HM卿について教えてもらえませんか?
やっぱり一番最初の作品から読むのが良いのでしょうか?
お薦めの作品などあればお願いします。
地味に2周年だね、このすれ。
>>851 順番は気にしなくて良いと思う。
別にメリヴェール最後の事件というのがあるわけでもないし、
過去の事件が重要な手掛りというのも無いから。
手に入ったものから読めば良いと思うが、
文庫になっていない作品は
いつ絶版になるか分からないから先に読むことを進めます。
おすすめ
「プレーグ・コートの殺人」「白い僧院の殺人」
「赤後家の殺人」「ユダの窓」「貴婦人として死す」
854 :
名無しのオプ:03/02/19 09:37
「われわれは推理小説の中にいる人物であり、そうでないふりをして読者をバカ
にするわけにはいかんからだ」
今まで読んだ本格推理小説でもっとも驚いたセリフです。
>>854 俺は萎えた。それまで作品世界にのめりこんでたのに一気に冷めて
本を投げ捨てたくなった。
856 :
名無しのオプ:03/02/19 12:33
HM物の方がフェル博士物より良作多いような気がしない?
857 :
名無しのオプ:03/02/19 13:05
>856
禿同。
>>851 「騎士の盃」はHMの最後の事件だからラストのほうが良いかも。
って自分もまだ読んでないんだけど。
HMはどれも面白いからどれから読んでもはずれはないかと思われ。
ただ、「魔女が笑う夜」は、HMものを何冊か読んでからにしたほうが良いかもしれません。
自分的には愛すべき名作なんだけど。
俺も「魔女が笑う夜」、言われるほど悪いとは思わないんだが。
バカミスなんていう無意味な呼称のせいか?
・・・自分も好きではあるけど・・・。>魔女が笑う夜
特にスーツケースと犬のシーンとバザーのシーンが・・・。
861 :
名無しのオプ:03/02/22 12:37
「魔女が笑う夜」、いいですねえ。
カーは舞台装置に力を入れてるとこが好きなので、
村外れにヘンな名所の岩があるとことか、すごい好きです。
バザーのシーンも、クライマックスとして盛り上りますよね。
「魔女が笑う夜」=バカミス、という図式は多分、「夜明けの睡魔」の
影響が強いと思うんですけど、瀬戸川猛資さんは「ミステリはパズルである前に、
まず小説として楽しませてくれないと」って言う人だし、その人が「愛着がある」って
公言してるわけだから、決して馬鹿なトリックだけでもってるような作品じゃないですよ。
まあ、あのトリックは実際バカだなあと思いますけど。
まるで「バカミス」というジャンルがあるかのごとく語るなよ
863 :
名無しのオプ:03/02/22 15:49
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864 :
名無しのオプ:03/02/22 19:18
今日ようやくプレーグ・コートをGET
傑作と呼ばれる物で持ってないのは貴婦人とビロードのみになった。
それなのに魔女が笑う夜を所持してる俺って一体・・(まだ怖くて読んでません)
その前に五つの箱の死嫁
866 :
名無しのオプ:03/02/22 20:21
五つの箱、どのへんがバカなのかいまいち分かりません・・・
誰か教えてくれー
868 :
名無しのオプ:03/02/22 22:43
そういえばこのスレで一度として話題に挙がらない
「月明かりの闇」ってどうなんでしょう?
>861「夜明けの睡魔」
創元ライブラリから出てるミステリ評論ですね。
まだ読んで無いー。かなり読みたくなったー。
「青銅ランプの呪」っての読んだけどすげえ面白かった。
禿人は冒頭のドタバタが楽しめるのみで、後は見るべきところのない駄作
と言っていたけど、やっぱアイツの評は当てにならんわ。
871 :
名無しのオプ:03/02/23 15:49
二階堂黎人
873 :
名無しのオプ:03/02/23 17:12
フェル博士最後の事件て「雷鳴の中でも」じゃなかったのか?
874 :
名無しのオプ:03/02/23 20:27
このスレを見てカーの本を読みたくなって先日図書館から「一角獣殺人事件」を借り出して読んでみた。
そして一読してマジにぶっ飛んだ。一回の読書で3度分の驚きが得られたのはこれが初めてだった。
俺が厨だからかもしれないが、最後の格闘シーンが特に胸が躍るほどよかった。とにかくカーはすごいやつだと思った。
ミステリ板の住人さん、こんなカー初心者の漏れにお勧めのカー作品を教えてください。頼みます。
嫌です
うっ・・・。マ、マジですか?
はい
そ、そんな・・・。
このスレの人は不親切ですね。
つーか、過去ログ読めや!ってのをやさし〜く言ってあげてるんじゃないの?
>875
とりあえず「ギリシャ棺の謎」がおすすめ。
883 :
名無しのオプ:03/02/24 00:05
>875
いや、まずは「樽」を読むべきだろう。史上初の動く密室を扱ってる。
「本陣殺人事件」だな。やっぱ。
>>881 過去ログには一応すべて目を通しましたが、皆の勧める本が多種多様なのでどれから読んでいいか悩みました。
とりあえず漏れはかなりひねくれてるほうで「一角獣」から読みましたが、この後どれを選べばいいのかすっげえ悩んでいるのです。
「曲がった」と「夜歩く」の名前は手元にメモしましたが・・・。本屋を渡り歩いてもどの書店にもありませんでした。
なので、ここに「一角獣」のつぼにはまった漏れにお勧めの本を教えてもらおうと書き込んだのです。
>>882 それはクイーンの国名シリーズでは・・・?
>「一角獣」のつぼにはまった
じゃあ、「パンチとジュディー」か「連続殺人事件」が、
自分としてのお薦めです。入手容易かどうかは知らないけど。
「皇帝の嗅ぎ煙草入れ」もお薦めです。
トリックの説明読むのに疲れたら是非。
意外と「魔女が笑う夜」合ってるかもしれん。
889 :
名無しのオプ:03/02/24 00:26
ドタバタがツボにきたのなら入手難易度が比較的低い「盲目の理髪師」じゃない?
