【推理パズル 総合スレ】第16回モナギコ蜘蛛の会
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「運命のエレベーター」出題篇1/3:
「運命のエレベーター」出題篇1/3
そのエレベーターには4人の男女が乗っていたが、扉が閉まりかけたとき一人の中年男性が駆け込んで来た。
エレベーター内の車イスに座った老人が、とっさに杖を差し出し閉まる扉を止めようとして、杖がポキリと真っ二つに折れてしまった。
鋭利に尖って折れた杖を犠牲にし、息を切らせ駆け込んで来た中年男性はエレベーターに乗り込むことが出来た。
中年男性は車イスの老人に「すみません」と軽く頭を下げると、「いえいえ、いいんですよ」と老人も笑顔で答え、折れた杖は膝の上に置く。
箱内の先客達を一望すると中年男性は閉まった扉の方に向き直り皆に背を向ける。
5人の男女を乗せた箱は、グゥンという鈍い音とともに、ある運命へと動き出した。
そして5人の乗った箱は、次の階に着く前に急にガクンという音がして停止してしまった。
故障!?…
扉の脇に立っていたスーツ姿のサラリーマン風の若い男が、箱内に設置してある非常電話をかけると、すぐに作業員が来るという報せ。
「こういうときにかぎってハンカチを持って来なかった」とポケットをまさぐったあと
サラリーマン風の若い男は落ち着かぬ様子で額の汗を手でぬぐった。
故障して止まった箱に閉じこめられ、時の経つのがやけに長く感じられる中、沈黙を破ったのは、その短気そうなサラリーマン風の男だった。(つづく)