190 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
「『惑星ユードー』を読んで」
著者は星新一作品を愛読書に挙げているだけあって、話のアイデアや
構成にその影響が覗われるものがある。
短篇小説と呼べるボリュームを十分に有してはいるが、
もっと大胆に刈り込んでショートショートとして纏めると、
シュミトー外殻等の異色のアイデアがより活きて来るのではないだろうか?
古い海外作品だとロバート・シェクリイとかも読んでいる?
引き続き、「この神は脆弱だ」を読ませて頂くつもりだ。
191 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2010/06/12(土) 22:38:15 ID:P2Vd45Im
「この神は脆弱だ」を読んだ。
非常に面白く読み終えた。
光瀬龍「百億の昼と千億の夜」、萩尾望都「11人いる」、桑田次郎「エリート」、山田風太郎「甲賀忍法帳」、ダン・シモンズのハイペリオン・シリーズ等を
ふと思い浮かべるものがあった。
人間を奉仕する存在であるはずの「暴走する機械群」により失格者として
認定されてしまった8人の男女、各人の意見の相異から宇宙全体を
巻き込んだ激しいバトルが展開され、やがて宇宙創生と終末に関する
意外な真実が明らかになってゆく・・・まず、このミステリ仕立ての
基本設定が極めてスリリングであると共に、天体反動銃、五秒前砲、
十二個の極小BH、人格バックアップ等々・・著者が次々に繰り出す
SF的ギミックがとにかく楽しいの一言に尽きる。
192 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2010/06/12(土) 22:39:50 ID:P2Vd45Im
8人のキャラも巧みに書き分けられているが、女性キャラがややお色気不足
なのが残念。
作者の分身はサイボーグトチガミか?
出番も多く、妙に力が入った思い入れを感じたのだが?
たった一人の軍隊(お前はランボーか(w )ことミヤウラも非常に
面白いキャラと思うた。
自分はハッピーエンディングは好まないのだが、このぶっ飛んだ物語は
ここまで来ると、必然的にハッピーエンディングしかない展開であり、
この点納得だ。(もうひとつドンデン返しがあるかと予想したが、
まあ、これ以上のドンデン返しはループ状態に陥り無理だわな)
最後に質問・疑問点等を2.3記してみたい。
(1)作者はバイブルやニーチェの哲学にも造詣が深いと思われるがどうか?
(2)終盤に登場する「拡張感覚器」は面白そうなネタでもあり、
詳しい説明が欲しかったところだ。
(3)神の「無のきらめき」は、1章割いても、もっと詳述して
欲しかったところだ。このネタで番外編執筆さえ期待したい。