>>885 本来なら「パンチとジュディ」がおすすめです。「一角獣」にも登場した
ケンウッド・ブレイクが主役のドタバタミステリです。
が、この本はかなり入手困難なようなので……。
886さんと同じく「連続殺人事件」(創元推理文庫)をおすすめしておきます。
とりあえず「パリからきた紳士」という手もあるのかも。
古典的名作という意味では。
これまた疲れたときにドウゾ(w
あと「墓場貸します」もね。
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」
これ読んどけ
>>886-
>>893 どうもレスありがとうございます。
こんなにレスがつくとは思わなかったから驚いています。充分参考になりました。
今度ひまな時に大きな本屋とか図書館とかに行って皆さんが挙げた作品を全部探してみようと思います。
スレ汚しごめんなさいです。それでは、885でした。
>870
「青銅ランプの呪」は、主人公が寝てる時に(メール欄)が出てくるシーンで
鳥肌が立ちました。
トリックの真相の、ホームズの時代に先祖がえりしたような雰囲気も、むしろ
新鮮で面白かったし。
>895
足音の謎なんかも消失のトリックとうまく絡んでて感心した。
898 :
名無しのオプ:03/02/25 15:55
遊びで考えてみました。
フェル博士vsH・M卿5番勝負
1 魔女の隠れ家vsプレーグ・コートの殺人
2 三つの棺vsユダの窓
3 囁く影vs貴婦人として死す
4 盲目の理髪師vs九人と死で十人だ
5 緑のカプセルの謎vs読者よ欺かるるなかれ
肩の力を抜いて、好きなほうに投票してください。
新しい対戦も募集中。
今回の対戦は、
1…デビュー作対決。どっちも犯人逮捕が劇的で、結末も安易なハッピーエンドに
流れてない点がポイント高い。
2…代表作対決。どっちも密室が出てくるけど、使い方は全然違うあたりは流石。
3…40年代の人気作。ストーリーはやや小粒ながら、切なげな良い話だし、
かと思えば妙なトリックが出て来たり、無理矢理な展開があったりもして、
楽しめる二作。
4…船対決。(強引でスミマセン…)。フェル対H・Mというより、30年代vs40年代かも。
5…透明人間vsエスパー。どちらも現場に目撃者が何人もいたのに、何が起こったのか
わからないという事件のインパクトが強烈。絵解きも上手い。
という感じで組みました。
ちなみに僕の勝敗表は
1 ○魔女の隠れ家vsプレーグ・コートの殺人●
2 ●三つの棺vsユダの窓○
3 ●囁く影vs貴婦人として死す○
4 ●盲目の理髪師vs九人と死で十人だ○
5 ○緑のカプセルの謎vs読者よ欺かるるなかれ●
で、今回はH・Mの勝利ですかね。長くなるので個々の勝敗の理由は省略。
好きな作品に●つけるのって思ってたよりつらいな…。
俺は2戦目以外は全てHMの勝ちだと思う。
901 :
名無しのオプ:03/02/25 21:30
1 ●魔女の隠れ家vsプレーグ・コートの殺人○(大差)
2 ○三つの棺vsユダの窓● (上位接戦)
3 ●囁く影vs貴婦人として死す○ (接戦)
4 ○盲目の理髪師vs九人と死で十人だ● (接戦笑えたので)
5○緑のカプセルの謎vs読者よ欺かるるなかれ● (大差)
私としては
1 HM卿
2 HM卿
3 HM卿
4 フェル博士
5 フェル博士
てなとこでしょうか。
やっぱり緑のカプセルには負けるかなあ・・・
このスレみても支持率高いしなあ。
くやしいなあ。
みなさん投票ありがとうございます。
ちょっと、フェル博士の旗色が悪い感じですね。
”囁く影vs貴婦人として死す”なんかは、もうちょっと接戦になるかと
思ったんですけど。
それから『プレーグコート』、強いですねえ。
僕は『プレーグコート』はホラー、オカルトに徹してるような硬派なイメージがあって、
それは別に欠点ではないんですけど、『魔女の隠れ家』みたいな冒険ありロマンスありの
お話にやっぱり惹かれてしまうんですよ。最後のほうで出てくる執事の冒険のエピソードとか、
ああいうテイストは後期の歴史ものなんかにも脈々とつながっていく、カーの最愛の部分です。
粋な騎士道精神とでも言いますか、誇り高くて、お酒が好きで…。
人里はなれた旧家が舞台、という設定も活きていますよね。
なんかこのまま書いてたらどんどん脱線して行きそうですが。
そういえば”魔女の隠れ家vsプレーグ・コートの殺人”っていうのは、よく考えたら
田舎vs都会の趣もありますね。フェル博士→田舎、H・M卿→都会、というイメージは
なんとなくあるような。
905 :
名無しのオプ:03/03/01 18:25
ユダの窓と緑カプセルと火刑法廷はぜひ読みたくなりました
906 :
名無しのオプ:03/03/01 18:35
最近小学生の間でカーが流行っていることないか?
魔女の隠れ家(子供向け)を読んでいる小学生をここ数日間の間で2人目撃した。
907 :
名無しのオプ:03/03/03 11:35
908 :
名無しのオプ:03/03/08 00:01
BOOKOFFにて「騎士の盃」(σ゚∀゚)σゲッツ!!
今から読みます。
面白いよぉ〜あれ
910 :
名無しのオプ:03/03/09 21:43
911 :
名無しのオプ:03/03/10 21:01
短編・ラジオドラマ限定で人気投票やりませんか?
創元推理文庫の6冊読んどけば邦訳は8割方(9割?)押さえられるので、
参加しやすいのではないかと。
ベスト10だと多すぎ、けどベスト5だと少ない気もするので、
一人7冊って所でどうでしょう。
7「冊」?
ぐはっ、スミマセン、「作」です。恥ずかしっ!
914 :
名無しのオプ:03/03/10 23:25
ひとつ、やってみますか。
1.奇蹟を解く男(これは反則?)
