「ふっ…だがな、既に諸国の間者、特にエジプトの間者は数多く潜入しているはず…」
(メンフィスならば、姫が行方知れずとあらば、まずは私を疑うはず…)
「ならば、イズミルここにあり!と知らせてやるがいい、私はヒッタイトの王子!逃げも隠れもしない!」
威厳に満ちた、よく響く声が室内に静寂を呼び寄せる。
「…判り申した…」(王子には何か考えがおありのようじゃ)
「では、そのように取り計らいます」
「商人・町人・異国の者・問わずにだ、明日の夕刻までに広間に集まるよう手配せい」
部屋に一人残ったキャロルは、深い混乱の中で、王子が去った方向をぼんやりと眺めていた
戦の事、ルカ、そして王子の言った言葉…
どの位そうしていただろうか、扉の向こうから声が掛かり、我に返った
「姫様…失礼しても宜しいでしょうか?」
「あっ、ハイ…」答えてから、自分が体に衣装を巻き付けているだけの格好だと気が付くと
慌てて寝台から跳ね起き、「少し待って下さい」慌てて衣装を着けると、声を掛ける
「宜しいですか?お召し替えをお持ち致しました」無駄な話もせず、淡々と身支度を整え終わると
「では、失礼致します」と出て行った。再び一人になったキャロルは、急いで床に屈み懸命に探し物を始めた
----それは、飾り机の後ろに落ちていた-----
メンフィスからお守りにと貰った、首飾り…それを持つ手も震えている…そっと口づけをすると、見に付けている衣装の裏側を
歯で引き裂き、目隠しでもするように包み、天蓋の上にそっと投げた。
そして、急いでルカが居るはずの続きの間…扉を開けようとするが、鍵が掛けてあり開かない
「ルカ!ルカ!そこに居るの?」扉を小さく叩きながら必死に声を掛ける
「はいっ!姫、ここにおります」すぐに返ってきた声に、涙ぐみながら
「ルカ…無事なの?怪我はしてない?」
「…はい、大丈夫です」(扉越しに…姫の息づかいが聞こえる)
「すぐに助けてあげる」扉の鍵を探すが、見当たらない---
「あっ!!」寝台に置いたままの、王子から渡された鉄剣を取ってくると、
青銅で出来た鍵穴に差し入れ、こじ開ける…扉が開いた-----
そこには、少しやつれたルカが立っていた。
>742
禿同
昔はあんなにクールだったのに・・・
クールなのに情熱的ぃ〜な王子はカッコ良かったよね。
今や病弱で単なる愚か者です。
このスレを知らなかったら、王家を見捨ててたかも。
でもこのスレがある限り・・・わたしのイズミーは永遠の王子様だー!!
うむうむ、私もー!
今の本編の王子は、もはやパワレル・ワールドの住人。
考えないようにしてる〜
私の王子は、永遠に、冷たく激しく凛々しく〜〜〜♪
昔からズトメンフェス派の私だけど王子が幸せさんもいいもんよね〜
どちらとくっつけばより幸せというのはキャロル次第で測れないし。
キャロルは一途もんでひとりしかいないから本編上はああなるしか・・・
さいとうちほさんなら手っ取り早くメンフィス殺して
王子とくっつけて完結にしてくれそう(この人はそういう前科大有りで楽しいね)
>>755-756 はげどーです。
本編の王子はキャロルを寝台に押し倒しておきながらチューしかしないのでイライラ。
何回も失敗して逃げられてるし、正直チト情けない。
ここの王子くらい強引にキャロルを惹きつけて奪ってほしいよん。
やっぱり王子は、永遠に冷たく意地悪で激しく美しく情熱的で色っぽくいてほしい〜〜〜!
>>757 うーむ。メンフィスの子と王子の子がいたりしてね・・・
>>757 タイトル忘れちゃったけど中世ヨーロッパ舞台に確か
銀髪の少女が主役の漫画あったよね。あたし、あれも
ヒロインに横恋慕して報われない方のキャラのほうが
好きだった・・・なんとなくイズミーっぽいんだけど
もっと強引でむりやり××しちゃうんだよな〜。結局
振られるんだけどさ。
>>759 その話気になるわんっ!激しく読みたいかも〜!!!誰の作品?
みなさんの「イズミー」って呼び方イイ!
そう言うわたくしも幼少の頃にイズミーに惚れてしまい、20年来の筋金入りの「イズミラー」でございまつる。
>>760 さいとうちほさんの「花冠のマドンナ」でつ
小学館からコミクス全七巻が出てまつよ
と横レスすまそ
>759-761
横恋慕キャラは、あのチェーザレ・ボルジアなんだよねぇ。
本家マキャベリストのモデルなだけあって、冷酷でカッコイイんだよなー
でもって、実行力があるw
王子も少し見習って欲しかったね。(←何故か過去形)
759です。そうそう、花冠のマドンナでしたねー。たしか10年近く
前、友達に借りて一気読みしたのでタイトルは覚えてませんでした。
激しくスレ違いなのに教えてくれてありがとう。
でもなんかあの作品O家の影響受けてるよねぇ?珍しい毛色の娘を
いい男達が取り合ったり権力争いが絡んだりさ。但し7巻くらいで
収めてるところでは勝ってるかも。
さいとうちほさんの描く女性はたくましいから好みが分かれそう。
中には3人の男と見事に添い遂げる女キャラもいるぞ!ブラボー
イズミーも、もちっとガンガッてほすい(w
>>731 6
妙に現実感のない、足元がまるで浮遊しているような不思議な感覚。
本当に私、何をしているのかしら?
