新・面白い叙述トリック考えた 6

このエントリーをはてなブックマークに追加
23名無しのオプ
ポツリと雨粒が肌にあたった。
複数の水滴を頬に受けて雨と気づきレインコートを羽織る。

「おかしい」
夜道を歩く真弓の背後に、一定の距離を保ちながら
雨音に交じってついてくるピチャピチャという足音に気づいた。
駅からずっとつけられている感じがした真弓は後ろを振り返ることも出来ず足早になった。
すると、後ろの足音も同じように駆けだした。
その足音は、徐々に近づいてくる。
真弓は暗がりの角を曲がるととっさに電柱の後ろに身を隠す。
レインコートの背中越しに、駆ける足音が過ぎてゆく。
足音が通りすぎて聞こえなくなると反対側に駆け出し・・・やがて公園の前。

ここS市では若い女性ばかりを狙った通り魔連続殺人事件が起きていた。
それは決まってこういう雨の夜に起きるのだ。

あたりに人影がないか見渡し、真弓は公園に足を踏み入れる。
雨足が激しさを増してきた。
街灯に照らされ、手にした鋭利な刃物がキラリと光る。
背後から近づき、レインコート越しに彼女の背中に何度も何度も、何度も突き刺さる。
「………っ」
彼女の悲鳴はザーッという雨音にかき消され・・・

翌日、テレビでは通り魔連続殺人がまた起きたことが報道されていた。
「S市の公園で殺害された被害者の女性は、S高校に通う和田A子さん17歳で・・・」
容疑の男性を捕り逃がした刑事は苦虫をかみつぶしたようにその画面を睨んだ。