「帽子から飛び出した死」クレイトン・ロースン(早川書房)
怪しげな魔術に取り憑かれていた男を襲った不可解な死。
完全な密室の中で息絶えている男を発見した「私」は警察呼び、そして知り合いの奇術師グレート・マーリニ
に助力を求めた。おりしも現場に居合わせたのはみな奇術師及びその愛好者ばかりだった。
そして取調べの後、目撃者の一人が失踪し、数時間後には死体となって発見された。現場はまたも密室だった・・・。
カーと並ぶ不可能犯罪の大家ロースン初見参です。
二つの密室殺人とそれを結ぶ露骨な物証の数々そして一癖も二癖もありそうな関係者たち。
夥しい小謎がこれでもかと出てくるあたり流石本格という感じです。
ただポケミスにして300ページは長い! 何度も言いましたが文庫本で400弱というのが私の理想です。
ちょっとイライラしてしまいました(w
第一の密室に対する理由付けが弱いですが、第二の方はなかなか見事です。カーの「第三の銃弾」にも
これとよく似た手法が出てきます。(メル欄)という。
また奇術師探偵ということで作中にも手品がたくさん出てきます。が、種明かしがされてないのは許せない(w
だったらやるなと。リアルなら厳禁だろうけど、ミステリーではやらないほうが厳禁です!
たまたま解説で都筑さんがいくらか種明かししてくれてるからよかったけどさ(十角館にもあるんだよなぁ)。
それと裏表紙の記述、間違ってます。というか、むしろ書かない方がいいことなのにしかも間違っているという(w
それと作中に出てくる図形のクイズ。これ乱歩がパクってました(w 全く、ミステリーを読めば読むほどあのオッサンが
大したことない人だと思えてくるね。
最後にワトラスの失踪。これに対する説明がないです。