『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.7

このエントリーをはてなブックマークに追加
868書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
エドマンド・クリスピン「列車に御用心」を読む。
クイーンの定員にもチョイスされた短編集。
うーん、期待が大き過ぎた分、出来は「いまいち」という感あり。
もっとも、この作者の長編に関しても、俺がマジで面白いと思うたのは
「お楽しみの埋葬」ぐらいだが。
(著名な「消えた玩具屋」はさほどのものには思えず)
久々に大好評な収録作品全話講評逝ってみようか!!!(w
・「列車に御用心」
列車を動かせるスキルがあるのは誰か?
これがポイント、表題作にして作品集冒頭に置く作としては、
まずまずの出来と言うたところかな。
・「苦悩するハンブルビー」
ジョンの「嘲るものの座」、アントニイの「試行錯誤」、そして刑事コロンボの
「野望の果て」等を想起させる作。
弾痕ネタだが、じっくり読む必要があり、さすればそれなりに面白いかも。
869書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2013/08/04(日) 18:21:16.33 ID:FvRdYUI/
・「エドガー・フォーリーの水難」
警察本部長の言われぶりが気の毒なほど。
内容はどうってこともない犯罪談である。
・「人生に涙あり」
ちょい、松本清張している作。
こういうビターなテーストがこの作者の魅力のひとつでもあるのだ。
・「門にいた人々」
ジャーヴァスの仕掛けるトリックが、「刑事コロンボ」の駄作レベルで、
面白い作ではない。
・「三人の親族」
なんかこの毒殺トリックには、ジョン風のバカバカしさあり。
その辺を面白がれるかどうかでしょうな。
・「小さな部屋」
米ホラーっぽい作。ブロック、ケッチャム、レイモン等々の。
巻末解説には「いかにもクリスピンらしい短編」の例に挙げられているものの、
「?」、むしろ異色作ではないか?
・「高速発射」
薀蓄としての面白さはあるものの、この音速ネタはフェアもクソも無し。
・「ペンキ缶」
文字どおり「キー」となる「キー」に関連した推理がわかり難いのが難。
・「すばしこい茶色の狐」
これもタイプライターねたが、今ひとつピンと来ないのが難。
そうだと、さほど面白くはない作なのである。
870書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2013/08/04(日) 18:21:58.53 ID:FvRdYUI/
・「喪には黒」
デクスター、ウイングフィールド等の英国警察小説(警官小説と称した方が
妥当か)風の雰囲気、展開。
逆転の発想が面白い作に仕上がっている。
・「窓の名前」
期待して読んだ密室ものだが、真相にがっくり。回文かお(w・・・
・「金の純度」
時計に関する推理が肝な作だが、メーンは不仲な父子を巡る人間ドラマ、
これに絡むジャーヴァス。ミステリとしてはつまらんです。
・「ここではないどこかで」
ラストに象徴的だが、「法」とか「正義」という概念に懐疑的な作者のスタンスが良く出ている作。だが、まあ、それだけの作でもある。
・「決め手」
非ジャーヴァスもの。
推理もたいしたことないが、「インスペクター」に詳しくないと全く面白さなし。
・「デッドロック」
40頁ほどの作だが、収録作品中では最大のボリューム。
ゴールズワージーを比較対照にあげた解説は持ち上げ過ぎでしょ。
トマス・クックならこってりと語りそうな過去話(青春時代)だが、
犯行動機に関して、もう少し書き込まないと説得力が無さ過ぎで、
哀愁も暗さも不足気味なので、今ひとつインパクトを欠くものあり。
871名無しのオプ:2013/08/04(日) 20:30:36.02 ID:WsBaTxer
論考三部作だね。どれも必読の出来栄えだ。