2.ある密室(この強引さがカー)
3.絞首人は待ってくれない(盲点をつく鮮やかな解決)
4.銀色のカーテン(まとまりの良さで)
5.黒いキャビネット(サスペンスの盛り上げ方に)
6.正義の果て(謎解きも巧妙だが、読後の余韻も強烈)
7.空部屋(すごく都合のいいロマンスに。事件はほとんど記憶にない)
あまり短編のイメージがないので、けっこう考えたかも。
あの有名どころの3作に思い入れがない分、よけいに難しい。
>914にほとんど同意できるが、
「死者を飲むかのように…」「もうひとりの絞刑吏」「山羊の影」
も好きな作品だったりする。
投票ありがとうございます。
カーの短編って、「妖魔の森の家」以外はあまり語られないような気がするので、
前からやってみたかったんですよ。
それにしても、長編では異能大関ばかり、なんていわれるカーも、短編には
「妖魔の森の家」と「パリから来た紳士」という両横綱がいますから…などと
エラそげに書こうと思ってたら、ぐはっ、見事にやられました。
ところで有名どころの3作って、もう一つはなんでしょうか?
「B13号船室」か「第三の銃弾(不完全版)」あたりでしょうか?
僕のベストはえらい平凡(と思う)です。
・空中の足跡
・もう一人の絞刑吏
・妖魔の森の家
・赤いカツラの手がかり
・パリから来た紳士
・あずまやの悪魔
・地上最高のゲーム
『不可能犯罪捜査課』は好きな作品ばかりですが、トリックが評価対象外な分、
かえって味付けの上手さが引き立っている「空中の足跡」を。
歴史ものの「もうひとりの絞刑吏」はあの雰囲気ある語り口が好きです。
「妖魔の森の家」は初読時のインパクトがそれほどでもなくて、評判の割には
たいしたことないなあ、と思ったんですけど、読み返すほどに好きになりました。
暮れゆく森を背景にしたムードの醸成がすごい上手くて、それが、あのトリックを
倒錯した美しさを感じさせるものにまで昇華させていると思います。下手な作家が
やってたら、単に「ショッキングなトリック」どまりだったと思う。
「赤いカツラの手がかり」はオフビートなところが大好きです。女性の服のたたみ方が
捜査の焦点になったときに、「なんなら私が今からここで実演しましょうか?」と
服を脱ぎ出そうとするヒロインがかなりイカしてます。
「パリから来た紳士」は創元の宇野訳もいいですが、ハヤカワ文庫のクイーン編
『黄金の13/現代編』に入ってる大西訳(一人称が”おれ”)も捨てがたいです。
一発勝負の作品だから再読はダメだろうと思ってたら、あれよあれよと読ませられました。
ラジオドラマも粒が揃ってて、「B13号船室」で船上でのアイリッシュばりの失踪事件、
「絞首人は待ってくれない」で監獄での冤罪ばらし、「幽霊射手」で孤島の館の伝説…と
いったふうに、毎回々々手を変え品を変え、シチュエーションに幅を持たせているのには
感動します。謎解きも、フーダニット一つ取ってみてもマンネリにならないように
気を配っているのが分かりますし。
中では、夏の香りの漂う「あずまやの悪魔」が一押し。
自分で「短編・ラジオドラマ限定」と言い出したくせにエッセイを挙げるのは
気が退けますが、「有り金残らず置いて行け!」も「ミステリ狂の告白」も
「もう一杯貰おうか、ワトスン!」も大好きです。
「地上最高のゲーム」はいきなり「おお、それだ、それだ!」とか言い出すところが最高です。
他に、「奇跡を解く男」は「不可能な事件が起こると皆わしを引っ張り出してきて
頼りにするくせに、事件が解決したら、ふん、何だそんな事だったのかツマラン、
とゴミ箱に押し戻そうとしおる」というH・Mのぼやきが印象的。
バンコランものでは「山羊の影」のラストのセリフがしびれました。(ハヤカワ文庫の
『密室大集合』版は訳文がイマイチでしたが…)
長文失礼いたしました。
>>916-917 両横綱は、あえて外したところもあるんですよ。言われるようにこのスレでも
話題になったし、そもそもクイーンの大絶賛もあるしで。
「パリ紳」はあまり語られてなかったかも。これは大好きです。
酒場の雰囲気がなんとも楽しげで。
カーの強みは、情景描写にすぐれているところでしょう。一つの場面を
景色として読者に認識させるあたり。「妖魔」でもH・Mがしりもちをつくシーン、
夕闇の中で会話をしているシーン、目に浮かぶんですよね。
内面描写を軽視していた分、外観を認識するのに秀でていたのかも。
それにしても911さんは、読み込んでますね。思い出しましたよ、
「おお、それだ、それだ!」
あのエッセイで紹介されていたから、ポーストを読む気になったんでした。
あの興奮ぶりは乱歩にも通じますね。
こちらも長文失礼。
ちなみに、有名どころの3作目は「B13号」のつもりでした。
「大西洋殺人事件」っていまだにビデオを見たことが無い・・・
>>918 いや、実はうろ覚えのハッタリで書いたもんで、
>>916-917は細かい誤記がたくさん…
>カーの強みは、情景描写にすぐれているところでしょう。一つの場面を
>景色として読者に認識させるあたり。
本当にそうですね。とにかく、雰囲気作りにこだわった人だと思います。
「カーにはストーリー・テラーとしての天賦の才能があって、ドラマチックな
情景をビビッドに描き出すのがじつにうまい。」「読み手の想像力を刺激する
ロマンチックな魅力があって、ちょっと忘れられない印象を残すんだな」と、
松田道弘氏も絶賛してますし。
カーの情景描写がイイのは、視覚的な描写だけに依存せず、聴覚や嗅覚、触覚と、
五感をフルに活用してるからだと思うんですけど、この辺は仰々しい怪奇趣味に
凝ったがゆえの功名なのかなという気もします。ラジオドラマなんか、音響効果が
分かってないと書けませんよね。
新カー問答では「毎回クライマックスが近づくたびに天候が急変し、雷鳴がとどろくのは
如何なものか」みたいなことも書かれてますけど、僕はそういう描写が出てくると
ああカーだなあ、って思うので大好きです。
それから、カーがえらいと思うのは、そういう印象に残る情景描写や、雰囲気を
盛り上げるための小道具を、ちゃんと謎解きに活用してるところです。
