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書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
F・W・クロフツ「マギル卿最後の旅」を読む。
あかね書房のジュブナイルも存在したフレンチ警部シリーズの代表的一編だが、
シリーズ中の典型的作ゆえか、超地味な展開。正直言うて読んでいて退屈感を
拭えなかった。フレンチさんが今回の相棒になるアイルランドの
アルスター警察マクラング巡査部長に「灰色の脳細胞を使え」とか言う
お遊びのシーンとかもあるのだが、メーンはマギル卿という富豪の失踪とその死を巡る地味な捜査小説である。
まあ、これがクロフツ・ワールドではあるけどね。
遺産相続絡みの複数犯による犯行は、現代日本に置き換えてもリアリティ
が溢れるものなのだが、「樽」ほどにストーリーの起伏がないのは難、
この手の作品は、
普通は探偵役であるフレンチを立てるため、アイルランドの警察側を無能に
描くことが多いのだが、登場するレイニイ警視、マクラング巡査部長共に
それなりに有能な警察官に描かれているのも、いかにもこの作者らしい
リアリズム志向という感あり。