たくさんの人が私の前を通り過ぎていったような気はしたわ。
黙って頭を下げてるうちに、イズミル王子に返事を促されて、「はい、と、一言申せばよいのだ」と言われて
ただそのとおりに一言答えた後から周りが騒がしい。
ムーラが先頭に立って私を着替えさせてる?、何?ずっしりとした煌びやかな衣装・・・・。
「この度はご成婚の義、恙無く終えられましたこと、誠にお喜び申し上げます・・・。」
ずっとエジプトのことを考えていた、あの乾いた空気、暑さ、懐かしいナフテラの顔・・・。
身につける衣装もずっと軽くて、こんなに重たくなくて・・・・。
「皆が待っておる、そなたは我が国とエジプトとの友好の証、そのような顔を見せるのはよくない。
祝宴の間くらい、晴れやかな顔を見せてみよ、うん?そんな気概もないか?」
イズミル王子の声がゆっくりとキャロルの身体に染みてきて、ぼやけていた周りの様子もようやく焦点が合った。
私を愚弄してるのか?無理矢理連れてこられた哀れな生き人形だと?
目の前には自分に手を差し伸べる王子がいる、冷たく光る瞳の色はこの私を見下しているようだ。
キャロルの青い瞳にはやっと力のある色合いが戻り、口許は負けん気の証のようにきゅっと引き締まった。
「・・・わかりました、楽しくはないですけど笑うようにしますわ。」
キャロルのむっとした物言いは王子に含み笑いをさせたに過ぎなかった。
王子の大きな手はキャロルの顎を優しく捕らえ、視線は青い瞳をからかうのが楽しいと言わんばかりに注がれる。
「その可愛い膨れ面は後でじっくり見せてもらうとしよう、我らは婚儀を終えたばかりの夫婦ゆえ、初々しく俯いたままでもよいがな。」
言い終わるや否や唇が重ねられ、キャロルの身体は突然のことに硬直する。
「な、何をするの!」顔が熱く火照るキャロルに、王子は悠々と笑顔を向ける。
「それでよい、では参ろうか」
腰に廻された手は有無を言わさずキャロルの身体を自分の方に引き寄せ、広間へと向かった。
なんで、いつも王子の思うとおりなっちゃうの?
やり場のない自分の感情を持て余しながら、キャロルは口許には何とか笑みを浮かべた・・・。
ワーイ、余裕の王子タソだ。ワクワク
道中記作家様と願い作家様待ってから寝よっと。
>>753 「ルカ!無事で良かった!」ルカに抱きつき、ポロポロと涙を流すキャロルに、言葉を掛けられなかった-----
少し落ち着いてきたキャロルが涙を拭いながら、ルカの顔を改めて見る…
「あっ…血が」そして全身を探るように見ると、肌が見えてる部分のほとんどに傷が出来ている
「ルカ…誰に…?」(まさか、王子に?)王子の名前を出す事が出来なかった。
「…ぁ…これは……自分で…」(…辛くて、床を這い回り、自分を傷つけた…)口ごもってしまうルカ
その口を重くしている原因…(ルカに、心配を掛けちゃいけない…)
「お腹は空いていない?」「喉は渇いていない?」ルカに話す隙を与えず矢継ぎ早に明るく振る舞い、質問するキャロルに
「ひ…姫、申し訳ありません!私の…私の為に」床に手を付き、そのまま顔を上げ様としないルカ…
(聞きたく無かった言葉-----でも、いつかは話さなければならない…)
「…ルカのせいじゃないわ……」腰を屈め、床についている手を取ると同じ目線で言葉を掛けた
「私が、この世界に居続けたせいで…亡くした命のせいなの…だから、ルカのせいじゃないわ」
涙がうっすらと滲む目が、優しく諭すようにゆっくりと話掛ける。
「だから、この話はもう、おしまい」ルカが、いつも見ていたいと願い続けた、あの顔で笑う。
「姫…これから、どうなさいますか?」(姫はエジプトに帰られるのか?)
「…ルカ、一人ならば何とか逃げられない?」
「は?私が…一人でですか?」真剣な顔で頷くキャロル
(このお方はいつも、そうだ…私は召使いだと言うのに…人の身を一番に案じられる…)
「姫、私はあなたの召使い、いかなる事があろうとも傍を離れる事を望んではおりません」ルカも真剣に答える
「ありがとう!でもお願い…逃げて」何とか説得しようとするが
「姫の傍を離れる時は、私が死ぬ時と決めております、どうしてもと仰るならば、今この場で…」床に落ちていた
小刀を喉元に突きつける-----
「あっ!わかったわ、わかったから」と、慌てて刀をを取り上げようとして刃が指先を掠め、血が滲んでいる
「姫!申し訳ありません」「ルカったら、大丈夫よ。でもこんな事は二度としないでね」指を口に入れる
自分のせいで傷を負わせてしまったと、手にある小刀を恨みがましく見つめる。
(これは?…王子の…守り刀)
「姫、これは?どうなされたのですか?」手に持った、鉄製の小刀をじっと見定める(間違いない王子の物だ)
「ぇ…っと、ィ、イズミル王子がくれたの…」ルカの前でその名前を口にする事には、抵抗があった。
「…(何度も命を救われた守り刀を、身から離されたのか…)見事な細工ですね」
「ぇぇ…そうね…あっ、そう言えばルカ!よく縄が切れたわね。さすがルカだわ」
(王子の話は…ルカに変に気を遣わせてしまう…)話題をさりげなく変えるキャロルに
「これは…イズミル王子が…」王子との会話を思い出しながら-----
「王子が?解いてくれたの?」顎に指を掛け、考え込むキャロル
「はい、私が辛い思いをすると、姫が悲しむと言われて」(私は…何としても王子の気持ちを叶えて差し上げたい)
「………そう言ったの?」
「はい…私も驚きましたが、食事や飲み物も与えられました…」そっとキャロルの様子を伺うように見ると
「…そうだったの…良かった…ルカが不自由してなくて…」更に深く考え込んでいる
-----その頃、王子は評議の間に将軍と二人で話をしていた-----
