横溝正史どろどろりん

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655ねつてつ
昨日、寝る前にちょっと考えた。
(最近、寝る前にミステリ関連の事を考える
ことが多い。病膏肓という奴か?ダメ人間一
歩手前??)

『本陣』や『獄門』って、傑作なのか?

いや、確かに凄い作品なので、『傑作』と呼
ばれるのは当然だろうとは、思う。
ただ、どういう『質』の傑作なのだろうか?

というのも、本陣における密室トリックは凶
器に関する物でもあるのだけれど、これ、元
はロジャー・スカーレットの作品から思いつ
いたそうなのだね、正史。何かのエッセイだ
かで語ってました。

『獄門』における犯人のアイデアの一つは奥
さんの思い付きだったそうだし、最後に明ら
かになる動機、真相は、クィーンの有名な作
品を彷彿とさせる。つーか、似すぎ。
細かいトリックでも、カーの某作品みたいの
があったしね。

思うに、オリジナル性という点でいえば、横
溝正史、アレンジが上手い作家だったのでは
なかろうか?

正史が他の探偵小説作家と比べて多作でもあっ
た理由の一つは、そういうとこにもあるのか
もしれない。

職人気質だったのだなあ、と、思う。
(実はクリスティーにも、ちょっとこの傾向
を感じたりしてます)

乱歩などは芸術家タイプで、しかもアングラ
な感じがするのね、私は。
特に少年探偵団みたいな妄想入ったワンダー
ランドなんて、乱歩流のアートかなあ、とか
思ったり。
稲垣足穂の詩とか読むと、なんとなく乱歩を
連想してしまいます。

横溝正史は、いかにも職人っぽくて、器用そ
うな感じ。探偵小説の頃は、大抵の作家が雑
誌で書いてて、書き下ろしなんかそうなかっ
た筈だと思うのですが、正史は掲載雑誌によっ
てイロイロ色調変えたてたのかも。

乱歩と違って、猟奇性漂う話があまり後を引
かないのは、正史の気質に負う部分が大きい
と、思う。

乱歩が日本に持ち込んだミステリという形式
がカストリ系のアンダーグラウンドから大衆
小説のサニーサイドにするすると以降していっ
たのは、やはし正史という職人がいればこそ
では?

偉大な父に偉大な母ありきってことかなあ。
いや、やっぱ凄いわ。
『獄門』、また読み返そうかしら?