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書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
ボワロー&ナルスジャック「技師は数字を愛しすぎた」を読んだ。
著者は新機軸を意図した作とのこと。
前記した「死者の中から」とは一転、読み易く、
しかも本格好きにはたまらない密室ネタ連発。
原子力工場を主舞台とするため、工場内の描写が多くあり、
近年の「工場萌え!」連中とかには堪らないものがあるというボーナス的
要素もあり。
だが、所詮、一部作品を除いて、本格不毛の地であるフランス・ミステリ、
ビッグネームの手によっても、犯人は当初から消去法であっさりわかる感が
あるし、連続する密室ネタも全て「なーんだ」という感大だし、
サスペンスを盛り上げるはずの核物質盗難ネタも意外にあっさりと処理されて
しまい、あまり効果を上げていないようなのが残念や。
ジョン作品のような良い意味でのトンデモ展開を期待すると間違いなく
外されます。
探偵役の主人公の刑事が禿な中年なのに、ガイシャの美人妻にラブラブになるってのは、
いかにもフランス作品らしい面白い点ではあった。