有閑倶楽部を妄想で語ろう・3

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1案内人
ここは一条ゆかり先生の少女漫画「有閑倶楽部」が好きな人のためのスレッドです。

お約束
 ■sage推奨 〜メール欄に半角文字で「sage」と入力〜
 ■妄想意欲に水を差すような発言は控えましょう
 ■性的内容を含むものはその旨タイトルに明記しましょう

今までの経緯&関連リンク、お約束詳細、作品掲載についての注意などは
>2-10のあたりにありますので、こちらも是非ご覧ください。
 
前スレはこちら http://comic.2ch.net/test/read.cgi/gcomic/1012400484/
それでは、マターリと萌え話をいたしましょう。
2案内人:02/02/25 00:08
◎今までの経緯
少女漫画板「有閑倶楽部その4・一条ゆかり」での萌え話を発端に、妄想専用
スレとして「有閑倶楽部を妄想で語ろう」「有閑倶楽部を妄想で語ろう・2」を立て、
妄想話を楽しんでまいりました。
しかし二次創作もしていたこと、その中にごく一部18禁のものが含まれていた
ことなどから少女漫画板では板違いとの指摘を受け、住人たちで話し合った末
こちらへの引越しを決めた次第です。
今度こそ安住できますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

◎関連リンク
有閑倶楽部 妄想同好会(仮称)
http://freehost.kakiko.com/loveyuukan
ここで出た話をネタ別にまとめてくださっているところです。
最初のスレ「有閑倶楽部を妄想で語ろう」のログも置いてあります。
3案内人:02/02/25 00:10
◎お約束詳細
・sage推奨でお願いします(メール欄に半角文字で「sage」を入れる)。
・無用な議論を避けるため、萌えないカップリング話であっても
 それを批判するなどの妄想意欲に水を差す発言は控えましょう。
・苦手な方もいるので、性的内容を含むものはその旨タイトルに明記を。
あとは常識的マナーの範囲で、萌え話・作品発表・雑談などご自由に。

◎作品掲載について
・原作者及び出版元とは一切関係ありません。
・名前欄にカップリングを書いてください(ネタばれになる場合を除く)。
・連載の場合は巻頭に通しナンバーを書き、「>○○」という形で前作への
 リンクを貼ってもらえると助かります。
・リレー小説で次の人に連載をバトンタッチしたい場合はその旨を明記
 して頂けると、次の人が続けやすくなります。
4名無し草:02/02/25 00:11
これで大丈夫かな。それでは案内所に逝って来ます。
5案内人:02/02/25 00:28
案内所への挨拶、前スレへのリンク貼りとも終わったんで、
最後に2つほどご案内。

難民板住人の交流スレは主にこの2つ。
「タロ無し草@灘民木反」
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/981125452/l50
通称ちゃぶ台スレ。腹が立ったりモニョったりした時はお勧め。

「どーでもいいことだが(難民板)3」
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/975257172/l50
雑談スレ。最近は停滞気味。
 
つーことで、ここらでお役ご免。
さ、小説の続き書かなきゃ・・・・・・ソソクサ
6 :02/02/25 00:29
野球ヲタワラタ

http://ime.nu/www.baseball-lover.com
7名無しさん:02/02/25 00:43
>1さんオツカレ〜〜〜
87:02/02/25 00:44
さっそくsage忘れました。
スマソ・・・・逝ってきます。
9名無し草:02/02/25 01:07
>8
いやいや、逝かないでくだされ。
誰も来てくれないのかと焦ってたところ。
日曜日の夜だから、みんな寝ちゃったのかなぁ。
10 :02/02/25 01:23
案内人様お疲れさまでした。

これでようやく続きが読めるのね(涙
待ってまーす!
11引越祝:02/02/25 01:23
1さんスレたてお疲れさまです。
このスレの一層の繁栄お祈り申し上げます。
12 :02/02/25 02:30
1さんお疲れ様、アリガトねー。
これでようやくホッと一息。
マターリ楽しんでいきましょう。
13名無し草:02/02/25 07:56
1さん、おつかれさまです。
本編もようやく新作が発表されることだし、こちらも繁栄させていきましょう!
14 :02/02/25 09:27
1さん、お疲れ様&ありがとうございました。
前スレでは正直どうなってしまうのだろう?と心配してましたが
無事にお引越ししていただいて嬉しいです。
続き楽しみにしてまーす。
15名無し草:02/02/25 11:17
1さんありがとー&乙カリー!
マターリ行けますように!
16祝お引越し:02/02/25 11:36
1さん、スレたてお疲れ様− & 感謝!!

>>13
28日のコーラス発売が楽しみですね。
HPでは「有閑倶楽部」エグゼクティブ・クイズとかやってて力入ってる
みたいだし、期待してしまいます。長く連載されるといいのですが。
17名無し草:02/02/25 11:36
やー、おつかれおつかれ。
1さん、本当にお疲れさん、そしてありがとう。ネギラウ
引越しがスムーズで良かったねぇ。さ。マターリ。
18おつかれさま。:02/02/25 12:17
1さん 乙かれ〜。
これで、マターリ妄想できることでしょう〜。
読み手のくせに、現在連載中の作品が
ちょっと把握できなくなっております。
嵐さんの所へ行って、勉強してきまーす!
193P作者:02/02/25 18:01
お引越しつつがなく完了ですね〜、1さんありがとうございます。
さぁ、新居第一発目の妄想はどんなお話かなっ?
みなさま末永くマターリと語り合いせうね。どうぞよろしくです。
20名無し草:02/02/25 18:18
嵐さんのところ、連載中のものを先にウプしてくれたんですね
もう一度読み直して、妄想ワールドに逝かねば・・・
作家さんたち、ぜひぜひ続きを〜
21名無し草:02/02/26 00:57
作家さんたちを待つ間、小ネタの雑談でも。

魅録って、やっぱりチチが初恋なのかなぁ。
忘れられない・・・って言ってたあたり、そんな感じがした。
そう考えていくと、最初の頃の悠理にナンパさせて・・・
というのはどうだったんだ? という疑問が。
まぁ悠理も一緒だったんだし、ナンパさせて4人で遊んで
悠理が女だってバレるのを楽しんでた、とか。
それとも、2対2になったあと食っちゃ・・・(以下略
22名無し草:02/02/26 02:07
魅録とチチとの別れの場面だが、なぜあそこまで悲しむのかわからん。
永遠の別れじゃないんだし、また遊びにくればいいじゃないのよー。
と、今読むと思ってしまう。

話は違うが、清四郎に部外恋愛があるとしたら、
相手はどんなタイプになるだろう?
自分よりも強くて頭良くて、綺麗な、
倶楽部の女性陣の長所を兼ね備えたような人とかかなぁ?
例えば、もしもモルダビアが若くて綺麗だったら…。
23名無し草:02/02/26 02:28
>22
意外に、深窓のお嬢様でおっとりしていて、
ちょっとぼやーっとした自分では何もできない子だったりして。
そんな子の世話を焼くのが嫌ではないと見るがどうだろうか?
(例えば、運動オンチの野梨子の面倒をみたり、
悠理をおもちゃにして遊んでいるというところか想像すると)
結構自分のことは自分でやっちゃう可憐との絡みが少ないのは
そういうこともあるのかな、と。
24名無し草:02/02/26 02:56
>22
永遠の別れではないにしても、そうそう会える相手じゃない上、
結ばれないと分かっているからじゃ?
チチは王冠が手に入ったら一生お仕えします、って神に祈ってたから、
結婚はしないってことでしょ。島が沈んでから戴冠式までの間、
そういう話を家族や魅録にしたんだと思う。
 
>23
私もそう思う。<深窓のお嬢様&ぼやーっと系
ブツブツ言いながらも面倒見良さそう。
25名無し草:02/02/26 03:10
清四郎はできるタイプの女だと、だめそう。
モルさんの時みたいに、自分よりできるところを見ちゃうと自信喪失しちゃって
落ち込んでプライドがずたずたになりそう。
プライドを傷つけないようなタイプの女の子なら、
いつもの自信満々さでいられるから、そっちのが精神衛生上良さそう。
女性とぶつかりながら切磋琢磨するつき合いより、
自分の自尊心が満たされるようなつき合いの方が似合う気がする。
26名無し草:02/02/26 03:18
>24
なるほどー。そこまで深読みしてなかった。
そう考えると、ちょっと悲しいね。

>23>24>25
深窓のお嬢様&ぼやーっと系に、
何をしでかすかわからない、というのが加わるとあり得るかも。
でもまぁ、これは願望なんだけども、
清四郎のプライド等をくすぐるような、
犯罪者系のお姉さまとの頭脳勝負っての見たいんだなぁ。
27名無し草:02/02/26 03:35
>25
分かる分かる。<自尊心が満たされるようなつき合い方
清四郎にとっては、自尊心って何よりも優先しそうだもの。

>26
私も見てみたい。<頭脳勝負
いや私の場合、引き分けで終わってショックを受け、
和尚のところに修行に行く清四郎が見たいだけかも(w
28名無し草:02/02/26 09:11
>24
そうかあ。私は、一国の王女様ってそう簡単に好きだからって恋愛できる
身分じゃないからだと思ってた。ミュスカ姫もそうだったじゃん?
もちろんそう簡単に会える相手じゃないってのはあるよね・・・。
あのシーン好きだなあ。

>27
モルさんが清四郎好みの美女だったらと惜しまれる(w
29 :02/02/26 15:25
倶楽部内恋愛禁止と一条先生は言ってるけど、外部恋愛なら今後も書くのかな。
清四郎の恋愛話や悠理の恋愛話を是非とも見てみたいものだ。
どんな味付けになるのだろう。
30名無し草 :02/02/26 15:59
ツーリング編より『ツーリング前日の魅録君』

「やっぱ買っといた方がいいかな・・・」
と、コンビニの棚に手を伸ばす。
パッケージに踊る文字は「明るい家族計画」

・・・逝ってきます。
31七誌:02/02/26 16:03
>>30
ワロタ

でも大事な事よね♪
妊娠はもうガイシュツだし(w
32名無し草 :02/02/26 17:14
>30
そういう、お話には出て来ない小ネタみたいの大好き〜w
                   
33名無し草:02/02/26 18:58
>30
剣菱家の事情編の魅録も持ってたりして。
 
「いつか使うかもしれないし、男のたしなみだよな」
 
うぅ・・・あまりに不憫すぎる。
作者さんたち、劣化しないうちに魅録に使わせて
あげてくれ〜(この場合、もちろん相手は可憐よ)
34名無し草:02/02/26 19:38
『ある日の清四郎君』

薬局のビニール袋から数種類の箱を取り出す。
各箱から1つずつ取り出すと、それぞれ開封し、広げて目の前に並べた。

まずO社のものを手に取ってみた。
「フム、O社は最大手だけあって、色・大きさ共にバリエーションが豊富ですね。
極薄ですが強度もあるようですね。」
次にF社のものを手に取ってみた。
「フム、F社もO社に劣らず種類が豊富ですね。しかし両者とも品質の面では大差ないですね。
そういえば数年前、F社はポリウレタン製の物に欠陥が見つかり、回収騒ぎがありましたが、
その後のマーケティングにどれだけ影響が出たのか興味がありますね。」
次に外国製のものを手に取ってみた。
「フム、明らかに国産とは違う質感、厚みですね。しかしサイズは大きいですね。」

そして、それらの結果をノートに記した。
清四郎はこんなことも知識の一部なのである。

スレを汚してますね。
しばらく逝ってきます。。。
35名無し草:02/02/26 19:56
>34
そのノートを和子姉さんがコソーリ見て、「使用感は書いてないのね。ふふふ」。
そして剣菱悠理の秘密の清四郎に続く(嘘
36名無し草:02/02/26 21:13
>33
劣化なんてしないよー。
だって永遠の19歳だもん(ワラ
でも、現実の19歳だったら、なんにもないのは不憫じゃ。
37名無し草:02/02/26 21:36
「いつか使うかも」
メドは立ってないのね。私の妄想で使わせてあげようかしら・・・。

ところで現実としては野梨子の男嫌いまではいかないにしても
魅録は異性としての女が苦手・・・って設定になってるらしいね。
リミックスにもそんなこと書いてあってへえ〜って思った。


38名無し草:02/02/26 21:43
>37
男嫌い、女が苦手、真剣に女性と恋愛できない、食べ物にしか興味がない、
なんて潔癖すぎ。
19歳なのにもったいない。
もっと青春を謳歌しておくれ。


39名無し草:02/02/26 22:44
>38
残りの2人は謳歌しすぎて逆に問題だよね(w
40名無し草 :02/02/27 02:31
前スレの続きが読みたい!!
作家さん達是非ともよろしくお願いしますだ。
首をながーくして待ってます。
41 :02/02/27 02:57
あれ?38さんの真剣に〜は美堂じゃないの?
42名無し草:02/02/27 02:58
エチーな話の需要はあるんだろうかとか聞いてみるテスト
43名無し草:02/02/27 03:00
>41
清四郎のことでは?
4438:02/02/27 03:04
>41
>真剣に〜、 は、
「女性と本気につきあえない(野梨子談)」
16巻で可憐にも同じようなニュアンスで言われてましたね。
ですので、この場合は美童のことではありませんです。
45名無し草:02/02/27 10:49
>>42
ありますよ〜(コソーリ
46名無し草:02/02/27 14:23
そろそろ前スレ作品の続きが読みたいと思いませんか?みなさん。
もちろん、新ネタでも!
前スレ391の続きです。
僭越ながらUPさせて頂きます。


部屋には清四郎と野梨子の2人だけが残った。
野梨子は熱い日本茶をゆっくりと飲んでいる。
「まだ帰らないんですか?」
そんな野梨子に清四郎は声を掛けた。
「帰って欲しいんですの?」
「いや・・・別にそういう訳では・・・」
清四郎は決まり悪そうな顔で答えた。
「先程はごめんなさい。私が変なことを言わなければ・・・
でも私、清四郎がその・・・そうであって良かったと思ってますの。」
「僕でも知らないことがあるってことが良かったってことですか?」
清四郎はつい嫌みの口調になってしまった。
しかし野梨子は空になった湯呑み茶碗を置くと、清四郎に向かって微笑みかけた。
「そうじゃありませんわ。何て言ったらいいんでしょう・・・その・・・
清四郎はそうであって欲しくないって何となく思ってましたの・・・」
そこまで言うと、野梨子は顔を赤らめた。
「早く大人になるのもいいけれど、自分に相応しいペースで大人になって行くのも
良いと思いますのよ、私。私たちはゆっくりと大人になって行きましょうよ。」
そう言って野梨子は再び清四郎に向かって優しく微笑んだ。
清四郎はその笑顔に救われたような気がした。
魅録は帰宅するとガレージに向かった。
松竹梅家は数台の車を所有している。両親の趣味と魅録の趣味が相俟って、必然的に車の数は多い。
しかしその中で殆ど乗られることのない車が1台ある。R32GT−Rである。
乗らないのなら処分してくれと、父親の時宗はことあることに苦言を吐くのだが、
魅録は処分する気など全くない。
ただ、乗らないのではなく乗りたくなかったのだ。
この車は1年ほど前、魅録が尊敬して已まない先輩より譲り受けた物であった。
走りの全てを教えてくれた人。どんなに追いかけても追いつけなかった人。
そして追いつけないままに走ることを止めてしまった人・・・
主を失った伝説のGT−R。誰もがこの車をそう呼んだ。

ガレージのシャッターを開けると、数々の車の後ろにそれは鎮座していた。
鈍い光りを放つはずのガンメタリックのボディーにはうっすらと埃すら積もっていた。
「エンジン掛けたの何時だったっけな・・・バッテリー上がってるかもな。」
そう呟きながら魅録はボンネットに触れた。
冷たいボディーの感触を感じながら、魅録の意識は過去へと引き戻されていった。
その先輩に初めて会ったのは、魅録が15歳の夏だった。
中学3年の夏休み悪友に誘われ、夜中の箱根七曲りに初めて行った日であった。
響き渡るエンジン音、悲鳴のようなタイヤ音。鼻を衝く焦げ臭い匂い。
どれも少年期の魅録の心を揺さぶるには充分だった。
目の前では次々と車がタイヤを軋ませ、コーナーを抜けていく。
「魅録!さっきのシルビアすげー速かったよな!!」
「俺はその前に行ったハチロクのコーナリングの方が感動したよ!!」
「さっきのMR−2、ちょっとやばくなかった?」
「スピンするかなって思ったんだけど、ぎりぎりの所で持ち直したよな!」
魅録達は目の前で繰り広げられる熱い状況に興奮していた。
その時、今迄見たどの車よりも速く、そして鮮やかなハンドリングでコーナーを抜けていく車があった。
ギャラリー達は一斉に拍手をした。
そのテクニックに魅録は度肝を抜かれた。
「さっすが光樹!速さもテクも違うわよね。」
ギャラリーの1人がそう言っているのを、魅録は聞き逃さなかった。
「すみません。今のGT−Rは有名な方なんですか?今日初めて来たんですけど、感動しちゃって。」
魅録は思い切ってその女性に訪ねてみた。
「光樹のこと?ここであの人に適う人はいないわよ。私はあの人の知り合いなんだけど、
後で会うから一緒に来る?」

その女性は真弓と言った。光樹とは同じレーシングチームに所属しているとのことだった。
普段は別の場所で練習をしているのだが、今日はたまたま昔の仲間に会たくて箱根に来たとのことである。
「魅録君って言ったわよね。あなたはラッキーよ。初めて来て彼の走りを見ることが出来たんだから。
彼は伝説の男って呼ばれてるぐらいなのよ。」
そう言うとふふふと真弓は嬉しそうに笑った。
こうして魅録は光樹に会わせてもらえることになった。
車から降り立った光樹は細身だが、筋肉質の逞しい男だった。
「光樹さんの走りを見て感動したって言ってきたから、連れて来ちゃった。」
真弓は光樹に魅録を紹介した。
「お前、箱根に来て少年をナンパしてたのか?」
光樹は明るい口調で真弓に言うと頭を小突いた。
「ひど〜い。いくらなんでも中学生には手は出さないわよ〜。」
始めはひどく緊張していた魅録だったが、二人のやりとりを見ていて緊張の糸は解れていった。
「魅録君は中学生だから、まだ車には乗ったことはないんだよね。」
「ええ。こっちならたまにあるんですけど。」
そう言って、魅録はバイクのハンドルを掴む真似をした。
「おっ!無免許運転だな。けっこう気合い入ってるんだなお前。」
光樹は笑いながら魅録の頭に手を当てた。
「さっきの走りを見て、マジですごいって思ったんです。どうしたらあんな風に走れるんだろう、
俺もあんな風に走れたらいいなって思って!!」
魅録は興奮して捲し立てた。
「走りに興味ある?走ってみたい?」
光樹は魅録に言った。
「はい!!すごく興味あります!!」
魅録の目は新しい世界を見つけた喜びでキラキラと輝いていた。
「お前いい目してるな。今度サーキットで走行会があるんだけど見に来るか?」

ここ迄思い出したところで魅録は我に返った。
そして暫くGT−Rを眺めていた。
「あんなことがなければね・・・」
魅録は小さく呟いた。
「土曜日はこれで行くか・・・」
魅録はボンネットを開け、整備を始めた。
土曜日は梅雨時にもかかわらず、良く晴れた星のきれいな夜だった。
爆弾発言以来、悠理は生徒会室に顔を出すことはなかった。
しかし部屋の話題の中心はもっぱら清四郎にあり、可憐も美童もここぞとばかり
清四郎に突っ込みを入れる。
いつも冷静沈着な清四郎が動揺した素振りを見せるのも、なかなか小気味良いものであった。

約束の深夜11時頃、魅録は剣菱邸に到着した。
悠理は既に門の前で待っていた。
「3日ぶりだね。魅録。」
悠理は満面の笑みを浮かべながら助手席に乗り込んできた。
「この前お前が帰った後、すごいことが起こったんだぞ。」
「なんかあったのか?」
「清四郎のことなんだけどさ・・・」
そう言って魅録はあの日の顛末を話した。
話を聞くと悠理は、ダッシュボードをドスドス叩きながら涙を流し笑い転げた。
「マジかよ〜〜!!!チクショー!!帰るんじゃなかった〜〜〜〜!!!
普段のお返しにあたいも美童や可憐みたいに一言言ってやりたかった〜〜!!」
「あいつの焦った顔、久々に見たぜ。」
「あーあ。あたいも見たかったなぁ。まあいいや。月曜に会ったら突っ込んでやろう。」
そう言うと悠理はにまにまと笑っている。
「で、お前の件はどうなわけ?」
魅録はさらりとした口調で悠理に訊いてみた。
「何のことだっけ?」
「あの発言の件!」
「あー・・・あれね。あれはつい口が滑っただけ。」
悠理はとぼけたような口調で答えた。
「口が滑ったって・・・じゃぁ嘘だったわけか??」
魅録は思わず声が大きくなった。悠理はまた意味ありげな笑みを浮かべて魅録を見た。
「・・・魅録には・・・いつか本当のこと話すよ。」
悠理は窓の外に目を向けたそう言った。
「え・・・?それって・・・」
魅録は言いかけたが、「東名も夜中は空いてるんだな。」と、悠理は話題を変えた。
「これ(GT−R)に乗ってくると思ってたよ。」
そう言うと再び悠理は笑った。

結局魅録はそれ以上訊かなかった。
5247-51:02/02/27 15:05
長文で申し訳ありませ〜〜〜ん。
なんだかクサイ展開になってしまいました。
おまけに車はあまり詳しくないので、想像で書いてしまいました(汗
ドリフトとか走り屋などに詳しい方がいらっしゃったら、殴られちゃいそうですが
お許し下さい。
5347-51:02/02/27 15:38
うわ・・・あげてから気付いた。誤字が・・・
途中の誤字は意味がわからないわけじゃないから諦めよう。
でも最後の最後、肝心なところでやっちまった。サイアク。

誤:「結局魅録はそれ以上訊 か なかった」
正:「結局魅録はそれ以上訊 け なかった」

たった一文字でも全然意味が違うので、訂正しておきます。
2人はフジテレビの展望台に上って、しばらく景色を眺めたあと、
指示された通りプリクラ撮影に向かった。
「へえ〜、結構広いんですね」
初めて中に入って実物を目にした清四郎は、興味深げに全体を見回す。
いつのまにか悠理が勝手にフレームを選び終えていた。
「ほら、いいから始めるぞ」
清四郎は、モニターに映った悠理と自分を改めて見る。
大きく映し出される悠理の顔は、やはり凛としていて美しい。
(な、なんでこんなことで僕が緊張しなくちゃいけないんですか…)
いつも冷静な清四郎も、その緊張の原因を分析することができなかった。
「いくぞ、せ〜の!」
台の上に乗った悠理が、シャッターボタンを押す。
「おい、なにそんなに硬い顔してるんだよ。もう1回な」
結局、いっこうに緊張のほぐれない清四郎と悠理のやや奇妙なプリクラができあがった。
55続き:02/02/27 16:51
それから買い物をして外に出ようとすると、ロケ隊らしき一行が目に入る。
「あ、テレビだ、清四郎」
「カメラがあるのは当たり前ですよ。ここはテレビ局なんですから」
と、その一団が自分たちのところにやってきた。
「すみませ〜ん、ちょっといいですか?」
レポーターの女性が2人に声をかける。
「あ、はい」
もともと目立つ事が好きな悠理である。逃げ出すわけがない。
「今日はデートですか?」
「あ、いや、そういうわけじゃあ・・」
何と説明すればいいのかわからなくて、答えに窮する悠理に、今度は清四郎が横槍を入れる。
「まあ、そんなところです」
(こ、こいつ、よくもぬけぬけと…)
そんな悠理を尻目に、レポーターは続ける。
「今、理想の結婚相手像について女性にアンケートしてるんですけど
…彼女は相手に何を求めますか?」
その女性が持っているフリップには、「優しさ」「経済力」などと書かれた項目が並んでいた。
「そりゃあ…」
と、悠理は「男らしさ・強さ」と書かれているところを指差す。
56続き:02/02/27 16:52
「強い人が好きなの?それはなんで?」
「そりゃあ、強かったらカッコイイじゃないか。弱い男なんて情けないよ」
「彼はどうなの?いい体してるし、鍛えてるっぽいけど?」
清四郎を横目で見るレポーター。
「幼い頃から道場通いを続けております。僕は文武両道を座右の銘としておりましてね。
日々修行中です」
余裕の笑みで返す清四郎に、ロケ隊一行は只者ならぬオーラを感じた。
「そうですか…じゃあ、彼は理想なんだ?」
どうやら完全にカップルだと思われているらしい。
「そ、そんなわけねえだろ!だいたい道場通いだしたのだって、あたいに負けて女にかばってもらって悔しかったからなんだぜ。こいつ、ほんとガキん時からプライド高くって。
そしたらいつのまにか強くなってさ、おまけに頭も良くてなんでもできるから、
高飛車でイヤミな奴になって…」
(そうだよ。なんであたいこんな奴と結婚しようかなんて考えてるんだよ)
テンションが高くなって、そのまま延々と悪口雑言を吐きそうな悠理を、
人生で絶対に明かされたくない汚点を晒された清四郎が反論し返す。
「悠理はそれからちっとも進歩してないですよね。相変らず乱暴で、大食らいで…
むしろ動物に近づきつつありますね。だから勘が強くなるんでしょうね」
「動物ってなんだよ!バカにするにも程があるぞ!」
カメラの前で今にもケンカをはじめそうな2人を、レポーターの女性が何とか止める。
「まあまあ…どうもありがとうございました。せっかくのデートなんだから、
そうカッカせずに、仲良く観覧車にでも行ってきてくださいね〜」
57美×野続き(1/2):02/02/27 16:54
美童と話をして、野梨子は自分のやるせない気持ちがだんだんと晴れてきていた。
小さな頃からずっと一緒だった清四郎の変貌…それは、美童の言うように、
家族が離れて行ってしまうような、そんな寂しさのように思えた。
(私ったら、いつまでも子供みたいですわね)
きっとこれが世間で言うところのブラザー・コンプレックスなのだろう。
と同時に、そんな自分の感情が野梨子は少し恥ずかしくなって、思わず含み笑いをもらした。
「どうしたの?野梨子」 
そんな野梨子の様子を、隣の美童が窺う。
「ちょっと…恥ずかしくって、私ったら、こんなことで拗ねるなんて大人気ないですわよね」
「そんなことないよ。それだけ、家族みたいに育ってきたんだから戸惑うのは当然だと思うよ。
そういう関係って、少し羨ましいな。・・ほら僕さ、パパの仕事の関係で、昔からいろんな国をあちこち引っ越ししてきたから」
美童のように、知り合いのいないどころか言葉さえ通じる保証のないところへ行って、
ゼロから人間関係をつくっていくことは、ずっと生まれた町を離れることなく、
当たり前のように守られた環境に育ってきた野梨子にはとてもできそうになかった。
美童がマメで優しいのも、そういう環境から培われたものなのかもしれない。
「なんだか今日の美童、お兄さんみたいですわ」
「…あれ?今度は僕がお兄さん?さっきは王子様だったのになぁ」
その野梨子の晴れ晴れとした顔に、美童は少しおどけてがっかりした顔をしてみせた。

58美×野続き(2/2):02/02/27 16:54
「ふふ…王子様になってくれてありがとう。もう私は大丈夫ですわ。」
野梨子が帰ろうとしたと思ったのか、美童がそれを止めた。
「女の子をひとりで帰すわけにいかないって、さっきも言ったじゃない」
あいかわらず、妙な面子にこだわる美童に、またおかしくて笑った。
別に帰ろうとしたわけではなかったし、もう少しお台場にいたい気持ちもあった。
遠くに見える観覧車を指差して美童に話しかける。
「…ねえ美童、あの観覧車から見る景色ってすごくきれいなんでしょうね」
「・・うん、そりゃあもちろん。夜なんか最高だよ〜」
「じゃあ王子様、一緒に夜景を眺めません?私、あれに乗ってみたいですわ」
「え、でも…」
悠理や清四郎とはちあわせしてしまいそうで、美童は返答をためらった。
「清四郎たちに会ったら、からかってやりましょうよ」
そういう野梨子の顔は、さっきのことが嘘のようにすごくさっぱりしていた。
こんなところが、野梨子の強いところだ。割り切りがいいというか、開き直ると本当に強い。
思わず美童は笑みをこぼす。
「…じゃあ、ご一緒させてもらえますか。大変光栄です」
美童は立ちあがって、野梨子に手を差し出す。野梨子もそれに合わせる。
野梨子は、美童の包み込むような優しさにすっかり癒されていた。

59名無し草:02/02/27 16:57
54−58です。長々とすみません。
おまけに、険悪なまま悠と清を観覧車に行かせてしまいました・・・。
続き、誰かよろしくお願いします。

60ワクワク:02/02/27 16:59
よかったですよぉ〜!
いやぁ〜 やっぱり妄想小説は楽しいなー。
車は詳しくないから、車に詳しい作家さんなんだーって
思って読んでおりました(笑)

続きが気になるところです。
次のアップを楽しみにしていますねー。
6160:02/02/27 17:08
ごめんなさい。 上のレスは>>47-51さんへのでしたー。
書いている間に、他の作家さんの作品がアップされていた
ので、タイミング悪かったです。スマソ。
レス汚し、許してください。
62名無し草:02/02/27 19:35
作家さんたちが戻ってきてくれて嬉しいっ!(感涙
 
>剣菱悠理の秘密
少年時代の魅録がカワイイ♪
ゆっくりと大人になっていく(←予定)清四郎にもモエ〜です。
 
>剣菱家の事情
悠理と清四郎が、いかにもって感じでいいですね。
仲直りできるのかどうか先が楽しみ。
美童に大切にされる野梨子も、ビジュアル的にいい感じです。
傍を通った人とか見とれちゃうだろうな。
63名無し草 :02/03/01 01:47
久々に来たら続きがUPされてた!
感涙うるうる。。。

64名無し草:02/03/01 03:05
コーラスでも新連載始まりましたね。
萌えどころはありましたか?
65名無し草:02/03/01 06:23
>64
私はまだ読んでないんですが、少女漫画板のほうのスレによると
新キャラが出てきたとか。今日にでも読みにいかねば。
66剣菱家の事情2:02/03/01 10:03
ちょっとだけ、つなぎを・・・。
>>56の続きになります。

奇しくも美童が指示した次のデートコースは観覧車だった。
テレビカメラの前でお互いの悪口をいつものようにぶちまけてしまった悠理と清四郎。
清四郎は、恥をさらされてついムキになった自分自身を反省していた。
(僕としたことが……)
どうして悠理には、いつもいつも自分のペースをかき乱されるのだろう。
だからこそ一緒にいて飽きなくて、いい刺激になることも事実なのだけれども。
一方悠理は、喋らなくてもいいようにと、クレープを食べながら観覧車に向かっていた。
(なんだよ、あいつ!ほんっとムカツクな!)
「僕が、悠理と結婚したいんです」
そう言われたときは、純粋にうれしかったのに。
やっぱり、自分のことなんて二の次、いや本当はどうでもいいんじゃないのか。
清四郎のことだから、きっと何か目論見があってのことじゃないのか。
今日だって、ちょっと楽しかったのに…・。
涙が出てきそうになって、そんな自分がまた悔しかった。
「あたい、帰る!」
観覧車のところまで来て、悠理はくるりと踵を返した。
と…その腕をぐっと清四郎がつかむ。
「…話はこれからです、悠理」
それっきり、清四郎は何も言わずに悠理の手を引いて進んでいく。
その力強さに負けて、そのままゴンドラの中まで悠理は引っ張られていった。

67名無し草:02/03/01 10:06
実はこの先の観覧車の魅×可は、続き思いついて書いてみたのですが・・・。
清×悠の方がうまいのを思いつきませんで、これしか書けませんでした。
みなさん、今は本編の新連載読んでるでしょうが、
どなたか、続きよろしくです。
68名無し草:02/03/01 13:40
連載始まりましたけど、こちらも盛り上げていきましょうよ!

69名無し草:02/03/01 20:43
やっぱり面白い〜。

お見合い編のあたりで、ちょこちょこっと書かせて頂いていたのですが
最近お休みしていて、ペースがつかめないでおります。
慣れてきたらまた仲間入りさせてくださいねー。
70名無し草 :02/03/01 23:31
>>69
待ってますね!!
71名無し草:02/03/02 15:25
>>66

いいですね〜。
とっても続きが気になる終わり方ですね。
清四郎は観覧車で何を言ってくれるんでしょう。わくわく
72名無し草:02/03/03 16:17
うーん。清四郎の台詞が気になる!
楽しみですねぇ。
最初のスレの48〜49に、「魅×野 ホロ苦い青春編」の小ネタを書いた者です。
みなさんの小説を読んでるうちに、あの小ネタも小説仕立てにしたいなぁ、と無謀な
ことを考えるようになり、ちょこっとだけ書いてみました。
48〜49で書いたのは魅×野・清四郎失恋バージョンでしたが、こっちは魅×野・
清×可にもっていこうかな、と考えています。
-------------------------------------------------------------------------------
<野梨子サイド>

いつからか魅録が気になり出した。気がつくと、目が魅録を追っている。

最初は裕也さんの話をしているのが楽しかった。
魅録と裕也さんが出会った頃のこと、裕也さんの走り、武勇伝。
遠く離れてしまった寂しさを、魅録の昔話は埋めてくれた。

それなのに。
裕也さんの話を聞く楽しさが、魅録と話す楽しさに変わったのはいつだったのか。
裕也さんの時と同じ・・・いいえ、それ以上に魅録が気になって仕方ない。
この気持ちは恋。紛れもなく恋。

だけど。
こんなに簡単に心代わりする女なんて、魅録はきっと軽蔑する。
「女は苦手だ。色恋よりダチと遊んでる方が楽しい」
そう言って憚らないあの人に、私が恋してると知られてしまったら・・・
この気持ちは誰にも知られてはいけない。魅録はもちろん、他の4人にも。

ああ、それなのに。私の目は今日も魅録を追ってしまう。
見つめずにはいられない、溌剌としたあの人を。
-------------------------------------------------------------------------------
良かったらどなたか続きを書いてくだされ。お願いします。
74名無し草:02/03/03 19:46
>73
おおっ!恋する野梨子、かわいいですね!
清×可になるのですか!びっくりです!楽しみです。
75名無し草:02/03/03 22:48
66ですが、恐縮ですが人も減っているようなので
もうちょっと続けさせていただきますね。
で、でもこのカキコで益々住人が減ってしまったらどうしよう・・・。

悠理と清四郎が乗ったゴンドラを、重い沈黙が包む。
五分ほど経って、ようやく清四郎が口を開いた。
「悠理」
「…なんだよ」
「何の話なのかは、分かっていますよね?」
もちろん、分からないわけがない。
ここにきたら話が始まってしまうことは、悠理とて予期していた。
いつかこうやって、向き合って話をしなくてはならないことだって初めから分かっていた。
けれども、こんな気持ちでこの場を迎えたくはなかった。
それでも、もうゴンドラに乗ってしまった以上、もはや逃げ場もない。
「それくらい、あたいにだってわかってるよ」
「…で、考えてくれましたか」
思い切って、悠理にそう切り出す。



76名無し草:02/03/03 22:48
「……」
悠理は何も答えられなかった。
清四郎は深いため息をついて、目を外に向ける。
「…忘れる程度のことでしたか、悠理にとっては」
自分はその程度の存在だったのかと不安になって、ついそんな言い方をしてしまった。
「そんなわけないだろ!」
咄嗟に、悠理はそう叫ぶ。
「突然あんなこと言われて、忘れられるわけないじゃないか!!
お前がどんなつもりで言ったのかなんて知らないけどな、悔しいけど、一生忘れないよ!」
気持ちが高ぶって、涙が溢れる。
その様子に、清四郎は悠理が真剣にこのことを考えていたことを改めて認識する。
「でもな…」
泣きじゃくりながら、悠理は続ける。
「あたいバカだからさ、いくら考えたってわかんないんだよ。好きとか嫌いとか結婚したいとかじゃなくって、清四郎は清四郎じゃんか。」
清四郎は次第に、その涙目の悠理を見ているのに耐えられなくなってきた。
自分がそうさせているのかと思うと、余計につらかった。
「…わかりました。考えてくれているんなら、それでいいです。…でも、
僕が何で悠理と結婚したいと言ったのかだけは、分かってもらわないと困ります」
「清四郎…」
恋愛ドラマやマンガとは少し違うけれども、清四郎の奥にあるもっと深い温かい気持ちが、
じわりじわりと悠理に伝わってきていた
77剣菱家の事情2魅×可:02/03/03 22:50
一方、こちらは、別のゴンドラに乗った魅録と可憐。
お互い気になることがありつつも、それを紛らわすかのように悠理と清四郎の様子を伺う。
と、突然盗聴機の音が弱くなり、やがて音声が途切れる。
「あれっ…」
「どうしたの?魅録」
「やべっ…切れちゃったなぁ。あいつ、鞄落っことしでもしたのかなぁ」
「ええ〜っ!これからって感じだったのに!」
魅録は、一応自分の手元の受信機の様子を見るが、特に異状は見当たらない。
可憐もちょっとくやしそうな顔をするが、まあ仕方ない、と結局2人はあきらめる。
「悠理もねえ、いつもだったら、あんなことで本気で怒ったりなんかしないわよね」
「だよなあ」
悠理の微妙な心境の変化を、2人はうっすら感じとっていた。

そうこうしている間に、観覧車がかなり上の方までやってきた。
悠理と清四郎の盗聴という、格好のカムフラージュもなくなってしまって、
可憐は目の前の魅録のことが気になって仕方がなくなってきていた。
そんな自分の高まって行く気持ちをごまかすように、窓の外の景色を眺める。
「ん〜、観覧車ってやっぱり、恋人たちのためにある空間よねえ。
男と女がいい雰囲気になるには、こういう場所が必要よね。」
その台詞に、魅録はまた惑わされる。
「おい、また昨日みたいなこと言うんじゃないだろうな」
昨日から溢れそうになっている自分の想いをこらえたくて、冗談めかしてそう言った。
が…可憐は何も言わなかった。
「?」
今がチャンスかもしれない、そう可憐は思った。
怪訝な顔をしている魅録に背を向けたまま、思い切って口を開く。
「……そうだったら、また抱きしめてくれるの?」 
本気とも冗談ともつかないような口調で、しかし正直な心を魅録にぶつけた。

78名無し草:02/03/03 22:53
続き、もう少しありますが・・・。
長いので、とりあえずここまでで。
作家さんが増えてくれるのを願っております〜。
79 :02/03/03 23:22
>>75-77
おおっ!
どちらも目が離せないですねー。
これからどうなるんだろう・・・
すっごく楽しみです。
それにしても、可憐がなんともイイですな。
80名無し草:02/03/03 23:51
>77
いっちゃえ魅録! と思ったのは私だけではあるまい(w
でも、恋愛ベタだからこそ魅録という気も・・・(弱気
81名無し草:02/03/04 03:08
剣菱家のひな祭りは盛大だっただろうな。
雛人形とか、多分等身大じゃないだろうか。
82名無し草:02/03/04 03:12
>81
百合子さんのことだから、倶楽部のメンバーに雛人形の
仮装をさせよう! とか思いついて実行してそう。
誰が何の役にされるやら・・・
83名無し草:02/03/04 04:38
>82
万作、百合子夫妻は、お内裏様とお雛様だろうから、
女性三人は三人官女だろうか。
魅録と清四郎は、右大臣左大臣でいいとして、
美童は????
箱根に着いた頃には時計は午前0時を回っていた。
峠では熱い戦いが繰り広げられていた。一瞬の油断が生死を分けることもある。
度胸のない奴には走れない。
「この空気ワクワクするな!」
「そろそろ行くか!悠理!」
魅録はアクセルを踏み込んだ。
二人の乗ったGT−Rは鮮やかにコーナーを抜けて行く。
完璧なブレーキングとシフトチェンジ。隙のないステアリング捌き。
限界ギリギリでカーブに突っ込み、思い切りタイヤを鳴かせ、テールをスライドさせる度に
悠理は喚声を上げた。
「やっぱ魅録の走りは最高だよ!!」
「まかせろよ!このぐらい朝飯前よ。まあこれは4WDだから良く曲がるし
立ち上がりがいいってのもあるけどさ。」
「光樹さんを超えたんじゃないか?」
突然その名前を言われ、魅録は動揺した。
あの人の全てが目標だった。
あの人に追いつき、追い越したかった。
2年前にあんなことが起こる迄は・・・
魅録の頭の中で、様々なことが走馬燈のように駆け抜けたその時だった。
コーナーに突入した魅録のGT−Rが完全にスリップした。
「やべっ!!!」
「ぎゃ〜〜〜〜〜!!!」

しかし魅録の冷静な対処で、車はガードレール直前で車体を軋ませながら
再び立ち上がった。
「ふー・・・あせった・・・危うく悠理と心中かと思ったよ・・・」
「やだかんな!!こんなところで心中なんて!!」
「冗談だよ悠理。俺のテクニックをなめんなよ。」
魅録は路肩の避難帯に車を停め、窓を開けた。
湿った生暖かい風が車内に流れ込んでくる。
肌を撫でるその風は、忘れてしまいたい嫌な過去を思い出す・・・
「2年前も梅雨時だったよな。」
ぽつりと悠理が言った。
「ああそうだな・・・」
あ・・・忘れた。
>>84>>51の続きです。

中3の夏に光樹と知り合ってから、魅録は車の世界にのめり込んでいった。
光樹は魅録に走りの基礎からじっくり教え込んだ。魅録もそれをどんどん吸収した。
光樹の走りを覚えたい、それが魅録の全てだった。
光樹に悠理を初めて会わせたのは、それから1年程たった高1の夏だった。
「へぇ。君が魅録の言ってた、とんでもないお嬢様か。」
「剣菱悠理でーす。」簡単な自己紹介をした後、悠理は魅録を睨み付けた。
「魅録!!あたいのことをどう言ってたんだよ!!」
「いやさ、元気のいいのが居るって言っただけだって。」
「うそこけ!」
そんな悠理と魅録のやりとりを見ながら光樹は笑い、真弓も光樹の隣で微笑んでいた。
当時光樹は真弓と正式な交際を始めており、いずれは結婚するつもりだと
周囲に語っていた。

物怖じしない悠理はすぐに二人とうち解け、また光樹も悠理の元気の良さが
気に入ったようで、まるで妹のようにかわいがった。
そしてそれまで車には興味を示さなかった悠理が、光樹が走る日は必ず連れて行けと
魅録にせがむようになった。
多分その頃が一番楽しい日々だったのかも知れない。
あれはどんよりと垂れ込めた雲から冷たい雨が降る、6月の夕方のことだった。
朝からなんとなく気分がすぐれなかった魅録は、学校をさぼり、自室で無線機の
改造をしていた。
「よし!これでパワーアップ完了。」
魅録はふと窓の外を見た。相変わらず雨は降り続いている。
「今日は真弓さんがダートのレースに出るって言ってたよな。」
こんな雨じゃレースは大荒れだろう。でもダートならそれも一興かな。
そんなことを考えながら、無線機のスイッチを入れた時、族仲間の1人が
ひどく興奮した声で呼びかけてきた。
「魅録さん!さっきから呼んでたんですよ!!」
「なんかあったのか?」
「大変なんです!!真弓さんがレースの最中、事故に巻き込まれて・・・」
「なんだって!?」
「日本中央病院に運ばれたそうです!!」

魅録は無我夢中でバイクに跨り、教えられた病院に向かった。
無事でいてくれ。願いはただそれだけだった。
光樹と真弓。同じ夢を持つ二人。誰が見ても最高のカップルだった。
真弓を見て微笑む光樹、光樹を見て微笑む真弓の顔が浮かんだ。
光樹がいかに真弓を大事に思っているのか、魅録は痛いほどわかっている。
だからこそ、光樹のためにこそ、真弓には無事でいてもらいたかった。
「ちょっとしたかすり傷よ」そう笑いながら、治療室から真弓が出てくる
そんな程度であって欲しい・・・
雨に濡れた道を走り抜けながら、魅録はずっと願い続けていた。

病院は混み合っていた。
闇雲に魅録は廊下を走った。完全に判断能力を失っていた。
この中のどこかにいる!光樹さんもきっと来ている!
その時「廊下を走らないでください」という看護婦の声で
魅録はようやく我に返った。
「レース中の事故で運ばれた女性は!!」
看護婦の腕を掴むと、魅録はまるで問いつめるかのような勢いで訊いた。
すると看護婦は、黙って側にあった案内板のある場所を指さした。
魅録は言葉を失った。
そこは霊安室という文字が書かれていた。
霊安室の前まで来た時、魅録は入るのを躊躇った。
この中にはきっと光樹がいる。
でもこんな時にはどんな慰めの言葉を掛けたらいいのか・・・
魅録は色々と考えてみたが、まるで言葉が浮かんでこない。
このまま帰ってしまおうか?一瞬そう思ったが、
尊敬している光樹の為にも、この場面に立ち会いたかった。
魅録は意を決して部屋のドアを開けた。

光樹は床に座り込んで俯いていた。
魅録は光樹に近づき傍らにしゃがんだ。
「光樹さん!」
魅録の声に光樹はのろのろと顔を上げた。
「あー魅録か・・・」
光樹の目の色は完全に失われていた。
「話を聞いて駆けつけたんですけど、まさか・・・まさかこんなことに・・・」
魅録はここまで言うと言葉に詰まった。
光樹は虚ろな目のまま、溢れる涙を拭おうともせず話し出した。
「あの時、先行している2台の車両が接触したんだ。その真後ろにいた真弓は
それを避けようとしたんだけど、あの雨だろ。完全に滑って横転してしまったんだ。
そこに後続が突っ込んで、結局先行の車と後続の車の間で真弓の車は潰されたんだ。
なあ、真弓に線香を手向けてやってくれよ魅録。
もうそれぐらいしかしてやれることはないんだから・・・」
ここまで言うと光樹は床に顔を伏せ、憚ることなく号泣した。
光樹の心の痛みが魅録の心臓をもえぐる気がした。
魅録も泣いた。
当たり前の日常、当たり前の存在。それが一瞬で失われる。
いるべき人はもういない・・・何故こんな事が・・・

それから1ヶ月あまりが経った。
魅録は光樹の様子が気になり、何度か電話を掛けたりアパートを訪ねてみたりしているのだが、
いつも不在だった。
光樹の消息が全く掴めない状況に不安を覚え、光樹の所属しているレーシングチームに
電話をしてみたところ、驚くべき回答が返ってきた。
「あの真弓の事故の直後、光樹のやつ辞めてしまったんだよ。
確かにあの事故は不幸な出来事だったけど、光樹ほどの腕を持った男が・・・」
途中から相手の話など耳に入ってこなかった。
なぜ?なぜなんだ?真弓の死が光樹に酷いダメージを与えたことは理解できる。
しかしなぜ走ることをも止めてしまう必要がある?
その直後、魅録は酒場で日々飲んだくれているという光樹の噂を聞いた。
仲間に教えられたスナックに行くと、果たして光樹はいた。
魅録は光樹に近づくと、ストレートのウィスキーが入ったグラスを取り上げた。
「なにするんだ!!」
座った目で振り返った光樹だったが、それが魅録だと分かると愛想を崩した。
「おー魅録か。何だ高校生がこんな所で。」
光樹は酒臭い息を吐きながらそう言った。完全に呂律が回っていない。
「光樹さんこそこんな所で毎日なにをしているんですか!!」
魅録は怒りに震えていた。
自分が最も尊敬している人が崩れていく様を見るのは、魅録には辛かった。
「俺が何しようと勝手だろ!!」
「光樹さんが辛いのは分かります。でも何故走ることを止めてしまったんですか!!!」
光樹は魅録が取り上げたグラスを奪い取ると、一気に煽った。
「思い出すんだよ・・・」
光樹は更にボトルからウィスキーをグラスに注ごうとした。
「これ以上飲んだら体に悪いです!!」
そう言ってボトルを奪い取った時、光樹はバランスを崩して椅子から転げ落ちた。
魅録はあわてて光樹の体を起こそうとしたが、光樹はその手を振り払った。
「情けないだろ。そう思うだろ魅録。」
魅録は何も言えなかった。
光樹の心の痛みは共有したい。しかしこの状況は思春期の魅録にはあまりにも酷だった。
「走ることを考えるとあいつを思い出すんだ・・・だからもう走れない。」
光樹は絞り出すような声でそう言った。
「今はそうかもしれないけれど、時間は掛かるかも知れないけれど、
きっといつか走ることが全てだった光樹さんに戻れる筈です!!
だからその時になったらまた走ってください!!走ることを止めるなんて言わないで下さい!!
俺は光樹さんを尊敬しているんです。光樹さんが目標なんです。だから・・・」
涙をにじませながら言う魅録の肩を光樹は叩いた。
「俺はあいつを忘れたくない。だから一生走ることはない。俺にとってあいつは全てだったんだ。」
光樹はよろよろと立ち上がった。
「魅録すまないな。折角尊敬してもらってたのに、このザマで。」
そう言うと乾いた笑い声を上げながら店を出ていった。

この日、追いつきたかった目標は、魅録の到達を待たず消えた。
今から2年前の魅録が高校2年のことだった。
魅録はぼんやりと2年前のことを思い出していた。
「やっぱ光樹さんを超えられないんだな。俺。」
魅録は独り言を言うかのように呟いた。
「なんでだよ・・・?どうしてそう思う?」
「俺の目標はもう消えちまったからな・・・いくら走ったって追いつけないよ。
だからこれには乗りたくなかった。」
魅録はフロントパネルを思い切り叩いた。
「今の魅録なら、光樹さんなんか目じゃないぐらいだろ?
なんでそんなこと言い出すんだ!?」
「自分のテクニックは確かにあの頃とは比べ物にならないと思ってるよ。
でもこの車に乗ると、消えた目標を追いかけている気になる。それが辛いんだ。」
魅録はステアリングに顔を伏せた。
どのぐらいの時間が経ったのだろう。
魅録は頭に悠理の手を感じた。
横を見ると、悠理がにっこり笑いながら魅録の頭を撫でていた。
「元気出せよ。」
たった一言ではあったが、その言葉と笑顔は魅録の心に響いた。
「サンキュー悠理。」
魅録も小さく笑った。

「そういえば俺は後ろ姿が光樹さんに似ているって、よく言われたんだよな。」
「え〜〜〜〜〜!!光樹さんの方が全然男らしかったよ。」
「そりゃそうだろう。だってあの頃の光樹さんは21だったんだからな。
今の俺なら負けないぜ。そう思わない?」
悠理は前を見たまま、しばらく沈黙していた。
そして呟いた。
「そうだな・・・たまに光樹さんがいるんじゃないかって思ったことがある・・・」

思わず魅録は悠理の顔を見つめた。
外には街灯もなく、車の中は暗かったので悠理の表情は読み取れない。
その時、魅録達の横を車が通り過ぎていった。
ヘッドライトの光りで一瞬、映し出されたその目には涙が光っていた。
9084-89:02/03/04 05:07
しばらくUPできないと思うので、まとめて上げておきます。
全然話が見えなくてほんと申し訳ありません。

それと皆様が読みたいような話とは、趣旨が違っててごめんなさい。
でも懲りずに読んでいただけたら幸いです。

魅録の話ばかりでどこが剣菱悠理の秘密なんじゃ!!とか
思われてたりして・・・
そのうちそのうち・・・
91名無し草:02/03/04 05:14
きゃーきゃー、こんな時間に続きが読めるなんて!
(すいません、ちょっと興奮してます)
 
これぞ私の読みたい話です>作者さま
魅録大好きだし、魅録&悠理のダチ関係も好きなので、
こういう話は個人的にすっごくツボなんです。
しばらく読めないのは残念ですが、余裕ができたら続きを
お願いしますね。それまでマターリ待っております。
92名無し草:02/03/04 10:22
すごくいい!
細かい描写とかリアルだし、すごく丁寧に作ってるのがわかります。
続き楽しみに待ってます。
93 :02/03/04 11:37
>>90さん
先が読めないので続きがすごい気になります!
少年時代の魅録もすごくそれらしくていいし、
本編ではあんまり出てこないけど、魅録と悠理って普段はこうやって遊んでるんだろなーとか
いろいろ妄想させてもらえてすごく面白い。
悠理の意味深な表情も・・・どうなるんだろう!?
いや〜〜続きが楽しみ楽しみ(*^^*)。お待ちしております。
94名無し草:02/03/04 11:39
きゃー、魅×可最高です!
ずーっと続き読みたかったの〜。
この先も楽しみです!!
95名無し草:02/03/04 11:51
>>73
魅×野・清×可、読んでみたいです。
文才がなくて自分では書けませんが、どなたか続きを〜
96 :02/03/04 12:26
魅×可すごくいいよね〜。この先どうなるんだろう。
悠×清も気になる〜〜続きが楽しみです!
97名無し草:02/03/04 12:52
魅×可だと、自分が可憐になったような気分でドキドキしてしまう。
そして清×悠には、清四郎の応援団長になったような気分でハラハラ中。
頑張って悠理を口説き落とすのよーーー
って、応援団長より、お母さんかも(ニガワラ
>76さんの続き書きます。

二人を乗せた観覧車は一周した後、ゆっくりと元の場所に到着した。
観覧車から降りると空はすっかり夜の顔を見せている。
「そろそろ帰りますか」
本当はもう少し清四郎と一緒に居たい気もしたが、それではまるで
自分が清四郎のことを好きであると認めてしまうような気がして、
悠理は黙って清四郎の言葉に頷いた。
帰り道、珍しく黙り込んでいる悠理を横目に清四郎も又、話の糸口を
探していた。悠理の自宅近くの公園まで来た時、悠理が口を開いた。
「ありがと清四郎。ここでいいよ」
「どうでしたか?今日の予行練習は」
清四郎が優しく悠理に問いかける。
「ん〜、デートなんかしたこと無いから分かんないや。でも、
まあまあ楽しかった」
「それは良かったです」
「明日、皆にプリクラ見せてやろっと。清四郎すっげ〜変な顔で
写ってんだもん」
先程撮ったプリクラを思い出し悠理は面白そうに笑った。
「・・・好きにして下さい」
そんな悠理の様子に清四郎は苦々しい顔をした。
「で、普通だとこんな感じで終わるんだろ?」
悠理は美童達が考えたデートプランを思い出す。確か観覧車に乗った
後は『帰宅』とだけ書いてあった気がした。
「まあ・・・そうですが」
奥歯に物が挟まったような清四郎の口ぶりに悠理は怪訝な顔をした。
「何だよ。まだあんのかよ」

訝しげに自分を見上げる悠理の肩を掴んだ清四郎は、その華奢な身体を、
やや強引に引き寄せた。
二人の唇が重なる。悠理は一瞬何が起きたのか理解出来なかったが、
我に返ると勢い良く清四郎の身体を突き飛ばした。
「ざ・ざけんな!そんなことまでしなくていいんだよ!」
真っ赤になりながら清四郎に食ってかかる悠理。
「すみませんね。でも僕は悠理とキスしたいからしたんです」
「あたいの気持ちはどうなるんだ!」
冷静な清四郎とは対照的に悠理の怒りは収まらない。
「僕は悠理のことを好きだからしたんですよ。
そして悠理も僕のことを好きになってくれると確信してるんです。
今は無理でも、いつかきっとそうなると思ってます」
「あたいはなあ、お前のそういう自信満々なところが大っ嫌なんだよ!」
思いきり叫んだ悠理は逃げる様にその場を立ち去った。

 あ、またも険悪なムードに・・・。(汗
 どなたか続きをお願いします。
100名無し草:02/03/04 22:39
>88−89
わーい!清四郎ついにやってくれましたね!!
その自信満々ぶりが清四郎っぽくって好き〜!
では私も昨日の続きUPさせていただきますね〜♪

ごめん、上のレス98−99さんにでした・・・。
では、>>77の続きを。

しかしそれが、魅録の熱い気持ちにエンジンをかけた。
魅録は、いちかばちかの賭けに出ようとしていた。
「…じゃあ、俺がもし今そんな気分だったら、お前を抱きしめてもいいか?」
「えっ?」
そんなふうに乗ってくるなんて、もちろん思いもしなかった。
思わず魅録の方を振り向く。その見たことのない眼差しに、心を揺さぶられる。
予想もしなかった魅録の反応に、それまで考えていた事が真っ白になった。
普段の可憐だったら、その魅録の言葉の意味を予測できたのかもしれない。
でも今は、魅録がどういうつもりでそう言ったのか、
そんなことを考える気持ちの余裕すらなかった。
でも…どうにしろ、今の自分にとっては、願ったりかなったりだった。
「いいわよ、別に」
自分に余裕を持たせたくて、少し無理して、いつもの恋愛のように誘うような口ぶりで言った。
可憐は自分から立ちあがって、魅録の隣に座る。
勢いで言ってはみたものの、そんな可憐にまた躊躇する魅録。
けれどもここで引いたら…絶対に後悔するにちがいなかった。
魅録の腕が、可憐の肩に絡みついた。可憐はそのまま、魅録に身体を預ける。
その2人の空気は、まるでずっと前からの恋人同士のように自然なものだった。
可憐の温かさを感じると、魅録はその想いを吐き出すかのように可憐を抱き締める。
その気持ちが身体を通して可憐に伝わったのだろうか、
その瞬間、可憐をそれまで支配していた迷いも悩みも、一気に吹っ飛んだ。
ただ魅録の腕の中で、こうしていたい、と思った。
その想いは昨日以上だった。やっぱりこれは、魅録だからなのだろうか。
身体を離そうとする魅録に、思わずしがみついて言った。
「もう少し、このままでいたい」
それは、恋人に甘える口調そのままだった。


102続き:02/03/04 22:43
「可憐?」
予想外の反応に、魅録は言おうとしていたことを、一瞬飲み込んだ。
けれども、こんな時でも、いやこんな時だからこそ、人間の本能は正直なもので、
そんな可憐の態度にまたぐっと胸を締めつけられる。
そして、その可憐の言葉が、魅録の最後のためらいをはねのけた。
「そんなこと言うなよ」
「そうだよね…ごめん」
そう言って、可憐は魅録から離れる。
てっきり昨日みたいに、魅録を困らせてしまったのかと思っていた。
けれどその可憐の思いは、すぐに覆されることになる。
「…そんなこと言われたら俺、止まらなくなってしまうじゃねえか」
「えっ?」
驚く間もなく、今度は力強く抱きしめられる。
魅録の顔を見上げた瞬間、唇を塞がれた。突然過ぎて、目を閉じることもできなかった。
「……!」
「言っておくけど、俺はその場のノリでこんなことしたりなんかしないぜ」
そのまま反対側の席に腰掛けて、外の景色を眺める魅録。
もうすっかり暗くなっていて、満天の星空のような夜景が広がっていた。
「…ここにいるのが可憐だからなんだよ」
それだけ言うのが精一杯だった。
「うそぉ…」
103まだ続き:02/03/04 22:44
可憐は混乱した頭の中を、必死に整理しようとしていた。
あまりといえばあまりのタイミングだった。
けれどこのタイミングを作ったのは、他ならぬ可憐自身だった。
「愛している」とか「好きです」とか、そんな台詞はいろいろ言われてきたけれど、
魅録の飾らない言葉はそれよりもずっと衝撃的で、可憐の心を真っ直ぐに貫いた。
「俺は、お前が誰と恋愛していようと、可憐が幸せならそれを見ているだけで良かったんだ。
だけど…昨日あんなことになって、俺、このままじゃどうにかなってしまいそうだよ」
魅録は頭に浮かんだことからひとつひとつ話していった。
そんな自分が少し気まずくなって、キャスケットを目深にかぶりなおした。
「まあ、俺が可憐に男として見られてないのは分かってるからさ…それに第一俺じゃ、
おまえの相手には不足かもしれないだろうけど」
反対側の窓ガラスにかすかに映る、可憐の顔を見ながら続けた。
ひとつひとつの言葉が、可憐の全身に深くしみわたる。
「…でも、よかったらちょっと考えてみてくれないか?俺の可憐を想う気持ちだけは、
誰にも負けないからさ。…可憐の返事ができるまで、ずっと待ってるよ」

104続きここまで:02/03/04 22:45
ちょうどそのとき、観覧車が終点に辿りつこうとしていた。
「あっ、それから」
まだ呆然としている可憐に、魅録がひとこと付け加える。
「あいつらには、このこと内緒にしておいてくれよ」
そう言って着くなり、魅録は1人先に降りていく。
可憐はあっけにとられて、取り残されていた。
「また周ってしまうぞ。降りろよ、ほら」
「あ、ああ…うん」
それに気付いた魅録が、可憐を呼びとめてゴンドラから降ろす。
「じゃ、俺は先に帰るからな。」
言いたいことを言ってしまって気持ちがすっきりしたのか、魅録はかえって平静になっていた。
自分がしたことの大胆さにやっと気付いて、耳まで真っ赤になっていたけれども。

(言えるわけ、ないじゃない……)
デート中のカップルや観光にきた家族連れで、お台場の夜はいつものように賑わっていたが、
可憐にはその音さえも聞こえなかった。
魅録の胸の中で、あのまま、満たされていたいと、確かに思った。
びっくりし過ぎて味わう暇もなかった突然のキスの余韻が、今ごろになって甘く蘇る。
恋をすると、一日中その人のことばかり考えてしまう。
手に触れたくなって…そして、抱きしめてもらいたくなる。
それはまさに、今の可憐そのものであった。
しかし、魅録の告白があまりにも衝撃的すぎて、それに気付くこともできずにいた。

ふたりに足りなかったのは、きっかけだけだったのかもしれなかった。
可憐はもう、どうにもとまらないくらい魅録に惹かれ出していた。
それは、可憐自身が感じている以上に…。
「待ってよ、魅録!!」
気がついたときには、そう叫んで前を歩く魅録を呼びとめていた。

105名無し草:02/03/05 00:44
でかした!魅録!
106名無し草:02/03/05 00:47
あぁ、彼らにもそれぞれの春がきたのね、シミジミ
107名無し草:02/03/05 01:38
自信満々な清四郎も情熱的な魅録も、らしくって(・∀・)イイ!
並行して話が進んでるから、2人の違いがよく出てて面白いですね〜
108名無し草:02/03/05 10:31
清四郎の自信満々なセリフ、愛が感じられてイイ!
彼にはいつまでも自信満々でいてほしいような、ちょっと挫折もしてもらいたいような…。

>でかした!魅録!
時宗ちゃんのセリフかとオモタヨ。(w
ロマンチストの可憐にはぴったりのシチュエーションで素敵〜。
ああ〜可憐がうらやましい・・・なんて思わず思ってしまった。
もう一押しだ!魅録。



109名無し草:02/03/05 11:26
魅録すっご〜〜っく良かったぁぁ!
そして衝撃のキス&告白をされた可憐が「うそぉ・・・」と呟くのもイイ!!
110名無し草:02/03/05 19:05
魅×可の続きが読みた〜い!!
まだ仕事中だけどさ・・・。
すごく良かったよ〜。
とか書くと、作家さんに負担かかるかも・・・。
ごめんね。
>>98・99を書いた者ですが少し補足します。

悠理が去った後、一人残された清四郎は緊張の糸が解けたように
立ち尽くしていた。悠理を目の前にしてとった言動に自分自身
驚いていたのだ。
今まで自分は悠理のことを守るために結婚しようと思っていた。
いや、そう思い込んでいただけで、実際その根底にあるものは
悠理に対する愛情であった。
「好き」などと安易な言葉を発した自分が何だか可笑しくて
清四郎は思わず苦笑した。
「悠理にはいつもペースを乱されますね・・・」
星空を見上げた清四郎は気持ちを落ち着かせるため大きく息を吐いた。

あの時点で清四郎は自分の本心に気づいて無かったと思い付け足してみました。
魅×可もかなりイイです!あの後二人は・・・
112時代劇妄想:02/03/05 23:49
73さん>新しい話が!!うれしいです!
これからも続きを楽しみに応援しています(^^)。

本スレで話題になった
時代劇版有閑、いいですね。萌え。

私は野梨子スキーなので
やっぱ彼女中心で考えちゃいます。
公家のお姫様もいいけど、有力大名の姫でもいいなあ。
で、清四郎はそのお抱え医師の家系とか。
参勤交代で二人ともお江戸に上し、そこでメンバー達と知り合っていく。
野梨子と魅録の出会いとかは原作っぽく
街でばったりっていうのがいいなあ・・。で野梨子が相変わらずきついんですが
そんな彼女が気になる魅録。
ところが彼女は最近マブダチ(古語;;)になった清四郎の幼馴染で・・・。って感じ。

始めは清×野で考えてたんですが
妄想を進めていくと、どんどん魅×野話に発展していくんですよ〜。

あとは、有閑「戦国時代」編なんかも考えちゃいます(^^;
113時代劇妄想:02/03/05 23:51
よかったら一緒に清×野&魅×野の時代劇妄想してくれる人がいればうれすいデスる〜
114名無し草:02/03/06 00:44
たまには、恋愛なしの妄想も読みたいと思うんだけど、
ダメかい?
115名無し草:02/03/06 00:52
>114
そういうのも面白いかもね。
読んでみたいから書いて〜
116名無し草:02/03/06 01:03
ここのスレの魅録は女性陣オールマイティーだな。
他の男性陣だと書けない、書きにくいカップリングがあるのかな。
117名無し草:02/03/06 01:29
>116
誰からも好かれそうなタイプだから、書きやすいんだよね<魅録
それに、原作には魅録の恋愛ってチチぐらいしか出てこないから、
その寂しさを埋めているというのもある(ニガワラ
逆に美童の恋愛(?)は原作で沢山出てきてるから、今さら書こう
という気になれない。
単に私が天邪鬼なだけかも。
>>73の続きとして書かせていただきます…

「……どうしたんです? 最近、溜息をつく事が多いですね」
帰り道、ふいに清四郎に訊ねられてドキリとした。
「えっ…、そうですかしら…」
「最近変ですよ。妙にそわそわしたり、そうかと思うと今みたいにうわの空で溜息をついてばかりです。
何かあったんですか?」
さすが付き合いが長いだけあって、こちらの様子がおかしい事などとうにお見通しだったらしい。
一瞬戸惑ったものの、自分の胸にだけ抱えているのが苦しくなっていた事もあって、野梨子は魅録の事を
相談しようかと思ってしまった。
今まで何かあった時は真っ先に清四郎に相談していたし、それに応えて清四郎もいつも適切なアドバイスをくれた。
今度の事でも何かいいアドバイスをくれるかもしれない。
魅録の人柄だったら清四郎も認めているだろうし、裕也の時のように頭から反対する事も無いはずだ。

「あ、あの…、わたくし……」
清四郎を見上げて言いかけたが、やはり途中で口ごもってしまった。
今まで色恋に関係なく過ごしてきた6人であったから、この想いを口にしてしまえば今の絶妙な関係を
崩してしまうかもしれない。それが怖かった。
やはり言えない…。
「いえ…、なんでもありませんわ…」
うつむいてしまった野梨子に清四郎が言った。
「恋でも…してるんですか?」
119続き:02/03/06 03:29
いきなり図星を突かれ、野梨子は驚いたと同時にかあっと赤くなってしまった。
とっさに否定しようとしたが、動揺した状態ではもはや取り繕う事もできなかった。
その様子を見て清四郎は、ああ、やっぱり…と確信を持った。
どうも最近おかしいとは思っていたのだが…。

倶楽部の部室でも、教室の窓からグラウンドを眺める時も、野梨子の目はいつも一人の人間を追っていた。
はっと我に返っても、しばらくすると再びその視線は元のところに帰っていく。
その瞳の先にあるものを清四郎は知っていた。
もともと恋愛経験の乏しい野梨子であったから、自身の恋心を隠すのははっきり言って下手だった。
必死で隠しているつもりでいても、他人から見れば一目瞭然だったのだ。
自分に分かるくらいなのだから、口に出さないだけで美童と可憐も薄々気付いているはずだ。
気付いてないのは当人と、そういう事に疎い悠理だけだろう。

(よりによって野梨子の恋の相手が魅録とは…。まいりましたね…)
野梨子が恋愛に興味を持ってくれたのは喜ばしい事に違いないが、一方で自分の手元から離れていってしまうような
一抹の寂しさを清四郎は感じていた。
(刈穂裕也の時は反対も出来たんですが……)
しかし魅録が相手となればそんな事も出来ない。
少し切ない気持ちになった清四郎は、人知れず溜息をつくのだった…。

経験の少なさゆえ、きっと野梨子が恋をしたらバレバレになってしまうのではないかと思ったので…。
不器用そうな二人を導いてやってください。続きお願いします。
>118-119さん  >>73です。
野梨子に指摘する役を誰にやらせようか迷い、自分では書けなくて続きを
お願いしてしまいました。清四郎は全く考えてなかったのでビックリです。
こういう、どっちに転ぶか分からないところが、リレー小説の面白さですね♪
それでは、私めも続きをちょっとだけ。
---------------------------------------------------------------------
<魅録サイド>

最近、野梨子とよく目が合うんだよな。
なんかこう、じ〜っと見つめられてるようで気になる・・・

「なあ悠理、野梨子最近変じゃねえか?」
「ああ、ぼ〜っとしてること多いな」
「どうしたんだろ」
「そういえば今日は魅録のこと、じっと見てたぞ」
「おまえも気がついたのか。オレ、気に障るようなこと何かしたかなぁ」
「んー、この前のパーティで、野梨子の好きなモン魅録が全部食っちゃったとか」
「バカ、おまえじゃあるまいし、そんなことで野梨子が根に持つかよ」
「分っかんないぞー。食べ物の恨みは怖いっていうし」
コイツに聞いたオレが馬鹿だった。

結局、よく分からないまま家路についた。
このままじゃ気分悪いし、明日にでも本人に聞いてみるか。
よかれと思って裕也の話してきたけど、その中でマズいこと言っちまったのかもな。
野梨子は繊細だから、オレももうちょっと気をつけなくちゃ・・・
---------------------------------------------------------------------
全然分かってない魅録くん、ということで書いてみました。続きをお願いします。
(魅録と悠理の口調、原作と違うかもしれませんが、お目こぼしを〜)
121なな:02/03/06 09:49
>時代劇篇
厳密に言うと、清四郎が医者の息子って設定では、身分に
隔たりがありすぎるんじゃない? 姫に対してはあくまでも
使用人の立場でしかないもの。
じゃ、ほかに何が良いかっていうと思いつかない・・・
122名無し草:02/03/06 11:10
時代劇編は難しいよね。
現代では貧富の差はあっても、身分の差っていう壁はそんなにないが
時代劇だとどうしてもそこがね。「姫」をつくろうとすると無理が出そう。
ま、そこまで細かくこだわらなきゃ楽しめると思う。


123名無し草:02/03/06 11:12
魅録はやっぱり武士がいいなあ。
で、戦いに出て行く魅録を心配する野梨子、ってのが見たいなぁ。
124名無し草:02/03/06 12:15
時代劇編、野梨子は大店(着物問屋とか)の娘、ってのも
いいなあ。清四郎は町医者とかで。庶民的?
125名無し草:02/03/06 12:23
>121.122
そうなんだよね。
ある特定の時代とかにしちゃうと、ある程度の時代考証をしないと、
読んでて「おいおい、そりゃないだろー」となり白けちゃうような漫画やら小説って
これまでにもあった。
だから、時代物書く人って勉強が結構大変なんだろうなと思ったよ。

もちろんここでは一般の人が楽しんで参加しているのだから、
そこまで史実の忠実さは求めないけど。
ある時代に良く似た架空の時代で、架空の設定ということにでもなるのかな。
126sage:02/03/06 13:46
みんな「姫」と「若」にしちゃえば?
大名だって石高はそれぞれなんだし。
一番石高の高いのはもちろん悠理で、朝廷とも縁のある由緒正しい
公家筋の野梨子とか、石高はそれほどでもなくても大商人と親しく
付き合っていて町の事情に詳しい可憐とか。
立派な若でありながら浪人のふりして庶民の町で遊びまわる魅禄に
粋な芸者遊びにはまった美童、案外と葵のご紋を隠し持っている
清四郎とかね。
悠理には男のふりして町で遊ぶじゃじゃ馬姫であって欲しいし。
姫同士、若同士なら結構それぞれの家で付き合いもあるだろうし。
127名無し草:02/03/06 14:14
設定だけ考えてみました>時代劇お姫様編
歴史に詳しい人がいたら、きっとめちゃくちゃだと思うだろうけど・・・

悠理:将軍の娘
    幼少期より女らしいことを嫌い、男の子とばかり遊び回っていたとんでもないじゃじゃ馬娘。
    お忍びと称しては城を抜け出し、江戸の町で遊び回るのだが、そのたびに何らかの事件に
    巻き込まれてしまうトラブルメーカー。
清四郎:奥医師の息子
    悠理の遊び仲間の1人である。武術の達人でもあり、頭もきれる為、周囲からは一目おかれている。
    悠理の巻き込まれる事件を冷静な判断で解決に導く。
    理路整然とした話しぶりには悠理も対抗できず、悠理を諫められるのは清四郎しかいないと
    将軍からも信頼されており、悠理の婿でも案外いいのでは?とすら言われ始めている。
魅録:老中の息子
    悠理の許嫁なのだが、幼少期からの遊び仲間であるため、本人達に自覚はない。
    悠理のお忍び行脚にはいつも同行するマブダチ。
    清四郎の婿説が出始めた事を知り、熨斗付けてくれてやるとか言いながらも、
    結構気になりだしていたりする。
美童:珍しいもの好きの将軍御用達オランダ商人の息子
    特例で謁見が許されている。
    女性に優しく、花街の女性達にも精通しているため、意外な情報を持っていたりする。
野梨子:奥絵師の娘
    上品な美貌で旗本の息子達にも人気が高いが、本人は男嫌いであるため、
    早く嫁に行って欲しい両親には嘆かれている。
    上品さが必要な場では悠理の替え玉として駆り出されることもある。
    清四郎とは幼なじみで、両家公認の仲と思われていたが、悠理の婿説が浮上したため、
    不安に思っている。
可憐:大店の娘
    父親は旗本の三男であったが、商家に婿入りしたため商人となった。
    もてることが生き甲斐の性格のため、数々の浮き名を流しているが、
    本人は家督を相続している長男夫婦の養女となり、自慢の美貌を生かして武家に嫁ぐ
    という野望をもっている。

こんな感じかな。
自分じゃこれ以上書けません。
128皆さんすごい!:02/03/06 14:55
126さん>なかなか面白いですね!
みんな姫・若にしちゃえってのがなんだか斬新なアイデアに感じました(^^)

127さん>127さんは清×悠派?確かに悠理中心だとこの設定でも面白いんですが
悠理以外の女性二人の扱いが・・・(^^;;
129名無し草:02/03/06 15:30
時代物って難しいねぇ。でもみんなの設定面白い。
鎌倉時代とか、武家と貴族が両立してるから面白いかも・・・って私も考えてみたんだけど、
そうなってくると美童の扱いがムズカシイしなあ。
130127:02/03/06 15:58
>>128
やはりそうですよね。
他の女性の(特に野梨子)の扱いに困って、
あーゆー風にお茶を濁したのでございます(w

いっそ平安時代にしましょうか?
清四郎は天皇の息子で、臣下に下ったということで良しとしよう。
とても優れた人物で、あまたの姫君たちの憧れの的。
これじゃ光源氏みたいだわな。でも彼は色恋沙汰とは無縁そうだしな・・・
魅録は左大臣の息子でいいか。
清四郎とはライバル。頭中将だな、これじゃ。
でもそうなると美童の扱いが・・・帰化人という手もなくはないけど、
あの時代、西洋人系は無理だしなぁ。
野梨子は地方豪族の娘で女官として後宮に上がり、
その美しさに帝の寵愛を受け、苛められる。
桐壺じゃあるまいし・・・
可憐は太政大臣の娘で、後宮で一花咲かせようとやる気まんまん。
でも愛する人が出来てしまうとか?これじゃ朧月夜だな。
悠理も困るなぁ。おてんば娘としても限界があるし。近江の君みたいだわ。
第一、これじゃ有閑倶楽部じゃないね。
う〜ん。あの時代は男女同席もありえないし、だめだこりゃ。

訳わからないこと書いてごめんなさい。
131名無し草:02/03/06 16:42
必殺仕事人のようなものなら可能なのでは?
案外かっこよさげでいいんじゃないかな。
全員町人(武士であっても同心程度)になるけど。

でも中村主水的キャラがいないね。
132名無し草:02/03/06 17:07
無理に姫とか入れなくてもさ、
実は、野梨子はさる御方の落とし胤とか、
姫が野梨子にそっくりで、
命が狙われ…っていうのはありがちか?