「王子、先程の事なのですが、何故、王と王妃にも内密なのか、そこの所だけでもお聞かせ願いませんかの?」
「…今、王に話せばどうなる?将軍そなたも申したではないか」目の前にある皿から葡萄を一つ口に入れる。
「戦になりますな、しかし相手は、宿敵エジプトですぞ?」結果的には負けてしまった前の戦の雪辱も晴らしたい
それ自体に何の不満があるのだと、心底わからないと、頭を振った
「今、戦をすると間違いなくこの世からナイルの姫は消える」それは確信だった。
「え…?!まさか、ヒッタイトの王妃ですぞ!アナトリアを支配する大国の王妃になるのを嫌がる者などいますまいて」
「ナイルの女神を母に持つ姫だ…我らの望みとは違う望みを抱いていても不思議はあるまい?」
(富や身分で、傅くならば何とたやすいものだが)
「そうなのですか…のお」と尚も納得が出来ない様子の将軍が
「では、この先姫をどうなさるのですか?」
「将軍、木を隠すには何処が良いと思う?」逆に問われ返されると
「そうですな…」謎解きを楽しむように、少し考え、良い答えが見つかったと
「土の中に埋める---もしくは、枝を落として形を替える---いかがです?」
それを聞いた途端に、大きく体を折り曲げ笑い続ける王子
「ははは…だが…それでは姫は死んでしまうではないか…」笑いすぎて苦しそうな呼吸を整えて答えた
「木を隠すには森、ナイルの姫を隠すには、エジプトだな…楽しかったぞ将軍、さて私は姫の所に戻るとするか、明日が楽しみだな」
「…エジプトへ?」笑いながら退出しようとしている王子へ
「…では王子、骨を隠すのは墓所ですな」王子に一糸報いたとばかりに微笑んだ
(姫は先程から、しきりと考え込んでいる…何をお考えなのか?)その様子を見守っていた
が、扉の外から近づいてくる足音、大きな歩幅、ゆったりとした足運び----
(王子!)だが、ルカはキャロルには何も告げようとはしない。
パタンと扉が開き、現れた男を見て
「あっ!」と小さく叫び、慌ててルカの前に飛び出し抱きしめる
「おやおや、これはとんだ所に来てしまったようだな」
「王子!ルカは何もしてないの、私がどうしても無事な姿を見たくて…あの…お願い…」
手を伸ばし、キャロルを自分の手首を掴み、腕の中に捕らえると
「庇う姿は美しいが、見ていて気持ちの良いものではないな」頬へ唇を寄せる
(ルカが、ルカが見ているのに-----)
「嫌!放して」腕の中から逃れようとするが、
「姫の嫌は、もっと…の意味だと思うていたがな」耳元で囁く声に
「------」
キャロルの耳を甘噛みしながら「そなた、確かルカと申したか?外に侍女がいる、その者に付いて行け」その言葉にキャロルが
素早い反応を示す
「ルカに、ルカに何をする気なの?教えて!」(罰を受けるなら私も一緒に…)
「ここで教えても良いのか?」後ろから抱きしめられていて、表情が読めない-----
「姫が、人に聞かせても良いと思うならば私は一向に構わぬが」キャロルだけに聞こえる小さな声…
「っ---ぁっ」その含みを持った艶めいた問いかけに、寝所での行為がルカに---思い出し真っ赤になり俯くキャロル
「ルカ!そなたには見張りを付けてある、この宮殿内から出る事は許さぬが、後は自由に致せ」
「…はい…」扉の外へ出て行くルカを心配そうに見つめるキャロルに、大丈夫ですと目配せすると出て行った。
「姫、私は良い子にして待つようにと言い置いた筈だが?」腰を引き寄せ、やや乱暴に裾をたくし上げ太股をまさぐりながら
「与えた守り刀まで、床に投げたままとは----少し仕置きが必要なようだな」-----
願い作家様うpアリガd!
でも寸止めでつね。。
ウニャン、次回は Ψ(`▼´)Ψでつね・・・願い作家様♪
道中記作家様は昨日はご降臨なかったのですね。(´・ω・`)ウニュ
ヒューリアの作家様、またうpお願いしますー
>>622 10
庭木の陰からヒューリアは密かにファラオ夫妻の戯れを見ていた。
白い身体を強引に弄ぶように抱く浅黒い肌の男。
華奢なキャロルの身体は撓り、薄紅に染まって惜しみなく与えられる愛撫の快楽を物語る。
男は逞しく大柄な体躯で女を組み敷き、征服し、痛みに近いほどの激しさで女を愛おしんだ。
ヒューリアは、キャロルが高々と腰を持ち上げられ、真昼の太陽の下で濡れたその脚の間をすっかり露わにして暗赤色の男を呑み込む瞬間まで見ていた。
アマゾネス達の中で、男女の交わりなどある程度は見慣れていたヒューリアだが、水の中で繰り広げられる睦まじげな男女の交合には我知らず身体が熱くなる思いだった。
(ナイルの姫が・・・・・あの楚々としたナイルの姫があのように声を上げて、身体を捩って、涙さえ流して。何とまぁ、そそる光景だな。
ファラオも逞しく雄々しき男よ。あのような男の胤を我が一族の中に入れることが出来たならいかばかり・・・・)
その時、悪戯な小鳥が盗み見のアマゾネスの無礼を咎めるように側を掠め飛んだ。ヒューリアは苦笑して今度こそ戻っていった。
部屋に戻ってもヒューリアは妙に頭の芯が火照ったような具合で、落ち着かなかった。先ほど見た光景のせいだった。
(あのたおやかに美しいナイルの姫を私の側近くに置いておけたらよいのにな。頭のいいあの姫はきっと私の良い相談役になるだろう。そして夜は・・・私の伽など勤めさせて・・・)
きわどいハーレム衣装を着けたキャロルの姿を想像してみるヒューリア。
(あの姫がファラオと離れがたいのならば、ファラオも一緒に来ればいい。
あの炎のような若者の体の見事さよ!きっと女達に素晴らしい子を生ませるに違いない。
私を負かせた男、傲慢で女など軽んじる男。その許し難き男を思う様、罰して翻弄し、子種を我が身の内に取り込んで・・・!)