例えば、土砂降りの雨の中でH・Mがすっころんでズブ濡れになる、とかいうギャグが
あったとして、終盤の解決編で「ほら、あの日は雨が降ってたじゃないか」とか
言われると、あっと思うんですよね。
小道具では『帽子収集狂事件』の帽子とか、『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』の嗅ぎ煙草入れとか、
いやタイトルからしてなんつーかもう、なんつーかもうって感じです。
>あのエッセイで紹介されていたから、ポーストを読む気になったんでした。
>あの興奮ぶりは乱歩にも通じますね。
僕もです! あれ読んでアブナー伯父を買いに行ったような。なにしろ、「見えない人」や
「唇のねじれた男」と同列ですもんね。
カーのファンは作品よりも作者そのものが好き、っていうのは良く言われますけど、確かに
ああいうエッセイ読んでニヤニヤしてる自分に気づくと、その通りだなって思います。
あの無邪気で一徹なところがたまらなく好きで。
もしかしたら、カーのどの著作よりもD・G・グリーンの評伝が一番好きかもしれない…。
922 :
名無しのオプ:03/03/15 23:32
次スレは「ジョン・ディクスン・カーター・ディクスン」がいいな…だめ?(笑
>>920-921 >松田道弘氏も絶賛してますし
松田氏があげている「時計の中の骸骨」と「髑髏城」の墜落シーン、
かたや夕暮れの田園風景の中、かたや闇の中で炎上しながらの落下、
作品の記憶があまりないのに、ここだけは鮮明に覚えています。
雰囲気作りで唸ったのが、「黒死館」でのペスト流行時代の資料を読むシーン。
登場人物と同化して読んでしまうんですよね。
あと、「三つの棺」の三兄弟が墓地から脱走するところ。
棺から抜け出すあたりは、文字通り息詰まる感がありました。
このあたりはゾクゾクしながら読んでいました。
なんつーかもう、なんつーかもう、です(借用失礼)。
>雰囲気を 盛り上げるための小道具を、ちゃんと謎解きに活用してるところ
少しずれますが、証拠の提示で感心したのが、「白い僧院」あれ(メール欄)。
巻末で「ここは特に強調しておいた」みたいなことを、語るわけです。カーが。
得意げな顔してたんだろうなあ。
してやられたといえば、「三つの棺」の「二発目はおまえだ」。
夜中に寝転んで読んでましたが、跳ね起きましたね。その瞬間、構造が
理解できて、後は全て納得しました。(メール)でもなんでもこいってなもんです。
>あの無邪気で一徹なところがたまらなく好きで
同意。
『あの男は、ごくわずかの者を除くあらゆる人間に、あざむかれ、陥れられた。
彼が潔白かどうか知らないし、今ここでそんなことはどうでもよい。だが彼は、
正々堂々と敵に立ち向かい、正々堂々とすべての敵を打ち負かした。
そして今、傷つき、味方もない彼を、吠えかかる野良犬の群れに引きずり
倒させるというのか?いかん!そうはさせんぞ』(「恐怖は同じ」奇蹟を解く男
からの孫引き)
こういった見得の切り方、カーにしか出来ないでしょう。
このセリフ自体、カーの信条だったんでしょうね。
>>922 検索しやすくて良さそう。
でもそれだと、カー・ディクスンが抜けて、ジョン・ゴーントが嘆く、
わけないですね。
>>922 ディクスン・カー&カーター・ディクスン&カー・ディクスン
っていうのはどうでしょうか? 張り倒されそうですが。
スレッド一覧から探しやすいかも。
911がコテハンになりつつある気がする今日この頃。
>雰囲気作りで唸ったのが、「黒死館」でのペスト流行時代の資料を読むシーン。
>登場人物と同化して読んでしまうんですよね。
あれはリアルで、迫力がありました!
プレーグコートって、降霊術の儀式が謎の演出と解決に一役も二役も
買ってますけど、それだけだったらかなりご都合主義が鼻につくというか、
薄っぺらい作品になってたと思います。
あのペスト流行時代のエピソードが綿密に書きこまれてるから、話に
奥行きとか厚みが出てるんじゃないでしょうか。
それも、普通の作家だったら「勉強して書きました」なところを、
ほとんど趣味で凝りまくってやってますから、気合の入り方が違うし。
>あと、「三つの棺」の三兄弟が墓地から脱走するところ。
>棺から抜け出すあたりは、文字通り息詰まる感がありました。
シャーロック・ホームズにも通じる部分ですよね。
ホームズ物語は本質的に伝奇ロマンであり、クライマックスの場面で
事件の真相を知る人物が「今こそお話しましょう。すべては遠い昔、××の
地で起こったことがはじまりだったのです…」と語り出すのが面白い、
これはコナン・ドイルのお家芸、というより病気みたいなものである。
と言ったのは瀬戸川猛資『夜明けの睡魔』でしたっけ。
『曲った蝶番』でも、この「むかし、むかしの物語」が出てきて効果を
上げてますよね。
ところで『三つの棺』のアレって、(メール欄)で思いっきりネタバレ
してるような……。メジャーなありふれたものですから、オッケーなんで
しょうか……。
>『白い僧院』あれこれ
白い僧院のアレは、僕も読みながらヘンだなと引っ掛かるものを感じて
いたので、解決でカーの自己注を見て、そういうことかと思った記憶が
あります。
それにしてもカーは自分で注をつけるのが好きですね。
『九人と死で十人だ』にもあったし、『猫と鼠の殺人』もそうでしょう。
歴史ものの「好事家のためのノート」も似たようなところありますよね。
そうだ、『白い僧院』といえば僕は”王妃の鏡(クイーンズ・ミラー)”という
ネーミングが好きなんですよ。不可能犯罪の現場にこんなロマンチックな名前を
付けるミステリ作家、そうはいないんじゃないかと思います。
間違っても、”ただの別館”みたいな無味乾燥な設定をしないところがカーの良いところ。
ちょっと話が逆流しますけど、カーの情景描写の上手さには、こうした
舞台の丹念な作りこみも貢献していると思います。
『帽子収集狂事件』のロンドン塔や『アラビアンナイトの殺人』の博物館、
殺人現場は別の場所にもかかわらず訳題を『爬虫類館の殺人』にされてしまうほど
インパクトのある爬虫類館なども印象深いですが、特に、オリジナル設営の
怪しげなオカルト・スポットがイカす!