悠理は男装の剣士だと格好いいな〜。
剣客商売の三冬殿みたいな感じで。
>118-119
きゃあ〜素敵!!!!

>「恋でも…してるんですか?」
なんて聞く清四郎、あなたの心中はいかに!?
とても素敵な展開でした。続き楽しみにしてます♪
134名無し草:02/03/06 22:43
>132
男装の剣士!!私も思ってました。
実は女ということは家族と一部の仲間うちしか知らない、
で、清四郎は参謀、魅録は名うての銃の名手。
野梨子は・・・悠理んとこのおかかえの茶人の娘とか。
秀吉と千利休みたいな関係でさ。
135時代劇:02/03/06 23:14
じゃ、美童はとりあえずオランダ政府の代表として長崎に駐在してた
人の息子。
雲海和尚は設定をいじらなくても、そのまま出演可能。
136名無し草:02/03/06 23:18
>>127さんの設定でさわりだけ思いついたのですが。。。
でも途中までで先もないし。(考えても書けないし)
どうしよう。。。
>>104の続き、書かせて頂きます。

人混みから少し外れたところで立ち止まって振り向いた魅録に、可憐は駆け寄って行く。
「…どうしたんだよ」
「あ、あのさ…あの…えっと…」
思わず呼び止めてしまったものの、何と言ったらいいのかわからない。
「……」
それっきり可憐も口をつぐんでしまって、しばらく2人はじっと黙って向き合っていた。
可憐がなんだか話しにくそうにしている様子を見て、今度は魅録の方から口を開く。
「…あのさ、無理だってんならそうはっきり言ってくれていいんだぜ。
俺も、さっきは勢い余ってあんなこと言っちゃったけど、
俺は今までの関係を続けてもらえるのなら、それだけでいいんだ、ほんとは」
「そうじゃないの、そうじゃなくって…」
「…?」
「だから…その…あたし…今日はほんとに、びっくりして…でも…」
いったい、何をどう表現して伝えればいいのか。
キャスケットの奥にかすむ、魅録の瞳をじっと見つめる。
「あたしも、魅録だから、抱きしめてもいいって言ったの…」


「えっ?」
「自分で昨日、魅録のことからかっておいて、あんなことしてバカみたいなんだけど、
…あれから魅録のことが気になって仕方なくて、ずっと頭から離れなくて、
それで、いろんなこと考えちゃって。だから…ええっと…」
だから、何なんだろう。
その先の言葉など、用意していなかった。
恋の駆け引きなんて、いくらだってやってきたはずなのに、なんの術も思い浮かばなかった。
頭でいくら考えてもどうしようもなかったから、本能に従うしかなかった。
可憐は突然思い立ったように、魅録に抱きついた。
「お、おい…?」
可憐はその感触を確かめることでやっと、自分が何を言いたかったのかに気がついた。
「…こうするたびに、私、魅録のことどんどん好きになる」
「可憐……」
それ以上、2人に言葉はいらなかった。

「ほんとうにバカよね、私」
なんだかおかしくなって、魅録の胸の中で笑ってしまった。
「…すぐそばにこんなにいい男がいたのに、気がつかなかったなんて。
出会い方を間違えたわね、あたしたち」
そうしたら魅録の温かい手が、髪をかきわけて、頬を優しく包んでくれた。
「…こんな始まり方も、あるさ」
ひとつになった想いを繋ぎ合わせるかのように、2人はともに帰路につく。
なんだか離れがたくて、可憐と一緒の駅で降りて、家まで送っていく。
そんな些細なことが、たまらなくうれしかった。
「あいつらに、いったい何て言われるかしらねぇ」
「そうだなあ…しばらく黙ってる、ってのはどうだ?
ほら、悠理と清四郎のことだって、まだ落ちついてないしさ。」
自分がからかわれるのが目に見えていて、言いにくいということもあったが、
自分たちのことが知れたら、悠理と清四郎の関係にも何か影響を与えてしまう気がした。
(…それに、もっとふたりでゆっくり会いたいしな)
「そうね…」
その一見至極もっともな魅録の意見に、可憐は頷く。
「おまえ、わかりやすいからなぁ、何だかすぐにバレそうだな」
魅録が、そう心配そうな口調で言う。
「心配しないで、大丈夫よ」
それだけ言って、魅録にキスをした。
「これは、約束のしるしね」
(……!!)
さっき自分が観覧車でしたことも忘れて、硬直する魅録。
「秘密の恋かあ…ますます、燃えるわね」
そんなことを平然と言ってのける可憐に、魅録はまた顔を赤らめた。

出会った瞬間から、パッと花咲くように始まる恋もあれば、
ゆっくりゆっくり、時間をかけてはぐくまれる恋もある。
そして…ほんのちょっとしたきっかけだけで、燃え上がる恋もある。
そういう恋もあるということを、その日ふたりは初めて知った。

140137-139:02/03/06 23:39
何だか一昔前の少女漫画チックな展開にしてしまいました・・・。
違う展開を考えていた方、すみませ〜ん。
でも、突っ走ってこそ可憐かなぁ、と思ったので。

おいしいところを取ってしまって申しわけありませんが、
続き書いてくださる方がいらっしゃいましたら、どなたかお願いします。
141名無し草:02/03/07 00:53
いいっすね〜〜〜!!
最高です。
少女漫画チック全然OK。
すごく素敵な気持ちになりました。

自分もこんなことあったらいいなぁ・・・なんて(ボソリ
142名無し草:02/03/07 01:06
再び可憐が主導権を握ったか。
魅録〜、どんどん翻弄されろ!
143名無し草:02/03/07 17:05
>>137-139
可憐と魅録って今まであまり考えたことなかったけど、
ため息が出るほどいいですね。
今後の展開もより一層楽しみです。
でも魅録萌えの私は読後に、好きな人を他の女性に取られてしまったかのような
妙な気分になりました(w
そのぐらいキャラにリアリティーを感じました。
素晴らしい!!

勢い余って「江戸編」作っちゃったんですけど、
他の方々も何か書いてらっしゃるのかな?
144名無し草:02/03/07 17:17
>>132
でも庶民にしちゃうと有閑倶楽部らしくないんじゃないかな
145名無し草 :02/03/07 19:26
良かったねぇ〜〜魅録ぅぅ!
ずっと応援してたから嬉しくて泣きそうになっちゃったよ。
可憐も惚れ惚れするほどイイオンナだった〜!
(今月号のコーラスの可憐はあぽーんしてしまいたいw)
さて倶楽部に絶対秘密の恋はどーなるのかしら?
時宗&千秋も相手が可憐だと下手に手出しできなそう。でも盗聴器は必需品?
146名無し草:02/03/07 23:23
>144
お金持ちにもほどがある!だもんね。
147名無し草:02/03/07 23:47
庶民だから金がないとは限らないと思うけど。
黄金観音の時の設定を借りると、剣菱家って大庄屋だったんだよねぇ?
兼六が悪代官で。
しかし、庄屋の娘が刀を持てるのかなぁ?
持って欲しいけど。
まぁ、書いた人勝ちってことでいいでしょ。設定は。
148時代劇:02/03/08 00:00
庶民、というか町人でも大金持ちはいます。 札差とか両替屋とか
越後屋(三越ね)のような大商人。 
大名含め、武士階級の方が台所事情が苦しかったので、彼らのプライドを
満足させるためにも、士農工商の身分差があったはず。
庄屋でも苗字帯刀を許されてるケースもあったような。(うろ覚え)
医者は侍階級じゃなかったような。

すみません、日本史板のようなカキコですね。
>>57-58の続きを書きます。

観覧車に乗りこんだ美童と野梨子は窓の外を眺めていた。
夜景に彩られたお台場が光り輝いている。
「ふふ。男の方と観覧車に乗るのは父様以来ですわ」
小さい頃、父親と一緒に乗った時のことを思い出して
野梨子は懐かしそうに微笑んだ。
「じゃあ僕は二人目だね。何だか光栄だな」
美童も口元に笑みを浮かべながら野梨子に視線を移した。
「美童はこの観覧車に女性と乗ったことはありますの?」
「何度かはね。女の子はこういう場所が好きだからさ」
野梨子の問いに美童は肩をすくめた。
「私・・・男の方と二人で出掛けて何が楽しいのかしらって
ずっと思っていましたの。でも、こういうデートなら楽しいかも
しれませんわね」
窓の外に目を向ける野梨子。その横顔が、いつにも増して美しく
感じた美童は思わず目を奪われた。
「じゃあ、さ。今度は僕と二人でどう?絶対に野梨子を楽しませる
自信はあるよ」
軽くウインクをする美童。そんな美童の誘いを受けて野梨子は静かに頷いた。
その後、ゴンドラから降りた二人は家路へと歩いていた。
「あ、清四郎達どうしたかなあ」
ふと今日の本来の目的を思い出した美童が呟く。
「悠理は手強いから清四郎も大変ですわね」
完全に清四郎への思いを整理した野梨子が楽しそうに言う。
やがて二人は野梨子の自宅前まで来た。
「今日は本当に色々とありがとう美童」
野梨子は今日1日の自分に対する美童の優しさに心の底から
感謝していた。
「僕も野梨子と観覧車に乗れて楽しかったよ」
美童が優しく微笑む。
「美童。少しかかんで下さる?」
「え?」
野梨子に言われるまま美童は少し前かがみになる。
そんな美童の頬に野梨子はそっと唇を寄せた。
「の・野梨子!?」
思わぬ野梨子の行動に美童は顔を赤くした。
「今日のお礼ですわ。又、デートに誘って下さいな」
そう言うと野梨子は頬を赤らめながら自宅へと入っていった。

美×野も気になっていたので書いてみました。
これで3カップルともキスまでは終了ということで。(w
続きお願いします。

151>150ですが:02/03/08 00:50
「かかんで下さる?」ではなくて
「かがんで下さる?」ですね。スミマセン。
152名無し草:02/03/08 01:05
野梨子、なかなか積極的でいいね。

ところで、恋愛無し妄想、書いてみたんだけど、
なかなか展開が決められない。
153名無し草:02/03/08 01:29
>152さん
どんなどんなお話!?
さわりだけでも教えてくださいな!
154名無し草:02/03/08 01:32
>149-150
3組とも同じ日にキスを済ませたんですね。
今後はどの組の進展が一番早いかしら。
155152:02/03/08 01:55
悠理のチンピラ狩りから始まって、
喧嘩したはいいけど、相手はたちの悪いやくざで、
悠理危機一髪!のところを助けてくれたのが、
魅録のやくざ関係の友達(イイヤツ)で…、
っていう話。
すべて本編の“チンピラ狩り”というセリフから妄想。

書きながら、実際のやくざ(ていうか、暴力団か)のニュース聞いてんだけど、
現実はコワイね。
156名無し草:02/03/08 03:02
一条氏の有閑倶楽部の最初の案(アクションコメディになる前)だった、
学園恋愛コメディといううのを2chバージョンでみてみたいな。
それぞれつきあっていた3組が色々あって、結局違う組み合わせになるというやつ。
魅録・悠里、清四郎・野梨子、美童・可憐という組み合わせでスタートするのでしょうが、
こちらの作家さんの味付けでどのようなお話になるのかな、と興味あります。
157名無し草:02/03/08 07:04
>>149-150
野梨子は頬ってのがまたらしくっていいですね。
あとの問題は美童の女関係!?


「おっ、今日もうまそーだな。で、検診はどうだった?」
「順調ですわ。予定日まであと一週間ですもの、いつ産まれてもおかしくありませんって」
「そーか。いよいよだな…」
「今日は悠理と検診に行きましたのよ。悠理ももう5カ月でしょう。
 それが、どうやら悠理の所は男の子らしいってわかりましたの」
「そーか!!ま、清四郎と悠理の子じゃあ男だろうしな…
 うちはやっぱり女の子かな?」
「何度見ても女の子だって言われるから多分…
 悠理の検診には、清四郎が毎回先生の横で一緒に診てますのよ。
 出産にも立ち会うというよりは取り上げるつもりらしいですわよ」
「あいつらしいなあ。親の病院だから融通がきくのかな」
「さあ。『悠理は自分の子供が産まれてくるのに研究か実験みたいに思ってるんだ』
 って怒ってましたけど。
 菊正宗病院に、今度女性専用のクリニックを作るんですって。
 和子さんが院長で…
 それで、やっぱり美童がカウンセラーとして入るかも、ですって!!」
「やっぱり本気なのかあ。
 大学入り直して勉強してるから、まさかとは思ってたけど…
 和子さんとほんとに結婚するのかなあ」
「さあ、どうでしょう… 清四郎と悠理は大反対しているみたいですわ、
 可憐が義理のお姉さんになっただけでもうんざりなのにって」
「ははは、可憐も究極の玉の輿だよな。豊作さんと結婚したんだもんなあ」
「可憐と豊作さんは大恋愛だったでしょ。可憐の玉の輿ねらいかと思ってたら、
 豊作さんのまじめなところや純情なところにコロッとなっちゃって」
「可憐が尻ひっぱたいてるって感じだけどな」
「だからまあ許せるとしても、美童は絶対浮気するし、頼りないって。
 でも、和子さんに対しては本気のように見えますわ。
 美童って、ああいうキビキビした女性に弱かったんですのね」
「和子さんは精神的Sで、美童は精神的Mってことだよ。意外と似合いかもな。
 でも、女性専門カウンセラーなんて、美童に出来るのか?すぐ手を出しそうじゃん」
「さあ、そこの所はわかりませんけど…
 失恋の女の子が拒食症になった、とかいうのが美童の甘いくどきで治るんだったら、
 世の中の為になるんじゃありません?
 和子さんも、なんだかんだ言って自信があるみたいですわよ。
 美童を飼い慣らせるっていう」
「その後、悠理と剣菱邸に行きましたの。可憐と豊作さんもいましたわ。
 なぜか時宗のお義父様もいらして。
 万作おじさま、男だって聞いて、喜んでらして…
 『時宗、孫同士を結婚させるのはどうだがや?』なんて」
「ゲッ、うちまで親戚かよ」
「でも、時宗のお義父様が怒って…『嫁になどやらん!!』なんて…
 娘を持ったことがないから、父親みたいな気持ちですわね。
 万作おじさまと大喧嘩になって。
 可憐も、『そうよぉ、清四郎の性格と悠理の頭を持った子だったらどうするの?』
 なんて言い出して、今度は悠理も怒りだすし」
「目に見えるようだなあ。豊作さんは黙ってたのか」
「いいえ、『まだどこのうちも産まれていないのに喧嘩なんてやめて下さい!!』って。
 そうしたら万作おじさまが『おまえが内孫をこさえてくれればいいだ!!』
 可憐が『そうよ、もっと頑張りましょう』なんて言うから、
 豊作さん真っ赤になってしまって。最後はみんなで大笑いでしたわ」
「まさか…野梨子の検診は清四郎が診てないよな?」
「まさか!! そんなことされたら、自決しますわ!!」
「冗談だよ、冗談!!」
「清四郎は、『魅録も立ち会いをすればいいのに』って言ってましたわ」
「前に、真澄ちゃんの手術で懲りてるからなあ…
 貧血起こしたりしたら返って迷惑だろうし…
 …どうした?野梨子?」
「…もしかして…」
「陣痛か!?」
「きっと、そうですわ…」
「えーっ大変だ!! 母屋に電話…
 もしもし、親父!?野梨子が産気づいた!!
 パトカーの先導?いらねーよ、それよりも…どうするんだっけ!?」
「…魅録、まだまだ入院は先ですわ…陣痛の感覚が短くなってから…」
「何言ってんだ、なんかあったら大変じゃん!!
 どうせ清四郎んちの病院なんだから、とっとと入院しようぜ!!」
「野梨子ちゃん、陣痛がきたって?」
「あー千秋さん、いたのか!!どーすりゃいいんだ?」
「あんたがあわててどうすんの。落ち着きなさいよ。
 野梨子ちゃん、大丈夫?」
「…はい、まだ…」
「魅録、ずっとついててあげなさいよ。
 立ち会いって言ったって別に足の間をずっと見てろってんじゃないんだから、
 野梨子ちゃんの頭の側からでいいのよ、手くらい握っててあげなさい」

「魅録、野梨子ちゃん、車の用意が出来たぞ!!
 緊急配備もして信号ノンストップにしたからな!!」
「時宗ちゃんたら…
 さて、今夜は長い夜になりそうね」


ほんとは魅録と野梨子の話を書こうとして、
頭の中には出来ているんですが、
文章にはうまく出来ないんですね…
練習として上のを書いてみたんですが、セリフだけ。
ト書きの部分がうまく書けないんです。
もうちょっと修行してから魅録と野梨子の話は書いてみます。


163名無し草:02/03/08 09:53
いや、バクショーしましたよ!!>158−162
美童と和子さんってのは、考え付きませんでした!!
考えてみれば美童って5、6歳年上でも全然オッケーですもんね。
時宗ちゃんと万作さんも、いい味だしてます。
また、書いてくださいね!!待ってますよ〜。
>>150さんの続きを書いてみました。

それから、2週間が経った。
それぞれの想いを抱えつつも、生徒会室では6人でいつものように過ごしていた。
魅録と可憐は、他の面々に気付かれずに、何度かこっそり2人で会うようになっていた。
可憐が「恋する女」になっていたことは誰の目にも明らかだったが、
誰もまさかその相手が魅録だとは思わないから、どうせ聞いたところで
のろけ話を聞かされて耳にタコができるだけだと、改めて尋ねることもしなかった。
美童は相変わらずだったが、それでも野梨子との約束をした土曜日には、
他の予定を全てキャンセルしてまで空けていた。
野梨子は、何だかその約束が楽しみで、女3人で買い物に行ったときに
その日に着るための新しい服を買っていた。
そして清四郎と悠理はと言えば…。
あの日怒り心頭だった悠理は、あれからずっと携帯の清四郎からの着信を
「拒否」のカテゴリーに入れたままだった。
怒りはおさまっても、話をするのが気まずかったからだ。
清四郎は夜、とりあえず謝ろうと思って電話をしたときにその事実を知った。
剣菱家に直接電話するなり、学校でちょっと呼び出すなり、
他に考えればいくらでも方法はあるのだが、そういう方法で悠理に拒絶されたことに
ショックを受けた清四郎は、自信を失ってしまってそれ以上何もすることができなかった。

そんな、金曜日の夜。
湘南までドライブデートの帰り道、助手席に座る可憐が、魅録に尋ねる。
「ねえ魅録、明日は空いてるの?さっき言ってたビデオ、観たいんだけど…」
「うん、大丈夫だぜ。じゃあ明日はうちに来いよ」
そこまで口にして、魅録はふと思い出すことがあった。
(あれ、明日だったかな、オフクロが帰ってくるの…)
千秋がスイスから帰ってくるのは、確か日曜だと時宗が言っていた気がした。
前からの知り合いだとはいえ、可憐と付き合うようになってから、家に呼ぶのは初めてである。
(まあ、すぐ分かるようなことはないだろうしな)
可憐の関係が分かってしまったところで、もちろん反対するような両親ではないが、
あのふたりのことだ、なにか余計なことをしでかすに違いない。
千秋と時宗にはいずれ話すにしても、明日くらいはゆっくりしたかった。

その頃、清四郎の自宅には一本の電話がきていた。
「清四郎!!剣菱さんから電話よ!ほら早く出なさい」
階下から和子の声が聞こえ、清四郎は階段を降りた。
(悠理?)
自分の着信を拒否しておいて、わざわざ自宅の電話に掛けてくるとはどういうことだろう。
不安と疑問を覚えながら、清四郎は受話器をとる。
「はい、どうしたんですか?わざわざこっちに電話するなんて」
「…お久しぶりです。菊正宗君」
悠理だと思っていたのに、電話の声は若い男の声だった。
「あ…」
他でもない今回の騒動の発端である、剣菱豊作だった。
「…すみません、てっきり悠理だと思ってしまって…どうも、しばらくぶりです」
失礼な口を利いてしまったことを謝る。
「とんでもない、謝りたいのはこっちです…なんだか、迷惑かけてしまってるみたいで…
明日、おりいって話がしたいのですが、いいですか?」
豊作がどこまでの話を聞いているのかわからなかったが、無論、何の話かは察しがついていた。
「わかりました。じゃあ、お宅じゃまずいでしょうから…どこか、別の場所で」
166名無し草:02/03/08 10:02
ここ書いてて、豊作さんの台詞が本編でほとんどないことに気付いた・・・。
言葉づかいがわからなかったよ〜。
各パターンのさわりを出して見ましたので、どこからでも続きをどうぞ(w
167お江戸は花盛り:02/03/08 13:20
江戸城の朝は、五代の叫び声で始まった。
「姫様!!姫様!!」
五代は先程から、ひどく焦った様子で城内のあちらこちらを走り回っている。
障子を開け、ふすまを開け、押入や天袋まで開けている。
「何を騒いでいるだ、五代。」
「ははぁ。上様。」
五代は廊下に跪くと将軍万作に恐る恐る申し出た。
「実は・・・その・・・また姫様が・・・」
「何!!!また悠理は城を抜け出して遊びに出掛けたか?」
「その・・・あさげの支度が出来ました頃には既に・・・」

その時、老中松竹梅時宗が明日の加賀前田氏謁見の件で、将軍万作の元へやって来た。
「上様、如何なされましたか?廊下のあちらからでもよくお声が聞こえましたぞ。」
「おお時宗。丁度良いところへ参った。魅録は今日どうしておるのだ?」
いきなり魅録の所在を聞かれ、時宗は何のことなのやら皆目見当がつかない様子だった。
「私が朝、出仕する時には既にどこかへ出掛けておりましたが・・・何か?」
時宗の答えに万作は大きなため息をついた。悠理の出奔は昨日今日始まった事じゃない。
最近万作は諦めの境地に達していた。
「すぐに姫様の捜索を行わせますゆえ・・・」
「どうせまたいつものように逃げ回るにきまってるだがや。
それに魅録が一緒なら心配することもないだ。」
万作と五代とのやりとりを見ていた時宗はようやく事態を飲み込んだ。
「もしや・・・うちの愚息がまた姫様を連れだして・・・」
万作は上目遣いに時宗をちろりと見ると、また深々とため息をついた。
「な・・・!!なんということを!!!何度も言い聞かせてはいるのですが、
私の不徳の致すところでございます。この償いは私が腹を切って!!」
激情すると抑えが利かなくなる時宗は、そう言うとやにわに刀を取った。
「待て!!!時宗!!!何もお前が腹を切ることはないだがや!!」
「そうです!!松竹梅様!!こんなところでお止めくださいまし!!」
この騒ぎを聞きつけ、大勢の人がわらわらと駆け付けて来た。
「御老中がご乱心あそばした!!誰か止めんか!!!」
「御老中お止めください!!!」
168続き:02/03/08 13:25
ようやく事態は収まり、集まった人々もそれぞれの部署に戻っていった。
しかし時宗は、まだ興奮さめやらぬ様子である。
「五代、菊正宗に気付け薬を持ってくるよう伝えてくれ。」
「かしこまりました。上様」
五代が下がると、万作は時宗をとりあえず部屋に入れた。
全くこの男は妙なところで激情するんだから・・・
相変わらず時宗は床に頭をこすりつけるように頭を下げている。
「だから時宗、もうよいだがや。面を上げい。」
「上様!この度の不始末は私が魅録を成敗するということで、
お許し頂けますでしょうかぁぁぁぁ!!」
万作はまたため息をついた。
この男は昔からそうだった。興奮すると人の話を全く聞こうとしない。
「だから時宗!!魅録の首なんて持ってこられても困るだがや。
今日のことだって、大方、悠理の方が連れ出したに決まっておる。
だからもうよいと言っておるのだ。」

その時障子に人影が写った。
「菊正宗清四郎にございます。父が腰痛で伏せっているため、
私が代わりに参上つかまつりました。」
「おお清四郎か。遠慮なく入るだがや。」
「失礼いたします。」
清四郎は部屋に入るとまた深く頭を下げた。
「ご依頼頂きましたお薬、早速お持ちいたしました。」
「すぐに時宗に飲ませてくれ。まったく興奮ばかりして困る。」
「わ・・・私が飲むのですか?」
「当たり前だがや!!腹は切ろうとするわ、魅録を打ち首にしようと考えるわ、
まったくもう・・・菊正宗の薬は良く効くだ。これでも飲んで落ち着け!」
「な・・・なんと勿体ないお志!!!時宗涙が出る思いでございます!!!」
時宗は袖に顔を埋めむせび泣いている。
万作と清四郎は顔を見合わせて小さくため息をついた。
169さらに続き:02/03/08 13:37
「もしかしてまた姫様が抜け出したのですか?」
時宗が薬湯を飲んでいる間、清四郎は万作に尋ねた。
万作は心底疲れ果てたような表情をした。
「また魅録と町で遊んでいるらしいだ。」
そう言って万作は困ったように頭をぼりぼり掻いた。
「しかし魅録が一緒なら少しは安心できるのではございませんか?」
「んだ。だから魅録と出歩いていることに関してはもう何も言わないつもりだがや。
でもアレで嫁にいけるのかと心配で心配で・・・」
その時、薬を飲み終わった時宗が言葉を挟んだ。
「上様。姫様はうち愚息の許嫁。今後我が家にお迎えいたしましても、私の目の黒い内は
何の御不自由をお掛けするつもりもございません。ご安心くださいましぃぃぃぃ!!」
また時宗は興奮し始めた。何か話の論点がずれている。
万作は清四郎は再び顔を見合わせた。
「時宗は普通の量じゃきかないだ。今度はもっと沢山持ってくるだ。」
「上様の分量では足りなかったようですね・・・」


もう少しあるのですが、長文になるのでとりあえずこのあたりで。
時代考証や言葉遣い等はすごくいい加減です。
素人なんで許してくだせえ。
雰囲気だけ味わってください。
170名無し草:02/03/08 17:15
>158−162さん
いいですねぇ、魅×野。
赤ちゃんは、魅録似の男前な女の子キボン。
続きもぜひ!楽しみにしてますよ〜!
171170:02/03/08 17:16
あげちゃいました…すみません・・・
172名無し草 :02/03/08 18:13
>158−162
はじめ、誰と誰の会話かわからんかった・・・・
誰だろう誰だろうと思って読んでたら
ちゃんと「松竹梅家」と書いてあった・・恥・・・w
173158-162:02/03/08 18:27
ちゃんと魅録×野梨子と書いておけばよかったースミマセン。
さらに誤字、「陣痛の感覚」→「陣痛の間隔」です。
他にもあるかも…
まだまだ修行が足りません、みなさんお上手ですねー…

174名無し草:02/03/08 18:29
わっ、一度に新作がふたつも!
剣菱家の事情2も、ドンドン展開していってるし
なんか今日は得した気分♪
175お江戸は花盛り:02/03/08 18:46
>>169の続きです

所変わって江戸市中。
「おばちゃんその団子5つね。」
「はい!まいどあり」
さっきから食べ続けている悠理を半ばあきれ顔で魅録は見ていた。
「お前さっきからずっと食ってるよな。」
「だって朝も食べずに抜け出したんだもん。」
「普段どれ位の朝飯食ってんだよ?」
「う〜んお櫃1杯ぐらいかな?あれって何合入るんだろ?」
それを聞いて魅録は先が思いやられた。。
こいつと一緒になったら、毎日どのぐらいの飯を炊かなければいけないのだろうか?
飯代だけで火の車なんて洒落にならんぞ・・・
「何考え込んでんだよ?」
悠理は口の中に目一杯団子を入れたまま、もごもごと話しかけてきた。
これが本当に将軍の娘か?
魅録は自分の未来の花嫁がこんな女だとは思いたくなかったが、
これは紛れもない事実なのである。
「一緒になった後の事。」
幾分不機嫌そうに魅録は答えたが、そんなことは全く意に介さず、
悠理は最後の団子の串を口の中から引き抜くと、
「この団子うまいなぁ。また来た時買おっと♪」
などと暢気なことを言っている。
「人にものを聞いといて、反応なしかよ?」
魅録はますます不機嫌になった。
「だってあたい嫁になんかいかないもん。」
「あのなぁ・・・俺とお前の縁組みは、先の将軍様が決めたことなんだぞ。」
「じいちゃんの言う事なんて知らないよ。魅録だってこんなのいやだろ?」
確かにこいつとは子供の時分から木に登ったり、川で泳いだりと、
まるで男友達のように接してきた。
今更夫婦になれと言われても、果たしてすんなりとそういう気になるのか?
魅録自身確信が持てないでいた。
だいたいこいつを女だと思ったことなどない。
考えるとできないからと、なるべく考えないようにしていたのだが、
やはりどう考えてもできないと今更ながら思えてきた。
176続き:02/03/08 18:48
この後芝居を見たり、町人のけんかに加勢したりで
辺りは既に薄暗くなり始めていた。
2人は深川の畔まで足をのばしていた。
川の畔には満開の桜が咲き誇り、祭りでもあるのだろうか、
着飾った人々が足早に歩いていた。
「そろそろ戻らないとまずいんじゃないか?」
魅録は一向に帰ろうとしない悠理に、心配になって声を掛けた。
「別にいーよ。なんかお祭りやってるみたいだな。行こうよ魅録!」
悠理は魅録の袖を引っ張って走り出した。
「おい!悠理・・・しゃーねーなぁ。」
177さらに続き:02/03/08 18:50
さて、またまた江戸城。
「まだ悠理が帰らないと??」
「はあ。いかにも。魅録様もまだ御帰宅されていないご様子で・・・」
五代は冷や汗を掻きながら万作に報告した。

その時、どすどすと足音を響かせながら廊下を走ってくるものがあった。
「上様、なにやら足音が・・・」
「音の主はわかっておる。五代、菊正宗にまた薬を持ってくるよう言ってくれ。」
万作はウンザリした顔をした。どうせまたあの興奮男だろう。
「松竹梅時宗。ただ今参上つかまつりました。」
「入れ・・・。」
「ははぁ。失礼します。」
「わしはお前を呼んでないぞ。」
「うちの愚息がまだ姫様をお城にお連れしていないと伺いまして、
取り急ぎ参上いたした次第でございます!!!」
「だからもうよい。」
「いえいえ!!この度の不始末どう申し開きをしたらよいものか!!!」
時宗は頭を床にこすりつけながらものすごい勢いでまくし立てている。
まだ清四郎はやってこない。この興奮男をなんとかしてくれ!!
「悠理なら遊び惚けているだけだろ。もう下がってよいだ。時宗。」
「姫様に万が一何かあったあかつきは時宗、お家取り潰しも覚悟しております!!」
「なんかあったときはあった時でそれから考える。だからもうよいだ。」
もうこの男とは1分1秒でも一緒にいたくないという心境である。
「あるいはうちの馬鹿息子が姫様の純潔を汚すようなことでもあったらと思うとぉぉぉ!!!」
「悠理は魅録の許嫁だ。そんなことがあっても全然かまわないだ。
いっそそれで女らしくなってくれるのならありがたいことだがや。
どうでもいいからはよ清四郎来てくれ!!!」
178名無し草:02/03/08 18:50
>>167-169
わー時代劇編だ!おもしろいー。
時代考証とかは分かんないですけど雰囲気でてると思いますよ〜。
作品が同時進行でいっぱい読めて嬉しいです。
作家のみなさん方、すごすぎ♪
179もう少しだけ続き:02/03/08 18:52
万作が叫んだその時、ようやく清四郎がやって来た。
「遅くなりまして大変申し訳ありません。いつもと薬の調合が違いますので少々手間取りました。」
「遅すぎるだがや!!!早くこいつに薬を飲ましてくれぇ。」
万作は半分泣き顔になっていた。
清四郎はことの経緯を推測すると笑いがこみ上げてくるのだが、ぐっと堪えて、
しずしずと時宗に薬湯を差し出した。
「これでお心が静まるかと存じます。お試しくださいませ。」
「上様、また私が飲むのでございますか・・・?な・・・なんと・・・!
度々のご厚情かたじけない!!!時宗涙が出る思いでございます!!!」
また時宗は泣き出した。
「どうでもいいからはよ飲め!!!」


もう少しあるのですが、とりあえずここまでにしておきます。
駄作でほんとにスマソ
180ななし:02/03/08 21:03
時代劇篇って、プロ○スのCM思い出すなあ。
181お江戸は花盛り:02/03/08 22:37
>>179の続きです。
ちびちびUPしようと思ってましたが、面倒くさいので全部だしちゃいます。
ちょっと独占状態になりますが、お許しくださいませ。

その時、万作の北の方、百合子が部屋へとやってきた。
「何をお騒ぎあそばしているのですか?」
「北の方様夜分遅く失礼いたしております。」
時宗は全身から冷や汗が出た。まさか百合子が登場するとは夢にも思っていなかった。
「先程から伺っていたところ、悠理が魅録殿と夜遊びをしているとか・・・」
「はあ!いかにも・・・」
「それでどうなさるおつもり?」
百合子の気迫の表情に、時宗はたじたじとなった。
その様子を見ていた清四郎は笑いを堪えるのに必死である。
北の方様に敵う方なんぞ誰もいるまい。
時宗はしばらく黙っていたが、意を決したように顔を上げると、刀を自分の目の前に置いた。
「私の命で償いをさせて頂きます!」
時宗のあまりの暴走ぶりに百合子を除く一同は慌てた。
「だからなんで時宗が腹を切るだがや!!!」
「松竹梅様!お考え直しくださいまし!」
「魅録には僕からも言いますから!!!」
しかし時宗はきっぱりと言い放った。
「私の息子の愚行は私の責任。わたくしめの命で償えるのなら、この命惜しくもありませぬ!」
その時百合子の手が時宗の横っ面を張った。
「何を仰っているのです?松竹梅様。悠理に何かがあったらと考えるのなら、
悠理を探す算段をしたらいかがですか!!!」
いきなり百合子にひっぱたかれた時宗は、しばらく唖然としていたが、
もの凄い勢いで立ち上がり、
「こうしちゃいられない!!!」と部屋を駆け出していった。
万作も五代も清四郎も唖然としていた。
薬より効くのは百合子の一言なのかも知れない。
182続き:02/03/08 22:38
所変わって深川の祭りの会場。
先程から可憐は落としてしまった新しい髪飾りを探していた。
「まったく!この間買ったばかりだというのにぃ!」
祭り会場は夜桜見物の行楽客でごった返していた。
こんな所で探しても見つかるわけあるまい。
でも素敵な人が「お嬢さん何かお探しですか?」なんて声を掛けてきたりして・・・
きゃー私ったら!!
可憐が楽しい妄想をふくらませていた所、
「もしかしてこれをお探しですか?」と声を掛けてくる者があった。
あらやだ。妄想が現実になっちゃったじゃないと、可憐が振り返ると
金髪の美しい顔をした男性が目の前に立っていた。
手には先程から可憐が探していた髪飾りが握られている。
可憐はその青年の青い瞳に釘付けになった。
183続き:02/03/08 22:39
「わ・・・私のです・・・どうもありがとうございます。」
生まれてこの方十ウン年。こんな美しい金髪の人物を見たのは初めてだった。
「父の使いで長崎からはるばるやって来ました。お祭りをやっているようなので
寄ってみたら、これを見つけて。」
金髪男性は流暢な日本語で話し掛けてきた。
「日本語がお上手なんですね。」
「父がオランダの商人で、僕は日本とオランダを行ったり来たりなんです。
明後日、将軍様にお約束の品を献上することになっているので江戸に来たばかりなんです。」
なんてことでしょう!オランダの商人で将軍様に謁見するなんて!!
もしかしたら私、とんでもない出会いをしてしまったのかも!
可憐はうきうきし始めた。
「宜しかったらご案内しましょうか?うちは日本橋で呉服問屋を営んでおりますの。」
「ありがとう。江戸は不案内なもので。あと、いい宿屋はご存じですか?
まだ宿が決まっていないのです。」
可憐の目はキラリと光った。こんなおいしいチャンスを逃してはいけない。
「家でよければいかがですか?お客様をお泊めできるような立派なお部屋もございますし。」
「御迷惑じゃありませんか?」
「いえ全然!!」(逃してたまるか!)
可憐は満面の笑みで金髪青年を見上げた。さすが西洋人だけあってとても背が高い。
今まで遊んでいた商人の息子達なんかとは雲泥の差である。
「お名前伺ってもよろしいかしら?私黄桜可憐と申しますの。」
「僕は美堂グランマニエ。実は祖母は日本人なのです。」
「まぁ美堂だなんて素敵なお名前!さすがですわ。西洋の方は。
では家へ参りましょうか。」
184続き:02/03/08 22:39
こうして可憐は美堂と連れだって深川の畔を歩き始めた。
すると1人の男が可憐にぶつかってきた。
「いたぁ・・・何?あの男。」
「大丈夫ですか?お怪我は?」
美堂は可憐の手を優しくとった。さすが西洋人は女性の扱い方が違う。
「あ・・・大丈夫ですわ。ちょっとびっくりしちゃいましたわ。ほほほ」
と、可憐がふと懐に手を当てたところ財布がない!
「あーっ!!!今のスリよ!!!!誰か捕まえて!!」
可憐は声高に叫び、先程の男を追いかけたが、男はどんどん逃げて行く。
その時、可憐の横をもの凄い勢いで走り抜けていく男女がいた。
2人は素晴らしい足の速さで男に追いつくと、まず女の方が男に跳び蹴りを食らわし、
そして男の方がすかさず倒れた男を蹴り上げた。
ようやく可憐達が追いつくと、先程のスリは完全に伸びていた。
「これか?あんたの財布」
男の方がスリの懐から財布を抜き出し、可憐に投げてよこした。
「ありがとうございますお武家様。お陰で助かりました。」
この男もかなりのいい男ね・・・でも残念なことに女連れじゃない。
けれどもあれが女の振る舞いなのかしら?
可憐が先程の跳び蹴りを思い出しながらそんなことを思っていたところ、
美堂が物珍しそうに二人に話しかけた。
「江戸の女性はすいぶんと身が軽いのですね。さっきのはびっくりしました。」
「ははは・・・いや・・・こいつはこれが一種の趣味で。
普通の女性はあんなことしませんよ。異人さん。」
「魅録!!なんであたいが普通じゃないんだよ!」
「あれのどこが普通だよ!!悠理!!」
この二人はいったいどのような関係なのだろう?
可憐も美堂も理解できずに顔を見合わせた。
185続き:02/03/08 22:40
その時、スリ騒ぎを聞きつけた岡っ引きと同心がやってきた。
何故か町奉行も一緒である。
「のされたスリってのはこの男かい?お武家様」
岡っ引きは物怖じしない口調で魅録に話しかけてきた。
「ああこいつだ。番屋で絞ってくれ」
奉行はしばらく魅録の顔を凝視していたが、思い出したようにはっとなった。
「あのもしや・・・」
暗いから大丈夫かと思っていたが、魅録は自分の面が割れたことを悟り、慌てた。
「悠理行くぞ!」
「どうしたんだよ魅録。」
「だからまずいんだって。」
問題は一緒にいる悠理なのだ。
将軍の娘が、のこのこ江戸市中を歩き回っているなんてことが知られたら
とんでもないことになる。
魅録は悠理の手を取り脱兎の如く走り出した。
「お待ち下さい!!」
後ろで奉行が叫ぶ声が聞こえるが、いちいち説明している暇はない。

しばらく走って魅録はようやく悠理の手を離した。
「なんなんだよ!いきなり逃げだすなんて!」
悠理はおかんむりであった。
「お前自分の立場が分かってないな。あそこで奉行に気付かれてみろ。
将軍家の醜態を晒すことになるんだぜ。」
「奉行は魅録の顔を知ってるみたいだったけど、あたいの顔もわかるのかな?」
「ああ。お前はある意味有名だからな。さ、城に帰るぞ。」
「城に帰るって・・・やだからな!絶対に今日は帰らないぞ!!」
「何言ってるんだよ。俺は責任なんかとれないぞ。」
「嫌だ!!!帰りたくない!!!」
悠理は駄々っ子のように足をばたつかせた。
「なんでそんなに帰りたがらないんだよ。」
「だって・・・」
悠理が言いかけたところ、遠くの方に数人の人影が見えた。
186続き:02/03/08 22:40
「あいつらなんなんだ?」
魅録は目を凝らしてこちらに向かって走ってくる、数人の男達を見つめた。
なんと松竹梅家の家臣ではないか。
多分自分たちを捜し回っているのだろう。
「誰かわかるのか?」
表情を動かさない魅録に悠理は不安げに訪ねた。
「ああ・・・お迎えが来たようだぞ、姫様。家のやつらだ。」
「なんだって!!冗談じゃないぜ!行くぞ魅録!」
悠理は走り出そうとしたが、魅録は立ち止まったままである。
「もういい加減に帰ろうぜ!」
「じゃあ魅録は1人で帰ればいいじゃないか!あたいは嫌だからな!」
そう言うと悠理は走り出した。
「おい!待てよ悠理!!」
魅録が悠理を追って走り出したところ、家臣達も二人に気付き、大声を上げながら
追いかけてきた。
「姫様お待ち下さい!!上様がたいそう心配しておいでです!!お城にお戻り下さい!!
若様もお待ち下さい!!お父上もご立腹されています!!」
止まってやりたいのはやまやまだが、悠理がどんどん走っていくため、
結果的に魅録も家臣達から逃げるような格好になってしまった。
すまない皆の衆と思いながら、家臣達との距離はどんどん離れていった。

だいぶ走った所でようやく悠理は足を止めた。
ふたたび川の畔に出ていた。
岸辺には数艘の屋形船が係留してある。
「魅録、あれに乗れば見つからないよな?」
悠理は屋形船を指さすとそう言った。
しかし魅録はその船の用途を知っていたため、一瞬躊躇っていた。
「お前、あの船がなんだか知らないのか?」
その時、遠くで自分たちの名前を呼ぶ声が聞こえた。
追っ手はまだ他にもいるらしい。
「ほら!早くしないと見付かるって!おっちゃん船だしてよ。」
結局その船に乗ることになってしまった。
187続き:02/03/08 22:41
船室にはいると悠理はそこに敷かれていた布団を見つめて暫く黙っていた。
「なんでこの船は布団が敷いてあるんだ?」
「だからー、これはそーゆー船なの!」
「ふーん。噂には聞いたことあるけど、これがそうなのかぁ。」
悠理は物珍しそうに船の内部を見回し、そしてにやにやしながら
魅録の顔を覗き込んだ。
「魅録は今までにも乗ったことあるわけ?」
悠理の言葉に魅録は面食らった。
「なんでそんな話になるんだよ!!お前はほんと物怖じしない奴だな。
俺の方が恥ずかしいぞ、こんなのに乗せられて。」
魅録は不機嫌そうにぷいと横を向いた。
するといきなり悠理が魅録の首に腕を回してきた。
「別にいいじゃないか。どうせそのうち夫婦になるんだし。」
悠理の突然の行動に魅録はひどく動揺した。
普段そういうことをする筈のない悠理がしたその行為は、魅録の顔をみるみる赤くさせた。
「よせよ悪い冗談は。」
魅録は悠理から目をそらして、首に回された悠理の手を解いた。
「冗談でやっただけなのに、なんでお前赤くなってんだよ。」
相変わらず悠理はにやにやしている。
「どのみちいつかはそうなるんだろ。こんなんで恥ずかしがってどうする?」
悠理は半ばからかうような口調で魅録に言った。
188続き:02/03/08 22:41
そう言われて魅録ははたと考えた。
女と思ったことのないこいつとそんなことができるのであろうか?
悠長に何合飯を炊くとか考えている場合ではない。
このような現実的な問題があったのだ。
思わず魅録は悠理の足の先から頭の先まで舐めるように凝視した。
さっきの突然の行動には思わず動揺してしまったが、どう見ても、
何度見直してみても悠理は女に見えない。
魅録は頭を抱えた。
すると悠理はからから笑いながら魅録に驚くべき事を語った。
「そんなに悩まなくても大丈夫だって。もしかしたら許嫁の件もなくなるかもしれないし。」
「どういうことだ?」
「つまり他の候補者が出てきたらしいよ。」
魅録は突然、前途多難だった自分の未来に明るい希望の光りが降り注ぐのを感じた。
「ホントかよ!!誰なんだそいつ?」
浮き浮きしながら悠理の方を見ると、さっきまでの笑顔が消えた悠理の顔があった。
まずい飯でも食わされた時のような憮然とした表情をしている。
「・・・清四郎だってさ・・・」
189続き:02/03/08 22:42
その名前には魅録も驚いた。
清四郎は学問所の同窓であり、魅録が唯一ライバルと思える男であった。
頭も切れ、武芸にも優れている非の打ちどころのない完璧な男なのだ。
おまけに悠理とは自分と同じく、幼い頃からの遊び仲間であり、
悠理のおてんば振りに他の男どもが振り回される中、清四郎だけは悠理を上手く操作していた。
ある意味悠理の縁談相手としては申し分ない男かもしれない。
もし清四郎さえその気になるのなら、熨斗付けてくれてやってもいい。
魅録はそう思った。
しかし悠理は心底嫌そうな顔をしている。
「そんなにあいつが嫌なのか?」
「嫌に決まってるだろ!!あいつといるといつも馬鹿にされるんだ!ちくしょう!!」
悠理は昔からの色々なことを思い出したらしく、悔しそうに船底をどすどす叩いた。
「いつからそんな話になったんだよ?」
「ちょっと前かな。だから今度城を抜け出したら、しばらく帰らないつもりだったんだ!
あんな奴と一緒になるぐらいなら、死んだ方がマシだ〜〜!!」
そう言うと悠理はびーびー泣き出した。
まぁ悠理の気持ちもわからないではない。
確かに清四郎はちょっと相手のカンに触るような言い方をするときがある。
悠理のような自由奔放なヤツは最も嫌う部類の男だろう。
魅録は悠理の肩に手を回し、ぽんぽんと叩いた。
「ま、まだ決まったわけではないんだからさ。」
そう言ってはっとなった。
清四郎との縁組みが流れると、自分と一緒になることが確定である。
どうしたらいいんだ?
「あいつ色々うるさいんだ。もっと女らしくしろとかさ・・・」
悠理はしゃくり上げながらぶつぶつと文句を言っている。
「魅録はあたいに女らしくしろって言ったことないよな。」
そう悠理に言われて、魅録も初めて自覚した。
確かにそうなのである。女らしくないなと思うのは日常茶飯事なのだが、
女らしくして欲しいと思ったことは一度もない。
こいつはこのままがいい。ずっとそう思っていた。
190ここまで:02/03/08 22:47
「悠理あのさ・・・」
魅録が話しかけようとしたところ、悠理はいつの間にか魅録の肩に頭をもたれかけたまま
眠っていた。
「寝ちまったのかよ・・・」
魅録はしばらくぼんやりと悠理の寝顔を眺めていた。
もしかしたら清四郎の元へ行ってしまうのかもしれない。
人妻ともなれば今のように気軽に会ったりすることもままならないだろう。
子供の頃からの許嫁で、そのことに対しては全く自覚もなかったし、
こんなのが俺の嫁さんになるのかよと、うんざりすることもしばしばあった。
しかしこいつが自分の前からいなくなるなんてことは、まるで考えたことがなかった。
昔から近くにいるのが当たり前で、これからもずっといつまでも
こうやって一緒にいると思っていた。

−−−人にやるのが惜しい−−−
俺は今、何を思った?
自分の頭の中が妙にもやもやしていることに魅録は気付いてしまった。
「なんだよ・・・俺は・・・」
魅録は眠りこけている悠理を布団に寝かせ、自分は畳の部分に寝ころぶと、
今一瞬考えたことを忘れようと目を閉じた。


本当に長々と申し訳ありませんでした。
ここまでで私の妄想は途切れました。
この先はありません。
野梨子は前田氏謁見で悠理の替え玉として登場させようと考えてましたが、
自分では書けそうにありません。
今後の展開も全く考えておりません。
誰か続きを書きたいと仰る方がいらっしゃいましたら、書いてくださいまし。
魅録とくっつけるのも清四郎とくっつけるのもご自由で結構です。
美童と共にオランダに渡ってしまうというのでもなんでもいいです。
本当にスレ汚しで申し訳ありませんでした。
191名無し草:02/03/09 00:57
清四郎、ひどい言われようだなぁ。
悠理から見た清四郎ってそういう位置づけなんだろうけど、なんだか気の毒だわ。
どなたか女性の方から積極的に言い寄って清四郎が翻弄されるという
パターン(大筋の中での小ネタ的挿入でもよいので)もよろしくキボーン。
>>191

清四郎ファンの方から見れば清四郎はひどい言われようですよね。
ごめんなさい(汗

最初はそのぐらい嫌っていたのに、次第に惹かれていくという考えで
書いていたんだけど、それじゃ『剣菱家の事情』とかぶるので
困ったなって感じだったので、魅録君に悠理姫を好きになって貰いましょうと・・・。
清四郎君は一旦は悠理との縁談に乗り気になるけど、
結局魅録君に取られてしまい、失恋して悲しんでいるときに、幼なじみの野梨子が・・・
もしくは可憐様が・・・・ありがちなパターンですが、こんな感じに思ってました。
恋愛よりも本当は事件ネタに重点を置こうと思ってたけど、難しいですね。
で、ギブアップでした。

清四郎ファンの方々、ほんとうに申し訳ない!

