>938
それどういう所ですか?もうちょっと詳細教えてください。
>それにしても、コリンズだったんですね
「月長石」は、ここ数年で一番インパクトのある本でした。
古典はかなり読んでいたのですが、19世紀の小説だし、ストーリーは(犯人も)
おおよそ知っているしと、かなりなめてかかっていたのですが、これが凄い。
考え抜かれたプロットに、それを支える完璧なストーリーテリング。
謎の事件に、ユーモア、悲劇、そしてハッピーエンドとメロドラマに求められる
要素はすべて含んでいる傑作でした。それ以降あれこれあさってます。
と、いうようなことをベスト5スレに書いたことがあるのですが、反応なしでした
(あたりまえではありますが)。
すいません、話がずれました。でも、コリンズスレが立つはずがなく、
語ってしまいました。
カーの作品で動きのある作品といえば、「バトラー弁護に立つ」「九つの答」
骨董屋での大立ち回りとかまず行動ありき、でとにかく読むのが楽しかった
記憶があります。
「バトラー」のトリックとか、冷静になるとちょっと、おいおいなのですが、
ストーリーの展開があまりにも速くて、突っ込みを入れるひまもなかったりします。
このころは歴史物を書きはじめていたと思うのですが、現代を舞台にしても
冒険を描けるんだなあ、とも思ったり。
>>934 「僧院」を「お話」としてみたときには、評価は低くなりますね。
松田道弘氏は「会話がまずいせい」で「登場人物の描き分けが十分でなく
読み返すのは苦痛だった」と言っています。
キャラクターが立ってない印象はあります。被害者が女優で映画関係者が
多く出てきたりとカーが資質に合わない「現代的な」物語を書こうとしたせいかも
と思っています。
941 :
名無しのオプ:03/03/19 22:01
>>940 漏れはレイチャルのドキュソぶりに切れつつ読んでました<月長石
しかもアイツだけいい目見るし。
クラック嬢やロザンナが可哀想で可哀想で・・・。
942 :
名無しのオプ:03/03/19 22:03
ところでパッパラパーはいつ出るの?
一応貼っとく。
第16回 ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)集計結果
6 火刑法廷
4 ユダの窓
2 三つの棺
妖魔の森の家
白い僧院の殺人
皇帝の嗅ぎ煙草入れ
連続殺人事件
1 ビロードの悪魔
緑のカプセルの謎
パリから来た紳士
読者よ欺かるるなかれ
青銅ランプの呪
曲った蝶番
貴婦人として死す
一角獣殺人事件
944 :
名無しのオプ:03/03/20 08:59
無難な評価ではあると思うけど、
「読者よ」「青銅ランプ」「一角獣」のかわりに、
「帽子収集狂」「プレーグコート」「恐怖は同じ」を入れたい。
短編ではなぜか「パリ」なんだね。
煽りでもなんでもなく聞きたいんだが、
「読者よ」「青銅ランプ」「一角獣」の三つは
どこがそれ程評価されてるのか教えて欲しい。
漏れの読み方が悪いから、
これらの評価を低くしているかと思うととても残念なんで。
945 :
bloom:03/03/20 09:36
>>941 >レイチャルのドキュソぶり
あはは、それは全くその通りです。お前が知ってることをとっとと話せば
あんな大事にならなかっただろうが、みたいな。
まあ、ヴィクトリア時代のお嬢の典型(うわべの貞淑、つつしみ深さ)なので、
許容してました。ついでに月長石の盗難は(メール欄)の比喩とみれば、
もう少し許せるかも?