11
まこと得難い一組よと思うファラオ夫妻について好色で不謹慎な想像を巡らせていたヒューリアはキャロルの訪れでその夢想を破られた。
「ヒューリア、さっきはごめんなさい。どうかお気を悪くなさらないで」
上品な王妃の衣装を着て、落ち着いた声で話す少女を見て、アマゾネスはちょっと意地の悪い気分になった。
目の前のキャロルは、少女期から大人へと移る間の時間に居て、匂うような美しさである。
知らぬ人が見れば無垢の少女とも思えるだろうに、その身体はもう男性を知った女性のそれで、男の手で驚くほど淫らな身体にさせられてしまっている。
「気を悪くするなど・・・」
ヒューリアはキャロルの身体を後ろから抱くようにした。細いうなじ、ほのかに膨らむ胸元。
「そんな些細なことを気にしてわざわざ来て下さったのか」
「だって私、ヒューリアに泳ぎを教えて貰っていた最中だったわ」
「・・・・・可愛らしい方だ。大エジプトの王妃であられながら無邪気な子供のようで・・・・本当に食べてしまいたいほどだ」
ヒューリアの手が悪戯っぽくキャロルの身体を滑っていった。キャロルは突然のことに驚き呆れ、声も出ない。
「お小さい身体つきだ。だがそこが可愛らしく思えるのだろうな、メンフィス王は」
ヒューリアがキャロルの乳房を包み込むようにした。そして真っ赤に火照った頬に唇を当てて・・・。
どんっ!!!!
キャロルが力任せにヒューリアを突き飛ばした。
「お、お戯れが・・・す、す、過ぎるというものです・・・っ!」
キャロルは衣装の裾を翻して走り去ってしまった。
(まこと愛らしい姫よ)
ヒューリアはくすくす笑いながら、葡萄酒の杯を傾けた。
ス、ス、スリーサムになる予感?鼻血ブーだす。
ウキャ−ヽ(^o^)丿キタキタヒューリア作家様!
さっさっ・・・3pはアリでつか?わたすもハナヂがぁ〜
ひゅ、ひゅーりあ、がんばってくれぃ・・・ハァハァ
最近の連載陣は何ていうか・・・とてもセクシーでいいでつ。これぞ番外編の醍醐味だわ〜
Ψ(`▼´)ΨありとΨ(`▼´)Ψ無し。
ハード&ソフト・・・・ハァハァ萌えまつ。
どっちも(・∀・)イイ!
ヒューリアってやっぱりバイ?
漏れはヒューちゃんの本命はめんひすだと睨んでるんだが(w
>>765 7
逃げ出したい!なんとかしてここから!
キャロルの頭の中にあることはそれだけだった。
私はメンフィスの妻だったのに、どうしてここでこんな艶かしい衣装を着けられているの?
「おやすみなさいませ」とムーラの声とともに背後で扉の閉まる音がして、
キャロルは慌てて扉を開けて逃げようと手を伸ばそうとした。
「やれやれ、やんちゃが過ぎるな、私の愛しい姫は。」
穏やかで笑いを含んだイズミル王子の声が驚く程近くで響く。キャロルの手首は扉に行き着く前にしっかりと捕まり、
キャロルの背筋をぞくりと走るものを感じた。
「いや!私、別の部屋で休みます!きゃあ!」
キャロルの言葉など耳に入らないように王子は軽々と抱き上げ寝台へと連れて行く。
王子が穏やかな笑みを浮かべている、いや冷笑なのか?
かえってそのほうがキャロルの恐怖心を増すのだ。メンフィス以外の人に抱かれるなんていや!
「そう恐れるな、無理強いはせぬ、約束しよう。」
この状況でそんな言葉が信じられる程キャロルも愚かではなかった、初々しい少女ではあっても、
メンフィスと愛し合うことは知っているのだから・・・。
それでもその言葉にすがり付きたい気持ちもないわけではなかった。
もう一度ゆっくりとキャロルは目の前にいる男を、今日婚儀をあげたイズミル王子を見た。
ゆるく束ねられた長い茶色の髪は寝台に垂れ、胸元を寛がせた寛衣からは、逞しく鍛えられた肌が覗く。
理知的な額、通った鼻筋、薄く笑みを漂わせる口許、先ほどの祝宴でも艶やかなに着飾った女の人達が視線を離せないでいたのを
キャロルは思い出した。
でも私、嫌いでメンフィスと別れたわけじゃない!、まだ愛してる!
キャロルの葛藤を分かっているのか、小さな頤を大きな手が捕らえ、青い瞳は自信に満ちた明るい薄茶色の瞳とあった。
「無理強いはせぬ、そなたが請うのだよ、私に抱いてくれとな。」
「なんですって?」
私が・・・王子に・・頼むの?何を?
考えもしなかった王子の言葉にキャロルの頭の中は真っ白になったように思えた。
キャー!余裕でゆったり構えた王子は超超ツボですぅ〜。
自信たっぷりですっごーいイイ男じゃないですか。
頼む、キャロルを掌の上でころがしてやってちょーだい。
>779
アマゾネスはバイが多いみたいだから、ヒューちゃんもそうなんじゃ?
いや、私自身は、萌えられればどっちでもOKなのだが(w
つか、>願い
Ψ(`▼´)Ψ 多すぎ?
>783
えー、いいんじゃない?Ψ(`▼´)Ψが多くても。
このスレのΨ(`▼´)Ψ作品ってH度高くても、文章上品だからあまり気にならないけどな。
あんまり読者さんが作品にケチつけるのはどうかと思いますよ。
本編のイメージから外れない清純派路線も良いし、本編では拝めないΨ(`▼´)Ψ路線も良いと思います。
どちらも好きだー!
それがまた良いのです(w
つづき、Ψ(`▼´)Ψになるんだろうか。
どうするつもりなんだろうな、王子。
ルカとキャロルの関係も気になる。
仕置きが必要つったら、どんなやつ想像する?
バケツ持って立ってろ〜からイロイロあるよねぇ
まさか、あの王子が!立たされるだけで済むわけない罠。
ヒッタイト道中記はやく読みたい〜〜
願い楽しみっす!わくわく。
深夜組、今宵もウェイティングタイムがやってきたワン♪
道中記作家様と願い作家様、今日のうpはまだでしょうか〜〜?
PC前でリロードかけながら待っております。ワクワク
マダコナ━━━━(゚A゚)━━━━イ !!!!!
キテネ━━━━━━(´・ω・`)━━━━━━ !!!!!
