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書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
アガサ・クリスティー「ホロー荘の殺人」を読んだ。
この作は俺もがちな初読。
館もの風のタイトルに食指は動いたのだが、(実際には異なる)
ミステリとしてはあまり面白くないという評もあり、
長きに渡り積読状態やった。
確かに、本格ミステリらしいゲーム感覚やトリッキーな展開を売りとした
初期から作風が一変、本作あたりになると多数の個性溢れるキャラを
じっくりと書き込み、その間に生じる濃い人間ドラマで読ませる
感じになっておる。
とは言うても、本作が現代日本で書かれたものだとしたら、ミステリとしても
このミス、文春等のランキングでダントツな年間1位をゲットするであろう
レベルの作なのは間違いなかろう。
2丁の拳銃を利用した殺人トリックはそれなりに面白く、
これがハードボイルド・ミステリあたりなら、ほぼ100点満点に近いかも。
(実際、米国が舞台ならチャンドラー等が書きそうな有産階級の
悲劇なのだ)
この物語の要的存在であり、
なぜかポワロには好感度大なルーシーばあさんがうざ過ぎるのが難か。