アガサ・クリスティ 15

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718書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
アガサ・クリスティー「カリブ海の秘密」を読む。
酷暑である。夏向きのアガサ作品と言えば、
ポワロものなら日本では人気がある「白昼の悪魔」。
マープルものならこれでしょ。
ポワロ・シリーズには中近東ものもあるが、雰囲気暑苦しいし。
だが、アガサ作品とはいえ、ミステリとしての出来はNG級。
ガイシャの義眼ネタはまずまず小技ながら、状況と消去法で
フーダニットを読み慣れた者には、犯人は簡単にわかる程度のものであり、
メーンストーリーも古典期な青髭ネタで、たいした「ひねり」も感じられない。
「逝ってよし!」とか気張らずに、
リゾート小説として気軽に読み飛ばすべき小品と言うたところか。
初期作品では考えられなかったセックスに関する露骨な表現(アガサ作品に
してはというレベルであり、無論、作者は性の氾濫する風潮に批判的と
読めるのだが)が見られるのが目を惹いた。