疫病の館「プレーグ・コート」、絞首台だった「魔女の隠れ家」、フランス革命
から繋がる、由緒正しい殺人部屋の「赤後家の間」、そして間違ってもピクニックには
行きたくない「妖魔の森」!! とにかく、カー作品は名所にこと欠きません。
個々の作品の自己主張が強く、人気がバラけるのも、各作品にそれぞれ特徴ある
舞台が配されていることと無関係ではないと思います。
少なくとも、作品ごとの区別はつきやすいですし。
連続長文な上、話題がころころ飛びまくって申し訳ないです。
カーの話ができて舞い上がっているもので……
あ ー 嬉 し い ー ー ! ! !
はっ! いつの間にか短編の話題が……!
白い僧院のトリックって画期的ですごいと思うんだけど
メール欄じゃないところがちょっと不満なんですよね。
私もここまでカーを語ったことがなくて、楽しいです。
>それにしてもカーは自分で注をつけるのが好きですね
そのあたりで一番すきなのが、「テニスコートの殺人」。
「筆者が好きだった本の最後には、必ず後日譚があった。
主人公を7章で助けた馬丁は商売繁盛の居酒屋を営んでいる、云々」
みたいな書き出しの後記(文章はいいかげんです)。
このまえ読んだW.コリンズの「ノー・ネーム」にこれがでて来て
ニマニマしてしまいました。「おお、これだ、これだ」みたいな。
で、最後に出てくる駄洒落がくだらなくてねえ、原文はなんだったんだろ。
物語を盛り上げるために使う小ネタもまた楽しい。「連続殺人事件」の
「キャンベル家の定め」、「四つの兇器」のトランプゲーム「トラント・エ・ル・ヴァ」
それぞれのシーンが忘れられないものになっているのは、これらの小道具が
魅力的だからでしょう。
>舞台の丹念な作りこみ
少し、カーから離れますが、「インディアン島」であったり、「ハッター家」であったり、
名作とよばれる作品には遊戯場的な舞台設定が欠かせないのかもしれませんね。
人に伝えるときも、「ある貴族の荘園の別館では、泊り客が必ず不審な死をとげた」
と、するよりも「泊り客が謎の死を遂げる『赤後家の間』」とした方が、
インパクトありますしね。
なんだか、まだ書きたいこともあるのですが、とりあえず。
>>928 私が答えるのもあれなんですが。
その意見はその通りなのですが、カーの作品はそのパターンが多くないですか?
「猫と鼠の殺人」や「帽子収集狂」も、あ、「三つの棺」もそうかもしれない。
不可能状況を不自然でなくこしらえるための、カーの癖かと。
なので、個人的には気にならなかったですね。
931 :
名無しのオプ:03/03/17 20:06
書斎魔人でつか?
カー作品の魅力は舞台設定は当然ながら、
その天候の扱いの自在さにもあると思う。
作品を思いだす時、その場所での天候や暗さまでが目に浮かぶ。
>>928 僕は(メール欄1)って好きなほうなんですけど、『白い僧院の殺人』は
トリックそのものは傑作でも、(メール欄2)のストーリーへの練りこみ方が
甘い気がします。
『ユダの窓』や『貴婦人として死す』なんかは、(メール欄2)が絡むことで、
お話に深みが出てると思うんですが。
『白い僧院』では、極端に込み入った状況をつくって、それを解きほぐして
みせよう、という趣向もありますけど、これもシンプルなトリックとイマイチ
上手く結びつかず、分離しているような。
結果として、登場人物全員がたいした意味もなくウロウロと怪しげな行動を
していたり、良くも悪くもパズラーだなあ、という印象があります。
>>930>>933 確かに「三つの棺」もそうかもしれませんね。
いや僕もあの手のは好きなんですけど・・・。
「三つの棺」は驚嘆できましたが「僧院」は何故かしっくりきません。
まあ印象と言う他ないのですが。
それに「僧院」はちょっと話にとりとめがないという気もするんです。
>>929 >そのあたりで一番すきなのが、「テニスコートの殺人」。
読み返してみたら、丸々1ページにわたって注でびっくりしました。すご!
それにしても、コリンズだったんですね。勉強になります。
善が栄え、悪党がキチンと罰せられる点に着目してる当たりはカーっぽいですね。
あと、あの駄洒落は見た瞬間、心底思い出したくなかったと思ったです。
>物語を盛り上げるために使う小ネタもまた楽しい。
『曲った蝶番』でジョン・ファーンリの真贋を見分ける時に、子供の頃の
愛読書と、嫌いだった本とを語らせるシーンがあるでしょう。あれもカー色に
染まってるシーンですよね。
>人に伝えるときも、「ある貴族の荘園の別館では、泊り客が必ず不審な死をとげた」
>と、するよりも「泊り客が謎の死を遂げる『赤後家の間』」とした方が、
>インパクトありますしね。
それに、単に個性をつけるだけでなく、ワンパターンにならないよう状況の
演出を工夫していると思います。
館が舞台になる作品だけでも、『プレーグ・コートの殺人』は離れでの降霊儀式、
『白い僧院の殺人』は雪と湖に囲まれた別館、『曲った蝶番』は庭園の迷路、
『緑のカプセルの謎』は映写会、『墓場貸します』はプールで消失…というふうに、
上手く散らしてますよね。
ただ、初期の作品は舞台そのものは魅力的でも、やや動きに乏しい気がします。
例えば『一角獣殺人事件』は、中盤で中洲の城に入ってからは完全にクローズド・
サークルものになるでしょう。だからこそイイ、というのも分かりますけど、
カフェで謎めいた話を聞かされる導入部や、城に辿りつくまでの、道中のアクシデントなどが
テンポ良くきてただけに、後半3分の2が延々城内で進むのは、読んでてやや閉塞感が
ありました。
『帽子収集狂事件』『孔雀の羽根』のように、聞きこみで街中を回ったりする作品もありますけど、
目立ったイベントが起きないため、ただ巡礼してるだけ、という感じもします。
(『孔雀』の”蛾の寄りつかない男”は印象的でしたけど)
中期の作品、『囁く影』『青ひげの花嫁』などは中盤で列車による移動が入り、
舞台が移りますよね。街中と田舎もしっかり描き分けられている。だから、
空間的に幅が感じられて好きです。
過去の事件の回想シーンがあったりもして、時間軸にも広がりが感じられますし。
>>932 光りの美しさと、暗闇の怖さが描けるのはカーの大きな武器ですよね。
上の文でちょっと文句をつけた『一角獣』ですけど、序盤のパリの街の澄んだ描写
なんか本当に綺麗です。
それから、ざわめく木立や立ち込める雲、とどろく雷鳴……!
