『読みました』報告・海外編Part.4

このエントリーをはてなブックマークに追加
914書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
そして何と言うても前記したクイーグ艦長の存在感(マイナスのだが)・・・
ミスオタには、作者のミステリ観を覗いみることが出来ると思われる部分
を紹介しておくので、各人の読書というものに対する姿勢を、
今1度考え直す縁として欲しい。
ケイン号の前任の艦長ド・ブリース(このオヤジもなかなかの曲者であり、
彼氏メーンなケイン号の物語も読みたくなるほどである)がクイーグに
引継ぎをおこなうシーン(1巻255頁より)での、ド・ブリースの台詞。
「探偵小説をひと棚、残しておきましょう。お好きかどうかわかりませんが、
わたしの読物といえば、これしかありません。不愉快なときに気をまぎらわしてくれます。とにかく、いま読んだかと思うと、もう次のページでは忘れて
しまうんですからな」
これに対して、クイーグは、
「ありがとう。しばらくのあいだは機密文書に目を通すだけでも、せい一杯
だろうと思います」と応えているが、
その後、クイーグが艦長室で本を読んでいるシーンは出て来るものの、
ド・ブリースから引き継いだミステリか否か不明なのは残念。
なお、一流大学で文学を専攻した設定のキースやキーファは文学・哲学の書を
読んだり、語ったりするシーンはあっても、ミステリには興は無いようである。
また、次のような比喩にも、米国におけるミステリに関する一般的観念を
覗い知ることが出来よう。
「『軍法会議と査問委員会』は「告発と起訴事実」といううっとうしい一節で巻
を開く。わずか百二十三ページで、長さは二十五セントの廉価版推理小説の
半分にもたりない」(3巻77頁より)