しばらく逝ってきます。。。。。
193名無し草:02/03/09 02:37
細かいこと言ってスマソ。
北の方 → 御台所   ○○様 → ○○殿
に変えた方が、江戸時代らしくなっていいと思うよ。
 
悠理が暴れん坊の姫君というのは、らしくっていいね。
魅録と一緒に江戸の町を駆け巡る様子が目に見えるようだ。
2人で難事件を解決したりしてそう。
194名無し草:02/03/09 02:49
時代劇編、ブラボー!良い!!!
清四郎は別にあんな感じでいいと思う。
私は清四郎萌えだけど、そんなに気にならなかったよ。
悠理にあまあまな清四郎って気持ちい悪いし。
 
作家さ〜ん、戻ってきて〜続き楽しみです〜
195名無し草:02/03/09 08:09
(ぼそっ)そろそろHな話も読みたい・・・
196名無し草:02/03/09 11:50
>195
時代劇編別バージョンで
その日可憐の家に泊まった美童は・・・ってのはどう?
197 :02/03/09 14:29
時代劇篇、面白いいいいいい!
細かいことばづかいや風俗の考証は、そりゃもちろん合ってる方が
物語に没頭できますけど、気にしないでください。
だって、「時代考証はばっちりだけどUPが遅い/つまらない」話と
「時代考証に時々穴があるけどさくさくUP/面白い」話じゃ
どっちがいいかは一目瞭然!
193さんみたいな詳しい人がアドバイスもくれるし。

てなことで逝っちゃだめ!帰ってきて〜〜〜!
198名無し草:02/03/09 21:21
今日の「家政婦は見た!」は舞台が茶道の家元の家。
なんだか白鹿家を思い出してしまいます(^^;
お茶の家元ってすごいんですね〜。
ただのお金持ちとは全然違う。
199魅×野 芽生え編 1:02/03/09 23:47
時代劇編で盛り上がってるのにすいません。
158-162です。また間違い発見…
>「さあ。『悠理は自分の子供が産まれてくるのに研究か実験みたいに思ってるんだ』
の所、
>「さあ。悠理は『自分の子供が産まれてくるのに研究か実験みたいに思ってるんだ』
という具合に、かぎかっこの位置を間違えました…
あの話はあれでおしまい。
さて、今度は魅録×野梨子のつきあい前のもやもや編、を考えてみました〜


ある日の放課後。
生徒会室にいつものように魅録が顔を出した。
「あれっ、今日は野梨子しかいないのか?」
野梨子は読みかけの本を閉じて答えた。
「清四郎と悠理は週末に和尚の所で強化合宿ですって。
 お代のかわりに今週は毎日お堂の掃除に行くそうですわ。
 美童と可憐はそれぞれデートですって」
「ふーん… 野梨子は何してたんだ?」
「魅録を待ってたんですわ。ちょっとお願いがありますの」
にっこり笑って野梨子は立ち上がった。
200魅×野 芽生え編 2:02/03/09 23:49
「えーっ、裕也が出来ちゃった結婚!?」
2人は魅録の部屋にきていた。
「ええ、昨日電話をもらいましたわ」
野梨子は意外と冷静な顔でお茶を飲んでいる。
「…えっと…野梨子は裕也と連絡をしょっちゅうとってたのか?」
「いいえ、全くとっていませんでしたわ。
 でも、年賀状は出しましたの。
 そうしたら、返事のかわりかしら、電話がきて…」
魅録は野梨子の横顔を盗み見た。
まだ裕也のことを想っているのか?
わからないまま野梨子の話を聞いていた。
「2歳年上の方なんですって。仕事場が一緒の方で…」
「俺は何も聞いてないぜ」
「ええ、私が魅録たちには伝えますって言ったので…
 ここからが、お願いなんですの」
「な、なんだよ」
「私、嘘をついてしまいましたの…」
201魅×野 芽生え編 3:02/03/09 23:51
「裕也さん、結婚する前にって彼女と2人で過去のことをいろいろ話したんですって。
 私とのことも、別に大したことじゃないですけど、話したら、
 それまで元気だった彼女のつわりがひどくなってしまったって…
 つわりって精神的なものがあるそうですわ」
「そんなことを裕也はなんで野梨子に話すんだよ」
「…その話の前に、裕也さんが私に結婚の報告をする時、あまりにも気まずそうに話すから、
 『そんなに気にしなくていいですわ、私今魅録とおつきあいしてますのよ』
 って言ってしまいましたの…」
「はあ!?」
魅録は驚いて飲んでいたバーボンのグラスを倒してしまった。
「なんで!? 清四郎じゃなくて、俺!?」
テーブルを拭きながら、野梨子は真っ赤になって困っていた。
「なんで清四郎が出てきますの?
 裕也さんは清四郎のことをよく知らないし…
 魅録とつきあっているって言ったら、すごく裕也さん喜んで…
 気が楽になったみたいで、彼女とのこともいろいろ話してくれましたの」
「はあぁ…」
さらに小さくなって野梨子は
「それで、ここからがお願いなんですの…」
202魅×野 芽生え編 4:02/03/09 23:56
「よし、じゃあ恋人同士ってことで裕也に会えばいいんだな?」
ウィンクをしながら魅録は野梨子に言った。
「ごめんなさいね…裕也さんが盛り上がってしまって、
 2人で絶対遊びにこい、結婚式はしないからお祝い持ってこいって言うんですもの…」

…その週末、魅録と野梨子は金沢にきていた。
「あのアパートかな? 裕也んちって」
「きっとそうですわ。なんだかドキドキしますわね」

「久しぶり!! 2人とも、元気そうだな!!」
「おう、おまえなんだか太ったんじゃねーのか? 幸せ太りか!!」
裕也は満面の笑顔で2人を迎えた。
「俺の母親の具合が悪くて、彼女はそっちに行ってるんだけど、ま、あがれよ」
「え… 大丈夫ですの?」
「ああ、大丈夫。前、電話でへんなこと言っちゃってごめんな。
 へんな誤解も今はぜんぜんないよ。つわりも治ったし。
 今月末のあいつの誕生日に入籍するんだ」
魅録は野梨子のことが心配だった。
裕也のことを本当にふっきっているのかどうか、はっきりしないままここにきた。
魅録はつい必要以上にはしゃいで場を盛り上げていた。
ビールをいつもより早いピッチで、しかも結構な量を呑んでいる。
野梨子には魅録の気遣いがわかっていた。
3人は夕方まで話がはずんでいた。
203名無し草:02/03/09 23:58
199〜201様!>すごい!面白いです!!
文章が読みやすくてすらすらっと読めちゃいました!!
なんだかプロの作家さんみたい(^0^!)
204魅×野 芽生え編 5:02/03/10 00:01
部屋の電話がなった。「おっわりぃ… もしもし? あ、どうした?」
裕也の彼女からの電話で、母親の調子が少し悪そうなので
病院に連れて行って欲しいという電話だった。
「早く行ってさしあげて!!」
「いや、でも、せっかくきてくれたのに… たいしたことねえよ、
 それよりもうちに泊まってもらおうかと思ってんだけど…」
「大丈夫だよ、そんなの!! なんとかなるから。
 それよりもお母さんのとこに早く行ってやれよ。俺たちもそろそろ行くから…」
「でもおまえ、結構呑んでるじゃねーか…」
「私がいるから大丈夫ですわ」
「そうか…そうだな!!」
野梨子がその場を簡単に片づけて、台所に立ったとき、小声で裕也は魅録に言った。
「本当にお前があいつとつきあっていてよかった…
 でも、俺、そんな気がしてたんだ。すごくなじんでるって感じだし。
 お前、ほんとは昔からあいつのことが好きだったんじゃねーのか?」
「ば、馬鹿、そんなんじゃねーよ!!」
「いや… こういうことを言うと、お前は怒るかもしれないけど。
 あの事件の後、あいつが俺と会ってる時にお前がきてくれたじゃん。
 お前はあいつのこといつも気にかけてんだなって思って…
 今までもそうだったのかなってちょっとあの時妬けたんだ」
その時、野梨子が手をふきながらやってきた。
「さ、終わりましたわ」
205魅×野 芽生え編 6:02/03/10 00:03
「魅録、結構呑んでいるから車は無理ですわ。今日はどこかに泊まりましょう」
いつも6人で雑魚寝をするし、今までも魅録と可憐、美童と悠理が
同じ部屋に泊まった所でなんとも思わない仲だ。
ただ、今日は2人だけで金沢にきて、2人だけで泊まる、
そのことを誰も知らないというところがいつもと違う…
魅録はちょっとどきどきしたが、
「ま、そうだな。部屋をふたつとればいいし…」
誰がいるわけでもないのに言い訳がましく言った。

何件かホテルや旅館をまわったが、どこもいっぱいだった。
「弱ったな… こう寒くちゃ車の中ってのもなあ」
「あら、あそこに『空室あり』って光ってますわ」
そこはもちろん普通のホテルではなかった。派手にネオンが光っている。
「の、野梨子、あのホテルはな…」
あせって魅録が野梨子を振り返るが、野梨子は涼しい顔で言った。
「私にだってどんな所かわかりますわ。
 でも、これからこういう所に泊まることってなさそうですし…
 魅録とだったら平気ですもの、いいんじゃありません?」
魅録はしばらく呆然としていたが、ふっと笑いをもらした。
「それもそーだな。恋人同士なんだし」
「もちろん、信頼してますわ。なんだか面白そう」
今回の旅は2人だけの秘密を多く共有している。
それが2人を近づけていることに気が付いていないのは、他でもない2人だった。
(注・18禁じゃないですよー)
206名無し草:02/03/10 00:05
199〜202さん>
本当に原作でもありそうなエピソードですね(^^
魅録や野梨子の性格がいかにもって感じだし
203さんが言うように文体もしっかりしていて説得力がありますね♪
これからがとても楽しみです!
要チェック。
207魅×野 芽生え編 7:02/03/10 00:05
外装に比べて、中はシンプルな白い部屋だった。
灯りを消すと、天井には波のようなライトが青く揺れていた。
2人は大きなダブルベッドに寝ころんでその青い灯りをながめた。
「…裕也のこと、これでよかったのか、野梨子?」
それには答えずに野梨子は言った。
「この灯り、波みたいで綺麗… マイタイ王国を思い出しますわ。
 魅録はチチと連絡をとってますの?」
「えっ… い、いや、全然…」
ふいをつかれて魅録は少しどもってしまった。
「…私も裕也さんとは全然連絡をとってなかった。
 別に、友達として、連絡をとっていたってよかったはずですのに。
 結婚するとかではなくて、もっと気楽におつきあいも出来たかもしれないのに。
 でも、しなかった…魅録だってそうでしょう?」
「…そう…そうだな…」
「私、裕也さんのことで、へんかもしれませんけど、魅録のこと、よくわかりましたの。
 チチと連絡をとらない魅録の気持ち…」
ぽつり、ぽつりと会話は続く。
208魅×野 芽生え編 8:02/03/10 00:07
「今、魅録は彼女はいませんわね?」
「まーな。野梨子だってそうだろ? 清四郎は保護者だしな」
「すぐ、清四郎のことを出しますわね…
 私、裕也さんとのことでよくわかりましたの。
 …清四郎は家族みたいなものですわ。異性だけど、異性ではないみたい。
 裕也さんは異性でしたもの。
 裕也さんと別れたあと、美童と可憐が慰めにお酒を呑みに連れていってくれましたの。
 その時、2人が話してくれましたわ、私のことブラコンって言ってたんですって、皆で?
 でも、これでそのブラコンからも卒業したんじゃないのって。大人になったねって。
 私も自分で『そう言われればそうかもなあ』って思いましたの。
 ほんと、今なら清四郎と悠理に結婚話があったら一所懸命応援しますわ」
魅録はちょっと動揺した。
なぜかはわからないが、どきどきしてしまった。
それは、野梨子が清四郎を異性として見ていない、ということで
高いハードルがひとつなくなってしまったような…
その後、会話はとぎれ、2人とも眠ってしまった。

…週明け。
いつものように放課後6人が集まっている。
今までと全く変わらない風景…
(…何かおかしいですね…)
清四郎だけが、魅録と野梨子の間に流れる暖かい空気のようなものを感じとっていた。
209野梨子スキー:02/03/10 00:10
おおおお!!
魅×野の萌え話しが!!
すっごいうれすいです〜〜喜!!!←(魂の叫び)

もう一回じっくり読みます!
プリントアウトして永久保存版にします!!
210魅×野 芽生え編:02/03/10 00:11
以上です〜長々とすいません。
小説もどきを書いたのは158-162が初めてで、これが二つ目だけど、
203さん、206さん感想ありがとう!!
反応があるとこんなに嬉しいものなのですねW)

魅録と野梨子の2人旅に清四郎が気が付いてもんもんとする、
というのをからめようと思いましたけど断念しました…
真澄ちゃんの話・皆でディズニーランド行ったとき、
悠理と可憐が車で休んで、美童は真澄ちゃんと行ったってことは
清四郎と魅録と野梨子でまわったってことですよね?
その時ビミョーな空気があって、それを清四郎に思い出させたり…とか。
魅録と野梨子の出会いも少女漫画って感じだったし。
裕也は魅録と、チチは野梨子となんか似てるって前にあったような。
「魅×野 ホロ苦い青春編」に、そのあたりが出てくるとよいなあ…とリクエスト。
211名無し草:02/03/10 00:19
魅録と野梨子の2人旅に清四郎が気が付いてもんもんとする>超萌え〜!デス。
有閑っぽいですね。
清四郎が取り乱す(っていうかいつものポーカーフェイスが崩れる)のはやっぱ野梨子がらみの時だけですもんね(^^)
悶々とする清四郎、読んでみたいです。
212名無し草:02/03/10 01:44
そうそう、ホロ苦い青春編も続きを読みたいです。
中々続きが出てきませんが、
あの話は難しいのでしょうか?>作者さんたち
213名無し草:02/03/10 17:49
お見合い編後日談の魅×悠、伊豆ツーリング編と清×野の続きも気になってマス!
214名無し草:02/03/10 17:58
私も四角関係編と伊豆ツーリング編ずっと待ってます!
215152:02/03/11 00:29
遅くなったけど、途中まで書けた。
ちょっと本編と設定とか違うし、恋愛なしだからつまらんかも。
そこらへん、ご勘弁。相変わらず、展開悩み中。

「くっそー、魅録のヤツ、最近つきあい悪いなー。」
放課後の帰り道、悠理はそうつぶやきながら歩いていた。
なんのことはない、魅録をチンピラ狩りに誘って、断られたのである。
「最近、喧嘩してねーから、退屈で退屈で…。ふあぁあ〜。」
と、財閥令嬢らしからぬ、でかいあくびをすると、
悠理の顔に、にやりと不敵な笑みが浮かんだ。
視線の先の路地裏には、いかにも柄の悪そうな男達が3人。
しかも、顔色の悪いサラリーマンが絡まれているようだ。
「そうこなくっちゃ!」悠理はまるで宝物でも見つけたようなキラキラした笑顔で、
そこへ向かった。

「おい、そこのチンピラ!そのお兄さんを離してやんな!」
「なんだ、お嬢ちゃん、痛い目に会いたくなかったら、とっととお家に帰ってネンネしな!」
いつもなら、大体ここらへんで、大抵のチンピラは悠理の顔を見て逃げだすのだが、
『どうやら、こいつらあたいを知らないらしいな。こりゃ、久しぶりに暴れられるな♪』
悠理は心でほくそ笑んだ。
「痛い目を見るのはどっちかな?そこのリーマンのお兄さん、さっさと逃げな!」
いきなり現れた悠理に促され、一瞬ぼうっとしていたサラリーマンは、
「う、うわぁ!」とあわてて逃げだした。
「さーて、誰から先に痛い目にあいたいのかな?」
「このアマァ!さっきから聞いてたらなめやがって!」と一番図体のデカイ男が飛びかかってきた。
悠理は男をひらりとかわし、頭に回し蹴りを決めた。
男は、一撃で倒れ、泡を吹いている。「このやろう!」
さらに次の男が飛びかかってきた。手にナイフを持っていたが、蹴り上げて飛ばす。
振り上げた足で踵落としを決め、2人目の男も倒れた。
しかし、蹴った悠理もバランスを崩して倒れてしまった。
3人目の男は、他の2人に比べると体格も小さく弱そうだったが、いかにも狡そうな顔つきだ。
男が飛びかかってくる気配が無いので、悠理はすぐさま体勢を立て直そうとしたが、
その瞬間「う、動くんじゃねぇ!」男は、いきなり拳銃を取り出した。「!!」
216152:02/03/11 00:30
「ふ、ふふん。ガキがナメたまねすると痛い目に会うんだよ!」
『こいつ、どっかの組のやくざか!
ちきしょー、銃を蹴り上げるには距離が離れすぎだ…。くそっ!どうする!?』
悠理は男を睨み付けた。
そこへ、「おい、女子高生にそんな物騒なもん向けてどうするつもりだ!?」
その路地裏はレストランの裏口になっており、その声の主は、ちょうどゴミを捨てに来た若いコックだった。
「うるせー、てめぇも痛い目に会いたくなかったらさっさと店にもどんな。」
「お前、花咲組の若いもんだな?ここはお前ンとこのシマじゃねーだろ。
ここで素人に手ぇ出したら、どうなるかわかってんのか?」
その目つきは、ただのコックとは思えない鋭いものだった。
その眼光に恐れをなしたのか、男は、「くそっ、商売のジャマしやがって!覚えてやがれ!」
と捨て台詞を吐きながら逃げていった。倒れていた男達も、よろけながらその後を追った。
「あいつら、お前がやったのか?やるなぁ。なんか、オレが出る幕はあんまりなかったみたいだな。
…あれ?どこかで見た顔だと思ったら、魅録の彼女じゃないか。」
礼を言うつもりだったのだが、不意を突かれたことを言われたので、
「ち、違う!彼女じゃないぞ!」
「あれ?そうなのか?まぁいいや、魅録によろしくな。
あと、あんまりこんなとこで喧嘩するもんじゃないぜ。」とコックはニヤリと笑いながら、
店に戻っていった。
残された悠理は、コックに礼を言うのを忘れたことに気が付いた。
ふと気が付くと足元に小さな鞄が落ちていた。悠理は何気なくそれを拾った。
217152:02/03/11 00:31
次の日、「あー、それ龍之介だな。千歳鶴 龍之介、千歳鶴組の一人息子なんだが、変わりモンでさ。
突然『オレはイタリア料理のシェフになる!』って言い出してイタリアンレストランでシェフ見習いしてるんだよ」
「あのコック、やくざの息子だったのか…。」お煎餅を食べながら悠理がつぶやいた。
「その方、魅録のお友達ですの?」お茶を飲みながら野梨子が訊ねた。
「ああ。菊翁のご老公のお気に入りでさ、そのつながりで知り合ったんだけど、
なかなか面白いヤツなんだよ。同じ歳だし。」
「いつも思うんだけど、魅録って、そんなにやくざと仲良しでいいの?
親父さん桜田門関係なのに…。」「マァキニスンナッテ。」魅録、美童の肩をポーンと叩く。
「それにしても、悠理が、やくざの息子とはいえ、シェフ見習いに助けられるとはね。」
清四郎が感慨深げにお茶をすすった。
「それにしても悠理、危険ですわよ!一人で無茶するからですわ。」
野梨子にたしなめられ、ばつの悪い顔で悠理は食べていたお煎餅を飲み込んだ。
「くっそー、あいつが拳銃持ってなきゃ簡単にやっつけてやったのに!」
「さて、それでは…。」清四郎が悠理にニコッと微笑んだ。
「今日は、そこのお店にみんなで行ってみましょうか。」
「いいわねぇ。悠理を助けた男ってのを見てみたいわ♪」
「清四郎!可憐!お前ら、なんか面白がってるだろ!」
「あら、でもまだお礼を言ってないんでしょ?どっちにしろ助けて頂いたんですもの、
早いほうがいいですわよ?」「それで、そのレストラン、おいしいのかい?」
美童の言った、レストランという言葉に悠理は反応した。
「…よーし、行ってやろーじゃないか!」「悠理、よだれでてますわよ。」
218152:02/03/11 00:39
龍之介のいるレストランに6人がやってきた。その店は、大きくはなかったが、
小綺麗で家庭的な雰囲気がした。
「あら、なかなか良さそうな店じゃない♪」「デートとかでも使えそうだね♪」
悠理も昨日は、店の裏しか見てなかったが、初めて店の表を見て好印象を持った。
「あいつ、喧嘩っ早いから、いくつも店クビになったんだけど、
ここのオーナーがいい人みたいでさ、この店はけっこう長いんだよ。」
魅録が店のドアを開けた。
店はかなり客が入っているようで、すこし慌ただしい感じだった。
そこで料理を運んでいた覚が魅録に気が付いた。
「よう!龍之介!」
「お、魅録!来たのか!」「なんか、混んでるみたいだな。」
「ばーか、オレがお前を帰すと思うか?6人だな?あ!」
龍之介は悠理に気が付いた。「お、昨日の女子高生!」「…どうも。」
「来てくれて嬉しいよ!すぐ席用意するからな!」
ニコッと笑って、龍之介は厨房へ戻っていった。
1〜2分して、案内係の女性が席へ案内してくれた。
当然、美童は彼女に声をかけるのを忘れはしない。
「美童ったら!こんなとこに来てまで!」「可憐。これは僕の一種の礼儀だよ。」
「メニュー選んでんだから、うるさいぞ!」「悠理、何か忘れてませんこと?」
「そうですよ。なんのためにここに来たんですか?」
「そうそう、龍之介にお礼言うんだろ?まさか、飯だけ食って帰るつもりじゃないよな?」
「わかってるわい!礼を言えばいーんだろ!」
219152:02/03/11 00:40
そこへ、龍之介がワインを持ってきた。
「オレの友達が来たって言ったら、オーナーがとっておきのヤツ出してくれたぜ。」
「あ、あの。」悠理が口ごもる。
「どうした?女子高生、ワインはダメか?」「あ、あたいは!悠理だ。剣菱悠理だ!」
「そーか悠理っていうのか。オレは千歳鶴龍之介。魅録から聞いてるかな?龍之介でいいよ。」
「あたいも、悠理でいいや。それで…、
昨日は、危ないところで助かったよ。ありがとう。」悠理は頭を下げた。
いきなり礼を言われ、龍之介も多少戸惑ったようで「あ、いや、どういたしまして。」
とぺこりと頭を下げた。そんな2人のやり取りを見て魅録が笑いながら、
「それにしても、悠理がオレの彼女だと思ってたんだって?それはないだろー!」
「いやー、だってよく2人でいるとこ見掛けてたからさ。てっきりそーなんだと思ってたんだが。」
「そう思われてもしょうがないですわよね。」野梨子が微笑む。可憐も相づちを打って、
「そうそう。2人とも趣味だ趣味だって連れだって喧嘩してるんだから。」
龍之介が、魅録と悠理以外の面々を見て不思議そうな顔をする。
「なんか、魅録の友達にしては、えらく毛色が違うな。」
「あぁ、紹介するよ。彼女は野梨子、こっちが可憐。で、清四郎と美童。同じ学校の友達だ。」
「そーか、一応、魅録もお坊っちゃんなんだもんなぁ〜。」「うるせー!お前に言われたかない!」
「ま、とにかく、よろしくなっ!」「よろしく〜!!!!!」
場は一気に盛り上がり、龍之介を交えて、7人でワインで乾杯をかわした。
220152:02/03/11 00:43
あちゃー、かなり長かったなぁ…。
今日はここでやめとこ。
伊豆ツーリング編の作者です。
色々な話が出てきたので、ちょっと様子見をしていたのですが再開させて頂きますね。
>213・214さん 
待っていただいてありがとうございます(^^;

だいぶ間隔があいてしまいましたが
前スレ 377-378・385-386 の続きになります。
−第5話−
2人は上善の奥さんの案内で2階奥の角部屋へと通された。
「夫から魅録君の話しを聞いて、ずっとお会いしたいなって思っていたのよ。
だから今日は嬉しくって」
と言いながら微笑む彼女は、華奢で柔らかな物腰の女性である。
「上善さんにはいつも良くしてもらって…ホント世話になってます」
魅録が頭を掻きながら恥ずかしそうに返答をした。
「何もない所だけど、ゆっくりしていってね。悠理さんも」
「あ、はい」
その部屋はベッドとクローゼットが置いてあるだけの、シンプルで
こじんまりとした部屋だった。
パリッと糊の利いたシーツや微かに太陽の匂いのする布団は
清潔的で気持ちの良い感じがする。
「疲れたな〜」
早速魅録はベッドの上に横たわった。
隣りのベッドに座った悠理はライダースジャケットのポケットに手を
入れると、何やらがさごそと探し出した。
「何か落としたのか?」
「あっれ〜携帯どうしたっけ」
落としたはずないんだけどと言いながらバッグの中も探すが、やはり見当たらない。
「家に忘れてきたんじゃねーの?」
魅録の言葉に悠理は探すのを諦めた。
−第6話−
「うわっ美味そう!」
程なく夕食の時間を迎え1階の食堂に降りた悠理は、テーブルに所狭しと並べられている
料理を見て思わず唾を飲み込んだ。
「腕によりをかけて作ったのよ。沢山食べてね」
悠理の様子に気づき、声をかけてきた上善の奥さんに
「こいつホントにすげー食うんですよ」
と魅録がこっそりと打ち明けた。
「あら頼もしいじゃない。ねえあなた」
「こっちも作りがいがあるさ。魅録も彼女に負けないぐらい食べろよ」
はははと豪快に笑う上善とは対照的に魅録は元気なく笑った。
(いくら何でも悠理にゃ勝てないぜ…)
その後、悠理と魅録はベッドの上でトランプに興じていた。
「くっそ〜!もう1回やろ!」
時計の針が11時を回ったというのに、負けが続いている悠理は面白くない。
「いい加減諦めろよ」
魅録がウンザリした表情をするのも無理はなかった。
かれこれ2時間以上もトランプに付き合わされているのだ。
「あ、じゃあセブンブリッジしよ!あれなら絶対負けない!」
自分の言葉には耳を貸さずに、トランプを集めると
リズム良く切り出した悠理を見て、魅録は溜息をついた。
このままではムードも何もあったものではない。
思わずトランプを切るその手を制した。
「何だよ」
動きを中断された悠理が不満げな表情を向ける。
魅録は身を乗り出し悠理の頬に手を当てると唇を合わせた。
「もういいだろ」
 <<やや18禁気味です>>

−第7話−
悠理からトランプを取り上げてベッドサイドに置いた魅録は、
ゆっくりと悠理の体に自分の体重をかけた。
2人の体重を支えているベッドが鈍い音をたてる。
再びキスを交わしながら、魅録は悠理のパジャマのボタンを外した。
遠くでフクロウの鳴く声が聞こえ、ここが住み慣れた東京ではないことに
気付かされる。
普段とは違う角度から見ているためか、悠理には魅録の表情が
いつも知っているそれとは別人のように感じられた。
(魅録って意外とまつげ長いんだなあ…)
上気し始めた自分の肌に唇を当てている魅録の顔を見ながら
悠理はそんなことをボンヤリと考えていた。

暫らくして、電話の呼び出し音が聞こえてきた。
悠理の着信音はゴジラのテーマなので魅録の携帯が鳴っているのだろう。
「魅録電話…」
「ああ…」
大した用でもないだろうし、すぐ止まるだろうと思っていた魅録であったが、
一回止まった後、再び鳴りだした時にはさすがに気になった。
「ごめん」
短く悠理に断りを入れるとベッドから起き上がった魅録は、ブルゾンの
内ポケットから携帯を取り出し、折角のところを邪魔された形になったことで
少々機嫌悪く電話に出る。
「何だ清四郎かよ」
魅録の言葉に思わず悠理もベッドから起き上がった。
225時代劇妄想人:02/03/11 13:03
つたない話しに感想を寄せて下さった方々、どもありがとう!
>>192でしばらく逝ってきますと書きましたが、スキーに逝ってきた作者です。
これからの楽しい妄想の為に、スキー場でもなんか良いネタはないか?
などと考えてました。

>>193さんご指摘ありがとう。
詳しい方に間違っている部分を補填して頂けるととても有難いです。

時代劇編は誰か続きを書いて頂けませんか??
>>192でちょっと書いた展開は無視してかまいませんので。


226剣菱家の事情2続き:02/03/11 14:09
>>165の続きになります。
そして土曜日、可憐は魅録の家に遊びに来ていた。
もちろん今までだって何度も行ったことがあるけれども、今までとは意味が少し違う。
「ねえ、この部屋ってこんなに広かったっけ」
ビデオを観終わって、可憐がコーヒーを飲みながら機械だらけの部屋をぐるりと見渡す。
「…ああ、いつも6人だもんなぁ、広くも感じるだろうさ」
「そうねぇ…」
「すぐバレるかと思ったけど、意外とわからないもんだなぁ」
そう言って魅録は苦笑いを浮かべる。
「悠理も清四郎も、自分たちのことで手一杯であたしの恋愛どころじゃないって感じよ〜。
しかも、このあいだのお台場の話なんかパタリとしなくなっちゃったし。
絶対、あの後何かあったわよ、あのふたり」
あのあとデートの感想を聞いても、ふたりとも妙に素っ気無い返事しか返さないことを
一同はずっと不審に思っているのだけれども、その話題をすると、
途端に機嫌が悪くなってしまうので、当人達には言い出せずにいた。
「野梨子は、すっかり吹っ切れたみたいなのになぁ」
「そうそう、あの日美童がずっと一緒にいてくれたんですってよ。それでお礼に、こんど
2人で遊びに行くんですって」
「へえ〜っ、あの2人で連れ立ってどこいくんだろうなぁ…」
少し意外なその話に、魅録は驚いた顔で、頭の中で少しその画を思い浮かべた。
そんな魅録の表情を見て、可憐はクスリと笑みをこぼす。
「…なんだか私達、内緒にしているくせに、あいつらの話ばっかりね」
そう言われて、魅録も思わず苦笑する。
「本当だよなぁ…ついつい、気になる性分なんだよな、オレらって」
「それに、あたしたちばっかり幸せじゃ、悪いものね」
そう言って可憐は、満面の笑みを隣に座る魅録に向ける。
その笑顔が、自分だけに向けられたものだと思うと、
魅録は胸が一杯になってきて、ゆっくり顔を近づけながらその目を閉じて行く。



227続き:02/03/11 14:10
2人の唇が、まさに…触れ合おうとした、その時。
コンコン、とドアをノックする音がした。
反射的に、2人は身体を離す。
「魅録〜?入るわよ」
間髪入れずに、ドアが開いて千秋が入ってきた。
(げっ…)
「あら、可憐ちゃん来てたの。いらっしゃい」
「あ、はい、おじゃましてます〜」
とっさに、愛想笑いをして応じる可憐。
どうやら、見られずには済んだらしい。
「何だよ、返事してから入ってこいよ!」
帰りは明日だと言っていた千秋が今日帰ってきていたことと、邪魔されたこともあいまって
やや怒り口調で魅録が答える。
「可憐ちゃん、またキレイになったわねえ。」
千秋はそれには反応せずに、可憐の方に向かって口を開く。
「え〜、そうですかあ?」
そう言われて、つい習性で可憐は頬に手を当てて喜ぶ。
「恋でもしてるのかしら」
千秋のその台詞に、一瞬ギクリと固まるふたり。
しかし切り換えのうまい可憐がとっさに返す。
「やだあ、おば…千秋さん!やっぱり、わかっちゃいますかぁ?」
それとは対照的に、うろたえっぱなしの魅録。
「余計な事言わないでさっさと帰れよ!だいたい何しに来たんだよ!!」
いないはずの千秋がすでに帰ってきていたことと、いいところを邪魔されたこともあいまって
思わず怒り口調で魅録はそう言い放つ。
「なによ、実の息子なのに素っ気無いわねえ。これ直して欲しくて来たのよ」
と、手元のウォークマンを差し出す。
「はいはい、分かったから、じゃあな」
魅録は、仏頂面でそれを受け取って千秋を追い出す。

そのまま魅録の部屋を出た千秋だったが、ふと妙な疑問を覚えた。
(なんであの子、あんなにムキになったのかしら…?)
しばらく考えをめぐらせると、ひとつの結論が浮かんだ。
(え〜っ、まさか、あの2人が…)
そう考えるとつじつまが合う。
もし本当にそうだったら邪魔するのは悪いと思いつつも、その考えに確信が持てなかったから
千秋は余計に部屋の中の2人が気になってきていた。
228226-227:02/03/11 14:12
む、ムズカシイですなぁ・・・。
続き、どなたかおねがいしま〜す。
229226-227:02/03/11 14:26
今度っていうか、これと同じ日でしたね、美童と野梨子のデート。
すみません〜!!

230読者感想:02/03/11 15:01
こんなに、沢山の作品が読めるなんてうれしいです。

伊豆のツーリングはずぅ〜っと気になっていたんです。
作家さん、ありがとう!

新しい話のチンピラ編(なんか変な言い方になってしまいましたw)
今後が楽しみですねー。
悠理×龍之介になるのかしら??

剣菱家の事情もお見合い編ばりの大作で楽しみですー。
みんなどうなるのか楽しみ。

それにしても、感想しか書けない自分が非常につまらないです。
231226-227:02/03/11 15:46
暇だったんでもう一度見返してみたら、さらに間違いに気付いた・・・。
「返事してから入ってこいよ!」のあとの一行いらない・・・。
邪魔されたうんぬんは下の方で使ってましたね。
修行がたりません、逝ってきます・・・。
清四郎は、豊作との待ち合わせをした新宿のオフィス街の中にある喫茶店に向かった。
少し暗い店内に入ると、今日は土曜日ということもあってか少し閑散としていた。
一番奥の窓際の席に、新聞を読んでいる豊作の姿を見つけた。
「こんにちは。お待たせしてすみません」
「いえ、こちらこそ、お呼び立てしてしまって」
豊作は立ち上がって、清四郎に一礼する。
「改めまして、ご結婚おめでとうございます」
「そんな…清四郎くんにそう言ってもらえるなんて」
いくら騒動を巻き起こしてしまったとはいえ、自分に対してもあくまで低姿勢なその姿は
まるで営業のサラリーマンのようで、とても剣菱財閥の長男だとは思えない。
「で…なんのお話かは、だいたい見当がついているんですけれど」
清四郎の方からそう言って、話を始めた。
「そうですよね…父さんが、迷惑かけたみたいで」
豊作はため息をついて、コーヒーをひと口飲む。
233続き:02/03/11 18:10
「たしかに剣菱のことを考えると、清四郎くん以上の適任者はいないと僕も思うんだけれど…
でも、そもそも僕さえちゃんと順序立てて父さんたちに話をしていれば、こんなことには
ならなかったわけだし、だいたい悠理はあんなだし…だから、僕や父さんたちに
気兼ねすることないから、清四郎くんは自分の気持ちを大事にしてほしい」
日頃から悠理の暴れっぷりに辟易している豊作の口調は、前回の結婚騒動もあることだし、
清四郎はこの話を絶対に迷惑がっているにちがいない、という感じだった。
(本当のことを言ったら、さぞかしびっくりするでしょうね)
豊作の様子だと、跡取りに関することで両親と話し合いはしたのだけれど、
悠理サイドからは何も聞いていないようだった。
「僕に巻き込まれてしまって、悠理にはほんとうに悪いと思ってるけれど、
これからあいつに誰か好きな男ができるってのも、どうも考えがたいし、
だったら剣菱を支えられる、それなりのしっかりした奴を見つけてやって、
今の生活を守ってやった方があいつのためになるんじゃないか、と僕は思うんだよね。
最も、あいつの素性を知った上で結婚してくれるっていう奴がいるかっていわれると、
僕もまずいないだろうと思うけれどね」
そう苦笑する豊作に、清四郎は胸に少しジーンとくるものを覚えた。
今回の行動は、もちろん自分と最愛の恋人のために起こしたものであろうが、
それでも剣菱の将来のこと、そして家族のことをこの人はきちんと考えている。
そして、このことで前回の騒動のように、悠理と自分との関係に
亀裂をきたすことのないようにとも配慮してくれたのだろう。
だからこそ、自分にはあえて結婚を勧めなかったのにちがいない。

234さらに続き:02/03/11 18:13
(やっぱり、剣菱財閥の跡取りとしてやってきた人なんですね、この人は)
「いてもいなくても同じ」などと言われることもあるけれども、
その気配りのこまやかさは、剣菱の跡取りとして育てられた証であろう。
「豊作さん」
清四郎は、その豊作の気持ちがありがたかった。だからこそ話したかった。
「僕、悠理にプロポーズしたんです」
「へっ!?」
豊作はその唐突な清四郎の発言に、コーヒーを吹きこぼしてしまった。
慌てて、置いてあったタオルでテーブルを拭く。
「い、いま何て…」
「僕は、結婚してくれ、と悠理に言いました。それは、剣菱財閥とはなんの関係もなく、
悠理本人と結婚したいと思ったからです。…もっとも、振られたみたいですけどね」
「………」
突然清四郎の口から開かれた信じられない事実に、豊作は絶句する。
「…僕が自分の気持ちに気付いたのは、万作さんにそういう話をされたからで、
つまりは豊作さんのご結婚の話があったからです。だからむしろ僕は、豊作さんに
感謝したいくらいなんですよ。だから僕のことは気にしないで下さい」
「は、はぁ…」
悠理に嫁のもらい手など、世界中捜しても見つからないだろうと思っていた豊作は、
目の前でそんな事実を突きつけられてしばし愕然としていた。
しかし、清四郎のあくまで真剣なその表情は、それが冗談でないことを現していた。

ちょっと続けにくいかも・・・ごめん。でも、誰かお願い。
235名無し草 :02/03/11 22:04
作家の皆様にお願い!
一文がすっごく長いと読みにくいので、
できれば改行してくださると嬉しいのですが・・・・。

235さん、そうですね。気をつけます。
では、これは>>227の続きとして書かせていただきます。

千秋が去ったあとの魅録の部屋。
「ごめんな。うち、いつも騒々しくって…」
「ううん」
謝る魅録に、可憐は笑顔で答える。
そのまま黙って、魅録は何も話そうとしない。
「…どうしたの?」
「いや…あのさ…」
小さな声で、口篭もる魅録。
「なによ、はっきりいいなさいよ」
「…さっき、おあずけ食らったままなんだけど」
恥ずかしそうにそう言う魅録に、可憐は思わず吹き出してしまった。
「な、なんだよ」
「ごめんごめん。…そうね」
可憐は目を閉じて、キスを待つポーズを取った。
魅録がその顔を段々と近づけ、今度は優しく唇を重ね合わせた。
237続き:02/03/11 22:29
ゆっくりと唇を離して、しばらくその余韻に浸っていると…
プルルルル…。
「…ごめんね」
可憐がバッグから電話を取り出す。
「あっ悠理?」
「…なあ可憐、ちょっと相談したい事があるんだけど、今日大丈夫?」
悠理が今、ちょっと相談したいことと言えばその内容は決まっている。
「あ、ちょっと待ってね」
可憐はいったんそう悠理に断って、電話をふさいで魅録の方を見る。
「悠理がね、相談したいことがあるって…」
そのことは、もちろん魅録もとても気がかりだった。
魅録は黙って頷いて、OKサインを可憐に送る。
「もしもし?あのね、あたし今魅録の家にいるんだけど…」
「あ、じゃあそっち行っていい?」
そう、悠理に言おうとしていた矢先だった。
自分が魅録の家にいることについては、特に不思議がっていない様子だった。
「わかった、じゃあ待ってるね」

悠理を救う役を、世話焼きの2人に頼もうかと・・・。
では、続きお願いします。
238魅×野ファン:02/03/11 22:59
210さん>
しばらくこの板から去ってる間に魅×野がUPされていて
宝物を見つけたような気分です(^^)。
本当に嬉!

>悠理と可憐が車で休んで、美童は真澄ちゃんと行ったってことは
清四郎と魅録と野梨子でまわったってことですよね?〜

さすが作家さん!
原作でも目の付け所というか、読みが違う!
その考察の深さが説得力のある作品作りに生かされているのですね〜(感服)
悶々とする清四郎&魅×野の発展編、楽しみにしてます!
239名無し草:02/03/11 23:42
2巻の可憐 「ごめんなさい。この子、生徒会長の菊正宗君と付き合ってるのよ」という
セリフを読むたび夢を見てしまう私。
あの後、校内で噂になってくれてたりしたら歴史は変わっていたのだろうか・・・?

清「クラスの奴らに問い詰められたんですが、いったいどういう事ですか?」
野「ご、ごめんなさい。実は・・・(事の顛末を説明)」
清「そんな事があったんですか。まあ、僕の名前を使ってもらうのは別に構いませんけどね」

はあ・・・。
240名無し草:02/03/12 00:00
239さん>禿同〜〜。
夢見ちゃいますよね〜。
それに、やっぱ回りから見たら
あの二人がつきあってるのって納得ですもん。お似合い(はあと)!
そんな噂が広がったら
「よくも僕らの野梨子さんを!!いくら菊正宗君でも許せない!」って
返り討ち覚悟で清四郎を涙ながらに襲う輩が後を絶えんのでしょうね。
もちろん痛い目見るだけなんでしょうが(しみじみ)

今からでも歴史は変わりますように(w
241名無し草:02/03/12 00:12
「うちの学校ではめずらしくガラ悪い」あの二人、口は堅かったんだね(ちっ)

>>234 続けます

清四郎の衝撃の告白が、豊作の頭の中を駆け巡る。
(清四郎君が悠理と結婚したい・・・プロポーズした・・・?)
「なんで悠理と?って顔してますよ。」
清四郎が楽しそうに笑った。
「いやぁ・・・実の兄がそう言うのもなんだけどねぇ。」
つられて豊作も微笑む。
「でも・・・ふられたってどういうことだい?」
「この前の最後の台詞は、たしか
『お前のそういう自信満々なところが大っ嫌なんだよ!』でしたよ・・・」
力なくため息をつく清四郎に、豊作はますます驚いた。
(この様子はまるで恋する男じゃないか?)
悠理にふられて落ちこんでいる清四郎・・・なんだか不思議な状況だが
そんな彼が、豊作は前よりも好きだと思った。
「でも悠理はもともと口が悪いし、売り言葉に買い言葉で生きてるようなもんだから
その台詞も本心とは限らないよ。」
「そうですかねぇ。僕はいつも悠理をバカにしてばかりだったから・・・」
243つづき:02/03/12 00:20
「あっっ!そしたら大変だ。」突然、豊作が大きな声を出した。
「?」
「明日、悠理のお見合いがあるんだよ。」 「えっっ?」
清四郎が思わずテーブルに身を乗りだした。
「母さんがどこからかデートの練習のことを聞きつけたらしくて、
それなら大丈夫でしょって、明日、往友財閥の会長子息とデートさせることになって。」
「!」
「だから今日は、明日のこともあるから、清四郎君は気にしないでも大丈夫だよ
って言いに来たんだけど・・・困ったなぁ。どうしよう。」
「・・・そうですか。お相手はどんな方なんですか?」
「いや、絵に描いたようなおぼっちゃんだよ。品行方正、頭も悪くない。顔も普通だし。
でも悠理のことはなにも知らない。」
最後の一言がやけに重く響いた。

往友財閥の様子について当たり障りなく話した後、二人は店を出た。
軽く頭を下げて去り行く清四郎、その背中に声をかける。
「明日の場所はお台場だよ。」
清四郎の足が止まる。
「僕は悠理に幸せになって欲しいから。」
まっすぐな声が響き渡る。
清四郎は空を仰ぐと、またゆっくりと歩き出した。
>>236マエフリ

なんであいつはあんなにあたいのことをバカにするんだろう。
自分でもバカだって分かってるけど、できるやつに言われたら、どうしょもねーじゃねーか。
映画館では寝ちゃったし、カフェでも食べまくったし、
そりゃあたいはやりたい放題だったけど。
そう言えば、プリクラはおかしかったなぁ。
何でも知ってるような顔してるくせに、あいつ、ああいうのには弱いのな。
でも、取材カメラに向かって人のこと「動物」とか言うし!!
優しくしてくれて、楽しいなぁと思ってたら、すぐ嫌み言うし。
あいつはなんであんなにひねくれてるんだ?
・ ・・そうか。あいつはひねくれてるのか!
ってことは嫌みとか馬鹿にするのは照れ隠しとか?・・・まさかな。

あーあ。明日はどっかのおぼっちゃんとデートだよ。
母ちゃんも清四郎とはダメだったと思ってるから、必死だし。
断る口実も見つかんないし。はぁ。やだー!やだよー!!!

でも・・・キスしちゃったよ。
あいつ、あたいのこと好き・・・なのかな。
あたいはどうすればいいんだろう。どうしたいんだろう。
ほんの少し軽く触れただけなのに、
あれからずっと、鏡を見る度、自分の唇が紅く色づいている気がする。
245242−244:02/03/12 00:25
長々と失礼しました〜。
この後、悩んだ悠理が松竹梅邸に向かうということで。
見合い相手とのお台場デートを清四郎と同じコースにして(w
悠理に清四郎の良さを気づかせたいなぁ・・・
清四郎に尾行させて悶々としてもらってもいいし・・・
なんて意見はいいとして、どなたか続きよろしくです〜♪
>>244さんの続き書きます。

複雑な思いを抱きながら魅録の自宅に着いた悠理は、
軒先で千秋に呼び止められた。
「ちょっと悠理ちゃん。こっちこっち」
「あれ?魅録のおばちゃん。家に居るなんて珍しいね〜」
「うちには『魅録のおばちゃん』なんて居ないわよ?悠理ちゃん」
「あ・・・。ごめんなさい千秋さん」
相変わらずの千秋の調子に悠理は思わず苦笑した。
「今可憐ちゃんも来てるんだけど、これ良かったら
皆で食べてちょうだい」
そう言うと千秋は、お盆の上に載せて、お菓子の包みを差し出した。
「うわ!美味そう!」
「フランスで買ってきたチョコよ。美味しいから食べてみてね」
普段ならこういうことはお手伝いの女性がやってくれるのだが、
珍しいこともあるものだ。
「サンキュー千秋さん」
悠理は嬉しそうに笑うとお菓子を受け取り魅録達の待つ部屋へと
向かった。
「・・・悠理ちゃんが来てくれて良かったわ」
その後姿を見届けた千秋は小さく溜息を漏らした。
そう。悠理に持たせたお盆の裏には盗聴器が取り付けて
あるのだ。これなら怪しまれずに魅録達の会話を聴ける。
「自分の息子のことだもの。しっかり把握しなくちゃね」
早速イヤホンをさすと千秋は耳を傾けた。

またも盗聴器が登場しました(w 
何だかコメディー風になってしまい、雰囲気を壊したらスミマセン。
続きお願いします。

247やくざ抗争編続き。:02/03/12 01:07
>>215-219の続きでございます。

「おい!龍!料理上がったぞ!持ってけ!」
「了解!オーナー!」
龍之介が再び厨房に戻ってから、料理が次々運ばれてきた。
悠理は大喜びで食べ始めた。「すっげぇうめぇ!!!」「悠理、はしたないですわ。」
「でも、ホントにおいしいわ。」「確かに。おいしいですね。」「本場のシェフにも劣らないよ!」
「オーナーが腕のいいシェフだって聞いてたけど、さすがだなぁ。」
龍之介が2本目のワインを持ってきた。
「どーだ?うまいだろ。」と言ったものの、悠理の食べっぷりに目を見張ったが、
「お前、よく食うなぁ〜。食べさせがいがあるぜ。
足りなかったら言えよ。もっと持ってくるからさ。」
「わーい!あいつ、イイヤツだなぁ♪」悠理以外は、2杯目のワインを傾けている。
「悠理の食欲を目の当たりにして、ひかない男は初めて見たわ…。それに、結構いい男じゃない♪」
「それより、やくざの息子さんて聞いてましたけど、全然そんな感じしませんのね。」
「昨日、やくざを追い払った時の目つきはかなりな迫力だったけどなぁ。」
「それにしても、未来の組長から未来のシェフかぁ。ものすごい転身だねぇ。」
「それでは、千歳鶴組はどなたが継ぐんですの?」
「若頭の夏目が継ぐってことになったんだよ。」
いつの間にか私服に着替えて魅録の後ろにいた龍之介が野梨子に答え、
店も空いてきたし、オレはもう上がりなんだ、と言って同じテーブルに付いた。
「夏目さんっていつも、親父さんのそばにいる、オールバックでサングラスしてて、
いつも黒いスーツ着た渋い人だろ?」
「あぁ。夏目はやくざの間では顔も腕も十分知られてるし、下のヤツらからも慕われているからな。
オレが後継ぐよりかは、千歳鶴組も舐められないだろうさ。」
「そんなこと言って、菊翁のご老公は、『龍之介ほどの器を惜しいのぅ〜』って嘆いていたぞ。」
「ふふん、あのじいさん、オレには、お前のことが惜しいって言ってたけどな〜。」
「なぁに?魅録ったら、やくざにスカウトされてるの?」「ふむ、魅録なら向いてるかもしれませんね。」
「魅録がやくざになったら、時宗のおっちゃん、どんな顔すっかな?」
「冗談じゃねーよ!!!」魅録以外の6人の笑い声が店に響いた。
248やくざ抗争編続き。:02/03/12 01:09
その後、7人は龍之介の部屋で飲み直すことになった。
龍之介の部屋は、一人暮らしの割に片づいていて、台所もさすがに綺麗である。
「まぁ、オーナーの料理には劣るが、オレの酒のつまみも結構いけるぞ。」
「お手伝いしますわ。」と野梨子が声をかけると、
「客に手伝わせるなんて、シェフの風上にもおけねーよ。」と笑って、
龍之介は手早く料理を始めた。その手際のよさに「さすがですわ。」と野梨子は感心しきりである。
「ほら、おまたせ。」「おぉ!うまそ♪」
「それにしても、龍之介、おまえなんでいきなりシェフになるって決めたんだ?」
と魅録が新しいワインのボトルを開けながら聞いた。
「そういや、魅録にはまだ言ってなかったか。別に突然でもなんでもないんだよ。
オレのお袋が結構料理のうまい人でな。オレが飯食って、うまいって言うとすっげぇ喜んでくれてさ。
お袋が死んだ後、どうにかして同じ味が食いたくなって何度も自分で作ってみて、
組の若いヤツらに食わせたりしてるうちに自然とな…。」
「そうか…。」6人は感動してジーンとしている。「ほらほら、しんみりしてないで、飲もうぜ!」
龍之介はみんなのグラスにワインをついだ。
「それにしても、よくあの親父さんが許したよなぁ。」
「まぁ、夏目もいるしな。オレがこうと一度決めたら変えない性格だってわかってるし。
一応、派手に喧嘩はしたけどな。今は、よく組に呼びつけて料理作らされてるよ。
なんだかんだ言って親父もオレの料理が好きらしい。」
「あら?もう龍之介くんが作ってくれたお料理無くなっちゃったわ!悠理、あんたね!?」
「いや〜、うまかった〜!ワインのおかわりもくれよ。」
「悠理ほど食わせがいのあるヤツはいねぇなぁ。よし、もっとつまみ作ってくるな。」
笑いながら龍之介は台所へ戻っていった。
249やくざ抗争編続き。:02/03/12 01:10
数本のワインを開け、野梨子と可憐と美童はすっかり飲みつぶれて寝ている。
魅録と龍之介が組の現状について話しているのを、悠理と清四郎が聞いている、という状況だ。
「それにしても…。最近、新参の組がうるさいみたいだな。」
「あぁ、千歳鶴組は、素人に面倒をかけないのが信条だから、他の組にしてみれば、
ここいらのシマを手にいれりゃ、かなりしのげると思ってるんだろ。
昨日のヤツらも、花咲組の若いヤツだったしな。
まぁ、オレが千歳鶴組関係だとは気が付いていなかったみたいだが。」
「花咲組か…。最近妙に羽振りがいいって親父が言ってたな。」
「らしいな。それにしても、悠理、なんであんなヤツらと喧嘩してたんだ?
あいつら、商売のジャマがどーのとか言ってたよなぁ?」
「昨日の喧嘩は、サラリーマンがあいつらに絡まれてたからだよ。
あいつら、何か売りつけていたのかなぁ?あのサラリーマンもちょっと挙動不審だったし。
そういや、昨日あそこでこれ拾ったんだ。中身見るの忘れてた。」
と言って悠理は昨日拾った小さな鞄を取り出し、逆さまにして中身をテーブルに開けた。
それを見た途端、一同は顔を曇らせた。
それは、小さなビニール袋に小分けされた小さな錠剤だった。
「LSDですね…。」一袋をつまみ上げて清四郎が言った。
「これだけでも、少なく見積もって末端価格で数十万円分はあるだろうな…。」
「ヤクか…。だったら親父が黙っちゃいねーな。やばいな。
組同士の抗争が始まったら、オレも店辞めなきゃな…。」龍之介はため息をついた。
「なんで、龍之介が店をやめる必要あんだよ?」悠理が聞いた。
「悠理、組の抗争ってのは、確実に敵の駒を消していくもんなんだ。
いくら、オレが組の跡目じゃないって言ってたって、千歳鶴組の血縁なんだから、
オレがいたら確実にあの店も狙われる。
オレだけなら慣れてるからいいが、オーナー達には迷惑かけられねーだろ?」
「そんな〜!龍之介、ここですっげぇ頑張ってんのに!」
「だったら、抗争が始まる前に花咲組を千歳鶴組のシマから追い出してしまいましょうか。」
清四郎がにっこりと、こともなげに言う。
250235:02/03/12 01:11
>236さま、早速のお返事、本当にありがとうございます!!
魅×可、ステキですねぇ〜・・・・
そしてとっても読みやすいです!
今後千秋さんがどう絡んでくるのか楽しみにしてますw
251やくざ抗争編続き。:02/03/12 01:12
「そうだな。龍之介の親父さん達が気が付く前に、花咲組を一網打尽にしてやりゃあ、
龍之介が店辞める理由もねーだろ?」と言って魅録は龍之介にウィンクをした。
「わーい♪大暴れできる〜!」悠理は小躍りして喜んでいる。
「お前ら…。ただもんじゃねーなぁ。」龍之介はあきれた顔で言った。

その頃、花咲組では怒号が飛んでいた。
「馬鹿野郎!無くしたで済むか!」「…す、すんません!!!」
昨日の拳銃を持っていたやくざがはり倒されている。
「まあまあ、とりあえず、それぐらいにしとけ。それにしても、その店のコック、
おそらく千歳鶴組のドラ息子だな。そいつが拾ったとなりゃあ、ドンパチは避けられねぇな。
まぁ、近い内に始めるつもりだったがな。さて、一つ、先手を打つとするか…。くっくっく…。」
不気味な笑いをする、まるで海坊主のようなその男は、花咲組組長、花咲薫であった。

酒盛りが続いて、結局みんな龍之介の部屋で雑魚寝で次の日を迎えた。
「うーん、昨日は飲み過ぎましたわ…。」「あたしも、あたまガンガンする〜。」
「ホント、龍之介くんの料理がおいしいからついつい…。」昨夜の飲みつぶれ組である。
龍之介はすでに起きて、朝ご飯を作っているところだ。
「ふふん、いい褒め言葉だな。大丈夫か?
コーヒー入ってるから飲んでてくれ。もうすぐ飯できるし。」とニコッと笑った。
「料理のできる男もいいわねぇ〜♪」「可憐、感心してないで、カップだすの手伝ってくださいな。」
「悠理たちも起こさなくちゃね。って、3人ともよく寝てるなぁ〜!あの後、どれだけ飲んだの?」
「ふふ、ちょ〜っと4人で悪巧みしててな…。」と、その時、部屋の呼び鈴がなった。
252やくざ抗争編続き。:02/03/12 01:14
「誰だ?こんな時間に…。」龍之介がドアを開けた。
そこには、いかにもやくざな2人組があわてふためいていた。
「りゅ、龍之介ぼっちゃん!大変です〜!!!」千歳鶴組の若いもんらしい。
「なんだ、サトルと民夫じゃねーか。どうしたんだよ。」
「く、く、組長が撃たれたんですよ!」「なんだって!?親父が!?」
「組長は龍之介さんには言うなって言ってたんですが、夏目の兄貴が知らせて連れてこいって…。」
「わかった。行くよ、どこの病院だ?」「菊正宗病院だそうです!」
「龍之介さん…、それ、清四郎のうちの病院ですわ。」横で聞いていた野梨子が言った。
「ぼっちゃん、彼女ですか!?」「違うわ!!!えっと、野梨子さんだったな。オレ、
今からこいつらと病院に行くから、魅録達に言っておいてくれないか。」
「わかりましたわ。」龍之介が飛び出していったのを見送ると、野梨子は部屋に戻った。
「野梨子〜、悠理達起きないよぉ〜。」美童が3人を揺すっている。
「放っておきなさいよ。いずれ起きるんだから。」可憐は優雅にコーヒーを飲んでいる。
野梨子は黙って台所でコップで水をくんだ。
「悠理!魅録!清四郎!起きなさい!大変ですのよ!」と、寝ている3人の上にコップの水をぶちまけた。
「うわぁ!」「ひぇえ!」「なんですか!」3人は飛び起きた。
美童と可憐も、固まっている。「ひぇ〜!起きててよかったぁ〜。」「野梨子、コワイ…。」
「三人とも、寝てる場合じゃないですわよ!さっき、千歳鶴組の方がいらっしゃって、
龍之介さんのお父様が撃たれて、菊正宗病院に運ばれたからって、龍之介さん病院に行かれましたわ。」
それを聞いて、5人とも顔色が変わった。
「何だって!?ホントか野梨子!」
「おそらく相手は花咲組ですね。ちょっと悠長に考え過ぎてましたね…。」
「ちょっとオレ、親父に電話してみるよ!」魅録は時宗に電話をかけてみた。
昨夜帰らなかったことを怒鳴られた後、千歳鶴組のことを訊ねると、魅録の顔色が変わった。
「ま、マジかよ…。千歳鶴組の組長が撃たれたっていう事実は無いって…!?」
「だったら、龍之介はどこに連れていかれたんだよ!」悠理が叫んだ。
253やくざ抗争編続き。:02/03/12 01:16
今日はここまで。
悠理×龍之介にした方がいいのかなぁ?
254名無し草:02/03/12 01:51
やくざ抗争編、おもしろいです!
原作だったら龍之介はどんな顔になるんだろう…とか想像してしまいました。
やっぱり魅録系になるのでしょうか? 裕也とかぶっちゃうかな。
カップリングにはしなくても充分おもしろいですよー。
続き楽しみにしてます。
255名無し草:02/03/12 10:36
やくざの描写が有閑らしいリアルさがあってとてもいいです!
私は龍之介は短髪の清四郎系の和風顔を想像してました!
続きが気になります〜
256名無し草:02/03/12 10:41
剣菱家の事情2番外編で、魅×可の18禁シーンに兆戦したんだけど
肝心のところが書けずに挫折・・・。
付き合ってから最初に可憐の部屋にいったときに・・・ってまでは考えたんだけどさ。
誰か、書いてくれる人いたらお願い〜。読みたいよぉ。
>>224の続きを書かせて頂きます。

−第8話−
「悠理?…いや…何かあったのか」
魅録が悠理へと視線を送る。
清四郎が悠理と連絡を取りたがっているのだろうか。
魅録の会話を聞いていても一向に話が見えてこないことに
次第に悠理は苛立ってきた。
「ああもう!あたいに用事なんだろ。貸せ!」
「あっ、おい」
魅録から携帯を奪うと悠理は電話に出た。
「何だよ清四郎。どうしたんだよ」
「おや?悠理、魅録と一緒だったんですか?」
電話の向こうでは清四郎が驚いた口調をしている。
「そうだよ。悪いか!」
「いえ…別に悪くはありませんよ」
悠理の剣幕に清四郎も一瞬たじろぐ。
「実は・・・魅録なら悠理の行方を知っているかと思ってかけたんです。
悠理、昨日生徒会室に携帯を忘れませんでしたか?
一応僕が預かってるんですが」
昨日、生徒会室で携帯を操作していたことを悠理は思い出し
「あっ…学校に忘れたのか」
と軽く舌打ちをした。
「週が開けてからでもいいですけど、もし必要なら僕は自宅に居るので
今からでも取りに来ますか?」
「今からあ?それは無理だな」
「ほほう…。すぐに来れない場所に魅録といるんですか?」
少しからかうような清四郎の口ぶりに悠理は動揺した。
「んなこと関係ないだろ!切るぞ」
清四郎への言葉もそこそこに悠理は電話を切った。
−第9話−
「お〜い悠理〜」
魅録が眉間に皺を寄せながら恨めしそうな顔を見せる。
悠理と行く初めての旅行だ。魅録にもそれなりの決意と期待と
そして照れくさい気持ちがあった。
だからこそ皆には内緒でツーリングに来たのに、よりによって
清四郎にばれてしまったということに魅録は困惑していた。
来週、学校で会った時の清四郎の反応が目に浮かぶ。
(あいつ、人の弱みにつけ込むのが上手いからなあ・・・)
最も、自分達が付き合っていることは清四郎を始めメンバー全員周知の
事実だし隠すことも無かったのかもしれない。
清四郎も口が硬いから野暮なことは言わないだろうし、
倶楽部内で付き合っていれば遅かれ早かれこういった事もあるだろう。
まったく仕方がないなといった様子で魅録は小さく溜息をついた。
「だって!あたいに用事だって言うからさ。それに・・・」
むきになっていい訳をする悠理の唇を魅録は塞いだ。
「まあいいさ。続きをしようぜ」
二人は再びベッドに倒れると、今度こそゆっくりと優しく幸せな一時を過ごした。
−第10話−
「おっす」
週が開けた月曜日。
モナコで開かれるオークションに万作と参加するんだと何やら
意気込んで帰宅した悠理と別れ、魅録は生徒会室へと足を運んだ。
清四郎を始め他のメンバーは既に揃っていた。
可憐は立ちあがると魅録の為にコーヒーを入れる。
「悠理は一緒ではないんですの?」
魅録が一人であることに気が付いた野梨子が話しかけた。
「ああ。モナコに行くんだってさ」
魅録はテーブルの上に鞄を置き椅子に座ると煙草をふかした。
「それより週末は何処行ってたんだよ魅録」
携帯から目を離した美童が傍らの魅録に視線を送る。
「何処って…ダチと遊びに行ってたけど」
「ふ〜ん」
魅録の言葉に美童が意味深な顔をする。
見ると野梨子を始め可憐も口元が笑っているではないか。
(まさか…)
魅録は清四郎にちらっと目をやった。
戸惑い気味の魅録の視線を受けて、清四郎は肩をすくませる。
「すみませんね魅録。実は魅録に電話をした時、野梨子達も一緒に居たん
ですよ」
「ゲホッ。ゲホッ」
思わぬ清四郎からの言葉にむせ返った魅録は慌ててコーヒーを口にした。
「美童に誘われてパーティーに行った帰りに可憐と清四郎の家に寄ったん
ですの。後から美童も来て4人でお茶を飲んでいたら清四郎が悠理の携帯
を持っているっていう話になって・・・。
だから清四郎が私達に言ったわけではありませんのよ」
さり気なく清四郎をフォローする野梨子に可憐も話しを続ける。
「そうよ。二人で出掛けるならそう言ってくれれば良かったのに。
別に人のデートを邪魔する気なんかないんだから」
「知ってたのかよ…」
思いがけない話の顛末に魅録は決まり悪そうに呟いた。
(ま、魅録の気持ちも分かりますけどね)
魅録の様子を見ながら清四郎は少し同情した。
実際自分も野梨子と出掛ける時には何となく言い辛いし、
もし泊りがけで行くことにでもなったら恐らくメンバーには言わないだろう。
あの時、事情を知っているのが自分だけだったら誰にも口外しなかったのに。
「辛いところですね」
ポンと肩を叩く清四郎に魅録は何とも苦い表情を浮かべた。
すっっっっごいショボイ展開になってしまいました。(汗
本当は、剣菱の婿問題→剣菱夫妻が魅録に奇抜な選考試験を受けさせる
(アドベンチャークイズみたいな w)とか色々な展開を考えていたのですが
とりあえずここで終わりにします。
自分の力量の無さが辛いです。(泣
もし18禁を期待していた方がいたらごめんなさい。
こっちも続けさせていただきます。
>>237&>>244続きです。

ドアを2回ノックして、悠理は魅録の部屋に入った。
千秋から渡されたお菓子の乗ったお盆をテーブルに置く。
「これ、千秋さんが、フランスのお土産だって」
「オフクロがぁ〜?珍しいこともあるもんだなぁ」
と、魅録は少し訝しげにそのお菓子を眺める。
「美味しそうねぇ、食べましょうよ」

3人はしばらくお菓子を食べながら雑談をしていたが、
自分から相談に来たのに、なかなか本題に入ろうとしない悠理に
しびれをきらして可憐が口を開いた。
「悠理、お見合いどうなったのよ?その話しにきたんでしょ」
「あ、うん…」
悠理は、ひとまず往友財閥の子息とのお見合いが翌日に控えていることを話す。
「へえ〜、明日、お台場ねえ…」
「こないだの清四郎とのデートで行ったところ、まわるんじゃないのか」
と、魅録がさりげなく核心をつく。
その名前を出したとたんに。悠理の顔がさらに曇る。
「そうかもな…」
「清四郎のプロポーズはどうしたんだよ、悠理」
「えっ!?」
不意に真をつかれ、悠理は動揺を隠せない。
「美童が、お見合い候補者の中に清四郎の写真を見つけたでしょ?
あんたの様子がおかしいから、もしかしてそうなんじゃないかって。
それでこのあいだ、あんたたちの様子見ていたのよ」
その可憐の言葉に、悠理は美童が家で待っていた日のことを思い出す。
(そうかあ、みんな、全部わかってたのか…)


262続き(2/4):02/03/12 16:48
「お台場行った日からずっと清四郎もなんだか変だし、あのあと何があったんだ?
オレらも途中までしかわからないからさ、聞きたかったんだけど」
(その後って…)
キスされたことがまた悠理の脳裏に蘇った。
「いや、まだ清四郎にはあたいの気持ち何も言ってなくって…」
「清四郎は、何て言ってるんだよ」
「それがさ…、あたいのことが好きだって、で、
いつかあたいも清四郎のことを好きになるって確信している、なんて言うんだ」
その悠理の言葉に、魅録と可憐は不謹慎ながらも声をあげて笑ってしまった。
「な…なんで笑うんだよ!!あたいは真剣に悩んでるんだぞ!」
そんな2人に、悠理はいらだった表情をみせる。
「ごめんごめん、いや、あんまりにも清四郎らしい告白だなあ、って思って…」
いったん落ちついたあと、可憐が続ける。
「でもね悠理、私、お台場であんたと清四郎見て思ったの。
すごく清四郎が優しい目をしてて。
ああ、清四郎、あんたに惚れてプロポーズしたんだな、ってね。
あんたは、ぜんぜん気がついていないみたいだったけれど」
「どうせ、お前清四郎に、
『お前のそういう自信満々なところが大っ嫌いなんだよ!!』
とか、そんなこと言ったんだろ」
自分の言ったことをずばり当てられて、悠理はまた戸惑う。
食べ終わったチョコレートの包み紙をいじりながら、二人の話を黙って聞きつづける。
「…いいか悠理、あいつだって、本当に自信があってそんなこと言ったわけじゃないぜ。
あいつはそういう言い方しかできない奴なんだよ。
それはお前だってわかってるはずだろ?」
魅録は、その悠理の話に、自分が清四郎とケンカしたときのことを思い出してふっと笑った。
「え…?」
「そうよお。本当に自信があったら、それくらいでへこんだりしないわよ、清四郎だったら」
たしかにいつもの清四郎なら、目的のためならあらゆる手段を使うはずだ。
それが、あれ以来直接話をしようとさえしてこないことを、悠理も疑問に思っていた。
263続き(3 /4):02/03/12 16:49
(清四郎が、あたいのことを…)
そう言われると、清四郎の行動全てが少しずつ真実味を帯びてくる。
「でも、わかんないんだよ、あたいは、どうしたらいいのか」
着実に迫り来る結婚話。キス以来の清四郎との気まずい関係。
そして、清四郎のプロポーズ。
いろんな現実が、一気に押し寄せてきて考えがちっともまとまらずにいたのだった。
「とりあえず明日のお見合いに行ってみれば、考えが少しまとまるんじゃないかしら」
「そうだな。相手が変われば、見えてくるものも変わってくると思うぞ」
今日こうやって自分の胸の内を明かしたことで、
悠理はずっとさまよっていた長いトンネルの先に、少し光が差しこんだ気がした。
「ん…ありがと。何だか、すごくスッキリした。
考えてもしょうがないって思うんだけど、どうしても考えちゃうんだよね」
本来の笑顔が戻った悠理に、可憐と魅録もほっとした顔をみせる。
「無理ないわよぉ。突然こんなことになって、混乱するのは当たり前よ」
「うん…じゃ、あたい、母ちゃんが衣装合わせするっていうから、もう帰るわ」
そう言って、悠理は席を立つ。
「何か困った事あったら、すぐに連絡しろよ」
「うん、サンキュ。じゃあね」
264続き(4/4):02/03/12 16:52
悠理が帰り、また2人きりになった魅録の部屋。
すっかり空になったコーヒーカップと、チョコレートの包み紙の乗ったお盆が残された。
「…ねえ魅録、もしかしたら、あの2人うまくいくかもよ」
今日の悠理の様子から、可憐は女の直感でそんな気がしていた。
自分の結婚というより、清四郎への思いに対して戸惑い、迷っている悠理。
それは、それだけ清四郎のことを相手として真剣に考えているということだろう。
「えっ?なんで分かるんだよ?」
魅録には、その理由がわからない。
「…女心がまだまだ、わからないみたいね。魅録には」
そんな魅録を見て、可憐はにっこり微笑む。
「??」
ますますわからないという顔をする魅録。
「・・ふふっ、でも、魅録のそういうところが、好きよ」
可憐が、両腕を魅録の首に絡みつける。
「お、おい、お前なぁ…」
口では困ったそぶりをみせながらも、
魅録はそんな可憐がまたいとおしくなって、その身体を優しく抱きしめた。

どなたか、続きをお願いします〜。
あ、このときの千秋さんの様子も読みたいですぅ〜!

