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書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
「江戸川乱歩コレクションU クリスティーに脱帽」を読んだ。
ネタばれ満載なエッセイが清清しいものあり。
また「グルーサムとセンジュアリティ」というエッセイにおける
海外作品を例に取り上げての自作のエログロ傾向に弁明気味なのも面白い。
俺は大乱歩は理知的(従って無味乾燥となりかねない)でエログロとは
相容れないと思われていた本格ミステリに見事にその要素を導入し、
成功した才人だと思うている。
例えば「D坂の殺人事件」のサドマゾと錯覚という見事な融合を見よ。
タイトル絡みなネタだと、大乱歩のアガサ作品評価において、
オリエント急行が「相当に面白かったもの」(○)という評価にとどまり、
最上級の「大いに面白かったもの」(◎)ではないことが摩訶不思議ではあった。
ちなみに、大乱歩が◎を付けた作は、
「アクロイド殺し」「シタフォードの秘密」「三幕の悲劇」
「そして誰もいなくなった」「愛国殺人」「白昼の悪魔」「ゼロ時間へ」
「予告殺人」。
アガサ自身がベスト10に入れている「動く指」は謎解きの興趣が希薄な
ためか、最低評価「余り面白くなかったもの」(●)となっている。