エンターテイメントする自然とでも言いますか、現実では絶対こうはいかない、
人工のテーマパークなんかでは造りきれない世界だと思います。
まさに小説ならでは、という醍醐味があると思います。
「白い僧院」は雪の上の足跡や、凶器の謎よりも
(メール欄)を利用したミスディレクションの方に「やられた!」感があった。
エラリーのあの作品を読む前だったので・・・
>938
それどういう所ですか?もうちょっと詳細教えてください。
>それにしても、コリンズだったんですね
「月長石」は、ここ数年で一番インパクトのある本でした。
古典はかなり読んでいたのですが、19世紀の小説だし、ストーリーは(犯人も)
おおよそ知っているしと、かなりなめてかかっていたのですが、これが凄い。
考え抜かれたプロットに、それを支える完璧なストーリーテリング。
謎の事件に、ユーモア、悲劇、そしてハッピーエンドとメロドラマに求められる
要素はすべて含んでいる傑作でした。それ以降あれこれあさってます。
と、いうようなことをベスト5スレに書いたことがあるのですが、反応なしでした
(あたりまえではありますが)。
すいません、話がずれました。でも、コリンズスレが立つはずがなく、
語ってしまいました。
カーの作品で動きのある作品といえば、「バトラー弁護に立つ」「九つの答」
骨董屋での大立ち回りとかまず行動ありき、でとにかく読むのが楽しかった
記憶があります。
「バトラー」のトリックとか、冷静になるとちょっと、おいおいなのですが、
ストーリーの展開があまりにも速くて、突っ込みを入れるひまもなかったりします。
このころは歴史物を書きはじめていたと思うのですが、現代を舞台にしても
冒険を描けるんだなあ、とも思ったり。
>>934 「僧院」を「お話」としてみたときには、評価は低くなりますね。
松田道弘氏は「会話がまずいせい」で「登場人物の描き分けが十分でなく
読み返すのは苦痛だった」と言っています。
キャラクターが立ってない印象はあります。被害者が女優で映画関係者が
多く出てきたりとカーが資質に合わない「現代的な」物語を書こうとしたせいかも
と思っています。
941 :
名無しのオプ:03/03/19 22:01
>>940 漏れはレイチャルのドキュソぶりに切れつつ読んでました<月長石
しかもアイツだけいい目見るし。
クラック嬢やロザンナが可哀想で可哀想で・・・。
942 :
名無しのオプ:03/03/19 22:03
ところでパッパラパーはいつ出るの?
一応貼っとく。
第16回 ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)集計結果
6 火刑法廷
4 ユダの窓
2 三つの棺
妖魔の森の家
白い僧院の殺人
皇帝の嗅ぎ煙草入れ
連続殺人事件
1 ビロードの悪魔
緑のカプセルの謎
パリから来た紳士
読者よ欺かるるなかれ
青銅ランプの呪
曲った蝶番
貴婦人として死す
一角獣殺人事件
944 :
名無しのオプ:03/03/20 08:59
無難な評価ではあると思うけど、
「読者よ」「青銅ランプ」「一角獣」のかわりに、
「帽子収集狂」「プレーグコート」「恐怖は同じ」を入れたい。
短編ではなぜか「パリ」なんだね。
煽りでもなんでもなく聞きたいんだが、
「読者よ」「青銅ランプ」「一角獣」の三つは
どこがそれ程評価されてるのか教えて欲しい。
漏れの読み方が悪いから、
これらの評価を低くしているかと思うととても残念なんで。
945 :
bloom:03/03/20 09:36
>>941 >レイチャルのドキュソぶり
あはは、それは全くその通りです。お前が知ってることをとっとと話せば
あんな大事にならなかっただろうが、みたいな。
まあ、ヴィクトリア時代のお嬢の典型(うわべの貞淑、つつしみ深さ)なので、
許容してました。ついでに月長石の盗難は(メール欄)の比喩とみれば、
もう少し許せるかも?
コリンズ作品の女性キャラは、たいてい貞淑と奔放の2種類が登場するんですが
「月長石」はそのへんが明確でないかも。クラック嬢はちと微妙だし。
「法と淑女」では、「女には向かない職業」のコーデリア張りの探偵が出るし、
「ノー・ネーム」では遺産を独り占めにするため、主人を手玉に取るメイドとか
一筋縄ではいかないキャラが多数います。ドキュソばかりではないですよ。
と、当然のことを言ってしまいました。すいません、おまけにスレ違いでした。
>>943 これは結果よりも、投票数の少なさが残念だった。
やっぱりカーってクイーンやクリスティに比べると
読まれてないんですねえ…
最近ROMして皆さんの意見など読んでおりました。
私は「夜歩く」しか読んでなかったのですが、この作品の評価は割りと低いのですね…
他の作品も読んでみようかなと、このスレを見て思いました。
>>940 >『白い僧院の殺人』
自分で書いた933を読み返してみたら、『白い僧院』嫌ってるようにしか見えなくて
焦りました。
いや、確かに「お話」としては起伏に欠けますけど、現代的な、という点では
慣れないながらもけっこう健闘してると思いますよ。
女優と犯人のキャラクターはそれなりに立ってると思うし、
犯行の動機とか今でもあるっぽい感じで、チョコレートが送られてきたとか
その辺も含めて、いつの時代になってもついて回る芸能界の宿命なのかなー、って思いました。
ただ、後にカー本人が映画関係者とイヤってほど付き合ってから書いた
『かくして殺人へ』と比べると、リアルさが足りないというか、考え考え
書いたんだな、という感触はありますけど…。
>>944>>948 >『一角獣殺人事件』
世間的には、幻の名作がついに読めた、ってことでパッと評価が上がってる部分も
あるんじゃないでしょうか。
『一角獣』って、江戸川乱歩の「カー問答」では中流作扱いで第3群なんですけど、
