『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.7
499 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
山田風太郎「太陽黒点」を読む。
忍法帖や明治ものでおなじみ、独自な風太郎節が抑制気味な作であり、
読み易くはある。
タイトルの謂れ関しては、登場キャラのひとりの口を通して言及されて
いるとはいえ、時代的にシンタローを意識したかなという感あり。
普通に読んでゆくと、終始、鏑木青年が主人公で「アメリカの悲劇」
あるいは「太陽の季節」、ミステリなら「死の接吻」的展開になるのかと
思いきや・・・
とにかくビスマルクねたとか動機(形成)がトンデモな作。
だけんど、さほど長尺ではないにもかかわらず、序盤は戦後風俗小説的興味もあって読んでいけるのだが、やや中ダルみする感は否めず。
容子があそこまでやるのはやはり不自然で説得力が弱いように思うし、
物語のキーマンとゆきがかり上の肉体関係を持たせてしまった方が
よりスムースな進行が可能だったようにも思える。
うーん、決して不出来ではないが、新たに歴代ベスト100入りする程の作であろうか?