『読みました』報告・海外編Part.4

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709書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
エラリー・クイーン「死せる案山子の冒険 聴取者への挑戦U」を読んだ。
本格ミステリの収穫が少なかった今年だが、正月に読む本として俺が
チョイスした1冊である。
早速、好評な収録作品全話講評逝ってみようか!!
「<生き残り>クラブの冒険」
ある種のダイイング・メッセージねた。
謎解きは色盲ねたにあり、冒頭から伏線が仕掛けられる。
まあまあの出来ではないかな。
「死を招くマーチの冒険」
これは相続を巡る典型的なダイイング・メッセージねただが、
英語ねたであり日本人には面白味は薄い。
「ダイヤを二倍にする男の冒険」
これはエル作品らしい論理的推理が面白い作で、
俺的には表題作以上に収録作品中の一押しだ。
「黒衣の女の冒険」
ジョンなら映画トリックねた(作中で指摘されるとおり無理がある面も
あるが、結構面白い)で落としたのではと思われるご機嫌な怪奇探偵小説
仕立てな一編で楽しめる。
「忘れられた男たちの冒険」
手がかりも小粒だし、
謎解きミステリとしては今ひとつだが、現代日本でもリアルなホームレスねた。
後年の社会派エルの一面を垣間見せる作だが、謎が小粒となる欠点も感じ
させる。
710書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2010/01/01(金) 20:33:21 ID:hknWhenf
「死せる案山子の冒険」
いわゆる田舎の一家の悲劇を描いた後年のライツヴィルもの風作品で、
重いムードのわりに謎解きの面白さは薄い作という感あり。
(雪だるまネタはホック風でちょい惹かれるものはあるが)
なぜこれが表題作?とか思うが、エルのラジオドラマ中ではわりと著名な作とのことだ。
「姿を消した少女の冒険」
直接の登場が無いとはいえ、エルにとってはいたいけな少女キャラさえ
ストーリーの「ピース」に過ぎないというのがわかる後味が悪い作で、
謎解き前に犯人はわかったが、謎解きミステリとしての構成はきちんと
しており、それなりに読ませるものあり。