アガサ・クリスティ 晩餐会の13人

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704書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
アガサ・クリスティー「バートラムホテルにて」を読んだ。
この後期ジェーンものは、昔読んで「つまらなかった」という記憶はあった。
「鏡は横に・・・」では、ジェーンのホームグラウンドとも言える
セント・メアリ・ミード村の変貌が描かれているが、
この作品では、若き日の彼女の思い出が詰まった古き良きロンドンの変貌が
描写されている。
舞台となるのはレトロな雰囲気を残すバートラムホテル。
(当初から、何かいわくあり気なのは示唆されているが、盗っ人宿とはね(w )
ミステリとしては繰り返される偶然の目撃、後出しの証言、
具体的な証拠無き推理等、穴が多過ぎ評価出来ない。
しかもこれらの件に全て探偵役のジェーンが絡んでいるのだから、
何をかいわんやである。
まあ、スリラーとして読めば、アニメまがいの女怪盗の逃亡・最期なんかは
おもろいかもしれぬが。
ホームグラウンドでないせいもあるが、
事実上の探偵役は「おやじさん」ことスコットランドヤードの
デイビー主任警部であり、ジェーンが、終始、脇に回る感があるのが残念だが、
人間味溢れるこの主任警部のキャラは、なかなか魅力的ではあった。
彼が単独で活躍するエピも読みたかったものである。
他のキャラではストーリーのキーマンとも言えるぺ二ファザー牧師が面白過ぎ、
今ならどう見ても認知症でしょ。相変わらずのアガサの精神医学に対する
強い興がわかる。
最後に苦言を呈しておくが、「殺人は容易だ」「バートラムホテルにて」と
クリスチー・スレで評価された作を手にしてみたが、満足がゆく出来ではなかった。作品推薦のレス作成に際しては慎重な配慮を心がけろ!!