「この内風変わりなのは、第三の『一角獣の怪』で、(メール欄)が二重三重に
こんぐらかって、実に奇々怪々を極める。又、殺人方法が、一角獣という怪獣の角で
刺されたような傷を残すという不気味なもので、トリックもなかなか考えた奇術が
使われている」と、わざわざ気をそそる注釈がつけられています。
だけど、長い間入手難で、国書刊行会が世界探偵小説全集を出してやっと読めた。
クラシック、ヴィンテージミステリの人気再燃がはじまった頃の、第一弾の作品
の一つでもあり、その辺が人気にも繋がっているのではないでしょうか。
個人的には怪盗フラマンド&覆面探偵ガスケという、今にも踊りだしそうなヘンな
ネーミングと、いつもはのんきな傍観者のケン・ブレイクが珍しく窮地に立たされる
ところが気に入っています。
兇器については専門的に過ぎてアンフェア、という話も聞きますけど
(確かに『プレーグ・コートの殺人』のような前振りも無い)、僕は
「へー、そんなのがあるんだー」って思ったぐらいで、豆知識が一つ増えたと思えば
腹も立たないのではないかと……。実際、不気味な効果は出てますし。
>『読者よ欺かるるなかれ』『青銅ランプの呪』
この2作は、序盤で起きる事件のインパクトで、読者を引っ張っていく作品ではないかと思います。
ともに謎の提示の仕方が凝っていて、演出も豪華。ビジュアル的に頭に焼き付いて、
読み終わったあとも、『読者よ〜』といえばあの階段のシーン、というくらい、
忘れられない印象を残します。
特に『読者よ欺かるるなかれ』は「超能力でいつでも好きなときに狙った相手を
殺せる」という、ミステリでそれやったらおしまいじゃん、という究極的なネタが
メインになっていて、いやでも興味をそそりますし、それを「共犯はいない、
すべて一人の犯行である」とか「犯人が現場にいて初めて可能な殺害方法である」とか、
思わせぶりなヒントで読者の推理を封じつつ、煙に巻いていくあたりが面白いと思います。
ドキドキしながら、いったいどうやったんだろうと考えさせられて、とても楽しく読めました。
推理小説を読む最高の快楽、と言ってもいいのではないかと思うくらい、上手い書き方だと思います。
個人的には、第二第三と事件が進むに従って、どんどん話はヒートアップしていくのに、
犯行の方はずさんになっていくところが好きです。トリックらしいトリックが全く使われて
いないところもポイントが高いです。
『青銅ランプの呪』は、読み終わってみると、(メール欄1)こともあって、
(メール欄2)でもしてたかのような印象はあります。
そのへんに浮ついたような物足りなさを感じますが、それでも
振りかえってみてなお、あの冒頭の謎の魅力は色褪せてないと思いました。
>>949 『夜歩く』は処女作にもかかわらず、フェル博士、H・Mがでてこないためか、
あまり人気がないようですね。(僕も、得意なほうではないです…つーか、表紙の
絵が恐い…)
トリックも、後の作品でバリエーションを展開しているので、先にそれらを
読んでしまっていると目新しく映らず、そのため評価が下がってしまっているのでは
ないでしょうか。
ずいぶん前に読んだので朧な記憶しかないのですが、怪奇色が前面に立っていて、
ムードがまとまっているところはかなりよかったです。
第一作目でこれだけ自分の世界を作れるっていうのは、やっぱり天性の作家なんでしょうね。
部分では、夫が精神病院から脱走する話や、ポーの話が出てくるところが面白かったです。
犯人像もなかなか強烈で、特に最後の一文はこの作品の締めくくりにふさわしいと思いました。
ただ、気持ちはわかるけど、こんな話を両親に捧げるなよ……とか思ったりして……。
954 :
名無しのオプ:03/03/21 20:29
短編ベスト3
1 B13号船室
カーの作品の中でも一番の傑作だと思う。短い話しの中にアイデイアや怪奇が一杯。凄い話しだと思う。
2 妖魔の森の家
妖精に誘われて妖精の国へと神隠しされたと思った少女が実は金銭目的でバラバラ殺人の被害者になってたという点が
非常に文学的でそそる話し。
トリックには無理があると思うが余韻が残る。
登場キャラのセリフも印象的で意味深。
3 銀のカーテン
まとまりが良く短編として理想的。
パリから来た紳士はどこが良いのかわからない。
>>948 サンクス
「青銅ランプ」は確かにクイーンと共に「人間消失こそ最高」と
論じて作っただけあって、謎自体は嫌いじゃないんだけど、
膨らましすぎた感じがするんです。
これより先に書かれていたというラジオドラマ版の方を読んでみたい。
おそらくその方がすっきりとしていて謎解決部分も
より魅力的にかかれてあったのではないかと推測します。
「一角獣」はサービス精神満載なのは分かるんだけど
ちょっとサービス過多という感じ。
それがカーらしさといえば、そうなんだけど、
この作品はちょっとまとまりを欠いてる感じがする。
フラマンド&ガスケが浮いた存在に感じる。
「読者よ」は確かに言われてみると階段シーンもドキドキしたし、
解決部分を読むのが楽しみだった作品。
でも(メール欄)というトリックが苦手というか嫌い。
だから初めて読んだ時にあまり評価を高くしなかったことを、
いま改めて再読してみて思い出した。
他にもありますよね、あの作品とか、カーのあれとか。
あります!
ただの自慢じゃん。「価値あるのかな〜?」だって。きもいヤツ。
自慢とも言えないような。。。
ブクオフの100円コーナーで良く見るものばかりだし。
まあ、すぐ無くなっちゃうので毎日通わないと
全然見ないってことになっちゃうけど。
ポケミスの古いのは100円コーナーにやたらあるので
おれは手あたり次第買ってる。100円だと友人に
気軽に譲れるのでポケミス普及のためにだけど。
958はなんでそんなにムキになってるんだ?