ウウ,ねむ。。。。ガク
くすん。。願い続き読みたいよお。。
アカン・・・モウ、ネル!!オヤスミナサイ・・・イズミン(Chu)
>791-794
皆、すごい時間まで待ってたんだね。お疲れサマー
でもわかる。
このスレのおかげで何年ぶり(十数年ぶり?)かに
王子の夢、見ちゃうようになったもん。
強烈なインパクトあるんだよな〜
深夜組みさん達の努力にワロタ。お疲れ様でつ。
>>795 同士!私も最近王子の夢よく見るんだよ〜、きっとこのスレのおかげだ。
ほんと最近強烈だよね〜、作家様達、すてきな刺激をありがトン!
ちなみに夢の中の王子は実写版でした。すごくイイ男でした(*^^)v
夜読んだら寝つき良いんだよね〜
夢ん中に王子出たことないけど。
まとめサイトの更新追いついてた!
管理人様乙&トンクスでつ
実写版王子!どんなんだろう・・・見てみたーい。
ちなみに私の妄想のなかではベカームタソを知的に髪を亜麻色に
した感じでつ。(ヒンシュクかってる?)ちなみにメンヒスは
キアヌを色黒に長髪にしたようなで、アフマドはダイアナと一緒に
事故死した人、ってどうえ?大富豪だし。
管理人さん、更新ありがd!!
さっそく逝ってまいりました。はぁ〜、堪能したぁ。
やっぱり長編などはダイジェストサイトでぶっつづけて読むに限りますね。
初恋物語のストイックで無駄のない文学的な文体と、ヒッタイト道中記のイメージを掻き立てる流れる文体イイです!
一気読みで世界に浸りました、たっぷり楽しませて頂きました。ありがd
ホントだダイジェスト更新されてるね。
管理人様、ありがとうございまするぅ〜。
毎回大変な作業を一手に引き受けて下さり、頭の上がらない思いです。
あなた様のお陰で作家様達の作品をさらに100倍&何度も楽しめます。
我が全身全霊をあげて感謝を捧げんー(byめんひす)って気持ちれす。
>>799 ベッカムなんて庶民的すぎ。
王子はモナコのグレースケリーの孫、アンドレアの
イメージがピターリでつ。なんてったって本当に王子様なんだから。
ヒューリア作家様 ありがd♪
スレ立て人はヒューリアの初恋作家様とは無関係でつ。
紛らわしくってすいませ〜ん。
たった一つの言葉、続きが読みたいよぅ
作家様〜〜〜
>806 (^_^)ヾ(^^ )よしよし
週末やさかいね・・・・
深夜組みタソ
お茶ドゾドゾドゾー。
旦~
旦~ 旦~
ヽ )ノ
旦~ ⌒(゚д゚)ノ 旦~
/. ( ヽ
旦~ 旦~
旦~
∧_∧ アリガト。。ホ
(*゚Д゚)
|つ旦~
〜( つつ
>>808 もらっていいっすか?(´・ω・`)つ 旦~
なんとも、寂しい週末でつね。
だっれーも飲んでくんないしー。
8杯分ジエーンチャレンヂやりかけた。
虚しさ2杯目で炸裂。
ごめんなちい。
もうしません。
ってか、できません。
おなかチャプチャプだも。
ぜんぶ飲み干して逝くよ。
3杯目、つ旦
4杯目、つ旦
5杯目、つ旦
6杯目、つ旦
7杯目、つ旦
8杯目、
_, ._
( ゚ Д゚) ウェップ、ガシャ
( つ O. __
と_)_) (__()、;.o:。
゚*・:.。
_ _ ξスマンカッタ
(´ `ヽ、 __
⊂,_と( )⊃ (__()、;.o:。
゚*・:.。
反省したのね、えらいえらい。
冷めるのはお茶だけじゃないからやめようね。
だけど作家様を待つ気持ちはよくわかりますよ。
深夜組さんたち、前日の疲れで早く寝ちゃったんでしょう。
お茶、熱いうちにいただけなくてごめんね。
あんなにたくさん飲んでオネショしてない?
やさしいお姉様だ。。
王族乙女の皆さま・・・お昼ですね
夏休みですね・・・週末ですね・・・夏休みは・・・
辛いですね・・・(´ヘ`;)ハァ
すまぬぅ。夜更かしした次の日の夜はさすがに豪眠よ。
>808,812
カワイイ・・・ごめんよ、808タソがお茶を配ってた頃は爆睡しとった。
やはりこの年になると毎日3時は無理じゃぁ〜。
>817
同士!私もでござる。でも懲りずに夜更かしでござる。
>808、近場の夏祭りではじけてた。
ゴメン。
>813、ナフテラ風味のフォローさんくす〜。
>808
週末なのに来ちゃった。お茶淹れて♥
私も一杯頂きたいわん。二時までは粘ります。
ハンセイシマスタ、ウアァァン!!
ドゾー
∧_∧
( TДT) 日~日~
/つ つ======
いただきます。
_, ._
( ゚ Д゚)?
( つ旦O.
と_)_)
( ・∀・)おいし♥
( つ旦O.
と_)_)
あまりにかわいくて意地悪したくなっちゃった。ゴメンネ!
ごちそうさま。
やっほー、深夜組のみなタソ!!
わたしにもお茶ちょーだいっ!
このお茶飲んだら、今日は寝させてもらうよ。もう3時だ〜眠いすぎ〜
明日も頑張るぞー。では、オヤスミ。お茶ご馳走様でした。
>>823 イヤン、823タソ。
あまりにかわいくて意地悪したくなっちゃった・・・なんて、ソレ王子タソが言いそうなセリフ〜
あー、そんな事言ってる場合じゃないわ。今日は早出勤なのダ。
逝ってきまーつ。日曜日なのに〜
>>771 キャロルの耳たぶ全体を口に含むと、軽く歯をあてしごくように邪魔な耳飾りを口から吐き捨てて
おもむろに耳の裏側をなぞりあげる、熱い舌と熱い息は、ゆっくり移動を続ける。
「…ぁっ」甘い刺激に首を竦ませた、その縮こまった強ばりを解くように、うなじへ移動し行き来する舌が
キャロルの下腹部に、きゅっと甘い痛みにも似た感覚を揺り起こす。
「…姫は…ここが弱いな…」「…ぃ…いや」
「嫌?…ふふっ、『もっとして欲しいのだな』」更に強弱を付け刺激を続けると、頬を這い優しく唇を合わせ
上唇をやんわりと噛む----何度も重ねている行為なのだが、キャロルはギュと目を瞑り唇を開く---
そのまますぐに、舌を差し入れられて激しく貪られるのに?