コリンズ作品の女性キャラは、たいてい貞淑と奔放の2種類が登場するんですが
「月長石」はそのへんが明確でないかも。クラック嬢はちと微妙だし。
「法と淑女」では、「女には向かない職業」のコーデリア張りの探偵が出るし、
「ノー・ネーム」では遺産を独り占めにするため、主人を手玉に取るメイドとか
一筋縄ではいかないキャラが多数います。ドキュソばかりではないですよ。
と、当然のことを言ってしまいました。すいません、おまけにスレ違いでした。
>>943 これは結果よりも、投票数の少なさが残念だった。
やっぱりカーってクイーンやクリスティに比べると
読まれてないんですねえ…
最近ROMして皆さんの意見など読んでおりました。
私は「夜歩く」しか読んでなかったのですが、この作品の評価は割りと低いのですね…
他の作品も読んでみようかなと、このスレを見て思いました。
>>940 >『白い僧院の殺人』
自分で書いた933を読み返してみたら、『白い僧院』嫌ってるようにしか見えなくて
焦りました。
いや、確かに「お話」としては起伏に欠けますけど、現代的な、という点では
慣れないながらもけっこう健闘してると思いますよ。
女優と犯人のキャラクターはそれなりに立ってると思うし、
犯行の動機とか今でもあるっぽい感じで、チョコレートが送られてきたとか
その辺も含めて、いつの時代になってもついて回る芸能界の宿命なのかなー、って思いました。
ただ、後にカー本人が映画関係者とイヤってほど付き合ってから書いた
『かくして殺人へ』と比べると、リアルさが足りないというか、考え考え
書いたんだな、という感触はありますけど…。
>>944>>948 >『一角獣殺人事件』
世間的には、幻の名作がついに読めた、ってことでパッと評価が上がってる部分も
あるんじゃないでしょうか。
『一角獣』って、江戸川乱歩の「カー問答」では中流作扱いで第3群なんですけど、
「この内風変わりなのは、第三の『一角獣の怪』で、(メール欄)が二重三重に
こんぐらかって、実に奇々怪々を極める。又、殺人方法が、一角獣という怪獣の角で
刺されたような傷を残すという不気味なもので、トリックもなかなか考えた奇術が
使われている」と、わざわざ気をそそる注釈がつけられています。
だけど、長い間入手難で、国書刊行会が世界探偵小説全集を出してやっと読めた。
クラシック、ヴィンテージミステリの人気再燃がはじまった頃の、第一弾の作品
の一つでもあり、その辺が人気にも繋がっているのではないでしょうか。
個人的には怪盗フラマンド&覆面探偵ガスケという、今にも踊りだしそうなヘンな
ネーミングと、いつもはのんきな傍観者のケン・ブレイクが珍しく窮地に立たされる
ところが気に入っています。
兇器については専門的に過ぎてアンフェア、という話も聞きますけど
(確かに『プレーグ・コートの殺人』のような前振りも無い)、僕は
「へー、そんなのがあるんだー」って思ったぐらいで、豆知識が一つ増えたと思えば
腹も立たないのではないかと……。実際、不気味な効果は出てますし。
>『読者よ欺かるるなかれ』『青銅ランプの呪』
この2作は、序盤で起きる事件のインパクトで、読者を引っ張っていく作品ではないかと思います。
ともに謎の提示の仕方が凝っていて、演出も豪華。ビジュアル的に頭に焼き付いて、
読み終わったあとも、『読者よ〜』といえばあの階段のシーン、というくらい、
忘れられない印象を残します。
特に『読者よ欺かるるなかれ』は「超能力でいつでも好きなときに狙った相手を
殺せる」という、ミステリでそれやったらおしまいじゃん、という究極的なネタが
メインになっていて、いやでも興味をそそりますし、それを「共犯はいない、
すべて一人の犯行である」とか「犯人が現場にいて初めて可能な殺害方法である」とか、
思わせぶりなヒントで読者の推理を封じつつ、煙に巻いていくあたりが面白いと思います。
ドキドキしながら、いったいどうやったんだろうと考えさせられて、とても楽しく読めました。
推理小説を読む最高の快楽、と言ってもいいのではないかと思うくらい、上手い書き方だと思います。
個人的には、第二第三と事件が進むに従って、どんどん話はヒートアップしていくのに、
犯行の方はずさんになっていくところが好きです。トリックらしいトリックが全く使われて
いないところもポイントが高いです。
『青銅ランプの呪』は、読み終わってみると、(メール欄1)こともあって、
(メール欄2)でもしてたかのような印象はあります。
そのへんに浮ついたような物足りなさを感じますが、それでも
振りかえってみてなお、あの冒頭の謎の魅力は色褪せてないと思いました。
>>949 『夜歩く』は処女作にもかかわらず、フェル博士、H・Mがでてこないためか、
