幼馴染み。
仲間の中でもあの二人の間にある信頼感はどこか違うんだろうと思う。
重ねた年月の重みのように、もっと強く、もっと深く。
(清四郎なら、野梨子のあんな顔も知ってるんだろうか・・・)
バイクを降りた野梨子の見せた顔、表情、瞳。
それはあまりにも素直で、直接的で、頭で考えるより前に意識の奥深くにぶつかってきた。
よく似た表情を、普段から自然に見せる仲間がもう一人いたように思う。
ちょっとしたことでもよく笑い、怒り、泣き、感情のおもちゃ箱のような・・・
(・・・そうだ、悠理だ)
対照的な二人。
意識せず自分はこの二人をそれぞれ違う目で見ていたのかもしれない。
(野梨子でもあんな顔するんだな)
そして思わずとった自分の行動・・・。
(だから清四郎に後ろめたいのかもな。)
苦笑いがうかぶ。
(あいつ、ほんとのところ野梨子をどう思ってんだ?)
自分が絶対的に信頼を寄せる頼もしい無二の親友。
ただ魅録が思い出す清四郎の顔はいつもそこに表情がない。
(・・・やめた。わかりっこない。あの男の本心なんて)
風がふきつけてくる。
ドゥカティはいつのまにか住宅街から大通りへと抜けていた。
風が冷たいのは、いいかげん眠くなってきた体のせいなのか、
久しぶりに背中に体温を感じながら走った後だからなのか。
寒さを振りきるように、ドゥカティは一気にスピードをあげた。
<ツヅキマス>