「…私をみるのだ…」微かに動けば触れ合ってしまう、男の熱い息がかかる距離での囁き-----
薄く目を開くと、睫毛が触れてしまう位に接近した端正な顔、熱と艶を含む…その瞳-----
何度も躰を重ねていたが、間近で顔を直視した事はなかった。
そのまま、目を逸らせずにいたキャロルの目を見つめたまま、唇を重ね舌を差し入れられる。
男の瞳に呪縛されたように、深くなる口づけ絡められる舌に酔わされて、
僅かに舌を動かし応えたキャロルの初めての行為に、男の動きが止まった…
「…姫、もっと、もっと私に応えてくれ…」更に深く激しくなる口づけ---
「…この躰に火を付け…支配するのは…私一人のみ…」
>808さんの可愛い書き込みに、つい誘われて
書いてしまいました。
>808〜>826様の心優しく、楽しい乙女達に…捧げます。
願い王子でゴメンナサイ!
では、オヤスミナサイ。
うわぁ〜ん、願い作家さま、嬉しいよー!ありがとう。
半ば諦めてたので一層感激。今夜は願い王子様の夢が見れると
いいな。ポッ(赤面)
。・゚・(*´Д`)・゚・。
サッカサマ/ つ日つ
ウレスィ
願い作家様。。極上の寝酒でございまする〜〜!!
>826
お勤め乙華麗〜
>>775 12
(きっともうじきファラオが現れる。愛しい恋妻が泣きながら私の部屋から出てきたから。心配して苛立って・・・・。
。そうとも、私に詰問するだろう。何があったのかと。
女を抱いて快楽に溺れたことなど忘れ果てたように澄まし返った様子で、でも姫大事の心を隠しきれないで)
ヒューリアは不意に体の奥深くが悩ましく震えるのを覚えた。
(あの傲慢で人もなげな若者が、ただ一人の姫のためにファラオではなくなる・・・!
ああ、私を負かしたあの体躯が、姫を組み敷き悦びを与えるのか。
ああ、あの若者が狼狽えて、心配している所を見たい!ぞくぞくするほど見たい!私の前で一介の若者になる姿を・・・!)
ヒューリアは間違いなくメンフィスに対して、これまで男に対して抱いたことのない感情を覚えていた。
ほどなくヒューリアの願いは叶えられる。
「ヒューリア殿!一体、何があったのか。我が妃はあなたの部屋から下がってずいぶんと取り乱し、不安定だ」
ヒューリアはにやりと笑って立ち上がった。先ほど飲んだ酒のせいか体が熱く、心は高揚していた。
「それで私の部屋に参られたか、ファラオ」
「ヒューリア殿。私は客人たるあなたに対し、我が妃が何か無礼をし、お叱りでも受けたのかと思い・・・」
(そんなこと、ちっとも思っていないくせに)
「姫君が無礼などとんでもない。私はただ・・・」
ここでヒューリアはすっとメンフィスの脇に寄り、王杖を握るメンフィスの手にはずみのように触れながら囁いた。
「あのお可愛らしい方にアマゾネスの風儀をお教えしようと思ったのみ。
お妃は異国の風習にずいぶん興味をお持ちと伺ったのでね」
13
(アマゾネスの風儀・・・!!!)
メンフィスはのけぞる思いだった。彼とて男、好色な好奇心混じりに語られる「女優位の国の風習」の噂くらい知っている。
女が女を愛する国。交わる女同士が駆使する愛の技の数々。
無垢の少女は神殿で巫女達によって極限の悦びを教えられ、男自身によってではなく、巫女達が持つ何か男を模した道具によって女になるとか。
かの国では男はただ子種を提供するだけの存在にすぎぬという。
見目麗しく力溢れる若い男達は、女達に弄ばれ、跨られて子孫を残すための奉仕を強要される。用済みになれば奴隷か男娼か・・・。
(まさか・・・まさかキャロルは・・・)
「ヒュ、ヒューリア殿!まさか御身は・・・!
ええい、答えられよっ!お答え如何によってはいかに客人とは言え、この場で斬って捨てる!」
(ふん、お妃に関しては大層嫉妬深く、姫君お手飼いの動物達も雌ばかりにしてあるという噂はあながち嘘ではないというわけか)
ヒューリアはぞくぞくするような興奮を味わった。
たおやかに弱々しいキャロルをからかうのと同じくらい、自分よりも強い男性メンフィスを翻弄するのは面白い。
「ヒューリア殿!キャロルに何をした?キャロルを傷つけたとあっては容赦せぬぞ!」
「別に男の御身が想像力逞しく、思い描かれるようなことは何も・・・」
ヒューリアはくすくす笑いながら言った。
「ただこのように・・・」
ヒューリアの豊満な体がメンフィスに押しつけられ、手が筋肉質の見事な体を探るように滑った。
「触れて・・・あなたが愛された羨ましいお身体を確かめただけ・・・」
ヒューリアの手はいつしかメンフィスの一番男らしい場所に移っていった。
「なるほど、“これ”で姫君を愛されるのか。姫君はさぞかし優れた御子をあげられよう。
優れた御子は国の宝。私も賜りたいものだ・・・」
ヒューリア作家様、ありがd!
滝涙で前が見えませぬ私は腐女子でございまつ〜
うをを〜、ヒューリアどうする?!
ヒューリアの初恋とはメンフィス夫婦に?
うーんとヒューリアは最初はお約束通りキャロルに惚れて、その後メンフィスに
負けたから「自分より強い男」に惚れて・・・・ってことじゃない?
ヒューリアの本命はメンフィスの方だと思う。
にしても番外編初のメンフィスの貞操の危機っ!