ちょっと先に進んでお見合い当日を書きます。

往友財閥の会長子息との見合い当日。
百合子の反強制的とも思われる指示で、悠理はワンピースにサンダルなどという
普段なら絶対にしない格好をさせられた。
「こんなビラビラした服で歩けるかっつーの。」
ぶつぶつと文句を言いながらも待ち合わせの場所に着くと既に相手の姿があった。
身長は170そこそこといったところだろうか。色白で童顔な面持ちは
いかにも金持ちの息子といった様子で、聖プレジデントにいれば
いくらでも目にしそうな感じだ。
「えっと…悠理さんですよね。僕、綾菊悟です。今日は宜しくお願いします。」
そう言いながら1輪の真っ赤なバラを差し出した悟を見て、悠理は思わず
引きつった笑みを浮かべた。
「…あ、ありがと。あははは…。」
(可憐なら喜びそうだな。)
まさかいらないとも言えず、渋々と受け取る。
「まずは映画でも観に行きましょうか。僕、この映画ずっと観たかったんです。」
嬉しそうに話す悟を尻目に悠理は
(悪い奴じゃなさそうなんだけどなあ…。)
と苦笑した。
266続きです。:02/03/12 22:45
映画は、以前清四郎と観たものと同じであった。
(ま〜た寝ちゃうよ。)
もともとラブストーリーには興味が無い。恐らく5分もすれば眠りに落ちて
しまうだろう。そう考えて映画を見始めた悠理であったが、思惑は見事に外れた。
時間が経っても一向に眠れないのだ。
見たくもなかった映画であったが、クライマックスを迎える頃には
悠理はすっかり見入っていた。
やがて映画は、今まで男性が側にいることが当たり前過ぎて気付かなかった
女性主人公が、男性に触れられた時、初めてその深く温かい想いを感じる
という場面にさしかかった。
(これって…。)
以前、正夢に悩まされた時、勘違いから可憐と自分が死んでしまうと
泣きわめいた時のことを悠理は思い出した。
あの時、自分の頭に添えられた清四郎の腕の感触は今でも覚えている。
「お前は絶対死なない」なんて、ともすればバカにされているような言葉だが
それが清四郎なりの優しさであることは悠理にも分かっていた。
現に、自分は清四郎の言葉に救われた。それだけは確かなことだった。


ということで続きをお願いします。
267名無し草:02/03/12 23:03
>266
おお〜っ!!その場面、すごく素敵な使い方で感激です!!
あの「死ぬわけないだろ・・・」って清四郎がなだめるシーン、私も大好きなんですよ!
財閥子息の絵に描いたようなベタぶりもいいですね(w
彼が本性を見せた悠理を気に入っちゃったりすると、個人的にはまた面白いかも。
スレの流れを無視して勝手な妄想をしていた256です。
結局、自分で続き書いてみました・・・。
一応同年代なんだけど可憐より恋愛経験が圧倒的に少ないので(w
やっぱりさわりだけなんですけど・・・。
よかったら読んでください。

「久しぶりだな、可憐の部屋きたの」
ベッドに腰掛けた魅録が、可憐の部屋を見渡して言う。
「そうだっけ?」
「いや…ひとりできたのが」
連中と一緒には最近も来ていたけれど、ここで二人きりで会うのはずいぶん久しぶりだった。
テーブルの上に残っていたティーカップの紅茶を、一息に飲み干した。
「こないださ、美童に『可憐また新しい恋してるんじゃないの?恋に落ちてる顔してるよ』
なーんていわれて、焦っちゃったわよ」
そのカップをテーブルに置いて、可憐は魅録の隣に腰掛ける。
「…まあ、ばれたらそのときだな」
その光景を思い浮かべ、魅録は苦笑する。
「それまではゆっくり、こうしてましょうよ」
そうやって甘える可憐の顔が、美しくて、色っぽくて。
魅録はしばらくその顔をみつめていたら、可憐が眼を閉じたので、それに唇を合わせた。
キスしたまま、可憐を柔らかな身体に触れる。
魅録の骨張った手が、豊かに盛り上がった可憐の胸のふくらみに伸びる。
「なあ、可憐……いいか?」
その言葉が何を意味するのか、可憐にも分からないことはなかった。
今日魅録がここに来る前から、そのつもりではあった。だからお風呂に入り、
美容パックをして、下着もとっておきのものを選んできていた。
「……いいわよ」
正直可憐も、同じ気持ちだった。
「…俺、さっき家出る前にシャワー浴びてきたんだぜ」
そう言ってTシャツを脱ぐ魅録の言葉に、思わずクスクス笑う。
「…な、なんで笑うんだよ」
「だって、……やっぱり私と魅録は、通じてるんだなあって思って」
そのままふたりは、時が経つのも忘れてお互いの愛を確かめ合っていた。




269続き:02/03/12 23:14
可憐のベッドは2人で使うには少し狭くて、気がつけば床に移っていた。
身体の熱さが、床の冷たさを忘れさせた。
それ以上に相手を激しく求め合う気持ちが、そうさせていたのかもしれない。
床に寝転んだまま、毛布をかけてふたりは並んでいた。
すっかり眠ってしまった魅録の横顔を、優しく眺める可憐。
こんなに幸せになったのは、もしかしたら初めてかもしれなかった。
恋をしている間は、いろんな夢をみることができて、楽しいことばかりだけれど。
いざその夢が叶うと、現実には避けて通れないことがいろいろあって、
それが可憐の気持ちを少し冷めさせているところがあった。
頑張ってアタックして、やっと恋人になれたのに、相手が身体目当てだとわかって
誰にも言えずに悲しい思いをしたこともあった。
(相手の気持ちが、こんなに信じられるってだけで、これだけ満たされるなんてね)
それは、他の誰でもない、魅録だからなのだろう。
出会ってからずっと培われてきた信頼は、恋人になってからも変わらず、
いやそれよりもますます増してきていた。
そして今日、さらに、可憐のその気持ちは大きくなっていた。

意外とロマンチストな可憐は、こんなことを考えるんじゃないかなぁ、と・・・。
もちろん魅録くんとは、ラブラブで。
しかし観覧車のシーンといい、私はクサイのばっかり書いてるな(w
補完してくれる方、募集中〜。

270名無し草:02/03/13 03:35
>すっかり眠ってしまった魅録の横顔を、優しく眺める可憐。
ここを読んで、魅録ったらそんなに頑張っちゃったのね・・・
と思った私は、乙女失格かもしれませぬ(w
271名無し草:02/03/13 07:35
やくざ抗争編の作者でございます。
続きを書いてるうちに、
いつのまにやら誘拐後の龍之介くんのキャラが立ちまくりで、
有閑メンバーの影が薄くなってきて困ってます…。
どぉしよう…。

ちなみに、龍之介のビジュアルは、
こいきな奴らパート2のクリームを想像しながら書いてます。
ちなみに後から出てくる夏目氏はパイだったりします。
>>265-266を書いた者ですが、もう少し話を進めてみました。
連続になってしまいますがご了承を…

その後オープンカフェへと移動した悠理は、香ばしい匂いに誘われ
食欲がわいてきた。
「ここのサンドイッチ、すっげ〜美味いんだよ。」
直ぐにでも食べたいと言わんばかりの悠理。
「前にも来たことがあるんですね。お友達とですか?」
悟の素朴な問いかけに悠理はさらりと返した。
「そ。『お友達』とね。」
ひとしきり食べ満足した二人は、展望台へと向かった。
「あ!悠理さん。プリクラ撮りましょう。僕、一時期プリクラにはまって
いたんですよ。お友達と交換とかしませんでしたか?」
先程までとは打って変わり嬉々とした表情を見せる悟に、悠理は少し
面食らった。
「あたいの『お友達』はプリクラが苦手なんだよ。」
「それって恥ずかしいからですかね。悠理さんみたいな美人な方と一緒じゃ
誰だって緊張しますよ。」

展望台からお台場を一望しながら悠理は考えを巡らせた。
悟の問いかけに出る『お友達』という言葉に自分は清四郎を重ねている。
清四郎は本当に自分にとって「友達」なのだろうか。
確かにいつも一緒に居るが、それなら魅録や美童と変わらない。
いや、彼らと清四郎とは違うことがある。魅録達と居る時には、何も考えず
楽しく遊ぶことが出来る。だが清四郎が相手だと色々と考えてしまい、
そうはいかない事が多々ある。そして魅録達とは間違ってもキスはしない。
仮に美童辺りがそんなことをしてきたら、間違いなく飛び蹴りの一つも
食らわせるだろう。それをしなかったのは清四郎が自分より強いからではない。
あの日以来、自分の唇がやけに赤みを帯びている様に感じる。

ボンヤリと分かりかけているその理由を、はっきりと確かめたい。
その後、二人で広場を歩いていると見知らぬ男が声を掛けてきた。
「彼女。お茶でもしない?」
その声に悠理が振り向くと、20代前半と思われる茶髪の男性が立っている。
珍しくスカートをはいている悠理は確かに目立っていた。
「悪いけど連れがいるんだ。」
「いいじゃん。こんな冴えない奴。俺と何処かに行こうよ。」
傍らで済まなそうに立っている悟を見た男は、その華奢な身体を突き飛ばした。
男の態度に、我慢していた悠理の感情にスイッチが入った。
「うるせーな。お前がどっか行けよ!」
「何だと?」
思わぬ悠理の反撃に男の顔色が変わった。
「この野郎!調子に乗りやがって!」
「あたいに喧嘩ふっかけてくるなんて上等じゃん!」
男に食って掛かる悠理とは対照的に悟はオロオロするばかりだ。
男が悠理目掛けて腕を振りかざす。
「そんなん恐くも何ともないんだよ!」
悠理が男に立ち向かおうとしたその時、悠理の腕を制する者がいた。
「何だよ!」
振り返るとそこには清四郎の姿があった。
「な、何でお前がここに居るんだ!?」
驚きを隠せない悠理を見ながら清四郎は溜息をついた。
「どう見ても悠理の方が強いですよ。今日は折角の場です。喧嘩なんて
みっともないですよ。」
たしなめる様に清四郎が言う。
「う、うるさい!お前には関係無いだろ!」
動揺を隠せない悠理を尻目に、清四郎はその男の腕をぐっと掴む。
掴まれた腕の痛さと有無を言わせない清四郎の態度に、男は
「こんな女、こっちから御免だぜ」
などと捨て台詞をは吐くと逃げ去って行った。
「…綾菊さんですよね?折角のところを邪魔して済みません。…ただ、
悠理はもともと口も悪いし喧嘩も並の男より強いです。そこのところを
ご理解下さい。」
それだけ悟に言うと、清四郎はその場を後にした。
思わぬ人物の登場に暫らく呆気に取られていた悠理であったが、ふと
笑いがこみ上げてきた。口では何も言わないが、悠理のことが心配で
後をつけていたことは想像に難くない。
「あいつらしーや」
声を上げて笑う悠理に、悟が話しかける。
「悠理さんのそんなに嬉しそうな顔、初めて見ました。今日はずっと
心ここに在らずって感じだったから…。今の方はお友達ですか?」
悟の問いかけに悠理は優しい表情を見せた。
「今の、あたいが好きな奴なんだ。だから綾菊君とは結婚出来ないよ。
ごめんね綾菊君。」
きっぱりと言い放つ悠理の表情に迷いは無かった。
「…そうなんですか…。今の方、素敵ですもんね。悠理さんにお似合いですよ。」
「ありがと。綾菊君もさ、こんな大人達が勝手に決めた奴じゃなくて
自分が本当に好きな子と結婚した方がいいよ。」
「はい…。そうします。」
最後まで何とも弱気な悟の素振りに、悠理は再び苦笑した。
悟と別れ清四郎を探していた悠理は、海浜公園のベンチにその姿を発見した。
「お前、今日ずっと尾行してたのかよ。」
悠理はからかい半分で清四郎に話しかけると、隣りに腰を下ろした。
「ヒールのあるサンダルなんか履いて、いつ転ぶかヒヤヒヤしてましたよ。」
肩をすくめる清四郎に悠理は笑みを見せた。
「何か飲みたい。」
「はいはい。」
清四郎がコーヒーを買いに席を外した後、悠理は手すりに身を預けていた。
先程観た映画のワンシーンがどうしても忘れられない。
微かに塩の香りのする空気を吸い込むと瞳を閉じた悠理は、
頭の中で幾度も、擦り切れるほど反芻し、その意味を考えていた女主人公の
セリフをゆっくりと口にした。
「私ったらバカね。自分が望む幸せの形が、こんなに近くにあったことに
何故、今まで気付かなかったのかしら。」
「僕も、この手で君に触れて、初めて誰かを愛しいと思う感情があることを
知ったんだ。」
(何?)
後ろを見ると清四郎がコーヒーを片手に立っている。
「この前の映画のセリフですね。」
清四郎が発した言葉は、女性のセリフを受けた男性側のものだった。
「…覚えてたのかよ…」
さすが清四郎だ。驚くほど記憶力が良い。
自分の言葉を訊かれた悠理はばつが悪そうにコーヒーを口にした。
朱色の夕日が西の空に沈みかけていた。
ゴンドラがゆっくりと地上を離れる。清四郎と悠理は再び観覧車に乗っていた。
あの時と違うのは、二人が自然と並んで腰を下ろしたということだろうか。
徐々に小さくなっていく街並を眺めながら悠理が口を開く。
「なあ清四郎。こないだお前に言った言葉、後半部分だけ訂正してやるよ。」
「ああ…『お前のそういう自信満々なところが大嫌い!』ですか?」
「記憶力が良すぎるんだよ。」
一言一句自分の言った言葉を覚えている清四郎を悠理は皮肉る。
「で、後半というと『大嫌い』の部分ですか?」
「ああ。だって前半の『自信満々』ってところは本当だろ?」
「どう訂正してくれるんですか?」
意地悪く悠理に問いかける清四郎。
「…反対の言葉にしてやるよ。」
「と言うと?」
尚も清四郎はポーカーフェイスを崩さない。
「だから…!」
思わず立ち上がる悠理。
「お前のそういう自信満々なところも全部大好きだっつってんの!」
大声で叫んだ後、我に返った悠理は決まり悪そうに腰を下ろすと
横を向いた。
そんな悠理の様子に清四郎はふと笑みをこぼすと咳払いをした。
「じゃあ、僕も改めて言います。
結婚しよう悠理。僕はずっと悠理の隣りを歩いていきたい。
悠理を守っていきたいんです。」
「…他に適当な奴も居ないし、又、綾菊みたいな弱っちい奴と見合いを
させられるぐらいなら、清四郎で我慢してやるよ。」
「相変わらず素直じゃないですね。」
「それはお互い様だろ?」
視線を合わせた二人はふっと笑い合った。
清四郎は悠理の背中に腕を回すと力強く抱きしめた。
「あの映画には正直僕も驚きましたよ。」
「『自分にも誰かを愛しいと思う気持ちがある』っていうところに?」
清四郎は悠理の問いには答えず、その頬を両手で包むと顔を近づけた。
あの時とは違い、ゆっくりと優しく唇が重なる。
二人の影がようやく一つになった。
長々と大変失礼しました。
悠理も清四郎もキャラが違っているところが多々見受けられますが(汗
勿論終わりではありませんので、今度こそ続きをお願いします。
278名無し草:02/03/13 13:25
>>277
いや〜ん、昼間っからなんだかにやにやしちゃいましたよ。
その後の話がすっごく楽しみ!
277さん、是非書いてくださいね!
279268-269:02/03/13 15:35
>270さん
いや、そのとおりです、3回という設定で書いてます(w
絶対この2人、激しそうなんだもん・・・。

悠×清も、ついに結ばれましたね〜。とっても2人らしい展開です!
結婚発表と、菊正宗家にごあいさつがありますね。
みんなのリアクション楽しみです。
それから魅×可の関係を、どうやってばらそう・・。
デート中のふたりを、美童が発見!とかかな・・・。
アイディア募集してます。
280名無し草:02/03/13 16:42
>276
>「…他に適当な奴も居ないし、又、綾菊みたいな弱っちい奴と見合いを
>させられるぐらいなら、清四郎で我慢してやるよ。」
いや〜ん、このセリフがツボですわ。悠理らしい♪
清四郎、名誉回復おめでとう!
おば・・・ゲフゲフ・・・おねえさんは嬉しいよ。
 
>279
バラし方、難しいですね。
赤くなったり照れたりする魅録が大好きなので、
デートだけよりもキスしてるところを見られたとか、
いちゃいちゃしてるところを見られたとかをきぼん。
281名無し草:02/03/13 17:16
思い切って、ホテルに泊まってたところをデート中の美童と遭遇とか。
だめっすかねぇ。
>268と>269の間を書いてみました。18禁ですのでご注意ください。

初めて抱き合った後、放心状態の魅録に可憐がささやく。
「ちょっとビックリ」
「え?」
「魅録ってテクニシャンだったのね」
「・・・」
「色恋は苦手だって言ってたくせに、どこで磨いた技なのかしら」
「おまえこそ、誰と比べて言ってるんだよ」
「比べる相手なんていないわよ。私は魅録が初めてだもの」
「こいつ!」
魅録は可憐を力いっぱい抱きしめた。
笑い合う2人。そのまま軽いキスをかわす。
何度も繰り返すうち身体に新たな火が灯り、2回戦へとなだれ込んでいった。

魅録の巧みな愛撫に再び上気してゆく可憐。
そんな彼女をうっとり眺めていると、可憐に抗議された。
「私ばっかり感じさせて、ズルイわよ」
「んなコト言われても・・・」
「お返し」
言うなり、可憐は魅録のそこに手を伸ばした。
「うっ」
ふいをつかれて、思わずうめき声が漏れてしまう。
悶える彼女に刺激されて固くなっていたそれは、柔らかい掌に包まれて
さらに強度を増した。
>>246続き、書かせて頂きます。

こちらは魅録の部屋の様子を偵察中の千秋。
息子のことが気になっていたので盗聴器を取り付けたのだが、
そこに思いもよらず悠理の話が耳に入ってくる。
(へえ〜、清四郎くん、なかなかやるじゃないの)
百合子から豊作の結婚と、それに伴って悠理の婿取りを考えていることは
以前から聞いていた。そして百合子がその相手に、
万作ともども清四郎を推していることも知っていたが、
前回の騒動のこともあり、どうも難しそうだという話だった。
その清四郎が悠理にプロポーズとは…。
しかも悠理も前向きに考えている様子だ。
(やっぱり男は押しが大事よねぇ。うちの魅録も見習って欲しいものだわ。
時宗ちゃんと私の息子なのに、どうしてああなのかしら)

悠理が帰ってしまい、結局肝心の疑惑はいっこうに分からずじまいだった。
「あら、奥さま、何を聞いてらっしゃるのです?」
お茶を運びに来たお手伝いの女性がそう尋ねる。
「あ、いや、ちょっとね、面白いのよ、これ」
不思議そうな顔をして、お手伝いはお茶をテーブルに置いていった。
(考えすぎだったのかしらね…)
そう思って千秋がイヤホンを外そうとすると、
部屋にいる2人の会話の空気が一変したのを感じる。
そこから聞こえてくる甘い恋人同士の会話。
(やっぱりね…みんなには、まだ、秘密ってことか)
事実関係が分かったことで、とりあえず千秋の気は晴れた。
これ以上聞くのは、さすがに実の親でも野暮なことだと思って、
ニンマリと笑って千秋はイヤホンを外し、煙草をふかしだした。
魅録の様子に気をよくした可憐は、さらに大胆な行動に出た。
起き上がって口に含んだのだ。
根本を握り締めたまま舌でカサの部分をなぞってゆく。
チロチロとしたその感触に、魅録は夢見心地だった。
カサが開くと今度は唇での刺激・・・根本の手も上下に動き出す。
「可憐、いっちまうよ」
「ダメ。これからなんだから」
そう言うと可憐は上に乗り、魅録のそれを自分の中へと導いていった。
「あぁ・・・」
期せずして、同時に声が上がる。

しばらくじっとしてその感触を楽しんだ後、可憐は身体を動かし始めた。
豊かな乳房が魅録の上で微かに揺れる。両手を伸ばして鷲掴みにすると、
それに応えるように可憐の動きも激しくなっていった。
魅録も負けじと可憐の腰を両手で抱え、そのまま下から突き上げる。
「あぁん、意地悪!」
耳をかさず、何度も突き上げた。
言葉にならない言葉の応酬。先に耐え切れなくなったのは可憐だった。
「私、もうダメ・・・魅録・・・魅録!」
魅録も限界だった。
その声に誘われるままに、ありったけの情熱を可憐の中に注ぎ込んだ。


3回のH(w のうち、2回目を書いてみました。
1回目は魅×可だろうから、2回目は可×魅ということで妄想・・・
おしとやかな可憐をイメージしていた人にはゴメンです。
286名無し草:02/03/13 22:35
>283-284さんスマソ。
18禁ネタに挟んでしまって申し訳ない・・・(汗
287名無し草:02/03/13 22:38
>286さん
とんでもない!!こちらこそタイミング悪くて・・・。
しかも私、元ネタを書いた268−269です(汗
いい感じに書いていただいてありがとうございました!!
私の想像通りです(w
288千秋の画策編続き:02/03/13 22:41
では改めまして>>284続きを。

夕暮れ時になり、玄関先で別れる魅録と可憐。
「じゃあね、魅録。」
「ああ、またな」
そこに、千秋がやってくる。
「あ、千秋さん。お菓子ごちそうさまでした」
「いやいや、いいのよいいのよ」
不敵な微笑みを浮かべる千秋に、何かイヤな予感を感じる魅録。
「じゃあ、どうも、お邪魔しました〜」
「こちらこそ。また来てね、可憐ちゃん。うちのバカ息子を、これからもよろしくね」
最後に、意味深な一言を付け加える。
「はい、じゃあ、失礼します」
そういって可憐は玄関をあとにした。
「どうしたんだよ」
用も無いのに玄関に出てきた千秋を不思議に思って、そう尋ねる。
「いや、せっかく家にいるから、お見送りでも、と思ってね♪」


289続き:02/03/13 22:42
(何か、おかしいな……)
その場は手を振って可憐と別れた魅録だが、千秋のその様子にますます悪い予感がしてきて、
慌てて部屋に戻り、お菓子の袋を広げ、そしてお盆をひっくり返す。
とたんに、頭にカーッと血がのぼる。
(〜〜〜〜〜なんだよ、これは!!)
そのお盆を持ったまま、ドタドタと千秋のいる茶の間に駆け込み、
障子を壊れそうなくらいに勢いよく開けて怒鳴る。
「おいっ、オフクロ!!」
「オフクロって呼ぶなって言ってるでしょ!!」
「そんなことより、これ、何だよ!!」
手にしたお盆を裏返して、千秋の方に見せる。
「あ、ああ…いや、あんたの作った盗聴器って、ほんとうに感度いいわねえ〜」
見つかってしまったと、諦め顔をする千秋。
「〜〜〜」
相変わらずの千秋の態度に、怒る気力も失せてしまった。
「魅録、私、ほんとうに嬉しいわぁ。あんたも年頃の男の子だったってことが分かって」
「あのなぁ…」
もう、こんな千秋には何を言っても無駄だということは分かっていた。
諦めて、部屋へと戻ろうとする魅録に、千秋がさらに一言投げかける。
「当然、もうキスくらいは済ませたんでしょ?」
顔を真っ赤にさせて、魅録は自室へ逃げ込んで行った。

千秋さんはちくったりしないので、他の面々には一切内緒ということで。
続きお願いします。
290名無し草:02/03/13 22:49
>287さん
268-269さんでもあったとは奇縁ですね。
それにしても良かった。想像と違わなくて。
書き出しを河惣益巳さん「ツーリング・エクスプレス」の
エドとフランのエピソードから借用したら、なんとか書けました。
本当は1回目を書きたかったんですが、どうにも難しくって。

ところで、3回目はどっちがリードするんでしょうね(ヲイ
>284で千秋さんが聞かなかった間の出来事も気になります(w
291名無し草:02/03/13 23:00
>290
3回目は、やっぱそんな可憐の艶姿に魅録が興奮するのでは・・・。と妄想。
あ、でも1回目もそんな感じかも(w
292 :02/03/13 23:06
>>282・285
ナイスです!
にやにやしちゃった(w
あの2人なら確かにこんな感じ。
私のイメージにぴったりでした。
あー楽しかった。

>>283・284
千秋さんもさすがに野暮なことはしませんね。
ホッっとしました(w
「若いっていいわねぇ・・・」
なんてつぶやきが聞こえてきそう。

293nanashi:02/03/14 00:01
そういえば、美童vs清四郎の
どっちが野梨子の胸を大きくするか競争の続きが気になる!
どなたか続きを・・・
294名無し草:02/03/14 03:49
嵐です。
ただ今、サイト名の投票をやっています。
18日(月)までですので、ぜひご参加ください。
 http://dx1.kakiko.com/anime/clu/club2/index.html
なお、サイトへの感想・要望などはこちらです。
 http://dx1.kakiko.com/anime/clu/club1/index.html
どうぞよろしくお願いします。
295名無し草:02/03/14 22:01 ID:???
>>277
いや〜よかったですね!!
これから結婚発表&結婚式やりますか??
楽しみですねぇ。
296やくざ抗争編:02/03/15 02:49 ID:???
やくざ抗争編、やはり有閑メンバー、脇役並み…。
勝手に、龍之介を菊翁のお気に入りって設定にしたもんだから、
百合子さん並みの勢いがなくちゃなーと思って書いてたら…。
誰もいない間にささっと終わらせちゃいますね。

>>252の続き
その頃、民夫が運転する車に乗った龍之介は、サトルに詰め寄っていた。
「親父の具合はどうなんだ!?」「えっ、えっと…、命に別状はないそうです…。」
「誰にやられたんだ!?花咲組か?夏目は?一緒にいたんだろ?あいつは無事だったのか!?」
矢継ぎ早に出される龍之介の質問に、とうとうサトルは答えられなくなった。
「ぼっちゃん、すんません!」いきなりサトルが取り出したハンカチで薬をかがされ、
龍之介は気を失った。「民夫の兄貴〜、ぼっちゃんに、こんなことして大丈夫なのかよ〜。」
サトルは半泣きである。
「うるせぇ!しょうがねぇんだ!しょうがねぇんだよ!!」車を運転しながら、民夫が叫んだ。
297やくざ抗争編:02/03/15 02:50 ID:???
「もしかしたら、警察にバレないように、入院させたって可能性もあるぞ!」
「そうだ!清四郎、病院に電話してみろ!」
清四郎は、菊正宗病院に電話をした。
「やはり、それらしい人物は運ばれてきてないようです…。」
「ていうか、一体どういうことなのよ!話が見えないわ!」
「実は…。」魅録は、野梨子達に、話の説明をした。「まぁ…。」「うそっ!」「コワイよー!」
「おそらく、このLSDを持っているのが龍之介君だと思って、
花咲組の連中が誘拐したと考えるのが妥当でしょうね。」
「迂闊だったな。ヤツら、龍之介のこと千歳鶴組の組長の息子だってわかってたんだな。」
「でも、おかしいですわ。龍之介さんを迎えに来た方たち、千歳鶴組の方だったんですのよ?」
「うわ、そうだった!まさか千歳鶴組に花咲組と通じているヤツがいるとは思いたくないが、
花咲組がずっと千歳鶴組のシマを狙っていたとすりゃぁ、あり得ない話じゃねぇな。」
その時、部屋のドアが開いた。
298やくざ抗争編:02/03/15 02:51 ID:???
部屋に入ってきたのは、先日悠理にやられた3人組のやくざだった。
誰もいないと思って入ってきたのか、3人は、部屋にいた6人に、特に悠理に驚いた。
「これを探しにきたんですか?」清四郎がLSDの袋を一つ揺らした。
「くそっ!やっちまえ!」
「お前らにやられるような悠理さまじゃないんだよ!」悠理が一人を蹴り倒し、
「てめぇら、龍之介をどこに連れてった!?」魅録がもう一人を殴り倒した。
残された男が拳銃を取り出そうとしたのを見て、清四郎は、
「拳銃が恐くて、有閑倶楽部は務まりませんよ!フムッ」と拳銃をたたき落とした。
そして、男の胸ぐらを掴むと、「お聞きしたいことがあります。」と詰め寄り、
龍之介の居場所を聞き出した。
「やはり、花咲組の事務所ですか…。どうします?正面から乗り込みますか?」清四郎は魅録を見た。
「そーだな。オレ達、組とは関係無いから抗争にはならねーよな。」魅録がニヤリと笑った。
「そうそう、あたいら有閑倶楽部の健全な倶楽部活動だい!」悠理もやる気満々である。
「とりあえず、野梨子達で、このLSDを親父に渡してきてくれ。これだけでも十分、証拠になるだろうから。」
「えぇ、わかりましたわ。」「あ、あの、僕も野梨子達と一緒でいいんだよね?」美童が不安げに聞く。
「誰も、美童に武闘派を期待してませんよ。」「ホッ、よかったぁ。」
「…さて、それでは。」「いっちょ暴れてくるか。」「龍之介奪回作戦決行だぁ〜!」
299やくざ抗争編:02/03/15 02:53 ID:???
その頃、花咲組では、
「うぅ、頭痛ぇ…。」龍之介は意識を取り戻した。
が、後ろ手に縛られて自由が効かない。
「どこだぁ、ここ?オレ確か、民夫の車に乗ってたよなぁ?」
だんだん目が慣れてくると、目の前に2人の男がいるのに気が付いた。
「サトル、民夫…、どういうことなんだ?」
サトルと民夫は、何も言わず龍之介の目の前で正座している。
「全く、オレもだらしねぇよなぁ…。いてててて。」龍之介は上体を起こした。
「くっくっく、起きたかい?千歳鶴組のお坊っちゃんよぉ。」
「あんた、花咲組の組長の…。確かすっげぇ顔に似合わない名前の…」
「おうとも、オレが花咲組組長・花咲薫だ。顔に似あわねぇってのは余計だが。
それにしても、さすがは千歳鶴組の組長の息子だな。腹が据わっていやがる。」
「この年になってまで誘拐されるとは思ってなかったが、
まぁ、こういう状況は、小さい頃から慣れてるからな。でも、今回はかなりムカついてるぜ。」
「まぁ、そうだろうな。信じてた組員に裏切られちゃなぁ。」と薫はニヤニヤと笑った。
サトルと民夫は顔を背けた。
「オレがムカついてんのはこいつらにじゃねぇよ。
まったく、こいつらがこんなことすんのは、よっぽど思い詰めてのことだよな。
ま、おおかた、てめぇらに変な弱みでも掴まれてんだろ?
そんなことにも気付いてなかった、うちの親父にムカついてんだよ!」
「ぼっちゃん〜!すんません」「龍之介さん!すまねぇ…。」サトルと民夫が泣いている。
300やくざ抗争編:02/03/15 02:54 ID:???
「くっく、聞きしにまさるお人好しぶりだな。こりゃ、確かにやくざにゃむかねぇな。
お前の親父さんがお前を跡目にしないのは正解だったかもな。
やくざになるのがこわくてコックになりさがったおぼっちゃんか。こんな雑魚かばうなんてアマちゃんだな。」
と、サトルと民夫を何度も蹴り上げた。「うぐっ…。」「ぐへっ…。」
「花咲、やめろ!こいつらには手を出すな!」龍之介が叫ぶ。
「龍之介さん…、いいんです。オレら、ホントにどうしようもねぇ…。」
「ぼっちゃん、しょうがなかったんです。兄貴、惚れた女を拉致られて…。」
「組より女が大事だなんてなぁ〜。ホント、どうしようもねぇ組員だよなぁ。」花咲は再び2人を蹴り上げた。
「…うちの組員に手を出すのをやめろと言ってるんだよ。おっさん…。」
花咲を睨み付けながら龍之介は立ち上がった。
「腕しか縛ってないのは間違いだったな。」
龍之介は思いっきり花咲を蹴り上げた。しかし、すぐに組員に取り押さえられてしまった。
蹴られて倒れた身体を起こされながら、
「手荒な真似はしたくなかったが、そうもいかねぇようだな。」花咲は、床に伏している龍之介に唾を吐いた。
「こいつら3人とも、しっかりふんじばって閉じこめておけ!千歳鶴組との戦争の大事な手駒だ。」
301やくざ抗争編:02/03/15 02:55 ID:???
龍之介達は狭い小部屋に閉じこめられた。
「ぼっちゃん、ホントにすんません。すんません…。」サトルが泣いている。
「龍之介さん、サトルは悪くねぇんだ。しかし、龍之介さんまでこんな目に会わせちまって…。
組長に会わせる顔がねぇ…。この詫びはオレの指で…。」民夫が思い詰めた顔で言った。
「もういいって、民夫。もうすぐ助けが来るだろうし、どっちにしろお前の指なんぞ、食材にもならんわ。
組より、惚れた女が大事、いいじゃねぇか。オレはそういうヤツは嫌いじゃない。」
「龍之介さーん…。」民夫はもう号泣している。
「それにしても、助けって、ぼっちゃん…。」
「昔はなー、こういう時は大体夏目が迎えに来てたんだが…、
ま、今回は当然あてにしないけどな。でも、オレのダチにも、かなり頼りになるヤツがいるんだよ。
しかし、無様に縛られたままで助けられるのもなんだなぁ。いちおう、縄からは抜けておくか。」
そういうと、龍之介は腕の縄をはずしはじめた。
「すげぇ〜、ぼっちゃん!」サトルと民夫は驚きを隠せない。
「こちとら、何度も誘拐されてんだ。これぐらい学習してないとな。」ニヤリと龍之介は笑った。
「この人、強者だ…。」民夫は開いた口が塞がらない。
「どうやら、外が騒がしくなってきたな。魅録達が来たかな?
さてと…、縄からは抜けたが丸腰には変わりねぇなぁ。
ひとりふたりぶん殴って、拳銃でも頂くとするか。
とりあえず、お前らはここでおとなしくしてろよ。」
そういうと、龍之介は部屋の鍵も簡単に開け、部屋から出ていった。
「兄貴ィ、アレ、ホントなんですかねぇ?
ぼっちゃん、毎回自分から誘拐されて、その度にいっつも大暴れしてたって…。」
「オレ、その噂今なら信じるぞ…。」
302やくざ抗争編:02/03/15 03:02 ID:???
なんか、本文が長すぎ〜のエラーが出まくるので、
今日中に終わらせることができませんでした。
もうちょっと、おつきあいの程、よろしくお願いします。
303名無し草:02/03/15 03:08 ID:???
有閑倶楽部らしい展開で(・∀・)イイ!
龍之介に惚れてしまいそうです。
ごめんね、魅録・・・(って誰も聞いちゃいないがw
>>120の続きになります。
野梨子の様子がおかしいことに気がついてから随分経つ。
目は一人の男を追いかけ、そのくせその男が自分の方を向くとすぐに視線を逸らす。
溜息がめっきり多くなり、話をしていても上の空のことさえある。
恋煩い・・・野梨子はいじらしい魅録に恋しているのだった。

自分の周りにいる恋愛慣れした女たちとは違う反応に、美童は新鮮な驚きを覚えていた。
(応援してやりたいけど、脈あるかなあ)
恋は甘く切ないものだが、時に残酷な顔を見せることもある。
恋する相手から同質・同量の想いを返してもらえるとは限らないのだ。
魅録も野梨子のことを好きには違いないだろうが、その「好き」が野梨子と同じかどうか。
(野梨子も辛いところだろうな。いつまで自分を保っていられるか・・・)

野梨子に同情的なのは、今の野梨子の様子がかつての自分に重なるからかもしれない。
誰かに焦がれ、自分で自分をコントロールできなくなる感情を恋と呼ぶなら、
あれはまさに恋だったのだろう。
あの時以来、誰にものめり込めなくなった。いや、のめり込むことを恐れ、そうならずに
済む相手とだけ付き合うようになった、と言った方が正確かもしれない。
プリンセス・ミュスカに出会った時これこそ恋だと思ったけれど、今にしてみれば
あれは自己愛の一種だったのだろう。自分に似た女性にならもう一度恋することが
できるかもしれないと、心のどこかでずっと考えていたから。
(あなたのせいでこんな風になるなんて、思いもしなかったよ)
脳裏に浮かぶのは、セミロングの黒髪と切れ長な目。

想いはあの夏に返ってゆく・・・
その夏、美童はアメリカにいた。サマーカレッジの英会話クラスに通っていたのだ。
彼女と出会ったのもそのクラスだった。
斜め前に座った彼女は、意思の強そうな眼差しで講師のことをじっと見つめていた。
(気の強そうな美人っていいねえ。僕もあんな目で見つめられたいよ)
美童は横目で見ながら、楽しいクラスになりそうだとほくそえんでいた。
自己紹介で彼女は、自分が日本人であること、大学の休みを利用してやってきた
ということを、歯切れの良い英語で話した。
(日本人だったのか。よ〜し、そこから攻めてみよう)

その日のカリキュラムが終わると、美童は早速日本語で話しかけた。
金髪の美童がいきなり日本語を話したものだから彼女はめんくらっていたが、
祖母が日本人であることを告げると親近感を抱いてくれたようだった。
「もっと日本のことを聞きたいなぁ。夕食を一緒に食べに行かない?」
「そうね。どこかいい店知ってる?」
「任せて」

店に着くまでの間、いろいろな話をした。
クラスのある間、ホテルに泊ってキャンパスまで通う予定だと言う。
クラスメイトの殆どはホームステイをしていて、それは美童も同じだった。
「金持ちなんだねえ」
「父親が、よ。私がじゃないわ」
「そういうところ、とっても魅力的だよ」
「あはははは、ありがと」
笑い方がいささか気になったけれど、美童はいつも通り口説き始めることにした。
「その瞳も唇も魅力的。食べてもいい?」
いきなり彼女が吹き出した。
勝手が違って焦る美童を前に、お腹を抱えて笑い転げている。
「ごめん、ごめん。でもおかしくって。子どものくせに、おマセさん!」
「・・・」
そんなことを言われたのは初めてだった。
「子どもじゃないよ」
やっとのことでそれだけ言い返す。
「子どもと言われて怒るのは、子どもの証拠よ」
「僕はもう大人さ」
「誤魔化しても駄目。あなた14・5歳でしょ」
歳を言い当てられたのも初めてだった。いつもなら20歳以下に見られること
など殆ど無いのに・・・

今の美童なら、うまくかわして形勢逆転することもできたろう。
しかしその頃はまだ経験不足。真正面から言い返すのが精一杯だった。
「自分だって、いくつも変わらないくせに」
「まあね。でも今ぐらいの歳の年齢差は大きいのよ」
「ふん、大人ぶっちゃってさ」
「うふふふふ。そういう年頃なの」
ああ言えばこう言う。そのくせ笑顔はすこぶる魅力的なのだ。
素直に負けを認めるしかなかった。
「僕の負けだよ。まいったなあ」
「いじめちゃってごめんね。お詫びにおごるわ」
すっかり彼女のペースだったけれど、不思議とイヤな気はしなかった。

一緒に過ごす時間は楽しかった。
彼女は聡明で機知に富み、そしてちょっぴり皮肉屋だった。
美童はどんどん彼女に惹かれていき、絶対に口説いてみせると心に誓った。
307名無し草:02/03/15 03:52 ID:???
この際、美童にもホロ苦くなってもらおうと思って書いてみました。
サマーカレッジだの英会話クラスだのいい加減なことを書いてるので小一時間
問い詰められてしまうかもしれませんが、メゲずに続けていこうと思ってます。(をい
>>276の続きになります。
ストーリーは進んでませんが、清四郎宅の反応を・・・。

「ええ〜っ!!な、何だって!?」
清四郎が一言発した瞬間、菊正宗家に激震が走った。
「せ、清四郎…け、け、結婚って…」
今回の一件について、一切話を聞いていなかった清四郎の家族は
一同口をあんぐりと開けて唖然としていた。
「つきましては、結婚の承諾を頂きたいと」
それとは対照的に、あくまで冷静にことを運び、事情を説明する清四郎。
(大丈夫なのかなあ…)
それを横で見ている悠理は、心配でしょうがなかった。
なにぶん前回の騒動のこともあるし、剣菱とかかわるのはこりごりだと思われている気がした。
「で、でも清四郎、この前剣菱の跡継ぎは無理だって…」
「悠理ちゃん、ほんとうにいいの?清四郎なんかで…
こんな、プライドばっかりの奴、疲れるわよ〜」
(こいつ、ひどいいわれようだなあ。こんな奴でも、家族には頭があがらないのか)
家族にそんな言われ方をしている清四郎に、
悠理はどこか自分と似たものを感じて、ふっと笑みをこぼした。
「たしかに、剣菱の後がまには、他に誰かふさわしい人がいるのかもしれません。
でも、悠理の夫になれる人間は、僕以外にいないんですよ。
たまたま、悠理が剣菱財閥の令嬢だった、という、それだけのことです」
「おい、他にあたいと結婚できる人間がいないってどういうことだよ!」
悠理は、その言い方に憮然とした顔をみせる。
「おや、僕は本当の事を言ったまでですよ」
その毅然とした清四郎の態度に、前回とは違ったなみなみならぬ決意、
そして悠理との温かな家庭へつながる雰囲気を感じ、修平は心を決めた。
「よし!お前がそこまでいうんなら、そうするがいい。わしも、お前のその性格は
医者には向いていないと思っていたところだ。…ただし、前のようなことは絶対に許さんぞ。
悠理くんもいることだしな」
「もちろん、そのつもりです」
一礼して、清四郎はきっぱり言い放つ。
「悠理ちゃん、こんなくそ生意気な弟だけれど、どうか鍛えてやってね。
菊正宗病院は清四郎なんかいなくったって、私の力で日本一になるから、心配はいらないわよ」
和子のあまりに弟にそっくりなものの言い方に、つい吹き出しながら悠理は頷く。
「そのかわりといってはなんだけど、孫は、ぜひうちで取り上げさせてくださいな」
母親らしいその一言に、悠理と清四郎は顔を見合わせて微笑み合った。
「…何年先になるかわかりませんから、それまで現役でいてくださいよ」

というわけで、菊正宗家のオッケーは出ましたので、
続きよろしくお願いします。
310日常風景のひとコマ:02/03/15 17:55
その1.
ある日の放課後、清四郎、美童、魅録の三人は倶楽部の部室へと廊下を歩いていた。
ドアを開けようとノブに手をかけたが、中から聞こえてきた女性陣の会話が耳に入り、
美童はぴくっとその手を止めた。
「どうしたんだよ、美童」
「しっ…!」
唇に人差し指をあてる仕草をすると、ドアにそっと張り付いて耳をそばだてる。
「なんだ?」 「さぁ…?」
訝しげな顔をしながら二人もそれにならった。

「……でさぁ、野梨子はどうだったの?」
「とっても痛かったですわ。あんまりわたくしが痛がるものですから、
まだ途中だったのですけれど止めてくれましたの」
「本当? あたしの最初の時なんて、そのうち良くなるからとか言われて必死で我慢したのに、
 結局最後まで痛いまんまで死ぬかと思ったわよぉ。今じゃだいぶ気持ち良く思えるようになったけど」
「ほんとにそうなるのかぁ? あたいもすっごい痛かったぞ!」
「悠理ったら相手の方の事、思いきり蹴飛ばしたのですって? お気の毒ですわ」
「だってさぁ、あたいが痛いっつってんのに全然お構い無しなんだぜ!
だから思わず蹴っ飛ばしちゃったんだよ!」
「しょうがないわねぇ。まぁ何事も経験よ。そのうちヤミツキになるかもしれないわよ」
「ええ〜!?あたいはやだよ!もうコリゴリだ!!」
そして楽しそうな笑い声が響く…。
311日常風景のひとコマ:02/03/15 17:56
その2.
その会話に、三人は耳を疑った。
(マジかよ……。これってやっぱアレ…だよな)
(可憐だけならまだしも、悠理と野梨子もだなんて驚いたね…)
あまりに意外な話の内容に、魅録と美童は小声でひそひそと囁きあった。
「おい、清四郎。お前、心当たり…………無いみたいだな」
蒼白な顔をしている清四郎を見て、魅録が言った。
心なしか、ぷるぷる震えているようだ。
そんな清四郎を見るのは二人は初めてだった。
(そうだよな…。大事な幼馴染みが自分の知らないうちに他の男の手で女にさせられてたなんてショックだよな…)
どう慰めたものか魅録が悩んでいると、美童が清四郎の肩に手を掛け、気の毒そうに言った。
「ええと…、ま、まぁ良かったじゃないか。野梨子の男嫌いもいつの間にか直ってたみたいでさぁ〜」
「バ……バカ野郎!そんな言い方あるかっ!!フォローになってねぇよ!!」
あたふたする魅録に、
「だ、だってさぁ〜、この場合こうとしか言えないじゃないか!」
「そりゃそうだけどよ…。そ、それにしても女だけだとあの三人も結構さばけた会話してんだなぁ〜」
場の空気をなんとかしようと魅録が必死の努力をしていた時、ドアが開いて可憐が顔を出した。
「ちょっとぉ、何そんなとこで騒いでんのよ。中に入ったら?」
「お、おう……」
「そ、そうだね。ほら、清四郎も…」
黙り込んだままの清四郎を促して部屋に入った。
312日常風景のひとコマ:02/03/15 17:58
その3.
部屋の中では、悠理と野梨子がいつものように椅子に座っている。
別段変わった様子など見当たらない。
相変わらずお菓子をパクついている悠理と、それを呆れ顔でたしなめる可憐。
そして静かにお茶を飲んでいる野梨子。
自分達の知っているのとなんら変わらない、いつもの光景だった。

「お前ら、何ボーッと突っ立ってんだ? せんべい食うか?」
ボリボリと音をたてながら袋を差し出す悠理に、魅録と美童は顔を見合わせた。
(こいつがなぁ……。信じられねぇよな…)
(う〜ん、僕の勘を持ってしても分からなかったなんて…。僕もまだまだだなぁ…)
あらためてじっと悠理の顔を見る。
すっきりとした目元は涼しげで、黙って見ている分には間違いなく美人だ。
女らしいとは言い難いが、すらりとした体つきは中性的というか不思議な魅力がある。
普段は女に人気の高い悠理だが、男が悠理のそんな所に惹かれたとしても、別に何の不思議も無い。
(…だがなぁ……)
(…だよねぇ……)
それならそれで、少しくらい艶っぽい雰囲気が備わってもいいんじゃないのか…?と、
今ひとつ納得のいかない二人だった。

いったん切ります…。
313剣菱家の事情2 :02/03/15 21:15
>>308-309さんより少し前に時間を遡って書きます。

悠理がお台場で見合いをした翌日、生徒会室にはいつもの様に
6人の姿があった。
「へ〜、とうとう結婚するんだ。」
清四郎の言葉にいち早く反応したのは美童であった。
今回のことを最初に気付いたのが自分だということもあり、
予行練習などと上手く乗せてお台場でのデートを決行させたものの、
野梨子とのことがあったりして、ついそのままになってしまっていた。
美童の心境としては「とうとう」という言葉がまさに適当であった。
「…だから、仕方なくだって言ってんだろ。」
菓子の袋を開けながら、悠理は幾分面倒そうに答えた。
「あんなに嫌がってたのに、どういう心境の変化なんだ?」
先日、二人の仲が上手くいくと予想していた可憐の言葉を
思い出しながら、魅録は話の当事者である二人を交互に見比べる。
「母ちゃんが選んだ見合い相手ってのが、すっげ〜ひ弱で
頼りない男でさあ。男ならもっと自信持てってんだよ。」
「あら、じゃあ少なくとも悠理の中で清四郎は、強くて頼り甲斐があって
自信を持った男性ということになりますわね。」
そう言いながら悠理を見る野梨子の目は心なしか楽しそうでもある。
「…あいつと比べればの話だよ。」
「綾菊を見てないからそんなこと言えるんだ。」と呟きながら
悠理は渋い顔で菓子を食べ続けた。
愛情には幾つかの形があるということを野梨子は知った。
清四郎への想いが家族愛に近いものだとしたら、今、自分の心の中で
少しずつ育まれているこの感情はどう説明つくのだろう。
仮に異性への愛情だとしても、この想いは何処に行き着くのだろうか。
もし裕也の時のように相手が遠くに行ってしまったら?
もし清四郎の時のように違う形の愛情だとしたら?
そう考えると何だか恐くて、上手く答えを導き出せない。
傍らに居る美童にそっと視線を送った野梨子は、思わず目が合ってしまい
慌ててそらした。

「で、挙式までの段取りはどうなっているのよ。」
「取り合えず今夜にでも、うちの家族に報告をと考えています。
剣菱の方には後日改めて伺う予定です。」
相変わらず憎まれ口を叩く悠理と、まるで一つのプロジェクトに
取り組むかのように淡々とやるべき事をこなしている清四郎。
両極に見える二人の間に、以前とは違い穏やかな空気が流れているのを
可憐は察した。
「今度は上手くいくよね?」
二人の婚約騒動を鮮明に覚えている美童が遠慮がちに問いかける。
「安心しろよ。もう決闘はしないから。」
悠理の言葉を受けて、清四郎を除く皆の間に笑いがおこった。
「あれ?っかしーな。」
皆の笑いも一段落した後、煙草を取り出した魅録は、なかなか点火しないライターに
首を傾げた。
「貸して。」
魅録の手からライターを取り上げた可憐が試しに点けると、火は1回で点いた。
「あ、サンキュ。」
可憐の手元に煙草を持っていく魅録。そんな二人の行動を見ていた悠理が
何の気なしに口を開いた。
「何かさあ、魅録と可憐って恋人同士みたいだな。」
今まで全く恋愛に疎かった悠理だが、自分の中に芽生えた新たな感情が、
そういった他人の微妙な関係の変化を察知させるのだろうか。
悠理の鋭い言葉に、可憐は危うくライターを落としそうになった。
「や、やあね。自分がそうだからって、あたし達までカップルにしないでよ。
ねえ魅録。」
「あ、ああ。」
頬を赤らめながら言い訳をする二人を美童は訝しげに見ていた。
(そういや最近の可憐、妙に色気づいてるんだよな。まさか…。)
そうは思うものの、確たる証拠も無い。
恋愛関係にある男女は、隠していても必ずどこかでそうと分かる瞬間がある。
それは雰囲気だったり二人の自然な会話の中であったりする。
実際、悠理と清四郎の間にも彼らなりの良い雰囲気を感じる。
どうやって二人の関係を確かめようか。
その糸口を探すために考えを巡らせる美童であった。

その後、308さんに続くという感じで、どなたか続きお願いします。
ちょっと先に進んで、交際発覚編を書かせて下さい。

それから、しばらく経ったある水曜日の午後。
魅録はひとり、生徒会室の隣にある仮眠室で無線機の改造に取りかかっていた。
六限の物理は先週やったテストの間違い直しの時間で、する事も無い魅録は出る気にもなれず、
恨めしそうな悠理を尻目に、ひまつぶしにとこの部屋で作業をすることにしたのだった。
ここは本来、行事の際などに利用する控え室として用意されたものであったが、
今ではすっかり、有閑倶楽部の倉庫、そして昼寝場所として使われている。
「あら、授業さぼって何やってんの?カバンだけあったからここかなと思ったけれど」
そこに、可憐がやってくる。
「どうしたんだよ。お前もさぼりか?」
「違うわよ〜。6限、自習になったのよ。だからさっさと切り上げてきたの」
そう言いながら扉を閉め、機械をいじる魅録の隣に座りこむ。
しばらくそのままでいた二人だったが、やがて魅録が口を開く。
「おい、向こういってくれよ」
「え〜っ、何でよぉ。見ているくらいいいじゃないの」
ちょっとふくれて、不平をもらす可憐。
「こんな狭いところで、そんなにくっつかれたら、手元狂って怪我しそうだ」
「やーよ。せっかく誰もいないのに」
その場を動かない可憐に、魅録はパタリと作業の手を休めて、
手を拭きながら可憐にニヤリと笑みを見せる。
「ちょ、ちょっと、魅録?」
「そうだよなぁ。せっかく誰もいないんだもんなぁ」
不敵な笑みを崩すことなく、隣に座る可憐の両肩をつかみ、
そのまま背中を仮眠室の壁にぴったりと押しつける。
「誰か来たらどうするのよ」
「まだ来ないさ。授業終わってないだろ?」
そう言う魅録の顔は、機械をいじっているときよりもずっと楽しそうだった。
「ふふっ…魅録ったら…」
可憐も魅録の肩に腕をからめて抱きつく。
「制服着てる可憐って、一段といい女に見えるな」
「褒めてもなんにも出ないわよ」
声をあげて笑い合ったのち、ふたりは、そこに座りこんだまま熱い口づけを交わした。
「キャーッ!!」
二人の世界に入ってどれくらい時が経ったのか、うっすらと仮眠室に光が差し、
それと同時に聞こえた叫び声の方を振り向く。
「あ…」
気付いた瞬間に咄嗟に身体を離したふたりだったが、既に手遅れだった。
「野、野梨子…早いな、もう、授業終わったのか?」
仮眠室のドアノブを掴んだまま、野梨子が固まっていた。
誤魔化しても無駄だと分かっていたけれど、笑いを浮かべてそんな言い方をしてみる。
「なになさってるの!!こんなところで、い、いやらしい!!」
「どうしたんだよ、野梨子!」
その叫び声に、ちょうど生徒会室に向かっていた悠理が駆けつけた。
「ゆ、悠理…魅録と可憐が…」
「魅録と可憐がどうしたんだよ?」
仮眠室の中の2人を見ながら、野梨子に尋ねる。
「わ、私、碁の解説書を探そうと思いまして、仮眠室を開けましたら…」
そこから先は恥ずかしくて言えずに、野梨子は顔を真っ赤にさせる。
「な、何があったんだよ?」
わけがわからず、目を白黒させる悠理。
そこに、美童と清四郎もやってくる。
美童は、仮眠室のドアの奥にいる魅録と可憐の姿と、固まったままの野梨子に、
一瞬で何があったのか察する。
「どうしたの〜?そんな狭いところで、ふたり一緒に何してたの?」
魅録たちの方を向いて、満面の笑みをみせながら白々しく尋ねる。
魅録と可憐は観念したように、顔を見合わせた。
「っとに…野梨子あんた、こんなことくらいでいやらしいなんて言うようじゃ、
いつまで経っても恋愛できないわよ!いいじゃないの、愛し合ってるんだから」
「あ、愛っ!?」
その可憐の発言に、一同は声をそろえて叫ぶ。
「…つまり、授業をさぼって仮眠室で逢い引きしてた、ってことですか」
清四郎が魅録の方を見て、ため息をついて呆れた顔をする。
「あたしは見つかったらどうするのって言ったんだけどね」
「ち、違うよ!たまたま、可憐のクラスが自習で…」
開き直る可憐に対して、こっちはしどろもどろだ。
「でも、いちゃいちゃしてたのは事実なんだろ?
…水くさいよなあ、付き合ってるんなら言ってくれれば良いのに、黙ってるなんてさ。
なんだか最近うすうすそんな気はしてたんだけどさぁ。やっぱりね」
美童がニヤニヤしながら、恥ずかしそうに下を向いている魅録の肘をつつく。
「そうだよ、あたいらのデート練習とかいって、結局自分たちが楽しんでたんじゃんか。
あ、あたいが家に行ったときも、可憐と二人だったなぁ。いいところ邪魔して悪かったな」
「あ〜…」
魅録は、あさっての方を向いてごまかす。
「それにしても、こんなところでなんて、は、はしたない…」
まだ興奮の収まらない野梨子の頭を、優しく美童が撫でる。
「制服姿ってまた特別に見えるんだよね、魅録」
「あら、男の人ってみんなそうなの?魅録もさっきそんなこと言ってたけど」
「……」
もはや魅録には、何も言い返せる言葉はなかった。
321316-320:02/03/15 22:45
目撃者を美童にしたかったのですが、野梨子が一番派手に驚いてくれそうなので
野梨子にしてしまいました。美童を期待していた方すみませぬ。
ちなみにこの「いやらしい!」はあくまで野梨子基準です。
もちろん邪推妄想は大歓迎ですが(w
続き、お願いします。
322質問:02/03/16 00:13
剣菱家の事情2、いい!盛り上がってきてるぅ!
やくざ抗争編も、すげぇ。迫力がある。
それなのに、新ネタ出したら怒られますかね・・・
悠理をめぐるどろどろ系ラブストーリーなんだけど。
323322:02/03/16 00:14
あげちゃった。スマソ。
324名無し草:02/03/16 00:32
>322
すっげー読んでみたい!!怒らないから見せてー。
325名無し草:02/03/16 01:08
>>312
呆然とする清四郎イイ! 続き、キボーン。
326やくざ抗争編:02/03/16 03:04
「さて、突っ込むぞ。」
花咲組の事務所の黒いビルの前、魅録の手には銀玉鉄砲が握られている。
「悠理、オレが援護するから、好きに暴れていいぞ。」
「おーし、いっくぞぉ〜!!!」
悠理がビルの入口に向かって駆けて行く。
「てめぇら何者だ!」「どこの組のもんだ!」と
さっそく、下っ端やくざがおでましするが、悠理の鮮やかな蹴りが決まり、次々と倒されてゆく。
「悠理、油断してると危ないですよ!」
「こんな奴ら、朝飯前だっつーの!あぁー!そういや、朝飯ホントに食ってなかったー!!!」
「バカ…。」「こうなったら、さっさと龍之介助けて飯食わせてもらわねーと!」
そういって、悠理はかかってくる雑魚をなぎ倒し、ビルの奥へ進んでいった。
「あいつ、大丈夫かなぁ?」「多少不安ですね。」
「オレ達も急ごう!」「そうですね。」魅録と清四郎も悠理の後に続いた。
しかし、悠理が勘にまかせて突き進んでいたため、2人は悠理から遅れてしまった。
「とりあえず、そこらへんのヤツに龍之介の居場所を聞き出そう。」
悠理にやられて倒れているやくざをつかまえ、
清四郎が活を入れ、龍之介達がとらわれている場所を聞きだした。
「地下か!悠理のヤツ、どうやら上に行ったみたいだぞ!オレは悠理を追う。清四郎は龍之介を頼む!」
「わかりました!助け次第そちらに向かいます!」
327やくざ抗争編:02/03/16 03:05
魅録が悠理の後を追っていくと、後ろから「やっぱり魅録か!」と声をかけられた。
振り向くとそこには龍之介がいる。「お前!捕まってたんじゃなかったのかよ!」
「捕まってはいたんだが、騒がしいから、ちょっと抜け出してきたんだよ。」
「…お前、ひょっとして助けが来なくても逃げられたんじゃねーの…?」魅録はあきれた顔で言った。
「そんなことないって。お前が来るのを待ってたんだよ。花咲組叩くのに一石二鳥だろ?」
「まったく、食えねーヤツ。」「ところで、悠理と清四郎も来てるのか?」
「あぁ、清四郎は地下にお前を助けに行って、悠理は一人で先に突っ込んでってこの上にいるはずだ。」
「この上?おい、この上っつったら、組長の花咲の部屋だぞ!?」
「何だと〜!?」
魅録と龍之介が急いで花咲の部屋に飛び込むと、
悠理が花咲から首に日本刀を突きつけられている。
どうやら、油断して飛びかかったところを捕まったようだ。
「くっそー、油断したよぉ〜!!!」
「悠理!何やってんだ!」「このハゲ組長!悠理を離せ!」
「くっくっく、そうはいかねぇ。こうなったら、千歳鶴のおぼっちゃんよぉ。
えらく生意気な真似してくれるじゃねぇか。あんたには地獄を見てもらおうかな。
この生きのいいお嬢ちゃんを助けたかったら、その命を代わりに賭けてみな!
おい、そこのツンツン頭の兄ちゃん、お前には、これでそこの生意気なおぼっちゃんを撃ってもらおうか。」
花咲は魅録の方へ自分の拳銃を蹴った。
328やくざ抗争編:02/03/16 03:07
「おっと、ただし妙な真似はすんなよ。ちょっとでもおかしなフリ見せたら、
このお嬢ちゃんの身体からかわいい頭が離れちまうからな。
お嬢ちゃんもそのつもりでいてくれねぇとな。」と悠理を一瞥し、龍之介の方へ向いた。
「さ〜て、千歳鶴のぼっちゃんは、女と自分の命、どっちが大事なのかねぇ〜。」
「くっそー!卑怯だぞ!!」「動くな!悠理。」悠理が暴れ出しそうになるのを龍之介は制した。
そして、息をひとつ吐いて言った。「魅録、撃っていいぞ。」
そして龍之介は花咲から目を離さずに言った。
「ただし、撃つからには外すなよ。ここ狙え。」龍之介は自分の右のこめかみを指さした。
「ば、馬鹿、龍之介!何言ってんだよ!」魅録が叫んだ。
「ほほぅ、女を助けるとは良い心がけだな、ぼっちゃん。
さぁ、兄ちゃんこいつもこう言ってんだ。撃っちまえよ。」
「撃てるわけねぇだろ!馬鹿野郎!」「なら、このお嬢ちゃんが死ぬまでだ。」
「魅録、いいから銃を持ってオレを撃て!!!これはそこにいるハゲ野郎が言ってんじゃねぇぞ!!!
オレが撃てって言ってんだ!!!」
その瞬間、銃声が響いた。「ひぃいいいいい」悠理は目をつぶった。
悠理がゆっくりと目を開くと、自分が花咲の拘束から解かれているのに気が付いた。
見ると、花咲は日本刀から手を離し、利き腕から血を流してもがいていた。
「…若、無茶をするのもいいかげんにしてくださいよ。」龍之介達の背後から声が聞こえた。
黒いスーツに身を包んだサングラスの長身の男が、銃口から煙ののぼる銃を手にそこに立っていた。
その後ろには、清四郎と、彼に助けられたサトルと民夫がいる。
329やくざ抗争編:02/03/16 03:14
「夏目!?なんで、お前が、こんなトコにいるんだよ?」
「さぁて、なんででしょうね。」夏目がとぼけていると、清四郎があきれた顔で言った。
「下でお会いしたんですが、どうやら、千歳鶴組も秘密裏に花咲組の動きを探っていた、
ということらしいですよ。サトルさんと民夫さんに発信器と盗聴器をつけて。」
「えっ?ええぇ〜!」サトルと民夫が驚いている。
「サトルと民夫みたいな単純な男どもの変化も読みとれないほど、
組長も私も落ちぶれてませんよ。ましてや、花咲組の動きなど。」
夏目の目がサングラスの裏で笑っている。
「しっかしまた、まわりくどいことを…。」魅録も開いた口が塞がらない。
「組の抗争になったら、若のお世話になってるお店にご迷惑がかかるから、
っていう組長の配慮ですよ。それなのに若の方から関わってくるんですから…。」
「そりゃ、わーるかったな。」珍しく龍之介が顔を赤らめた。
その時、花咲がはいつくばって逃げようとしているのを悠理が見つけ、
「この野郎!逃げようったってそうはいかねぇぞ!純真な乙女によくも日本刀を…!!!」
その背中に馬乗りになった。
「お、そういや、忘れてたな。よし、悠理、そのままそいつ、押さえてろよ。」
龍之介は花咲の持っていた日本刀を手に取った。
「ふーん、いい刀じゃねぇか。
職業柄、刃物は使い慣れているが、こーゆーのは使ったことねーからなぁ。
手元が狂うかもしれねーなぁ…!」龍之介は花咲の鼻先に刀の切っ先を向けた。
330やくざ抗争編:02/03/16 03:20
「ひっひっひぇ〜!!!よっよせ!!!」
「おい、民夫の女はどこにいる?無事なんだろうな?」
「ぶ、無事だ、この階の一番奥の小部屋にいる!」
「部屋の鍵は?」「つ、机の一番上の引き出しだ!」
龍之介は刀をすばやく振り下ろし、花咲の目の前に突き立てた。
花咲はショックで気を失ったようだ。
「悠理、さっき怪我なかったか?」龍之介は悠理が立つのに手を貸して言った。
「うん。」悠理がそういうと、「そーか、それならこれで勘弁してやる。」
そして花咲の机から鍵を取り出し、「ほら、民夫、迎えに行ってこい!」と民夫の方に投げ渡した。
「は、はい!龍之介さん、ありがとうございます!」
言うが早いか民夫は部屋を飛び出し、女を迎えに行った。
「そうそう若、組に寄ってもらいますよ。組長がお待ちですからね。
あと、みなさんもご一緒にどうぞ、とのことです。」
「あ、でも、オレ親父が来るのを待ってなきゃいけないからなぁ。めんどくさいけど。」
魅録がそういうと、
「とりあえず目立つところに貼り紙でもしとけばいいんじゃないか?
ほかのみんなも呼んで飯でも食おうぜ。」
「それでは、野梨子の携帯にかけて連絡しておきましょう。」清四郎が携帯を取り出した。
「そーだよ、朝から何も食ってねぇから、あんな目に遭うんだ!」と悠理が拳をふるわせる。
「うーん、そうだな!」そして、魅録はメモにすらすら走り書きをして、
花咲のおでこにぺたんと貼った。
“おやじへ あとは頼んだ 魅録”
数十分後、野梨子達の通報で、いの一番に花咲組に乗り込んだ時宗が、
その貼り紙を手にきょとーんと見ていると、
「総監!さすがですね!花咲組を一人で片付けるなんて!」
「え?あ、いや、はっはははははっはははははは!!!」
花咲組に時宗の笑いがはてしなく響いたのであった。
331やくざ抗争編:02/03/16 03:44
その頃、夏目の車では、
「それにしても、龍之介、あの時は本気だったのか?
魅録に自分を撃てって言ったのは。」悠理が龍之介に聞いた。
同じことが気になっていた魅録も
「そうだぞー!夏目さんが来なかったらお前、絶対やばかったはずだぞ!?」
「そーだったかもなぁ〜。」
「そうだったかも…ってお前!?」
「魅録さん、若は昔っからこーいう人なんですよ。」夏目は苦笑しながら言った。
「うるせーよ。それより夏目、若々言うな。組の跡目はお前だぞ?」
「私はいつでも、若にお譲りするつもりでいますけどね。」
「冗〜談!!!絶対お断りだね!」
途中で、野梨子達と合流し、千歳鶴組につくやいなや、
「オレ、飯の準備してくるわ!」と言ってさっそく龍之介は組の台所へ向かった。
「まったく、あいつはわしに挨拶もなしに台所へ直行か。」
「まぁまぁ、若にしてみれば、料理の腕をいちばん組長にみて頂きたいんですから。」
「魅録、誰だ?このおっさん。」
「ば、バカ、悠理、この人は、千歳鶴組組長、千歳鶴虎造さんだ。龍之介の親父さんだよ!」
「まぁまぁ、魅録君、堅苦しいことはいいから。
お嬢ちゃん、どうやら、うちのバカせがれが世話をかけてるようじゃな。」
「う〜ん、そういうわけでもないんだけど…。」
「そうかい、そうかい、これからもあのバカをよろしくな。」
332やくざ抗争編:02/03/16 03:46
「おい、人がいないかと思って、バカバカうるさいわい、このくそ親父!
とりあえず、ありあわせで飯作ったぞ。お前達も朝から食ってないんだろ?」
「わ〜い、サンキュ!」「実を言うと、オレも腹減ってたんだよ〜。」
「朝からバタバタしてましたからね。」「それでなくても2日酔いですのに…。」
「私と美童なんて、今回ぜんっぜん見所なしよね!」「可憐どなんないで。頭に響く…。」
「いただきま〜す!!!!!!」(立食パーティ風に飯を食っていると思って下さい。)
「ふん、母さんの味にはまだまだ劣るな。」
「だったら、食うなよ。って、しっかりおかわりしてんじゃねーか!」
「時に、龍之介。」
「なんだよ。親父。」
「どの娘さんがお前の彼女なのかね?」
「誰も彼女じゃねぇよ!!魅録以外は、最近友達になったばかりだぞ!?」
「なんだつまらんのう。夏目、お前はどう思う?」
「そうですねぇ〜。今までの若の好みからすると…、悠理さんなんかピッタリなんですけどねぇ。
どことなく、亡くなった姐さんに似てらっしゃるし。」
「そうだなぁ、目もとなど似てるかもしれんな。」
「…何さっきから勝手なこと言ってるんだよ。」
「ほほぅ、図星のようだな。」「そのようですね。」
333やくざ抗争編:02/03/16 03:49
「勝手に言ってろ!!!」
龍之介は2人から離れた。
そこに悠理が来た。「龍之介、どうした?顔が赤いぞ?」
「な、なんでもねぇよ。それより、…飯、うまいか?」
「あぁ、すっげぇうまいよ!龍之介は絶対いいシェフになるよ。
あたいのお墨付きだ!」満面の笑みで悠理は答えた。
「そうか…。」龍之介の表情が和らいだ。
「いつでも店に食いに来いよ。」「うん!」

それを見ている、組長と夏目。
「夏目、龍之介のヤツは、料理の腕はそこそこなのに、なんであぁも奥手かのう。」
「どなたに似たんですかねぇ。」
「…まぁ、これも青春かのう。」
「そうですねぇ。」としみじみ2人はお茶をすするのだった。

てな感じでお終いです。長々とすみません。やっと終わりました。
334名無し草:02/03/16 04:31
お疲れさまでした〜
有閑倶楽部らしいお話で堪能させてもらいました
組長と夏目さん、いい味出してますね(w
335名無し草:02/03/16 08:49
やくざ抗争編の作家さん、ありがとう&おつかれさまでした〜〜〜。
夏目さんがよかったですわー!!
「こいきな奴ら」のパイの大ファンだった私にとって、思いっきり脳内変換して
パイのヴィジュアル思い浮かべながら楽しく読了しましたわー。

有閑もいいけど、こいきな奴らバージョンを書いてくださる作家さんはいませんか?
336名無し草:02/03/16 11:25
私も龍之介に惚れそう。魅録もカッコイイけど・・・。

剣菱家の事情も良い感じになりましたね♪
私も書き手のひとりですが、結婚式までいきますか?
337日常風景のひとコマ:02/03/16 12:13
>>312の続きです
その4.
「清四郎、どうかしましたの? 顔色がすぐれませんわ」
その声で、美童と魅録はもっと深刻な心理状態に陥っている男友達の事を思い出し、慌てて振り返った。
見ると清四郎は部屋に入ってきた時のまま、蒼白な顔をして立ち尽くしている。
厳しい顔をした清四郎に気付き、野梨子は椅子から立ち上がると清四郎の方に歩み寄った。
「どうか…しましたの?」
「野梨子……」
ショックを隠し切れない清四郎は、複雑な表情でこの幼馴染みを見つめた。
心配げに自分を見上げる瞳も、その表情も、自分の一番よく知っている野梨子のものだ。
それが逆に清四郎を困惑させた。
何も変わっていないように見えるのに、その唇にその肌に他の男が触れたのかと思うと、
嫉妬とも何とも説明のつかない感情が湧き上がり、いてもたってもいられない気持ちになる。
自分が怒る筋合いでは無いし、物事に動揺して取り乱すなどという事は自らの主義に反するが、
これはもう理性で片付けられる問題では無かった。
(くっ…! 一体どこのどいつが野梨子を……!)
だが、いつの間に? いつそんな男と知り合い、そこまで親密になったのか…!?
(そんな事、僕は一言も聞いていないし、今まで全く気が付きもしなかった…!!)

「清四郎……?」
いつもと違う様子の清四郎に野梨子は首をかしげ、魅録と美童はその様子をハラハラして見つめていた。
338日常風景のひとコマ:02/03/16 12:24
その5.
「どうしたのよ? それよりさぁ、ちょっと聞いてよ。昨日、あたしがたまに通ってる足ツボマッサージに
 悠理と野梨子を連れてったの。そしたらさぁ…」
「足ツボ?」
この緊迫した空気の中、一体何を言い出すのかと二人は思ったが、何か引っかかる物を感じ、聞き返した。
「そう。最近気に入ってんのよ。そしたらね、悠理ったら付いてくれた担当の人を蹴っ飛ばしちゃってさぁ」
「だって、すっげぇ痛かったんだもん!しょうがないだろ!」
「だからって限度ってものがあるでしょ! その後が大変だったのよ。その人、頭ぶつけて目ェ回しちゃって…。
 まったく、悠理のおかげでしばらく顔出せなくなっちゃったじゃない!」
「だからごめんって! そんな怒んなよぉ〜」

その会話で、今までどうにも納得いかなかった疑問が氷解した。
(……そうだよな。何かおかしいと思ったぜ…)
(……なぁんだ。やっぱり僕の勘は鈍ってなかったよ!)
一方で清四郎も、やっと事の状況を理解した。
「…足ツボ……ですか。………野梨子も?」
「え? ええ。わたくしも最近疲れが取れなくって。可憐に誘われて初めて行ってみたのですけれど、
 とっても痛くて、とても最後までは無理でしたわ。清四郎も一度行ってみたらいかが?」
「いえ……僕は………」
339日常風景のひとコマ:02/03/16 12:39
その6.
(なんだ……。そういう事でしたか……)
あやうく野梨子に詰問してしまうところだった清四郎は、蓋を開けてみれば何てことない事実に拍子抜けし、
そのまま脱力したように腰掛けると机に肘をついて、ぐったりと手の平に顔をうずめてしまった。
安堵のあまり気が抜けてしまったらしい。
「ど、どうしたんですの!? やっぱりどこか具合でも…?」
疲れたように目だけを上に向けると、心配そうに自分を覗き込んでいる野梨子の顔がある。
それを見て、ふ――――っ…と大きく息をついた途端、くっ…と笑いが込み上げてきてしまった。
「……? 大丈夫ですの…?」
「ああ、何でもありませんよ。 気にしないで下さい」
340日常風景のひとコマ:02/03/16 12:40
「あんた達、さっきからどうしたのよ。何か変よ」
「そーだよな。人の顔ジロジロ見たりして、なんなんだよ一体」
三人は顔を見合わせたが、ここまで激しい勘違いをしていたとはどうにも言いにくい。
今となっては笑い話以外の何ものでもないが、中には気分を害する者もいるかもしれない。
ここはお茶を濁してごまかすのが一番だろう。
「…気のせいだろ。あーなんか疲れたな。俺にもお茶くれよ。うわっ悠理、お前一人で煎餅全部食っちまったのか!?」
「だからさっき食うか?って聞いたじゃないか!」
「もう全部食べたの? あ、野梨子〜、僕にもお茶くれる?」
「ちょっと待っててくださいな。清四郎も飲むでしょう?」
「(ふぅ…)…ええ。いただきます」

その光景に可憐は一人、首をひねっていた。
(何かおかしいわよねぇ…。絶対何か隠してるわよ…)
後日、さんざんに問い詰めた美童から聞き出した事の真相に、可憐が涙を流して大笑いした事は言うまでもない。
おわり

おあとがよろしいようで…。
オチが読めてしまった方にはすいません。
341名無し草:02/03/16 13:33
呆然としてる清四郎モエー
悠理と野梨子が真相を知ったら、どんなリアクションに
なるのか気になるところ・・・
 
>336
どこまで書くか、難しいところですよね。
やっぱり最後は合同結婚式?(w
でもその前に、もうひと波瀾欲しい気も・・・
ヤキモチから喧嘩する魅×可とか、
美童の女性関係に不安を覚える野梨子とか。
342名無し草:02/03/16 13:38
やくざ抗争編の龍之介って、もろ悠理のタイプかも。
喧嘩も強そうだし、何より料理という強みがあるものね。
悠理を釣り上げるには胃袋を陥落させるのが一番。
すわ清四郎に強力なライバル出現!(って、それは別の話w)
343名無し草:02/03/16 18:34
>341
>ヤキモチから喧嘩する魅×可
このふたり、付き合ったらどっちもヤキモチやきそうですね。
相変わらず男あさりをする可憐に嫉妬・・・
あるいはやくざに絡まれた女の子を助けて
それ以来その子に優しくする魅録に可憐がヤキモチとか・・・
いっぱいありますね、パターンが。
344名無し草:02/03/16 18:39
>>342
言えてる!
悠理は知性よりも食い物だ!
345322:02/03/16 18:43
324さんの暖かいご声援に後押しされまして
思い切って始めることにしちゃいます。ありがとうありがとう!

