スティーブンキング超つまらない

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836書斎魔神 ◆CMyVE4SVIw
インテリゲンチュア・イン・ジャパン90年5月号に掲載された
キング「呪われた町」に関する書評の一部を紹介しておきましょう。

ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」に対するオマージュとも言える
ホラー大作。パロディではなく、正面からバンパイアの恐怖を描いて間断するところが
ないストーリーは、一読巻を置かせないものがある。
アメリカ東部の架空のスモールタウン(セイラムズ・ロット)を舞台に
多彩な登場人物が織り成す人間模様、そして町の盛衰は、
あたかも一巻の大河ドラマを見る趣もある。
町名セイラムズは、言うまで無く、魔女狩りで有名なセーラムにちなんだ
ものであろう。
古典かつ原典とも言える「吸血鬼ドラキュラ」と読み比べると、面白さが増す。
ヒロイン役のスーザンやヘルシング教授役に相当するマットの途中退場は意外感がある。
もっとも冒頭から、主人公(作家ベン)と少年(マーク)が生き残ることは明らかに
されているため、吸血鬼との戦いによるサバイバルの興味を薄める構成にしてしまったのは残念。
文庫本解説の最後で触れられているキングのある種の暗い余情をたたえた文体が、
翻訳においても本作のラストでは遺憾なくその効果を発揮しているようである。