気になるわー。
>>827 (愛しい…愛し過ぎて壊してしまいそうだ…)
キャロルの浅い息が男の顔にかかる。
「…そなたの青い瞳に酔って…しまう」お互いから目を離さずにねっとりと絡み合う唇が求め合う。
強く腰を抱きしめ、再び衣装の裾をたくし上げ激しく双球をまさぐり、背中へと欲望にまみれた手が這い上がる。
「ぁっ…ぁっ」(何も考えられない…)その悦楽に翻弄されていた。
もつれる様に寝台へと移動し組み敷かれた、上掛けの布地のひんやりとした質感が火照った顔に気持ち良かった。
背中に感じる男の重さと、荒い息遣いが髪をくすぐる。夢中で抱き合っていた二人だったが、
--ピイーッ-- 微かに聞こえた口笛…(…ルカ…そなたは…)「…目を閉じよ…」
行為の最中の甘い囁きに目を閉じた途端、男の目に殺気が満ちる。腰を抱え口づけしなが寝台の端まで
移動し、寝具の下に手を入れて隠してある剣を握る。
ガシャーンと激しい音に、驚き跳ね起きたキャロルの目前には剣を持ち、
立ち尽くす大きな背中、床に散らばる花、割れた花瓶。
(何?…賊が?…もしかして?確かめたい…)震えながらも、目の前の男の後ろにに立つキャロルに気付いた男は
無言のまま、後ろ手で寝台へと強く押し返され寝台に倒れ込む。
そして、剣で体を支えている侵入者と、扉の前で首に小刀が突き刺ささり動かぬ男
目以外は布で覆っていた侵入者が「イズミル王子、覚悟ーっ」最後の力を振り絞るように突進する。
さっと体をかわすと、賊の首に手刀を打ち込み、蹴り飛ばす。そのまま天蓋の柱に激しくぶつかり動かなくなった。
油断無く、辺りを見回し倒れている賊を掴み上げると入り口へと引き摺ってゆく。
「待って!」慌てて走り寄り、気を失っている賊の顔を覆っている布を剥した。
(…違った…)その様子を黙って見ている王子・・・
物音に気付いた衛兵達がバタバタと駆けつけ、賊を引き連れて行くのを見届け、今も油断無く身を潜め
警備しているであろうルカ--(相変わらずの見事だな…一撃で喉を射抜くとは)小さく指笛を二度吹き合図を送ると
回廊に響く短い口笛が応えると満足げに、キャロルの元に戻った。
「…賊はエジプト人(メンフィス)では無かったな…にしても、ひどい有様だ」
「姫が、守り刀を乱暴に扱ったか故の天罰かもな…」落ちていた守り刀を拾って、立ち尽くしていたキャロルの手に
再び握らせ笑う。程なく取り乱したムーラと侍女がやってきた。
「王子!ご無事で何よりでした」王子の無事な顔を見て安心したのか、すぐに侍女に指示を出す。
「すぐに片付けますゆえ、それまで他の部屋でお休み下さいませ」キャロルの顔を心配気に見つめる。
「そうだな…姫も恐ろしい思いをさせたからな」「では、こちらに」とムーラと共に部屋を出ようとした時に
侍女が小さく呟いた---
「賊の落し物かしら?」その声に立ち止まった男の傍で小刻みに震えるキャロル(…衝撃で?落ちた?)
「…見せてみよ!」侍女に厳しい顔を向けると、布で包まれた小さな物を手に王子に掲げ跪く侍女から
乱暴に取り上げた、その包みを握りしめ--(これは…開けてみぬとも…王の印だな)
(何故に私を苛立たせる…意に従わぬのだ)---自分の中の狂気が暴走し、自分の感情が抑制出来ない。
握りしめている左手からポタポタと床に落ちる血---
「王子、何をなさるのですか」と手を取ったムーラをその手で制し「…気が変わった…下がってもよい…」
「…では、お手当てだけでも…」極上の笑顔で「下がれと…申したのだ」
「は、はいっ」と侍女を促し部屋を出て行く。(このままでは、私の王子が壊れてしまう…何とかしなければ…)
ムーラは侍女を下がらせ、ルカを探し始めた。
仕置き中止でつか?
王子かわいそぉ!
ぬぬぬ〜、靡かぬキャロル。
王子に代って懲らしめてやりたい〜〜!!
…キャロルの方が…
ごめん。もう何も言いません。
願い大好き!
更なる強烈なお仕置きを期待しつつ寝ます・・
キャロル!往生際が悪いわよ!
キャロルの方がかわいそうにおもうな。
でもどっちも辛いよね、この状況。
2人ともしあわせになれ〜。
キャロル往生際悪いに一票。
しかしこれが物語でなく実際自分の身に起こったら
いくら魅力的な相手でも辛い罠
>>844 それ。それが言いたかった!
王子ファソだが、自分がキャロルでほかに
好きな男がいるのにかっさらわれ、好きになれ
と迫られ、監禁は悲惨。
でもでも、話として読むのは好き〜
そうそう、これはあくまでも、ドリーム♪
お耽美物語として楽しんでます〜
ん?こっちのスレまだ使う?新スレに行けばいいの?
新スレに、作家様書いてらっしゃいますよ。
自己判断で良いのかしらと聞いてみる。
>>833 14
ヒューリアはメンフィスを思う様翻弄し、男にしか出せぬ真珠色の露をその手の中に受けてやろうとでもいうように妖しく手を動かした。
ヒューリアにとってそれはきわどい遊びでしかなかったはずだ。
しかし。いつしかヒューリアの頬は真っ赤に染まり、身体は熱く燃え、あろうことか・・・。
(私は・・・このファラオが欲しい!ナイルの姫一人のものにしておくにはあまりに惜しい男よ)
ヒューリアは、そう思い至った瞬間はっとして、思わず手を止めた。
(ああ・・・そうか。私はついに私より強い男に巡り会ったのだ。
だからこのように・・・私から誘うような真似をしているのだ!)