悠×清×美×魅(+α) どろどろ4角関係ラブロマン
愛と青春の旅立ち編 始まり始まり〜
346名無し草:02/03/16 20:35
>343
私の場合、魅録が可憐にヤキモチ、というイメージ。
可憐は惚れたら一途そうだから浮気はしないだろうけど、
愛想のいいタイプなので男たちに勘違いされたりしそう。
それを魅録がヤキモチとか、若しくは愛想のいいこと自体に
ヤキモチ、みたいな感じかな。
ヤキモチやく魅録を見たい・・・という本音もあるけどね(w
3473P作者:02/03/16 21:23
>293さん、覚えていて下さってありがとうございます!(感涙
18禁イヤンの声も多数でていたので
連載中のがひと段落するまで自粛してました。
もうそろそろうpしてきますね!是非よろしくです!
348名無し草:02/03/16 21:44
各カップルのちょっとしたすれ違い面白そうですね。
美×野も気になります。
蛇足ですが清×悠の場合、婚前交渉(←死語)はアリですかね。
自分では書けそうも無いので、どなたか書いて頂けたら本望です。(w
349名無し草:02/03/16 21:54
>347
18禁イヤンというより、3Pみたいな恋愛抜き・それのみ
設定イヤンという人が、ちょっとだけいたような・・・
でも個人的には大歓迎(w なんで、18禁じゃない他の連載
の間にたま〜に混ざる程度なら許されるのではないかと。
そればっかりになっちゃうと、さすがに引くけど。
350名無し草:02/03/16 22:15
挙式前になってそういう各カップルが揉めるってのはいいかも。
結婚式、兄妹合同だろうから(w
豊作サンの奥さんになる人の名前も考えようか。
毎度お騒がせ有閑倶楽部。
ある昼下がり、生徒会室ではいつもと変わらぬ風景が繰り広げられていた・・・
・・・ように見えた。
窓辺で静かに碁を打つ清四郎と野梨子。
『ベイサイドデートスポット』の雑誌記事をサカナに、
恋愛談義に花を咲かせる美童と可憐。
MDプレーヤーから流れ出す洋楽に、指を鳴らしてリズムを取る魅録。
そして・・・珍しく神妙な面持ちで考え込んでいる悠理。
グロリア・ゲイナーに没頭していた魅録に、朱色のカードが差し出された。
視線を上げると、今にも泣きそうな顔をした悠理がいた。
不審に思いながらもそれに目を通す。
ある一文で、彼の肩が振り子のように大きく動いた。
しかし小さくうなずくと、何事もなかったように音楽へと戻って行った。
「魅録!!」
悠理はヘッドホンを強引に奪い、床に叩き付けた。
「いいのかよ、それでいいのかよ」
魅録はうつむき、答えない。
室内は水を打ったように静まり返った。
悠理の手から滑り落ちたカードを、清四郎が拾い、読み上げた。
「万作おじさんあての、結婚式の招待状のようですな・・・。
花嫁は・・・マイタイ王国、チチ!!」


連続カキコすると「不正です」ってエラー出るんだよ・・・
今日中に悠×清ラブシーンまで持ってきたいんだけど。
がんばります。
352名無し草:02/03/16 22:23
>351
不正表示、私が小説UPした時も出た。
でも一旦回線切って繋ぎ直したら、なんとかUPできたよ。
清四郎の視線の先の魅録は、微動だにせず佇んでいる。
怒り狂い、収まりきらずに、手足をばたつかせる悠理とはなんと対照的なことか。
「式は、6月6日とありますね」
「あら、ジューンブライドぉ、いいじゃな〜い」
のんきに浮かれる可憐に、悠理は「うるさい可憐!!」と噛み付くように叫び、
再度、魅録に矛先を向けた。
「まだ好きなんだろ、チチの事。あたい,知ってるんだからな。
パスケースにチチの写真入れてること!!」
「うわぁ、意外と魅録って、純情なんだね」
茶化す美童に、「うるさい、黙ってろ!」と一喝すると、
悠理は、魅録の肩を激しく揺す振った。
「まだ、間に合うよ。会いに行けよ。なぁ!!」
「いや・・・」
ようやく魅録は口を開いた。
「今更、オレが会いに行っても・・・迷惑かもしれない。
オレのなんか、きっともう忘れてるさ」
「違う!!」
悠理の凛とした声が響いた。魅録の弱気を打ち消すように。
「チチは・・・結婚のことあたいに知らせないように、父ちゃんに頼んだらしいんだ。
あたいには読めなかったけど、そう書いてあるよな、清四郎!」
カードの追伸にある英文を、事もなげに清四郎は読み上げた。
「ええ、確かに。『ユウリには式が終わるまで内緒にしておいて下さい。
お世話になったのに、申し訳ありません』とありますね」
「あたいから、お前にばれるからだよ!チチはお前にだけは知られたくなかったんだ。
まだ、お前のことを想っている証拠じゃないか!!」
「悠理にしては、よく考えましたね。その通りだと思いますよ」
「魅録に出席されると、自分の心に自信がなくなりそうなんだね」
「迷いながら結婚したって、絶対うまくいきっこないわよ。みすみすチチを不幸にする気?」
「私、チチは心のどこかで魅録を待っている気持ちがあると思いますわ。私なら、そうですもの」
皆の言葉に、魅録の瞳に光が宿り始める。
それを見届けると、悠理は携帯を取り出した。
「じい?あたいだよ。今すぐガッコに車回して。
マイタイ王国までのチケットの手配と、途中で松竹梅家に寄って、魅録のパスポート取ってくんの忘れんなよ。
ごちゃごちゃうるさい!!早くしろ!!」

それから10分とたたないうちに、聖プレジデント学園の校門に、剣菱家のハイヤーが乗り付けられた。
「がんばれよ、チチによろしくな!」
「ありがとう、悠理」
短い挨拶を交わすと、魅録は旅立った。恋人を取り戻すために。
誰もいなくなった道路を、しばらくの間悠理は呆然と見つめていた。
例えようもない淋しさを覚えたが、孤独ではなかった。
一人ではなかったからだ。
魅録の公然たるエスケープを見咎められた時の誤魔化し役として、
口が巧く、教師受けの良い生徒会長が付いて来てきたのだ。
彼は、子どもにするかのように、悠理の柔らかなくせっ毛をくしゃりとかき混ぜた。
「えらかったですね、悠理。ライバルに塩を送るなんて、
なかなかできることじゃない。見直しましたよ。
「・・・何で分かんだよ」
悠理は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
また弱みを握られたのかと悔しくなったのだ。
「ここ、2、3日、泣きそうな顔をして魅録を見ていましたからね。
はっきりと確信したのは、先ほどでしたけど。皆にも分かったと思いますよ。
恋愛に鈍感な、魅録意外にはね」
「そうか・・・ならいいや・・・」
最大限の譲歩をして、悠理は笑顔を作ろうとしたが、うまくいかない。

目頭が熱い。後から後から涙がこぼれてくる。
ハンカチで幾度ぬぐっても、壊れた蛇口のように歯止めなく流れてくる。
ハンカチは水をたっぷり含み、すぐに用を成さなくなった。
「そのハンカチでは、小さすぎますね」
そう言うと、清四郎は涙でぐしゃぐしゃになった悠理の顔を、
ためらいもなく自らの胸に押し付けた。
356名無し草:02/03/16 22:40
愛と青春の旅立ち編、すっごくいいです!!
涙する悠理、せつないですね・・・。
マイタイに向かった魅録も気になります!
「卒業」みたいにさらってくのかしらん?
357WANTED!:02/03/16 22:44
愛と青春の旅立ち編の作者です。
すみませんが、あの中国人シェフの名前をどなたか教えてください。
マイクロフィルム入りのスープを作ったあの人です。
どうしても思い出せなくて、続きがかけない・・・
お願いします。
358名無し草:02/03/16 22:45
最近あったどっかの王国の姫君と米軍兵みたいに
周囲を欺いて国外へ脱出するのかしら?ワクワク
悠×清のラブシーンがあるとのことですが
魅×チチのラブラブシーンもあるのでしょうか?更にワクワクして待ってます!
359名無し草:02/03/16 22:48
>357
九江(チウチャン)でーす。
彼がこのスレに登場するとはびっくりです!
楽しみにしてます
360剣菱家の事情2:02/03/17 03:41
>>320さんの続きになります。

その日、生徒会室には女性陣の姿があった。
悠理・可憐・野梨子。各々が、すっきりしない思いを抱いていた。
3人とも、お互いの様子がいつもと違うことに気付いていたのだが、
どう切り出したら良いか、その出方を探っていた。
数日前、ソファーに腰を掛ける剣菱夫妻の前には清四郎と悠理の姿があった。
「悠理さんと結婚をさせて下さい。」
背筋をピンと伸ばして言う清四郎の言葉に戸惑いは無かった。
「…清四郎君。ホントにいいだか?」
自分達から話を持ちかけたものの、悠理のような娘と本当に結婚をしても
良いのだろうかと、つい万作は及び腰になってしまう。
「ありがとう清四郎君。やっと決心を固めてくれたのね。
実際、私達も清四郎君以上にふさわしい人がなかなか見つからなくて
どうしたものかと思っていたのよ。でも良かったわ。」
百合子は安心したように言うと、悠理へと目をやった。
「いい?悠理。あなたは随分と奔放に育ってしまったでしょう?
悠理と渡り合ってくれるのは清四郎君しか居ないということを良く肝に命じて
おきなさい。」
厳しくも愛情溢れる百合子の言葉に悠理は黙って頷く。
「さ。それじゃあ話は早いわ。挙式の準備で忙しくなるわね。」
百合子は早くも挙式に向けて頭が切り替わっていた。
「清四郎君。とにかく悠理を頼むだよ。」
ギュッと自分の手を握りしめる万作に、父親としての複雑な心境を読み取った
清四郎は、その手を力強く握り返した。
その後、二人は悠理の部屋で過ごしていた。
「…結婚するまで色々面倒そうだよなあ〜。」
今後、自分を待ち受けているであろう諸々のスケジュールを考えた悠理は天井を
仰ぎ見ると思わず溜息をついた。
「いっそのこと、全部段取りを無視して今すぐ結婚しますか?」
「え?」
「冗談ですよ。」
嘘とも本当ともつかない口調で、清四郎は悠理の反応を面白がる。
少しの沈黙の後、二人は唇を重ね、そのまま清四郎は悠理をソファーの上に
押し倒すと、ゆっくりと舌を絡ませた。
「…ん……」
悠理は自分の上に被さっている清四郎の体を引き離した。
「ちょっ、ちょっと待て。」
「…どの道、僕達は夫婦になるんですよ。…それとも悠理は僕と関係を持つのが
嫌なんですか?」
悠理とて何も拒もうとしていた訳ではなかったが、清四郎の言葉に
少しムッとした。他にも言い方があるのではないか。そう思ったのだ。
「別にヤだなんて言ってないだろ。一応こっちの都合も聞けって言ってん
だよ。」
「こういう事は、その時の雰囲気に任せればいいんじゃないですか?
その度にいちいち都合を聞いていたら、これから先大変ですよ。」
「なっ、何だよその言い方は!」
悠理は手元にあったクッションを清四郎に向け投げつけた。
「もう用は済んだんだ。帰れよ。」
「言われなくてもそうします。」
清四郎はソファーから起き上がると悠理の部屋を去って行った。
結婚をするということが即ち肉体関係をも含むことは、勿論分かっている。
ただ突然自分が女性として見られるようになった気がして悠理は困惑していたのだ。
しかも良く知っている清四郎が相手とあっては尚更意識してしまう。
(可憐達なんか、とっくにヤッてんだろうなあ…。)
悠理は隣りに居る可憐に目をやった。
363剣菱家の事情2:02/03/17 03:51
こんな感じで、他の方の書きこみにもあったように
可憐だったら魅録との行き違い 野梨子だったら美童との進展状況…
といった感じで、たまには女性陣・男性陣が分かれて、それぞれの悩みを
打ち明けてもいいかなと思い書いてみました。
どなたか続きを宜しくお願いします。
364322:02/03/17 03:52
359さんありがとう。おかげで続きが書けます。よよよ・・・

暫らく順調に行って手安心していたのですが、
また「不正」とのメッセージが・・・
352さんのアドバイスの通りに回線切って出直してきましたが、ぜんぜんダメ。
あれから、数時間・・・さてどうなるか。
365名無し草:02/03/17 11:07
>363
面白いですね。ついでと言ってはなんですが
見事に悠理に断られどうしたらいいのか悩む清四郎、
いろんな男に愛想のいい可憐に不安を抱く魅録、
野梨子を大事に思う気持ちが大きくなってきた美童・・・と、
男性陣バージョンも見たいです。
366名無し草:02/03/17 17:57
日常風景のひとコマを書いた者です。
>325、341さん感想ありがとうございます。
モエーというお言葉が一番嬉しいです。

女子プロ話の「い、痛い…」が元ネタ。
あの時はみんながいたけど、後日筋肉痛の取れない野梨子を
再び部屋でマッサージする清四郎を想像してしまった自分。

「…あっ…そこ……気持ちいい…っ……!」
「の、野梨子…、そんな色っぽい声出さないで下さいよ。下にお袋達もいるんですから…」
(…それに僕まで変な気分になるじゃないですか……)
「ご、ごめんなさい、つい…。……あっ……ああ…んっ!!」
「………………(困惑)」

さて、逝ってくるか…。
367名無し草:02/03/17 18:03
>366
ワラタ。
こういう勘違いシリーズ(?)も、妄想心を刺激されていい感じ♪
>>363続きになります。

(はぁ…)
心の中でため息をつきながら、可憐は湯呑みをコトリ、とデーブルに置いた。
ずっとあの会話が頭から離れない。
(何で、あんなこと言っちゃったんだろう…)
後悔に苛まれているのだけれど、何も行動を起こせずにいた。

「お前、一緒にいられる都合のいい男だったら、別に俺じゃなくってもいいんだろ!」
「そんなこと、誰も言ってないでしょ!…あたしのことそういうふうに思ってたの!?」
「お前こそ、いったい俺を何だと思ってるんだよ!」
369続き:02/03/17 23:29
原因は、つまらないことだった。
可憐がパーティーで知り合った大手の建設会社の息子とミュージカルを見に行った、
という話を魅録にしたことから喧嘩は始まったのだった。
「何でわざわざそんな所に行くんだよ」
明らかに不機嫌そうに、そっぽを向いて言う魅録。
「だって、うちのお客様の息子さんだし、あたしが見たいって言ってたの覚えてくれてて、
わざわざチケット用意してくれたのよ?悪いじゃない、そこまでしてくれたのに断るのって」
「あのなぁ〜」
「別にそれだけよ?」
「お前がそうじゃなくっても、向こうはそのつもりだからそこまでするんだろうが。
お前そんなことも分からないのかよ」
「分からないって…かといって無碍に断るわけにもいかないじゃない」
確かに、相手は可憐のことを気に入っていたようだった。ルックスもまあまあ良くて、
優しくていい人だったけれども、あくまで可憐としては
自分のためにせっかくチケットを取ってくれたその気持ちに感謝をこめて
一緒に行ったつもりだった。だからこそ魅録に話をしたのに。
「…だったら、また会いましょうとか言われたらホイホイ付いて行くのかよ」
その一言に、可憐はついカーッとなってしまった。
「あたしそんな軽い女じゃないわよ!」
「誰にでもついていくわけじゃないよなあ。条件のいい男だから、断らなかったんだろ?」
こうなったら、もう売り言葉に買い言葉の始まりである。
「そういうことじゃないでしょ!?何そんな子供っぽいこと言ってるのよ!」
それに発せられた、魅録の言葉があれである。
370続き:02/03/17 23:31
そのときは正直、可憐の心にかなりのショックを与えた。
自分はそんなに、信じられていなかったのかとさえ思った。
けれども後になって冷静になってみれば、もともと自分の行動が原因なのだ。
魅録は今でも男友達優先の付き合いをしているが、自分はそれには寂しさも嫉妬も感じないし、
むしろ友達づきあいを大事にしているからこそ魅録であると思っている。
男に慕われる男というのは、本当の意味でいい男であると言うし。
けれども、もし魅録が「女友達」とふたりで連れ立って出かけなどしたら、
やっぱり自分も穏やかな気持ちではいられないだろう。
魅録はただの友達として接していても、相手はそうじゃないと勘ぐるに違いなかった。
(けどねぇ…)
自分が素直に謝れば済むことなのだろうけど。
可憐は自分の言ってしまったことの手前、なかなか、その糸口を探せずにいた。
その日、清四郎、魅録、美童の3人は一軒のカフェバーにいた。
こんな状況になった今、たまには男どうしで飲みにでもいこうかと
清四郎が言い出したのだった。
清四郎からそんなことを切り出すのは非常に珍しいことだったが、
それぞれ複雑な想いを抱えていた2人は、その誘いに迷うことなく応じたのだった。

(あ〜あ…)
魅録は、ジントニックの入ったのグラスを傾けてぼんやりと考えていた。
今考えれば、つまらないヤキモチだった。
たしかに可憐の言うように、子供っぽいことを言ってしまったように思う。
ただ少し、本当に自分が可憐にふさわしい男なのかと、不安になってしまったのだった。
(そんなことくらいで、可憐の気持ちが動くわけじゃないよなあ…)
自分の気持ちが動けば、相手がゲイだろうが幽霊だろうが突進して行くのが可憐だけど、
その恋はとにかく一途でひたむきで、そんなところに自分も惹かれたのに。
実際2人でいるときは、すごく自分に尽くしてくれてるのに。
可憐の母親と3人で、可憐の作ってくれた夕食を食べたときに、
「こうやって、3人でご飯を食べるのって、初めてなのよ」
そんな可憐の母親の言葉が脳裏によみがえる。
(俺は、あいつの何を疑ってたんだろう…)
2人でいるときでも、仲間から走りの誘いがあれば、「行きなさいよ」と言ってくれる可憐。
可憐のそんな度量の大きさに対して、自分の言ってしまったことが恥ずかしくて、
魅録は素直になれずにいた。
372名無し草:02/03/17 23:35
長々とすみません。男性陣にも語り合ってもらいたくて飲み会させてみました。
美×野も、読みたいですぅ〜。
どなたか、続きお願いします。
373名無し草:02/03/17 23:47
焼きもち魅録かわいいっ♪
 
清四郎は美童からムード作りの手ほどきを
受けたりするんでしょうか。
「フム、そうですか」なんて真面目に聞いて
そうだな。魅録は魅録で、興味なさそうな
顔しつつしっかり聞いてたりして(w
不正エラーに泣く どろどろ4角関係ラブロマン
愛と青春の旅立ち編 続きです。

リーンゴーン・・・・リーンゴーン・・・
午後の授業開始のチャイムが鳴った。
「いいのかよ。授業でなくて」
清四郎の胸に顔を埋めたまま、悠理が言った。
「泣いている女性を置き去りにして、のん気に数式なんか解いていられませんよ」
『女性』というカテゴリーにこの自分が納められた事が、なんだか可笑しくて、
悠理はくすくすと笑った。
何だよ、女と思われてんじゃん、あたい。日頃、おもちゃみたいに扱ってくれてるくせにさ。
知らず、涙は止まっていた。
「もう、大丈夫。サンキュ。あたい授業出るよ」
「今日は止めておいたほうがいいですよ。目がウサギです」
「そんなに、ひどいか?」
「ええ、まぁ。20分もすれば引くと思いますが・・・。
しかしそれから授業受けるのも馬鹿らしいですよね。
何か食べにでも行きますか。僕も食堂が空いてから、昼食をとろうと思っていたんですが、あの騒ぎで、すっかり食いはぐれてしまいましたし」
その誘いに、悠理のお腹の虫が敏感に反応した。
ここ2、3日、魅録のことが気になって、ろくに飯も食えなかったんだ。
猛烈にお腹が空いていたこと思い出した。
「そうだ、久しぶりに九江の中華食おうぜ!
横浜中華街に支店出すからって、今、ウチにいるんだ」
「・・・いいですね・・・多分」
一瞬、ブラッグな記憶が彼を飲み込もうとした。
しかし悠理の明るい笑顔を前に、忘れようと努力した。

今回からUPできたひとまとまりで、通し番号付けさせてください。
すみません。計画性なくって。
・・・8時間後、清四郎は客間のベッドに倒れていた。
久々に味わう九江はやはり強敵だった。
あまりの美味しさに満腹中枢に狂いが生じ、箸が止まらないのだ。
さすがの清四郎も限界を超えた胃袋の暴走を抑えることはできなかった。
「清四郎・・・ほら薬」
清四郎の5倍は食べたはずなのに、悠理はピンシャンしている。
しかも、清四郎をダウンさせた昼食の後、おやつのスペシャル飲茶、豪華満干会席ディナーをも彼女は平気で平らげていた。
もちろん、清四郎の分まで、である。
 化物というより、ブラックホールだ。細見のあの体のどこにあの量が入るのか。
胃の構造が通常のホモサピエンスとは違うのかもしれない。
清四郎は、本気で悠理を解剖したくなっていた。
「ありがとうございます。やっと楽になってきましたよ。すみません、遅くまで」
 日はとっくに暮れていた。今は9時を回ったところか。
「いいよ、別に。泊まってきなよ、明日、土曜でガッコ休みだしさぁ。
なんかさっき、じいが清四郎ン家に電話してたよ。食べ過ぎて、動けないから、ウチで一晩お預かりします、みたいなさ」
「そうなんですか!?」
[TELに出たの、和子さんみたいでさ〜、大笑いされちゃったって、じいが言ってたじょ]
「・・・・」
今、帰ったら、あの姉からコケにされるのか・・・。
「すみませんが悠理、泊めて下さい」
日付が変わる頃、立ち上がれる前に回復した清四郎は、
シャワーを浴び、用意されていた白いガウンを身にまとう。
ミネラルウオーターを手に、客間備え付けのノートパソコンに向かった。
勝手知ったる剣菱のメインコンピュータには易々と侵入できた。
清四郎はいくつかの機密情報を引き出し、眉根を寄せた。
「ここまでとは・・・剣菱も大変ですね」
パソコンの電源を落とすと同時に、悠理が部屋に入ってきた。
彼女は色気のないペンギンのパジャマを着ていた。
「清四郎〜!寝酒もって来たぞ〜」
床に無造作に投げ出されたボトルを見て、清四郎は仰天した。
「これは・・・ロマネ・コンティじゃないですか。ああこれも、これも!
ワインマニアなら50万は出しますよ!・・・?これは分かりませんね」
なぜかラベルには、2羽の鶏。
「それって、剣菱酒造の新製品だぞ。アケサユワイン。1本380円」
「まさに、玉石混交ですね」
清四郎は陽気に笑い、ボトルを開けた。

空になったビンが、3本目を数える頃、悠理はすっかり出来上がっていた。
かろうじて座ってはいるが、頭があらぬ方向に傾いている。
「今頃〜、魅録はどうしてんのかな〜」
「チチと再開している頃でしょうな」
酒は清四郎の方が強いらしい。
同じような量を飲んでいるはずだが、彼の口調は涼やかだった。
とうとう悠理はべちょっと潰れた。
そのまま頭を抱えて、なぜか唸り始めた。
「う〜う〜う〜」
「大丈夫ですか?気持ち悪いんですか」
清四郎は悠理の背中をドンドンと叩いた。
「痛いんだよ」
「あ、これは・・・済みませんでした」
思わず引っ込めた清四郎の手を、振り向きざまに悠理がつかみ、
「違う、ここだよ!」
と、自らの胸に導いた。
清四郎の大きな手のひらが、小振りの胸に触れた。
早鐘を打つそこは、暖かく、真綿のように柔らかかった。
いつまでも、さわっていたいような心地よさだった。
「ずっとずっと、痛いんだよ。魅録を見送ったときから痛いんだよ。
清四郎、どうしたらいい?このままじゃ、あたい死んじゃうよ。
お前、頭いいんだから、分かるだろ!」
「そうですね・・・新しい恋でもしてみたらいかがです?」
 その声は静かではあったが、うっとりするような艶があった。
「例えば・・・僕とか」
悠理は自分の胸に触れる彼の指が、徐々に熱を帯びて行くのを感じた。
布越しでも分かる程の熱さであった。濡れたように光る瞳が彼女を見つめていた。
「きゅ、急に言われても、無理だよ。そんなん!」
「そうでしょうね。心が急に変わるはずはありません。
それならば、身体から変えて行けばいいんです。難しいことでは、ありませんよ」
「わ、分かんないよ。清・・・」
文句を最後まで言うことはできなかった。唇をさらわれたのだ。
半開きのままだった唇は、為すすべもなく更なる侵入を許してしまう。
欲しいままに口内を侵略する清四郎の熱さに、悠理は息をするのも忘れた。
・・・・このままでは、流されてしまう!!
悠理は無意識に拠りどころを探し、
手に触れてものを本能のままに清四郎に振り下ろした。
しかし、殺気を感じた彼の腕によって、受け止められてしまう。 
清四郎の白いガウンが、肩から腕にかけて赤く染まった。
「清四郎、血が・・・」
青くなる悠理に、彼は不機嫌そうに「ワインですよ」と返した。
「ヘタすれば、死にますよ、それ」
悠理の手には、空いたワインのボトルが逆さまに握られていた。
「ご、ごめん。なんか夢中で」
と、謝罪する彼女の、胸から足にかけても真っ赤であった。
50万は下らないだろうと目の前の男に称されたワインは、
嗜好家達の贅沢な下に転がされる事なく、パジャマのペンギンが飲んでしまった。
「まあ、嫌がられているのは、十分わかりましたよ。
今回はこのあたりで、解放してあげましょう」
悠理はほっと息をなでおろした。
しかし安心はまだ早い。
清四郎程、彼女の取り扱いを知っている男はいないのだ。
不覚にも油断してしまった自分を、後々、爆発的に後悔することになる。
「魅録は今頃、チチと同じ様な事をしているでしょうけどね」
清四郎の何気ない、しかし計算し尽された言葉に悠理は凍りついた。
悠理の脳裏に、褐色の少女と短髪の少年の幸福そうな姿が浮かび上がった。
2人は寄り添い、キスを交わし、永遠の愛を確かめるように抱き合った。
「さて、僕は他の部屋を使わせてもらうことにします。
ちょっと散らかしすぎましたからね。悠理も早く、自室に戻った方がいいですよ」
「清四郎!行くな」
清四郎が張った蜘蛛の巣に、蝶々が捕らえられた。
「ここに、いてくれ」
パラダイスのように輝く恋人たちの映像を思う事がつらかった。
一人では、耐えられそうもなかった。
あの美しい恋人たちの絵を塗り潰してくれるのならば、
彼の熱い吐息も、首筋に触れてくる唇も、素肌をなぞるように辿る指も、
全て受け入れてしまおうと思った。

次、ちょっとR指定入るかもしれませんので、
苦手な人は読み飛ばしてください。しかし、たかが知れてます。
誤字発見!(5)の五番目。この前の前のヤツのラストです。
「贅沢な下」じゃなくて、贅沢な「舌」です。すみません。
脳内変換して下さい。
 
では、続きです。長々すみません。

強い芳香が、少女の裸体から立ち上ってくる。
どのアロマオイルよりも濃厚な香りだった。
白い胸に口付け、清四郎はその源を知る。
彼女が全身に浴びた、ワインだ。
痺れる様な極上の甘さが、味雷を刺激する。
清四郎というソムリエがその味を確かめる度、
なめらかな悠理の肌が白い波のように揺らめいた。
「悠理・・・」
どうにかなってしまいそうなほどの酔いを、彼は感じていた。
床に転がるワインボトルが束になっても、陥落できなった清四郎という牙城の壁を、
悠理は一瞬で砂にしてしまった。

悠×清×美×魅(+α)  どろどろ4角関係ラブロマン
愛と青春の旅立ち編。
とりあえず、切ります。
長文、すみませんでした。エラーが出ないので調子に乗ってしまいました。
381名無し草:02/03/18 01:57
やくざ抗争編の作者なのですが、
龍之介が意外に好評で嬉しかったです。
調子に乗って、またヤツが出る話書いてしまいそうデス。

愛と青春の旅立ち編、どうドロドロになるのかが楽しみ!
382名無し草:02/03/18 08:50
愛と青春の旅立ち編、いいですねぇ。朝からモニター釘付けですよ。
一度にたくさん読めると嬉しいですね〜♪
この後、悠×清×美×魅(+α)がどうからんでくるのかヒジョーに楽しみにしてます。
いや、どろどろ大好きなんで(w

>やくざ抗争編の作者さま
龍之介、魅録と張るくらいのお気に入りキャラです。
あの話で終わらせるのがもったいない〜と思っていたので
また是非彼が出てくる話書いてください! お待ちしています。
>370の続き書かせて頂きます。

野梨子は、美童に対して以前とは異なる感情が芽生え始めていたことに気付き出していた。
けれども、その感情が野梨子を戸惑わせていた。

約束の日、何だかうきうきして美童との待ち合わせ場所に向かった。
「おっ、野梨子、その服買ったの?かわいいね。似合ってるよ」
些細な事だけれども、女として気付いて欲しい一言を美童は言ってくれる。
それは美童が女慣れしているからだとわかっていても、野梨子は喜びを隠せなかった。
その日のデートは本当に楽しかった。
どこに行っても良かったのに、美童は、自分のためにいろいろ調べてくれたようで、
歴史美術館などといった普通のデートでは行かないような場所にまで連れて行ってくれた。
絵巻物の展示を見ながら並んで歩く二人。
「美童、古典は苦手じゃなかったんですの?」
「だから、野梨子と来たんじゃないの」
「あら、どういうこと?」
「野梨子がこういうのを見て、楽しんでくれれば、僕も好きになる」
にっこり笑ってそう言ってくれる美童に、すごく温かい気持ちになった。
「ふふっ…いつもそうやって口説いてるんですの?」
「まあ…そういうこともあるけどね…」
つい恥ずかしくなって、美童は頭を掻きながら笑みを返す。
「わたくし、美童が女性にもてるわけがなんとなくわかった気がしますわ。」
と、源氏物語絵巻の前にきたところで野梨子は足を止め、その絵をまじまじと眺める。
「…光源氏って、自分の理想の奥さんを育てる一方で、あちこちで何人もの女の人と浮気して、
そんなどうしようもない女ったらしの物語の登場人物に、何で昔の女性たちは憧れたのか、
正直ずっと不思議に思ってましたけど…でも、もし光源氏が実在したら、
きっと美童のような人なんだと思いますわ」
「野梨子ぉ〜」
それって褒めてないじゃん、と美童が言おうとすると、
「相手が何を求めているのか、ちゃんと気がついてくれる人だからなんでしょうね」
絵の方を見たまま、野梨子はそうつぶやいていた。
(けれども、美童はみんなに優しいですから…)
そう言ったあとにふと口にしようとしたその言葉に、
野梨子は自分の変化を感じて、はっと口をつぐんだ。
自分だけに特別優しいわけじゃないということに、ちょっとした淋しさを覚えていたのだった。
みんなに優しいのが、美童のいいところだと思うけれども、
その一方で、自分への優しさが特別なものであってほしい、そう願う想いが
心の奥底に現れてきたことに対して、野梨子は葛藤していた。
(さて…)
自分から2人を飲みに誘ったはいいが、どうやって切り出したらいいか分からずに
清四郎はただ酒ばかりが進んでいた。
(この2人は、こういう悩みってないんでしょうね…)
美童はこういうことは得意分野だし、相手が最も喜ぶツボを心得ているに違いない。
そこにいたるまでの流れも、完璧かつごく自然にできているのだろう。
魅録のような硬派な男はその逆に、素直な態度を見せるだけで女性の心をつかむであろう。
ましてや相手が可憐のようなフェロモンたっぷりの女性だったら、
いやがおうでもそんな雰囲気になっていくに違いないし、相手も分かってるだろう。
(僕の場合、相手が相手ですからね…)
悠理の中に、ずっと自分が女として扱われてこなかったことに対しての反動があることは
充分承知しているのだけれども、
それでも自分がちゃんと女として悠理を見ていることを証明したかったのだった。
(悠理の気持ちをどうすれば動かせるんでしょうね…)
どうしたらそんな展開にすることができるのか、清四郎は考えあぐねていた。
387名無し草:02/03/18 17:34
忘れてた。386は>>371の続きになります。

というわけで、それぞれに悩んでもらいました。
続きよろしくお願いします。
388名無し草:02/03/18 17:56
野梨子かわいーっ!
美童の悩みも気になるところですね。
楽しみが増えました。
389名無し草:02/03/18 22:53
悩める清四郎激萌え〜
作者の方々にはホント感謝感激です!
386続き。美童は何に悩んでもらおうか、考えましたところこんなんに・・・。
ギャグにならないように、何とか頑張ってみたんだけど、やっぱ笑える。

「すみません、カシスオレンジ下さい」
テーブルで待っていてもウエイターが来なかったので、
美童はカウンターにいるバーテンダーに向かってそう注文した。
と、その時、カウンターの一番端の席に座る、ロングヘアの女性が目に止まる。
つややかなストレートヘアと、大きくてちょっとつりあがったセクシーな眼をしていて、
ドライ・マティーニとノースリーブのワンピースがその雰囲気にぴったりだった。
年は25,6といったところだろうか。
誰かを待っている様子もなく、ひとりでお酒を飲んでいるようだ。
(う〜ん…)
美童は気には止めたものの、そのままテーブルに戻る。
(なんでかなぁ…)
そう。このところ、どんな美女を目の前にしても全く口説く気にならないのだ。
美童にしてみれば、はっきりいってこれは死活問題である。
(野梨子にあんなこと言われたからかな…)
自分が女性に声をかけたりやさしくしたりするのは、
お腹が空いたらごはんを食べるのと同じくらい当たり前のことなのに、
野梨子に改めてそんなところを評価されてしまって、調子が狂っているようなのだ。
今までだったら、野梨子はそんな自分を呆れ顔で眺めていたのに。
(困ったなあ…)
美童は運ばれてきたカシスオレンジを飲みながら、野梨子と遊んだ日のことを思い出していた。

続き、頼みます〜。清四郎は手ほどきをレクチャーしてもらうのかしらん?
391名無し草:02/03/19 16:50
>390
なんかすっごく美童の本質を突いていると思う(w
392名無し草:02/03/19 20:19
愛と青春の旅立ち、激萌え〜〜〜!!!
いいですねええ!!
続きがすっごい楽しみです!
もーちょっとラブシーンはきわどくいってほしいとも思いつつ
作者の方の表現の仕方もとても綺麗だなあと感心します。

また、剣菱家の事情、清×悠のやりとりも、
可憐たちのやりとりもどきどきするんですけど
野梨子のデートの時の気持ちの変化や、
セリフの状況、また、美童の悩みなど
あまりに素晴らしくって
あなたがたほんとの作者の一条さん以上だよーーーっ!!と
感動してしまいました。
393名無し草:02/03/19 22:37
愛と青春の旅立ちの悪人・清四郎がいいです。
このまま暗黒街道を突っ走って欲しい。
394名無し草:02/03/19 23:31
剣菱家の事情編ではこれからぶっちゃけ話大会ですね。
男たちは酒も入って波に乗るのでしょうか(w
魅録も、「こいつの大変さに比べたらオレは何てことないな」
なーんて、清四郎励ましたりして(w
395名無し草:02/03/20 01:01
魅録→ジントニック
美童→カシスオレンジ
清四郎は何を飲んでいるのだろう?

魅録にジンって合うわぁ
作家さんエライ!
>>390さんの続きです。

沈黙に耐え切れなくなり口を開いたのは美童だった。
「挙式の段取りは上手くいってるの?」
清四郎のことだから、それこそ淡々と事を進めているに違いないとは思いつつも
話を振ってみる。
「ええ。剣菱への挨拶も済ませましたし、後は黙っていても悠理のおばさんが
進めてくれますよ。」
「それもそうだな。」
挙式の準備で浮かれている百合子の様子が目に浮かぶ様で魅録は小さく笑った。
「じゃあ後は挙式を待つばかりってところか。順調に進んでるね。」
美童の問いに清四郎は苦笑いを浮かべながらグラスに口をつけた。
「形式的なことは順調ですが、ね…。」
「他に実質的な問題でもあるのかな。」
何か言いたげな清四郎の様子を美童が鋭く察した。
「悠理もああいう性格ですからね。なかなか僕に気を許してくれないところが
あるんですよ。」
「でもお前達の雰囲気見てると、大分和らいできた感じがするけどな。」
以前の飼い主とペットのような妙な関係ではなく、悠理を見る清四郎の目が
恋人を見るそれに変わってきたことには魅録も気付いていた。
「悠理を扱うことには慣れているはずなんですが、女性として接することに
まだ多少気が引ける部分が正直僕にもあるんですよ。悠理の方もそれを
敏感に察しているらしくて、まあ…道のりは遠そうです。」
「あいつ、お前のこと恐がってるのかな。」
いつになく弱気な清四郎に魅録は意外な気持ちがした。自信家で強気な
清四郎が悠理にはてこずっているのだ。
「う〜ん、恐いっていうのとはちょっと違うんじゃない?
今まで男同然に自分に接してきた清四郎が、急に女性として自分を扱うように
なったことに対しての戸惑いっていうかさ。悠理は女として見られることに
慣れていないんだよ。だって僕たちでさえも、悠理を女性だと思う機会なんて
滅多にないもんねえ。」
苦笑しながらも美童が魅録に賛同を求める。
「確かに口は悪いし喧嘩も並大抵の男より強いからな。」
その視線に魅録も答える。
「要は雰囲気だよ。例えば悠理が拒んだ時、いつもの理詰めであいつを
怒らせるような事を言っちゃ駄目だよ。悠理は売り言葉に買い言葉で
生きてるんだから。」
「そうだな。なんつーか、もっと気持ちを示した方がいいぜ。
『夫婦になるんだからいいだろう』的な態度じゃ、いくらあいつでも
反発するよ。別に言葉で言わなくても愛情を示す方法はあると思うぜ俺は。」
「気持ちと言われても…。」
清四郎にしてみれば愛情を持って悠理と結婚するわけだし、その辺の
ことは幾らなんでも察して欲しいところだった。
「最も、悠理も本当に嫌なら腹ぐらい蹴飛ばしそうだけどな。
そこまでしないってことは、まんざらでもないんじゃねえの?
ただ素直になれないだけでさ。」
魅録は煙草をくゆらせながら、天井に吸い込まれていく煙を目で追った。
「そうそう。悠理は驚くほど喜怒哀楽がはっきりしてるから、
嫌ならそう言うよね。」
(「ヤだなんて言ってない」とは言ってましたけどね…。)
清四郎は先日悠理が言っていた言葉を思い出した。美童が続ける。
「本当の意味で恐がっているのは悠理じゃなくて清四郎の方なんだよ。
清四郎、こんなに相手の事を考えるようになったの初めてなんじゃない?
前は、もっとこう自分中心に物事を運んでいただろう?
でも恋愛だけはそうもいかないよね。何せ相手あってのことだから。」
「確かに色々と考えざるを得ませんがね。」
溜息をつく清四郎に、魅録と美童はヤレヤレといった感じで顔を見合わせた。
「そうだなあ、取り合えずちゃんとしたデートをすれば?この間のお台場は
違うもんね。悠理の好きそうなアクション映画でも観た後、美味しい食事して
パークハイアット辺りのスウィートで一泊するとか。
部屋にも食べ物を沢山用意して貰ってさ。
『デザートを食べよう』とか何とか言って部屋に誘って…。
それとエンゲージリング!まだ渡してないだろう?
悠理だったらローリー・ロドキンなんかの少しカジュアルで個性的な感じが
いいんじゃないかな。
それを渡しながら『悠理の時間を僕にくれませんか?』…どう?」
「…そんなキザなことをするんですか…?」
「二人の幸せな未来のためだよ。」
普段、誘拐だオカルトだなどといったときには今いち頼りない美童だが
今回は自分の得意分野とあって生き生きと清四郎に語っている。
そんな美童のアドバイスを何やら神妙な面持ちで聞いている清四郎。
さしずめ形勢逆転といったところだろうか。
「あ、いつもと違った雰囲気にするために髪型も変えたら清四郎。」
徐々に悪乗りをする美童。
(清四郎も色々大変だよなあ…。)
二人のやり取りを聞きながら、少し清四郎に同情する魅録であった。

 清四郎は何を飲んでいるんでしょうかね?私的にはワインのイメージですが。
 半端ですが続きお願いします。
400名無し草:02/03/20 13:39
前に読んだ同人誌に、清四郎が魅録にXYZを作ってもらって飲んでいるというのが
ありました。
「先がないってことですか。」
「唯一無二って意味もあるんだぜ。」
みたいな会話をしてまして、妙に納得した覚えがあります。参考までに。
ちなみに、XYZはジンベースだったかラムベースだったと思います。
401名無し草:02/03/20 15:49
>400
XYZ、ラムベースでレモンのカクテルですよね?
実は魅録のジントニックも美童のカシスオレンジも私が書いたのですが(汗
清四郎には何だろう・・・とちょっと考えてたんですよね。
すっきりめで清四郎に合ってますね〜。
どこか謎めいてる名前も(w

UPしてから、「マルガリータの方が美童らしいんじゃないか・・・」と思いました。
同意して頂ける方がおりましたら、美童の一杯目はマルガリータということで(w
402名無し草:02/03/20 16:25
清四郎にはカミカゼとか・・・

いや・・・単にイメージなんだが・・・
403名無し草:02/03/20 17:55
>400
いやー、私その同人誌持ってます!
それ読んだとき清四郎にピッタリ!と思いました。
>>399続かせていただきます。

「もちろんそういう雰囲気づくりも大事だけど、最後はタイミングだよね、魅録」
サラダの大皿に箸を伸ばしながら、美童は魅録に同意を求める。
「えっ?…何だよ、俺に振るなよ」
そう言いながらも、魅録も煙草の煙をふうっと吐いて口を開く。
「まあ、そうじゃないのか。相手が自分と同じように盛りあがってるとは限らないからなぁ」
確かに、2人に言われる通り、自分はそういう配慮が欠けているのかもしれない気がした。
(夫婦になるんだから、そういうところはわかってもらいたいんですけどね)
そう言えば初めてキスしたときも、強引に突っ走り過ぎて悠理を怒らせたのだった。
自分のそういう態度が、悠理を悩ませてきたことは紛れもない事実だった。
「…そうですね。ひとまず指輪の件は、可憐に相談したいと思います。あとは…」
「清四郎。気持ちは分からなくもないけど、悠理の方も、まだ自分が女として見られることに対しての心構えができてないんだから、焦っちゃだめだよ。
ちゃんと夫婦になろうって気持ちで、悠理だって結婚承諾したんだからさ」
その実に説得力あふれる美童のことばに、清四郎は黙って頷いた。
(こんなことで焦るなんて、本当に清四郎らしくないよなあ)
美童は、そんな清四郎に普通の高校3年生らしい姿を垣間見て、少しほほえましく思った。
「そういえば、可憐の指輪って、魅録がプレゼントしたんですか?」
清四郎は、可憐にしてはシンプルな、しかしディテールに繊細な飾りが施されている
マットシルバーの指輪が可憐の薬指にはめられていたことを思い出した。
「ん?…ああ」
可憐にせがまれて、ジュエリーアキで一緒に選んだものだった。
「ネックレスも、僕、可憐に見せてもらったよ。裏にふたりのイニシャル刻んであるの。
あれ、魅録がやったんだってね?いいなぁ。僕も器用だったら、その手使いたいよ」
オリジナルデザインでつくったそのネックレスの刻印は、
記念にと魅録自身の手によって施したものだった。
「うん…」
こんなツッコミに、いつもだったら真っ赤になって怒りかねない魅録の反応が悪い。
それを疑問に感じて、美童が魅録に話題をふる。
「なに、反応悪いね〜。もしかして、喧嘩でもした?」
「…まあな」
「どうしたんです?」
「お前に心配される程のことじゃないよ」
どう考えても自分よりもやっかいな問題に瀕している清四郎に
そんなふうに真剣に心配そうな顔をされたので、
魅録は自分の悩んでいることがなんだかバカバカしくなってきて、笑顔でそう答えた。
(悪いのは俺なんだから、謝りに行けば済むことだよな)
そのままでいて、可憐が自分のもとから離れていってしまうことだけは耐えられなかった。
「まあ、恋人同士の喧嘩なんて、ヤキモチの焼きあいみたいなところあるから、
どっちかが素直に謝れば、わりとすぐに終わるもんでしょ。」
「…俺は、お前みたいにナルシストじゃないから、不安になることもあんだよ」
「でもね魅録、僕だって、可憐見てればわかるよ。気持ちがどこにあるのかなんて。
あんなわかりやすいのに、何を心配してるの?」
「……」
「それにほら、つまらない意地張ってると、可憐ってほら、ああいう性格だし、
愛想つかされちゃうよ?それでもいいの?」
いいわけがない。
美童にもそんなことを言われ、魅録は謝りに行く決意が固まった。
「わかったよ。…さあ、飲もうぜ」

では、続きをお願いします。
407名無し草:02/03/20 22:02
魅録がイニシャルを刻んだネックレス欲しいっ!
可憐が羨ましいよぉ・・・
408名無し草:02/03/21 14:56
なんか美童が大活躍で嬉しいです。
美童をスキになってしまいそう・・・。
409名無し草:02/03/21 21:11
>>392さん、ありがとうございます。
そうか、美童のときはもう少しがんばってみるか・・・
>>380の続きです。

夢の中で、何かが壊れる音を聞いた。
何故だか哀しくなって、涙が出そうになった。
なのに、くすぐったくって笑ってしまった。
そのくすぐったさの種は、耳に触れるほどに囁く人の声であった。
「悠理。起きて下さい。何、ニヤニヤしているんです」
ぼんやりと目を開けると、制服姿の清四郎が映った。
「ん〜。もう授業終わったのかぁ」
「何、寝ぼけているんですか。早く服を着てください」
「ん〜。服ってぇ。・・・んぎゃ!あたい、何で裸なんだよ」
「覚えていないんですか?」
清四郎は心外だとばかりに、生まれたままの姿の悠理を睨みつける。
が、その眼光には驚くほど鋭さがない。
起きぬけの良く働かない頭を整理しようと、悠理は首を振ってみた。
その瞬間である。
走馬灯のように夜の記憶がぐるぐる回った。
いろいろいろいろ、あったのである。
「うわあ〜!!」
彼女は青くなり、次に桜の花が咲きほころぶ様にピンクになった。
最終的には、頭からすっぽりとシーツをかぶり、亀になってしまった。
「思い出したようですね」
機嫌良く、彼はベッドに盛り上がった塊をぽんぽんと叩いた。
「悠理。恥ずかしいのは分かりますが、服を着てください。先程、モーニングティーを持って来てくれた仕事熱心なメイドさんに、裸で寝ている僕達を見られてしまいましてね。すぐにおじさんに伝わると思うんですが」
「な、なんだとう。早く言えよ。この野郎」 
時、すでに遅し。
悠理がシーツから顔を出すのとほぼ同時であろう。
ドアを蹴り破らんばかりに、万作が姿を現した。
まず、万作が最初に目にしたのは、
シーツで隠しきれていなかった、愛娘のむき出しの胸元であった。
蛙がひき潰されたような悲鳴を上げる。
花びらにも似た赤い痣が、いくつも確認できたからだ。
「せ、清四郎君!これはどういう事だがね!」
清四郎は、憤る万作の目前に歩み寄ると、静かにその場に端座した。
その床には、空の酒びんやお菓子の袋、2人の姿に仰天したメイドが落として割ったカップの欠片、さらには悠理のペンギンのパジャマやタマフクマークの下着やらが散乱し、雑然としていた。
だが、
凛とした表情を崩さない彼の周囲には、まるで竹林に築造された茶室に佇むかのごとき清浄な空気をが流れていた。
肝の据わった、小僧だがや・・・
清四郎は、真摯に万作を見上げ、きっぱりと告げた。
「悠理と契りました。同意の上です」
「な、なぬ〜!!!」
万作は声を荒げ、憤慨するが、すぐに膝の力が抜け、へなへなと座り込んでしまった。
「悠理が・・・悠理が男に汚されてしまっただ〜。
旅行中の母ちゃんに、なんて言えばいいだ。う、うううう〜」
おいおいと咽び泣く悠理の父親を前に、清四郎は静かに手を付き、深く頭を下げた。
「責任は取ります。悠理を、いえ、ご令嬢を僕に下さい」
412名無し草:02/03/21 23:26
うわぁ、怒涛の展開ですね・・・
清四郎が何を企んでいるのか、悠理の反応は? 
そして魅録は、などなど目が離せませんっ!
美×野を考えてみました。

その日、美童は南青山でデートをしていた。
最近、女性誌で良く目にするモデルの女性は
「あなたと一緒に居ると自分のステイタスが上がりそう。」と言って
美童に声をかけて来た。こういう女性となら楽しく後腐れない恋愛が出来る。
美童は二つ返事で、その女性と共に南青山へと繰り出したのだった。
午後7時。二人は銀座に足をのばした。
「この先に素敵なお店があるの。最高のディナーが楽しめるのよ。」
「デザートは君がいいな。」
などといつものやり取りを交わしながら、美童は夜の顔を見せ始めた
銀座の街を歩いていた。
その時、すれ違いざまの相手と自分の身体が軽く触れた。
「ごめんね。大丈夫?」
自分よりはるかに小さいその相手が女性だと分かった美童は紳士的に謝る。
「いいえこちらこそ…あら、美童じゃありませんこと?」
「野梨子!こんな所でどうしたの?」
「父様の個展を見に来ましたの。今から帰るところですわ。」
偶然の再会に嬉しそうな顔を見せた野梨子だったが、次の瞬間表情を曇らせた。
「折角のデートを邪魔してはいけないですわね。」
傍らに立つ、いかにもといった感じの女性に目を向けた野梨子はうつむき
加減で呟く。
「…いや、デートっていうか…。」
「別に私に遠慮することはありませんわ。楽しんで下さいな。
私帰りますから明日学校で。」
野梨子はそう言うと、ぎこちない笑みを浮かべた。
「野梨子、あのさ…。」
野梨子の肩に手を置いた美童は、その小さな肩が小刻みに震えている
ことに気付いた。
振り返り美童を見上げる黒目がちの瞳には涙が浮かんでいる。
「ごめんなさい何でもありませんわ。気になさらないで。」
「でも…。」
「美童の優しさって…時々辛くなりますわ。」
「え…?」
動揺を悟られまいと野梨子は足早に美童の元を去った。
その後姿を見た美童の心の中で、何かが大きく揺り動かされた。
本当に自分の隣りに居て欲しい女性、一緒に街を歩きたい女性は
今横に居る彼女ではない。その女性は…。

「ねえ君さ、歴史美術館に行きたくない?」
「え?そんな堅苦しい場所、興味無いわよ。」
女性は美童の腕に手を回し「それより早くディナーに行きましょう。」
と急かせる。
「僕も最初はそう思っていたんだ。でも実際行ってみたら楽しめたよ。
思いこみや外見に惑わされて、それが持つ本当の良さに気付かないなんて
やっぱり勿体無いよね。」
「何を言っているの?」
意味が分からず怪訝な顔を向ける女性に美童は続ける。
「僕は又、野梨子と行きたい。そしてもっと良さを知りたいんだ。」
「…それって、あたしじゃなくてあの子を選ぶってこと?」
「うん、そうなるかな。ごめんね。」
直後、美童の頬に鋭い痛みが走った。女性が思い切り平手打ちをしたのだ。
「痛ってえ〜。」
「バカにしないで!あんな子と比べないでよ!」
プライドを傷付けられた女性が険しい表情で美童を見る。
「僕のことはどう言っても構わない。けど少なくとも野梨子のことを
「あんな子」呼ばわりするのはやめてくれないか。」
美童はいつになく真顔で言い放った。
「あなたって大した男じゃなかったのね。」
女性は美童を一瞥するとその場から去って行った。
「あ〜あ、プレイボーイ失格だなあ。」
空を仰いだ美童は小さく溜息をついた。
だがその表情には決意のようなものが浮かんでいる。
野梨子の言葉を思い出し急いで白鹿宅へと電話を掛けた美童は、
未だ帰宅していないとの返事を受けた。
今まで野梨子と出掛けた場所を一箇所ずつ思い出してみる。
美術館、国立劇場、歌舞伎座、能楽堂…どれも野梨子の趣味に合わせた
場所だが、不思議と楽しく過ごせた気がする。そして…
「お台場だ。」
美童はタクシーを止めると、迷うことなく行き先を告げた。
その頃、野梨子は一人お台場で佇んでいた。
自分の目の前を通り過ぎるカップル達。彼らは皆幸せそうに見える。
必ず朝が来る様に、変わらないと信じて疑わなかった自分を取り巻く
日常が少しずつ、しかし確実にその形を変えてしまった。
可憐も魅録も、そして清四郎や、今まで恋愛にはまるで縁の無かった
悠理までもが互いに必要とする相手を見つけた。
その中で自分だけが取り残されてしまったような気がする。
もし今、美童に優しく抱きしめてもらえたら…。
そんな思いが湧き起こるものの実現することはないだろう。
美童への想いは行き場を無くしてしまった。
異性を愛することも、異性から愛されることも自分には良く分からない。
「私だけ置いていかないで…。」
顔を被った指の隙間から涙が伝い落ちた。
時計の針が8時を回った頃、野梨子の頭に大きな手がそっと置かれた。
顔を上げると美童の姿があった。
「ごめん。道が混んでて。」
済まなそうに謝ると美童は野梨子の横に並んだ。
「…さっきの女性はどうしましたの?」
野梨子は思わず辺りを見回した。
「振られちゃったよ。どうやら僕は大した男じゃなかったみたいだね。」
やや自嘲気味に言う美童。
「信じられませんわ。美童が振られるなんて…。」
驚きの余り、野梨子の涙は止まってしまった。
「女の子をこんなに泣かせるなんて、僕はやっぱりプレイボーイ失格だな。」
美童は肩をすくめると、野梨子をそっと胸元に引き寄せた。
「ごめん野梨子。もう野梨子を一人にはしないから。」
美童の言葉を受けた野梨子は少し寂しそうに微笑んだ。
「そんなこと出来ませんわ。だって清四郎も…あの裕也さんも皆私の前から
去って行ってしまいましたもの。美童だってきっと…。」
「違うよ野梨子。違うんだ。こんなこと言っても信じてもらえないかも
しれないけど、僕は野梨子のことを凄く大切に想ってる。
友人以上に想ってるんだ。」
「それは美童の優しさでしょう?
優しさと愛情が違うことぐらい私にも分かりますわ。」
野梨子は美童の身体をゆっくりと遠ざけた。
だが美童は野梨子の口元に手を添えると、視線をそらさずに続ける。
「友達を抱きしめたいとは思わないし、ましてやキスしたいだなんて
絶対思わないよ。」
「え?」
美童は野梨子の唇をそっと塞いだ。
「野梨子、僕ときちんと恋愛してみない?
野梨子のペースに合わせるし、僕はどこにも行かないからさ。」
その言葉は野梨子の中にゆっくりと染み渡っていった。
ぽっかりと欠けていた自分の心が少しずつ満たされていく、
そんな感覚に囚われた。
「…恋愛なんて…私にも出来るのかしら…。」
自信無さげな野梨子の問いかけに美童はふっと笑みをこぼすと
少しおどけた口調で返した。
「勿論。だってあの悠理でさえも出来るんだぜ?」
「この間とは景色が違って見えますわ。」
観覧車の窓から外を眺めていた野梨子が言う。
「そう?僕には同じに見えるけど、あの時と同じで野梨子が隣りにいる
せいかな。」
美童も外に目を向けた。
「ねえ美童。悠理達の結婚式楽しみですわね。」
「うん。なんだかんだ言ってあいつらお似合いだよね。
可憐と魅録もいいカップルだと思うよ。」
「じゃあ私と美童はどう映るかしら。」
はにかみながら野梨子が美童へと視線を送る。
悠理と関係が持てない、と真顔で相談を持ちかけてきた清四郎、
つまらない焼きもちから可憐と喧嘩をしてしまった魅録、
自分なりの愛情の形と精一杯向き合っている彼らの姿を思い浮かべ
小さく笑った美童は、そして今、自分が一番愛情を注ぎたい相手を
見つめ返した。
「勿論、お似合いに決まってるさ。」
美童の言葉を受け、野梨子は幸せそうに微笑んだ。
「あら?頬が赤いですわよ。」
野梨子の指摘で、先程叩かれた頬の痛みが美童の中で蘇る。
「あ〜これね…。」
何と答えたら良いのか分からず決まり悪そうに口篭もる美童。
その様子から原因を察した野梨子は、赤みを帯びている頬に
そっと手を当てた。
「私のせいですわね…。」
「いや、名誉の負傷といったところかな。」
美童は野梨子の手に自分の手を重ねると優しく唇を合わせた。
二人を取り巻く穏やかな空気が、新たな関係の始まりを告げていた。
悠理の見合い当日も書かせて頂いた者ですが再び長々と失礼しました。
エラーに泣かされ続けました…。
どのカップルも、お台場が一つのキーワードになっている気がしたので
美×野もそれで書いてみました。
(観覧車のキスまでしつこく同じです。w)
引き続き、どなたかよろしくお願いします。

>>409さん
私も美童好きなので楽しみにしてますね。

 ※遅くなりましたが、前回温かいレスを下さった方々、
  ありがとうございます。(^^
421名無し草:02/03/22 06:04
美×野、ほのぼのしてていいですね。
ゆっくり恋愛してゆくのもいいもんだなぁ・・・
という気にさせられました。
422名無し草:02/03/22 17:58
愛と青春の旅立ち編 よかった!
タマフクマークの下着がいい味だしていましたよぉ!!
これから、どうなるのかしら。
清四郎は、今の清四郎よりも昔の清四郎の顔のほうが、
好きなので、勝手に昔の清四郎で脳内変換しています。
野梨子は、昔より今の顔が好きだな〜。

美×野、いいですよぉ〜。
美童にほれそう。
野梨子の「私だけ置いていかないで…。」 のセリフが
とってもよかったです。

続き楽しみにしてまぁーす。
423409っす。:02/03/22 21:02
私は全然美童スキじゃなかったんですよー。
でもなんか皆さんのお話読んでると
美童っていいなあーと思いました。
「こんなセリフ、本編じゃ言うわけない!
こんな行動するわけない!」ってのが
まったく感じないほど、しっくりきてましたし、
なおかつ、本編より美童のよさがクローズアップされてましたしね。

私も野梨子の「置いていかないで・・」ってよかったです!
>>406続き、魅×可バージョン書かせていただきます。

「あらっ…」
その日、可憐が電車を下りて帰宅しようとすると、雨がパラパラと降ってきていた。
(傘もってないのに…強く降ってきたらやだし、早く帰らなきゃ)
本降りになって濡れないうちに帰ろうと、近道をして細い路地に入ったところで、
いかにもチンピラという風体をした若い男が声をかけてきた。
「よぉ、姉ちゃん綺麗だねえ。ちょっと付き合ってくんない?」
「悪いわね、他あたってよ」
いつものようにそうやって軽くあしらおうと思ったら、男は可憐のあとをついてきた。
「いいじゃねえか、ちょっとくらい」
よく見ればこいつは手下で、陰に兄貴分らしき別の男がいるようだ。
おおかたその男の命令なのだろう。
「しつこいわねえ。いやだって言ってるでしょ!」
「何だよ、こっちが下手に出てりゃあ!」
可憐が怒鳴ると、男の声も荒くなって、可憐の腕をつかむ。
「ちょっと、離してよ!!」
2人の引っ張り合いが始まろうとしていた。
「おいっ、そこのチンピラ、何やってんだよ!」
その時、可憐の背後から、聞き覚えのある声が飛んできた。
「魅録!!」
力強い腕に身体を引き寄せられて、魅録の身体の後ろに引っ張られた。
「何だぁ、てめえ!」
チンピラの方は魅録をにらみつけ、既に喧嘩ごしになっている。
「…売られた喧嘩は買う主義なんだよな。悪いな、可憐、先に帰れよ」
と、手にしていた傘を差し出して、背中にいる可憐に家に帰るように指示する。
可憐は帰るわけにもいかず、とりあえず傘を受けとって隅の方に行こうとした。
そこに、ことの成り行きを見ていた兄貴分のごつい体をした男が向かってきた。
「おい、お前やめておけ」
と、今にも殴りかかろうとしていたチンピラの方に声をかけ、その肩をつかむ。
「え、でも兄貴…」
「いいから帰るぞ」
兄貴分の男は魅録をチラリと一瞥すると、そのまま手下のチンピラを引っ張って、
2人に背を向けて帰っていった。
チンピラの姿が遠くなっていったところで、魅録はふうっと息を吐いてぼやいた。
「ちえっ。名前が知られてるってのも、あんまり嬉しいことじゃねえなあ。
久しぶりに暴れられると思ったのに、つまんねえなぁ」
がっかりしたような口ぶりで、けれどもどこかうれしそうな顔で可憐の方を向く。
「ま、可憐がなんともなかったことだし、許してやるか」
そう言って、歩き出す魅録。
「魅録…」
「ん?」
立ち止まって、くるりと可憐の方に振り向く。
「ごめんね」
自分を見上げる可憐の首元には、シルバーの輝きを放つ鎖がキラリと光っていた。
そんなふうに素直に謝ってくれる可憐と、そんな可憐を可愛いと思う自分。
魅録は、それだけで充分だった。
「…オレの方こそ、つまらないことで当たっちゃって、悪かった」
ふたりは、そのまま笑い合った。
「ところで、何であそこにいたの?」
「ああ…まあ、いいじゃねえか」
本当のことを言えば、謝りに行こうと思って、可憐の家を訪ねたのだった。
そうしたら、「もうすぐ帰る頃」と言われたので、傘を持って駅まで迎えに行く途中だったのだ。
「…ありがとう」
横にいる魅録が一瞬、王子様に見えた。
もしこれが出会いだったら、間違いなく一撃で惚れていたに違いない。
(…こんな男を、女が放っておくわけないじゃない)
誰にも渡したくないと思った自分に、魅録への想いの大きさを感じた。
「ねえ魅録、あんたの方が心配よ、あたし。
あんたみたいに自分がもてるのを自覚していない男が、一番女をその気にさせるのよ?」
魅録は照れ隠しに煙草をくわえ、ジッポを出して火をつけ出した。
「そんなことないさ」
そして、こっそりつぶやいた。
「…俺には、可憐だけだから」
「え〜っ?今、何て言ったの?聞こえなかった」
「いや…別に何も。…さあて、今日は何作ってくれるんだ?」
いつのまにか、小雨は上がっていた。
素直になった2人は、可憐の作る夕食に想いを馳せて、夕暮れの中を家路に向かっていた。
西に沈んでいく太陽は、あの日お台場で一緒に見た夕日と同じ色をしていた。
428名無し草:02/03/23 20:37
・・・というわけで、少々ベタに(笑)仲直りです。
続き、よろしくおねがいします。
429名無し草:02/03/23 21:13
うお〜ん、よかった〜!
でも、チョッピリ魅録に一暴れして欲しかった
気持ちも隅っこに・・・イヤイヤ、よかった!
430名無し草:02/03/23 21:18
>あんたみたいに自分がもてるのを自覚していない男が、一番女をその気にさせるのよ?
これに激しく同意!
さすが可憐お姉さま、分かってらっしゃる。
>>411の続きです

今度は悠理が憤慨する番であった。
「勝手に決めるなぁ!父ちゃん。嫌だからな、あたい。
こんな嫌味な奴と結婚するの!・・・って、父ちゃん!!」
万作は度重なる衝撃の余り、そのまま後ろに引っくり返ってしまった。さらに運悪く、床に転がっていたワインボトルに後頭部を直撃され、白目をむいて気絶してしまった。
「ひぃいいいい、父ちゃ〜ん!!!」
清々しい朝の光の中、悠理の悲鳴が虚しく響いた。

後頭部を氷嚢で冷やしながら、剣菱グループ会長は愛娘の弁解を聞いていた。
初めての失恋で正気を失っていたこと、酔っていたこと、
無理強いされた訳ではないが何となく雰囲気に流されてしまったこと・・・
だから、結婚なんてとんでもない、等々。
機関銃のように言い訳を並べる悠理を静止し、万作は清四郎に視線を移した。
彼は「まあ、そんなようなものですね」と軽く会釈を返した。
「分かっただ」
万作は思い切ったように深く頷き、清四郎の手を強く握った。
「悠理は、おめにやる。悠理を大切にしちくれ」
「はい、必ず!」
将来の義父となる人の手を、強く強く握り返す清四郎の瞳は、確かな決意の炎に輝いていた。
義理親子の固い握手を、悠理は「ハーッ!」と空手チョップで引き裂いた。
「父ちゃん、何聞いてたんだよ。あたいは好きで清四郎と寝たわけじゃないんだ。
結婚なんてしたくないって言ってんだろ!」
「成り行きとはいえ、は、花の操を捧げちまったのは事実だがや。
もう、おめえは、清四郎君と結婚するより他ないだ」
「そうですよ、悠理。僕を無責任な男にするつもりですか?」
「お前の事情なんか知るか〜!どうせ剣菱目当てであたいに手ぇ出したんだろ!この冷血色情魔!」
清四郎は、やれやれとため息をついた。
「酷い言われ様ですね。あの時、一緒にいて欲しいと僕を求めたのは、悠理、あなたの方ですよ」
確かに真実なので、言い返すこともできず、悠理は赤くなるしかない。
「んだ。未来のムコ殿になんてこと言うだ。・・・五代!悠理を部屋に連れてくだ。
ムコ殿と落ち着いて話もできないだがや」
応戦虚しく、悠理は追い出されしまった。