あまり人気がないようですね。(僕も、得意なほうではないです…つーか、表紙の
絵が恐い…)
トリックも、後の作品でバリエーションを展開しているので、先にそれらを
読んでしまっていると目新しく映らず、そのため評価が下がってしまっているのでは
ないでしょうか。
ずいぶん前に読んだので朧な記憶しかないのですが、怪奇色が前面に立っていて、
ムードがまとまっているところはかなりよかったです。
第一作目でこれだけ自分の世界を作れるっていうのは、やっぱり天性の作家なんでしょうね。
部分では、夫が精神病院から脱走する話や、ポーの話が出てくるところが面白かったです。
犯人像もなかなか強烈で、特に最後の一文はこの作品の締めくくりにふさわしいと思いました。
ただ、気持ちはわかるけど、こんな話を両親に捧げるなよ……とか思ったりして……。
954 :
名無しのオプ:03/03/21 20:29
短編ベスト3
1 B13号船室
カーの作品の中でも一番の傑作だと思う。短い話しの中にアイデイアや怪奇が一杯。凄い話しだと思う。
2 妖魔の森の家
妖精に誘われて妖精の国へと神隠しされたと思った少女が実は金銭目的でバラバラ殺人の被害者になってたという点が
非常に文学的でそそる話し。
トリックには無理があると思うが余韻が残る。
登場キャラのセリフも印象的で意味深。
3 銀のカーテン
まとまりが良く短編として理想的。
パリから来た紳士はどこが良いのかわからない。
>>948 サンクス
「青銅ランプ」は確かにクイーンと共に「人間消失こそ最高」と
論じて作っただけあって、謎自体は嫌いじゃないんだけど、
膨らましすぎた感じがするんです。
これより先に書かれていたというラジオドラマ版の方を読んでみたい。
おそらくその方がすっきりとしていて謎解決部分も
より魅力的にかかれてあったのではないかと推測します。
「一角獣」はサービス精神満載なのは分かるんだけど
ちょっとサービス過多という感じ。
それがカーらしさといえば、そうなんだけど、
この作品はちょっとまとまりを欠いてる感じがする。
フラマンド&ガスケが浮いた存在に感じる。
「読者よ」は確かに言われてみると階段シーンもドキドキしたし、
解決部分を読むのが楽しみだった作品。
でも(メール欄)というトリックが苦手というか嫌い。
だから初めて読んだ時にあまり評価を高くしなかったことを、
いま改めて再読してみて思い出した。
他にもありますよね、あの作品とか、カーのあれとか。
あります!
ただの自慢じゃん。「価値あるのかな〜?」だって。きもいヤツ。
自慢とも言えないような。。。
ブクオフの100円コーナーで良く見るものばかりだし。
まあ、すぐ無くなっちゃうので毎日通わないと
全然見ないってことになっちゃうけど。
ポケミスの古いのは100円コーナーにやたらあるので
おれは手あたり次第買ってる。100円だと友人に
気軽に譲れるのでポケミス普及のためにだけど。
958はなんでそんなにムキになってるんだ?
補足になりますが、『読者よ〜』は、詰まるところプレゼンテーションの上手さで
評価される作品ではないかと思います。
真相の方は、(メール欄1)という説明があるので、他の同系統の作品よりは
納得しやすいのではないかと……それが、衝撃的な場面の演出に結びついても
いますし……。
それはともかく、真相の方から考えると、あのネタから「思念放射による殺人」
っていうアイデアを思いついたのは、半端じゃないと思います。
世に(メール欄2)は数あれど、ここまで際立った状況を作り出した作品は
空前でしょう。
「空中の足跡」や「銀色のカーテン」のような本歌取り(つーかパクリ?)の
短編を読むと、カーの装飾の上手さ、アイデアを活かす話作りの上手さ、その
発想に感心させられますが、『読者よ欺かるるなかれ』は、そんなカーの才能が
長編でも良くわかる一編ではないかと。
騙しの謎をクリスティ、論理の謎をクイーン、想像力の謎をカーとするなら、
その一番の持ち味がいかんなく発揮されている点で、高く評価されている作品
なのだと思います。
「青銅ランプの呪」ラジオドラマ版は、ミステリマガジン1998年3月号
(NO.504)に載ってますよ。図書館で借りて読んだんですけど、
ラジオドラマらしくコンパクトにまとまってました。
つーか「誰がマシュー・コービンを殺したか」を激しく読みたいです。
ダグラス・G・グリーンは「中心的な手がかりが「絞首人は待ってくれない」と
かぶってるから割愛した」とか言ってるけど、あんたの編纂した短編集には
「死んでいた男」「黒い塔の恐怖」「死の四方位」と3作もかぶってる作品が
入ってるぞ! 「マーシュー・コービン」はフーダニットだけでも十分面白そう
なのに……。
短編集7、出してくれないかな…。
