秋の夜長にF・W・クロフツpart2

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45書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
F・W・クロフツ「フレンチ警部最大の事件」を読む。
記念すべきフレンチ・シリーズ第1作。
F・W作品中、あるいは上記シリーズ中でも出来は標準程度ながら、
やはり、フレンチ・シリーズはこの作品から手に取るべきであろうかと思う。
タイトルは訳者である田中西二郎先生のあとがきでも指摘されているとおり、
後のフレンチ担当事件を思えば、このエピが到底「最大」のものとは思えず、
当初は従前の作品群同様の単発キャラとして把握されていたことを覗わせる
ものとなっておる。
しかし、本作もある種典型的なF・W作品だけあって、地味で肩が凝る面も
ある警察捜査小説である。
田中先生が指摘する「樽」より優れた面ってのもどんなもんかな?
さほど人間ドラマとしての感興があるとも思えないし、
警察小説としての読み応えは「樽」の方がはるかに上だと思われ。
詐称したり、部下にスケこましを命じる等、捜査のためなら手段を選ばない
フレンチさんの方針は面白くはあるけどね。