『読みました』報告・海外編Part.4

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583書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
最近はマイナーなアガサ作品を読むのがマイ・ブーム的になっている感あり。
今回は「鏡は横にひび割れて」を読んだ。
おなじみジェーン・シリーズ後期作品であり、さしもの名探偵ジェーンも
寄る年波には勝てず、手先が思うように動かずトレードマークだった編み物も
思うに任せず、足腰も弱り自宅で文字通りの安楽椅子探偵傾向にある。
舞台となるセント・メアリ・ミード村も新住宅地開発が進み、
新しい店舗等も多くなり、都市化が進行、時代の流れを感じさせる作品創りだ。
本作には優しい甥のレイモンドは姿を見せないものの、
ジェーンの友人の元気者バントリー夫人(既に未亡人)、
今は警部に昇進したクラドック等のおなじみのキャラも登場。
(そう言えばこの2人は過去作品でのジェーンとの絡みが多い作が存するのに
過去には面識が無かったと気づいた)
事件は、「書斎の死体」事件の主舞台とひとつとなったゴシントン・ホール
(バントリー夫妻邸だったこともある)に、有名な女優とその夫の映画監督
が引越して来るが、主催したパーティ会場で殺人が発生・・・
色めき立つ村人たち・・・
正直言うて犯人は早い段階でわかった。
この作品は再読だったので、作品の売りの動機(病気ねた)も思い出して
しまったが、これは家庭の医学程度の知識は無いと無理な気付かないもの
でしょ。果たしてフェアと言えるかどうか。
だが、医療に従事していたこともあるガイシャがここまで無知というのは、
あまりに不可思議ではある。
正にミステリの本筋から見ても余談なのだが、
現代にも通じるところがある芸能界話にはニヤリとさせられる面白いものは
ある。執筆にあたりアガサ女史は相当に当時の映画雑誌とかを渉猟したのでは
なかろうか。