『読みました』報告・海外編Part.4

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585書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
アガサ・クリスティー「三幕の殺人」を読んだ。
これもマイナーな作ながら日本では多くの出版社から刊行されていた作。
初期作だけあって、後年の人間ドラマ強調路線とは異なるストーリーを
芝居に見立てた遊び心を彷彿とさせるものとなっておる。
残念なのは、意図した構成とはいえポワロが第一の殺人から立ち会っている
のに脇のポジションにとどまっていることか。
解明された犯人の犯行動機の残酷ぶり(殺人のリハーサルという発想が
ぶっ飛びだ)は際立つものがあるが、ビビッドにそれを感じさせないのは、
アガサ初期作品らしい探偵小説は大人のメルヘン風の創りゆえであろう。