『読みました』報告スレッド その2

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748書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
谷崎潤一郎「台所太平記」を読んだ。
あの大谷崎の晩年のヒット作。
コンパクトに纏まった作だが谷崎家女中年代記とでも称すべきものである。
往年の作の如き、この作家独自の鬼気や艶やかさは無く、
陰翳も感じられないが、年を経て「瘋癲老人日記」等に顕著であった飄逸な
ユーモアがよりパワーアップされており、楽しく読める作に仕上がっている。
ミステリにも興趣を示し、「途上」等の実作も著した文豪だが、本作に関しては
ミステリ性を見出すのは難しいものはある。
解説にもあるとおり、行間からこの文豪と女中たちの実際のあり様は?
と推理してみるぐらいか。