エラリー・クイーン&バーナヴィ・ロス〜PART9〜

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883書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
・「慎重な証人の冒険」
確かに、この解決ならそれなりの合理性はあるのだが、事前に呈示されるとは
いえ強い偶然性があるため、この登場キャラ群であれば「幻の女」ネタを
使って欲しかったところだ。
・「ミステリの女王の冒険」
未放映化シナリオだが、お蔵入りして正解だったという感あり。
タイトルどおり、アガサを想起させる女流作家が登場し、
自身が目撃者でもある船内の殺人事件に関する推理を開陳するという趣向の
面白さはあれど、モーリスが書いたルパン対ホームズの自作キャラ
贔屓と同様、最終的には探偵エルに花を持たす締めがやや不快である。
ミステリ作家の枠を超えた世界的作家であるアガサ、結局、名パズラーの
枠内にとどまり、一時期は母国で代表作さえ入手難の時代さえあったエル、
この辺のステータスの差が、シナリオ・ライターたちにしっかりと
認識されていたかどうか、気にかかるところである。
巻末のシリーズガイドはエルオタにとっては資料としての貴重性は理解出来るものの、記述が完全ネタバレ禁止の基本線で執筆されており、
本書収録作品以外はわかり難いものとなっているのが非常に残念。
改めてネタバレによる自由でオープンな議論の必要性を痛感させるものが
あった。