筒井から顔を離し、三谷は頭の後ろで腕を組みながらいった。
「なんか悩み事でもあんの?」
見抜かれたようで、どきりとしてしまう。
「何も…」
「ないはずがない、って顔に書いてあるぜ」
三谷がニヤニヤしながら筒井の頬を突ついてくる。
筒井はため息をつくと、
「ううん、本当に何もない」
と三谷の手を払った。
…三谷に話してしまえればどんなに楽だろう。
誰でもいいから聞いて欲しかった。
蟻地獄に完全にはまってしまう前に。
一瞬話そうとして、口を金魚のようにぱくぱくさせてから、筒井はやはり言葉にするのをやめた。
話すといってもなんといったらいいのかわからない。
それに、うっかりしゃべったことがバレてあの写真を公開されたら終わりだ。
自分に非はなくても、周囲の冷やかしの目にさらされるのは、とてもではないが耐えられそうになかった。