ヒューリアは希(こいねが)うような想いを込めてそれまで敢えて見ようともしなかった男の顔を見つめたが・・・。
「ヒューリア殿。一体どうされた?」
快楽を味わった様子など露ほども見せぬメンフィスの冷たい顔が彼女を見下ろしていた。
「あ・・・・」
ヒューリアは先ほどまでの高揚した心が急速にしぼむのを感じた。
「私はただ・・・」
(このような時にはどうしたらよいのだ?あ、あろうことか女が男を・・・男などを愛しく思うようになってしまった時には?)
初恋、などという言葉すら知らぬであろうアマゾネスの世継ぎは困り果て、羞恥に真っ赤になってメンフィスから手を離した。
「・・・つまらぬ女! そそられぬな」
メンフィスは少し掠れたような固い声で言うとそのまま振り返ることなく立ち去った。
ヒューリアはへたへたと座り込み声もなく泣いた。それと気づいた瞬間に散った恋の花を弔うように小鳥が囀る昼下がり・・・。
15
「・・・キャロル、落ち着いたか?」
メンフィスは呆然と寝台に座り込んで涙を流れるにまかせていたキャロルにそっと声をかけた。
(全く・・・ヒューリアめ許し難き女!我が妃をこれほどまでに驚かせ怯えさせるとは!アマゾネスの女王にゆかりの身でなくば斬り捨てて罪を償わせるものを!)
メンフィスはそっとキャロルの肩を抱いた。
とはいえ、彼自身もつい先ほどの感触が生々しく体に残っていて落ち着かない。
(下手な娼婦よりも・・というところか。全くキャロルのことがなければ私とてきっと・・・吸われていたぞ!)
「メンフィス、ごめんなさい。私、私ね。ただ・・・」
「湯にでも入るか!」
メンフィスはわざととぼけて言った。
「少し暑さにあたったのやもしれぬな。私がさっぱりとさせてやろう!」
メンフィスはキャロルを抱き上げると湯殿に連れていった。
嫌なことを忘れさせてやるために。キャロルの身体についてしまったアマゾネスの気配を自身で残さず清めるために・・・。
キャロルは喘ぎ、ひしとメンフィスに縋って乱れる心を鎮めようとした。
「愛している、愛している、愛している・・・」
メンフィスとキャロルは互いに慰め合い、いたわり合い、決して最愛の人には言えぬ「禁断の秘密」がもたらした傷を癒しあったのである。
16
ヒューリアが姉女王と共に帰国の途についたのはそれから間もなくのことであった。
送別の儀式は何とはなしによそよそしかったが結局、ヒューリアにとってはそれが良かったのかも知れない。
(メンフィス王は私の方をまともに見もしなかったな。あの時いっそ怒り狂って私に斬りかかって来てくれたら良かったのに。
そうすれば私も剣を取ってあの最初の時のようにあの王と剣を交わすことができた。何も考えずに一心にかの男のことだけを考えて。
私は結局何を望んだのかな。ナイルの姫か?それとも・・・ナイルの姫が愛した美しい王か?)
「ヒューリア、何を考えている?」
姉女王がヒューリアに問うた。
病癒えたヒューリアは前には見られなかったしっとりとした憂いのようなものがそのきつい美貌に加わり、何ともいえず艶めいた様子である。
(何かあったな・・・)
女王はひとりごちた。別れ際のファラオ夫妻のどことはなしにぎこちない様子、様子の変わった妹の様子・・・。
「・・・そなたは・・・女になったのだな、ヒューリア」
ヒューリアはさっと顔を赤らめた。
無論、この場合の「女になった」とは物理的なことでないことくらい分かり切っている。ヒューリアが巫女達に悦びを教えられたのはもうかなり昔のことだ。
「姉上、私は・・・」
もう少しで終わらせます。
新しいスレを立てて下さったヒューリア様、ありがとうございます。
ここのスレでもう少し書かせて下さい。
随分遅くなってしまいましたが最終回分をうpさせて下さい。
のこり容量が心配なので、新スレの方でうp致しますね。
長々になってしまい、ついに3スレに跨ってしまいました・・・申し訳ないです。
では、では。
>リューリア作家様
とても斬新で、セクシーでつ、楽しく読ませて貰っております。
どうか、もう少しのばーして、のばーして頂けると嬉しいのです。
儀式も詳しく・・・・腐女子でつ。
>>850 17
「私は・・・ただ・・・何故、私は・・・」
ヒューリアは訳の分からない感情に戸惑った。
自分は誇り高いアマゾネスの世継ぎだ。アマゾネスの常で美しいナイルの姫に恋をした。
たおやかに美しいナイルの女神の娘。その白い身体を滅茶苦茶になるまで愛したいと思った。アマゾネスの甘美な風儀を教えたいと思った。
でも本当は違ったのかも知れない。
ナイルの姫よりも、その姫の傍らに立つ力強い男に惹かれた。初めて自分を屈服させた男に。
「姉上、私は何故、知ってしまったのでしょうか。
敗北の甘美さを。負ける、とはただ屈辱であり、厭わしきことよと思っておりましたがそうでないこともあると知ってしまったのです」
女王はそっとヒューリアの髪を撫でた。
「そなた・・・。辛かったのだな。もうよい。もう申すな・・・」
だがヒューリアは健気に頭を振った。
「いえ、姉上。言ってしまわねば。言わねば我が物思いの毒に自らが侵され、もっと苦しみましょう。
・・・・・姉上、私はアマゾネスとしてナイルの姫を欲し・・・ただの女としてファラオに惹かれました・・・」
さあっと風が流れ、ヒューリアの頬を伝う真珠を舞わせた。
「・・・・・そしてどちらも手に入れられなかった。アマゾネスとして優れた男を、美しい女を欲したのでは無かったのです、私は。私は・・・」
女王がヒューリアを抱き寄せた。妹の想いが痛いほどに伝わってくる。
(可哀想なヒューリア。想いを伝えるのにどうしてよいか分からぬままに欲したものを失ったのだな。
愛するそなたの望みを叶えて、その痛みを癒してやりたいが・・・)
ヒューリアは姉女王の胸の中で声もなく泣いた。女王はまろやかさの加わった妹の肌を優しい慰めるような接吻で覆った・・・。