アガサ・クリスティ 15

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733書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
アガサ・クリスティー「復讐の女神」を読む。
「カリブ海の秘密」の続編。アガサ健在であれば三部作になっていたとのこと。
「カリブ海・・・」事件で知り合った老富豪が死去、ジェーンは彼の遺言に
従いバス旅行に出かけることになる・・・
何が謎なのか謎のまま物語が進行し、じょじょに事実が明らかになってゆく
という凝った構成。
会話文主体な劇的構成、コンパクトなボリュームに纏めた前作
(刊行順では、これもアウェイの事件で「バートラムホテルにて」が間に
入る。本作でジェーンがロンドンで当該ホテルに関し回顧するシーンあり)
とは異なり、地の文が多く、会話文も長め、ボリュームアップした作である。
ミステリとしての出来栄えは標準程度、凄惨かつ残酷な殺人が描かれ、
ホラータッチにも出来る設定なのだが、そうはしないのがアガサらしくもある。
また、十八番とも言えるキティねたが、読み方によってはミスディレクション
とも成り得ているのも面白い。
だけんど、露骨に明記はされないものの、どう見ても百合ネタをアガサが書くとはねえ・・・