>「青銅ランプの呪」ラジオドラマ版は、ミステリマガジン1998年3月号
情報サンクスコ 押入れの中を探して見まつ
963 :
名無しのオプ:03/04/05 01:30
ハヤカワの火刑法廷読みました。ちょっと気になったんだけど**に電話がかかったのは
10:45ではなくて9:45のまちがいですよね。
あと....はどこかにでていったままなんですけど。
「青ひげの花嫁」100円でGET
965 :
名無しのオプ:03/04/06 21:34
今から緑カプセル読みます。評判よさそうなので楽しみ。
あのう、火刑法廷で、クロスの説は間違ってて、
真犯人は実は(メール欄)だと聞いたんですけど、ホントですか。
どうしてそうなるのか、気になって気になって仕方ないんです。
だれかわかる方、教えてください。
オレも最近読んだばっかりだけどそれはないと思うよ。
クロスの説は間違いとされてるわけではなくて、最後の数ページ..という
解釈という含みを残してどちらにでもとれるようにしたんじゃないかな。
その場合でも犯人は966さんのメール欄のひとじゃないよ。
僕は『緑のカプセルの謎』ってカーにはまりたての頃に読んだんですけど、
これとあとラジオドラマの「死者の眠りは浅い」って、(一応メール欄)が
ちょっとイイ使われ方をしてるんですよね。
「死者の〜」の方は翻訳のせいか、ややぎこちない感じですけど、『緑の〜』は完璧。
最初読んだ時は、何の事かわからなかったので当然その良さに気づかなくて、
あとで知って上手いもんだなあと感心しました。こればっかりは、予備知識ありで読みたかったです。
演出過剰というかなんというか、カーはこういうドラマチックなの、ホント好きですね。
969 :
名無しのオプ:03/04/13 18:48
「剣の八」の新訳が出るらしいぞ。
早川が文庫で出すのか?
972 :
名無しのオプ:03/04/16 21:11
>パリから来た紳士はどこが良いのかわからない
俺は文体とか雰囲気は好きだけど、中心となるトリックがちょっとしょぼいかも。
クイーン編のやつで読んだんだけど、あれはラストのどんでんが面白いのであって
あのトリックだけで終わってたら「ふざけんな」と放り出したと思う。
でもラストで一気に面白さが増すんであって、だからクイーンも選んだんじゃないかな。
973 :
名無しのオプ:03/04/16 22:22
3つの棺最強!
こんなところにまで最強厨が!
(^^)
976 :
名無しのオプ:03/04/17 21:58
山崎はカーで何が好き?
978 :
名無しのオプ:03/04/17 23:23
「魔女が笑う夜」読了。
HMが、抑圧された少女を救うシーンは胸が熱くなった・・・。
バザーのシーンも最高に楽しかったし、トリックも十分実行性の高いもの。
世間で言われてるほど悪い作品とは思わなかったな。
979 :
名無しのオプ:03/04/19 15:56
もうみなさん既にご存知でしょうが、早川が「クラシック・セレクション」という
名称でミステリの定番作品をハヤカワ文庫で続々出していくそうです。
>>969さんが言ってる「剣の八」の新訳というのもこれのことですね。
「密室殺人傑作選」は既に店頭に並んでますが、他にもホックの怪盗ニック・
シリーズとか、ブランドの「はなれわざ」なんかも出るらしいです。
基本的にポケミスから文庫化するというのが多いのかな?そういうわけで、
カーの他の作品も入手しやすくなるといいですね。
「はなれわざ」出るのか・・・すごくウレシイ・・・
ほかの作家の話でスマソ
古本屋で新潮文庫版の「皇帝のかぎタバコいれ」げっと。
創元推理文庫版も持ってるけど、好きな作品なので。
ただ、訳者が「白石佑光」という人なんだけど、
創元版にくらべてかなり読みづらい。
>979
知りませんでした。ウレスィ。
「剣の八」の新訳はいいですね。ついでに「三つの棺」も改訳してほしい。
訳がよければ、評価もちょっとは変わるかも…
「ビロードの悪魔」っていつの間にか品切れ状態になっててずっと探してたんだけど、
今日書店に行ったら特別重版の帯がかかって店頭に並んたんでげっとしてきました。
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
986 :
名無しのオプ:03/04/20 16:56
「皇帝のかぎ煙草入れ」読んだが、フィアンセの男が悪し様に言われすぎだと思った。
あれぐらい取り乱すのは普通だと思うのだが(浮気の件は別だけど)。
探偵役の差し出がましいナイトぶりも鼻についた。
結局 ヒロインが男みるめがないってことよね。
990あたりで次スレ移行ですかね。マターリ進行だし。
>987
やっぱそう思うよね(w