こうなったら、ハンストしてやる。
暫らく部屋に閉じこもっていた悠理であったが、2時間もすると挫折した。
食堂のある階下へと降りていった。
九江のあんまんをたっぷり腹に詰め込み、自室に戻ろうとした時である。
リビングで清四郎が一人、新聞を読んでいるのに気付いた。
無視しようと背を向けたが、食い入るように紙面を見つめる彼が引っかかった。
「何か、気になる記事でもあるのか?」
背後から声をかけた悠理に、珍しく清四郎は慌てた素振りを見せた。
乱雑に新聞を閉じ、「いや、また円が安くなってると思いましてね」と口を濁した。
「ふぅん」
訝しげな彼女を、不意に清四郎が引き寄せた。頬を風が掠めた。
一瞬何が起こったのか分からなかった。「甘いですね、あんこですか」との彼の台詞に、ほっぺたを舐められた事を知った。
「な、何しやがる。あたいは、アイスクリームじゃないぞ」
悠理は真っ赤になった。
すでにいろいろあった仲なのに、なお新鮮な彼女の反応が楽しい。つい、からかいたくなる。
「何って、婚約者のコミュニケーションじゃないですか」
「婚・・ってあたいはまだ、認めたわけじゃないぞ」
悠理の反論など、意に介す必要もないと思っているのだろう。清四郎はマイペースだ。
「先程、菊正宗家から届いたんです。どうぞ」
テーブルに置かれていた漆のトレーが悠理に差し出された。
見ると、昆布やするめが目出たそうに包装され、きれいに並べられている。
「タマとフクのおやつか?」
清四郎は、思わず吹き出した。
「あなたといると、退屈しませんね。結納の品ですよ」
「ゆっ・・・」
絶句する彼女に、彼は続ける。
「結納は来週の日曜日です。場所はこの剣菱邸。仲人は、どうやら時宗のおじさん夫妻になりそうです。
婚約パーティーは来月の第一土曜日です。剣菱グランドキャニオンホテル・竜王の間で行われます。
以前に一応お披露目は済ませていますから、今回は内輪だけということになっています。
とは言え、500人は招待するんじゃないでしょうかね」
悠理は口をパクパクさせた。声にならない。
「そして肝心の式ですが、高校の卒業式の翌日、剣菱家縁の菩提寺であげることに決まりました。
披露宴は東京ドームです。
当日、某外国人アーティストのコンサートが入っていたんですが、20億で手を打ってもらいました。
話の分かる、良い方でしたよ。
僕は卒業と同時に、正式に剣菱財閥に入る事となりますので、新婚旅行は当分ナシです。
申し訳ありません。暇ができたら、月にでも行きましょう」
自分がふて寝していた数時間に、こんなに計画が進んでいたとは。
清四郎、恐るべし。意識が遠くなりそうだった。
「時間があるなら、呉服屋さんに来てもらってますので、結納の着物を選んで下さい」
ダ、ダメだ。このままでは、一生をこいつに仕切られてしまう。
「と、父ちゃんは?」
「おばさんに婚約の報告をするために、バハマへ飛んでいかれましたよ。
『電話で伝えられることじゃねぇだ』とおっしゃって。結納までには戻られると思いますけど」
つまり・・・両親が戻るのを待っていたのでは、取り返しが付かないラインにまで進んでしまうということだ。
ハンストで覆せると思った自分が甘かった!
とにかく、自室で考えよう。頭使うのは苦手だけど、そんなことは言っていられない。
踵を返す悠理に、清四郎は決定的な一言を告げた。
「もう一つ忘れていました。僕、今日からこちらに住みますので。
僕の荷物、悠理の部屋に置かせて貰ってもいいですか。
・・・そんなに赤くならないで下さい。最後のは冗談です」
悠理は血管が切れる音を聞いた。
「あ、あたい、遊びに行って来る!」
意思とは無関係に人生が動かされてゆく現実に、例えようもないもどかしさを感じた。
このまま家にいたら、気が狂ってしまう。
彼女は逃げるように街に出た。
435旅立ち作者:02/03/23 21:48
とりあえず、ここまで。長文、失礼しました。

>>423さん。ちなみに409は、私です。
「私の中の第二の人格がカキコしたのか!」と、驚いちゃいました。
とは言え、決して気に病まないで下さい。
だって、通し番号間違い発見!
今回(7)じゃん・・・
なので、次回も(7)で行きます。

次は悠×美。R入らないよう、がんばってぼかします。
皆様、暖かいご感想ありがとう。アデュー。
436名無し草:02/03/24 03:44
いやぁ、すっかり手玉にとられてますね。<悠理
そろそろ雲海和尚の出番かな?
魅録のその後も気になるところ。
437名無し草:02/03/24 22:45
美童とはどういった経緯でからむのでしょうか?
こっちの清四郎&悠理は関係済みですが、
剣菱家の事情のふたりは無事夫婦になれたんでしょうか?
それとも初夜までおあずけ?
438名無し草:02/03/27 00:31
おーい、誰もいないのー?
続き待つ間、誰かネタ振ってよー。
他人任せですまんけど。
439名無し草:02/03/27 01:20
新しい話読みたいー。
ホロニガ青春編でもうれしい。
あの話は難しいのですか?>作家さん達
他力本願スマソ・・・。
440名無し草:02/03/27 03:45
>>439
清×可に持っていくのが難しいのでは?
でも魅録と野梨子のその後は気になる〜。
441名無し草:02/03/27 14:56
438>需要と供給が一致してないのかも(−−;;
442名無し草:02/03/27 15:53
>439-440
いや、清×可になるのはずっと先の話。
それよりも魅×野のもっていき方が難しいなぁ、と。
つーか、あんまりリクエストなかったから、
人気ないのかと思って書くのやめてた。
443名無し草:02/03/27 16:07
>442さん  魅×野とか、野梨子ものって同人界によくある
「書き手は少ないけど、読み手は多い」ってタイプのジャンルだと思いますよ(^^)
以前、トラブルがあって以来書き込みが減ってますけど
過去スレを読んでると、すっごく人気ありますものね! 
魅×野楽しみにしています。
444名無し草:02/03/27 18:52
愛と青春編の旅立ち、すごい楽しみにしてます!
早く続きが読みたい〜〜
作家さん、頑張ってくださいね。

剣菱家の事情も大スキです。
清四郎と悠理がどーなるか気になります。
445名無し草:02/03/27 19:38
以前から見てるけど野梨子に関しては
清×野派が圧倒的に多いんじゃないかなぁ、と思ってみたり。
個人的には清×可って案外いいと思うんだけど。

それにしてもここの作家さんたちの文才にホレボレ〜。
愛と青春編の旅立ち編、剣菱家の事情編もすごく続きが楽しみです。
そして最近ごぶさたですが剣菱悠理の秘密も続きが気になるところです。
446名無し草:02/03/27 20:54
魅×可を書いていて思ったんだけど、案外一番動かしやすいのは可憐かも。
けっこう、女なら誰でも持っている部分があるから。
今のが一区切りしたら、ちょっと清×可も書いてみたいかも・・と思ってみたり。
447名無し草:02/03/27 21:01
コーラスの表紙、次号は可憐&魅録らしいですぞ。
先月といい、剣菱家の事情と同じくみ合わせですね。
だからって何でもないですが(w
448 :02/03/27 21:31
清×野の話ってしてもいんですか?
(ストーリーじゃなくて、話題って意味で)
前のトラブルってよく知らないので・・・。
清×野ネタは御法度?
449名無し草:02/03/27 21:51
一条ゆかりのファンサイトでここ紹介されてたよ(藁
ちなみに、私も魅×野派でーす。
450名無し草:02/03/27 22:10
>>448
私も清×野派です…
ご法度なんですか?
しかしあの倶楽部内で一番恋人同士になる可能性を
秘めていると思うんだけど。
幼馴染好きなんでスマソ
>>434の続きです。

その日の午後、世界の恋人・美童グランマニエは、年上の彼女とドライブデートを楽しんでいた。
当然の雨にも、彼らの熱が冷めることはない。
赤信号で止まるたび、甘いフレンチキスを交わした。
お洒落で穏やかな美童の話術は、男達の賛辞に慣れた彼女の耳にも心地よく響いていた。
流れるように音楽的な彼の会話が、不意に途切れた。
「ごめん。葉子さん止まって!!」
切羽詰ったような美童の叫びに、葉子は急ブレーキを踏んだ。
急停止と同時であった。
彼は傘を差そうともせず、土砂降りの雨の車外へためらいなく飛び出した。
やがて、ずぶ濡れになった少女を連れて戻ってきた。
手足の長い、ほっそりとした美しい少女であったが、目の焦点が合っていなかった。
「学校の友達なんだけど、様子が変なんだ。悠理、どうしたんだよ」
少女の濡れた頬を、美童が叩く。
彼女は煩わしそうに顔を背けるが、反応はなおも鈍い。
「私のマンションが近いから、連れて行きましょう」
葉子は迷いなくアクセルを踏んだ。
風呂と葉子の服を借り、ソファに座る悠理はまるで借りてきた猫のようであった。
どうしちゃったんだよ。
美童は解せない思いを抱えて、キッチンの影から彼女を覗き込んだ。
花模様の美しい銀のバレッタで髪を飾り、若草色のワンピースに身を包んだ彼女は、純情可憐なお嬢様のように見えた。
「美童」
雨に降られてぐちゃぐちゃだった悠理の仕度を整えた女性が、そっと耳打ちをする。
「あの娘、レイプされたんじゃないかしら」
「ええ!?」
「胸に無数のキスマークがあったの。ごく新しいものよ」
「・・・・考えられないよ。あいつ、今は大人しくなっちゃって
見る影もないけど、ホントはツキノワグマより凶暴な奴なんだ。
まさか、男にいいようにされちゃうなんて・・・」
「少しだけど、お酒の匂いがした。泥酔して抵抗できなかったのかもしれない。
嫌な話だけど、薬を盛られてレイプされる事件だって多いのよ」
「・・・・」
「何にせよ、強いショックを受けているのは間違いないわ。かわいそうに」
葉子はすっかり悠理に同情していた。
普段のじゃじゃ馬ぶりを知らない葉子にとって、
悠理は風にも吹き飛ばされんばかりの、いたいけな少女にしか見えないのである。
「私、仕事に行かなきゃならないけど、落ち着くまでいてもらって構わないから。
美童、あの娘に優しくしてあげて」
「ごめん。見送り行けなくなっちゃった」
「バカね。謝ることじゃないわ」
葉子は軽やかに笑った。
申し訳なさそうな美童の鼻を、赤いマニキュアが美しいその爪先で弾いた。
「生姜湯のめるかな。体が温まるよ」
湯気の上がるカップが、悠理に差し出された。
すりおろした生姜にレモン汁と蜂蜜、少しのブランデーを加え、
熱いお湯を注いだ美童オリジナルドリンクだ。
「ん・・・」
カップに口をつける悠理に、美童はほっと息をなでおろした。
何か口に入れられるのなら、大丈夫だ。
「パスタもあるよ。ホントはお粥かなって思ったんだけど、
葉子さん、麺喰い党だから、米無くってさぁ」
努めて明るく振舞う彼の気遣いを察してか、
悠理は微笑みに似た表情を作り、こくりと頷いた。

ゆうに五人前のパスタをきれいに平らげた悠理は、
その瞳に力を取り戻しつつあった。
ご飯は悠理の活力源なんだなぁ、と改めて美童は納得した。
「ありがとう、美童。おかげで元気になったよ。あの人にもお礼言わなきゃな」
悠理は2LDKの部屋を見回した。
「葉子さん?仕事行ったよ。夕方からのフライトで、北米にね。
スチュワーデスなんだ。戻ってきたら僕からお礼言っとくから、気にしなくていいよ。それより・・・」
美童は友人をまっすぐに見詰めた。
「何があったんだよ。・・・眼を逸らさないで!!」
自分の眼差しを避けようとする悠理の両肩を、美童は強くつかんだ。
逃がさないぞ。僕たちは友達じゃないか。
隠し事はしないで欲しい。一緒に考えるから!
と、訴えるかのような彼の真剣な眼差しに、悠理は観念するしかなかった。
「せ・・・清四郎と・・・ね・・・寝たんだ」
「ええ!?」
美童は思わず尻餅をついた。
思考回路がうまく機能しない。点と点が、線で繋がらないのだ。
「ねたぁ?ええ!?」
「うん・・・」
悠理の真剣な表情が,それが冗談ではないことを語っていた。
「で、いろいろと考えてるうちに、訳わかんなくなってきちゃって」
「まさか、レイプされたのか?」
それ以外考えられなかった。
悠理が魅録を愛している事を彼は知っていたし、清四郎が彼女を狙う理由は十分にあった。
「・・・違う。あたい、魅録が行っちまって、淋しくて、
酒も入ってて、なんだか・・・そーゆーコトになってたんだ」
分かるような気がした。
人は淋しいとき、他人の体温が恋しくなる。
例えそれが、愛する人とは違うぬくもりであっても。
「清四郎は、何て言ってるんだい」
「責任取るって」
「結婚するって事か」
たった一夜の出来事で、他人の人生を背負い込む事など美童には考えられなかったが、清四郎なら喜んで受け入れるだろう。
それこそが、目的なのだから。
「父ちゃんにばれて・・・父ちゃんも『清四郎君と結婚しろ、それしかない』って」
悪い事ではないように思えた。
清四郎は、剣菱の優秀な後継者となれる器である。
恋愛と結婚は、時として必ずしもイコールではない。
特に悠理のような特別階級の令嬢にとっては。
親の命令で、20も年上のじじいと結婚させられたとしても不思議は無いのである。
まぁ、現・剣菱家当主の様にひたすら愛に生きるという例外はあるが・・・。
「ぼくは、いいと思うよ。女性ってさ、愛する人より自分を愛してくれる人と結婚した方が幸せになれるっていうし」
「あ、あいつが愛してんのは、剣菱財閥だぞ!
あたいにだって、それくらい分かるぞ!」
「んー、だけどさ。それが一番重要なんじゃないかな。
もし、悠理は欲しいけど、剣菱はいらないって男が現われたらどうする?
駆け落ちでもする?世間知らずの悠理が、剣菱の権力を離れて生活なんかできないと思うよ。
結局、悠理を幸せにできるのは、剣菱を背負える男じゃないかな」
「・・・・・」
「身体を重ねてから、愛情が芽生える事だってあると思うよ。
だから、ゆっくり考えてみなよ」
「んな、悠長にやってられるかー!!」
悠理はテーブルをひっくり返した。
空の食器が、ばらばらとベージュの絨毯に落ちた。
まるでちゃぶ台返し。
「ゆ、悠理」
「来週、結納なんだよ!結婚式の日取りも決まってんだ。
卒業式の翌日だよ。どうだ、すごいだろ!
時間が無いんだ。清四郎も父ちゃんも、あたいの意思なんて無視してっ!」
展開の速さに、美童も驚いた。
何をそんなに急ぐ必要があるのか。
「こ、子どもできたの!?」
「まだ、できとらん!!」
悠理は美童を殴り倒した。
そして、美しい金髪の男に馬乗りになった。
さらに平手をお見舞いしてやろうと思ったところで、彼女は悪魔のようにニヤリと笑った。
「いい事・・思いついたぞ」
ぞっとする様な悠理の微笑みの下、男の背筋が凍りついた。
ぜ、絶対いいことじゃないぞ。少なくとも、ぼくにとっては!
彼の確信は、大当たりしていた・・・・。
456名無し草:02/03/28 00:09
>>448>>450
ご法度なんてことは無いですよ!
ここのお約束として>>1−3というのがあるので、それを守ればOKかと。
清×野のお話したいです〜。
457名無し草:02/03/28 00:31
>>448さん
トラブルについては>>2にあるHPの意見交換1を参照されると良いと思います。
そうしたら一緒に萌え話しましょうね!
458名無し草:02/03/28 01:04
>愛と青春の旅立ち編
おおぅ!怒濤の展開だぁ!
待ってた甲斐がありました!
昼ドラみたい!!!(←褒め言葉っす。)
459名無し草:02/03/28 02:33
清×野&魅×野派って方がたくさんいて
びっくり&うれしい!力強いです(ToT)
やっぱり、皆さん書き込みづらかったんですね〜。
最近、ここも寂しくなってきたので
これを期にどんどん皆で盛り上げていきましょう(^^)!
460ナナシ:02/03/28 02:42
もちろん昔のことを蒸し返すつもりはありませんが、
ひとつだけ気になることを。

清×悠の方は当然のごとく
清×野の話を批判しておられました。
そのため、清×野派の方々は釈然としないまま、悪者のような扱いを受け
書き込みがしずらくなったように思います。

そういった反省点も踏まえて
楽しんでいければいいなと思います。

乱文失礼いたしました。
過度の反応のないようお願いいたします。
461名無し草:02/03/28 02:49
448&457さん>
できれば、嵐さま(ここの板の救世主様です!)のところの
抜粋部分だけでなく
「妄想スレ」@の終わりから読んでいただければ
経過がより第三者的な立場わかると思います。


〜余談〜
私的にはいろんな好みの、いろんなタイプの人がいていいと思うんですけどね〜。
同人界とかだとカップリング論争とか普通にあるし。
「どっちの組み合わせがただしい!!」みたいなのも
結構盛り上がるような気がする・・・(^^;
462お願い:02/03/28 02:59
久しぶりにきてみました。
長文の小説も増えましたね。

作家様にお願いですが
できましたら、小説の書き込みごとにカップリングを明記していただきたいのですが。
題名だけですと、わからなくて・・・。
463名無し草:02/03/28 03:42
>461さん
>「どっちの組み合わせがただしい!!」みたいなのも
 結構盛り上がるような気がする・・・(^^;

うん、楽しかったよね。
作家さんの書いた話を否定するような書き方はいけないと思うけど、
(意欲をそいでしまったら元も子もないですし)
あーだこーだとマターリ論争するの好きでした。
今の状態に落ち着いた経過もずっと見てきましたが、それが出来なくなってチト残念だったので。
464名無し草:02/03/28 03:56
>460
誤解してるみたいなんで、一度だけ書いとく。
あの時問題になったのは、A.連載中の小説に出てくるカップリングを
否定する投稿があった、B.しかもそういう投稿が続いた(*)、の2点。
 *1月23日から最初の意見が載る2月1日まで、スレを跨いで続いていた
Aだけならスルーすることもできたかもしれない(事実、しばらくの間は
スルーされていた)けど、AとBの併せ技だったのが問題。

また、「清×野の話を批判」したのではなく、「連載中の小説に出てくる
カップリングを否定する発言が続いたことを批判」していた。
Aをした人の中に清×野の人がいたんで「清×悠の方は当然のごとく清×野
の話を批判」と誤解したのかもしれないけど、例えば清×野話を連載中に
それを否定する投稿が続いていたら、似たようなことが起きた可能性は高い。
また、魅×可など別のカップリング話を書いていた人からも批判が出ていた
ことを思えば、どのカップリングが良い/悪いという次元の問題では無かった
ことが分かると思う。
カップリング派閥による争いと捉えると、事の本質を見誤ってしまうよ。
465名無し草:02/03/28 04:18
464>関係ない人間が横から口出して悪いけど
そういうヒステリックな反応が
書き込み減らしてる原因になってるんじゃないですか?
「誤解してるみたいなんで、一度だけ書いとく。」
って、何様のつもりなんですか?マターリ柔らかく言えば良いじゃないですか。

それぞれ、解釈の仕方もあるし、感情だってあるんだし。

もう、いちいち突っかかるのやめなされ。
前のトラブルで雰囲気悪くなった原因の一つに
こういうきつい物の言い方があるのは否めないでしょ?
466名無し草:02/03/28 04:22
マターリいきましょう!
いろんな人がいるんだし、書き込みの口調くらいは優しめで。
467名無し草:02/03/28 05:02
>464さん
言い方がキツかったとは思うけど、
>カップリング派閥による争いと捉えると、事の本質を見誤ってしまうよ。
この点はすごーく同意できるよ〜。
でもこの間のような事はイヤなので、とりあえずマターリと。
468名無し草:02/03/28 05:53
>465
これこれ、喧嘩売ってどうする
そんな感情的な書き込みすると、460=465かと思われるぞ
469名無し草:02/03/28 06:07
>>465
申し訳ありませんが、私にはあなたのほうがヒステリックに見えます。
そういう反応されると、小ネタとか書き込みにくくなっちゃうんですが・・・

>>460
>清×悠の方は当然のごとく
>清×野の話を批判しておられました。
>そのため、清×野派の方々は釈然としないまま、悪者のような扱いを受け
>書き込みがしずらくなったように思います。
本気でこう思っているのなら、もう一度ログを読み直すことをお勧めします。
蒸し返すことが悪いとは思いませんが、蒸し返すからにはもっと前向きな
提案がないと、他の人の同意を得にくいのではないでしょうか。
誰かが誰かを悪者扱いした・・・では、限りなく後ろ向きだと思いますよ。
470名無し草:02/03/28 06:12
>469
小ネタ大歓迎〜〜〜。
それが作家さんの妄想中枢を刺激して小説になったらなお嬉し(w
471名無し草:02/03/28 06:17
そうそう、蒸し返す必要はなし!
だって、何のためにお約束作ったんだか。
そんでもって、激しく小ネタ希望。
472名無し草:02/03/28 07:43
小ネタ、小ネタ、う〜ん……
カクテルの話が出てたから、食べ物話はどうかな。
6人それぞれ、どういう食べ物が好きそうか? とか。
悠理の場合は、食べられれば何でもOKになりそうだけど(w
473名無し草:02/03/28 07:47
野梨子はやっぱ、懐石料理かな。
美童が鍋奉行だったら笑える。
普段と違って、清四郎も一目置いてたりして。<美童の鍋奉行
474名無し草:02/03/28 13:26
465>
前のトラブルで雰囲気悪くなった原因の一つに
こういうきつい物の言い方があるのは否めないでしょ?

禿同。
なんか、それわかります。
2chって、あんた何様?って人は結構いますよね(^^;;
ここの板はそういう人少ないとこがいいところですよね!

466さんのいうとおり、マターリ・マターリ。
460さんの書き込みに反応したのがそもそも間違い?


小ネタ>美童の鍋奉行 オオウケ!
でも、美童って外人特有の味覚で鍋に変なものいれそう〜。
美童「モツ鍋にはマヨネーズいれると美味しいんだよ!」
一堂「・・・・・・・・・(沈黙)」
475名無し草:02/03/28 14:33
>474
もうちょっと膨らませてみた。
美童「モツ鍋にはマヨネーズいれると美味しいんだよ!」
4人「はぁ!?」
悠理「あ、ホントだ。うまいねー♪」
美童「だろ〜」
4人「・・・・・・・・・(沈黙)」
476名無し草:02/03/28 16:14
食べ物シリーズ。
お嬢の野梨子はマクドナルドや吉野屋を食べたことがあるのだろうか。

<野梨子ちゃん はじめての牛丼>
悠理「すっげーお腹空いた。よし、今日は牛丼だ!入るぞ、野梨子!」
野梨子「ぎゅっぎゅうどん?」
悠「大盛り、つゆだく1つっっ!!」
野「・・・?!」
店員「はい、お待ちー!(ドンッと置く)」
野「(は、早いですわっ!しかもすごい量・・・)」
477名無し草:02/03/28 16:16
生徒会室で昼食にヤミ鍋とかしてたらおもしろそー。
超高級食材を持ち寄ってオリジナル鍋を作成するの。
みんな舌は絶対肥えてると思う。
味付けに一番うるさそうなのは・・・誰だろ?常識派の可憐かな?
478448:02/03/28 22:24
皆さんレスありがとうです。
過去スレ、読みました。
いろんな事情、論争、マターリ行こうぜなどほぼ了解できました。
私は清×野派ですが、べつにどんなカップリングでも楽しく読んでます。
いろんなカップリングにそれぞれ説得力と魅力があってすごく面白いです!

清×野派として時々思うのは、生まれた時から一緒にいたら、それぞれの
成長を実感してドキドキする瞬間がいっぱいあるんだろーなってこと。
例えば野梨子は清四郎に抱きとめられたりする瞬間がちょいちょいありますが
その都度、清四郎の胸板が大きくたくましく肩幅が広くなっているのに
気づくんだろうなーとか。あと声変わりとか。
清四郎だったら、野梨子の体が、それなりに(可憐ほどではないにしろ(w)、
丸みをおびてくるのに気づくとかね。
そういうのが幼なじみならではの萌えポイントですよね〜(w
479名無し草:02/03/28 23:17
リクエストしてもいいですか・・・?
子供時代の清四郎と野梨子の話をぜひともきぼーん。
喧嘩してお互い意地はって、仲直りしたいのに出来ないみたいな。
想像は出来ても文才無いので書けないの・・・。
二巻の絵で脳内変換したいのです〜。どなたかお願いします!

>>478さん
すごいツボです、それ。
お互いが異性なんだって気付く過程がたまらなく良いです!
小学部高学年〜中等部あたりの話も読んでみたいな・・・。
480名無し草:02/03/29 01:27
>479
私も読みたい!!
野梨子ママのお弟子さんの息子とか、医者仲間の娘とか
どっかの金持ち坊ちゃん嬢ちゃんがからんできたりするとなお(・∀・)イイ!!
481名無し草:02/03/29 01:38
ところでみなさん、コーラス最新号読みました…?
正直、ここの作家さんに原作書いてもらった方が、
面白いんじゃないかと思ってしまいましたよ。
482名無し草:02/03/29 02:19
いつも楽しく読ませて頂いています。
どの話もどのカップリングも、大好きです。
今、一番続きが気になるのは愛と青春の旅立ち編。
美童とどうなっちゃうの?
なんか、予告でどろどろの四角関係ってあった記憶があるんですが、
これからドロドロしていくんですか?
すごく気になる〜!s
483名無し草:02/03/29 02:25
ageちゃだめよん。
でも、たまにゃいいかねぇ?
484名無し草:02/03/29 02:27
食べ物ネタを、剣菱家の事情2の魅×可に重ねてみた。
好きキライの無さそうに見える魅録が、実はピーマンだけは
駄目だった、というのはどうかな。
でも、それがバレると「ピーマンがキライなんて子どもっぽぉ〜い」
と可憐に笑われそうなんで、ピーマン入りの料理を無理して
食べてるとか。
魅録の頼もしいところと少年っぽくて可愛いところが好きなので、
こんなしょーもない妄想をしてしまった・・・
 
>477
あのメンバーだと、コタツ持ち込んでマターリ鍋とかもしていそう(w
いや、知り合いでホントにやった奴がいるんで。<高校でコタツ+鍋
485名無し草:02/03/29 02:33
そういや、ホントにすき焼きしてたね。生徒会室で。
あの後、絶対鍋やったはず。チーズフォンデュも天ぷらも。
楽しそうでいいなぁ。
486名無し草:02/03/29 15:26
私も読みたいです。>子供時代の清四郎と野梨子の話。
清四郎、魅録と野梨子の話、まだかな〜って
たまに覗きに来る人、私以外にも、いるよね?
487 :02/03/29 20:48
最近「剣菱家の事情」での清四郎と悠理のその後が気になって仕方ないです。
清四郎がどうやって悠理の心を解きほぐしていくのか・・・
なんか、個人的に清四郎×悠理って好きなんです。
自分じゃ書けないので、どなたかお願いします。
それから、「剣菱悠理の秘密」の続きも非常に気になります。

もちろん、どのお話もすごく楽しませてもらってます。
作家の皆様、頑張ってください。
すっごく楽しみにしております。
488名無し草:02/03/29 21:39
そーですよー!
「剣菱悠理の秘密」が気になってるのに、
最近続きが読めなくってさみしかったので!!

私は清×野も大好きで、幼少の頃も是非読みたい!!と思って
(自分で書かないくせにスマソ・・・)
いる一方で、「剣菱家の事情」の清×悠の今後もすごく
気になっています。
ほんとに、今月号のコーラスで拍子抜けっていうか、
「いまや、こっちの方がおもしろい??」って
思ってるくらいなんで!
「愛と青春の旅立ち」編も、どうドロドロなるの??て
気になります。ちょっと「ははあ、悠理のたくらみは・・・
なるほど・・」みたいに予測して、早く続き読みたーい!
て具合です。
作家の皆さん、お待ちしております!
489名無し草:02/03/29 22:11
私もコーラス本誌よりもこっちの方が楽しみです。
以前だったら次の号が待ちきれなくて何度も読み返してたりしてたけど
今回はこのスレ見て楽しんでたら、いつの間にか今月号が出たって感じ。
いや〜今月のコーラスはホント物足りなかった。

剣菱悠理の秘密も剣菱家の事情も愛と青春の旅立ちも
どの話もいいとこで終わってるから続きが気になりますね〜。
早く続きが読みた〜〜〜〜い!!
ちょっと戻って>>406の続きで男性陣で飲んだ時の美童の心境を書きます。

「お前の方は最近どうなんだよ」
魅録が何杯目かのカクテルを注文しながら美童に問いかけた。
「僕?」
話を振られた美童は、一瞬何かを考えるような素振りを見せた。
「美童は大丈夫ですよ。自他共に認めるプレイボーイですからね」
代わりに清四郎が答える。
「…まあね…」
当の美童は歯切れの悪い言い方でお茶を濁した。
(まさか野梨子のことが気になってるなんて言えないよな…)
仮に野梨子に対する自分の想いが知れたら、間違いなく詰問するであろう人物が居る。
野梨子がまるで兄のように慕っている、そう、清四郎だ。
清四郎が相手ではとてもじゃないが歯が立たない。正論で言いくるめられてしまうこと
は目に見えている。しかも、自分が野梨子にとって最も苦手なタイプであることは
美童自身が一番良く自覚していた。
「あのさ、もし、もしもだけど、野梨子に恋人とか出来たらどう思う?」
美童はそれとなく清四郎に話を振ってみた。
「野梨子にですか?まあ…そういった経験も必要だとは思いますね。あのままじゃ
結婚はおろか恋愛も出来そうにありませんから」
「でも、お前としてはその相手が問題なんだよな。なまじ変な男に引っ掛かるぐらい
なら、今のままで良いなんて思ってるんだろ」
魅録は、少し面白そうな表情を浮かべて清四郎に目を向けた。
「…そんなことはありませんよ。どんな相手だろうと異性に関心を持つのは
良いことです」
「それは、野梨子と同じ世界に住む男っていうのが前提での話だろ?」
「同じに越したことはありませんよ。野梨子は免疫が無いですから。
軽い相手に捕まって、後々後悔するのは野梨子自身ですからね」
「ほらな」
ククっと魅録は楽しそうに笑った。
「そうだよねえ…」
もっともな清四郎の言葉に美童はそれ以上何も言えなかった。
「それより、どうしたんだよ急に。野梨子の話なんか持ち出してさ」
魅録が不思議そうな顔をする。
「いや…何となくね。ほら、悠理も可憐も恋愛中だから野梨子はどうなのかなって
思って」
「ふ〜ん」
恋愛には疎い魅録は、美童の言葉をさして訝しがるでもなくグラスを口に運んだ。
美童の憂鬱は、まだまだ続きそうである。

この後>>413の美×野に続く感じでいいかな、と思いました。 そして…
>>385の続きも進めてみました。

お茶を飲んでいた可憐が、ふと思い出したように呟いた。
「あんた達もとうとう結婚するのねえ」
何やら感慨深そうである。
「仕方無くだって言ってんだろ」
悠理は照れ隠しのためか、いささかぶっきらぼうに返した。
「今更照れることも無いじゃない。でも今が一番良い時よね〜。
結婚したら清四郎も忙しくなるだろうし。あれからデートとかしてるの?」
「…そんなのしてないよ。こないだうちに挨拶に来たけど、すぐ帰っちゃったし」
先日、清四郎と気まずい雰囲気になった時のことが浮かび、悠理の胸がチクッと
痛んだ。帰ってしまったというよりは自分が帰してしまったのだ。
「何だかサバサバしてるっていうか、清四郎らしいわね。でも泊まりに来た時なんかは
同室なんでしょ?だって実質婚約者だものね」
「…んなこと無いよ…」
可憐としてみれば少しからかったつもりだったのだが、珍しく塩らしい悠理の様子に
いつもと違う何かを察した。
「ねえ悠理。野暮なこと訊くけど清四郎と何かあったの?」
その言葉を受けた悠理の顔が赤くなる。
(やっぱり、ね)
可憐は小さく溜息をついた。
「あたし達で良ければ相談に乗るわよ」
そう言うと、可憐は傍らに居る野梨子に目配せをした。
「え、ええ。何かあったんですの?」
可憐に続き野梨子も心配そうに話しかける。
「あたいと清四郎ってさ、今までダチとしてやってきただろ?
だから…その…二人っきりになった時に、どうしていいか分かんなくなる」
「これから結婚するっていうのに、そんなんでどうするのよ」
「だって、あたいが知ってる清四郎じゃないみたいで…何だか知らない男みたい
なんだもん」
少し頬を高潮させながら話す悠理は、ごく普通の少女の顔をしていた。

中途半端ですみませんが、この後、可憐の粋なアドバイスなどを聞きたいなという
ことで、どなたか続きをお願いします。
494名無し草:02/03/30 01:55
486>

清四郎、魅録と野梨子の話、まだかな〜って
たまに覗きに来る人、私以外にも、いるよね?

そうそう!!私もそうなんです!
やっぱり、野梨子スキーっていうか、彼女の恋愛モノが
一番楽しみなので(^^;
もう、それ目当てにココにきてるようなものなので。
これは、私の妄想なんですが
Hの時に、魅録って野梨子にフェラさせる(す、すみません)のを
嫌がりそうじゃないですか?
「野梨子はそんなことしなくて良いよ!」みたいな。
魅録にとって野梨子って憧れというか、理想の汚せない女性のような感じですよね。

逆に、清四郎の場合は
フェラさせると萌えそう(^^;;
舐め方とか、吸い方とか、握り方とか
細かく指導しそうです。
(ちなみに、私的清四郎はセックス熟練者希望です)

以上,きっつい話ですみません。
逝ってきます。
魅 「野梨子はそんなことしなくて良いよ!無理すんなって(汗」
野 「でも、わたくし魅録にも気持ち良くなって欲しいんですの。」
魅 「・・・野梨子」
野 「それに、好きな人のものですもの。無理なんてしてませんわ」
(野梨子の方から軽くキス)
その言葉に衝動(萌え〜)が抑えられなくなる魅録。
力いっぱい野梨子を抱きしめる。
で、暗転(w。

清×野の場合、言葉責めもありそうですね。
清 「野梨子の大事な部分が全部見えてますよ」
野 「そんな・・・(でも、なんだか恥ずかしくて感じちゃいますわ)」

みたいな。
とりあえず今回はココまで。
次回、エロ小説(−−;;)に挑戦したいかな〜

>3P作者様!!
いつまでも続きを楽しみに待っています!
開発されていく野梨子、超萌えです!ツボ!
野梨子って普段抑圧されてる分、一度覚えると
どんどん開発されてHな女の子になって行きそう〜。
逆に、可憐とかってアブノーマルなHとかできなさそうですよね。
野梨子の場合、タブーがなさそう。
497名無し草:02/03/30 10:50
>495
私も清四郎はセクース熟練者でいてほしい派。
なんていうんだろう、自分ではコントロールできない感情のような部分、以外は
清四郎には完璧であって欲しいと思ってるのです。
まさに「人が知ってることを知らないのは恥」(by野梨子)ってことで。
清四郎が魅録や美童に遅れをとっていることがあるのはイヤなの(w
あと、魅録が野梨子に対して憧れを抱いてるような感じ、すごくわかります〜。
裕也が「あんたにはじめて触れる男が俺なんかでごめん」って言ったような気持ち。
そういうスタンスが魅録にもありそう。
498名無し草:02/03/30 11:58
清四郎と野梨子は何歳まで一緒に風呂に入ってたんだろうとか思ってみたり。
499名無し草 :02/03/30 16:12
486&494>禿同〜〜。
清×野はアダルトにも少女マンガっぽくもなって
いろんな楽しみ方ができるような気がしますね。
週一のペースでココにきてますが
やはり、お目当ては清×野です。
いろんなパターンを読んでみたいですね。
(もちろん、他のカップリングもとても面白く拝読しております!)

が、496&498さんの書き込みを見て
魅×野もかなり萌え〜〜。
魅録にしろ、清四郎にしろ野梨子には弱いですよね。

清&魅×野の怒涛の三角関係もいいなあ〜。
500名無し草:02/03/30 19:31
>499
>魅録にしろ、清四郎にしろ野梨子には弱いですよね。

うんうん。”弱い”っていうのすごくわかる〜!
お兄ちゃんが妹の言うことはなんでも聞いてしまうっていう感じもあり、
姫君と騎士みたいな部分もあり、ヘンなところであこがれの女先生と生徒みたいなとこも。
野梨子は傷つけてはいけない大切なものって感じなんだなあ。
501清×野 R指定:02/03/30 19:56
言葉責めの清四郎と野梨子・・・。セリフのみで書いてみました。

清「ほら・・・ここがいいんでしょう、野梨子」
野「あっ・・んんっ・・・い、いやダメ・・・」
清「ダメ?わかりましたよ。じゃあ、やめておきましょうか?」
野「!」
清「だってダメなんでしょう?」
野「そ・・れは・・」
清「おや。やめてほしくないなら、きちんとそう言わないと」
野「そ、そんな・・意地悪ですわ・・・清四郎」
清「やめないで、もっと、とそう言ったら続きをしてあげますよ」
野「ひどい・・・ですわ」
清「さあ、どうします?」
野「わ、わかりましたわ。・・・・や、めないで。」
清「『もっとして、お願い』」
野「!・・・・も、もっと・・・して・・・お、願い」
清「ふふ、よくできました。ごほうびにもっと気持ちよくしてあげますよ。ほら・・・」
野「あっ!・あっあっ・あん・・清・・四郎・・・ああ・・・」
>>493続き書かせてくださーい。 
あんまりイキにならんかったけど・・・。

「ねえ、悠理」
可憐が最後の一口のきんつばを食べ終え、悠理に向かって口を開く。
「気持ちは分からなくもないけれども、あんたがそんなにガチガチに意識していたら、
清四郎だってどうしたらいいか分からなくなっちゃうと思うわよ、私」
「そうですわ。なまじ清四郎のあの性格だったら、かえってムキになってしまうと思いますわ」
「……」
野梨子の言う通りだった。
「こういうことは、男の方が気にしているものなのよ」
悠理がこの様子なら、清四郎はもっと思い悩んでいるに違いなかった。
きっと今ごろ、美童あたりに悩みを相談しているのではないだろうか。
それとも、あのプライドの高い清四郎のことだ、女性心理学の本なんか買いこんで
1人で考え込んでいるかもしれない。
(正解なんて、本になんか書いていないのにね)
一生懸命なのはわかるけれども、こんな悠理の気持ちを置いてきぼりにはしてほしくなかった。
「成り行きまかせってのは良くないけれど、時にはタイミングや思いきりの良さってのも
必要なのよ。その場の雰囲気と自分の気持ちが合えば…」
503続き:02/03/30 22:08
「つまりは、いつもの悠理のままでいいってことですの?」
黙ってお茶を飲んで可憐の話に聞き入っていた野梨子も、同調するように口を開いた。
(雰囲気とタイミング…恋愛ってそうやって出来てるのかしら)
美童の優しい笑顔が頭に思い浮かび、野梨子はしばし彼の想いを探った。
「そうね…思ったことはすぐ行動に移すあんたにしちゃ、なんだからしくないわねえ」
「清四郎だって、ちゃんと考えていると思いますわ。ただ、悠理と同じように
戸惑っているだけなんだと思いますわよ。清四郎が嫌いになったとかじゃないんでしょう?」
「ん…まあ…」
気持ちが通じ合ったから夫婦になるのだ。その想いは今でも変わらない。
これから人生を共にして行くという決意を固めたことは2人とも同じなのだから、
いつか来るべき時が来るのかもしれない。
(雰囲気とタイミング、か…)
自分はいつもそうやってその場の感情で行動して清四郎をふりまわして来たんだっけ。
「だったら私も、可憐の言う通りだと思いますわよ」
「うん…そうだなぁ…」
悠理のその少し安堵したような、納得したような緩んだ表情を見て、
可憐は一息ついて口を開いた。
504続き:02/03/30 22:09
「なんか偉そうなこと言ったけどね、実はあたしも今喧嘩中なの」
その言葉に、2人は目を丸くして可憐の方を見た。
「…まあ、あんたに比べりゃしょうもないことよ。勝手に他の男と遊びに行ったりした
あたしが悪いんだし」
「可憐ったら、そんなことしたんですの!?」
野梨子が信じられないといった顔つきで可憐を見る。
「言っておくけど、別に浮気じゃないわよ!ちょっと付き合いで行っただけよ。
ただ…あたしが軽い女だと思われるのもやだし…だから、ちゃんと謝るわよ」
と、その話を黙って聞いていた悠理が、ヒャッヒャッと大きな笑い声をあげた。
「ちょっと!なにがおかしいのよ、悠理!」
「いや…可憐たちでも、そんなしょうもないことで喧嘩するんだなぁ、と思って…」
そんなことでヤキモチを焼く魅録の姿があまりにもかわいかった。
「…そういうこともあるって、あんたを楽にさせようと思って話したんじゃないの」
バカにされたようで恥ずかしくなって、可憐は顔を赤らめた。
「ねえ、じゃあ…可憐が魅録と仲直りしたあかつきには、皆で温泉旅行にでも行きません?
近くの草津でもいいし…観光がてら金沢とか、京都とかでもいいですわね」
悠理と清四郎が同室になればこの問題も少し進展するかもしれないし、
可憐と魅録はすぐに仲直りするだろう。
そして…そんな雰囲気の中なら、美童ともゆっくり、話をすることができるかもしれない。
野梨子は全てがいい方向に向かう事を考えて、少し晴れやかな気持ちになってきていた。

そんでもって、温泉に行かずとも、その後お台場で野梨子と美童は無事に結ばれるということで。
続きお願いします。
忘れないでいて下さった方々、どうもありがとうございます。
とてもタイムリーでした。
ようやく帰ってきた作者です。29日に本業の締め切りがあったので
2日に1回しか寝られないという、異常な日々を延々と送っていました。
少しだけUPします。

>>89の続きです

月曜日の午後、清四郎は1人で生徒会室にいた。
先週の騒ぎ以来、出来るだけここには近付きたくなかったのであるが、
このような時に限って雑多な用事が入ってくる。
皆が現れる前に片づけて帰ってしまおうと、
そそくさと用事を済ませていたところ、
「久しぶりぃ!!」
と、悠理がいつもの調子で生徒会室に入ってきた。
悠理は先週のあの現場には立ち会っていない。
しかし当然彼らから情報が入っていることであろう。
「先週3日も学校を休んで、どこに行っていたのですか?」
清四郎は背中に冷や汗をかきながら、しかし努めて冷静な口調で
悠理に声を掛けた。
探りを入れたいのはやまやまなのだが、かえってそれが新たな
墓穴を掘ることにもなりかねない。
「うちで新しく始めるホテルの関係で、北海道行ってたんだよ。
かあちゃんの趣味が満載のホテルでさ、もうすげーんだ。」
「おばさんの趣味満載というのなら、当然レースやフリルの世界ですよね。」
「当然だろ。色はピンクに統一されてるしさ。」
清四郎はなるべくこの話題でひっぱりたかったのだが、
悠理は急ににやにや笑いながら清四郎の顔を覗き込んだ。
「こんな話よりさ、聞いたぞ。あたいが帰った後のこと!」
悠理のその一言で、清四郎の顔はみるみる険しくなった。
やはり聞いていたのか。
ここ数日の居心地の悪さといったらなかった。
あの日以来、可憐や美堂には散々そのネタでからかわれており、
清四郎のプライドは粉々のミジンコ状態だった。
いくら野梨子に気にするなと言われても、全く気にならないでいられる訳はない。
ましてやこんな悠理ですら、経験があるらしきことをのたまわっているのだ。
「人のことはいいとして、そのホテルはいつオープンなんですか?」
清四郎が必死に話題を逸らそうとした時、残りの4人が部屋に入ってきた。
清四郎は全身から力が抜けていくのを感じた。
もう逃れられない。まな板の上の鯉を実感した。

「悠理!久しぶりじゃない。」
「北海道から帰ってきたぞ〜〜。」
「北海道行ってきたんだ?」
「おみやげはありますの?」
生徒会室は賑やかになった。
悠理の土産話をお茶請けに、しばしの憩いの一時となった。
新しくできる北海道剣菱ホテルは、女性の美を追究したサービスがモットーで
百合子がトータルコーディネイトを手掛けており、
女性ならば一度は行ってみたいホテルを目指しているそうだ。
一流のエステティックサロンも併設してあり、宿泊者は自由に利用できる。
その話には可憐が食いついてきた。
「もしかして前に行ったスイスのスパがモデルになっているわけ?」
「そうだろ、多分。もうあそこは存在しないから、それに似た施設を
作りたかったんじゃないか?でも若返りのお茶はないぞ。」
悠理は自分で買ってきた『白い恋人達』を頬張りながら、
空になった湯飲みを可憐に差し出した。
「もしかしておば様に頼めば、タダで宿泊できたりサービス受けたり出来るわけ?」
「出来るんじゃないか?」
可憐はおかわりのお茶を注ぎながら目をキラキラと輝かせていた。
もう心は遠く北海道に飛び立っている。
北の大地にそびえ立つゴージャスなホテル。
そこで受けられる一流のサービス。
しかもそれが全部タダなのだ。
「悠理!!帰ったら絶対におば様に伝えてよ!!」
「わかったけどさ、そこがオープンするのってだいぶ先だぞ。
まだ基本計画の段階なんだしさあ。」
「え〜〜〜!!そうなの???」
そんな話で盛り上がっていたので、清四郎は内心助かったと思った。
逃げるのなら今の内だ。
「ちょっと用事があるから僕はこの辺で・・・」
清四郎が席を立とうとしたところ、すかさず可憐が
「ちょっと待って!忘れてたわ。私も清四郎におみやげがあるのよ〜」
そう言って、カバンの中から缶詰を取り出し、清四郎の前に置いた。
その缶詰を右手に取ったまま、清四郎は凍り付いた。
「いきなりなんでこんなものを持ってこようと思ったんですか?」
口調には棘があるものの、表情は完全に敗北者のものだった。
やはり自分はまな板の上の鯉なのだ。
下手に反論したところで、事実を突きつけられればぐうの音もでない。
その缶詰を可憐に投げつけたい衝動に駆られた。

そんな清四郎の頭の中を知ってか知らぬか、可憐は言い放った。
「昨日スーパーに行ったときに偶然見つけてね。
今の清四郎にはぴったりだと思って、わ・ざ・わ・ざ買ってきたのよ〜」
みんなは清四郎の右手に握られている缶詰を凝視した。
その缶詰は「チェリー」であった。
全然話がすすんでいません。
ごめんなさい。
暗い雰囲気の話の小休止ということで・・・

皆さんの素晴らしい作品が沢山あがっていて
こんなもの載せていいのかためらってしまいました。
510名無し草:02/03/30 23:26
小説が続々とアップされてて嬉しい!
 
>504
可憐をからかう悠理がツボです。
温泉旅行もいいですね。
前に小ネタであった、温泉ではしゃぐ女性陣に思わず
耳をそばだててしまう男性陣・・・という展開きぼん♪
 
>508
清四郎、徹底的に苛められてますね〜
今後、彼の逆襲はあるんでしょうか。
ちょっと期待してみたいかも・・・(w
511名無し草:02/03/30 23:37
>>501
うわお〜。せ、清四郎っぽい〜。
そういうことに対して意外と純な清四郎、ってのもいいけど、
いつも通り余裕しゃくしゃくな態度も、やっぱり萌え〜ですねえ。
清四郎に開発されていく野梨子・・・。いい!
512名無し草:02/03/30 23:46
>498
そうか・・・。父親と医者以外で野梨子の裸を見た事のあるのは・・・うおお〜。
こんな子供の時の話でさえ萌えてしまう自分はすでに終わってる・・・。
わかってるよ・・・わかってはいるのさ・・・ウチュ!
>>455の続きです。

悠理は美童の胸に手のひらを這わせたかと思うと、彼のシャツを
一気に左右へと引き裂いた。
飛び散ったボタンの一つが、彼の美しい頬を打った。
「な、何する気だよっ!」
「問題なのは、あたいが清四郎しか知らないって事なんだよな。
だから、奴と必ず結婚しろって一直線になんだよ。
あたいが・・・他の男と寝れば、清四郎が責任を取る必要もなくなるんだ。
そう思わないか、美童?」
「そ、そぉかな?」
「美童、おとなしく協力しろ!」
あらわになった美童の胸元に、彼女は唇を這わせた。
彼は慌てて身体を捩り、その唇を避けようとした。
「嫌だよ!ぼく、清四郎と兄弟になんかなりたくないよ。
あいつに殺されるじゃん!」
「あいつには、絶対美童の名前は出さない。
あたい、まだ結婚なんかしたくないんだよ。助けてくれよ」
悠理は美童に哀願した。
そのしおらしい姿に、彼は思わず怯んでしまう。
その隙を悠理は見逃さなかった。
油断した奴が悪いのだ!
片手で美童のベルトを外し、残ったもう一方の手で器用にワンピースを脱ぎ捨ててゆく。
「!!」
悠理の白い胸には、いくつものキスマークが浮かび上がっていた。
大空を自由に羽ばたいていた彼女を、地に縛り付ける赤い鎖のようだ、と美童は思った。
・・・これか。葉子さんが言っていたのは。
人づてに聞くのと、実際に見るのでは、衝撃の大きさが違った。
清四郎の奴、悠理の白い肌になんて事を・・・!
ジェラシーにも似た憤りが、彼の心を支配した。
「美童・・・」
悠理の唇が近づいてきたが、避けようとは思えなかった。
彼女の熱い舌が、美童のそれに絡み付いてくる。
わずかにジンジャーの香りがした。
彼女にディープキスの知識があったとは思えない。
清四郎が実践で教え込んだのだ。
そう感じた時、美童の体の芯に火が点いた。
清四郎に対する敵愾心が、マグマのように湧き上がってくる。
長く深いキスを終えると、美童は少女を抱き上げる様に身を起こした。
体にまとわり付いていたぼろきれの様なシャツを、もどかしげに投げ捨てた。
「悠理・・・ぼくを嫌わないでおくれよ・・・」
と、とろけるように囁くと、ブロンズ像のごとき美しい裸体を、
悠理に重ねていった。

男の肌に慣れていない悠理の肢体は、触れる度にバイオリンのように甘く震えた。
陶磁器よりも白い肌が次第に朱を帯びてゆく様子は、色づき始めた紅葉を思わせた。
時折漏れる彼女の高い声は、鈴よりも甘やかに美童の鼓膜を刺激した。
悠理はどこまでも柔らかく、彼を優しく飲み込んだ。
ベルベットにすっぽりと包みこまれるような、安堵感。
そんな思いを、今までに感じたことが無かった。
他のどんな美女も、彼にそれを与えることはできなかったのである。

ベッドで美童が目を覚ますと、悠理はすでに消えていた。
枕元に、銀のバレッタが落ちていた。
「悠理・・・」
彼はそれに、愛おしそうに口付けた。
515旅立ち作者:02/03/31 01:17
美×悠、とりあえずここまで!
ちょっと前の美童の囁き、さすがに首がかゆくなりました。
何言ってるんだか。

>>462さん
カップリングですが、悠×清×美×魅(+α)になります。
全然分からないでしょ、ごめんなさい。
ネタバレ危険につき、伏せさせてください。
ちなみにαは、出す人数が決まってないだけで、たいした含みはありません。
516名無し草:02/03/31 01:53
おおっ。
しばらくこないうちに清×野&魅×野ネタが盛り上がってますね。

497さん>裕也が「あんたにはじめて触れる男が俺なんかでごめん」って言ったような気持ち。
そういうスタンスが魅録にもありそう

萌え〜!!!!
萌えすぎて、コメントが思いつきません。(すみません)

499さん>三角関係もかなり萌えポイント高いですね。
というか、既にある意味原作も三角関係?←妄想ですかね。はは(汗

501さん>こういう清四郎いいですね〜。ハマリました!
大分前ですが書き込みで
「「だからボクはためいきをつく」の恭くんみたいな
恋愛&セックス観の清四郎が、野梨子だと調子がくるって
どんどん恋に目覚めていく」
っていうのに妙に納得したことがありますが、そういう紆余曲折後のセクースのようで
頭の中で勝手に前後のドラマを作ってしまいました。

以上、かなり無駄レスで申し訳ない。
517516:02/03/31 01:59
174 :花と名無しさん :02/02/05 16:29
私の場合は「清四郎は経験豊富」説をとりたいと思います!
イメージ的には、有閑倶楽部14巻収録の
「だからボクはためいきをつく」(レズの女の子に恋する話)
の恭くんでしょうか。
セックスに関して
「なんだこんなものかと思ったまま
今でもこんなものかと思ってる」
ていうのが、ちょっと清四郎っぽい。
早く、野梨子と本当の恋をしてください(w。

清四郎は外面良さそうなので
女は(勘違いして)たくさん寄ってくるでしょう(^^;
それなりに割り切って、
でもどこか違うって感じでこなしてるんじゃないでしょうか。

中学生編のけんかの強い清四郎を知って魅録がびっくりみたいに
今度は、美童がびっくり!みたいな。

個人的には童貞とか、頭でっかちな清四郎はやだなあ(^^;;)


という書き込みに納得したんですが
(この頃は清四郎=童貞って雰囲気だったので妙に納得した)
ちょっと、上と言ってる事ずれてました〜(^^;;

余談ですが、リンクの張り方がわかりません。
どなたか教えてもらえないでしょうか?
518名無し草:02/03/31 02:06
旅立ち編、そういう展開だったんですね(驚
清四郎に敵愾心を燃やす美童(・∀・)イイ!
この先、男2人のバトルもあるんでしょうか。
ドキドキ、ワクワクです。
519名無し草:02/03/31 02:10
>517
正式には「>>○」(○には該当レスの数字、>も数字も半角)ですが、
すぐそばのレスだったら「>○」の方をお勧めします。
こちらの方がサーバーの負担が少ないそうなので。
520名無し草:02/03/31 02:15
愛と青春の旅立ち編、燃えます!!
こういう展開、待ってました――!!
美悠って、めったに見れないから、余計にうれしいです
というか、私はどの女の子が相手役でもいいから、
美童がカップリングに絡んでる話が好きです!
それも、いつものスマートな恋愛のできる彼じゃなくって、
彼に男らしさを垣間見る瞬間が心躍ります。
美野や美悠だけじゃなくって、美可も好きです。
521516:02/03/31 02:31
>>517
ありがとうございます。
勉強になりましたm(__)m
522名無し草:02/03/31 02:40
>520
同志です!
いや、私は魅録マンセーなんですが。
女の子の子が誰か、ていう点に注目してる人ばっかりだと思ってた。
私は>520さんのように、とにかく、魅録が女の子に愛されまくってほしい方(藁
>>491(男達の憂鬱)
>>504(女性陣の本音) 続けさせて頂きま〜す

やわらかい風が気持ちいい土曜日の夕暮れ。
清四郎と悠理は横浜スタジアムにいた。
今日は悠理の大好きなロックバンドのライブがあるのだ。
例の飲み会後も未だ悩める清四郎を見かねて、魅録が教えてくれたのである。
しかもアリーナ席のチケットまでつけて。
(全く持つべきものは魅録さまですね・・・)
清四郎は苦笑しながら、興奮でほっぺを真っ赤にしている悠理を見つめた。

あの部屋での一件以来、なんとなくぎこちない二人だった。
そのせいで、さしもの清四郎も少し緊張してかけた誘いの電話だったが
「行くーっっ!!行く!行く!行く!ぜってー行くっっっっ!!!」
まさに一つ返事の悠理に、笑ってしまった。かわいい奴である。

午後6時。照明がスーッと消え場内が静まる。
とたんに激しいギターが鳴り響き、まばゆいばかりの光が放射した。
「いやっほぅっ〜!!!」
待ってましたとばかりに飛び跳ねる悠理に、清四郎はびくっとする。
重低音が心臓から響いてきてなんだか変な感じだ。でも悪くない。
大声で歌いながらクルクルと踊る悠理に、笑みがこぼれる。
悠理に合わせて体を動かしてみるが、思うようにリズムがとれなくて
清四郎は隣の男に笑われてしまった。心外である。
と、それに気づいた悠理が鼻息荒く男を睨み付けると、
清四郎の手を取って、曲に合わせ軽く揺れはじめた。
「連れて来てくれてありがと。すっげー楽しいぞ!」
鼓膜が破れんばかりの大音量も、激しいリズムも
もともと音感は悪くない清四郎である。そのうち慣れてしまった。
後日、テレビ放映されたこの日のライブで、この踊り狂う背高コンビが
異様に目立っていたことは言うまでもない。

激しい曲がずーっと続いた後、突然流れるピアノの音。
空を仰ぐと、もう月がでていた。星は遠くて見えないけれど。
さっきまで息を切らして踊っていた二人も、ふと気が抜けて
なんとなく軽く揺れていた。悠理の髪がふわふわと風に揺れる。
「なぁ清四郎…」
「なんですか?」
「あたい、今までバラードって眠くなるから嫌いだったんだけど」
「…バレエですら寝てますもんね(笑)」
「・・・・・・でも今日は結構いいなって思うよ。」
ステージを見つめながら、呟くように悠理が言った。
清四郎はその手をぎゅっと握りしめた。

「ふは〜っっ!!最高だったなぁ〜!!ロックもいいだろう?」
「耳には悪そうですけど、楽しかったですよ。また来ましょう。」
「やったっ!約束だぞっ。」
大量の人波に押されながら、手をつないで外に出る。
そのまま鼻歌を歌いながら、中華街へと向かった。
「確か九江ちゃんの弟子の店があったと思うんだけど」
「この先の角ですよ。」
「お前、ほんとなんでも知ってんなぁ…」
(あなたのために調べたんですよ…)清四郎は苦笑した。
予約を入れたにもかかわらず、悠理は食べた。とにかく食べた。
十江さん(弟子)の脅威のスピードをもってしても間に合わないほど、
ものすごい勢いで食べまくった。対する清四郎も体型の割には
よく食べる方なのだか…もはや「敵わない」とかいうレベルではない。
でも悠理が美味しそうに食べるのを見るのは、好きだった。
そして彼女の食べっぷりには中華料理が良く似合う。
「はぁ…ごちそうさまでした。満足ぅ〜♪」

「せーしろーちゃんっ、あたいデザートも食べたいなっ♪」
少しお酒が入ったせいもあって、一向にテンションは衰えない悠理。
「はいはい。もちろん用意してございますよ、お嬢さま。」
「やったっ!せーしろーちゃん、大好きっ♪」
一瞬の沈黙。いつもの軽口と同じなのに、なんだか気まずい。
妙にお互いを意識しあったまま、二人はランドマークタワーへと向かった。
タワー高層部にあるホテルにチェックインする。ますます黙りこくる悠理。
「そんな顔しないで下さい。部屋にデザートを用意してもらっただけですから。
別に何もしませんよ。」 「あたい何も言ってないだろっ。」
ぎこちない空気のまま、部屋まで着いてしまった。最上階、スイートルーム。
とドアを開けるなり、空気は一変した。
「わぁ〜おっっっ!!!これ全部食べていーのっっ♪」
中央のテーブルに盛られたデザートの山・山・山。
ここはケーキバイキングかと言わんばかりの華やかさである。
「やったーっっ!!剣菱悠理、頂かせて頂きます!」
感動で涙目の悠理は、神妙に手を合わせると、間髪入れずに食べ出した。

「夜景なんて目にも入ってませんねぇ…。ふぅ。」
気が抜けた清四郎は疲れきった体をソファに沈めた。
「せーしろーも食えよー!!」
ケーキの山の向こうから悠理の声がする。
「僕はもういいですよ…」 「そうお〜?!」
「先にお風呂に入りますね」 「ふぁ〜い」
窓から見える宙と地の星を愛でながら、バスタブに体を沈める。
あとは今夜どうするかですが…
今のありのままの悠理を見ていると、そんなことはどうでもいい気がしていた。
お互いのことを大切に思っていることは十分分かっているのだから
そのうちなるようになるだろう。焦らなくていい。
そう思いながら清四郎はゆったりと目をつぶった。

お風呂からでると、まっさらなテーブルの向こうに満足げな姿が見えた。
「もう全部食べたんですか?」 「ほんっとに旨かったぞ。サンキュー!」
「今すぐレントゲンを撮ってみたいですよ。」
「いちいちうるさいぞ。あたいも風呂入ろっと。」
軽やかに立ち上がると、悠理は軽快にバスへと駆け込んだ。
「元気ですねぇ。」
何か飲もうと冷蔵庫を開ける・・・と汚い字のメモが目に入った。
「これはせーしろーのぶん うまいぞ」
ちょこんと座る小さな苺のシャーベットに清四郎はにっこり微笑んだ
527523-526:02/03/31 05:37
長々と失礼いたしました。
徹夜でなにやってるんだか・・・>自分
続きをどなたかお願いいたします。
二人にあまぁい夜を過ごさせてやって下さい(切望)
528名無し草:02/03/31 05:42
清四郎、風呂に行けーーー!
そして、冷たい苺味のキスだ。ダメ?