補足になりますが、『読者よ〜』は、詰まるところプレゼンテーションの上手さで
評価される作品ではないかと思います。
真相の方は、(メール欄1)という説明があるので、他の同系統の作品よりは
納得しやすいのではないかと……それが、衝撃的な場面の演出に結びついても
いますし……。
それはともかく、真相の方から考えると、あのネタから「思念放射による殺人」
っていうアイデアを思いついたのは、半端じゃないと思います。
世に(メール欄2)は数あれど、ここまで際立った状況を作り出した作品は
空前でしょう。
「空中の足跡」や「銀色のカーテン」のような本歌取り(つーかパクリ?)の
短編を読むと、カーの装飾の上手さ、アイデアを活かす話作りの上手さ、その
発想に感心させられますが、『読者よ欺かるるなかれ』は、そんなカーの才能が
長編でも良くわかる一編ではないかと。
騙しの謎をクリスティ、論理の謎をクイーン、想像力の謎をカーとするなら、
その一番の持ち味がいかんなく発揮されている点で、高く評価されている作品
なのだと思います。
「青銅ランプの呪」ラジオドラマ版は、ミステリマガジン1998年3月号
(NO.504)に載ってますよ。図書館で借りて読んだんですけど、
ラジオドラマらしくコンパクトにまとまってました。
つーか「誰がマシュー・コービンを殺したか」を激しく読みたいです。
ダグラス・G・グリーンは「中心的な手がかりが「絞首人は待ってくれない」と
かぶってるから割愛した」とか言ってるけど、あんたの編纂した短編集には
「死んでいた男」「黒い塔の恐怖」「死の四方位」と3作もかぶってる作品が
入ってるぞ! 「マーシュー・コービン」はフーダニットだけでも十分面白そう
なのに……。
短編集7、出してくれないかな…。
>「青銅ランプの呪」ラジオドラマ版は、ミステリマガジン1998年3月号
情報サンクスコ 押入れの中を探して見まつ
963 :
名無しのオプ:03/04/05 01:30
ハヤカワの火刑法廷読みました。ちょっと気になったんだけど**に電話がかかったのは
10:45ではなくて9:45のまちがいですよね。
あと....はどこかにでていったままなんですけど。
「青ひげの花嫁」100円でGET
965 :
名無しのオプ:03/04/06 21:34
今から緑カプセル読みます。評判よさそうなので楽しみ。
あのう、火刑法廷で、クロスの説は間違ってて、
真犯人は実は(メール欄)だと聞いたんですけど、ホントですか。
どうしてそうなるのか、気になって気になって仕方ないんです。
だれかわかる方、教えてください。
オレも最近読んだばっかりだけどそれはないと思うよ。
クロスの説は間違いとされてるわけではなくて、最後の数ページ..という
解釈という含みを残してどちらにでもとれるようにしたんじゃないかな。
その場合でも犯人は966さんのメール欄のひとじゃないよ。
僕は『緑のカプセルの謎』ってカーにはまりたての頃に読んだんですけど、
これとあとラジオドラマの「死者の眠りは浅い」って、(一応メール欄)が
ちょっとイイ使われ方をしてるんですよね。
「死者の〜」の方は翻訳のせいか、ややぎこちない感じですけど、『緑の〜』は完璧。
最初読んだ時は、何の事かわからなかったので当然その良さに気づかなくて、
あとで知って上手いもんだなあと感心しました。こればっかりは、予備知識ありで読みたかったです。
演出過剰というかなんというか、カーはこういうドラマチックなの、ホント好きですね。
969 :
名無しのオプ:03/04/13 18:48
「剣の八」の新訳が出るらしいぞ。
早川が文庫で出すのか?
972 :
名無しのオプ:03/04/16 21:11
>パリから来た紳士はどこが良いのかわからない
俺は文体とか雰囲気は好きだけど、中心となるトリックがちょっとしょぼいかも。
クイーン編のやつで読んだんだけど、あれはラストのどんでんが面白いのであって
あのトリックだけで終わってたら「ふざけんな」と放り出したと思う。
でもラストで一気に面白さが増すんであって、だからクイーンも選んだんじゃないかな。
973 :
名無しのオプ:03/04/16 22:22
3つの棺最強!
こんなところにまで最強厨が!
(^^)
976 :
名無しのオプ:03/04/17 21:58
山崎はカーで何が好き?
978 :
名無しのオプ:03/04/17 23:23
「魔女が笑う夜」読了。
HMが、抑圧された少女を救うシーンは胸が熱くなった・・・。
バザーのシーンも最高に楽しかったし、トリックも十分実行性の高いもの。
世間で言われてるほど悪い作品とは思わなかったな。
979 :
名無しのオプ:03/04/19 15:56
もうみなさん既にご存知でしょうが、早川が「クラシック・セレクション」という
名称でミステリの定番作品をハヤカワ文庫で続々出していくそうです。
>>969さんが言ってる「剣の八」の新訳というのもこれのことですね。
「密室殺人傑作選」は既に店頭に並んでますが、他にもホックの怪盗ニック・
シリーズとか、ブランドの「はなれわざ」なんかも出るらしいです。
基本的にポケミスから文庫化するというのが多いのかな?そういうわけで、
カーの他の作品も入手しやすくなるといいですね。
「はなれわざ」出るのか・・・すごくウレシイ・・・
ほかの作家の話でスマソ
古本屋で新潮文庫版の「皇帝のかぎタバコいれ」げっと。
創元推理文庫版も持ってるけど、好きな作品なので。
ただ、訳者が「白石佑光」という人なんだけど、
創元版にくらべてかなり読みづらい。
>979
知りませんでした。ウレスィ。
「剣の八」の新訳はいいですね。ついでに「三つの棺」も改訳してほしい。
訳がよければ、評価もちょっとは変わるかも…
「ビロードの悪魔」っていつの間にか品切れ状態になっててずっと探してたんだけど、
今日書店に行ったら特別重版の帯がかかって店頭に並んたんでげっとしてきました。
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
986 :
名無しのオプ:03/04/20 16:56
「皇帝のかぎ煙草入れ」読んだが、フィアンセの男が悪し様に言われすぎだと思った。
あれぐらい取り乱すのは普通だと思うのだが(浮気の件は別だけど)。
探偵役の差し出がましいナイトぶりも鼻についた。
結局 ヒロインが男みるめがないってことよね。
990あたりで次スレ移行ですかね。マターリ進行だし。
>987
やっぱそう思うよね(w