大藪春彦「餓狼の弾痕」

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765書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
俺に限らずスレ参加者のほとんどに賛同を得られていないのにもかかわらず、
自己の主張を貫き通す711氏には、ある種敬意を感じるものがある。
(これは皮肉ではない。どこか大藪作品の主人公にも通じる不屈さを感じもするのだ)
さて、ハードボイルド観に関しては俺に同意するということだが、
>大藪主人公には「自己の内面との戦い」などはない
このように考えるに到った根拠を、出来得れば具体例を挙げて開示して頂きたい。
>大藪作品の世界観→自分以外は皆獲物。そして主人公は絶対の狩人。
>このような徹底した世界観を持つ小説は他に知らない。
この辺が、特に初期作には該当しない我流の強引な解釈だと思われる。
比較対象として、レクター博士が出て来たのには一瞬驚いたが、であれば、
むしろ、過去ログで指摘されている大藪作品が孕む狂的な部分という点に着目して、
比較論考を試みる方が妥当である。
>しかし、犯罪であるにも関わらず、我々は伊達に魅力を感じるのは、
>自らの生の証は「狩り」であることを強く自覚しており、
>まったく迷いがないからである。
このくだりも主語は「我々」ではなく、「自分」と言い換えるべきものである。
3部作の魅力は、ピカレスク的な部分にこそあり、
この部分が拠って出るところが、まさに大藪氏の引揚体験で醸成されたところの
「暗い情念」なのである。