私も地味に徹夜組です。
なにげにチェックしたら続きがあがってるので、嬉しー!
529剣菱家の事情:02/03/31 06:48
>536の続きかかせていただきます
   流石スウィートというべきか、バスルームは剣菱家のものと勝るとも劣らぬ瀟洒な造りとなっていた。
 悠理はゆっくりとバスタブにはられたお湯に足を滑らす。
 肩まで浸かると、心地よさに、自然に吐息が出た。
 足の先から、疲れがゆっくりと抜けていくのが分った。
 それで、いつも通りに接することが出来ていたものの、やはりどこか緊張していた己を自覚した。
「でも……楽しかったな」
 初めに自分の好きなライブに行ったのが良かったのかもしれない。
 その後の食事も。
 全部、自分が好きなものだ。心地よいものに囲まれて、束の間、気まずさも忘れた。
「それにしても、あいつとライブに行くとは思わなかった」
 初めの方の、物慣れない感じの清四郎の姿を思い出して、悠理はくっくっくと笑った。
 あいつ、きっと初めてだったんぜ。
 ステージ衣装を着ている清四郎の姿が次に浮かんできて、
 完全に笑いのツボに入ってしまった悠理は、ばしゃばしゃと水面の中で暴れた。
 こんなことでもなければ、一生、あいつがライブに行くことなんかなかっただろーな。 
 それを、今日はあたいの為に行こうかって気になって。
 ふと、笑いの波が引いてゆく。
 代わりにやってきたのは。
(……あたいの、為…か)
 また来ましょう、と清四郎は言った。
 その後、どさくさ紛れのように繋いだ手。
 夜の帳が落ちた空の下で、高ぶった気持ちのまま笑いあって。
 同じように、ダチたちと馬鹿やってハイになったことはあったけれど。
(でも、これは)
 友情じゃ、絶対にないんだ。
(………っ!!)
 急に、悠理は頬を紅潮させた。
 なんだか、急に胸が苦しくなってくる。
(あ、あたい)
 デザートで忘れかけていた羞恥が、再び湧き上がる。
 なんで風呂なんかに入っているのだろう。
530剣菱家の事情:02/03/31 07:20
上の続き

「……ながい、ですね」
 ボーイ達に食器を片付けさせた後は何もすることがなくなった清四郎は、
 手持ちぶたさに、ミネラルウォーターの入ったグラスを弄りながら呟いた。
 悠理はカラスの行水というイメージがあったのだが。
 それとも、長く感じているだけで、実際にはそれほど時間は経っていないのだろうか。
 じりじりとした気分で、しかし表面上はゆったりとソファに座りながら、清四郎は悠理を待った。
 カタン。
 バスルームのドアの奥で、もの音がした。
 どうやら、ようやく風呂からあがったようだ。
 どくん。
 唐突に、清四郎の胸が跳ね上がった。
 どくん、どくん。
 (―――緊張、してる? この僕が?)
 別に、これから悠理をどうこうする気はない(というより、諦めた)
 なのに。
 だが、そう思いつつも自分の神経が緊張のために鋭敏に張り詰めてゆくのを清四郎は感じていた。
 そして、しばらくした後。
「……あがったよ」
 振り返ると、たっぷり湯に浸かったせいか、頬を紅潮させた悠理の姿があった。
 服装は来たときのままの姿ではあったが、湿った肌にシャツが張り付いていて……なんというか。
「………」
「清四郎?」
 こくんと首を傾げると、ぽたりと髪からしずくが落ちる。
 身体からは湯気が立ち上り、上質な石鹸の匂いがした。
「あ、ああ、いや――ちゃんと髪を拭かないと、いくらあなたでも風邪をひきますよ」
 動揺を押し隠すため、淡々と清四郎は言った。
531名無し草:02/03/31 07:38
続き、誰か書いてください。
変なところで終わらしてしまった…
(このまま何もせずに帰るのも手かな?)
清×野を聖プレジデント学園の名もない女生徒の視点でかたってみました。
ストーリーはなく、日常の一コマ的小ネタであります。


あのお二方を見ていると、私はいつも幸せな気持ちなる。

生徒会長の菊正宗清四郎さま。
良家の子女が集まるこの学園でも、一際きらびやかで華やかな有閑倶楽部の
リーダーでいらして。先生方の信頼もお厚く、どこにいても人目をひく存在感。
成績は常にトップ。武道にも秀でていらして、喧嘩もお強いのだとか。
すこし怖い方なのかと思ったけれど、一度だけお話しをさせていただいた時
意外なくらいに優しい声で、こちらを気遣ってくださる方だった。
彼をお慕いする女生徒達は、この学園には数え切れないほどいるだろう。
そして。
そんな女生徒たちも認める存在。幼なじみでいらっしゃる白鹿野梨子さま。
本当に、日本人形が命をふきこまれて歩いているのかと思えるほどに
うつくしくたおやかで、なにかが匂い立つような・・・。
同じ女性の私ですら声をかけるのも憚られるような、気高い横顔。意志的な瞳。
けれど、どんな人にも優しく微笑んでくださる方。
踊りの舞台を拝見したことがあるけれど、普段とはまた違う、妖艶な魅力で
会場中を魅了していらした。

菊正宗さまと白鹿さまが並んで歩いているさまは、まるで一対の雛のようだ。
菊正宗さまと白鹿さまは、いつも一緒に登校していらっしゃる。
挨拶をする生徒達。にこやかにお応えになるお二方。
学園の朝を告げるような、毎日の風景。
菊正宗、白鹿両家の間では、既に結婚の約束が交わされているという噂も耳にする。
お二方をいつも見ている私は知っている。
菊正宗さまが、白鹿さまをどんなに優しい目で見つめていらっしゃるか。
白鹿さまが、菊正宗さまをどれほど尊敬し、心を許していらっしゃるか。
倶楽部のみなさまは、いろいろと危ない目に遭うことも多いと聞くけれど、
菊正宗さまは、何をおいても白鹿さまを助けにいかれるのだろう。
そんな菊正宗さまを信頼して、危険をおそれず立ち向かう白鹿さま。
生まれた時から、いつもそばにお互いを感じてお育ちになってきたのだもの、
私などには窺いしれない強い強い絆が二人を結んでいらっしゃるのだろう。
学園の双子星のように、きらめくお二方。

あのお二方を見ていると、私はいつも幸せな気持ちなる。
>530 の続きです。

「大丈夫だい。
 真冬に風呂上がりに裸足でもあたいは風邪ひかないんだぞ」
 そう言うと、悠理は清四郎の横を通り抜け、部屋へと歩いていく。
「駄目ですよ。」
 清四郎はバスルームからタオルを持って悠理の後を追う。

「へっくしゅん」
「ほら、言った通りでしょう。」
悠理の後ろから、頭にタオルをかける。いつも五代にも言われていることなのに、
何かが違う…。

「どうしました?」
そのまま動かなくなった悠理に、声をかける。小さな背中に戸惑いつつ、
手を伸ばし、拭こうとすると、それを察したように悠理は
自分で頭を拭きはじめた。清四郎には背を向けたままで。
伸ばした手が空を切り、元に戻される。

自分がどうしたいのか。
相手に何をして欲しいのか、してあげたいのか。
二人とも、分からないでいた。
先に動いたのは悠理だった。
「咽、乾いたな。」
冷蔵庫を開け、スポーツドリンクを取り出しながら、清四郎に聞いた
「シャーベット、上手かっただろ?」
「まだ食べてませんよ。アイスやシャーベットは冷凍庫に入れないと
溶けるんですよ。」
「!!!」
「知らなかったんですか?」


このあと、仲良く苺シャーベットを食べるのか、
またすれ違うのか、、、続きをお願いします。

「シャーベットは冷凍庫に」というのは、
523さんの上げ足を取ったつもりはありませんが、
気分を害されたら、申し訳ありません。
536523です:02/03/31 12:53
>528
ドアを「フムッ!」とこじあける清四郎を想像してワロタ。

>535
お気になさらずに〜。確かにスイートだし冷凍庫ぐらいありそうですね。
私も泊まってみたい・・・

>523訂正
「一つ返事」→「二つ返事」に脳内変換お願いします。
一つってなんやねん・・・
>535続きを書きますね。

「折角だからシャーベット頂きます。」
清四郎は少し溶け始めたシャーベットを口に運んだ。
「…流石、一流のパティシエが作っただけあって美味しいですね。」
「そ、そーだろ。」
悠理は髪をごしごしと乱暴に拭きながら横浜の街を見下ろした。
「綺麗だな〜。」
今頃になってようやく夜景の美しさに気付いた悠理は、じっと窓の外に見入っていた。
「最上階ですからね。一望できますよ。」
シャーベットを食べ終えた清四郎も悠理の隣りに並ぶ。
その整った横顔を見ながら、悠理は考えを巡らせた。
今、自分はとても幸せだ。大好きなライブと美味しいデザート。どちらも満足した。
だけど…もしかしたら、こうして隣りに清四郎が居るから楽しめたんじゃないか。
清四郎が自分に合わせてくれたから…。
こいつが他人のペースに合わせるなんて、相当我慢してるんだろうな。
今度は自分が清四郎の気持ちを考えよう。
心は互いに分かり合えたけれど、それだけじゃ駄目なんだ。
意を決した悠理は口を開いた。
「…わ、悪かったな清四郎。」
髪に隠れてその表情は良く見えない。
「何ですか急に。」
突然発した悠理の言葉に清四郎は少し驚いた顔を向けた。
「…別に、あたいはお前のことを嫌ってるとかそういうんじゃないんだ。」
先日のことを言っているのだと清四郎は思った。
「それは分かってますよ。僕も少し言い過ぎましたしね。
…美童達に言われましたよ。『理詰めで言っても駄目だ』って。」
「あ〜、あたいも可憐達に言われたよ。『清四郎の方が悩んでるに違いない』
って。」
「あいつらの方が、よっぽど僕達のことを理解してますね。」
「そうだよなあ。」
夜景を眺めながら清四郎も又、考えていた。
いつも悠理には振りまわされている気がする。本当にトラブルメーカーだ。
だが振りまわされるのも、それ程嫌ではないし、実際それを楽しんでいる
自分がいる。こうなったら悠理の歩調に合わせてのんびり行こう。
悠理の世話が出来るのは、やはり自分しかいないのだから。
悠理も剣菱もまとめて自分が背負ってやろうじゃないか。
それが自信家だと揶揄されるのなら、むしろ本望だ。
清四郎は穏やかな表情で悠理のことを見つめた。
「…悠理。これは僕からの気持ちです。」
そう言うと清四郎は悠理の左手の薬指にそっと指輪をはめた。
「へ〜可愛いじゃん。」
悠理は天井に手をかざすと、その指輪を光りに照らし暫らく見つめていた。
「可憐に頼んだんですよ。持つべき者は友人ですね。」
「うん。」
悠理の表情がふっと和らぐ。
「なあ清四郎。これから先もお前とは長い付き合いになりそうだよな。」
「迷惑ですか?」
「ん〜、お前ならいいや。どこまで出来るか見届けてやろうじゃん。」
「…それは責任重大ですね。」
「何言ってんだよ。自信あるくせに。」
悠理は清四郎の首に腕を回すと思いきって唇を重ねた。
「…今日は随分と積極的ですね。」
「『あたいらしく』ってね。」
少し悪戯な笑みを浮かべる悠理。そんな悠理の身体を清四郎は再びきつく
抱きしめると、互いの気持ちを確かめるように深いキスを交わした。
始めて2人だけで過ごす長く幸せな夜だった。
とうとう結ばせて(変な日本語…汗)みました。
折角>504さんに温泉というオイシイ(w ネタを書いて頂いたので
この後、全員で行くのはどうでしょうか?まだ美×野のことを4人は
知らないですし、そこで発覚しても面白そうですよね。
この話も大分終わりが見えてきましたし(^^)ぜひ続きをお願いします!
540名無し草:02/03/31 23:47
「剣菱家の事情2」最高っすよ!
いやー、堪能させていただきました。
清×悠が好きっていうのは、やっぱ少数派なのかな〜
なんてちょっと心細く(?)なってたところだったので
嬉しさ倍増です(w
この後は、みんなで温泉かあ。
そこで美×野のことが発覚・・・それイイですね。
私は読む方専門なんですが、楽しみにしております。
541名無し草:02/04/01 00:25
本スレにちょっとムカッ。
542名無し草:02/04/01 00:42
>>541
マターリとね。
543名無し草:02/04/01 01:10
>>540さん
いや、私も清×悠です!
っていうか悠理ファンなので、誰でもいいの。相手役は。
(魅録マンセーな人と気が合いそうだ・・・)

剣菱家の事情2、楽しませてもらいました〜!
積極的な悠理にクラクラです。
>>514の続きです。

罪作りな悠理は、すこぶる機嫌が良かった。
これで、婚約解消できるぞ。スキップをして帰宅した。
しかし、清四郎に直接打ち明けるのはまずい。うまく丸め込まれる危険性がある。
これまでの経験から学習済みだった。
最終決定権は、結局万作にあるのだ。告げるのは、両親の帰国を待ってからの方がよさそうだ。
「じい。父ちゃん達、いつ帰ってくんだ?」
「先程のご連絡では、明後日の午後になると。
奥様も、お2人のご婚約をそれはお喜びになっているそうですぞ。
それにしても、あのお小さかったじょうちゃまが、
花嫁様におなりになる・・・この五代、感無量ですぞ」
涙ぐむ五代を無視し、悠理は拳を握った。
よし!明後日か。あと2日で、あいつともおさらばだ!
「・・・清四郎は、どうしてる?」
「客間で、届いたお荷物を整理していらっしゃいます」
「げぇ、やっぱりウチに住むのかぁ」
「誠実で、しっかりしたお方です。
『自分事は自分でやる』と、整理の手伝いをお断りになりましたし、
若はじょうちゃまのお部屋にご案内するよう、じいに命令されましたが、
『結婚まではけじめをつけたい』と自ら客間にお入りになりました。
じょうちゃまは、きっとお幸せになります・・・ううう・・・」
「あ、そ」
特に何の感慨も受けず、悠理は自室に戻った。
「何だ、これ」
部屋に、振袖が飾ってあった。
「ご結納の時の、お嬢様のお着物です。加賀友禅の作家物だそうですよ。
清四郎様が、お嬢様のイメージを元にお選びになりました」
悠理付きのメイドが説明した。
緋扇にあおがれて舞い上がる桜吹雪。力強さを感じる、ダイナミックな図柄だ。
「これが、あたいのイメージ・・・」
なんだか胸がくすぐったくなった。この感覚は、何なんだろう。
一方、こちら美童。P.M.10:00。
光沢あるグレーのスーツに身を包んだ彼は、
都内ホテルのカウンターバーで、ヘネシーを傾けていた。
コロンを振りかけた様に甘い声の持ち主が、彼を呼んだ。
「美童。ごめんなさい。待たせたかしら」
・・・・美童!悪ぃ。待ったぁ?
彼女の声はもっと・・・そう、風のように澄んでいた。
「美童?」
「あ、ごめん、シェリィ。ちょっと飲み過ぎたかな」
「部屋、取れたわよ」
シェリィはヴィトンのポーチから、カードキーをちらりと見せた。

口付けは、苦かった。
彼女の口紅の味がした。その違和感に、キスに応えることなく、唇を離した。
「どうしたの?」
「生姜・・・」
「え?」
「しょ、しょうがないんだ。口内炎が痛くってさぁ。ビ、ビタミンB不足かな」
「なんだか、変よ。今日」
・・・・変だ・・・あたいの身体じゃないみたい・・・
ビスクドールのように冷たく美しい彼女の横顔に、ある女友達の面影が重なった。
変だ。ぼくは・・・確かに、変だ!
美童はシェリィにタックルした。
彼女の豊満な胸に顔を埋めた。
ベッドのスプリングが、大きく軋んだ。
「痛いわ、美童」
・・・・痛・・い。美童・・・
「あせらないで。大丈夫よ。時間はたっぷりあるのだから」
・・・・大丈夫。う、動いていい・・・・
彼は混乱した。どちらが現実だ?
身体はシェリィを抱き、脳は悠理を抱いている。
「美童?」
・・・・美童・・・・
・・・・はよー、美童!
・・・・なんだよ、美童
・・・・美童!!
「違う!」
美童はシェリィから離れた。
「君じゃない」
「なっ・・・」
ベッドで呆然とする女を振り返りもせず、美童は扉の外へと消えた。
シェリィは扉に向かって枕を投げつけた。
「shit!」

自宅へ向かうタクシーの中、美童はあの少女を思い浮かべていた。
途端に胸が熱くなる。
どうしちゃったんだ、ぼく。
自他共に認める、名うてのプレイボーイである自分が、
たった一人の面影に踊らされている。
相手は、あの悠理だぞ。女とも思ってなかった、それどころか
シンバルを叩く猿のおもちゃみたいに思ってた、あの!
たった一度抱いただけで、なんてザマだ。これじゃあ、まるでぼく・・・。
カーステレオからアメリカンポップスが流れてきた。
金髪の美童に、運転手が気を使ったらしい。
曲名はマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」
ああ、まるで拷問だ・・・。
547名無し草:02/04/01 01:58
>532-533
6人以外の視点、というのが新鮮でした。
きっとこんな感じに憧れてる生徒って多いんでしょうね。
私も聖プレジデント学園にコソーリ紛れ込んでみたくなりました。
 
>544-546
美童まで惑わすとは、悠理ってもしかして魔性の女?
恋してしまった美童がどう出るのか、悠理は清四郎に
言いくるめられずに済むのか、気になることだらけ。
続きがとっても楽しみです。
>>508の続き

チェリー缶話で大騒ぎの生徒会室。
しかし魅録の心はその喧噪から遙か彼方にいた。
あの時の悠理の涙。
幻だったのか・・・?
ヘッドライトに照らされた一瞬のことで、魅録にも確信はない。
あの後の悠理は普段通りの悠理だった。

「魅録どうしたの?」
物思いに耽っている魅録に美堂は問いかけてきた。
「あ・・・いやちょっとね。」
美堂は何か言いたそうだったが、魅録は鞄を取った。
「悪い。俺帰るわ。」
そう言って席を立ったところ、
「あたいも帰る。」
と悠理も立ち上がった。
「ちょっと待ちなさいよ!!悠理にも聞きたいことがあるのよ!!」
後ろで可憐の叫ぶ声がしたが、2人はそのまま部屋を出た。
「なんであの日、俺があれ(GT−R)に乗ってくるって思ったんだ?」
悠理と一緒だったため、魅録は剣菱家の迎えの車に同乗させてもらっていた。
「魅録があれを譲り受けてから丁度1年目になるだろ?
だから何となくそう思っただけ。」
「何となくかよ・・・」
深い意味があると思ったのは思い過ごしか。
様々な謎めいた悠理の言動。
一つ一つの意味を確かめると案外こんなものなのかも知れない。
魅録は苦笑した。

しかしその後の悠理の言葉は魅録には予想外のものだった。
「あたいは・・・あれに乗った魅録が見たかったんだ・・・」
「え・・・?」
その時、車は松竹梅家の門に到着した。
運転手が恭しく魅録の側のドアを開ける。
それに促されるように、魅録は車から降りざるを得なかった。
「じゃあな。また明日。」
「ああ・・・」
結局また何も訊くことができなかった。

今回はここまで。少なくてごめんなさい。
次からは動きますよ〜
550名無し草:02/04/01 07:35
やっと考えてた話がまとまってきたので、
やくざ抗争編の続編書きます。
オリジナルキャラ出てるんで、
前作読んでない方にはわかりにくいかと思います。
そこで、原作風キャラ紹介。

千歳鶴 龍之介
やくざの息子でシェフ見習い。
料理は基本的に和食・洋食何でもOK。
菊翁文左ェ門のお気に入り。
好きなタイプはよく食べる子。
剣菱宅・温水プールにて、有閑倶楽部の6人が遊んでいた。
悠理と魅録がまたもや競争している。
「悠理、今日、龍之介も呼んだんだろ?遅いなぁ。」魅録がプールから顔を出して言った。
「うん。今日は店、休みだって言ってたからさ、きっともうすぐ来るよ。
たっくさん昼飯作ってきてくれるってゆってたし♪」
「龍之介君も優しいよねぇ。いっつも悠理のためにそーやって料理作ってくれてさぁ。」
美童がプールサイドに寝そべりながら言った。
「ほーんと。自分の彼女でもないのに、マメよねぇ。
普通、顔も良くて料理もできる男って大抵ゲイだったりするけど、
龍之介の場合は、そんな可能性は全くないし、貴重よ〜!」
可憐の発言にはかなり実感がこもっている。
「龍之介さんは、いつも自分の料理を、
おいしく沢山食べてくれる悠理が好きですのよ。」
「オレ達だっていつもうまいって言って食ってるのになぁ。」
「悠理は食べる量が違いますからね。
おや、噂をすればなんとやら、龍之介が来たみたいですね。」
清四郎が言ったとおり、室内プールが面した庭の方から、
手を振りながら龍之介が歩いてくるのが見えた。
552だから誰か、:02/04/01 07:38
「うっわー、マジかよ!でけぇプールだなぁ!さすが剣菱家!」
「龍之介!遅いよ!あたい腹減ったぞ〜!」
「あー、ごめんごめん、ほら!」龍之介は大きめのバスケットを悠理に渡した。
「わーい!!!クラブハウスサンドイッチだぁ!!」さっそく悠理は嬉しそうにサンドイッチをほおばる。
「うまい!!」「当たり前だろ〜!」といいつつ、龍之介も嬉しそうである。
「みんなも来いよ!早くしないと、悠理に全部食われちまうぞ!」
「ちょっとー!悠理〜!全部食べないでよ!」可憐と美童が慌てて飛び起きる。
「結局、僕らも龍之介の料理のファンなんですよね。」
「清四郎、わたくし達も早く頂いてきましょ。
悠理にかかったらほんとに全部食べられてしまいますわ。」

昼ご飯も終わり、更衣室から水着に着替えて龍之介がでてくる。
「龍之介、嬉しそうですね。」清四郎が声をかける。
「オレんち、親父が入れ墨もちだから、
こーゆーでっかいプール、どこも入れてもらえなくてさぁ。」
清四郎は、龍之介の父・千歳鶴虎造の顔を思い浮かべた。
「なるほど…。納得です。」
「おーい!龍之介!競争しようぜ!」悠理と魅録が呼ぶ。
「おー!今行くぜ!」龍之介はプールサイドに向かう。
清四郎は、その左肩に小さな傷跡を見つけた。
「龍之介、背中のソレ、傷跡ですか?」
「ん?あ、これなぁ。ただの傷だ。12年ぐらい前に銃で撃たれた跡だよ。」
「銃痕!?」急に清四郎が大声を出したので、みんなが寄ってきた。
「どうしたんだ?」「いやー、清四郎がオレの背中の古傷見てびっくりしてんの。」
「どれどれ、うわっ!これ銃痕じゃねーか!」魅録も驚いて声をあげる。
「しかもこれ、取り出した跡がないじゃないですか!?」
「ああ、オレ撃たれたとき、まだ6つでさ。そんとき骨に食い込んでるだの、神経がどうだのとかで、
手術はムリって言われてそのまま。」
「ということは、まだ体内に拳銃の弾が入ったままってことですか?」
「ああ、雨の日とか痛んだり、たまに左腕痺れたり上がらなくなったり、
左肩こりやすかったりするけど、別にこのままでも、特に生活に支障はないぞ?」
「全然、生活に支障あるじゃないですか!!!」再び清四郎が叫ぶ。
「わかったよー。今度病院行ったら診てもらうからさ。」
「いや、龍之介、君の性格からいって、自分から進んで病院に行くタイプじゃありませんね。
今からうちの病院に予約入れますから、診てもらいましょう。」
予期せぬ清四郎の言葉に「はぁ???なんでそういうことになんだよー!」龍之介は叫んだが、
「左腕が動かなくなったらシェフが務まるんですか!!!!」「う、うわ。」
あまりの清四郎の迫力に、龍之介はたじろいだ。「わかった。行くよー!行けばいいんだろ!?」
「聞き分けがいいですね。検査だけで済んだら戻って来れますよ。」
清四郎はにっこり笑った。
そして、龍之介は、剣菱家のプールに未練を残しつつ、
どことなく嬉しそうな表情の清四郎に菊正宗病院へ連れて行かれたのだった。
「あれってさぁ…、どうみても、龍之介のためというより…」
「清四郎の興味だよなぁ?」美童と魅録は顔を見合わせた。
555名無し草:02/04/01 07:44
肩に弾が埋まってどれだけ支障があるか、実際全くわからんので、
そこらへんは、創作ってことでよろしく…。
ものすごく変な展開になるかもしれないです。
556名無し草:02/04/01 08:07
続編待ってました♪
龍之介、悠理の胃袋だけじゃなくて、ハートも射止めるんだ!
サブタイは・・・う〜ん、展開が分からないと難しいです。
役立たずでごめんなさい。
557名無し草:02/04/01 08:45
>532-533
やった!久しぶりの清×野だーーー!作家さんありがとう!
学園の世間知らずのお嬢様には二人はあんなふうに見えるんだろな。
作戦に催淫剤使ったりするブラック清四郎とか、手榴弾(あれはちょっと鬱)投げる野梨子とかを知ったら
どう思うだろ?
アマアマなだけじゃなくて嫌味言い合ったり(それがまたいいんだが)野梨子が清四郎をひっぱたいたり
するのを見たらこれまたビックリしそう。
558名無し草:02/04/01 09:33
楽しみにしてた話の続きがどんどんうpされてて嬉しいです!
「剣菱家の事情2」2人がうまくいってヨカッタ〜。
 素直になった悠理が可愛かった〜。ちょっと緊張してる清四郎もすごくイイ!
 あとは温泉旅行(に行くのかな?)で美×野がうまくいきますように……。
「愛と青春の旅立ち編」思い悩む美童とカラッとしてる悠理のギャップおもしろーい!
 いやー、美×悠って今まであんまり考えたことなかったけど超ツボにハマりました。
 いいっす!美童!!
「剣菱悠理の秘密」続きがすごく気になってたので嬉しいです。
 どんな秘密があるのか早く知りたい〜。
 次は動くとのことで(喜)続きを楽しみに待ってます!
そして、龍之介の続編!待ってました〜!
今回はどんな話になるんでしょうか?楽しみにしてますね〜。
559名無し草:02/04/01 10:30
>532-533
なんか奥ゆかしいというか、二人だけ世界が違うようなマターリ感というか、
読んでいて、ホントに清四郎と野梨子がそこにいるかのような気分を
味わいました。文章うまいなー。読んでいてウットリでした。
560名無し草:02/04/01 16:42
>532-533
とてもイイ!
また、お願いします。
561名無し草:02/04/01 23:09
作家の皆様、すばらしい出来です!
ここは本当にいいわ〜。

あの、ぜひ今度は魅×野の続きをお願いいたします〜。
562名無し草 :02/04/01 23:25
532-533さん>
今までにない斬新な手法ですよね!
「野梨子さま」って響きが新鮮で、良いですね〜(w

ああ、清×野 萌え〜〜

でも、魅×野もプッシュー!
>>538続き考えてみました。

それから1週間後。有閑倶楽部の6人は電車に揺られていた。
行き先は京都の老舗温泉旅館だ。清四郎と悠理がその話を持ちかけた当初、
他の4人は遠慮していた。だが考えてみると久しぶりの6人揃っての旅行だ。
最終的には皆、乗り気になったのだった。

「おっべんと、おっべんと嬉しいなあ〜♪」
駅の売店で大量に駅弁を買い込んだ悠理は、早速包みを開けると食べ始めた。
「…そんなに食べて、又胃腸を壊しても知りませんよ。」
「そうならないように、お前の調合した苦い薬を飲んできたんだろ。」
相変わらずといった悠理の様子に、魅録は隣りに座る可憐にそっと耳打ちした。
「おい。あいつ等どうなったんだよ。」
「上手くいったんじゃない?だって悠理がしてる指輪、あれうちで取り寄せた物よ。」
「ったく、どこまでいっても悠理は悠理だな。」
「でも幸せそうじゃない。」
可憐の言葉に魅録も渋々頷く。確かにいつもの2人に戻っているし、
こいつらは、これでいいのかもしれない。
「…ねえ、それより夜抜け出さない?悠理達だけが楽しい思いをするなんて
つまらないじゃない。」
部屋は3室とってあるが、悠理と清四郎が同室なのは暗黙の了解として
残りの2部屋は名目上、男女別れることになっている。
「いいけど…美童と野梨子が2人っきりになっちまうぜ。」
「あら。美童が野梨子に手を出すわけないじゃない。大丈夫よ。」
まだ美童と野梨子が上手くいったことを知らない可憐は呑気に言う。
「…う〜ん、それもそうだな。」
本音を言えば可憐と一緒に過ごしたかった魅録は、可憐の誘いに乗ることにした。
一方、美童は刻々と変わってゆく外の景色を眺めながら考え込んでいた。
(可憐のことだから、絶対に夜抜け出して魅録の所に行くぞ。そうしたら
僕は行き場が無くなっちゃうよ…。まさか野梨子と一緒に過ごすなんて
出来ないしなあ。野梨子に嫌われたくないんだよ。)
キスまではしたものの「野梨子のペースに合わせる」と言ってしまった手前、
それ以上の関係に進むのは勇気が要る。今までとは全く違う恋愛にさすがの
美童も慎重になっていた。
そして野梨子も思いを巡らせていた。
(まさか可憐、私を置いて魅録の元に行ってしまわないですわよね…。
そうしたら私、美童と2人きりになってしまいますわ。いくらお付き合いをしている
と言っても、そういうことはまだ早いですわよね…。)
「ちょっとお!食べ過ぎよ悠理!」
可憐の声が車内に響く。
6人6様の想いを乗せて、電車は京都へとひた走るのだった。

こんな感じで進めてみました。続きお願いします。
565名無し草:02/04/02 01:27
「剣菱家の事情2」京都旅情編、待ってました〜!
特に、美×野どうなっちゃうの?続きプリーズ!

しかも、やくざ抗争編の続編がUPされてる。ここは、宝の山かよ、おい!
サブタイトルにお悩みとか・・・。
しかし、私が付けさせてもらうとなると
「ベニスに死す」とか「風と共に去りぬ」とか
ものすごい事になりそうなので、(愛と青春の旅立ち編の作者です)
涙をのんで諦めます。
作者様、がんばって!
566名無し草:02/04/02 01:36
おっ、ついに旅行ですね。
京都旅情編というもサブタイも風情があっていい感じ。
6人6様の思惑が交錯しているのを、ドキドキしながら読んでます。
567名無し草:02/04/02 01:58
すごい勢いで更新されてますね!
私は新参者ですが、みなさんまったりとしていらっしゃるし、
すごくここは居心地がいいです
みなさん、がんばってください!
568女生徒Aの告白その2(野←魅編):02/04/02 10:27
女生徒Aの告白その2です。
こんな書き方を受け入れて下さる方がいらしてうれしいです。
今回は魅録の気持ちをからめてみました。

菊正宗さまと白鹿さまの仲のおよろしい事は、学園では周知の事実だけれど、
私は時々、本当に時々、どきりとしてしまうことがある。
それは、松竹梅魅録さまの存在。
松竹梅さまは、そのお名前にあるようにまっすぐに伸びる青竹のような
爽やかさを持っていらっしゃる方。日本の警視総監のご子息だというのに、
少しハメを外されることもお好きのよう。
そんなところが少しも気取りを感じさせなくて、男子生徒からも女子生徒からも
とても慕われている。人望がある方、というのは松竹梅さまのような方のことだろう。
どちらかというと、女性といるより男性と笑いあっていらっしゃるのが
お似合いのように私には思える。
けれど。
これは私の全くの想像でしかないけれど、松竹梅さまは、白鹿さまに
特別な感情をお持ちではないのだろうか?
私が菊正宗さまと白鹿さまを見ている時、同じように視線をお二方に向けて
いらっしゃる松竹梅さまをお見かけしたことがある。
いつもは曇りのないその涼しい目元を、ほんの少し険しくなさっているように
思われたのは、私の錯覚だっただろうか?
いつかの朝、いつものように楽しげにお話をされながら校舎にお入りになる
菊正宗さまと白鹿さま。その後を、まるでお二方に気付かれないように離れて
歩いていらして、前を行くお二方に声をおかけにならなかったのはなぜだったろう?
569女生徒Aの告白その2(野←魅編):02/04/02 10:28
松竹梅さまが倶楽部のみなさまと知り合われたのは、中学生の頃だと聞く。
その頃にはもう既に、菊正宗さまと白鹿さまはあまたの思い出を共有して
いらした。他人には見えない二人を結ぶ糸。時間をかさねて、それはもう
ほどけないほどに幾重にも結ばれていたに違いない。
松竹梅さまが、そのことを常にかみしめていらしたのだとしたら・・・?
入りこめないお二方の姿を、後から出逢ったご自分を呪うようなお気持ちで
見つめていらしたのだとしたら・・・?

松竹梅さまと白鹿さまが、お二人でいらっしゃるところをお見かけしたこともある。
松竹梅さまは、とびきりの笑顔で、白鹿さまに笑いかけていらした。
お兄ちゃんがいない間に宝物をひとりじめにしている弟のような、少し照れたような、
ちょっと得意げなような・・・。
そんな表情を松竹梅様もなさるのだ、と私は思ったのだった。

けれど松竹梅さまは、そんなご自分の想いをきっと誰にも告げることなく
自分の内に押し込めようとしていらっしゃるのだろう。
白鹿さまのことを想うがゆえに、白鹿さまの幸せを願っていらっしゃるのだろう。
白鹿さまが白鹿さまらしくいられるのは、菊正宗さまとご一緒の時。
そのことを一番理解されているのは、松竹梅さまなのかもしれない。
この先も、白鹿さまの幸せを見守っていかれるのだろう。
時折、二人になった時に、ご自分の想いがこぼれてしまうのにとまどいながら・
570女生徒Aの告白作者:02/04/02 10:29
ごめんなさい!
下げ忘れました!
本当にすみません。お許しを・・・。
571名無し草:02/04/02 19:15
>570
ま、気にするな。
マターリいこうね。
572名無し草:02/04/02 20:11
告白第二弾嬉しい
片想い魅録というのも切なくていいね
573名無し草:02/04/02 21:10
>お兄ちゃんがいない間に宝物をひとりじめにしている弟のような、少し照れたような、
>ちょっと得意げなような・・・。

この描写に萌えでした。
なんだか表情が目に浮かぶよう。魅録かわいいなあ。
たまにはこういう切ない小説も素敵ですね。読んだ後、しばらく
雰囲気にひたらせていただきました。
570さん、私こっそり女生徒シリーズのファンですv
574名無し草:02/04/02 22:50
はじめてきました。こんなとこがあったなんて知らなかったー!
清×悠イイ!原作の清四郎が悠理の婿候補になる話思い出しました。
575名無し草:02/04/02 23:02
温泉旅行のネタフリをした者ですが、続きを書いて下さった方がいてうれしいです!
美×野は、どーなっちゃうの!?
そして可憐と魅録は夜どこに行くのか・・・気になります。

個人的には、
可憐に引っ張られて無理やり八坂神社の恋おみくじを引かされる魅録なんてのも見たいです。
576名無し草:02/04/03 00:07
愛と青春の旅立ち編、すごいいいです!
なんかこういうお話待ってたというか・・・
作者の方の、なにげない描写にはまりました。
美童が悠理のことを「ツキノワグマより狂暴」みたいに
いうとことか、
「シンバルを叩くおもちゃの猿」みたいに表すとことか。
美童が悠理との情事を思い出してんだなーってのが
い、いたい美童・・とかでどきどき・・、みたいな。
続き、楽しみにしてます。
577名無し草:02/04/03 08:17
>573 第2弾もよかったです。魅録萌え〜
また、続き楽しみにしています
578名無し草:02/04/03 08:23
>575
おみくじを引かされる魅録っていいですね。
可憐はこういうこと好きそうだけど、魅録はシブシブって感じでしょうか。
んで、恋愛のところにヘンなこと書いてあって、弁解(なんの?)に
大慌て、とか。いろいろ妄想が広がっていきます。
旅行先ということで浮かれ気味の可憐にイチャつかれて、
照れまくる魅録も見てみたいな〜
579名無し草:02/04/03 08:24
「有閑倶楽部 妄想同好会」サイト管理人の嵐です。
ちょっとだけ宣伝書き込みをさせていただきます。
 
まず、掲示板2を旧作の感想用に衣替えしました。
個人的には、ここ本スレに書いても構わないと思うんですが、
タイミングを逃してしまって今さら書きにくい、という方は
ご利用くださいませ。
 http://dx1.kakiko.com/anime/clu/club2/index.html
 
それから、掲示板1の方で他サイトとのリンクについてお伺い
していますので、もし良ければご意見をお聞かせください。
よろしくお願いいたします。
 http://dx1.kakiko.com/anime/clu/club1/index.html
580名無し草:02/04/03 10:40
清四郎と野梨子の子供時代の話をちょっと考えてみた。
あらすじだけなのでどなたか小説っぽく文章化してくれる方いませんか?
下のを使っても全然内容を変えてしまってもかまいませんので。

つまらない事で喧嘩した清四郎と野梨子(五歳くらい)。
いつもならすぐ仲直りするのに今回は長期戦になってる。
両家の親が仲裁しようとするが二人とも譲らない。
それで時々白鹿家に遊びにくる男の子がいるんだけど(野梨子ママの弟子の息子)
この子が野梨子に惚れてる(お約束♪)。
だけどいつも清四郎が一緒で内心面白くない。
今回遊びに来たら二人が喧嘩中で邪魔者がいないので大喜びの弟子の息子。
今まで以上に遊びに来るようになる。反対に元気の無い野梨子。
たまたま二人を見かけた和子さん(小3くらい?)が清四郎に報告。
いつまでも意地張ってると野梨子ちゃん取られちゃうわよ、と脅す。
少し不安になるが強がってまだ謝りに行こうとしない清四郎。
そのうち弟子の息子は父親の仕事の都合でアメリカに引っ越す事になり
泣く泣くお別れを言いに来る。
その時「僕は悪くないけど、僕は男だからこっちから謝ってやるんだ」とかいって
無理矢理プライドを納得させた清四郎が野梨子の家に来る。
野梨子と弟子の息子が一緒にいるのを見て「またあいつが来てる!」と隠れるが
「絶対日本に帰ってくるから大きくなったら僕と結婚してね」とせまる弟子の息子を見て
「だめだよ!野梨子ちゃんは僕のお嫁さんになるんだから!」と飛び出す清四郎。
長文でスマソ。
581名無し草:02/04/03 12:28
>580
待ってました。>だめだよ!野梨子ちゃんは僕のお嫁さんになるんだから!
きゃ〜ってかんじです。ひさびさの清四郎と野梨子
やっぱり王道ですね。
582名無し草:02/04/03 19:54
580>
ぬお〜!萌え!!
子供バージョンいいですね!
ずっと待ってた清×野!感涙(^0^)(T▽T)

その14年後、その弟子の息子が帰ってきて、
現代バージョンとかも考えちった(w
>>546の続きです。

月曜日の放課後・・・。
生徒会室では、いつもと変わらぬ風景が繰り広げられていた・・・
わけではなかった。
静かに将棋を打つ清四郎と野梨子。
ファッション雑誌をサカナにして、いい男談義に一人、花を咲かせる可憐。
それを上の空で聞いている美童。
「ちょっと、美童。聞いてるの?」
「あ、うん聞いてるよ。えっと、男も自分を磨かなきゃね。
ぼくもエステ通おうかな」
「そうねぇ。でも美童の肌って、十分キレイだと思うわよ。
いいわねぇ、何にもしてなくてソレなんだから。
それより、悠理よ!あの娘、本気で肌キレイよ。あんなに酷使してるくせに。
全身、ぴっかぴかよ!ねぇ、野梨子」
「そうですわね。一緒に温泉に行くたびにそう思いますわ。
肌のきめが、本当に細かくて・・・。
清四郎、何思い出し笑いしていらっしゃるの?」
「いいえ、別に。王手ですが、どうします。降参しますか?」
「あら・・ちょっとお待ちになって」
可憐がため息をついた。
「あたしなんて、この美肌を保つのに血のにじむ様な努力をしてる
ってのに・・・。どうしたの。顔赤いわよ、美童」
「い・・や。今日はなんだか暑いよねぇ」
まさか、悠理の吸い付くような肌を思い出していた、とも言えまい。
美童はぎこちない笑顔を作り、窓を開けるために席を立った。
しかし彼が風を入れる前に、ドアから風が流れてきた。
悠理がやって来たのだ。
「ちぃーす」
美童はその声に、心と身体のバランスを崩し、カーテンにぶら下がってしまった。
耳まで真っ赤になる自分が分かる。
ふ、振り向けない!
「よぉ、美童!葉子さん、帰ってきたぁ?」
「ま、まだ」
彼は恐る恐る振り向いた。
悠理はいつもと変わらぬのん気面をしていた。
何でぼくだけ、こんなにオロオロしなきゃなんないんだ。
理不尽なものを感じる美童であった。
清四郎が立ち上がり、悠理に歩み寄った。
「遅かったですね。また補習ですか?」
「悪かったな」
「悪かありませんけどね。家庭に入ったら、どうせ意味のないことになりますし」
「悠理が、家庭にはいるぅ?やだぁ、想像できな〜い。
キャハハハ〜。似合わな〜い!」
「笑っちゃ悪いですわよ、可憐」
そう可憐を戒めながらも、野梨子も笑いをかみ殺していた。
破顔する女性二人の前にも、清四郎はその口元を崩すことなく、
「いいえ、近い将来の現実です」
と、悠理の肩を引き寄せた。
唖然とする野梨子と可憐。青ざめる美童。
「婚約したんです」
野梨子が立ち上がった衝撃で、将棋盤が引っくり返った。
駒がころころと床に転がった。
「またですの!」
「ねぇ、悠理!本当なの!?」
「あ、えーと、その・・・」
うまく説明できない。婚約は解消するつもりでいるが、
今、その切り札を清四郎に叩きつけるわけにはいかない。
「悠理は、戸惑っているみたいですわ。どう見ても嬉しそうには思えませんわ」
「剣菱に目がくらんだあんたが、悠理を丸め込んだんじゃないの?
宿題全部引き受けてやるから、とかなんとか言って」
「剣菱というより、悠理に目がくらんだんですよ。ねぇ、悠理」
「な、何いってやがる!」
悠理の強烈な飛び蹴りを、清四郎は事も無げに止めた。
彼の手の中には、彼女の足首が納まっていた。
難なく見えるが、それをできる男は、両の指の数にも満たないであろう。
「とても細い足首ですね。触れるだけで、折れてしまいそうだ」
清四郎は半眼を閉じ、彼女の足首にそっとその唇を付けた。
青筋を立てて、悠理はそれを振りほどいたが、遅かったらしい。
「ま、まさか、あんた達。そーゆー関係に・・・」
「ありえませんわよ、可憐!悠理が純潔を許すはずがありませんわ」
「で、でも。よく見ると、チラッと見えるのよう。悠理の咽に、キ、キスマークが!」
「げえっ」
悠理は慌てて咽元を隠した。
諸悪の根源を睨みつけるが、彼は涼しい顔をしている。
「すみませんね。今度から目立つ場所には付けない様、気をつけますよ」
と、反省の色が全く見えてこない謝罪をした。
野梨子は真っ赤になった。この手の話には免疫がない。
しかも、これは堅物の古い幼なじみとあの悠理との情事である。
ただただショックで、声も出なかった。
「うわ〜、びっくりしたわぁ。まさか倶楽部内でカップルが誕生するとはねぇ」
咽元を隠し続ける悠理に、可憐がバンドエイドを取り出した。
「これで隠しときなさい。教師に見つかったら、コトよ。貼ったげるから」
まさか、スーパーボールのようにピョンピョン跳ねていた
この女友達のキスマークを、この可憐さんが隠してやる日がやって来るとは・・・。
感慨深いというより、不可解なフランス映画でも見ているような気分だった。
「はい、できた。悠理、後ろ向いて」
「あ?」
「うなじにもあるのよ、マーキングが!はい、終わり!
ったく、初心者相手にハードすぎるわよ、清四郎は。ちょっとは気ィ使いなさいよね」
可憐の言葉を受ける清四郎の顔が、みるみる紅潮していった。
羞恥のためではない。
反面、美童は血が引き、青を通り越して真っ白になっていた。
身に覚えがあったからだ。
「・・・分かりました。すみませんが、悠理と2人きりにしてくれませんか」
「なあにィ。学校でえっちなコトする気?」
「違いますよ・・・ちょっと悠理に聞きたいことがありましてね」
ぞっとするような、冷たい声だった。
589旅立ち作者:02/04/03 22:30
長文、失礼しました。
読みにくそうだったので行数減らしたら、カキコの数が異様に増えてしまった・・・
どっちがマシなんだろう。ちょっと思案中です。

>>576様 
ありがとうございます。
以前、「読者様の感想は、ビタミン剤だ」と書かれていた作者の方が
いらっしゃいましたが、正に禿同!
とても、嬉しかったです。
590名無し草:02/04/03 23:11
>589
全然読みにくくないですよ!
とてもすっきりしていて読みやすかったです。
続きがとっても気になります!
カキコ増えなんて全く苦にならないです。
だって内容が面白いんだもん!
591名無し草:02/04/03 23:12
すみません うっかり上げてしまいました・・・・・
ごめんなさーいっっ!
592名無し草:02/04/03 23:19
やったー!
愛と青春の旅立ち編がいっぱいアップされている!
なんだか、ぴりぴりした雰囲気になってきましたが・・
この先どうなるんですか〜?
楽しみです。早く続きをお願いします(^_^)
文章もとても自然で読みやすいですし、
先がどうにも読めないし、個人的に悠理ファンだしで、
本当に楽しみです。
593名無し草:02/04/03 23:34
愛と青春の旅立ち編、お待ちしてました!
もしかして、清四郎と美童のバトルがあるのかな?ワクワク
悠理に翻弄される美童がなんか可愛くて応援したくなってしまいます。
(本人にその気はないけど)ちょっと小悪魔的な悠理を見れるのが嬉しい。
私も悠理のファンなので、今となってはコーラス待つよりも
こっちの方が面白いし楽しみー。
旅立ち作者さま、あなたは素晴らしい!(^^)
594名無し草:02/04/03 23:48
愛と青春の旅立ち編、良いですね!
美童がうろたえてる所とかとても可愛い。
清四郎も次は冷酷な面が見れる?!
そう思うとどきどきしてしまいます。
楽しみにしてます。

魅×野もつづき〜!
よろしくです。
595名無し草:02/04/03 23:52
>568-569さん
>お兄ちゃんがいない間に宝物をひとりじめにしている弟のような、少し照れたような、
ちょっと得意げなような・・・。

私もここがすごくツボでした。
こんな素敵な表現が出来るのってすごいなぁ…。
596名無し草:02/04/04 00:01
お大尽ぶりは、バロン薩摩の方が、すげ〜ぞ。
春休みも半ばを過ぎたある日の午後、図書館帰りの清四郎と野梨子は暖かな日差しの中、
散歩がてらに公園沿いの桜並木を歩いていた。
ここ数日の強い風で散った花びらが辺りに敷き詰め、ピンク色の絨毯を思わせる。
ひるがえるスカートの裾を気にしつつ、野梨子は桜を見上げて残念そうに言った。
「昨日だけでも随分と散ってしまいましたわ。この分じゃ入学式の頃にはほとんど花は残っていませんわね」
「そうですね、今年は開花するのも早かったですから。その頃にはもう青葉になっているでしょうね」
「今年入学の方達はちょっと残念ですわね。桜が無いと写真を取るにしても少し寂しいですもの」

その時ざっ、と強い風が吹き抜け、あおられた花びらが風に散って舞い上がる。
その中の一枚が野梨子の髪にふわりと落ちた。
「野梨子、髪に…」
手を伸ばして取ってやろうとした清四郎は、ふとその手を止めた。
つややかな黒い髪に薄紅色の花びらが映えて、まるで春そのものをかたどった髪飾りのように見えた。
今日野梨子が着ている薄いブルーのワンピースと妙に似合っていて、清四郎は一瞬それに見とれた。
「清四郎、今何か言いかけませんでした?」
「…いえ、何も言っていませんよ」
「?」

(……もう少し、このままにしておきましょうか)
再び風で飛んでしまわないよう、さりげなく体で庇うと、
清四郎は隣を見つめ、野梨子には分からぬようにそっと微笑んだ。

季節ネタの小話でした。
夏になったらまたひねってみようかな…。
598名無し草:02/04/04 00:26
剣菱家の事情2
それぞれのカップルの良さが出ていて素敵。
美童×野梨子で、美童が野梨子に対してとても優しいですよね。
ほのぼの出来るカップルなので、とても好きになりました。
599名無し草:02/04/04 02:26
京都旅情編
たまには悠→清なんてのもおもしろいかも。
仲の良い美×野が気になってしょうがない清四郎。
それをみてやきもちを焼く悠理・・・な〜んて。
600名無し草:02/04/04 09:03
>597
うわぁ、いい情景ですね。
清四郎の優しさが伝わってきて、こっちまで温かい気持ちになりました。
朝からいいもの読めて、今日はいいことありそう♪
 
>599
そういう展開も面白そうですね。
野梨子たちのことを知った時清四郎が知ったらどう反応するのかも、
個人的に楽しみです。相手があの美童ですもんね。
野梨子は清四郎への気持ちに整理をつけたけど、清四郎は野梨子に
対してそうなっているかどうか。小うるさいお兄ちゃんになったりして(w
601名無し草:02/04/04 17:32
愛と青春の旅立ち編 続きがきになるー。

さっきまで、得意顔で話していた清四郎が、
一瞬にして、冷めてしまうところがいい!!!
清四郎と美童がバトルのかしら??
くぅ〜 悠理がうらやましいゼ!

他の作家の方々の作品も楽しみにしています!
伊豆がかなり気になるんです。私…。
602名無し草:02/04/04 21:51
愛と青春、待ってましたーー。
個人的には、いろいろすったもんだあったあげく、
最後には美童とくっついてほしーー、と
思ってしまっています。
603名無し草:02/04/04 23:49
604479:02/04/05 01:28
>>580さん
リクエストに答えてくださってありがとうございます!感激〜!!
無理矢理でもプライドを納得させないと謝りに行けない清四郎がイイ!
>>582さんの14年後の現代バージョンもいいですね〜。
「昔、君にプロポーズしたの覚えてる?」とか言いそう。
野梨子は忘れてても清四郎は覚えてたりして(w)

>>597さん
イイ!
和風カップルに桜はぴったりですね。
その情景が目に浮かぶよう・・・。
大切な物を見守ってる感じがして良かったです〜。
>>549の続き

「それってどういうことだ?」
ただその一言で全てが解決するようにも思えるが、
何故かその一言が言えずにいた。
表裏のない性格、悪く言えば単純明快なヤツだから
今まであいつのことで訳が分からないと思ったことは一度もない。
しかしここ数日のあいつの言動は何だ?
自分の思い過ごしのようにも思えるが、何かが違う。
それ以上何も訊けない雰囲気を感じる。
意味深なようにもとれる笑い、何かを含ませたような言葉。
そして一瞬光った涙。
それが普通の女性から発せられたものであれば、女特有のものとして
特に何も思わなかっただろう。
悠理だからここまでおかしいと感じるのだ。
あいつは絶対に何かを隠している。
いや正確に言うと「隠していた。」という過去形だ。
隠していたもののシルエットを自ら浮かび上がらせようとしている。
それも自分にだけ・・・

魅録は今までのことを一つずつ思い浮かべてみた。
始まりは経験の有無の話だった。
「勝手にあたいを分類するな!」が悠理のセリフ。
しかしこの発言は口が滑っただけと否定のような曖昧な答え。
有るとも無いとも答えていない。
どちらにも取ろうと思えば取れる。
そして「魅録にはいつか本当のことを話すよ」・・・
どういうことだ?
いきなり切り出してきた箱根のローリングの誘い。
おまけに「これ(GT−R)に乗ってくると思った」なんて。
でもその理由が「なんとなく」なんだよな。
しかし「なんとなく」はその場凌ぎの言葉だろう。それだけはわかる。
あいつは確信していたに違いない。
どうしてそう思ったんだ?
光樹さんの2年前のあのこと以来、自分が箱根に行かなくなったことを
悠理は知っているし、あいつもそれ以来、箱根に行こうとは一言も言わなかった。
光樹さんから1年前にあの車を譲られても、ほとんどあの車に乗っていないことは
悠理もよく知っている。

あの日あれに乗ろうと思ったのは、消えた目標を追い越したかったからだ。
この2年間自分の中に常につきまとっていた思い。それを断ち切りたかった。
しかし結果は空しく、自分の負けを自覚するに過ぎず、
消えた目標は以前のまま自分の目の前に立ちはだかっている。
もう2年前に目標そのものの形は失われているにもかかわらず、
これは永遠に自分の中に有り続けるのか?

「光樹さんを超えたんじゃないか?」
あの時の悠理の言葉が思い出された。
もしかしてあいつは分かっていたのかもしれない。俺の考えていたことを・・・

そして「光樹さんがいるんじゃないかと」と涙。
そして「あれに乗った魅録が見たかった」・・・。

もし何か悩みがあるのなら、自分よりも清四郎なんかの方が
余程悠理の望むような答えを出せる筈だし、あいつも清四郎を
相談相手に選ぶだろう。
でもあいつは俺を選んだ。

魅録の心の中にぼんやりと「光樹」というキーワードが浮かんだ。
その時魅録の携帯が鳴った。
発信者表示は悠理だった。
「おっす。早く帰ったのはいいけどさ、暇で暇で。
首都高でも軽く流しにいかないか?」
今自分が悶々と考えていたの悠理の姿とは対照的な程、明るい声だった。
まさしくいつもの悠理だった。
「あ・・・」
「どうかしたのか?」
すんなりと気分の切替が出来るはずもなく、一瞬とまどったような声を出した魅録を
不審に思った悠理の当然の問いだった。
「ああ、ちょっと寝ててさ。」
「こんな時間に昼寝か?」
時計は夜9時を回っていた。
「まあね。今から行くから待ってろ。」
「おう!」
電話を切り、魅録は暫く考えていた。
今考えていたことを悠理に言うべきか・・・
ある意味では悠理の誘いは渡りに船とも言える。
はっきりしなかったことを明確にさせるチャンスだ。
ここ数日囚われていたことが全て解消されるかもしれない。
意を決して魅録は出掛けた。


前回、動きますとか書いときながらあまり動いていない・・・
ごめんなさい。
>>588の続きです。

生徒会室には、清四郎と悠理、そして美童が残された。
「出て行ってくれ、と言ったはずですが」
射る様な視線を向けられた美童は、それでも動こうとはしない。
「清四郎。鏡、見てみなよ。鬼のような顔してる。
2人にしたら、悠理に何をするか分からない。だ、第三者がいた方が、
穏やかに話ができると思うんだけど」
「そうですか。ただし、他言無用ですよ」
美童の意見を取り入れたというより、ただ時間が惜しかったのだろう。
あっさりと彼の在席が認められた。
「悠理」
「な、なんだよ」
首の後ろのバンドエイドを、彼は引き千切るようにして剥がした。
「つっ・・・」
うなじのあたりに、確かに赤い痣があった。
「僕が付けたものではありませんね?」
「・・・」
「他の誰かに、付けられたんですね?」
「・・・」
悠理は答えようとしない。
肯定だと清四郎は解した。
「僕という者がありながら、あなたという人は!」
自分に掴みかかろうとする男の腕を、悠理は小鹿のごとく敏捷にはじいた。
「お前1人が男じゃないんだ。これで、婚約はナシだぞ。
お前だけに責任取らせる理由が、なくなったからな!」
「ば・・・馬鹿だ馬鹿だと思っていましたが、まさかここまでとは・・・」
清四郎はこめかみを押さえた。頭痛がしてくる。
あきれて他に言葉もない。
婚約解消のためだけに、自分の身を貶める様な手を使ってくるとは・・・。
息をつき、ようやく気持ちを整えた清四郎は、再度、悠理に向き直った。
「相手は、誰です?」
美童の心臓が、どかんと花火を打ち上げた。
美しい金髪が、彼の鼓動に合わせて波打っている。
やばい・・・!!
「し、知らないよ・・・行きずりの男で・・・」
悠理は目を逸らし、たどたどしく言葉をつなげる。
ぼ、ぼくだって嘘だと分かるよ〜と美童は泣き出しそうになった。
案の定、清四郎は騙されない。
思い切り、テーブルを打ちつけた。
可憐の雑誌が、数ページ、風もないのにパラパラとめくれた。
「悠理!!」
「あたいが誰と寝ようと、お前には関係ないだろ!
剣菱の財産目当てのくせに!お前なんか、大嫌いだ!!」
清四郎の手が、風を起こすように振り上げられた。
悠理は思わず目をつぶった。
次の瞬間、ライフルが暴発するような音が響いたが、
なかなか痛みはやってこない。
恐る恐る目を開けると、彼女の目前に美童の背中があった。
彼の左の頬が、朱に染まっていた。
美童が、清四郎と悠理の間に立ちはだかったのである。
清四郎は狐につままれた様な表情を浮かべている。
しかし、一番驚いていたのは、行動を起こした美童自身であった。
まさか戦闘モードの彼の前に、無防備にもこの身を晒す事ができるなんて。
「相手は・・・ぼくだよ」
611旅立ち作者:02/04/05 20:16
読者様の感想、すごく嬉しいです。
ビタミン剤です!プロテインです!ドーピングです!
土日でへらへら続きを書こうと思ってたのに、ばしばしキーボード
打っちゃいました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
612名無し草:02/04/05 20:22
び、びどう萌え〜!!!!!
613名無し草:02/04/05 20:33
び、美童!!!
かっこいい!!!!
ホレタ!!
614名無し草:02/04/05 20:42
悠理の秘密、早く知りた〜い!!!
615名無し草:02/04/05 20:44
>剣菱悠理の秘密
だんだん秘密に近づいてきましたね!ドキドキ!
魅録がんばれ〜!

>愛青旅立ち編
び、美童さまっっ!!て気分になりました(w
サラサラの髪がまた効果的だわぁ・・・
>306の続きです。久しぶりに書いてみました。
旅立ち編の後では著しく見劣りしますが、良かったらお付き合いください。

美童は懲りずに誘い続けた。
彼女を狙っている男は多く、そんなことも美童のやる気に拍車をかけたのだった。
そして、他の男たちの目に美童の一人勝ちと見えるようになった頃・・・

やっかみの嵐の中、美童は心のうちで深い溜息をついていた。
気に入ってもらってはいる。でもそれは男としてではなく、弟としてなのだ。
「美童みたいな弟が欲しかったわ。うちの弟ときたら全然可愛くないんだもの」
「……」
このセリフ、何度言われたことだろう。
最初のうちこそ、甘いムードに持ち込もうと切り返してみたりもしたが、
美童は彼女にとって恋愛の対象外でしかないらしい。
(どうしたものかなぁ……)
あまりの手強さに、さすがの美童もお手上げ状態だった。

その日、彼女はクラスを休んだ。
(昨日は何も言ってなかったぞ。具合でも悪くしたとか……)
心配で泊っているホテルまで行ってみた。部屋にはいないようで、
念のため聞いてみたフロントでも外出中とのこと。
(いつも熱心に受講してるのに、どうしたのかな)
併設されているティールームで待ってみることにした。
ここならフロントに行く時に見つけられるだろう。
ポットの紅茶が無くなりかけた頃、彼女が帰ってきた。
声をかけようとした美童は、連れの存在に立ちすくむ。
彼女が幸せそうに腕を組む相手、傍目にも惚れ切っているのが
分かるその相手は、美童の父親くらいの年齢の男だった。

「日本だとこんな風に腕を組んで歩いたりできないから嬉しいわ」
「その話はもういいじゃないか。しばらく一緒にいられるんだし」
「そうね、それに免じてちょっとだけ許してあげる」
「ちょっとだけ! 君は手厳しいなぁ」
「うふふ」

そんな他愛もない会話が聞こえてくる。
余裕のありそうな言葉と裏腹に、彼女の目はひたむきにその男を
追いかけていた。初めて見る熱っぽい目。
そんな目を自分に向けて欲しかった・・・

気がつくと街を歩いていた。
(この僕の魅力が分からないなんて、どうかしてる。
 そんな女、こっちから願い下げさ!)
そんな毒を吐いてみても、心は晴れない。
そのまま、まんじりともせず朝を迎えた。
「おはよう、美童」
いつもの教室、屈託のない顔で彼女が声をかけてくる。
「どうしたの? 少し目が赤いわよ」
「うん……ちょっとね」
「さては夜更かししたんでしょ。駄目よ、睡眠はちゃんと取らなきゃ」

内側から輝くような笑顔。いつも華やかな彼女だが、この日は格別だった。
満ち足りた時間を過ごしたことが一目で分かる。
(そんなにあの男がいいのかよ。オッサンじゃないか!)
罵りながらも、放課後いそいそと帰ってゆく姿を追わずにはいられなかった。

キャンパスにほど近いカフェで男は待っていた。
隣に座り、楽しそうに話す彼女。
少し離れた席で美童は自問自答していた。
(どうするつもりなんだ!? こんなとこまで付けて来て……)
居たたまれなくなって帰ろうとした時、美童の横を突風が通り過ぎていった。
短くまとめるつもりで始めた美童編なんですが、なんだか長引きそう。
魅×野の本筋に行けるのはいつの日やら・・・
>>564続きを考えました。

数時間後。6人は、早くも初夏の香り漂う古都の街にいた。
金閣寺で「うちの茶室の方が立派だよ」などと悠理が真顔で言い出せば、
映画撮影が行われていた太秦では美童がオランダ商人の役にスカウトされるし、
念願だった舞妓体験にご満悦な可憐は、嬉々として街に繰り出していたし、
暮れゆく中、あじさい寺を訪れた野梨子の心には、不安と緊張と複雑な気持ちが
入り混ざっていたし、
哲学の道では、今までのこと、そしてこれからの行く末を、皆から離れ
穏やかな表情で思い浮かべながら歩く清四郎の姿があったし、
本物の舞妓に間違えられ、ちゃっかり見知らぬ観光客と写真に収まる可憐に
魅録は苦笑しつつも、その艶姿に胸が高鳴ったりと
各々が勝手気ままに京旅行を満喫していた。
やがて日が西の空に傾いた頃、一向は旅館に到着した。
「お嬢さま。お待ちしておりました。」
剣菱とは長い付き合いの女将が、にこやかに6人を出迎えてくれた。
ひっそりと佇む旅館は、そこだけが切り取られたような別空間の趣を感じる。
荷物を部屋に置いた後、食事の前にまずは露天風呂だということで、
男女別れて足早に浴場へと向かった。
1日3組限定のこの宿は、いわば貸し切り状態だということもあり
悠理達は普段以上に開放的な気分になっていた。
「いやっほぅ〜。」
一目散に浴槽に飛び込んだ悠理は早速泳ぎ出す。
「もう!お湯が飛ぶじゃない!」
そう言っている可憐も、何時の間にか悠理に続いていた。
「野梨子も泳いだら?あ、あんた泳ぎは駄目なんだっけ。」
2人を横目に、野梨子は静かに今日の疲れを癒していた。
「ふ〜ん。」
悠理の方につつっと近づいた可憐が、何らや意味深な笑みを浮かべる。
「何だよ気色悪いな。」
嫌な予感がした悠理は、心持ち身体を可憐から遠ざけた。
「悠理。暫らく見ないうちに胸大きくなったんじゃない?」
「ばっ、ばかやろう!変なこと言うな!!」
悠理は顔を真っ赤にしながら可憐に向けてお湯をかけた。
「やだもう。冗談よ〜〜。まだまだ発展途上よねえ。
もっと清四郎に頼んでみなさいよ。」
「か、可憐〜〜!!!」
女性陣の甲高い声が浴場に響き渡る。
「2人とも、はしたないですわよ!」
耐えかねた野梨子が制するが、それにはお構いなしといった感じで
2人はふざけ合っていた。
「へえ〜〜悠理の胸がねえ。」
隣りの浴場には男性陣の姿があった。
可憐の声を聞いた美童は、独り言のように呟くとニヤニヤと清四郎を見る。
「…僕は関係ないですよ。」
清四郎は慌てて美童から目をそらした。
「関係なくはないだろ。なあ美童。」
「そうだよ。むしろ大有りだよ。」
からかう2人を余所に、清四郎は隅のほうで温泉につかっている。
「野梨子も誰か大きくしてくれる人がいればねえ。」
「なっ、何を言いますの!可憐!」
再び聞こえてきた可憐と野梨子の会話に今度は美童が赤くなる。
(な、なんだ可憐の奴。そんなあからさまな…)
別に可憐は美童にしてもらえとは言ってないのだが、つい動揺してしまう美童。
「うるさあい!可憐みたいにでかいと将来垂れ下がるぞ!」
一際大きい悠理の声がこだまする。恐らく旅館中に聞こえているかもしれない。
「…だってさ。魅録。」
「うるせえな!…にしてもあいつら、なんつー会話してるんだよ…。」
無邪気に温泉で楽しむ女性陣とは対照的に、男性陣の方は互いにけん制し合い
何だか妙な空気が流れていた。
修学旅行みたいなコースですね。
前回に続き書かせて頂いた者ですが、この方が雰囲気に合うかと思い
サブタイ変えてみました。
といってもまだまだ能天気です。(w
…もしやリレーしにくい展開にしてしまったかな。(汗
624名無し草:02/04/06 00:24
しまった、夢中になって読んでしまった(w
寝不足になりそう・・・でもたのしすぎ・・・。
625名無し草:02/04/06 00:41
念願の(?)お風呂のシーンが見られて嬉しい!
動揺してしまう美童に萌え〜です。
626名無し草:02/04/06 01:15
今日は沢山あがってるね。
わしもがんばろ。
627名無し草:02/04/06 12:19
清×野 危機編を読んでいて、思い付いたので書いてみます。

「ふああああ〜」
悠理はベンツの後部座席で、大口を開けて欠伸をしていた。
「ったくつまんないな〜。みんなで遊びに行こうって言ってたのに、清四郎は和尚の
ところだし、魅録は一人でツーリングに行っちまうし、可憐も美童もデートだし」
ブツブツと独り言を呟く悠理の視界に、見慣れたオカッパ頭が飛び込んでくる。
(野梨子じゃないか。日舞の稽古がどうこう言ってたけど・・・)
そのとき、横路地から一人の学生が飛び出し、なにやら手紙のようなものを
差し出している。野梨子はそれを押し返すと、急ぎ足でその場を立ち去った。
(相変わらずもてるなぁ、野梨子は。あたいなんて女の子からしか手紙貰った
ことないぞ。まぁいいや、家まで送ってってやろう)
悠理は運転席に身を乗り出して告げた。
「悪いんだけど、前歩いてるオカッパの子、乗せてくれる?」
「かしこまりました」
運転手は狭い道を徐行し、野梨子に近づいた。
その時、前方から黒塗りのワゴンが近づき、野梨子のすぐ傍で止まった。
いかにも使いぱしりといった感じのチンピラが二人飛び降りてくる。
そして抵抗する野梨子を無理矢理車に押し込もうとしている。
「野梨子!?」
悠理は車を飛び出し野梨子の方へ駆け寄ったが、次の瞬間、野梨子の身体は
ワゴンに飲み込まれていた。
「野梨子!!」
必死に後を追うが、車の後ろ姿はみるみる小さくなっていった。
628627:02/04/06 12:21
すみません!sage忘れてしまいました。ごめんなさい。
629名無し草:02/04/06 12:54
昨日このスレ発見して1から読みだして、ようやく追いつきました…
いろんなカプと作風が共存してるのが素晴しいです。

全部一気に読んだもので、頭が一杯で感想書ききれないのですが。
万作さんetcのメンバー家族とか、オリキャラの人々とか、
当事者達以外のキャラを加えて書いてらっしゃる方(・∀・)イイ!
前々スレあたりで他のキャラを加えて書いた方が「話が進まなくて」とか
恐縮してらしたと思いますが、周囲の反応を加えると
その話の現実感が増すというか、話にふくらみが出るというか(上手く言えんな)
そういう周囲の人々を違和感なく描き出せる書き手の皆様もすごいです。

美童祭りっぽいですね。(違うか)
ホロニガ美童萌え〜!
630名無し草:02/04/06 12:55
 
631名無し草:02/04/06 13:13
>627
ど、ど、どうなるのでしょう?
気になる〜 続き熱望です
632清×野 喪失編:02/04/06 13:37
627の続きです。(>631さん、ありがとう!)

「野梨子が誘拐されたって!?」
魅録が白鹿邸に駆け込んだのは、野梨子が連れ去られてから、
すでに一時間も後の事だった。
「遅いよ、魅録!なにやってたんだよ?」
イライラしたように悠理が叫ぶ。傍には蒼白な表情をした可憐と美童の姿があった。
「悪い、ちょっと遠くまで流しててな。それで、犯人からの要求は?」
「それが、まだ・・・」
弱々しげに野梨子の父、青洲が答える。野梨子の母は、肩を震わせ泣いていた。
「清四郎・・・」
魅録がぽんと肩を叩くが、視線を寄越そうともせず、ただうな垂れている。
普段の自信満々な表情など、見る影もない。
「・・・僕が、和尚の所にさえいかなければ・・・野梨子と一緒に帰っていれば・・・」
「今そんなこと言っても仕方がないだろ!心当たりはねぇのかよ!?」
「あればとっくに動いてますよ!」
吐き捨てるように清四郎が叫んだ。その剣幕に、魅録が黙り込む。
清四郎は首を横に振ると、小さく続けた。
「すいません、当たるつもりはなかったんですが・・・」
きつく握り締められた拳に、魅録は清四郎の精神状態を見て取った。
「それにしても、もう一時間だろ?悠理に現場を見られているとなれば、
犯人からの要求があってもおかしくないんだが・・・」
「・・・ねぇ、ほんとにお金目当てなのかしら?だったら、悠理を狙うわよねぇ?」
633名無し草:02/04/06 16:29
632さん>うわ〜〜!!大興奮!!
清×野の本格的長編は久しぶりですね(^^)!!

私は、小ネタの書き込みをチョコチョコやってますが、
やっぱ、小説は萌え度が違いますね!
展開がかなり楽しみ!!
634名無し草:02/04/06 16:39
632>野梨子の誘拐は、悠理が誘拐されるのと違って
緊迫感がありますね。
悠理は誘拐されても、なんだか大丈夫そうだもんな(w。←いや、いい意味で^^;;。
だから、原作でも誘拐しやすいんだろうと思ふ。

野梨子だと、監禁・誘拐ってだけで、18禁くさい(ーー;;
エロいっす。
制服も萌えですが、和服でさらわれたりすると
「和服、縛られ、着物の裾から覗く白い足袋のチラリズム&深窓の令嬢(処女)」
で、それだけでイヤラシイ感じですな♪

ガイシュツだけど、原作で可憐の誘拐とか見たいなあ。
で、自力で脱出して欲しい。イメージ的にはキャッツアイ。
危機編121の書き込みをしたものですm(__)m

私の抱きつづけていた駄目妄想が
こんなに立派な作品で読めてうれしい!涙で前が見えません!

