大藪春彦「餓狼の弾痕」

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798書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
>まず、本質とは何かという議論がある。
>それがなければ作品が成り立たないものが本質であるとすると、
はじめに作家大藪春彦に内在する本質と各作品の本質を峻別しておく必要がある。
作家大藪春彦を語る場合には、引揚体験により醸成された暗い情念に触れずして
語ることは不可能であり、また意味がないかと思う。
ただし、前述したとおり、大藪作品にはこの部分が捨象あるいは希薄なアクション小説
とでも称すべき作品群が存在し、これらの作品の本質はハンティングに
あると考えても差し支えないとは思う。
よって、
>大藪作品のすべてはハンディング小説であると言える。
この見解は一面的過ぎて誤りである。

>「汚れた英雄」において主人公北野晶夫の獲物は金持ちの女性である。
>他の大藪作品の主人公とは対象は違えど、行動様式は同じである。
>従って、「汚れた英雄」もまたハンティング小説と言える。
すまないが笑った。レーシングという闘いの場の設定、
これを通じた主人公の成長(教養小説的側面)、主人公を突き動かす内在するものは何か、
こういった観点無くして、この作品は読み解くことは出来ない。
「汚れた英雄」をガールハント小説などと称するのは、大藪作品を冒涜する言でなければ、
お笑いのネタに過ぎないと言えよう。