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書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
F・W・クロフツ「フレンチ警部とチエィンの謎」を読む。
これって御大の金田一シリーズで言えば「八つ墓村」に該当するものかと思う。
作風が大きく異なるが巻き込まれ型冒険小説的展開、主人公チェイン氏と
ヒロインに対しフレンチが彼らを危難から救うナイトの役割を果たすこと等々
におおいに共通項を感じる。
典型的なクロフツ作品であるマギルの後だとサクサクと読める点は良しだが、
御都合主義な展開が多く、わかり難い(特に日本人には)暗号ネタも
頂けず、評価は低いものに止まらざるを得ないであろう。
まあ、フレンチ警部シリーズ初期ではフリーマンが地道なアリバイ崩しもの
のみではない種々な趣向に挑もうとしていたのはわかるという興はあるが。
また、宝探しを巡るクライマックスに警官隊と賊の海上戦を期待すると見事に
外される感あり、J・ヒューストンの「黄金」の世界になりにけりなのだ。