続きを超絶楽しみにしています!
頑張ってくださいね〜P(^o^)P〜
636名無し草 :02/04/06 18:16
お!清×野!
盛り上がってますね。

632>スバラシイ(・∀・)!! 
展開がスピーディーで目が離せません!
文章もキレがあって読みやすいです。
原作でもあっておかしくなさそうですね。
確かに,緊迫感あるストーリです。

私的に野梨子だったら相手はだれでも(いわいる野梨子総受けってやつですか!?)
なので、これからの18禁な展開かなりキボーンです。
でも、やっぱり処女を捧げる相手は
清四郎か魅録を望んでしまいます(す、すみません。ヘコヘコ)


634>「和服、縛られ、着物の裾から覗く白い足袋のチラリズム&深窓の令嬢(処女)」
ってのに、かなり萌えです。ウケタ〜。
637名無し草:02/04/06 18:24
私は魅録×野梨子派だったけど、ここでいろいろ読んだら
誰とでも似合うなあって思った>野梨子

でも魅録もそうなのよね。
>>622の続きになります
夕食には京懐石の他に豪華カニしゃぶがついてきた。
遠方から来た悠理達に対する、女将の心憎いサービスだ。
手に余るほどの大きなカニと苦闘していた美童が小さく声をあげる。
甲羅で指を軽く切ってしまったのか、少し痛そうに顔を歪めていた。
「大丈夫ですの?」
隣りに座っている野梨子は、心配そうに美童の手元に目をやった。
「うん。平気だよ」
美童は野梨子に向け小さく笑いかける。2人で居る時には、こんな感じで
ほのぼのと過ごしているのだ。
「何よカニぐらいで。大袈裟なんだから野梨子は」
呆れたように可憐が言う。
「野梨子は案外世話焼き女房タイプになるんじゃないか?」
魅録は口元に笑みを浮かべている。
「い、嫌ですわ魅録ったら。何をおっしゃいますの」
「野梨子は優しいもんね」
美童もフォローに回るが、赤らんだ頬に自分達のことを気付かれて
しまいそうで内心ヒヤヒヤしていた。
「え〜でもさあ、野梨子って結構キツイこと言う時あるじゃん。
でも何でか 美童には優しいよな」
その意味を深く探るでもなく悠理は呑気に呟く。
(…確かに最近の野梨子は妙にいきいきとしていますね。
美童の方も浮いた噂一つ聞きませんよ。)
今まで自分達のことが精一杯で気に掛ける余裕も無かったが、
よくよく考えると心に何か引っ掛かるものがある。
「おい。食わないんなら貰うぞ」
悠理の声で清四郎は我に返った。
「たまには味わって食べたらどうです」
「ちゃんと味わってるよ。うるせーな、ったく」
ブツブツと言いながらもカニを食べ続ける悠理。
その姿に清四郎は何故かホッとした。考えすぎるのは自分の悪い癖だ。
「あ、それ僕の分ですよ」
切り替えの早さも又、清四郎の清四郎たる所以であった。

豪華料理に満足し、ビール片手に暫らく談笑していた6人だったが
時計の針が9時を回る頃、可憐を先頭に清四郎と悠理を除く4人は
そそくさと部屋を後にした。
「何だよ〜。今日は徹夜するんだろ」
バッグの中からどっさり取り出したゲームとお菓子を前に悠理が引き止める。
「ばかね。あたし達にそんな野暮なことさせないでよ」
可憐はウインクをすると「朝まで来ないから大丈夫」と悠理に囁き
部屋から出て行った。
(何てね。本当は早く魅録と出掛けたいだけなんだけど)
心の中で軽く舌を出した可憐は、野梨子が部屋に入ったのを見届けると
廊下で美童の袖を掴まえた。
「これからあたしと魅録で出掛けるから野梨子のことよろしくね」
「ええ!?そ、それは困るよ。絶対に困る!」
ついにきたかといった感じで美童は困惑した。
「あたし達にだって満喫させてよ。野梨子とお茶でも飲みながら楽しく
過ごしてて。朝までには帰るから」
そう言うと可憐は隣りにいる魅録の腕をとった。
「…悪いな美童。ちょっとブラブラしてくるよ。こいつがうるせーからさ」
照れ隠しのためか魅録はおどけた様に言うと肩をすくめる。
「ホントに行くの?もうちょっと一緒に居ようよ」
分かってはいながらも美童がおずおずと引き止める。
「あのねえ。修学旅行じゃあるまいし何で夜まで一緒にいなきゃ
ならないのよ」
その修学旅行でヨーロッパへ行った時でさえ、夜な夜な出歩いていた
可憐である。引き止めても無駄なことは美童も十二分に承知している。
「あ、ねえ!何処に行くの」
2人の背後で美童が呼びかける。
「…いい所」
ふふと楽しそうに笑うと、可憐は魅録の腕に手を回し旅館を後にした。
一方、部屋に残された清四郎と悠理はテレビを見ながらくつろいでいた。
「あ〜あ、何だか飽きたなあ」
ゆったりと建てられた宿の構造上、隣りの部屋までは大分距離がある。
静寂に包まれた旅館の様子に物足りなさを感じた悠理は、欠伸をすると
窓際に立った。外の景色は何も見えない。闇が広がるばかりだ。
清四郎は悠理の背後に立つと後ろからそっと抱きしめた。
その大きく逞しい腕の温もりを既に知ってしまった悠理は
大人しくしている。暫らくの間、2人はそのままじっとしていた。
時計の音だけが部屋に響く。
「…今度は2人だけで旅行しましょう」
悠理の耳元で清四郎が囁く。
「じゃあアマゾンに行きたい。探検しようぜ」
「それは新婚旅行ですか?」
清四郎は悠理の頭を自分の方に引き寄せると唇を塞いだ。
「なあ。あいつらもう寝ちまったのかな」
しんと静まり返っている旅館の空気に違和感を感じた悠理が訝しがる。
「きっと疲れたんでしょう」
悠理の身体を正面に向かせた清四郎は再びゆっくりとキスを交わした。
そのとろけるような口付けに悠理の意識も次第にぼんやりとしてきたが、
ふと気になることが頭をよぎった。
「…もしかして可憐と魅録、出掛けたんじゃないか?」
「あいつらも2人きりになりたいんですよ」
「じゃあ野梨子、今美童と一緒にいるのかなあ」
悠理の言葉を受けて清四郎の動きがピタッと止まる。
「…仮にそうだとしても、大丈夫ですよ」
まるで自分自身に言い聞かせるように清四郎は言う。
「『大切なのは雰囲気とタイミング』なんだってさ」
「…何ですかそれ」
「こないだ可憐に言われたんだよ」
「その時、野梨子も同席してましたか?」
「ああ」
思わず2人は顔を見合わせた。百戦錬磨の美童と若葉マークの野梨子。
どちらが有利かは想像つく。
「も、もしかして野梨子、美童に食われちゃ…」
清四郎は慌てて悠理の口を手で塞いだ。
先程感じた嫌な感覚。それはこのことだったのだ。
先日飲んだ時、美童は「野梨子に恋人が出来たらどうするか」などと
妙なことを自分に訊いてきた。
あの時はそれ程気にも留めなかったが、今考えると美童の言動と最近の
野梨子の変化が面白いぐらいに結びつく。
オセロゲームで全て黒にひっくり返された時のような心境だ。
まさか美童が野梨子のことを好きだとは…。そして野梨子の方は…?
「ふご〜〜〜〜!!!!」
口を塞がれ息が出来なくなった悠理が苦しそうにうめく。
「あ、ああ。済みません」
清四郎は悠理の口元から手を離した。
「お、お、お前あたいのこと殺す気かよ」
ぜえぜえと息も絶え絶えの悠理。
「と、とにかくあいつらの部屋に行ってみようぜ」
無言で頷いた清四郎は急いで隣りの部屋に向かった。

 可憐達は何処へ消えたんでしょうか。
 八坂神社イイですね。(夜も入れますか?)
644名無し草:02/04/06 22:45
>643
きゃあ! 部屋に向かった清四郎たちが見たものは・・・って感じですね。
ドキドキしちゃいます。
いちゃいちゃ魅録&可憐も見てみたいなぁ(ゼイタク言ってすまそ)。
>>643の続き書かせていただきます。

魅録と可憐の姿が消えるのを見送った後、美童はためらいながら
野梨子のいる部屋の戸を叩いた。
「可憐ですの?どうぞ」
「いや、僕だよ」
少し間があいてから花模様の彫られた引き戸がすーっと開き、
野梨子が顔を見せた。
「美童でしたの」
「入ってもいいかな」
「ええ…」
美童が部屋の中に入ると、だだっ広い十二畳間の中央に豪華な
縫い取りの布団が三つ敷かれている。
「もう寝るところだったの?」
「いえ、まだですわ。今夜は悠理は清四郎と一緒でしょうし、
 布団が一つ余ってしまいますわね」
と野梨子が顔を少し赤らめながら答える。
美童はそれをぼんやりと可愛いなあと眺めながら言った。
「その……今夜は可憐もこっちには戻ってこないと思うよ。
 さっき魅録と外に出て行ったから」
「ええっ!?そんなの困りますわ!」
「困るってあの……」
失言に気づいた野梨子はますます赤くなった。
「野梨子……」
その頬に触れようとすると、野梨子は両手で顔をおおって
美童に背中を向けてベランダの方へ行ってしまった。
黒い綺麗な髪が揺れているのが見える。
「待ってよ野梨子」
野梨子に近づこうと踏み出したとたん、何かふかふかしたものに
足を取られて美童はつんのめった。
「うわあっ」
「きゃあ、大丈夫ですの美童っ」
美童のうろたえた声に振り向いた野梨子が支えようと駆け寄った
ものの、二人はそのまま豪華布団の上に重なり合って倒れこんだ。
「ごごご、ごめん野梨子」
美童があわてて野梨子の上から身体を起こそうとしたのと、
「あーっ!お前ら何してんだ!?」
という悠理の大声が部屋に響き渡ったのは同じ瞬間だった。
書き込んでから思ったんですけど、十二畳間は
あんまりだだっ広くなかったですね。。。ゴメンナサイ。
648647 :02/04/06 23:48
うわ今気づいたのですが643さんがまだ続き書かれる予定だったんですか?
勝手にリレー小説だと思って書いてしまいました。
もしそうだったらすみません。逝ってきます。
649643です:02/04/07 00:23
>648さん
いいえ!とんでもないです!
自分の中では当然リレーのつもりだったので、最後にお願いするのを
書き忘れてしまったんです。ルールを無視した私の方が悪いです。
なので逝くのは私です。(^^; 
ちょっと席を外しているうちに続きが書かれていて嬉しいです。
また書いて下さい!
650名無し草:02/04/07 01:22
627.632>続きが気になる展開ですね。
次回アップ楽しみにしております(^^)

清×野に魅録が絡んできてもいいな。
微妙に三角関係で萌え
651名無し草:02/04/07 01:32
>646
野梨子かわいいよー
美童がモエ〜になるのもよく分かる
それにしても絵になるカップルだよね<美×野

(ぼそっ)清四郎がブチ切れそうで、次回も楽しみ。
652龍之介入院編(仮):02/04/07 07:16
↑一応仮ということで。
遅くなりましたが、>>550-555の続き。

菊正宗病院の一室にて。清四郎が菊正宗病院院長である父と龍之介のレントゲンを診ている。
「うーん、レントゲンを見た限り、多少神経を圧迫しているようだし、
こりゃ、普段の生活していたって、痛いだろうよ。」
「本人は、まったくそんな風には見えないんですけどねぇ。
それより手術ですが、当時の医者は、お手上げだったらしいですよ。」
「そりゃ、6歳の身体では手術は難しかっただろうな。しかし、今なら体力もあるようだし、
早く取り出した方がいいだろう。お前はどう思う?清四郎。」
「僕もそう思います。難しい場所ですが、これはもう執刀医師の腕次第でしょう。」
「お前なぁ、簡単に言ってくれるじゃないか。」
「手術は早いほうがいいのなら、さっそく入院させるとしますか。」

「おい、清四郎ー!ちょっと検査するだけじゃなかったのかよ!」
「僕は『検査で済んだら帰れる』って言ったのであって、『検査だけで済む』とは言ってませんよ。
検査だけじゃ済まないようだから入院してもらうんです。」
「だからって入院なんて聞いてないぞ!しかもオレ、明日仕事あるんだぞ!」
あてがわれた1人部屋の病室のベッドの上で龍之介が叫ぶ。
「仕事のことでしたら、お店に連絡してしっかり事情をお話しまして、お休みをもらいましたよ。
オーナーから伝言で『治るまで帰ってくるな!』とのことですよ。」と清四郎はにっこりと笑う。
「まじかよー…。」清四郎とは対照的な表情で龍之介は手で顔を覆った。
「あと、組の方にも連絡入れておきましたから、じきに夏目さんが来られますよ。」
「組に連絡したぁ!?また話をややこしく…」龍之介が清四郎をにらむ。
653龍之介入院編(仮):02/04/07 07:17
「そんなこと言ってもしょうがないでしょう。父に聞きましたが、かなり痛いのでしょう?
12年もそのままだったなんて、父が驚いていましたよ。」
そう言うと、清四郎は龍之介の左肩に触った。
確かにそこが痛点だったらしく、龍之介の肩がビクッと震える。
「わかってるんなら触るなよ。」龍之介は右手で清四郎の手をどける。
「呆れますね、強がりというかなんというか…。全く気が付きませんでしたよ。
それにしても、聞きたいのは、こんな傷を負った理由です。
6歳の子供が撃たれるなんて、一体何があったんですか?」
「やくざの家に生まれりゃぁ、こんなこともあるって話さ。」
「ちゃんと言って下さいよ。」
「12年前、初めて誘拐された時に、自力で逃げようとして途中で見つかってさ。
後ろから撃たれたんだ。自力で逃げようとして失敗したのはそれだけなんだよなぁ。」
龍之介はちょっと悔しそうだ。
「その犯人はどうなったんですか?」
「当然捕まったさ。オレを撃ったヤツもな。」
「なるほど…。ところで、何か欲しいものありますか?」
「料理の本!!」
「好きですねぇ…。わかりました。それより、いろいろと検査で疲れたでしょう。
おとなしく寝ててくださいよ。」「病気でもねーのに寝てられるかよ!!!」
「ま、そう言わずに。」清四郎はにこやかに微笑んだ。
「あとで料理の本差し入れしますから、とにかく安静にしてて下さいよ。」
そう言って、清四郎は、龍之介の病室を出た。
「そーか、清四郎ってヤツは、あーいうヤツか…。」
654龍之介入院編(仮):02/04/07 07:24
龍之介は、特に眠たくもなかったが、言われた通りベッドに横になった。
そして、12年前のことを思い出していた。
あの時、撃たれた瞬間、痛いというより、
左腕が消えてしまったようなそんな感じがしたのを覚えている。
だんだん、視界が青みがかってきて、それ以後は覚えてない。
「確かその後気が付いたら病院だったんだよな…。」
眼が覚めてから初めて見たのは、母親の泣いてる顔だった。
「滅多に泣かない強い女だったから、不思議な感じだったな…。」
久しぶりに昔のことを思い出すうちに、龍之介はそのまま眠ってしまった。

他の作家さんのラブラブな作品を読んでるうちに、
自分でも書きたくなってしまい、
続編ほったらかしにして、
続々編となる、悠×龍デート編を書いてました…。
でも、デート編書いてるうちに続編もまとまってきたので、
これからあげてく予定です。ドーゾヨロシク。
655名無し草:02/04/07 07:45
>龍之介入院編(仮)
イヤン。悠×龍デート編なんてあるのですか!
わくわくどきどきでございます。是非アップして下さいね。
続編、続続編共に楽しみにまってま〜す♪
656名無し草:02/04/07 07:45
下げ忘れました。スマソ・・・
657名無し草:02/04/07 08:05
美童、いいわ〜。
どのお話の美童も素晴らしい!
続き、よろしくです。
658646:02/04/07 08:59
>>649
ありがとうございます。。。
どなたか、続きよろしくです。
659清×野 喪失編:02/04/07 12:48
632の続きです。
>635さん、勝手にネタ拝借したのに、暖かいお言葉、ありがとうございます!

可憐が何気なく言った一言に、清四郎はびくっと身体を震わせた。
「・・・どういうことです?」
「あ、だから・・・」
言いづらそうな可憐の様子に、美童や魅録は言いたい事を悟る。
勿論、清四郎もだった。
「悠理、車のナンバー覚えてないのか?」
「09の・・・そこまでしか・・・」
「時宗おじさんが緊急配備して、都内で検問してるけど、
まだ該当車は見つかってないって」
魅録はすくっと立ち上がると、脱ぎ捨てたばかりのジャケットに手を通し始めた。
「ど、どこ行くんだよ?」
「じっとしてらんねぇだろ。家でハム使って、ダチに車探してもらう。
こんだけ配備してんだ、犯人も動きづらいだろう。そんなに遠くへ隠れてるとも
思えない。それに・・・ちょっと引っかかるんだよ。
なんで犯人は、野梨子の通学路を知ってたんだ?」
660清×野 喪失編:02/04/07 13:09
「なんでって・・・下調べしたんでしょう?」
「下調べするような犯人が、白昼堂々、車のナンバーも隠さずに拉致するか?」
黙って聞いていた清四郎が、重そうに口を開く。
「今日、僕と野梨子が一緒に帰らない、ということを知って、急遽実行したと?」
「ちょ、ちょっと待ってよ。一緒に帰らない事知ってたって・・・それじゃあ
犯人は、うちの学校の人間ってこと・・・?」
可憐の問いかけに、魅録は肯き、続けた。
「チンピラふうの野郎と野梨子に接点があるとも思えないから、
誰かに金積まれたと考える方が妥当だろう?
犯人は、機会を覗ってたんだ。俺達の傍でな。
なぁ清四郎、今日お前と野梨子の会話聞いてた奴、心当たりないのか?」
清四郎は眉間に皺を寄せて考えるが、弱々しくかぶりを振った。
「だめです、なにも・・・考えられない」
「指令塔がそんなんでどうすんだよ!畜生、あたいがナンバーしっかり見ておけば・・・」
立ち上がり涙ぐむ悠理を、清四郎が感情のこもらない眼で見上げる。
「悠理、お前は俺と一緒に来てくれ。顔みてんのはお前だけだ。
可憐と美童はここで、清四郎と待っててくれ。何か分かったら、連絡する。
いくぞ、悠理!」
二人の背中が遠ざかっていくのを、清四郎はぼんやりと見送っていた。
661名無し草:02/04/07 15:42
新作、続々と登場ですね。
 
>龍之介入院編(仮)
清四郎が何を企んでいるのか気になります。
彼のことだから親切心だけとも思えないし・・・って考えすぎかも。
デート編もあるんですね。楽しみが増えました。
 
>喪失編
そのまま一条さんの原作になっちゃいそうなお話ですね。
こっちまで5人と一緒にハラハラしてきます。うまいっ!
662名無し草:02/04/07 17:08
作家のみなさんおつかれさまです。
どれも面白いよぉ!!!!!

全ての話の続きが気になるし、結末も気になるけど、
終わっちゃイヤーって思う部分もあるのです…。
美味しい飴をずぅ〜っとなめていたい気分です。
663名無し草:02/04/07 20:46
龍之介の大ファンです!!
彼の話がもっと読みたかったので、
アップされていて凄くうれしい!!
664清×野 喪失編:02/04/07 23:11
660の続きです。(660で矛盾した事を書いてしまいました・・・スマソ)

(・・・ここは・・・?)
見慣れないコンクリートの天井が視界に広がる。霞む眼をこすろうとしたが、
手の自由が利かない。
「・・・!?」
野梨子は自分の手が背後のパイプのようなものに繋がれている事に気付いた。
ズキリと足首が痛む。ストッキングが破れたそこは、赤く腫れていた。
(あ・・・)
徐々に記憶が蘇る。知らない男に車に押し込まれそうになったとき、抵抗して
捻ったのだ。
「誰か!誰か!」
必死で叫ぶが、応答はない。
(・・・どうして?いや・・・助けて、清四郎・・・)
野梨子は、止めど無く流れ落ちる涙をぬぐう事もかなわず、ぽたりぽたりと
制服に零れ落ちるのを、ただ眺めていた。
665名無し草:02/04/07 23:31
664さま>すごい!
本当に原作っぽいですね。
続きが気になる〜。

密かに、このシリーズの魅録がかっこいいですね。
萌え
>>646の続き書きます。

「こ、これは一体…!」
悠理の背後から清四郎の声がする。その声が驚きと怒りを帯びていることは
誰の目にも明らかだった。
「…い、いやその…。可憐達も居ないし、野梨子はどうしてるのかなって
思って…。も、勿論変なことする気は全然無かったよ!本当だよ!」
清四郎の迫力に圧倒されつつも美童は弁解する。
「そんな言い訳が通用すると思っているんですか?
現に、こうして布団の上に重なり合ってるじゃないですか。
美童、本当は野梨子を襲うつもりだったんでしょう。
野梨子もあなたらしくないですよ。男と2人きりになることが
何を意味するのかぐらいは察しがつくでしょう!」
余りの剣幕に皆が黙り込んでしまう。
野梨子は思わず自分の耳を塞いだ。
こういう顔をする清四郎は久しぶりに見る。
「住む世界が違う」と裕也とのことを忠告した、あの時の感じが
野梨子の中に蘇った。しかも今回は状況が状況だけに、その厳しさも
群を抜いている。
「でも本当にこれは事故なんだよ。だから…」
もはや何を言っても弁解にしか聞こえないだろう。はやり自分が思っていた
とおり、清四郎は自分と野梨子との関係を頭から否定している。
でも今回だけは、いくら清四郎でも怯むわけにはいかない。
僕にも譲れないもの、守りたいものがあるんだ。そう。清四郎と同じ様に。
美童は野梨子の身体を遠ざけると、かばうように前に出た。
「ぼ、僕は野梨子のことが好きだよ!そりゃあ正直、抱きたいと思うことも
あるさ。でも野梨子を大切にしたいから、僕はずっと野梨子のペースに
合わせてきたんだ。野梨子も僕との付き合いを了承してくれてるよ。
それを頭ごなしに否定するなんてひどいよ!」
顔を真っ赤にして清四郎に詰め寄る美童。
その態度は普段の美童らしからぬ堂々としたものだった。
旅先の夜。情緒溢れる古都の街。そして自分達以外は、皆カップルだ。
確かに雰囲気もタイミングも揃っている。
何故、野梨子の変化に気付かなかったのだろう。
もちろん、野梨子が自分の意思に反するようなことをしない
心の強い女性だということは清四郎も知っている。
だが反面、時折見せる女性らしい、思わず守ってやりたくなるような
部分を持ち合わせていることも事実なのだ。
現に自分は子供の頃からずっと野梨子を守ってきた。
今の清四郎はまるで兄のような心境だった。
「野梨子はどうなんです?本当に美童と付き合っていけると
思っているんですか?言っておきますが、美童は恋愛をゲームの様に
楽しむタイプです。野梨子とは考えが合わないんじゃないですかね」
腕組をしながら諭すように野梨子に言う清四郎。
すると、今まで黙っていた野梨子がすっと立ち上がり清四郎の前に進み出た。
「…私は美童のことをお慕いしています。美童は優しくて思いやりのある
心の温かい男性ですわ」
はっきり言う野梨子に美童の頬は赤くなった。
「優しいだけじゃ駄目なんですよ。美童は誰に対しても優しいし、
女性に対しては尚更ですからね。それを愛情だと錯覚してしまうのは
良くないです。後で後悔するのは野梨子ですよ」
「なっ…」
清四郎の余りの言いように野梨子の頬が紅潮する。
「美童が軽い気持ちで私とお付き合いをしているわけではないこと
ぐらい私にも分かりますわ!それなのに清四郎は美童のことを
そんな風に思っていましたの?
友人のことをそんな風に言うなんて…。見損ないましたわ清四郎!」
黒い瞳には大粒の涙を浮かんでいる。
「…野梨子…」
美童は今すぐ野梨子を抱きしめたい衝動に駆られた。
「しかしですね…!」
今まで黙って会話を聞いていた悠理が清四郎の腕をぐっと掴んだ。
「あのさあ、さっきから聞いてれば清四郎、お前あたいと野梨子
どっちが好きなんだよ」
「…え?」
悠理の言葉に清四郎は一瞬ひるんだ。
「お前、そんなにまでして野梨子と美童を別れさせたいわけ?
2人がお互い好きだっつてんだから、それでいいじゃんか」
「…そういう問題では無いですよ悠理」
尚も引き下がらない清四郎に、さすがの悠理もムッとする。
自分のことが好きだから結婚したいと言っている清四郎が、
何でこんなに野梨子の恋愛に執着するのだ?
「…よ〜く分かった。そんなに野梨子のことが好きなら清四郎、
野梨子と結婚しろよ!もうお前の顔なんか見たくもない!」
「あ、悠理!」
悠理は襖を乱暴に開けると部屋から去って行った。
その様子が余りにも百合子そっくりで美童は思わず笑ってしまった。
清四郎が厳しい視線を美童に送る。
「…ごめん…。あ、あのさ清四郎。僕、本当に野梨子のことが
好きなんだ。今までみたく軽い気持ちじゃないよ。
これからも野梨子とゆっくり付き合っていきたいし、絶対に泣かせる
ようなことはしない。これだけは約束する。だから野梨子との交際を
認めて欲しいんだ。これからは僕に野梨子を守らせてよ」
「わ、私も真剣に美童とお付き合いをしていきますわ!」
清四郎は2人を交互に見比べると小さく溜息をついた。
「…分かりました。そこまで言うなら、もう何も言いませんよ。
僕もこれからは大きな荷物を抱えていかなくてはなりませんからね。
野梨子のことは美童に任せますよ」
「清四郎…!」
美童は清四郎の手を取った。
「絶対に幸せにするからね!任せてよ!」
ドンと胸を叩く美童に清四郎はふっと笑みを見せた。
「じゃあ僕は戻ります。大きな荷物は対応が難しくて困りますよ」
パタンと静かに襖が閉まる。
気が抜けた美童はその場にしゃがみこんでしまった。

長々とすみません。続きお願いしますね。
671清×野 喪失編:02/04/08 00:14
664の続きです。

「よし、じゃあ次に当たってみてくれ」
『了解』
魅録が無線に向かって次々と指示を出す。その後ろで、悠理がイライラと腕時計を
睨んでいた。
「もう2時間だよ。もう野梨子・・・」
うろたえた様子の悠理を振り返り、魅録は静かに言う。
「バカ、俺らがしっかりしてなくてどうすんだよ?
清四郎はあんなんだし・・・いつもみたいに頼れないだろ。なんとかしねぇと・・・
悠理、なにか進展あったか、美童に連絡してみてくれ」
落ち着かせるように、悠理の頭を撫でてやる。
そのゴツゴツした手を、悠理は心地いいと感じ、そう感じた自分にドキリとした。
(なに考えてんだ、あたい・・・野梨子が大変だって言うのに・・・)
悠理が携帯に手をかけた、その時。
『ありましたよ、魅録さん!』
「どこだ!?」
飛び込んできた情報に慌てて応じると、魅録は紙に住所を書き込んだ。
「助かったよ、ありがとな!」
手荒に無線を切ると、悠理の腕を掴み、部屋を飛び出した。
672名無し草:02/04/08 02:16
清×野 喪失編、すごく有閑らしくていいですね。
ぜひ某先生にも参考にしてもらいたいくらいだ。
それにしても、魅録カッコイイ!
も、もしかして魅×悠も入るのかな?・・・そしたらチョト嬉しいかも。

心乱れる清四郎もぜひ見たい。続き楽しみにしてます〜。
673名無し草:02/04/08 16:43
剣菱家の事情2の
>その様子が余りにも百合子そっくりで美童は思わず笑ってしまった。

ここが、思いっきり私のツボですっ!
作家さん、(・∀・)イイ!
続き楽しみにしていまぁ〜すっ。
>>670の続きです

清四郎が自分の部屋の襖を開けると、そこにはゴロンと大の字で寝転ぶ
悠理の姿があった。
「…なんだかんだ言って、清四郎は野梨子のことが一番大事なんだろ。」
悠理はふいと背を向けてしまった。
「おや、焼いてくれるんですか?」
清四郎は静かに部屋に入ると悠理の横に腰掛けた。
そして悠理の栗色の髪に手を入れ、そっと撫で始めた。
その行動が、冷静さを欠いてしまった自分の気恥ずかしさを紛らわす為か、
悠理に対する詫びの気持ちからなのかは分からない。
「野梨子とは小さい頃からずっと一緒でしたからね。
僕が守ってきたという自負が多少なりともあるんですよ。」
「多少じゃないだろ。」
面白く無さそうに悠理が呟く。表情は見えないが随分ふてくされている
ことは声の調子から分かる。
「そうですね。多少ではないですね。もし美童じゃなくても僕は反対
したでしょう。僕にとって野梨子は…大事な妹みたいな存在なんですよ。
だから出来るだけ野梨子が傷つかないように守るのが僕の役目だと
思っていました。実際、野梨子を守れるのは僕しかいませんでしたからね。」
「でもそんなんじゃ、いつまでたっても野梨子が恋愛出来ないだろ。」
「そうなんですよ。それに気付かされました。もっとも、相手が美童なら
任せられます。僕なりに美童の良さを理解しているつもりですからね。」
思ってもいないことを口走ってしまった自分を清四郎は後悔した。
明日、美童に謝ろう。そう心に誓った。
「僕もこれからは、もっと大変なものを守っていかなくてはなりません
からね。それこそ一生ですから大変ですよ。」
おどけたように言う清四郎。
「あたいは、お前に守ってもらおうなんて考えてないからな!」
起き上がった悠理は清四郎に視線を向ける。
「僕は別に悠理のことだとは言ってませんよ。」
からかい口調で言う清四郎に、もはや先程までの狼狽した面影は見当たらない。
いつもの余裕で自信に溢れる清四郎だった。
もしかしたら清四郎は悠理の様な相手が居るからこそ、自尊心を保てるの
かもしれない。そのことに悠理は気付いているのだろうか。
「やっぱ、お前のそういう意地悪なところが嫌いだ。」
ムスッとした顔で横を向く悠理に清四郎は目を細めた。
「一つぐらい嫌われている方が面白いですよ。」
「何だそれ。変な奴。」
「その分、これから先もっと好きになる可能性があるってことですからね。」
清四郎は悠理の頬に手を当てると自分の方に引き寄せた。
ゆっくりと重なる唇の優しさに、悠理は清四郎の深い想いを感じた。
いつも自分をからかってばかりいて、本当にムカツク奴だけど
このキスの優しさが清四郎の全てを物語っている気がする。
「…愛してるのは…悠理だけですよ。」
初めて清四郎の口から聞いた耳慣れない言葉に、悠理は驚きながらも
嬉しさがこみ上がってきた。
「ばーか。」
視線を絡ませた二人はふっと笑い合う。挙式は、すぐそこまで来ていた。
クサイっすね〜。(汗 あの…可憐達は何処へ行ったんでしょう。
そして美童達の夜は…。続きをどなたかお願いします。
677清×野 喪失編:02/04/08 22:34
671の続きです。

「え?車が見つかった!?」
美童の叫びに、清四郎がその手から携帯を奪い取った。
『今、拉致したチンピラとっ捕まえて聞き出したんだ。
やっぱりいたぜ、黒幕』
「誰です!野梨子は何処にいるんです!?」
『白鶴っていう代議士んちだよ!確か、野梨子と同じクラスに息子がいただろう?』
清四郎の脳裏に、ひょろりと背の高い、いつも青ざめた男の顔が浮かぶ。
そういえば昼休みに野梨子を誘いに行ったとき、暗い眼をしてこっちを
見ていた・・・
「奴か・・・」
『俺と悠理が先に向かう!清四郎、オヤジに連絡して・・・』
「冗談じゃない!僕が行きますよ!」
清四郎は携帯を美童に放り投げ、飛び出した。
落ちた携帯を可憐が拾い、オタオタしている時宗の部下の刑事に叫んだ。
「早く!なにボケっとしてんのよ!」
678清×野 喪失編:02/04/08 22:51
677の続きです。

どのぐらいの時間が経ったのだろう。窓さえないこの部屋では分からなかった。
小さくコツリコツリという足音がした。段々足音は大きくなり、
部屋の前でピタリと止まる。
キイィと唸り声をあげ、扉が開いた。男だという事は分かるが、逆光で顔が
分からない。
「やあ、ま、待たせましたね、白鹿さん」
特徴ある男のイントネーションに、相手が誰なのか、野梨子は感づいた。
「・・・白鶴さん・・・?」
断っても断っても、しつこく手紙を渡してくる男・・・
「本当はもっと、は、早く来たかったんだけど、オヤジがなかなか
放してくれなくてね・・・」
ふふ、と小さく笑うと、野梨子の傍にしゃがみこんだ。そのまま野梨子の
頬に手を伸ばす。必死で顔を背けるが、白鶴はしつこく野梨子の頬に触りつづけた。
「本当にき、綺麗だなぁあなたは。もっと早くこうしたかったけど、
いつも傍に菊正宗くんがいたのでね・・・」
「いや、なになさるの、放してっ!」
逃れようともがくが、手が自由にならない。暴れたせいで、野梨子の縛られた
手には、うっすらと血が滲んでいた。
「む、無駄ですよ。ここはうちの使用人でさえ滅多に来ない場所なんですよ。
さぁ、ゆっくり楽しみましょうね・・・」

相手の男の名前・・・ヘボヘボになってしまいました。酒に詳しくないんで・・・
浮かんでくるのが「よかいち」とか「いいちこ」で、それじゃああんまりか
って感じでこうなってしまいました。
679清×野ファン:02/04/08 23:08
初めてカキコします。最近ここのサイトを知ってロムっていたのですが、
いてもたってもいられず、カキコしました。
名前の通り、清×野ファンです。今までのお話も楽しく拝読させて
もらいました。
清×野 喪失編は今一番のお話ですね。アップするスピードが早くてうれしい!!
白鶴の名前は個人的にはO.K。イメージがわきますね。続編を楽しみにしてます。

質問 ここでは初心者の私ですが、新しいお話をここでアップしても
   いいのですか? いくつか思いついているものはあるのですが・・・
誰か教えてください>常連さん
680名無し草:02/04/08 23:36
>679さん
楽しみ!ぜひアップしてください。
誰も反対する人なんていないと思いますよ。むしろきっと大賛成。

>清×野 喪失編、良いわ〜。
すっかりファンです。毎日読めるのが嬉しい。
きゃ〜野梨子、楽しまれちゃうの?怪しい妄想が爆発寸前です。

さて、愛と青春の続きでも書くか・・・。
>>610の続きです。

「何を・・・!」
清四郎は一瞬声を荒げたが、すぐに皮肉な笑みを浮かべた。
「悠理を庇おうとしているんですか?柄にもないことが続きますね」
青い瞳が、光をはらんだ。
「右胸にほくろがあるよね。あと、お尻の左側にも。
おもしろいよね。どちらも、2つずつなんて!」
清四郎から余裕の笑みが消えた。
「悠理!」
清四郎は美童を押しのけようとその肩につかみ掛かるが、
彼は背中の悠理を守るように動かない。
「婚約は解消してあげなよ。無理強いするのって、みっともないよ」
「あなたには、関係のないことです!」
美童は床に張り倒された。やはり本気の清四郎には敵わない。
「悠理」
清四郎は、悠理の手に触れた。彼女の指が震えているのが分かった。
「清四郎!乱暴なことは・・・!」
はいつくばる美童に、清四郎は「分かっていますよ!」と一喝した。
「結論から言います。婚約は解消しません。
あなたは美童と何もなかった。いいですね」
「・・・・!」
悠理は凍りついた。
自分を責めようともせず、何も無かった事にしてしまおうとする彼が
信じられなかった。そこまで剣菱の財産に固執しているのか!
美童は清四郎のズボンに取りすがった。
「それはないだろ、清四・・・うわっ」
清四郎は、彼を野良犬のように蹴り飛ばした。
そして、自分を見上げる美貌の男に、氷のごとき冷たい視線を向けた。
「美童・・・あなたは僕と張り合う気持ちがありますか?
つまり、悠理と共に剣菱を守ってゆく意志がありますか?ないでしょう」
美童は清四郎とは違う。企業経営に対する野望は砂粒ほどもない。
そんな面倒なことは真っ平だ。一度しかない人生だ。
面白おかしく過ごさないでどうするのか。
清四郎には宝船の様に思える剣菱でも、美童にとっては、
重荷以外の何ものでもない。
「もし、責任を取るつもりもなく、軽はずみで悠理に手を出したことが
おじさんに知れたら・・・殺されますよ、美童!」
「うっ・・・」
美童に戦慄が走った。
そうだ・・・本当に怖いのは、悠理の父親である万作おじさんだ。
いや、それよりもあのおばさんにばれたら・・・地獄を見るのは必至だ!
マシンガンで蜂の巣にされるかもしれない!
どこかに逃げても、手榴弾を投げ込まれるかもしれない!
彼女に殺されかけた哀れな色男を、彼は知っていた。
清四郎は悠理の手を握る指に力を込めた。
「ですから、何も知らせずにいることが一番いいんです。分かりましたね」
自分に協力してくれた美童を、あの両親に木っ端微塵にされるわけにはいかない。
結局、清四郎の思い描く通りになるのか。
悠理は絶望に胸が締め付けられるようだった。
「さて、美童」
清四郎は、床に転がる美童に、こぼれる様な笑顔を向けた。
しかし目が笑っていない。
「あなたとは、別に話があります。立って下さい」
と、差し出された手を無視し、美童は1人で立ち上がった。
「ああ」
「場所を移しましょう。屋上がいいですかね」
さっさと背を向ける清四郎に、悠理が叫んだ。
「ここじゃダメなのかよ。さてはお前、美童をボコボコにする気だろ!」
「そんなことはしませんよ。ただ、ここにはスパイが多すぎる」
言って、彼は生徒会室のドアを開けた。
可憐と野梨子が室内になだれ込んできた。
「え、えっと。そろそろお話も済んだ頃かと思って、お茶をね」
可憐はにこやかにコップを掲げた。
「カラですよ」
「あら、おほほ・・・」
透明なグラスはどう見てもカラで、床に飲み物がこぼれた形跡もない。
盗聴目的の道具である事は明らかだった。
685清×野ファン:02/04/08 23:53
>680さん ありがとう。そういってもらえてうれしいです。
でも期待されるほどの話ではないかもしれないし・・・
導入部分は思いついてるのだけど、その後がねぇ〜〜〜続かない・・・
もうちょっと研究してから、まとめてアップするわね。
これで一つ、楽しみが増えたわ。いつもの生活に張りが出てくるわ。
がんばる〜〜〜
686清×野 喪失編:02/04/09 00:20
678の続きです。

白鶴はゆっくりと野梨子の制服に手をのばし、ボタンを外し始めた。
「いやあああっ!助けて清四郎!」
「い、言ったでしょ、無駄ですよ。さあ観念して・・・あなたは僕のものです・・・」
「いやあああっ!」
失いそうになる意識の中、野梨子は必死で清四郎の名前を呼んでいた。
「野梨子!」
小さく清四郎が呼ぶ声が聞こえた気がした。
(清四郎・・・)
「野梨子!どこだ!」
ガターンと何かが倒れる音がする。白鶴はビクリと後ろを振り返った。
ドアの向こう側に、見慣れたシルエットが見える。
清四郎は目の前の光景に理性を失った。パイプに繋がれた野梨子の肩はむき出しにされ、
男がむさぼりつこうとしているのだ。
687清×野 喪失編:02/04/09 00:32
686の続きです。

「貴様・・・」
「ひいっ!」
白鶴は逃げようとするが、清四郎の力に敵うはずもなく、壁へと叩き付けられた。
「うわあああ、助けてくれぇ!」
なおも殴り付ける清四郎を駆けつけた魅録が押さえようとするが、余りの勢いに
逆に飛ばされてしまう。
「清四郎、落ち着け!」
「これが落ち着いていられますか!?こいつは・・・!!」
襟首をつかみ、白鶴を殴ろうと持ち上げた。その清四郎の拳を止めたのは、か細い声だった。
「・・・清四郎・・・」
悠理に助け起こされた野梨子が、呟くように呼んだ。意識が混濁しているのか、
野梨子の眼は誰もいない方に向けられたままだった。
壁に手を伸ばし、宙を掴もうとしている。
「ここですよ、野梨子!僕はここにいます!」
悠理から野梨子を奪い上げるように抱き上げると、野梨子は清四郎をぼんやりと見つめた。
「・・・せいしろ・・・」
野梨子はそのまま清四郎の腕の中で、気を失った。
清四郎。萌え〜〜!
今夜は自分、徹夜かよ!
689名無し草:02/04/09 00:41
↑サイテーだ。興奮のあまり名前欄を消し忘れていた・・・。
すみません。逝ってきます・・・・。
690名無し草:02/04/09 01:14
>清×野 喪失編
清四郎かっこよすぎです!!
ああ、野梨子になりたひ・・・。
691名無し草:02/04/09 01:24
久々に来たら
喪失編凄い!いい!!
今後の展開が楽しみです!
作家様続き書いてくだされ〜〜
692名無し草:02/04/09 01:25
みんな・・・sageようよ・・・
693名無し草:02/04/09 01:41
>愛と青春の旅立ち編
冷酷な清四郎に震え上がりました!!
美童、もっとガンバレよ(w。百合子さんに負けるなっ。
個人的には魅録の帰国が待ち遠しいです。
694龍之介入院編(仮):02/04/09 04:02
数少ない龍之介ファンの方のために頑張ります!
>654の続き

次の日、病院に行ってそのまま龍之介の入院が決まってしまったので、
先に病院に向かっていた清四郎をのぞく5人は、龍之介のお見舞いに向かった。
「それにしても、病院に向かって、そのまま入院だなんてねぇ。」見舞いの花束を抱えた可憐が言った。
「昨日の清四郎もかなり強引でしたけど、結局、即入院だったってことは、
やっぱり傷の中の弾、早く取ってしまった方がいいってことですわよね。」
「そうか〜。さすがだなぁ、清四郎も、興味だけじゃなかったんだねぇ。」
美童が感心しながら言った。
「おーい、龍之介!見舞いに来たぞ!!!」
悠理たちが病室のドアを開けると、コワイ顔のお兄さん達が数人、こちらをギロっと睨んだ。
その間に見覚えのある好々爺の顔がある。菊翁文左ェ門が来ていたのである。
「よぉ!みんな、来てくれたんだな!オレ、すっげぇヒマでさぁ。
菊翁のじーさん呼び出してちょっと遊んでたとこだよ。お前らも一緒にやるか?」
龍之介と文左ェ門はベッドの上に座布団を一枚置いて花札をしていた。
「おや、百合子ちゃんとこの嬢ちゃんと、魅録君たちかい。まったくねぇ、
龍ちゃんには困ったもんだよ。こんな老い先短いじいさんを電話一本で呼びつけて…。」
「よく言うよなぁ。オレが入院してるって聞いて面白がって来たんじゃねぇか。」
「つまらんのぅ〜。ふせってる龍ちゃんなんぞ、滅多に見られるもんじゃないと思ったんだがのぅ。」
「病気で入院してる訳じゃないんだから当たり前だろ?」
「御老公、そろそろ…」文左ェ門のお供の男の1人が言った。
「おや、そうかの。じゃあ、龍ちゃん、また見舞いに来るよ。」
「おう、今日はありがとな、じーさん。
退院したらまた飯作りに行くからさ。組のみんなにもよろしくな。」
「ほぇ、そりゃ、楽しみじゃのう。」
そう言って、龍之介に手を振って文左ェ門は病室を出ていった。
695龍之介入院編(仮):02/04/09 04:03
数少ない龍之介ファンの方のために頑張ります!
>654の続き

次の日、病院に行ってそのまま龍之介の入院が決まってしまったので、
先に病院に向かっていた清四郎をのぞく5人は、龍之介のお見舞いに向かった。
「それにしても、病院に向かって、そのまま入院だなんてねぇ。」見舞いの花束を抱えた可憐が言った。
「昨日の清四郎もかなり強引でしたけど、結局、即入院だったってことは、
やっぱり傷の中の弾、早く取ってしまった方がいいってことですわよね。」
「そうか〜。さすがだなぁ、清四郎も、興味だけじゃなかったんだねぇ。」
美童が感心しながら言った。
「おーい、龍之介!見舞いに来たぞ!!!」
悠理たちが病室のドアを開けると、コワイ顔のお兄さん達が数人、こちらをギロっと睨んだ。
その間に見覚えのある好々爺の顔がある。菊翁文左ェ門が来ていたのである。
696龍之介入院編(仮):02/04/09 04:05
うわっ!書きこみできてないと思ったらできてる!
せっかく行数減らしたのに…。失敗した…。
というわけで、695はナシです。
697龍之介入院編(仮):02/04/09 04:06
文左ェ門が病室の外に出ると、ちょうど夏目が出くわした。
「御老公、お帰りですか。」
「おや、太郎ちゃんかい。龍ちゃん元気なようだね。安心したよ。
それにしても、いきなり手術だなんていうから驚いたよ。」
「医師によると、予想以上に腕に負担がかかっていたようで。
若の様子に気が付かなかった私が悪いのですが…。」
「いやいや、おまえさんのせいじゃないよ。
第一、龍ちゃんは、そんな素振りをお前さん達に気付かせるような男じゃないからのぅ。」
「まったくです。本来なら私よりもよっぽど組の跡目に向いてる方なんですから。」
「わしは、太郎ちゃんが組長になるのも面白いと思うがねぇ。」
「御老公〜!、また若に料理で買収されましたね!」
「それはまた別の話じゃよ。ふぉっふぉっふぉ。
それでは、虎ちゃんにもよろしく伝えておくれ。龍ちゃんのことも頼んだよ。」
そう言って文左ェ門は帰っていった。
698龍之介入院編(仮):02/04/09 04:07
「ホントに仲良しなんですのね。龍之介さんと菊翁の親分さんて…。」野梨子が言った。
「そうだな。じーさんとはガキの頃からのつきあいだからなぁ。」
悠理は、龍之介の病室にある見舞い品らしき食べ物に目が行く。
「あぁ、それ組の若いもんがさ、見舞いにって次々に持って来るんだよ。
オレ1人じゃ食い切れねぇから、食いたいだけ食っていいぞ。」
「やったー!」悠理はさっそく、果物の入ったバスケットに手をかける。
「そうそう、お花持ってきたのよ。花瓶とか無いの?」可憐が花束を見せる。
「おー、サンキュ!綺麗だな!えーと花瓶か?うーん、あったかなぁ。」
ちょうどその時、夏目が病室に入ってきた。
「今、外で菊翁の御老公にご挨拶してきましたよ。おや、みなさんいらしてたんですね。」
サングラスに黒いスーツという、あきらかに病院という場所に不似合いな男である。
「夏目、どっかに花瓶なかったか?」
「花瓶ですか?確か、先程そこの戸棚の中に置いてあるのを見ましたよ。」
そういうと、長身の夏目は高い所にある戸棚に手を伸ばし、その花瓶を取り出した。
「それでは、私が活けてきますわ。」野梨子が言った。
「いえ、私がしますので、ごゆっくりどうぞ。」
「え…?」野梨子は目を丸くした。
夏目は花束を受け取り、再び病室から出ていった。
「夏目みたいな男があんな花束持ってたら、
絶対マシンガンかなんか隠し持ってるようにしか見えないよな。」
夏目の後ろ姿を見送って龍之介が笑って言った。
「確かにすごく似合いますけど、似合ってる意味がすごいですわね。」
699龍之介入院編(仮):02/04/09 04:22
その夜、清四郎に差し入れしてもらった料理の本もあらかた読んでしまい、
早く、作ってみたくて仕方がなくなってしまった。
「台所付きの病室なんてのは無いよな…、いくらなんでも。」
その後、なんとなく寝付かれず、飲み物を買いに病室の外に出た。
慢性的に感じていた腕の痛みが薬によって消えているのでいつもよりも調子がいいくらいだ。
「まったく、手術するならするで、早いトコしてくれりゃぁいいのに、
検査・検査でめんどくさいよなぁ。
いっそのこと、ドスかなんかでぐりっと取れねぇもんかな。」
とつぶやきながら自動販売機のある階へ階段を下ろうとした瞬間、
いきなり強く背中を押された。
「なに!?」
龍之介は一瞬、自分が空中に浮かんだ気がしたが、そのまま階段の下まで転げ落ちた。
とっさに受け身を取ったので、怪我をすることも頭を打つこともなくすぐに起きあがれたが、体中が痛む。
「誰だ!?」しかし、階段の上にはすでに何の気配もなかった。
700名無し草:02/04/09 14:34
>旅立ち編
あの6人って魅録がいないだけで、こんなにもパワーバランスが
崩れてしまうんですね。清四郎を止められるのは魅録だけなのかも。
自分のいない間にこんなことになっていたと知ったら、友達思いの
魅録はショックだろうな〜(でもそういう傷心の魅録も見てみたい・・・w)
そして清四郎は、美童をどうするつもりなのか?
そろそろ美童の逆襲が見たいような、ブラック清四郎をいつまでも
見ていたいような(どっちやねん)。
 
>入院編
またスリリングな展開になってきましたね♪
黒幕は誰なのか、清四郎の思惑は、などなど気になることだらけ。
龍之介と悠理の仲も10ミリくらい(w 近づいて欲しいところですが、
なんせあの悠理ですからねぇ・・・
 
>ALL
このスレッド、もう461KBもあるみたいなんですが、引っ越さなくて
大丈夫でしょうか? 
早めに引っ越した方が、サーバーに優しい気がするんですが。
>>607の続きです。

外は小雨がぱらついていた。
濡れた路面に街灯の光が白くにじむ。
今日は母親のマセラッティにした。
少し前に買ったものの、生憎と最近は母親が家に居たため、借りられずにいたのだ。
父親のポルシェも悪くはないのだが、このイタリア車らしいフィーリングがたまらない。
しかしこの車で出掛けたことを、魅録は後悔し始めていた。
GT−Rに乗っていけば、その繋がりですんなりと話を切り出すことが出来た筈だ。
何の前触れもなく、いきなり核心を突くのには躊躇いがあった。
悠理とはメンタルな会話などしたことがなかったというのもあった。
悠理とたわいのない話をしながら、きっかけを必死で探していたところ、
意外にもチャンスは向こうからやって来た。
「今日はトラックが多いな。」
悠理がふと漏らしたその一言は、次話題に持ち込む最高の言葉だった。
「そういえば光樹さんは会津でトラックに乗ってるよな。
こっちの方にもちょくちょく仕事で来ているらしいよ。」
「そうらしいね。」

光樹は2年前のあの事故以来、荒れた日々を送っていたが、
1年前、会津にいる知り合いの運送会社で働くからと、東京を離れることになった。
その時にあのGT−Rは譲られたものなのだ。
2年前にスナックで別れて以来、1年ぶりに会った光樹は
まだやつれが見えるものの、生気を取り戻しつつあるようだった。
しかし半ば逃げるように東京を去る光樹に魅録は失望を感じていた。
「これはお前に乗って欲しい。」と言われても喜べなかった。
光樹の気持ちは分からないわけではない。
だが尊敬していた人であるからこそ、立ち直り、再びあの走りを
この車で蘇らせて欲しかった。
そしてもう一度追いかけるチャンスを与えて欲しかった。
それなのに走りを止め、そして愛車のGT−Rまで手放し、
全てを捨てて消えるのか。
コーナリングで感じた威力、顔に吹き付ける風の感触、
永遠に忘れられない衝撃を俺の中に置き去りにしたまま・・・
光樹の話題に触れるとどうしてもやるせない想いに囚われる。
つい失ってしまった何かを探そうとしてしまう。
自分にとって光樹の話は一種の鬼門であり、触れなくて済むのなら
触れたくはないのだが、しかし今はそれがキーワードとなっている。
魅録は話を進めた。
「俺は2年前の事故以来すっかりご無沙汰なんだけど、
悠理は連絡とかしてるのか?」
「もうしてない。」
悠理は外を向いたまま答えた。
「もう」ということは以前はしていたということである。
確かに悠理は光樹を慕っていたが、いつも自分を介してという形だったし
個人的に連絡を取り合うような関係ではなかった筈である。
いったいいつの間に・・・?

都心環状線は渋滞していた。
交通情報の表示板には「1q先事故」と赤く表示されていた。
「事故だって。どうする?(首都高を)降りるか?」
魅録は悠理に聞いた。
「いいんじゃないのか?暇だから事故見物でもしようぜ。」
人間とは面白いものである。
人的被害が少ないということが前提ではあるが、事故というとつい見たいという
心理が働く。事故見物渋滞ということも起こるぐらいだ。
だらだら走りながら、聞きたかったことの核心に触れていくのもいい。
魅録はそう思った。
「前は連絡とってたのか?」
魅録は思い切ってズバリと訊いてみた。悠理は何と答えるか?
様子を伺おうと、横目でちらりと見遣ったところ、
意外にも悠理は笑っていた。
「そう訊いてくると思ったよ。」
そう振られて魅録は思わず慌てた。
誘導尋問をしていくつもりが、逆に悠理にはめられた気分だった。
悠理は俺がそう訊いてくるようにわざと仕向けたのだ。
これは女がよくやる手口ではないか。
いったいいつの間にそんな高等技術を身に付けていたんだ?
魅録は悠理の中にある女の部分を垣間見た気がした。
長くなるのでとりあえずここまで。
なんだか悠理のキャラをぶちこわしてますね、わたくし(w

感想を下さっている方々、ありがとうございます。

ようやく話は中盤にさしかかりました。
今後も懲りずに読んで頂けたら幸いです。
よろしくお願いします。
706名無し草:02/04/09 20:37
>>705
この2人大好き!!!
ケンカとか騒ぐ以外の2人の様子が伺えて続きがいつも楽しみです
707清×野 喪失編:02/04/09 22:51
687の続きです。(励まして下さる方々、ありがとうございます!凄い嬉しいです)

事件は解決した・・・が、いつものような爽快感はなく、誰もが後味の悪さを感じていた。
野梨子がまだ目覚めないという現実が、暗い雰囲気に拍車をかける。
「バカ息子のせいで、白鶴の代議士生命も終わりだな。
ヤクザとの絡みまで暴露されちまったし」
「あら、でも事件の内容が内容だから、公にしないっておじさん言ってたわよ」
「目的に関しては金目当てってことで公表するってだけの話さ。暴行目的って事が
公表されてみろ、いくら未遂でも、傷つくのは野梨子だぜ?」
可憐と魅録は会話を打ち切り、床に伏せっている野梨子に眼をやった。
傍では青い顔をした清四郎が、甲斐甲斐しく額のタオルを変えてやっている。
708清×野 喪失編:02/04/09 22:58
707の続きです。(漸く、一つ目の”喪失”に辿り着けました・・・)

「それにしても、凄かったんでしょ、清四郎。バカ息子、肋骨3本折れてたって」
「魅録が止めなきゃ、殺してたよ」
悠理が二人にお茶の乗ったお盆を差し出しながら言う。
「あんな怖い清四郎、初めて見たもん」
傍にいるだけで、空気が切れそうだった。
「・・・ん・・・」
ピクリと野梨子が動く。
「気付いたのか!」
面々が野梨子の元へ駆け寄るなか、野梨子はゆっくりと眼を開けた。
「野梨子!」
「気付いたんだな、よかった!」
野梨子は喜ぶ面々を、無言のまま見渡した。清四郎が事件後初めて笑顔を見せる。
しかし次の瞬間、その表情は凍り付いた。
「・・・あなたたち、どちらさまですの?」
709名無し草:02/04/09 23:10
708さん>
「喪失編」
一体、何を喪失するんだろう・・・。
誘拐ついでにやられちゃうの?いやん。
とドキドキしてましたが
そうきましたか〜〜!!やられた!!!
萌え燃えです。
目が覚めました〜♪ありそで、ここではなかった展開ですよね!
710名無し草:02/04/09 23:16
清×野小説いいですね。
話のテンポがスピーディーで読み応えがあります。
キャラも外してないっていうかしっかり捉えてあって
本当に面白い頃の(^^;)原作を読んでるような気がしてきます。
楽しみに次アップ楽しみにしていますね。

魅→野(片思い)とか
からんでくれるとうれしい(ボソリ)
711名無し草:02/04/09 23:29
喪失編、おもしろすぎる〜!
私、カップリングがどうとか関係ないレベルで面白い!
ほんと、いい頃の原作みたいな、しっかりしたお話ですよね!
712清×野 喪失編:02/04/09 23:32
708の続きです。
(>709さん。そっちの”喪失”は、やっぱり清か魅か美で書きたいなぁと
思いまして・・・。そうじゃないと、袋叩きに遭いそうで。
>710さん。ありがとうございます。でも、これからマタ−リ展開になるかも・・・)

「記憶喪失、ねぇ・・・」
「一時的なものなのか?それとも・・・」
「・・・分からないそうです」
有閑倶楽部の面々は、いつものように生徒会室に集まっていた。
いつもと同じ放課後、だがいつもとは確実に違う放課後だった。
「じゃ、じゃあ野梨子はあたいたちのこと、思い出さないのかもしれないのか?」
「・・・その可能性も、ありますね」
「そんなの・・・嫌だよ」
悠理が半べそになりながら言う。
「いっぱい一緒に遊んだじゃないか!いっぱい一緒に事件に巻き込まれたじゃないか!
あんなにいっぱい、一緒にいたのに・・・」
うわあああ〜んと耐え切れずに悠理が泣き出した。
713清×野 喪失編:02/04/09 23:39
712の続きです。

「ちょっと・・・やめてよ、私だって辛いんだから・・・!」
可憐も思わず涙を零す。美童も目頭を押さえている。
「どうしようもないんですよ・・・こればっかりは、僕らにはなにも出来ない・・・」
「清四郎・・・」
淡々と語る清四郎が、その実一番参っている事を、魅録は感じ取っていた。
「野梨子、明日は登校するんだろ?」
しゃくりあげながら、悠理が問う。
「足の捻挫は治りましたからね。ただ・・・」
言いかけて、清四郎は言葉を飲み込んだ。
「いや・・・僕はもう、今日は帰ります」
カバンを手に立ち上がり、清四郎は部屋を後にした。
714名無し草:02/04/10 01:02
喪失編、意外な展開ですね〜。
すごい続きが楽しみです。もちろん他のお話も!!
>>704の続きです

その時、前方に事故現場が見えてきた。
パトカーの赤色灯が光っている。
事故は江戸橋ジャンクションで起こっていた。
ここは上野方面、新宿方面、箱崎方面と次々と分岐する。
事故現場は上野方面への分岐付近ででトレーラーと大型トラックの
多重衝突事故だった。
前後のトレーラーに挟まれ、無惨にも潰された大型トラックの
荷台に書かれた会社名が拉げている。
2人はその社名を見て思わず声を上げた。
それは正に光樹の勤めている会社のトラックだったのだ。
「ま・・・まさかな・・・ドライバーなんて何人もいるだろうし。」
魅録はそう言いながら悠理の方を向いた。
悠理は真っ青だった。額には脂汗が浮かんでいる。
そして次の瞬間、弾かれたように社外に飛び出し、
事故現場に向かって走り出した。
「おい!!!悠理!!」
追いかけようにも、車を路上に放置しておくわけには行かない。
しかし車の流れは事故現場に近付くにつれ、更に悪くなっていった。
魅録は苛ついた。

ようやく避難帯に車を停めることができ、魅録は車から降りた。
僅かながらの不安はあるものの、しかし魅録はそのトラックに乗っているのが
光樹だとは考えていなかった。
まさかそんな偶然あるわけがない。
2年前の真弓の死も多重衝突事故だった。
光樹までもが同じ要素の事故に巻き込まれるとは考えにくい。
むしろ悠理の慌てようの方を考えていた。
あの雰囲気はただごとではない。
やはり悠理と光樹は何かある。
そんなことを考えながら、魅録は現場に近づいていった。
現場付近では警察と悠理が押し問答になっていた。
「だからその運送会社に知り合いがいるんだってば!!」
悠理は現場を見せろと警官に詰め寄っていた。
「今レスキュー隊が救出活動をしていますから、
危険ですので近づかないでください。」
「もしかしたら、そのドライバーが知り合いかもしれないんだぞ!」
「とりあえずここは高速道路上なんですから、
速やかに車に戻ってください。」
「入れろったら入れろ!!!」
悠理は強引に入ろうとしたが、警官に押さえつけられた。
「離せ!!!」

「悪い。俺の知り合いなんだ。」
現場に到着した魅録は、顔見知りの警官にそう告げた。
「あ!魅録さん。」
急に現れた魅録に驚き、警官が手を緩めた瞬間、悠理は警官達の間をすり抜け
レスキュー活動により、トレーラーからようやく引き離すことのできた
大型トラックに駆け寄った。
トレーラーのコンテナに押しつぶされ、運転席は完全にスクラップ状態になっていた。
フロントのガラスは粉々に砕け散り、大量の血液がフロントボディーにも
幾筋ものどす黒いラインを描いている。
レスキュー隊は閉じこめられている運転手を救い出すべく、
懸命の活動を行っていた。
「まだ光樹さんだって決まった訳じゃないんだから。」
魅録はトラックの前で立ちつくしている悠理の肩を叩いた。
その肩は小刻みに震えていた。
「悠理?」
魅録は悠理の顔を覗き込んだ。
悠理の顔には色がなく、うつろな目はある1点を見つめていた。
魅録は悠理の見ている方向に目を遣った。
悠理の見ていたのは運転席に吊されていた小さなぬいぐるみだった。
「どうかしたのか?」
魅録は悠理の肩を揺すった。
それでようやく我に返ったというように、悠理は魅録に顔を向けた。
「あれ・・・タマフク人形・・・あたいが・・・
あたいが光樹さんにあげたやつ・・・」
「え・・・・じゃあ・・・・!!」
魅録は目の前の光景が急にモノクロに変わるのを感じた。
そして目の前で繰り広げられる全ての事が、スローモーションで流れ始めた。
そして全ての音が遠い遙か彼方の音に聞こえた。
警官達の走る姿、レスキュー隊の怒声、全てが今、目の前で起こっている
出来事とは感じられなくなった。
その時バーナーで切り取られた運転席のドアから、ドライバーの顔が見えた。
それはまさしく光樹だった。
その瞬間、悠理の体が崩れるように倒れていった。
「悠理!!」
離脱感から漸く抜け出した魅録は、慌てて悠理の体を抑えた。
「まだ駄目だと決まった訳じゃない!!しっかりするんだ!!」
その言葉を発しながら、魅録は空しかった。
あの状態で生きていることはまず有り得ない。
しかしこれで永遠の別れになるとは思いたくなかった。
忘れたかったとはいえ、心の底ではいつか必ず光樹は蘇り、
自分の前で往年の走りを見せてくれると信じていた。
こんな所で消えてしまったら、もうその僅かな望みすら完全に断たれてしまう。
だがその想いは次の瞬間にうち砕かれた。
「瞳孔が完全に開いている・・・もう駄目だ。」
レスキュー隊の言葉が後ろで聞こえた。
それからどうやって車まで戻ったのか、魅録はよく覚えていない。
時計は午前2時を指していた。
悠理はあれ以来一言も発していない。
ただ虚ろな目をしたまま、事故処理の続く現場を見つめていた。
魅録も同じだった。
先程見たものは何だったのか?
あまりにもショッキングなことに出会うと、人は認識することを拒むようだ。
もしかしたら夢だったのかも知れない。
そんな気すらしてくる。
とりあえず家に帰らないと・・・
急にそんなことを思った。
意識はぼんやりとしているのだが、思考はやたら冴えていた。
いつの間にか渋滞は解消していた。
時折、事故見物でもするかのようにスピードを落とした車が通り過ぎて行く。
魅録はゆっくりと本線に滑り出した。
まとめてUPさせて頂きました。
登場人物をまた殺してしまいました・・・
ご期待に添えるような内容ではないかもしれませんが
とりあえず最後まで完走させてください!
721名無し草:02/04/10 02:41
光樹と悠理の間の過去に何があったんだろう。
すごい気になりますー(><)
722名無し草:02/04/10 07:09
あの〜、
新スレの件、まじめに考えて方がいいんじゃないでしょうか?
723***香港NIGHT***:02/04/10 11:08
茅台の病室。
麻薬シンジケートのボスも人の子である。彼は糖尿病で入院していた。
もちろん病院などでは無い。かつての九龍城でヤミ医療をしていたラフロイグ
という英国人が、ネイザン通りの雑居ビルの一室に作ったアジト医院である。
法的に無免許であっても、その腕は超一流で信頼もおける
という外科医や歯科医達が、かつての九龍城にはたくさんいたものである、、、。
かくいうこのラフロイグも茅台に医者の腕を買われて、
用意されたこの部屋に裏開業する事ができたわけであるのだが・・・
食事の時間でラフロイグが食事を運んで来たのであるが。
「またそのササミ肉あるか?獣肉臭くて嫌あるね しっし 」
茅マークの人民服に包まれただぶついた体を揺らしながら
拒絶する茅台。ラフロイグは、茅台が食事時間以外に、
酒や料理人に作らせた料理を運ばせていることを知っていた。
ラフロイグは苦笑すると、だまって盆を下げた。

つづく
724***香港NIGHT***:02/04/10 11:08
茅台はしゃべり続けた。
「中国4000年も糖尿病には効かないあるね。体が動かなくて退屈ある。」
相変わらずの茅台に、ラフロイグは机の上で新聞を読みながら答えた。
「かつてボスが憎んでいた剣菱グループの事が新聞にでてますよ。」
「んっ!?何事ある!?」茅台は細い目を見開いて反応した。
「剣菱が東京湾の島につくったテーマパーク“まんさくランド”が香港にも進出するらしいです」
茅台はダルマのように太った肉体を揺らしながら叫ぶ。
「うーーー、あのジジィと鬼ババと犬とあの6人許さないあるね!今も大嫌いある。
憎んでるあるよ。ネイザンの私のアジトを犬のう●こまみれにした事あるね!波の中に置き去りにされた事もある。
一生忘れないあるね!あのいつも犬にくっついて来たうるさい男も許さないあるね。」
・・・・・・・・・・・・・
ラフロイグは進出の概要を説明した。「かつて九龍城があった部分に
“ネオ・まんさくランド”2004年オープン予定、だそうですよ。日本は不況不況といいながら金の有り余ってる連中もいるということですね。」
茅台はまたも叫んだ。「考えがあるね!!このまま計画つぶしてやるある!!
!私の庭の芝をあいつらが踏む事は許さないある!!このチャンスに復讐するあるね!!!!」
それは獲物を見つけたような笑顔であったが、目だけは笑っていなかった。

つづく
725名無し草:02/04/10 15:54
>新スレ
そうだよね。すでに478KB・・・
作者さんも増えてきて、これからもがんがん貯まるだろうし、
800くらいで移ったほうがいいのかな?同士求む。
726名無し草:02/04/10 17:44
>725
そうですね。
800ぐらいで移ったほうがいいですね。

>剣菱家の事情。
いい!
清×悠にもうドキドキ&メロメロな私です。
なんだか、悠理がかわいくってしかたありません。

愛と青春の作者さん、徹夜おつかれさまっす!
次も楽しみにしておりますー。

>龍之介、めちゃめちゃファンですよぉ!
原作でも使える人物。一条先生に読ませたかぎりです。
727清×野 喪失編:02/04/10 21:39
713の続きです。

ざあっと風が吹き付け、街路樹が揺れる。清四郎は自らの目の前にハラハラと
舞い落ちる葉を、なんの感情もなく、踏みつけた。
『野梨子ちゃん、遊ぼうよ!』
幼い清四郎が手を引き、外へ連れ出そうとすると、野梨子はイヤイヤをして
玄関の戸にしがみついた。
『いや?どうして?』
『だって・・・またいじめられるもの』
野梨子が公園で遊んでいると、必ずと言っていいほどいたずらっこが現れ、
野梨子にちょっかいを出そうとした。子供が好きな子に構いたいときによくする行動だ。
だが、そんな心理を幼い二人が知るよしもない。
『大丈夫だよ!野梨子ちゃんをいじめる奴は、僕がやっつけてあげるから!』
『ほんとう?』
『うん、約束だよ!』
プップーとクラクションを鳴らされ、清四郎は現実へと引き戻された。気付けば、道の
ど真ん中を歩いている。清四郎は慌てて左端へと避けた。
あの日以来、過去の事ばかりを思い出して過ごす事が多くなった。そしてその思い出には、
必ず、野梨子の姿があった。積み重ねてきた日々。幼い日の、約束。
(忘れてしまったんですか、僕との思い出も、全部・・・?)
清四郎は胸にぽっかりと空いた大きな穴を埋める術も知らず、ただ黙々と歩き続けた。
生ぬるい雨が降り出した。
728名無し草:02/04/10 21:53
引越し急いだ方がよくない?
少女漫画板時代に「496Kを超えたら容量警告が出て、
512Kを超えたら表示されなくなります」と書いてた人が
いるから、800行く前に越えちゃうと思うもの(今480K)。
難民板と少女漫画板では違うかもしれないけど、
用心に越したこと無いし・・・
 
新スレ作っちゃおうか?
>>1-3のうち、>1の前スレだけ変えればいいんだよね?
729名無し草:02/04/10 23:24
>728さん、ぜひ作ってください。
730名無し草
728です。
勝手ながら引越しさせてもらいました。
 
新スレ「有閑倶楽部を妄想で語ろう・4」はこちら。
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1018451720/
お引越しよろしくです。