『読みました』報告・海外編Part.4

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846書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
リチャード・ジェサップ「摩天楼の身代金」を読んだ。
80年代に少々話題になったミステリちゅーか、サスペンス・スリラー。
主人公はベトナム戦争帰りだし、リアルでシリアスな緊迫した作品かと
思いきや、そうでもないという感じ。
特にラストなど洒落た遊び心に富んだアメリカン・ミステリの味わいさえある。
(果たして物的証拠が隠滅された状態で公判に堪え得る個人特定が可能か?)
最大の読ませどころは、身代金の奪取手法(正に「博打」そのものが絡む)、
つまり誰から取るかでなく、金が取れればオールOKというのが肝なのである。
このアイデアは結構面白い。
だが、タイプライター、公衆電話等、執筆年代を感じさせる小道具は仕方無い
しても、(特にPCが日常品化した現代では、犯人割り出しの手がかりにも
これを強く感じさせるものはある)
この手に作にありがちなご都合主義過ぎる展開に萎えるものはある。
あえて今読む必要は無い作と断言しても差し支えないのではなかろうか。