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名無しのオプ:
841 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2010/01/30(土) 17:27:00 ID:zD1J8twl
ピート・ハミル「マンハッタン・ブルース」を読んだ。
タフなジャーナリスト、サム・ブリスコー・シリーズの第一弾。
別れた恋人の謎の死を発端にキューバ革命まで遡る陰謀に巻き込まれてゆく
ブリスコー。
名エッセイ「ニューヨーク・スケッチブック」の著者の手になるものだけ
あってNYの風景描写が冴えるが、残念ながら物語中盤からは舞台が
完全にメヒコに移ってしまうため、NY情緒を堪能することはならず。
代わりというては何だが、熱いメヒコ情緒は満載ではある。
だが、ミステリとしての評価は偶然性に頼ったご都合主義満載で頂けず、
エッセイ等を読む限りでは、ストイックな作風という印象があり、
NYを舞台にした序盤はこれに沿うものなのだが、
後半の過激なセックスシーン、アクションシーンは意外感を越え、
違和感さえある。
ハードボイルド・ミステリにはこの手のものが必須という固定観念でもあったのであろうか?
まあ、原書は30年以上前の刊行という点を考慮しても、最早、逝ってよし!
作品とは言い得よう。